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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】光照射装置とワイヤレスマイクロホン
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/114 20130101AFI20230309BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20230309BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230309BHJP
   G02B 27/10 20060101ALI20230309BHJP
   H04B 10/50 20130101ALI20230309BHJP
【FI】
H04B10/114
H04R1/06 320
H04R1/02 106
G02B27/10
H04B10/50
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019013793
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020123797
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 圭吾
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-093835(JP,A)
【文献】特表2016-507959(JP,A)
【文献】特開2019-009794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0286653(US,A1)
【文献】特開平10-135915(JP,A)
【文献】特開2008-136178(JP,A)
【文献】特開2009-130803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/114
H04R 1/06
H04R 1/02
G02B 27/10
H04B 10/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を複数の分割光に分割する分割部と、
前記分割部からの前記複数の分割光を反射する反射部と、
を有してなり、
前記分割部は、
第1分割部と、
第2分割部と、
を備え、
前記第1分割部は、
前記光源からの前記光を複数の第1分割光に分割して、
第1方向に配列される複数の凹凸により構成される第1入射面、
を備え、
前記第2分割部は、
前記第1分割光のそれぞれを複数の第2分割光に分割して、
第2方向に配列される複数の凹凸により構成される第2入射面、
を備え、
前記第1方向は、前記第2方向とは異なる、
ことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記第1方向は、前記第2方向と直交する、
請求項記載の光照射装置。
【請求項3】
前記分割部は、シート状部材で第1面と第2面とを備え、
前記光源からの前記光は、前記第1面に入射し、
前記複数の分割光は、前記第2面から射出する、
請求項1記載の光照射装置。
【請求項4】
前記反射部は、前記複数の分割光を反射する反射面、
を備える、
請求項1記載の光照射装置。
【請求項5】
前記分割部は、前記光源からの前記光を4つの前記分割光に分割し、
前記反射面は、前記分割光のそれぞれに対応する個別反射面、
を備える、
請求項記載の光照射装置。
【請求項6】
前記反射部は、前記分割光のそれぞれの一部を透過する、
請求項1記載の光照射装置。
【請求項7】
前記反射部が反射した前記複数の分割光を拡散する拡散部、
を有してなる、
請求項1記載の光照射装置。
【請求項8】
前記分割部は、
第3分割部、
を備え、
前記第3分割部は、前記第2分割光のそれぞれを複数の第3分割光に分割する、
請求項記載の光照射装置。
【請求項9】
前記第3分割部は、
第1シート状部材と、
第2シート状部材と、
を備え、
前記第1シート状部材は、
第3方向に配列される複数の凹凸により構成されて前記第2分割光の一部が入射する第3入射部、
を備え、
前記第2シート状部材は、
第4方向に配列される複数の凹凸により構成されて前記第2分割光の一部が入射する第4入射部、
を備え、
前記第3方向は、前記第4方向とは異なる、
請求項記載の光照射装置。
【請求項10】
前記第1シート状部材は、前記第2シート状部材と交差して配置され、
前記第3入射部は、前記第4入射部には重ならない、
請求項記載の光照射装置。
【請求項11】
前記第3方向は、前記第4方向と直交する、
請求項記載の光照射装置。
【請求項12】
前記第3方向および前記第4方向は、前記第1方向および前記第2方向と異なる、
請求項記載の光照射装置。
【請求項13】
前記光源は、レーザダイオードである、
請求項1記載の光照射装置。
【請求項14】
音源からの音波を収音して音声信号を生成するマイクロホンユニットと、
前記音声信号に応じた光を生成して照射する光照射装置と、
を有してなり、
前記光照射装置は、請求項1記載の光照射装置である、
ことを特徴とするワイヤレスマイクロホン。
【請求項15】
前記光源への電力を蓄える蓄電部と、
前記蓄電部への前記電力を受け取る受電端子と、
を有してなり、
前記受電端子は、前記反射部に対して、前記光源と反対側に配置され、
前記反射部は、前記複数の分割光のそれぞれの一部を透過し、
前記反射部を透過した前記一部の分割光は、前記受電端子に入射しない、
請求項14記載のワイヤレスマイクロホン。
【請求項16】
前記反射部を収容する放射ケースを有してなり、
前記放射ケースは、
前記反射部が反射した前記複数の分割光を拡散させる、
請求項14記載のワイヤレスマイクロホン。
【請求項17】
前記放射ケースは、円筒状で、前記反射部が反射した前記複数の分割光を拡散する拡散部
を備え、
前記拡散部は、前記放射ケースの内周面に配置される、
請求項16記載のワイヤレスマイクロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置とワイヤレスマイクロホンとに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線通信を用いてアンプやミキサーなどの外部装置へ音声信号を送信するワイヤレスマイクロホン(以下「マイクロホン」という。)は、主に室内でのカラオケや会議、講演、講義などにおいて使用される。
【0003】
一般的に、赤外線通信を用いたマイクロホンは、収音した音声に応じた音声信号を生成する電気音響変換器と、光源(例えば、LED(Light Emitting Diode))から出力される赤外線により音声信号を送信する送信部と、を有してなる。送信部から出力される赤外線は、屋内の壁や天井に配置される受光器に受信される。赤外線を受光した受光器は、赤外線から変換された音声信号を、復調器などの外部装置に伝送する。
【0004】
使用者がマイクロホンを把持して使用する場合、マイクロホンの姿勢は、使用者によるマイクロホンの持ち方や、マイクロホンの使用態様による回転や傾斜などにより変化する。そのため、マイクロホンの姿勢によっては、マイクロホンは、光源の向き(光源から出力される赤外線の送信方向(進行方向))が受光器以外の方向を向く場合がある。その場合、赤外線が受光器に到達せず、受光器がマイクロホンからの赤外線を受光できない。その結果、マイクロホンと受光器との間の赤外線通信は、途切れる(赤外線通信は安定しない)。
【0005】
これまでにも、マイクロホンの姿勢(光源の向き)に関わらず、マイクロホンと受光器との間の赤外線通信を安定させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に開示されたマイクロホンは、複数のLED(複数の光源)を用いた光照射装置を備える。光照射装置は、複数のLEDがリング状に等間隔に配列されているため、全てのLEDから出力される赤外線を、光照射装置の周方向に均一に送信する。その結果、マイクロホンの姿勢に関わらず、いずれかのLEDから出力された赤外線が受光器に受光されるため、安定した赤外線通信が実現される。
【0007】
しかし、光照射装置に複数のLEDを用いる場合、赤外線通信に消費される消費電流の多さ(消費電力の大きさ)が問題となる。そこで、複数のLEDを用いる場合よりも少ない消費電流(小さい消費電力)で、赤外線を光照射装置の周方向に均一に出力する(送信する)構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
特許文献2に開示された光照射装置は、1つのレーザダイオードや、円錐状の反射部、などの構成部材を備える。レーザダイオードは、レーザダイオードから出力されるレーザ光の光軸が反射部の軸(頂点)と同軸になるように、反射部に対して配置される。レーザダイオードから出力されたレーザ光は、円錐状の反射部に入射し、その後、反射部で反射されてリング状に拡がる。その結果、レーザ光は、光照射装置の周方向に均一に出力される。
【0009】
しかし、レーザダイオードから出力されるレーザ光の光軸が反射部の軸と同軸になるようにレーザダイオードと反射部とを配置するためには、レーザダイオードと反射部との極めて正確な位置精度が必要となる。すなわち、レーザダイオードから出力されるレーザ光の光軸が反射部の軸に対してずれや傾きを生じさせない位置精度が必要となる。そのため、光照射装置の組立ての際や、光照射装置の使用時の落下などの衝撃が発生した際に、光照射装置の構成部材同士にずれや傾きが生じると、レーザ光は、光照射装置の周方向に均一に出力されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平9-51279号公報
