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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】シート回転装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20230309BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20230309BHJP
   B60N 2/075 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
B60N2/14
A47C3/18 Z
B60N2/075
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019008028
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020090267
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2018220691
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 治希
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 武志
(72)【発明者】
【氏名】金田 卓治
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-160556(JP,A)
【文献】特開2018-095152(JP,A)
【文献】特開平10-100752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材(16,46、56)上でシート(11)を回転可能としたシート回転装置において、前記ベース部材(16,46,56)に固定される支持部材(17,47,57)と、シートフレーム(12)を支持して前記支持部材(17,47,57)の外側および内側の一方に配置されるとともに前記ベース部材(16,46,56)に回転可能に支持される環状回転部材(18,48,58)と、前記支持部材(17,47,57)に係合して前記環状回転部材(18,48,58)の回転を阻止するロック位置ならびに前記支持部材(17,47,57)との係合を解除して前記環状回転部材(18,48,58)の回転を許容するロック解除位置間での作動を可能としたロック部材(19,59)と、前記支持部材(17,47,57)および前記環状回転部材(18,48,58)間に配置されるとともに前記ロック部材(19,59)が前記ロック位置にあるときには前記支持部材(17,47,57)および前記環状回転部材(18,48,58)にともに緊密に接触する状態となるものの前記ロック部材(19,59)が前記ロック解除位置にあるときには前記支持部材(17,47,57)および前記環状回転部材(18,48,58)との間に間隙を生じる状態となるようにして前記ロック部材(19,59)に連動、連結されるがたつき抑制部材(20,60,82,90)とを備えることを特徴とするシート回転装置。
【請求項2】
前記がたつき抑制部材(20,90)が、前記環状回転部材(18,48)と同軸の軸線まわりに回転することを可能として環状に形成されつつ前記支持部材(17,47)および前記環状回転部材(18,48)間に配置され、前記環状回転部材(18,48)に回動可能に支持される前記ロック部材(19)に、前記がたつき抑制部材(20,90)に連結される連結腕部(19a)が一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載のシート回転装置。
【請求項3】
前記ロック位置で前記環状回転部材(18,48)および前記支持部材(17,47)に係合するものの前記ロック解除位置では前記支持部材(17,47)との係合を解除する係合腕部(19b)が、前記環状回転部材(18,48)の周方向で前記連結腕部(19a)とは離隔した位置で前記ロック部材(19)に一体に形成されることを特徴とする請求項2に記載のシート回転装置。
【請求項4】
前記がたつき抑制部材(20)および前記環状回転部材(18,48)の一方に、前記ロック部材(19)の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記がたつき抑制部材(20)の移動方向(40)に進むにつれて高さが次第に低くなる突部側斜面(35a,37a)を有する楔形の突部(35,37)が形成され、前記がたつき抑制部材(20)および前記環状回転部材(18,48)の他方に、前記突部側斜面(35a,37a)に対向する凹部側斜面(36a,38a)を有しつつ当該突部(35,37)の一部を収容する凹部(36,38)が前記突部(35,37)を嵌合させることを可能として形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシート回転装置。
【請求項5】
前記凹部(36,38)に前記突部(35,37)を嵌合させる側に前記がたつき抑制部材(20)を付勢する付勢部材(41)を備えることを特徴とする請求項4に記載のシート回転装置。
【請求項6】
前記ロック位置で前記係合腕部(19b)を挿通させる貫通孔(33,34)が、前記環状回転部材(18,48)および前記支持部材(17,47)にそれぞれ形成され、前記環状回転部材(18,48)の周方向に沿う前記貫通孔(33,34)の幅(W1,W2)が、それらの貫通孔(33,34)に挿通された前記係合腕部(19b)との間で前記周方向に沿って間隙(d1,d2)が生じるように設定されることを特徴とする請求項3に記載のシート回転装置。
【請求項7】
前記突部(35,37)および前記凹部(36,38)が、前記環状回転部材(18,48)の周方向に間隔をあけた複数箇所に配置されることを特徴とする請求項4に記載のシート回転装置。
【請求項8】
前記がたつき抑制部材(20)が、前記ロック部材(19)の前記ロック位置で前記環状回転部材(18,48)の径方向および軸方向でそれぞれ前記支持部材(17,47)および前記環状回転部材(18,48)にともに緊密に接触することを可能として、前記支持部材(17,47)および前記環状回転部材(18,48)間に配置されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のシート回転装置。
【請求項9】
前記シート(11)が、シートクッション(11a)と、当該シートクッション(11a)の上方に配置されるシートバック(11b)とを有し、車両の床面に設けられる一対のスライドレール(13)でスライド可能に支持される車両用シートであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のシート回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材上でシートを回転可能としたシート回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートを回転可能に支持するようにしたシート回転装置が、特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-173491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシート回転装置では、シートが静止したロック状態でがたつきが生じないことが望まれており、上記特許文献1で開示されたシート回転装置では、シートを回転する際にもそのがたつき防止機能が働いており、シートを回転させるための力が必要以上に大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シート静止状態ではがたつきを防止しつつ回転時にはがたつき防止状態を解除してシートを回転させ易くしたシート回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