IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 電気化学工業株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人京都大学の特許一覧

特許7240671トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体
<>
  • 特許-トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体 図1
  • 特許-トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体 図2
  • 特許-トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体 図3
  • 特許-トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体 図4
  • 特許-トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体 図5
  • 特許-トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体 図6
  • 特許-トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/215 20060101AFI20230309BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20230309BHJP
   B32B 37/12 20060101ALI20230309BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230309BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230309BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
C07C43/215 CSP
B32B7/06
B32B37/12
C09J7/38
C09J11/06
C09J201/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019154772
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021031456
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 恵
(72)【発明者】
【氏名】谷川 貴子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慶次
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 尚平
(72)【発明者】
【氏名】▲廣▼▲瀬▼ 由美
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080358(WO,A1)
【文献】特開2015-157769(JP,A)
【文献】特開2015-113312(JP,A)
【文献】特開2008-75072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 43/215
B32B 7/06
B32B 37/12
C09J 7/38
C09J 11/06
C09J 201/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される液晶性化合物。
【化1】

[式中、nは0~2の整数を示し、nは1~4の整数を示し、R は1価の基を示し、R は炭素原子数1~20のアルキル基を有する1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
が、炭素原子数1~20のアルコキシ基である、請求項1に記載の液晶性化合物。
【請求項3】
が0であり、
が2である、請求項1又は2に記載の液晶性化合物。
【請求項4】
35~170℃の少なくとも一部の温度域で液晶状態を示す、請求項1~のいずれか一項に記載の液晶性化合物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の液晶性化合物を含む、接着剤。
【請求項6】
請求項に記載の接着剤を用いて接合された接合部を備える、構造体。
【請求項7】
請求項に記載の接着剤の使用方法であって、
2部材間に、前記液晶性化合物が液体状態又は液晶状態を示す温度に加熱された前記接着剤を介在させる工程と、
前記2部材間に介在させた前記接着剤を、前記液晶性化合物が固体状態を示す温度に冷却して、前記2部材を接合する工程と、
を含む、使用方法。
【請求項8】
前記2部材を接合する前記接着剤を、前記液晶性化合物が液晶状態を示す温度まで加熱しつつ、前記2部材を剥離させる工程を更に含む、請求項に記載の使用方法。
【請求項9】
前記2部材を接合する前記接着剤に光照射しつつ、前記2部材を剥離させる工程を更に含む、請求項に記載の使用方法。
【請求項10】
請求項に記載の接着剤を用いて接合された接合部を剥離する方法であって、
前記接合部を前記液晶性化合物が液晶状態を示す温度まで加熱する工程を含む、剥離方法。
【請求項11】
請求項に記載の接着剤を用いて接合された接合部を剥離する方法であって、
前記接合部に光照射する工程を含む、剥離方法。
【請求項12】
粘着成分を含有する粘着面と、
請求項1~のいずれか一項に記載の液晶性化合物を含有する解体性接着面と、
を備える、粘着体。
【請求項13】
粘着成分を含有する粘着剤層と、
前記粘着剤層上に配置され、請求項1~のいずれか一項に記載の液晶性化合物を含有する解体性接着剤層と、
を備える、粘着体。
【請求項14】
粘着成分と請求項1~のいずれか一項に記載の液晶性化合物とを含有する粘着剤層を備える、粘着体。
【請求項15】
粘着成分と請求項1~のいずれか一項に記載の液晶性化合物とを含有する、粘着剤。
【請求項16】
請求項12~14のいずれか一項に記載の粘着体と被着体とが接合した接合体を製造する方法であって、
前記粘着体を前記被着体に押し付けて、前記粘着体と前記被着体とを接合させる接合工程を含む、接合体の製造方法。
【請求項17】
請求項12~14のいずれか一項に記載の粘着体と被着体とが接合した接合体から、前記粘着体を剥離する方法であって、
前記粘着体と前記被着体との接合面の少なくとも一部を、前記液晶性化合物が液晶状態を示す温度まで加熱する工程を含む、粘着体の剥離方法。
【請求項18】
請求項12~14のいずれか一項に記載の粘着体と被着体とが接合した接合体から、前記粘着体を剥離する方法であって、
前記粘着体と前記被着体との接合面の少なくとも一部に光照射する工程を含む、粘着体の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリフェニレン型液晶性化合物並びにトリフェニレン型液晶性化合物を用いた接着剤及び粘着体に関する。また、本発明は、上記接着剤の使用方法、上記接着剤を用いた接合部を含む構造体、上記接着剤を用いた接合部の剥離方法、上記粘着体を用いた接合体の製造方法、及び、上記粘着体の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、継続的に接着状態を保持することができ、且つ、剥がす際には容易に剥がすことが可能な接着剤及び粘着剤が検討されている。例えば、特許文献1には、粘着面に部分的な非粘着領域を形成した易剥離性粘着シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-075072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の易剥離性粘着剤では、接着力と易剥離性との両立が難しい。例えば、特許文献1の易剥離性粘着シートは、粘着面に非粘着領域が存在するため、高い接着力を発現し難い。また、剥離性の向上のために非粘着領域を拡大すると、接着力が更に低下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、加熱又は光照射によって容易に剥離可能でき、十分な接着力と易剥離性とを両立可能な解体性接着剤、粘着剤及び粘着体を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような解体性接着剤等を実現可能な液晶性化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、平面性が高く剛直なπ共役骨格と、分子骨格の動きに伴い分子物性を変換できる柔軟なπ共役骨格との両方の特長を併せ持ち、外部刺激に応答して物性を可逆的に制御できる化合物を設計した。そして、当該化合物を用いることで、十分な接着力と易剥離性とを両立可能な解体性接着剤、粘着剤及び粘着体を形成できることを見出した。
【0007】
本発明の一側面は、下記式(1)で表される液晶性化合物に関する。
【化1】

[式中、nは0~2の整数を示し、nは1~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0008】
上記液晶性化合物は、剛直なトリフェニレン骨格と柔軟なシクロオクタテトラエン骨格とを有しており、V字型の分子骨格が積層した集積構造をとることができる。上記液晶性化合物は、固体状態を示す温度域(温度領域)と、液晶状態を示す温度域と、液体状態を示す温度域とを有し、液晶状態を示す温度域又は液体状態を示す温度域で被着体に接触させた後、固体状態を示す温度域まで冷却することで、接着力を発現することができる。
【0009】
上記液晶性化合物は、加熱によって液晶状態に相転移させることができる。また、上記液晶性化合物は、光照射によって集積構造中の一部の分子を平面型に構造変化させ、集積構造を不均一化させることができる。このため、上記液晶性化合物は、加熱又は光照射により接着力を著しく低減させることができ、被着体からの剥離が容易な解体性接着剤として好適に用いることができる。
【0010】
なお、加熱又は光照射による剥離後は、例えば上記液晶性化合物が液体状態を示す温度域に加熱した後、冷却することで、上記液晶性化合物の分子構造を初期の状態に戻すことができる。すなわち、上記液晶性化合物を用いた解体性接着剤は、被着体からの剥離後、加熱処理を経ることで再利用が可能となる。
【0011】
一態様において、Rは、炭素原子数1~20のアルキル基を有する1価の基であってよい。Rがアルキル鎖を有することで、液晶性化合物がカラムナー液晶を形成しやすくなり、上述の効果をより顕著に得ることができる。
【0012】
一態様において、Rは、炭素原子数1~20のアルコキシ基であってよい。
【0013】
一態様において、nは0であってよく、nは2であってよい。
【0014】
一態様において、上記液晶性化合物は、35~170℃の少なくとも一部の温度域で液晶状態を示すものであってよい。
【0015】
本発明の他の一側面は、上記液晶性化合物を含む、接着剤に関する。このような接着剤は、上記液晶性化合物を含むため、容易に接着力を発現でき、且つ、加熱又は光照射によって容易に接着力を低減させ剥離することが可能であり、解体性接着剤として好適に用いることができる。
【0016】
本発明の他の一側面は、上記接着剤を用いて接合された接合部を備える、構造体に関する。このような構造体は、接合部が上記接着剤を用いて接合されているため、加熱又は光照射によって接合部を容易に剥離させて解体できる。
【0017】
本発明の他の一側面は、上記接着剤の使用方法に関する。当該使用方法は、2部材間に、上記液晶性化合物が液体状態又は液晶状態を示す温度に加熱された上記接着剤を介在させる工程と、上記2部材間に介在させた上記接着剤を、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度に冷却して、上記2部材を接合する工程と、を含む。
【0018】
一態様において、上記使用方法は、上記2部材を接合する上記接着剤を、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度まで加熱しつつ、上記2部材を剥離させる工程を更に含むものであってよい。
