(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】画像データ生成装置及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2022504948
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009857
(87)【国際公開番号】W WO2021176728
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 輝之
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/077591(WO,A1)
【文献】特許第6339316(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の電子部品を実装する実装処理を実行した後の前記複数の電子部品の配置状態を表示する画像データを生成する画像データ生成装置であって、
前記実装処理で実装される複数の電子部品のそれぞれについて、当該電子部品の実装位置及び外形状を入力し、前記実装位置は、前記基板の表面に直交する高さ方向の位置を含んでいる、部品情報入力部と、
前記部品情報入力部により入力された電子部品の実装位置及び外形状に基づいて、前記実装処理で実装される複数の電子部品のそれぞれが当該電子部品の実装位置に配置されたときの状態を表示する画像データを生成する画像データ生成部であって、
前記実装処理後の基板を平面視した場合に、前記実装処理で実装される電子部品であって、当該電子部品が他の電子部品と重なる位置に実装され、かつ、当該電子部品と前記他の電子部品とが前記基板の高さ方向の位置が異なるときは、前記部品情報入力部により入力された電子部品の高さ方向の位置に基づいて、当該電子部品と前記他の電子部品のうち前記基板側に実装される一方を第1の態様で表示し、他方を前記第1の態様とは異なる第2の態様で表示する前記画像データを生成し、
前記実装処理後の基板を平面視した場合に、前記実装処理で実装される電子部品であって、当該電子部品が他の電子部品と重なる位置に実装され、かつ、当該電子部品と前記他の電子部品とが前記基板の高さ方向の位置が同一となるときは、当該電子部品及び前記他の電子部品を前記第1の態様及び前記第2の態様とは異なる第3の態様で表示する前記画像データを生成する、画像データ生成部と、を備える、画像データ生成装置。
【請求項2】
前記基板の外形状を入力する基板情報入力部をさらに備え、
前記画像データは、前記実装処理後の前記基板を平面視したときの前記基板及び前記複数の電子部品の配置状態を表示する画像データであって、前記基板情報入力部により入力された前記基板の外形状を表す基板輪郭線と、前記実装処理で実装される各電子部品の外形状を表す電子部品輪郭線とを重ね合わせて表示するためのデータである、請求項
1に記載の画像データ生成装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の画像データ生成装置と、
前記画像データ生成装置で生成された前記画像データを表示する表示部と、
前記実装処理を実行する部品実装機と、を備える部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、基板上に複数の電子部品を実装する実装処理を実行した後の複数の電子部品の配置状態を表示する画像データを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品を基板に実装する部品実装機は、各電子部品の基板上の実装位置を予め設定する実装データに基づいて、実装処理を実行する。実装データに誤りがあると、所望の製品を生産できない。そこで、実装処理前に実装データが正しいか否かを作業者が判断するために、実装データに従い実装処理を実行した後の電子部品の配置状態を画面に表示することがある。表示された画面上において複数(例えば、2つ)の電子部品が重なっている場合には、実装データを設定する際にミスがあった可能性がある。一方で、部品実装機を用いて基板に電子部品を実装する際には、先に基板上に実装された電子部品の上に重ねて他の電子部品を実装することもある。
【0003】
