(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/00 20060101AFI20230308BHJP
F16K 24/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
F02M37/00 301F
F02M37/00 J
F16K24/00 E
(21)【出願番号】P 2021554310
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2020038677
(87)【国際公開番号】W WO2021085122
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2019197341
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 栄允
(72)【発明者】
【氏名】朴 智勳
(72)【発明者】
【氏名】三原 健太
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-52564(JP,A)
【文献】特開2012-47169(JP,A)
【文献】特開2006-258100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が設けられ、前記仕切壁に前記弁室及び前記通気室を連通する弁孔が形成されており、前記弁孔の、前記通気室側の周縁に弁座を設けた、ハウジングと、
前記弁室内に昇降可能に収容され、前記弁孔を開閉するフロート弁と、
前記通気室内に昇降可能に収容される圧力調整弁とを有しており、
前記圧力調整弁は、前記通気室の弁座側に配置されて、同弁座に接離する第1部材と、
この第1部材に組付けられる第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材の間に画成される収容空間と、
前記収容空間に昇降可能に収容される補助弁体とを有しており、
前記第1部材は、前記補助弁体を支持する補助弁体支持部と、該補助弁体支持部に前記補助弁体が当接した状態で、前記弁孔を介して、前記弁室と前記収容空間とを連通させる第1通孔とを有しており、
前記第2部材には、前記通気室と前記収容空間とを連通させる第2通孔が形成されており、
前記第1部材又は前記第2部材の少なくとも一方は金属材料で形成されて、その自重のみによって、前記圧力調整弁が弁座方向に付勢されており、常時は前記第1部材が前記弁座に当接しており、
前記第2部材の、前記弁座に近接する底面側には、周方向に沿って凹部が形成されており、
前記凹部に整合する位置には、前記第2部材を貫通する複数の貫通孔が、前記凹部に連通して形成されていることを特徴とする弁装置。
【請求項4】
前記第1部材が樹脂材料で形成され、前記第2部材が金属材料で形成されており、
前記第1部材には、前記底壁の外周から軸方向に延びる、撓み可能な複数の弾性爪が設けられており、これらの複数の弾性爪が前記第2部材に係合するように構成されている請求項2又は3記載の弁装置。
【請求項5】
仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が設けられ、前記仕切壁に前記弁室及び前記通気室を連通する弁孔が形成されており、前記弁孔の、前記通気室側の周縁に弁座を設けた、ハウジングと、
前記弁室内に昇降可能に収容され、前記弁孔を開閉するフロート弁と、
前記通気室内に昇降可能に収容される圧力調整弁とを有しており、
前記圧力調整弁は、前記通気室の弁座側に配置されて、同弁座に接離する第1部材と、
この第1部材に組付けられる第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材の間に画成される収容空間と、
前記収容空間に昇降可能に収容される補助弁体とを有しており、
前記第1部材は、前記補助弁体を支持する補助弁体支持部と、該補助弁体支持部に前記補助弁体が当接した状態で、前記弁孔を介して、前記弁室と前記収容空間とを連通させる第1通孔とを有しており、
前記第2部材には、前記通気室と前記収容空間とを連通させる第2通孔が形成されており、
前記第1部材又は前記第2部材の少なくとも一方は金属材料で形成されて、その自重のみによって、前記圧力調整弁が弁座方向に付勢されており、常時は前記第1部材が前記弁座に当接しており、
前記第1部材が樹脂材料で形成され、前記第2部材が金属材料で形成されており、
前記第1部材
は、底壁を有しており、該底壁の外周から軸方向に延びる、撓み可能な複数の弾性爪が設けられており、これらの複数の弾性爪が前記第2部材に係合するように構成されており、
前記
第2部材には係合孔が形成されており、
前記弾性爪は、前記係合孔に挿入されて、その表側周縁に係合して、前記第1部材に前記第2部材を組付けるように構成されていることを特徴とする弁装置。
【請求項6】
前記係合孔の内部には、前記弾性爪が挿入された状態で、空隙が残されており、
この空隙が、前記第2通孔が前記補助弁体で閉塞されたときに、前記通気室と前記収容空間とを連通させる、第3通孔をなしている請求項5記載の弁装置。
【請求項7】
仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が設けられ、前記仕切壁に前記弁室及び前記通気室を連通する弁孔が形成されており、前記弁孔の、前記通気室側の周縁に弁座を設けた、ハウジングと、
前記弁室内に昇降可能に収容され、前記弁孔を開閉するフロート弁と、
前記通気室内に昇降可能に収容される圧力調整弁とを有しており、
前記圧力調整弁は、前記通気室の弁座側に配置されて、同弁座に接離する第1部材と、
この第1部材に組付けられる第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材の間に画成される収容空間と、
前記収容空間に昇降可能に収容される補助弁体とを有しており、
前記第1部材は、前記補助弁体を支持する補助弁体支持部と、該補助弁体支持部に前記補助弁体が当接した状態で、前記弁孔を介して、前記弁室と前記収容空間とを連通させる第1通孔とを有しており、
前記第2部材には、前記通気室と前記収容空間とを連通させる第2通孔が形成されており、
前記第1部材又は前記第2部材の少なくとも一方は金属材料で形成されて、その自重のみによって、前記圧力調整弁が弁座方向に付勢されており、常時は前記第1部材が前記弁座に当接しており、
前記ハウジングは、前記仕切壁の上面側から突設した筒部の上方開口を閉塞する上部キャップを有しており、
前記補助弁体が前記第2通孔を閉塞した状態で、前記圧力調整弁が上昇したときに、前記上部キャップの裏面側に、前記補助弁体を押圧して前記第2通孔を開口させる、押圧突部が設けられているか、又は、前記補助弁体に、前記上部キャップの裏面側に当接して前記第2通孔を開口させる、押圧突部が設けられていることを特徴とする弁装置。
【請求項8】
前記上部キャップ及び/又は前記第2部材には、前記第2部材に向けて突出するか又は前記上部キャップに向けて突出し、前記圧力調整弁の上昇時に、前記上部キャップと前記第2部材との貼り付きを防止する、貼り付き防止突部が設けられている請求項7記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の燃料タンクに取付けられ、燃料タンク内の圧力を調整できる、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料タンクには、燃料タンク内の圧力が所定値以上に上昇したときに、燃料蒸気を外部に流出させて燃料タンクの破裂等を防ぎ、燃料タンク内の圧力が外気圧よりも所定値以下に低下したときに、燃料タンク外から外気を流入させて、燃料タンクの潰れ等を防止する圧力調整弁が設けられている。