【0019】
一態様において、上記2部材を接合する上記接着剤に光照射しつつ、上記2部材を剥離させる工程を更に含むものであってよい。なお、本明細書中、「光照射しつつ…剥離させる」とは、光照射と同時に剥離させることを含み、光照射後に接着力が復元するまでの間(例えば3分以内、好ましくは1分以内)に剥離させることも含む。
【0020】
本発明の他の一側面は、上記接着剤を用いて接合された接合部を剥離する剥離方法に関する。当該剥離方法は、上記接合部を上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度まで加熱する工程を含む。
【0021】
本発明の他の一側面は、上記接着剤を用いて接合された接合部を剥離する剥離方法に関する。当該剥離方法は、上記接合部に光照射する工程を含む。
【0022】
本発明の他の一側面は、粘着成分を含有する粘着面と、上記液晶性化合物を含有する解体性接着面と、を備える、粘着体に関する。
【0023】
上記粘着体は、粘着面及び解体性接着面を有している。このため、被着体への貼付時には、粘着面及び解体性接着面の両方の寄与により高い接着力を発現できる。また、剥離時には、加熱又は光照射して解体性接着面の接着力を低減させることで、容易に剥離が可能となる。
【0024】
本発明の他の一側面は、粘着成分を含有する粘着剤層と、上記粘着剤層上に配置され、上記液晶性化合物を含有する解体性接着剤層と、を備える、粘着体に関する。
【0025】
上記粘着体は、粘着剤層上に部分的に解体性接着剤層が形成されている場合は、被着体への押圧により粘着剤層による粘着面と解体性接着剤層による解体性接着面とを被着体に接触できる。また、粘着剤層上の全面に解体性接着剤層が形成されている場合であっても、被着体への貼付時に強く押圧して解体性接着剤層の一部を破断させる、被着体への貼付前に面内方向に伸張させる、被着体への貼付前に解体性接着剤層の一部を剥離する等の方法によって、被着体との接合面に、粘着剤層による粘着面と解体性接着剤層による解体性接着面とを形成できる。このため、上記粘着体によれば、被着体への貼付時に、粘着面及び解体性接着面の両方の寄与により高い接着力を発現できる。また、剥離時には、加熱又は光照射して解体性接着面の接着力を低減させることで、容易に剥離が可能となる。
【0026】
本発明の他の一側面は、粘着成分と上記液晶性化合物とを含有する粘着剤層を備える、粘着体に関する。
【0027】
上記粘着体は、被着体との接合面に粘着成分と液晶性化合物とが存在することで、両者の寄与により高い接着力を発現できる。また、剥離時には、加熱又は光照射によって液晶性化合物を流動化させ、粘着剤層の剥離性を向上させることができる。
【0028】
本発明の他の一側面は、粘着成分と上記液晶性化合物とを含有する、粘着剤に関する。
【0029】
上記粘着剤は、被着体との接合面に粘着成分と液晶性化合物とを存在させることができ、両者の寄与により高い接着力を発現できる。また、剥離時には、加熱又は光照射によって液晶性化合物を流動化させ、粘着剤の接着力低減により、剥離性を向上させることができる。
【0030】
本発明の他の一側面は、上述の粘着体と被着体とが接合した接合体を製造する製造方法に関する。この製造方法は、上記粘着体を上記被着体に押し付けて、上記粘着体と上記被着体とを接合させる接合工程を含む。
【0031】
本発明の他の一側面は、上述の粘着体と被着体とが接合した接合体から、上記粘着体を剥離する剥離方法に関する。この剥離方法は、上記粘着体と上記被着体との接合面の少なくとも一部を、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度まで加熱する工程を含む。
【0032】
本発明の他の一側面は、上述の粘着体と被着体とが接合した接合体から、上記粘着体を剥離する剥離方法に関する。この剥離方法は、上記粘着体と上記被着体との接合面の少なくとも一部に光照射する工程を含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、加熱又は光照射によって容易に剥離可能でき、十分な接着力と易剥離性とを両立可能な解体性接着剤、粘着剤及び粘着体が提供される。また、本発明によれば、そのような解体性接着剤等を実現可能な液晶性化合物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】粘着体の好適な一形態を示す断面図である。
図2】(a)は粘着体の好適な一形態を示す上面図であり、(b)はII-IIに沿った断面を示す断面図である。
図3】(a)は粘着体の好適な一形態を示す上面図であり、(b)はIII-IIIに沿った断面を示す断面図である。
図4】粘着体の好適な一形態を示す断面図である。
図5】粘着体の好適な一形態を示す断面図である。
図6】粘着体の好適な一形態を示す断面図である。
図7】粘着体の好適な一形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0036】
(液晶性化合物)
本実施形態に係る液晶性化合物は、下記式(1)で表される化合物である。なお、本明細書中、液晶性化合物とは、液晶状態を取り得る化合物を意味する。
【0037】
【化2】
【0038】
式中、nは0~2の整数を示し、nは1~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0039】
本実施形態の液晶性化合物は、剛直なトリフェニレン骨格と柔軟なシクロオクタテトラエン骨格とを有しており、V字型の分子骨格が積層した集積構造をとることができる。上記液晶性化合物は、固体状態を示す温度域と、液晶状態を示す温度域と、液体状態を示す温度域とを有し、液晶状態を示す温度域又は液体状態を示す温度域で被着体に接触させた後、固体状態を示す温度域まで冷却することで、接着力を発現できる。例えば、上記液晶性化合物を、液体状態を示す温度域まで加熱して部材間に介在させた後、固体状態まで冷却することで、部材間を接着できる。
【0040】
上記液晶性化合物は、加熱によって液晶状態に相転移できる。また、上記液晶性化合物は、光照射によって励起された分子が骨格を平面型へと構造変化させて発光を伴わずに失活し、基底状態で再びV字型の骨格へと戻る。光照射中、この羽ばたき運動を繰り返すことで、発熱を伴いつつ集積構造が不均一化する。このため、上記液晶性化合物は、加熱又は光照射により接着力を著しく低減させることができ、被着体からの剥離が容易な解体性接着剤として好適に用いることができる。
【0041】
なお、加熱又は光照射による剥離後は、例えば上記液晶性化合物が液体状態を示す温度域に加熱した後、冷却することで、上記液晶性化合物の分子構造を初期の状態に戻せる。すなわち、上記液晶性化合物を用いた解体性接着剤は、被着体からの剥離後、加熱処理を経ることで再利用が可能となる。
【0042】
より詳細には、上記液晶性化合物は、シクロオクタテトラエン骨格で折れ曲がったV字型の分子骨格を有すると考えられ、ある特定の温度域においてこのV字型の分子骨格が積み重なった集積構造を取ることでカラムナー液晶状態を示すと考えられる。
【0043】
下記式(1-a)は、式(1)のnが0、nが2、RがORである液晶性化合物を例に取り、V字型の分子骨格を説明する式である。これ以外の液晶性化合物も同様のV字型の分子骨格を有する。
【0044】
【化3】
【0045】
上記液晶性化合物は、V字型の分子骨格が積層した集積構造を取ることができる。上記液晶性化合物は、この集積構造を形成している状態で光照射を受けると、集積構造中の一部の励起された分子においてシクロオクタテトラエン骨格が平面化し、失活して基底状態でV字型に戻る。この羽ばたき運動の繰り返しと熱の発生に伴い集積構造が不均一化する。この不均一化により、固体状態における接着力が低下し、被着体からの剥離が容易となる。
【0046】
また、上記液晶性化合物では、例えば液晶性化合物が液体状態を示す温度にまで加熱することで集積構造が一旦解消される。そして、再度、固体状態又は液晶状態を示す温度にまで冷却することで、V字型の分子骨格による集積構造が再生される。このため、上記液晶性化合物は、一旦、集積構造の不均一化によって接着力を低下させた場合でも、加熱と加熱後の冷却とにより集積構造を再生することで、再度、高い接着力を発現することができるようになる。
【0047】
光照射は、集積構造中の一部の分子におけるシクロオクタテトラエン骨格を平面化し得るものであればよい。例えば、光照射は、200~400nmの波長の光の照射であってよい。
【0048】
式(1)中、nは0又1が好ましく、0がより好ましい。複数のnは同一でも異なっていてもよいが、製造が容易となる観点からは、同一であることが好ましい。
【0049】
式(1)中、nは1~3が好ましく、1又は2が好ましい。複数のnは同一でも異なっていてもよいが、製造が容易となる観点からは、同一であることが好ましい。
【0050】
式(1)中、Rは上述の集積構造の形成を阻害しない基であれば特に限定されない。Rは、例えば、アルキル基(例えば炭素原子数1~20のアルキル基、好ましくは炭素原子数3~20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数3~12のアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素原子数1~20のアルコキシ基、好ましくは炭素原子数3~20のアルコキシ基、より好ましくは炭素原子数3~12のアルコキシ基)、アリール基(例えば炭素原子数6~18のアリール基、好ましくは炭素原子数6~14のアリール基、より好ましくは炭素原子数6~10のアリール基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、好ましくはフッ素原子又は塩素原子、より好ましくはフッ素原子)等であってよい。
【0051】
式(1)中にRが複数存在するとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、製造が容易となる観点からは、同一であることが好ましい。
【0052】
式(1)中、Rは液晶性化合物が液晶状態を示し得る基であれば特に限定されない。Rは、液晶性化合物に液晶性を付与する基であってよく、液晶性化合物が所定の温度域で液晶状態を示すように選択された基であってよい。また、Rは、例えば、Chemical Review,2009,vol 109,6275-6540に記載されたような、液晶性を付与するために導入される置換基全般から選択することもできる。
【0053】
は、例えば、炭素原子数3~20のアルキル基を有する基であってよい。Rをこのような基とすることで、液晶性化合物が後述の好適な温度域で液晶状態を示しやすくなる。当該基は、アルキル基を一つ有していても複数有していてもよい。
【0054】
が有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。Rが有するアルキル基の炭素原子数は、好ましくは4~20であり、より好ましくは6~20である。
【0055】
としては、例えば、-Rで表される基(すなわち、炭素原子数3~20のアルキル基)、-O-Rで表される基(すなわち、炭素原子数3~20のアルコキシ基)、-CO-Rで表される基、-COO-Rで表される基、-OCO-Rで表される基、-NHRで表される基、-N(Rで表される基、-CONHRで表される基等が挙げられる。なお、Rは、炭素原子数3~20のアルキル基を示す。また、Rは、これらのRを含む基を置換基として有する、アリール基、アリールオキシ基等であってもよい。
【0056】
アリール基及びアリールオキシ基の炭素原子数(置換基を含めない炭素原子数)は、それぞれ、例えば6~18であってよく、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。また、アリール基及びアリールオキシ基は、それぞれ、上述のRを含む基を少なくとも一つ有していればよく、2つ以上有していてもよい。
【0057】
としては、製造が容易となる観点からは、-Rで表される基及び-O-Rで表される基が好ましく、-O-Rで表される基がより好ましい。
【0058】
