(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】食品機械
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20230309BHJP
F25D 7/00 20060101ALI20230309BHJP
E06B 7/16 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
F25D23/02 305Z
F25D7/00 A
F25D23/02 301F
F25D23/02 306B
E06B7/16 C
(21)【出願番号】P 2019054496
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】大下 泰史
(72)【発明者】
【氏名】津島 康夫
(72)【発明者】
【氏名】狩野 泰範
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】佐▲ど▼ 克也
(72)【発明者】
【氏名】富家 俊光
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-138267(JP,U)
【文献】特開平09-242419(JP,A)
【文献】特開2014-119119(JP,A)
【文献】特開平03-262888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 7/00
E06B 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後少なくとも一方に開口部を有する処理槽本体と、
左右にスライドして前記処理槽本体の開口部を開閉するドアと、
このドアで密閉された前記処理槽本体内を減圧する減圧手段と、
前記ドアの左右両端部に設けられる被引寄部と、
前記処理槽本体の左右両側壁に設けられ、前記被引寄部を前記処理槽本体の側へ引き寄せる締付装置と、
前記減圧手段および前記締付装置を制御する制御手段とを備え
、
前記締付装置は、空気圧シリンダまたは油圧シリンダからなるドア締付用シリンダ装置と、このシリンダ装置により突出位置と引込位置との間を進退する引寄材とを備え、
前記シリンダ装置の突出位置では、前記ドアの被引寄部に前記引寄材が干渉せず、
前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアを配置して、前記シリンダ装置を引込位置に切り替えると、前記引寄材が前記被引寄部を前記処理槽本体の側へ引き寄せ、
前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアを配置した状態で、前記引寄材と前記被引寄部との作用点は、戸先側では前記処理槽本体の開口面よりも前記処理槽本体の前後方向外側に位置し、戸尻側では前記処理槽本体の開口面よりも前記処理槽本体の前後方向内側に位置する
ことを特徴とする食品機械。
【請求項2】
前後少なくとも一方に開口部を有する処理槽本体と、
左右にスライドして前記処理槽本体の開口部を開閉するドアと、
このドアで密閉された前記処理槽本体内を減圧する減圧手段と、
前記ドアの左右両端部に設けられる被引寄部と、
前記処理槽本体の左右両側壁に設けられ、前記被引寄部を前記処理槽本体の側へ引き寄せる締付装置と、
前記減圧手段および前記締付装置を制御する制御手段とを備え
、
前記締付装置は、空気圧シリンダまたは油圧シリンダからなるドア締付用シリンダ装置と、このシリンダ装置により突出位置と引込位置との間を進退する引寄材とを備え、
前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアを配置した状態で、
前記ドアの戸先側端部では、前記ドアから戸先側へ突出する被引寄部が、前記締付装置の引寄材の穴または凹部に突入され、
前記ドアの戸尻側端部では、前記締付装置から戸尻側へ突出する引寄材が、前記ドアから背面側へ突出する被引寄部の穴または凹部に突入される
ことを特徴とする食品機械。
【請求項3】
前記ドアは、空気圧シリンダまたは油圧シリンダからなるドア開閉用シリンダ装置により、左右にスライド可能とされ、
前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアが配置されたことを条件に、前記締付装置を突出位置から引込位置に変更可能とされ、
前記締付装置が前記突出位置にあることを条件に、前記ドアをスライド可能とされた
ことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の食品機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽内を減圧する減圧手段を備えた食品機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
減圧手段を備えた食品機械として、たとえば真空冷却装置がある。真空冷却装置は、処理槽内を減圧することで、処理槽内の食品からの水分蒸発を促し、その気化潜熱で食品の冷却を図る装置である。
【0003】