複数の電子部品を重ねて実装する場合には、実装データにおいて複数の電子部品の上下の位置を正確に設定する必要がある。実装データ上で複数の電子部品の上下の位置関係に誤りがある場合には、実装データを修正する必要が生じる。例えば、特開2010-147322号公報には、2つの電子部品を重ねて実装する場合の実装データの生成方法が開示されている。特開2010-147322号公報では、実装データにおいて2つの電子部品が重なる場合、それら2つの電子部品の高さ情報(レイア情報)に基づいてエラーを検出する。エラーは、重なる2つの電子部品の高さ情報に矛盾が生じるか否かで判断される。エラーが検出されると、エラーが検出された2つの電子部品が付加情報等を付加して表示されると共に、実装データにおける2つの電子部品の高さ情報が、自動又は手動で修正される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2010-147322号公報の技術では、実装データにおいて2つの電子部品が重なる場合に、2つの電子部品の高さ情報に矛盾がある(例えば、2つの電子部品が同一レイアに配置されている)とエラーが検出され、それら2つの電子部品をエラーがない場合とは異なる態様で表示する。このため、作業者は、表示画像からどの電子部品にエラーが生じているのかを判断できる。しかしながら、作業者は、それら2つの電子部品の上下の位置関係については、表示画像から判断できない。特開2010-147322号公報の技術では、2つの電子部品の高さ情報に矛盾がなければ(例えば、2つの電子部品が同一レイアに配置されていなければ)エラーとして検出されないため、実装データにおいて2つの電子部品の上下の位置関係に誤りがあっても(例えば、上下の位置関係が逆に設定されていても)、実装データ上で矛盾が生じなければ異なる態様で表示されず、誤りに気付くことは困難であった。また、表示画面において2つの電子部品の上下の位置関係を視認できないため、作業者は、2つの電子部品の上下の位置関係が正しいかどうかを表示画面から判断できなかった。
【0005】
本明細書は、複数の電子部品を重ねて実装する場合に、複数の電子部品がどのように重なるのかを視認可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する第1の画像データ生成装置は、基板上に複数の電子部品を実装する実装処理を実行した後の複数の電子部品の配置状態を表示する画像データを生成する。画像データ生成装置は、部品情報入力部と、画像データ生成部と、を備える。部品情報入力部は、実装処理で実装される複数の電子部品のそれぞれについて、当該電子部品の実装位置及び外形状を入力する。実装位置は、基板の表面に直交する高さ方向の位置を含んでいる。画像データ生成部は、部品情報入力部により入力された電子部品の実装位置及び外形状に基づいて、実装処理で実装される複数の電子部品のそれぞれが当該電子部品の実装位置に配置されたときの状態を表示する画像データを生成する。画像データ生成部は、実装処理後の基板を平面視した場合に、実装処理で実装される電子部品であって、当該電子部品が他の電子部品と重なる位置に実装されるときは、部品情報入力部により入力された電子部品の高さ方向の位置に基づいて、当該電子部品と他の電子部品のうち基板側に実装される一方を第1の態様で表示し、他方を第1の態様とは異なる第2の態様で表示する画像データを生成する。
【0007】
上記の画像データ生成装置では、実装処理において電子部品が重なるように配置されるときは、重なる電子部品のうちのどちらが基板側(下側)に実装されるのかを表示することができる。このため、作業者は、電子部品がどのように重なるのかを表示画像から視覚的に判断することができる。
【0008】
本明細書に開示する第2の画像データ生成装置は、基板上に複数の電子部品を実装する実装処理を実行した後の複数の電子部品の配置状態を表示する画像データを生成する。画像データ生成装置は、部品情報入力部と、画像データ生成部と、を備える。部品情報入力部は、実装処理で実装される複数の電子部品のそれぞれについて、当該電子部品の実装位置及び外形状を入力する。実装位置は、基板の表面に直交する高さ方向の位置を含んでいる。画像データ生成部は、部品情報入力部により入力された電子部品の実装位置及び外形状に基づいて、実装処理で実装される複数の電子部品のそれぞれが当該電子部品の実装位置に配置されたときの状態を表示する画像データを生成する。画像データ生成部は、実装処理後の基板を平面視した場合に、実装処理で実装される電子部品であって、当該電子部品が他の電子部品と重なる位置に実装され、かつ、当該電子部品と他の電子部品とが基板の高さ方向の位置が異なるときは、部品情報入力部により入力された電子部品の高さ方向の位置に基づいて、当該電子部品と他の電子部品のうち基板側に実装される一方を第1の態様で表示し、他方を第1の態様とは異なる第2の態様で表示する画像データを生成する。画像データ生成部は、実装処理後の基板を平面視した場合に、実装処理で実装される電子部品であって、当該電子部品が他の電子部品と重なる位置に実装され、かつ、当該電子部品と他の電子部品とが基板の高さ方向の位置が同一となるときは、当該電子部品及び他の電子部品を第1の態様及び第2の態様とは異なる第3の態様で表示する画像データを生成する。
【0009】
