(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】着色感光性樹脂組成物及びそれから調製される遮光スペーサ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/031 20060101AFI20230309BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230309BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20230309BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230309BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230309BHJP
C08F 222/40 20060101ALI20230309BHJP
C08G 59/18 20060101ALI20230309BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G03F7/031
G03F7/004 505
G03F7/004 501
H05B33/04
H05B33/14 A
H05B33/02
C08F222/40
C08G59/18
G02F1/1339 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017215399
(22)【出願日】2017-11-08
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2016-0154111
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キュン-ジェ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ウン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-タク・ジョン
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211650(JP,A)
【文献】国際公開第2018/052024(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/010036(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0160636(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106537254(CN,A)
【文献】特開2016-141770(JP,A)
【文献】特表2015-523318(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0056836(KR,A)
【文献】特開2014-146018(JP,A)
【文献】特開2014-137466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
H05B 33/04
H10K 50/00
H05B 33/02
C08F 222/40
C08G 59/18
G02F 1/1339
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色感光性樹脂組成物であって、
(A)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて5~40重量%のコポリマーであって、
(A-1)前記コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて5~65モル%の、エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される構造単位と、
(A-2)前記コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて2~70モル%の、芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位と、
(A-3)前記コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて10~80モル%の、(A-1)及び(A-2)と異なるエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位であって、N-置換マレイミドから誘導される構造単位及びエポキシ基含有エチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位を含む構造単位と、
を含むコポリマーと、
(B)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて5~30重量%のエポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物
であって、カルド主鎖構造を有する、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物と、
(C)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて10~40重量%の光重合性化合物と、
(D)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて0.05~5重量%の光重合開始剤と、
(E)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて10~75重量%の着色剤と、を含み、
前記光重合開始剤(D)は、下記の式1のオキシムエステルフルオレン系開始剤を含み、
【化1】
上記の式1において、R
1は各々独立して、C
1-20アルキルであり、
R
2及びR
3は各々独立して、C
1-20アルキル、C
6-20アリール、またはC
3-20シクロアルキルであり、
Aは、ニトロまたはシアノであり、
Xは、単結合またはカルボニルである、着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
R
1が各々独立して、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、またはi-ヘキシルであり、
R
2及びR
3が各々独立して、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、またはフェナントリルである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ基含有エチレン系不飽和化合物が4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
着色感光性樹脂組成物であって、
(A)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて5~40重量%のコポリマーであって、
(A-1)前記コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて5~65モル%の、エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される構造単位と、
(A-2)前記コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて2~70モル%の、芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位と、
