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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/95 20230101AFI20230308BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230308BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230308BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230308BHJP
   H05B 45/60 20220101ALI20230308BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20230308BHJP
【FI】
H10K59/95
F21S2/00 110
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B45/60
F21Y115:20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021211971
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2019519192の分割
【原出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2022046675
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2017096332
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉田 綾子
(72)【発明者】
【氏名】中馬 隆
(72)【発明者】
【氏名】松川 真
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健見
(72)【発明者】
【氏名】原田 千寛
(72)【発明者】
【氏名】平沢 明
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076128(JP,A)
【文献】特開2012-028638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00
H05B 33/02
F21S 2/00
F21Y 115/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が発せられる第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1電極、有機層及び第2電極と、をそれぞれ有する第1発光部材及び第2発光部材を備え、
前記第1発光部材は、前記第2発光部材の前記第2面側に位置する第1領域と、前記第2発光部材の前記第1面側に位置する第2領域と、を含み、
前記第1領域を発光させない発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記第2発光部材の前記第2面は、前記第1発光部材の前記第1領域における前記第1面に対向する第3領域を含む発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記第2発光部材の前記第1面は、前記第1発光部材の前記第2領域における前記第2面に対向する第4領域を含む発光装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1発光部材は、前記第1領域から前記第2領域にかけて連続している発光装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1発光部材は、前記第1領域から前記第2領域にかけて前記第2発光部材と交差している発光装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1発光部材は、第1端部と、第2端部と、を有し、前記第1端部から前記第2端部にかけて延在しており、
前記第1発光部材の前記第1端部と前記第2端部は、隙間を挟んで互いに対向している発光装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第2領域に重なる前記第2発光部材の一部を発光させない発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体感のある発光装置が開発されており、特に特許文献1には、EL(エレクトロルミネッセンス)シートを有する発光装置について記載されている。このELシートは、複数の切り込みを有しており、各切り込みは渦巻き状に延伸している。したがって、このELシートを上下方向に引き延ばすと、ELシートのうちの隣り合う切り込みの間の部分がらせん状に延伸するようになる。
【0003】
特許文献2にも、立体感のある発光装置について記載されており、特に特許文献2の発光装置は、花の形状を有している。発光装置は、複数の光拡散板及び複数の光源を有しており、複数の光源のそれぞれは、複数の光拡散板のそれぞれに取り付けられている。複数の光拡散板のそれぞれは、花弁の形状を有しており、光源から発せられた光は、光拡散板によって拡散される。