ベース部材上でシートを回転可能としたシート回転装置において、前記ベース部材に固定される支持部材と、シートフレームを支持して前記支持部材の外側および内側の一方に配置されるとともに前記ベース部材に回転可能に支持される環状回転部材と、前記支持部材に係合して前記環状回転部材の回転を阻止するロック位置ならびに前記支持部材との係合を解除して前記環状回転部材の回転を許容するロック解除位置間での作動を可能としたロック部材と、前記支持部材および前記環状回転部材間に配置されるとともに前記ロック部材が前記ロック位置にあるときには前記支持部材および前記環状回転部材にともに緊密に接触する状態となるものの前記ロック部材が前記ロック解除位置にあるときには前記支持部材および前記環状回転部材との間に間隙を生じる状態となるようにして前記ロック部材に連動、連結されるがたつき抑制部材とを備えることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記がたつき抑制部材が、前記環状回転部材と同軸の軸線まわりに回転することを可能として環状に形成されつつ前記支持部材および前記環状回転部材間に配置され、前記環状回転部材に回動可能に支持される前記ロック部材に、前記がたつき抑制部材に連結される連結腕部が一体に形成されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記ロック位置で前記環状回転部材および前記支持部材に係合するものの前記ロック解除位置では前記支持部材との係合を解除する係合腕部が、前記環状回転部材の周方向で前記連結腕部とは離隔した位置で前記ロック部材に一体に形成されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1~第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記がたつき抑制部材および前記環状回転部材の一方に、前記ロック部材の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記がたつき抑制部材の移動方向に進むにつれて高さが次第に低くなる突部側斜面を有する楔形の突部が形成され、前記がたつき抑制部材および前記環状回転部材の他方に、前記突部側斜面に対向する凹部側斜面を有しつつ当該突部の一部を収容する凹部が前記突部を嵌合させることを可能として形成されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記凹部に前記突部を嵌合させる側に前記がたつき抑制部材を付勢する付勢部材を備えることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記ロック位置で前記係合腕部を挿通させる貫通孔が、前記環状回転部材および前記支持部材にそれぞれ形成され、前記環状回転部材の周方向に沿う前記貫通孔の幅が、それらの貫通孔に挿通された前記係合腕部との間で前記周方向に沿って間隙が生じるように設定されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記突部および前記凹部が、前記環状回転部材の周方向に間隔をあけた複数箇所に配置されることを第7の特徴とする。
【0013】
本発明は、第1~第7の特徴の構成に加えて、前記がたつき抑制部材が、前記ロック部材の前記ロック位置で前記環状回転部材の径方向および軸方向でそれぞれ前記支持部材および前記環状回転部材にともに緊密に接触することを可能として、前記支持部材および前記環状回転部材間に配置されることを第8の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、第1~第8の特徴の構成のいずれかに加えて、前記シートが、シートクッションと、当該シートクッションの上方に配置されるシートバックとを有し、車両の床面に設けられる一対のスライドレールでスライド可能に支持される車両用シートであることを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、シートフレームを支持する環状回転部材の回転を阻止するロック状態およびそのロック状態の解除を切替えるロック部材に連動するがたつき抑制部材が、ロック部材のロック位置では支持部材および環状回転部材にともに緊密に接触する状態となり、ロック部材がロック解除位置となると支持部材および環状回転部材との間に間隙を生じる状態となるので、シートの静止状態ではがたつきを防止し、シートを回転するときには回転し易くすることができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、環状であるがたつき抑制部材が支持部材および環状回転部材間に配置され、環状回転部材に回動可能に支持されるロック部材にがたつき抑制部材に連結される連結腕部が一体に形成されるので、簡易な構造で前記がたつき抑制部材をロック部材の作動に連動させることができる。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、ロック位置で環状回転部材および支持部材に係合する係合腕部が、環状回転部材の周方向で連結腕部とは離隔した位置でロック部材に一体に形成されるので、環状回転部材をロックするための機構と、ロック部材にがたつき抑制部材を連動させる機構とを、環状回転部材の回転軸線に沿う方向での大型化を避けつつコンパクトに纏めることができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、がたつき抑制部材および環状回転部材の一方に三角形のの楔形の突部が形成され、がたつき抑制部材および環状回転部材の他方に前記突部の一部を収容する凹部が突部を嵌合させることを可能として形成され、前記突部および前記凹部は、ロック部材のロック解除位置からロック位置側への作動に応じたがたつき抑制部材の移動方向で高さが次第に低くなるようにして相互に対向する斜面を有しているので、ロック部材がロック位置からロック解除位置に作動したときに、突部および凹部の嵌合状態を解き易くすることができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、凹部に突部を嵌合させる側にがたつき部材が付勢されるので、ロック状態で凹部への突部の嵌合をより強く維持することができ、がたつきの発生をより確実に抑制することができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、係合腕部を挿通させるようにして環状回転部材および支持部材にそれぞれ形成される貫通孔に、環状回転部材の周方向で貫通孔との間に間隙が生じるようにして係合腕部が挿通されるので、ロック状態では突部が凹部に嵌合していることによってがたつきが抑制されていることで、係合腕部と、環状回転部材および支持部材との間でがたつきが生じることはなく、係合腕部および貫通孔の寸法公差を緩やかに設定することを可能とし、製作および組付けを容易としてコスト低減に寄与することができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、環状回転部材の周方向に間隔をあけた複数箇所で突部が凹部に嵌合するので、嵌合荷重が1箇所に集中することを避けて周方向に分散することができる。
【0022】
本発明の第8の特徴によれば、がたつき抑制部材が、ロック位置では環状回転部材の径方向および軸方向で支持部材および環状回転部材にともに緊密に接触するので、環状回転部材の径方向、周方向および軸方向でのがたつきを抑制することができる。
【0023】
さらに本発明の第9の特徴によれば、シートが車両用シートであることにより、車両用シートの回転装置として本発明を有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施の形態のシートフレームがシート回転装置上に在る状態を示す斜視図である。
図2】シート回転装置の一部を示す斜視図である。
図3図2の3-3線に沿う断面図である。
