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  • 特許-ダイヤフラム弁 図1
  • 特許-ダイヤフラム弁 図2
  • 特許-ダイヤフラム弁 図3
  • 特許-ダイヤフラム弁 図4
  • 特許-ダイヤフラム弁 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ダイヤフラム弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/12 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
F16K7/12 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019056694
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020159377
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】八幡 聡太
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】石橋 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小原 俊治
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】堀河 裕生
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-525622(JP,A)
【文献】特開2013-117241(JP,A)
【文献】実開平5-59074(JP,U)
【文献】特開2013-249867(JP,A)
【文献】特表2016-509182(JP,A)
【文献】特表2013-500455(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0225021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/00-7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路を有するボディと、弁座に当接・離隔することにより流体通路を開閉するダイヤフラムと、ダイヤフラムを開または閉方向に移動させる操作機構とを備え、弁座とされるせきが流体通路の中程に設けられるとともに、ダイヤフラムの中央部に、せきに当接するシールラインが設けられているダイヤフラム弁において、
前記ダイヤフラムのシールラインが当接する前記せきの上面に、シールラインの幅よりも広い幅を有する帯状の面圧センサがシールラインの全長に亘って設けられていることを特徴とするダイヤフラム弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイヤフラム弁に関し、特に、ウエア形と称されているダイヤフラム弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤフラム弁として、流体通路に弁座とされるせき(WEIR)を設けて、これに対してダイヤフラムを当接・離隔することで流体通路を開閉するウエア形と称されているものが知られている。
【0003】
ダイヤフラム弁は、半導体、バイオ、医薬品等の生産プロセスで使用されることがあり、この用途では、ダイヤフラムが破損してしまう前に、異常を検知することが望まれている。特許文献1には、ダイヤフラムを接液シート、電極部材および緩衝部材と一体に形成し、ダイヤフラムの異常の有無をダイヤフラムに設けた電極部材間の電気抵抗の変化を測定して検知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-117241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものでは、ダイヤフラムを従来とは違う構成とすることから、従来から使用されていて性能が確認されているダイヤフラムが使用できないという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、ダイヤフラムとしては、従来のものをそのまま使用し、なおかつ、異常を早期に検知することができるダイヤフラム弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるダイヤフラム弁は、流体通路を有するボディと、弁座に当接・離隔することにより流体通路を開閉するダイヤフラムと、ダイヤフラムを開または閉方向に移動させる操作機構とを備え、弁座とされるせきが流体通路の中程に設けられるとともに、ダイヤフラムの中央部に、せきに当接するシールラインが設けられているダイヤフラム弁において、前記ダイヤフラムのシールラインが当接する前記せきの上面に、シールラインの幅よりも広い幅を有する帯状の面圧センサがシールラインの全長に亘って設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
ダイヤフラムは、操作機構から受ける力によって、そのシールラインがボディのせきの上面に当接し、これにより、流体通路が閉鎖される。ダイヤフラム弁の使用に伴って、シールラインは潰れ、シールラインがせきに接触する面積が増大する。接触面積が増大した場合、操作機構からダイヤフラムに負荷される力は一定であるので、せきに掛かる面圧が低下する。したがって、せきに設けられた面圧センサの出力を監視して面圧低下を検知することにより、ダイヤフラムの異常を早期に検知することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明のダイヤフラム弁によると、せきに設けられた面圧センサの出力を監視して面圧低下を検知することにより、ダイヤフラムの異常を早期に検知することができ、ダイヤフラムの交換などの対応を取ることができる。ダイヤフラムは、従来と同じものが使用でき、従来のダイヤフラム弁と同じ性能を維持して、異常を早期に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明によるダイヤフラム弁の1実施形態の全体構成を示す縦断面図である。
