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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ヨー角推定
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/84 20060101AFI20230308BHJP
   G01B 21/22 20060101ALI20230308BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
E02F3/84 Z
G01B21/22
E02F9/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021531848
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2019063341
(87)【国際公開番号】W WO2020117563
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】16/213,095
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506196063
【氏名又は名称】キャタピラー トリンブル コントロール テクノロジーズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,フランシスコ アール.
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-539478(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/047181(JP,A1)
【文献】特開昭63-103130(JP,A)
【文献】米国特許第09988787(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0230367(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0059554(US,A1)
【文献】特開2001-159518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/00- 3/85
E02F 9/00- 9/28
G01B 21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
c-フレームによってドーザに連結されたドーザブレードのヨー角を推定する方法であって、前記ドーザブレードは、前記c-フレームに対する前記ドーザブレードの前記ヨー角を変化させるために回転可能であり、前記方法が、
前記ドーザブレードの推定ピッチ角および推定ロール角を受信することと、
前記c-フレームの推定ピッチ角および推定ロール角を受信することと、
前記c-フレームを移動し、前記ドーザブレードに連結された慣性計測装置(IMU)および前記c-フレームに連結されたIMUを同時に回転させることであって、前記ドーザブレードに連結された前記IMUの測定軸および前記c-フレームに連結された前記IMUの測定軸はほぼ整列して配置されている、回転させることと、
前記ドーザブレードに連結された前記IMUのジャイロ信号を受信することであって、前記ドーザブレードに連結された前記IMUの、少なくとも一部の前記ジャイロ信号は前記c-フレームが移動し、前記ドーザブレードの前記ヨー角が実質的に静止している間に取得された信号を含む、受信することと、
前記c-フレームに連結された前記IMUのジャイロ信号を受信することであって、前記c-フレームに連結された前記IMUの、少なくとも一部の前記ジャイロ信号は、前記c-フレームが移動する間に取得された信号を含む、受信することと、
前記ドーザブレードに連結された前記IMUの前記ジャイロ信号ならびに前記ドーザブレードの前記推定ピッチ角および前記推定ロール角に基づき、補正ドーザブレードジャイロ信号を生成することと、
前記c-フレームに連結された前記IMUの前記ジャイロ信号ならびに前記c-フレームの前記推定ピッチ角および前記推定ロール角に基づき、補正c-フレームジャイロ信号を生成することと、
前記補正ドーザブレードジャイロ信号前記補正c-フレームジャイロ信号との差異に基づき、前記c-フレームに対する前記ドーザブレードの前記ヨー角を推定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ドーザブレードの前記推定ピッチ角および前記推定ロール角が、前記ドーザブレードに連結された前記IMUを用いて推定され、前記c-フレームの前記推定ピッチ角および前記推定ロール角が、前記c-フレームに連結された前記IMUを用いて推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドーザブレードの前記推定ピッチ角および前記推定ロール角、または前記c-フレームの前記推定ピッチ角および前記推定ロール角のうちの少なくとも1つが、IMUからの信号を用いることなく推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記c-フレームに対する前記ドーザブレードの前記ヨー角が、オイラー角を用いて推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ドーザブレードを回転させ、前記ドーザブレードの前記ヨー角を変えることと、
前記ドーザブレードが回転している間、前記ドーザブレードに連結された前記IMUのジャイロ信号を受信することと、
前記ドーザブレードが回転している間に受信された前記ジャイロ信号に基づき、前記c-フレームに対する前記ドーザブレードの前記ヨー角を推定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドーザブレードに連結された前記IMUの前記ジャイロ信号および前記c-フレームに連結された前記IMUの前記ジャイロ信号が、デカルト座標系において前記ドーザブレードの角速度および前記c-フレームの角速度に関する情報をそれぞれ提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ドーザブレードに連結された前記IMUの前記測定軸および前記c-フレームに連結された前記IMUの前記測定軸がそれぞれ、ピッチ角に関連する軸およびロール角に関連する軸を含み、前記ドーザブレードに連結された前記IMUの前記ジャイロ信号および前記c-フレームに連結された前記IMUの前記ジャイロ信号が、前記ピッチ角に関連する角速度および前記ロール角に関連する角速度に関する情報を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーザブレードに連結された前記IMUの前記測定軸および前記c-フレームに連結された前記IMUの前記測定軸がそれぞれ、ピッチ角に関連する軸、ロール角に関連する軸、およびヨー角に関連する軸を含み、前記c-フレームに対する前記ドーザブレードの前記ヨー角が、前記ヨー角に関連するジャイロ信号を用いることなく、前記ピッチ角に関連するジャイロ信号および前記ロール角に関連するジャイロ信号を用いて推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
機械に連結された器具のヨー角を推定するシステムであって、前記器具は、前記機械に対する前記器具の前記ヨー角を変えるために回転可能であり、前記システムが、
前記器具に連結された第1ジャイロセンサと、
