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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ロータリーキルン
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/22 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
F27B7/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019002052
(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2020112288
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390008431
【氏名又は名称】高砂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】中村 寿樹
【審査官】川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-075366(JP,A)
【文献】特開2009-014328(JP,A)
【文献】特開2006-284052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 1/00-21/14
F27D 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合体、分離可能な複数の管体を有する炉心管を備え、隣り合う一対の前記管体の開口縁の間に無端環状の連結部が配置されるロータリーキルンであって、
前記開口縁の少なくとも一部は、周方向に対して交差する方向に延在し、
前記連結部は、前記炉心管の軸方向全長(ただし、前記炉心管の軸方向両端の開口を除く)に亘って延在し、
前記管体の内部に対して作業を行う際、合体状態の複数の前記管体を分離し、分離後の前記管体の内部に対して作業を行い、作業後の複数の前記管体を再び合体することを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
さらに、前記連結部に配置されるシールリングを備える請求項1に記載のロータリーキルン。
【請求項3】
さらに、隣り合う一対の前記管体同士を合体、分離可能に連結する連結機構を備え
前記連結機構は、クランプ部材または締結部材である請求項1または請求項2に記載のロータリーキルン。
【請求項4】
さらに、前記炉心管の内部を減圧する減圧部を備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のロータリーキルン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能な炉心管を備えるロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、ロータリーキルンは、自身の軸周りに回転可能な炉心管を備えている。被処理物は、炉心管の内部に配置される。例えば、被処理物が食品、化粧品、医薬品、これらの原料などの場合、炉心管の内部を清浄に保つため、炉心管の内部を洗浄する必要がある。また、炉心管の内部を点検、修理する場合もある。また、炉心管の内部に配置される部品(例えば、炉心管の回転に伴い、内周面に沿って転動する転動部品など)を交換する場合もある。このような炉心管の内部に対する作業は、炉心管の軸方向端の開口を介して、行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-187430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、炉心管の開口縁は周方向だけに延在している。つまり、炉心管の開口は、軸方向だけを向いている。このため、炉心管の内部に対して作業を行いにくい。例えば、炉心管の内周面を洗浄する場合、当該開口を介して、炉心管の外部から内周面に洗浄器具を接近させる必要がある。また、洗浄後の洗い残しをチェックする場合、作業者は、当該開口を介して、炉心管の外部から内周面を目視する必要がある。このように、開口が軸方向だけを向いていると、炉心管の内部に対して作業を行いにくい。