(A-3)前記コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて10~80モル%の、(A-1)及び(A-2)と異なるエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位であって、N-置換マレイミドから誘導される構造単位及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル
から誘導される構造単位を含む構造単位と、
を含むコポリマーと、
(B)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて5~30重量%のエポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物と、
(C)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて10~40重量%の光重合性化合物と、
(D)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて0.05~5重量%の光重合開始剤と、
(E)前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて10~75重量%の着色剤と、を含み、
前記光重合開始剤(D)は、下記の式1のオキシムエステルフルオレン系開始剤を含み、
【化2】
上記の式1において、R
1
は各々独立して、C
1-20
アルキルであり、
R
2
及びR
3
は各々独立して、C
1-20
アルキル、C
6-20
アリール、またはC
3-20
シクロアルキルであり、
Aは、ニトロまたはシアノであり、
Xは、単結合またはカルボニルである、着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記着色剤が、黒色無機着色剤、黒色有機着色剤、及び青色着色剤からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記着色剤が、前記着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量に基づいて、0~20重量%の量で前記黒色無機着色剤を、10~40重量%の量で前記黒色有機着色剤を、0~15重量%の量で前記青色着色剤を含む、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の着色感光性樹脂組成物から製造される遮光スペーサ。
【請求項8】
85%以上の電圧保持率を有する、請求項7に記載の遮光スペーサ。
【請求項9】
0.5~1.5/μmの光学密度を有する、請求項7に記載の遮光スペーサ。
【請求項10】
90%以上の弾性回復率を有する、請求項7に記載の遮光スペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧保持率、耐浸出性、現像マージン、及び弾性回復率の観点で優れている硬化膜を形成することができる感光性樹脂組成物、ならびにそれから調製され、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのために使用される遮光スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感光性樹脂組成物から調製されるスペーサは、液晶ディスプレイ(LCD)の液晶セル中の上部透明基板と下部透明基板との間に一定距離を維持するために用いられる。2つの透明基板間の一定のギャップに注入される液晶材料に印加される電圧によって駆動される電気光学装置であるLCDにおいて、2つの基板間のギャップを一定に維持することは、非常に重要である。透明基板間のギャップが一定ではない場合、それに印加される電圧及びこの領域を透過する光の透過率が変化することがあり、空間的に不均一な輝度の欠陥をもたらす。大型LCDパネルに対する近年の需要により、LCD中の2つの透明基板間の一定のギャップを維持することがよりいっそう重要である。
【0003】
このようなスペーサは、基板上へ感光性樹脂組成物をコーティングし、マスクを使用してコーティングされた基板を紫外線などに露光して、その後、それを現像することによって調製されてもよい。近年、スペーサに遮光材料を使用する努力がなされており、それに応じて、種々の着色感光性樹脂組成物が精力的に開発されている。
【0004】
近年、カラムスペーサ及び黒色マトリックスが、着色感光性樹脂組成物を使用して単一モジュールに集積される黒色カラムスペーサ(BCS)、すなわち遮光スペーサが、工程段階を単純化するために提供されている。このような遮光スペーサは、高感度で、かつ優れた現像マージン特性を有することが求められる。しかしながら、従来の遮光スペーサは、上部ディスプレイプレート及び下部ディスプレイプレートの組立て後の液晶の駆動に影響し得る電圧保持率(VHR)が低いという欠点、または電気信号の不十分な伝送により製品の信頼度を妨げ得る色落ち(color washout)が発生するという欠点を有する。
【0005】
特に、天然顔料を含有する着色感光性樹脂組成物から調製される遮光スペーサは、電圧保持率が相対的に低いという問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
(特許文献1)韓国公開特許公報第2013-0124215号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、従来のオキシムエステル系光重合開始剤より少ない量で、オキシムエステルフルオレン系光重合開始剤を含み、感度、弾性回復率、解像度、耐化学性、耐浸出性、及び電圧保持率などの特性の観点で優れている硬化膜を形成することができる着色感光性樹脂組成物、ならびにそれから調製される遮光スペーサを提供することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、(A)コポリマー、(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物、(C)光重合性化合物、(D)光重合開始剤、及び(E)着色剤を含み、光重合開始剤(D)が下記の式1のオキシムエステルフルオレン系開始剤を含む、着色感光性樹脂組成物を提供する。
【0009】
【0010】
上記の式1において、R1は各々独立して、C1-20アルキルであり、
R2及びR3は各々独立して、C1-20アルキル、C6-20アリール、またはC3-20シクロアルキルであり、
Aは、ニトロまたはシアノであり、
Xは、単結合またはカルボニルである。
【0011】
別の目的を達成するために、本発明は、着色感光性樹脂組成物から調製される遮光スペーサを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、少量で、光重合開始剤としてオキシムエステルフルオレン系化合物を含み、感度、弾性回復率、解像度、耐化学性、耐浸出性、及び電圧保持率などの特性の観点で優れている硬化膜を形成することができる。したがって、それから調製される遮光スペーサは、有利に、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどに使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】遮光スペーサ(つまり黒色カラムスペーサ)の断面の実施形態の概要図である。
【
図2】実施例の組成物及び比較例の組成物から調製された遮光スペーサに段差が存在するか、または存在しないかを評価するために厚さ方向でとられた遮光スペーサの写真である。
【
図3】実施例の組成物及び比較例の組成物から調製された遮光スペーサに段差が存在するか、または存在しないかを評価するために厚さ方向でとられた遮光スペーサの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(A)コポリマー、(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物、(C)光重合性化合物、(D)光重合開始剤、及び(E)着色剤を含み、所望の場合、(F)界面活性剤、及び/または(G)溶媒をさらに含む。