図4図2から支持部材を省略して示す斜視図である。
図5】ロック部材がロック位置に在る状態(a)ならびにロック解除位置にある状態(b)を対比しつつ図3の5-5線に沿って示す断面図である。
図6】ロック部材がロック位置に在る状態(a)ならびにロック解除位置にある状態(b)を対比しつつ図3の6-6線に沿って示す断面図である。
図7】第2の実施の形態の図3に対応した断面図である。
図8】第3の実施の形態のシート回転装置のロック状態での横断平面図であって図9の8-8線に沿う断面図である。
図9図8の9-9線に沿う断面図である。
図10図9の10-10線に沿う断面図である。
図11】支持部材を省略してロック部材およびがたつき抑制部材付近を見た斜視図である。
図12】ロック解除状態での図8に対応した横断平面図である。
図13図12の13- 13線断面図である。
図14】第4の実施の形態のロック部材がロック位置に在る状態(a)ならびにロック解除位置にある状態(b)を対比させて示した図5に対応する断面図である。
図15】第5の実施の形態のロック部材がロック位置に在る状態(a)ならびにロック解除位置にある状態(b)を対比させて示した図5に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0026】
本発明の第1の実施の形態について図1図6を参照しながら説明すると、先ず図1において、シート11は、車両に搭載される車両用シートであり、そのシートフレーム12は、車両の床面に設けられる左右一対のスライドレール13で車両前後方向にスライド可能な第1のベース部材16上に配設される。前記シートフレーム12は、前記シート11のシートクッション11aを支持するようにして前記第1のベース部材16の上方に配置されるシートクッションフレーム12aと、前記シートクッション11aの上方に配置されるシートバック11bを支持するようにして前記シートクッションフレーム12aに支軸14を介して連結されるシートバックフレーム12bとを備える。
【0027】
図2図4を併せて参照して、前記シートフレーム12は、前記スライドレール13で車両前後方向にスライド可能に支持される前記第1のベース部材16上に、本発明に従う第1のシート回転装置15を介して鉛直軸線まわりの回転を可能として支持されるものであり、この第1のシート回転装置15は、前記第1のベース部材16に固定される第1の第1の支持部材17と、前記シートフレーム12を支持して前記第1の支持部材17の外側および内側の一方(この実施の形態では外側)に配置されるとともに前記第1のベース部材16に回転可能に支持される第1の環状回転部材18と、その第1の環状回転部材18の前記第1の第1の支持部材17に対するロック状態ならびにロック状態解除を切替えるようにして前記第1の環状回転部材18に支持される第1のロック部材19と、その第1のロック部材19の作動に連動するようにして前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18間に配置されて環状に形成される第1のがたつき抑制部材20とを備える。
【0028】
前記第1の支持部材17は、前記第1のベース部材16上に当接される環状の第1底壁部17aと、上方に向かうにつれてわずかに大径となるように形成されて第1底壁部17aの外周から上方に立ち上がるテーパ状の第1側壁部17bと、第1側壁部17bの上端部から半径方向外方に張り出す環状の第1平坦壁部17cと、当該第1平坦壁部17cの外周から上方に立ち上がる円筒状の第2側壁部17dとを一体に有し、前記第1底壁部17aの周方向複数箇所が、リベット21で前記第1のベース部材16に結合される。
【0029】
前記第1の環状回転部材18は、前記第1の支持部材17における前記第1平坦壁部17cの下方で環状に形成される第2底壁部18aと、前記第1の支持部材17における前記第2側壁部17dの半径方向外方に配置されるようにして前記第2底壁部18aの外周から立ち上がる円筒状の第3側壁部18bと、第3側壁部18bの上端部から外側方に張り出す第1鍔部18cとを一体に有し、前記第3側壁部18bは、その上端部が前記第2側壁部17dの上端部よりも上方に在るように形成される。
【0030】
前記第1の環状回転部材18の前記第2底壁部18aおよび前記第1のベース部材16間には、軸受22が介装されており、この軸受22は、環状のリテーナ23の周方向複数箇所にボール24が保持されて成り、前記第2底壁部18aおよび前記第1のベース部材16には、前記ボール24の一部を回転可能に収容して保持するボール保持凹部25,26が形成される。
【0031】
前記第1のがたつき抑制部材20は、前記第1の環状回転部材18と同軸の軸線まわりに回転することを可能として環状に形成されつつ前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18間に配置されるものであり、前記第1の支持部材17の前記第1平坦壁部17cおよび前記第1の環状回転部材18の前記第2底壁部18a間に配置される環状の第3底壁部20aと、前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dおよび前記第1の環状回転部材18の前記第3側壁部18b間に配置されるようにして前記第3底壁部20aの外周から上方に立ち上がる円筒状の第4側壁部20bとを一体に有し、横断面形状が略L字状となるように形成される。しかも前記第4側壁部20bの高さは、前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dの上端部および前記第1の環状回転部材18の前記第3側壁部18bの上端部よりも前記第4側壁部20bの上端部が低くなるように設定される。
【0032】
図5を併せて参照して、前記第1のロック部材19は、図5(a)で示すように前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dに係合して前記第1の環状回転部材18の回転を阻止するロック位置と、図5(b)で示すように前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dとの係合を解除して前記第1の環状回転部材18の回転を許容するロック解除位置との間での作動を可能として、前記第1の環状回転部材18の前記第1鍔部18cに支持されるものであり、鉛直軸線を有する軸27を介して前記第1鍔部18cに回動可能に支持される。
【0033】
前記第1のロック部材19には連結腕部19aが一体に形成され、前記第1のがたつき抑制部材20に形成される連結孔30に前記連結腕部19aの先端部を挿通させることで前記第1のがたつき抑制部材20に前記第1のロック部材19が連結される。この連結腕部19aは、前記第1の環状回転部材18の前記第3側壁部18bに形成された挿通孔31に挿通されており、図5(b)で示すように、前記第1のロック部材19がロック解除位置となったときに前記連結孔30に連結され、前記第1のがたつき抑制部材20にその回動方向への押圧力が前記連結腕部19aから作用することになる。
【0034】
また前記第1のロック部材19には,前記ロック位置で前記第1の環状回転部材18の前記第3側壁部18bおよび前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dに係合するものの前記ロック解除位置では前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dとの係合を解除する係合腕部19bが一体に形成され、この係合腕部19bおよび前記連結腕部19aは前記第1の環状回転部材18の周方向で相互に離隔した位置に配置される。
【0035】
前記第1の環状回転部材18および前記第1のロック部材19間には、前記軸27を囲繞するねじりばね32が設けられており、このねじりばね32が発揮するばね力で前記第1の第1のロック部材19は前記ロック位置側に向けて回動付勢される。
【0036】