そこで、本発明は、炉心管の内部に対して作業を行いやすいロータリーキルンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のロータリーキルンは、合体、分離可能な複数の管体を有する炉心管を備え、隣り合う一対の前記管体の開口縁の間に無端環状の連結部が配置されるロータリーキルンであって、前記開口縁の少なくとも一部は、周方向に対して交差する方向に延在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロータリーキルンの炉心管は、合体、分離可能な複数の管体を備えている。分離後の管体は、炉心管よりも、軸方向長さが短い。このため、管体の内部に対して簡単に作業(洗浄、点検、修理、部品交換など)を行うことができる。また、管体の開口縁の少なくとも一部は、周方向に対して交差する方向に延在している。このため、分離後の管体の内部に対して、簡単に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第一実施形態のロータリーキルンの側面図である。
図2図2は、同ロータリーキルンの炉体の軸方向断面図である。
図3図3は、図2のIII-III方向断面図である。
図4図4は、図3の円IV内の拡大図である。
図5図5は、同ロータリーキルンの炉心管の分解斜視図である。
図6図6は、第二実施形態のロータリーキルンの側面図である。
図7図7(A)~図7(D)は、その他の実施形態(その1~その4)のロータリーキルンの炉心管の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明する。以降の説明において、「軸方向」とは、炉心管の回転軸が延在する方向をいう。また、「周方向」とは、軸方向に対して直交する方向をいう。周方向の中心は回転軸である。また、「径方向」とは、軸方向および周方向(接線方向)に対して直交する方向をいう。径方向の中心は回転軸である(図3図5参照)。
【0009】
<第一実施形態>
(ロータリーキルンの構成)
まず、本実施形態のロータリーキルンの構成について説明する。図1に、本実施形態のロータリーキルンの側面図を示す。図2に、同ロータリーキルンの炉体の軸方向断面図を示す。図3に、図2のIII-III方向断面図を示す。図4に、図3の円IV内の拡大図を示す。図5に、同ロータリーキルンの炉心管の分解斜視図を示す。なお、図1においては、説明の便宜上、加熱部5を断面で示す。図1に示すように、ロータリーキルン1は、炉体2と、支持体9と、を備えている。ロータリーキルン1は、バッチ式のロータリーキルンである。
【0010】
(支持体9)
支持体9は、架台90と、揺動床91と、シリンダ部92と、前後一対のローラー部97F、97Rと、を備えている。架台90は、シリンダ取付部900と、揺動部901と、を備えている。揺動床91は、シリンダ取付部910と、揺動部911と、を備えている。揺動部911は、揺動部901に揺動可能に支持されている。
【0011】
シリンダ部92は、油圧シリンダである。シリンダ部92は、シリンダ取付部900とシリンダ取付部910との間に介装されている。シリンダ部92の伸縮動作により、揺動床91は揺動軸Aを中心に揺動可能である。
【0012】
一対のローラー部97F、97Rは、揺動床91上面に、前後方向に離間して配置されている。ローラー部97Fは、左右一対のローラー970Fを備えている。ローラー部97Rは、左右一対のローラー970Rを備えている。なお、図1に示すのは、左側のローラー970F、970Rである。
【0013】
(炉体2)
炉体2は、炉心部3と、減圧部4と、加熱部5と、を備えている。加熱部5は、ハウジング50と、ヒーター51と、断熱材52と、を備えている。ハウジング50は、揺動床91の上面に配置されている。ハウジング50は、前後一対のローラー部97F、97Rの間に配置されている。断熱材52は、ハウジング50の内面に配置されている。ヒーター51は、断熱材52の内側に配置されている。
【0014】
炉心部3は、炉心管30と、封止部31と、開閉部32と、シールリング33と、クランプ部材34と、を備えている。炉心管30は、前後方向に延在する円筒状を呈している。炉心管30の構成については、後で詳しく説明する。
【0015】
図2に示すように、封止部31は、炉心管30の前側に配置されている。封止部31は、内側部材310と、断熱材311と、外側部材312と、タイヤ313と、を備えている。内側部材310は前側に開口する有底筒状を呈している。内側部材310の底壁(後壁)は、炉心管30の前端(軸方向一端)の開口を封止している。断熱材311は、内側部材310の底壁内面(前面)に積層されている。外側部材312は、内側部材310の径方向外側に配置されている。外側部材312は後側に開口する有底筒状を呈している。タイヤ313は、外側部材312の外周面に環装されている。タイヤ313は、前側のローラー部97Fの左右一対のローラー970Fに載置されている。