【0015】
本開示において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/または「メタクリレート」を意味する。
【0016】
以下、着色感光性樹脂組成物の各構成成分を詳細に説明する。
【0017】
(A)コポリマー
本発明において使用されるコポリマーは、(A-1)エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される構造単位と、(A-2)芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位とを含んでもよく、また(A-3)(A-1)及び(A-2)と異なるエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位をさらに含んでもよい。
【0018】
コポリマーは、現像ステップにおける現像性のためのアルカリ可溶性樹脂であり、コーティング時に膜を形成するためのベース及び最終パターン構造を形成するための構造の役割もし得る。
【0019】
(A-1)エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される構造単位
本発明において、構造単位(A-1)は、エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される。エチレン系不飽和カルボン酸またはエチレン系不飽和カルボン酸無水物は、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーである。それらの特定の例としては、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、アルファ-クロロアクリル酸、及びケイ皮酸、不飽和ジカルボン酸及びその無水物、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、及びメサコン酸、三価以上の不飽和ポリカルボン酸及びその無水物、ならびに二価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル、例えばモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレートなどが挙げられ得る。上記の例示された化合物から誘導される構造単位は、単独で、または2つ以上の組み合わせでコポリマー中に含まれてもよい。
【0020】
構造単位(A-1)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて、5~65モル%、好ましくは10~50モル%であってもよい。この範囲において、現像性は、より容易に維持され得る。
【0021】
(A-2)芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位
構造単位(A-2)は、芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導される。芳香環を含有するエチレン不飽和化合物の特定の例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキル置換基を含有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、及びオクチルスチレン、ハロゲンを含有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、及びヨードスチレン、アルコキシ置換基を含有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン、及びプロポキシスチレン、4-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルジメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられ得る。
【0022】
上記の例示された化合物から誘導される構造単位は、単独で、または2つ以上の組み合わせでコポリマー中に含まれてもよい。
【0023】
上記化合物のなかでも、スチレン系化合物が、重合性を考慮して好ましく使用されてもよい。
【0024】
構造単位(A-2)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて、2~70モル%、好ましくは5~60モル%であってもよい。この範囲内において、耐化学性は、より好ましくなり得る。
【0025】
(A-3)(A-1)及び(A-2)と異なるエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位
本発明において使用されるコポリマーは、(A-1)及び(A-2)に加えて、(A-1)及び(A-2)とは異なるエチレン系不飽和化合物から誘導される構成単位をさらに含んでもよい。
【0026】
(A-1)及び(A-2)と異なるエチレン系不飽和化合物から誘導される構造単位の特定の例としては、不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N-ビニル基、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、及びN-ビニルモルホリンを含有する三級アミン、不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル、エポキシ基を含有するエチレン系不飽和化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4-ヒドロキシ(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及び2-メチルアリルグリシジルエーテル、ならびに不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられ得る。
【0027】
上記の例示された化合物から誘導される構造単位は、単独で、または2つ以上の組み合わせでコポリマー中に含まれてもよい。
【0028】
これらのなかでも、エポキシ基及び/または不飽和イミドを含有するエチレン系不飽和化合物、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、及び/またはN-置換マレイミドから誘導される構造単位は、共重合性及び絶縁膜の強度における改善の観点から、より好ましくあり得る。
【0029】
構造単位(A-3)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて、10~80モル%、好ましくは20~75モル%であってもよい。この範囲内において、着色感光性樹脂組成物の貯蔵安定性は、維持され得、膜保持率は、より有利に改善され得る。
【0030】
構造単位(A-1)~(A-3)を有するコポリマーの例としては、(メタ)アクリル酸/スチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-シクロヘキシルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/n-ブチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル/N-フェニルマレイミドのコポリマーなどが挙げられ得る。
【0031】
コポリマーのうちの1つ、2つ、またはそれ以上は、着色感光性樹脂組成物中に含まれてもよい。
【0032】
コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィ(溶出液:テトラヒドロフラン)で決定されるとき、10,000~20,000、好ましくは15,000~18,000の範囲であってもよい。この範囲内において、下部パターンによる段差は、有利に改善され得、現像後のパターンプロファイルは、好ましくなり得る。
