(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】外科用器具のための制御装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
A61B17/29
(21)【出願番号】P 2018543248
(86)(22)【出願日】2017-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2017061742
(87)【国際公開番号】W WO2017198673
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-04-30
(32)【優先日】2016-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ルイス
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-326783(JP,A)
【文献】特開2012-096010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B、B25J、F16C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用スコープ装置のための器具回転機構であって、前記器具回転機構が、
前記外科用スコープ装置の器具チャネルの近位端に取り付け可能なハウジング;
前記ハウジングに対して回転するために取り付けられた近位アクチュエータ;
前記外科用スコープ装置の前記器具チャネル内に摺動可能に取り付けられ、及びそれに沿って伸びるように構成される細長い力伝達要素;
前記ハウジングに対する前記近位アクチュエータの回転運動を、前記器具チャネルに対する前記細長い力伝達要素の直線的な動きに変換するために、前記近位アクチュエータ及び前記細長い力伝達要素と操作可能に嵌合する近位連結器;
前記器具チャネル
を通過する器具ケーブルに固定されるように設けられた
遠位回転部材;
ここで、前記器具ケーブルの遠位端には器具が固定されており、及び
前記器具チャネルに対する前記細長い力伝達要素の直線的な動きを、前記器具チャネルに対する前記
遠位回転部材の回転運動に変換するために、前記
遠位回転部材と操作可能に嵌合
しかつ前記細長い力伝達要素に取り付けられている遠位連結器;を含む、前記器具回転機構。
【請求項2】
前記近位連結器が前記ハウジングに摺動可能に取り付けられる、請求項1に記載の器具回転機構。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記細長い力伝達要素が前記ハウジングに対して回転するのを防ぐように配置した、回転抑制要素を含む、請求項1または2に記載の器具回転機構。
【請求項4】
前記回転抑制要素が、前記ハウジングに対して回転するのを防ぐために前記近位連結器を係合するように配置される、請求項3に記載の器具回転機構。
【請求項5】
前記回転抑制要素が、前記近位連結器の線状摺動軌跡を画定する、請求項4に記載の器具回転機構。
【請求項6】
前記近位連結器及び前記近位アクチュエータが、ノンロッキングねじ型係合を介して、操作可能に接続される、請求項1~5のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項7】
前記近位アクチュエータが第1の螺旋構造を含み、前記近位連結器が、前記第1の螺旋構造上に取り付けられ、かつそれに沿って移動可能な第1の係合要素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項8】
前記第1の螺旋構造が凹状軌道であり、前記第1の係合要素が前記凹状軌道に位置するピンである、請求項7に記載の器具回転機構。
【請求項9】
前記
遠位回転部材が第2の螺旋構造を含み、前記遠位連結器が、前記第2の螺旋構造上に取り付けられ、かつそれに沿って移動可能な第2の係合要素を含む、請求項7または8に記載の器具回転機構。
【請求項10】
前記第2の螺旋構造が、前記
器具ケーブルの遠位部周囲に取り付けられた螺旋スリーブであり、前記第2の係合要素が、前記螺旋スリーブと協働する螺旋部を有する環を含む、請求項9に記載の器具回転機構。
【請求項11】
前記第1の螺旋構造のピッチが、前記第2の螺旋構造のピッチより大きい、請求項9または10に記載の器具回転機構。
【請求項12】
前記第1の螺旋構造の前記ピッチが、前記第2の螺旋構造の前記ピッチの1.5倍以上である、請求項11に記載の器具の回転機構。
【請求項13】
前記遠位連結器及び前記
遠位回転部材が、ノンロッキングねじ型係合を介して、操作可能に接続される、請求項1~12のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項14】
前記近位アクチュエータが前記器具ケーブルの近位部に固着する、請求項1~13のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項15】
前記
遠位回転部材が、前記器具ケーブルの遠位部に固着する、請求項14に記載の器具回転機構。
【請求項16】
前記細長い力伝達要素が、近位部及び遠位部を含み、そこで前記器具回転機構が、
前記細長い力伝達要素の前記近位部と前記遠位部の間に位置する中間回転部材;
前記器具チャネルに対する前記細長い力伝達要素の前記近位部の直線的な動きを、前記器具チャネルに対する前記中間回転部材の回転運動に変換するために、前記細長い力伝達要素の前記中間回転部材と前記近位部を操作可能に嵌合する近位中間連結器;及び
前記器具チャネルに対する前記中間回転部材の回転運動を、前記器具チャネルに対する前記細長い力伝達要素の前記遠位部の直線的な動きに変換するために、前記細長い力伝達要素の前記中間回転部材と前記遠位部分を操作可能に嵌合する遠位中間連結器;を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項17】