【文献】特開平9-230281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、光照射装置の構成部材同士にずれや傾きが生じても、光源からの光を光照射装置の周方向に均一に出力させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる光照射装置は、光源と、光源からの光を複数の分割光に分割する分割部と、分割部からの複数の分割光を反射する反射部と、を有してなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光照射装置の構成部材同士にずれや傾きが生じても、光源からの光を光照射装置の周方向に均一に出力させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかるワイヤレスマイクロホンの実施の形態を示す正面図である。
図2図1のワイヤレスマイクロホンの機能ブロック図である。
図3図1のワイヤレスマイクロホンが備える光照射装置を模式的に示す部分拡大模式図である。
図4図3の光照射装置が備える分割部を模式的に示す模式平面図である。
図5図4の分割部が備える第1分割部が光を分割する様子を模式的に示す第1分割部の模式断面図である。
図6図4の分割部が備える第1分割部が光を分割する様子を模式的に示す第1分割部の模式斜視図である。
図7図4の分割部により分割された光が、図4の光照射装置が備える反射部に導かれている様子を示す斜視図である。
図8図7の反射部により反射される光の光軸方向を模式的に示す模式平面図である。
図9図3の光照射装置が備える発光部からの光の光軸の方向を仮想球体の中心軸とする仮想球体を、0度を基準に180度の位置から展開した仮想円における、反射部で反射された光と反射部を透過した光の放射強度の分布を示す図である。
図10図7の反射部で反射された光と、反射部を透過した光と、の光軸に対する角度と放射強度との関係を示すグラフである。
図11図7の反射部で反射された光と、反射部を透過した光と、の光軸に対する角度と放射強度との別の関係を示すグラフである。
図12】本発明にかかるワイヤレスマイクロホンが備える光照射装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図13図12の光照射装置が備える分割部を模式的に示す模式平面図である。
図14図13の分割部が備える第3分割部を模式的に示す模式平面図である。
図15図12の光照射装置が備える発光部からの光の光軸の方向を仮想球体の中心軸とする仮想球体を、0度を基準に180度の位置から展開した仮想円における、反射部により反射および透過する光の放射強度の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる光照射装置とワイヤレスマイクロホン(以下「マイクロホン」という。)との実施の形態について説明する。
【0016】
●ワイヤレスマイクロホン(1)●
●ワイヤレスマイクロホン(1)の構成
図1は、本発明にかかるワイヤレスマイクロホンの実施の形態を示す正面図である。
図2は、マイクロホン1の機能ブロック図である。
マイクロホン1は、音源(不図示)からの音波を収音し、音波に応じた音声信号を生成し、音声信号を出力する。マイクロホン1は、例えば、室内において、赤外線通信を用いて音声信号を送信する、いわゆるハンドヘルド型のワイヤレスのマイクロホンである。マイクロホン1は、使用時、マイクロホン1の使用者に把持される。
【0017】
マイクロホン1は、グリップ筐体10と、ヘッドケース11と、放射ケース12と、ドライバユニット13と、変調部14と、発光部15と、分割部16と、反射部17と、制御部18と、受電端子19と、蓄電部20と、回路基板21と、を有してなる。ここで、発光部15と、分割部16と、反射部17とは、本発明にかかる光照射装置を構成する。光照射装置については、後述する。
【0018】
以下の説明において、「下方」は、マイクロホン1の姿勢に関わらず、ヘッドケース11から放射ケース12に向かう方向(図1における紙面下側の方向)である。
【0019】
グリップ筐体10は、変調部14と、発光部15と、制御部18と、蓄電部20と、回路基板21と、を収容すると共に、マイクロホン1のグリップ(把持部)として機能する。グリップ筐体10は、例えば、アルミニウム合金などの金属製である。グリップ筐体10は、両端(一端と他端)が開口する円筒状である。
【0020】
ヘッドケース11は、ドライバユニット13を収容して、ドライバユニット13を埃や風などから保護する。ヘッドケース11は、グリップ筐体10の一端に取り付けられる。
【0021】
放射ケース12は、分割部16と、反射部17と、受電端子19と、を収容すると共に、反射部17により反射された光をマイクロホン1の外部に放射する。
【0022】
図3は、光照射装置を模式的に示す部分拡大模式図である。
同図は、マイクロホン1の内部に光照射装置が配置されていることを示し、光照射装置が照射する光の進行方向を実線矢印で示す。
【0023】
放射ケース12は、一端が開口する有底円筒状で、筒状部121と、底部122と、拡散部(不図示)と、備える。放射ケース12の開口端は、グリップ筐体10の他端に取り付けられる。放射ケース12は、光(赤外線)を透過させる、例えば、ポリカーボネートなどの合成樹脂である。
【0024】
拡散部は、反射部17が反射した複数の光を拡散する。拡散部は、例えば、筒状部121の内周面全体に配置された、梨地状の表面処理が施された面(不図示)である。表面処理が施された面は、微小な凸凹を有する。反射部17により反射された光は、梨地状の微小な凸凹で屈折して、拡散されて放射される。すなわち、放射ケース12は、反射部17で反射された光を拡散させて、マイクロホン1の外部に放射する。
【0025】
なお、拡散部は、光を拡散してマイクロホンの外部に放射することができればよく、筒状部の内周面全体に配置される構成に限定されない。すなわち、例えば、拡散部は、反射部で反射された複数の光のそれぞれに対応する位置に配置される構成でもよい。また、拡散部は、筒状部の内周面と外周面との両面、あるいは、筒状部の外周面のみに配置される構成でもよい。
【0026】
図2に戻る。
ドライバユニット13は、音源からの音波を収音して、音波に応じた音声信号を生成して出力する。ドライバユニット13は、例えば、単一指向性のダイナミック型マイクロホンユニットである。ドライバユニット13は、本発明におけるマイクロホンユニットの例である。ドライバユニット13は、ヘッドケース11に収容される。ドライバユニット13からの音声信号は、変調部14に出力される。
【0027】
変調部14は、ドライバユニット13からの音声信号に基づいて、発光部15から出力される光(赤外線)の周波数や強度を変調する変調信号を生成する。変調部14の変調方式は、例えば、周波数変調(FM)方式である。変調部14は、例えば、公知の変調回路である。変調部14は、回路基板21に実装される。変調部14からの変調信号は、発光部15に出力される。
【0028】
発光部15は、変調部14からの変調信号に基づいて発光し、音声信号を搬送する光(赤外線)を生成して発光(出力)する。すなわち、発光部15は、変調部14を介してドライバユニット13からの音声信号に応じた光(赤外線信号)を生成して出力する。発光部15は、本発明における光源の例である。発光部15は、例えば、赤外線帯域(例えば、840nm±10nm)の波長の赤外線を出力する1つのレーザダイオードである。発光部15は、回路基板21に接続されて、回路基板21を介して蓄電部20からの電源の供給を受ける。
【0029】
図3に戻る。
発光部15は、グリップ筐体10の他端側に収容され、発光部15からの光Lの光軸Ax上に反射部17の中心軸(頂点)が位置するようにグリップ筐体10内の支持部(不図示)に支持されて、マイクロホン1内に配置される。発光部15からの光Lは、光軸Axに対して所定の拡がり角を有する光束である。
【0030】
分割部16は、発光部15からの光Lを複数の分割光L1に分割して、複数の分割光L1のそれぞれを反射部17に射出する(導く)。分割部16は、発光部15と反射部17との間(発光部15からの光Lの光路中)に配置されて放射ケース12内の支持部(不図示)に支持される。分割部16は、例えば、ポリカーボネートやアクリルなどの合成樹脂製のシート状部材である。分割部16は、複数の個別分割部(第1分割部161,第2分割部162)を備える。個別分割部のそれぞれは、分割部16に入射した光Lを複数の分割光L1に分割する。
【0031】
ここで、以下の説明において、個別分割部のそれぞれを区別して説明する必要がないとき、それぞれを「分割部16」と総称する。同様に、複数の分割光のそれぞれを区別して説明する必要がないとき、それぞれを「分割光L1」と総称する。
【0032】
図4は、分割部16を模式的に示す模式平面図である。
同図は、個別分割部が交差して、上下方向(図1の紙面上下方向)に重ねて配置されていることを示す。また、同図の太い破線は後述する凹凸における頂部の配置位置(配列)を示し、細い破線は後述する凹凸における底部の配置位置(配列)を示す。
【0033】