図2図2は、面圧センサが設けられたボディを示す縦断面図である。
図3図3は、面圧センサが設けられたボディを示す平面図である。
図4図4は、作用効果を説明するための要部の縦断面図である。
図5図5は、面圧センサで測定される圧力を説明する図で、(a)はダイヤフラム弁が正常時の状態を示し、(b)はダイヤフラム弁が経時変化による異常時の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明のダイヤフラム弁の1実施形態を図1から図4までに示す。以下の説明において、上下・左右は、図1の上下・左右をいうものとし、また、同図の紙面表側を前、紙面裏側を後というものとする。この上下・左右・前後は便宜的なもので、設置に際しては、上下が逆になったり、水平になったりすることもある。
【0012】
このダイヤフラム弁1は、ウエア形でかつ自動のもので、図1に示すように、左右にのびる流体流入通路2aおよび流体流出通路2bを有するボディ2と、ボディ2の流体流入通路2aと流体流出通路2bとの間に設けられた弁座としてのせき3と、せき3の上面3aに対して当接・離間することで流体流入通路2aと流体流出通路2bとの間を開閉するダイヤフラム4と、ボディ2との間でダイヤフラム4の周縁部を保持するボンネット5と、ダイヤフラム4に吊り金具7を介して接続されたステム6と、ステム6下端部に固定されたダイヤフラム押さえ8と、ステム6を上下移動させてダイヤフラム4を開または閉方向に移動させる操作機構9とを備えている。
【0013】
ダイヤフラム4は、せき3に接する側の樹脂層(例えばPTFE製)10と、ダイヤフラム押さえ8に接する側のゴム層11との2層構造とされている。ダイヤフラム4には、図4に示すように、左右の中央部において、前後に延びるシールライン4aが設けられている。シールライン4aは、球面状部分から僅かに突出しており、せき3の上面3aに当接する部分となっている。
【0014】
操作機構9は、図示省略するが、例えば、ステム6に固定されたピストンを圧縮コイルばねの付勢力に抗して圧縮空気によって上下させるものとされる。圧縮空気の圧力は、一定に制御されており、ステム6からダイヤフラム4に負荷される力は一定に維持される。
【0015】
上記の構成は、従来のものと同じであり、この実施形態のダイヤフラム弁1は、さらに、Sで示すセンサ取付け位置に、図2および図3に示すシート状の面圧センサ12が設けられている。
【0016】
面圧センサ12は、せき3とダイヤフラム4との間に発生する上下方向の力を測るセンサであり、図2および図3に示されているように、前後にのびる帯状とされて、せき3の上面3aに、シールライン4aの全長に亘って設けられている。経時変化によってせき3の上面3aに作用する面圧が低下すると、漏れの発生のおそれが増大する。そこで、面圧センサ12によって面圧を測定し、面圧が所定値以下に達した場合には異常と判定して、ダイヤフラム4を交換することにより、漏れの発生に対して早期に対応することができる。面圧センサ12としては、例えば、XSENSOR社の面圧センサを使用することができる。
【0017】
せき3とダイヤフラム4との間に発生する上下方向の力については、正常時は、図5(a)に示すように、ダイヤフラム4のシールライン4aがせき3の上面3aに強く接触する。これに応じて、せき3の上面3aには、ハッチングA1で示している範囲に、PAで示すような面圧分布を持つ大きな面圧が発生する。これにより、流体流入通路2aと流体流出通路2bとの間が確実に閉鎖される。
【0018】
ダイヤフラム弁1の使用に伴って、ダイヤフラム4のシールライン4aは、図5(b)に示すように潰れて左右に広がる。これにより、シールライン4aがせき3の上面3aに接触する範囲は、上記のハッチングA1で示している範囲と同じハッチングB1で示している範囲に、ハッチングB2で示している範囲が加わり、接触面積が増大する。ステム6からダイヤフラム4に負荷される力は一定であるので、接触面積の増大により、せき3の上面3aに掛かる面圧が低下し、PBで示すような面圧分布を持つ面圧となる。したがって、せき3の上面3aに設けられた面圧センサ12の出力を監視して面圧低下を検知することにより、ダイヤフラム4の異常を早期に検知することができる。
【0019】
面圧センサ12の幅は、正常時の接触幅、すなわち、正常時のシールライン4aの接触幅よりも広い幅とされ、これにより、面圧センサ12によって得られる面圧の大きさから異常の有無の判定を行うことができる。
【0020】
なお、上記において、圧縮空気を使用した自動ダイヤフラム弁1を示したが、上記の早期異常を検知する面圧センサ12は、ハンドルを手動で回転させることで、ステムを上下移動させる手動ダイヤフラム弁にも適用することができる。また、ダイヤフラムは、2層のものに限らず、EPDMゴム1層からなるものでもよく、従来の種々のものを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明によると、半導体、バイオ、医薬品等の生産プロセスで広く使用されているダイヤフラム弁の性能向上に寄与することができる。
【符号の説明】
【0022】
1:ダイヤフラム弁
2:ボディ
2a:流体流入通路(流体通路)
2b:流体流出通路(流体通路)
3:せき(弁座)
3a:上面
4:ダイヤフラム
9:操作機構
12:面圧センサ
図1
図2
図3
図4
図5