上記の画像データ生成装置では、例えば、基板に実装する2つの電子部品が平面視で重なり、かつ、高さ方向の位置が異なる場合には、それら電子部品を第1の態様及び第2の態様で表示することにより、電子部品がどのように重なるのかを表示画像から視覚的に判断することができる。一方、例えば、2つの電子部品が平面視で重なるにも関わらず、それら2つの電子部品の高さ方向の位置が同一となる場合、そのまま実装処理を実行すると2つの電子部品が干渉することになる。このような場合にこれら電子部品を第3の態様で表示することにより、作業者は、これらの電子部品が干渉することを視覚的に判断することができる。
【0010】
本明細書に開示する部品実装システムは、上記の第1又は第2の画像データ生成装置と、画像データ生成装置で生成された画像データを表示する表示部と、実装処理を実行する部品実装機と、を備える。
【0011】
上記の部品実装システムは、上記の第1又は第2の画像データ生成装置を備えるため、上記の第1又は第2の画像データ生成装置を同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例に係る部品実装システムの概略構成を示す図。
【
図2】画像データ生成装置及び管理装置の構成を示す図。
【
図3】画像データ生成装置において、画像データを生成する処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】(a)は画像データの一例を示す図であり、(b)は(a)に対応する電子部品の配置状態を示す側面図。
【
図6】(a)は画像データの他の一例を示す図であり、(b)は(a)に対応する電子部品の配置状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0014】
本明細書に開示する画像データ生成装置は、基板の外形状を入力する基板情報入力部をさらに備えていてもよい。画像データは、実装処理後の基板を平面視したときの基板及び複数の電子部品の配置状態を表示する画像データであって、基板情報入力部により入力された基板の外形状を表す基板輪郭線と、実装処理で実装される各電子部品の外形状を表す電子部品輪郭線とを重ね合わせて表示するためのデータであってもよい。このような構成によると、作業者は、基板上に電子部品がどのように配置されるのかを視覚的に容易に把握することができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例に係る部品実装システム1について説明する。
図1に示すように、部品実装システム1は、部品実装機10と、管理装置8を備えている。
【0016】
部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20と、タッチパネル24と、制御装置30を備える。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0017】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。装着ヘッド16は、一又は複数の吸着ノズル6を着脱可能に保持し、吸着ノズル6を用いて部品フィーダ12が供給する電子部品4を取り上げ、当該電子部品4を回路基板2上へ装着する。このとき、ヘッド移動装置18が、部品フィーダ12及び回路基板2に対して、装着ヘッド16を移動させる。これによって、複数の部品フィーダ12のうち特定の部品フィーダ12から電子部品4が取り上げられ、回路基板2の予め定められた位置に電子部品4が装着される。基板コンベア20は、回路基板2の搬入、支持及び搬出を行う。
【0018】
タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。制御装置30は、CPU及びメモリを備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置30は、管理装置8と通信可能に接続されている。制御装置30は、管理装置8から送信される生産プログラム(実装データ)に基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。
【0019】
管理装置8は、CPU及びメモリを備えるコンピュータを用いて構成されている。管理装置8は、部品実装機10と通信可能に接続されている。管理装置8は、部品実装機10で回路基板2に実装する電子部品4の種類及び位置等を決定し、それらを部品実装機10に指示する。部品実装機10が管理装置8の指示に基づいて動作することで、回路基板2に必要な電子部品4が実装される。また、
図2に示すように、管理装置8は、入力部50と表示部52を備えている。入力部50は、各電子部品4の部品情報(後述)や基板情報(後述)の入力を受け付ける。表示部52は、後述の画像データ生成部46で生成された画像データを表示する。
【0020】
