(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】自動車エアバッグ用途のガス発生剤配合物中の低温燃焼ハイドレート燃料
(51)【国際特許分類】
C06D 5/00 20060101AFI20230308BHJP
C06B 43/00 20060101ALI20230308BHJP
C06B 23/04 20060101ALI20230308BHJP
F42B 5/16 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C06D5/00 Z
C06B43/00
C06B23/04
F42B5/16
(21)【出願番号】P 2021555209
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 US2020017595
(87)【国際公開番号】W WO2020205069
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-13
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】メンデンホール、イヴァン ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ルンド、ゲイリー ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン、ジャッド
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0089883(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0094225(US,A1)
【文献】特表2007-535977(JP,A)
【文献】国際公開第2009/125587(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C06B 23/04
C06D 5/00
F42B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素、水素、酸素、及び遷移金属を含む低温燃焼ハイドレート燃料を含む自動車の膨張式拘束システム用のガス発生剤組成物であって、前記低温燃焼ハイドレート燃料は、
(i)アミド、イミド、ヒドロキシル、カルボン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含み、
(ii)
0.5以上の酸素対炭素のモル比を有し、
(iii)少なくとも半個の水分子の水和を含み、
(iv)少なくとも
-400キロジュール/モルの発熱の生成熱を有する、有機化合物の遷移金属塩又は有機化合物の遷移金属錯塩であ
り、
前記低温燃焼ハイドレート燃料は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、ことを特徴とするガス発生剤組成物。
【請求項2】
前記低温燃焼ハイドレート燃料は窒素を更に含む、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項3】
前記低温燃焼ハイドレート燃料の水放出温度は、示差走査熱量測定(DSC)で、加熱速度が5℃/分間、許容誤差±0.1℃/分間で測定した場合、
140℃以上である、請求項1
又は2に記載のガス発生剤組成物。
【請求項4】
前記低温燃焼ハイドレート燃料は、前記ガス発生剤組成物の
5重量%から50重量%の範囲で存在し、前記ガス発生剤組成物は、任意選択で、
前記ガス発生剤組成物の
10重量%から50重量%の範囲で存在する共燃料と、前記
ガス発生剤組成物の
25重量%から70重量%の範囲で存在する酸化剤と、前記
ガス発生剤組成物の
0重量%から15重量%の範囲で存在する1つ以上のガス発生剤添加剤とを更に含む、請求項1
、2又は3に記載のガス発生剤組成物。
【請求項5】
前記低温燃焼ハイドレート燃料は、前記ガス発生剤組成物の
5重量%から30重量%の範囲で存在し、燃焼時の最高火炎温度(T
c)が
1400K(1,127℃)から1700K(1,427℃)である、請求項1
乃至4の何れか1項に記載のガス発生剤組成物。
【請求項6】
(i)
5.7モル/100cm
3以上のガス発生剤組成物のガス収率、
(ii)
10メガパスカル(MPa)の圧力で毎秒約18mm以上の線形燃焼速度、又は
(iii)
0.35以下の線形燃焼速度圧力指数のうちの1つ以上を有する、請求項1
乃至5の何れか1項に記載のガス発生剤組成物。
【請求項7】
硝酸グアニジン、5,5’-ビテトラゾール二アンモニウム(DABT)、二硝酸銅ビスグアニル尿素、硝酸ヘキサミンコバルト(III)、銅ジアンミンビテトラゾール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される共燃料と、塩基性硝酸銅、アルカリ金属又はアルカリ土類金属硝酸塩、過塩素酸アルカリ金属塩、過塩素酸アルカリ土類金属塩、又は過塩素酸アンモニウム塩、金属酸化物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤とを更に含む、請求項1
乃至6の何れか1項に記載のガス発生剤組成物。
【請求項8】
前記ガス発生剤組成物の
15重量%から50重量%の範囲で存在する硝酸グアニジンを含む共燃料と、
前記ガス発生剤組成物の
25重量%から70重量%の範囲で存在する塩基性硝酸銅を含む酸化剤とを更に含む、請求項1
乃至7の何れか1項に記載のガス発生剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月29日に出願された米国特許出願第16/369,609号の優先権を主張するものであり、本出願は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、約140℃以上の水放出温度を有する熱的に安定な水和物を含む、低温燃焼ハイドレート燃料を有する自動車の膨張式拘束システム用のガス発生剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景技術情報を提供する。
【0004】
受動的膨張式拘束システムは、自動車などの様々用途で25年以上使用されている。特定のタイプの受動的膨張式拘束システムは、例えば、火工式ガス発生剤を使用してエアバッグクッション(ガスイニシエータ及びインフレータなど)を膨らませたり、シートベルトテンショナー(マイクロガス発生器など)を作動させたりすることで乗員の負傷を最小限に抑える。自動車エアバッグインフレータの性能及び安全性の要件は、乗客の安全性を高めると同時に、機能性の向上と製造コストの削減に努めるよう、継続的に高まっている。
【0005】
適切なガス発生剤は、膨張装置に必要な仕事インパルスを達成するために、所望の時間間隔で高い質量流量率で十分に高いガス出力を提供する。ガス発生剤の性能を最適化し、システムコストを削減する1つの方法は、ガス発生剤配合物の燃焼火炎温度を下げることである。ガス温度は発生ガスが実行できる仕事量に影響を与えるため、これは直感に反するように思われる。しかし、燃焼及び関連する熱的損傷がもたらされ得るため、高いガス温度は望ましくない場合がある。更に、高いガス温度はまた、熱伝達に対するガスの過度の依存又は感度、及び過度に急速な収縮プロファイルにつながる可能性があり、それは望ましくない場合がある。高い燃焼火炎温度の影響を軽減するために(例えば、本開示の目的のために、高い火炎温度は、燃焼時に1700Kを超えるものと見なされ得る)、インフレータの質量のかなりの部分は、フィルタリングシステムと組み合わせてヒートシンクに追いやられることが多くの場合にある。それは、インフレータの重量に悪影響を及ぼし、ひいてはシステムの効率に悪影響を及ぼす。