【0033】
コポリマーは、着色感光性樹脂組成物の固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)の総重量に基づいて、5~40重量%、好ましくは10~30重量%の量で用いられてもよい。この範囲内において、現像後のパターンプロファイルは、好ましくなり得、膜保持率及び耐化学性などの特性は、改善され得る。
【0034】
コポリマーは、分子量調整剤、ラジカル重合開始剤、溶媒、及び構造単位(A-1)~(A-3)、ならびに窒素を反応器に装入し、その後、重合のための混合物をゆっくりと撹拌することによって調製されてもよい。
【0035】
分子量調整剤は、メルカプタン化合物、例えばブチルメルカプタン、オクチルメルカプタンなど、またはα-メチルスチレンダイマーであってもよいが、それらに特に限定されるものではない。
【0036】
ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2´-アゾビスイソブチロニトリル、2,2´-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2´-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、またはベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどであってもよいが、それらに限定されるものではない。ラジカル重合開始剤は、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0037】
溶媒は、コポリマーの調製に一般的に使用される任意の従来の溶媒であってもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含んでもよい。
【0038】
(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物
本発明の着色感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物を含む。
【0039】
好ましくは、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物は、カルド主鎖構造を有してもよい。
【0040】
好ましい例として、エポキシ樹脂は、下記の式2によって表されるカルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂化合物であってもよい。
【0041】
【0042】
上記の式2において、Xは各々独立して、
【0043】
【0044】
であり、L1は各々独立して、C1-10アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、またはC1-10アルキレンオキシ基であり、R1~R7は各々独立して、H、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニル基、またはC6-14アリール基であり、R8は、H、メチル、エチル、CH3CHCl-、CH3CHOH-、CH2=CHCH2-、またはフェニルであり、nは、0~10の整数である。
【0045】
C1-10アルキレン基の特定の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、t-ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、t-ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、イソオクチレン、t-オクチレン、2-エチルヘキシレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレンなどが挙げられ得る。C3-20シクロアルキレン基の特定の例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、デカリニレン、アダマンチレンなどが挙げられ得る。C1-10アルキレンオキシ基の特定の例としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、sec-ブチレンオキシ、t-ブチレンオキシ、ペンチレンオキシ、ヘキシレンオキシ、ヘプチレンオキシ、オクチレンオキシ、2-エチル-ヘキシレンオキシなどが挙げられ得る。C1-10アルキル基の特定の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、t-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシルなどが挙げられ得る。C1-10アルコキシ基の特定の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチルオキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、2-エチル-ヘキシルオキシなどが挙げられ得る。C2-10アルケニル基の特定の例としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニルなどが挙げられ得る。C6-14アリール基の特定の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチルなどが挙げられ得る。
【0046】
例えば、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂は、下記の合成ルートによって調製されてもよい。
【0047】
【0048】
反応スキーム1において、Halは、ハロゲンであり、X、R1、R2、及びL1は、上記の式2で定義されたものと同じである。
【0049】
カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂から誘導される化合物は、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂を不飽和塩基酸と反応させて、エポキシ付加物を生成し、次いで、このように得られたエポキシ付加物を多塩基酸無水物と反応させることによって、またはこのように得られた生成物を単官能性または多官能性エポキシ化合物とさらに反応させることによって得られてもよい。当技術分野において既知の任意の不飽和塩基酸、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ソルビン酸などが使用されてもよい。当技術分野において既知の任意の多塩基酸無水物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水トリメリト酸、無水ピロメリト酸、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物などが使用されてもよい。当技術分野において既知の任意の単官能性または多官能性エポキシ化合物、例えば、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールZグリシジルエーテルなどが使用されてもよい。
【0050】
例えば、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂から誘導される化合物は、下記の合成ルートによって調製されてもよい。
【0051】
【0052】
上記の反応スキーム2において、R9は各々独立して、H、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニル基、またはC6-14アリール基であり、R10及びR11は各々独立して、飽和または不飽和C6芳香環または脂肪族環であり、nは、1~10の整数であり、X、R1、R2、及びL1は、式3で定義されたものと同じである。
【0053】
カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物が使用される場合、カルド主鎖構造は、硬化材料と基板との間の接着性、耐アルカリ性、加工性、強度などを改善し得る。さらに、現像時に未硬化部が除去されると、微細解像度を有する画像がパターンにおいて形成されてもよい。
【0054】
エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィ(溶出液:テトラヒドロフラン)で決定されるとき、3,000~18,000、好ましくは5,000~10,000の範囲であってもよい。この範囲内において、下部パターンによる段差は、有利に改善され得、現像後のパターンプロファイルは、好ましくなり得る。
【0055】
エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、5~30重量%、好ましくは10~25重量%であってもよい。この範囲内において、現像後のパターンプロファイルが好ましくなり得、耐化学性及び弾性復元力などの特性が改善され得る。
【0056】
(C)光重合性化合物
本発明において使用される光重合性化合物は、重合開始剤の作用によって重合されてもよい任意の化合物であってもよく、着色感光性樹脂組成物の調製において一般的に使用される多官能性モノマー、オリゴマー、またはポリマーであってもよい。
【0057】
より詳細には、光重合性化合物としては、少なくとも1つのエチレン系不飽和二重結合を有する単官能性または多官能性エステル化合物が挙げられ得、好ましくは、耐化学性の観点から、少なくとも2つの官能基を有する多官能性化合物が挙げられ得る。
【0058】
光重合性化合物は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びコハク酸のモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びコハク酸のモノエステル、カプロラクトン改変ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート-ヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリスリトールトリアクリレート及びヘキサメチレンジイソシアネートの反応生成物)、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるものではない。
【0059】
市販の光重合性化合物の例としては、(i)単官能性(メタ)アクリレート、例えばToagosei Co.,Ltd.製のAronix M-101、M-111、及びM-114、Nippon Kayaku Co.,Ltd.製のKAYARAD T4-110S及びT4-120S、ならびにOsaka Yuki Kayaku Kogyo Co.,Ltd.製のV-158及びV-2311、(ii)二官能性(メタ)アクリレート、例えばToagosei Co.,Ltd.製のAronix M-210、M-240、及びM-6200、Nippon Kayaku Co.,Ltd.製のKAYARAD HDDA、HX-220、及びR-604、ならびにOsaka Yuki Kayaku Kogyo Co.,Ltd.製のV-260、V-312、及びV-335 HP、ならびに(iii)三官能性以上の(メタ)アクリレート、例えばToagosei Co.,Ltd.製のAronix M-309、M-400、M-403、M-405、M-450、M-7100、M-8030、M-8060、及びTO-1382、Nippon Kayaku Co.,Ltd.製のKAYARAD TMPTA、DPHA、DPHA-40H、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、及びDPCA-120、ならびにOsaka Yuki Kayaku Kogyo Co.,Ltd.製のV-295、V-300、V-360、V-GPT、V-3PA、V-400、及びV-802が挙げられ得る。
【0060】
光重合性化合物の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、10~40重量%、好ましくは15~25重量%であってもよい。この範囲内において、現像後のパターンプロファイルは好ましくなり得、耐化学性及び弾性復元力などの特性は改善され得る。その量が10重量%より少ない場合、現像時間が延長され、これは、工程及び残留物に影響し得る。光重合性化合物が40重量%を超える量で使用される場合、パターン解像度増加の問題及び表面のしわを引き起こすことがある。
【0061】
(D)光重合開始剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤として、下記の式1のオキシムエステルフルオレン系開始剤を含む。
【0062】
【0063】
上記の式1において、R1は各々独立して、C1-20アルキルであり、
R2及びR3は各々独立して、C1-20アルキル、C6-20アリール、またはC3-20シクロアルキルであり、
Aは、ニトロまたはシアノであり、
Xは、単結合またはカルボニルである。
【0064】
好ましくは、R1は各々独立して、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、またはi-ヘキシルであり、
R2及びR3は各々独立して、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、またはフェナントリルである。
【0065】
オキシムエステルフルオレン系光重合開始剤は、従来の方法に従って合成され得るか、または市販で購入され得る。
【0066】
式1のオキシムエステルフルオレン系光重合開始剤は、着色感光性樹脂組成物のための架橋剤として役立つ一方、ごく少量で使用される場合であっても十分高い感度特性を提供し、弾性回復率、解像度、耐化学性、耐浸出性、及び電圧保持率を改善することができる。特に、着色感光性樹脂組成物は天然着色剤を使用するため、液晶を駆動する(または整列させる)ために必要な十分な電圧維持率を確保することが難しい。しかし、オキシムエステルフルオレン系光重合開始剤は、それを可能にし、高い電圧保持率を提供する。
【0067】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、任意の既知の光重合開始剤であり得る他の光重合開始剤をさらに含んでもよい。
【0068】
別の光重合開始剤は、アセトフェノン化合物、非イミダゾール化合物、オニウム塩化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ジケトン化合物、α-ジケトン化合物、多核キノン化合物、チオキサントン化合物、ジアゾ化合物、イミドスルホネート化合物、カルバゾール化合物、スルホニウムボレート化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0069】
光重合開始剤は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0.05~5重量%、0.1~5重量%、0.05~3重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%、0.05~0.2重量%の量で使用されてもよい。この範囲内において、高感度で、かつ優れた電圧保持率及び耐浸出性を有するコーティングされた膜が得られ得る。
【0070】
(E)着色剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、それに遮光性を付与するための着色剤を含む。上述のように、本組成物は、オキシムエステルフルオレン系光重合開始剤を含み、それにより着色剤の使用ゆえに別様に発生し得る色落ちを防止し、これは耐浸出性を改善する。
【0071】
本発明において使用される着色剤は、2つ以上の無機または有機着色剤の混合物であってもよい。着色剤は、高い色素生産性及び高耐熱性を有することが好ましい。