前記中間回転部材が螺旋スリーブを含み、前記近位中間連結器及び前記遠位中間連結器が、前記螺旋スリーブと協働するように構成される、螺旋切欠き区域を有する環をそれぞれ含む、請求項16に記載の器具回転機構。
【請求項18】
前記ハウジングが、前記外科用スコープ装置を操作するためのハンドルの一部である、請求項1~17のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項19】
前記細長い力伝達要素が、前記器具チャネルに沿って
前記器具ケーブルを運搬するための、それを通る長手方向路を有するスリーブを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項20】
前記スリーブが、前記器具チャネルを通過する流体の流れを促進するために、その遠位端で多孔性である、請求項19に記載の器具の回転機構。
【請求項21】
前記スリーブがその遠位端に複数の孔を含む、請求項20に記載の器具回転機構。
【請求項22】
前記細長い力伝達要素が、
プラスチック押出成形カテーテル、
レーザーカット管、
カプセル封止した編組のいずれかである、請求項1~21のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【請求項23】
前記細長い力伝達要素がPEEK、ポリイミドまたはステンレス鋼から製造される、請求項1~22のいずれか一項に記載の器具回転機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用スコープ装置(例えば内視鏡、胃内視鏡など)の器具コードにより形成される、器具チャネルの遠位端に位置する外科用器具の動きを制御する装置に関する。特に本発明は、器具チャネルの近位端で操作者により加えられる回転力を、器具チャネルの遠位端で外科用器具の操作上の動作(例えば回転)に伝達するのを可能にする、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
侵襲性が非常に小さいやり方で外科的処置を身体内で実施することができるように、内視鏡が遠位端に外科用器具を備えていることは一般的である。このような処置で、内視鏡の操作者(例えば外科医または補助者)が遠位端でツールをコントールすることが大切である。
【0003】
しかし、狭い器具チャネルを通過するケーブルを介して、ツールが制御されなければならないので、外科用器具を完全に制御することが困難な場合があり、これは技術的課題を提示できる。特に器具の回転は、器具ケーブルと器具チャネルの壁の間の摩擦が原因で、課題となる。操作者が器具チャネルの近位端で器具ケーブルを回転させるとき、この摩擦は、ガタガタ揺れる不連続な動きで器具を回転させる。身体内の手術部位に到達するのに必要であり得る、内視鏡が角を曲がるために屈曲する際、この作用は増幅される。
【0004】
ガタガタ揺れる不連続な動きのため、操作者は、外科用器具の完全な制御のない状態になり、特に器具の微妙な動きが予測不可能になる。これによって、外科用スコープ装置とは独立して器具の配向を正確に制御することが難しいので、スコープ装置環境で回転対称を有さない外科用器具を使用するのは困難な場合がある。実際に、従来の手順で、器具の配向は、スコープ装置の器具コード全体を回転させることによって制御され得て、それは扱いにくくなる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
最も概括的には、本発明は、回転の近位入力が、器具チャネルの長さに伝わる長手方向力に変換され、それは遠位器具の操作上の動作に再度変換される、動作伝達機構を提供する。操作上の動作は、好ましくは遠位器具の回転運動であるが、遠位器具の配向または配置を変える任意の動作でもよい。例えば操作上の動作は、鉗子器具の顎を開いてもよい、または外科用スネアもしくは類似物を収縮させてもよい。
【0006】
ねん転力(トルク)の代わりに、器具チャネルに沿った長手方向(すなわち直線)力を伝達することによって、器具と内視鏡器具チャネルの間の摩擦に起因する、遠位器具の滑る不連続な操作(例えば回転)の問題は低減されるまたは排除することができる。
【0007】
本発明の一態様により、外科用スコープ装置のための器具回転機構が提供され、前記器具回転機構は、外科用スコープ装置の器具チャネルの近位端に取り付け可能なハウジング;ハウジングに対して回転するために取り付けられた近位アクチュエータ;外科用スコープ装置の器具チャネル内に摺動可能に取り付けられ、及びそれに沿って伸びるように構成される細長い力伝達要素;ハウジングに対する近位アクチュエータ回転運動を、器具チャネルに対する細長い力伝達要素の直線的な動きに変換するために、近位アクチュエータ及び細長い力伝達要素と操作可能に嵌合する近位連結器;器具チャネルに取り付けた外科用器具の遠位部に固定した遠位端エフェクター;ならびに、器具チャネルに対する細長い力伝達要素の直線的な動きを、外科用器具操作上の動作に変換するために、遠位端エフェクター及び細長い力伝達要素と操作可能に嵌合する遠位連結器;を含む。好ましくは、操作上の動作は、器具チャネルに対する遠位端エフェクターの回転運動を含む。器具チャネルの全長に沿って回転運動を伝達する代わりに、(本明細書中で従動部と称されることがある)細長い力伝達要素の長手方向の動き(すなわち軸方向の動き)を、器具チャネルの遠位端で回転運動に変換することによって、器具の回転運動をより滑らかに、かつよりガタガタ揺れないようにして、それによってユーザに器具のより優れた制御を付与することができる。更に、器具チャネルの近位端の入力動が回転する場合、装置は直観的かつ容易に使用することができる。
【0008】