従来、真空冷却装置として、下記特許文献1に開示されるものが知られている。この装置では、処理槽(2)は、前後に開口部を有する処理槽本体(7)と、この処理槽本体の開口部を開閉するドア(3)とから構成される。ドアは、処理槽本体に対し左右にスライド可能に設けられる。処理槽本体の左右の側壁にはハンドル(10)が設けられる一方、ドアには左右方向外側へ突出してハンドル引掛部(11)が設けられている。処理槽本体の開口部と対応した位置にドアを配置した状態で、ハンドル引掛部にハンドルを引っ掛けて、ドアを処理槽本体の側へ締め付ける(押し付ける)ことで、処理槽本体の開口部をパッキンを介してドアで気密に閉じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、処理槽本体へのドアの締付けには、手動でのハンドル操作が必要であり、ドアの締付け操作は、自動化されていないし、自動化が容易な構成でもない。処理槽本体へのドアの締付けを自動化できれば、処理槽に対し食品を自動で搬入出させて、食品製造の自動化につなげることも可能となる。
【0006】
処理槽本体へのドアの締付けを自動化するに際し、次のような要求がある。すなわち、真空冷却装置のように、処理槽内が減圧される食品機械の場合、ドアを閉じる際、処理槽本体にドアを単にロックするだけでは足りず、処理槽本体にドアを締め付けて気密性を確保する必要がある。一方、処理槽本体とドアとの締付部の構造が、ドアの開閉時には互いに干渉しない必要もある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、処理槽本体に対しドアを左右にスライド可能な食品機械において、処理槽本体へのドアの締付けを自動で確実に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、前後少なくとも一方に開口部を有する処理槽本体と、左右にスライドして前記処理槽本体の開口部を開閉するドアと、このドアで密閉された前記処理槽本体内を減圧する減圧手段と、前記ドアの左右両端部に設けられる被引寄部と、前記処理槽本体の左右両側壁に設けられ、前記被引寄部を前記処理槽本体の側へ引き寄せる締付装置と、前記減圧手段および前記締付装置を制御する制御手段とを備え、前記締付装置は、空気圧シリンダまたは油圧シリンダからなるドア締付用シリンダ装置と、このシリンダ装置により突出位置と引込位置との間を進退する引寄材とを備え、前記シリンダ装置の突出位置では、前記ドアの被引寄部に前記引寄材が干渉せず、前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアを配置して、前記シリンダ装置を引込位置に切り替えると、前記引寄材が前記被引寄部を前記処理槽本体の側へ引き寄せ、前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアを配置した状態で、前記引寄材と前記被引寄部との作用点は、戸先側では前記処理槽本体の開口面よりも前記処理槽本体の前後方向外側に位置し、戸尻側では前記処理槽本体の開口面よりも前記処理槽本体の前後方向内側に位置することを特徴とする食品機械である。
【0009】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、処理槽本体に対しドアを左右にスライドして、処理槽本体の開口部を開閉することができる。処理槽本体の開口部を閉じる際、処理槽本体の左右両側壁の締付装置により、ドアの左右両端部の被引寄部を処理槽本体の側へ引き寄せて、処理槽本体にドアを締め付けることができる。これにより、処理槽本体の開口部をドアで気密に閉じることができる。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、処理槽本体の左右両側壁の締付装置は、シリンダ装置により突出位置と引込位置との間で引寄材を進退させる。シリンダ装置の突出位置では、ドアの被引寄部に引寄材が干渉しないので、処理槽本体に対しドアを左右にスライドさせることができる。一方、処理槽本体の開口部と対応した位置にドアを配置して、シリンダ装置を引込位置に切り替えることで、引寄材が被引寄部を処理槽本体の側へ引き寄せて、処理槽本体にドアを締め付けることができる。これにより、処理槽本体の開口部をドアで気密に閉じることができる。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、戸先側では、引寄材と被引寄部との作用点は、処理槽本体の開口面よりも処理槽本体の前後方向外側に位置するので、ドアを閉じる際、戸先側の被引寄部が処理槽本体と干渉してドアのスライドを妨げることなく、戸先側の締付装置の引寄材による引寄可能位置に自動的に収まることになる。一方、戸尻側では、引寄材と被引寄部との作用点は、処理槽本体の開口面よりも処理槽本体の前後方向内側に位置するので、ドアを閉じる際、戸尻側の被引寄部が処理槽本体と干渉してドアのスライドを妨げることなく、戸尻側の締付装置の引寄材による引寄可能位置に自動的に収まることになる。