【0016】
開閉部32は、炉心管30の後側に配置されている。開閉部32は、内側部材320と、断熱材321と、外側部材322と、タイヤ323と、端板324と、を備えている。内側部材320は後側に開口する有底筒状を呈している。内側部材320の底壁(前壁)は、炉心管30の後端(軸方向他端)の開口を封止している。断熱材321は、内側部材320の底壁内面(後面)に積層されている。外側部材322は、内側部材320の径方向外側に配置されている。外側部材322は円筒状を呈している。タイヤ323は、外側部材322の外周面に環装されている。タイヤ323は、後側のローラー部97Rの左右一対のローラー970Rに載置されている。端板324は、外側部材322の後端の開口を封止している。
【0017】
減圧部4は、真空ポンプ40と、配管41と、を備えている。真空ポンプ40は、揺動床91の上面に配置されている。配管41は、封止部31を貫通している。配管41は、真空ポンプ40と、炉心管30の内部と、を連通している。
【0018】
(炉心管30)
図5に示すように、炉心管30は、前後2つの管体300F、300Rが合体することにより、形成されている。前側の管体300Fの外周面には、部分円環状のフランジ部301Fが配置されている。フランジ部301Fは、周方向に延在している。管体300Fの後側の開口縁302Fは、無端環状であって平面状を呈している。開口縁302Fは、周方向および軸方向に対して、交差する方向に延在している。このため、開口304Fは、軸方向および径方向に対して、交差する方向を向いている。
【0019】
図5に示すように、後側の管体300Rの外周面には、部分円環状のフランジ部301Rが配置されている。フランジ部301Rは、周方向に延在している。管体300Rの前側の開口縁302Rは、無端環状であって平面状を呈している。開口縁302Rは、周方向および軸方向に対して、交差する方向に延在している。このため、開口304Rは、軸方向および径方向に対して、交差する方向を向いている。開口縁302Rには、溝303Rが凹設されている。溝303Rは、開口縁302Rに沿って無端環状に延在している。
【0020】
図2に示すように、開口縁302Fと開口縁302Rとの間には、無端環状の連結部Sが配置されている。連結部Sは、周方向および軸方向に対して、交差する方向に延在している。連結部Sが周方向(図2における上下方向)だけに延在している場合と比較して、図5に示す開口304F、304Rの断面積は拡張されている。図4図5に示すように、シールリング33は、弾性体製であって無端環状を呈している。シールリング33は、溝303Rに配置されている。シールリング33は、開口縁302F、溝303Rの溝底面に弾接している。シールリング33により、連結部Sのシール性が確保されている。
【0021】
図2図5に示すように、フランジ部301は、2つのフランジ部301F、301Rが合体することにより、形成されている。図2図3に示すように、クランプ部材34は、フランジ部301に環装されている。クランプ部材34は、一対の半円部340と、ヒンジ部341と、係合部342と、を備えている。一対の半円部340は、軸方向両側および径方向外側から、フランジ部301に当接している。ヒンジ部341は、一対の半円部340の揺動端340a同士を揺動可能に連結している。図3に矢印Y1で示すように、一対の半円部340は、ヒンジ部341を中心に、揺動可能(開閉可能)である。係合部342は、一対の半円部340の係合端340b同士を係脱可能に連結している。係合部342は、シャフト部342aと、ナット部342bと、を備えている。図3に矢印Y2で示すように、シャフト部342aは、下側(片側)の係合端340bに、揺動可能に配置されている。ナット部342bは、シャフト部342aに、螺動可能に環装されている。
【0022】
(ロータリーキルンの運転時の動き)
次に、本実施形態のロータリーキルンの運転時の動きについて説明する。運転は、投入工程と、熱処理工程と、排出工程と、を有している。投入工程においては、図2に示すように、炉心管30の内部に、被処理物Oを投入する。具体的には、まず、外側部材322に対して、端板324および内側部材320(断熱材321を含む)を後側に引き抜く。次に、炉心管30の内部に、被処理物Oを投入する。それから、端板324および内側部材320(断熱材321を含む)を、外側部材322に挿入する。
【0023】