【0006】
特定の態様では、フロントエンドアプリケーションで使用されるガス発生剤配合物の望ましい燃焼火炎温度は、約1900K(1,627℃)未満、最適には約1400K(1,127℃)から約1600K(1,327℃)であり得る。燃焼火炎温度に加えて、インフレータの効率(したがってそのサイズと重量)を改良するのに役立つ他の2つの重要なガス発生剤の特性は、ガス発生剤のガス収率(モル/100グラムの配合)と、ガス流から容易にフィルタリングされる大きな固結塊にとどまる、固体燃焼生成物の能力(スラグ性)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
新しい高度なインフレータ設計では、フィルタ構成要素及びヒートシンクの要件を可能な限り削減又は最小化することが望ましい。それらの新しい設計の一部として、新しい低温燃焼ガス発生剤の配合は、ヒートシンクの要件を削減し、性能を向上させるため、有利である。約1700K(1,427℃)未満のガス発生剤火炎温度は、衝突時に自動車の乗員に火傷や負傷のリスクを与えることなく、適切な拘束と保護を提供する方法で動作するフィルタリングを低減したインフレータ装置を可能にすることが示されている。したがって、自動車エアバッグ用途のガス発生剤配合物において、高い質量流量率及び比較的低い火炎温度で高いガス出力を達成することが望ましい。
【0008】
本セクションは、開示の全般的な要約を提供するものであり、その全範囲又は全ての機能の包括的な開示ではない。
【0009】
有利に、特定の変形例における本開示は、低温燃焼ハイドレート燃料を含む自動車の膨張式拘束システムのためのガス発生剤組成物を提供する。低温燃焼ハイドレート燃料は、炭素、水素、酸素、及び遷移金属を含む。低温燃焼ハイドレート燃料は、
(i)アミド、イミド、ヒドロキシル、カルボン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含み、
(ii)約0.5以上の酸素対炭素のモル比を有し、
(iii)少なくとも半個の水分子の水和を含み、
(iv)少なくとも約-400キロジュール/モルの発熱の生成熱を有する有機化合物の遷移金属塩又は有機化合物の遷移金属錯塩である。
【0010】
特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料は窒素を更に含む。
【0011】
特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料の水放出温度は、示差走査熱量測定(DSC)で、加熱速度5℃/分間、許容誤差±0.1℃/分間で測定した場合、約140℃以上である。
【0012】
特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約50重量%以下で存在する。
【0014】
更なる特定の態様では、ガス発生剤は、全ガス発生剤組成物の約10重量%以上から約50重量%以下で存在する共燃料を更に含む。ガス発生剤はまた、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在する酸化剤を含む。ガス発生剤は、全ガス発生剤組成物の0重量%以上から約15重量%以下で存在する1つ以上のガス発生剤添加剤を更に含む。
【0015】
特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下で存在する。
【0016】
特定の態様では、ガス発生剤組成物は、約1400K(1,127℃)以上から約1700K(1,427℃)以下の燃焼時の最高火炎温度(Tc)を有する。
【0017】
特定の態様では、ガス発生剤組成物は、
(i)約5.7モル/100cm3以上のガス発生剤組成物のガス収率、
(ii)約10メガパスカル(MPa)の圧力で毎秒約18mm以上の線形燃焼速度、又は
(iii)約0.35以下の線形燃焼速度圧力指数のうち1つ以上を有する。
【0018】
特定の態様では、ガス発生剤組成物は、硝酸グアニジン、5,5’-ビテトラゾール二アンモニウム(DABT)、二硝酸銅ビスグアニル尿素、硝酸ヘキサミンコバルト(III)、銅ジアンミンビテトラゾール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される共燃料を更に含む。
【0019】
特定の態様では、ガス発生剤組成物は、塩基性硝酸銅、アルカリ金属又はアルカリ土類金属硝酸塩、過塩素酸アルカリ金属塩、過塩素酸アルカリ土類金属塩、又は過塩素酸アンモニウム塩、金属酸化物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を更に含む。
【0020】
特定の態様では、ガス発生剤組成物は、全ガス発生剤組成物の約15重量%以上から約50重量%以下で存在する硝酸グアニジンを含む共燃料と、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在する塩基性硝酸銅を含む酸化剤とを含む。
【0021】
有利に、特定の他の変形例における本開示は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される低温燃焼ハイドレート燃料を含む自動車の膨張式拘束システムのための低温燃焼ガス発生剤組成物を提供する。燃焼時の低温燃焼ガス発生剤組成物の最高火炎温度(Tc)は、約1700K(1,427℃)以下である。
【0022】
特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料は、低温燃焼ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約50重量%以下で存在する。
【0023】
特定の態様では、低温燃焼ガス発生剤組成物は、全ガス発生剤組成物の約10重量%以上から約50重量%以下で存在する共燃料を含む。低温燃焼ガス発生剤組成物はまた、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在する酸化剤を含む。低温燃焼ガス発生剤組成物はまた、全ガス発生剤組成物の0重量%以上から約15重量%以下で存在する1つ以上のガス発生剤添加剤を含む。
【0024】
特定の態様では、低温燃焼ガス発生剤組成物は、
(i)約5.7モル/100cm3以上の低温燃焼ガス発生剤組成物のガス収率、
(ii)約10メガパスカル(MPa)の圧力で毎秒約18mm以上の線形燃焼速度、又は
(iii)約0.35以下の線形燃焼速度圧力指数のうち1つ以上を有する。
【0025】
特定の態様では、低温燃焼ガス発生剤組成物は、硝酸グアニジン、5,5’-ビテトラゾール二アンモニウム(DABT)、二硝酸銅ビスグアニル尿素、硝酸ヘキサミンコバルト(III)、銅ジアンミンビテトラゾール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される共燃料を更に含む。低温燃焼ガス発生剤組成物はまた、塩基性硝酸銅、アルカリ金属又はアルカリ土類金属硝酸塩、過塩素酸アルカリ金属塩、過塩素酸アルカリ土類金属塩、又は過塩素酸アンモニウム塩、金属酸化物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を含む。
