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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】架台及びそれを用いた施工方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0047 20190101AFI20230309BHJP
   F24F 1/0018 20190101ALI20230309BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20230309BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
F24F1/0047
F24F1/0018
F24F13/20
F24F13/32
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018176689
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2019207092
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2018100240
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-093043(JP,U)
【文献】特開2005-282957(JP,A)
【文献】実開昭55-046118(JP,U)
【文献】特開平05-203215(JP,A)
【文献】特開平10-103749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/32
F24F 1/0018
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出した開口枠として形成される吹出部を有する空気調和機本体と、前記吹出部に装着可能な突出した開口枠として形成される接続部を有する吹出ユニットとを備え、前記吹出部及び前記接続部のうちの一方を他方に差し込むことによって前記吹出部と前記接続部とを相互に重ね合わせた状態で前記空気調和機本体と前記吹出ユニットとが一体的に組み付けられる隠蔽式の空気調和機を支持する架台であって、
複数のフレーム材を矩形状に配置して構成される枠体と、
前記枠体に取り付けられ、前記空気調和機本体の側面を支持する支持材と、
前記枠体に取り付けられ、前記吹出部及び前記接続部のうちの一方が他方に差し込まれている状態で前記吹出ユニットを前記空気調和機本体に押し付けて前記枠体に固定する固定部材と、
を備え
前記吹出ユニットを前記空気調和機本体に押し付けた状態で保持し、前記空気調和機本体と前記吹出ユニットとを一体的に所定高さ位置まで持ち上げ可能であることを特徴とする架台。
【請求項2】
前記支持材は、前記枠体の上面側において前記空気調和機本体を支持することを特徴とする請求項1に記載の架台。
【請求項3】
前記支持材は、前記枠体の下側において前記空気調和機本体を吊り下げた状態に支持することを特徴とする請求項1に記載の架台。
【請求項4】
前記複数のフレーム材は長手方向に沿って延びるスリットを有し、
前記支持材は、前記スリットの任意の位置に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の架台。
【請求項5】
外部電源に対して電気的に接続される電源ボックスを更に備え、
前記電源ボックスには、前記空気調和機本体に接続される電源ケーブルの先端に取り付けられる電源プラグを着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の架台。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の架台を用いた、空気調和機の施工方法であって、
前記空気調和機本体の側面を前記支持材に固定する工程と、
前記空気調和機本体の前記吹出部と前記吹出ユニットの前記接続部とを相互に差し込んだ状態に装着する工程と、
前記吹出ユニットを前記空気調和機本体に押し付けた状態で前記固定部材を前記吹出ユニットと前記枠体に固定する工程と、
前記空気調和機本体と前記吹出ユニットとを前記架台に設置した状態で前記架台を持ち上げて所定の高さ位置に取り付ける工程と、
を有することを特徴とする施工方法。
【請求項7】
前記空気調和機の前記吹出部又は前記吹出ユニットの前記接続部の内側に断熱材を予め取り付ける工程、
を更に有することを特徴とする請求項6に記載の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隠蔽式の空気調和機を支持する架台及びそれを用いた施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井空間に隠蔽される空気調和機が知られている(例えば、特許文献1,2)。この種の空気調和機には、天井スラブから垂下する吊りボルトなどに支持される空気調和機本体と、空気調和機本体の吹出部に装着される吹出ユニットとを備えるものが存在する。例えば、空気調和機本体には、熱交換器やファンなどが搭載されており、吹出部から空気を吹き出す。吹出ユニットは、空気調和機本体から吹き出される空気をダクト内に導き、室内へと供給するためのユニットである。このような吹出ユニットは、通常、施工現場において空気調和機本体に装着される。
【0003】
図13は、従来の隠蔽式空気調和機の施工方法を示す図である。まず図13(a)に示すように、作業者は、天井スラブから垂下する吊りボルト9に対して空気調和機本体210を取り付ける。その後、作業者は、吊りボルト9によって吊り下げられた状態の空気調和機本体210の吹出部211に対し、吹出ユニット220の装着部221を装着する。例えば、吹出ユニット220の装着部221は、空気調和機本体210の吹出部211の内側に挿入して装着される。吹出ユニット220の装着部221を空気調和機本体210の吹出部211の内側に挿入するだけでは、空気調和機本体210が作動した場合に風圧によって吹出ユニット220が空気調和機本体210から離脱してしまう可能性がある。これを防止するため、従来は、吹出ユニット220の装着部221を空気調和機本体210の吹出部211の内側に挿入した後、図13(b)に示すように吹出部211の外周面に対してビス230を打ち込む作業が行われる。このビス230は、吹出部211と装着部221とを一体化して吹出ユニット220が空気調和機本体210から離脱することを防止するためのものである。ところが、数個程度のビス230では吹出ユニット220の離脱を防止することができない。そのため、ビス230によって吹出ユニット220の離脱を防止するためには、吹出部211の周囲に沿って数十個のビス230を打ち込む必要がある。このようにして数十個のビス230が打ち込まれると、図13(c)に示す状態となる。
【0004】
次に作業者は、図13(d)に示すように、ビス230を打ち込んだ吹出部211の周囲に対し、結露を防止するための断熱材240を巻き込む作業を行う。吹出部211の周囲に断熱材240が巻かれると、図13(e)に示す状態となる。その後、作業者は、図13(f)に示すように吹出ユニット220に対して吊りボルト9を取り付けることにより、空気調和機の設置が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-71789号公報