熱処理工程においては、炉心管30の内部で、被処理物Oに所定の熱処理を施す。具体的には、まず、真空ポンプ40を駆動し、配管41を介して、炉心管30の内部を減圧する。次に、ヒーター51に通電し、炉心管30つまり被処理物Oを加熱する。並びに、ローラー部97F、97Rを駆動し、ローラー970F、970Rを回転させる。すなわち、タイヤ313、323を介して、炉心管30を回転軸Bの軸周りに回転させる。また、図1に示すシリンダ部92により、揺動軸Aを中心に、炉体2を揺動させる。
【0024】
排出工程においては、投入工程と同様に、図2に示すように、外側部材322に対して、端板324および内側部材320(断熱材321を含む)を後側に引き抜く。そして、熱処理後の被処理物Oを、炉心管30の内部から取り出す。
【0025】
(炉心管の内部に対する作業時の動き)
次に、炉心管の内部に対する作業時の動きについて説明する。作業は、分離工程と、作業本体工程と、合体工程と、を有している。分離工程においては、炉心管30からクランプ部材34を取り外し、炉心管30を2つの管体300F、300Rに分離する。具体的には、まず、図2に示すように、炉心部3を、加熱部5、減圧部4から取り外す。次に、封止部31、開閉部32を、炉心管30から取り外す。続いて、図3に示すように、クランプ部材34のシャフト部342aに対してナット部342bを螺動、上昇させる。それから、矢印Y2で示すように、シャフト部342aを上側から右側に揺動させる。そして、矢印Y1で示すように、クランプ部材34を開き、炉心管30からクランプ部材34を取り外す。最後に、図5に示すように、管体300Fと、シールリング33と、管体300Rと、を分離させる。
【0026】
作業本体工程においては、分離後の管体300F、300Rに対して、所定の作業を行う。例えば、管体300F、300Rの内周面を洗浄、点検、修理する。また、管体300F、300R内部に挿入されていた部品を交換する。また、管体300F、300Rをオートクレーブ等の滅菌装置に投入し、滅菌処理を施す。
【0027】
合体工程においては、分離工程と逆の手順により、管体300Fと、シールリング33と、管体300Rと、を合体し、炉心管30を形成し、炉心管30にクランプ部材34を取り付ける。また、炉心管30と封止部31、開閉部32とを合体し、炉心部3を形成し、加熱部5、減圧部4に取り付ける。
【0028】
(作用効果)
次に、本実施形態のロータリーキルンの作用効果について説明する。図5に示すように、ロータリーキルン1の炉心管30は、合体、分離可能な複数の管体300F、300Rを備えている。分離後の管体300F、300Rは、炉心管30よりも、軸方向長さが短い。このため、管体300F、300Rの内部に対して簡単に作業(洗浄、点検、修理、部品交換など)を行うことができる。
【0029】
仮に、図2に示す連結部S(つまり管体300F、300Rの開口縁302F、302R)の延在方向が軸方向だけの場合、径方向外側から管体300F、300Rの内部に簡単に作業を行うことができる。このため、管体300F、300Rの内部に対する作業性が高くなる。しかしながら、無端環状の連結部Sを形成することができない。このため、連結部Sのシール性が低くなる。他方、連結部Sの延在方向が周方向だけの場合、無端環状の連結部Sを形成することができる。このため、連結部Sのシール性が高くなる。しかしながら、径方向外側から管体300F、300Rの内部に簡単に作業を行うことができない。このため、管体300F、300Rの内部に対する作業性が低くなる。
【0030】
この点、本実施形態のロータリーキルン1によると、連結部Sは、周方向および軸方向に対して、交差する方向に延在している。このため、無端環状の連結部Sを形成することができる。したがって、連結部Sのシール性が高くなる。並びに、径方向外側から管体300F、300Rの内部に簡単に作業を行うことができる。このため、管体300F、300Rの内部に対する作業性が高くなる。このように、本実施形態のロータリーキルン1によると、連結部Sの高いシール性と、管体300F、300Rの内部に対する高い作業性と、を両立させることができる。
【0031】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、連結部Sが周方向だけに延在している場合と比較して、図5に示す開口304F、304Rの断面積を広くすることができる。この点においても、管体300F、300Rの内部に対する作業性が高くなる。
【0032】
また、図4図5に示すように、平面状の開口縁302Fと、開口縁302Rの溝303Rと、の間には、シールリング33が介装されている。シールリング33は、開口縁302F、溝303Rに弾接している。このため、連結部Sのシール性が高くなる。また、図4に示すように、開口縁302F(溝303Rに対向している部分を除く)と開口縁302Rとは、全面的に面接触している。このため、連結部Sのシール性が高くなる。
