(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20230309BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2020533436
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2019028584
(87)【国際公開番号】W WO2020026865
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2018142771
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水落 正彦
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 守
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-132207(JP,A)
【文献】実開平06-050077(JP,U)
【文献】特開昭62-124588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を反射部材に投影することで、乗員に表示像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示光を発する表示手段と、
前記表示手段の表示を制御する制御手段と、
前記表示光を射出する開口部を有する上部筐体と、
前記上部筐体と、前記上部筐体に接合可能な下部筐体と、を設け、前記表示手段と前記制御手段とを収容する筐体と、
透光性を有し、前記開口部を覆う保護部材と、
前記上部筐体と前記下部筐体とを固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記保護部材の鉛直上下方向領域内で前記固定を行
い、
前記保護部材は、前記表示光を透過するカバー部材と、前記カバー部材を開口縁部に貼付する接着部材とを設け、
前記固定部材は、螺合部材を含み、
前記カバー部材は前記螺合部材を挿通可能な大きさである作業孔を有する
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
表示光を反射部材に投影することで、乗員に表示像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示光を発する表示手段と、
前記表示手段の表示を制御する制御手段と、
前記表示光を射出する開口部を有する上部筐体と、
前記上部筐体と、前記上部筐体に接合可能な下部筐体と、を設け、前記表示手段と前記制御手段とを収容する筐体と、
透光性を有し、前記開口部を覆う保護部材と、
前記上部筐体と前記下部筐体とを固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記保護部材の鉛直上下方向領域内で前記固定を行い、
前記保護部材は、前記表示光を透過するカバー部材と、前記筐体の開口縁部へ固定されることで前記カバー部材を挟持する枠体と、を設ける
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記上部筐体は係止部を設け、
前記係止部は、前記保護部材を少なくとも一箇所で係止することで固定する
請求項
2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すようなヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。すなわち、光を出射するための出射装置(2)がケース(11)内に収納され、光学系を介して表示光が車両のフロントガラスなどに投影されることで利用者に表示光を視認させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、限られた車両スペースに搭載される従来のヘッドアップディスプレイには小型化が求められていた。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、上述課題に着目し、小型なヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、
表示光を反射部材に投影することで、乗員に表示像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示光を発する表示手段と、
前記表示手段の表示を制御する制御手段と、
前記表示光を射出する開口部を有する上部筐体と、
前記上部筐体と、前記上部筐体に接合可能な下部筐体と、を設け、前記表示手段と前記制御手段とを収容する筐体と、
透光性を有し、前記開口部を覆う保護部材と、
前記上部筐体と前記下部筐体とを固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記保護部材の鉛直上下方向領域内で前記固定を行い、
前記保護部材は、前記表示光を透過するカバー部材と、前記カバー部材を開口縁部に貼付する接着部材とを設け、
