(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】デジタル遺品管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20230309BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20230309BHJP
【FI】
G06Q50/18 320
G06F21/62 345
(21)【出願番号】P 2020138299
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】520313817
【氏名又は名称】千葉 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】千葉 和彦
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-078883(JP,A)
【文献】特開2016-045604(JP,A)
【文献】特開2019-067329(JP,A)
【文献】特開2019-204194(JP,A)
【文献】特開2008-234341(JP,A)
【文献】特開2013-131131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のユーザーが死亡を含む所定状態となった後、SNS(Social Networking Service)において前記第1のユーザーが管理する情報の処分方法の希望に関する情報を記憶するものであって、前記第1のユーザーを識別するユーザー識別情報と、前記SNSを識別するSNS識別情報と、前記希望に関する条件と、を関連付けて記憶するユーザー希望記憶手段と、
前記SNSのユーザーが管理する情報について、前記ユーザーが前記所定状態となった後の取り扱い方法を規定する情報を記憶するものであって、前記SNS識別情報と、前記取り扱いに関する条件と、を関連付けて記憶する条件記憶手段と、
前記第1のユーザーが操作する第1ユーザー端末から、前記SNS毎の前記希望に関する条件を受け付け、受け付けた情報に基づいて、前記希望に関する条件を前記ユーザー希望記憶手段に記憶させる希望条件受付手段と、
各前記SNSを提供するSNS提供装置から前記取り扱い方法を構成する条件に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記取り扱いに関する条件を前記条件記憶手段に記憶させるSNS条件取得手段と、
前記希望に関する条件と、前記取り扱いに関する条件と、を比較して、前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、前記第1のユーザーが前記各SNSにおいて管理する情報について、前記希望に関する条件に従って処分が可能か否かを判定する可否判定手段と、
前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、第2のユーザーが操作する第2ユーザー端末からの前記希望に関する条件及び前記可否判定手段による判定結果の閲覧要求に基づいて、前記第1のユーザーの前記希望に関する条件及び前記可否判定手段による判定結果を提供する処分可否確認手段と、を有することを特徴とするデジタル遺品管理装置。
【請求項2】
前記可否判定手段によって否と判定される場合、前記希望に関する条件のうち、前記取り扱いに関する条件を満たさない条件について前記取り扱いに関する条件を満たすように変更した第2の前記希望に関する条件を生成し、前記ユーザー希望記憶手段において、前記ユーザー識別情報と、前記SNS識別情報と、前記第2の希望に関する条件と、を関連付けて登録する修正希望条件登録手段を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル遺品管理装置。
【請求項3】
前記ユーザー希望記憶手段において、複数の前記希望に関する条件について、前記ユーザー識別情報と、前記SNS識別情報と、前記希望に関する条件と、前記第1のユーザーによる希望順位と、を関連付けて記憶し、
前記修正希望条件登録手段によって生成される前記第2の希望に関する条件が、前記希望に関する条件よりも前記希望順位が低いことを特徴とする請求項2に記載のデジタル遺品管理装置。
【請求項4】
前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、前記第2ユーザー端末から受け付ける前記第1のユーザーが管理する情報の処分要求に基づいて、前記SNS提供装置に接続し、前記第1のユーザーが管理する情報の前記希望に関する条件に従った処分が可能な環境を提供する環境提供手段を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のデジタル遺品管理装置。
【請求項5】
第1のユーザーが死亡を含む所定状態となった後、SNS(Social Networking Service)において前記第1のユーザーが管理する情報の処分方法の希望に関する情報を記憶するものであって、前記第1のユーザーを識別するユーザー識別情報と、前記SNSを識別するSNS識別情報と、前記希望に関する条件と、を関連付けて記憶するユーザー希望記憶手段と、前記SNSのユーザーが管理する情報について、前記ユーザーが前記所定状態となった後の取り扱い方法を規定する情報を記憶するものであって、前記SNS識別情報と、前記取り扱いに関する条件と、を関連付けて記憶する条件記憶手段と、を備えるコンピューターにおいて、