式(1)中にRが複数存在するとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、製造が容易となる観点からは、同一であることが好ましい。
【0059】
上記液晶性化合物は、35~170℃(好ましくは50~160℃、より好ましくは80~140℃)の少なくとも一部の温度域で液晶状態を示すことが好ましい。このような液晶性化合物では、被着体に悪影響を及ぼしにくい温度域下で剥離できる。
【0060】
(液晶性化合物の製造方法)
上記液晶性化合物の製造方法の一態様について以下に説明する。上記液晶性化合物は、例えば、下記式(A-1)で表される化合物(以下、化合物(A-1))と下記式(B-1)で表される化合物(以下、化合物(B-1))とのカップリング反応によって、下記式(C-1)で表される化合物(以下、化合物(C-1))を合成する工程(1)と、当該化合物(C-1)を環化させて、式(1)で表される液晶性化合物を得る工程(2)と、を含む製造方法によって製造することができる。
【0061】
【化4】
【0062】
【化5】
【0063】
【化6】
【0064】
式中、n、n、R及びRは上記と同じ意味を示す。Xはハロゲン原子を示し、YはXとカップリング可能な官能基を示す。
【0065】
は、例えば塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好ましくは臭素原子又はヨウ素原子である。
【0066】
は、例えば、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ハロゲン化亜鉛基、ハロゲン化マグネシウム基、トリアルキルスズ基、トリアルキルケイ素基等であってよく、好ましくはボロン酸エステル基、ボロン酸基である。
【0067】
工程(1)では、化合物(A-1)と化合物(B-1)とのカップリング反応を行う。カップリング反応の種類は、X及びYの種類に応じて公知のカップリング反応から適宜選択してよい。カップリング反応の反応条件は特に限定されず、公知の反応条件から適宜選択してよい。
【0068】
例えば、Xが臭素原子、Yがボロン酸エステル基である場合、工程(1)は、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦カップリング反応によって、化合物(C-1)を合成する工程であってよい。
【0069】
工程(2)では、化合物(C-1)は環化させる環化反応を行う。当該環化反応によって、トリフェニレン骨格が形成される。環化反応の種類は、トリフェニレン骨格を形成可能な公知の環化反応から、適宜選択してよい。環化反応の反応条件は特に限定されず、公知の反応条件から適宜選択してよい。
【0070】
例えば、環化反応は、酸化剤を用いた酸化的芳香環化反応であってよい。当該酸化的芳香環化反応としては、例えば、DDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン)とメタンスルホン酸とを用いた環化反応、DDQとSc(OTf)(スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホナート)とを用いた酸化反応、DDQとTfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)とを用いた酸化反応、クロラニル(テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン)とメタンスルホン酸とを用いた環化反応、クロラニルとSc(OTf)とを用いた酸化反応、クロラニルとTfOHとを用いた酸化反応、塩化鉄(III)(FeCl)を用いた酸化反応等が挙げられる。
【0071】
(接着剤)
上記液晶性化合物を用いた接着剤について以下に説明する。本実施形態に係る接着剤は、上記液晶性化合物を含むものである。このような接着剤は、上記液晶性化合物を含むため、加熱又は光照射によって容易に接着力を低減させて被着体の剥離を容易にすることができ、解体性接着剤として好適に用いることができる。
【0072】
本実施形態では、例えば、上記液晶性化合物が液体状態又は液晶状態を示す温度域まで加熱された上記接着剤を部材間に介在させた後、冷却することで、部材間を接着することができる。
【0073】
部材間の接合部は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域(又はそれ以上の温度域)まで加熱する、又は、光照射(好ましくは紫外線照射)することで、接着力が低減されるため、容易に解体できる。
【0074】
接合部への光照射は、例えば、200~400nmの波長の紫外線の照射であってよく、300~400nmの波長の紫外線の照射であることが好ましい。また、接合部への光照射における積算光量は、例えば1~300J/cmであってよく、3~200J/cmが好ましい。
【0075】
上記接着剤は、上述の解体性接着剤としての機能が維持される範囲において、上記液晶性化合物以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系ポリマー等の熱可塑性高分子;(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ系化合物等の硬化性モノマー成分;光開始剤等が挙げられる。
【0076】
(構造体)
本実施形態に係る構造体は、上記接着剤を用いて接合された接合部を備える。本実施形態に係る構造体は、接合部が上記接着剤を用いて接合されているため、加熱又は光照射によって接合部を容易に剥離して解体できる。
【0077】
構造体は、上記接着剤を用いて接合部を備えるものであればよく、その他の構成要素は特に制限されない。
【0078】
構造体の一例としては、光学部品を備える構造体、半導体実装部品を備える構造体等が挙げられる。これらの構造体は、例えば、光学部品製造プロセス又は半導体製造プロセスにおいて、一時的に製造され、所定の工程を経た後、上記接合部を剥離して解体されるものであってよい。
【0079】
(接着剤の使用方法)
上記接着剤の使用方法の一形態について、以下に説明する。本実施形態に係る接着剤の使用方法は、2部材間に、上記液晶性化合物が液体状態又は液晶状態を示す温度に加熱された上記接着剤を介在させる工程と、上記2部材間に介在させた上記接着剤を、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度に冷却して、上記2部材を接合する工程(以下、接合工程ともいう。)と、を含む。
【0080】
上記使用方法は、上記2部材を接合する上記接着剤を、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域(又はそれ以上の温度域)まで加熱しつつ、上記2部材を剥離させる工程を更に含んでいてもよい。このような工程によれば、接合された2部材を容易に剥離できる。
【0081】
また、上記使用方法は、上記2部材を接合する上記接着剤に光照射(好ましくは紫外線照射)しつつ、上記2部材を剥離させる工程を更に含んでいてもよい。このような工程によっても、接合された2部材を容易に剥離できる。なお、「光照射しつつ…剥離させる」とは、光照射と同時に剥離させることを含み、光照射後に接着力が復元するまでの間(例えば3分以内、好ましくは1分以内)に剥離させることも含む。
【0082】
また、上記使用方法では、接合工程の後、例えば、半導体製造プロセスにおけるリソグラフィ工程のような種々の工程を経た後、剥離工程を実施してもよい。
【0083】
(粘着体)
本実施形態に係る粘着体は、粘着成分と上記液晶性化合物との組み合わせによって、被着体への高い接着力と易剥離性とを両立するものであればよい。
【0084】
本実施形態に係る粘着体は、粘着成分及び上記液晶性化合物の両方の寄与により高い接着力を発現できる。また、上記粘着体は、加熱又は光照射することで、上記液晶性化合物の接着力への寄与を低減させることができるため、容易に被着体から剥離することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る粘着体において、粘着成分は室温で粘着性を示し得るのに対して、上記液晶性化合物は固体状態では粘着性を示さず、接着力を発現するためには少なくとも一度は液晶状態又は液体状態に相転移させる必要がある。このような接着形態の違いから、本実施形態に係る粘着体は、粘着成分の作用で仮接着した後、上記液晶性化合物の作用を発現させて接合する、等の多様な接合方法に応用できる。
【0086】
また、本実施形態に係る粘着体は、被着体との接合面における粘着成分及び上記液晶性化合物の比率を変更することで、接合強度及び剥離性を調整できるため、多様な用途に応用できる。
【0087】
一態様において、粘着体は、粘着成分を含有する粘着面と、上記液晶性化合物を含有する解体性接着面と、を備えるものであってよい。このような粘着体は、被着体への貼付時には、粘着面及び解体性接着面の両方の寄与により高い接着力を発現できる。また、剥離時には、加熱又は光照射して解体性接着面の接着力を低減させることで、容易に剥離が可能となる。
【0088】
上記粘着体は、被着体との接合面において、上記粘着面と上記解体性接着面とが含まれていればよく、被着体との接合前に上記形態を有している必要はない。
【0089】
一態様において、粘着体は、粘着成分を含有する粘着剤層と、粘着剤層上に配置され、上記液晶性化合物を含有する解体性接着剤層と、を備えるものであってよい。
【0090】
上記粘着体は、粘着剤層上に部分的に解体性接着剤層が形成されていてよい。この場合、被着体への押圧により粘着剤層による粘着面と解体性接着剤層による解体性接着面とを、被着体に接触させることができる。
【0091】
また、上記粘着体は、粘着剤層上の全面に解体性接着剤層が形成されていてもよい。この場合、被着体への貼付時に強く押圧して解体性接着剤層の一部を破断させる、被着体への貼付前に面内方向に伸張させる、被着体への貼付前に解体性接着剤層の一部を剥離する等の方法によって、被着体との接合面に、粘着剤層による粘着面と解体性接着剤層による解体性接着面とを形成できる。
【0092】
一態様において、粘着体は、粘着成分を含有する粘着部と、上記液晶性化合物を含有する解体性接着部とを有し、粘着部からなる粘着面と解体性接着部からなる解体性接着面とを有する接合面を備えるものであってもよい。
【0093】
上記粘着体は、例えば、粘着部からなる連続相に、解体性接着部からなる分散相が分散した構造を有していてよい。また、上記粘着体は、解体性接着部からなる連続相に、粘着部からなる分散相が分散した構造を有していてもよい。また、上記粘着体は、基材上に粘着部と解体性接着部とがそれぞれ形成された構造を有していてよく、粘着部及び解体性接着部はそれぞれ複数形成されていてよく、互いに接触していても離間していてもよい。
【0094】
一態様において、粘着体は、粘着成分と液晶性化合物とを含有する粘着剤で構成された粘着剤層を備えるものであってもよい。このような粘着体は、例えば、粘着剤層上に、微細な粘着面と解体性接着面とが混在していると見做すことができる。
【0095】
上記粘着体は、粘着成分及び上記液晶性化合物の両方の寄与によって粘着剤層を被着体に強固に接着できる。また、上記粘着体は、接着力が低下し、容易に剥離が可能となる。
【0096】
本実施形態において、粘着成分は特に限定されず、粘着剤として使用し得る成分であればよい。粘着成分としては、例えば、公知の粘着剤を用いてよい。
【0097】
粘着成分は、例えば、室温(例えば25℃)で粘着性を示す粘着剤(感圧接着剤)を形成可能な組成物であってよい。
【0098】
粘着成分から構成される粘着剤の貯蔵弾性率は、例えば10Pa~10Paであってよい。
【0099】
粘着成分は、例えば、粘着性樹脂及び粘着付与剤からなる群より選択される少なくとも一種を含有していてよい。粘着性樹脂は、公知の粘着性樹脂であってよく、例えば、上述の貯蔵弾性率を有する樹脂であってよい。粘着付与剤は、公知の粘着付与剤であってよく、例えば、石油系樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、クマロンーインデン樹脂、天然樹脂ロジン、変性ロジン、グリセリンエステルロジン、ペンタエリスリトールエステルロジン、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等であってよい。これらは一種を単独で用いてよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0100】