このようにして、ドアを全閉位置に配置した際に、同時に締付装置による引寄せ準備が整うので、簡易な構成でドアの締付けが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前後少なくとも一方に開口部を有する処理槽本体と、左右にスライドして前記処理槽本体の開口部を開閉するドアと、このドアで密閉された前記処理槽本体内を減圧する減圧手段と、前記ドアの左右両端部に設けられる被引寄部と、前記処理槽本体の左右両側壁に設けられ、前記被引寄部を前記処理槽本体の側へ引き寄せる締付装置と、前記減圧手段および前記締付装置を制御する制御手段とを備え、前記締付装置は、空気圧シリンダまたは油圧シリンダからなるドア締付用シリンダ装置と、このシリンダ装置により突出位置と引込位置との間を進退する引寄材とを備え、前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアを配置した状態で、前記ドアの戸先側端部では、前記ドアから戸先側へ突出する被引寄部が、前記締付装置の引寄材の穴または凹部に突入され、前記ドアの戸尻側端部では、前記締付装置から戸尻側へ突出する引寄材が、前記ドアから背面側へ突出する被引寄部の穴または凹部に突入されることを特徴とする食品機械である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、処理槽本体の左右両側壁の締付装置は、シリンダ装置により突出位置と引込位置との間で引寄材を進退させる。また、処理槽本体の開口部と対応した位置までドアをスライドさせると、ドアの戸先側端部では、ドアから戸先側へ突出する被引寄部が、締付装置の引寄材の穴または凹部に突入され、ドアの戸尻側端部では、締付装置から戸尻側へ突出する引寄材が、ドアから背面側へ突出する被引寄部の穴または凹部に突入される。戸先側と戸尻側とで非対称の構造を採用することで、シリンダ装置の突出位置でのドアのスライドを許容しつつ、所望時には、シリンダ装置を引込位置に切り替えて、ドアの締付けを図ることができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記ドアは、空気圧シリンダまたは油圧シリンダからなるドア開閉用シリンダ装置により、左右にスライド可能とされ、前記処理槽本体の開口部と対応した位置に前記ドアが配置されたことを条件に、前記締付装置を突出位置から引込位置に変更可能とされ、前記締付装置が前記突出位置にあることを条件に、前記ドアをスライド可能とされたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品機械である。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、ドア開閉用シリンダ装置により、ドアを自動で左右にスライドさせることができる。そして、処理槽本体の開口部と対応した位置にドアが配置されたことを条件に、締付装置を突出位置から引込位置に変更可能とされると共に、締付装置が突出位置にあることを条件に、ドアをスライド可能とされるので、ドアの被引寄部と処理槽本体側の引寄材との干渉を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、処理槽本体に対しドアを左右にスライド可能な食品機械において、処理槽本体へのドアの締付けを自動で確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例の真空冷却装置の概略正面図であり、一部を省略して示すと共に、ドアを完全に閉めた状態(全閉状態)を示している。
【
図2】
図1の真空冷却装置の概略正面図であり、一部を省略して示すと共に、ドアを完全に開けた状態(全開状態)を示している。
【
図3】
図1の真空冷却装置における処理槽本体へのドアの締付構造を示す概略斜視図であり、ドアの戸先側(ドア閉側)におけるドア締付構造を示している。
【
図4】
図1の真空冷却装置における処理槽本体へのドアの締付構造を示す概略斜視図であり、ドアの戸尻側(ドア開側)におけるドア締付構造を示している。
【
図5】
図1の真空冷却装置の処理槽の概略横断面図であり、一部を省略して示すと共に、ドアを中途まで閉じた状態(締付装置が突出位置にある状態)を示している。なお、ドアの厚みとパッキンの縮尺等は、必ずしも一致していない。
【
図6】
図1の真空冷却装置の処理槽の概略横断面図であり、一部を省略して示すと共に、ドアを完全に閉じて処理槽本体に締め付けた状態(締付装置が引込位置にある状態)を示している。なお、ドアの厚みとパッキンの縮尺等は、必ずしも一致していない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
ここでは、本発明を真空冷却装置に適用した例について説明する。つまり、食品機械は真空冷却装置であるとして説明する。
【0021】
図1および
図2は、本発明の一実施例の真空冷却装置1の概略正面図であり、一部を省略して示している。また、
図1は、ドア4を完全に閉めた状態(全閉状態)、
図2はドア4を完全に開けた状態(全開状態)を示している。
【0022】
真空冷却装置1は、食品が収容される処理槽2の他、図示しないが、処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段と、減圧された処理槽2内に外気を導入して処理槽2内を復圧する復圧手段と、これら各手段などを制御する制御手段とを備える。そして、真空冷却装置1は、処理槽2内に食品が収容され、処理槽2のドア4が気密に閉じられた状態で、減圧手段により処理槽2内を減圧して食品を冷却後、復圧手段により処理槽2内を大気圧まで復圧する。
【0023】