【0003】
上記のような圧力調整弁を設けた弁装置として、例えば、下記特許文献1には、フロート弁を収容すると共に、上壁に該フロート弁によって開閉される第1通孔が形成され、上壁の第1通孔外周に立設された円筒状の筒部を有する本体ケースと、この本体ケースの上部に接合された継手部材と、筒部内に収容されて、第1通孔に上方から接離可能に配置され、上部に配置されたスプリングにより第1通孔を塞ぐ方向に付勢された圧力調整弁とを備えた、弁装置が記載されている。圧力調整弁は、第2通孔とを有する外ケースと、第3通孔及び第4通孔が形成された内ケースと、内ケース内に上下スライド可能に収容された補助弁体とを有している。
【0004】
そして、燃料タンク内の圧力が上昇すると、第2通孔を通って、圧力調整弁内に燃料蒸気が流入し、補助弁体を上昇させて第3通孔を閉塞する。更に燃料タンク内の圧力が上昇すると、スプリングの付勢力に抗して、圧力調整弁全体が押し上げられて、第1通孔が開くので、燃料蒸気がタンク外に排出されるようになっている。
【0005】
また、下記特許文献2には、バルブシートを形成した上壁、及び、チャンバを設けたバルブボデーと、チャンバ内に配置されるフロートと、金属材料で形成された略ハット状をなし、常時は自重によってバルブシートに対して着座するバルブ部材と、この略ハット状のバルブ部材内に収容配置された球状のバルブ部材とを有する、オーバーフィル制限装置が記載されている。また、上記バルブシートの内側には、複数のスリットが形成されていると共に(特許文献2の
図3参照)、チャンバに連通する貫通孔が形成されている(特許文献2の
図2参照)。更に、略ハット状をなしたバルブ部材は、中央部上方に通路を有すると共に、中央部下方が開口しており、この下方開口に、球状のバルブ部材が収容されている。そして、この球状バルブ部材は、中央部上方の通路内周縁に接離すると共に、バルブシート内側の貫通孔の上方開口周縁に当接するようになっている。
【0006】
そして、燃料タンク内の圧力が所定値以下となると、蒸気用アウトレットポートから流入した空気が、球状のバルブ部材を押圧して、略ハット状のバルブ部材の中央部上方を開口させて、球状のバルブ部材が貫通孔の上方開口周縁に当接するが、同空気は、バルブシート内側の複数のスリットを通じて、燃料タンク内に導入されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開WO2012/049999A1
【文献】特開2006-266265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の弁装置では、スプリングによって、圧力調整弁が第1通孔を閉塞する方向に付勢されているので、燃料タンク内の圧力上昇時には、スプリングの付勢力の分だけ、圧力調整弁が上昇しにくくなる。その結果、燃料タンク外へ燃料蒸気等の流体が排出されにくくなり、燃料タンク内の圧力上昇時における、流体の流量を確保しにくい。
【0009】
一方、上記特許文献2のオーバーフィル制限装置では、燃料タンク内の圧力が所定値以下となると、略ハット状のバルブ部材の下方開口に収容された、球状のバルブ部材が貫通孔の上方開口周縁に直接当接し、空気は、バルブシート内側の複数のスリットを通じて、燃料タンク内に導入される。そのため、空気の導入路が、複数のスリットでのみ確保されることになるため、燃料タンク内の圧力低下時における、流体の流量を確保しにくい。
【0010】
したがって、本発明の目的は、燃料タンク内の圧力上昇時及び圧力低下時のいずれにおいても、燃料蒸気や空気等の流体の流量を確保しやすい、弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る弁装置は、仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が設けられ、前記仕切壁に前記弁室及び前記通気室を連通する弁孔が形成されており、前記弁孔の、前記通気室側の周縁に弁座を設けた、ハウジングと、前記弁室内に昇降可能に収容され、前記弁孔を開閉するフロート弁と、前記通気室内に昇降可能に収容される圧力調整弁とを有しており、前記圧力調整弁は、前記通気室の弁座側に配置されて、同弁座に接離する第1部材と、この第1部材に組付けられる第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材の間に画成される収容空間と、前記収容空間に昇降可能に収容される補助弁体とを有しており、前記第1部材は、前記補助弁体を支持する補助弁体支持部と、該補助弁体支持部に前記補助弁体が当接した状態で、前記弁孔を介して、前記弁室と前記収容空間とを連通させる第1通孔とを有しており、前記第2部材には、前記通気室と前記収容空間とを連通させる第2通孔が形成されており、前記第1部材又は前記第2部材の少なくとも一方は、金属材料で形成されており、その自重のみによって、前記圧力調整弁が弁座方向に付勢されて、常時は前記第1部材が前記弁座に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、燃料タンク内の圧力が上昇して所定値を超えると、燃料蒸気が、弁室、弁孔、第1通孔を通過して、補助弁体を押し上げて、同補助弁体が第2通孔に当接して閉じると共に、圧力調整弁全体が押し上げられて、第1部材が弁座から離反して開き、燃料蒸気が、弁室、弁座、通気室を通過して、燃料タンク外に排出される。このとき、スプリングのような付勢部材が介さず、金属材料で形成された第1部材又は第2部材の自重のみで弁座方向に付勢されて第1部材が弁座に当接しているので、燃料タンク内の圧力上昇時に、圧力調整弁が上昇しやすく流体の流量を確保しやすい。
【0013】
一方、燃料タンク内の圧力が下降すると、圧力調整弁が自重によって弁座方向に付勢されて弁座に当接すると共に、補助弁体が下降して第2通孔を開き、その状態で燃料タンク内の圧力が外気圧よりも所定値以上低下すると、燃料タンク外から流入する空気が、通気室、第2通孔、収容空間、第1通孔、弁座、弁室を通過して、燃料タンク内に導入される。このとき、補助弁体は、補助弁体支持部に当接して支持されて、弁座に直接には当接しない構成となっており、補助弁体支持部に補助弁体が当接した状態で、弁孔を介して、弁室と収容空間とが連通するように構成されているので、弁孔が完全には塞がれずに、その開口面積を維持することができ、バルブ部材がバルブシートに直接的に当接して閉塞する構造に比べて、燃料タンク内の圧力下降時における流体の流量を確保しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る弁装置の、一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】同弁装置の圧力調整弁を構成する第1部材の斜視図である。
【
図3】同弁装置の圧力調整弁を構成する第1部材の平面図である。
【
図4】同弁装置の圧力調整弁を構成する第2部材の、
図1とは異なる方向から見た場合の斜視図である。
【
図5】同弁装置の圧力調整弁において、第1部材の補助弁体支持部に、補助弁体を支持させた状態の斜視図である。
【
図6】同弁装置を構成する圧力調整弁の斜視図である。
【
図9】同弁装置において、圧力調整弁が下降して弁座を閉じた、通常状態の断面図である。