【0033】
また、運転時の熱処理工程においては、図2に示す真空ポンプ40で炉心管30の内部を減圧している。このため、図4に示すシールリング33が、炉心管30の径方向内側から吸引され、開口縁302F、302R同士の継ぎ目に圧接する。このため、連結部Sのシール性が高くなる。
【0034】
また、図2図5に示すように、連結部Sは、炉心管30の軸方向略全長に亘って延在している。このため、開口304F、304Rが径方向を向きやすい。したがって、管体300F、300Rの内部に対する作業性が高くなる。ここで、軸方向「略」全長とは、連結部Sが、管体300Fの前端の開口および管体300Rの後端の開口に到達しないという意味である。連結部Sが、管体300Fの前端の開口および管体300Rの後端の開口に到達すると、無端環状の連結部Sを確保できなくなるからである。
【0035】
また、図2に示すように、連結部Sは平面状(径方向外側から見て直線状)を呈している。このため、連結部Sが曲面状や段差状を呈している場合と比較して(これらの場合も本発明に含まれる)、図4に示す溝303Rにシールリング33を配置しやすい。
【0036】
また、図3に示すように、管体300F、300Rは、クランプ部材34で合体、分離可能に連結されている。このため、作業者は、手動で(工具を用いずに)、管体300F、300Rを合体、分離させることができる。
【0037】
<第二実施形態>
本実施形態のロータリーキルンと、第一実施形態のロータリーキルンとの相違点は、連続式のロータリーキルンとして本発明のロータリーキルンを具現化している点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0038】
図6に、本実施形態のロータリーキルンの側面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図6に示すように、前後一対のローラー部97F、97Rは、固定床93の上面に配置されている。前側の管体300Fの外周面には、タイヤ305Fが環装されている。タイヤ305Fは、前側のローラー部97Fに載置されている。同様に、後側の管体300Rの外周面には、タイヤ305Rが環装されている。タイヤ305Rは、後側のローラー部97Rに載置されている。ローラー部97F、97Rの回転に伴い、炉心管30は、回転軸Bの軸周りに回転する。回転軸Bは、後側(上流側)から前側(下流側)に向かって緩やかに下降している。
【0039】
炉心管30の後端の開口には、投入部94が連結されている。投入部94は、ホッパー940とスクリューフィーダー941とを備えている。炉心管30の前端の開口には、排出部95が連結されている。排出部95は、シュートである。被処理物は、ホッパー940から、スクリューフィーダー941を介して、炉心管30の内部に投入される。炉心管30の内部で所定の熱処理を施された被処理物は、排出部95に排出される。
【0040】
本実施形態のロータリーキルンと、第一実施形態のロータリーキルンとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、連続式のロータリーキルン1として本発明のロータリーキルンを具現化することもできる。
【0041】
<その他>
以上、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0042】
図7(A)~図7(D)に、その他の実施形態(その1~その4)のロータリーキルンの炉心管の側面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図7(A)に示すように、2つの管体300F、300Rに対して、2つ(あるいは2つ以上)のクランプ部材34を配置してもよい。図7(B)に示すように、連結部Sが曲面状(径方向外側から見てS字曲線状)に延在していてもよい。また、連結部Sが、部分的に軸方向だけに延在していてもよい。また、連結部Sが、部分的に周方向だけに延在していてもよい。
【0043】
図7(C)に示すように、連結部Sが炉心管30の軸方向一部(中間部)だけに配置されていてもよい。すなわち、炉心管30における連結部Sの位置、軸方向長さは特に限定しない。
【0044】
