(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230309BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230309BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230309BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G21/00 510
G03G21/00 388
B41J29/38 350
B41J29/00 Z
H04N1/00 519
(21)【出願番号】P 2018149850
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】室田 真由子
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-331162(JP,A)
【文献】特開2009-244504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0101321(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 29/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において、
筐体に設けられた開閉可能な複数のカバーと、
制御信号に従って前記複数のカバーのうちの所定のカバーをロックするとともに前記所定のカバーのロックを解除する複数のカバーロック部と、
前記カバーロック部を制御して前記カバーの状態をロック状態およびロック解除状態の一方から他方へ変更するロック制御部と、
操作パネルとを備え、
前記複数のカバーは、前記カバーロック部が設けられていない第1カバーと、前記カバーロック部が設けられており所定ユーザーおよびサービスパーソンに対してロック解除が許可される第2カバーと、前記カバーロック部が設けられており前記サービスパーソンに対してロック解除が許可される第3カバーとを含み、
前記ロック制御部は、当該画像形成装置内での故障を検出すると、ログイン中のユーザーがいるか否かを判定し、
(a)前記ログイン中のユーザーがいないと判定した場合には、前記複数のカバーのすべてをロックし、
(b)前記ログイン中のユーザーがいると判定した場合には、前記ログイン中のユーザーのユーザーレベルを特定し、前記カバーロック部を使用して、前記複数のカバーのうち、特定した前記ユーザーレベルに対応してロック解除が許可されているカバーを除くすべてのカバーをロックし、
前記ロック制御部は、前記ログイン中のユーザーまたはユーザー認証されたユーザーのユーザーレベルに応じて、前記第2カバーのロック解除を実行するか否かを判定し、
前記ロック制御部は、ロック状態のカバーを示すメッセージを前記操作パネルに表示し、
前記操作パネルに表示されたロック状態のカバーを示す前記メッセージを含む画面には、ユーザー認証情報を入力するための第1入力フィールドおよびサービスパーソン認証情報を入力するための第2入力フィールドが併せて表示され、
ユーザーによって前記第1入力フィールドにユーザー認証情報が前記操作パネルにおいて入力されると、前記ロック制御部は、入力された前記ユーザー認証情報に基づいてユーザー認証に成功すると、前記ユーザーのユーザーレベルを特定し、特定した前記ユーザーレベルに応じて、前記第2カバーのロック解除を実行するか否かを判定し、
サービスパーソンによって前記第2入力フィールドにサービスパーソン認証情報が前記操作パネルにおいて入力されると、前記ロック制御部は、入力された前記サービスパーソン認証情報に基づいて前記サービスパーソンの認証に成功すると、ロックされているすべてのカバーのロック解除を行うこと、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2カバーと当該第2カバーのロック解除が許可されるユーザーレベルとの対応関係を示す対応関係データを記憶する記憶装置をさらに備え、
前記ロック制御部は、ログイン中のユーザーまたはユーザー認証されたユーザーのユーザーレベルを特定し、前記対応関係データに基づいて、特定した前記ユーザーレベルでロック解除が許可される前記第2カバーを特定し、ロック解除が許可されると特定された前記第2カバーのロック解除を実行し、ロック解除が許可されると特定されなかった前記第2カバーのロック解除を実行しないこと、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
定着器をさらに備え、
前記第2カバーは、前記定着器でジャムが発生した際にプリント用紙を取り除くための特定カバーを含み、
前記ロック制御部は、(a)前記定着器でジャムが発生した際に前記定着器の温度が所定値以上である場合には、前記ユーザーレベルに拘わらず前記ユーザーに対して前記特定カバーのロック解除を許可せず、前記サービスパーソンに対して前記特定カバーのロック解除を許可し、(b)前記定着器でジャムが発生した際に前記定着器の温度が所定値未満である場合には、前記ユーザーレベルに応じて前記特定カバーのロック解除を許可するとともに、前記サービスパーソンに対して前記特定カバーのロック解除を許可すること、