希望条件受付手段が、前記第1のユーザーが操作する第1ユーザー端末から、前記SNS毎の前記希望に関する条件を受け付け、受け付けた情報に基づいて、前記希望に関する条件を前記ユーザー希望記憶手段に記憶させるステップと、
SNS条件取得手段が、各前記SNSを提供するSNS提供装置から前記取り扱い方法を構成する条件に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記取り扱いに関する条件を前記条件記憶手段に記憶させるステップと、
可否判定手段が、前記希望に関する条件と、前記取り扱いに関する条件と、を比較して、前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、前記第1のユーザーが前記各SNSにおいて管理する情報について、前記希望に関する条件に従って処分が可能か否かを判定するステップと、
処分可否確認手段が、前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、第2のユーザーが操作する第2ユーザー端末からの前記希望に関する条件及び前記可否判定手段による判定結果の閲覧要求に基づいて、前記第1のユーザーの前記希望に関する条件及び前記可否判定手段による判定結果を提供するステップと、を含むデジタル遺品管理方法。
【請求項6】
修正希望条件登録手段が、前記可否判定手段によって否と判定される場合、前記希望に関する条件のうち、前記取り扱いに関する条件を満たさない条件について前記取り扱いに関する条件を満たすように変更した第2の前記希望に関する条件を生成し、前記ユーザー希望記憶手段において、前記ユーザー識別情報と、前記SNS識別情報と、前記第2の希望に関する条件と、を関連付けて登録するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のデジタル遺品管理方法。
【請求項7】
前記ユーザー希望記憶手段において、複数の前記希望に関する条件について、前記ユーザー識別情報と、前記SNS識別情報と、前記希望に関する条件と、前記第1のユーザーによる希望順位と、を関連付けて記憶し、
前記修正希望条件登録手段によって生成される前記第2の希望に関する条件が、前記希望に関する条件よりも前記希望順位が低いことを特徴とする請求項6に記載のデジタル遺品管理方法。
【請求項8】
環境提供手段が、前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、前記第2ユーザー端末から受け付ける前記第1のユーザーが管理する情報の処分要求に基づいて、前記SNS提供装置に接続し、前記第1のユーザーが管理する情報の前記希望に関する条件に従った処分が可能な環境を提供するステップを含むことを特徴とする請求項5乃至7の何れか一に記載のデジタル遺品管理方法。
【請求項9】
コンピューターに、請求項5乃至8の何れか一に記載の方法を実行させるためのデジタル遺品管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被相続人等が生前SNS(Social Networking Service)において管理する情報について、相続人等が被相続人等の意向に沿って処分する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年技術の進歩によって、インターネット利用の障壁が低くなり、年齢・性別を問わず、SNSによって情報発信する人が増えてきている。
【0003】
一方、高齢化社会を迎えるわが国では、相続人に迷惑を掛けないように、自己の資産・財産に関する死後の処分方法について、生前のうちに整理する動きがみられるようになってきた。
【0004】
そのような背景下、例えば、特許文献1乃至3においては、被相続人の死後、相続人が被相続人の身辺整理をスムーズに行うことができるようにするアイデアの技術的提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-064550号公報
【文献】特許第5390034号公報
【文献】特開2018-081656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、SNS上の個人情報の取り扱いについてはSNS毎に定められている状況下、上記の従来技術では、被相続人の死後、SNS上で被相続人が生前管理していた情報を被相続人の希望に沿ってスムーズに取り扱うことができないという問題点があった。
【0007】