前記固定部材は、螺合部材を含み、
前記カバー部材は前記螺合部材を挿通可能な大きさである作業孔を有する。
また別の観点では、上記目的を達成するため、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、
表示光を反射部材に投影することで、乗員に表示像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示光を発する表示手段と、
前記表示手段の表示を制御する制御手段と、
前記表示光を射出する開口部を有する上部筐体と、
前記上部筐体と、前記上部筐体に接合可能な下部筐体と、を設け、前記表示手段と前記制御手段とを収容する筐体と、
透光性を有し、前記開口部を覆う保護部材と、
前記上部筐体と前記下部筐体とを固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記保護部材の鉛直上下方向領域内で前記固定を行い、
前記保護部材は、前記表示光を透過するカバー部材と、前記筐体の開口縁部へ固定されることで前記カバー部材を挟持する枠体と、を設ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば小型なヘッドアップディスプレイ装置を提供することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ヘッドアップディスプレイ1の外観を示す図。
【
図2】ヘッドアップディスプレイ1の表示方法を示す図。
【
図3】上部筐体21と下部筐体22とが固定されている様子を示す断面図。
【
図4】固定部材による固定の様子を示す要部IIIの断面図。
【
図6】ヘッドアップディスプレイ2の外観を示す図。
【
図7】固定部材に因る固定の様子を示す要部VIの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示のヘッドアップディスプレイ装置を実施形態及び変形例として例にあげ、添付図面を用いて次の順序で説明する。
[第一実施形態]
1-1.構成の説明
1-2.組み立て方法
1-3.変形例
[第二実施形態]
2-1.構成の説明
2-2.組み立て方法
2-3.変形例
[その他の変形例]
[効果例]
[第一実施形態]
<1-1.構成の説明>
【0010】
図1から
図5を用いてヘッドアップディスプレイ1を説明する。
ヘッドアップディスプレイ1は、車両のインパネ内部に配設された表示ユニットである表示器11が投射する表示光Lを投影部材である車両のフロントガラスで車両の運転者(観察者)の方向に反射させ、虚像の表示を行う。換言すれば、ヘッドアップディスプレイは、表示器11から発せられる表示光Lをフロントガラス(投影部材)に出射し、この出射によって得られた表示像(虚像)を運転者に視認させる。これにより運転者は、表示像を風景と重畳させて観察できる。
【0011】
図1、
図2に示す通りヘッドアップディスプレイ1は表示器11、平面鏡12、凹面鏡13、筐体20、保護部材30、両面テープ40とから主に構成されている。
表示光Lの射出に関する部材を、
図2を用いて説明する。
【0012】
表示器11(表示手段)は、配線基板に実装された発光ダイオードからなる光源と、この光源からの照明光を透過して表示光Lを形成するように光源の前方側に位置するTFT型の液晶表示素子(表示素子)とから主に構成される。このことは、液晶表示素子の背後に光源が配設され、液晶表示素子が生成する表示像は、光源から発せられる光により、所定情報を表示する表示光Lとして出力されることを意味している。所定情報としては、例えば速度やエンジン回転数と言った車両情報や、ターンバイターンや地図などの経路案内表示、ブラインドサイドインジケータや制限速度超過警告などの警告表示など、乗員(利用者)へ注意喚起する必要性が高い情報が表示される。
この表示器11は、表示光Lの出射側の面が平面鏡12に対向するようにして筐体20内に設けられ、表示光Lの光軸が前記平面鏡12に交わるような位置や向きにて固定保持される。
また表示器11は、制御手段11aを設ける。制御手段11aと表示器11は電気的に接続され、ともに筐体20に収容される。また制御手段11aは電気的に接続された外部の演算素子から表示する画像を電気信号として受信し、電気信号に基づいて表示器11の表示を制御する。
本開示では制御手段11aを、言わば駆動ドライバーの様なものとして例示するが、これに限るものではない。例えば、CAN(Controller Area Network)トランシーバを設け、車両に搭載される外部の電子機器とCAN通信を行うことで受信した車両情報と、記憶手段に保存された画像情報と、に基づいて表示器11に表示する画像を生成する、マイクロコンピュータで構成された制御手段であってもよい。
【0013】
平面鏡12はガラス基材の片面に銀メッキを施した鏡で構成でき、光を反射する反射部材である。この平面鏡12は表示器11から出射された表示光Lを後述の凹面鏡13に向けて反射するような位置や向きで筐体20内に設けられている。
【0014】