を特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、ジャム発生時にユーザーが紙詰りしたプリント用紙を取り除くためのカバーを備え、ジャム発生時に、ロック機構で、そのカバーを開けられないようにロックし、所定年齢以上のユーザーがログイン情報を入力すると、カバーのロックを解除している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像形成装置において、所定年齢以上のどのユーザーによってもカバーのロック解除が可能であると、装置の構造に詳しくないユーザーによる故障解消のための作業が正しく行われない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、故障発生時に、カバーのロックおよびロック解除を適切に行う画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、筐体に設けられた開閉可能な複数のカバーと、制御信号に従って前記複数のカバーのうちの所定のカバーをロックするとともに前記所定のカバーのロックを解除する複数のカバーロック部と、前記カバーロック部を制御して前記カバーの状態をロック状態およびロック解除状態の一方から他方へ変更するロック制御部と、操作パネルとを備える。前記複数のカバーは、前記カバーロック部が設けられていない第1カバーと、前記カバーロック部が設けられており所定ユーザーおよびサービスパーソンに対してロック解除が許可される第2カバーと、前記カバーロック部が設けられており前記サービスパーソンに対してロック解除が許可される第3カバーとを含む。そして、前記ロック制御部は、当該画像形成装置内での故障を検出すると、ログイン中のユーザーがいるか否かを判定し、(a)前記ログイン中のユーザーがいないと判定した場合には、前記複数のカバーのすべてをロックし、(b)前記ログイン中のユーザーがいると判定した場合には、前記ログイン中のユーザーのユーザーレベルを特定し、前記カバーロック部を使用して、前記複数のカバーのうち、特定した前記ユーザーレベルに対応してロック解除が許可されているカバーを除くすべてのカバーをロックする。また、前記ロック制御部は、前記ログイン中のユーザーまたはユーザー認証されたユーザーのユーザーレベルに応じて、前記第2カバーのロック解除を実行するか否かを判定する。そして、前記ロック制御部は、ロック状態のカバーを示すメッセージを前記操作パネルに表示し、前記操作パネルに表示されたロック状態のカバーを示す前記メッセージを含む画面には、ユーザー認証情報を入力するための第1入力フィールドおよびサービスパーソン認証情報を入力するための第2入力フィールドが併せて表示される。ユーザーによって前記第1入力フィールドにユーザー認証情報が前記操作パネルにおいて入力されると、前記ロック制御部は、入力された前記ユーザー認証情報に基づいてユーザー認証に成功すると、前記ユーザーのユーザーレベルを特定し、特定した前記ユーザーレベルに応じて、前記第2カバーのロック解除を実行するか否かを判定する。また、サービスパーソンによって前記第2入力フィールドにサービスパーソン認証情報が前記操作パネルにおいて入力されると、前記ロック制御部は、入力された前記サービスパーソン認証情報に基づいて前記サービスパーソンの認証に成功すると、ロックされているすべてのカバーのロック解除を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、故障発生時に、カバーのロックおよびロック解除を適切に行う画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の筐体に設けられているカバーおよびセンサーの位置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1~
図3に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
図1に示す画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式のプリント機能を有する装置である。
【0012】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a~1d、露光装置2a~2dおよび現像装置3a~3dを備える。感光体ドラム1a~1dは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの4色のトナー色に対応する感光体である。
【0013】
露光装置2a~2dは、感光体ドラム1a~1dへレーザー光を走査しつつ照射して静電潜像を形成する装置である。レーザー光は、感光体ドラム1a~1dの回転方向(副走査方向)に垂直な方向(主走査方向)に走査される。露光装置2a~2dは、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、およびそのレーザー光を感光体ドラム1a~1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を含むレーザースキャニングユニットを有する。