【0004】
特許文献3にも、立体感のある発光装置について記載されており、特に特許文献3では、合わせ鏡を利用している。発光装置は、ハーフミラー及び反射ミラーを有しており、光の反射がハーフミラーと反射ミラーの間で繰り返される。したがって、反射ミラーに映る複数の像が反射ミラーの奥に向かって並ぶように映り、奥行き感を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-201105号公報
【文献】特開2014-91885号公報
【文献】特開2013-131454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、特許文献1から3までの方法とは異なる方法によって、立体感のある発光装置を製造することを検討した。特に本発明者は、有機発光ダイオード(OLED)を利用することを検討した。一般に、OLEDの形状の自由度は高く、本発明者は、OLEDパネルの形状の自由度を有効に利用することで、発光装置に立体感を与えることについて検討した。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、立体感のある発光装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
光が発せられる第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1電極、有機層及び第2電極と、をそれぞれ有する第1発光部材及び第2発光部材を備え、
前記第1発光部材は、前記第2発光部材の前記第2面側に位置する第1領域と、前記第2発光部材の前記第1面側に位置する第2領域と、を含む発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】実施形態に係る発光装置を示す斜視図である。
図2図1に示した発光装置を図1とは異なる方向から見た斜視図である。
図3図1及び図2に示した発光部材を発光部材の第1面側から見た平面図である。
図4図1及び図2に示した発光部材を発光部材の第2面側から見た平面図である。
図5図4から第2電極を取り除いた図である。
図6図5から絶縁層を取り除いた図である。
図7図6から第1電極を取り除いた図である。
図8図4のA-A断面図である。
図9図1の変形例を示す図である。
図10図8の変形例を示す図である。
図11図1から図8に示した発光部材の製造に用いられるマスクを示す図である。
図12】変形例1に係る発光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る発光装置20を示す斜視図である。図2は、図1に示した発光装置20を図1とは異なる方向から見た斜視図である。図3は、図1及び図2に示した発光部材10を発光部材10の第1面12側から見た平面図である。図4は、図1及び図2に示した発光部材10を発光部材10の第2面14側から見た平面図である。図5は、図4から第2電極130を取り除いた図である。図6は、図5から絶縁層150を取り除いた図である。図7は、図6から第1電極110を取り除いた図である。図8は、図4のA-A断面図である。
【0013】
図1を用いて発光装置20の概要について説明する。発光装置20は、複数の発光部材10、特に図1に示す例では、第1発光部材10a及び第2発光部材10bを備えている。第1発光部材10a及び第2発光部材10bのそれぞれは、第1面12及び第2面14を有しており、光は第1面12から発せられる。第1発光部材10aは、第1領域16a及び第2領域16bを有しており、第1発光部材10aの第1領域16aは、第2発光部材10bの第2面14側に位置しており、第1発光部材10aの第2領域16bは、第2発光部材10bの第1面12側に位置している。
【0014】
上述した構成によれば、発光装置20に立体感を与えることができる。具体的には、上述した構成においては、第1発光部材10aの第1領域16aは、第2発光部材10bの第2面14側に位置しており、第1発光部材10aの第2領域16bは、第2発光部材10bの第1面12側に位置している。つまり、第1発光部材10aの第1領域16a及び第2領域16bは、第2発光部材10bの奥行き方向において互いに異なる位置にある。したがって、発光装置20は、立体感を有するようになる。また、複数の発光部材10によるデザインの自由度が高い発光装置20を提供することが可能である。
【0015】
特に図1に示す例においては、第1発光部材10aは、第1領域16aから第2領域16bにかけて第2発光部材10bと交差している。これによって、第1発光部材10aによる第1領域16aから第2領域16bにかけての奥行き方向の延伸を際立たせることができる。したがって、発光装置20の立体感を際立たせることができる。
【0016】
発光装置20は、様々な用途に応用することができる。一例において、発光装置20は、自動車のテールランプに用いることができる。他の例において、発光装置20は、照明装置または表示装置に用いることもできる。
【0017】