前記機械に連結された第2ジャイロセンサであって、前記機械は、前記機械の少なくとも一部の動きにより、前記第1ジャイロセンサのピッチ角および前記第2ジャイロセンサのピッチ角、または前記第1ジャイロセンサのロール角および前記第2ジャイロセンサのロール角のうちの少なくとも1つを同時に変えるように構成されている、第2ジャイロセンサと、
前記第1ジャイロセンサと前記第2ジャイロセンサに通信的に連結されたコンピュータシステムを含み、前記コンピュータシステムが、
前記第1ジャイロセンサのジャイロ信号を受信し、前記第1ジャイロセンサの少なくとも一部の前記ジャイロ信号が、前記機械の前記少なくとも一部が移動し、前記器具の前記ヨー角が実質的に静止している間に取得された信号を含むように構成され、
前記第2ジャイロセンサのジャイロ信号を受信し、前記第2ジャイロセンサの少なくとも一部の前記ジャイロ信号が、前記機械の前記少なくとも一部が移動する間に取得された信号を含むように構成され、
前記第1ジャイロセンサの前記ジャイロ信号ならびに前記器具の推定ピッチ角および推定ロール角に基づき、第1補正ジャイロ信号を生成し、
前記第2ジャイロセンサの前記ジャイロ信号ならびに前記機械の推定ピッチ角および推定ロール角に基づき、第2補正ジャイロ信号を生成し、
前記第1補正ジャイロ信号および前記第2補正ジャイロ信号に基づき、前記機械に対する前記器具の前記ヨー角を推定するように構成される、システム。
【請求項10】
前記器具がドーザブレードであり、前記機械が前記ドーザブレードに連結されたc-フレームを含むドーザであり、前記第2ジャイロセンサが前記c-フレームに連結される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1ジャイロセンサの測定軸および前記第2ジャイロセンサの測定軸が、ほぼ整列して配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1ジャイロセンサが、前記機械に連結された前記第2ジャイロセンサに対する既知の向きで、前記器具に連結される、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月7日に出願された米国非仮特許出願第16/213,095号の恩典及び優先権を主張し、その内容の全体が全ての目的のために参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
[0002]本明細書に記載の実施形態は、一般にはヨー角推定に関しており、具体的な実施形態においては、ドーザに対するドーザブレードのヨー角推定、又はドーザに連結されたc-フレームに対するドーザのヨー角推定に関するものであった。
【背景技術】
【0003】
[0003]ドーザ(ブルドーザ)、モータグレーダ、ローラなどの土工機械は、典型的には、ブレード又はバケットなどの土砂又は他の物質を移動又は拾い上げる油圧式制御器具を利用する。時に、こうした土工機械には、器具の絶対的位置若しくは相対的位置及び/又は器具の向きを決定するため、機械本体及び/又は器具に取り付けられた種々のタイプのセンサが含まれる。機械及び器具のタイプに応じて、向きにはヨー角、ピッチ角及び/又はロール角が含まれうる。こうした器具の位置及び/又は向きを決定するための、改善された方法及びシステムが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本明細書に記載される実施形態は、機械に対する器具のヨー角を推定するための、改善された方法及びシステムを提供する。ヨー角はジャイロ信号を用いて推定される。ジャイロ信号は、機械(例えば、ドーザなどの土工機械)に連結されたジャイロセンサ及び器具(例えば、ドーザブレード)に連結されたジャイロセンサによって提供されうる。ジャイロ信号は、ジャイロセンサ間での相対的な向きを推定するために用いられ、これにより、器具の相対的なヨー角を推定可能である。
【0005】
[0005]特定の実施形態による、例えば、c-フレームによってドーザに連結されたドーザブレードのヨー角を推定する方法は、該ドーザブレードが、c-フレームに対するドーザブレードのヨー角を変化させるために回転可能である場合、ドーザブレードの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信することと、c-フレームの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信することと、c-フレームを移動し、ドーザブレードに連結された慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)及びc-フレームに連結されたIMUを同時に回転させることを含む。ドーザブレードに連結されたIMUの測定軸及びc-フレームに連結されたIMUの測定軸は、ほぼ整列して配置されうる。該方法はまた、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号を受信することと、c-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号を受信することを含む。ドーザブレードに連結されたIMUの、少なくとも一部のジャイロ信号には、c-フレームが移動し、かつドーザブレードのヨー角が実質的に静止している間に取得された信号が含まれてよく、c-フレームに連結されたIMUの、少なくとも一部のジャイロ信号には、c-フレームが移動する間に取得された信号が含まれてよい。該方法はまた、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号におけるドーザブレードの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減して、補正ドーザブレードジャイロ信号を提供することと、c-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号におけるc-フレームの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減して、補正c-フレームジャイロ信号を提供することと、補正ドーザブレードジャイロ信号及び補正c-フレームジャイロ信号に基づき、c-フレームに対するドーザブレードのヨー角を推定することを含む。
【0006】
[0006]一実施形態において、ドーザブレードのピッチ角及びロール角は、ドーザブレードに連結されたIMUを用いて推定され、c-フレームのピッチ角及びロール角はc-フレームに連結されたIMUを用いて推定される。
【0007】
[0007]別の実施形態において、ドーザブレードのピッチ角及びロール角、又はc-フレームのピッチ角及びロール角のうちの少なくとも1つは、IMUからの信号を用いることなく推定される。
【0008】
[0008]別の実施形態において、c-フレームに対するドーザブレードのヨー角は、オイラー角を用いて推定される。
【0009】
[0009]別の実施形態において、該方法はまた、ドーザブレードを回転させてドーザブレードのヨー角を変化させることと、該ドーザブレードが回転している間、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号を受信することと、ドーザブレードが回転している間に受信されたジャイロ信号に基づき、c-フレームに対するドーザブレードのヨー角を推定することを含む。
【0010】
[0010]別の実施形態において、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号及びc-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号は、デカルト座標系におけるドーザブレードの角速度及びc-フレームの角速度に関する情報をそれぞれ提供する。
【0011】