近位連結器は、ハウジングに摺動可能に取り付けられてもよい。ハウジングは、細長い力伝達要素がハウジングに対して回転するのを防ぐ(例えば、それがハウジングに対して回転するのを防止する方法で、近位連結器を係合することによって)ように配置した、回転抑制要素を含んでもよい。例えば回転抑制要素は、近位連結器の線状摺動軌跡を画定してもよく、摺動軌跡はハウジングに対して固定されている。細長い力伝達は、同様に制限されてもよい。例えば、それは、摺動軌跡に連結する近位係合機構を有することができる。回転抑制要素は、ハウジングに取り付けられたガイド部材によって形成されてもよい。ガイド部材は、近位アクチュエータによって形成される内部空洞内に位置するように構成されてもよい。例えば、近位アクチュエータはハウジングに取り付けられた管でもよく、ガイド部材は前記管に取り付けられてもよく、その近位端で回転しないようにハウジングに固着されてもよい。
【0009】
近位連結器及び近位アクチュエータは、ノンロッキングねじ型係合を介して、操作可能に接続されてもよい。これに関して、ノンロッキングとは、ねじ山に沿って加えた軸方向の力の成分が相対回転運動を引き起こすために、対向する摩擦力を上回ることができるような、ねじ山の角度またはピッチであることを意味する。一例で、ねじ型係合という用語は、2つの要素間の相対運動が螺旋状に生じるように制約されることを意味するように、他の要素によって係合する一要素上に形成される螺旋軌道を意味してもよい。両方の要素は、協同する螺旋構造を有してもよい。あるいは、一要素は螺旋構造を有してもよく、他方は螺旋構造と噛み合う係合機構を有してもよい。
【0010】
一例で、近位アクチュエータは螺旋構造を含んでもよく、近位連結器は、螺旋構造上に取り付けられ、かつそれに沿って移動可能な係合要素を含む。螺旋構造は凹状軌道を含んでもよく、係合要素は凹状軌道に位置するピンでもよい。別の例で、螺旋構造は山型軌道でもよく、係合要素は軌道上に取り付けられたランナーでもよい。更に別の例で、螺旋構造は近位連結器上にあってもよく、係合要素は近位アクチュエータ上にあってもよい。
【0011】
類似の構成は、遠位端(すなわち遠位連結器)で採用されてもよく、遠位端エフェクターは、例えば上述の型のノンロッキングねじ型係合を介して操作可能に接続されてもよい。
【0012】
一例で、遠位端エフェクターは螺旋構造を含み、遠位連結器は、螺旋構造上に取り付けられ、かつそれに沿って移動可能な係合要素を含む。螺旋構造は、外科用器具の遠位部周囲に取り付けられた螺旋スリーブでもよく、係合要素は、螺旋スリーブと協働する螺旋部を有する環を含んでもよい。
【0013】
前記機構は、近位アクチュエータの回転運動とその長手方向軸周囲の器具の回転運動の間に一対一対応があるように構成されてもよい。近位端及び遠位端の連結器は、細長い力伝達要素の軽微な材料変形(すなわち伸展または圧縮)を考慮するために、ギア付きでもよい。このギア装置は、近位端の第1の螺旋構造と遠位端の第2の螺旋構造の間のピッチの差として現れてもよい。例えば、第1の螺旋構造のピッチは、第2の螺旋構造のピッチより大きくてもよい、例えばそれの1.5倍以上でもよい。
【0014】
螺旋ねじ山の長いピッチは、より少ないトルクが軸方向の動きへの回転に変換する必要があることを意味し(例えば器具チャネルの近位端で)、または、器具チャネルの遠位端で、長いピッチは、より少ないトルクが細長い力伝達要素の軸方向の動きによって作成されることを意味する。
【0015】
更に、長いピッチは、細長い力伝達要素が、所定角度によって器具を回転させるためにより長い距離を移動する必要があることを意味する。
【0016】
しかし、長いピッチの利点は、細長い力伝達要素の任意の伸展または圧縮が、ユーザによる必要量の回転入力及び/または器具の出力回転に有する効果を、それが減らすという点である。
【0017】
上述のように近位端及び遠位端で連結器をギアでつなぐことによって、バランスがこれらの結果の間で保たれることができる。ねじ山様連結器(例えば螺旋構造)が使用される場合、それらが近位端及び遠位端の両方でノンロッキングであるように、ならびに近位端のピッチが遠位端のピッチより大きくなるように、ねじ山のピッチを選択してもよい。
【0018】
一例で、遠位端エフェクターは螺旋スリーブであり、遠位連結部材は、遠位螺旋スリーブと係合するように構成される螺旋切欠き区域を有する環である。環は、例えば適切な材料(例えばステンレス鋼管など)からレーザーカットした剛性要素でもよい。環は、任意の好適な手段(例えば締まり嵌め、接着剤など)によって細長い力伝達要素に固着できる。環は、環と細長い力伝達要素の間の把持を容易にする、多くの内向きの突起部を含んでもよい。環が細長い力伝達要素に沿って滑る、またはその長手方向軸周囲を回転するのを防ぐことによって、細長い力伝達要素の軸方向の動きが、器具の回転運動に効率的に変換されるのを、これは確実にすることができる。
【0019】
代替的実施形態で、遠位端エフェクターは外面から隆起したピンを有するスリーブでもよく、遠位連結部材は内面内にくぼんだ螺旋を有する管でもよい。
【0020】
回転機構は、外科用器具への接続のため器具チャネルを通って伸びる器具ケーブルを含んでもよく、近位アクチュエータは器具ケーブルの近位部に固着する。回転機構のすべての要素は、それによって器具ケーブルを運搬するための長手方向路を含んでもよい。細長い力伝達要素は、細長い力伝達要素の内部に沿って器具ケーブルの移動を運搬するための、長手方向路または管腔を有する管状要素を含んでもよい。
【0021】
器具ケーブルは、器具ケーブルと器具チャネルの壁の間の摩擦を低減するための潤滑コーティングを有してもよい。一実施形態で、器具ケーブルは同軸伝送線でもよく、器具は、高周波及び/またはマイクロ波周波エネルギーを供給するように構成される、電気手術器具でもよい。同軸伝送線は、器具チャネルを通過して挿入するのに好適なスリーブに入れられてもよい。同軸伝送線は、例えば好適な高周波及び/またはマイクロ波信号発生器に接続するためのマイクロ波コネクタを有する近位端と、器具が位置する遠位端の間に伸びてもよい。同軸伝送線の長さは、内視鏡に好適でもよく、例えば2000mm以上でもよい。