前記第1の環状回転部材18における前記第3側壁部18bの上部には、前記係合腕部19bを挿通させる第1の貫通孔33が形成される。この第1の貫通孔33に挿通された前記係合腕部19bの先端部は前記第1のがたつき抑制部材20における前記第4側壁部20bの上方位置に在り、前記第1のロック部材19が図5(a)で示すように前記ロック位置となったときに、前記第1の貫通孔33に挿通されて前記第1のがたつき抑制部材20の前記第4側壁部20bを跨ぐように作動した前記係合腕部19bの先端部は、前記第1の支持部材17における前記第2側壁部17dの上部に形成される第2の貫通孔34に挿通される。
【0037】
しかも前記第1の環状回転部材18の周方向に沿う前記第1および第2の貫通孔33,34の幅W1,W2は、それらの貫通孔33,34に挿通された前記係合腕部19bとの間で前記周方向に沿って間隙d1,d2が生じるように設定される。
【0038】
図6を併せて参照して、前記第1のがたつき抑制部材20は、前記第1のロック部材19が前記ロック位置にあるときには前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18にともに緊密に接触する状態となるものの前記第1のロック部材19が前記ロック解除位置にあるときには前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18との間に間隙を生じる状態となるようにして前記第1のロック部材19に連動、連結され、前記第1のがたつき抑制部材20および前記第1の環状回転部材18の一方には、楔形の第1および第2の突部35,37が形成され、前記第1のがたつき抑制部材20および前記第1の環状回転部材18の他方には、前記第1および第2の突部35,37の一部を収容する第1および第2の凹部36,38が前記第1および第2の突部35,37を嵌合させることを可能として形成される。
【0039】
この第1の実施の形態では、前記第1のロック部材19の前記ロック位置で前記第1の環状回転部材18の径方向で前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18にともに緊密に接触することを可能とするために、前記第1のがたつき抑制部材20における前記第4側壁部20bに、当該第4側壁部20bの周方向に長く延びるようにして切り起こされる弾性腕部39が形成され、その弾性腕部39の先端部に第1の突部35が形成され、前記第1の環状回転部材18の前記第4側壁部20bに第1の凹部36が形成される。
【0040】
前記第1の突部35は、前記第1のロック部材19の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記第1のがたつき抑制部材20の移動方向40に進むにつれて高さが次第に低くなる第1の突部側斜面35aを有するようにして楔形に形成され、前記第1の突部35を嵌合させることを可能とした前記第1の凹部36は、前記第1の突部側斜面35aに対向する第1の凹部側斜面36aを有しつつ当該第1の突部35の一部を収容するようにして三角形状に形成される。
【0041】
また前記第1のロック部材19の前記ロック位置で前記第1の環状回転部材18の軸方向で前記第1の第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18にともに緊密に接触することを可能とするために、前記第1の環状回転部材18における前記第2底壁部18aに第2の突部37が形成され、前記第1の環状回転部材18の前記第3底壁部20aに第2の凹部38が形成される。
【0042】
前記第2の突部37は、前記第1のロック部材19の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記第1のがたつき抑制部材20の移動方向40に進むにつれて高さが次第に低くなる第2の突部側斜面37aを有するようにして楔形に形成され、前記第2の突部37を嵌合させることを可能とした前記第2の凹部38は、前記第2の突部側斜面37aに対向する第2の凹部側斜面38aを有しつつ当該第2の突部37の一部を収容するように形成される。
【0043】
而して前記第1のロック部材19が前記ロック位置にあるときには、図5(a)および図6(a)で示すように、前記第1および第2の突部35,37の前記第1および第2の突部側斜面35a,37aが、前記第1および第2の凹部36,38の前記第1および第2の凹部側斜面36a,38aに緊密に当接することで前記第1のがたつき抑制部材20が前記第1の第1の環状回転部材18および前記第1の支持部材17に緊密に接触することになり、前記第1のがたつき抑制部材20は、前記第1のロック部材19の前記ロック位置で前記第1の環状回転部材18の径方向および軸方向でそれぞれ前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18にともに緊密に接触することとなる。
【0044】
また前記第1のロック部材19が前記ロック解除位置となったときには、図5(b)および図6(b)で示すように、前記第1および第2の突部35,37の前記第1および第2の突部側斜面35a,37aが、前記第1および第2の凹部36,38の前記第1および第2の凹部側斜面36a,38aから離反する側に前記第1のがたつき抑制部材20が移動し、がたつき防止状態が解除されることになる。
【0045】
しかも前記第1および第2の突部35,37と、前記第1および第2の凹部36,38とは、前記第1の環状回転部材18の周方向に間隔をあけた複数箇所に配置される。
【0046】
また前記第1および第2の凹部36,38に前記第1および第2の突部35,37を嵌合させる側に前記第1のがたつき抑制部材20を付勢するようにして略U字状に形成される第1の付勢部材41が、たとえば前記第1の環状回転部材18の第3側壁部18bおよび前記第1のがたつき抑制部材20の第4側壁部20b間に設けられるようにして、前記第1の環状回転部材18の周方向に沿う複数箇所に配置される。
【0047】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、第1のシート回転装置15が、第1のベース部材16に固定される第1の支持部材17と、シートフレーム12を支持して前記第1の支持部材17の外側および内側の一方(この実施の形態では外側)に配置されるとともに前記第1のベース部材16に回転可能に支持される第1の環状回転部材18と、前記第1の支持部材17に係合して前記第1の環状回転部材18の回転を阻止するロック位置ならびに前記第1の支持部材17との係合を解除して前記第1の環状回転部材18の回転を許容するロック解除位置間での作動を可能としつつ前記第1の環状回転部材18に支持される第1のロック部材19と、前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18間に配置されるとともに前記第1のロック部材19が前記ロック位置にあるときには前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18にともに緊密に接触する状態となるものの前記第1のロック部材19が前記ロック解除位置にあるときには前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18との間に間隙を生じる状態となるようにして前記第1のロック部材19に連動、連結される第1のがたつき抑制部材20とを備えるので、前記第1のがたつき抑制部材20は、前記第1のロック部材19のロック位置では前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18にともに緊密に接触する状態となり、前記第1のロック部材19がロック解除位置となると第1の支持部材17および第1の環状回転部材18との間に間隙を生じる状態となることによって、シート11の静止状態ではがたつきを防止し、シート11を回転するときには回転し易くすることができる。
【0048】