【文献】特開2001-330272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の施工方法では、吹出ユニット220の装着部221を空気調和機本体210の吹出部211の内側に挿入した後、吹出部211の外周面に対して数十個のビス230を打ち込む作業を、高所作業として行う必要がある。このとき、作業者は、吹出部211の外周面に沿ってほぼ等間隔でビス230を打ち込んでいく必要があり、ビス230の打ち込み作業に時間がかかる。特に高所作業の場合は、作業空間が狭く、作業者が行うことができる動作に制約があるため、作業効率が非常に悪いという問題がある。
【0007】
また従来の施工方法は、ビス230を打ち込んだ後、吹出部211の周囲に対して断熱材240を巻き込む作業も高所作業として行う必要がある。このときも、作業者は、吹出部211の外周面に対して接触するように断熱材240を巻き込んでいく必要があり、断熱材240の巻き込み作業にも時間がかかる。特に高所作業の場合は、上述のように作業空間が狭いため、作業効率が著しく低下する。
【0008】
このように従来の施工方法は、空気調和機本体210と吹出ユニット220とを一体化するのに時間を要し、効率的な施工を行うことができないという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、隠蔽式の空気調和機を施工する際の作業効率を著しく向上させることができる架台及びそれを用いた施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、突出した開口枠として形成される吹出部を有する空気調和機本体と、前記吹出部に装着可能な突出した開口枠として形成される接続部を有する吹出ユニットとを備え、前記吹出部及び前記接続部のうちの一方を他方に差し込むことによって前記吹出部と前記接続部とを相互に重ね合わせた状態で前記空気調和機本体と前記吹出ユニットとが一体的に組み付けられる隠蔽式の空気調和機を支持する架台であって、複数のフレーム材を矩形状に配置して構成される枠体と、前記枠体に取り付けられ、前記空気調和機本体の側面を支持する支持材と、前記枠体に取り付けられ、前記吹出部及び前記接続部のうちの一方が他方に差し込まれている状態で前記吹出ユニットを前記空気調和機本体に押し付けて前記枠体に固定する固定部材と、を備え、前記吹出ユニットを前記空気調和機本体に押し付けた状態を保持し、前記空気調和機本体と前記吹出ユニットとを一体的に所定高さ位置まで持ち上げ可能であることを特徴とする構成である。
【0011】
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する架台において、前記支持材は、前記枠体の上面側において前記空気調和機本体を支持することを特徴とする構成である。
【0012】
第3に、本発明は、上記第1の構成を有する架台において、前記支持材は、前記枠体の下側において前記空気調和機本体を吊り下げた状態に支持することを特徴とする構成である。
【0013】
第4に、本発明は、上記第1乃至第3のいずれかの構成を有する架台において、前記複数のフレーム材は長手方向に沿って延びるスリットを有し、前記支持材は、前記スリットの任意の位置に取り付けられることを特徴とする構成である。
【0014】
第5に、本発明は、上記第1乃至第4のいずれかの構成を有する架台において、外部電源に対して電気的に接続される電源ボックスを更に備え、前記電源ボックスには、前記空気調和機本体に接続される電源ケーブルの先端に取り付けられる電源プラグを着脱可能であることを特徴とする構成である。
【0015】
第6に、本発明は、上記第1乃至第5のいずれかの構成を有する架台を用いた、空気調和機の施工方法であって、前記空気調和機本体の側面を前記支持材に固定する工程と、前記空気調和機本体の前記吹出部前記吹出ユニットの前記接続部とを相互に差し込んだ状態に装着する工程と、前記吹出ユニットを前記空気調和機本体に押し付けた状態で前記固定部材を前記吹出ユニットと前記枠体に固定する工程と、前記空気調和機本体と前記吹出ユニットとを前記架台に設置した状態で前記架台を持ち上げて所定の高さ位置に取り付ける工程と、を有することを特徴とする構成である。
【0016】
第7に、本発明は、上記第6の構成を有する施工方法において、前記空気調和機の前記吹出部又は前記吹出ユニットの前記接続部の内側に断熱材を予め取り付ける工程、を更に有することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、隠蔽式の空気調和機を施工する際の作業効率を著しく向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】隠蔽式の空気調和機を支持する架台の基本構造を示す図である。
図2】架台に空気調和機が設置された状態を示す図である。
図3】フレーム材の構成例を示す図である。
図4】枠体の外枠を構成する4本のフレーム材の連結例を示す図である。
図5】2つのフレーム材を直交させた状態に連結する直交連結金具の構成例を示す図である。
図6】架台を用いた空気調和機の施工手順を示す図である。
図7】吹出ユニットに予め配置される断熱材を例示する図である。
図8】電源ボックスを備える架台の一構成例を示す図である。
図9】空気調和機の更新時の作業効率を向上できるようにした架台を示す図である。
図10】架台が空気調和機を支持する別の形態を示す図である。
図11】架台を用いた空気調和機の施工手順を示す図である。
図12】架台が空気調和機を吊り下げた状態に支持する状態を示す図である。
図13】従来の空気調和機の施工方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である架台1の基本構造を示す図である。この架台1は、隠蔽式の空気調和機100を支持するためのものであり、空気調和機100を支持した状態のまま、空気調和機100と共に天井空間に設置される架台である。
【0021】
空気調和機100は、空気調和機本体110と、吹出ユニット120と、吸気ユニット130とを備えて構成され、例えば空気調和機本体110を中央に挟んで吹出ユニット120と吸気ユニット130とが空気調和機本体110の正面側と背面側に配置される。空気調和機本体110、吹出ユニット120及び吸気ユニット130は、それぞれ分離された状態で施工現場へ搬入される。そのため、作業者は、空気調和機本体110、吹出ユニット120及び吸気ユニット130を施工現場で一体的に組み付けて空気調和機100を作成し、その空気調和機100を天井空間に設置する作業を行う。このとき、図1に示す架台1が用いられる。すなわち、架台1は、作業者による、空気調和機本体110、吹出ユニット120及び吸気ユニット130を一体的に組み付ける作業と、空気調和機100を天井空間に設置する作業とを効率的に行えるようにするものである。
【0022】
空気調和機本体110は、例えば背面側に吸気ユニット130が装着され、正面側に吹出ユニット120が装着される。また空気調和機本体110は、左右2つの側面の複数箇所にボルトなどを連結するための連結部113が設けられる。また空気調和機本体110の内部には、熱交換器やファンなどが設けられる。そのため、空気調和機本体110の一方の側面には、冷媒配管を接続するための冷媒管接続部114と、ドレン配管を接続するためのドレン管接続部115と、外部電源に接続される電源ケーブル116とが接続される。
【0023】