【0022】
器具ケーブルとして同軸伝送線、ならびに高周波及び/またはマイクロ波周波エネルギーを供給するように構成される電気手術器具を提供することによって、器具は、組織を切断する及び/または止血(すなわち血液凝固を促進する)のために使用してよい。
【0023】
器具ケーブルは、それが近位アクチュエータと共に回転するので、器具の回転を助けるために使用してよい。したがって遠位端エフェクターは、器具ケーブルの遠位部に固着してもよい。例えば、遠位端エフェクターは、器具ケーブル上に適合するように配置される螺旋スリーブを含んでもよい。螺旋スリーブは、遠位連結部材の軸方向の動きが器具ケーブルの回転になるように、器具ケーブルを把持するために、スリーブの各端に端クリップを有してもよい。この構成で、したがって器具ケーブルは、器具チャネルの近位端及び遠位端の両方で回転してもよい。これは、トルクが器具ケーブルの長さに沿って分配されるのを確実にする。
【0024】
上述のように、回転運動への細長い力伝達要素の軸方向の動きの変換は、100%効率的でなくてもよい。これは更に、器具ケーブルが器具チャネルの遠位端に固定されないので、生じ得る。このシナリオの「失われた」動きは、細長い力伝達要素を「押す」(すなわち、それを遠位方向に摺動させる)とき、より顕著でもよい。
【0025】
この失われた動きを低減するまたは排除するために、器具ケーブルは、所定の方向の回転を容易にするために、近位部と遠位部の間で予ねじりしてもよい。換言すれば、器具ケーブルは、近位アクチュエータに対してある向きで回転するように、遠位部を自然に付勢するように配置されてもよい。この向きは、遠位方向の細長い力伝達要素を移動することによって生じる回転に、好ましくは対応する。
【0026】
上述のように器具ケーブルをプレテンションすることによって、器具チャネルの遠位端での軸方向の動きの回転運動への変換は、より効率的に行われてもよい。プレテンションすることは、器具チャネルの近位端での回転運動と、その長手方向軸周囲の器具の回転運動の間の一対一対応を得るのを助け得る。
【0027】
細長い力伝達要素は近位部及び遠位部を含んでもよく、そこで器具回転機構は、細長い力伝達要素の近位部と遠位部の間に位置する中間回転部材;器具チャネルに対する細長い力伝達要素の近位部の直線的な動きを、器具チャネルに対する中間回転部材の回転運動に変換するために、細長い力伝達要素の中間回転部材と近位部を操作可能に嵌合する近位中間連結器;及び器具チャネルに対する細長い中間回転部材の回転運動を、器具チャネルに対する細長い力伝達要素の遠位部の直線的な動きに変換するために、細長い力伝達要素の中間回転部材と遠位部を操作可能に嵌合する遠位中間連結器;を更に含む。したがって、細長い力伝達要素の中間的な位置に線形回転-線形変換がある。細長い力伝達要素の長さに沿った、複数のこのような変換があってもよい。したがって、器具ケーブルの長さに沿ったトルクの分布を容易にし得る。
【0028】
器具ケーブルに沿ったトルクの分布は、器具の円滑な回転を確実にするのを助けて、器具ケーブルと器具チャネルの内面との摩擦に起因する、ガタガタ揺れるまたは不連続な回転を低減する。
【0029】
中間回転部材は螺旋スリーブを含んでもよく、近位中間連結器及び遠位中間連結器は、螺旋スリーブと協働するように構成される、螺旋切欠き区域を有する環をそれぞれ含んでもよい。中間螺旋スリーブは器具ケーブルに適合してもよく、近位中間連結器の軸方向の動きが器具ケーブルの回転になるように、器具ケーブルを把持するためにスリーブの各端に端クリップを有してもよい。
【0030】
あるいは、中間回転部材は外面から隆起したピンを有するスリーブでもよく、各中間連結器は内面内にくぼんだ螺旋を有する管でもよい。この実施形態で、中間スリーブは器具ケーブルに適合してもよく、近位中間連結器の軸方向の動きが器具ケーブルの回転になるように、器具ケーブルを把持するために中間スリーブの各端に端クリップを含んでもよい。
【0031】
ハウジングは、外科用スコープ装置を操作するためのハンドルの一部でもよい。
器具チャネルは、器具に及び/またはそれから流体を輸送するように配置されてもよい。例えば、外科用スコープ装置は、流体を治療部位に送達する、またはそこから除去するように配置されてもよい。細長い力伝達要素は、器具チャネルに沿って流体の通過を可能にする、またはそれを容易にする複数の貫通孔を含んでもよい。細長い力伝達要素は器具チャネルの空隙を占有し、したがって流体が利用可能な容積を制限できる。細長い力伝達要素を多孔性にすることは(例えば、それを通して複数の孔を提供することによって)、流体の通過を容易にする。孔は、細長い力伝達要素の構造剛性(特に長手方向の)に影響を及ぼさない方法で寸法を定め、かつ配置されてもよい。孔は、細長い力伝達要素の遠位部だけに、例えば、遠位連結部材及び遠位端エフェクターが器具チャネルの空隙を占有する領域だけに形成されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態で、器具は針を含んでもよい。例えば、針は、流体チャネルの遠位端で、生理食塩水または他の液体を注入するために提供されてもよい。特定の実施形態で、ハンドルは、器具の凹部内から針を延出するように構成される針押しを含む。このように、針は、それがユーザによって必要とされるまで、器具内に隠されることができる。好ましくは、器具チャネルは、例えば食塩水が針を通して押し出されるために、器具チャネルの近位端から遠位端まで押し出されるのを可能にする、生理食塩水チャネルを含む。
【0033】
細長い力伝達要素は、プラスチック押出成形カテーテル、レーザーカット管、カプセル封止した編組により形成される管のいずれかでもよい。例えば細長い力伝達要素は、PEEK、ポリイミドまたはステンレス鋼から製造することができる。
【0034】