次に、図1を用いて、発光装置20の詳細について説明する。
【0018】
第1発光部材10a及び第2発光部材10bは、互いに連結している。具体的には、各発光部材10は、開口18を画定するように延在している。各発光部材10は、隙間を挟んで互いに対向する2つの端部、すなわち、第1端部18a及び第2端部18bを有しており、第1端部18aから第2端部18bにかけて延在している。開口18は、第1端部18aと第2端部18bの間の隙間を介して発光部材10の外側の空間と通じている。したがって、第1発光部材10aにおける第1端部18aと第2端部18bの間の隙間から第2発光部材10bを第1発光部材10aの開口18に通すことができるとともに、第2発光部材10bにおける第1端部18aと第2端部18bの間の隙間から第1発光部材10aを第2発光部材10bの開口18に通すことができる。
【0019】
各発光部材10は、ハートの形状を有している。特に図1に示す例では、発光部材10は、内縁18c及び外縁18dを有しており、内縁18cは、開口18を画定するようにハートの形状に沿って延伸しており、外縁18dは、内縁18cに沿って発光部140をハートの形状に画定している。
【0020】
発光部材10は、発光部140を有しており、発光部140は、発光部材10と同様にして、ハートの形状を有している。特に図1に示す例では、発光部140は、第1端部18aから第2端部18bにかけて延在しており、発光部140の外縁は、第1端部18a、第2端部18b、内縁18c及び外縁18dに沿っている。
【0021】
図1に示す例では、2つの発光部材10が互いに連結しているが、他の例では、3つ以上の発光部材10が連結していてもよい。
【0022】
次に、図2を用いて、発光装置20の詳細について説明する。
【0023】
第1発光部材10aは、第1領域16aから第2領域16bにかけて第2発光部材10bの開口18を経由して連続している。これによって、第1発光部材10aによる第1領域16aから第2領域16bにかけての奥行き方向の延伸を際立たせることができる。したがって、発光装置20の立体感を際立たせることができる。
【0024】
第2発光部材10bの第2面14は、第3領域16cを含んでおり、第3領域16cは、第1発光部材10aの第1領域16aにおける第1面12と対向している。したがって、第1発光部材10aの第1領域16aにおける発光面(すなわち、第1面12)は、第2発光部材10bの発光面(すなわち、第1面12)の背後に隠れるようになる。これによって、発光装置20の立体感を際立たせることができる。
【0025】
第2発光部材10bの第1面12は、第4領域16dを含んでおり、第4領域16dは、第1発光部材10aの第2領域16bにおける第2面14と対向している。したがって、第2発光部材10bの第4領域16dにおける発光面(すなわち、第1面12)は、第1発光部材10aの発光面(すなわち、第1面12)の背後に隠れるようになる。これによって、発光装置20の立体感を際立たせることができる。
【0026】
特に図2に示す例では、各発光部材10は、部分的に、湾曲し、又は折れ曲がっている(つまり、湾曲部又は折れ曲がり部を有している)。したがって、各発光部材10は、立体感を有するようになっている。
【0027】
さらに、図2に示す例では、第1発光部材10aの第1領域16aと第2発光部材10bの第3領域16cは、隙間を挟んで互いに離間しており、第1発光部材10aの第2領域16bと第2発光部材10bの第4領域16dは、隙間を挟んで互いに離間している。これによって、第1発光部材10aと第2発光部材10bの間の摩擦の発生を抑えることができ、摩擦による発光部材10の損傷を抑えることができる。他の例においては、第1発光部材10aと第2発光部材10bを互いに接触させてもよい。第1発光部材10aと第2発光部材10bを互いに接触させて第1発光部材10aの位置及び第2発光部材10bの位置を確実に固定することで、一方の発光部材10がもう一方の発光部材10に対して移動しないようにすることができる。
【0028】
次に、図3を用いて、発光部140の詳細について説明する。
【0029】
発光部140は、複数のセクション、特に図3に示す例では、第1セクション142及び第2セクション144に分離されている。第1セクション142及び第2セクション144は、電気的に互いに絶縁されており、したがって、第1セクション142における発光のオン又はオフの切り替え及び第2セクション144における発光のオン又はオフの切り替えは、互いに独立に制御することができる。第1セクション142と第2セクション144を同じ発光色として点灯を制御しても良く、第1セクション142と第2セクション144を異なる発光色として点灯を制御しても良い。
【0030】
図3に示す例において、発光部140は、内縁18c及び外縁18dのうちの一方から他方に向かう方向に沿って複数のセクション(第1セクション142及び第2セクション144)に分離されている。他の例において、発光部140は、第1端部18a及び第2端部18bのうちの一方から他方にかけての発光部材10の長さ方向に沿って複数のセクションに分離されていてもよい。さらに他の例において、発光部140は、複数のセクションに分離されていなくてもよい。
【0031】