空気調和機本体110は、吹出ユニット120を装着する正面側に吹出部111を有している。吹出部111は、例えば長方形状の吹出口の縁部を正面側に向かって所定長さ突出させた角筒状の開口枠として形成される。この吹出部111に対して吹出ユニット120が装着される。また、空気調和機本体110は、吸気ユニット130を装着する背面側に吸気部112を有している。吸気部112も、吹出部111と同様に、例えば長方形状の吸気口の縁部を背面側に向かって所定長さ突出させた角筒状の開口枠として形成される。この吸気部112に対して吸気ユニット130が装着される。そして空気調和機本体110は、矢印F1で示すように吸気部112から空気を吸い込み、矢印F2で示すように吹出部111から空気を吹き出す。
【0024】
吹出ユニット120は、吹出部111に対して装着される。吹出ユニット120は、吹出部111の内側に挿入可能な接続部121を有している。この接続部121は、例えば長方形状の開口の縁部を背面側に向かって所定長さ突出させた角筒状の開口枠として形成され、吹出部111よりも外形サイズが若干小さくなっている。そのため、吹出ユニット120は、接続部121が吹出部111の内側に差し込まれることによって空気調和機本体110に装着される。
【0025】
また吹出ユニット120は、その外周面に様々なタイプのダクトを接続するための接続部122を有している。接続部122は少なくとも1つ設けられていれば良く、複数の接続部122が設けられていても良い。また接続部122に接続されるダクトは、フレキシブルなものであっても良いし、鋼板製のものであっても良い。このような接続部122に室内空間へと繋がるダクトが接続されることにより、吹出ユニット120は、空気調和機本体110から吹き出される空気をダクト内に導き、室内空間へ供給することができるようになる。尚、接続部122に接続されるダクトは、途中で複数に分岐しているものであっても構わない。
【0026】
吸気ユニット130は、吸気部112に対して装着される。吸気ユニット130は、吸気部112の内側に挿入可能な接続部131を有している。この接続部131は、例えば長方形状の開口の縁部を正面側に向かって所定長さ突出させた角筒状の開口枠として形成され、吸気部112よりも外形サイズが若干小さくなっている。そのため、吸気ユニット130は、接続部131が吸気部112の内側に差し込まれることによって空気調和機本体110に装着される。
【0027】
また吸気ユニット130は、その側面に接続部132を有している。この接続部132には、例えば室外又は室内へと繋がるダクトを接続することができる。この場合、吸気ユニット130は、ダクトを介して室外又は室内の空気を空気調和機本体110へ導くことができる。ただし、接続部132には何も接続されなくても良い。この場合、吸気ユニット130は、接続部132の開口から天井空間内の空気を取り込み、その空気を空気調和機本体110へ導くことができる。
【0028】
図2は、架台1に対して空気調和機100が設置された状態を示す図である。架台1は、複数のフレーム材10を矩形状に配置して構成される枠体2と、その枠体2を構成するフレーム材10に取り付けられ、空気調和機本体110の側面を支持する支持材14と、枠体2を構成するフレーム材10に取り付けられ、吹出ユニット120及び吸気ユニット130のそれぞれを空気調和機本体110に対して押し付けた状態で固定する固定部材4とを備えて構成される。本実施形態では、支持材14の一例として、雄螺子が形成された支持ボルトを用いる場合を例示する。
【0029】
まず枠体2について説明する。図1の例では、枠体2は、6本のフレーム材10a~10fによって構成される場合を示している。ただし、フレーム材10の本数は、6本に限られるものではなく、4本以上であれば良い。すなわち、少なくとも4本のフレーム材10があれば、矩形状の枠体2を構成することができる。図1の例では、4本のフレーム材10a,10b,10c,10dによって外枠が構成され、2本のフレーム材10e,10fを外枠の内側に配置した構成となっている。
【0030】
図1に示すように外枠を構成する4本のフレーム材10a,10b,10c,10dの両端部にはL型金具11が配置される。L型金具11は、隣接する2本のフレーム材の端部どうしを直角に連結するための金具である。そのため、外枠は、4本のフレーム材10a,10b,10c,10dによって正方形又は長方形となる。尚、4本のフレーム材10a,10b,10c,10dを連結する金具は、必ずしもL型金具11に限られず、後述する直交連結金具であっても構わない。ただし、L型金具11を用いれば、外枠を構成する4本のフレーム材10a,10b,10c,10dをほぼ同一平面内に配置することができる。
【0031】
外枠の内側に配置される2本のフレーム材10e,10fは、外枠を構成する2本のフレーム材10a,10cと平行に配置され、それぞれ両端部がフレーム材10b,10dに連結される。このとき、2本のフレーム材10e,10fの両端部は、直交連結金具12を介してフレーム材10b,10dの下面側に連結される。ただし、2本のフレーム材10e,10fは、必ずしもフレーム材10b,10dの下面側に連結されるものに限られず、上面側に連結されるものであっても構わない。
【0032】
このように枠体2は、4本のフレーム材10a,10b,10c,10dによって構成される外枠の内側に2本のフレーム材10e,10fが配置されることにより、複数の矩形要素を備えた枠体となる。
【0033】
図3は、フレーム材10の構成例を示す図である。図3(a)に示すようにフレーム材10は、リップ溝形鋼又は軽溝形鋼などの一対の形鋼21,22の平板部を所定間隔で互いに対向させた状態に連結させた構成である。例えば上述した2本のフレーム材10e,10fは、図2(b)に示すように連結される。すなわち、フレーム材10e,10fは、互いに同一長さを有する一対の形鋼21,22の両端部にボルト25を挿通する孔21a,21b,22a,22bを有しており、その孔21a,21b,22a,22bにボルト25が挿通され、ボルト25の先端にナット26が締着されることにより、一対の形鋼21,22が連結される。このとき、形鋼21,22の間においてボルト25の軸部に円筒状のスペーサ24を挿入することで、形鋼21,22の間に所定間隔のスリット23を形成する。スリット23の間隔は、支持材14などを挿通可能な間隔である。また各フレーム材10e,10fは、スリット23が上下方向を向く状態に組み付けられる。したがって、フレーム材10e,10fは、一端から他端まで延びるスリット23の任意の位置に、ボルトなどを挿入して取り付けることが可能である。
【0034】
これに対し、枠体2の外枠を構成する4本のフレーム材10a,10b,10c,10dは、図4に示すように連結される。図4は、枠体2の外枠を構成する4本のフレーム材10a,10b,10c,10dの連結例を示す図であり、一例としてフレーム材10aと10bとの連結例を示している。フレーム材10a,10bは、図4に示すように、互いに同一長さを有する一対の形鋼21,22の両端部にボルト25を挿通する孔21a,22aを有しており、その孔21a,22aにボルト25が挿通され、ボルト25の先端にナット26が締着されることにより、一対の形鋼21,22が連結される。このとき、フレーム材10aを構成する形鋼21,22の間にL型金具11の一端側が挿入され、さらにフレーム材10bを構成する形鋼21,22の間にL型金具11の他端側が挿入される。L型金具11は、互いに直角を成す2つの平板部にボルト25を挿通可能な孔11aが形成されており、その孔11aにボルト25が挿通されることにより、形鋼21,22の間に挟まれた状態に固定される。L型金具11の2つの平板部の厚みは、上述したスペーサ24の厚み寸法と同じである。そのため、フレーム材10a,10bは、形鋼21,22の間にL型金具11の平板部を挟み込むことにより、形鋼21,22の間に、支持材14などを挿通可能な所定間隔のスリット23を形成する。このようにフレーム材10a~10dは、形鋼21,22の間にL型金具11の平板部を挟み込んだ状態に固定されることにより、互いに同一平面内に固定される。また、L型金具11を用いて複数のフレーム材10a~10dを組み付けると、各フレーム材10a~10dのスリット23は、上下方向を向いた状態となる。したがって、各フレーム材10a~10dは、一端から他端まで延びるスリット23の任意の位置に、支持材14などを挿入して取り付けることが可能である。
