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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ドラム式ケレン装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 31/12 20060101AFI20230309BHJP
   E04G 1/14 20060101ALI20230309BHJP
   E04G 19/00 20060101ALI20230309BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
B24B31/12 A
E04G1/14 A
E04G19/00 C
B08B1/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019031083
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020131400
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391015236
【氏名又は名称】大裕株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】野村 裕晧
(72)【発明者】
【氏名】西尾 慧太
(72)【発明者】
【氏名】仁田峠 和秀
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-046852(JP,A)
【文献】特開平09-085200(JP,A)
【文献】特開昭49-060094(JP,A)
【文献】特開平10-202501(JP,A)
【文献】特公昭49-6877(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 31/00 - 31/16
E04G 1/14
E04G 19/00
B08B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部がケレン室となる回転ドラムを、軸心を中心に回転可能で且つ前記軸心の上下方向の角度が可変となるように支持部材で支持し、前記回転ドラムの軸方向の少なくとも一方の端部に開放可能な開口が設けられ、前記開口から前記回転ドラム内に被ケレン部材が出し入れされるドラム式ケレン装置であって、
前記回転ドラムの外周部に、ケレン部材を収容するケレン部材収容室が設けられ、前記回転ドラムと前記ケレン部材収容室との間にケレン部材出入口が設けられ、前記回転ドラムは正逆転可能であり、前記回転ドラムの回転方向を変更することにより、前記ケレン部材を前記ケレン部材収容室に対して出し入れすることを特徴とするドラム式ケレン装置。
【請求項2】
前記開口に開閉可能な扉部材が設けられ、前記扉部材を開放した状態で、前記開口から前記回転ドラム内に被ケレン部材が出し入れされることを特徴とする請求項1に記載のドラム式ケレン装置。
【請求項3】
前記回転ドラムの他方の端部が閉塞部材で閉塞され、前記閉塞部材に前記回転ドラム内へ注水する導水管が設けられ、
前記扉部材は、前記回転ドラムの閉塞時、前記回転ドラムを水密状態に保ち、
前記導水管から注水された水により、前記回転ドラム内に水を貯えることができる請求項に記載のドラム式ケレン装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記回転ドラムを回転可能に支持するフレームと、このフレームを前記回転ドラムの軸方向に対して傾倒自在に支持するベースとを有し、
前記フレームを前記ベースに対して傾倒させる傾倒手段が設けられ、
前記傾倒手段は、前記回転ドラムの前記開口の側が前記回転ドラムの軸心の水平方向より低くなる位置と前記開口の側が前記回転ドラムの軸心の水平方向より高くなる位置との間で、前記フレームを前記ベースに対して移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のドラム式ケレン装置。
【請求項5】
前記回転ドラムは、内周ドラムと前記内周ドラムと同心状に設けられた外周ドラムを備え、前記内周ドラムと前記外周ドラムとの間に前記ケレン部材収容室が設けられ、前記ケレン部材収容室内に、螺旋状の仕切り壁で区切られたケレン部材収容通路が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のドラム式ケレン装置。
【請求項6】
前記内周ドラムと前記外周ドラムとの間に水が貯えられることを特徴とする請求項に記載のドラム式ケレン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属製の足場部材等に付着した汚れを除去して清掃するドラム式ケレン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
仮設足場等に用いられる鋼管類、筋交い、鋼管クランプ等の足場部材は、現場での使用によって、その表面にコンクリート又は塗料等が付着する。このため、足場部材は、現場からの回収後に、再使用に備えるために、付着物を除去する作業が必要となる。
【0003】
足場部材の付着物を除去するために用いられているケレン装置としては、足場部材(被ケレン部材)を入口側から出口側に送る搬送ラインの途中に、足場部材を打撃するケレン機械を配置し、ケレン機械に対して足場部材を通過させることにより、足場部材の付着物を除去するような構造となっている。この構造では、足場部材を移動させながらケレン作業を行うため、極めて広い設置スペースが必要になるという問題がある。
【0004】
そこで、定位置に配置した回転ドラムに対して足場部材(被ケレン部材)を入れバレル研磨方式でケレン作業を行うドラム式ケレン装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図28に従い特許文献1に開示されているドラム式ケレン装置について説明する。図28は、特許文献1に開示されたドラム式ケレン装置を示し、回転ドラムの軸心が水平状態の縦断面正面図である。
【0006】
図28に示すように、ドラム式ケレン装置100は、内部がケレン室となる回転ドラム104を、軸心を中心に回転可能でこの軸心が上下に角度可変となるように支持部材110により支持して配置している。そして、前記回転ドラム104の端部にケレン部材の収納室107を設け、この収納室107に収納したケレン部材を、回転ドラム4のケレン室内に対して、回転ドラム4の回転と軸心の角度変化の併用によって出し入れするようにしている。
【0007】