【
図10】同弁装置において、補助弁体が上昇して第2通孔を閉じた状態の、拡大断面図である。
【
図11】同弁装置において、
図10の状態から更にタンク内圧力が上昇して、圧力調整弁全体が上昇して弁座を開いた状態の、拡大断面図である。
【
図12】同弁装置において、タンク内圧力が外気圧よりも所定値以上低下した状態の、拡大断面図である。
【
図13】本発明に係る弁装置の、他の実施形態を示しており、圧力調整弁が下降して弁座を閉じた、通常状態の断面図である。
【
図14】同弁装置の圧力調整弁の分解斜視図である。
【
図15】同弁装置の圧力調整弁において、第1部材の補助弁体支持部に、補助弁体を支持させた状態の斜視図である。
【
図16】同弁装置において、補助弁体が上昇して第2通孔を閉じた状態の、拡大断面図である。
【
図17】同弁装置において、
図16の状態から更にタンク内圧力が上昇して、圧力調整弁全体が上昇して弁座を開いた状態の、拡大断面図である。
【
図18】同弁装置において、タンク内圧力が外気圧よりも所定値以上低下した状態の、拡大断面図である。
【
図19】本発明に係る弁装置の、更に他の実施形態を示しており、同弁装置の圧力調整弁の分解斜視図である。
【
図21】同弁装置を構成する上部キャップの斜視図である。
【
図22】同弁装置において、圧力調整弁が下降して弁座を閉じた、通常状態の断面図である。
【
図23】同弁装置において、補助弁体が上昇して第2通孔を閉じた状態の、拡大断面図である。
【
図24】同弁装置において、
図23の状態から更にタンク内圧力が上昇して、圧力調整弁全体が上昇して弁座を開いた状態の、拡大断面図である。
【
図25】本発明に係る弁装置の、更に他の実施形態を示しており、同弁装置の圧力調整弁の分解斜視図である。
【
図27】同弁装置において、圧力調整弁が下降して弁座を閉じた、通常状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る弁装置の、一実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「燃料」とは、液体の燃料(燃料の飛沫も含む)を意味し、「燃料蒸気」とは、蒸発した燃料を意味するものとする。また、この実施形態における弁装置は、自動車等の車両の燃料タンクに取付けられる、燃料タンク用の弁装置となっている。
【0016】
図1に示すように、この実施形態における弁装置10は、略筒状をなし、上方に仕切壁22を設けたハウジング本体20と、該ハウジング本体20の下方に装着される下部キャップ30と、前記ハウジング本体20の上方に装着される上部キャップ40とを有する、ハウジング15を有している。
【0017】
図1に示すように、前記ハウジング本体20は、略円筒状をなした周壁21を有しており、その上方に略円形板状をなした仕切壁22が配置されている。前記周壁21には、複数のハウジング通孔21aが形成されている。このハウジング本体20の下方開口部に、下部キャップ30を装着することで、
図9に示すように、前記仕切壁22を介して、ハウジング下方に燃料タンク1内に連通する弁室R1が形成される。
【0018】
上記弁室R1内には、
図9に示すように、フロート弁35が昇降可能に収容配置されるようになっている。このフロート弁35は、その上部中央から弁頭36が突設されており、この弁頭36の外周にシール部36aが装着されている。そして、このシール部36aが、ハウジング本体20に形成される後述の筒状部25に接離する。また、フロート弁35と下部キャップ30との間には、フロート弁35に上向きの付勢力を付与する、スプリング37が配置されている。
【0019】
一方、
図9に示すように、ハウジング15の上方には、カバー部材17が取付けられるようになっている。このカバー部材17は、上部が閉塞し、下方周縁部がフランジ状に広がってなる、略ハット状をなしている。このカバー部材17の所定箇所には、通気口18aが形成されており、この通気口18aの外周縁部から、略円筒状をなした燃料蒸気配管18が外方に向けて延設されている。この燃料蒸気配管18には、図示しない燃料タンクの外部に配置されるキャニスター等に連通する、図示しないチューブが接続される。そして、カバー部材17を、溶着や係止手段等でハウジング本体20の上方に取付けることで、仕切壁22を介して、その上方に燃料タンク外に連通する通気室R2が形成されるようになっている(
図9参照)。
【0020】
ハウジング本体20の説明に戻ると、前記仕切壁22の所定箇所には、弁室R1及び通気室R2を互いに連通させる弁孔23が形成されている。この実施形態の弁孔23は、円形状をなしており、仕切壁22の板厚方向に貫通して設けられている。この実施形態における弁孔23は、円形板状をなした仕切壁22の径方向中心に対して、偏位した箇所に形成されている。
【0021】
また、
図9に示すように、弁孔23の、通気室R2側の周縁には、弁座24が設けられている。この実施形態では、
図8や
図10に示すように、弁孔23の、仕切壁22の上面側周縁から、環状突起状をなした弁座24が所定高さで突出している。この弁座24に、後述する圧力調整弁50が接離して、弁孔23の上方開口が開閉するようになっている。また、弁座24の外周には、所定深さの環状溝24aが形成されている。
【0022】
更に
図8~10に示すように、弁孔23の、仕切壁22の下面側(弁室R1側)の周縁からは、略円筒状をなした筒状部25が所定高さで突出している。この筒状部25は、前記弁座24よりも高く突出している。なお、この筒状部25に、前記フロート弁35の弁頭36に外装されたシール部36aが接離して、弁孔23の下方開口が開閉するようになっている。
【0023】
また、
図1に示すように、仕切壁22の上面側には、同心状をなした略円筒状の筒部27が、弁座24に対して同心状に突設されている。この筒部27の上端部には、係止孔27aが複数形成(ここでは4個)されていると共に、これらの間に複数の位置決め溝27bが形成されている(ここでは4個)。更に、複数の位置決め溝27bのうち、径方向に対向する一対の位置決め溝27b,27bの底部には、位置決め溝27bよりも幅狭の切欠き27cがそれぞれ形成されている。また、筒部27の内周には、軸方向に延びるガイド突部28が、複数形成されている。
【0024】
上記筒部27の上方開口に、上部キャップ40が装着されるようになっている。この上部キャップ40は、複数のキャップ通孔41を有する略円盤状をなしており、その外周に、複数の係止爪43及び複数の位置決め突部44が突設されている。また、
図8や
図10に示すように、上部キャップ40の下面(仕切壁22に向く面)側には、外周縁部よりもやや内側には、環状突部45が突設されている。そして、複数の位置決め突部44を複数の位置決め溝27bにそれぞれ挿入配置すると共に、複数の係止爪43を複数の係止孔27aに係止させることで、
図7に示すように、筒部27に対して上部キャップ40が回り止めされつつ抜け止め保持される。
【0025】
また、筒部27の上方開口に上部キャップ40が装着され、それらの間に、圧力調整弁50が昇降可能に配置されている。なお、筒部27と上部キャップ40との間の部分も、通気室R2の一部をなしており、
図10に示すように、カバー部材17に設けた燃料蒸気配管18の通気口18aに対して、上部キャップ40の複数のキャップ通孔41や、一対の切欠き27c,27cを介して連通している。また、圧力調整弁50は、筒部27内周に設けた複数のガイド突部28により昇降ガイドがなされるようになっている。
【0026】