【0026】
有利に、特定の更なる変形例における本開示は、シアヌル酸銅二水和物と、硝酸グアニジンを含む共燃料と、塩基性硝酸銅を含む酸化剤と、1つ以上のガス発生剤添加剤とを含む自動車の膨張式拘束システム用の低温燃焼ガス発生剤組成物を提供し、ここで燃焼時の最高火炎温度(Tc)は約1700K(1,427℃)以下である。
【0027】
特定の態様では、シアヌル酸銅二水和物は、低温燃焼ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下で存在する。硝酸グアニジンを含む共燃料は、全低温燃焼ガス発生剤組成物の約15重量%以上から約50重量%以下で存在する。塩基性硝酸銅を含む酸化剤は、全低温燃焼ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在する。更に、1つ以上のガス発生剤添加剤は、全低温燃焼ガス発生剤組成物の0重量%以上から約15重量%以下で存在する。
【0028】
特定の態様では、低温燃焼ガス発生剤組成物は、
(i)約5.7モル/100cm3以上の低温燃焼ガス発生剤組成物のガス収率、
(ii)約10メガパスカル(MPa)の圧力で毎秒約18mm以上の線形燃焼速度、又は
(iii)約0.35以下の線形燃焼速度圧力指数のうち1つ以上を有する。
【0029】
適用可能な更なる領域は、本明細書で提供される説明から明らかになる。本要約における説明及び特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例示的な実施形態は、本開示が徹底的であり、当業者に範囲を完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態を徹底して明らかにするために、特定の組成物、構成要素、装置、及び方法の例などの多数の具体的詳細を説明する。当業者であれば、具体的詳細を使用する必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具体化でき、どちらも本開示の範囲を制限すると解釈されるべきではないことを認識する。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は詳細に説明されない。
【0031】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図し得る。「含める」、「含む」、「備える」、及び「有する」という用語は包括的であり、したがって、記載された機能、要素、組成物、ステップ、整数、操作、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上数の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。「含む」という制限のない用語は、本明細書に記載の様々な実施形態を説明及び特許請求するために使用される非限定的な用語として理解されるべきであるが、特定の態様では、この用語は、代わりに、「からなる」又は「本質的にそれらからなる」などの、より限定的かつ制限的な用語であると理解され得る。したがって、組成物、材料、構成要素、要素、機能、整数、操作、及び/又は処理ステップを列挙する任意の所与の実施形態について、本開示はまた、そのような列挙された組成物、材料、構成要素、要素、機能、整数、操作、及び/又は処理ステップからなる、又は本質的にそれらからなる実施形態も具体的に含む。「からなる」の場合、代替の実施形態は、追加の組成物、材料、構成要素、要素、機能、整数、操作、及び/又は処理ステップを排除し、「本質的にそれらからなる」の場合、基本的及び新規の特性に実質的に影響を与える追加の組成物、材料、構成要素、要素、機能、整数、操作、及び/又は処理ステップは、そのような実施形態から排除されるが、基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない任意の組成物、材料、構成要素、要素、機能、整数、操作、及び/又は処理ステップが実施形態に含まれ得る。
【0032】
本明細書に記載の方法のステップ、処理、及び操作は、性能の順序として具体的に特定されない限り、説明又は図示された特定の順序でそれらの性能を必ずしも必要とすると解釈されるべきではない。特に明記しない限り、追加又は代替のステップを使用できることも理解される。
【0033】
構成要素、要素、又は層が、別の要素又は層に「その上」、「係合」、「接続」、若しくは「結合」と呼ばれる場合、それは、他の構成要素、要素、又は層に直接その上、係合、接続、又は結合されるか、又は介在する要素若しくは層が存在し得る。対照的に、要素が別の要素又は層に「直接その上」、「直接係合」、「直接接続」、又は「直接結合」と呼ばれる場合、介在する要素又は層が存在しない場合がある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様の方法で解釈する必要がある(例えば、「間」と「直接~間」、「隣接」と「直接隣接」など)。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連するリストされたアイテムの1つ以上のいずれかの及び全ての組み合わせを含む。
【0034】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書では、様々なステップ、要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用され得るが、それらのステップ、要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションは、特に明記されない限り、それらの用語によって制限されるべきではない。それらの用語は、1つのステップ、要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別のステップ、要素、構成要素、領域、層、又はセクションから区別するためにのみ使用できる。本明細書で使用される場合の「第1」、「第2」などの用語、及び他の数値用語は、文脈によって明記されない限り、シーケンス又は順序を意味するものではない。したがって、以下で論じる第1のステップ、要素、構成要素、領域、層又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2のステップ、要素、構成要素、領域、層又はセクションと呼ぶことができる。
【0035】
「前」、「後」、「内側」、「外側」、「下方」、「下部」、「下」、「上方」、「上」などの空間的又は時間的に相対的な用語は、図に示されるように、説明を容易にするために、ある要素又は機能と別の要素又は機能との関係を説明するために、本明細書で使用され得る。空間的又は時間的に相対的な用語は、図に示される方向に加えて、使用中又は動作中の装置又はシステムの異なる方向を包含することを意図することができる。
【0036】