第1分割部161は、発光部15からの光Lを異なる方向に向かう複数の第1分割光L11a(図5参照)と第1分割光L11b(図5参照)とに分割して、第1分割光L11aと第1分割光L11bとを第2分割部162に射出する(導く)。第1分割部161は、平面視長方形状である。第1分割部161は、第1面161aと第2面161b(図5参照)とを備える。
【0034】
図5は、第1分割部161が光Lを分割する様子を模式的に示す第1分割部161の模式断面図である。
同図は、発光部15からの光Lが第1分割部161を通過するときの様子を示し、光Lの進行方向を一点鎖線で示す。同図は、説明の便宜上、第1分割部161に入射する発光部15からの光Lを平行光として示す。
【0035】
第1面161aは、発光部15からの光Lが入射する面である。第1面161aには、複数の凸部161pがそれぞれ平行に配列される(配置される)。複数の凸部161pのそれぞれは、例えば、一方向に延在する複数の三角形状のプリズムにより構成される凸である。複数の凸部161pのそれぞれは、例えば、50μmピッチで第1面161aに配列される。第1面161aは、本発明における第1入射面の例である。複数の凸部161pと、隣接する凸部161pの間の凹部と、で構成される凹凸は、本発明における凹凸の例である。複数の凹凸で構成される第1面161aは、プリズム面(凹凸面)を構成する。第1分割部161において、複数の凹凸のそれぞれが配列される方向は、本発明における第1方向である。すなわち、第1方向は、図4において、紙面左右方向である。
【0036】
第2面161bは、第1面161aに入射した光Lを第2分割部162に向けて射出する(導く)面である。第2面161bは、第1面161aとは反対側の面(第1面161aの裏面)である。
【0037】
図6は、第1分割部161が光Lを分割する様子を模式的に示す第1分割部161の模式斜視図である。
同図は、発光部15からの光Lが第1分割部161により2つの第1分割光L11に分割された様子を示す。同図において、第1分割部161の凸部161pの図示は、省略されている。
【0038】
発光部15からの光Lが第1面161aに入射したとき、第1面161aに入射した光Lは、プリズム面(凹凸面)で屈折して、2つの第1分割光L11(第1分割光L11a、第1分割光L11b)に分割される。第1分割光L11のぞれぞれは、第2面161b(図5参照)から第2分割部162の第1面162a(図4参照)に向けて射出される。
【0039】
図5に戻る。
ここで、第1分割光L11aの射出方向と第1分割光L11bの射出方向との成す角(分割光L1の曲げ角)θは、凸部161pの角度(プリズム角度)αが小さいほど大きくなる。第1分割光L11aの射出方向と第1分割光L11bの射出方向との成す角θは、第1面161aのプリズム面に対する発光部15からの光Lの入射位置がずれても変わらない。すなわち、例えば、発光部15からの光Lが第1面161aのプリズム面のいずれの部分に入射したとしても、第1分割光L11aの射出方向と第1分割光L11bの射出方向との成す角θは、変わらない。
【0040】
ここで、凸部161pの角度αは、第1分割部161と第2分割部162との間隔(距離)と、第1分割光L11aと第1分割光L11bとの第2分割部162への入射角と、の関係、換言すれば、第1分割部161に対する第2分割部162の配置位置によって、適宜設定される。つまり、凸部161pの角度αは、第1分割光L11aの射出方向と第1分割光L11bの射出方向との成す角θが所望の角度になるように設定される。
【0041】
図7は、発光部15からの光Lが第1分割部161と第2分割部162とにより分割されて、分割された光Lが反射部17に導かれている様子を示す斜視図である。
同図において、第1分割光L11と、複数の凸部161p,162pと、の図示は、省略されている。
【0042】
第2分割部162は、第1分割部161により分割された第1分割光L11a(図6参照)と第1分割光L11b(図6参照)それぞれを、異なる方向に向かう2つの第2分割光L12に分割して、4つの第2分割光L12を反射部17に射出する(導く)。すなわち、第2分割部162は、第1分割光L11aを第2分割光L12aと第2分割光L12bとに分割し、第1分割光L11bを第2分割光L12cと第2分割光L12dとに分割して、第2分割光L12aと第2分割光L12bと第2分割光L12cと第2分割光L12dとを反射部17に射出する(導く)。つまり、分割部16は、発光部15からの光Lを第1分割部161と第2分割部162とを介して、4つの第2分割光L12に分割する。
【0043】
図4に戻る。
第2分割部162の構成は、第1分割部161の構成と共通する。すなわち、第2分割部162は、平面視長方形状で、第1面162aと第2面(不図示)とを備える。第1面162aは、第1分割部161の第2面161bからの分割光L1(第1分割光L11)が入射する面である。第1面162aには、複数の凸部162pがそれぞれ平行に配列される(配置される)。第1面162aは、本発明における第2入射面の例である。複数の凸部162pと、隣接する凸部162pの間の凹部と、で構成される凹凸は、本発明における凹凸の例である。複数の凹凸で構成される第1面162aは、プリズム面(凹凸面)を構成する。第2分割部162において、複数の凹凸のそれぞれが配列される方向は、本発明における第2方向である。すなわち、第2方向は、図4において、紙面上下方向である。
【0044】
第2分割部162は、第1分割部161と反射部17との間に配置されると共に、第1分割部161との間に隙間を空けて配置される。第2分割部162は、第1分割部161の下方に配置される。また、第2方向は、第1方向と直交する。つまり、第2方向は、第1方向と異なる。
【0045】
ここで、凸部162pの角度は、第2分割部162と反射部17との間隔(距離)と、4つの第2分割光L12と、反射部17の後述する反射面172への入射角と、の関係、換言すれば、第2分割部162に対する反射部17の配置位置によって、適宜設定されている。つまり、凸部162pの角度は、第2分割光L12aの射出方向と第2分割光L12bの射出方向との成す角、および、第2分割光L12cの射出方向と第2分割光L12dの射出方向との成す角それぞれが所望の角度になるように設定される。
【0046】
図3図7とに戻る。
反射部17は、分割部16からの複数の分割光L1の一部を反射させると共に、分割部16からの複数の分割光L1の一部を透過させて、反射部17により反射および透過(以下「反射等」という。)された複数の分割光L1を放射ケース12に導く。反射部17は四角錐状で、底面を除く4面は、第2分割部162により分割された第2分割光L12(第2分割光L12a,第2分割光L12b,第2分割光L12c,第2分割光L12d)を反射等させる。反射部17は、分割部16の下方に配置されて、放射ケース12内の支持部(不図示)に支持される。反射部17と分割部16との間隔は、第2分割部162により分割された第2分割光L12のそれぞれが反射部17を透過したときに、反射部17を透過した第2分割光L12のそれぞれが受電端子19に入射しない(受電端子19で遮蔽されない)ように設定されている。
【0047】
反射部17は、台座部171と反射面172とを備える。反射部17は、台座部171の表面の一部に反射膜が蒸着されて構成される。
【0048】
台座部171は、反射面172を透過した複数の第2分割光L12のそれぞれを透過させる。反射面172を透過した複数の第2分割光L12のそれぞれは、台座部171の内部を屈折しながら透過する。台座部171は四角錐状で、例えば、ポリカーボネートなどの透光性を有する合成樹脂製である。
【0049】
反射面172は、第2分割光L12の一部を反射させ、第2分割光L12の一部を透過させる、反射部17の表面である。反射面172は、例えば、台座部171の表面に透過率20%の半透過膜を蒸着などの処理が施されたハーフミラー(マジックミラー)である。半透過膜は、台座部171の底面を除く4面に蒸着される。半透過膜は、例えば、アルミニウムや、銀、ニッケルなどの金属などの光半透過膜などである。すなわち、反射部17は、半透過膜に入射した第2分割光L12の80%を反射して、半透過膜に入射した第2分割光L12の20%を透過する。
【0050】
なお、反射部の透過率は、20%に限定されない(反射率は80%に限定されない)。すなわち、例えば、反射部は分割部からの複数の分割光を均一に反射等させることができれば、透過率と反射率とは、任意の率でよい。
【0051】
反射面172の底面を除く各面は、複数の第2分割光L12のそれぞれに対応する個別反射面(個別反射面172a、個別反射面172b、個別反射面172c、個別反射面172d)として機能する。すなわち、反射部17は、各個別反射面172a-172dそれぞれで、対応する第2分割光L12a-L12dの一部を反射させて筒状部121に向けて導くと共に、対応する第2分割光L12a-L12dの一部を透過させて底部122に導く。
【0052】
なお、台座部は第2分割光の一部を透過させることができればよく、台座部の材質はポリカーボネートなどの合成樹脂製に限定されない。すなわち、例えば、台座部の材質は、透光性部材であればよい。
【0053】
また、台座部は各反射面それぞれから対応する第2分割光の一部を透過させて放射ケースの底部に導くことができればよく、台座部の形状は有底の台座部でも無底の台座部でもよい。
【0054】
さらに、台座部は第2分割光の一部を透過させることができればよく、台座部の構成は中実状や、反射面に沿った均等肉厚の構成でもよい。
【0055】