細長い力伝達要素は、それがねじれに対して抵抗するように、トルク安定性でもよい。器具チャネルの近位端の回転運動が細長い力伝達要素の軸方向の動きに効率的に変換されること、及び細長い力伝達要素の軸方向の動きが器具チャネルの遠位端で回転運動に効率的に変換されることを、これは確実にする。
【0035】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施形態である回転機構の概略図を示す。
【
図2】
図1に示す回転機構での使用に適した、ケーシングの分解図を示す。
【
図3A】
図1に示す回転機構の使用に適するアクチュエータ及び回転部材の側面図を示す。
【
図3B】
図1に示す回転機構の使用に適するアクチュエータ及び回転部材の端面図を示す。
【
図4A】
図1に示す回転機構の使用に適するガイドの斜視図を示す。
【
図4B】
図1に示す回転機構の使用に適するガイドの側面図を示す。
【
図4C】
図1に示す回転機構の使用に適するガイドの端面図を示す。
【
図8】本発明の代替的実施形態による内視鏡のハンドルの断面図を示す。
【
図9】本発明の代替的実施形態の内視鏡の遠位端の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
後述する実施形態の特徴が同等のものである場合、同じ参照番号が使われ、その詳細な説明は繰り返さない。
【0038】
本発明の実施形態である回転機構100の概略図を、
図1に示す。回転機構は、外科用スコープ装置(例えば内視鏡)と共に使用することを目的とする。このような装置は一般的に、そこから伸びる細長い可撓性器具コードを有する、本体を含む。器具コードは人体内に挿入可能であり、例えば身体内に、またはその上に取り付けた制御装置を介して操縦可能であり得る。器具コードは、その内部に複数の長手方向路または管腔を含む。これらの通路の1つは、器具を治療部位へ運搬するための器具チャネルでもよい。他の管腔は、光学のために及び/または治療部位に流体を供給する、もしくは吸引を加えるために使用してよい。
【0039】
本発明の回転機構は、外科用スコープ装置の器具チャネルに取り付けた器具と共に使用することが意図される。回転機構は、近位端で(例えば外科用スコープ装置の本体で)操作者によって加えられた回転入力動を、器具チャネルの遠位端で、器具の回転出力動に伝達する手段を提供する。器具は、処置面に対する配向が望ましくは制御される、任意の装置でもよい。例えば、器具は、(例えば、国際特許出願第WO2014/006369号にて開示されている平面構造を有する)スネア、鉗子、はさみ及びエネルギーアプリケータの任意の1つでもよい。
【0040】
図1に示す回転機構100は、外科用スコープ装置の器具チャネルに沿って通過でき、その遠位端に器具124を有する、器具ケーブル102を含む。器具ケーブル102は、アセンブリによる高周波(RF)及び/またはマイクロ波周波エネルギーを器具124に転送するように構成される、同軸伝送線でもよい。例えば、器具は、組織を切断するための高周波エネルギー、及び/または止血(すなわち血液凝固を促進する)のためのマイクロ波周波エネルギーを供給することができてもよい。好適な器具は、国際特許出願第WO2014/006369号に開示される。
【0041】
回転機構100は、明確にするために破線で示すように、近位端にケーシング104を更に含む。使用中、ケーシングは患者の身体外に配置されて、外科用スコープ装置の本体の一部を形成してもよい。ケーシング104は、アクチュエータ106、アクチュエータ106に接続され、それよって操作可能である回転部材108、及びガイド110を収容する。記載した実施形態で、回転部材108は、
図3Aに示すように管の内面内にくぼんだ螺旋チャネルを含む管であり、以下ねじ状管と称してもよい。
【0042】
アクチュエータ106は、それがユーザにより操作されることが可能であるように、ケーシング104の外側に少なくとも部分的に突設するように構成され、ユーザは外科医または補助者でもよい。特にそれは、矢印112で示すように、時計方向または反時計方向で長手方向軸の周囲を回転するように構成される。アクチュエータ106の回転は、対応する時計方向または反時計方向で回転部材108を回転させる。アクチュエータ106及び回転部材108は集合体でもよく、または一体型要素として形成されてもよい。
【0043】
器具ケーブル102を受容するための長手方向路は、アクチュエータ106及び回転部材108の長手方向中心軸に沿って伸びる。
【0044】
ガイド110は、器具チャネルの回転部材108及びアクチュエータ106内に配置され、ならびにそれが固定された位置で保持され、アクチュエータ106及び回転部材108と共に回転しないように、その近位端でケーシング104を係合する。連結部材114が軸方向にガイド110上で摺動可能であるように、連結部材114はガイド110上に配置される。連結部材114は、それがアクチュエータ106及び回転部材108と共に回転できないように、ガイド110上に配置されて、それによって拘束される。
【0045】
連結部材114は、回転部材108の内面内にくぼんだ螺旋チャネルに係合するように構成される、ピンを含む。回転部材108が、ユーザによるアクチュエータ106の操作に起因して、回転するとき、連結部材114は回転部材108の内面内にくぼんだ螺旋チャネルによって係合して、ガイド110に沿って軸方向に移動する。ガイドは、それに沿って連結部材114が回転せずに移動する、線状軌道を提供する。螺旋チャネルのピッチは、連結部材114を動かすのに必要な力(トルク)があまり大きくないことを確実にするために、選択される。
【0046】