本実施形態において、解体性接着剤層及び解体性接着部は、本発明の効果が奏される範囲において、上記液晶性化合物以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系ポリマー等の熱可塑性高分子;(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ系化合物等の硬化性モノマー成分;光開始剤等が挙げられる。
【0101】
以下、図面を参照しつつ、粘着体の好適な形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0102】
(第1の形態)
図1は、粘着体の好適な一形態を示す断面図である。図1に示す粘着体10は、上記液晶性化合物を含有する解体性接着剤層11と、粘着成分を含有する粘着剤層12と、基材13と、を備えている。粘着体10は、粘着剤層12の一方の主面上に解体性接着剤層11を備えており、粘着剤層12の他方の主面上に基材13を備えている。
【0103】
粘着体10は、例えば、一方の主面が解体性接着剤層11で構成され、他方の主面が基材13で構成されたテープ状又はフィルム状の粘着体であってよい。粘着体10は、粘着剤層12の露出が少ないため、保管時及び使用時の取り扱い性に優れる。
【0104】
粘着体10は、解体性接着剤層11側の面(接合面)で被着体と接合される。例えば、粘着体10は、解体性接着剤層11と被着体とが接するように被着体上に粘着体10を配置し、粘着体10を被着体に強く押し付け、解体性接着剤層11の一部を破断させることで、粘着剤層12と被着体とを接触させ、被着体上に仮接着できる。
【0105】
また、粘着体10は、面内方向に伸張して解体性接着剤層11の一部を破断させることで接合面に粘着剤層12を露出させてもよい。この場合、被着体上に配置した粘着体10を軽く押圧することで、粘着剤層12と被着体とが接着し、被着体上に粘着体10を仮接着できる。
【0106】
また、粘着体10は、解体性接着剤層11の一部を剥離することで接合面に粘着剤層12を露出させてもよい。この場合、被着体上に配置した粘着体10を軽く押圧することで、粘着剤層12と被着体とが接着し、被着体上に粘着体10を仮接着できる。
【0107】
被着体上に仮接着した粘着体10は、液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱し、その後、液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却することにより、被着体に強固に接合できる。
【0108】
また、粘着体10は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱した状態で被着体に押し付けることで、被着体に接合してもよい。この場合、流動化した解体性接着剤層11を押し退けて粘着剤層12の一部と被着体とが接触することで、粘着剤層12による接着力が発現する。また、被着体への貼付後に、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却されることで解体性接着剤層11による接着力が発現し、粘着体10と被着体とが強固に接合される。
【0109】
解体性接着剤層11は、上記液晶性化合物が積層構造を形成可能であれば、極めて薄い場合であっても接着力を発現できる。この観点から、解体性接着剤層11の厚さは、例えば0.1μm以上であってよい。また、解体性接着剤層11の破断が容易となる観点、及び、コスト低減の観点からは、解体性接着剤層11の厚さは、例えば50μm以下であってよく、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0110】
粘着剤層12の厚さは特に限定されず、例えば、解体性接着剤層11の破断箇所に流入して被着体と接触できる厚さがあればよい。粘着剤層12の厚さは、粘着剤層12を構成する粘着剤の種類及び粘着体10の用途等に応じて適宜変更してもよい。粘着剤層12の厚さは、例えば、0.1~100μmであってよく、好ましくは0.1~60μmである。
【0111】
図1において、粘着体10は、粘着剤層12の解体性接着剤層11と反対側の主面上に基材13を備えている。なお、粘着体10は必ずしも基材を備えている必要はなく、解体性接着剤層11と粘着剤層12とから構成されていてもよい。
【0112】
基材13の種類及び形状は特に限定されず、粘着剤層12を構成する粘着剤の種類及び粘着体10の用途等に応じて適宜変更できる。基材13は、例えば、金属基材、無機基材、樹脂基材等であってよい。また、基材13の形状は、例えば、フィルム状、テープ状、直方体状等であってよい。
【0113】
基材13は、被着体と共に組立品を構成する部材の一つであってよい。また、基材13は、被着体に一時的に貼付される支持部材又は保護部材であってもよい。
【0114】
粘着体10は、基材13の粘着剤層12と反対側の面上に、更に他の構造を有していてもよい。例えば、粘着体10は、基材13の粘着剤層12と反対側の面上に、粘着成分と上記液晶性化合物との組み合わせによる接着構造を更に有していてもよい。当該接着構造は、例えば、解体性接着剤層11及び粘着剤層12と同様の構造であってよく、後述する他の形態が有する接着構造と同様の構造であってもよい。
【0115】
(第2の形態)
図2(a)は、粘着体の好適な一形態を示す上面図であり、図2(b)は、図2(a)のII-II断面を示す断面図である。図2に示す粘着体20は、上記液晶性化合物を含有する解体性接着剤層21と、粘着成分を含有する粘着剤層22と、基材23と、を備えている。粘着体20は、粘着剤層22の一方の主面上に、帯状の解体性接着剤層21を複数備えており、粘着剤層22の他方の主面上に基材23を備えている。
【0116】
粘着体20は、例えば、テープ状又はフィルム状の粘着体であってよい。粘着体20は、粘着剤層22が部分的に露出しているため、被着体に押し付けることで容易に仮接着できる。被着体上に仮接着した粘着体20は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱し、その後、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却することにより、被着体に対して強固に接合できる。
【0117】
また、粘着体20は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱した状態で被着体に押し付けることで、被着体に接合してもよい。この場合、粘着剤層22の露出部と被着体との接触により粘着剤層22による接着力が発現し、また、被着体への貼付後に、液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却されることで解体性接着剤層21による接着力が発現し、粘着体20と被着体とが強固に接合される。
【0118】
解体性接着剤層21は、上記液晶性化合物が積層構造を形成可能であれば、極めて薄い場合であっても接着力を発現できる。この観点から、解体性接着剤層21の厚さは、例えば0.1μm以上であってよい。また、コスト低減の観点からは、解体性接着剤層21の厚さは、例えば50μm以下であってよく、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0119】
解体性接着剤層21の幅、及び、隣接する解体性接着剤層21間の距離(すなわち、粘着剤層22の露出部の幅)は特に限定されず、所望の粘着性及び剥離性に応じて適宜変更してよい。接合面に占める解体性接着剤層21の割合を多くすることで、剥離性がより向上する。また、接合面に露出する粘着剤層22の割合を多くすることで、仮接着時の接着力及び被着体との接合強度が向上する。
【0120】
粘着体20において、複数の解体性接着剤層21は互いに略同一の幅を有していることが好ましく、粘着剤層22上に規則的に配置されていることが好ましい。
【0121】
粘着体20において、解体性接着剤層21はテープ状の粘着体20の幅方向及び長さ方向に対して角度を付けて形成されているが、解体性接着剤層21の角度は、幅方向又は長さ方向と平行であってもよい。粘着体20のように解体性接着剤層21を形成することで、幅方向又は長さ方向のいずれの方向から剥離しても、被着体との界面に解体性接着剤層21を存在させることができ、剥離性がより良好となる。
【0122】
粘着剤層22の厚さは特に限定されず、粘着剤層22を構成する粘着剤の種類及び粘着体20の用途等に応じて適宜変更してよい。粘着剤層22の厚さは、例えば、0.1~100μmであってよく、好ましくは0.1~60μmである。
【0123】
図2において、粘着体20は、粘着剤層22の解体性接着剤層21と反対側の主面上に基材23を備えている。なお、粘着体20は必ずしも基材を備えている必要はなく、解体性接着剤層21と粘着剤層22とから構成されていてもよい。
【0124】
基材23の種類及び形状は特に限定されず、粘着剤層22を構成する粘着剤の種類及び粘着体20の用途等に応じて適宜変更できる。基材23は、例えば、金属基材、無機基材、樹脂基材等であってよい。また、基材23の形状は、例えば、フィルム状、テープ状、直方体状等であってよい。
【0125】
基材23は、被着体と共に組立品を構成する部材の一つであってよい。また、基材23は、被着体に一時的に貼付される支持部材又は保護部材であってもよい。
【0126】
粘着体20は、基材23の粘着剤層22と反対側の面上に、更に他の構造を有していてもよい。例えば、粘着体20は、基材23の粘着剤層22と反対側の面上に、粘着成分と上記液晶性化合物との組み合わせによる接着構造を更に有していてもよい。当該接着構造は、例えば、解体性接着剤層21及び粘着剤層22と同様の構造であってよく、本明細書の他の形態が有する接着構造と同様の構造であってもよい。
【0127】
なお、粘着体の好適な他の一形態として、解体性接着剤層21と粘着剤層22とが逆の位置に配置された粘着体(すなわち、解体性接着剤層の一方の主面上に、帯状の粘着剤層を複数備える粘着体)も例示できる。
【0128】
(第3の形態)
図3(a)は、粘着体の好適な一形態を示す上面図であり、図3(b)は、図3(a)のIII-III断面を示す断面図である。図3に示す粘着体30は、上記液晶性化合物を含有する解体性接着剤層31と、粘着成分を含有する粘着剤層32と、基材33と、を備えている。粘着体30は、粘着剤層32の一方の主面上に、複数の解体性接着剤層31が互いに離間して設けられており、粘着剤層32の他方の主面上に基材33が設けられている。
【0129】
粘着体30は、例えば、テープ状又はフィルム状の粘着体であってよい。粘着体30は、粘着剤層32が部分的に露出しているため、被着体に押し付けることで容易に仮接着できる。被着体上に仮接着した粘着体30は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱し、その後、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却することにより、被着体に対して強固に接合できる。
【0130】
また、粘着体30は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱した状態で被着体に押し付けることにより、被着体に接合してもよい。この場合、粘着剤層32の露出部と被着体との接触により粘着剤層32による接着力が発現し、また、被着体への貼付後に、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却されることで解体性接着剤層31による接着力が発現し、粘着体30と被着体とが強固に接合される。
【0131】
解体性接着剤層31は、上記液晶性化合物が積層構造を形成可能であれば、極めて薄い場合であっても接着力を発現できる。この観点から、解体性接着剤層31の厚さは、例えば0.1μm以上であってよい。また、コスト低減の観点からは、解体性接着剤層31の厚さは、例えば50μm以下であってよく、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0132】