次に、圧力調整弁50について説明する。
【0027】
図1や
図8~10に示すように、この圧力調整弁50は、通気室R2の弁座24側に配置されて、同弁座24に接離する第1部材60と、この第1部材60に組付けられる第2部材70と、第1部材60及び第2部材70の間に画成される収容空間R3と、収容空間R3に昇降可能に収容される補助弁体80とを有している。
【0028】
前記補助弁体80は、この実施形態の場合、球状をなしている。
図3に示すように、球状をなした補助弁体80の外径は、補助弁体支持部62を構成する複数のリブ64の最大外径よりもやや小さい寸法で形成されている。なお、補助弁体としては、カップ状をなしていたり(これについては後述の実施形態で説明する)、板状をなしていたりしてもよく、特に限定はされない。
【0029】
図2や
図3、
図10等に示すように、第1部材60は、補助弁体80を支持する補助弁体支持部62と、補助弁体支持部62に補助弁体80が当接した状態で、弁孔23を介して、弁室R1と収容空間R3とを連通させる第1通孔63とを有している。
【0030】
また、第1部材60は、略円形板状をなした底壁61を有している。なお、底壁61の、弁座24側に向く面を「下面」とし、底壁61の、弁座24とは反対側の面を「上面」とする。
図3を併せて参照すると、この底壁61の径方向中央部には、複数の第1通孔63(ここでは4個)が設けられている。
図10に示すように、各第1通孔63は、底壁61を貫通して形成されている。更に
図3の拡大図に示すように、各第1通孔63は、略五角形状をなすと共に、所定の隣接する側辺63a,63aが直交する形状を呈しており、側辺63a,63a間の交差部63bが、底壁61の径方向中心Cに向けて配置されている。また、
図3に示すように、隣接する第1通孔63,63の、対向する側辺63a,63aどうしが平行となるように配置されている。
【0031】
なお、各第1通孔63は、補助弁体支持部62によって補助弁体80が支持された状態で、補助弁体80の外径よりも大きい寸法で形成されており(
図3の拡大図参照)、同状態で燃料蒸気や空気等の流体が流通可能となっている。また、第1通孔の形状は、丸孔や、三角孔、四角孔、楕円形孔等であってもよく、第1通孔の個数も、2個や3個等であってもよく、特に限定はされない。
【0032】
また、補助弁体支持部62は、底壁61に、複数の第1通孔63を介して形成されている。この実施形態では、底壁61の径方向中央部に、上記形状をなした4個の第1通孔63が上記のように配置されていることにより、
図3に示すように、底壁61を平面方向から見たときに(底壁61の上面の面方向に直交する方向から見たとき)、略十字状をなした4個のリブ64が形成されており、これらの4個のリブ64によって、補助弁体支持部62が構成されている。
【0033】
また、各リブ64は、底壁61の上面側から突出している。
図2に示すように、各リブ64の、補助弁体80の支持面は、底壁61の径方向外径部分に、底壁61の上面から最も高く突出した頂部64aが設けられ、この頂部64aから底壁61の径方向中心Cに向けて、次第に高さが低くなる傾斜した形状をなしている。更に
図2に示すように、4個のリブ64の最も低い部分は互いに連結されており、この連結された底部64bは、底壁61の径方向中心Cに位置すると共に、丸みを帯びた曲面状をなしている。いわば、この実施形態における補助弁体支持部62は、すり鉢状に傾斜した十字リブ状をなす複数のリブ64から構成されている。この実施形態では、これらの複数のリブ64によって、
図5に示すように、球状の補助弁体80が、底壁61の径方向中心Cに位置するように(センタリング)、安定して保持されるようになっている。
【0034】
なお、補助弁体支持部の形状や構造は、上記態様に限定されるものではなく、上述した複数の第1通孔の形状や個数に応じて適宜変更することができる。例えば、底壁の径方向中心から放射状に延びる複数のリブを設けたり、縦横又は斜めに交差してなる格子状リブを設けたりしてもよく、特に限定はされない。
【0035】
また、底壁61の外周からは、ハウジング15の軸方向に延びる、撓み可能な弾性爪65が複数設けられている。この実施形態では、底壁61の外周縁部であって、周方向に均等な間隔をあけて複数の弾性爪65(ここでは4個)が立設しており、各弾性爪65は所定長さで軸方向に延びている。また、各弾性爪65の延出方向の先端部であって、その内面側からは、係合突部66が突設されている。なお、係合突部66の、仕切壁中心側に向く面には、弾性爪65の延出方向先端から延出方向基端側に向けて、仕切壁内径方向への突出量が次第に増大するように傾斜する、テーパ面66aが形成されている。
【0036】
更に、底壁61の外周縁部であって、複数の弾性爪65の間からは、複数の支持壁67が立設している。また、底壁61の周方向に隣接する弾性爪65と支持壁67との間には、軸方向に延びるスリット65aがそれぞれ形成されている。更に
図2や
図3に示すように、底壁61の外周縁部であって、複数の弾性爪65に整合する位置、及び、複数の支持壁67に整合する位置には、底壁61を貫通する貫通孔68,69がそれぞれ形成されている。
【0037】
上記構造をなした第1部材60に組付けられる第2部材70は、略円盤状をなした本体71を有している。この本体71は、第1部材60の複数の弾性爪65や複数の支持壁67の内側に配置可能な外径で形成されている。そして、
図6に示すように、本体71の上面側の外周縁部に、第1部材60の複数の弾性爪65の係合突部66が係合することで、第1部材60に対して第2部材70が組付けられるようになっている。なお、この組付け状態では、
図10等に示すように、第1部材60の底壁61の上面に、第2部材70の本体71の下面が当接しており、第1部材60と第2部材70とが離反しないように一体化するようになっている。また、本体71の径方向中央部には、所定高さで隆起した隆起部72が形成されている。
【0038】
更に
図4や
図10等に示すように、本体71の径方向中央には、下方(本体71の、第1部材60との対向面側)が開口し、上方に向けて肉抜き形成された、円形凹状をなした収容凹部73が、本体71の厚さ方向に沿って形成されている。なお、この収容凹部73は、補助弁体支持部62を構成する複数のリブ64を受入れ可能となっている(
図10参照)。そして、この収容凹部73の下方開口部を、第1部材60の底壁61が覆うようにして、第1部材60と第2部材70とが組付けられることで、
図9や
図10に示すように、第1部材60と第2部材70との間に、補助弁体80を昇降可能に収容する収容空間R3が画成されるようになっている。
【0039】
更に、隆起部72の径方向中央には、収容凹部73に連通する、円形状の第2通孔74が形成されている。この第2通孔74は、通気室R2と収容空間R3とを連通させるものである。
【0040】
また、
図4に示すように、収容凹部73の内周には、軸方向に延びる支持突部73aが、複数形成されている(ここでは4個)。これらの支持突部73aは、収容空間R3内において、補助弁体80の昇降動作をガイドすると共に、第2通孔74の孔中心に、球状の補助弁体80の中心を整合させやすくする(センタリング)。
【0041】
更に
図4に示すように、本体71の下面側(第1部材60との対向面側)であって、その外周縁部よりもやや内径側には、環状をなした凹部75が形成されている。また、
図1や
図4に示すように、本体71の、隆起部72の外周であって、前記凹部75に整合する位置には、周方向に均等な間隔をあけて、本体71の厚さ方向を貫通する、複数の貫通孔76が形成されている。