そこで本発明では、上記問題点を鑑み、SNS上の個人情報について各SNSが取り扱い方針を個別に定める中、被相続人の死後等、SNS上で管理している情報を当人の希望に沿ってスムーズに取り扱うデジタル遺品管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示するデジタル遺品管理装置の一形態は、第1のユーザーが死亡を含む所定状態となった後、SNS(Social Networking Service)において前記第1のユーザーが管理する情報の処分方法の希望に関する情報を記憶するものであって、前記第1のユーザーを識別するユーザー識別情報と、前記SNSを識別するSNS識別情報と、前記希望に関する条件と、を関連付けて記憶するユーザー希望記憶手段と、前記SNSのユーザーが管理する情報について、前記ユーザーが前記所定状態となった後の取り扱い方法を規定する情報を記憶するものであって、前記SNS識別情報と、前記取り扱いに関する条件と、を関連付けて記憶する条件記憶手段と、前記第1のユーザーが操作する第1ユーザー端末から、前記SNS毎の前記希望に関する条件を受け付け、受け付けた情報に基づいて、前記希望に関する条件を前記ユーザー希望記憶手段に記憶させる希望条件受付手段と、各前記SNSを提供するSNS提供装置から前記取り扱い方法を構成する条件に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記取り扱いに関する条件を前記条件記憶手段に記憶させるSNS条件取得手段と、前記希望に関する条件と、前記取り扱いに関する条件と、を比較して、前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、前記第1のユーザーが前記各SNSにおいて管理する情報について、前記希望に関する条件に従って処分が可能か否かを判定する可否判定手段と、前記第1のユーザーが前記所定状態となった後、第2のユーザーが操作する第2ユーザー端末からの前記希望に関する条件及び前記可否判定手段による判定結果の閲覧要求に基づいて、前記第1のユーザーの前記希望に関する条件及び前記可否判定手段による判定結果を提供する処分可否確認手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
開示するデジタル遺品管理装置は、SNS上の個人情報について各SNSが取り扱い方針を個別に定める中、被相続人の死後等、SNS上で管理している情報を当人の希望に沿ってスムーズに取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置の概要を説明する図である。
【
図2】本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置の機能ブロック図である。
【
図3】本実施の形態に係るユーザー希望記憶手段を説明するための図である。
【
図4】本実施の形態に係る条件記憶手段を説明するための図である。
【
図5】本実施の形態に係る可否判定手段による処理を説明するための図である。
【
図6】本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置のハードウエア構成例を示す図である。
【
図7】本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置による希望条件登録処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置による希望条件閲覧処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置の動作原理)
【0012】
図1乃至5を用いて、本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置(以下、単に「本装置」という。)100の動作原理について説明する。
図1は、本装置100と周辺装置との接続関係を示す図であり、
図2は、本装置100の機能ブロック図である。
図3乃至5は、本装置100が備えるデータベース類を説明する図である。
【0013】
本装置100は、通信ネットワーク340を介して、SNS(Social Networking Service)210を提供するSNS提供装置350、ユーザー端末310、330と接続する。通信ネットワーク340は、有線・無線どちらの形態でも良い。SNS210とは、情報発信を目的にするサービスに限定されず、情報発信だけではなく、例えば、被相続人が私的に収集・作成したデータ(写真やドキュメント類)の非公開の保管が目的のファイルサービス、会員制のダウンロードサービス(音楽や電子書籍など)なども含む概念である。つまり、SNSとは、「クラウドで提供されるサービス」と言い換えても良い概念である。
【0014】
第1ユーザー端末310を操作する第1のユーザー300は、SNS210において管理する情報(以後、「デジタル遺品」ともいう。)を有するユーザーであり、例えば、被相続人となる立場のユーザーである。第2ユーザー端末330を操作する第2のユーザー320は、第1のユーザー300とは別人であり、例えば、被相続人である第1のユーザー300の相続人となる立場のユーザーである。
また、ユーザー端末310、330は、携帯情報端末であっても良く、デスクトップ型・ノート型のパーソナルコンピューターであっても良い。
【0015】
近年、SNS210によって情報発信する人300が増えてきているところ、相続人320に迷惑を掛けないように、自己300の資産・財産に関する死後の処分方法について、生前のうちに整理しておく動きがみられる。SNS210において発信し、管理している情報230についても、第1のユーザー300は、生前、その処分方法について予め定めることができる。一方、それぞれのSNS210において、デジタル遺品230に対しそれぞれ異なる対処方針260が示されているので、第1のユーザー300が希望する方法が必ずしも採用できるわけではない。