細長い力伝達要素(以下、従動部116と記載する)は、連結部材114の軸方向運動によって、矢118で示すように近位または遠位方向に従動部116の軸方向運動が生じるように、連結部材114に接続している。一実施形態で、従動部116は長さ2mである。従動部116は、その長さに沿って延在する中心孔または管腔を有し、従動部116の中央を中心とする、中空である。器具ケーブル102は、孔を通過する。従動部116は、押出プロセスによるプラスチックから必要なものまで製造されるカテーテルでもよい。従動部116は、トルク安定性、すなわち、ねじれに対して抵抗性がある。これは、後述のように、従動部116の直線的な動きが、遠位回転部材122の回転に効率的に変換されるのを確実にする。従動部116は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはポリイミドから製造されてもよい。
【0047】
器具ケーブル102は、従動部の相対運動を補助するためにケーシング104に対して軸方向の位置に、好ましくは固定される。一実施形態で、器具ケーブル102は、アクチュエータ106の回転がその長手方向軸周囲で器具ケーブル102を回転させるように、回転部材108に取り付けられる。したがってケーブルはその近位端で回転して、ケーブルの長さに沿って不必要なねじれを導入するのを防ぐ。
【0048】
従動部116の遠位端に、遠位連結部材120がある。遠位連結部材120は、
図7で更に詳細に示すように管状要素である。遠位連結部材120は、それが、上述のようにアクチュエータ106の回転に反応して、従動部116と共に軸方向118に移動するように、従動部116の内面に、例えば接着剤で取り付けられる。
【0049】
遠位連結部材120は、遠位回転部材122上の螺旋ねじ山に係合するように構成される。遠位回転部材122は、
図6に示すように螺旋スリーブでもよく、それは、例えばその遠位端から100mmの距離で器具ケーブル102上に嵌合する。これは、器具ケーブル102の遠位端が自由に折り曲がることができるのを確実にする。遠位連結部材120は、従動部116の軸方向運動がその長手方向軸周囲の遠位回転部材122及び器具ケーブル102の回転運動に変換されるように、遠位回転部材122の螺旋ねじ山と協働する。器具ケーブル102の回転は、矢印126で示す方向に外科用器具124を回転させる。
【0050】
したがってユーザ(例えば外科医または補助者)は、内視鏡の近位端でケーシング104内に含まれるアクチュエータ106の回転によって、内視鏡100の遠位端で外科用器具124の回転を制御することができる。アクチュエータ106の回転は、回転部材116及び連結部材114によって従動部116の軸方向の動きに変換される。内視鏡100の遠位端で、従動部116の軸方向の動きは、遠位連結部材120及び遠位回転部材122による回転運動に再変換され、それによってその長手方向軸周囲で器具124を回転させる。
【0051】
図2は、ケーシング104の分解図を示す。ケーシング104は、
図1に概略的に示すように、アクチュエータ106、回転部材108、ガイド110及び連結部材114を収納する。図示していないが、ケーシング104は、内視鏡のハンドルの一部を形成してもよい。
【0052】
ケーシング104は、組み立てが容易になるように半分2つから形成される。各半分は第1端部から第2端部まで延在しており、アクチュエータ106がケーシング104の外側に少なくとも部分的に突出して、その結果、それがユーザによって操作できるように、第1端部に向かってウインドウ200を有する。第1及び第2の端面はそれぞれ、開口部202及び204を有し、それによって器具ケーブル102がケーシング104を通過できるようになる。
【0053】
ケーシング104の各半分は、第2端部に向かってウインドウ200から延在する、くぼんだ内部区域206を有し、その結果、ケーシングの2つの半分が結合されるとき、内部区域206は回転部材108を保持する。記載した実施形態で、回転部材108は、管の内面内にくぼんだ螺旋チャネルを含む管である。回転部材108は、ユーザによるアクチュエータ106の回転に反応して、それがその長手方向軸周囲を回転できるように、ケーシング104によって保持されるが、回転部材108の軸方向または横方向運動が最小限になるように、ケーシング104と回転部材108の間の嵌合は密閉されなければならない。開口部204は、部品間の不必要な相対運動を最小限にするために、回転部材108の一部を受容するように構成される。
【0054】
ケーシング104の第1端部は、アクチュエータ106及び/または回転部材108の一部を受容するように構成され、ならびに後述のようにガイド110の一部を受容するように成形したフランジ210を更に含む。アクチュエータ106及び回転部材108はしたがって、ハウジング104内に回転可能に取り付けられる。ガイド110の一部は、第1端部に隣接したケーシング104の内面の間に配置される。その結果、アクチュエータ106がユーザによって操作されるとき、ガイド110が固定されて、回転しないように、ケーシング104の2つの半分が結合されるとき、ケーシング104及びアクチュエータ106は、所定位置でガイド110を掴持する。ガイド110の軸方向運動も、連結部材114とガイド110の間の最大相対運動を確実にするために、防止される。
【0055】
ケーシング104の半分は、ケーシング104の反対側の半分上の対応する溝(図示せず)と係合するように構成される、多くの周辺凸縁208を含む。その結果、半分が結合するとき、アセンブリを安定させて、2つの半分の間の横方向の相対運動を防ぐために、2つの半分を一緒に取り付ける凸縁208と溝の間に締まり嵌めがある。
【0056】
図3A及び
図3Bは、使用中、ケーシング104に収納されるアクチュエータ106及び回転部材108の側面図(
図3A)及び端面図(
図3B)を示す。
【0057】
アクチュエータ106及び回転部材108は、一体型部分として形成してもよい、またはアクチュエータ106及び回転部材108は、別途に製造されて、単一要素を形成するために組み立てられてもよい。例えば回転部材108は、段のある外郭を有する単一片として製造されてもよく、及びアクチュエータ106は、アクチュエータ106を適切な位置に保持する回転部材108の外郭に刻みを備えた、回転部材108の端上で摺動する環として製造されてもよい。代わりの構造を、本発明に従って使用してもよい。