凹面鏡13はガラス基材の片面に銀メッキを施すことで光を反射する反射部材であって、表示像の歪みや表示像の距離を、その反射面の形状である自由曲面で調節する反射部材である。凹面鏡13は、平面鏡12が反射した表示光Lを筐体20の開口部を覆うように設けられているカバーガラス31に向けて反射するように筐体20内に設けられている。
【0015】
保護部材30を構成するカバーガラス31(カバー部材)は厚さが一様な板状である透明合成樹脂基材が適用でき、例えばPMMAや、ポリカーボネートで構成できる。カバーガラス31は筐体20の開口部を塞ぐように湾曲しながら貼付される。これは、筐体20の開口縁部213に保護部材の一部を構成する後述の両面テープ40(接着部材)で貼付されることを意味する。
【0016】
表示器11、平面鏡12、凹面鏡13、カバーガラス31が筐体20に上述のように設けられていることで、表示光Lはヘッドアップディスプレイ1の外に射出される。そして車両のフロントガラスで運転者の視点方向へ反射され、運転者は表示像として所定情報を視認することを達する。
【0017】
図3に示すように、筐体20は上下で分割可能な構造をしている。具体的には、筐体20は上部筐体21と下部筐体22が嵌合されることで構成される。
上部筐体21は例えばABSのような硬質合成樹脂やマグネシウムなどの金属で形成された収容部材であって、表示光Lを射出する開口部の周囲を取り巻く開口縁部213を設ける。また上部筐体21は後述のネジ50(螺合部材、固定手段)が挿通可能な上部固定部211と、挿通後のネジ50の頭部を収容するポケット部212を設ける。
ポケット部212はカバーガラス31と上部筐体21で形成される空間である。
下部筐体22も上部筐体21と同様な材料で形成される収容部材であって、上部筐体21とはそれぞれの印籠構造により噛み合うことで一体となる。これは上部筐体21と下部筐体22とが接合可能であることを意味する。そして一体となったあと、後述のネジ50で挟持固定される。
【0018】
図3の要部IIIを拡大した
図4を用いて、その挟持の様子を説明する。
上部筐体21と下部筐体22が、ネジ50を上部固定部211と下部固定部221とに挿通され、下部固定部221の内面に形成された螺合部と螺合することで、この3つの部材は挟持固定される。これは、ネジ50、上部固定部211、下部固定部221の3つにより固定部材を構成している。要するに、固定部材とは、上部筐体21と下部筐体22の接合状態を固定することに寄与する部材のことである。
またネジ50のネジ径はφ1、頭部径はφ2である。
特に、このネジ50は、カバーガラス31に形成された作業孔32からドライバーを差し込むことで回転可能に設けられている。
【0019】
従来はカバーガラスを貼付または固定するために、上部筐体21の開口部周辺は開口縁部213として所定の広さを残していた。従って、上部筐体21と下部筐体22との挟持固定は、車両への組み付け状態の水平方向成分において開口縁部213の更に外側で行っていた。しかし今回は、水平方向成分において開口縁部213の最外縁より内側、換言すれば保護部材30であるカバーガラス31に対して鉛直方向成分において鉛直上下方向領域内で行うことで、小型なヘッドアップディスプレイ装置を実現している。特にこの実施形態では、鉛直下方向領域で挟持固定を行っている。
【0020】
図5を用いて作業孔32について詳述する。
作業孔32は挿通円321、線部322、端円323で形成されている。
挿通円321は本実施形態ではネジ径φ1以上であって頭部径φ2未満である円径φ3を有する円状の切り欠きである。
線部322は挿通円321の法線方向に設けられた線状の切り込みであって、
図5に図示する領域Vの弾性を大きくするために設けられている。
端円323は、領域Vが撓んだ場合に線部322の切り込みが広がることを防ぐための形状である。
<1-2.組み立て方法>
【0021】
上述の様な構成のヘッドアップディスプレイ1は、次の手順のように組み立てられる。
まずカバーガラス31を両面テープ40によって開口縁部213に貼付する。
次に、ネジ50以外の各部材を筐体20にそれぞれの機能が損なわれない様に貼付、螺合、挟持などの公知の手段で固定する。
【0022】
次に、下部筐体22と上部筐体21とを印籠構造が噛み合うように嵌合する。嵌合したことで一体となった筐体20を、開口部が鉛直上方向を向いた状態にする。その状態で挿通円321にネジ50を置く。このとき、φ1<φ3<φ2であるため、ネジ50は挿通円321に引っかかり、ネジ50はポケット部212に落ちることは無い。
これにより組立時に誤ってネジ50がポケット部212に落ちて作業が滞る虞を低減している。
【0023】
次に、ネジ50にドライバーを押し当て、回転及び挿入していく。
このとき、挿通円321がガイドとなり、下部固定部221の内面の螺合部に円滑にネジ50を挿入できる。
【0024】
挿入を進めると、線部322によって大きい弾性を有する領域Vをネジ50の頭部が押し開く。
この押し開く際、線部322の先端方向には切り開かれる様なモーメントが加わるが、端円323が設けられていることにより線部322の先端にそのモーメントが集中することを防いでいる。従って、線部322が損傷する虞を低減している。