次に、図4から図7を用いて、発光部材10の平面レイアウトについて説明する。
【0032】
発光部材10は、基板100、2つの第1電極110、有機層120、第2電極130、絶縁層150、2つの導電部170(導電部170a及び導電部170b)及び封止層200を備えている。
【0033】
図7を用いて、基板100及び2つの導電部170の詳細を説明する。
【0034】
基板100は、発光部材10の形状を画定している。具体的には、基板100は、第1端部108a、第2端部108b、内縁108c及び外縁108dを有している。基板100の第1端部108a、第2端部108b、内縁108c及び外縁108dは、それぞれ、発光部材10の第1端部18a、第2端部18b、内縁18c及び外縁18dとなっている。
【0035】
導電部170aは、基板100の内縁108cに沿って延伸しており、導電部170bは、基板100の外縁108dに沿って延伸している。導電部170は、低抵抗材料を含んでおり、かつ複数の位置(すなわち、第1端子112)から電位を供給されている。したがって、導電部170の延伸方向における電圧降下を抑えることができる。特に図7に示す例では、導電部170aは、基板100の第1端部108aに沿って配置された第1端子112、基板100の内縁108cに沿って配置された第1端子112及び基板100の第2端部108bに沿って配置された第1端子112から電位を供給されることができ、導電部170bは、基板100の第1端部108aに沿って配置された第1端子112、基板100の外縁108dに沿って配置された第1端子112及び基板100の第2端部108bに沿って配置された第1端子112から電位を供給されることができる。
【0036】
導電部170の上述したレイアウトによれば、発光部材10の美観が導電部170によって損なわれることを防ぐことができる。具体的には、導電部170は、遮光性材料を含んでおり、透光性を有していない。したがって、仮に、導電部170が発光部140と重なると、発光部材10を発光させたとき、発光部140のうちの導電部170と重なる領域は、導電部170によって光が遮断されるために非発光部となり、発光部材10の美観を損なうおそれがある。図7に示す例では、発光部140と重なる導電部が設けられておらず、特に、導電部170a及び導電部170bは、発光部140の外縁に沿って延伸している。したがって、発光部材10の美観が導電部170によって損なわれることを防ぐことができる。
【0037】
図6を用いて、2つの第1電極110の詳細を説明する。
【0038】
2つの第1電極110は、基板100の内縁108c及び外縁108dのうちの一方から他方に向かう方向に並んでいる。内縁108c側の第1電極110は、導電部170a(図7)に電気的に接続しており、外縁108d側の第1電極110は、導電部170b(図7)に電気的に接続している。
【0039】
第1電極110の上述したレイアウトによれば、発光部140の第1セクション142及び第2セクション144(例えば、図5)を互いに電気的に絶縁させることができる。具体的には、2つの第1電極110は、電気的に互いに絶縁されている。内縁108c側の第1電極110は、発光部140の第1セクション142を構成し(例えば、図5)、外縁108d側の第1電極110は、発光部140の第2セクション144を構成する(例えば、図5)。したがって、第1セクション142及び第2セクション144を電気的に互いに絶縁させることができる。
【0040】
第1電極110の上述したレイアウトによれば、発光部140の輝度のばらつきを抑えることができる。具体的には、第1電極110は、透光性を有する材料を選択するために比較的に高抵抗材料、すなわち、電圧降下の生じやすい材料を含んでいる。図6に示す例では、2つの第1電極110を内縁108c及び外縁108dのうちの一方から他方に向かう方向に並べることで、内縁108c及び外縁108dのうちの一方から他方に向かう方向における各第1電極110の長さを短くすることができる。したがって、内縁108c及び外縁108dのうちの一方から他方に向かう方向における第1電極110の電圧降下を抑えることができ、これによって、発光部140の輝度のばらつきを抑えることができる。
【0041】
図5を用いて、絶縁層150及び有機層120の詳細を説明する。
【0042】
絶縁層150は、複数の開口、すなわち、第1開口152及び第2開口154を有している。第1開口152は、基板100の内縁108c側の第1電極110を露出しており、第2開口154は、基板100の外縁108d側の第1電極110を露出している。このようにして、第1開口152は、発光部140の第1セクション142を画定し、第2開口154は、発光部140の第2セクション144を画定している。
【0043】
有機層120は、基板100の内縁108c及び外縁108dのうちの一方から他方に亘って広がっており、特に、基板100の内縁108c側の第1電極110及び基板100の外縁108d側の第1電極110の双方を覆っている。
【0044】
図4を用いて、第2電極130及び封止層200の詳細を説明する。
【0045】
第2電極130は基板100の内縁108c及び外縁108dのうちの一方から他方に亘って広がっており、特に、基板100の内縁108c側の第1電極110(図5及び図6)及び基板100の外縁108d側の第1電極110(図5及び図6)の双方を覆っている。