図10に示すように、各貫通孔76の下方開口部は、前記凹部75に連通している。なお、複数の貫通孔76は、燃料タンク内の圧力が上昇した状態から圧力が低下して、圧力調整弁50が下降しようとするときに、燃料蒸気等の流体を、凹部75を通じて通気室R2の上方へと排出させやすくして、圧力調整弁50を下降させやすくするものである。
【0042】
上記の第2部材70は、この実施形態の場合、例えば、ステンレス(例えば、SUS304)等の鉄系金属や、Ti系合金、Cu系合金、Al系合金等の、金属材料で形成されている。なお、その成形方法としては、例えば、金属粉末を焼結したり、金属素材を切削したりする等の方法を採用することができる。また、補助弁体80も、ステンレス(例えば、SUS304)等の金属材料で形成されている。一方、上記の第1部材60や、ハウジング15の各構成部材(ハウジング本体20、下部キャップ30、上部キャップ40等)は、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)などの等の樹脂材料で形成されている。なお、前記補助弁体80も、上記のような樹脂材料で形成してもよい。
【0043】
また、第1部材を金属材料で形成し、第2部材を樹脂材料で形成してもよい。この場合には、例えば、第1部材を金属板体からなるプレート状とし、第2部材の外周縁から、複数の撓み可能な弾性爪を垂設して、これらの複数の弾性爪を、プレート状の第1部材の外周縁部に係合させる構造等とすることができる。
【0044】
本発明における圧力調整弁50は、第2部材70が金属材料で形成されていることによって、その自重のみによって、弁座方向に付勢されて、
図9に示すように、常時は第1部材60が弁座24に当接するようになっている。なお、この実施形態では、補助弁体80も金属材料で形成されていることで、同補助弁体80は、その自重によって補助弁体支持部62側に向けて付勢されて、常時(燃料タンク1内の圧力が所定値以下の状態を意味する)は、補助弁体支持部62に当接して支持されるようになっている。
【0045】
そして、燃料タンク内の圧力が所定値を超えた状態では、補助弁体80が第2通孔74を閉じると共に、第1部材60が弁座24から離反し(
図10及び
図11参照)、燃料タンク内の圧力が外気圧よりも所定値以上低下した状態では、補助弁体80が第2通孔74を開くと共に、第1部材60が弁座24に当接するように構成されている(
図12参照)。
【0046】
なお、本発明の弁装置における、ハウジングや、圧直調整弁を構成する第1部材や第2部材等の形状や構造としては、上記態様に限定されるものではない。
【0047】
次に、上記構成からなる本発明に係る弁装置10の作用効果について説明する。
【0048】
まず、第1部材60に第2部材70を組付ける際の、手順について説明する。すなわち、
図5に示すように、すり鉢状に傾斜した十字リブ状の複数のリブ64から構成された補助弁体支持部62上に、球状の補助弁体80を当接支持させた状態で、第2部材70の収容凹部73を下方開口部を、第1部材60の補助弁体支持部62に整合させて、第1部材60に対して第2部材70を押し込んでいく。すると、第2部材70の本体71の外周によって、係合突部66のテーパ面66aが押圧されて、複数の弾性爪65が外方に向けて撓み変形していき、係合突部66の頂部が第2部材70の本体71の上面に至ると、複数の弾性爪65が弾性復帰して、その係合突部66が本体71の上面外周縁部にそれぞれ係合する。それと共に、第1部材60の底壁61の上面に、第2部材70の本体71の下面が当接し、かつ、収容空間R3内に補助弁体80が収容保持された状態で、第1部材60と第2部材70とを組付けることができる。なお、第2部材70の収容凹部73に、予め補助弁体80を収容した状態で、第1部材60と第2部材70とを組付けてもよい。
【0049】
このように、この実施形態においては、第1部材60が樹脂材料で形成され、第2部材70が金属材料で形成されており、第1部材60には、底壁61の外周から軸方向に延びる、撓み可能な複数の弾性爪65が設けられており、これらの複数の弾性爪65が第2部材70に係合するように構成されている。そのため、補助弁体支持部62に補助弁体80を支持した状態、或いは、将来収容空間R3となる部分(ここでは第2部材70の収容凹部73)に補助弁体80を予め収容保持した状態で、第1部材60に対して第2部材70を押込むだけの簡単な作業で、複数の弾性爪65が第2部材70に係合して、第1部材60と第2部材70とを組付けることができるので、第1部材60と第2部材70との組付け作業性を向上させることができる。
【0050】
なお、この実施形態では、補助弁体支持部62が、すり鉢状に傾斜した十字リブ状の複数のリブ64から構成されており、球状の補助弁体80を安定して保持することができるので、第1部材60と第2部材70との組付け作業性を、より向上させることができる。
【0051】
また、車両が、カーブを曲がったり、凹凸のある道や坂道等を走行したり、或いは、事故によって転倒したりして、燃料タンク1内の燃料が激しく揺動して燃料液面が上昇すると、スプリング37の付勢力及びフロート弁35自体の浮力によって、フロート弁35が上昇して、弁頭36に外装されたシール部36aが筒状部25の周縁部に当接して、弁孔23の下方開口を閉じるので、燃料が弁孔23を通じて通気室R2内に流入することが阻止されて、燃料タンク1の外部への燃料漏れを防止することができる。
【0052】
そして、この弁装置10においては圧力調整弁50は、以下のように動作する。
【0053】
すなわち、燃料タンク1内の圧力が所定値以下の状態のときは、
図9に示すように、金属材料からなる第2部材70の自重によって、圧力調整弁50全体が、弁座24に近接する方向に付勢されて、第1部材60の底壁61が弁座24に当接し、弁孔23の上方開口を閉じた状態とする。このとき、すり鉢状に傾斜した十字リブ状の補助弁体支持部62上に補助弁体80が当接して支持されているが、この状態では、複数の第1通孔63を介して、弁室R1と収容空間R3とが連通している(
図8及び
図9参照)。
【0054】
そして、燃料タンク1内の圧力が所定値を超えて、いわゆる正圧状態となると、燃料タンク内の燃料蒸気等の流体が、ハウジング15のハウジング通孔21a、弁室R1、弁孔23、複数の第1通孔63を通過して、収容空間R3内に流入して、補助弁体80を上昇させる(
図10の矢印参照)。すると、
図10に示すように、補助弁体80が、第2部材70の第2通孔74の下面側周縁に当接して、同第2通孔74を閉塞する。
【0055】
更に燃料タンク1内の圧力が上昇すると、第2通孔74が閉塞された収容空間R3内の圧力が上昇するので、
図11に示すように、圧力調整弁50自体が押し上げられて、弁座24から第1部材60の底壁61が離反する。すると、弁座24が開いて、第1部材60の底壁61と弁座24との隙間から、流体が通気室R2内に流入する。更に流体は、圧力調整弁50の外周と筒部27の内周との隙間を流通して、上部キャップ40の複数のキャップ通孔41や、筒部27の一対の切欠き27c,27cを通過し、カバー部材17の通気口18aや燃料蒸気配管18を通って、燃料タンク外に配置されるキャニスタへと送られる。その結果、燃料タンク1内の圧力が所定値以下に下降するので、燃料タンク1内の圧力を所定値以下に下降させることができる。
【0056】