【0035】
上記のように構成されるフレーム材10は、例えばアルミ製の形鋼21,22を用いて構成される。アルミ製のフレーム材10は軽量であるため、作業効率に優れている。
【0036】
図5は、2つのフレーム材10を直交させた状態に連結する直交連結金具12の構成例を示す図である。図5では、一例としてフレーム材10bと10fとの連結例を示している。直交連結金具12は、2つのフレーム材10b,10fを上下に重ね合わせた状態で、それら2つのフレーム材10b,10fの交叉部を直交させた状態に連結する金具である。この直交連結金具12は、2つのフレーム材10b,10fの間に配置される直交保持金具32と、一方のフレーム材10bの外周面において直交保持金具32の反対側に配置される第1金具31と、他方のフレーム材10fの外周面において直交保持金具32の反対側に配置される第2金具33とを備えている。
【0037】
直交保持金具32は、矩形状の平板部32aと、平板部32aから直角に折り曲げられた一対の第1係合部32b,32cと、平板部32aから第1係合部32b,32cとは異なる方向に向かって直角に折り曲げられた一対の第2係合部32d,32eとを有する。平板部32aは、2つのフレーム材10b,10fの間に配置される。また平板部32aの中央には、ボルト34を挿通可能な孔32hが設けられる。
【0038】
第1係合部32b,32cは、平板部32aの互いに対向する一対の辺からフレーム材10bの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら第1係合部32b,32cは、フレーム材10bの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部32aから立設している。そのため、図5に示すように、平板部32aの上面側にフレーム材10bの下面が接触するように配置されると、第1係合部32b、32cは、フレーム材10bの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
【0039】
また第2係合部32d,32eは、第1係合部32b,32cが設けられた辺とは異なる一対の辺からフレーム材10fの側面に沿うように、第1係合部32b,32cとは反対側に立設した状態に設けられる。これら第2係合部32d,32eは、フレーム材10fの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部32aから立設している。そのため、図5に示すように、平板部32aの下面側にフレーム材10fの上面が接触するように配置されると、第2係合部32d、32eは、フレーム材10fの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。尚、本実施形態では、フレーム材10b,10fの幅寸法が互いに等しいため、平板部32aが正方形となり、第1係合部32b,32cの間隔と、第2係合部32d,32eの間隔は互いに等しい。
【0040】
第1金具31は、矩形状の平板部31aと、平板部31aから直角に折り曲げられた一対の係合部31b,31cとを有する。平板部31aは、略正方形であり、一方のフレーム材10bの外周面において直交保持金具32が設けられる面とは反対側の面に接触する状態に配置される。また平板部31aの中央には、ボルト34を挿通可能な孔31hが設けられる。
【0041】
係合部31b,31cは、平板部31aの互いに対向する一対の辺からフレーム材10bの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら係合部31b,31cは、フレーム材10bの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部31aから下方に向かって立設している。そのため、図5に示すように、平板部31aの下面側にフレーム材10bの上面が接触するように配置されると、係合部31b、31cは、フレーム材10bの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
【0042】
第2金具33も、第1金具31と同様の構成である。具体的に説明すると、第2金具33は、矩形状の平板部33aと、平板部33aから直角に折り曲げられた一対の係合部33b,33cとを有する。平板部33aは、略正方形であり、他方のフレーム材10fの外周面において直交保持金具32が設けられる面とは反対側の面に接触する状態に配置される。また平板部33aの中央には、ボルト34を挿通可能な孔33hが設けられる。
【0043】
係合部33b,33cは、平板部33aの互いに対向する一対の辺からフレーム材10fの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら係合部31b,31cは、フレーム材10fの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部33aから上方に向かって立設している。そのため、図5に示すように、平板部33aの上面側にフレーム材10fの下面が接触するように配置されると、係合部33b、33cは、フレーム材10fの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
【0044】
2つのフレーム材10b,10fに対し、上記のように、第1金具31、直交保持金具32及び第2金具33が配置されると、3つの孔31h,32h,33hは同軸上に位置し、しかも各フレーム材10b,10fに設けられたスリット23の位置に合致する。その状態で、ボルト34を、例えば第1金具31に設けられた孔31aから挿入すると、ボルト34の先端が第2金具33に設けられた孔33hから突出した状態となる。その突出したボルト34の先端部分にナット35を取り付けて締着することにより、直交連結金具12は、2本のフレーム材10b,10fを互いに直交させた状態に連結固定する。特にボルト34とナット35とが締着されると、直交保持金具32の第1係合部32b,32cがフレーム材10bの側面と接合し、且つ、第2係合部32d,32eがフレーム材10fの側面と接合した状態に固定されるので、2本のフレーム材10b,10fは、ボルト34を中心に回動しない状態となり、直交状態が良好に維持される。
【0045】