また、管理装置8は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、
図2に示す画像データ生成装置100として機能する。画像データ生成装置100は、画像データ生成部46を備えており、生産プログラム(実装データ)に従って部品実装機10が実装処理を実行した後の、回路基板2上の複数の電子部品4の配置状態を表示する画像データを生成する。画像データ生成部46の処理については、後で詳述する。
【0021】
図2に示すように、画像データ生成装置100は、部品情報記憶部42と基板情報記憶部44を備えている。部品情報記憶部42は、実装処理に用いられる複数の電子部品4のそれぞれについて、実装位置、外形状及び回路基板2への実装順序(以下、これらをまとめて各電子部品4の部品情報ともいう)を記憶している。実装位置は、回路基板2上のその電子部品4の座標(X座標、Y座標)、座標のX軸又はY軸に対する実装角度を含むと共に、回路基板2の表面に直交する高さ方向の位置を含む。高さ方向の位置は、回路基板2の表面に対する階層で示される。すなわち、回路基板2の表面上に実装される電子部品4については、高さ方向の位置は、階層1として記憶されている。回路基板2の表面上に実装される電子部品4に重ねて実装される電子部品4(以下、単に「重ねて実装される電子部品4」ともいう)については、高さ方向の位置は、階層2として記憶されている。なお、高さ方向の位置は、階層1と階層2の2層に限定されない。電子部品4が高さ方向に3つ以上重ねて実装される場合には、高さ方向の位置は、階層1及び階層2に加え、階層3以上の層を用いて設定することができる。また、本実施例では、高さ方向の位置を階層で示しているが、このような構成に限定されない。回路基板2の表面に直交する高さ方向の位置が示されていればよく、高さ方向の位置は、例えば、回路基板2の表面からの距離(例えば、0mmや1mm等)で示してもよい。
【0022】
また、重ねて実装される電子部品4については、回路基板2に実装される全ての電子部品4におけるその電子部品4の実装順序と共に、その電子部品4の下方に実装される電子部品4の後に実装されることを示す情報も記憶される。例えば、
図5(b)に示すように、電子部品4aの上に電子部品4bが実装されるとする。この場合、電子部品4bの部品情報は、電子部品4bの実装順序と共に、電子部品4aの実装後に実装することを示す情報も含む。電子部品4bの部品情報が、電子部品4aの実装後に実装することを示す情報を含むことにより、電子部品4a、4bを、正確な上下の位置関係で実装することができる。なお、重なる2つの電子部品4の上下の位置関係を規定する情報は、上記の構成に限定されない。下方に実装される電子部品4aが、その上方に実装される電子部品4bより先に実装されることを示す情報を含んでいてもよい。また、高さ方向の位置が階層1である(回路基板2の表面に実装される)全ての電子部品4が実装された後に、高さ方向の位置が階層2である(高さ方向の位置が階層1である電子部品4の上に実装される)電子部品4が実装されるように規定されていてもよい。各電子部品4の部品情報は、入力部50から入力され、画像データ生成装置100の部品情報記憶部42に記憶される。
【0023】
基板情報記憶部46は、実装処理に用いられる回路基板2の外形状(以下、基板情報ともいう)を記憶している。基板情報は、管理装置8が備える入力部50から入力され、画像データ生成装置100の基板情報記憶部44に記憶される。
【0024】
図3は、画像データ生成装置100が画像データを生成する処理の一例を示すフローチャートである。部品実装機10を用いて回路基板2上に複数の電子部品4を実装する際には、各電子部品4の回路基板2上の実装位置を予め設定する実装データ(すなわち、部品情報)が用いられる。しかしながら、部品情報に誤りがあると、所望の製品を製造できない。特に、電子部品4を重ねて実装する場合には、これらの電子部品4の回路基板2上の位置(すなわち、回路基板を平面視したときの位置)だけでなく、重なる電子部品4同士の上下の配置位置も正確に設定する必要がある。作業者が、部品情報が正確に設定されているか否かを視覚的に判断できるようにするために、画像データ生成装置100は、設定された部品情報を用いて実装した場合の複数の電子部品4の回路基板2上の配置状態を表示する画像データを生成する。
【0025】
図3に示すように、まず、画像データ生成装置100は、部品情報と基板情報を取得する(S12)。部品情報と基板情報は、入力部50から入力される。入力された部品情報は部品情報記憶部42に記憶され、入力された基板情報は基板情報記憶部44に記憶される。
【0026】
次に、画像データ生成部46は、部品情報記憶部42に記憶される部品情報及び基板情報記憶部44に記憶される基板情報に基づき、仮画像データを作成する(S14)。仮画像データは、回路基板2を平面視したときの、回路基板2と、複数の電子部品4それぞれの回路基板2上の配置位置のみを示す画像データである。仮画像データは、回路基板2を平面視したときの、回路基板2の外形状を示す基板輪郭線60(