【0058】
回転部材108は、ガイド110を受容して、器具ケーブル102のための通路を形成するために、両端で開いている内部空洞302を形成する。器具ケーブルは、回転部材108の第1端部の開口部310及び第2端部の開口部312を通過する。回転部材108が回転するとき、器具ケーブル102が、遠位回転部材122によってその遠位端で回転するのと同様に、その近位端で回転するように、開口部312は、器具ケーブル102の外径以下の直径を有する。この配置は、内視鏡100の遠位端で器具124の回転により大きな制御を付与する器具ケーブル102に沿って、トルクを広げる。
【0059】
記載した実施形態で、回転部材108は、内部空洞302の壁内にくぼんだ螺旋チャネル300を含む、管である。雌ねじ300は、連結部材114と係合するように構成される。螺旋チャネルのピッチはノンロッキングであり、その結果、回転部材108の回転は、ガイド上の連結部材114の直線動作へ変換される。他の実施形態で、回転部材108は、連結部材上の対応する凹部と係合する、内向きに隆起した螺旋軌道を有してもよい。
【0060】
アクチュエータ106及び回転部材108のアセンブリは、ケーシング104の受容部(例えば、フランジ210及び開口部204)と係合するように構成される、嵌合部304及び308を含む。アクチュエータ106と回転部材108アセンブリが、ケーシング104内でその長手方向軸の周囲で自由に回転できるが、他の運動(例えば軸方向または横方向の運動)が制限されるように、これらの部分は、アクチュエータ106と回転部材108のアセンブリとケーシング104の間の良好な嵌合を確実にする。記載した実施形態で、嵌合部304及び308は、小径を有する円筒区域として示されるが、アクチュエータ106及び回転部材108のアセンブリを取り付ける他の方法も考慮され得る。
【0061】
アクチュエータ106は、
図3Bに示すように、その外面に多くの溝及び/または隆起306を含む。これらの隆起306は、ユーザ(例えば外科医または補助者)がアクチュエータ106を回転させ得るように、ケーシング104のウインドウ200を通って突出するように構成される。隆起306は握り部を提供し、ユーザが内視鏡100を保持するとき、例えばユーザの親指または指と係合可能である。
【0062】
図4A、
図4B及び
図4Cは、ガイド110の斜視図(
図4A)、側面図(
図4B)及び端面図(
図4C)を示す。ガイド110は回転部材108内に位置し、螺旋ねじ山300によって係合されるとき、連結部材114に沿って移動するための軌道を提供する。
【0063】
ガイド110は、ガイド110の第1端部から第2端部に延在する軌道400を含む。連結部材114上の突起を受容し、そしてガイド110の第1端部と第2端部の間の軸方向への連結部材114の移動を制限するように構成される、その長さに沿った中心溝を、軌道400は有する。螺旋ねじ山300が連結部材114を係合できるような方法で、ガイド110が、横方向の運動を防ぐために空洞壁によって保持され、内部空洞302内に位置することが可能であるように、軌道400は、回転部材108の内部空洞302の直径より狭くなければならない。
【0064】
ガイド110の第1端部は、ケーシング104のフランジ210と嵌合するために成形される。例えば
図4Aで、それがフランジ210と嵌合するとき、正方形402とフランジ210の間の嵌合が、その長手方向軸周囲でのガイド110の回転を防ぐように、第1端部は正方形402を有する。軌道400が、回転部材108の回転に起因して、連結部材114によって変形しないように、ガイド110はねじれに対して抵抗性がある。これは、従動部116が軸方向にのみ移動することを確実にするのに役立つ。
【0065】
アクチュエータ106と、ケーシング104の第1端部に近接したケーシング104の内面との間に嵌合するように構成される、その第1端部のへり404も、ガイド110は備えている。その結果、ケーシング104の2つの半分が結合されるとき、ケーシング及びアクチュエータ106は、へり404を掴持して、所定位置でガイド110を保持する。
【0066】
ガイド110の第1端部は、器具ケーブル102が通過する孔406を更に含む。
図5A、
図5B及び
図5Cは、連結部材114の斜視図(
図5A)、側面図(
図5B)及び端面図(
図5C)を示す。連結部材114は、回転部材108の内部空洞302のガイド110上に配置され、それが、螺旋ねじ山300の回転によって、ガイド110に沿って軸方向に移動するように、螺旋ねじ山300と係合するように構成される。
【0067】
連結部材114の上縁は、へこんだ螺旋ねじ山300に嵌合するように構成されるピン500を含む。図示した実施形態で、ピン500は、連結部材114の上面から隆起した円筒である。この形状は、へこんだ螺旋ねじ山300との良好な嵌合を常時、確実にして、螺旋ねじ山300による円滑な追従運動を確実にするために、低摩擦を有する。ピン500以外の、連結部材114の上縁は、内部空洞302の表面と適合する湾曲面504を有する。ピン500が螺旋ねじ山300に係合するとき、湾曲面504は内部空洞302の表面に隣接する。この配置は、ピン500が、使用中、常時、へこんだ螺旋ねじ山300内に位置することを確実にするのに役立つ。
【0068】
連結部材114の底縁部は、ガイド110の軌道400に対して平らな表面を提供する。端縁は、ガイド110上の従動部の移動が軸方向に制約されるように、軌道400の溝に適合するように構成される、凸部502も含む。内部空洞302とガイド110の表面と、連結部材114の表面との間の緊密な嵌合は、回転部材108がユーザによって回転するとき、ガイド108に沿った連結部材114の円滑な軸方向運動を確実にするのに役立ち、回転運動または横方向運動も低減する。
【0069】
連結部材114は、器具ケーブル102が通過する、連結部材114の第1側部から第2側部への長手方向路506を更に含む。