以下、処理槽2のドア4の開閉(処理槽本体3に対するドア4のスライド)構造と、処理槽2のドア4の締付け(処理槽本体3へのドア4の押付け)構造とについて説明する。ここでは、説明の便宜上、処理槽2の幅方向(ドア4のスライド方向)を左右方向とし、処理槽2の高さ方向を上下方向とし、処理槽2の奥行方向(
図1における紙面と直交方向)を前後方向として説明する。但し、処理槽2の前方に設けられるドア4については、その後面(処理槽本体3側の面)を背面ということがあり、処理槽2の後方に設けられるドア4については、その前面(処理槽本体3側の面)を背面ということがある。
【0024】
処理槽2は、前後少なくとも一方に開口部3aを有する処理槽本体3と、左右にスライドして処理槽本体3の開口部3aを開閉するドア4とを備える。本実施例では、処理槽本体3は、前面(
図1において紙面と直交する手前側)に開口部3aを有し、その開口部3aを開閉するドア4は、右側へスライドして開けられる。但し、後述するように、処理槽本体3は後面にも開口部3aを有し、その開口部3aをドア4で開閉可能とされてもよく、その場合、典型的には、処理槽2は前後方向中央部を境に前後対称の構成とされる。
【0025】
処理槽本体3は、略矩形の中空ボックス状に形成され、前面の開口部3aが、ドア4で開閉可能とされる。ドア4は、略矩形の板状に形成され、処理槽本体3の上部に、左右にスライド可能に吊り下げられる。
【0026】
具体的には、
図1において、処理槽本体3の前方上部には、左右方向へ沿うと共に処理槽本体3から右側へ延出して吊レール5が設けられており、この吊レール5にドア4がスライド可能に吊り下げられる。図示例では、ドア4には、上端部の左右二箇所に取付材6が固定されており、各取付材6に中間材7を介してランナー8が設けられる。そして、そのランナー8が、吊レール5にスライド可能に保持される。ランナー8と中間材7との間、および中間材7と取付材6との間は、それぞれ左右方向へ沿うピンによるヒンジで連結されている。そのため、ドア4を鉛直に保ったまま、ドア4を若干前後へ移動可能とされる。
【0027】
吊レール5の下部には、ドア開閉用シリンダ装置9が設けられる。ドア開閉用シリンダ装置9は、本実施例では空気圧シリンダから構成されるが、場合により、油圧シリンダなどから構成されてもよい。図示例では、ドア開閉用シリンダ装置9は、ロッドレス形の空気圧シリンダから構成されており、圧縮空気の給排気により、シリンダチューブに対しピストンを進退させることができる。そして、ピストンの動きは、ランナー8に伝達され、ドア4を左右にスライドさせることができる。ドア開閉用シリンダ装置9への圧縮空気の給排気をエア制御弁(図示省略)で制御することで、ピストンひいてはドア4の開閉を制御することができる。
【0028】
図2に示すように、ドア4を処理槽本体3に対し右側へスライドさせると、処理槽本体3の開口部3aを全開することができ、逆に、
図1に示すように、ドア4を処理槽本体3に対し左側へスライドさせると、処理槽本体3の開口部3aを全閉することができる。ドア4の全開位置および全閉位置は、ドア位置検知手段(図示省略)により検知可能とされる。たとえば、ドア4が全開位置または全閉位置にきた際のランナー8(または中間材7やドア4)をリミットスイッチ(図示省略)により検知可能とすることで、ドア4の全開位置または全閉位置を検知することができる。
【0029】
ドア4を全閉位置までスライドさせた状態(つまり処理槽本体3の開口部3aと対応した位置にドア4を配置した状態)で、処理槽本体3にドア4を締め付けて(言い換えれば押し付けて)、処理槽本体3の開口部3aをドア4で気密に閉じることができる。本実施例では、処理槽本体3の前面には、開口部を取り囲むようにパッキン10(
図2)が設けられており、処理槽本体3にパッキン10を介してドア4を押し付けることで、処理槽本体3の開口部3aをドア4で気密に閉じることができる。
【0030】
処理槽本体3へのドア4の締付けは、処理槽本体3およびドア4の左右両端部においてなされる。すなわち、ドア4の左右両端部には被引寄部11が設けられる一方、処理槽本体3の左右両側壁には締付装置12が設けられており、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置にドア4を配置した状態で、ドア4の被引寄部11を締付装置12により処理槽本体3の側へ引き寄せて、処理槽本体3の開口部3aをドア4で気密に閉じることができる。
【0031】
図3および
図4は、処理槽本体3へのドア4の締付構造を示す概略斜視図であり、
図3は、ドア4の戸先側(ドア閉側)におけるドア締付構造を示し、
図4は、ドア4の戸尻側(ドア開側)におけるドア締付構造を示しており、それぞれ締付装置12で被引寄部11を締め付ける前(処理槽本体3にドア4を押し付ける前)の状態を示している。また、
図5および
図6は、処理槽2の概略横断面図であり、一部を省略して示しており、
図5は、ドア4を中途まで閉じた状態(締付装置12が突出位置にある状態)、
図6は、ドア4を完全に閉じて処理槽本体3に締め付けた状態(締付装置12が引込位置にある状態)を示している。
【0032】
これらの図に示すように、ドア4の左右両端部には、被引寄部11を備える被引寄材13(戸先側被引寄材13A、戸尻側被引寄材13B)が設けられる一方、この被引寄材13の設置高さと対応して、処理槽本体3の左右両側壁の外面には、締付装置12(戸先側締付装置12A、戸尻側締付装置12B)が設けられる。
【0033】