[0011]別の実施形態において、ドーザブレードに連結されたIMUの測定軸及びc-フレームに連結されたIMUの測定軸はそれぞれ、ピッチ角に関連する軸及びロール角に関連する軸を含み、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号及びc-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号は、ピッチ角に関連する角速度及びロール角に関連する角速度に関する情報を提供する。
【0012】
[0012]別の実施形態において、ドーザブレードに連結されたIMUの測定軸及びc-フレームに連結されたIMUの測定軸はそれぞれ、ピッチ角に関連する軸、ロール角に関連する軸、及びヨー角に関連する軸を含み、c-フレームに対するドーザブレードのヨー角は、ヨー角に関連するジャイロ信号を用いることなく、ピッチ角に関連するジャイロ信号及びロール角に関連するジャイロ信号を用いて推定される。
【0013】
[0013]さらに別の実施形態において、ドーザブレードの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響は、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号をほぼ水準面に対応付けることにより低減される。
【0014】
[0014]別の実施形態による、機械に連結された器具のヨー角を推定するシステムには、機械に対する器具のヨー角を変化させるために器具が回転可能な場合、器具に連結された第1ジャイロセンサ、機械に連結された第2ジャイロセンサが含まれる。機械は、機械の少なくとも一部の動きが第1ジャイロセンサのピッチ角及び第2ジャイロセンサのピッチ角、又は第1ジャイロセンサのロール角及び第2ジャイロセンサのロール角のうちの少なくとも1つを同時に変化させるように構成されている。センサはまた、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサに通信的に連結されたコンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、第1ジャイロセンサのジャイロ信号及び第2ジャイロセンサのジャイロ信号を受信するように構成されている。第1ジャイロセンサの、少なくとも一部のジャイロ信号には、機械の少なくとも一部が移動し、かつ器具のヨー角が実質的に静止している間に取得された信号が含まれ、第2ジャイロセンサの、少なくとも一部のジャイロ信号には、機械の少なくとも一部が移動する間に取得された信号が含まれている。コンピュータシステムはまた、第1ジャイロセンサのジャイロ信号及び第2ジャイロセンサのジャイロ信号に基づき、機械に対する器具のヨー角を推定するように構成されている。
【0015】
[0015]一実施形態において、コンピュータシステムはまた、第1ジャイロセンサのジャイロ信号における器具の推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減して第1補正ジャイロ信号を提供し、第2ジャイロセンサのジャイロ信号における機械の推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減して第2補正ジャイロ信号を提供するように構成されている。機械に対する器具のヨー角を推定するために用いられる第1ジャイロセンサのジャイロ信号は、第1補正ジャイロ信号であってよく、機械に対する器具のヨー角を推定するために用いられる第2ジャイロセンサのジャイロ信号は、第2補正ジャイロ信号であってよい。
【0016】
[0016]別の実施形態において、器具はドーザブレードであり、機械はドーザブレードに連結されたc-フレームを含むドーザである。この場合、第2ジャイロセンサはc-フレームに連結されている。
【0017】
[0017]別の実施形態において、第1ジャイロセンサの測定軸及び第2ジャイロセンサの測定軸はほぼ整列して配置される。
【0018】
[0018]さらに別の実施形態において、第1ジャイロセンサは、機械に連結された第2ジャイロセンサに対する既知の向きで器具に連結されている。
【0019】
[0019]さらに別の実施形態による、第2ジャイロセンサに対する第1ジャイロセンサのヨー角を推定する方法は、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサが、第2ジャイロセンサのピッチ角又はロール角における変化により第1ジャイロセンサのピッチ角又はロール角における対応する変化が生じるようにセミリジッドカップリングを有する個々の本体に取り付けられ、かつ第1ジャイロセンサが第2ジャイロセンサに対する第1ジャイロセンサのヨー角を変化させるように回転可能である場合、第2ジャイロセンサを移動させ、第1ジャイロセンサのピッチ角及び第2ジャイロセンサのピッチ角又は第1ジャイロセンサのロール角及び第2ジャイロセンサのロール角のうちの少なくとも1つを同時に変化させることを含む。該方法はまた、第1ジャイロセンサの第1ジャイロ信号を受信することと、第2ジャイロセンサの第2ジャイロ信号を受信することを含む。少なくとも一部の第1ジャイロ信号は、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサが移動し、第1ジャイロセンサのヨー角が実質的に静止している間に取得された信号を含み、少なくとも一部の第2ジャイロ信号は、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサが移動する間に取得された信号を含む。該方法はまた、第1ジャイロ信号及び第2ジャイロ信号に基づき、第2ジャイロセンサに対する第1ジャイロセンサのヨー角を推定することを含む。
【0020】
[0020]一実施形態において、第1ジャイロセンサの測定軸及び第2ジャイロセンサの測定軸は、ほぼ整列して配置される。
【0021】
[0021]別の実施形態において、該方法はまた、第1ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信することと、第2ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信することと、第1ジャイロ信号における第1ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減して第1補正ジャイロ信号を提供することと、第2ジャイロ信号における第2ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減して第2補正ジャイロ信号を提供することを含む。ヨー角を推定するために用いられる第1ジャイロ信号は第1補正ジャイロ信号であってよく、ヨー角を推定するために用いられる第2ジャイロ信号は第2補正ジャイロ信号であってよい。
【0022】
[0022]別の実施形態において、第1ジャイロセンサのピッチ角及びロール角は、第1IMUを用いて推定され、第2ジャイロセンサのピッチ角及びロール角は、第2IMUを用いて推定される。
【0023】
[0023]さらに別の実施形態において、第1ジャイロセンサは器具に取り付けられ、第2ジャイロセンサは機械に取り付けられる。
【0024】
[0024]非常に多くの恩典は、従来の技術以上に本明細書に記載の実施形態を用いて達成される。いくつかの実施形態は、例えば、慣性計測装置(IMU)からのジャイロ信号を用いてドーザブレードの相対的なヨー角を推定する。あるIMUはドーザブレードに連結されてよく、それとは別のIMUはドーザのc-フレームに連結されてよい。IMUは信頼できる測定を提供し、これはドーザブレードに取り付けられている支柱上の位置センサを用いる従来システムよりもより堅牢である。また、IMUの加速度計からの信号を用いるよりもIMUのジャイロからの信号を用いることで、推定プロセスは単純化される。これはドーザブレード及びドーザの回転中心が必要とされないためである。また、IMUからの加速度を用いる従来システムと比較した場合に、ジャイロ信号は向心加速度又は接線加速度からの外乱の影響を受けにくい。実施形態に応じて、こうした特徴及び/又は恩典の1つ又は複数が存在しうる。こうした恩典及び他の恩典は、添付の図面を参照して明細書全体を通して記載される。