図4参照)と、各電子部品4の外形状を示す電子部品輪郭線62(
図4参照)で構成される。仮画像データでは、複数の電子部品4同士が重なる場合であっても、それらの電子部品4の上下の配置位置は視認可能に示されない。
【0027】
図4は、仮画像データの一例を示している。
図4に示すように、画像データ生成部46は、基板情報記憶部44に記憶される基板情報に基づき、基板輪郭線60を生成する。具体的には、画像データ生成部46は、基板情報に含まれる回路基板2の外形状から、基板輪郭線60を生成する。また、画像データ生成部46は、部品情報記憶部42に記憶される部品情報に基づき、複数の電子部品4のそれぞれに対する電子部品輪郭線62を生成する。具体的には、画像データ生成部46は、部品情報に含まれる各電子部品4の座標、実装角度、外形状から、電子部品輪郭線62を生成する。
【0028】
図4では、全ての電子部品輪郭線62a~62gは、基板輪郭線60内に生成されている。これにより、回路基板2に対する各電子部品4の実装位置を把握できる。また、電子部品輪郭線62b~62eは、電子部品輪郭線62a内に生成されている。これにより、電子部品輪郭線62aに対応する電子部品4(以下、電子部品4aともいう)が、電子部品輪郭線62b~62eに対応する電子部品4(以下、電子部品4b~4eともいう)のそれぞれと重なることが画像上で把握できる。しかしながら、仮画像データでは、電子部品4aが、電子部品4b~4eの上方に位置するのか、下方に位置するのかは把握できない。さらに、電子部品輪郭線62fは、電子部品輪郭線62gと交差している。これにより、電子部品輪郭線62fに対応する電子部品4(以下、電子部品4fともいう)の一部が、電子部品輪郭線62gに対応する電子部品4(以下、電子部品4gともいう)の一部と重なることが把握できる。しかしながら、仮画像データでは、電子部品4fの一部が、電子部品4gの一部の上方に位置するのか、下方に位置するのかは把握できない。
【0029】
次に、画像データ生成部46は、1の電子部品4(以下、当該電子部品4ともいう)について、他の電子部品4と重なっているか否かを判定する(S16)。この判定は、当該電子部品4の電子部品輪郭線62に囲まれる領域(x1~x2,y1~y2)と、他の電子部品4の電子部品輪郭線62に囲まれる領域(x1’~x2’,y1’~y2’)とが重複するか否かを判定する。例えば、x方向の領域x1~x2とx1’~x2’とが重複し、かつ、y方向の領域y1~y2とy1’~y2’とが重複する場合、当該電子部品4と他の電子部品4とが重なっていると判定する。x方向の領域及びy方向の領域の両者が重複していない場合は、当該電子部品4と他の電子部品4とが重なっていないと判定する。
【0030】
当該電子部品4が他の電子部品4と重なっていない場合(ステップS16でNO)、ステップS16~ステップS26の処理をスキップする。一方、当該電子部品4が他の電子部品4と重なっている場合(ステップS16でYES)、画像データ生成部46は、当該電子部品4が、当該電子部品4と重なる他の電子部品4の下方であるか否かを判定する(S18)。当該電子部品4が他の電子部品4の下方であるか否かを判定する際には、画像データ生成部46は、部品情報記憶部42に記憶される部品情報のうち、高さ方向の位置を用いる。すなわち、画像データ生成部46は、当該電子部品4の高さ方向の位置と他の電子部品4の高さ方向の位置を比較して、当該電子部品4が他の電子部品4の下方であるか否かを判定する。当該電子部品4が他の電子部品4の下方である場合(ステップS18でYES)、画像データ生成部46は、当該電子部品4に対応する電子部品輪郭線62を第1の態様で表示する(S20)。第1の態様は、下方に位置することを示すものであり、例えば、黒色の破線である。
【0031】
例えば、
図4の電子部品輪郭線62aに対応する電子部品4aは、電子部品4b~4eと重なっている。ここで、
図5(b)に示すように、電子部品4aは、電子部品4b~4eより下に配置されるとする。この場合、電子部品4aの部品情報の高さ方向の位置は、電子部品4b~4eの部品情報の高さ方向の位置より下方となるように設定されている。すなわち、電子部品4aの部品情報の高さ方向の位置は、階層1と設定されており、電子部品4b~4eの部品情報の高さ方向の位置は、階層2と設定されている。したがって、画像データ生成部46は、電子部品4aが電子部品4b~4eの下方であると判定する(ステップS18でYES)。そして、
図5(a)に示すように、画像データ生成部46は、電子部品4aに対応する電子部品輪郭線62aを第1の態様である黒色の破線に変更する(S20)。
【0032】