各締付装置12(12A,12B)は、ドア締付用シリンダ装置14(14A,14B)と、このドア締付用シリンダ装置14により突出位置と引込位置との間を進退する引寄材15(15A,15B)とを備える。ドア締付用シリンダ装置14は、空気圧シリンダから構成されるが、場合により、油圧シリンダなどから構成されてもよい。図示例では、ドア締付用シリンダ装置14は、片ロッド形の空気圧シリンダから構成されており、圧縮空気の給排気により、シリンダチューブに対しピストンロッド16(16A,16B)を進退させることができる。そして、ピストンロッド16と一体的に、引寄材15を処理槽本体3の前後方向へ進退させることができる。ドア締付用シリンダ装置14への圧縮空気の給排気をエア制御弁(図示省略)で制御することで、ピストンロッド16ひいては引寄材15の進退を制御することができる。なお、図示例の場合、ピストンロッド16により略矩形板状のベース17(17A,17B)が、処理槽本体3の前後方向へ進退可能とされ、そのベース17に引寄材15が固定されている。
【0034】
図3および
図5に示すように、ドア4の戸先側端部には、被引寄材13Aが固定されている。戸先側の被引寄材13Aは、略丸棒状の部材から構成され、基端部が略矩形状の取付板18Aに固定されている。その際、被引寄材13Aは、取付板18Aの板面と略垂直に、基端部が取付板18Aに固定されている。取付板18Aは、ドア4の戸先側端面4Aの上下方向中央部に、重ね合わされて固定される。ドア4の戸先側端面4Aに取付板18Aを取り付けた状態において、略丸棒状の被引寄材13Aは、軸線を左右方向へ向けて、ドア4の戸先側端面4Aからさらに戸先側へ突出するよう配置される。そして、この略丸棒状の被引寄材13Aが、締付装置12Aによる被引寄部11Aとされる。
【0035】
一方、戸先側の締付装置12Aの引寄材15Aは、略矩形状の板材から構成され、略矩形状の基板19Aに固定されている。基板19Aは、シリンダ装置14Aのベース17Aに重ね合わされて固定される。シリンダ装置14Aのピストンロッド16Aは、処理槽本体3の前後へ進退し、ベース17Aおよびこれに重ね合わされる基板19Aは、板面を前後へ向けて配置される。引寄材15Aは、板面を左右へ向けて配置され、後端部を基板19Aに固定されている。引寄材15Aには、板面と垂直(つまり左右方向)に貫通して、略矩形状の引寄穴15A1が形成されている。シリンダ装置14Aのピストンロッド16Aが突出位置にある状態、つまり引寄材15Aが最も前方へ突出した状態で、ドア4を全閉位置と全開位置との間でスライドさせても、引寄材15Aの引寄穴15A1にドア4の被引寄部11Aが干渉することはない。
【0036】
戸先側のシリンダ装置14Aのピストンロッド16Aひいては引寄材15Aを前方へ突出させた状態において、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置までドア4をスライドさせると、戸先側では、締付装置12Aの引寄材15Aの引寄穴15A1に、ドア4の被引寄部11Aが突入される。その際、前述したとおり、ドア4の被引寄部11Aは、締付装置12Aの引寄材15Aと干渉することなく(図示例では接触することなく)、引寄材15Aの引寄穴15A1に緩やかに突入される(但し、たとえば、引寄材15Aと接触してスライドするように引寄穴15A1に突入されてもよい)。その状態で、シリンダ装置14Aを引込位置に切り替えると、
図6に示すように、引寄材15Aが後方へ移動し、引寄材15Aが被引寄部11Aとの接触部を作用点として、被引寄部11Aひいてはドア4を処理槽本体3の側へ引き寄せて締め付ける。これにより、処理槽本体3の開口部3aを、パッキン10を介してドア4で気密に閉じることができる。
【0037】
図4および
図5に示すように、ドア4の戸尻側端部には、被引寄材13Bが固定されている。戸尻側の被引寄材13Bは、平面視略L字形状の板材から構成され、略矩形状の取付板18Bに補助板20を介して固定されている。取付板18Bは、ドア4の戸尻側端面4Bの上下方向中央部に、重ね合されて固定される。取付板18Bには、板面と垂直に補助板20が設けられ、この補助板20は、水平に保持される。そして、補助板20を介して、取付板18Bに被引寄材13Bが固定されている。
【0038】
ドア4の戸尻側端面4Bに取付板18Bを取り付けた状態において、平面視略L字形状の被引寄材13Bは、一片13B1が、ドア4の戸尻側端部からさらに戸尻側へ突出するよう配置され、その突出先端部には、他片13B2が、後方(ドア4の背面側)へ突出するよう配置される。これにより、被引寄材13Bは、一片13B1が、板面を前後へ向けて配置される一方、他片13B2が、板面を左右へ向けて配置される。そして、被引寄材13Bの他片13B2は、ドア4の戸尻側端面4Bよりも戸尻側において、戸尻側端面4Bと略平行に配置されると共に、ドア4の背面(後面)よりも後方へ延出して設けられる。被引寄材13Bの他片13B2には、板面と垂直(つまり左右方向)に貫通して、略矩形状の被引寄穴13B3が形成されている。そして、被引寄穴13B3を備えた被引寄材13Bの他片13B2が、締付装置12Bによる被引寄部11Bとされる。
【0039】