また前記第1のがたつき抑制部材20が、前記第1の環状回転部材18と同軸の軸線まわりに回転することを可能として環状に形成されつつ前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18間に配置され、前記第1の環状回転部材18に回動可能に支持される前記第1のロック部材19に、前記第1のがたつき抑制部材20に連結される連結腕部19aが一体に形成されるので、簡易な構造で前記第1のがたつき抑制部材20を第1のロック部材19の作動に連動させることができる。
【0049】
また前記ロック位置で前記第1の環状回転部材18および前記第1の支持部材17に係合するものの前記ロック解除位置では前記第1の支持部材17との係合を解除する係合腕部19bが、前記第1の環状回転部材18の周方向で前記連結腕部19aとは離隔した位置で前記第1のロック部材19に一体に形成されるので、第1の環状回転部材18をロックするための機構と、第1のロック部材19に第1のがたつき抑制部材20を連動させる機構とを、第1の環状回転部材18の回転軸線に沿う方向での大型化を避けつつコンパクトに纏めることができる。
【0050】
また前記第1のがたつき抑制部材20および前記第1の環状回転部材18の一方に、前記第1のロック部材19の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記第1のがたつき抑制部材20の移動方向に進むにつれて高さが次第に低くなる第1および第2の突部側斜面35a,37aを有する楔形の第1および第2の突部35,37が形成され、前記第1のがたつき抑制部材20および前記第1の環状回転部材18の他方に、前記第1および第2の突部側斜面35a,37aに対向する第1および第2の凹部側斜面36a,38aを有しつつ当該第1および第2の突部35,37の一部を収容する第1および第2の凹部36,38が前記第1および第2の突部35,37を嵌合させることを可能として形成されるので、前記第1のロック部材19がロック位置からロック解除位置に作動したときに、第1および第2の突部35,37と、第1および第2の凹部36,38との嵌合状態を解き易くすることができる。
【0051】
前記第1のがたつき抑制部材20が、前記第1および第2の凹部26,38に前記第1および第2の突部35,37を嵌合させる側に第1の付勢部材41で付勢されるので、ロック状態で前記第1および第2の凹部36,38への前記第1および第2の突部35,37の緊合をより強く維持することができ、がたつきの発生をより確実に抑制することができる。
【0052】
また前記ロック位置で前記係合腕部19bを挿通させる第1および第2の貫通孔33,34が、前記第1の環状回転部材18および前記第1の支持部材17にそれぞれ形成され、前記第1の環状回転部材18の周方向に沿う前記第1および第2の貫通孔33,34の幅W1,w2が、それらの貫通孔33,34に挿通された前記係合腕部19bとの間で前記周方向に沿って間隙d1,d2が生じるように設定されるので、ロック状態では前記第1および第2の突部35,37が前記第1および第2の凹部36,38に嵌合していることによってがたつきが抑制されていることで、前記係合腕部19bと、前記第1の環状回転部材18および前記第1の支持部材17との間でがたつきが生じることはなく、前記係合腕部19bと、前記第1および第2の貫通孔33,34との寸法公差を緩やかに設定することを可能とし、製作および組付けを容易としてコスト低減に寄与することができる。
【0053】
また前記第1および第2の突部35,37と、前記第1および第2の凹部36,38とが、前記第1の環状回転部材18の周方向に間隔をあけた複数箇所に配置されるので、第1の環状回転部材18の周方向に間隔をあけた複数箇所で前記第1および第2の突部35,37が前記第1および第2の凹部36,38に嵌合することになり、嵌合荷重が1箇所に集中することを避けて周方向に分散することができる。
【0054】
また前記第1のがたつき抑制部材20が、前記第1のロック部材19の前記ロック位置で前記第1の環状回転部材18の径方向および軸方向でそれぞれ前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18にともに緊密に接触することを可能として、前記第1の支持部材17および前記第1の環状回転部材18間に配置されるので、第1の環状回転部材18の径方向、周方向および軸方向でのがたつきを抑制することができる。
【0055】
さらに前記シート11が、シートクッション11aと、当該シートクッション11aの上方に配置されるシートバック11bとを有し、車両の床面に設けられる一対のスライドレール13でスライド可能に支持される車両用シートであるので、車両用シートの回転装置として本発明を有効に適用することができる。
【0056】
本発明の第2の実施の形態について図7を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0057】
第2のシート回転装置45は、第2のベース部材46に固定される第2の支持部材47と、その第2の支持部材47の外側に配置されるとともに前記第2のベース部材46に回転可能に支持される第2の環状回転部材48と、その第2の環状回転部材48の前記第2の支持部材47に対するロック状態ならびにロック状態解除を切替えるようにして前記第2の第2の環状回転部材48に支持される第1のロック部材19(第1の実施の形態参照)と、その第1のロック部材19の作動に連動するようにして前記第2の支持部材47および前記第2の環状回転部材48間に配置されて環状に形成される第1のがたつき抑制部材20とを備える。
【0058】
前記第2のベース部材46は、環状である第4底壁部46aと、上方に向かうにつれて大径となるようにして前記第4底壁部46aの外周に連設される第1テーパ部46bと、第1テーパ部46bの上端部から外側方に張り出す第2鍔部46cとを有し、前記第2鍔部46cがスライドレール13にスライド可能に支持される。
【0059】
前記第2の支持部材47は、前記第2のベース部材46の前記第4底壁部46a上に当接される環状の第5底壁部47aと、上方に向かうにつれて大径となるようにして前記第5底壁部47aの外周から上方に立ち上がるとともに前記第1テーパ部46bの上方に配置される第2テーパ部47bと、第2テーパ部47bの上端部から半径方向外方に張り出す環状の第2平坦壁部47cと、当該第2平坦壁部47cの外周から上方に立ち上がる円筒状の第5側壁部47dとを一体に有し、前記第5底壁部47aの周方向複数箇所が、リベット51で前記第2のベース部材46の前記第4底壁部46aに結合される。
【0060】
前記第2の環状回転部材48は、前記第2のベース部材46における前記第1テーパ部46bならびに前記第2の支持部材47における前記第2テーパ部47b間に配置されるとともに上方に向かうにつれて大径となるように形成された第3テーパ部48aと、第3テーパ部48aの上端部から半径方向外方に張り出して前記第2のベース部材46における前記第2鍔部46cならびに前記第2の支持部材47における前記第2平坦壁部47c間に配置される第3平坦壁部48bと、当該第3平坦壁部48bの外周から立ち上がる円筒状の第6側壁部48cと、この第6側壁部48cの上端部から外側方に張り出す第3鍔部48dとを一体に有する。
【0061】
前記第1のがたつき抑制部材20は、前記第2の環状回転部材48と同軸の軸線まわりに回転することを可能として環状に形成されつつ前記第2の支持部材47および前記第2の第2の環状回転部材48間に配置されるものであり、前記第2の支持部材47の前記第2平坦壁部47cおよび前記第2の環状回転部材48の前記第3平坦壁部48b間に配置される環状の第3底壁部20aと、前記第2の支持部材47の前記第5側壁部47dおよび前記第2の環状回転部材48の前記第6側壁部48c間に配置されるようにして前記第3底壁部20aの外周から上方に立ち上がる円筒状の第4側壁部20bとを一体に有し、横断面形状が略L字状となるように形成される。
【0062】
前記第2のベース部材46および前記第2の環状回転部材48間には環状である第1の軸受部材52が介装され、前記第2の支持部材47および前記第2の環状回転部材48間には環状である第2の軸受部材53が介装される。