【0016】
そこで、本装置100は、デジタル遺品230について、SNS210毎に、第1のユーザー300の希望通りの処分方法240が許容されるか否かを判定し、許容されない場合は、次善策の提案を行い、また、デジタル遺品230に対する希望の処分方法240を記憶する。一方で本装置100は、第1のユーザー300が死亡を含む所定状態360となった後、第2のユーザー320へ、第1のユーザー300が希望しているデジタル遺品230の処分方法240及び方法240の実行可否を知らせる。
【0017】
そうすることによって、本装置100は、SNS210上の個人情報230について各SNSが取り扱い方針を個別に定める中、被相続人300の死後等、SNS210上で被相続人300が管理していた情報230を被相続人300の希望に沿ってスムーズに取り扱う環境を提供することができる。なお、個人情報230は、個人情報保護法などでいう「個人を特定できる情報」のみを指すのではなく、「サービスを利用して個人が管理している情報」と考える方が適切である。
【0018】
図2で示すように、本装置100は、ユーザー希望記憶手段110、条件記憶手段120、希望条件受付手段130、SNS条件取得手段140、可否判定手段150、処分可否確認手段160、修正希望条件登録手段170、環境提供手段180を有する。
【0019】
ユーザー希望記憶手段110は、第1のユーザー300がSNS210において管理する情報(デジタル遺品)230について、当人が死亡を含む所定状態360となった後の処分方法の希望に関する情報240を記憶する。所定状態360とは、脳死、意識不明、寝たきり等を含み、当人が自力でデジタル遺品230の処分をできない状態を表す概念である。
【0020】
ユーザー希望記憶手段110は、ユーザー300を識別するユーザー識別情報290と、SNS210を識別するSNS識別情報220と、デジタル遺品230の処分方法の希望条件240と、ユーザー300による希望条件240の希望順位280と、を関連付けて記憶する。
【0021】
図3は、ユーザー希望記憶手段110に記憶される情報の一例を示す図である。
図3で示すように、例えば、ユーザー希望記憶手段110においては、ユーザー識別情報290:SUZUKI、SNS識別情報220:10001、希望条件240:希望条件1:A’、希望条件2:B’、希望条件3:C’、希望順位280:…のような情報が関連付けられて記憶される。
【0022】
ここで、希望条件1は、例えば、契約形態を表す情報であり、“終了”、“相続”、“委譲”などの選択形式であっても良い。希望条件2は、例えば、コンテンツの処分形態を表す情報であり、“破棄”、“オフライン保存”、“オンライン保存(本人所有として)”、“オンライン継承”などの選択形式であっても良い。“破棄”は他人には見せたくない場合などが想定され、“オフライン保存”はダウンロード、CD-ROM化、印刷、ファイル化して他サーバーへ保管などが想定される。“オンライン保存”は死去しているが、過去ブログの公開を継続したい場合など(本人死亡などの告知を除き、基本的に変更不可)が想定され、“オンライン継承”は故人に代わって他人にブログや掲示板を継承・継続させたい場合が想定される。
【0023】
希望条件3は、例えば、譲渡先を表す情報であり、“指定相続人”、“指定第三者”、“複数人に分配”、“複数人で共有”などの選択形式であっても良い。希望順位280は、“1”、“2”、“3”などの順位を表す情報であり、1つのSNS識別情報220に対して複数の順位が設定可能である。希望条件240は、その他、具体的な譲渡先などのテキスト情報(補足情報)を備える形態としても良い。
【0024】
条件記憶手段120は、SNS210のユーザーが管理する情報230について、ユーザーが所定状態360となった後の取り扱い方法260を規定する情報を記憶する。条件記憶手段120は、SNS識別情報220と、ユーザーが所定状態360となった後の情報230の取り扱いに関する条件260と、を関連付けて記憶する。
【0025】
図4は、条件記憶手段120に記憶される情報の一例を示す図である。
図4で示すように、例えば、条件記憶手段120においては、SNS識別情報220:10001、デジタル遺品230の取り扱いに関する条件260:条件1:A、条件2:B、条件3:C、のような情報が関連付けられて記憶される。
【0026】
ここで、条件1は、例えば、契約形態を表す情報であり、“継承不可”、“相続のみ可”、“譲渡可”などの選択形式であっても良い。条件2は、例えば、契約終了/継承時のコンテンツの処置形態を表す情報であり、“全て破棄”、“バックアップ/データとして提供可能”、“別IDとして継承可能”、“同一IDとして継承可能”、“個別対応事例有”などの選択形式であっても良い。条件3は、例えば、本人許可のない、ユーザー300死後のデータアクセスの形態を表す情報であり、“可”、“否”、“条件付き”などの選択形式であっても良い。
【0027】
希望条件受付手段130は、第1のユーザー300が操作する第1ユーザー端末310から、SNS210毎の希望条件240を受け付け、受け付けた希望条件240をユーザー希望記憶手段110に記憶させる。
【0028】