解体性接着剤層31の形状、及び、隣接する解体性接着剤層21間の距離は特に限定されず、所望の粘着性及び剥離性に応じて適宜変更してよい。接合面に占める解体性接着剤層31の割合を多くすることで、剥離性がより向上する。また、接合面に露出する粘着剤層32の割合を多くすることで、仮接着時の接着力及び被着体との接合強度が向上する。
【0133】
粘着体30において、複数の解体性接着剤層31は互いに略同一の形状であることが好ましく、粘着剤層32上に規則的に配置されていることが好ましい。
【0134】
粘着剤層32の厚さは特に限定されず、粘着剤層32を構成する粘着剤の種類及び粘着体30の用途等に応じて適宜変更してよい。粘着剤層32の厚さは、例えば、0.1~100μmであってよく、好ましくは0.1~60μmである。
【0135】
図3において、粘着体30は、粘着剤層32の解体性接着剤層31と反対側の主面上に基材33を備えている。なお、粘着体30は必ずしも基材を備えている必要はなく、解体性接着剤層31と粘着剤層32とから構成されていてもよい。
【0136】
基材33の種類及び形状は特に限定されず、粘着剤層32を構成する粘着剤の種類及び粘着体30の用途等に応じて適宜変更できる。基材33は、例えば、金属基材、無機基材、樹脂基材等であってよい。また、基材33の形状は、例えば、フィルム状、テープ状、直方体状等であってよい。
【0137】
基材33は、被着体と共に組立品を構成する部材の一つであってよい。また、基材33は、被着体に一時的に貼付される支持部材又は保護部材であってもよい。
【0138】
粘着体30は、基材33の粘着剤層32と反対側の面上に、更に他の構造を有していてもよい。例えば、粘着体30は、基材33の粘着剤層32と反対側の面上に、粘着成分と上記液晶性化合物との組み合わせによる接着構造を更に有していてもよい。当該接着構造は、例えば、解体性接着剤層31及び粘着剤層32と同様の構造であってよく、本明細書の他の形態が有する接着構造と同様の構造であってもよい。
【0139】
なお、粘着体の好適な他の一形態として、解体性接着剤層31と粘着剤層32とが逆の位置に配置された粘着体(すなわち、解体性接着剤層の一方の主面上に、複数の粘着剤層が互いに離間して設けられた粘着体)も例示できる。
【0140】
(第4の形態)
図4は、粘着体の好適な一形態を示す断面図である。図4に示す粘着体40は、上記液晶性化合物を含有する解体性接着剤層41と、粘着成分を含有する粘着剤層42と、基材43と、を備えている。粘着体40において、粘着剤層42は一方の主面側に複数の凹部が設けられており、当該凹部に解体性接着剤層41が設けられている。これにより、粘着体40では、解体性接着剤層41による解体性接着面と粘着剤層42による粘着面とが同一面に形成されている。
【0141】
粘着体40は、例えば、テープ状又はフィルム状の粘着体であってよい。粘着体40は、粘着剤層42が部分的に露出しているため、被着体に押し付けることで容易に仮接着できる。被着体上に仮接着した粘着体40は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱し、その後、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却することにより、被着体に対して強固に接合できる。
【0142】
また、粘着体40は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱した状態で被着体に押し付けることで、被着体に接合してもよい。この場合、粘着剤層42の露出部と被着体との接触により粘着剤層42による接着力が発現し、また、被着体への貼付後に、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却されることで解体性接着剤層41による接着力が発現し、粘着体40と被着体とが強固に接合される。
【0143】
解体性接着剤層41は、上記液晶性化合物が積層構造を形成可能であれば、極めて薄い場合であっても接着力を発現できる。この観点から、解体性接着剤層41の厚さは、例えば0.1μm以上であってよい。また、コスト低減の観点からは、解体性接着剤層41の厚さは、例えば50μm以下であってよく、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0144】
解体性接着剤層41の形状、及び、隣接する解体性接着剤層41間の距離は特に限定されず、所望の粘着性及び剥離性に応じて適宜変更してよい。接合面に占める解体性接着剤層41の割合を多くすることで、剥離性がより向上する。また、接合面に露出する粘着剤層42の割合を多くすることで、仮接着時の接着力及び被着体との接合強度が向上する。解体性接着剤層41は、例えば、図2(a)と同様の上面図を成すように形成されていてよく、図3(a)と同様の上面図を成すように形成されていてもよい。
【0145】
粘着体40において、複数の解体性接着剤層41は互いに略同一の形状であることが好ましく、粘着剤層42上に規則的に配置されていることが好ましい。
【0146】
粘着剤層42の厚さは特に限定されず、粘着剤層42を構成する粘着剤の種類及び粘着体40の用途等に応じて適宜変更してよい。粘着剤層42の厚さは、例えば、0.1~100μmであってよく、好ましくは0.1~60μmである。
【0147】
図4において、粘着体40は、粘着剤層42の解体性接着剤層41と反対側の主面上に基材43を備えている。なお、粘着体40は必ずしも基材を備えている必要はなく、解体性接着剤層41と粘着剤層42とから構成されていてもよい。
【0148】
基材43の種類及び形状は特に限定されず、粘着剤層42を構成する粘着剤の種類及び粘着体40の用途等に応じて適宜変更できる。基材43は、例えば、金属基材、無機基材、樹脂基材等であってよい。また、基材43の形状は、例えば、フィルム状、テープ状、直方体状等であってよい。
【0149】
基材43は、被着体と共に組立品を構成する部材の一つであってよい。また、基材43は、被着体に一時的に貼付される支持部材又は保護部材であってもよい。
【0150】
粘着体40は、基材43の粘着剤層42と反対側の面上に、更に他の構造を有していてもよい。例えば、粘着体40は、基材43の粘着剤層42と反対側の面上に、粘着成分と上記液晶性化合物との組み合わせによる接着構造を更に有していてもよい。当該接着構造は、例えば、解体性接着剤層41及び粘着剤層42と同様の構造であってよく、本明細書の他の形態が有する接着構造と同様の構造であってもよい。
【0151】
なお、粘着体の好適な他の一形態として、解体性接着剤層41と粘着剤層42とが逆の位置に配置された粘着体(すなわち、解体性接着剤層の一方の主面側に複数の凹部が設けられており、当該凹部に粘着剤層が設けられた粘着体)も例示できる。
【0152】
(第5の形態)
図5は、粘着体の好適な一形態を示す断面図である。図5に示す粘着体50は、上記液晶性化合物を含有する解体性接着部51と、粘着成分を含有する粘着部52と、基材53と、を備えている。粘着体50において、基材53の一方面上には、解体性接着部51と粘着部52とがそれぞれ設けられており、解体性接着部51による解体性接着面と粘着部52による粘着面とが形成されている。なお、粘着体50は、基材53とは反対側の接合面にも、解体性接着部51による解体性接着面と粘着部52による粘着面とが形成されていてもよい。
【0153】
粘着体50は、例えば、テープ状又はフィルム状の粘着体であってよい。粘着体50は、接合面に粘着面が部分的に形成されているため、接合面を被着体に押し付けることで容易に仮接着できる。被着体上に仮接着した粘着体50は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱し、その後、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却することにより、被着体に対して強固に接合できる。
【0154】
また、粘着体50は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱した状態で被着体に押し付けることにより、被着体に接合してもよい。この場合、粘着面と被着体との接触により粘着部52による接着力が発現し、また、被着体への貼付後に、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却されることで解体性接着部51による接着力が発現し、粘着体50と被着体とが強固に接合される。
【0155】
解体性接着部51及び粘着部52の形状は特に限定されず、所望の粘着性及び剥離性に応じて適宜変更してよい。接合面に占める解体性接着面の割合を多くすることで、剥離性がより向上する。また、接合面に露出する粘着面の割合を多くすることで、仮接着時の接着力及び被着体との接合強度が向上する。解体性接着部51及び粘着部52は、例えば、図2(a)と同様の上面図を成すように形成されていてよく、図3(a)と同様の上面図を成すように形成されていてもよい。
【0156】
解体性接着部51及び粘着部52の厚さは特に限定されず、粘着部52を構成する粘着剤の種類及び粘着体50の用途等に応じて適宜変更してよい。解体性接着部51及び粘着部52の厚さは、例えば、0.1~100μmであってよく、好ましくは0.1~60μmである。
【0157】
図5において、粘着体50は、粘着部52の解体性接着部51と反対側の主面上に基材53を備えている。なお、粘着体50は必ずしも基材を備えている必要はなく、解体性接着部51と粘着部52とから構成されていてもよい。
【0158】
基材53の種類及び形状は特に限定されず、粘着部52を構成する粘着剤の種類及び粘着体50の用途等に応じて適宜変更できる。基材53は、例えば、金属基材、無機基材、樹脂基材等であってよい。また、基材53の形状は、例えば、フィルム状、テープ状、直方体状等であってよい。
【0159】
基材53は、被着体と共に組立品を構成する部材の一つであってよい。また、基材53は、被着体に一時的に貼付される支持部材又は保護部材であってもよい。
【0160】
粘着体50は、基材53の解体性接着部51及び粘着部52と反対側の面上に、更に他の構造を有していてもよい。例えば、粘着体50は、基材53の解体性接着部51及び粘着部52と反対側の面上に、粘着成分と上記液晶性化合物との組み合わせによる接着構造を更に有していてもよい。当該接着構造は、例えば、解体性接着部51及び粘着部52と同様の構造であってよく、本明細書の他の形態が有する接着構造と同様の構造であってもよい。
【0161】
(第6の形態)
図6は、粘着体の好適な一形態を示す断面図である。図6に示す粘着体60は、上記液晶性化合物を含有する第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bと、粘着成分を含有する粘着剤層62と、を備えている。粘着体60においては、粘着剤層62の一方の主面上に第一の解体性接着剤層61aが設けられており、粘着剤層62の他方の主面上に第二の解体性接着剤層61bが設けられている。
【0162】
粘着体60は、例えば、各主面がそれぞれ第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bで構成されたテープ状又はフィルム状の粘着体であってよい。粘着体60は、粘着剤層62の露出が少ないため、保管時及び使用時の取り扱い性に優れる。
【0163】
粘着体60は、第一の解体性接着剤層61a側の面(第一の接合面)及び第二の解体性接着剤層61b側の面(第二の接合面)の両方で被着体と接合できる。例えば、粘着体60は、第一の解体性接着剤層61aと被着体とが接するように被着体上に粘着体60を配置し、粘着体60を被着体に強く押し付け、第一の解体性接着剤層61aの一部を破断させることで、粘着剤層62と被着体とを接触させ、被着体上に仮接着できる。また、粘着体60は、第一の被着体と第二の被着体とで粘着体60を挟持し、粘着体60の両側から圧力をかけることで、第一の解体性接着剤層61aの一部及び第二の解体性接着剤層61bの一部を破断させて、第一の被着体及び第二の被着体を仮接着できる。