上記のようにして枠体2が構成される。枠体2の外形サイズは、空気調和機本体110に対して吹出ユニット120と吸気ユニット130とが組み付けられる空気調和機100のサイズに応じて予め設計される。例えば、枠体2の幅寸法(X方向の寸法)は、空気調和機100の幅寸法とほぼ同じ寸法に設計される。具体的には、フレーム材10のスリット23に取り付けられる支持材14の位置が空気調和機本体110の側面に設けられる連結部113の位置に合致するように設計される。これに対し、枠体2の長さ方向の寸法(Y方向の寸法)は、適宜設計可能である。例えば、枠体2の長さ方向の寸法は、空気調和機本体110に対して吹出ユニット120と吸気ユニット130とを組み付けた状態の長さよりも長くなるように設計しても良いし、同程度に設計しても良い。さらには、枠体2の長さ方向の寸法を、空気調和機本体110に対して吹出ユニット120と吸気ユニット130とを組み付けた状態の長さよりも短くなるように設計しても良い。尚、図2の例では、枠体2の長さ方向の寸法を、空気調和機本体110に対して吹出ユニット120と吸気ユニット130とを組み付けた状態の長さよりも若干長くした場合を例示している。
【0046】
上記のように構成される枠体2に対して支持材14が取り付けられる。支持材14は、例えば上述した第1金具31と第2金具33とをフレーム材10の上部及び下部に配置し、支持材14をフレーム材10のスリット23に挿通して2つのナットでフレーム材10を挟み込んだ状態に締着することにより、フレーム材10の任意の位置に取り付け可能である。図1の例では、フレーム材10b,10dの2箇所の位置に支持材14を取り付けている。フレーム材10bに取り付けられる2つの支持材14の間隔は、空気調和機本体110の側面に設けられる連結部113の間隔と等しくなる。同様に、フレーム材10dに取り付けられる2つの支持材14の間隔も、連結部113の間隔と等しくなる。
【0047】
本実施形態では、支持材14が枠体2の上面側に突出するように取り付けられ、空気調和機本体110が支持材14によって枠体2の上面側に持ち上げられた状態で支持される。そして図2に示すように、支持材14によって支持された空気調和機本体110に対して吹出ユニット120と吸気ユニット130とが装着される。そして図2に示すように固定部材4が取り付けられることにより、吹出ユニット120と吸気ユニット130とが空気調和機本体110に装着された状態で架台1に固定される。
【0048】
固定部材4は、空気調和機本体110の吹出部111に装着される吹出ユニット120を空気調和機本体110に押し付けた状態で固定するための部材である。固定部材4は、例えば固定金具60によって構成される。固定金具60は、例えばL型の金具によって構成され、平板部61と押圧板部62とを有している。押圧板部62は、吹出ユニット120の正面に対して押し当てられた状態でビス65などを用いて吹出ユニット120に固定される。一方、平板部61は、フレーム材10cのスリット23に対してボルト64などを用いて固定される。つまり、空気調和機本体110が作動すると、図1の矢印F2で示した方向に空気が吹き出されるため、吹出ユニット120は、空気調和機本体110から離脱する方向の力を受ける。固定金具60は、風圧によって吹出ユニット120が空気調和機本体110から離脱しないように吹出ユニット120を空気調和機本体110に押し付けた状態で保持するのである。吹出ユニット120に対して固定金具60が取り付けられると、吹出ユニット120は、空気調和機本体110からの風圧を受けたとしても空気調和機本体110に装着された状態を維持する。このような固定金具60の取り付け作業は、押圧板部62に対してビス65を打ち込む作業と、平板部61に対してボルト64を取り付ける作業とを行えば良い。そのため、従来のように、空気調和機本体110と吹出ユニット120との接合部である吹出部111に対して多数のビスを打ち込む作業を行う必要がなく、短時間で効率的に作業を行うことができるという利点がある。
【0049】
また、吸気ユニット130に対する固定金具60の取り付け作業も、吹出ユニット120に対する取り付け作業と同様である。したがって、架台1を用いて空気調和機本体110に吹出ユニット120と吸気ユニット130とを装着することで、空気調和機本体110、吹出ユニット120及び吸気ユニット130を施工現場で一体的に組み付けて空気調和機100を作成するために要する時間を従来よりも短くすることができる。
【0050】
また固定部材4は、図2に示す固定金具70によって構成されるものであっても良い。図2に示すように、吹出ユニット120と吸気ユニット130には、側面を固定するための固定金具70も取り付けられる。この固定金具70も、固定金具60と同様にL型の金具によって構成され、平板部と押圧板部とを有している。そして押圧板部は、吹出ユニット120や吸気ユニット130の側面に対して押し当てられた状態でビスなどを用いて固定される。また平板部は、フレーム材10のスリット23に対してボルトなどを用いて固定される。このように吹出ユニット120及び吸気ユニット130の側面に対して固定金具70が取り付けられることにより、吹出ユニット120及び吸気ユニット130の横ズレなどを防止することができるようになる。また固定金具70を取り付けるときに吹出ユニット120を空気調和機本体110に押し付けておくことにより、固定金具70は、吹出ユニット120を空気調和機本体110に押し付けた状態で固定することもできる。
【0051】
図6は、架台1を用いた空気調和機100の施工手順を示す図である。まず図6(a)に示すように、作業者は、架台1のフレーム材10から上方に突出するように設けられた支持材14に対して空気調和機本体110の連結部113に固定する。このとき、支持材14を連結部113に挿通し、連結部113を2つのナットで挟み込むように締着することで空気調和機本体110をフレーム材10から所定高さの位置に固定する。
【0052】
空気調和機本体110を架台1に取り付けると、次に図6(b)に示すように、吹出ユニット120及び吸気ユニット130を空気調和機本体110に対して装着する。すなわち、吹出ユニット120は、接続部121を空気調和機本体110の吹出部111に対向するように配置し、その後、矢印F3で示すように吹出ユニット120を空気調和機本体110に向けて押し込むことで接続部121を吹出部111の内側に差し込んで装着する。吸気ユニット130も同様に、接続部131を空気調和機本体110の吸気部112に対向するように配置し、その後、矢印F4で示すように吸気ユニット130を空気調和機本体110に向けて押し込むことで接続部131を吸気部112の内側に差し込んで装着する。その結果、空気調和機100は、図6(c)に示すような状態となる。ただし、図6(c)に示す状態では、吹出ユニット120及び吸気ユニット130は空気調和機本体110に固定されていない。
【0053】
次に作業者は、図6(d)に示すように、空気調和機本体110に装着された吹出ユニット120の外側の端面に対し、固定金具60,70を取り付ける。これにより、吹出ユニット120は、空気調和機本体110に装着された状態で架台1に固定される。また作業者は、空気調和機本体110に装着された吸気ユニット130の外側の端面に対し、固定金具60,70を取り付ける。これにより、吸気ユニット130は、空気調和機本体110に装着された状態で架台1に固定される。このように架台1を介して空気調和機本体110に吹出ユニット120と吸気ユニット130を組み付けることで、空気調和機本体110と吹出ユニット120との接合部である吹出部111の周囲に沿って多数のビスを打ち込む必要がなく、また空気調和機本体110と吸気ユニット130との接合部である吸気部112にも多数のビスを打ち込む必要がなくなるため、短時間で効率的に作業を行うことができるという利点がある。