【0046】
第2電極130は、複数の位置(すなわち、第2端子132)から電位を供給されている。したがって、第2電極130内での電位のばらつきを抑えることができる。特に図4に示す例では、第2電極130は、基板100の第1端部108aに沿って配置された第2端子132、基板100の内縁108cに沿って配置された第2端子132、基板100の第2端部108bに沿って配置された第2端子132及び基板100の外縁108dに沿って配置された第2端子132から電位を供給されることができる。
【0047】
封止層200は、第2電極130の外側まで広がっており、封止層200の外縁は、基板100の第1端部108a、内縁108c、第2端部108b及び外縁108dに沿って延伸している。
【0048】
次に、図8を用いて、発光部材10の断面の詳細について説明する。
【0049】
発光部材10は、基板100、第1電極110、有機層120、第2電極130、絶縁層150、導電部170、封止層200、支持基板300及び接着層310を備えている。
【0050】
基板100(第1基板)は、第1面102及び第2面104を有している。第1電極110、有機層120及び第2電極130は、基板100の第1面102から順に重なっており、発光部140を構成している。第2面104は、第1面102の反対側にあり、発光部材10の第1面12となっている。つまり、発光部材10は、ボトムエミッションタイプのOLEDパネルであり、基板100の第1面102側の発光部140から生じた光は、基板100を透過して、基板100の第1面102(発光部材10の第1面12)から出射される。すなわち、発光部材10の第1面102から光が発せられる。
【0051】
他の例において、発光部材10は、トップエミッションタイプのOLEDパネルであってもよい。この例において、発光部140から生じた光は、発光部材10の第2面14から出射される。以下、本実施形態では、発光部材10は、ボトムエミションタイプのOLEDパネルであるとして説明を行う。
【0052】
基板100は、可撓性を有している。したがって、図2に示したように、発光部材10(つまり、基板100)を部分的に、湾曲させ、又は折り曲げることができる。
【0053】
基板100は、透光性を有する絶縁材料を含んでいる。一例において、基板100は、ガラス基板である。他の例において、基板100は、樹脂基板であってもよく、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)又はポリイミドを含んでいてもよい。基板100の第1面102及び第2面104の少なくとも一方には、無機バリア層(例えば、SiN層、SiON層、SiO層、Al層又はHfO層)が形成されていてもよい。
【0054】
第1電極110は、透光性及び導電性を有する材料、一例において、金属酸化物、より具体的には、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)又はZnO(Zinc Oxide)を含んでいる。他の例において、第1電極110は、導電性有機材料、より具体的には、カーボンナノチューブ又はPEDOT/PSSを含んでいてもよい。
【0055】
有機層120は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)により光を発することができる。一例において、有機層120は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を含んでいる。第1電極110からHIL及びHTLを経由して正孔がEMLに注入され、第2電極130からEIL及びETLを経由して電子がEMLに注入され、正孔及び電子がEMLにおいて再結合して光が発せられる。
【0056】
第2電極130は、光反射性及び導電性を有する材料、一例において、金属、より具体的には、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn及びInからなる群の中から選択される金属又はこの群から選択される金属の合金を含んでいる。
【0057】
絶縁層150は、発光部140を画定している。具体的には、発光部140の第1セクション142及び第2セクション144のそれぞれは、第1電極110、有機層120及び第2電極130の積層体を含んでいる。特に図8に示す例では、絶縁層150の第1開口152内において、第1電極110、有機層120及び第2電極130が順に重ねられて第1セクション142を構成しており、絶縁層150の第2開口154内において、第1電極110、有機層120及び第2電極130が順に重ねられて第2セクション144を構成している。
【0058】
絶縁層150は、有機材料、より具体的には、感光性樹脂の硬化物(例えば、ポリイミド)を含んでいる。つまり、絶縁層150は、感光性樹脂を光(例えば、紫外線)によって硬化させることで形成することができる。他の例において、絶縁層150は、無機材料、例えば、SiO又はSiONを含んでいてもよい。
【0059】