このとき、圧力調整弁50は、特許文献1の弁装置におけるスプリングのような付勢部材を介さず、金属材料で形成された第2部材70の自重のみで、弁座24方向に付勢されて第1部材60が弁座24に当接しているので、燃料タンク内の圧力上昇時(正圧時)に、圧力調整弁50が上昇しやすくなると共に、燃料蒸気等の流体の流量を確保しやすくなる。なお、第1部材が金属材料で形成されている場合も、同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
なお、
図11に示すように、第1部材60に設けた複数の弾性爪65の上端部が、上部キャップ40の環状突部45に当接することで、圧力調整弁50のそれ以上の上昇が規制されるようになっている。
【0058】
一方、燃料タンク1内の圧力が所定値以下に下降すると、
図12に示すように、圧力調整弁50が自重によって弁座24方向に付勢されて下降し、第1部材60の底壁61が弁座24に当接して、弁孔23の上方開口を閉塞する。それと共に、球状の補助弁体80が収容空間R3内で下降して第2通孔74を開き、補助弁体支持部62上に当接して支持される。この状態では、複数の第1通孔63を介して、弁室R1と収容空間R3とが連通している。
【0059】
上記状態で、燃料タンク内の圧力が外気圧よりも所定値以上低下して、いわゆる負圧状態となると、
図12の矢印に示すように、燃料タンク外の空気等の流体が、カバー部材17の燃料蒸気配管18や通気口18aを通り、上部キャップ40の複数のキャップ通孔41や、筒部27の一対の切欠き27c,27cを通過して、通気室R2に流入する。更に、流体は、第2通孔74を通って収容空間R3内に流入すると共に、複数の第1通孔63を通過して弁室R1内に流入して、ハウジング15のハウジング通孔21aを通って燃料タンク1内に導入される。その結果、燃料タンク1内の圧力を上昇させることができる。
【0060】
このとき、補助弁体80は、補助弁体支持部62に当接して支持されて、弁座24に直接には当接しない構成となっており、補助弁体支持部62に補助弁体80が当接した状態で、弁孔23を介して、弁室R1と収容空間R3とが連通するように構成されているので、弁孔23が完全には塞がれずに、その開口面積を維持することができ、特許文献2のように、バルブ部材がバルブシートに直接的に当接して閉塞する構造に比べて、燃料タンク内の圧力下降時(負圧時)における、外部空気等の流体の流量を確保しやすくなる。
【0061】
このように、この弁装置10においては、燃料タンク内の圧力上昇時、及び、燃料タンク内の圧力下降時のいずれにおいても、燃料蒸気や空気等の流体の流量を確保しやすくすることができる。
【0062】
また、この実施形態においては、
図10に示すように、第1部材60は、板状をなした底壁61を有しており、第1通孔63は、底壁61を貫通して形成されている。そのため、燃料タンク内の圧力下降時における外部空気等の流体の、通気室R2、第2通孔74、収容空間R3、第1通孔63、弁孔23、弁室R1への流通を、圧損をなるべく少なくして(第1通孔63を通過する流体が、底壁61の厚さ方向に沿って最短距離で流通して、弁孔23へとダイレクトに流れるため、圧損が少ない)、スムーズに行わせることができる。
【0063】
更に、この実施形態においては、
図3に示すように、第1通孔63は底壁61に複数形成されており、底壁61には、複数の第1通孔63を介して、補助弁体支持部62が設けられている。そのため、底壁61を貫通する複数の第1通孔63によって、燃料タンク内の圧力下降時における外部空気等の流体の、流通時の圧損をより少なくして、より一層スムーズに流通させることができると共に、補助弁体支持部62を形成しやすくすることができる。
【0064】
また、この実施形態においては、
図4に示すように、圧力調整弁50の、弁座24に近接する底面側(ここでは第2部材70の本体71の下面側)には、周方向に沿って凹部75が形成されている。これによれば、燃料タンク内の圧力上昇時に、
図9に示す補助弁体80が上昇して第2通孔74が閉塞された状態を経て、燃料タンク内の燃料蒸気等の流体によって、圧力調整弁50全体が押し上げられて、弁座24が開いて、第1部材60の底壁61と弁座24との隙間から流出した流体が、凹部75内に流入する。この場合、凹部75は環状をなしているので、圧力調整弁50の底面の全周に亘って流入する。その結果、圧力調整弁50の底面側の受圧面積を増大させることできるので、圧力調整弁50を押し上げやすくすることができる。
【0065】
また、凹部75には、第2部材70に設けた複数の貫通孔76に連通しているので、燃料タンク内の圧力が上昇した状態から、圧力が低下して、圧力調整弁50が下降しようとするときに、燃料蒸気等の流体が、凹部75を介して貫通孔76の上方開口から排出されるので、圧力調整弁50が下降しやすくなり、弁座24に再び当接しやすくさせることができる。
【0066】
図13~18には、本発明に係る弁装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0067】
この実施形態の弁装置10Aは、主として、圧力調整弁50Aの構造が前記実施形態と異なっている。
【0068】
すなわち、
図13や
図14に示すように、第1部材60Aに設けた補助弁体支持部62Aを構成する、略十字形状をなした複数のリブ64Aの、補助弁体80Aの支持面が、平坦面状をなしている。
【0069】
また、補助弁体80Aは、下方が開口した円筒状をなすと共に、天井面が曲面状に丸みを帯びた形状を呈する、カップ状となっている。そして、
図15に示すように、補助弁体支持部62Aを構成する複数のリブ64A上に、補助弁体80Aの下方開口部側が当接して支持されるようになっている。また、このような補助弁体支持部62Aに補助弁体80が当接した状態では、複数の第1通孔63を介して、弁室R1と収容空間R3とが連通している(
図13参照)。
【0070】
そして、
図13に示すように、燃料タンク1内の圧力が所定値以下とされ、第2部材70の自重によって、圧力調整弁50Aが弁座24に当接し、弁孔23の上方開口を閉じた状態から、燃料タンク1内の圧力が所定値を超えると、燃料タンク内の燃料蒸気等の流体が、ハウジング通孔21a、弁室R1、弁孔23、複数の第1通孔63を通過して、収容空間R3内に流入する。すると、カップ状の補助弁体80Aの下方開口に流体が流入して、
図16に示すように、補助弁体80Aが上昇して第2通孔74を閉塞する。更に燃料タンク1内の圧力が上昇すると、
図17に示すように、圧力調整弁50A自体が押し上げられて弁座24から離反し、その隙間から、流体が通気室R2内に流入して、圧力調整弁50外周と筒部27内周との隙間を流通する。その後、流体は、複数のキャップ通孔41や一対の切欠き27c,27cを通過して、通気口18aや燃料蒸気配管18を通って、燃料タンク外に配置されるキャニスタへと送られるので、燃料タンク1内の圧力を所定値以下に下降させることができる。
【0071】
一方、燃料タンク1内の圧力が所定値以下に下降すると、
図18に示すように、圧力調整弁50Aが自重により下降して弁座24に当接し、その上方開口を閉塞すると共に、補助弁体80Aが下降して第2通孔74を開き、補助弁体支持部62上に当接して支持される。この状態で、燃料タンク内の圧力が外気圧よりも所定値以上低下すると、
図18の矢印に示すように、燃料タンク外の空気等の流体が、燃料蒸気配管18や通気口18aを通り、上部キャップ40の複数のキャップ通孔41や、筒部27の一対の切欠き27c,27cを通過して、通気室R2に流入した後、第2通孔74を通って収容空間R3内に流入し、更に複数の第1通孔63を通過して弁室R1内に流入して、ハウジング通孔21aを通って燃料タンク1内に導入されるので、燃料タンク1内の圧力を上昇させることができる。