上記回転ドラム104が、周壁の一部に足場部材出し入れ口106aを備え、この回転ドラム104の外側に、回転ドラム104に対して固定した状態で回転ドラム104の軸心を中心に回転ドラム104と一体に回転可能となり、かつ、回転ドラム104への固定を解いた状態で回転ドラム104に対して足場部材出し入れ口106aを閉鎖する位置と開放する位置の間を回転ドラム104の軸心を中心に回転ドラム104とは個別に回動可能となる蓋部材106が設けられている。回転ドラム104の下方には、収容容器145が配置されている。
【0008】
そして、足場部材を回転ドラム104から排出する際には、足場部材出し入れ口106aを開放する位置に蓋部材106が移動した後、足場部材出し入れ口106aを下方向になるように、回転ドラム104を回転させ、足場部材出し入れ口106aから足場部材を落下させて、収容容器145内に足場部材を収容させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2009-46852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した装置では、足場部材の排出時、回転ドラム104の径方向に足場部材を排出することになり、足場部材が収容容器145内に上手く収容できずに、足場部材が散乱する場合があった。
【0011】
さらに、足場部材を回転ドラム104内に収容する場合には、足場部材出し入れ口106aが上方に位置するように、回転ドラム104を回転させ、回転ドラム104の上方から足場部材を回転ドラム104内に入れることになり、足場部材を回転ドラム104の上方まで上げる必要があるなどの難点がある。
【0012】
また、回転ドラム104の下方に収容容器145を収容するスペースが必要となり、回転ドラム104を支持する支持部材110の高さも高くなるなどの問題があった。
【0013】
そこで、この発明は、足場部材の出し入れが容易で、足場部材の散乱を防止するドラム式ケレン装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係るドラム式ケレン装置は、内部がケレン室となる回転ドラムを、軸心を中心に回転可能で且つ前記軸心の上下方向の角度が可変となるように支持部材で支持し、前記回転ドラムの軸方向の少なくとも一方の端部に開放可能な開口が設けられ、前記開口から前記回転ドラム内に被ケレン部材が出し入れされる。
【0015】
回転ドラムの一方の端部に開放可能な開口が設けられ、前記開口から、前記回転ドラム内に被ケレン部材を出し入れすることができる。このため、回転ドラムの軸方向に被ケレン部材を出し入れすることができるので、被ケレン部材の出し入れが容易となる。また、被ケレン部材が回転ドラムの径方向に散乱することがなく、回転ドラムの外部へ取り出すことができる。
【0016】
また、前記開口に開閉可能な扉部材が設けられ、前記扉部材を開放した状態で、前記開口から前記回転ドラム内に被ケレン部材が出し入れされるように構成することができる。
【0017】
また、前記支持部材は、前記回転ドラムを回転可能に支持するフレームと、このフレームを前記回転ドラムの軸方向に対して傾倒自在に支持するベースとを有し、前記フレームを前記ベースに対して傾倒させる傾倒手段が設けられ、 前記傾倒手段は、前記回転ドラムの前記開口の側が前記回転ドラムの軸心の水平方向より低くなる位置と前記開口の側が前記回転ドラムの軸心の水平方向より高くなる位置との間で、前記フレームを前記ベースに対して移動させるように構成することができる。
【0018】
前記回転ドラムの前記扉部材の端部方向を低くして被ケレン部材を排出する位置に前記回転ドラムを支持することで、被ケレン部材を扉部材の内面に押し当てて被ケレン部材の姿勢を整えることができる。この状態で、扉部材を開放することで、整えられた姿勢で被ケレン部材を回転ドラム外部へ取り出すことができ、その後の被ケレン部材の回収作業も円滑に行える。
【0019】
前記回転ドラムの他方の端部が閉塞部材で閉塞され、前記閉塞部材に前記回転ドラム内へ注水する導水管が設けられ、前記扉部材は、前記回転ドラムの閉塞時、前記回転ドラムを水密状態に保ち、前記導水管から注水された水により、前記回転ドラム内に水を貯えることができるように構成できる。
【0020】
回転ドラム内部に水を貯めることにより、被ケレン部材への付水により付着物を効率的に除去することができる。また、防音効果も得ることができる。
【0021】
また、前記回転ドラムの外周部に、ケレン部材を収容するケレン部材収容室が設けられ、前記回転ドラムと前記ケレン部材収容室との間にケレン部材出入口が設けられ、前記回転ドラムは正逆転可能であり、前記回転ドラムの回転方向を変更することにより、前記ケレン部材を前記ケレン部材収容室に対して出し入れするように構成することができる。
【0022】
さらに、前記回転ドラムは、内周ドラムと前記内周ドラムと同心状に設けられた外周ドラムを備え、前記内周ドラムと前記外周ドラムとの間に前記ケレン部材収容室が設けられ、前記ケレン部材収容室内に、螺旋状の仕切り壁で区切られたケレン部材収容通路を設けるとよい。
【0023】
前記内周ドラムと前記外周ドラムとの間に前記ケレン部材収容室が設けられ、前記ケレン部材収容室内に、螺旋状の仕切り壁で区切られたケレン部材収容通路を設けることにより、前記ケレン部材の収容量を増加させることができる。
【0024】
また、前記内周ドラムと前記外周ドラムとの間に水を貯えるように構成するとよい。
【0025】
前記内周ドラムと前記外周ドラムとの間に水を貯えることで、ケレン動作時に防音効果が得られる。
【発明の効果】
【0026】
この発明に係るドラム式ケレン装置によれば、回転ドラムの軸方向に被ケレン部材を出し入れすることができるので、被ケレン部材の出し入れが容易となる。また、被ケレン部材が回転ドラムの径方向に散乱することがなく、回転ドラムの外部へ取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置を示す縦断正面図である。
図2】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置を示す上面図である。
図3】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置を示す右側面図である。
図4】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置の後方端部を拡大した縦断正面図である。
図5】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置の後方端部を拡大して一部を断面にした上面図である。
図6】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置の前方端部を拡大した縦断正面図である。
図7】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置の前方端部を拡大して一部を断面にした上面図である。
図8】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置を示し、回転ドラムの後方を上昇させた状態の縦断正面図である。