一方、戸尻側の締付装置12Bの引寄材15Bは、略丸棒状の部材から構成され、基端部が略矩形状の基板19Bに固定されている。基板19Bは、シリンダ装置14Bのベース17Bに重ね合わされて固定される。シリンダ装置14Bのピストンロッド16Bは、処理槽本体3の前後へ進退し、ベース17Bおよびこれに重ね合わされる基板19Bは、板面を前後へ向けて配置される。略丸棒状の引寄材15Bは、軸線を左右方向へ沿って水平に配置され、基端部(左端部)を基板19Bに固定されると共に、先端部(右端部)を戸尻側へ突出して配置される。シリンダ装置14Bのピストンロッド16Bが突出位置にある状態、つまり引寄材15Bが最も前方へ突出した状態で、ドア4を全閉位置と全開位置との間でスライドさせても、引寄材15Bにドア4の被引寄部11Bが干渉することはない。
【0040】
戸尻側のシリンダ装置14Bのピストンロッド16Bひいては引寄材15Bを前方へ突出させた状態において、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置までドア4をスライドさせると、戸尻側では、締付装置12Bの引寄材15B(基板19Bから戸尻側への突出部)が、ドア4の被引寄材13Bの被引寄穴13B3に突入される。その際、前述したとおり、締付装置12Bの引寄材15Bは、ドア4の被引寄部11Bと干渉することなく(図示例では接触することなく)、被引寄部11Bの被引寄穴13B3に緩やかに突入される(但し、たとえば、被引寄部11Bと接触してスライドするように被引寄穴13B3に突入されてもよい)。その状態で、シリンダ装置14Bを引込位置に切り替えると、
図6に示すように、引寄材15Bが後方へ移動し、引寄材15Bが被引寄部11Bとの接触部を作用点として、被引寄部11Bひいてはドア4を処理槽本体3の側へ引き寄せて締め付ける。これにより、処理槽本体3の開口部3aを、パッキン10を介してドア4で気密に閉じることができる。
【0041】
いま、左右のシリンダ装置14が突出位置にある場合、
図5に示すように、戸先側および戸尻側のいずれの被引寄部11も締付装置12の引寄材15と干渉することなく、ドア4を全閉位置と全開位置との間でスライドさせることができる。ドア4を全閉位置までスライドさせると、戸先側端部では
図3に示すように、引寄材15Aの引寄穴15A1にドア4の被引寄部11Aが突入される一方、戸尻側端部では
図4に示すように、ドア4の被引寄部11Bの被引寄穴13B3に引寄材15Bが突入される。その状態で、各シリンダ装置14を引込位置に切り替えると、
図6に示すように、戸先側端部では、引寄材15Aの引寄穴15A1の端辺がドア4の被引寄部11Aに当接して処理槽本体3側へ引き寄せると共に、戸尻側端部では、引寄材15Bが被引寄部11Bの被引寄穴13B3の端辺に当接して処理槽本体3側へ引き寄せる。これにより、パッキン10を介して処理槽本体3にドア4が締め付けられ、処理槽本体3の開口部3aをドア4で気密に閉じることができる。
【0042】
ドア4の開閉および締付けは、制御手段としての制御器によりなされる。具体的には、制御器は、ドア開閉用シリンダ装置9に対する給排気系統をエア制御弁で切り替えて、ドア開閉用シリンダ装置9によりドア4を開閉することができる。その際、前述したとおり、ドア位置検知手段(たとえばリミットスイッチ)の検知信号に基づき、ドア4が全開位置または全閉位置であることを検知し、運転動作を次のステップに移行させることができる。たとえば、ドア4の全閉を検知した場合、真空ポンプを稼働して冷却運転を開始することができる。
【0043】
また、制御器は、ドア締付用シリンダ装置14用に対する給排気系統をエア制御弁で切り替えて、ドア締付用シリンダ装置14により引寄材15を進退することができる。その際、好ましくは、ロッド位置検知手段(たとえば光電センサ)の検知信号に基づき、締付装置12(より具体的にはシリンダ装置14のピストンロッド16)が突出位置にあるか否かを検知することができる。
【0044】
ドア位置検知手段やロッド位置検知手段を備える場合、次のように制御することができる。すなわち、ドア位置検知手段の検知信号に基づき、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置にドア4が配置されたことを条件に、締付装置12を突出位置から引込位置に変更可能とする。また、ロッド位置検知手段の検知信号に基づき、締付装置12が突出位置にあることを条件に、ドア4をスライド可能とする。これにより、ドア4の被引寄部11と締付装置12の引寄材15との干渉を確実に防止することができる。
【0045】
ところで、真空冷却装置1は、処理槽本体3が前後に開口部3aを有し、各開口部3aがドア4で開閉可能とされる両ドア式であってもよい。その場合、処理槽2を前方から見て、前方のドア4は右側へスライドして開放可能とされる場合、同じく処理槽2を前方から見て、後方のドア4も右側へスライドして開放可能とされるのがよい。処理槽本体3に対するドア4の開閉および締付の構造は、前記実施例で述べたのと同様とすることができ、前後対称の構成とすればよい。
【0046】
すなわち、まず、処理槽本体3の前後の上部には、それぞれ左右方向へ沿うと共に処理槽本体3から右側へ延出して吊レール5が設けられており、その吊レール5にドア4が吊り下げられる。そして、各吊レール5の下部には、ドア開閉用シリンダ装置9が設けられており、このドア開閉用シリンダ装置9により、各ドア4を左右にスライド可能とされる。
【0047】