【0014】
さらに、感光体ドラム1a~1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a~1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a~1dを除電する。
【0015】
現像装置3a~3dは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの4色のトナーがそれぞれ充填されるトナーカートリッジと、トナーカートリッジ内のトナーホッパーから搬送されてくるトナーを感光体ドラム1a~1dへ付着させる現像器とを備え、そのトナーを感光体ドラム1a~1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。
【0016】
感光体ドラム1a、露光装置2aおよび現像装置3aにより、プリントすべき画像のマゼンタ成分の現像が行われ、感光体ドラム1b、露光装置2bおよび現像装置3bにより、プリントすべき画像のシアン成分の現像が行われ、感光体ドラム1c、露光装置2cおよび現像装置3cにより、プリントすべき画像のイエロー成分の現像が行われる。感光体ドラム1d、露光装置2dおよび現像装置3dにより、プリントすべき画像のブラック成分の現像が行われる。
【0017】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a~1dに接触し、感光体ドラム1a~1d上のトナー画像を1次転写される環状の像担持体(中間転写体)である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ周回していく。
【0018】
転写ローラー6は、後述するように搬送されてくる用紙を中間転写ベルト4に接触させ、中間転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0019】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後やキャリブレーション後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0020】
トナー濃度センサー8は、中間転写ベルト4に光線を照射し、中間転写ベルト4の表面またはその表面上のトナーパターンからの反射光を検出する。例えば、トナー濃度センサー8は、トナー階調のキャリブレーションの際に、中間転写ベルト4の所定の領域(キャリブレーション用のトナーパッチが転写される領域)に光線を照射し光線の反射光を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0021】
さらに、この実施の形態に係る画像形成装置は、複数の給紙カセット11,12,13,14を備えている。なお、給紙カセット11,12は、当該画像形成装置の本体に設けられており、給紙カセット13,14は、当該画像形成装置の本体に対して着脱可能なオプション給紙装置に設けられている。
【0022】
給紙カセット11,12,13,14は、用紙101,102,103,104を収容しており、リフト板21,24,31,34で用紙101,102,103,104を上方に押し上げてピックアップローラー22,25,32,35に当接させる。給紙カセット11,12,13,14に載置された用紙101,102,103,104は上側から1枚ずつピックアップローラー22,25,32,35によって給紙ローラー23,26,33,36へピックアップされる。給紙ローラー23,26,33,36は、給紙カセット11,12,13,14からピックアップローラー22,25,32,35によって給紙された用紙101,102,103,104を1枚ずつ搬送路上へ搬送するローラーである。
【0023】
搬送ローラー27は、給紙カセット11,12,13,14から搬送されてくる用紙101,102,103,104に共通な搬送路上の搬送ローラーである。
【0024】
レジストローラー41は、搬送されてくる用紙を一時停止させ、2次給紙タイミングでその用紙を中間転写ベルト4および転写ローラー6による転写位置へ搬送する。2次給紙タイミングは、その用紙上の指定された位置に中間転写ベルト4上のトナー画像が転写されるように後述のコントローラー61によって指定される。
【0025】
レジストセンサー42は、レジストローラー41の近傍に設置され、搬送路を搬送されてくる用紙101,102,103,104がレジストローラー41に到達したことを検出する光学センサーである。
【0026】
搬送センサー43は、搬送路上を搬送されている用紙101,102,103,104が所定位置(搬送センサー43の設置位置)に到達したことを検出する光学センサーである。搬送センサー43は、当該画像形成装置の本体において、レジストセンサー42より上流側に設置されている。
【0027】
搬送センサー44は、搬送路上を搬送されている用紙103,104が所定位置(搬送センサー44の設置位置)に到達したことを検出する光学センサーである。搬送センサー44は、上述のオプション給紙装置に設置されている。
【0028】