図9】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置のケレン部材収容室内にケレン部材を収容した状態を示す模式図である。
図10】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置のケレン部材収容室内からケレン部材を排出する状態を示す模式図である。
図11】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置のケレン部材収容室内からケレン部材を収容する状態を示す模式図である。
図12】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置に被ケレン部材を収容して、ケレン動作を行う状態を示す模式図である。
図13】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置に被ケレン部材を収納させる状態を示す説明図である。
図14】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置に被ケレン部材を投入した状態を示す説明図である。
図15】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置に被ケレン部材を投入後、パレットを取り出す状態を示す説明図である。
図16】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置から被ケレン部材を排出させる状態を示す説明図である。
図17】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置に小型の被ケレン部材を収納させる状態を示す説明図である。
図18】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置から小型の被ケレン部材を排出させる状態を示す説明図である。
図19】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置に用いられる小型の被ケレン部材を収容する収容容器を示す正面図である。
図20】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置に用いられる小型の被ケレン部材を収容する収容容器を示す断面図である。
図21】この発明の第1実施形態にかかるドラム式ケレン装置の回転ドラム内に収容容器を挿入した状態を示す説明図である。
図22】この発明の第2実施形態にかかるドラム式ケレン装置を示す縦断正面図である。
図23】この発明の第2実施形態にかかるドラム式ケレン装置のケレン部材収容室内にケレン部材を収容した状態を示す模式図である。
図24】この発明の第3実施形態にかかるドラム式ケレン装置を示す縦断正面図である。
図25】この発明の第3実施形態にかかるドラム式ケレン装置に用いられる回転ドラムを示す説明図である。
図26】この発明の第3実施形態にかかるドラム式ケレン装置に用いられる回転ドラムの縦断正面図である。
図27】この発明の第3実施形態にかかるドラム式ケレン装置に用いられる回転ドラムのケレン部材収容室にケレン部材を収容する状態を示す説明図である。
図28】従来のドラム式ケレン装置を示し、回転ドラムの軸心が水平状態の縦断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明に係るドラム式ケレン装置1について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1図12は、この発明に係るドラム式ケレン装置1の第1実施形態を示している。図1図7を参照して、この発明の第1の実施形態に係るドラム式ケレン装置1の全体構成について説明する。
【0030】
この発明の第1の実施形態に係るドラム式ケレン装置1は、図1図3に示すように、ベース台2の上に設けた傾倒フレーム3と、この傾倒フレーム3で回転可能に支持された回転ドラム4と、この回転ドラム4の前方の端部に開閉可能に設けられた扉部材5と、回転ドラム4の後方の端部に設けられた閉塞部材6と、を備える。図1図2の矢印で示すように、この実施形態においては、回転ドラム4に扉部材5を設ける方向を前、その反対方向を後、設置面Gから上に向かう方向を上、下に向かう方向を下としている。そして、図2の矢印に示すように、扉部材に向かって右方向を右、左方向を左としている。
【0031】
ベース台2は、矩形の枠体で形成され、ベース台2の前後端部近傍に、回転ドラム4の軸心と直交する方向に固定された足部材21、21が設けられている。この足部材21により、設置面Gにドラム式ケレン装置1は設置される。
【0032】
傾倒フレーム3は、矩形の枠体で形成され、ベース台2に傾倒自在に取り付けられる。この実施形態では、ベース台2と傾倒フレーム3により、回転ドラム4を支持する支持部材が構成される。
【0033】
内部にケレン室を有する回転ドラム4は、扉部材5の後側の近傍で傾倒フレーム3に取り付けられた2個のドラム支持ローラ7により前方の端部側が支持され、後方の端部側は傾倒フレーム3に設けられた支持部8に支持される。
【0034】
回転ドラム4の扉部材5の後側の近傍には、回転ドラム4の外周に沿って設けられた案内部47が設けられ、この案内部47にドラム支持ローラ7が嵌まり込み、回転ドラム4の前方の端部が回転自在に支持されている。
【0035】
回転ドラム4の後方の端部に設けられた閉塞部材6に、軸心と同軸上に回転軸60が設けられている。この回転軸60が支持部8の上端に設けられたピローブロック81に回転自在に支持されている。この閉塞部材6により、回転ドラム4の後方の開口部4dが閉塞される。
【0036】
回転ドラム4は、ドラム支持ローラ7と支持部8のピローブロック81により、傾倒フレーム3に対して回転自在に支持される。
【0037】
傾倒フレーム3は、回転ドラム4の中央より扉部材5側に傾斜支点となるヒンジ部31が設けられている。そして、ベース台2には、ヒンジ部31と係合するヒンジ台22が設けられ、ヒンジ部31とヒンジ台22とが軸32により回転自在に取り付けられている。
【0038】
傾倒フレーム3は、ヒンジ部31を中心として、ベース台2に対して上下に傾倒可能に取り付けられる。この傾倒フレーム3に回転自在に支持された回転ドラム4は、ベース台2に対して傾倒フレーム3が上下に傾倒することで、ベース台2に対して上下に傾倒する。このように、回転ドラム4は、軸心を中心に回転可能で且つ前記軸心の上下方向の角度が可変となるように、ベース台2に傾倒フレーム3を介して支持される。傾倒フレーム3をベース台2に対して傾倒させる傾倒機構については後述する。
【0039】
