(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 15/00 20060101AFI20230309BHJP
F26B 15/08 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
F26B15/00 D
F26B15/08
(21)【出願番号】P 2018083270
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英之
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-256573(JP,A)
【文献】実開昭50-069756(JP,U)
【文献】実公昭50-015260(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00ー25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が塗装された被塗装部材を搬送する搬送経路上に設けられた乾燥装置であって、
前記被塗装部材を前記搬送経路に対して高さ方向に往復させる往復部を備え、
前記往復部は、
前記搬送経路から前記高さ方向に前記被塗装部材を前記一方の面を上にして搬送する往路区間と、
前記搬送経路に向かって前記高さ方向に前記被塗装部材を前記一方の面を下にして搬送する復路区間と、
前記往路区間から前記復路区間へ前記被塗装部材を前記一方の面を反転させて搬送する折返し区間と、
前記往路区間から前記折返し区間を超えて前記復路区間へと移動する複数の移動部材と、
前記高さ方向に
かつ前記被塗装部材が支持された状態において前記被塗装部材の長さ方向に所定の間隔をおいて
ずらされて前記移動部材にそれぞれ設けられていて、前記高さ方向に交差する方向において前記移動部材から離れるように突出する第1の支持部材と第2の支持部材とを有する複数の一対の支持部材と、を有し、
一の移動部材において、前記第1の支持部材は、前記第2の支持部材に対して前記被塗装部材の搬送方向において上流側に設けられ、前記往路区間において前記被塗装部材を支持し、前記第2の支持部材は、前記第1の支持部材に対して前記被塗装部材の搬送方向において下流側に設けられ、前記復路区間において前記被塗装部材を支持し、
前記被塗装部材は、前記各一対の支持部材において前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間で支持される
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記往路区間において前記複数の一対の支持部材のうち、
一の移動部材において、前記搬送方向において下流側にある前記一対の支持部材の前記第1の支持部材と、
前記一の移動部材に対して前記下流側にある
他の移動部材において、一対の支持部材に対して前記搬送方向において上流側にある前記一対の支持部材の前記第2の支持部材とが、前記高さ方向において同じ位置で並んで移動することを特徴とする請求項
1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記支持部材は、棒状に形成されていることを特徴とする請求項
1または
2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記往復部は、前記被塗装部材の長手方向に沿って所定の間隔をおいて複数設けられており、
前記往復部のそれぞれを互いに同期させて駆動する駆動部を有することを特徴とする請求項1から
3までのいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項5】
搬入されてきた前記被塗装部材を往路区間において前記搬送経路から前記往復部へ移送と、復路区間において前記往復部から前記搬送経路に移送と、を同時に実施する移送部を備えることを特徴とする請求項1から
4までのいずれか一項に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ラインにおいて、塗装された被塗装部材の塗装を乾燥させる乾燥装置がある。
例えば、乾燥炉内において被塗装部材を横方向に搬送する、高さ方向において多段的に設けられた横送りコンベアと、上下の横送りコンベア間において被塗装部材を搬送する上下循環コンベアとを有する乾燥装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1における乾燥装置においては上下および横送りの2系統のコンベア間において被塗装部材の受け渡しを行い、乾燥炉内での被塗装部材の滞在時間を稼いでいる。
さらに、例えば、被塗装部材を載せた新たなパレット群を乾燥ラインへ積み込むまで、乾燥炉内の搬送部の運行を停止することで、乾燥炉内における被塗装部材の滞在時間を稼ぐ乾燥装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-254275号公報