搬送センサー45は、搬送路上を搬送されている用紙101,102,103,104が所定位置(搬送センサー45の設置位置)に到達したことを検出する光学センサーである。搬送センサー45は、当該画像形成装置の本体において定着器9の下流側に設置されている。
【0029】
ブリッジ搬送センサー46は、搬送路上を搬送されている用紙101,102,103,104が所定位置(ブリッジ搬送センサー46の設置位置)に到達したことを検出する光学センサーである。ブリッジ搬送センサー46は、当該画像形成装置の本体におけるブリッジ搬送路に設置されている。なお、ブリッジ搬送路は、フィニッシャーへ用紙を搬送するための搬送路であって、定着器9の下流において本体搬送路から分岐している搬送路である。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置(本体、オプション給紙装置、およびフィニッシャーを含む)の筐体に設けられているカバーおよびセンサーの位置の一例を示す図である。
【0031】
図2および
図3に示すように、この画像形成装置は、さらに、フィニッシャー搬入センサー47を備える。フィニッシャー搬入センサー47は、当該画像形成装置の本体に対して着脱可能なフィニッシャーにおいて、ブリッジ搬送路上を搬送されている用紙101,102,103,104が所定位置(フィニッシャー搬入センサー47の設置位置)に到達したことを検出する光学センサーである。フィニッシャー搬入センサー47は、フィニッシャー側の搬入口近傍におけるブリッジ搬送路に設置されている。
【0032】
なお、以後、レジストセンサー42、搬送センサー43,44,45、ブリッジ搬送センサー46、およびフィニッシャー搬入センサー47を単にセンサーと呼ぶ。このように、センサー42~47は、プリント用紙のシート搬送路に設けられたプリント用紙シート検出用の光電センサーである。センサー42~47は、反射式のセンサーであって、搬送路の所定位置に測定光を照射する発光部と、その所定位置からの反射光を受光し受光光量に応じた出力信号を出力する受光部とを備える。したがって、その所定位置に用紙シートが存在する場合には受光光量が大きく、そうではない場合には受光光量が小さくなる。
【0033】
また、
図2および
図3に示すように、この画像形成装置は、筐体に設けられた開閉可能な複数のカバー51~56と、制御信号に従って複数のカバー51~56のうちの所定のカバーをロックするとともにそのカバーのロックを解除する複数のカバーロック部51a~53a,55a,56aとを備える。
【0034】
カバー51は、本体側面(上側)に設けられており、カバー52は、本体側面(下側)に設けられている。カバー53は、オプション給紙装置の側面に設けられている。カバー54は、ブリッジ搬送路の上方に設けられている。カバー55は、フィニッシャーの前面に設けられている。カバー51~55は、ジャムなどに起因して、搬送路上で停止しているプリント用紙を取り除くためのカバーである。カバー56は、本体前面に設けられており、現像装置3a~3dやトナーカートリッジを交換するためのカバーである。
【0035】
カバーロック部51a~53a,55a,56aは、制御信号に従って複数のカバー51~56のうちの所定のカバーをロックするとともにそのカバーのロックを解除する。
【0036】
例えば、カバーロック部51a~53a,55a,56aは、制御信号に従ってカバーのロックを機械的に行うアクチュエーターを備える。
【0037】
カバーロック部51a~53a,55a,56aがカバー51~53,55,56をロックしている状態では、ユーザーやサービスパーソンによるカバー51~53,55,56の開閉が禁止され、ロック解除の状態では、ユーザーやサービスパーソンによるカバー51~53,55,56の開閉が可能となっている。
【0038】
さらに、
図2に示すように、この画像形成装置は、コントローラー61、記憶装置62、および操作パネル63を備える。
【0039】
コントローラー61は、コンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備え、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで各種処理部を実現し、
図1に示すようなプリント装置などの内部デバイスを監視および制御するとともに、各種データ処理を行う。例えば、コントローラー61は、上述のローラーなどを駆動する図示せぬ駆動源、1次転写バイアスを印加するバイアス回路、現像装置3a~3d、露光装置2a~2dなどを制御して、トナー画像の現像、転写および定着、並びに用紙の給紙、搬送および排紙を実行させる。
【0040】
また、コントローラー61は、当該画像形成装置の故障(用紙のジャム、トナーエンプティ、現像装置3a~3dの使用限度到達など)を検出する。具体的には、コントローラー61は、プリント用紙の各シートの搬送を制御するために、上述のセンサー42~47の出力信号に基づいて、プリント用紙シートの搬送路の所定位置におけるプリント用紙シートの有無を特定し、用紙のジャムを検出する。また、コントローラー61は、既存の方法で、トナーカートリッジのトナーエンプティを検出したり、現像装置3a~3dの使用限度到達を検出したりする。
【0041】