本開示全体を通して、数値は、所与の値及び記載された値についての実施形態並びに正確に記載された値を有する実施形態からのわずかな偏差を包含する範囲に対するおおよその尺度又は限界を表す。詳細な説明の最後に提供された実施例を除いて、添付の特許請求の範囲を含む、本明細書のパラメータの全ての数値(例えば、量又は条件の)は、「約」が実際に数値の前に現れるか否かにかかわらず、「約」という用語によって全ての場合に変更されると理解されるべきである。「約」は、記載された数値が若干の不正確さを許容することを示す(値の正確さへのアプローチ、おおよそ又は合理的に値に近い、ほぼ)。「約」によって提供される不正確さが、この通常の意味で、当技術分野において他の方法で理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、少なくとも、そのようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得る変動を示す。例えば、「約」は、5%以下、任意選択で4%以下、任意選択で3%以下、任意選択で2%以下、任意選択で1%以下、任意選択で0.5%以下、特定の態様では、任意選択で0.1%以下を含み得る。
【0037】
更に、範囲の開示は、全ての値の開示と、範囲に与えられたエンドポイントとサブ範囲を含む範囲全体内の更に分割された範囲とを含む。
【0038】
次に、例示的な実施形態を、添付の図面を参照してより完全に説明する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「組成物」及び「材料」という用語は、少なくとも好ましい化学成分、元素、又は化合物を含むが、特に明記しない限り、微量の不純物を含む追加の元素、化合物、又は物質もまた含み得る、物質を広く指すために交換可能に使用される。
【0040】
本開示は、固体粒、ペレット、タブレットなどの形態であり得るガス発生剤のための組成物を企図する。ガス発生剤が燃焼すると、膨張式拘束システム内の膨張装置(エアバッグなど)に向けられる膨張用のガス又は流出物が生成される。様々な異なるガス発生剤組成物が、車両の乗員の膨張式拘束システムで使用される。ガス発生材料の選択は、現在の業界の性能仕様、ガイドライン、基準への適合、安全なガス又は流出物の発生、ガス発生材料の取り扱い安全性、材料の持続的な安定性、製造における費用対効果など、様々な要因を伴う。ガス発生剤組成物は、取り扱い、保管、及び廃棄中に安全であることが好ましく、好ましくはアジドを含まない。
【0041】
様々な態様では、ガス発生剤は、典型的には、少なくとも1つの燃料成分及び少なくとも1つの酸化剤成分を含み、点火すると急速燃焼して気体反応生成物(例えば、CO2、H2O、N2)を形成する他の微量成分を含み得る。1つ以上の燃料化合物が急速燃焼して熱及び気体生成物を形成し、例えば、ガス発生剤は燃焼し、膨張式拘束装置用の加熱された膨張ガスを生成するか、又はピストンを作動させる。ガス生成組成物はまた、1つ以上の酸化成分を含み、酸化成分は、燃料成分と反応してガス生成物を生成する。「スラグ」又は「クリンカー」は、ガス発生材料の燃焼中に形成される固体燃焼生成物の別名である。理想的には、スラグはガス発生剤の元の形状(例えば、粒、ペレット、タブレットなど)を維持し、大きくて容易にフィルタリングできる。これは、インフレータの設計に、低温燃焼ガス発生剤配合物で使用できるものなどのインフレータのサイズ及び重量を低下させる目的で低減された塊フィルタリングシステムが含まれる場合に特に重要である。
【0042】
高度のインフレータ設計構想には、フィルタ及びヒートシンクの質量の低下が組み込まれる。低温燃焼ガス発生剤配合物を使用すると、ヒートシンクの要件が軽減される。更に、フィルタの質量を低下させるので、スラグは非常に良好な低温燃焼ガス発生剤を有することが望ましい。「スラッギング」とは、ガス発生剤の燃焼中に生成される特定の固体燃焼生成物が、フィルタを通過してエアバッグに入るのではなく、燃焼中に燃焼室内に保持される大きな一体型固体塊を形成することを意味する。その効果を達成するために、スラッギング剤を使用することができる。スラッギング剤は、通常は燃焼に対して不活性な化合物又は材料であり、燃焼温度で溶融し、全ての固体燃焼生成物を凝集又は収集する。従来のスラッギング剤の例は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ガラス、及び燃焼火炎温度又はその近くで溶融する他の金属酸化物である。
【0043】
上記のように、ガス発生剤の性能を最適化し、受動的拘束システム用のガス発生剤のシステムコストを削減する1つの方法は、ガス発生剤配合物の燃焼火炎温度を下げることである。効率的なインフレータ設計では、使用されるスクリーンパックの量は、ガス流をフィルタリングし、エアバッグに入る前にガス流を所望の量のガス発生剤の燃焼から所望の温度まで冷却するのに十分である。フロントエンドの自動車インフレータ用途で使用されるガス発生剤配合物に望まれる燃焼火炎温度は、概して、約1400K(1,127℃)以上から1900K(1,627℃)以下の範囲である。上記のように、燃焼火炎温度に加えて、インフレータの効率を改善し、ひいてはそのサイズ及び重量を改善するのに役立つ、他の2つの重要なガス発生剤の特性は、ガス発生剤のガス収率と、固体燃焼生成物がスラグを形成するために、ガス流から容易にフィルタリングされる大きな固結塊にとどまる能力とである。
【0044】
低温燃焼ガス発生剤配合物を得るための従来方法の1つは、水酸化アルミニウムなどの大粒子吸熱冷却剤を使用することであり、該方法は、「銅含有ガス発生剤のための強化されたスラグの形成」と題された共有の米国特許出願公開第2014/0261927号に記載されており、その関連部分は本明細書に組み込まれる。水酸化アルミニウムの粒子サイズが大きいため、ガス発生剤配合物全体の燃焼速度に悪影響を与えることなく、高レベル(例えば、約10~20%)で使用できる。更に、水酸化アルミニウムの分解によって水蒸気が放出され、エアバッグの膨張に関与し、ガス発生剤配合物からの高いガス収率を維持するのに役立つ。それらの配合物はスラグを非常に効果的に除去する。水酸化アルミニウムの使用はガス発生剤を冷却するための効果的な技術であるが、配合物の顕著な性能は、水酸化アルミニウム冷却剤の粒子サイズ分布に非常に敏感であるため、バッチごとの変動を最小限に抑えるために粒子サイズ分布を厳密に制御する必要がある。
【0045】
本開示は、良好な性能を維持しながら燃焼時の低い火炎温度(例えば、≦約1700K(1,427℃))が得られることを可能にする代替の低温燃焼ガス発生剤組成物、特に塩基性硝酸銅及び硝酸グアニジンのような特定の共燃料及び酸化剤の組み合わせを使用できる組成物を提供する。
【0046】
様々な態様では、本開示は、低温燃焼ハイドレート燃料化合物又は複合体を含む自動車拘束装置/エアバッグシステム用のガス発生剤組成物を企図する。低温燃焼ハイドレート燃料は、有機化合物の遷移金属塩又は有機化合物の遷移金属錯塩である。低温燃焼燃料は、炭素、水素、酸素、遷移金属を含み、窒素を含み得る。したがって、低温燃焼ハイドレート燃料は、有機化合物の遷移金属塩又は遷移金属錯塩であり得る。遷移金属は、IUPAC周期表の第3族~第12族から選択される任意の金属であり得る。遷移金属の適切な例としては、銅(Cu)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及び/又は亜鉛(Zn)が挙げられる。
【0047】
上記のように、化合物の有機部分は、以下の元素、炭素(C)、水素(H)、及び酸素(O)を含む。特定の変形例では、化合物の有機部分は、以下の元素、炭素(C)、水素(H)、及び酸素(O)を含む。
【0048】