【0070】
図6は、遠位回転部材122の斜視図を示す。遠位回転部材122は、螺旋の中央から角度80°の幅で切断した螺旋細片を含む、レーザーカットスリーブである。回転部材122は器具ケーブル102上に嵌合し、器具ケーブル102を把持する端クリップ600によって、ケーブルに固定される。図示した実施形態で、クリップ600は、長さ3mm、内径2.54mm、外径3.048mm、及び壁厚0.254mmである。
【0071】
遠位回転部材122は、3回360度回転し、全長118.5mm(端クリップ600を含む)の螺旋細片を含む。各回転は、ピッチ37.5mmで第1端部から第2端部へ時計回り(
図6に示すように左から右へ)である。
【0072】
図7A及び
図7Bは、遠位連結部材120の端面図(
図7A)及び拡大図(
図7B)を示す。遠位連結部材120は、従動部116の内面に、例えば接着剤で取り付けられる。
【0073】
遠位連結部材120は、遠位回転部材122に係合するように構成される。この点で、遠位連結部材120は、ピッチ長37.5mmを備える、管の中心から角度85°の幅で切断された螺旋切欠き区域700を有する、管または環要素という形状をとる。螺旋は、遠位回転部材122の螺旋に適合するために時計方向に伸びる。図示した実施形態で、遠位連結部材120は、長さ8mm、外径3.2mm、内径2.692mm及び壁厚0.254mmを有する。遠位連結部材120が、遠位連結部材120と器具ケーブル102の間の最小限の摩擦によって、従動部116の軸方向運動に反応して、器具ケーブル102に沿って自由に摺動し、器具ケーブル102を回転させるように遠位回転部材122と係合できることを、これらの測定値は確実にする。これらの測定値は、器具ケーブル102及び遠位回転部材122の寸法によって変化する。例えば、切欠き700のピッチは、遠位回転部材122の螺旋細片のピッチに適合しなければならず、遠位従動部120の壁厚は、器具ケーブル102の直径に従って選択されなければならない。
【0074】
遠位連結部材120の表面部702は、遠位連結部材120を従動部116の内面に取り付けるために、それに塗布した接着剤を有してもよい。
【0075】
切欠き区域700は丸みのある縁704を有し、各角は0.8mmの半径曲線を有する。これは、部品間の摩擦を低減する、遠位回転部材122に沿った遠位連結部材120の円滑な移動を確実にするのに役立つ。
【0076】
図8は、本発明の代替的実施形態による内視鏡のハンドル800の断面図を示す。上述のものと同等の部品は、容易に識別するために同じ参照番号を付与する。
【0077】
ハンドル800は、第1区域802及び第2区域804から形成される。第1区域は、回転部材108、連結部材114及びガイド110を収納する外側ケーシングを含み、そこで連結部材114及びガイド110は、回転部材108内に配置される。回転機構は、第1区域802と第2区域804の間に相対回転が生じることによって作動する。回転部材108は、コネクタ806によって第2区域804に接続してもよく、これに対してガイド110は、第1区域802に対して固定されてもよい。コネクタ806は、第2区域804の相対回転を回転部材108に伝達し、及び2つの区域の相対回転によって壊れない、ハンドル800の第1区域802と第2区域804の間の封止を作成するためのフランジを含む。回転部材108の回転は、
図1~
図7に関して上述したように内視鏡(図示せず)の遠位端で、外科用器具124の回転になる。
【0078】
ハンドル800は、従動部116及び従動部116内の器具ケーブル102の張力/応力を軽減して、これらの要素に損害を与えるのを回避するように構成される、張力緩和部808を含む。ハンドル800は、内視鏡(図示せず)の遠位端に配置した針に生理食塩水チャネルを通過して生理食塩水を注入するための、生理食塩水注入口810を更に含む。針は、内視鏡の端部で外科用器具の一部であり、したがって、ハンドル800の第2区域804の回転によって外科用器具124と共に回転する。針押し812が、ハンドル800の第1区域802に向かって針押し812をスライドさせることによって、第1位置から第2位置へ移動するとき、針押し812は、外科用器具124内の凹部から針を押し出すように構成される。封止814は、生理食塩水が器具チャネルからハンドル800内に流れるのを防ぐために提供される。
【0079】
器具ケーブル102は、アセンブリによる高周波及び/またはマイクロ波周波エネルギーを手術用器具124に転送するように構成される、同軸伝送線を含んでもよい。例えば、電気手術器具は、組織を切断するための高周波(RF)エネルギー、及び/または止血(すなわち血液凝固を促進する)のためのマイクロ波周波エネルギーを供給することができる。したがってQMAコネクタ816は、器具ケーブル102を適切な高周波またはマイクロ波周波エネルギー供給源に接続するために、ハンドル800の背面付近に提供される。
【0080】
図9は、本発明の代替的実施形態の回転機構の遠位端の断面図を示す。上述のものと同等の部品は、容易に識別するために同じ参照番号を付与する。その遠位端で器具チャネルに遠位回転部材122及び他の要素を追加したが原因で、器具チャネルを通過して遠位端から離れる流体の吸引は、より困難になり得る。
【0081】
吸引を改善するために、従動部116は、増大した直径を有する遠位区域900を有してもよい。この遠位区域は、
図9に示すように遠位回転部材122周囲に位置してもよい。器具チャネルを通過する流量を増加させるために、遠位区域900は、従動部116を通って器具チャネル内に入る複数の孔902を備えて提供される。したがって流体は、吸引によって内視鏡100の遠位端から離れる方向に移動するために、器具チャネルにより容易に入ることができる。遠位連結部材120は、それが遠位回転部材122を係合するように、遠位区域902の内部に取り付けられてもよいが、明確にするために
図9から省略した。