【0063】
第1および第2の軸受部材52,53は、低摩擦材料によって環状に形成される。第1の軸受部材52は、前記第2のベース部材46における前記第1テーパ部46bおよび前記第2鍔部46cと、前記第2の環状回転部材48における前記第3テーパ部48aおよび前記第3平坦壁部48bとの間に介装されており、前記第1テーパ部46bおよび前記第2鍔部46cの屈曲形状ならびに前記第3テーパ部48aおよび前記第3平坦壁部48bの屈曲形状に対応して屈曲した横断面形状を有するように形成される。
【0064】
また第2の軸受部材53は、前記第2の支持部材47における前記第2テーパ部47bおよび前記第2平坦壁部47cと、前記第2の環状回転部材48における前記第3テーパ部48aおよび前記第3平坦壁部48bとの間に介装されるものであり、前記第2テーパ部47bおよび前記第4第2平坦壁部47cの屈曲形状ならびに前記第3テーパ部48aおよび前記第3平坦壁部48bの屈曲形状に対応して屈曲した横断面形状を有するように形成される。
【0065】
この第2の実施の形態によれば、第2の環状回転部材48の回転時の摺動抵抗をより小さくすることが可能となるとともに、第1および第2の軸受部材52,53が面状であることで第2のシート回転装置45を高さ方向でより小型化することができ、また第1および第2の軸受部材52,53の位置決めが容易である。
【0066】
本発明の第3の実施の形態について図8図13を参照しながら説明すると、先ず図8図10において、スライドレール13で車両前後方向にスライド可能に支持される第3のベース部材56上に、本発明に従う第3のシート回転装置55が配設されており、この第3のシート回転装置55は、前記第3のベース部材56に固定される第3の支持部材57と、シートフレーム12(第1の実施の形態参照)を支持して前記第3の支持部材57の外側および内側の一方(この第3の実施の形態では外側)に配置されるとともに前記第3のベース部材56に回転可能に支持される第3の環状回転部材58と、その第3の環状回転部材58の前記第3の支持部材57に対するロック状態ならびにロック状態解除を切替えるようにして前記第3の環状回転部材58に支持される第2のロック部材59と、その第2のロック部材59の作動に連動することを可能として前記第3の支持部材57および前記第3の環状回転部材58間に配置される環状の第2のがたつき抑制部材60とを備える。
【0067】
前記第3のベース部材56は、環状である第6底壁部56aと、この第6底壁部56aの外周に段差をなして連なって前記第6底壁部56aよりも下方に配置される環状の第7底壁部56bと、当該第7底壁部56bの外周から上方に立ち上がる円筒状の第7側壁部56cと、この第7側壁部56cの上端部から外側方に張り出す第4鍔部56dとを有し、前記第4鍔部56dがスライドレール13にスライド可能に支持される。
【0068】
前記第3の支持部材57は、前記第3のベース部材56の前記第6底壁部56a上に内周部が当接される環状の第8底壁部57aと、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて前記第8底壁部57aの外周に連設される第4テーパ部57bと、この第4テーパ部57bの上端部から上方に立ち上がる円筒状の第8側壁部57cと、当該第8側壁部57cの上端部から半径方向外方に張り出す環状の第4平坦壁部57dと、下方に向かうにつれて大径となるように形成されて前記第4平坦壁部57dの外周に連なる第5テーパ部57eと、当該第5テーパ部57eの下端部から半径方向外方に張り出す環状の第5平坦壁部57fと、当該第5平坦壁部57fの外周に段差をなして連なって前記第5平坦壁部57fよりも上方で外側方に張り出す第5鍔部57gとを一体に有し、前記第8底壁部57aの周方向複数箇所が、リベット61で前記第3のベース部材56の前記第6底壁部56aに結合される。
【0069】
前記第3の環状回転部材58は、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて前記第3の支持部材57における前記第4テーパ部57bの下方に配置される第6テーパ部58aと、当該第6テーパ部58aの上端部から上方に立ち上がって前記第8側壁部57cの外側に配置される円筒状の第9側壁部58bと、この第9側壁部58bの上端部から半径方向外方に張り出す環状の第6平坦壁部58cと、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて前記第6平坦壁部58cの外周に連なる第7テーパ部58dと、この第7テーパ部58dの上端部から外側方に張り出す第6鍔部58eとを一体に有するように形成される。
【0070】
前記第3の環状回転部材58における前記第6テーパ部58aと、前記第3のベース部材56における前記第7底壁部56bおよび前記第7側壁部56cとの間には、軸受62が介装されており、この軸受62は、環状のリテーナ63の周方向複数箇所にボール64が保持されて成る。
【0071】
図11を併せて参照して、前記第2のがたつき抑制部材60は、前記第2のロック部材59の作動に応じて回動するようにして環状に形成される第1の押し出し部材66で押されることでロック位置からロック解除位置に移動するものであり、前記第1の押し出し部材66は、前記第3の環状回転部材58における第5平坦壁部58c上に摺動可能に載せられる。
【0072】
前記第1の押し出し部材66は、前記第5平坦壁部58c上に配置される環状の第9底壁部66aと、前記第3の支持部材57における前記第8側壁部57cに外側から対向しつつ前記第9底壁部66aの内周部から上方に立ち上がる円筒状の内側壁部66bと、上方に向かうにつれて大径となるようにして前記第9底壁部66aの外周部から上方に立ち上がるテーパ状の外側壁部66cとを有するように形成されており、前記外側壁部66cは、前記第3の環状回転部材58における前記第7テーパ部58dに摺動可能に当接される。
【0073】
前記第1の押し出し部材66における前記第9底壁部66aの周方向に間隔をあけた複数箇所には、周方向に長い長孔状の開口部67が形成され、それらの開口部67が配置されない部分で前記第9底壁部66aの周方向に間隔をあけた複数箇所には、前記内側壁部66bおよび前記外側壁部66c間を結ぶ補強リブ66dが設けられる。
【0074】
また前記開口部67の長手方向中間部に対応する部分の外側で前記第9底壁部66aには前記外側壁部66cから内側に突出する押圧突部66eが突設される。
【0075】
前記第2のロック部材59は、前記第3の環状回転部材58におおける前記第6平坦壁部58cの下方に配置されるものであり、図9および図10で示すように前記第3の支持部材57の前記第8側壁部57cに係合して前記第3の環状回転部材58の回転を阻止するロック位置と、図12で示すように前記第8側壁部57cとの係合を解除して前記第3の環状回転部材58の回転を許容するロック解除位置との間での作動を可能として、前記第6平坦壁部58cに支持される。
【0076】
前記第2のロック部材59は、鉛直軸線を有する軸68を介して前記第6平坦壁部58cに回動可能に支持されており、この軸68は、前記第2のロック部材59に固定され、前記第3の環状回転部材58に設けられている前記押圧突部66eよりも周方向一方側で前記前記開口部67内に配置されるようにして前記第6平坦壁部58cを貫通し、当該第6平坦壁部58cに回動可能に支持される。
【0077】
前記第2のロック部材59は、前記ロック位置で前記第3の環状回転部材58の前記第9側壁部58bおよび前記第3の支持部材57の前記第8側壁部57cに係合するものの前記ロック解除位置では前記第9側壁部58bおよび前記第8側壁部57cとの係合を解除するようにして略L字状に形成される係合腕部59aを有し、この係合腕部59aの基端部に前記軸68が固定される。
【0078】
前記第9側壁部58cには、前記第2のロック部材59がロック位置となったときに前記係合腕部59aを挿通させる第3の貫通孔69が形成され、前記第8側壁部57cには、前記第2のロック部材59がロック位置となったときに前記第3の貫通孔69に挿通された前記係合腕部59aの先端部を挿通、係合させる第4の貫通孔70が形成される。