低温燃焼ハイドレート燃料の有機部分は、アミド、イミド、ヒドロキシル、カルボン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む。以下で更に説明するように、適切な有機アニオン又は有機錯体は、シアヌレート、メラミンオキサレート、及びマロネートを含む。
【0049】
特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料、より具体的には、低温燃焼ハイドレート燃料の有機部分は、(iii)約0.5以上の酸素対炭素のモル比を有する。
【0050】
特定の他の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料は、(iv)(化学量論的に)少なくとも半個の水分子の水和を含む。更に、低温燃焼ハイドレート燃料は、示差走査熱量計(DSC)で、許容誤差±0.1℃/分間、5℃/分間の均一な加熱速度で加熱した場合、約140℃以上の水放出温度を有する。このテストの目的のために、2mg±0.1mgの粉末サンプルを使用することができる。TA instrument製のDSC装置がこのテストに適する。水放出温度は、DSCで、均一な加熱速度で加熱されたとき、塩に組み込まれた水が塩から解離し始める温度である。これは、化学量論量の水が十分な引力で塩に組み込まれたときにテストできる。特定の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料化合物には、有機アニオン又は塩に応じて、少なくとも1分子の水和、及び任意選択で2つ以上の分子の水和がある。遷移金属塩又は錯体に化学的に結合した水分子は、示差走査熱量計(DSC)で、5℃/分間の均一な加熱速度で加熱した場合、少なくとも140℃から150℃まで水分子が塩から解離しないのに十分な結合強度を持つ。ガス発生剤配合物の文脈において、そのような水和物は、熱的に安定な水和塩を形成すると見なすことができる。ほとんどの水和塩では、水分子を塩に結合する化学結合は非常に弱い。したがって、水は約100℃で分子から解離し、それによってそのような水和物化合物は自動車用途には不適切であり、その理由は、ガス発生剤が、110℃もの高温で行われる加速熱老化にさらされたり、例えば100℃を超える可能性のある極端な使用条件を経たりする可能性があるためである。しかし、本教示によって提供される低温燃焼ハイドレート燃料化合物において、結合はかなり強く、温度が最低約140℃から約150℃に達するまで水は塩から解離しないため、自動車システムでガス発生剤として使用するために熱的に安定する。水分子の除去には、かなりの量のエネルギーが吸収される。更に、一旦除去されると、水分子は配合物のガス収率に役立ち、その結果、それらの燃料化合物は、自動車のガス発生組成物に稀有の低温燃焼、高ガス収率の燃料を提供する。
【0051】
したがって、特定の変形例では、約140℃以上、任意選択で約150℃以上、任意選択で約160℃以上、任意選択で約165℃以上、及び特定の変形例では、任意選択で約170℃以上の水放出温度を有する熱的に安定な水和物化合物を有する燃料化合物を含む、自動車の膨張式拘束システム用のガス発生剤組成物が提供される。
【0052】
他の態様では、低温燃焼ハイドレート燃料は、(v)少なくとも約-400キロジュール/モルの発熱の生成熱を有し、この場合、慣例により、発熱イベント/反応を示す符号は負になる(これにより、値が負であるほど、発熱の生成熱が大きくなる)。特定の変形では、低温燃焼ハイドレート燃料は(v)、少なくともこの発熱であり、より負の生成熱、例えば、少なくとも約-410キロジュール/モル、任意選択で少なくとも約-425キロジュール/モル、特定の変形例では、任意選択で少なくとも約-450キロジュール/モルを有することにより、より発熱であり得る。
【0053】
様々な態様では、本開示の低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、以下の特徴のそれぞれを有する。低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、有機化合物の遷移金属塩又は遷移金属錯塩である。化合物の有機部分は、炭素、水素、酸素、及び任意選択で窒素を含み、更に、アミド、イミン、ヒドロキシル、又はカルボン酸のリストから選択される少なくとも1つの官能基を含む。低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、酸素対炭素のモル比が0.5を超え、少なくとも-400キロジュール/モルの発熱の生成熱を有する。更に、それらの低温燃焼化合物は、遷移金属塩に化学的に結合した最低の半個の水分子を有し、望ましくは、水分子が少なくとも約140℃から150℃まで塩から解離しないように十分な結合強度を有する。
【0054】
特定の変形例では、低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、シアヌル酸銅二水和物を含む。シアヌル酸銅二水和物は、次の構造で表すことができる:
【化1】
ケミカルアブストラクトサービス(CAS)番号は63516-75-6であり、この化合物は、銅,ジアクアビス(1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H-トリオナト-N1)-,(SP-4-1)-9CIとも呼ばれる。この化合物には、2つ水分子の水和がある(シアヌル酸銅の各分子に結合する)。シアヌル酸銅二水和物は、1当量の水酸化第二銅と1当量のシアヌル酸との反応生成物であり、したがって熱的に安定な水和物であるシアヌル酸の水和銅II塩を形成する。(水和の)水分子は約200℃まで塩から解離しない。水分子の除去ではかなりの量のエネルギーが吸収され、一旦除去されると、水分子は、ガス発生剤配合物のガス収率、ひいては低温燃焼ハイドレート燃料の提供に役立つ。
【0055】
特定の変形例では、低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、シュウ酸メラミン銅二水和物錯体を含む。シュウ酸メラミン銅二水和物の化学量論は次のとおりである:[3Cu(C
2O
4)](C
3H
6H
6)
2.2H
2O。この化合物には、2つの水分子の水和がある(シュウ酸メラミン銅の各分子に結合する)。生成物は、3当量の水酸化第二銅と1当量の2:3メラミンオキサレートとの反応によって形成され得る。シュウ酸メラミン銅二水和物には、約225℃の水放出温度を有する熱的に安定な水の水和がある。
特定の他の変形例では、低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、マロン酸銅水和物を含む。マロン酸銅水和物は、次の構造で表すことができる:
【化2】
該化合物には、1つの水分子の水和がある(マロン酸銅水和物の各分子に結合する)。該化合物は、1当量の水酸化第二銅と1当量のマロン酸との反応によって形成される生成物であり得る。マロン酸銅水和物には、約225℃の水放出温度を有する熱的に安定な水の水和がある。
【0056】
したがって、特定の態様では、本開示の低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0057】