【0072】
そして、この実施形態においても、
図13に示すように、圧力調整弁50Aは、金属材料で形成された第2部材70の自重のみで、弁座24方向に付勢されて第1部材60Aが弁座24に当接しているので、燃料タンク内の圧力上昇時における流体の流量を確保しやすくなる。一方、
図18に示すように、補助弁体80Aは、補助弁体支持部62Aに当接して支持されて、弁座24に直接には当接しない構成となっており、補助弁体支持部62に補助弁体80Aが当接した状態で、弁孔23を介して、弁室R1と収容空間R3とが連通するように構成されているので、弁孔23が完全には塞がれずに、その開口面積を維持することができ、燃料タンク内の圧力下降時における流体の流量を確保しやすくなる。
【0073】
図19~24には、本発明に係る弁装置の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0074】
この実施形態の弁装置10Bは、主として、圧力調整弁50B及び上部キャップ40Bが前記実施形態と異なっている。
【0075】
図19に示すように、この実施形態の圧力調整弁50Bは、樹脂材料で形成された第1部材60Bと、この第1部材60Bに組付けられる、金属材料からなる第2部材70Bとから構成されている。
【0076】
第1部材60Bの底壁61の径方向中央部には、補助弁体支持部62Bが突設されている。この補助弁体支持部62Bは、底壁61の上面から突出した、外周が円形環状の凸部となっており、その内側に複数の第1通孔63や複数のリブ64が形成されている。
【0077】
また、第1部材60Bには、底壁61の外周から軸方向に延びる、撓み可能な複数の弾性爪65Bが設けられている。この実施形態では、略円形板状をなした底壁61の外周に、周方向に均等な間隔を空けて、複数の弾性爪65Bが設けられている(ここでは4個)。各弾性爪65は、底壁61の外周縁部から所定幅で軸方向に突出した、撓み変形可能な突出片65bと、該突出片65bの突出方向の先端部に設けられ、底壁61の径方向外側に向けて突出した、係合突部66とからなる。係合突部66は、突出片65bの周方向幅全域に亘る幅で形成されている。
【0078】
また、係合突部66の上部外面側には、弾性爪65Bの突出方向先端に向けて、径方向外側への突出両が次第に減少するように傾斜する、テーパ面66aが形成されている。なお、係合突部66のテーパ面66aとは反対側の面が、係合面66bをなしている。更に、底壁61の、各弾性爪65Bの突出片65bに隣接する位置には、弾性爪65Bの周方向幅よりも、やや幅広の長孔状をなした貫通孔68が、底壁61の厚さ方向に貫通して形成されている。
【0079】
一方、
図22に示すように、金属材料からなる第2部材70Bは、その下面側であって径方向中央部に、下方が開口した凹状の嵌合凹部79が形成されている。この嵌合凹部79には、第1部材60Bと第2部材70Bとの組付け時に、第1部材60Bの補助弁体支持部62Bが嵌合するようになっている。
【0080】
また、第2部材70Bの外周には、第1部材60Bの複数の弾性爪65Bに対応する、複数の係合孔77が形成されている。この実施形態では、第2部材70Bの外周縁部寄りの位置に、周方向に均等な間隔を空けて、複数の係合孔77が形成されている(ここでは4個)。
【0081】
各係合孔77は、略円盤状をなした本体71の、周方向に沿って長く延びる長孔状をなしており、かつ、本体71の厚さ方向を貫通して形成されている。また、各係合孔77は、その周方向の幅Lが、弾性爪65Bの周方向幅よりも、やや幅広に形成されており、かつ、径方向の幅Wが、係合孔77への弾性爪65Bの挿入時に、弾性爪65Bの撓み変形を許容可能な幅で形成されている。
【0082】
そして、第1部材60Bの補助弁体支持部62Bに、補助弁体80Aを支持した状態で、第1部材60Bの複数の弾性爪65Bを、第2部材70Bの対応する複数の係合孔77に整合させて、第1部材60Bに対して第2部材70Bを押し込んでいく。すると、各係合孔77の下方開口から各弾性爪65Bが挿入されていき、各係合突部66のテーパ面66aが、各係合孔77の径方向外側の内周面77aに押圧されて、各弾性爪65Bが、突出片65bを介して圧力調整弁50Bの径方向内側に撓み変形する。そして、各係合突部66が各係合孔77の上方開口から挿出されると、各弾性爪65Bが弾性復帰して、係合突部66の係合面65bが、係合孔77の表側周縁(上方周縁)に係合する。それと共に、第2部材70Bの嵌合凹部79に、第1部材60Bの補助弁体支持部62Bが嵌合して、収容空間R3内に補助弁体80Aが収容保持された状態で、第1部材60と第2部材70とが組付けられるようになっている(
図20及び
図22参照)。
【0083】
また、この実施形態では、係合孔77の内部には、弾性爪65Bが挿入された状態で、空隙が残されており、この空隙が通気室R2と収容空間R3とを連通させる、第3通孔78をなしている(
図22参照)。
【0084】
すなわち、弾性爪65Bは、その突出片65bが係合孔77の内部に挿入されるが、この際、
図22に示すように、弾性爪65Bの突出片65bの外面(圧力調整弁50Bの径方向外側に向く面)が、係合孔77の径方向外側の内周面77aに当接する一方、突出片65bの内面(圧力調整弁50Bの径方向内側に向く面)が、係合孔77の径方向内側の内周面77bから離間している。そのため、係合孔77の内部には、弾性爪65の突出片65bの内面と、径方向内側の内周面77bとの間に、空隙が残存するようになっており、この空隙が、通気室R2と収容空間R3とを連通させる、第3通孔78をなしている(
図22参照)。なお、複数の第3通孔78の合計の流路面積は、第2通孔74の流路面積よりも大きくなるように形成されている。また、各第3通孔78の流路面積は、前記実施形態における各貫通孔76の流路面積よりも大きくなるように形成されている。
【0085】
更に
図22に示すように、筒部22の上方開口には、上部キャップ40Bが装着されている。この実施形態の上部キャップ40Bは、前記実施形態の上部キャップ40と基本的には同一構造をなしているが、その裏面側(下面側)の形状が、前記実施形態の上部キャップ40と異なっている。
【0086】
すなわち、
図21に示すように、この実施形態の上部キャップ40は、上部キャップ40Bに向けて突出する、上部キャップ40と第2部材70Bとの貼り付きを防止するための、貼り付き防止突部47が設けられている。ここでは、上部キャップ40Bの裏面40a側であって、その径方向中心から放射状をなすように突条に延び、かつ、上部キャップ40B側に向けて突出した、複数の貼り付き防止突部47が設けられている(ここでは8個)。
【0087】
なお、貼り付き防止突部は、例えば、第2部材側から上部キャップ側に向けて突出したり(
図22の二点鎖線A参照)、或いは、上部キャップ側から第2部材側に向けて突出すると共に第2部材側から上部キャップ側に向けて突出した形状としてもよい。また、貼り付き防止突部の形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
【0088】
また、この実施形態の上部キャップ40Bは、補助弁体80Aが第2通孔74を閉塞した状態で、圧力調整弁50Bが上昇したときに(
図24参照)、上部キャップ40Bの裏面40a側に、補助弁体80Aを押圧して第2通孔74を開口させる、押圧突部48が設けられている。
【0089】