【0025】
やがてネジ50はポケット部212に進行する。その後、下部固定部221と上部固定部211とを挟持固定し、下部筐体22と上部筐体21は固定される。
これにより、固定部材が水平方向においてカバーガラス31の外側の領域に出ること無く、上部筐体21と下部筐体22を挟持固定することで、小型なヘッドアップディスプレイ装置が実現できる。
<1-3.変形例>
【0026】
本開示のヘッドアップディスプレイ装置を第一実施形態の例で説明したが、下記のような構成であってもよい。
まず、カバーガラスの鉛直上下方向領域で上部筐体と下部筐体とを固定する箇所は、少なくとも一箇所存在すれば、小型なヘッドアップディスプレイ装置が実現できる。それぞれの製品形状に因るが、上部筐体と下部筐体を有するヘッドアップディスプレイ装置で上部筐体と下部筐体とを固定する際はおおむね4箇所以上で固定されることが望ましい。しかし、その固定箇所全てがカバーガラスの鉛直下方向領域で行われる必要は無く、少なくとも一箇所で行われていれば、その分小型な筐体であるヘッドアップディスプレイ装置が実現できる。
【0027】
また、作業孔32が挿通円321のみで構成されてもよい。この場合は、円径φ3がネジ50の頭部径φ2より大きくすることが好ましい。この構成によっても、固定部材が水平方向に置いてカバーガラス31の外側の領域に配設されることがないため、小型なヘッドアップディスプレイが実現できる。
[第二実施形態]
【0028】
図6及び
図7を用いて、ヘッドアップディスプレイ2を説明する。
<2-1.構成の説明>
【0029】
ヘッドアップディスプレイ2は、上述した第一実施形態と比べると、カバーガラス31を固定する両面テープ40を用いない替わりに、枠体としてフレーム体36を新たに設ける点と、カバーガラス31及びフレーム体36で保護部材を構成する点で大きく異なる。そこで、第二実施形態のヘッドアップディスプレイ2に関し、上述の第一実施形態と同様の構成は同じ符号を付して、ここでの説明を省略し、主に上記の相違点について説明する。
【0030】
図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ2は保護部材30の一部を為すフレーム体36を備える。
フレーム体36は例えばABS樹脂やPP樹脂と言った硬質合成樹脂を適用できる枠体である。表示光Lを遮断しない程度、カバーガラス31の外側(縁部)に当接している。 特に底面内縁部362は、フレーム体36の底面のうち内側にあたる箇所である。底面内縁部362はカバーガラス31に連続して線接触し、カバーガラス31を開口縁部213に押し当てており、底面内縁部362よりも開口方向の防塵又は防水が保たれる効果を奏している。つまり、底面内縁部362は、車両の振動を受けてヘッドアップディスプレイ2が振動し、ネジ50によりカバーガラス31、上部筐体21、フレーム体36から樹脂の削り屑が生じてしまった場合でも塵埃や水分がヘッドアップディスプレイ2の内部に入ることを低減できる。また、底面外縁部363は、フレーム体36の底面のうち外側にあたる箇所設けられている。また、底面外縁部363は上部筐体21に連続して線接触しており、外縁に対して防塵又は防水が保たれる効果を奏する。
フレーム体36はネジ50により挟持固定されると同時に下部筐体22と螺合固定される。固定の様子を要部VIの断面図である
図7を用いて説明する。
フレーム体36は孔部361を有する。孔部361は円形であって、径はネジ50の頭部径φ2より小さくネジ径φ1より大きい孔である。
【0031】
フレーム体36を筐体20へ固定することで、同時にカバーガラス31をも固定するこの構成では、両面テープ40を排することができる。ヘッドアップディスプレイの製造上、両面テープはコストが高い部材である。具体的には、テープそのものの価格以外にも、組付け性の悪さ、再利用の困難性に起因するコストなどにより、極力使用を避けたい部材である。それに対しフレーム体36による固定は、組付け性の容易さ、再利用の容易さの点でコストを低減できるのである。
<2-2.組付けの方法>
【0032】
図7に示すように、ネジ50のネジ部が孔部361、作業孔32、上部固定部211を通過した後に、下部固定部221と螺合したときに、これら部材の挟持固定が完了する。<2-3.変形例>
【0033】
本開示のヘッドアップディスプレイ装置を第一実施形態の例で説明したが、下記のような構成であってもよい。
例えば、
図8に示すようなヘッドアップディスプレイ3であってもよい。これは、係止部215をさらに備えたヘッドアップディスプレイ2である。
係止部215は、上部筐体21の開口縁部213のうち、上辺にフレーム体36を係止するための係止部である。この係止部215によってもフレーム体36は係止固定されるため、替わりに図面に4つ示すネジ50による固定部を減らしてもよい。これにより、商品性の高いヘッドアップディスプレイ装置とすることができる。というのも、ヘッドアップディスプレイの最外面にネジのような金属部分が多いと、材質上表面反射が大きくなる傾向があり、迷光が発生する可能性が大きいからである。このような懸念事項は少ないことが設計上望ましいため、係止部215によるフレーム体36の係止は好適である。