一方、当該電子部品4が他の電子部品4の下方でない場合(ステップS18でNO)、画像データ生成部46は、当該電子部品4が、当該電子部品4と重なる他の電子部品4の上方であるか否かを判定する(S22)。当該電子部品4が他の電子部品4の上方であるか否かを判定する際にも、画像データ生成部46は、部品情報記憶部42に記憶される部品情報のうち、高さ方向の位置を用いる。すなわち、画像データ生成部46は、当該電子部品4の高さ方向の位置と他の電子部品4の高さ方向の位置を比較して、当該電子部品4が他の電子部品4の上方であるか否かを判定する。当該電子部品4が他の電子部品4の上方である場合(ステップS22でYES)、画像データ生成部46は、当該電子部品4に対応する電子部品輪郭線62を、第1の態様とは異なる第2の態様で表示する(S24)。第2の態様は、上方に位置することを示すものであり、例えば、黒色の実線である。
【0033】
例えば、
図6(b)に示すように、電子部品4aは、電子部品4b~4eの上に配置されるとする。この場合、電子部品4aの部品情報の高さ方向の位置は、電子部品4b~4eの部品情報の高さ方向の位置より上方となるように設定されている。すなわち、電子部品4aの部品情報の高さ方向の位置は、階層2と設定されており、電子部品4b~4eの部品情報の高さ方向の位置は、階層1と設定されている。したがって、画像データ生成部46は、電子部品4aが電子部品4b~4eの上方であると判定する(ステップS20でYES)。そして、
図6(a)に示すように、画像データ生成部46は、電子部品4aに対応する電子部品輪郭線62aを第2の態様である黒色の実線とする(すなわち、仮画像データでの状態を維持する)(S20)。
【0034】
一方、当該電子部品4が他の電子部品4の上方でない場合(ステップS22でNO)、部品情報において、当該電子部品4は他の電子部品4と重なっているにも関わらず、他の電子部品4の下方でも上方でもないことなる。このような設定は誤っている可能性が高い。このため、画像データ生成部46は、当該電子部品4を第1の態様及び第2の態様とは異なる第3の態様で表示する(S26)。第3の態様は、エラーである可能性を作業者に示すものであり、例えば、赤線等の第1の態様及び第2の態様とは異なる色の線である。
【0035】
例えば、
図4に示すように、電子部品4f、4gは、仮画像データ上では、電子部品4fの一部と電子部品4gの一部が重なっているが、所望の製品では電子部品4f、4gは重なっていないとする。すなわち、電子部品4f、4gの少なくとも1つの電子情報の座標に誤りがあるとする。このような場合には、電子部品4f、4gは重ならないことを想定して設定されているため、電子部品4f、4gの部品情報の高さ方向の位置は、いずれも階層1とされている。したがって、画像データ生成部46は、ステップS16において、電子部品4fが他の電子部品4gと重なっていると判定し(ステップS16でYES)、ステップS18において、電子部品4fが他の電子部品4gの下方ではないと判定し(ステップS18でNO)、ステップS22において、電子部品4fが他の電子部品4gの上方ではないと判定する(ステップS22でNO)。そして、
図5(a)に示すように、画像データ生成部46は、電子部品4fに対応する電子部品輪郭線62fを第3の態様である赤線(なお、
図5(a)では太線で示す)に変更する(S26)。
【0036】
ステップS12~S26の処理が終了すると、画像データ生成部46は、回路基板2に実装される全ての電子部品4についてステップS16~S26の処理が実行されたか否かを判定する(S28)。全ての電子部品4についてステップS16~S26の処理が実行されていない場合(ステップS28でNO)、ステップS16に戻り、ステップS16~S26の処理が実行されていない電子部品4について、ステップS16~S26の処理を繰り返す。
【0037】
例えば、
図5(b)に示す例では、電子部品4aは、先にステップS16~S26の処理された際に電子部品4b~4eより下に配置されるとすると判定され、画像データにおいて破線(第1の態様)に変更されている。その後、電子部品4bについてもステップS16~S26の処理が実行される。すなわち、画像データ生成部46は、ステップS16において、電子部品4bが他の電子部品4aと重なっていると判定し(ステップS16でYES)、ステップS18において、電子部品4bが他の電子部品4aの下方ではないと判定し(ステップS18でNO)、ステップS22において、電子部品4bが他の電子部品4aの上方であると判定する(ステップS22でYES)。そして、
図5(a)に示すように、画像データ生成部46は、電子部品4bに対応する電子部品輪郭線62bを第2の態様である黒色の実線とする(すなわち、仮画像データでの状態を維持する)(S20)。同様に、全ての電子部品4に対してステップS16~S26の処理を実行する。