導電部170は、基板100の第1面102側に位置していて、第1電極110によって覆われている。導電部170は、第1電極110に含まれる材料よりも低抵抗の材料を含んでいる。したがって、導電部170は、第1電極110の補助電極として機能することができる。他の例において、導電部170は、第1電極110によって覆われていなくてもよく、第1電極110上にあって絶縁層150によって覆われていてもよい。
【0060】
導電部170は、低抵抗材料、一例において、金属、より具体的には、Al、Ag、Moからなる群の中から選択される金属又はこの群から選択される金属の合金を含んでいる。一の詳細な例において、導電部170は、APC(AgPdCu)を含んでいる。他の詳細な例において、導電部170は、MAM(Mo/Al/Mo)、Ni/Al/Ni又はCr/Al/Crであってもよい。
【0061】
封止層200は、基板100の第1面102及び発光部140を封止している。特に図8に示す例では、封止層200は、絶縁層150の外側において、基板100の第1面102に接している。したがって、有機層120及び第2電極130を劣化させる物質(例えば、水又は空気)が絶縁層150の側方から侵入することを抑えることができる。
【0062】
封止層200は、一例において、無機バリア層、より具体的には、SiN、SiON、Al、TiO、SiO及びSiOCの少なくとも一つを含んでいる。無機バリア層は、一例において、ALD(Atomic Layer Deposition)、スパッタ又はCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成することができる。
【0063】
支持基板300は、基板100の形状を支持するための部材として機能している。基板100は、可撓性に優れており、したがって、図2に示したように、基板100を部分的に、湾曲させ、又は折り曲げることができる。一方、基板100はその可撓性によって容易に変形する。したがって、基板100の形状を一定に保つため、ある程度硬質な部材、すなわち、支持基板300が必要となる。
【0064】
支持基板300は、基板100の第1面102及び発光部140を封止するための部材(封止基板)としてさらに機能していてもよい。
【0065】
支持基板300(第2基板)は、第1面302及び第2面304を有している。支持基板300は、第1面302が発光部140を挟んで基板100の第1面102に対向するように接着層310を介して基板100に取り付けられている。第2面304は、第1面302の反対側にあって、発光部材10の第2面14となっている。
【0066】
一例において、支持基板300は、光反射性を有する材料(例えば、Al)を含むようにしてもよい。この例においては、図2から明らかなように、第1発光部材10aの第1領域16aにおける第1面12が第2発光部材10bの支持基板300と対向し、第2発光部材10bの第4領域16dにおける第1面12が第1発光部材10aの支持基板300と対向するようになる。したがって、第1発光部材10aの第1領域16aにおける第1面12から発せられた光は、第2発光部材10bの支持基板300によって反射させることができ、第2発光部材10bの第4領域16dにおける第1面12から発せられた光は、第1発光部材10aの支持基板300によって反射させることができる。したがって、第1面12以外からも光を取り出すことが可能であり、光の拡散性を有する発光装置20が提供できる。
【0067】
図9は、図1の変形例を示す図である。図9に示すように、2つの発光部材10のうちの一方、特に図9に示す例では第1発光部材10aは、開口18を第1発光部材10aの外部につなぐための隙間を有していなくてもよい。図9に示す例においては、第2発光部材10bにおける第1端部18aと第2端部18bの間の隙間から第1発光部材10aを第2発光部材10bの開口18に通すことができる。
【0068】
図10は、図8の変形例を示す図である。図10に示す例において、発光部材10は、封止層200(図8)に代えて、封止部210、接着層212及び乾燥剤214を備えている。封止部210は、金属基板、樹脂基板又はガラス基板であり、封止部210の端部は折り曲げられている。封止部210は、接着層212を介して基板100の第1面102に取り付けられており、発光部140を覆っている。乾燥剤214は、封止部210と接着層212の間に位置している。
【0069】
図11は、図1から図8に示した発光部材10の製造に用いられるマスク400を示す図である。一例において、図1から図8に示した発光部材10は、以下のように製造することができる。
【0070】
まず、基板100を準備する。基板100は、発光部140の形成前に、図1から図8に示した形状に加工してもよいし、又は発光部140の形成後に、図1から図8に示した形状に加工してもよい。
【0071】
次いで、基板100の第1面102側に第1端子112、第2端子132及び導電部170を形成する。一例において、第1端子112、第2端子132及び導電部170は、スパッタにより堆積された導電層をパターニングすることによって形成することができる。
【0072】
次いで、基板100の第1面102側に第1電極110を形成する。一例において、第1電極110は、透明導電層をパターニングすることによって形成することができる。
【0073】