本開示は、燃焼時の低い火炎温度を可能にし、良好な性能を維持しながら、例えば約1700K(1,427℃)以下の最高燃焼温度を有し、特に、塩基性硝酸銅と硝酸グアニジンとのような特定の燃料と酸化剤との組み合わせを使用できる、代替の低温燃焼ガス発生剤組成物を提供する。特定の態様では、本開示によって提供される低温燃焼ガス発生剤の最高燃焼温度は、約1400K(1,127℃)以上から約1600K(1,327℃)以下であり得る。それらの低温燃焼ハイドレート燃料化合物が熱的に安定な水和物を形成するという事実を考慮すると、それらの冷却特性は優れ、適切なガス収率を含む良好な性能をなお提供すると同時に、硝酸グアニジンのようなより大量の共燃料をガス発生剤配合物に使用することができる。以下で更に説明するように、低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、燃焼に関与し(例えば、燃料として)、大きな粒子サイズの吸熱冷却剤を使用する必要性を排除することができる。更に、低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、高い冷却能力を有し、それによって比較的少量の化合物が配合物を所望の温度に冷却することを可能にし、それによって高いガス収率を維持する。他の低温燃焼共燃料は、低温燃焼ガス発生剤のそれらの要件を潜在的に満たすように見えるが、それらの代替オプションの多くは、燃焼速度の過度の圧力感度、低い燃焼速度、及び/又は不十分なガス収率など、望ましい顕著な特性を有する配合物を提供しない。しかし、本開示によれば、本開示の低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、低温燃焼ガス発生剤組成物を提供するためにそれらの性能基準の全てを満たすことができる燃料として機能する。
【0058】
特定の態様では、本開示の低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。低温燃焼ハイドレート燃料は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約50重量%以下、任意選択でガス発生剤組成物の約5重量%以上から約45重量%以下、任意選択でガス発生剤組成物の約5重量%以上から約40重量%以下、任意選択でガス発生剤組成物の約5重量%以上から約35重量%以下、任意選択でガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下、任意選択でガス発生剤組成物の約10重量%以上から約30重量%以下で存在し得る。
【0059】
低温燃焼ガス発生剤組成物に限定されないが、特定の態様では、ガス発生剤組成物は、比較的低温での低温燃焼ガス発生剤組成物の共燃料として使用できる低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含む。ガス発生剤組成物はまた、少なくとも1つの酸化剤とともに、別の一次燃料、1つ以上の追加の共燃料を含み得る。当技術分野で知られるほとんどの燃料は、本技術で使用することができ、概して、ガス収率、燃焼速度、熱安定性、及び低コストなどの特定の望ましい特性をガス発生剤配合物に与えるように選択される。それらの燃料は、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、及び酸素(O)のうちの2つ以上の元素を含む有機化合物にすることができる。燃料はまた、遷移金属塩及び遷移金属硝酸塩錯体を含み得る。特定の変形例では、好ましい遷移金属は銅及び/又はコバルトである。本教示の特定の態様によれば、本発明のガス発生剤組成物のために共燃料が選択され、それによって塩基性硝酸銅などの銅を含む特定の酸化剤と燃焼した場合、結果として得られた最高燃焼火炎温度(Tc)は、約1400K(1,127℃)以上から1700K(1,427℃)以下の範囲内になる。
【0060】
本教示によるガス発生剤に有用な燃料の例は、硝酸グアニジン、5,5’-ビテトラゾール二アンモニウム(DABT)、二硝酸銅ビスグアニル尿素、硝酸ヘキサミンコバルト(III)、銅ジアンミンビテトラゾール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。燃料は、単独で、又は低温燃焼ハイドレート燃料化合物に加えて他の共燃料と組み合わせて使用し、所望の燃焼特性を与えることができる。低温燃焼ハイドレート燃料化合物に加えて、低温燃焼ガス発生剤は、全ガス発生剤組成物の約10重量%以上から約50重量%以下のそのような追加の燃料を含み得る。適切な低温燃焼ガス発生剤組成物は、全ガス発生剤組成物中の燃料成分の総量の約15重量%以上から約80重量%以下、任意選択で約25%以上から約70%以下、任意選択で約30%以上から約55%以下の低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含む燃料の総量を任意選択で含む。
【0061】
本開示のガス発生剤組成物に適した特定の酸化剤は、非限定的な例として、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、及び/又はCsを含むIUPAC周期表の第1族の元素)、アルカリ土類金属(例えば、Be、Ng、Ca、Sr、及び/又はBaを含むIUPAC周期表の第2族の要素)、硝酸アンモニウム、亜硝酸塩、過塩素酸塩、金属酸化物(Cu、Mo、Fe、Bi、Laなどを含む)、塩基性金属硝酸塩(例えば、Mn、Fe、Co、Cu、及び/又はZnを含むIUPAC周期表の第4周期の遷移金属の元素)、硝酸アンモニウムの遷移金属錯体(例えば、IUPAC周期表の第3族~第12族から選択される元素)、金属アンミン硝酸塩、金属水酸化物、及びそれらの組み合わせを含む。1つ以上の共燃料/酸化剤が燃料成分とともに選択され、燃焼時に燃料から効果的に高い燃焼速度及びガス収率を達成するガス発生剤を形成する。適切な酸化剤の1つの非限定的な特定の例は、塩基性硝酸銅を含む。ガス発生剤は、酸化剤の組み合わせを含み得、その結果、酸化剤は、名目上、一次酸化剤、二次酸化剤などと見なされ得る。
【0062】
酸化剤は、ガス発生組成物の約70重量%以下、任意選択で約60重量%以下、任意選択で約50重量%以下、任意選択で約40重量%以下、任意選択で約30重量%以下、任意選択で約25重量%以下、任意選択で約20重量%以下、及び特定の態様では、ガス発生剤組成物の約15重量%以下の量で、ガス発生剤組成物中にそれぞれ存在し得る。
【0063】
本開示の特定の変形例では、ガス発生剤組成物は、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下、特定の変形例では、任意選択で約30重量%以上から約60重量%以下の酸化剤の総量を含む。過塩素酸塩などの二次酸化剤が、塩基性硝酸銅などの一次酸化剤と組み合わせて含まれる場合、ガス発生剤の低温燃焼特性を保持するために、全ガス発生剤組成物の約1重量%以上から約10重量%以下の量に制限され得る。
【0064】