さらにまた、反射面は第2分割光の一部を反射させて、一部を透過させることができればよく、反射面の構成はハーフミラーに限定されない。すなわち、例えば、反射面の構成は、印加される電圧により反射と透過とを調光する調光ミラーや、拡散ミラーや、台座部に金属膜を転写する構成などでもよい。
【0056】
図2に戻る。
制御部18は、マイクロホン1全体の動作を制御する。制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの半導体メモリ素子と、により構成される。制御部18は、回路基板21に実装される。
【0057】
受電端子19は、蓄電部20への電力(蓄電部20に蓄電される電力)を、充電器(不図示)から受け取る(受電する)。受電端子19の大きさは、反射部17の底面積よりも小さい。受電端子19は、放射ケース12内において、後述するように、反射部17を透過した光L(第2分割光L12a-L12d)が入射しないように、反射部17の下方に配置される。すなわち、受電端子19は、反射部17に対して、発光部15と反対側に配置される(図3参照)。受電端子19の一部は、底部122から放射ケース12の外部(マイクロホン1の外部)に露出する。
【0058】
蓄電部20は、受電端子19からの電力を蓄える(充電する)と共に、回路基板21を介して、発光部15と制御部18とに電力を供給する。蓄電部20は、発光部15と制御部18とへ供給する電力を蓄える。蓄電部20は、例えば、ニッケル水素充電池などの充電池である。
【0059】
回路基板21は、例えば、変調部14や制御部18などを実装する。回路基板21は、蓄電部20に接続されて、蓄電部20からの電力の供給を受ける。
【0060】
ここで、前述したとおり、発光部15と、分割部16と、反射部17とは、光照射装置を構成する。すなわち、マイクロホン1は、光照射装置を備える。光照射装置は、ドライバユニット13からの音声信号に応じた光(赤外線信号)を生成して照射(出力)する。
【0061】
●ワイヤレスマイクロホン(1)の動作
次に、マイクロホン1の動作について、図2図6図7とを参照しながら説明する。
【0062】
先ず、発光部15は、変調部14を介してドライバユニット13からの音声信号に応じた光Lを生成して照射(出力)する。
【0063】
次いで、発光部15からの光Lは、第1分割部161の第1面161a(第1入射面)に入射する。発光部15からの光Lは、第1分割部161を通過する際、第1分割部161のプリズム面で屈折して、第1分割光L11aと第1分割光L11bとに分割される。第1分割光L11aと第1分割光L11bとは、第2面161bから射出されて、第2分割部162の第1面162a(第2入射面)に入射する。
【0064】
第1分割光L11aは、第2分割部162を通過する際、第2分割部162のプリズム面で屈折して、第2分割光L12aと第2分割光L12bとに分割される。第2分割光L12aは第2面(不図示)から個別反射面172aに向けて射出され(導かれ)、第2分割光L12bは第2面(不図示)から個別反射面172bに向けて射出される(導かれる)。
【0065】
同様に、第1分割光L11bは、第2分割部162を通過する際、第2分割部162のプリズム面で屈折して、第2分割光L12cと第2分割光L12dとに分割される。第2分割光L12cは第2面(不図示)から個別反射面172cに向けて射出され(導かれ)、第2分割光L12dは第2面(不図示)から個別反射面172dに向けて射出される(導かれる)。
【0066】
次いで、第2分割部162から射出された第2分割光L12aは、個別反射面172aに入射する。個別反射面172aに入射した第2分割光L12aの一部は第1光軸方向D1(図8参照)に反射し、個別反射面172aにより反射された第2分割光L12aは放射ケース12の拡散部(不図示)により拡散されて筒状部121からマイクロホン1の外部に放射される。第1光軸方向D1は、個別反射面172aにより反射された第2分割光L12aが導かれる方向である。一方、個別反射面172aに入射した第2分割光L12aの一部は、反射部17の内部を屈折しながら透過する。反射部17を透過した第2分割光L12aは、受電端子19の側方を通過し、放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される。
【0067】
同様に、第2分割部162から射出された第2分割光L12bは、個別反射面172bに入射する。個別反射面172bに入射した第2分割光L12bの一部は第2光軸方向D2(図8参照)に反射し、個別反射面172bにより反射された第2分割光L12bは放射ケース12の拡散部により拡散されて筒状部121からマイクロホン1の外部に放射される。第2光軸方向D2は、個別反射面172bにより反射された第2分割光L12bが導かれる方向である。一方、個別反射面172bに入射した第2分割光L12bの一部は、反射部17の内部を屈折しながら透過する。反射部17を透過した第2分割光L12bは、受電端子19の側方を通過し、放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される。
【0068】
同様に、第2分割部162から射出された第2分割光L12cは、個別反射面172cに入射する。個別反射面172cに入射した第2分割光L12cの一部は第3光軸方向D3(図8参照)に反射し、個別反射面172cにより反射された第2分割光L12cは放射ケース12の拡散部により拡散されて筒状部121からマイクロホン1の外部に放射される。第3光軸方向D3は、個別反射面172cにより反射された第2分割光L12cが導かれる方向である。一方、個別反射面172cに入射した第2分割光L12cの一部は、反射部17の内部を屈折しながら透過する。反射部17を透過した第2分割光L12cは、受電端子19の側方を通過し、放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される。
【0069】
同様に、第2分割部162から射出された第2分割光L12dは、個別反射面172dに入射する。個別反射面172dに入射した第2分割光L12dの一部は第4光軸方向D4(図8参照)に反射し、個別反射面172dにより反射された第2分割光L12dは放射ケース12の拡散部により拡散されて筒状部121からマイクロホン1の外部に放射される。第4光軸方向D4は、個別反射面172dにより反射された第2分割光L12dが導かれる方向である。一方、個別反射面172dに入射した第2分割光L12dの一部は、反射部17の内部を屈折しながら透過する。反射部17を透過した第2分割光L12dは、受電端子19の側方を通過し、放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される。
【0070】
このように、反射部17(個別反射面172a-172d)により反射された第2分割光L12a-L12dそれぞれと、反射部17(台座部171)を透過した第2分割光L12a-L12dそれぞれとは、異なる方向に導かれる。
【0071】
図8は、反射部17により反射される光の光軸方向を模式的に示す模式平面図である。同図の矢印は、光軸Axの軸方向視における第1光軸方向D1と第2光軸方向D2と第3光軸方向D3と第4光軸方向D4それぞれの向きを示す。
【0072】
後述するように、第1光軸方向D1と第2光軸方向D2とが成す角度は、光軸Axの軸方向視において、約90度である。同様に、第1光軸方向D1と第4光軸方向D4とが成す角度は、光軸Axの軸方向視において、約90度である。第2光軸方向D2と第3光軸方向D3とが成す角度は、光軸Axの軸方向視において、約90度である。第3光軸方向D3と第4光軸方向D4とが成す角度は、光軸Axの軸方向視において、約90度である。すなわち、第1光軸方向D1と第2光軸方向D2とが成す角度は、第1光軸方向D1と第4光軸方向D4とが成す角度と、第2光軸方向D2と第3光軸方向D3とが成す角度と、第3光軸方向D3と第4光軸方向D4とが成す角度それぞれと等しい。
【0073】
●ワイヤレスマイクロホン(1)の奏する効果
次に、マイクロホン1の奏する効果について説明する。
【0074】
図9は、光軸Axの方向(0度-180度)を仮想球体の中心軸とする仮想球体を、0度を基準に180度の位置から展開した仮想円における、第2分割光L12の放射強度の分布を示す図である。
図中の濃い部分は、放射強度の高い部分を示す。
【0075】
以下の説明において、第2分割光L12の放射強度の分布が図9に示すようになる光照射装置の各構成部材のそれぞれの位置(実装位置)を基準位置とする。基準位置は、光照射装置の構成部材である発光部15と分割部16と反射部17との所定の配置位置である。
【0076】
個別反射面172aにより反射された第2分割光L12aは、約80度-100度の範囲に放射強度の分布を有する。特に、個別反射面172aにより反射された第2分割光L12aの放射強度は、90度付近で高い。すなわち、光軸Ax方向と第1光軸方向D1とが成す角度(以下「第1角度」という。)は、「略90度」である。
【0077】
個別反射面172bにより反射された第2分割光L12bは、約80度-100度の範囲に放射強度の分布を有する。特に、個別反射面172bにより反射された第2分割光L12bの放射強度は、90度付近で高い。すなわち、光軸Ax方向と第2光軸方向D2とが成す角度(以下「第2角度」という。)は、「略90度」である。
【0078】
個別反射面172cにより反射された第2分割光L12cは、約80度-100度の範囲に放射強度の分布を有する。特に、個別反射面172cにより反射された第2分割光L12cの放射強度は、90度付近で高い。すなわち、光軸Ax方向と第3光軸方向D3とが成す角度(以下「第3角度」という。)は、「略90度」である。