図3で示すように、希望条件受付手段130は、例えば、ユーザー識別情報290:SUZUKIが操作するユーザー端末310から、SNS識別情報220:10001、希望条件240:希望条件1:A’、希望条件2:B’、希望条件3:C’、希望順位280:“1”のような情報240を受け付け、それをユーザー希望記憶手段110に記憶させる。
【0029】
SNS条件取得手段140は、SNS210を提供するSNS提供装置350に接続し、デジタル遺品230の取り扱いに関する条件260を取得し、取得した情報260を条件記憶手段120に記憶させる。
【0030】
図4で示すように、SNS条件取得手段140は、例えば、SNS識別情報220:10001で識別されるSNS210を提供するSNS提供装置350に接続する。そして、SNS条件取得手段140は、デジタル遺品230の取り扱いに関する条件260:条件1:A、条件2:B、条件3:Cのような情報を取得し、取得した情報260を条件記憶手段120に記憶させる。
【0031】
可否判定手段150は、希望条件240と取り扱い条件260とを比較して、ユーザー300のデジタル遺品230について、ユーザー300が所定状態360となった後、希望条件240に従って処分が可能か否かを判定する。可否判定手段150は、希望条件240が、取り扱い条件260に照らして許容されるか否かを判定する。
【0032】
図5は、可否判定手段150による処理結果の例を示す図である。
図5で示すように、可否判定手段150は、例えば、対応する項目に対する希望条件240と取り扱い条件260とを比較し、条件240が条件260を満たす場合、“○”と判定し、満たさない場合、“×”と判定する。そして、可否判定手段150は、例えば、全項目について“○”であれば、希望条件240に従って処分が可能“○”と判定し、一つでも“×”の項目がある場合、希望条件240に従って処分は不可“×”と判定する。
【0033】
また、可否判定手段150は、取り扱い条件260について「個別対応事例が有る」ということであれば、希望条件240に従って処分は「要交渉“△”」と判定する形態としても良い。可否判定手段150による判定の仕組みは、上記の例に限られず、様々なバリエーションが考えられる。
【0034】
処分可否確認手段160は、ユーザー300が所定状態360となった後、第2のユーザー320が操作する第2ユーザー端末330から、希望条件240、250及び可否判定手段150による判定結果270の閲覧要求を受け付ける。そして、処分可否確認手段160は、その閲覧要求に基づいて、ユーザー300の希望条件240、250及び判定結果270を提供する。この処理によって、相続人である第2のユーザー320は、被相続人である第1のユーザー300のデジタル遺品230の処分について、第1のユーザー300の希望条件240、250及び各SNS210がそれを許可しているか否かを知ることができる。なお、希望条件250については後述する。
【0035】
修正希望条件登録手段170は、可否判定手段150によって“否(希望方法での処分不可)”と判定される場合、希望条件240のうち、取り扱い条件260を満たさない項目を満たすように変更した第2の希望条件250を生成する。つまり、修正希望条件登録手段170は、取り扱い条件260を満たさない希望条件240の一部を変更して、取り扱い条件260を満たすような第2の希望条件250を生成する。
【0036】
修正希望条件登録手段170は、例えば、「契約を第三者に委譲」の希望240に対し、SNS210のサービス条件260が「相続のみ可」である場合、「要修正・相続のみ可」と判定する形態としても良い。修正希望条件登録手段170は、例えば、「契約譲渡」「オンライン保存」の希望240に対し、SNS210のサービス条件260が「契約終了」であれば、次善の方法として「要修正・別IDとして継承可能」と判定する形態としても良い。修正希望条件登録手段170は、例えば、「個別対応事例有り」であれば、「要交渉」と判定する形態としても良い。
【0037】
そして、修正希望条件登録手段170は、生成した第2の希望条件250を、ユーザー希望記憶手段110において、ユーザー識別情報290及びSNS識別情報220に関連付けて登録する。このとき、第2の希望条件250は、ユーザー希望記憶手段110において、希望条件240よりも希望順位280を低くして登録される。第1のユーザー300による希望条件240、250の登録後、SNS210におけるデジタル遺品230の取り扱い条件260が変更され、当初の希望条件240が認められる可能性が有るからである。
【0038】
環境提供手段180は、第1のユーザー300が所定状態360となった後、第2ユーザー端末330から受け付けるユーザー300のデジタル遺品230の処分要求に基づいて、SNS提供装置350に接続する。そして、環境提供手段180は、ユーザー300のデジタル遺品230に対し、希望条件240、250に従った処分が可能な環境を提供する。
【0039】
本装置100は、上記の動作原理に基づいて、SNS210上の個人情報230について各SNS210が取り扱い方針260を個別に定める中、被相続人300の死後等、SNS210上で管理している情報を当人300の希望240、250に沿ってスムーズに取り扱うことができる。
(本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置のハードウエア構成)
【0040】
図6を用いて、本装置100のハードウエア構成例について説明する。