【0054】
また、上記のように架台1を介して吹出ユニット120と吸気ユニット130とを空気調和機本体110に組み付けるようにすることで、予め吹出ユニット120の接続部121の内側に対して断熱材を配置しておくことができるようになる。図7は、吹出ユニット120に予め配置される断熱材140を示す図である。まず作業者は、図7(a)に示すように、吹出ユニット120を空気調和機本体110に装着する前に、吹出ユニット120の接続部121の内側に断熱材140を配置しておく。このとき、接続部121の内面側に結露が生じることを抑制するため、断熱材140を接続部121の内面に対して密着させた状態で配置することが好ましい。そして図7(b)に示すように、吹出ユニット120の接続部121を空気調和機本体110の吹出部111の内側に差し込んだ状態に配置すると、断熱材140は、空気調和機本体110と吹出ユニット120の接続部の内側に配置された状態となる。つまり、断熱材140を予め接続部121の内側に配置しておくことにより、吹出ユニット120を空気調和機本体110に装着した後に断熱材140を吹出部111の外側に巻き付ける作業を行う必要がなくなるのである。
【0055】
ところで、従来は、吹出ユニット120を空気調和機本体110に装着した後、吹出部111の周囲に沿って多数のビスを打ち込んでいた。そのため、上記のように吹出ユニット120の接続部121の内側に予め断熱材140を配置しておくと、ビスが打ち込まれることによって断熱材140が接続部121の内面から浮いた状態となってしまい、断熱材140と接続部121の内面との間に隙間が生じる。このような隙間が生じると、空気調和機100の運転中に結露が発生する。それ故、従来は、吹出ユニット120の接続部121の内側に予め断熱材140を配置しておくことができず、多数のビスを打ち込んだ後に、吹出部111の外周面に沿って断熱材140を巻き付けることが必要となるのである。
【0056】
これに対し、本実施形態では、吹出ユニット120と空気調和機本体110との接合部にビスを打ち込む必要がないため、予め接続部121の内側に断熱材140を配置しておくことができるのである。そのため、施工現場において架台1の準備作業を行っているときに、その準備作業と並行して吹出ユニット120の内側に断熱材140を配置する作業を行うことができるようになり、作業効率をより一層向上させることができる。尚、吸気ユニット130と空気調和機本体110との接合部に断熱材140を配置する場合も同様である。
【0057】
上記のようにして架台1に空気調和機100が設置されると、作業者は、リフト装置などを用いて空気調和機100を支持した状態の架台1を天井スラブ近傍位置まで持ち上げる。そして架台1のフレーム材10を天井スラブから垂下する吊りボルト9に固定する。これにより、空気調和機100を支持した状態の架台1を天井空間の所定高さ位置に設置することができ、空気調和機100の施工が完了する。
【0058】
また架台1に予め吊りボルト9を取り付けておき、架台1を天井スラブ近傍位置まで持ち上げた状態で吊りボルト9の上端部を天井スラブなどに固定するようにしても構わない。
【0059】
図8は、天井空間に設置される架台1の一態様を示す図である。この架台1は、フレーム材10に防振ハンガー80が取り付けられ、その防振ハンガー80に吊りボルト9が取り付けられる。防振ハンガー80及び吊りボルト9は予め架台1に取り付けられていても構わない。防振ハンガー80は、空気調和機100の運転中に発生する振動を吊りボルト9に伝達しないようにしてフレーム材10と吊りボルト9とを連結する金具であり、箱形枠体の下端がフレーム材10に固定されており、箱形枠体の内部に設けられたスプリングバネなどの弾性部材81に対して吊りボルト9の下端に接続される。したがって、弾性部材81が振動を吸収することで、空気調和機100の振動が吊りボルト9に伝達しないようになっている。尚、防振ハンガー80は、地震発生時には逆に吊りボルト9の振動を架台1に伝達しないように作用するため、空気調和機100の振動を抑制することができる。
【0060】
このように天井空間に設置される架台1は、フレーム材10に取り付けられる防振ハンガー80と、防振ハンガー80に接続される吊りボルト9とを備えている。さらに架台1は、図8に示すように、外部電源に対して電気的に接続される電源ボックス90を備えている。図8に示す電源ボックス90は、吊りボルト9に設けられる場合を例示している。しかし、これに限られるものではない。例えば電源ボックス90は、フレーム材10に設けられるものであっても構わない。電源ボックス90には、建築物の電源装置(外部電源)に繋がるケーブルであって、天井空間を配線される電源ケーブル91が接続される。尚、電源ボックス90には、プラグを差し込むためのプラグ差込部が設けられる。
【0061】
一方、空気調和機本体110に繋がる電源ケーブル116の先端には、予め電源プラグ92が取り付けられる。そして電源プラグ92を電源ボックス90のプラグ差込部に差し込むことにより、外部電源からの電力が空気調和機100に供給されるようになる。逆に、電源プラグ92を電源ボックス90のプラグ差込部から引き抜くことにより、空気調和機100に電力が供給されなくなる。したがって、作業者は、架台1に対する作業を行っているときに、電源プラグ92を電源ボックス90に差し込んだり、或いは、電源プラグ92を電源ボックス90から引き抜いたりすることで、空気調和機100に対する給電のオンオフ操作を行うことができるのである。
【0062】
ところで、従来は、空気調和機本体110から延びる電源ケーブル116を天井空間に配線し、電源ケーブル116を直接外部電源に接続していた。このような従来の接続形態の場合、例えば空気調和機100の更新時に外部電源による電力供給を全て停止させる必要があり、更新対象となっていない空気調和機100への電力供給も停止される。そのため、空気調和機100の更新作業は、他の空気調和機100が使用されない休日や夜間の時間帯に行わなければならず、作業上の制約がある。
【0063】
これに対し、上記のように架台1に電源ボックス90を設け、空気調和機本体110に接続される電源ケーブル116の先端に取り付けられる電源プラグ92を電源ボックス90に対して着脱可能とすることにより、更新対象となっている空気調和機100に対する電力供給のみを停止させることができる。その結果、空気調和機100の更新作業を、他の空気調和機100の運転中にも行うことが可能となり、作業時間の制約を少なくすることができるという利点がある。
【0064】
図9は、空気調和機100の更新時の作業効率を向上できるようにした架台1を示す図である。図9(a)に示す架台1は、4本のフレーム材10a,10c,10e,10fがX方向に沿って配置され、2本のフレーム材10b,10dがX方向に直交するY方向に配置される。4本のフレーム材10a,10c,10e,10fは、両端近傍位置に上述した直交連結金具12が配置され、2本のフレーム材10b,10dの下面側に接続される。ただし、これに限られず、4本のフレーム材10a,10c,10e,10fは、2本のフレーム材10b,10dの上面側に接続されるものであっても構わない。X方向に配置される4本の10a,10c,10e,10fのうち、中央に配置される2本のフレーム材10e,10fは、他の2本のフレーム材10a,10cよりもX方向に長くなっており、その両端部がY方向に配置される2本のフレーム材10b,10dよりも外側に向かって延びている。この外側に延びる部分に、上述した防振ハンガー80が取り付けられ、その防振ハンガー80に対して更に吊りボルト9が取り付けられる。尚、1つの吊りボルト9には電源ボックス90が取り付けられる。