【0164】
また、粘着体60は、面内方向に伸張して第一の解体性接着剤層61aの一部及び第二の解体性接着剤層61bの一部を破断させることで第一の接合面及び第二の接合面に粘着剤層62を露出させてもよい。この場合、第一の被着体と第二の被着体とで粘着体60を挟持し、軽く両側から圧力をかけることで、粘着体60を介して第一の被着体と第二の被着体と仮接着させることができる。
【0165】
また、粘着体60は、第一の解体性接着剤層61aの一部及び/又は第二の解体性接着剤層61bの一部を剥離することで、第一の接合面及び/又は第二の接合面に粘着剤層62を露出させてもよい。この場合、被着体と粘着体60とを容易に仮接着できる。
【0166】
仮接着した粘着体60は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱し、その後、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却することにより、被着体に強固に接合できる。
【0167】
また、第一の被着体及び第二の被着体の間に配置した粘着体60に対して、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱した状態で両側から圧力をかけることで、被着体に接合してもよい。この場合、第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bを押し退けて、粘着剤層62の一部と第一の被着体及び第二の被着体とが接触することで、粘着剤層62による接着力が発現する。また、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却されることで第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bによる接着力が発現し、第一の被着体、粘着体60及び第二の被着体が強固に接合される。
【0168】
第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bは、上記液晶性化合物が積層構造を形成可能であれば、極めて薄い場合であっても接着力を発現できる。この観点から、第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bの厚さは、それぞれ、例えば0.1μm以上であってよい。また、破断が容易となる観点、及び、コスト低減の観点からは、第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bの厚さは、それぞれ、例えば50μm以下であってよく、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0169】
粘着剤層62の厚さは特に限定されず、例えば、第一の解体性接着剤層61a及び第二の解体性接着剤層61bの破断箇所に流入して被着体と接触できる厚さがあればよい。粘着剤層62の厚さは、粘着剤層62を構成する粘着剤の種類及び粘着体60の用途等に応じて適宜変更してもよい。粘着剤層62の厚さは、例えば、0.1~100μmであってよく、好ましくは0.1~60μmである。
【0170】
(第7の形態)
図7は、粘着体の好適な一形態を示す断面図である。図7に示す粘着体70は、粘着成分及び上記液晶性化合物を含有する粘着剤で構成された粘着剤層72と基材73とを備えており、基材73の一方の主面上に粘着剤層72が設けられている。
【0171】
粘着体70は、例えば、テープ状又はフィルム状の粘着体であってよい。粘着体70は、粘着剤層72が粘着成分を含有しているため、被着体に押し付けることで容易に仮接着できる。被着体上に仮接着した粘着体70は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱し、その後、上記液晶性化合物が固体状態を示す温度域まで冷却することにより、被着体に対して強固に接合できる。
【0172】
粘着剤層72の厚さは特に限定されず、粘着成分の種類及び粘着体70の用途等に応じて適宜変更してよい。粘着剤層72の厚さは、例えば、0.1~100μmであってよく、好ましくは0.1~60μmである。
【0173】
粘着剤層72を構成する粘着剤中、上記液晶性化合物の含有量は特に限定されず、粘着剤層72が粘着性を発現できる範囲で適宜変更してよい。粘着剤に占める上記液晶性化合物の割合を多くすることで、剥離性がより向上する。また、粘着剤に占める上記液晶性化合物の割合を少なくすることで、仮接着時の接着力及び被着体との接合強度が向上する。上記液晶性化合物の含有量は、粘着剤の全量基準で、例えば、0.1質量%以上であってよく、5質量%以上が好ましい。また、上記液晶性化合物の含有量は、粘着剤の全量基準で、例えば、50質量%以下であってよく、30質量%以下が好ましい。
【0174】
図7において、粘着体70は、粘着剤層72の一方の主面上に基材73を備えている。なお、粘着体70は必ずしも基材を備えている必要はなく、粘着剤層72のみから構成されていてもよい。
【0175】
基材73の種類及び形状は特に限定されず、粘着剤層72を構成する粘着剤の種類及び粘着体70の用途等に応じて適宜変更できる。基材73は、例えば、金属基材、無機基材、樹脂基材等であってよい。また、基材73の形状は、例えば、フィルム状、テープ状、直方体状等であってよい。
【0176】
基材73は、被着体と共に組立品を構成する部材の一つであってよい。また、基材73は、被着体に一時的に貼付される支持部材又は保護部材であってもよい。
【0177】
粘着体70は、基材73の粘着剤層72と反対側の面上に、更に他の構造を有していてもよい。例えば、粘着体70は、基材73の粘着剤層72と反対側の面上に、粘着成分と上記液晶性化合物との組み合わせによる接着構造を更に有していてもよい。当該接着構造は、例えば、粘着剤層72と同様であってよく、本明細書の他の形態が有する接着構造と同様の構造であってもよい。
【0178】
(接合体の製造方法)
本実施形態に係る接合体の製造方法は、上述の粘着体を被着体に押し付けて、粘着体と被着体とを接合させる接合工程を含む。
【0179】
接合工程では、粘着体中の粘着成分の作用によって、粘着体と被着体とが接着してよい。
【0180】
接合工程は、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度下で、上記粘着体を上記被着体に押し付ける工程であってもよい。このような接合工程によれば、粘着成分及び上記液晶性化合物の両方の寄与により、粘着体を被着体に強固に接合できる。
【0181】
また、接合工程は、粘着体と被着体とを仮接着する工程であってよい。この場合、本実施形態に係る製造方法は、粘着体と被着体との接合面を、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域又は当該温度域を超える温度に加熱する加熱工程を更に含んでいてよい。このような加熱工程によれば、粘着成分及び上記液晶性化合物の両方の寄与により、粘着体を被着体に強固に接合できる。
【0182】
被着体は特に限定されない。被着体の具体例としては、例えばガラス、サファイア、石英、フッ化カルシウム、ステンレス、アルミ、鉄、シリコンウエハ、窒化ガリウム、シリコンカーバイド等が挙げられる。
【0183】
(粘着体の剥離方法)
本実施形態に係る粘着体の剥離方法は、粘着体と被着体との接合面の少なくとも一部を、上記液晶性化合物が液晶状態を示す温度域(又は当該温度域を超える温度)まで加熱する加熱工程、又は、粘着体と被着体との接合面の少なくとも一部に光照射する照射工程を含む。
【0184】
加熱工程は、例えば、70~170℃(好ましくは80~150℃)で5~30分間加熱する工程であってよい。
【0185】
被着体が光透過性を有するとき、照射工程は、被着体側から接合面に光を照射する工程であってよい。また、粘着体が基材を有しない又は基材が光透過性を有するとき、照射工程は、粘着体の被着体と反対側から光を照射する工程であってよい。照射工程を経ることで、粘着体を容易に剥離できる。
【0186】
また、照射工程は、粘着体と被着体との界面に、接合面に平行な方向から光を照射しつつ、粘着体を剥離する工程であってもよい。
【0187】
照射工程で照射する光の波長は、上記液晶性化合物が吸収可能な波長であればよい。照射光の波長は、例えば200~400nmであってよい。
【0188】
照射工程で照射する光の照射量は、接合面の上記液晶性化合物の含有量に応じて適宜変更してよい。例えば、光の照射量は、接合面に対して、1~300J/cmの積算光量となるように照射してよい。上記積算光量は、好ましくは3~200J/cm、より好ましくは3~150J/cmである。
【0189】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例
【0190】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0191】
(製造例1-1)
下記式で表される反応により、テトラブロモジベンゾシクロオクタテトラエンを製造した。
【化7】
【0192】
具体的には、ヨウ化ナトリウム(25.9g,173mmol)を、150℃で1時間真空乾燥させ、無水ジメチルホルムアミド(26mL)を加えて170℃に加熱した。強力スターラーで激しく170℃で加熱撹拌し、窒素を少し吹き出させながらフラスコの口を開け、α,α,α’,α’,4,5-ヘキサブロモ-オルト-キシレン(10g,17.3mmol)を加え、170℃で4時間加熱撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、沈殿を吸引ろ過により取り出し、水で洗浄した。残留物を塩化メチレンに溶解し、ヘキサンを溶離液として用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離精製した。得られた粗生成物を熱トルエンで再結晶することで、無色固体としてテトラブロモジベンゾシクロオクタテトラエン(2.55g,9.51mmol,収率57%)を得た。
なお、得られたテトラブロモジベンゾシクロオクタテトラエンのスペクトルデータは以下のとおりであった。
H NMR(600MHz,CDCl)δ 6.65(4H,COT),7.31(4H,Ar-H).
【0193】
(製造例1-2)
下記式で表される反応により、フェニルボロン酸ピナコールエステルのアルコキシ置換体を製造した。
【化8】
【0194】
具体的には、アルゴン雰囲気下のシュレンクチューブ中で4-ブロモカテコール(1.0g,5.3mmol)と炭酸カリウム(2.19g,15.8mmol)を無水ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解させた。反応溶液に1-ブロモ-3,7-ジメチルオクタン(2.65mL,12.6mmol)を0℃下でゆっくり滴下し、100℃で24時間撹拌した。反応溶液に水を加えて冷却し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物をヘキサン-塩化メチレン混合溶媒(混合比1:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、淡黄色液体として4-ブロモ-1,2-ビス-(3,7-ジメチル-オクチロキシ)-ベンゼン(2.35g,5.00mmol,収率94%)を得た。
なお、4-ブロモ-1,2-ビス-(3,7-ジメチル-オクチロキシ)-ベンゼンのスペクトルデータは以下のとおりであった。
H NMR(600MHz,CDCl):δ 6.99(d,J=7.8Hz,1H),6.97(s,1H),6.73(d,J=7.8Hz,1H),4.00-3.96(m,4H),1.88-1.50(m,8H),1.35-1.12(m,12H),0.94(d,J =6.4Hz,3H),0.93(d,J=6.4Hz,3H),0.87(d,J=6.4Hz,6H),0.86(d,J=6.4Hz,6H).
13C NMR(150MHz,CDCl):δ 150.3,148.7,123.7,117.1,115.3,113.1,68.2,68.0,39.5,37.6,36.5,36.4,30.2,28.3,25.0,23.0,22.9,20.0.