回転ドラム4の開口部4cを閉塞する扉部材5は、回転ドラム4の軸心に対して直交するように蓋支持部材9に取り付けられる。具体的には、図3に示すように、傾倒フレーム3から直立するように設けられた蓋材支持柱91に、蓋支持軸93が回転自在に取り付けられる。そして、蓋支持軸93に直交するようにコ字型の支持腕94が設けられている。この支持腕94に蓋支持部95が設けられている。
【0040】
図6に示すように、扉部材5は、回転ドラム4の開口部4cを閉塞した状態で、回転ドラム4の軸心と同軸上になる支持軸51が設けられている。この支持軸51が蓋支持部95に転がり軸受95aを介して回転自在に支持されている。すなわち、扉部材5は、蓋支持部材9の蓋支持部95に回転自在に支持されている。回転ドラム4の開口部4cを扉部材5で閉塞し、回転ドラム4が回転すると、扉部材5は、支持軸51を中心として回転し、回転ドラム4と一体に回転することになる。
【0041】
図3に示すように、支持腕94の先端には、扉部材5を閉塞する際のロック腕96が取り付けられている。傾倒フレーム3に直立して設けられた固定軸92には、ロックハンドル97が旋回自在に取り付けられている。支持腕94を回転ドラム4方向に回転させ、扉部材5により、回転ドラム4を閉塞する。扉部材5を閉塞させると、ロック腕96の先端係合部96aがロックハンドル97と係合する位置に到達する。
【0042】
この状態でロックハンドル97を旋回させ、ロック腕96の先端係合部96aとロックハンドル97を係合させて、回転ドラム4の開口部4cを扉部材5で閉塞する。ロック腕96の先端係合部96aとロックハンドル97を係合させることで、回転ドラム4の開口部4cを扉部材5で閉塞した状態が維持される。
【0043】
扉部材5の閉塞時は、回転ドラム4内は水密状態となり、回転ドラム4内部に水を貯めることができる。回転ドラム4内に水を溜めて、被ケレン部材へ付水させることにより、付着物を効率的に除去することができる。また、回転ドラム4内に水を溜めることにより、防音効果も得ることができる。
【0044】
鋼管等の足場部材を被ケレン部材として、回転ドラム4内に収容する場合は、ロックハンドル97を左方向に旋回させ、ロック腕96の先端係合部96aとロックハンドル97の係合を解除する。そして、図7の2点鎖線で示すように、支持腕94を右方向に旋回させて、扉部材5を開き、回転ドラム4の開口部4cを開放させる。
【0045】
この状態で回転ドラム4内に被ケレン部材を収容させ、図7に示すように、支持腕94を左方向に旋回させる。そして、ロックハンドル97を右方向に旋回させ、ロック腕96の先端係合部96aとロックハンドル97を係合させて、回転ドラム4の開口部4cを扉部材5で閉塞する。回転ドラム4を回転させ、回転ドラム4の内部に収納した被ケレン部材をケレン部材となる鋼球Kを用いてケレンし、被ケレン部材の付着物が除去される。
【0046】
回転ドラム4から被ケレン部材を排出する場合は、支持腕94とともに、扉部材5を回転させて、回転ドラム4の前方の開口部を開放し、被ケレン部材の排出を行う。
【0047】
図2及び図7に示すように、支持腕94と傾倒フレーム3との間に引張バネ94bが設けられ、この引張バネ94bにより、扉部材5が開放状態の時、開放方向に付勢され、扉部材5を開放した状態を保つように構成されている。この引張バネ94bは、被ケレン部材の出し入れ時に、扉部材5を開放状態に保つ、このことにより、被ケレン部材の出し入れを容易に行うことができる。
【0048】
図8に示すように、被ケレン部材の排出は、回転ドラム4の後方を上に持ち上げ、扉部材5側が低くなるように、回転ドラム4が斜め状態になるように維持する。このように回転ドラム4の開口部が低くなるようにして斜めの状態に保つことで、回転ドラム4内から被ケレン部材を容易に取り出すことができる。
【0049】
そして、被ケレン部材の排出時には、扉部材5を閉めた状態で、回転ドラム4を扉部材5側が低くなるように傾倒させる。この状態で、回転ドラム4を所定時間一定方向に回転又は正転と逆転を繰り返し、回転ドラム4を径方向に揺動させる。このように、回転ドラム4を駆動させ、被ケレン部材を扉部材5の内面に押し当てて被ケレン部材の姿勢を整える。
【0050】
その後、被ケレン部材の姿勢を整えた上で、扉部材5を開いて、被ケレン部材を排出する。これにより、より整えられた姿勢で被ケレン部材を回転ドラム4の外部へ取り出すことができ、その後の被ケレン部材の回収作業も円滑に行える。
【0051】
また、この実施形態では、回転ドラム4の開口部に対向するように、半円筒状のシュート10が傾倒フレーム3に取り付けられている。回転ドラム4の開口部から取り出される被ケレン部材は、シュート10に案内され、ばらけることなく回転ドラム4の外部に取り出すことができる。
【0052】
また、設置面Gには、ケレン部材受け皿11が設けられ、シュート10から排出されるケレン部材としての鋼球Kを収容するように構成している。被ケレン部材の排出時に回転ドラム4の外部へ出た鋼球Kは、ケレン部材受け皿11で回収することにより再利用できる。
【0053】
ケレン部材受け皿11には、水を排水する排水穴(図示しない)が設けられ、鋼球Kとともに排水された水を貯留槽13に送るように構成している。
【0054】
貯留槽13は、回転ドラム4に水を導入するための水中ポンプ12が配置されたピット14まで、水が流れるように、水勾配が設けられている。また、貯留槽13内には、フィルタなどが設けられ、被ケレン部材から除去された付着物を取り除き、水の再利用ができるようにしている。排水から付着物を取り除く方法は、フィルタを用いる方法または沈殿法若しくはこれらを併用する方法などを適用すればよい。
【0055】
次に、回転ドラム4の回転機構につき説明する。図2図4及び図5に示すように、閉塞部材6に設けられた回転軸60の先端にスプロケット61が取り付けられている。傾倒フレーム3にドラム回転モータ64が取り付けられている。ドラム回転モータ64にモータスプロケット63が取り付けられ、スプロケット61とモータスプロケット63との間にチェーン65が掛け渡され、ドラム回転モータ64の駆動により回転ドラム4が回転する。
【0056】
ドラム回転モータ64は、正逆転可能なモータであり、この実施形態では、ケレン動作時は正転駆動し、ケレン部材としての鋼球Kを収納する動作時には逆転駆動する。
【0057】
図1図3及び図9に示すように、回転ドラム4の周囲に、等間隔でケレン部材となる鋼球を収容する4つのケレン部材収容室40が軸長方向に延びて設けられている。ケレン部材収容室40は、回転ドラム4の内周に軸長方向に延びるケレン部材出入口41が設けられ、後述するように、回転ドラム4を正転させて、このケレン部材出入口41からケレン部材となる鋼球Kが回転ドラム4内に排出される。
【0058】
また、回転ドラム4を逆転させて、ケレン部材出入口41から収容室40内にケレン部材(鋼球K)を収容する。
【0059】
ケレン部材収容室40の収容部40aにつき、図9図11を参照して説明する。この実施形態では、ケレン部材収容室40の収容部40aは、回転ドラム4の外周面4aと外周面側に一定の距離を隔てて設けられた外壁42との間の空間により形成される。