【0034】
また一方、この係止部215をヘッドアップディスプレイ1に適用することも可能である。ヘッドアップディスプレイ1にはフレーム体36は備わっていないが、この係止部215と同様な形状でカバーガラス31を係止することもできる。カバーガラス31は車両のインパネに設けられた孔から外界を望める態様で設けられることが多い。これはカバーガラス31が外光(主に太陽)に照らされ得ることを意味する。外光に照らされるとカバーガラス31は熱せられ、膨張し、形状が変化、両面テープの剥離などが生じる虞がある。しかしこの構成に依れば、係止部215がカバーガラス31、ひいては保護部材30をより強固に固定するため、その虞を低減できる。
[その他の変形例]
【0035】
これまで第一実施形態、第二実施形態として本開示のヘッドアップディスプレイ装置を例示したが、他の態様であっても効果を発揮できることは言うまでもないことである。
両実施形態では固定手段としてネジ50による挟持固定を示したが、この固定方法に限定されるものではない。例えば、固定手段としてプッシュリベットやフックによる係止固定で上部筐体と下部筐体とに設けられた固定部を固定することも可能である。この場合でも、保護部材30の鉛直上下方向領域内で固定を行えば小型化を達することができる。
また固定部材と筐体の上下関係に関しては、開口縁部は上部筐体の下面方向にあっても何ら問題は無い。これは、下部筐体と上部筐体によって保護部材が挟持され、その上で保護部材の鉛直上下方向領域内で固定することを意味する。その固定には例えばネジなどの螺合部材でも、前述のプッシュリベット、フックなどの係止手段を用いることが可能である。さらに具体的には、これは保護部材がそれぞれの筐体に対する上下関係は本発明の効果を発揮するにあたり何ら支障をきたすものでは無く、あくまでも水平方向成分において保護部材の内側にて固定を行えば良いことを意味している。
また、表示手段として液晶表示器を用いることを例示したが、DMD(Digital Micro-mirror Dvice)やLCOS(Liquid Crystal on Silicon)を用いたプロジェクタ方式の表示手段を用いても、本発明の効果を発揮できる。これは画像を表示できるディスプレイが適用できることを意味する。
[効果例]
【0036】
第一に、以上に説明したヘッドアップディスプレイ1は、
表示光Lを反射部材に投影することで、乗員に表示像を視認させるヘッドアップディスプレイ1であって、
表示光Lを発する表示器11と、
表示器11の表示を制御する制御手段11aと、
表示光Lを射出する開口部を有する上部筐体21と、
上部筐体21と、上部筐体21に接合可能な下部筐体22と、を設け、表示器11と制御手段11aとを収容する筐体20と、
透光性を有し、開口部を覆う保護部材30と、
上部筐体21と下部筐体22とを固定する固定部材と、
を備え、
固定部材は、保護部材30の鉛直上下方向領域内で固定を行う
ヘッドアップディスプレイ1である。
この構成に依れば、前述のように小型なヘッドアップディスプレイ装置を提供することを達する。
【0037】
第二に、保護部材30は、表示光Lを透過するカバーガラス31と、カバーガラス31を開口縁部213に貼付する両面テープ40とを設け、
固定部材は、ネジ50を含み、
カバーガラス31は螺合部材を挿通可能な大きさである作業孔32を有する
ヘッドアップディスプレイ1である。
この構成に依れば、前述のように、小型であって、組付け性に富んだヘッドアップディスプレイ装置を提供することを達する。
【0038】
第三に、保護部材30は、表示光Lを透過するカバーガラス31と、筐体20の開口縁部213へ固定されることでカバーガラス31を挟持するフレーム体36と、を設ける
ヘッドアップディスプレイ2である。
この構成に依れば、前述のように、小型であって、コストを低減したヘッドアップディスプレイ装置を提供することを達する。
【0039】
第四に上部筐体21は係止部215を設け、係止部215は、保護部材30を少なくとも一箇所で係止することで固定するヘッドアップディスプレイ3である。
この構成に依れば、前述のように、小型であって、より耐久性の高いヘッドアップディスプレイ装置を提供することを達する。
【0040】
本開示では発明の理解を容易にするために、公知技術の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0041】
1 ヘッドアップディスプレイ
11 表示器
11a 制御手段
12 平面鏡
13 凹面鏡
20 筐体
21 上部筐体
211 上部固定部
212 ポケット部
213 開口縁部
22 下部筐体
221 下部固定部
29 取り付けステー
30 保護部材
31 カバーガラス(カバー部材)
32 作業孔
321 挿通円
322 線部
323 端円
36 フレーム体(枠体)
40 両面テープ
50 ネジ(螺合部材、固定手段)
φ1 ネジ径
φ2 頭部径
φ3 円径
36 フレーム体
361 孔部(上部固定部)
215 係止部