HR-APCI-TOF-MS(m/z):468.2587,calcd for C2645BrO=468.2597[M]
【0195】
次いで、シュレンクチューブ中で4-ブロモ-1,2-ビス-(3,7-ジメチル-オクチロキシ)-ベンゼン(2.5g,5.3mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(1.48mg,5.86mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(135mg,165μmol)、酢酸カリウム(1.56g,16.0mmol)の無水ジメチルスルホキシド溶液(23mL)を80℃で20時間撹拌させた。反応溶液に水を加えて冷却し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物をヘキサン-塩化メチレン混合溶媒(混合比1:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、無色液体として2-[3,4-ビス-(3,7-ジメチル-オクチロキシ-フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン(2.28g,4.41mmol,収率83%)を得た。
なお、2-[3,4-ビス-(3,7-ジメチル-オクチロキシ-フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロランのスペクトルデータは以下のとおりであった。
H NMR(600MHz,CDCl):δ 7.38(d,J=7.4Hz,1H),7.29(s,1H),6.87(d,J=7.4Hz,1H),4.06-4.03(m,4H),1.87-1.85(m,2H),1.73-1.50(m,6H),1.38-1.12(m,24H),0.94(d,J=6.6Hz,3H),0.93(d,J=7.2Hz,3H),0.91-0.85(m,12H).
13C NMR(150MHz,CDCl):δ 152.5(q),149.1(q),129.2(t),119.9(t),113.2(t),84.1(q),68.1(s),67.8(s),39.89(s),39.87(s),37.98(s),37.97(s),37.0(s),36.7(s),32.2(q),30.5(t),28.6(t),25.5(p),25.34(s),25.31(s),23.3(p),23.2(p),20.34(p),20.29(p).
HR-APCI-TOF-MS(m/z):515.4350,calcd for C3257BO=515.4381[M]
【0196】
(製造例1-3)
下記式で表される反応により、液晶性化合物の前駆体である、化合物(B1)を製造した。
【化9】
【0197】
具体的には、シュレンクチューブにテトラブロモジベンゾシクロオクタテトラエン(201mg,0.387mmol)、2-[3,4-ビス-(3,7-ジメチル-オクチロキシ-フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン(1.0g,1.9mmol)、SPhos-Pd-G2([2’-(アミノ-κN)[1,1-ビフェニル]-2-イル-κC]クロロ[ジシクロヘキシル(2’,6’-ジメトキシ[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン-κP]パラジウム)(56mg,77μmol)、炭酸セシウム(1.0g、3.1mmol)を入れ、アルゴン置換した。混合物にテトラヒドロフラン(8.5mL)と水(1mL)を加え、凍結脱気したのちに再度アルゴン置換した。混合物を65℃で16時間撹拌し、室温まで冷却した。反応混合物に飽和食塩水を加えて冷却し、ジクロロメタンで3回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物をヘキサン-塩化メチレン混合溶媒(混合比94:6)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、無色液体として、化合物(B1)(650mg,0.370mmol,収率96%)を得た。
【0198】
なお、化合物(B1)のスペクトルデータは以下のとおりであった。
H NMR(600MHz,CDCl):δ 7.14(s,4H),6.83(s,4H),6.73(d,J=8.3Hz,4H),6.69(dJ=8.3Hz,4H),6.56(s,4H),3.95(m,8H),3.69(m,8H).1.9-1.1(m,80H),0.93(d,J=6.4Hz,12H),0.89(d,J=6.4Hz,12H),0.87(d,J=6.8Hz,24H),0.85(d,J=6.8Hz,24H).
13C NMR(150Hz,CDCl)δ 148.7(q),148.1(q),139.3(q),136.2(q),134.0(q),133.5(q),131.7(t),122.0(t),115.8(t),113.3(t),67.8(s),67.6(s),39.6(s),37.7(s),36.6(s),36.4(s),30.3(t),30.2(t),28.3(s),25.0(s),23.0(p),22.9(p),20.0(p),19.8(p).
MALDI-TOF-MS(m/z):1757.40,calcd for C120188=1757.43[M]
【0199】
(実施例1-1)
下記式で表される反応により、液晶性化合物(A1)を得た。
【化10】
【0200】
具体的には、シュレンクチューブ中で、化合物(B1)(271mg,154μmol)と2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(73mg,0.32mmol)を無水ジクロロメタン(45mL)に溶解し、メタンスルホン酸(5mL)を加えた。混合溶液を0℃で10分撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて冷却し、ジクロロメタンで5回抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物をベンゼンに溶解し、ゆっくりメタノールを滴下して再結晶することで、無色固体として液晶性化合物(A1)(163mg,93μmol,収率60%)を得た。
【0201】
液晶性化合物(A1)は、後述する示査走査熱量(DSC)の結果、並びに、偏光顕微鏡観察及びX線回折測定の結果から、70~154℃において液晶性を示すことが確認された。また、液晶性化合物のスペクトルデータは以下に示すとおりであった。
H NMR(600Mhz,CDCl):δ 8.22(s,4H),7.91(s,4H),7.76(s,4H),7.20(s,4H),4.23(m,16H),2.02-1.90(m,8H),1.82-1.15(m,72H),1.02(d,J=6.4Hz,12H),1.00(d,J=6.4Hz,12H),0.89(d,J=6.4Hz,24H),0.86(d,J=6.9Hz,24H).
13C NMR(150Hz,CDCl)δ 149.8(q),149.3(q),134.9(q),134.0(t),128.3(q),124.5(q),124.0(q),123.4(q),107.1(t),68.2(s),67.9(s),39.59(s),39.55(s),37.8(s),36.7(s),36.6(s),30.3(t),28.31(t),28.28(t),25.09(s),25.06(s),23.04(p),22.99(p),22.94(p),22.89(p),20.11(p),20.07(p).
MALDI-TOF-MS(m/z):1753.45,calcd for C120184=1753.40[M]
【0202】
セイコーインスツル社製示査走査熱量計(型式:Exstar 6000 DSC 6200)にて、液晶性化合物(A1)を窒素雰囲気下、20℃/分の速度で液体状態を示す170℃まで加熱した。170℃で5分間保持した後、5℃/分の速度で冷却したところ、補外開始点153.8℃で、液体から液晶への相転移に伴う9.1kJ/molの発熱ピークが観察された。さらに補外開始点70.4℃で、液晶から結晶への相転移に伴う11.1kJ/molの発熱ピークが観察された。
【0203】
(製造例2-1)
下記式で表される反応により、フェニルボロン酸ピナコールエステルのアルコキシ置換体を製造した。
【化11】
【0204】
具体的には、アルゴン雰囲気下のシュレンクチューブ中で4-ブロモカテコール(500mg,2.64mmol)と炭酸カリウム(1.095g,7.923mmol)を無水ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解させた。反応溶液に1-ブロモヘキサデカン(1.94mL,6.35mmol)を0℃下でゆっくり滴下し、100℃で18時間撹拌した。反応溶液に飽和食塩水を加えて冷却し、ジクロロメタン3回抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物をヘキサン-酢酸エチル混合溶媒(混合比4:1)に溶解し、飽和食塩水で4回洗浄してジメチルホルムアミドを除いた。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去することで、無色固体として4-ブロモ-1,2-ビス-ヘキサデシロキシベンゼン(1.592g,2.50mmol,収率95%)を得た。
なお、4-ブロモ-1,2-ビス-ヘキサデシロキシベンゼンのスペクトルデータは以下のとおりであった。
H NMR(600MHz,CDCl):δ 6.98(dd,J=2.3,8.7Hz,1H),6.98(d,J=2.3Hz,1H),6.73(d,J=8.7Hz,1H),3.96-3.94(m,4H),1.80-1.77(m,4H),1.45-1.42(m,4H),1.40-1.20(m,48H),0.88(t,J=6.9Hz,6H).
【0205】
次に、シュレンクチューブ中で4-ブロモ-1,2-ビス-ヘキサデシロキシベンゼン(957mg,1.50mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(419mg,1.65mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(36.7mg,44.9μmol)及び酢酸カリウム(442mg,4.50mmol)の無水ジメチルスルホキシド溶液(10mL)を80℃で18時間撹拌させた。反応溶液に水を加えて冷却し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物をヘキサン-塩化メチレン混合溶媒(混合比4:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、無色固体として2-(3,4-ビス-ヘキサデシロキシ-フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン(975mg,1.42mmol,収率95%)を得た。
なお、2-(3,4-ビス-ヘキサデシロキシ-フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロランのスペクトルデータは以下のとおりであった。 H NMR(600MHz,CDCl): δ7.38(dd,J=1.4,7.8Hz,1H),7.29(d,J=1.4Hz,1H),6.86(d,J=7.8Hz,1H),4.03-4.00(m,4H),1.82-1.80(m,4H),1.50-1.40(m,4H),1.35-1.20(m,48H),0.88(t,J=6.9Hz,6H).
【0206】
(製造例2-2)
下記式で表される反応により、液晶性化合物の前駆体である、化合物(B2)を製造した。
【化12】
【0207】
具体的には、シュレンクチューブにテトラブロモジベンゾシクロオクタテトラエン(137mg,0.264mmol)、2-(3,4-ビス-ヘキサデシロキシ-フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン(900mg,1.31mmol)、SPhos-Pd-G2([2’-(アミノ-κN)[1,1-ビフェニル]-2-イル-κC]クロロ[ジシクロヘキシル(2’,6’-ジメトキシ[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン-κP]パラジウム)(37mg,52μmol)、炭酸セシウム(678mg、2.08mmol)を入れ、アルゴン置換した。混合物にテトラヒドロフラン(8.5mL)と水(1mL)を加え、凍結脱気したのちに再度アルゴン置換した。混合物を65℃で22時間撹拌し、室温まで冷却した。反応混合物に飽和食塩水を加えて冷却し、ジクロロメタンで4回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物をヘキサン-塩化メチレン混合溶媒(混合比94:6)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、無色固体として化合物(B2)(526mg,0.216mmol,収率82%)を得た。
なお、化合物(B2)のスペクトルデータは以下のとおりであった。
H NMR(600MHz,CDCl):δ 7.13(s,4H),6.82(s,4H),6.72(d,J=8.3Hz,4H),6.68(ddJ=1.8,8.3Hz,4H),6.56(d,J=1.8Hz,4H),3.92(t,J=6.9Hz,8H),3.64(t,J=6.4Hz,8H).1.78-1.76(m,8H),1.63-1.61(m,8H),1.45-1.20(m,208H),0.88(t,J=6.8Hz,12H),0.87(t,J=7.4Hz,12H).
13C NMR(150Hz,CDCl):δ 148.3(q),147.9(q),139.0(q),135.9(q),133.7(q),133.1(q),131.4(t),121.8(t),115.8(t),113.3(t),69.3(s),69.1(s),31.9(s),29.7(s),29.6(s),29.5(s),29.4(s),29.3(s),29.1(s),26.1(s),26.0(s),22.7(s),14.1(p).