図21に示すように、この実施形態では、上部キャップ40Bの裏面40a側であって、その径方向中心から、円形突起状をなした押圧突部48が突設されている。この押圧突部48は、その突出方向先端側が丸みを帯びた形状をなしていると共に、先端面48aが平坦面状をなしている。また、
図24に示すように、押圧突部48の外径は、第2通孔74よりも小径となっており、第2通孔74内に挿入可能となっている。更に
図21に示すように、上部キャップ40Bの裏面40aからの押圧突部48の突出高さは、上部キャップ40Bの裏面40aからの貼り付き防止突部47の突出高さよりも高くなっている。また、
図24に示すように、押圧突部48は、第2通孔74を設けた第2部材70Bの隆起部72の板厚の厚さ方向途中に至る突出量で、上部キャップ40Bの裏面40aから突出している。
【0090】
なお、押圧突部は、補助弁体80A側に、上部キャップ40Bの裏面40a側に当接して第2通孔74を開口させるように設けてもよい(
図22の二点鎖線B参照)。また、押圧突部の形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
【0091】
次に、上記構成からなる弁装置10Bの作用効果について説明する。
【0092】
この実施形態においては、
図19及び
図20に示すように、第2部材70Bには係合孔77が形成されており、弾性爪65Bは、係合孔77に挿入されて、その表側周縁に係合して、第1部材60Bに第2部材70Bを組付けるように構成されている。
【0093】
この態様によれば、金属材料で形成され燃料により膨潤しない、第2部材70Bに係合孔77を形成し、この係合孔77に弾性爪65Bを挿入して、同係合孔77の表側周縁に弾性爪65Bを係合させて、第1部材60Bに第2部材70Bを組付けるようにした(
図20及び
図22参照)。そのため、
図22に示すように、圧力調整弁50Bの外側を囲む部材(ここでは筒部27)の内周と、圧力調整弁50Bの外周とのクリアランスCLを小さく設定することができる。すなわち、燃料膨潤しない第2部材70Bの係合孔77内に弾性爪65Bが挿入されているため、第1部材60Bの弾性爪65Bが、燃料膨潤により径方向外方に広がるように変形しようとしても、その変形が抑制されて、上記クリアランスCLを小さく維持できる。このように、上記クリアランスCLを小さく設定できるので、圧力調整弁50Bの昇降時のガタツキを少なくすることができる。
【0094】
また、
図22に示すように、燃料タンク1内の圧力が所定値以下の状態のときは、金属材料からなる第2部材70Bの自重によって、圧力調整弁50B全体が下降して、第1部材60Bの底壁61が弁座24に当接し、弁孔23の上方開口が閉じた状態となっている。この状態でも、複数の第1通孔63を介して、弁室R1と収容空間R3とが連通している。
【0095】
そして、燃料タンク1内の圧力が所定値を超えると、燃料タンク内の燃料蒸気等の流体が、弁室R1、弁孔23、複数の第1通孔63を通過して、収容空間R3内に流入して、補助弁体80を上昇させ、第2通孔74を閉塞する(
図23参照)。
【0096】
更に燃料タンク1内の圧力が上昇すると、第2通孔74が閉塞された収容空間R3内の圧力が上昇するので、圧力調整弁50B自体が押し上げられて、弁座24から第1部材60Bの底壁61が離反する。すると、弁座24が開いて、流体が通気室R2内に流入し、第1部材60Bの底壁61に形成した各貫通孔68を通過して後、各第3通孔78を流通して、圧力調整弁50Bの上方側へと流れる。
【0097】
上記のように、この実施形態においては、第1部材60Bと第2部材70Bとを組付けた状態で、係合孔77の内部の空隙を、通気室R2と収容空間R3とを連通させる第3通孔78として利用することができる。そのため、上述したように、燃料タンク1内の圧力が上昇して、補助弁体80が第2通孔74を閉塞した状態で、燃料タンク1内の圧力が更に上昇して、圧力調整弁50B全体が上昇する際に、流体が、第3通孔78を流れるので、燃料蒸気等の流体の流量を確保しやすくすることができる。
【0098】
その後、流体は、上部キャップ40Bの複数のキャップ通孔41等を通過して、カバー部材17の通気口18aや燃料蒸気配管18を通って、燃料タンク外に配置されるキャニスタへと送られる。その結果、燃料タンク1内の圧力が所定値以下に下降するので、燃料タンク1内の圧力を所定値以下に下降させることができる。
【0099】
また、
図24に示すように、この実施形態の上部キャップ40Bには、補助弁体80が第2通孔74を閉塞した状態で、圧力調整弁50Bが上昇したときに、上部キャップ40Bの裏面40a側に、補助弁体80Aを押圧して第2通孔74を開口させる、押圧突部48が設けられている。そのため、補助弁体80Aが、第2部材70Bの第2通孔74の裏側周縁(下面側周縁)に貼り付くことを防止して、第2通孔74を確実に開口させることができる。なお、補助弁体側に押圧突部が設けられている場合にも、同様の効果が得られる。
【0100】
更に
図24に示すように、上部キャップ40は、上部キャップ40Bに向けて突出する、貼り付き防止突部47が設けられている。そのため、
図23に示す状態(燃料タンク1内の圧力上昇に伴って、補助弁体80Aが上昇して第2通孔74を閉塞した状態)から、更に燃料タンク1内の圧力が上昇して、収容空間R3内の圧力が上昇し、圧力調整弁50自体が上昇したときに、
図24に示すように、上部キャップ40Bの裏面側部分のうち、貼り付き防止突部47のみが、第2部材70Bの弾性爪70Bの上端部側に部分的に当接するので、第2部材70Bが上部キャップ40Bの裏面40a側に貼り付くことを防止することができる。その結果、燃料タンク1内の圧力が所定値以下に低下して、圧力調整弁50Bが自重により下降しようとする際に、圧力調整弁を下降させやすくすることができる。なお、第2部材側に貼り付き防止突部を設けた場合、或いは、上部キャップ及び第2部材の両方に貼り付き防止突部を設けた場合も、同様の効果が得られる。
【0101】
図25~27には、本発明に係る弁装置の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0102】
この実施形態の弁装置10Cは、主として、圧力調整弁50Cが前記実施形態と異なっている。第1部材60Cの底壁61の径方向中央部には、補助弁体支持部62Cが突設されている。この補助弁体支持部62Cは、底壁61の上面から突出した、外周が円形環状の凸部となっており、その内側に複数の第1通孔63や複数のリブ64が形成されている。各リブ64は、
図1~12に示す実施形態と同様に、すり鉢状の十字形となっている。
【0103】
また、金属材料からなる第2部材70Cは、
図19~24に示す実施形態と同様に、複数の係合孔77を有しており、その内部が第3通孔78をなしている。
【0104】
そして、この実施形態においても、
図19~24に示す実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
10,10A,10B,10C 弁装置
15 ハウジング
20 ハウジング本体
22 仕切壁
23 弁孔
24 弁座
30 下部キャップ
35 フロート弁
37 スプリング
40,40B 上部キャップ
47 貼り付き防止突部
48 押圧突部
50,50A,50B,50C 圧力調整弁
60,60A,60B,60C 第1部材
61 底壁
62,62A 補助弁体支持部
63 第1通孔
70,70B,70C 第2部材
74 第2通孔
75 凹部
77 係合穴孔
78 第3通孔
80,80A 補助弁体