【0079】
個別反射面172dにより反射された第2分割光L12dは、約80度-100度の範囲に放射強度の分布を有する。特に、個別反射面172dにより反射された第2分割光L12dの放射強度は、90度付近で高い。すなわち、光軸Ax方向と第4光軸方向D4とが成す角度(以下「第4角度」という。)は、「略90度」である。
【0080】
反射部17を透過して放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射された第2分割光L12は、約0度-20度の範囲に放射強度の分布を有する。特に、反射部17を透過した第2分割光L12の放射強度は、0度付近で高い。
【0081】
このように、第1角度と第2角度と第3角度と第4角度とは、いずれも「略90度」で等しい。すなわち、各個別反射面172a-172dにより反射された第2分割光L12のそれぞれは、いずれも光軸Axに直交する方向に出力される。
【0082】
また、個別反射面172aにより反射された第2分割光L12aと、個別反射面172bにより反射された第2分割光L12bと、個別反射面172cにより反射された第2分割光L12cと、個別反射面172dにより反射された第2分割光L12dとは、光軸Axの周方向において、略均等に放射される。すなわち、前述のとおり、第1光軸方向D1と第2光軸方向D2とが成す角度は、第1光軸方向D1と第4光軸方向D4とが成す角度と、第2光軸方向D2と第3光軸方向D3とが成す角度と、第3光軸方向D3と第4光軸方向D4とが成す角度それぞれ「略90度」で等しい。
【0083】
さらに、光軸Axに対する反射面172を透過して放射ケース12の底部122から放射された第2分割光L12(第2分割光L12a,第2分割光L12b,第2分割光L12c,第2分割光L12d)のそれぞれは、約0度の方向(光軸Axの方向)に放射される。
【0084】
図10は、反射部17で反射された第2分割光L12と反射部17を透過した第2分割光L12(以下「反射部17で反射等された第2分割光L12」という。)の光軸Axに対する角度と放射強度との関係を示すグラフである。同図は、放射強度を縦軸に示し、角度を横軸に示す。
同図は、光照射装置の各構成部材が基準位置に配置された状態(以下「基準状態」という。)と、発光部15を基準位置からX方向(図8参照)に0.5mmずらした状態(以下「X方向ずれ状態」という。)と、発光部15を基準位置からY方向(図8参照)に0.5mmずらした状態(以下「Y方向ずれ状態」という。)と、発光部15を基準位置からZ方向(図8参照)に0.5mmずらした状態(以下「Z方向ずれ状態」という。)と、において反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係を示す。
【0085】
ここで、基準状態は、図9のAA線の位置における反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係を示す状態である。0度付近の位置は反射部17を透過した第2分割光L12の光軸Axに対する強度分布であり、90度付近の位置は反射部17で反射した第2分割光L12の光軸Axに対する強度分布である(いずれの状態において同じ)。
【0086】
基準状態での放射強度は、0度付近と90度付近とでピークを有する。同様に、X方向ずれ状態での放射強度は、0度付近と90度付近とでピークを有する。Y方向ずれ状態での放射強度は、0度付近と90度付近とでピークを有する。Z方向ずれ状態での放射強度は、0度付近と90度付近とでピークを有する。すなわち、X方向ずれ状態と、Y方向ずれ状態と、Z方向ずれ状態それぞれは、基準状態と同じような放射強度の分布を有する。
【0087】
このように、発光部15のマイクロホン1内での配置位置がX方向、Y方向、Z方向いずれの方向にずれていたとしても、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。すなわち、光照射装置の組立誤差による、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係への影響は、ほとんど受けない(小さい)。そのため、マイクロホン1(光照射装置)は、組立ての際、発光部15からの光Lの光軸上に反射部17の中心軸(頂点)が位置するように発光部15と反射部17とを厳密に配置しなくてもよい。その結果、マイクロホン1(光照射装置)の組立ては、容易になる。また、マイクロホン1(光照射装置)は、組立後、使用時の落下などによる衝撃に起因して発光部15や分割部16や反射部17の配置位置がずれたとしても、これらの配置位置がずれる前と比較して、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。
【0088】
図11は、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との別の関係を示すグラフである。同図は、放射強度を縦軸に示し、角度分布を横軸に示す。
同図は、基準状態と、発光部15を基準位置からX軸(図8参照)に対して3度傾けた状態(以下「発光部15傾き状態」という。)と、分割部16を基準位置からX軸に対して3度傾けた状態(以下「分割部16傾き状態」という。)と、反射部17を基準位置からX方向を軸に3度傾けた状態(以下「反射部17傾き状態」という。)と、における反射部17で反射等された第2分割光L12の放射強度を示す。
【0089】
基準状態での放射強度は、前述のとおり、0度付近と90度付近とでピークを有する。同様に、発光部15傾き状態での放射強度は、0度付近と90度付近とでピークを有する。分割部16傾き状態での放射強度は、0度付近と90度付近とでピークを有する。反射部17傾き状態での放射強度は、0度付近と90度付近とでピークを有する。すなわち、発光部15傾き状態と、分割部16傾き状態と、反射部17傾き状態それぞれは、基準状態と同じような角度と放射強度との関係を有する。
【0090】
このように、発光部15や分割部16や反射部17のいずれがマイクロホン1内で傾いて配置されていたとしても、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。すなわち、光照射装置の組立誤差による、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係への影響は、ほとんど受けない(小さい)。そのため、マイクロホン1(光照射装置)は、組立ての際、発光部15や分割部16や反射部17を厳密に配置しなくてもよい。その結果、マイクロホン1の組立ては、容易になる。また、マイクロホン1(光照射装置)は、組立後、使用時の落下などによる衝撃に起因して発光部15や分割部16や反射部17の配置位置がずれたとしても、これらの配置位置がずれる前と比較して、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。
【0091】
●まとめ(1)
以上説明した実施の形態によれば、分割部16は、第1分割部161と第2分割部162とにより、発光部15(1つのレーザダイオード)からの光Lを4つの第2分割光L12(第2分割光L12a,第2分割光L12b,第2分割光L12c,第2分割光L12d)に分割する。4つの第2分割光L12は、反射部17に入射し、それぞれ対応する個別反射面172a-172dにより反射等されて、マイクロホン1の外部に放射される。すなわち、マイクロホン1(光照射装置)は、1つのレーザダイオードで構成される発光部15にも関わらず、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。つまり、本実施の形態にかかるマイクロホン1は、マイクロホン1の姿勢に関わらず、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、本実施の形態にかかるマイクロホン1では、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0092】
また、発光部15からの光Lは、分割部16を通過する際、第1分割部161と第2分割部162とにより、それぞれ異なる方向に向かう4つの第2分割光L12に分割されて、反射部17に入射する。反射部17を透過して、放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される第2分割光L12a-L12dのそれぞれは、受電端子19の側方を通過し、放射ケース12の底部122からマイクロホン1の下方に放射されるように、マイクロホン1の各構成部材は設定される。そのため、反射部17を透過して放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される第2分割光L12a-L12dのそれぞれは、受電端子19に入射しない。すなわち、反射部17を透過して放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される第2分割光L12a-L12dのそれぞれは、受電端子19で遮蔽されることなく、放射ケース12の底部122からマイクロホン1の外部に放射される。その結果、本実施の形態にかかるマイクロホン1は、マイクロホン1の下方からも赤外線を受光器に向けて効率よく送信する。