【0025】
[0025]添付の図面は、本明細書に記載の実施形態のさらなる理解を提供するために含まれているが、これは本明細書の一部に組み入れられ、かつこれを構成し、本発明の実施形態を例示し、詳細な説明と共に、種々の実施形態の原理を説明する役割を担っている。実施形態及びそれらが実践されうる種々の方法の根本的な理解に必須でありうる構造的な詳細をより詳細に示そうとしていない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】3次元におけるドーザブレードの回転を例示するドーザの簡略透視図である。
図2】一実施形態による、3次元におけるドーザブレードの回転を例示するドーザの一部の簡略側面透視図である。
図3】ドーザブレードのヨー角における変化を例示するドーザの一部の簡略上面図である。
図4A】一実施形態による、ドーザに連結されたセンサの測定軸及びドーザブレードに連結されたセンサの測定軸を示す簡略図である。
図4B】一実施形態による、ドーザに連結されたセンサの測定軸及びドーザブレードに連結されたセンサの測定軸を示す簡略図である。
図5】一実施形態による、c-フレームによってドーザに連結されたドーザブレードのヨー角を推定する例示的な方法のフローチャートである。
図6】一実施形態による、第2ジャイロセンサに対する第1ジャイロセンサのヨー角を推定する例示的な方法のフローチャートである。
図7】一実施形態による、簡略化されたコンピュータシステムを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0033]添付の図において、同様の構成要素及び/又は特徴は同じ数値参照符号を有してよい。さらに、同じタイプの種々の構成要素は、参照ラベルの後に文字を付けることによって、又は参照ラベルの後にダッシュを付け、その後に同様の構成要素及び/又は特徴を区別する第2の数値参照符号を付けることによって区別することができる。第1の数値参照符号のみが本明細書において用いられる場合、説明は、添字に関わらず同じ第1の数値参照符号を有する同様の構成要素及び/又は特徴のうちいずれか1つに適用可能である。
【0028】
[0034]機械に対する器具のヨー角を推定するための方法及びシステムが記載される。ヨー角はジャイロ信号を用いて推定される。ジャイロ信号は、器具及び機械に連結されているIMUなどのジャイロセンサにより提供されてよい。
【0029】
[0035]図1は、3次元におけるドーザブレードの回転を例示するドーザの簡略透視図である。ドーザ(例えば、ブルドーザ)及びドーザブレードは、これらの間にセミリジッドカップリング(semi-rigid coupling)を有する個々の本体の例として本明細書にて使用されていることが認識されなくてはならない。このカップリングは、本体が互いに対して移動可能であるが、所与の向きに固定することも可能であるという点で、セミリジッドである。ドーザ及びドーザブレードはまた、本明細書に記載された実施形態により有益とすることができる本体の例としても使用される。ただし、本明細書に記載の実施形態はドーザ及びドーザブレード例に限定されるわけではなく、それらの間にセミリジッドカップリングを有する任意の剛体を伴って利用されてよい。剛体は、一般には、本明細書の一部分において、機械(例えば、ドーザ)及び器具(例えば、ドーザブレード)と呼ばれてよい。構造又は土工機器において用いられるセミリジッドカップリングのいくつかの例には、c-フレーム、角度c-フレーム、プッシュアーム、L型プッシュアームなどが含まれる。
【0030】
[0036]図1は、ドーザブレード104を有するドーザ102を示す。ドーザブレード104は、セミリジッドカップリング(図示せず)によりドーザ102に連結される。ドーザブレード104の高さ112は、油圧シリンダ106a、106bを用いて調節可能であり、ドーザブレード104のヨー角114は油圧シリンダ108を用いて調節可能であり、ドーザブレード104の傾き(又はピッチ角)116は油圧シリンダ110を用いて調節可能である。ドーザ102は典型的には、この図には見られない追加の油圧シリンダを有する。例えば、ドーザ102はこの図においてドーザブレード104の向こう側に連結された追加の油圧シリンダを含んでよく、これは油圧シリンダ108、110に対応している。
【0031】
[0037]この例におけるドーザ102は、操作者用の囲まれた運転席を有する、トラックタイプのトラクタ(TTT)である。トラック、運転席及び本体は、ドーザブレード104及び3次元におけるドーザブレード104の動きから注意をそらさないように点線で示される。任意の数の機械がこの例で示されたドーザ102の代わりに使用されうることから、これらは点線で示される。
【0032】
[0038]この例で示された油圧シリンダにより、ドーザブレード104の位置及び向きを調節することが可能となる。従来のドーザは多種多様な構成を有し、本明細書に記載される方法及びシステムは、この例と比較して、少ない油圧シリンダ及び/又は異なる構成を有するドーザで使用されてよい。例えば、いくつかのドーザは、他の軸の周りに油圧調節可能なカップリングを提供する一方、1つ又は複数の軸の周りに手動で調節可能なカップリングを提供する。本明細書に記載される実施形態は、これらの異なる構成及び多くの他の機械と器具の組合せと共に使用されてよい。
【0033】
[0039]図2は、一実施形態による、3次元におけるドーザブレードの回転を例示するドーザの一部の簡略側面透視図である。この例は、ドーザブレード204を有するドーザ202の前部分を示す。ドーザブレード204は、セミリジッドカップリング224によってドーザ202に連結される。ドーザブレード204の高さ212は、油圧シリンダ206を用いて調節可能であり、ドーザブレード204のヨー角214は、油圧シリンダ208を用いて調節可能であり、ドーザブレード204の傾き(又はピッチ角)216は、油圧シリンダ210を用いて調節可能である。
【0034】
[0040]この例はまた、c-フレーム222を示す。c-フレームは、ドーザ202に取り付けられ、ドーザブレード204などの異なる器具を、ドーザ202に(又はc-フレーム222を介してドーザ202に)連結可能とする。この例におけるドーザブレード204は、セミリジッドカップリング224によってc-フレーム222に連結される。大半の従来の構成では、c-フレーム222はドーザ202に取り付けられ、又はドーザ202から取り外し可能であるものの、c-フレーム222は、本明細書に記載のいくつかの例においてはドーザ202の一部であると考えられてよい。
【0035】
[0041]図2を参照して理解されることが可能であるように、ドーザブレード204の高さ212は、c-フレーム222の持ち上げ又は下降により調節されうる。c-フレーム222はドーザブレード204と共に上方移動及び下方移動する。この移動は、c-フレーム222と独立して調節されうるドーザブレード204のヨー角214及び傾き216とは異なっている。
【0036】