【0038】
一方、全ての電子部品4についてステップS16~S26の処理が実行された場合(ステップS28でYES)、全ての電子部品4について、他の電子部品4との間の上下の位置関係の判定が終了し、画像データが完成される。画像データ生成装置100は、完成した画像データをメモリ(図示省略)に記憶し、処理を終了する。メモリに記憶された画像データは、作業者により読み出されることで、管理装置8の表示部52に表示される。
【0039】
本実施例の画像データ生成装置100は、予め設定された部品情報(実装データ)を用いて、重ねて実装される2つの電子部品4について、上方に位置する電子部品4と下方に位置する電子部品4とを異なる態様で表示する画像データを生成する。これにより、作業者は、他の電子部品と重ねて実装される電子部品4が、他の電子部品4の下方に配置されるのか、上方に配置されるのかを視覚的に把握することができる。例えば、画像データにおいて重ねて実装される2つの電子部品4が同一の態様で表示されると、2つの電子部品4が重なることは把握できるが、2つの電子部品4の上下の位置関係が正しいかどうかを把握できない。このため、2つの電子部品4の上下の位置関係を確認するためには、画像データだけでなく、部品情報も確認する必要が生じる。本実施例では、画像データのみで重ねて実装される2つの電子部品4の上下の位置関係を把握できるため、作業者の負担を軽減することができる。特に、重ねて実装される2つの電子部品4の上下の位置関係が、所望の製品とは逆に設定されている場合であっても、作業者は、このような設定ミスを画像データから容易に発見することができる。
【0040】
また、本実施例の画像データ生成装置100は、予め設定された部品情報(実装データ)を用いて、重ねて実装される2つの電子部品4について、高さ方向の位置が同一である場合に、それらの電子部品4を上下の位置関係を示す態様とは異なる態様(第3の態様)で表示する画像データを生成する。2つの電子部品4が重なるにも関わらず、高さ方向の位置が同一である場合には、部品情報に設定ミスがある可能性が高い。このような電子部品4を異なる態様で表示することによって、作業者は、設定ミスの可能性が高い電子部品4を好適に把握することができる。
【0041】
なお、本実施例では、画像データ生成部46は、仮画像データを生成する際には、電子部品4の高さ方向の位置に関わらず電子部品輪郭線62を同じ態様で表示したが、このような構成に限定されない。画像データ生成部46は、仮画像データを生成する際に、部品情報の高さ方向の位置に基づいて、階層毎に異なる表示態様で各電子部品4の電子部品輪郭線62を表示してもよい。例えば、画像データ生成部46は、仮画像データを生成する際に、高さ方向の位置が階層1と設定されている電子部品4の電子部品輪郭線62を第1の態様(例えば、黒色の破線)で表示し、高さ方向の位置が階層2と設定されている電子部品4の電子部品輪郭線62を第2の態様(例えば、黒色の実線)で表示してもよい。その後、画像データ生成部46は、電子部品4が他の電子部品4と重なっているか否かを判定し、電子部品4が他の電子部品4と重なっており、かつ、両者の高さ方向の位置が同一である場合に、それらの電子部品4の表示態様を、第1の態様又は第2の態様から第3の態様(例えば、赤線)に変更し、画像データとしてもよい。
【0042】
また、本実施例では、2つの電子部品4が重なる場合を例に、画像データ生成部46が画像データを生成する処理について説明したが、電子部品4を高さ方向に重ねる数(階層の数)は限定されない。画像データ生成部46は、電子部品4を高さ方向に3つ以上重ねて実装する実装データに基づいて、画像データを生成してもよい。電子部品4を高さ方向に3つ以上重ねる場合には、画像データ生成部46は、電子部品輪郭線62を階層毎に異なる態様で表示してもよい。例えば、電子部品4を高さ方向に3つ重ねる場合には、画像データ生成部46は、高さ方向の位置が階層1と設定されている電子部品4の電子部品輪郭線62を第1の態様で表示し、高さ方向の位置が階層2と設定されている電子部品4の電子部品輪郭線62を第2の態様で表示し、高さ方向の位置が階層3と設定されている電子部品4の電子部品輪郭線62を第3の態様で表示してもよい。この場合において、電子部品4が他の電子部品4と重なっており、かつ、高さ方向の位置が同一である場合(設定ミスがある場合)には、それらの電子部品4の電子部品輪郭線62を第1~第3の態様とは異なる第4の態様で表示してもよい。
【0043】
また、本実施例では、画像データ生成装置100は、管理装置8に設けられているが、このような構成に限定されない。例えば、管理装置8とは別個のPCに設けられていてもよいし、部品実装機10に設けられていてもよい。
【0044】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。