【0060】
ケレン部材収容室40の収容部40aは、回転ドラム4の外周面4aと外壁42との中間部分に区切り壁43が設けられている。収容部40aは、回転ドラム4の内周に突出した収容突部44が設けられている。
【0061】
ケレン部材出入口41から収容部40a内に入った鋼球Kは、区切り壁43に沿って、回転ドラム4の外周面4aから収容突部44に案内され、収容突部44内に鋼球Kが収容される。
【0062】
回転ドラム4は、ドラム回転モータ64により、正転又は逆転する。図9に示す正転方向に回転ドラム4が回転する場合は、収容部40aに収容された鋼球Kを回転ドラム4内へ排出する動作と、ケレン動作を行う場合である。図9に示す逆転方向に回転ドラム4が回転する場合は、回転ドラム4内に存在する鋼球Kを収容部40aへ収容する動作を行う場合である。
【0063】
収容部40aに収容された鋼球Kを回転ドラム4内へ排出する動作につき、図10及び図11を参照して説明する。
【0064】
図10に示すように、収容部40a内に鋼球Kが収容されている状態で、回転ドラム4を正方向へ回転させる。収容部40a内に存在する鋼球は、ケレン部材出入口41から回転ドラム4内に排出される。そして、回転ドラム4の回転に伴って、区切り壁43に沿ってケレン部材出入口41まで鋼球Kが送られ、順次ケレン部材出入口41から回転ドラム4内に排出される。
【0065】
その後、図11に示すように、鋼球Kは回転ドラム4に排出されて、収容部40a内の鋼球Kが徐々に排出される。
【0066】
この一連の動作を繰り返すことにより、回転ドラム4内に鋼球Kが排出され、ケレン動作が行われる。
【0067】
回転ドラム4内に存在する鋼球Kを収容部40aへ収容する動作は、図11から図10の順で、回転ドラム4を逆転方向に回転させて行う。
【0068】
図11に示すように、回転ドラム4内に鋼球Kが存在している状態で、回転ドラム4を逆転方向へ回転させる。回転ドラム4に存在する鋼球は、ケレン部材出入口41から収容部40a内に入る。そして、図11に示すように、回転ドラム4の回転に伴って、ケレン部材出入口41から入った鋼球Kは、区切り壁43に沿って収容部40aの端部まで送られる。
【0069】
その後、図10に示すように、鋼球Kは回転ドラム4の外周面4aと区切り壁43の間に貯まり、そして、図10に示すように、収容突部44内に鋼球Kが貯えられて行く。
【0070】
この一連の動作を繰り返すことにより、回転ドラム4内の鋼球Kが収容部40aに収容される。
【0071】
図12に示すように、収容部40aに鋼球Kが収容された後、扉部材5を開け、回転ドラム4内の被ケレン部材(長尺部材10a)が取り出される。
【0072】
次に、回転ドラム4の傾倒機構につき、図1図4及び図5を参照して説明する。図1図4及び図5に示すように、傾倒フレーム3の端部にワイヤ取付部35が設けられている。そして、ベース台2の後端部側に傾倒シリンダ25が取り付けられる。傾倒シリンダ25は、本体部25aとこの本体部25aから出入するシリンダ部25bを有する。そして、傾倒シリンダ25のシリンダ部25bの上端には、一対のプーリー26が取り付けられる。このプーリー26と傾倒フレーム3のワイヤ取付部35は対向するように配置されている。
【0073】
ベース台2の後端部には、ワイヤ取付部28が設けられている。傾倒フレームのワイヤ取付部35にワイヤ38の一端を取り付け、ワイヤ38をプーリー26に掛け渡す。そして、ワイヤ38の他端をワイヤ取付部28に取り付ける。
【0074】
傾倒シリンダ25のシリンダ部25bは、上下方向に移動可能である。回転ドラム4の後端を上げ、扉部材5の方向が低くなるように、回転ドラム4の軸心の角度を変更する場合には、傾倒シリンダ25のシリンダ部25bを上昇させる。傾倒シリンダ25のシリンダ部25bが上昇すると、傾倒フレーム3はワイヤ38により引き上げられ、ヒンジ部31を中心にして傾倒し、回転ドラム4の後部が上がり、前方が下がって斜め状態となる(図8参照)。
【0075】
傾倒シリンダ25のシリンダ部25bが下降すると、シリンダ部25bの下降に伴って回転ドラム4の後方が下がり、回転ドラム4がヒンジ部31を中心として傾倒し、前方が上がる。
【0076】
傾倒フレーム3には、ストッパー39が設けられ、ストッパー39とベース台2とが当接し、回転ドラム4が停止する。
【0077】
この実施形態では、ストッパー39とベース台2とが当接した状態では、回転ドラム4は、後側へ2度程度傾いた状態に保持されている。これは、回転ドラム4内に被ケレン部材を収容する際に、開口部4cから後へ被ケレン部材を容易に送り込めるようにするためである。
【0078】
また、ケレン時には、回転ドラム4を水平状態で回転させるために、傾倒シリンダ25を所定の高さ上昇させ、回転ドラム4を水平状態に維持している。
【0079】
また、回転ドラム4内に存在する鋼球Kを収容部40aに収容する場合には、回転ドラム4を上下に傾倒させながら、回転ドラム4を回転させ、鋼球Kが収容部40a内に入り込みやすくするように、動作させてもよい。
【0080】
図4に示すように、この実施形態は、回転軸60の中心部に転がり軸受67を介して導水管66が設けられ、外部から回転ドラム4内に水を導入することができるように構成している。すなわち、図1に示すように、ピット14に配置された水中ポンプ12と導水管66とを導水ホース15で接続し、貯留槽13内の水を回転ドラム4内に注水することができるように構成している。
【0081】
被ケレン部材を鋼球Kによりケレンする際に、水を導水管66から注入して、回転ドラム4内に水を溜めて、被ケレン部材への付水により付着物の除去を促進させている。また、水を回転ドラム4内に溜めることで、回転ドラム4の回転により、内部を移動する被ケレン部材の衝突音を弱めることができ、防音効果が期待できる。
【0082】
また、防音のために、回転ドラム4の外周面又は内周面に防音用ゴムなどを取り付けてもよい。
【0083】
次に、この発明のドラム式ケレン装置の動作につき、図12図16を参照して説明する。
【0084】
図12図13は、被ケレン部材(長尺部材10a)をケレンする場合を示している。
【0085】
図13に示すように、半筒状の収容部を有したパレット10bに長尺部材10aを収容させる。そして、回転ドラム4の収容部40aに所定の量の鋼球Kが収容された状態で、扉部材5を開き、回転ドラム4の開口部を開放する。
【0086】
フォークリフト10cにより、パレット10bを持ち上げ、図13に示すように、回転ドラム4内にパレット10bごと長尺部材10aを挿入させる。長尺部材10aを回転ドラム4内に挿入後、フォークリフト10cをドラム式ケレン装置1から離す。この状態が図14に示す状態である。
【0087】