[0042]図2はまた、ドーザブレード204に連結されたIMU218及びドーザ202(又はこの例においてはc-フレーム222)に連結されたIMU220を示す。IMUは多くの異なるタイプのセンサを含んでよいが、一方でこれらは典型的には、少なくとも1つの加速度計又はジャイロスコープを含む。いくつかのIMUはまた、磁力計を含む。加速度計は特有の力を計測するのに用いられ、ジャイロスコープは角速度を測定するのに用いられ、磁力計は磁界を測定するのに用いられる。加速度計及びジャイロスコープは、1次元、2次元又は3次元における測定を提供しうる。3次元における加速度計測定及び3次元におけるジャイロスコープ測定を提供するIMUは、並進運動の3構成要素及び回転運動の3構成要素である、空間内での本体の6つの自由度全ての測定を提供する。IMUは一般には、デカルト座標系における測定を提供する。
【0037】
[0043]本明細書の目的のために、IMUは、ジャイロスコープ又は少なくとも2次元における角速度を測定するように構成された他のセンサを含むセンサである。3次元において測定するように構成されたジャイロスコープ及び他のセンサを有するIMUもまた、使用されてよい。
【0038】
[0044]図3はドーザブレードのヨー角における変化を例示するドーザの一部の簡略上面図である。この例はドーザブレード304を有するドーザ302の前部分を示す。ドーザブレード304は、セミリジッドカップリング324によりドーザ302に連結される。ドーザブレード304のヨー角314は、油圧シリンダ308a、308bを用いて調節可能である。この例は、ドーザブレード304の高さ及び傾きを調節する他の油圧シリンダを示さない。
【0039】
[0045]この例におけるドーザ302は、c-フレーム322も含む。ドーザブレード304は、セミリジッドカップリング324によりc-フレーム322に連結される。この例において点線で示されたドーザブレードは、ドーザ302に対する(又はc-フレーム322に対する)ドーザブレード304のヨー角314における変化を例示する。この例は、ドーザブレード304又はドーザ302に連結されたIMUを個別に示していない。
【0040】
[0046]図4A図4Bは、一実施形態による、ドーザに連結されたセンサの測定軸及びドーザブレードに連結されたセンサの測定軸を示す簡略図である。前述の図を参照すると、ドーザ及びドーザブレードは測定軸の1つ又は複数の周りでそれぞれ回転可能でありうる。一般には、軸(ヨー、ピッチ及びロール)のいずれかの周りでのドーザが回転することにより、同軸の周りでドーザブレードは対応して回転する。ただしドーザブレードは、特定の構成に応じてこれらの軸の1つ又は複数の周りで独立して回転可能であってよい。例えば、ドーザブレードのヨー角は図3に示されたように変えられてよく、ドーザブレードのピッチ角は傾きを調節することにより変えられてよい。いくつかの構成においては、ドーザブレードのロール角はまた、ドーザブレードの一方の側面に対するもう一方の側面を持ち上げることにより変えられてよい。
【0041】
[0047]これらの図に示されたセンサは、IMU又は少なくともジャイロスコープ測定(例えば、角速度)を提供するように構成された他のセンサであってよい。図4Aにおいては、ドーザに連結されたセンサの測定軸は、ドーザブレードに連結されたセンサの測定軸とほぼ整列して配置される。センサの測定軸は、各軸が、ドーザブレードの特定の高さ、傾き及びヨー角にて対応する軸から2、3度の範囲内にある場合には、整列して配置されていると考えてよい。測定軸が一直線上から外れる角度は、ドーザに対するドーザブレードの向きを決定するために使用されうる。
【0042】
[0048]図4Bにおいて、ドーザに連結されたセンサの測定軸は、ドーザブレードに連結されたセンサの測定軸とは整列して配置されない。このシナリオは、ドーザブレードの向きが、例えば土砂又は破片を移動するなどいくつかのタスクを実行するために調節される場合に存在してよい。センサ間で整列して配置することに関する差異は、ドーザに対するドーザブレードの向きを決定するために使用されうる。
【0043】
[0049]代替的には、図4Bに例示されたシナリオは、ドーザに連結されたセンサの測定軸と、ドーザブレードに連結されたセンサの測定軸との間のずれを表してよい。センサ間でのずれの度数が既知である限り、ドーザに対するドーザブレードの向きを決定する場合には既知の技術により、この度数が考慮されうる。
【0044】
[0050]図5は一実施形態による、c-フレームによってドーザに連結されたドーザブレードのヨー角を推定する例示的な方法のフローチャートである。ドーザブレードは、c-フレームに対する(又はドーザに対する)ドーザブレードのヨー角を変化させるために回転可能である。この方法は、ドーザブレードの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信すること(502)と、c-フレームの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信すること(504)を含んでよい。いくつかの実施形態は、ジャイロ信号におけるドーザブレードのピッチ角及びロール角並びにc-フレームのピッチ角及びロール角の影響を考慮することにより正確さを改善させる。これは、この方法のステップ(512)及び(514)に関して、以下により完全に記載される。ピッチ角及びロール角は、ドーザブレード及びc-フレームに連結されたIMUを用いて、又は光学系を用いるなどの他の既知の技術により決定されてよい。
【0045】
[0051]この方法はまた、c-フレームを移動し、ドーザブレードに連結されたIMU及びc-フレームに連結されたIMUを同時に回転させること(506)を含む。ドーザブレードのヨー角は、動いている間は実質的に静止している(又は変化しない)。もちろん、ドーザが移動する時はいつでも、ヨー角においていくらかの振動又はジターが存在してよい。これは、ドーザブレードのヨー角を意図的に変化させることなく生じうる。いくつかの実施形態において、ドーザブレードに連結されたIMUの測定軸及びc-フレームに連結されたIMUの測定軸はほぼ整列して配置される。測定軸は、事実上は測定中に整列して配置されなくてよいが、これらはc-フレームに対するドーザブレードのいくつかの参照用の向きで整列して配置されてよい。仮に測定軸がいくつかの参照用の向きで整列して配置されない場合、参照用の向きでの整列した配置における任意の差異は、本明細書に記載の方法及びシステムを用いてドーザブレードのヨー角を決定する上で、既知の技術により考慮されうる。
【0046】
[0052]図2を参照して理解されることが可能であるように、c-フレーム222は油圧シリンダ206を用いて上昇又は下降され、ドーザブレード204に連結されたIMU218及びc-フレーム222に連結されたIMU220を同時に回転させる。このような動きは、c-フレーム222に連結されたIMU220のピッチ角及びc-フレーム222に対するドーザブレード204のヨー角に応じ、ドーザブレード204に連結されたIMUのピッチ角及び/又はロール角を変化させてきた。図4A図4Bを参照すると、c-フレームの上昇又は下降は、仮に両方のIMUの測定軸が図4Aに示された動きの時点で整列して配置される場合、ドーザブレードのピッチ角における変化を単に引き起こしてよい。c-フレームの上昇又は下降は、仮にIMUの測定軸が図4Bに示されるような動きの時点で整列して配置されない場合、ドーザブレードのピッチ角とロール角の両方において変化を引き起こしてよい。
【0047】
[0053]この方法はまた、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号を受信することを含み、ドーザブレードに連結されたIMUの少なくとも一部のジャイロ信号が、c-フレームが移動する間に取得された信号を含む(508)。ジャイロ信号は、ステップ(506)での動きによって引き起こされるドーザブレードのピッチ角及び/又はロール角における変化を捕捉する。
【0048】