【0093】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、第1角度と第2角度と第3角度と第4角度とは、いずれも「略90度」である。すなわち、各個別反射面172a-172dにより反射された第2分割光L12のそれぞれは、光軸Axに対して周方向に直交する方向に出力される。つまり、本実施の形態にかかるマイクロホン1は、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、本実施の形態にかかるマイクロホン1では、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0094】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、個別反射面172aにより反射された第2分割光L12aと、個別反射面172bにより反射された第2分割光L12bと、個別反射面172cにより反射された第2分割光L12cと、個別反射面172dにより反射された第2分割光L12dとは、光軸Axの周方向において、略均等に放射される。すなわち、マイクロホン1は、マイクロホン1の姿勢に関わらず、各個別反射面172a-172dにより反射された第2分割光L12の各光軸方向D1-D4同士で成す角度はそれぞれ「略90度」である。つまり、本実施の形態にかかるマイクロホン1は、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、本実施の形態にかかるマイクロホン1では、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0095】
さらにまた、反射部17は四角錐状である。そのため、各個別反射面172a-172dにより反射される第2分割光L12は、各個別反射面172a-172dに対する入射角が一定であれば、個別反射面に対して第2分割光の入射位置がずれたとしても(個別反射面のいずれの位置に第2分割光が入射したとしても)、反射部17により反射される第2分割光L12それぞれの光軸方向は変わらない。すなわち、本実施の形態にかかるマイクロホン1は、マイクロホン1の姿勢に関わらず、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、本実施の形態にかかるマイクロホン1では、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0096】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、発光部15のマイクロホン1内での配置位置がX方向、Y方向、Z方向いずれの方向にずれていたり、発光部15や分割部16や反射部17のいずれがマイクロホン1内で傾いて配置されていたりしたとしても、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。すなわち、光照射装置の組立誤差による、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係への影響は、受けない。つまり、本実施の形態にかかるマイクロホン1(光照射装置)は、レーザダイオードと反射部との正確な位置精度を必要とする従来の光照射装置と比較して、光照射装置の組立誤差による、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係への影響は、小さい。そのため、マイクロホン1(光照射装置)は、組立ての際、発光部15からの光Lの光軸上に反射部17の中心軸(頂点)が位置するように発光部15と反射部17とを厳密に配置しなくてもよい。その結果、マイクロホン1(光照射装置)の組立ては容易になる。さらに、マイクロホン1(光照射装置)は、組立後、使用時の落下などによる衝撃に起因して発光部15や分割部16や反射部17の配置位置がずれたとしても、これらの配置位置がずれる前と比較して、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。すなわち、本実施の形態にかかるマイクロホン1は、光照射装置の構成部材同士にずれや傾きが生じても、発光部15からの光Lを光照射装置の周方向に均一に出力する。
【0097】
なお、第1方向と第2方向とは、直交してなくてもよい。すなわち、例えば、第1方向と第2方向とが同じ方向ではなく、異なる方向となるように配置されればよい。
【0098】
また、第1分割部の形状は、発光部からの光を複数の第1分割光に分割して、複数の第1分割光を第2分割部に導くことができれば、長方形状に限定されない。すなわち、例えば、第1分割部の形状は、正方形、円形その他の形状でもよい。
【0099】
さらに、第2分割部の形状は、複数の第1分割光のそれぞれを複数の第2分割光に分割して、複数の第2分割光を反射部に導くことができれば、長方形状に限定されない。すなわち、例えば、第分割部の形状は、正方形、円形その他の形状でもよい。
【0100】
さらにまた、反射部の形状は、分割部で分割された第2分割光を入射する面を備えていればよく、頂点を有する角錐状でなくてもよい。すなわち、例えば、反射部の形状は、角錐台状でもよい。
【0101】
さらにまた、反射部の形状は、分割部で分割された第2分割光を入射して反射等させることができればよく、四角錐状でなくてもよい。すなわち、例えば、反射部の形状は、円錐状あるいは円錐台状でもよい。
【0102】
さらにまた、放射ケースの拡散部は、底部の内面に配置されていてもよい。すなわち、例えば、拡散部は、放射ケースの筒状部の内周面と、放射ケースの底部の内面と、に配置されて、マイクロホンの外部に放射される、反射部で反射等された第2分割光のすべてを拡散させてもよい。
【0103】
●ワイヤレスマイクロホン(2)●
次に、本発明にかかるワイヤレスマイクロホンの別の実施の形態について、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる部分を中心に説明する。本実施の形態(以下「第2実施形態」という。)は、分割部の構成と反射部の構成とが第1実施形態と異なる。
【0104】
●ワイヤレスマイクロホン(2)の構成
図12は、マイクロホンが備える光照射装置の別の実施の形態を示す模式図である。
同図は、マイクロホン1Aの内部に光照射装置が配置されていることを示す。同図において、他の図面と同じ符号が付された部材は、他の図面に示される部材と同じ構成と機能とを備える。
【0105】
マイクロホン1Aは、グリップ筐体10と、ヘッドケース11(図1参照)と、放射ケース12Aと、ドライバユニット13(図2参照)と、変調部14(図2参照)と、発光部15と、分割部16Aと、反射部17Aと、制御部18(図2参照)と、受電端子19(図2参照)と、蓄電部20(図2参照)と、回路基板21(図2参照)と、を有してなる。発光部15と、分割部16Aと、反射部17Aとは、本発明にかかる光照射装置(第2実施形態における)を構成する。
【0106】
放射ケース12Aは、反射部17Aにより反射された光(不図示)をマイクロホン1Aの外部に放射する。放射ケース12Aは、拡散部(不図示)を備える。拡散部は、反射部17Aが反射した第3分割光(不図示)を拡散する。拡散部は、例えば、筒状部121Aの内周面に配置された、梨地状の表面処理が施された面(不図示)である。表面処理が施された面は、微小な凸凹を有する。第3分割光については、後述する。
【0107】
分割部16Aは、発光部15からの光L(図3参照)を複数の分割光L1(図3参照)に分割して、複数の分割光L1のそれぞれを反射部17Aに射出する(導く)。分割部16Aは、複数の個別分割部(第1分割部161,第2分割部162,第3分割部163A)を備える。個別分割部のそれぞれは、分割部16Aに入射する光Lを複数の分割光L1に分割する。
【0108】
第2分割部162は、第1分割部161により分割された2つの第1分割光L11(図6参照)のそれぞれを、異なる方向に向かう4つの第2分割光L12(図7参照)に分割して、4つの第2分割光L12を第3分割部163Aに射出する(導く)。
【0109】
第3分割部163Aは、第2分割部162により分割された第2分割光L12aと第2分割光L12bと第2分割光L12cと第2分割光L12dそれぞれを、異なる方向に向かう2つの第3分割光に分割して、複数の第3分割光を反射部17Aに射出する(導く)。すなわち、第3分割部163Aは、4つの第2分割光L12(第2分割光L12a,第2分割光L12b,第2分割光L12c,第2分割光L12d)を8つの第3分割光に分割して、8つの第3分割光を反射部17Aに射出する(導く)。第3分割部163Aは、第1シート状部材1631Aと第2シート状部材1632Aとを備える。
【0110】
ここで、第3分割部163Aは、第2分割部162と反射部17Aとの間に配置されると共に、第2分割部162との間に隙間を空けて配置される。すなわち、第3分割部163Aは、第2分割部162の下方に配置される。第2分割部162と第3分割部163Aとの間の隙間は、第1分割部161と第2分割部162との間の隙間よりも広い。
【0111】
図13は、分割部16Aを模式的に示す模式平面図である。
図14は、第3分割部163Aを模式的に示す模式平面図である。
図13は個別分割部それぞれが交差して重ねて配置されていることを示し、図14は第1シート状部材1631Aと第2シート状部材1632Aとが重ねて配置されていることを示す。また、両図の太い破線は凹凸における頂部の配置位置(配列)を示し、細い破線は凹凸における底部の配置位置(配列)を示す。
【0112】
図14において、一点鎖線で囲まれた領域は、後述する第3入射部と第4入射部とを示す。同領域は、説明の便宜上、実際の領域よりも広い範囲で図示している。
【0113】