【文献】特開平1-194971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送経路上において乾燥装置によって乾燥させられた被塗装部材は、乾燥装置からさらに下流の工程、例えば、出荷するために被塗装部材を複数重ねられて結束する工程へと搬送される。
ところで、被塗装部材を結束する場合、被塗装板材の断面形状を考慮して被塗装部材を重ねることがあり、塗装面を下側にして重ねた後、被塗装部材群を結束したい場合がある。このような下では、塗装工程から結束工程までの間の搬送経路のどこかで被塗装部材の塗装面が下側を向くように、搬送される被塗装部材を反転させたいという需要がある。作業員が被塗装部材を反転させることも考えられるが、作業員の安全面および作業負担を考慮すれば、作業員による反転作業は回避したい。また、搬送経路上に、別途、反転装置を設けることも考えられるが、設備コストの観点から反転装置を別途設けることも回避したい。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乾燥工程において、塗装された被塗装部材の乾燥時間を稼ぐとともに、搬送中に被塗装部材の塗装面を反転させる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、一方の面が塗装された被塗装部材を搬送する搬送経路上に設けられた乾燥装置であって、前記被塗装部材を前記搬送経路に対して高さ方向に往復させる往復部を備え、前記往復部は、前記搬送経路から前記高さ方向に前記被塗装部材を前記一方の面を上にして搬送する往路区間と、前記搬送経路に向かって前記高さ方向に前記被塗装部材を前記一方の面を下にして搬送する復路区間と、前記往路区間から前記復路区間へ前記被塗装部材を前記一方の面を反転させて搬送する折返し区間と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記往復部は、前記往路区間から前記折返し区間を超えて前記復路区間へと移動する移動部材と、前記移動部材に所定の間隔をおいて設けられた、前記高さ方向に交差する方向に突出する複数の一対の支持部材と、を有し、前記一対の支持部材は、前記被塗装部材の搬送方向において上流側に設けられ、前記往路区間において前記被塗装部材を支持する第1の支持部材と、前記被塗装部材の搬送方向において下流側に設けられ、前記復路区間において前記被塗装部材を支持する第2の支持部材と、を有することが好ましい。
【0008】
また、前記往路区間において前記複数の一対の支持部材のうち、前記搬送方向において下流側にある前記一対の支持部材の前記第1の支持部材と、前記下流側にある一対の支持部材に対して前記搬送方向において上流側にある前記一対の支持部材の前記第2の支持部材とが、前記高さ方向において同じ位置で並んで移動することが好ましい。
【0009】
また、前記支持部材は、棒状に形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記往復部は、前記被塗装部材の長手方向に沿って所定の間隔をおいて複数設けられており、前記往復部のそれぞれを互いに同期させて駆動する駆動部を有することが好ましい。
【0011】
また、搬入されてきた前記被塗装部材を往路区間において前記搬送経路から前記往復部へ移送するとともに、復路区間において前記往復部から前記搬送経路に移送する移送部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、乾燥工程において、塗装された被塗装部材の乾燥時間を稼ぐとともに、搬送中に被塗装部材の塗装面を反転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】塗装されたデッキプレートが乾燥装置に対して搬入および搬出される工程を示す概略図である。
【
図2】(a)はデッキプレートを塗装面側から見た斜視図であり、(b)は複数のデッキプレートを重ねた状態を示す斜視図である。
【
図3】乾燥装置の反転機の構成を説明するための概略的な正面図である。
【
図4】乾燥装置の反転機の構成を説明するための概略的な斜視図である。
【
図5】乾燥装置の構成を説明するための概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
【0015】
図1は、塗装されたデッキプレートが乾燥装置に対して搬入および搬出される工程を示す概略図である。
図2は、デッキプレートを示す図であり、(a)はデッキプレートを裏面(塗装面)側から見た斜視図であり、(b)は複数のデッキプレートを重ねた状態を示す斜視図である。
図3は、乾燥装置の反転機の構成を説明するための概略的な正面図である。
図4は、乾燥装置の反転機の構成を説明するための概略的な斜視図である。
図5は、乾燥装置の構成を説明するための概略的な側面図である。
【0016】
例えば、デッキプレート等の長尺部材は、製造ラインにおいて種々の製造工程を経ることにより製造される。例えば、デッキプレートは、まず、成形されてデッキプレートとなる鋼板等の板材をコイルから送り出し、次いで、ロール成形、エンボス加工、切断、誘導加熱、塗装、乾燥などの加工工程を経ることにより製造されて、最終的に積み重ねられて結束され出荷される。