記憶装置62は、フラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶装置である。記憶装置に62には、コントローラー61用のプログラムやデータなどが予め記憶されている。この実施の形態では、記憶装置62には、対応関係データ81が記憶されている。
【0042】
操作パネル63は、ユーザーに対して操作画面などを表示する表示装置(液晶ディスプレイなど)、およびユーザー操作を受け付ける入力装置(タッチパネル、ハードキーなどを備える。
【0043】
また、コントローラー61は、ログイン処理部71、メンテナンス処理部72、およびロック制御部73として動作する。
【0044】
ログイン処理部71は、操作パネル63にログイン画面を表示し、ログイン画面に対してユーザー認証情報(ユーザーIDおよびパスワード)を入力するユーザー操作を操作パネル63で検出すると、入力されたユーザー認証情報に基づいてユーザー認証を実行し、ユーザー認証に成功すると、当該画像形成装置の各種機能を使用するためのメニュー画面を操作パネル63に表示する。ユーザー認証に成功したユーザーは、ログインユーザーとして、ログアウトするまで、メニュー画面を操作して、各種機能を使用する。
【0045】
メンテナンス処理部72は、操作パネル63に対する特定操作(例えば、パスワードの入力など)に基づき、サービスパーソンの認証を実行し、認証に成功した場合、サービスパーソンによるメンテナンス作業を許可する。認証に成功した場合、メンテナンス処理部72は、サービスパーソンによる操作に従ってメンテナンス作業(ログの読み出し、設定変更など)を実行する。
【0046】
ロック制御部73は、カバーロック部51a~53a,55a,56aを制御してカバー51~53,55,56の状態をロック状態およびロック解除状態の一方から他方へ変更する。
【0047】
上述の複数のカバー51~53,55,56は、カバーロック部51a~53a,55a,56aが設けられていない第1カバー(ここでは、カバー54)と、カバーロック部が設けられており所定ユーザーおよびサービスパーソンに対してロック解除が許可される第2カバー(ここでは、カバー52,53,55,56)と、カバーロック部が設けられておりサービスパーソンに対してロック解除が許可される第3カバー(ここでは、カバー51)とを含む。そして、ロック制御部73は、ログイン中のユーザー(ログインユーザー)または(故障検出後に)ユーザー認証されたユーザーのユーザーレベルに応じて、上述の第2カバーのロック解除を実行するか否かを判定する。
【0048】
なお、ユーザー認証に使用される図示せぬユーザー登録データに基づいて、ユーザーレベルが特定される。つまり、ユーザー登録データは、各登録ユーザーの、ユーザー認証情報(ユーザーIDおよびパスワード)およびユーザーレベル情報を含む。ユーザー登録データは、記憶装置62または図示せぬサーバーなどに記憶され、必要に応じて読み出される。
【0049】
また、対応関係データ81は、各第2カバーとその第2カバーのロック解除が許可されるユーザーレベルとの対応関係を示すデータである。対応関係データ81は、記憶装置62に予め記憶される。そして、ロック制御部73は、ログイン中のユーザーまたはユーザー認証されたユーザーのユーザーレベルを特定し、対応関係データ81に基づいて、特定したユーザーレベルでロック解除が許可される第2カバーを特定し、ロック解除が許可されると特定された1または複数の第2カバーのロック解除を実行し、ロック解除が許可されると特定されなかった第2カバーのロック解除を実行しない。
【0050】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
図4は、
図1~
図3に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【0051】
ロック制御部73は、当該画像形成装置内での故障(例えば、コピージョブ実行時のジャムやプリントジョブ実行時のジャム)を検出すると(ステップS1)、ログイン中のユーザーがいるか否かを判定し(ステップS2)、ログイン中のユーザーがいる場合には、そのログインユーザーのユーザーレベルを特定し(ステップS3)、カバーロック部51a~53a,55a,56aを使用して、カバー51~53,55,56のうち、特定したユーザーレベルに対応してロック解除が許可されているカバーを除くすべてのカバーをロックする(ステップS4)。そして、ロック制御部73は、ロック状態のカバーを示すメッセージを操作パネル63に表示する(ステップS5)。
【0052】
一方、故障検出時にログイン中のユーザーがいない場合(例えば、リモートのホスト装置から要求されたプリントジョブを実行している際に故障が検出された場合)、ロック制御部73は、すべてのカバー51~53,55,56をロックする(ステップS6)。そして、ロック制御部73は、ロック状態のカバーを示すメッセージを操作パネル63に表示する(ステップS5)。
【0053】
このようにして、故障検出後、ロック状態のカバーがある場合、コントローラー61は、故障が解消されるまで、ジョブ要求の受け付けを停止する。
【0054】