[0054]この方法は、c-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号を受信することを含み、c-フレームに連結されたIMUの少なくとも一部のジャイロ信号が、c-フレームが移動する間に取得された信号を含む(510)。ジャイロ信号は、ステップ(506)での動きによって引き起こされるc-フレームのピッチ角における変化を捕捉する。
【0049】
[0055]上記ステップ(502)及び(504)においてドーザブレード及びc-フレームの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信することを含む実施形態において、この方法はまた、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号におけるドーザブレードの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減し、補正ドーザブレードジャイロ信号(512)を提供することと、c-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号におけるc-フレームの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減し、補正c-フレームジャイロ信号(514)を提供することを含んでよい。一実施形態において、推定ピッチ角及び推定ロール角の影響は、ドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号及びc-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号を、ほぼ水準面に対応付けることにより低減されてよい。この対応付けは、ドーザブレード及びc-フレームの推定ピッチ角及び推定ロール角に基づき決定される。ジャイロ信号を回転可能な水準面に対応付けることで、ドーザブレードの相対的なヨー角をより正確に推定することが可能となりうる。
【0050】
[0056]この方法はまた、補正ドーザブレードジャイロ信号及び補正c-フレームジャイロ信号に基づきc-フレームに対するドーザブレードのヨー角を推定することを含む(516)。ステップ506におけるc-フレームの動きは、c-フレームのピッチ角並びにドーザブレードのピッチ角及び/又はロール角の回転(又は角速度)を変化させる。動いている中のジャイロ信号間の任意の差異は、c-フレームに対するドーザブレードのヨー角における差異(又はc-フレームに連結されたIMUのヨー角と比較した場合に、ドーザブレードに連結されたIMUのヨー角における差異)に起因する。
【0051】
[0057]ヨー角は、大量の異なる分析的な技術のうち任意のものを用いてジャイロ信号から決定されてよい。単に例として、いくつかの実施形態において、相対的なヨー角は、
ヨー角=D-DB・・・式(1)
を計算することにより決定されてよく、式中、Dはドーザのロール角速度/ピッチ角速度の逆正接であり、DBは、以下の式:
D=atan(DRR/DPR)・・・式(2)
DB=atan(DBRR/DBPR)・・・式(3)
によって示されるようにドーザブレードのロール角速度/ピッチ角速度の逆正接であり、式中、DRRはドーザのロール角速度であり、DPRはドーザのピッチ角速度であり、DBRRはドーザブレードのロール角速度であり、DBPRはドーザブレードのピッチ角速度である。ヨー角が動いている間に変化しないため、IMUの測定軸がいくつかの参照用の向きでほぼ整列して配置されると仮定した場合、ジャイロ信号はピッチ角及びロール角のみにおいて異なっている。
【0052】
[0058]いくつかの実施形態において、IMUからのジャイロ信号は、デカルト座標系における角速度を提供し、相対的なヨー角はオイラー角を用いて推定される。
【0053】
[0059]図5のフローチャートに例示された方法は、ドーザブレードが静止している(ヨー角は変化しない)間にヨー角の推定を提供する。一実施形態において、ドーザブレードのヨー角における変化はまた追跡されてよい。c-フレームに対するドーザブレードのヨー角は、図5で例示された方法を用いて推定されてよい。ヨー角における実質的な変化は、ドーザブレード及び/又はc-フレームが回転している間にドーザブレードに連結されたIMUのジャイロ信号及びc-フレームに連結されたIMUのジャイロ信号を受信することによって追跡されてよい。c-フレームに対するドーザブレードのヨー角は、ドーザブレードが回転している間に受信されたジャイロ信号に基づき推定される。ジャイロ信号は、回転中にドーザブレード及びc-フレームの角速度を提供し、ヨー角は既知の技術により、角速度を積分することにより追跡されてよい。
【0054】
[0060]これまでに説明したように、ドーザ及びドーザブレードは、間にセミリジッドカップリングを有する個々の本体の例として本明細書にて使用される。ただし、本明細書に記載の実施形態はドーザ及びドーザブレード例に限定されるわけではなく、それらの間にセミリジッドカップリングを有する任意の剛体を伴って利用されてよい。別の例として、本明細書に記載の実施形態は、スティック(若しくは動力ショベル)に対する又は掘削機の本体に対するバケットのヨー角を決定するため、掘削機(又はバックホー)と共に使用されてよい。
【0055】
[0061]図6は一実施形態による、第2ジャイロセンサに対する第1ジャイロセンサのヨー角を推定する例示的な方法のフローチャートである。第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサは、第2ジャイロセンサのピッチ角又はロール角における変化が、第1ジャイロセンサのピッチ角又はロール角における対応する変化をもたらすように、その間にセミリジッドカップリングを有する個々の本体に取り付けられ、第1ジャイロセンサは、第2ジャイロセンサに対する第1ジャイロセンサのヨー角を変えるために回転可能である。いくつかの実施形態において、第1ジャイロセンサは器具に連結されてよく、第2ジャイロセンサは機械に連結されてよい。
【0056】
[0062]この方法は、第2ジャイロセンサを移動し、第1ジャイロセンサのピッチ角及び第2ジャイロセンサのピッチ角又は第1ジャイロセンサのロール角及び第2ジャイロセンサのロール角のうちの少なくとも1つを同時に変化させること(602)を含む。第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサの測定軸は、参照用の向きでほぼ整列して配置されてよい。
【0057】
[0063]この方法はまた、第1ジャイロセンサの第1ジャイロ信号を受信することを含み、少なくとも一部の第1ジャイロ信号が第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサが移動する間に取得された信号を含む(604)。第1ジャイロセンサのヨー角は、動いている間は静止している(又は変化しない)。
【0058】
[0064]この方法はまた、第2ジャイロセンサの第2ジャイロ信号を受信することを含み、少なくとも一部の第2ジャイロ信号が第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサが移動する間に取得された信号を含む(606)。
【0059】
[0065]この方法はまた、第1ジャイロ信号及び第2ジャイロ信号に基づき第2ジャイロセンサに対する第1ジャイロセンサのヨー角を推定すること(608)を含む。
【0060】