第1シート状部材1631Aは、第2分割部162により分割された複数の第2分割光L12のうち、第2分割光L12aと第2分割光L12cそれぞれを、異なる方向に向かう2つの第3分割光(不図示)に分割して、2つの第3分割光を反射部17Aに射出する(導く)。すなわち、第1シート状部材1631Aは、一部の第2分割光L12(第2分割光L12a,第2分割光L12c)を4つの第3分割光に分割する。
【0114】
第1シート状部材1631Aの構成は、形状を除き、第1分割部161の構成と第2分割部162の構成と共通する。すなわち、第1シート状部材1631Aは、第1面1631Aaと第2面(不図示)とを備える。第1面1631Aaには、複数の凸部161p,162pと同じ構成と機能とを備える複数の凸部1631Apがそれぞれ平行に配列される。すなわち、第1シート状部材1631Aは、複数のプリズム面(凹凸面)を備える。第1シート状部材1631Aの形状は、第1分割部161や第2分割部162よりも細長い長方形状である。複数の凸部1631Apと、隣接する凸部1631Apの間の凹部と、で構成される凹凸は、本発明における凹凸の例である。複数の凹凸のそれぞれが配列される方向は、本発明における第3方向である。
【0115】
第2シート状部材1632Aは、第2分割部162により分割された複数の第2分割光L12のうち、第2分割光L12bと第2分割光L12dそれぞれを、異なる方向に向かう2つの第3分割光(不図示)に分割して、2つの第3分割光を反射部17Aに射出する(導く)。すなわち、第2シート状部材1632Aは、一部の第2分割光L12(第2分割光L12b,第2分割光L12d)を4つの第3分割光に分割する。
【0116】
このように、第3分割部163Aは、4つの第2分割光L12を8つの第3分割光に分割する。
【0117】
第2シート状部材1632Aの構成は、第1シート状部材1631Aの構成と共通する。すなわち、第2シート状部材1632Aは、第1面1632Aaと第2面(不図示)とを備える。第1面1632Aaには、複数の凸部1631Apと同じ構成と機能とを備える複数の凸部1632Apがそれぞれ平行に配列される。すなわち、第2シート状部材1632Aは、複数のプリズム面(凹凸面)を備える。第2シート状部材1632Aの形状は、第シート状部材163Aの形状と同様に、第1分割部161や第2分割部162よりも細長い長方形状である。複数の凸部1632Apと、隣接する凸部1632Apの間の凹部と、で構成される凹凸は、本発明における凹凸の例である。複数の凹凸のそれぞれが配列される方向は、本発明における第4方向である。
【0118】
第1シート状部材1631Aは、図13に示されるように、第1分割部161および第2分割部162と交差して配置される。すなわち、第3方向は、第1方向および第2方向と異なる。同様に、第2シート状部材1632Aは、図13に示されるように、第1分割部161および第2分割部162と交差して配置される。すなわち、第4方向は、第1方向および第2方向と異なる。
【0119】
第1シート状部材1631Aは、図15に示されるように、平面視において第2シート状部材1632Aと直交してX字状に配置される。すなわち、第3方向は第4方向と異なる。
【0120】
ここで、第1シート状部材1631Aの第1面1631Aaのうち、第2シート状部材1632Aと平面視において重ならない部分は、本発明における第3入射部1631Aiである。すなわち、第1シート状部材1631Aは、平面視において後述する第4入射部1632Aiには重ならない2つの第3入射部1631Aiを備える。一方の第3入射部1631Aiには第2分割光L12aが入射し、他方の第3入射部1631Aiには第2分割光L12cが入射する。ただし、第1シート状部材1631Aの第1面1631Aaのうち、第2シート状部材1632Aと平面視において重なる部分には、第2分割光L12aと第2分割光L12cとは入射しない。
【0121】
第2シート状部材1632Aの第1面1632Aaのうち、第1シート状部材1631Aと平面視において重ならない部分は、本発明における第4入射部1632Aiである。すなわち、第2シート状部材1632Aは、平面視において第3入射部1631Aiには重ならない2つの第4入射部1632Aiを備える。一方の第4入射部1632Aiには第2分割光L12bが入射し、他方の第4入射部1632Aiには第2分割光L12dが入射する。ただし、第2シート状部材1632Aの第1面1632Aaのうち、第1シート状部材1631Aと平面視において重なる部分には、第2分割光L12bと第2分割光L12dとは入射しない。
【0122】
なお、第1シート状部材と第2シート状部材との配置は、平面視において直交して配置される構成でなくてもよい。すなわち、例えば、第1シート状部材1631Aは第3入射部で第2分割光L12aと第2分割光L12cとが入射でき、第2シート状部材1632Aは第4入射部で第2分割光L12bと第2分割光L12dとが入射できれば、平面視において直交以外の角度で交差して配置されてもよい。
【0123】
図12に戻る。
反射部17Aは、分割部16A(第3分割部163A)からの複数の分割光(不図示)の一部を反射させると共に、複数の分割光の一部を透過させる。反射部17Aは、分割部16Aの下方に配置されて、放射ケース12A内の支持部(不図示)に支持される。反射部17Aは、第3分割部163Aにより分割された第3分割光に対応する数の面を備える。すなわち、例えば、反射部17Aは八角錐状で、底面を除く8面で第3分割部163Aにより分割された第3分割光が反射部17Aで反射等される。反射部17Aは、台座部(不図示)と反射面(不図示)とを備える。
【0124】
反射部17Aが備える台座部と反射面との構成と機能とは、反射部17(図3参照)が備える台座部171(図3参照)と反射面172(図3参照)と同じ構成と機能とを備える。すなわち、反射面の各面は、複数の第3分割光のそれぞれに対応する個別反射面(第2実施形態においては、8つの個別反射面)として機能する。
【0125】
●ワイヤレスマイクロホン(2)の動作
次に、図12を参照しながら、マイクロホン1Aの動作について説明する。発光部15からの光Lが第1分割部161と第2分割部162とにより複数の第2分割光L12(第2分割光L12a,第2分割光L12b,第2分割光L12c,第2分割光L12d)に分割されるまでの動作は第1実施形態のマイクロホン1の動作と同じであるため、説明を省略する。
【0126】
第2分割部162から射出された第2分割光L12のそれぞれは、第3分割部163Aに入射する。
【0127】
第2分割光L12aは、第1シート状部材1631Aの一方の第3入射部1631Aiを通過する際、第1シート状部材1631Aのプリズム面で屈折して、2つの第3分割光(不図示)に分割される。第1シート状部材1631Aにより分割された第3分割光のそれぞれは、反射部17Aの対応する個別反射面(不図示)に向けて射出される(導かれる)。
【0128】
第2分割光L12cは、第1シート状部材1631Aの他方の第3入射部1631Aiを通過する際、第1シート状部材1631Aのプリズム面で屈折して、2つの第3分割光(不図示)に分割される。第1シート状部材1631Aにより分割された第3分割光のそれぞれは、反射部17Aの対応する個別反射面(不図示)に向けて射出される(導かれる)。
【0129】
第2分割光L12bは、第2シート状部材1632Aの一方の第4入射部1632Aiを通過する際、第2シート状部材1632Aのプリズム面で屈折して、2つの第3分割光(不図示)に分割される。第2シート状部材1632Aにより分割された第3分割光のそれぞれは、反射部17Aの対応する個別反射面(不図示)に向けて射出される(導かれる)。
【0130】
第2分割光L12dは、第2シート状部材1632Aの他方の第4入射部1632Aiを通過する際、第2シート状部材1632Aのプリズム面で屈折して、2つの第3分割光(不図示)に分割される。第2シート状部材1632Aにより分割された第3分割光のそれぞれは、反射部17Aの対応する個別反射面(不図示)に向けて射出される(導かれる)。
【0131】
次いで、第3分割部163Aから射出された第3分割光のそれぞれは、反射部17Aの対応する個別反射面に入射する。各個別反射面に入射した第3分割光の一部は各方向に反射し、同反射した第3分割光のそれぞれは放射ケース12Aの拡散部(不図示)により拡散されて筒状部121Aからマイクロホン1Aの外部に放射される。一方、各個別反射面に入射した第3分割光の一部は反射部17Aの内部を屈折しながら透過する。反射部17Aを透過した第3分割光のそれぞれは、受電端子(不図示)の側方を通過し、受電端子に入射することなく(受電端子で遮蔽されることなく)、放射ケース12Aの底部(不図示)からマイクロホン1Aの外部に放射される。
【0132】
このように、反射部17Aの個別反射面のそれぞれにより反射された第3分割光のそれぞれと、反射部17Aを透過した第3分割光のそれぞれとは、異なる方向に放射される。
【0133】
●ワイヤレスマイクロホン(2)の奏する効果
次に、マイクロホン1Aの奏する効果について説明する。
【0134】
図15は、光軸Axの方向(0度-180度)を仮想球体の中心軸とする仮想球体を、0度を基準に180度の位置から展開した仮想円における、第3分割光の放射強度の分布を示す図である。
図中の濃い部分は、放射強度の高い部分を示す。
【0135】
図15に示されるように、各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれ(8つの第3分割光)は、いずれも約80度-100度の範囲に放射強度の分布を有する。特に、各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれの放射強度は、いずれも90度付近で高い。