【0017】
本実施の形態に係る乾燥装置1は、
図1に示すように、塗装装置Cmにより裏面(一方の面)を塗装されたデッキプレートDpを乾燥させるための装置であり、塗装工程と結束工程との間に配置されている。
【0018】
説明の便宜上、まず、
図2を用いてデッキプレートDpの構成(形状)について説明する。デッキプレートDpは、例えば、建築物の床構造において使用され、表面usの側は、コンクリート等が打設され、裏面(一方の面)bsは床構造から露出する。そのため、裏面bsにはさび止めのために塗装する必要がある。
例えば、
図2(a)に示すように、デッキプレートDpは、裏面bsから見た場合、幅方向(短手方向)における中央部および両端部には平坦面部fpが設けられている。デッキプレートDpは、中央部における平坦面部fpと両端部における平坦面部fpとの間で、表面usの側に押し出された凸部spを有する。
図2(b)に示すように、デッキプレートDpは、出荷の際には表面usを上側にして、例えば、20枚以上重ねて結束される。デッキプレートDpの輸送時の安定性を考慮して、結束されたデッキプレートDpの束は、デッキプレートDpの裏面bsを下に向けて平坦面部fpが接地するようにして輸送する必要がある。つまり、塗装面csを下にした状態でデッキプレートDpは輸送される。
なお、
図1、
図3および
図5においては、デッキプレートDpは簡略化して示す。
【0019】
<乾燥装置の構成>
図1に示したように、デッキプレート(被塗装部材)Dpには塗装装置Cmにより塗装が施される。具体的には、上述のようにデッキプレートDpの使用状態においてコンクリートから露出する裏面(一方の面)bsが塗装されて塗装面csとなる。
塗装後のデッキプレートDpは、塗膜の半乾きにより搬送中に塗膜が剥離することを防ぐために、乾燥装置1において乾燥させられる。塗装されたデッキプレートDpは、塗装面csを上に向けて製造ラインにおける搬送経路上を乾燥装置1に向けて搬送されていく。以下に、
図3乃至
図5を用いて乾燥装置1の構成を説明する。
【0020】
乾燥装置1は、製造ラインにおいて塗装装置Cmから下流工程への搬送経路上に設けられている。乾燥装置1において搬送経路は、乾燥装置1を挟んで設けられている。
図3に示すように、搬送経路は、製造ラインにおいて上流側からデッキプレートDpを乾燥装置1に搬入する搬入経路(図中右側)Ti、および乾燥装置1から下流側にデッキプレートDpを搬出する搬出経路(図中左側)Toを有する。
乾燥装置1は、反転機(往復部)10と、移送機20と、を備える。
【0021】
(反転機)
反転機10は、少なくともデッキプレートDpの長さにわたって所定の間隔を置いて複数設けられており、高さ方向に延在している。複数の反転機10は、乾燥装置1に搬入されてきたデッキプレートDpを高さ方向において上方に搬送し、頂点部分においてデッキプレートDpを反転させ、下方に搬送し乾燥装置1から搬出する。
反転機10は、例えば、搬入経路Tiおよび搬出経路Toに対して上下方向にデッキプレートDpを往復させる循環型のコンベア(移動部材)を有し、反転機10における循環経路は、搬入経路Tiと搬出経路Toとの間で循環している。反転機10は、デッキプレートDpを搬入経路Tiから上方に搬送する往路区間10aと、搬送方向を上方から下方に折り返す折返し区間10bと、デッキプレートDpを搬出経路Toに向かって下方に搬送する復路区間10cと、を有する。
なお、反転機10は、搬送方向を下方から上方に変更する折返し区間(図示せず。)も有している。
【0022】
反転機10は、コンベア上に連続して設けられていて、デッキプレートDpを搬入経路Tiから搬出経路Toへと搬送する複数の搬送体11を有する。搬送体11は、循環経路においてデッキプレートDpを、塗装面csが循環方向において常に下流側を臨むようにして搬送する。つまり、デッキプレートDpは、往路区間10aにおいては上方を向き、復路区間10cにおいては下方を向いている。
各搬送体11においてデッキプレートDpを支持して搬送することができるので、反転機10においては、複数のデッキプレートDpが上下で段階的に搬送されるようになっている。
【0023】
搬送体11は、循環方向における両端部に、デッキプレートDpを支持する一対の支持部材12,13を有する。支持部材12,13は、棒状部材、具体的には円柱部材であり、高さ方向に交差する方向において反転機10から側方に、つまり、往路区間10aにおいては搬入経路Tiに向かって突出しており、復路区間10cにおいては搬出経路Toに向かって突出している。
各搬送体11における一対の支持部材12,13のうち、循環経路において上流側にある支持部材(第1の支持部材)12は、往路区間10aにおいてデッキプレートDpを上方に搬送する際にデッキプレートDpを表面usの側で支持し、下流側にある支持部材(第2の支持部材)13は、復路区間10cにおいてデッキプレートDpを下方に搬送する際にデッキプレートDpを塗装面csの側で支持する。
【0024】