【0065】
上記架台1において、空気調和機本体110の側面を支持する支持材14は、例えば吊りボルト9が取り付けられた2本のフレーム材10e,10fとは異なるフレーム材であって、外枠を構成する2本のフレーム材10b,10dに取り付けられる。そして支持材14が空気調和機本体110の側面を支持した状態となる。また架台1は、吹出ユニット120を空気調和機本体110に対して押し付けた状態で固定する。つまり、架台1は、図9(a)に示す状態で空気調和機100を支持し、天井空間に設置される。
【0066】
その後、所定期間(例えば10年)が経過して空気調和機100の更新時期になると、架台1は、天井空間から取り外されて一旦床面に下ろされる。そして架台1が支持する空気調和機100が新しい空気調和機100に入れ替えられる。このとき、所定期間が経過したことよって架台1が支持すべき空気調和機100のサイズが小さくなっているのが一般的である。そのような場合、作業者は、架台1の状態を、図9(a)に示す状態から図9(b)に示す状態へと変化させる。すなわち、支持材14が取り付けられた2本のフレーム材10b,10dの間隔を小さくすると共に、2本のフレーム材10a,10cの間隔も小さくすることにより、架台1のサイズを、小型化された新しい空気調和機100のサイズに適合するように変化させるのである。このとき、吊りボルト9が取り付けられた2本のフレーム材10e,10fの間隔を変化させないようにすれば、吊りボルト9の位置は変わらない。したがって、架台1のサイズを簡単に新しい空気調和機100のサイズに適合させることができると共に、従前と同じ位置に吊りボルト9を取り付けることが可能であるため、空気調和機100の更新作業を効率的に行うことができるようになる。
【0067】
つまり、架台1において複数のフレーム材10を組み付けて枠体2を構成するとき、複数のフレーム材10の交叉部に上述した直交連結金具12を用いて連結することにより、枠体2のサイズを簡単に調整することができる。そのため、更新作業を簡単に行うことができると共に、空気調和機100の更新後においても同じ架台1を使用することができるという利点がある。
【0068】
以上、本発明に関する第1実施形態について説明したが、第1実施形態における架台1は上述した内容に限定されるものではない。例えば、第1実施形態における架台1には、次のような変形例を適用することも可能である。
【0069】
例えば上記実施形態では、支持材14が枠体2の上面側に突出するように取り付けられ、空気調和機本体110が支持材14によって枠体2の上面側に持ち上げられた状態で支持される場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、支持材14は枠体2の下面側に突出するように取り付けられ、空気調和機本体110が支持材14によって枠体2の下方に吊り下げられた状態で支持されるようにしても構わない。ただし、空気調和機本体110を枠体2の上面側に持ち上げた状態で支持するように構成すれば、吹出ユニット120や吸気ユニット130の取り付け作業が簡単になるという利点がある。
【0070】
また上記実施形態では、支持材14として、雄螺子が形成された支持ボルトを用いた場合を例示したが、空気調和機本体110の側面を支持する支持材14は必ずしもボルト状のものに限られない。すなわち、支持材14は、空気調和機本体110の側面を支持することができる構造であればよいため、L型金具やその他任意の形状又は構造の金具を使用することができる。
【0071】
また上記実施形態では、フレーム材10にスリット23が設けられる場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、フレーム材10に丸孔や長孔などの孔が形成されており、その孔に支持材14などを挿入して取り付け可能な構成としても構わない。またフレーム材10の表面にレール状の溝を形成し、その溝に支持材14などを設置すると共に、溝に沿って支持材14などを移動可能なようにしても良い。
【0072】
また上記実施形態では、空気調和機本体110に対して吹出ユニット120と吸気ユニット130とが装着される場合を例示したが、これに限られるものでもない。すなわち、空気調和機100は、空気調和機本体110と吹出ユニット120との2つのユニットだけが組み付けられることによって構成されるものであっても構わない。
【0073】
また上記実施形態では、固定部材4として、固定金具60,70を用いる場合を例示した。しかし、吹出ユニット120を固定する固定部材4は、上述した固定金具60,70に限られない。例えば、固定部材4は、ベルト状部材によっても実現することができる。一例を挙げると、ベルト状部材の一端をフレーム材10cに固定し、他端を空気調和機本体110の上面などに固定する。これにより、ベルト状部材が吹出ユニット120を抱き込むような状態となるため、吹出ユニット120を空気調和機本体110に押し付けた状態で固定することができる。したがって、固定部材4をベルト状部材で構成するようにしても良い。
【0074】
また上記実施形態では、空気調和機本体110の吹出部111の内側に吹出ユニット120の接続部121を差し込んで装着する場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、吹出ユニット120の接続部121の内側に空気調和機本体110の吹出部111を差し込んで装着する態様であっても構わない。この場合、上述した断熱材140は、空気調和機本体110の吹出部111の内側に予め配置されることになる。尚、空気調和機本体110の吸気部112と、吸気ユニット130の接続部131との関係もこれと同様である。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、架台1の下側に空気調和機100を吊り下げた状態で支持する構成例について説明する。
【0076】
図10は、本実施形態において架台1が空気調和機100を支持する形態を示す図である。本実施形態における架台1は、第1実施形態において説明したものと同様である。ただし、本実施形態では、枠体2を構成する複数のフレーム材10a~10fのうち、X方向に沿って配置される4本のフレーム材10a,10c,10e,10fが、Y方向に沿ってされる2本のフレーム材10b,10cの上部に連結される場合を例示している。そしてX方向に沿って配置される2本のフレーム材10e,10fの両端部に、吊りボルト9が接続される防振ハンガー80が取り付けられた場合を例示している。
【0077】
また本実施形態の架台1は、枠体2を構成するフレーム材10b,10dに予め支持材14が取り付けられる。支持材14は、例えば雄螺子が形成された支持ボルトによって構成され、フレーム材10b,10dのスリット23に挿入された状態でフレーム材10b,10dに取り付けられる。支持材14をフレーム材10b,10dに取り付けるために、例えば上述した第1金具31と第2金具33とを備えて構成される取付金具18が使用される。取付金具18は、支持材14の上端部をフレーム材10b,10dに固定することで、支持材14の下端部をフレーム材10b,10dから垂下させた状態で保持する。このとき、支持材14の位置は、空気調和機本体110の側面に設けられている連結部113の位置に一致するように設置する。
【0078】