そして、回転ドラム4の扉部材5を閉じて、図15に示すように、回転ドラム4を180度回転させて、回転ドラム4を停止させる。回転ドラム4を180度回転させることで、パレット10bに収納されていた長尺部材10aは、回転ドラム4内に落下し、回転ドラム4内に配置される。
【0088】
この状態で、扉部材5を開け、フォークリフト10cでパレット10bを保持し、回転ドラム4からパレット10bを取り出す。パレット10bを回転ドラム4から取り出した後、扉部材5を閉じ、ケレン動作の準備が完了し、図12に示す状態になる。
【0089】
その後、傾倒シリンダ25のシリンダ部25bを所定の高さ迄上げて、回転ドラム4を水平状態に維持する。そして、ドラム回転モータ64を正転駆動し、回転ドラム4を正転方向に回転させる。そして、導水管66から回転ドラム4内に注水する。
【0090】
回転ドラム4が正転することで、収容部40aに収納されていたケレン部材としての鋼球Kが回転ドラム4内に排出される。
【0091】
回転ドラム4の内周には、収容突部44の壁面が周方向に所定の間隔で突出している。この収容突部44が回転ドラム4のケレン方向への回転時(図12の正転時方向)に、上向きに回動するとき、下部の位置で鋼球Kと長尺部材10aを掻き上げ、上部の位置で鋼球Kと長尺部材10aを落下させ、長尺部材10aに対する鋼球Kの衝突により、バレル方式で長尺部材10aにケレン処理を施すことになる。
【0092】
上記回転ドラム4を所定時間回転させてケレン処理が完了すると、鋼球Kを収容部40a内に収容する動作を行う。
【0093】
回転ドラム4を逆転方向へ回転させて、鋼球Kを収容部40a内に収容させる。回転ドラム4を逆回転させると、回転ドラム4の回転に伴って、ケレン部材出入口41から入った鋼球Kは、区切り壁43に沿って収容部40aの端部まで送られる。
【0094】
その後、所定時間逆回転させて、回転ドラム4内の鋼球Kを収容部40aに収容する。この鋼球Kの収容動作時に、傾倒シリンダ25のシリンダ部25bを上下動させ、回転ドラム4を傾倒させて、鋼球Kが収容部40a内に入り込みやすくするように、動作させてもよい。
【0095】
所定時間の逆転動作を終了後、回転ドラム4から長尺部材10aを排出させる。長尺部材10aの排出時に、回転ドラム4を排出方向に傾倒させ扉部材5を閉めた状態で所定時間回転又は径方向に揺動させ、長尺部材10aを扉部材5の内面に押し当てて長尺部材10aの姿勢を整える。回転ドラム4を水平状態に保ち、扉部材5を開放する。その後、図16に示すように、回転ドラム4の後方を上げて、回転ドラム4を傾倒させる。回転ドラム4を傾倒させることにより、長尺部材10aはシュート10に案内され排出される。この時、シュート10に近接してパレット10bを配置すると、パレット10b上にケレンが終了した長尺部材10aが収容され、より整えられた姿勢で長尺部材10aを回転ドラム4の外部へ取り出すことができる。
【0096】
図8に示すように、回転ドラム4内の水は、ケレン部材受け皿11を介して貯留槽13に流れる。水と一緒に流れ出た鋼球Kは、ケレン部材受け皿11で回収される。回収された鋼球Kは、再利用される。
【0097】
次に、被ケレン部材として、鋼管クランプ等の小さな部材をケレンする場合につき、図17及び図18を参照して説明する。
【0098】
図17に示すように、ストッパー39とベース台2とが当接した状態では、回転ドラム4は、後側へ2度程度傾いた状態に保持する。そして、扉部材5を開放し、回転ドラム4内にベルトコンベア10dの先端を導入する。そして、ベルトコンベア10dを駆動させて、ベルトコンベア10d上に小さな部材10eを載せる。ベルトコンベア10dで小さな部材10eを搬送し、回転ドラム4内に小さな部材を収容させる。ベルトコンベア10dをドラム式ケレン装置1から離し、扉部材5を閉じ、ケレン動作の準備が完了する。
【0099】
その後、傾倒シリンダ25を所定の高さ上げて、回転ドラム4を水平状態に維持する。そして、ドラム回転モータ64を正転駆動し、回転ドラム4を正転方向に回転させる。そして、導水管66から回転ドラム4内に注水する。
【0100】
回転ドラム4が正転することで、収容部40aに収納されていたケレン部材としての鋼球Kが回転ドラム4内に排出される。
【0101】
回転ドラム4の回転により、小さな部材10eに対する鋼球Kの衝突により、バレル方式で小さな部材10eにケレン処理を施すことになる。
【0102】
上記回転ドラム4を所定時間回転させてケレン処理が完了すると、鋼球Kを収容部40a内に収容する動作を行う。
【0103】
回転ドラム4を逆転方向へ回転させて、鋼球Kを収容部40a内に収容させる。回転ドラム4を逆回転させると、回転ドラム4の回転に伴って、ケレン部材出入口41から入った鋼球Kは、区切り壁43に沿って収容部40aの端部まで送られる。
【0104】
その後、所定時間逆回転させて、回転ドラム4内の鋼球Kを収容部40aに収容する。この鋼球Kの収容動作時に、回転ドラム4を傾倒させて、鋼球Kが収容部40a内に入り込みやすくするように、動作させてもよい。
【0105】
所定時間の逆転動作を終了後、回転ドラム4から小さな部材10eを排出させる。図18に示すように、回転ドラム4の後方を上げて、回転ドラム4を傾倒させ、扉部材5を開放した状態で、シュート10の下部にベルトコンベア10dの先端を配置する。ベルトコンベア10dはドラム式ケレン装置1から離れるに従って、高さが高くなるように設置している。この状態で所定時間回転又は径方向に揺動させ、小さな部材10eをシュート10に送り、ベルトコンベア10dに排出する。
【0106】
図18に示すように、回転ドラム4の後方を上げて、回転ドラム4を傾倒させ、扉部材5を開放した状態で、シュート10の下部にベルトコンベア10dの先端を配置する。ベルトコンベア10dはドラム式ケレン装置1から離れるに従って、高さが高くなるように設置している。排出された小さな部材10eをベルトコンベア10dで運び、小さな部材10eを収容する収容ケース10fに収容する。
【0107】
回転ドラム4内の水は、ケレン部材受け皿11を介して貯留槽13に流れる。水と一緒に流れ出た鋼球Kは、ケレン部材受け皿11で回収される。回収された鋼球Kは、再利用される。
【0108】
ところで、被ケレン部材が小さな部材の場合には、部材同士が絡み合い上手くケレンが行えない場合がある。特に、被ケレン部材が筋交いのような場合には、筋交い同士が絡み合いケレンが上手く行えない場合がある。
【0109】
このような部品同士が絡みやすい場合に用いるケレン補助装置について、図19図21を参照して説明する。
【0110】
図19及び図20に示すように、ケレン補助装置490は、円筒状のワイヤメッシュ本体491と、蓋492と、ワイヤメッシュ本体491の外周に設けられた緩衝部材494と、を備える。
【0111】
ワイヤメッシュ本体491の開口部495は、ケレン部材は通過できるが、内部に収容された部材は外部には排出されない大きさに設定されている。
【0112】
この実施形態では、ワイヤメッシュ本体491に、蓋492を蝶ネジ493により取り付けられている。