MALDI-TOF-MS(m/z):2431.26,calcd for C168285=2431.19[M+1]
【0208】
(実施例2-1)
下記式で表される反応により、液晶性化合物(A2)を製造した。
【化13】
【0209】
具体的には、シュレンクチューブ中で、化合物(B2)(238mg,98μmol)と2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(46mg,0.2mmol)を無水ジクロロメタン(36mL)に溶解し、メタンスルホン酸(4mL)を加えた。混合溶液を0℃で10分撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて冷却し、ジクロロメタンで5回抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を留去した。残留物を熱トルエンに溶解し、ゆっくりメタノールを滴下して再結晶することで、淡黄色固体として液晶性化合物(A2)(103mg,58.8μmol,収率60%)を得た。
【0210】
液晶性化合物(A2)は、後述する示査走査熱量(DSC)の結果、並びに、偏光顕微鏡観察及びX線回折測定の結果から、106~144℃において液晶性を示すことが確認された。また、液晶性化合物(A2)のスペクトルデータは以下に示すとおりであった。
H NMR(600MHz,CDCl):δ 8.20(s,4H),7.91(s,4H),7.75(s,4H),7.19(s,4H),4.20(t,J=6.9Hz,8H),4.18(t,J=6.9Hz,8H),1.91(m,8H),1.57-1.20(m,216H),0.88(m,24H).
MALDI-TOF-MS(m/z):2427.21,calcd for C168281=2427.16[M+1]
【0211】
[示査走査熱量計による測定]
セイコーインスツル社製示査走査熱量計(型式:Exstar 6000 DSC 6200)にて、液晶性化合物(A2)を窒素雰囲気下、20℃/分の速度で液体状態を示す180℃まで加熱した。180℃で5分間保持した後、5℃/分の速度で冷却したところ、補外開始点143.8℃で、液体から液晶への相転移に伴う5.7kJ/molの発熱ピークが観察された。さらに補外開始点106.1℃で、液晶から結晶への相転移に伴う43.7kJ/molの発熱ピークが観察された。
【0212】
(実施例3-1:液晶性化合物(A1)を用いた接着剤の使用態様1)
ガラス板に液晶性化合物(A1)の粉末を2.2mg乗せた。当該ガラス板をホットプレート上に載せ、170℃で加熱し、液晶性化合物(A1)を液化させた。その後、156℃まで冷却させてから、液化した液晶性化合物(A1)に重なるようにガラス板を載せ、500gの分銅を載せて荷重をかけた。再度170℃まで加熱し、10分放置してから25℃まで冷却することでガラス積層体を作製した(接着剤厚み:52μm,接着面積:55mm)。作製したガラス積層体の片側をクランプで固定し、別のガラス側の穴にデジタルフォースゲージ(アイコーエンジニアリング株式会社、RZ-10)の先端を引っかけた。デジタルフォースゲージにてガラス積層体が剥離するまでの引張せん断接着強さを測定した結果、1.70MPaであった。
【0213】
(実施例3-2:液晶性化合物(A1)を用いた接着剤の使用態様2)
ガラス板に液晶性化合物(A1)の粉末を1.9mg乗せた。当該ガラス板をホットプレート上に載せ、170℃で加熱し、液晶性化合物(A1)を液化させた。その後、156℃まで冷却させてから、液化した液晶性化合物(A1)に重なるようにガラス板を載せ、500gの分銅を載せて荷重をかけた。再度170℃まで加熱し、10分放置してから25℃まで冷却することでガラス積層体を作製した(接着剤厚み:74μm,接着面積:28mm)。作製したガラス積層体の片側をクランプで固定し、接着部が85℃になるまでホットプレートで加熱した。接着部を85℃に保持した状態で、実施例3-1と同様にデジタルフォースゲージを用いて引張せん断接着強さを測定した。その結果、引張せん断接着強さは0.17MPaであった。
【0214】
(実施例3-3:液晶性化合物(A1)を用いた接着剤の使用態様3)
ガラス板に液晶性化合物(A1)の粉末を1.2mg乗せた。当該ガラス板をホットプレート上に載せ、170℃で加熱し、液晶性化合物(A1)を液化させた。その後、156℃まで冷却させてから、液化した液晶性化合物(A1)に重なるようにガラス板を載せ、500gの分銅を載せて荷重をかけた。再度170℃まで加熱し、10分放置してから25℃まで冷却することでガラス積層体を作製した(接着剤厚み:32μm,接着面積:32mm)。作製したガラス積層体の片側をクランプで固定し、365nmの波長の紫外線(照度1080mW/cm)を120秒間、接着部に照射し、実施例3-1と同様にデジタルフォースゲージを用いて引張せん断接着強さを測定した。その結果、引張せん断接着強さは0.37MPaであった。
【0215】
(実施例4-1:液晶性化合物(A2)を用いた接着剤の使用態様1)
ガラス板に液晶性化合物(A2)の粉末を2.0mg乗せた。当該ガラス板をホットプレート上に載せ、170℃で加熱し、液晶性化合物(A2)を液化させた。その後、液化した液晶性化合物(A2)に重なるようにガラス板を載せ、500gの分銅を載せて荷重をかけたのちに25℃まで冷却することでガラス積層体を作製した(接着剤厚み:18μm,接着面積:66mm)。作製したガラス積層体の片側をクランプで固定し、実施例3-1と同様にデジタルフォースゲージを用いて引張せん断接着強さを測定した。その結果、引張せん断接着強さは0.83MPaであった。
【0216】
(実施例4-2:液晶性化合物(A2)を用いた接着剤の使用態様2)
ガラス板に液晶性化合物(A2)の粉末を1.5mg乗せた。当該ガラス板をホットプレート上に載せ、170℃で加熱し、液晶性化合物(A2)を液化させた。その後、液化した液晶性化合物(A2)に重なるようにガラス板を載せ、500gの分銅を載せて荷重をかけたのちに25℃まで冷却することでガラス積層体を作製した(接着剤厚み:13μm,接着面積:95mm)。作製したガラス積層体の片側をクランプで固定し、接着部が110℃になるまでホットプレートで加熱した。接着部を110℃に保持した状態で、実施例3-1と同様にデジタルフォースゲージを用いて引張せん断接着強さを測定した。その結果、引張せん断接着強さは0.09MPaであった。
【0217】
(実施例4-3:液晶性化合物(A2)を用いた接着剤の使用態様3)
ガラス板に液晶性化合物(A2)の粉末を1.5mg乗せた。当該ガラス板をホットプレート上に載せ、170℃で加熱し、液晶性化合物(A2)を液化させた。その後、液化した液晶性化合物(A2)に重なるようにガラス板を載せ、500gの分銅を載せて荷重をかけたのちに25℃まで冷却することでガラス積層体を作製した(接着剤厚み:25μm,接着面積:105mm)。作製したガラス積層体の片側をクランプで固定し、365nmの波長の紫外線(照度1080mW/cm)を120秒間、接着部に照射し、実施例3-1と同様にデジタルフォースゲージを用いて引張せん断接着強さを測定した。その結果、引張せん断接着強さは0.45MPaであった。
【0218】
(実施例5-1:液晶性化合物(A1)を用いた粘着体の製造)
粘着成分を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μm)上にコーターを使用して温度180℃で塗工した後、冷却して、粘着剤層を有する粘着テープT1を得た。粘着剤層の厚さは20μmとした。なお、粘着成分としては、セプトン2004(100g、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、クラレ社製)及びクリアロンP-105(100g、粘着付与剤、ヤスハラケミカル社製)の混練品を用いた。
次いで、離型処理フィルム(東レ社製、セラピールMFA、厚み38μm)に170℃で溶融した液晶性化合物(A1)を塗工し、冷却して、解体性接着剤層を形成した。得られた解体性接着剤層を、粘着テープT1の粘着剤層上にラミネートして、実施例5-1の粘着体を得た。解体性接着剤層の厚さは3μmとした。
【0219】
(実施例5-2:液晶性化合物(A1)を用いた粘着体の使用態様1)
実施例5-1の粘着体をガラス板に押し付けて仮接着し、85℃に加熱して、ガラス板と粘着体との接合体を得た(接着面積1.2cm×1.2cm)。得られた接合体の片側をクランプで固定し、粘着テープT1の端部に空けた穴にプッシュプルゲージ(株式会社シロ産業、WPARX-10)の先端を引っかけた。プッシュプルゲージを引張り、180°ピール強度を測定した。この測定を5回繰り返し、各回で測定されたピール強度を算術平均した。その結果、ピール強度の平均は4.3N/1.2cmであった。
【0220】
(実施例5-3:液晶性化合物(A1)を用いた粘着体の使用態様2)
実施例5-2と同様の方法で接合体を形成し、当該接合体に365nmの波長の紫外線(照度1050mW/cm)を120秒間、ガラス側より接合面に照射した。その後、実施例5-2と同様にピール強度を測定した結果、ピール強度の平均は、1.9N/1.2cmであった。この結果から、実施例5-1の粘着体は、光照射により、接合面の接着力を低減させて剥離性を向上させることができることが確認された。
【0221】
(比較例1-1:液晶性化合物を用いない粘着体)
解体性接着剤を使用しなかった。具体的には、粘着成分を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μm)上にコーターを使用して温度180℃で塗工した後、冷却して、粘着剤層を有する粘着テープT1を得た。粘着剤層の厚さは20μmとした。この粘着テープT1を、比較例1の粘着体として用いた。
次いで、粘着体をガラス板に貼付し、ガラス板と粘着体との接合体を得た(接着面積1.2cm×1.2cm)。得られた接合体について、実施例5-2と同様にピール強度を測定した結果、ピール強度の平均は、4.3N/1.2cmであった。
次いで、上記と同様の方法で接合体を形成し、365nmの波長の紫外線(照度1050mW/cm)を120秒間、ガラス側より接合面に照射した。その後、上記と同様にピール強度を測定した結果、ピール強度の平均は、4.3N/1.2cmであった。この結果から、比較例1-1の粘着体は、光照射を行っても剥離性が向上しないことが確認された。
【符号の説明】
【0222】
10,20,30,40,50,60,70…粘着体、11,21,31,41…解体性接着剤層、51…解体性接着部、61a…第一の解体性接着剤層、61b…第二の解体性接着剤層、12,22,32,42,62,72…粘着剤層、52…粘着部、13,23,33,43,53,73…基材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7