図6は、本装置100のハードウエア構成の一例を示す図である。
図6で示すように、本装置100は、CPU(Central Processing Unit)410、ROM(Read-Only Memory)420、RAM(Random Access Memory)430、補助記憶装置440、通信I/F450、入力装置460、表示装置470、記録媒体I/F480を有する。
【0041】
CPU410は、ROM420に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM430に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、本装置100全体を制御する。ROM420は、CPU410が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM430は、CPU410でROM420に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。
【0042】
補助記憶装置440は、基本ソフトウエアであるOS(Operating System)や本実施の形態に係るアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。補助記憶装置440は、記憶手段110を含み、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどである。
【0043】
通信I/F450は、有線・無線LAN(Local Area Network)、インターネットなどの通信ネットワーク340に接続し、通信機能を提供する他装置310、330、350とデータの授受を行うためのインターフェースである。
【0044】
入力装置460は、キーボードなど本装置100にデータ入力を行うための装置である。表示装置(出力装置)470は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される装置であり、本装置100が有する機能をユーザーが利用する際や各種設定を行う際のユーザーインターフェースとして機能する装置である。記録媒体I/F480は、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリなどの記録媒体490とデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0045】
本装置100が有する各手段は、CPU410が、ROM420又は補助記憶装置440に記憶された各手段に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良い。また、本装置100が有する各手段は、当該各手段に関する処理をハードウエアとして実現される形態としても良い。また、通信I/F450を介して外部サーバー装置から本発明に係るプログラムを読み込ませたり、記録媒体I/F480を介して記録媒体490から本発明に係るプログラムを読み込ませたりして、本装置100に当該プログラムを実行させる形態としても良い。
(本実施の形態に係るデジタル遺品管理装置による処理例)
(1)本装置100による希望条件登録処理
【0046】
図7を用いて、本装置100による希望条件240、250登録処理の一例の流れを説明する。
図7は、本装置100による希望条件240、250登録処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【0047】
S10で希望条件受付手段130が、第1のユーザー300が操作する第1ユーザー端末310から、SNS210毎の希望条件240を受け付け、ユーザー希望記憶手段110に記憶させる。
【0048】
図3で示すように、希望条件受付手段130は、例えば、ユーザー識別情報290:SUZUKIが操作するユーザー端末310から、SNS識別情報220:10001、希望条件240:希望条件1:A’、希望条件2:B’、希望条件3:C’、希望順位280:“1”のような情報240を受け付け、それをユーザー希望記憶手段110に記憶させる。
【0049】
S20でSNS条件取得手段140が、SNS210を提供するSNS提供装置350に接続し、デジタル遺品230の取り扱いに関する条件260を取得し、取得した情報260を条件記憶手段120に記憶させる。
【0050】
図4で示すように、SNS条件取得手段140は、例えば、SNS識別情報220:10001で識別されるSNS210を提供するSNS提供装置350に接続する。そして、SNS条件取得手段140は、デジタル遺品230の取り扱いに関する条件260:条件1:A、条件2:B、条件3:Cのような情報を取得し、取得した情報260を条件記憶手段120に記憶させる。
【0051】
S30及びS40で可否判定手段150が、希望条件240と取り扱い条件260とを比較して、ユーザー300が所定状態360となった後、ユーザー300のデジタル遺品230について、希望条件240に従って処分が可能か否かを判定する。可否判定手段150は、希望条件240が、取り扱い条件260に照らして許容されるか否かを判定する。
【0052】
図5は、可否判定手段150による処理結果の例を示す図である。