【0113】
緩衝部材494は、ゴムなどの弾性部材により形成され、その外周は、回転ドラム4の内周より僅かに小さく形成されている。
【0114】
蓋492を外し、ワイヤメッシュ本体491内に、筋交いのような被ケレン部材を収容させた後、蝶ネジ493により蓋492を締める。
【0115】
このように、ワイヤメッシュ本体491内に被ケレン部材を収容したケレン補助装置490を用意する。そして、図21に示すように、回転ドラム4の扉部材5を開放し、回転ドラム4内にケレン補助装置490を収容する。
【0116】
その後、傾倒シリンダ25を所定の高さ上げて、回転ドラム4を水平状態に維持する。そして、ドラム回転モータ64を正転駆動し、回転ドラム4を正転方向に回転させる。そして、導水管66から回転ドラム4内に注水する。
【0117】
回転ドラム4が正転することで、収容部40aに収納されていたケレン部材としての鋼球Kが回転ドラム4内に排出される。
【0118】
回転ドラム4の回転により、鋼球Kがワイヤメッシュ本体491内に入り込み、内部に収容された被ケレン部材と鋼球Kの衝突により、バレル方式で被ケレン部材にケレン処理を施すことになる。回転ドラム4とケレン補助装置490とは、緩衝部材494により当接することになるので、衝突音の発生が抑制でき、防音効果に優れる。
【0119】
上記回転ドラム4を所定時間回転させてケレン処理が完了すると、鋼球Kを収容部40a内に収容する動作を行う。
【0120】
回転ドラム4を逆転方向へ回転させて、鋼球Kを収容部40a内に収容させる。回転ドラム4を逆回転させると、回転ドラム4の回転に伴って、ケレン部材出入口41から入った鋼球Kは、区切り壁43に沿って収容部40aの端部まで送られる。
【0121】
その後、所定時間逆回転させて、回転ドラム4内の鋼球Kを収容部40aに収容する。この鋼球Kの収容動作時に、回転ドラム4を傾倒させて、鋼球Kが収容部40a内に入り込みやすくするように、動作させてもよい。
【0122】
所定時間の逆転動作を終了後、回転ドラム4からケレン補助装置490を取り出し、内部に収容した被ケレン部材を取り出す。
【0123】
上記したケレン補助装置490は、ワイヤメッシュ本体491と蓋492でかごを形成しているが、蓋を設けずに、円柱かご形の本体を径方向で分割するように構成してもよい。
【0124】
次に、この発明の第2の実施形態のドラム式ケレン装置1につき、図22及び図23に従い説明する。この第2の実施形態は、ケレン部材収容室の構成が第1の実施形態と相違し、他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるために、ここではその説明を省略する。
【0125】
この第2の実施形態のケレン部材収容室402は、回転ドラム4の外周側に回転ドラム4の外周面4aと所定の間隔を隔てた設けられた円筒状外筒403が設けられている。すなわち、回転ドラム4の外周全面に沿ってはケレン部材収容室402が設けられている。
【0126】
そして、ケレン部材収容室402は、区切り壁405により、円周方向に4分割され、4つの収容部404を備える。
【0127】
各収容部404は、軸長方向に延びるケレン部材出入口410が設けられ、このケレン部材出入口410からケレン部材となる鋼球Kが回転ドラム4内に排出される。
【0128】
また、回転ドラム4内の鋼球Kは、回転ドラム4を逆転させて、ケレン部材出入口410から収容部404内に鋼球Kを収容する。
【0129】
ケレン部材収容室402の各収容部404は、回転ドラム4の外周面4aと円筒状外筒403との中間部分に区切り壁413が設けられている。収容部404は、回転ドラム4の内周に突出した収容突部414が設けられている。
【0130】
ケレン部材出入口410から収容部404内に入った鋼球Kは、区切り壁413に沿って、回転ドラム4の外周面4aから収容突部414に案内され、収容突部414内に鋼球Kが収容される。
【0131】
この第2の実施形態では、ケレン部材収容室402を、回転ドラム4の外周の全面に設けているので、ケレン部材収容室402に収容できるケレン部材の量を多くすることができる。
【0132】
そして、回転ドラム4内に鋼球Kを排出する場合には、収容部404内に鋼球Kが収容されている状態で、回転ドラム4を正転方向へ回転させる。収容部404内に存在する鋼球は、ケレン部材出入口410から回転ドラム4内に排出される。そして、回転ドラム4の回転に伴って、区切り壁413に沿ってケレン部材出入口410まで鋼球Kが送られ、順次ケレン部材出入口410から回転ドラム4内に排出される。
【0133】
回転ドラム4内に存在する鋼球Kを収容部404へ収容する動作は、回転ドラム4を逆転方向に回転させて行う。
【0134】
回転ドラム4内に鋼球Kが存在している状態で、回転ドラム4を逆転方向へ回転させる。回転ドラム4に存在する鋼球は、ケレン部材出入口410から収容部404内に入る。そして、回転ドラム4の回転に伴って、ケレン部材出入口410から入った鋼球Kは、区切り壁413に沿って収容部404の端部まで送られる。
【0135】
その後、鋼球Kは回転ドラム4の外周面4aと区切り壁413の間に貯まり、そして、収容突部414内に鋼球Kが貯えられて行く。
【0136】
この一連の動作を繰り返すことにより、回転ドラム4内の鋼球Kが収容部404に収容される。
【0137】
また、上記した第1、第2実施形態において、ケレン部材収容室の回転ドラム4の軸方向の配置構成については特に制限はなく、実施形態の構成以外に例えば、回転ドラム4の全長に渡って断続的に設けても良く、また、回転ドラム4の前方端部に設けても良い。ケレン部材収容室を回転ドラム4の前方端部に設けた場合、回転ドラム4の前方が下がるように傾倒させながらケレン部材となる鋼球Kの収納作業を行うことで、被ケレン部材を予め部材5側に寄せることができ、被ケレン部材の排出作業の時間短縮が図れ、作業の効率化が期待できる。
【0138】
次に、この発明の第3の実施形態につき図24図27を参照して説明する。この第3の実施形態は、ケレン部材収容室の構成が第1の実施形態と相違し、他の構成は第1の実施形態と同様であり、同一部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるために、ここではその説明を省略する。ここでは、回転ドラム4部分について説明する。
【0139】
図24図27に示すように、第3の実施形態の回転ドラム430は、内周側の内周ドラム431とこの内周ドラム431と同心状に設けられた外周ドラム432とを備える。
【0140】
内周ドラム431の内周側がケレン室となる。内周ドラム431と外周ドラム432との間に、ケレン部材収容室440が形成される。
【0141】
この第3の実施形態では、回転ドラム430の軸方向の後端側の略半分にケレン部材収容室440が設けられる。ケレン部材収容室440の前方側端部には仕切り壁443が設けられている。この仕切り壁443は、ケレン部材(鋼球K)は通過できないが水は通過できる空隙が設けられている。