【0072】
特に、2つ以上の有機着色剤が一緒に使用される場合、それは黒色マトリックスの光漏れを防止し、かつマスクアラインメント可能な透過を確保するためにより有利であり得る。
【0073】
さらに、着色剤は黒色着色剤及び青色着色剤を含み、黒色着色剤は黒色無機着色剤及び/または黒色有機着色剤であり得る。
【0074】
一例によると、着色感光性樹脂組成物は、着色剤として黒色有機着色剤を含み、任意選択で、黒色無機着色剤及び青色着色剤をさらに含み得る。
【0075】
着色剤は、黒色無機着色剤、黒色有機着色剤、及び青色着色剤からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。例えば、Color Index(The Society of Dyers and Colouristsによって発行)において顔料及び当技術分野において既知の任意の染料として分類される任意の化合物が使用され得る。
【0076】
黒色無機着色剤の特定の例としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属酸化物、例えばCu-Fe-Μn系酸化物及び合成鉄黒などが挙げられ得る。これらのなかでも、所望のパターン特性及び耐化学性のためのカーボンブラックが好ましい。
【0077】
さらに、黒色有機着色剤の特定の例としては、アニリンブラック、ラクタムブラック、ペリレンブラックなどが挙げられ得る。これらのなかでも、望ましい光学密度(OD)、誘電性などのためのラクタムブラック(例えば、BASFからのBlack 582)が好ましい。
【0078】
青色着色剤の特定の例としては、C.I. 顔料青色15:6、C.I. Pigment Blue15:4、C.I. Pigment Blue60、C.I. Pigment Blue16などが挙げられ得る。これらのなかでも、光漏れを防止するためのC.I.Pigment Blue15:6が好ましい。
【0079】
黒色無機着色剤の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0~20重量%、好ましくは0超~20重量%、より好ましくは0超~6重量%であってもよい。
【0080】
黒色有機着色剤の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、10~40重量%であってもよい。
【0081】
青色着色剤の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0~15重量%、好ましくは1~15重量%であってもよい。
【0082】
着色剤の総量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、10~75重量%、好ましくは20~60重量%であってもよい。この範囲内において、現像後のパターンプロファイルは好ましくなり得、耐化学性及び弾性復元力などの特性は改善され得る。量が20重量%未満または60重量%超である場合、所望の光学密度及び透過は達成され得ない。
【0083】
一方、分散剤が本発明の着色感光性樹脂組成物において着色剤を分散させるために使用され得る。分散剤の例としては、着色剤のための任意の既知の分散剤が挙げられ得る。それらの特定の例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、シリコン界面活性剤、フッ素界面活性剤などが挙げられ得る。市販の分散剤としては、BYK CoからのDisperbyk-182、Disperbyk-183、Disperbyk-184、Disperbyk-185、Disperbyk-2000、Disperbyk-2150、Disperbyk-2155、Disperbyk-2163、及びDisperbyk-2164が挙げられ得る。これらの化合物は、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。分散剤は、それによって着色剤を表面処理することによって、予め着色剤に添加されてもよく、または着色感光性樹脂組成物を調製するときに、着色剤とともに添加されてもよい。
【0084】
さらに、着色剤は、結合剤と混合され得、次いでこれは着色感光性樹脂組成物の生成で使用され得る。本明細書において使用される結合剤は、本発明に記載のコポリマー(A)、既知のコポリマー、またはそれらの混合物であってもよい。
【0085】
したがって、本発明において使用される着色剤は、分散剤、結合剤、溶媒などと混合された練り顔料の形態で、着色感光性樹脂組成物に添加されてもよい。
【0086】
(F)界面活性剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、コーティング性を改善して、欠陥の発生を防止するために界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0087】
界面活性剤の種類は、特に限定されないが、例えば、フッ素系界面活性剤またはシリコン系界面活性剤が使用されてもよい。
【0088】
市販のシリコン系界面活性剤としては、Dow Corning Toray SiliconからのDC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA、及びSH8400、GE Toshiba SiliconeからのTSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4446、TSF-4460、及びTSF-4452、ならびにBYKからのBYK 333、BYK 307、BYK 3560、BYK UV 3535、BYK 361N、BYK 354、及びBYK 399などが挙げられ得る。界面活性剤は、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0089】
市販のフッ素系界面活性剤としては、DIC(Dainippon Ink Kagaku Kogyo Co.)からのMegaface F-470、F-471、F-475、F-482、F-489、及びF-563が挙げられ得る。 そのなかでも、好ましい界面活性剤は、コーティング性の観点でBYKからのBYK 333及びBYK 307、ならびにDICからのF-563であってもよい。
【0090】
界面活性剤の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0.01~3重量%、好ましくは0.1~1重量%であってもよい。この範囲内において、着色感光性樹脂組成物は、滑らかにコーティングされ得る。
【0091】
(G)溶媒
本発明の着色感光性樹脂組成物は、好ましくは、上記の構成成分及び溶媒が混合される液体組成物として、調製されてもよい。着色感光性樹脂組成物中の構成成分と相溶性であるが、反応性ではない、当技術分野において既知の任意の溶媒は、着色感光性樹脂組成物の調製において使用されてもよい。
【0092】
溶媒の例としては、グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばエチルセロソルブアセテート、エステル、例えばエチル2-ヒドロキシプロピオネート、ジエチレングリコール、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ならびにアルコキシアルキルアセテート、例えば3-メトキシブチルアセテートが挙げられ得る。溶媒は、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0093】
溶媒の量は、着色感光性樹脂組成物の総重量に基づいて、50~90重量%、好ましくは70~85重量%であってもよい。この範囲内において、本組成物は滑らかにコーティングされ得、プロセス中に別様に発生し得る任意の遅延マージンが改善され得る。
【0094】