ガス発生剤組成物は、任意選択で当業者に知られる追加の成分を含み得る。そのような添加剤は、典型的には、ガス発生材料の燃焼後に残るスラグの取り扱い又は他の材料特性を改善するように機能し、火工品原料を取り扱い又は処理する能力を改善する。非限定的な例として、ガス発生剤組成物のための追加の成分は、流動助剤、圧搾助剤、金属酸化物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。少量の成分又は添加剤がガス発生剤に含まれている場合、それらは、全ガス発生剤組成物の約15重量%以下、任意選択で全ガス発生剤組成物の約10重量%以下、及び特定の変形例では、任意選択で全ガス発生剤組成物の約5重量%以下で累積的に存在し得る。例として、そのような添加剤は、流動助剤、圧搾助剤、スラッギング剤、冷却剤、金属酸化物、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。ガス発生剤組成物中に存在する場合、特定の変形例では、それぞれの添加剤は、ガス発生剤の0重量%以上から約5重量%以下、任意選択で約0.1重量%以上から約4重量%以下、及び特定の変形例では、任意選択で約0.5重量%以上から約3重量%以下で存在し得、その結果、添加剤の総量は約4%以下になる。
【0065】
非限定的な例として圧縮処理中に使用される圧搾助剤は、グラファイト、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛状窒化ホウ素などの潤滑剤及び/又は離型剤を含み、任意選択でガス発生剤組成物に含まれ得る。高表面積のヒュームドシリカなどの従来の流動助剤も使用することができる。
【0066】
スラグ形成剤又はスラッギング剤は、耐火性化合物、例えば、二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムであり得る。従来のスラッギング剤の例は、アルミニウム、ケイ素、及び二酸化チタン、耐火材料、又は燃焼火炎温度若しくはその近くで溶融する他の金属酸化物である。ガス温度を下げるための冷却剤は、塩基性炭酸銅又は他の適切な炭酸塩を含む。
【0067】
ガス発生剤組成物は、任意選択で粘度調整化合物又は追加のスラグ形成剤(上記の吸熱性スラグ形成成分に加えて)として機能する金属酸化物を含み得る。適切な金属酸化物は、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ビスマス、酸化モリブデン、酸化ランタンなどを含み得る。
【0068】
特定の態様では、低温燃焼ガス発生剤は、燃焼時の最高火炎温度(Tc)が約1900K(1,627℃)以下、任意選択で約1700K(1,427℃)以下、及び特定の変形例では、任意選択で約1600K(1,327℃)以下であると見なされ得る。特定の態様では、本開示の低温燃焼ガス発生剤は、燃焼時の最高火炎温度(Tc)が比較的低く、例えば、約1400K(1,127℃)以上から約1700K(1,427℃)以下、特定の変形例では、任意選択で約1400K(1,127℃)以上から約1600K(1,327℃)以下である。それにより、従来の化合物で達成されるよりも高いガス収率をそれらの火炎温度で達成することができる。
【0069】
そのような低温燃焼ガス発生剤は、衝突時に自動車の乗員に火傷や負傷のリスクを与えることなく、適切な拘束及び保護を提供する方法で動作する、フィルタリングを低減したインフレータ装置を可能にすることが示された。したがって、火炎温度を最小限に抑えることが有利である。しかし、低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、任意のガス発生剤に使用することができ、必ずしも低温燃焼ガス発生剤に限定されない。
【0070】
本教示の特定の態様によれば、約140℃以上の水放出温度を有し、任意選択でガス発生剤の約5.7モル/100cm3以上の体積ガス収率を有する低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含む、改善されたガス発生剤組成物が提供される。重量ガス収率と密度との積は、体積ガス収率である。特定の実施形態では、体積ガス収率は、ガス発生剤の約5.8モル/100cm3以上、任意選択でガス発生剤の約5.9モル/100cm3以上、任意選択でガスの約6.0モル/100cm3以上、任意選択でガス発生剤の約6.1モル/100cm3以上、特定の変形例では、任意選択でガス発生剤の約6.2モル/100cm3以上である。
【0071】
特定の変形例では、ガス発生剤は、約2g/cm3より大きく、任意選択で約2.1g/cm3以上であり、特定の変形例では、任意選択で約2.2g/cm3以上の質量密度を有する。
【0072】
体積ガス収率に関して改善されたガス発生剤の性能に加えて、観察された燃焼速度によって決定される相対的な迅速さもまた、インフレータのガス発生剤の設計において重要である。概して、ガス発生剤組成物の燃焼速度は、簡略化された方程式で表すことができる:
rb=k(P)n (方程式1)
式中、rbは燃焼速度(線形)であり、kは定数であり、Pは圧力、nは圧力指数であり、圧力指数は、線形燃焼速度(rb)対圧力(P)の両対数プロットを介して描かれた線形回帰直線の勾配である。
【0073】
様々な実施形態では、本開示によって提供されるガス発生剤は、エアバッグの膨張のための望ましい圧力曲線を可能にする、望ましくは高い燃焼速度を有する。ガス発生材料の線形燃焼速度「rb」は、所与の圧力での時間当たりの長さで表すことができる。本開示の様々な態様によれば、ガス発生剤は、約21メガパスカル(MPa)の圧力で毎秒約18mm以上の線形燃焼速度を有する。特定の実施形態では、ガス発生剤の燃焼速度は、約21MPAの圧力で毎秒約19mm以上、任意選択で約21MPAの圧力で毎秒約20mm以上、任意選択で約21MPAの圧力で毎秒約21mm以上、任意選択で約2MPAの圧力で毎秒約22mm以上、任意選択で約21MPAの圧力で毎秒約23mm以上である。
【0074】
特定の態様では、許容可能な圧力感度を有するガス発生材料は、約0.35以下、任意選択で約0.3以下の線形燃焼速度勾配又は圧力指数(n)を有する。約0.35以下の線形燃焼速度勾配を有する材料は、高温から低温までの性能変動要件を満たし、インフレータの性能変動及び圧力要件も低減することができる。したがって、様々な態様では、ガス発生材料は、インフレータ操作の圧力範囲にわたって一定の勾配を有することが望ましく、それは、典型的には約1,000psi(約6.9MPA)から約5000psi(約34.5MPA)であり、望ましくは約0.35以下の一定の勾配を有する。
【0075】
以下で更に説明するように、低温燃焼ハイドレート燃料化合物又は錯体は、燃焼に関与し(例えば、燃料として)、大きな粒子サイズの吸熱冷却剤を使用する必要性を排除することができる。更に、低温燃焼ハイドレート燃料は、高い冷却能力を有し、それにより、比較的少量の化合物が配合物を所望の温度に冷却することを可能にし、それにより、高いガス収率を維持する。
【0076】
特定の実施形態では、ガス発生剤は、上記の低温燃焼ハイドレート化合物の形態の燃料、二次燃料(例えば、共燃料)、及び1つ以上の酸化剤を含む。ガス発生剤組成物は、低温燃焼ハイドレート燃料化合物に加えて、上記のような塩基性金属硝酸塩酸化剤、及び硝酸グアニジンのような窒素含有共燃料を含み得る。特定の変形例では、低温燃焼ガス発生剤は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される低温燃焼ハイドレート燃料化合物、共燃料、並びに1つ以上の酸化剤を含む。ガス発生剤組成物は、約1700K(1,427℃)以下の燃焼時の最高火炎温度(Tc)を有する低温燃焼ガス発生剤であり得る。ガス発生剤は、約21メガパスカル(MPa)の圧力で、毎秒約18mm以上の線形燃焼速度を有する。更に、ガス発生剤は、約5.7モル/100cm3以上のガス発生剤組成物のガス収率を有する。
【0077】