そして、処理槽2を前方から見て、前後のドア4は、左側の戸先側端部に、それぞれ左側へ突出して被引寄部11Aが設けられる一方、処理槽本体3の左側壁3Aの前後には、
図3の締付装置12Aが前後対称に設けられている。つまり、前方の締付装置12Aは、
図3の引寄材15Aがシリンダ装置14Aから前方へ突出して設けられる一方、後方の締付装置12Aは、同様の構成の引寄材15Aがシリンダ装置14Aから後方へ突出して設けられている。そのため、前後の締付装置12Aの引寄材15Aの引寄穴15A1に、ドア4の戸先側端部の被引寄部11Aが突入された状態で、引寄材15Aを引込位置(処理槽本体3の前後方向内側への格納位置)へ切り替えればよい。それにより、各ドア4は、処理槽本体3の側へ引き寄せられて、パッキン10を介して気密に閉じられることになる。
【0048】
また、処理槽2を前方から見て、前後のドア4は、右側の戸尻側端部に、それぞれ右側へ突出した後、処理槽本体3の前後方向内側へ突出して被引寄部11Bが設けられている。また、処理槽本体3の右側壁3Bの前後には、
図4の締付装置12Bが前後対称に設けられている。つまり、前方の締付装置12Bは、
図4の引寄材15Bが右側へ突出して設けられる一方、後方の締付装置12Bも、同様の構成の引寄材15Bが右側へ突出して設けられている。そのため、前後の締付装置12Bの引寄材15Bが、ドア4の戸尻側端部の被引寄部11B(被引寄材13Bの被引寄穴13B3)に突入された状態で、引寄材15Bを引込位置(処理槽本体3の前後方向内側への格納位置)へ切り替えればよい。それにより、各ドア4は、処理槽本体3の側へ引き寄せられて、パッキン10を介して気密に閉じられることになる。
【0049】
次に、処理槽本体3へのドア4の締付構造の変形例について説明する。前記実施例と本変形例とは、被引寄部11と引寄材15との凹凸関係が逆に構成されている。本変形例も基本的には前記実施例と同様であるため、ここでは両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0050】
図7および
図8は、処理槽本体3へのドア4の締付構造の変形例を示す概略斜視図であり、
図7は、ドア4の戸先側(ドア閉側)におけるドア締付構造を示し、
図8は、ドア4の戸尻側(ドア開側)におけるドア締付構造を示しており、それぞれ締付装置12で被引寄部11を締め付ける前(処理槽本体3にドア4を押し付ける前)の状態を示している。
【0051】
ドア4の戸先側端部の締付構造について説明すると、前記実施例では、
図3に示したように、締付装置12Aの引寄材15Aの引寄穴15A1に、ドア4の被引寄部11Aが突入されたが、本変形例では、
図7に示すように、ドア4の被引寄材13Aに設けた被引寄穴13A1に、締付装置12Aの引寄材15Aからの突出体15Xが突入される。言い換えれば、
図3では、引寄材15Aに引寄穴15A1を設けたが、
図7では、引寄材15Aに突出体15Xを設けた。また、
図3では、被引寄部11Aは引寄穴15A1へ突入される部材から構成されたが、
図7では、被引寄部11Aは突出体15Xが突入される被引寄穴13A1を備えて構成される。
【0052】
具体的には、シリンダ装置14Aのベース17Aに重ね合わされる基板19Aには、処理槽本体3の前後方向外側へ突出して略矩形状の引寄材15Aが設けられ、その引寄材15Aには、略丸棒状の突出体(引寄材本体)15Xが戸尻側へ突出して設けられている。一方、ドア4の戸先側端面4Aには、処理槽本体3から離隔する方向へ突出して被引寄材13Aが設けられており、その被引寄材13Aには略矩形状の被引寄穴13A1が左右方向へ貫通して形成されている。そして、被引寄穴13A1を備えた被引寄材13Aが、締付装置12Aによる被引寄部11Aとされる。
【0053】
この場合、シリンダ装置14Aを突出位置にした状態で、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置までドア4を閉じると、ドア4の被引寄穴13A1にシリンダ装置14Aの突出体15Xが突入される。その状態で、シリンダ装置14Aを引込位置に切り替えることで、突出体15Xが被引込部11Aを介してドア4を処理槽本体3の側へ引き寄せて、ドア4を気密に閉じることができる。
【0054】
ドア4の戸尻側端部の締付構造について説明すると、前記実施例では、
図4に示したように、締付装置12Bの引寄材15Bが、ドア4の被引寄材13Bの被引寄穴13B3に突入されたが、本変形例では、
図8に示すように、締付装置12Bの引寄材15Bに設けた引寄穴15B1に、ドア4の被引寄材13Bからの突出体13Xが突入される。言い換えれば、
図4では、被引寄材13Bに被引寄穴13B3を設けたが、
図8では、被引寄材13Bに突出体13Xを設けた。また、
図4では、引寄材15Bは被引寄穴13B3へ突入される部材から構成されたが、
図8では、引寄材15Bは突出体13Xが突入される引寄穴15B1を備えて構成される。
【0055】
具体的には、シリンダ装置14Bのベース17Bに重ね合わされる基板19Bには、処理槽本体3の前後方向外側へ突出して略矩形状の引寄材15Bが設けられ、その引寄材15Bには、略矩形状の引寄穴15B1が形成されている。一方、ドア4の戸尻側端面4Bには、さらに戸尻側へ突出した後に処理槽本体3の側へ突出するように、平面視略L字形状の被引寄材13Bが設けられ、処理槽本体3の側への他片13B2には、戸先側へ突出して略丸棒状の突出体(被引寄材本体)13Xが設けられている。そして、この略丸棒状の突出体13Xが、締付装置12Bによる被引寄部11Bとされる。