図5で示すように、可否判定手段150は、例えば、対応する項目に対する希望条件240と取り扱い条件260とを比較し、条件240が条件260を満たす場合、“○”と判定し、満たさない場合、“×”と判定する。そして、可否判定手段150は、例えば、全項目について“○”であれば、希望条件240に従って処分が可能“○”と判定し、一つでも“×”の項目がある場合、希望条件240に従っての処分は不可“×”と判定する。
【0053】
また、可否判定手段150は、取り扱い条件260について「個別対応事例が有る」ということであれば、希望条件240に従っての処分は「要交渉“△”」と判定する形態としても良い。可否判定手段150による判定の仕組みは、上記の例に限られず、様々なバリエーションが考えられる。
【0054】
S50で修正希望条件登録手段170が、S40において“否(希望方法での処分不可)”と判定される場合、希望条件240のうち、取り扱い条件260を満たさない項目を満たすように変更した第2の希望条件250を生成する。つまり、修正希望条件登録手段170は、取り扱い条件260を満たさない希望条件240の一部を変更して、取り扱い条件260を満たすような第2の希望条件250を生成する。
【0055】
修正希望条件登録手段170は、例えば、「契約を第三者に委譲」の希望240に対し、SNS210のサービス条件260が「相続のみ可」である場合、「要修正・相続のみ可」と判定する形態としても良い。修正希望条件登録手段170は、例えば、「契約譲渡」「オンライン保存」の希望240に対し、SNS210のサービス条件260が「契約終了」であれば、次善の方法として「要修正・別IDとして継承可能」と判定する形態としても良い。修正希望条件登録手段170は、例えば、「個別対応事例有り」であれば、「要交渉」と判定する形態としても良い。
【0056】
そして、修正希望条件登録手段170は、生成した第2の希望条件250を、ユーザー希望記憶手段110において、ユーザー識別情報290、SNS識別情報220と関連付けて登録する。このとき、第2の希望条件250は、ユーザー希望記憶手段110において、希望条件240よりも希望順位280を低くして登録される。第1のユーザー300による希望条件240の登録後、SNS210におけるデジタル遺品230の取り扱い条件260が変更され、当初の希望が認められる可能性が有るからである。
(2)本装置100による希望条件閲覧処理
【0057】
図8を用いて、本装置100による希望条件240、250閲覧処理の一例の流れを説明する。
図8は、本装置100による希望条件240、250閲覧処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【0058】
S110で処分可否確認手段160が、ユーザー300が所定状態360となった後、第2のユーザー320が操作する第2ユーザー端末330から、希望条件240、250及び可否判定手段150による判定結果270の閲覧要求を受け付ける。
【0059】
S120で処分可否確認手段160が、S110において受け付けた閲覧要求に基づいて、ユーザー300の希望条件240、250及び判定結果270を提供する。この処理によって、相続人である第2のユーザー320は、被相続人である第1のユーザー300のデジタル遺品230の処分について、第1のユーザー300の希望条件240、250及び各SNS210がそれを許可しているか否かを知ることができる。
【0060】
S130で環境提供手段180が、第1のユーザー300が所定状態360となった後、第2ユーザー端末330から受け付けるユーザー300のデジタル遺品230の処分要求に基づいて、SNS提供装置350に接続する。そして、S130で環境提供手段180が、ユーザー300のデジタル遺品230に対し、希望条件240、250に従った処分が可能な環境を提供する。
【0061】
上記(1)(2)のような処理を行うことによって、本装置100は、SNS210上の個人情報230について各SNS210が取り扱い方針260を個別に定める中、被相続人300の死後等、SNS210上で管理している情報230を当人300の希望240、250に沿ってスムーズに取り扱うことができる環境を提供することができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
100 デジタル遺品管理装置
110 ユーザー希望記憶手段
120 条件記憶手段
130 希望条件受付手段
140 SNS条件取得手段
150 可否判定手段
160 処分可否確認手段
170 修正希望条件登録手段
180 環境提供手段
210 SNS(Social Networking Service)
220 SNS識別情報
230 SNSにおいてユーザーが管理する情報(デジタル遺品)
240 デジタル遺品の処分方法の希望に関する条件
250 第2の希望に関する条件
260 SNSにおけるデジタル遺品の取り扱いに関する条件
270 可否判定手段による判定結果
280 ユーザーによる希望順位
290 ユーザー識別情報
300 第1のユーザー
310 第1ユーザー端末
320 第2のユーザー
330 第2ユーザー端末
340 通信ネットワーク
350 SNS提供装置
360 死亡を含む所定状態
410 CPU
420 ROM
430 RAM
440 補助記憶装置
450 通信インターフェース
460 入力装置
470 出力装置
480 記憶媒体インターフェース
490 記憶媒体