そして支持材14の下端部に、空気調和機本体110の側面に設けられている連結部113を取り付ける。その結果、支持材14は、枠体2の下方に空気調和機本体110を吊り下げた状態となるように空気調和機本体110の側面を支持する。本実施形態では、枠体2の下側に空気調和機本体110を吊り下げた状態に設置した後、吹出ユニット120と吸気ユニット130とを空気調和機本体110に対して押し付けた状態で固定する。そのため、吹出ユニット120及び吸気ユニット130のそれぞれには、上面から突出するボルト部材16が予め取り付けられる。このボルト部材16は、吹出ユニット120及び吸気ユニット130のそれぞれを枠体2に取り付けると共に、吹出ユニット120及び吸気ユニット130のそれぞれを空気調和機本体110に押し付けた状態で固定する固定部材4として設けられるものである。したがって、ボルト部材16は、フレーム材10b,10dのスリット23の下方位置において吹出ユニット120及び吸気ユニット130のそれぞれから立設するように取り付けられる。
【0079】
例えば、吹出ユニット120の横方向(X方向)の幅寸法がフレーム材10b,10dの配置間隔よりも大きい場合、ボルト部材16は、吹出ユニット120の上面から立設するように取り付けることができる。すなわち、吹出ユニット120の上面に孔を開け、その孔にボルト部材16を取り付ければ、ボルト部材16が吹出ユニット120の上面から立設する状態となる。
【0080】
これに対し、吹出ユニット120の横方向(X方向)の幅寸法がフレーム材10b,10dの配置間隔よりも小さい場合には、吹出ユニット120の上面から立設するようにボルト部材16を取り付けることができない。そのため、吹出ユニット120の横方向(X方向)の幅寸法がフレーム材10b,10dの配置間隔よりも小さい場合は、図10に示すように例えばT字型の補助部材17を吹出ユニット120の両端角部に取り付け、吹出ユニット120の幅寸法を拡大し、その拡大部分にボルト部材16を取り付けるようにしても良い。この場合、補助部材17は、ビスなどによって吹出ユニット120の表面に固定される。
【0081】
尚、上記においては、吹出ユニット120に対してボルト部材16を取り付ける場合を例示したが、吸気ユニット130にボルト部材16を取り付ける場合も同様である。
【0082】
上記のようにして吹出ユニット120にボルト部材16を取り付けると、ボルト部材16の上端部をフレーム材10b,10dのスリット23に差し込み、矢印F3で示すように吹出ユニット120を空気調和機本体110に押し付けた状態でボルト部材16をフレーム材10b,10dに固定することで吹出ユニット120を空気調和機本体110に対して一体的に組み付けることができる。また、吸気ユニット130についても同様であり、ボルト部材16の上端部をフレーム材10b,10dのスリット23に差し込み、矢印F4で示すように吸気ユニット130を空気調和機本体110に押し付けた状態でボルト部材16をフレーム材10b,10dに固定することで吸気ユニット130を空気調和機本体110に対して一体的に組み付けることができる。
【0083】
図11は、本実施形態における架台1を用いた空気調和機100の施工手順を示す図である。まず図11(a)に示すように、作業者は、架台1のフレーム材10から下方に延びる支持材14に対して空気調和機本体110の連結部113に固定する。このとき、支持材14を連結部113に挿通し、連結部113を2つのナットで挟み込むように締着することで空気調和機本体110をフレーム材10の下側の所定高さの位置に固定する。
【0084】
空気調和機本体110を架台1に取り付けると、次に図11(b)に示すように、ボルト部材16を取り付けた吹出ユニット120及び吸気ユニット130のそれぞれをフレーム材10に対して仮止めする。このとき、支持材14と同様の取付金具18を使用することにより、ボルト部材16をフレーム材10に仮止めすることができる。ボルト部材16が仮止めされると、ボルト部材16はフレーム材10のスリット23から抜けない状態となり、且つ、ボルト部材16の位置をフレーム材10の長手方向(Y方向)に沿って移動させることが可能な状態となる。そのため、ボルト部材16を仮止めした状態で、吹出ユニット120を矢印F3方向へ押し込むことで吹出ユニット120の接続部121を吹出部111の内側に差し込んで装着する。また、吸気ユニット130については、矢印F4方向へ押し込むことで吸気ユニット130の接続部131を吸気部112の内側に差し込んで装着する。その結果、空気調和機100は、図11(b)に示すような状態となる。ただし、図11(b)に示す状態では、吹出ユニット120及び吸気ユニット130に取り付けられたボルト部材16が仮止め状態であるため、空気調和機本体110に固定されていない状態となる。
【0085】
次に作業者は、図11(c)に示すように、空気調和機本体110に装着された吹出ユニット120を空気調和機本体110に押し付けた状態のままでボルト部材16をフレーム材10に固定する。これにより、吹出ユニット120は空気調和機本体110に押し付けられた状態のままで架台1に固定される。また、作業者は、空気調和機本体110に装着された吸気ユニット130を空気調和機本体110に押し付けた状態のままでボルト部材16をフレーム材10に固定する。これにより、吸気ユニット130も空気調和機本体110に押し付けられた状態のままで架台1に固定される。尚、ここまでの作業は、床面作業として行うことができる。
【0086】
上記のようにして架台1に空気調和機100が設置されると、作業者は、リフト装置などを用いて空気調和機100を支持した状態の架台1を天井スラブ近傍位置まで持ち上げる。そして架台1のフレーム材10を天井スラブから垂下する吊りボルト9に固定する。これにより、空気調和機100を支持した状態の架台1を天井空間の所定高さ位置に設置することができ、空気調和機100の施工が完了する。尚、架台1に予め吊りボルト9を取り付けておき、架台1を天井スラブ近傍位置まで持ち上げた状態で吊りボルト9の上端部を天井スラブなどに固定するようにしても構わない。
【0087】
その結果、吊りボルト9によって所定高さ位置に支持される架台1は、図12に示すように、枠体2の下側において空気調和機100を吊り下げた状態で支持する状態となる。このとき、空気調和機本体110、吹出ユニット120及び吸気ユニット130はいずれも枠体2に対して固定されているため、風圧によって吹出ユニット120が空気調和機本体110から離脱することがない。したがって、本実施形態のような支持形態であっても、第1実施形態と同様に、空気調和機本体110と吹出ユニット120との接合部である吹出部111に対して多数のビスを打ち込む作業を行う必要がなく、短時間で効率的に作業を行うことができるという利点がある。
【0088】
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態で説明したものと同様である。また、第1実施形態で説明した変形例と同様の変形例を本実施形態においても適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
1…架台、2…枠体、4…固定部材、10(10a~10f)…フレーム材、14…支持材、60…固定金具、70…固定金具、90…電源ボックス、92…電源プラグ、140…断熱材、100…空気調和機、110…空気調和機本体、120…吹出ユニット。
図1
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図13