ガス発生剤は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約50重量%以下の低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含み得、全ガス発生剤組成物の約10重量%以上から約50重量%以下で存在する共燃料、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在する酸化剤、及び全ガス発生剤組成物の0重量%以上から約15重量%以下で存在する1つ以上のガス発生剤添加剤を更に含む。特定の変形例では、低温燃焼ハイドレート燃料は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下で存在し得る。
【0078】
別の変形例では、ガス発生剤は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約50重量%以下の低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含み、全ガス発生剤組成物の約10重量%以上から約50重量%以下で存在する硝酸グアニジン共燃料、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在する塩基性硝酸銅酸化剤、及び全ガス発生剤組成物の0重量%以上から約15重量%以下で存在する1つ以上のガス発生剤添加剤を更に含み得る。特定の変形例では、低温燃焼ハイドレート燃料は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下で存在し得る。低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。そのようなガス発生剤は、低温燃焼であり得、燃焼時の最高火炎温度(Tc)は、約1400K(1,127℃)以上から約1700K(1,427℃)以下であり得る。
【0079】
更に別の変形例では、ガス発生剤は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約50重量%以下、任意選択でガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下の低温燃焼ハイドレート燃料組成物を含み、全ガス発生剤組成物の約10重量%以上から約30重量%以下で存在する硝酸グアニジン共燃料、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在する塩基性硝酸銅酸化剤、及び全ガス発生剤組成物の0重量%以上から約15重量%以下で存在する1つ以上のガス発生剤添加剤を更に含み得る。特定の変形例では、低温燃焼ハイドレート燃料は、ガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下で存在し得る。低温燃焼ハイドレート燃料化合物は、シアヌル酸銅二水和物、シュウ酸メラミン銅二水和物、マロン酸銅水和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。そのようなガス発生剤は、低温燃焼であり得、燃焼時の最高火炎温度(Tc)は、約1400K(1,127℃)以上から約1700K(1,427℃)以下であり得る。
【0080】
更なる変形例では、低温燃焼ガス発生剤組成物は、シアヌル酸銅二水和物と、硝酸グアニジンを含む共燃料と、塩基性硝酸銅を含む酸化剤と、1つ以上のガス発生剤添加剤とを含む自動車の膨張式拘束システムのために企図され、ここで燃焼時の最高火炎温度(Tc)は約1700K(1,427℃)以下である。シアヌル酸銅二水和物は、任意選択でガス発生剤組成物の約5重量%以上から約30重量%以下で存在し、硝酸グアニジンを含む共燃料は、全ガス発生剤組成物の約15重量%以上から約50重量%以下で存在し得、塩基性硝酸銅を含む酸化剤は、全ガス発生剤組成物の約25重量%以上から約70重量%以下で存在し得、1つ以上のガス発生剤添加剤は、全ガス発生剤組成物の0重量%以上から約15重量%以下で存在し得る。そのような低温燃焼ガス発生剤組成物は、(i)約5.7モル/100cm3以上のガス発生剤のガス収率、(ii)約10メガパスカル(MPa)の圧力で毎秒約18mm以上の線形燃焼速度、及び/又は(iii)約0.35以下の線形燃焼速度圧力指数のうち1つ以上を有し得る。
【0081】
本発明の技術の様々な実施形態は、本明細書に含まれる特定の実施例によって更に理解することができる。特定の非限定的な例は、本教示による組成物、装置、及び方法をどのように作製及び使用するかを説明する目的で提供される。
【0082】
実施例1
【0083】
約140℃以上の水放出温度を有する低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含むガス発生剤がテストされる。より具体的には、シアヌル酸銅二水和物を含む混合物1及び混合物2と呼ばれるガス発生剤組成物をテストし、シアヌル酸銅二水和物の、火炎温度に対する影響、及び塩基性硝酸銅(bCN)と硝酸グアニジン(GuNO
3)とを主成分とし、過塩素酸アンモニウム共酸化剤とスラッギング剤として二酸化ケイ素(SiO
2)とを少量の百分率で含むガス発生剤配合物のガス収率に対する影響を評価する。組成及び実験結果を表1に示す。
【表1】
【0084】
実施例2
【0085】
約140℃以上の水放出温度を有する低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含むガス発生剤がテストされる。より具体的には、シュウ酸メラミン銅二水和物を含む混合物3及び混合物4と呼ばれるガス発生剤組成物は、塩基性硝酸銅(bCN)と硝酸グアニジン(GuNO
3)とを主成分とし、過塩素酸アンモニウム共酸化剤とスラッギング剤として二酸化ケイ素(SiO
2)とを少量の百分率で含むガス発生剤の、火炎温度及びガス収率についてテストされる。組成及び実験結果を表2に示す。
【表2】
【0086】
実施例3
【0087】
約140℃以上の水放出温度を有する低温燃焼ハイドレート燃料化合物を含むガス発生剤がテストされる。より具体的には、マロン酸銅水和物を含む混合物5及び混合物6と呼ばれるガス発生剤組成物は、塩基性硝酸銅(bCN)と硝酸グアニジン(GuNO
3)とを主成分とし、過塩素酸アンモニウム共酸化剤とスラッギング剤として二酸化ケイ素(SiO
2)とを少量の百分率で含むガス発生剤の、火炎温度及びガス収率についてテストされる。組成及び実験結果を表3に示す。特に、例えば、混合物6では、約1405Kの低い最高火炎温度を達成することができるが、そのような実施形態では、体積ガス収率がいくらか低下する場合がある。
【表3】
【0088】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提供される。それは、網羅的であったり、開示を制限したりすることを意図したものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、全般的に、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合、交換可能であり、具体的に示されない、又は説明されない場合であっても、選択される実施形態で使用することができる。同じことも多くの方法で変えることができる。そのような変形例は、開示からの逸脱と見なされるべきではなく、そのような全ての修正は、開示の範囲内に含まれることを意図する。