【0142】
ケレン部材収容室440に入った水は仕切り壁443を通過し、前方の内周ドラム431と外周ドラム432との間に形成された水貯留室450にも取り込まれる。
【0143】
回転ドラム430の閉塞部材6近傍の内周ドラム431には、第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448が対向して設けられている。この実施形態では、鋼球Kが搬送され収容される通路として、2つのケレン部材収容通路445、446を有している。
【0144】
図25及び図26に示すように、第1ケレン部材出入口447は、ケレン部材収容通路445に対して設けられ、第2ケレン部材出入口448は、ケレン部材収容通路446に対して設けられている。ケレン部材収容通路445、446は、螺旋状に内周ドラム431と外周ドラム432の間を仕切り、前方に延びる仕切り壁443、444とにより形成される。図25の矢印に示すように、鋼球Kが、第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448からケレン部材収容室440に対して収納または排出される。
【0145】
第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448は、それぞれ案内板449が設けられている。案内板449は、第1ケレン部材出入口447及び第2ケレン部材出入口448が、ケレン部材は通過できるが、被ケレン部材は通過できない開口となる間隔で配置され、ケレン部材収容通路445、446への被ケレン部材の入り込みを防止する。
【0146】
第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448は、ケレン部材収容時には、第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448に入り込んだ鋼球Kをそれぞれケレン部材収容通路445、446内に案内する。そして、ケレン部材排出時は、ケレン部材収容通路445、446から出る鋼球Kを第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448に案内する。
【0147】
ケレン部材収容通路445は、仕切り壁443の回転ドラム430の前方側に面する壁面と、仕切り壁444の回転ドラム430の後方側に面する壁面との間に形成される。
【0148】
ケレン部材収容通路446は、仕切り壁443の回転ドラム430の後方側に面する壁面と、仕切り壁444の回転ドラム430の前方側に面する壁面との間に形成される。
【0149】
これら2つの螺旋状の仕切り壁443、444で形成される2つの通路は、あたかも2条ネジと同様のピッチで形成されている。
【0150】
図25に示すように、回転ドラム4の内周ドラム431の内周側には、内周側突出する円弧状の掻き揚げ部材452が設けられている。
【0151】
回転ドラム430の内周ドラム431に存在する鋼球Kは、回転ドラム430を逆転方向に回転させることにより、第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448からそれぞれケレン部材収容通路445、446に入り、回転ドラム430の回転により、ケレン部材収容通路445、446に沿って回転ドラム430の前方へ送られて収容される。
【0152】
図27は、鋼球Kがケレン部材収容通路445、446内に収容される様子を示している。この図27においては、ケレン部材収容通路445に収納される鋼球を白抜きで、ケレン部材収容通路446に収容される鋼球にハッチングを施し、鋼球がどのように収容されるかを理解が容易になるように記載している。
【0153】
図26に示すように、第1ケレン部材出入口447からケレン部材収容通路445に入った鋼球Kは、軸方向に対して1つ置きの通路に収容される。同様に、第2ケレン部材出入口448からケレン部材収容通路446に入った鋼球Kは、軸方向で1つおきの通路に収容される。
【0154】
ケレン部材収容通路445、446に、それぞれ送られた鋼球Kは、回転ドラム430の逆回転により、回転ドラム430の前方に送られる。このように、螺旋状に構成したケレン部材収容通路445、446内に鋼球Kを収容することができるので、ケレン部材の収容量を増やすことができる。そして、ケレン部材収容通路445、446内に入った水は、回転ドラム430の内周ドラム431と外周ドラム432の間に充填されることになる。
【0155】
また、内周ドラム431と外周ドラム432との間に水を充填することにより、防音効果が上昇する。
【0156】
ケレン部材収容通路445、446内に収容した鋼球Kを回転ドラム430の内周ドラム431内に排出する場合には、回転ドラム430を正転方向に回転させる。回転ドラム430を正転方向に回転させると、回転ドラム430の前方から後方へとケレン部材収容通路445、446に沿って鋼球Kが案内されて送られ、第1ケレン部材出入口447、第2ケレン部材出入口448からそれぞれ鋼球Kが排出される。
【0157】
上記した例では、2条のケレン部材収容通路を形成しているが、ケレン部材収容通路は2条に限らない。例えば、1条のケレン部材収容通路で形成してもよい。ただし、1条のケレン部材収容通路の場合、ケレン部材出入口が1つになるので、ケレン部材の収容効率が低下する。ケレン部材を効率良く収容するには、ケレン部材収容通路は多条で構成することが好ましく、ケレン部材出入口は回転ドラムに対して等間隔に設けることが好ましい。
【0158】
また、上記第3実施形態によるケレン部収容室の構成では、ケレン部材出入口が回転ドラム4の後方端部に配置されているため、特にケレン部材(鋼球K)の収納作業時には、回転ドラム4の後方が下がるように傾倒した状態で収納作業を行うことが好ましく、ケレン部材4をケレン部材出入口側に寄せながら収納作業ができることで、効率的にケレン部材(鋼球K)を収納することができる。
【0159】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0160】
1 :ドラム式ケレン装置
2 :ベース台
3 :傾倒フレーム
4 :回転ドラム
5 :扉部材
6 :閉塞部材
7 :ドラム支持ローラ
8 :支持部
9 :蓋支持部材
10 :シュート
11 :ケレン部材受け皿
12 :水中ポンプ
13 :貯留槽
14 :ピット
15 :導水ホース
21 :足部材
22 :ヒンジ台
25 :傾倒シリンダ
25b :シリンダ部
26 :プーリー
28 :ワイヤ取付部
31 :ヒンジ部
38 :ワイヤ
39 :ストッパー
40 :ケレン部材収容室
40a :収容部
41 :ケレン部材出入口
K :鋼球
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