操作パネル63に表示されたロック状態のカバーを示すメッセージを含む画面には、ユーザー認証情報を入力するための入力フィールドおよびサービスパーソン認証情報を入力するための入力フィールドが併せて表示される。
【0055】
そして、ユーザーによって、ユーザー認証情報を入力するための入力フィールドにユーザー認証情報が操作パネル63において入力されると、ロック制御部73は、入力されたユーザー認証情報に基づいてユーザー認証を実行し(ステップS7)、ユーザー認証に成功すると、そのユーザーのユーザーレベルを特定し、カバーロック部51a~53a,55a,56aを使用して、カバー51~53,55,56のうち、ロックされているカバーであり、かつ、ユーザーレベルに応じてロック解除が許可されているカバーのロック解除を行う(ステップS8)。
【0056】
また、サービスパーソンによって、サービスパーソン認証情報を入力するための入力フィールドにサービスパーソン認証情報が操作パネル63において入力されると、ロック制御部73は、入力されたサービスパーソン認証情報に基づいてサービスパーソンの認証を実行し(ステップS9)、サービスパーソンの認証に成功すると、カバー51~53,55,56のうち、ロックされているすべてのカバーのロック解除を行う(ステップS10)。
【0057】
さらに、ユーザーまたはサービスパーソンが故障解消の作業を完了すると、コントローラー61は、故障解消を検出し(ステップS11)、当該処理を終了する。
【0058】
以上のように、上記実施の形態によれば、複数のカバーロック部51a~53a,55a,56aは、制御信号に従って複数のカバー51~53,55,56のうちの所定のカバーをロックするとともにそのカバーのロックを解除する。ロック制御部73は、カバーロック部51a~53a,55a,56aを制御してカバー51~53,55,56の状態をロック状態およびロック解除状態の一方から他方へ変更する。複数のカバー51~53,55,56は、カバーロック部が設けられていない第1カバー(つまり、故障検出時にロックされないカバー)と、カバーロック部が設けられており所定ユーザーおよびサービスパーソンに対してロック解除が許可される第2カバー(つまり、故障検出時にロックされるが、特定のユーザーやサービスパーソンには開閉が許可されるカバー)と、カバーロック部が設けられておりサービスパーソンに対してロック解除が許可される第3カバー(つまり、故障検出時にロックされるが、ユーザーには開閉が許可されず、サービスパーソンには開閉が許可されるカバー)とを含む。そして、ロック制御部73は、ログイン中のユーザーまたはユーザー認証されたユーザーのユーザーレベルに応じて、第2カバーのロック解除を実行するか否かを判定する。
【0059】
これにより、故障発生時に、カバー51~53,55,56のロックおよびロック解除が適切に行われる。
【0060】
つまり、カバー51~53,55,56の場所によって、(a)どのユーザーがその内部に触れても問題ないカバー、(b)装置の構造に詳しくないユーザーがその内部に触れないほうが好ましく、装置の構造に詳しいユーザーであればその内部に触れても問題ないカバー、および(c)どのユーザーもその内部に触れないほうが好ましいカバーがあり、それらのカバーが、上述の第1カバー、第2カバーおよび第3カバーに予め分類され、また、装置の構造に詳しくないユーザーおよび装置の構造に詳しいユーザーが上述のユーザーレベルで予め分類されており、カバーの場所およびユーザーレベルに基づいて、故障発生時に、カバー51~53,55,56のロックおよびロック解除が適切に行われる。
【0061】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0062】
例えば、上記実施の形態において、カバー51(定着器9でジャムが発生した際にプリント用紙を取り除くための特定カバー)を第2カバーとし、ロック制御部73は、(a)定着器9でジャムが発生した際に定着器9の温度が所定値以上である場合には、ユーザーレベルに拘わらずユーザーに対して上述の特定カバーのロック解除を許可せず、サービスパーソンに対して上述の特定カバーのロック解除を許可し、(b)定着器9でジャムが発生した際に定着器9の温度が所定値未満である場合には、ユーザーレベルに応じて上述の特定カバーのロック解除を許可するとともに、サービスパーソンに対して上述の特定カバーのロック解除を許可するようにしてもよい。なお、定着器9の温度は、例えば、温度センサーを使用して検出される。
【0063】
また、上記実施の形態において、ユーザー認証およびサービスパーソンの認証を図示せぬ外部の認証サーバーで行うようにしてもよい。その場合、コントローラー61は、図示せぬネットワークインターフェイスを使用して、ユーザーまたはサービスパーソンの認証情報をその認証サーバーへ送信し、ユーザー認証およびサービスパーソンの認証をその認証サーバーに実行させ、その認証結果を認証サーバーから受信するとともに、ユーザー認証成功の場合には、併せて、その認証結果とともにそのユーザーのユーザーレベルを認証サーバーから受信する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
9 定着器
51~56 カバー
51a~53a,55a,56a カバーロック部
62 記憶装置
73 ロック制御部
81 対応関係データ