【0079】
前記第2のロック部材59は、前記係合腕部59aの基端部から外側方に直線状に延びて先端部が前記第3の環状回転部材58における前記第6鍔部58eより外側方に突出する操作腕部59bを一体に有しており、この操作腕部59bの先端部を操作することで、第2のロック部材59をロック位置およびロック解除位置間で回動することができる。
【0080】
前記第3の環状回転部材58および前記第2のロック部材59間には、前記第2のロック部材59を前記ロック位置側に向けて回動付勢するための渦巻きばね71が設けられる。この渦巻きばね71は、前記軸68を囲繞するようにして前記第1の押し出し部材66内に収容されており、前記軸68に前記渦巻きばね71の一端部が係合され、前記渦巻きばね71の他端部は、前記第3の環状回転部材58の前記第6平坦壁部58cに植設されたピン77に係合される。
【0081】
前記第1の押し出し部材66における前記外側壁部66cの前記押圧突部66eに周方向で隣接する位置には、前記第2のロック部材59が前記ロック位置から前記ロック解除位置に回動するときに、当該第2のロック部材59の前記操作腕部59bで押される受圧腕部66fが一体に設けられており、この受圧腕部66fは、前記第3の環状回転部材58における前記第6鍔部58eに設けられた長孔72を貫通し、前記操作腕部59bに当接する位置まで下方に延出される。而して前記長孔72は、前記第2のロック部材59が前記ロック位置および前記ロック解除位置間で回動する際の前記受圧腕部66fの作動を許容する長さを有するように形成される。また前記第1の押し出し部材66および前記第3の環状回転部材58間には、前記受圧腕部66fを前記第2のロック部材59の前記操作腕部59bに当接させる側に前記第1の押し出し部材66を付勢する略U字状の第2の付勢部材73が設けられ、この第2の付勢部材73は、前記押圧突部66eおよび前記軸68間で前記開口部67内に配置される。
【0082】
前記第2のがたつき抑制部材60は、前記第1の押し出し部材66の周方向で前記押圧突部66eを前記第2のロック部材59との間に挟む位置で前記第1の押し出し部材66内に配置されるものであり、この第2のがたつき抑制部材60に対応する位置で、前記第3の環状回転部材58には、前記第1の押し出し部材66の前記開口部67を貫通して上方に突出する突部74が突設されており、この突部74は、前記第3の支持部材57の前記第5テーパ部57eに内側から平行に対向する傾斜面74aを有して三角形状に形成される。
【0083】
前記第2のがたつき抑制部材60は、前記開口部67の外側で前記第1の押し出し部材66の前記第9底壁部66aに摺接するとともに前記開口部67内で前記第3の環状回転部材58の前記第6平坦壁部58cに摺接しつつ前記押圧突部66eに前記第2のロック部材59とは反対側から当接する受圧部60aと、上方に向かうにつれて前記第1の押し出し部材66の半径方向内方位置となるように傾斜して前記受圧部60aから斜め上方に延びる楔部60bとを一体に有しており、前記楔部60bは、前記第3の支持部材57の前記第5テーパ部57eおよび前記第3の環状回転部材58の前記突部74間に配置される。
【0084】
しかも前記楔部60bの前記第5テーパ部57eに対向する第1面60baが、その全面を前記第5テーパ部57eに当接させ得るようにしてわずかに湾曲した面として形成されるのに対して、前記楔部60bにおいて前記突部74の前記傾斜面74aに対向する第2面60bbは、前記押圧突部66e側に近接するにつれて前記第1面60baとの間の距離が短くなるように傾斜して形成されており、前記楔部60は、その横断面形状が楔状となるように形成される。
【0085】
また前記第2のがた付き防止部材60および前記第3の環状回転部材58間には、前記押圧突部66eに前記受圧部60aを押し当てる側に前記第2のがたつき抑制部材60を付勢する略U字状である第3の付勢部材75が設けられ、この第3の付勢部材75は、前記押圧突部66eに関して前記第2の付勢部材73とは反対側で前記開口部67内に配置される。
【0086】
而して前記第2のロック部材59が前記ロック位置にあるときには、図8で示すように、前記第2のがたつき抑制部材60は、その楔部60bの厚さが厚い部分で前記第2面60bbが前記突部74の前記傾斜面74aに接触した位置にあり、第2のがたつき抑制部材60は、前記第3の環状回転部材58における前記突部74の前記傾斜面74aおよび前記第3の支持部材57の前記第5テーパ部57eに緊密に接触することになる。
【0087】
また前記第2のロック部材59が前記ロック解除位置となったときには、図12で示すように、前記第2のロック部材59が前記第1の押し出し部材66の前記押圧突部66eで押されることで、前記第2のがたつき抑制部材60は第3の付勢部材75を圧縮しながら移動し、第2のがたつき抑制部材60は、その楔部60bの厚さが薄い部分で前記第2面60bbが前記突部74の前記傾斜面74aに接触する位置となり、図13で示すように、前記第3の支持部材57の前記第5テーパ部57eおよび前記楔部60b間に間隙が生じることなり、がたつき防止状態が解除されることになる。
【0088】
この第3の実施の形態によっても上記第1および第2の実施の形態と同様に、シート11(第1の実施の形態参照)の静止状態ではがたつきを防止し、シート11を回転するときには回転し易くすることができる。しかも第1および第2の実施の形態に比べると、第2のロック部材59に、第2のがたつき抑制部材60と連結するための連結腕部が設けられておらず、その連結腕部を挿通させる貫通孔を第3の環状回転部材58の第9側壁部58bに設けることが不要となるので、第9側壁部58bの高さを抑え、第3のシート回転装置55の高さ方向でのコンパクト化に寄与することができる。
【0089】
図14は本発明の第4の実施の形態を示すものであり、第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0090】
第1の支持部材17が有する円筒状の第2側壁部17dと、第1の環状回転部材18が有する円筒状の第3側壁部18bとの間には、環状である第2の押し出し部材79が配置される。この第2の押し出し部材79の周方向に間隔をあけた複数箇所には、当該第2の押し出し部材79の周方向に長く延びる収容孔81が設けられており、前記第2側壁部17dおよび前記第3側壁部18b間に介在する第3のがたつき抑制部材82が前記収容孔81に収容される。
【0091】
一方、前記第1の環状回転部材18には、第1のロック部材19が回動可能に支持されており、この第1のロック部材19は、図14(a)で示すように前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dに係合して前記第1の環状回転部材18の回転を阻止するロック位置と、図14(b)で示すように前記第1の支持部材17の前記第2側壁部17dとの係合を解除して前記第1の環状回転部材18の回転を許容するロック解除位置との間での回動が可能である。
【0092】
前記第1のロック部材19が有する連結腕部19aは、前記第1の環状回転部材18の前記第3側壁部18bに形成された挿通孔31に挿通され、前記連結腕部19aの先端部は、前記第2の押し出し部材79に形成される連結孔80に挿通可能であり、前記連結腕部19aの先端部を前記連結孔80に挿通させることで前記第2の押し出し部材79に前記第1のロック部材19が連結される。この連結腕部19aは、図14(b)で示すように、前記第1のロック部材19がロック解除位置となったときに前記連結孔80に連結され、前記第2の押し出し部材79にその回動方向への押圧力が前記連結腕部19aから作用することになる。
【0093】