加えて、本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色感光性樹脂組成物の物理的特性が悪影響を受けない限り、他の添加剤、例えばシランカップリング剤、抗酸化剤、及び安定剤を含んでもよい。
【0095】
したがって、上記の着色感光性樹脂組成物は、少量で、光重合開始剤としてオキシムエステルフルオレン系化合物を含み、これは、感度、弾性回復率、解像度、耐化学性、耐浸出性、及び電圧保持率などの特性の観点で優れている硬化膜を形成することができる。したがって、それから調製される遮光スペーサは、有利に、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどに使用され得る。
【0096】
上記の構成成分を含む本発明の着色感光性樹脂組成物は、一般的な方法によって、例えば、以下の方法によって調製されてもよい。
【0097】
最初に、着色剤は、着色剤の平均粒径が所望の値に達するまで、ビーズミルを使用して予め溶媒と混合され、その中に分散させる。このとき、界面活性剤が使用され得るか、またはコポリマーの一部もしくは全体が混合され得る。このように得られた分散体に、コポリマー及び界面活性剤の残部、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物、光重合性化合物、ならびに光重合開始剤が添加される。添加剤、例えばシランカップリング剤または追加の溶媒は、必要に応じて、ある特定の濃度までさらに添加され、その後、それらを十分に撹拌して所望の着色感光性樹脂組成物を得る。
【0098】
本発明はまた、着色感光性樹脂組成物を硬化させることによって製造される遮光スペーサを提供する。好ましくは、本発明は、着色感光性樹脂組成物から調製される黒色カラムスペーサ(BCS)を提供し、カラムスペーサ及び黒色マトリックスが1つのモジュールに集積される。
【0099】
遮光スペーサは、85%以上の電圧保持率、0.5~1.5/μmの光学密度、及び90%以上の弾性回復率を有し得る。
【0100】
遮光スペーサは、コーティング形成ステップ、露光ステップ、現像ステップ、及び加熱ステップによって製造され得る。
【0101】
コーティング形成ステップにおいて、本発明による着色感光性樹脂組成物は、所望の厚さ、例えば、1~25μmでスピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング方法、スクリーン印刷方法、アプリケータ法などによって、前処理された基板上にコーティングされ、次いで、70~100℃の温度で1~10分間予備硬化され、溶媒をそれから除去することによって、コーティングを形成する。
【0102】
コーティングされた膜上にパターンを形成するために、所定の形状を有するマスクがその上に配置され、その上にそのマスクを有するコーティングされた膜が200~500nmを有する活性光線で照射される。ここで、集積型黒色カラムスペーサを製造するために、透過率が異なるパターンを有するマスクを使用して、カラムスペーサ及び黒色マトリックスを同時に形成してもよい。照射のために使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザなどが使用されてもよく、必要に応じて、X線、電子線なども使用されてもよい。露光量は、組成物の構成成分の種類及び組成比、ならびに乾燥コーティングの厚さに応じて変化してもよい。高圧水銀ランプが使用される場合、露光量は500mJ/cm2以下(365nmの波長)であってもよい。
【0103】
露光ステップ後、アルカリ水溶液、例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどを現像溶媒として使用する現像ステップは、不必要な部分を溶解し、除去するために実行され、ここで、露出部のみが残り、パターンを形成する。現像によって得られたイメージパターンは、室温に冷却され、180~250℃の温度で10~60分間熱風循環型乾燥炉中でポストベークされ、それによって、最終的なパターンを得る。
【0104】
このように生成された遮光スペーサは、その優れた特性のために、LCD、OLEDディスプレイなどの電子部品の製造において使用されてもよい。このため、本発明は、遮光スペーサを含む電子部品を提供する。
【0105】
LCD、OLEDディスプレイなどは、本発明の遮光スペーサを備えていることを除き、当業者に既知の他の構成要素を含んでもよい。すなわち、本発明の遮光スペーサが適用され得るLCD、OLEDディスプレイなどが、本発明の範囲内に含まれ得る。
【0106】
以下、本発明を以下の実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例証するために記載され、本発明の範囲は、それらに限定されない。
【0107】
以下の実施例おいて、重量平均分子量は、ポリスチレン標品を使用するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定される。
【0108】
合成例1:コポリマー(A)の調製
還流コンデンサ及び撹拌機を装着した500mlの丸底フラスコに、溶媒としての300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びラジカル重合開始剤としての2gの2,2´-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)に加えて、51モル%のN-フェニルマレイミド、4モル%のスチレン、10モル%の4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、及び35モル%のメタアクリル酸からなる100gの混合物を装入した。次いで、その混合物を70℃に加熱し、5時間撹拌して、31重量%の固形分を有するコポリマーを得た。このように調製されたコポリマーは、100mgKOH/gの酸価、及びゲル浸透クロマトグラフィによって測定された20,000のポリスチレン基準の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0109】
【0110】
合成例2:エポキシ樹脂(B)から誘導される化合物の調製
【0111】
【0112】
ステップ(1):9,9-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンの合成
3,000mlの3つ口丸底フラスコに、200gのトルエン、125.4gの4,4´-(9-フルオレニリデン)ジフェノール、及び78.6gのエピクロロヒドリンを装入し、撹拌しながら40℃に加熱し、溶液を得た。0.1386gのt-ブチルアンモニウムブロミド及び50%のNaOH水溶液(3当量)を別個の容器内で混合し、その溶液を撹拌したフラスコ内にその混合物をゆっくりと添加した。
【0113】
このように得られた反応混合物を90℃に1時間加熱して、4,4´-(9-フルオレニリデン)ジフェノールを完全に消費し、HPLCまたはTLCによって確認した。反応混合物を30℃に冷却し、400mlのジクロロメタン及び300mlの1N HClを撹拌しながらそれに添加して、有機層を分離した。このように得られた有機層を300mlの蒸留水で2回または3回洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸留して、ジクロロメタンを除去した。ジクロロメタン及びメタノールの混合物を使用して合成物を再結晶させ、それにより表題化合物であるエポキシ樹脂化合物を得た。
【0114】
ステップ(2):(((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(2-ヒドロキシプロパン-3,1-ジイル)ジアクリレート(CAS番号143182-97-2)の合成