[0066]一実施形態において、この方法はまた、第1ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信することと、第2ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角を受信することと、第1ジャイロ信号における第1ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減し、第1補正ジャイロ信号を提供することと、第2ジャイロ信号における第2ジャイロセンサの推定ピッチ角及び推定ロール角の影響を低減し、第2補正ジャイロ信号を提供することを含む。ヨー角を推定するために用いられる第1ジャイロ信号は第1補正ジャイロ信号であってよく、ヨー角を推定するために用いられる第2ジャイロ信号は第2補正ジャイロ信号であってよい。いくつかの実施形態において、第1ジャイロセンサのピッチ角及びロール角は第1IMUを用いて推定され、第2ジャイロセンサのピッチ角及びロール角は第2IMUを用いて推定される。他の実施形態において、第1ジャイロセンサのピッチ角及びロール角又は第2ジャイロセンサのピッチ角及びロール角のうちの少なくとも1つは、IMUからの信号を用いることなく推定される。
【0061】
[0067]図7は、本開示のいくつかの実施形態による、簡略化されたコンピュータシステム700を例示する。図7に例示されるようにコンピュータシステム700は、ドーザ102、202、302又は他の機械へと組み込まれてよい。図7は、種々の実施形態により提供された方法のいくつかのステップ又は全てのステップを実行可能であるコンピュータシステム700の一実施形態の概略図を提供する。図7は、種々の構成要素の一般的な例示を提供することのみを目的としており、これらの任意のもの又は全ては、適切に利用されてよいことに留意しなければならない。図7はしたがって、どのようにして個々のシステム要素が、相対的には分離方式又はさらに一体化する方式で実装されうるかを広範に例示する。
【0062】
[0068]バス705を介して電気的に連結されうるか、又はそれ以外の場合には適切な通信状態でありうるハードウェア要素を備えるコンピュータシステム700が示される。ハードウェア要素は、限定されないが1つ若しくは複数の一般目的のプロセッサ及び/又はデジタル信号処理チップグラフィック加速プロセッサ及び/又は同等のものなどの1つ若しくは複数の特別目的のプロセッサを含む、1つ又は複数のプロセッサ710;限定されないが、マウス、キーボード、カメラ及び/若しくは同等のものを含みうる1つ又は複数の入力デバイス715;並びに限定されないが、ディスプレイデバイス、プリンタ及び/若しくは同等のものを含みうる1つ又は複数の出力デバイス720を含んでよい。
【0063】
[0069]コンピュータシステム700は、1つ又は複数の非一時的な記憶デバイス725をさらに含んでよい及び/又はこれと通信状態にあってよい。この記憶デバイス725は、限定されないが、ローカルアクセス可能な記憶装置及び/若しくはネットワークアクセス可能な記憶装置を備えうる並びに/又は限定されないが、プログラム可能であり、フラッシュアップデート可能である、ディスクドライブ、ドライブアレイ、光学記憶デバイス、例えばランダムアクセスメモリ(「RAM」)などのソリッドステート記憶デバイス、及び/又はリードオンリーメモリ(「ROM」)を含みうる。かかる記憶デバイスは、限定されないが、種々のファイルシステム、データベース構造及び/又は同等の物を含む、任意の適切なデータストアを実装するように構成されてよい。
【0064】
[0070]コンピュータシステム700はまた、限定されないが、Bluetooth(商標)デバイス、802.11デバイス、WiFiデバイス、WiMaxデバイス、携帯通信機器など及び/又は同等のものなどのモデム、ネットワークカード(無線又は有線)、赤外線通信デバイス、無線通信デバイス及び/又はチップセットを含みうる通信サブシステム730を含むことがある。通信サブシステム730は、1つ又は複数の入力及び/又は出力通信インタフェースを含み、一例を挙げるために以下に記載されたネットワークなどのネットワークを用いて、他のコンピュータシステム及び/又は本明細書に記載の任意の他のデバイス(例えば、IMU)へとデータ交換を許可することができる。所望の機能性及び/又は他の実装上の懸念に応じ、ポータブル電子デバイス又は同様のデバイスは、通信サブシステム730を介して画像及び/又は他の情報を通信してよい。他の実施形態において、例えば、第1電子デバイスといったポータブル電子デバイスは、例えば入力デバイス715としての電子デバイスといったコンピュータシステム700へと組み込まれてよい。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム700は、上記のようなRAM又はROMデバイスを含みうるワーキングメモリ735をさらに備える。
【0065】
[0071]コンピュータシステム700はまた、オペレーティングシステム740、デバイスドライバ、実行可能ライブラリ及び/又は例えば1つ又は複数のアプリケーションプログラム745などの他のコードを含む、ワーキングメモリ735内部に現在配置されているように示されているソフトウェア要素を含みうる。これは、種々の実施形態によって提供されたコンピュータプログラムを含んでよく、本明細書に記載されるように、他の実施形態により提供された方法を実装するように及び/又はシステムを構成するように設計されてよい。単純に例として、一態様においては上で述べられた方法に関して記載された1つ又は複数の手順は、コンピュータ及び/又はコンピュータ内部のプロセッサにより実行可能であるコード及び/又は命令として実装され、次に、こうしたコード及び/又は命令は、記載方法に従い1つ若しくは複数の操作を実行するように一般目的のコンピュータ又は他のデバイスを構成及び/又は適合させるために使用されうる。
【0066】
[0072]一連のこうした命令及び/又はコードは、上記の1つ又は複数の記憶デバイス725などの、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に保存されてよい。場合によっては、記憶媒体はコンピュータシステム700などのコンピュータシステム内部に組み込まれることがある。他の実施形態において、記憶媒体が、保存された命令/コードと共に一般目的のコンピュータをプログラム、構成及び/又は適合させるために使用されうる形式で、記憶媒体は例えば、コンパクトディスクなどのリムーバブル媒体といったコンピュータシステムから分離及び/又はインストールパッケージに提供されることがある。こうした命令は、コンピュータシステム700により実行可能である、実行可能コードの形態をとることがある並びに/又は、ソース及び/若しくはインストール可能なコードの形態をとることがある。このコードは、例えば任意の種々の一般に利用可能なコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティなどを用いた、コンピュータシステム700上のコンパイル時及び/又はインストール時に、次に実行可能なコードの形態をとる。
【0067】
[0073]実質的な変更が特有の要件により行われてよいことは、当業者には明らかであろう。例えば、カスタマイズされたハードウェアもまた使用されることがあり、及び/又は特定の要素が、ハードウェア若しくはアプレットなどのポータブルソフトウェアを含むソフトウェア、又はその両方で実装されることがある。さらには、ネットワーク入力デバイス/ネットワーク出力デバイスなどの他のコンピューティングデバイスへの連結が使用されてよい。
【0068】