【0056】
この場合、シリンダ装置14Bを突出位置にした状態で、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置までドア4を閉じると、シリンダ装置14Bの引寄材15Bの引寄穴15B1に、ドア4の被引寄部11Bが突入される。その状態で、シリンダ装置14Bを引込位置に切り替えることで、引寄材15Bが被引込部11Bを介してドア4を処理槽本体3の側へ引き寄せて、ドア4を気密に閉じることができる。
【0057】
その他の構成は、前記実施例と同様のため、説明を省略する。なお、本変形例の場合も、処理槽本体3の前後にドア4を有する両ドア式に適用可能とされ、その場合も、前記実施例の場合と同様、基本的には前後対称の構成とすればよい。
【0058】
なお、前記実施例と本変形例とを、適宜組み合わせてもよい。すなわち、片ドア式または両ドア式の処理槽2において、戸先側の締付構造を、
図3または
図7の構成とすることができ、戸尻側の締付構造を、
図4および
図8の構成とすることができる。両ドア式において、一方のドア4の戸先側の締付構造を
図3の構成とする一方、他方のドア4の戸先側の締付構造を
図7の構成とするなど、必ずしも前後対称に同一構成を採用する必要はない。
【0059】
本発明の食品機械は、前記実施例(および変形例)の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)前後少なくとも一方に開口部3aを有する処理槽本体3と、(b)左右にスライドして処理槽本体3の開口部3aを開閉するドア4と、(c)このドア4で密閉された処理槽本体3内を減圧する減圧手段と、(d)ドア4の左右両端部に設けられる被引寄部11と、(e)処理槽本体3の左右両側壁に設けられ、被引寄部11を処理槽本体3の側へ引き寄せる締付装置12と、(f)減圧手段および締付装置12を制御する制御手段とを備えるのであれば、その他の構成は、適宜に変更可能である。
【0060】
特に、ドア4側の被引寄部11と、処理槽本体3側の締付装置12の引寄材15の形状は、適宜に変更可能である。たとえば、
図3に示した引寄材15の引寄穴15A1は、貫通穴でなく凹部(被引寄部11Aが突入される凹部)とされてもよいし、
図4に示した被引寄材13Bの被引寄穴13B3は、貫通穴ではなく凹部(引寄材15Bが突入される凹部)とされてもよい。
図7および
図8についても同様に、穴を凹部とすることができる。
【0061】
また、好ましくは、ドア締付用シリンダ装置14の突出位置では、ドア4の被引寄部11に引寄材15が干渉せず、処理槽本体3の開口部3aと対応した位置にドア4を配置して、シリンダ装置14を引込位置に切り替えると、引寄材15が被引寄部11を処理槽本体3の側へ引き寄せるのであれば、被引寄部11と引寄材15の形状は、特に問わない。被引寄部11は、ドア4自体の一部であってもよい。
【0062】
また、前記実施例では、
図1において、ドア4は、右側へスライドさせて開放する構成とされたが、場合により、左側へスライドさせて開放する構成とされてもよい。その場合、処理槽本体の3上部には、処理槽本体3から左側へ延出して吊レール5が設けられ、その吊レール5にドア4が吊り下げられる。そして、ドア4の戸先側端部(右端部)では、たとえば
図3の構造を採用し、ドア4の戸尻側端部(左端部)では、たとえば
図4の構造を採用すればよい。この場合も、処理槽本体3が前後に開口部3aを有し、各開口部3aがドア4で開閉可能とされる両ドア式であってもよい。その場合、処理槽2を前方から見て、前方のドア4は左側へスライドして開放可能とされる場合、後方のドア4も左側へスライドして開放可能とされるのがよい。
【0063】
さらに、食品機械は、処理槽2内を減圧する減圧手段を備えるのであれば(言い換えれば処理槽2内が減圧され得るのであれば)、真空冷却装置1に限らず、その他の食品機械にも同様に適用可能である。たとえば、真空蒸気により食品の解凍を図る真空解凍装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 真空冷却装置(食品機械)
2 処理槽
3 処理槽本体(3A:左側壁、3B:右側壁、3a:開口部)
4 ドア(4A:戸先側端面、4B:戸尻側端面)
5 吊レール
6 取付材
7 中間材
8 ランナー
9 ドア開閉用シリンダ装置
10 パッキン
11 被引寄部(11A:戸先側被引寄部、11B:戸尻側被引寄部)
12 締付装置(12A:戸先側締付装置、12B:戸尻側締付装置)
13 被引寄材(13A:戸先側被引寄材、13B:戸尻側被引寄材、13A1:被引寄穴、13B1:一片、3B2:他片、13B3:被引寄穴、13X:突出体)
14 ドア締付用シリンダ装置(14A:戸先側シリンダ装置、14B:戸尻側シリンダ装置)
15 引寄材(15A:戸先側引寄材、15B:戸尻側引寄材、15A1:引寄穴、15B1:引寄穴、15X:突出体)
16 ピストンロッド(16A:戸先側ピストンロッド、16B:戸尻側ピストンロッド)
17 ベース(17A:戸先側ベース、17B:戸尻側ベース)
18 取付板(18A:戸先側取付板、18B:戸尻側取付板)
19 基板(19A:戸先側基板、19B:戸尻側基板)
20 補助板