図7(D)に示すように、炉心管30が、3つの管体300F、300M、300Rを備えていてもよい。すなわち、炉心管30の有する管体300F、300M、300Rの配置数は特に限定しない。また、径方向外側から見て、2つの連結部Sがテーパ状に配置されていてもよい。具体的には、径方向外側から見て、一方の連結部Sの軸方向一端Cと軸方向他端Dとを結ぶ直線と、他方の連結部Sの軸方向一端Eと軸方向他端Fとを結ぶ直線と、がテーパ状に配置されていてもよい。こうすると、軸方向両側の管体300F、300Rよりも軸方向中央の管体300Mの方が軸方向長さが長いにもかかわらず、管体300Mの内部に対する作業性を高くすることができる。また、管体300F、300M、300Rの配置数が3つ以上の場合、少なくとも2つの管体300F、300M、300Rが本発明のロータリーキルンの管体であればよい。
【0045】
図5に示すシールリング33の配置数は特に限定しない。複数のシールリング33を径方向に並べて配置してもよい。また、シールリング33を配置しなくてもよい。図1図6に示すロータリーキルン1における被処理物Oの加熱方法は特に限定しない。例えば、被処理物Oを炉心管30の外部から加熱する外熱式であってもよい。また、被処理物Oを炉心管30の内部から加熱する内熱式であってもよい。図4に示すように、径方向断面において、連結部Sが、径方向に対して交差する方向に延在していてもよい。また、連結部Sが、径方向に延在していてもよい。また、図4に示す溝303Rを開口縁302Fに配置してもよい。すなわち、溝303Rは、開口縁302F、302Rのうち、少なくとも一方に配置すればよい。
【0046】
図3に示す管体300F、300Rの連結機構は特に限定しない。クランプ部材34を配置しなくてもよい。例えば、図5に示す管体300Fのフランジ部301Fと、管体300Rのフランジ部301Rと、が締結部材(例えば、ボルトおよびナット)により、合体、分離可能に連結されていてもよい。
【0047】
図1図6に示すロータリーキルン1が、多重管状に配置される複数の炉心管30を備えていてもよい。例えば、ロータリーキルン1が二重管状に2つの炉心管30(内管、外管)を備えている場合、少なくとも一つの炉心管30が本発明のロータリーキルンの炉心管であればよい。
【0048】
図3に示す炉心管30の形状は特に限定しない。真円管状や多角形管状(四角形管状、五角形管状、六角形管状など)であってもよい。被処理物Oの種類は特に限定しない。食品、化粧品、医薬品、これらの原料などであってもよい。また、電池材料、廃棄物などであってもよい。特に、本発明のロータリーキルンは、炉心管の内部に対する作業(例えば洗浄)が容易である。このため、清浄性が要求される食品、化粧品、医薬品、これらの原料や、コンタミネーションを嫌う電池材料等に用いるのに好適である。
【0049】
ロータリーキルン1の種類は特に限定しない。バッチ式、連続式であってもよい。炉心管30の材質は特に限定しない。金属、セラミック、カーボン、石英などであってもよい。また、複数の管体300F、300Rの材質は、同一でも異なっていてもよい。炉心管30の内部の雰囲気は特に限定しない。例えば、真空雰囲気、大気雰囲気、水素雰囲気、酸素雰囲気、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)雰囲気、加圧雰囲気、不活性ガス加圧雰囲気などであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1:ロータリーキルン、2:炉体、3:炉心部、4:減圧部、5:加熱部、9:支持体、30:炉心管、31:封止部、32:開閉部、33:シールリング、34:クランプ部材、40:真空ポンプ、41:配管、50:ハウジング、51:ヒーター、52:断熱材、90:架台、91:揺動床、92:シリンダ部、93:固定床、94:投入部、95:排出部、97F:ローラー部、97R:ローラー部、300F:管体、300R:管体、300M:管体、301:フランジ部、301F:フランジ部、301R:フランジ部、302F:開口縁、302R:開口縁、303R:溝、304F:開口、304R:開口、305F:タイヤ、305R:タイヤ、310:内側部材、311:断熱材、312:外側部材、313:タイヤ、320:内側部材、321:断熱材、322:外側部材、323:タイヤ、324:端板、340:半円部、340a:揺動端、340b:係合端、341:ヒンジ部、342:係合部、342a:シャフト部、342b:ナット部、900:シリンダ取付部、901:揺動部、910:シリンダ取付部、911:揺動部、940:ホッパー、941:スクリューフィーダー、970F:ローラー、970R:ローラー、A:揺動軸、B:回転軸、O:被処理物、S:連結部
図1
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図3
図4
図5
図6
図7