【0136】
反射部17Aを透過して放射ケース12Aの底部からマイクロホン1Aの外部に放射された第3分割光は、約0度-20度の範囲に放射強度の分布を有する。特に、反射部17を透過した第2分割光L12の放射強度は、0度付近で高い。
【0137】
このように、光軸Ax方向と、各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれが導かれる方向とは、いずれも「略90度」で等しい。すなわち、各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれは、いずれも光軸Axに直交する方向に出力される。
【0138】
また、各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれは、光軸Axの周方向において、略均等に放射される。すなわち、各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれの光軸方向同士が成す角度は、それぞれ「略45度」で等しい。
【0139】
●まとめ(2)
以上説明した第2実施形態によれば、分割部16は、第1分割部161と第2分割部162と第3分割部163Aとにより、発光部15(1つのレーザダイオード)からの光Lを8つの第3分割光に分割する。8つの第3分割光は、反射部17Aに入射し、それぞれ対応する個別反射面で反射等されて、マイクロホン1Aの外部に放射される。すなわち、マイクロホン1A(光照射装置)は、1つのレーザダイオードで構成される発光部15にも関わらず、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。つまり、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aは、マイクロホン1Aの姿勢に関わらず、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aでは、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0140】
また、発光部15からの光Lは、分割部16を通過する際、第1分割部161と第2分割部162と第3分割部163Aとにより、それぞれ異なる方向に向かう8つの第3分割光に分割されて、反射部17Aに入射する。反射部17Aを透過して、放射ケース12Aの底部からマイクロホン1Aの外部に放射される第3分割光のそれぞれは、受電端子19の側方を通過し、放射ケース12Aの底部からマイクロホン1Aの下方に放射されるように、マイクロホン1Aの各構成部材は設定される。そのため、反射部17Aを透過して放射ケース12Aの底部からマイクロホン1Aの外部に放射される第3分割光は、受電端子19に入射しない。すなわち、反射部17Aを透過して放射ケース12Aの底部からマイクロホン1Aの外部に放射される第3分割光は、受電端子で遮蔽されることなく、放射ケース12Aの底部からマイクロホン1Aの外部に放射される。その結果、第2実施態にかかるマイクロホン1Aは、マイクロホン1Aの下方からも赤外線を受光器に向けて効率よく送信する。
【0141】
さらに、以上説明した第2実施形態によれば、光軸Axと、反射部17Aの各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれとは、いずれも「略90度」である。すなわち、各個別反射面により反射された第3分割光のそれぞれは、光軸Axに対して周方向に直交する方向に出力される。つまり、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aは、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aでは、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0142】
さらにまた、反射部17Aは八角錐状である。そのため、各個別反射面により反射された8つの第3分割光それぞれは、各個別反射面に対する入射角が一定であれば、個別反射面に対して第3分割光の入射位置がずれたとしても(個別反射面のいずれの位置に第3分割光が入射したとしても)、反射部17Aにより反射される第3分割光それぞれの光軸方向は変わらない。すなわち、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aは、マイクロホン1Aの姿勢に関わらず、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aでは、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0143】
さらにまた、以上説明した第2実施形態によれば、各個別反射面により反射された8つの第3分割光のそれぞれは、光軸Axの周方向において、略均等に放射される。すなわち、マイクロホン1Aは、マイクロホン1Aの姿勢に関わらず、各個別反射面により反射された第3分割光の各光軸方向同士で成す角度は、それぞれ略45度である。つまり、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aは、発光部15からの光を光照射装置の周方向に均一に出力する。その結果、第2実施形態にかかるマイクロホン1では、赤外線が受光器に向けて効率よく送信される。
【0144】
さらにまた、以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、発光部15のマイクロホン1A内での配置位置がX方向、Y方向、Z方向いずれの方向にずれていたとしても、反射部17Aで反射等された第3分割光の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。すなわち、光照射装置の組立誤差による、反射部17Aで反射等された第3分割光の光軸Axに対する角度と放射強度との関係への影響は、受けない。つまり、第2実施形態にかかるマイクロホン1A(光照射装置)は、レーザダイオードと反射部との正確な位置精度を必要とする従来の光照射装置と比較して、光照射装置の組立誤差による、反射部17で反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係への影響は、小さい。そのため、マイクロホン1A(光照射装置)は、組立ての際、発光部15からの光Lの光軸上に反射部17Aの中心軸(頂点)が位置するように発光部15と反射部17とを厳密に配置しなくてもよい。その結果、マイクロホン1A(光照射装置)の組立ては容易になる。さらに、マイクロホン1A(光照射装置)は、第1実施形態にかかるマイクロホンと同様に、組立後、使用時の落下などによる衝撃に起因して発光部15や分割部16Aや反射部17Aの配置位置がずれたとしても、これらの配置位置がずれる前と比較して、反射部17Aで反射等された第2分割光L12の光軸Axに対する角度と放射強度との関係に大きな差は生じない。すなわち、第2実施形態にかかるマイクロホン1Aは、光照射装置の構成部材同士にずれや傾きが生じても、発光部15からの光Lを光照射装置の周方向に均一に出力する。
【0145】
なお、第3分割部は、第2分割部で分割された4つの第2分割光のそれぞれを2つに分割して、8つの第3分割光に分割することができれば、第1シート状部材と第2シート状部材とを備える構成でなくてもよい。すなわち、例えば、第3分割部は、4つのシート状材を備えて、それぞれのシート状部材により、第2分割光を2つに分割する構成でもよい。
【0146】
さらにまた、反射部の形状は、分割部で分割された第3分割光を入射する面を備えていればよく、角錐状でなくてもよい。すなわち、例えば、反射部の形状は、角錐台状でもよい。
【0147】
さらにまた、反射部の形状は、分割部で分割された第3分割光を入射して反射および透過することができればよく、八角錐状でなくてもよい。すなわち、例えば、反射部の形状は、円錐状でもよい。
【0148】
●まとめ(その他)
本発明における発光部が出力する光は、情報を搬送可能であれば、赤外線に限定されない。すなわち、例えば、発光部が出力する光は、紫外線や可視光線の帯域の光でもよい。
【0149】
また、本発明における発光部は、レーザダイオードに限定されない。すなわち、例えば、発光部は、LEDでもよい。
【0150】
さらに、本発明における受光器は、壁面に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 ワイヤレスマイクロホン
10 グリップ筐体
11 ヘッドケース
12 放射ケース
13 ドライバユニット(マイクロホンユニット)
14 変調部
15 発光部(光源)
16 分割部
161 第1分割部
161a 第1面(第1入射面)
161b 第2面
162 第2分割部
162a 第1面(第2入射面)
17 反射部
172 反射面
172a-172d 個別反射面
18 制御部
19 受電端子
20 蓄電部
21 回路基板
1A ワイヤレスマイクロホン
12A 放射ケース
16A 分割部
163A 第3分割部
1631A 第1シート状部材
1631Ai 第3入射部
1632A 第シート状部材
1632Ai 第4入射部
L 光
L1 分割光
L11 第1分割光
L11a-L11b 第1分割光
L12 第2分割光
L12a-L12d 第2分割光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15