[0074]上述のように、一態様において、いくつかの実施形態は、この技術の種々の実施形態による方法を実行する、コンピュータシステム700などのコンピュータシステムを使用してよい。一連の実施形態によれば、こうした方法のいくつかの手順又は全ての手順は、1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ710に応じ、コンピュータシステム700により実行される。これらの命令は、ワーキングメモリ735内に含有されるオペレーティングシステム740及び/又はアプリケーションプログラム745などの他のコードへと組み込まれることがある。かかる命令は、例えば、1つ又は複数の記憶デバイス725などの別のコンピュータ可読媒体からワーキングメモリ735へと読み出されてよい。単純に例として、ワーキングメモリ735内に含有された命令のシーケンスの実行により、1つ又は複数のプロセッサ710に、本明細書に記載の方法の1つ又は複数の手順を実行させることがある。追加的又は代替的には、本明細書に記載の方法の一部は、専門のハードウェアにより実行されてよい。
【0069】
[0075]本明細書において使用する場合、用語「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」は機械を特有の方式で操作させるデータを提供する上で関係する任意の媒体を指す。コンピュータシステム700を用いて実装される一実施形態において、種々のコンピュータ可読媒体は、命令/コードを実行するための1つ又は複数のプロセッサ710に提供する上で関与する場合があり、並びに/又はこうした命令/コードを記憶及び/若しくは運搬するために使用される場合がある。多くの実施時には、コンピュータ可読媒体は、物理的な記憶媒体及び/又は有形記憶媒体である。こうした媒体は、不揮発性媒体又は揮発性媒体の形態をとってよい。不揮発性媒体には例えば、1つ又は複数の記憶デバイス725などの光学ディスク及び/又は磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体には、限定されないが、ワーキングメモリ735などの動的メモリが含まれる。
【0070】
[0076]物理的なコンピュータ可読媒体及び/又は有形コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ又は任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙製テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、又はコンピュータが命令及び/若しくはコードを読出し可能である任意の他の媒体が含まれる。
【0071】
[0077]種々の形態のコンピュータ可読媒体は、実行するために、1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを1つ又は複数のプロセッサ710に運ぶ点に関与していてよい。単純に例として、命令は最初に遠隔コンピュータの磁気ディスク及び/又は光学ディスクにて運ばれうる。遠隔コンピュータは、その動的メモリへと命令をロードし、コンピュータシステム700により受信及び/又は実行されるように、伝送媒体によって、信号として命令を送信する場合がある。
【0072】
[0078]通信サブシステム730及び/又はその構成要素は一般に信号を受信し、次にバス705は、ワーキングメモリ735に信号及び/又は信号によって運ばれるデータ、命令などを運ぶ場合がある。1つ又は複数のプロセッサ710はここから命令を引き出し、かつこれを実行する。ワーキングメモリ735により受信された命令は、1つ又は複数のプロセッサ710による実行の前後のいずれかで、非一時的な記憶デバイス725に任意で記憶されてよい。
【0073】
[0079]上で述べられている方法、システム及びデバイスは例である。種々の構成は、種々の手順又は構成要素を適切に省略、置き換え又はこれを加えてよい。例えば、代替的な構成において、方法は記載のものとは異なる順序で実行されてよい。並びに/又は種々の段階が追加、省略及び/若しくは組み合わせられてよい。また、ある特定の構成に関して記載された特徴は、種々の他の構成においては組み合わせられてよい。構成の異なる態様及び要素は、同様の方式で組み合わせられてよい。また、技術は進化し、それゆえに多くの要素は例であり、これは本開示の範囲又は特許請求の範囲を制限することはない。
【0074】
[0080]実施例を含む例示的な構成の完全な理解を提供するため、具体的な詳細部分がこの説明では与えられる。ただし、こうした具体的な詳細部分なしに構成は実践されてよい。例えば、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造及び技術は、構成を不明確なものにするのを避けるため、不必要な詳細部分なしに示されている。この説明は、例構成のみを提供し、請求項の範囲、その適用性の範囲又はその構成の範囲を限定しない。むしろ、構成に関する前述の説明は、当業者に記載の技術を実装するための有効な説明を提供する。種々の変更は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に関して行われてよい。
【0075】
[0081]また、構成は概略的なフローチャート又はブロック図として示されているプロセスとして記載されてよい。それぞれが一連のプロセスとしてオペレーションを記載してよいが、オペレーションの多くは並行して又は同時に実行されうる。加えて、オペレーションの順番は再構成されてよい。プロセスは図内に含まれていない追加のステップを有してよい。さらには、この方法の例はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語又はこれらの任意の組合せにより実装されてよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア又はマイクロコードに実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコード又はコードセグメントは、記憶媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されてよい。プロセッサは記載のタスクを実行してよい。
【0076】
[0082]複数の例構成がこれまで記載されているが、種々の修正、代替的な構成及び同等物は本開示の趣旨から逸脱しない限り使用されてよい。例えば、上記要素はより大きなシステムの構成要素であってよく、この場合、他のルールは技術の適用よりも優先されてよく、それ以外の場合にはこれを修正してよい。また、多数のステップは上記要素が考慮される前、これを考慮している間、又はこれを考慮した後に着手されてよい。したがって、上記説明は特許請求の範囲を拘束するものではない。
【0077】
[0083]本明細書において使用する場合、及び添付の特許請求の範囲では、単数形である「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確にその他の場合を記述しない限りは複数のものを含む。したがって例えば、「ユーザ」への言及には、こうしたユーザの複数形が含まれ、「プロセッサ」への言及には、1つ又は複数のプロセッサ及び当業者には既知であるこれらの同等物対する参照が含まれるなどである。
【0078】
[0084]また、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(contains)」、「含む(containing)」、「含む(include)」、「含む(including)」、及び「含む(includes)」という用語は、本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用される場合、記載された特徴、整数、構成要素、又はステップの存在を特定することを意図しているが、1つ又は複数の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、行為、又はグループの存在又は追加を排除するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7