また前記第1のロック部材19が有する係合腕部19bは、図14(a)で示す前記ロック位置では、前記第1の環状回転部材18における前記第3側壁部18bに形成された第1の貫通孔33と、前記第1の支持部材17の第2側壁部17dの第2の貫通孔344に係合するものの、図14(b)で示すロック解除位置では前記第2の貫通孔34から離脱して前記第1の支持部材17との係合を解除するものであり、前記ロック位置および前記ロック解除位置間で前記係合腕部19bは前記第2の押し出し部材79を跨ぐように作動する。
【0094】
前記第1の環状回転部材18における前記第3側壁部18bには、前記第3のがたつき抑制部材82の一部を収容する第1の凹部36が前記第3のがたつき抑制部材82を嵌合させることを可能として形成される。
【0095】
前記第3のがたつき抑制部材82は、前記第1のロック部材19の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記第2の押し出し部材79の移動方向83に進むにつれて高さが次第に低くなる斜面82aを有するようにして楔形に形成され、前記第3のがたつき抑制部材82を嵌合させることを可能とした前記第1の凹部36は、前記斜面82aに対向する第1の凹部側斜面36aを有しつつ当該第3のがたつき抑制部材82の一部を収容するようにして三角形状に形成される。
【0096】
また前記第2の押し出し部材79に形成された前記収容孔81の長手方向両端部のうち前記移動方向83に沿う前端部と、前記第3のがたつき抑制部材82との間には、コイルばね84が縮設されており、前記第3のがたつき抑制部材82は前記移動方向83とは逆方向に付勢される。
【0097】
而して前記第1のロック部材19が前記ロック位置にあるときには、図14(a)で示すように、前記第3のがたつき抑制部材82の前記斜面82aが、前記第1の凹部36の前記第1の凹部側斜面36aに緊密に当接することで前記第1のがたつき抑制部材20が前記第1の環状回転部材18および前記第1の支持部材17に緊密に接触することになり、それにより第1の環状回転部材18のがたつきが阻止される。
【0098】
また前記第1のロック部材19が前記ロック解除位置となったときには、図14(b)で示すように、前記収容孔81の長手方向両端部のうち前記移動方向83に沿う後端部が前記第3のがたつき抑制部材82に当接し、前記コイルばね84の付勢力に抗して前記第3のがたつき抑制部材82は前記移動方向83に押されることになり、前記第3のがたつき抑制部材82の前記斜面82aが前記第1の凹部側斜面36aから離反する側に前記第3のがたつき抑制部材82が移動し、がたつき防止状態が解除されることになる。
【0099】
この第4の実施の形態によっても上記第1~第3の実施の形態と同様に、シート11(第1の実施の形態参照)の静止状態ではがたつきを防止し、シート11を回転するときには回転し易くすることができる。
【0100】
図15は本発明の第4の実施の形態を示すものであり、第4の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0101】
第1の支持部材17が有する円筒状の第2側壁部17dと、第1の環状回転部材18が有する円筒状の第3側壁部18bとの間には、第4のがたつき抑制部材90が有する環状のがたつき抑制部材主部90aが配置される。
【0102】
第1のロック部材19が有する連結腕部19aは、前記第1の環状回転部材18の第3側壁部18bに形成された挿通孔31に挿通され、前記連結腕部19aの先端部は、前記第4のがたつき抑制部材90の前記がたつき抑制部材主部90aに形成される連結孔91に挿通可能であり、前記連結腕部19aの先端部を前記連結孔91に挿通させることで前記第4のがたつき抑制部材90に前記第1のロック部材19が連結される。この連結腕部19aは、図15(b)で示すように、前記第1のロック部材19がロック解除位置となったときに前記連結孔91に連結され、前記第4のがたつき抑制部材90にその回動方向への押圧力が前記連結腕部19aから作用することになる。
【0103】
また前記第1のロック部材19が有する係合腕部19bは、図15(a)で示す前記ロック位置では、前記第1の環状回転部材18における前記第3側壁部18bに形成された第1の貫通孔33と、前記第1の支持部材17の第2側壁部17dの第2の貫通孔344に係合するものの、図15(b)で示すロック解除位置では前記第2の貫通孔34から離脱して前記第1の支持部材17との係合を解除するものであり、前記ロック位置および前記ロック解除位置間で前記係合腕部19bは前記第4のがたつき抑制部材90の前記がたつき抑制部材主部90aを跨ぐように作動する。
【0104】
前記がたつき抑制部材主部90aには、楔部94と、その楔部94および前記がたつき抑制部材主部94間を結ぶ弾性部95とが一体に形成される。前記楔部94および前記弾性部95は、前記がたつき抑制部材主部90aの一部がその周方向に長く延びて切り起こされるようにして形成されており、前記楔部94および前記弾性部95が配置されるようにして前記がたつき抑制部材主部90aに収容孔93が形成される。
【0105】
ところで前記第4のがたつき抑制部材90は、前記第1のロック部材19の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じて移動方向92に進むのであるが、前記楔部94は、前記移動方向83に進むにつれて高さが次第に低くなる斜面94aを有するようにして楔形に形成される。また前記収容孔93の前端部および前記楔部94が、山および谷を前記がたつき抑制部材主部90aの周方向に沿って交互に連ならせた波形の前記弾性部95で一体に連結され、この弾性部95は、前記楔部94を前記移動方向92とは逆方向に付勢する弾性力を発揮する。
【0106】
一方、前記第1の環状回転部材18における前記第3側壁部18bには、前記楔部94の前記斜面94aに対向する第1の凹部側斜面36aを有した三角形状の第1凹部36が、前記楔部94の一部を収容するようにしつつその楔部93を嵌合させることを可能として形成される。
【0107】
而して前記第1のロック部材19が前記ロック位置にあるときには、図15(a)で示すように、前記楔部94の前記斜面94aが、前記第1の凹部36の前記第1の凹部側斜面36aに緊密に当接することで前記第4のがたつき抑制部材90が前記第1の環状回転部材18および前記第1の支持部材17に緊密に接触することになり、それにより第1の環状回転部材18のがたつきが阻止される。
【0108】
また前記第1のロック部材19が前記ロック解除位置となったときには、図15(b)で示すように、前記収容孔93の長手方向両端部のうち前記移動方向92に沿う後端部が前記楔部94に当接し、前記弾性部95の付勢力に抗して前記楔部94は前記移動方向92に押されることになり、前記楔部94の前記斜面94が前記第1の凹部側斜面36aから離反する側に前記楔部94が移動することで、がたつき防止状態が解除されることになる。
【0109】
この第5の実施の形態によっても上記第1~第4の実施の形態と同様に、シート11(第1の実施の形態参照)の静止状態ではがたつきを防止し、シート11を回転するときには回転し易くすることができる。しかも第4のがたつき抑制部材90が前記楔部94および前記弾性部95を一体に有するものであるので、部品点数の低減に寄与することができる。
【0110】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0111】
11・・・シート
11a・・・シートクッション
11b・・・シートバック
13・・・スライドレール
15,45,55・・・シート回転装置
16,46,56・・・ベース部材
17,47,57・・・支持部材
18,48,58・・・環状回転部材
19,59・・・ロック部材
20,60,82,90・・・がたつき抑制部材
19a・・・連結腕部
19b・・・係合腕部
33,34・・・貫通孔
35,37・・・突部
35a,37a・・・突部側斜面
36,38・・・凹部
36a,38a・・・凹部側斜面
40・・・移動方向
41・・・付勢部材
d1,d2・・・間隙
W1,W2・・・貫通孔の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15