1,000mlの3つ口フラスコに、ステップ(1)で得られた115gの化合物、50mgのテトラメチルアンモニウムクロライド、50mgの2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール、及び35gのアクリル酸を装入した。空気を25ml/分の流速で送るとともに、混合物を90~100℃に加熱し、さらに120℃に加熱して、溶液を得た。反応混合物を、酸価が1.0mgKOH/g未満に下がるまで約12時間連続的に撹拌して、次いで室温に冷却した。300mlのジクロロメタン及び300mlの蒸留水を撹拌しながら反応混合物に添加して、有機層を分離した。このように得られた有機層を300mlの蒸留水で2回または3回洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸留して、ジクロロメタンを除去し、それにより、表題化合物を得た。
【0115】
ステップ(3):エポキシ樹脂から誘導され、かつカルド主鎖構造を有する化合物の調製
ステップ(2)で得られた化合物を1,000mlの3つ口フラスコ内のPGMEA中で溶解し、次いで1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(0.75当量)、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物(0.5当量)、及びトリフェニルホスフィン(0.01当量)をそれに添加した。反応混合物を120~130℃に加熱し、2時間撹拌して、次いで、80~90℃に冷却後、加熱しながら6時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、それにより107mgKOH/g(固形分に基づく)の酸価、及び6,000の重量平均分子量(Mw)を有するポリマーの溶液(49重量%の固形分)を得た。
【0116】
合成例3:着色分散体(E)の調製
着色分散体(E)は、Tokushiki Co.,Ltdから供給され、分散体は以下の通りに調製された。
【0117】
12,000~20,000g/モルの重量平均分子量及び80~150mgKOH/gの酸価を有する8gのアクリル酸コポリマー溶液(Tokushiki Co.,Ltd.)、100~140mgKOH/gのアミン価を有する8gのアクリルポリマー分散剤(Tokushiki Co.,Ltd.)、18gのカーボンブラック、有機ブラックとしての65gのラクタムブラック(Black 582、BASF)、ならびに溶媒としての384gのPGMEAを25℃で6時間ペイントシェーカを使用して分散させた。この分散ステップは、0.3mmのジルコニアビーズを用いて実行した。分散ステップ終了後、フィルタを使用してビーズを分散体から除去し、それにより、23重量%の固形分を有する着色分散体を得た。
【0118】
実施例及び比較例:感光性樹脂組成物の調製
上記の調製例において調製された化合物を使用して、下記の実施例及び比較例において感光性樹脂組成物を調製した。
【0119】
実施例及び比較例では以下の追加の構成成分を使用した。
【0120】
【0121】
実施例1:着色感光性樹脂組成物の調製
固形分の重量に基づいて、(A)合成例1でコポリマーとして調製された3.0gの化合物、(B)合成例2でエポキシ樹脂から誘導される化合物として調製された3.0gの化合物、(C)光重合性化合物としての1.8gのDPHA、(D)光重合開始剤としての0.03gのSPI-2、(E)合成例3で着色剤として調製された9.80gの着色分散体、及び(F)界面活性剤としての0.06gのBYK-307を、(G)PGMEAに溶媒として添加し、それにより30gの混合物を得た。次いで、その混合物を1について均一に混合し、それにより着色感光性樹脂組成物を得た。
【0122】
実施例2~4及び比較例1~7:着色感光性樹脂組成物の調製
下記の表3に示されるように光重合開始剤(D)の種類及び/または量を変更した点を除き、着色感光性樹脂組成物を実施例1と同様に調製した。
【0123】
下記の表3に所与の数値は、100重量%の樹脂組成物に基づく。
【0124】
【0125】
黒色カラムスペーサ(遮光スペーサ)の調製
実施例及び比較例で得られた着色感光性樹脂組成物をそれぞれ、スピンコータを使用してガラス基板上にコーティングし、90℃で2.5分間乾燥(つまりプリベーク)して、コーティングされた膜を形成した。100%フルトーンカラムスペーサ(CS)パターン及び30%ハーフトーン黒色マトリックスパターンを含むパターンマスクをコーティングされた膜上に適用し、次いでこれを30~80mJ/cm2の露光量で365nmの波長を有する光で照射した。次いで、23℃で2分間、水酸化カリウムの0.04重量%水溶液によって現像し、その後1分間、純水で洗浄し、それによりパターンを形成した。このように形成されたパターンを有するスペーサを、230℃で30分間、オーブンで硬化(つまりポストベーク)し、最終パターンを有するBCSを得た。
【0126】
試験例1:現像マージンの測定
2μmの厚さの遮光膜で3.5μmの厚さを有するBCSを上記と同様に調製した。このように調製されたBCSを10~20秒の現像時間で現像し、遮光膜の厚さの変化(つまり偏差)を観測して、現像マージンを測定した。測定値が1,000Å/秒以下であった場合、遮断膜の現像マージンは良好であると評価した。
【0127】
試験例2:弾性の測定
35μmのパターン幅で3.5μmの厚さを有する遮光スペーサを上記と同様に調製した。遮光スペーサの弾性回復率をFISCHERSCOPE(HM2000、ドイツ)を使用するロード/アンロード方法によって測定し、これに500mNの力をプランジャ(50μmの平坦なプランジャ)によって遮光スペーサ上に適用した。
【0128】
試験例3:電圧保持率(VHR)の測定
着色感光性樹脂組成物を、ITO(例えば、インジウム-スズ酸化物合金)電極が析出された基板上で、上記と同様にコーティングし、ここで樹脂組成物が電極と同じ形状で3.5μmの厚さを有するパターンを形成し、それからセルを製作した。セルの電圧保持率を、電圧保持率を測定するための装置(Toyo-6254、Toyo)を使用して、60℃で1V/60Hzの周波数を適用することによって測定した。
【0129】
試験例4:耐浸出性の測定
3.5μmの厚さ、5cmの幅、及び5cmの長さを有する基板を上記と同様に調製した。このように調製された基板を、3gの100%N-メチルピロリドン(NMP)溶液中に浸漬し、次いでこれを100℃で30分間、恒温槽内で加熱した。いったん基板を除去し、NMP溶液を液体クロマトグラフィ(HPLC)に供して、NMP中の不純物含有量を耐浸出性として決定した。不純物の総量が30%以下であった場合、耐浸出性は良好であると評価した。
【0130】
試験例5:感度の測定
上記と同様に調製する際に露光量がプリベーク時にコーティングされた膜に分割された場合、BCSの遮光層パターンが得られた地点の露光量を測定し、その結果を下記の表4に示す。遮光層を形成するために必要な露光量が少なくなるにつれて、感度(mJ/cm2)はより速くなると評価した。
【0131】
試験例6:光学密度の測定
3.5μmの厚さを有するBCSを上記と同様に調製した。このように調製されたBCSの550nmでの透過率を、光学密度計(361T、Xlite製)を使用して測定し、1μmの厚さに基づく光学密度を決定した。
【0132】
試験例7:段差が形成されたか否かの評価
黒色マトリックス及びスペーサが視覚的に区別されたか否かを見るために、試験例1のBCSを、光学顕微鏡(STM6、Olympus)を用いて厚さ方向で観測した。その結果を写真として
図2及び3に示す。
【0133】
【0134】
図2及び3ならびに表5に示されるように、本発明の範囲内に入る、実施例の組成物から調製された硬化膜(例えば、遮光スペーサまたは黒色カラムスペーサ)は全て、感度、弾性回復率、耐浸出性、電圧保持率、現像マージン、及び光学密度の観点において良好であった。さらに、段差がはっきりと観察された。
【0135】
対照的に、本発明の範囲内ではない比較例による組成物から調製された硬化膜は、特性のほとんどで不都合な結果を示した。さらに、段差がはっきりと観察されなかったか、または測定不可であった。
【0136】
[図面の参照番号]
A:カラムスペーサ部の厚さ
B:黒色マットレス部の厚さ
C:カラムスペーサ部の限界寸法(CD)