次いで、基板100の第1面102側及び第1電極110の一部を覆うように絶縁層150を形成する。一例において、絶縁層150は、感光性樹脂をパターニングすることによって形成することができる。
【0074】
次いで、第1電極110及び絶縁層150を覆うように有機層120を形成する。一例において、有機層120は、塗布プロセスによって形成することができる。他の例において、有機層120は、マスク(図11を用いて詳細を後述する。)を用いた蒸着によって形成することもできる。
【0075】
次いで、有機層120を覆うように第2電極130を形成する。一例において、第2電極130は、マスク(図11を用いて詳細を後述する。)を用いた蒸着によって形成することもできる。
【0076】
次いで、第2電極130を覆うように封止層200を形成する。一例において、封止層200は、ALDによって形成することができる。
【0077】
次いで、接着層310を介して支持基板300と基板100を貼り合わせる。
【0078】
このようにして、図1から図8に示した発光部材10が製造される。
【0079】
有機層120及び第2電極130の蒸着には、図11に示したマスク400を用いることができる。マスク400は、カバー410を有しており、カバー410は、開口412を有している。マスク400は、開口412内にカバー424を有しており、カバー424は、梁422によってカバー410に支持されている。
【0080】
有機層120及び第2電極130は、マスク400を用いて蒸着することができる。具体的には、有機層120及び第2電極130は、マスク400の開口412を介して基板100上に蒸着される。さらに、開口412内のカバー424によって、開口18及び開口18の周囲への有機層120及び第2電極130の蒸着を防ぐことができる。
【0081】
図11に示すマスク400を用いる場合、発光部材10の第1端部18aと第2端部18bの間の隙間は、一の発光部材10を他の発光部材10の開口18に通すための隙間(例えば、図1又は図2を参照)として機能するだけでなく、マスク400の梁422を設けるための領域としても機能している。具体的には、カバー424を開口412内に配置するためには梁422によってカバー424をカバー410に支持する必要がある一方で、梁422と重なる領域には有機層120及び第2電極130を蒸着させることができない。しかしながら、図1から図8に示した発光部材10においては、第1端部18aと第2端部18bの間の隙間及びその近傍には、有機層120及び第2電極130を蒸着させる必要がなく、したがって、梁422を設けることができる。
【0082】
以上、本実施形態によれば、発光装置20に立体感を与えることができる。
【0083】
(変形例1)
図12は、変形例1に係る発光装置20を示す図である。本変形例に係る発光装置20は、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置20と同様である。
【0084】
発光装置20は、5つの発光部材10を備えており、5つの発光部材10は、オリンピックエンブレム(五輪)を形成するように並んでいる。
【0085】
各発光部材10は、実施形態に係る発光部材10と同様にして、開口18、第1端部18a、第2端部18b、内縁18c、外縁18d及び発光部140を有している。各発光部材10は、開口18を画定するように第1端部18aから第2端部18bにかけて延在している。発光部140の外縁は、第1端部18a、第2端部18b、内縁18c及び外縁18dに沿っている。
【0086】
複数の発光部材10は、第1発光部材10a及び第2発光部材10bを含んでおり、実施形態と同様にして、第1発光部材10aは、第1領域16a及び第2領域16bを有しており、第1発光部材10aの第1領域16aは、第2発光部材10bの第2面14側に位置しており、第1発光部材10aの第2領域16bは、第2発光部材10bの第1面12側に位置している。したがって、発光装置20は、立体感を有するようになる。
【0087】
(変形例2)
図1及び図2を用いて変形例2に係る発光装置20について説明する。
【0088】
変形例2において、各発光部材10の第1面12側からは見えない部分、つまり、第1発光部材10aの第1領域16a(第2発光部材10bの第1面12側から見て、第2発光部材10bの背後に隠れている部分)及び第2発光部材10bの第4領域16d(第1発光部材10aの第1面12側から見て、第1発光部材10aの背後に隠れている部分)は、発光しないようになっていてもよい。当該部分は、各発光部材10の第1面12側からは見えないため、仮に当該部分が発光しなくとも発光装置20の美観にはほとんど影響がない。さらに、当該部分を発光させないことにより、各発光部材10の発光面積を小さくすることができ、発光装置20の消費電力を抑えることができる。また、光が重なった部分の発熱を抑制することもできる。
【0089】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0090】
この出願は、2017年5月15日に出願された日本出願特願2017-096332号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12