支持部材12および支持部材13は、搬送体11の中心線xを挟んで互いに異なる側に設けられている。例えば、支持部材12は、中心線xに対して右側に位置し、支持部材13は、中心線xに対して左側に位置する。
反転機10の往路区間10aおよび復路区間10cにおいて、搬送方向において下流側にある搬送体11の支持部材12と、当該搬送体11に対して搬送方向において上流側にある搬送体11の支持部材13と、は、高さ方向において同じ位置で並んで移動する。
換言すると、反転機10の往路区間10aおよび復路区間10cにおいて、隣接する搬送体11のうち上流側にある搬送体11における支持部材13の位置は、下流側にある搬送体11の支持部材12の位置と搬送体11の幅方向において重なるようになっている。
【0025】
なお、反転機10におけるデッキプレートDpは、1つの搬送体11においては、一対の支持部材12,13の間において支持される。互いに連続して設けられた搬送体11においてデッキプレートDpは、往路区間10aにおいては、一の搬送体11における支持部材12、および当該一の搬送体11の上流側に位置する搬送体11における支持部材13により支持され、復路区間10cにおいては、一の搬送体11における支持部材13、および当該一の搬送体11の上流側に位置する搬送体11における支持部材12により支持される。
【0026】
各反転機10における搬送体11の位置は、搬送するデッキプレートDpが略水平状態において搬送されていくように整列されている。
一列に配置された反転機10は、共通の駆動軸(駆動部)14を有しており、各反転機10における搬送体11は、駆動軸14の回転により同期して移動するようになっている。なお、駆動軸14の駆動(回転)のタイミングは、反転機10への移送機20によるデッキプレートDpの積込み、および反転機10からのデッキプレートDpの荷下ろしのタイミングに合わせて調整されており、間欠的に駆動される。
【0027】
(移送機)
移送機20は、乾燥装置1へ搬入されてきたデッキプレートDpを搬入経路Tiから反転機10に移送し(積み込み)、反転機10を高さ方向に往復してきたデッキプレートDpを反転機10から搬出経路Toに移送(荷下ろし)する。
移送機20は、デッキプレートDpを乾燥装置1に搬入する搬入経路Tiおよび乾燥装置1から搬出する搬出経路Toに対して下側に設けられている。移送機20は、反転機10に対して側方に移動自在であるとともに、搬入経路Tiおよび搬出経路Toに対して上下方向に移動自在である。移送機20による搬入経路Tiから反転機10へのデッキプレートDpの移送、および反転機10から搬出経路ToへのデッキプレートDpの移送は同時に行われる。
移送機20は、積込部21と、荷下部22とを有する。積込部21は、乾燥装置1に搬送されてきたデッキプレートDpを搬入経路Tiから持ち上げて反転機10に移送する。荷下部22は、反転機10により搬送されてきたデッキプレートDpを搬出経路Toに移送する。なお、移送機20は、隣接する反転機10の間に設けられており、各移送機20は、同期して駆動される。
【0028】
<乾燥工程の説明>
次に、乾燥装置1における乾燥工程について説明する。塗装装置Cmにより塗装されたデッキプレートDpは、その塗装面csが上側を臨むようにして乾燥装置1に搬送されてくる。デッキプレートDpが乾燥装置1の複数ある反転機10にわたって横付けされた状態になると、移送機20が搬入経路Ti側に移動して、積込部21がデッキプレートDpを下方から持ち上げる。これと同時に、荷下部22が支持部材12,13により支持されているデッキプレートDpを下方から持ち上げる。
次いで、移送機20は、搬出経路To側に移動して、往路区間10aの側では、搬送体11の支持部材12,13にデッキプレートDpを載置し、復路区間10cの側では、搬出経路ToにデッキプレートDpを載置する。
【0029】
往路区間10aでの支持部材12,13へのデッキプレートDpの載置、および復路区間10cでの搬出経路ToへのデッキプレートDpの載置が完了すると、移送機20は、搬入経路Ti側に移動して出発位置に戻る。出発位置への移送機20の戻り移動がトリガとなって、駆動軸14が所定の角度だけ回動させられて、搬送体11が循環方向に移動する。往路区間10aにおいては搬送体11の移動に伴い、デッキプレートDpは上方に移動する。復路区間10cにおいては搬送体11の移動に伴い、デッキプレートDpは下方に移動する。折返し区間10bにおいては搬送体11の移動に伴い、デッキプレートDpは横方向に搬入経路Ti側から搬出経路To側に移動する。
これにより、往路区間10aの側ではデッキプレートDpを支持していない新たな搬送体11がデッキプレートDpの積込み位置に到達し、復路区間10cの側ではデッキプレートDpを支持した搬送体11が新たに荷下し位置に到達する。
【0030】
搬送体11の間欠的な移動を複数回、段階的に繰り返すことにより、往路区間10aにおいてデッキプレートDpは、積込み位置から反転機10の折返し区間10bに到達する。往路区間10aにおいてデッキプレートDpは、互いに隣接する搬送体11のうち下流側に位置する搬送体11の支持部材12と、上流側に位置する搬送体11の支持部材13とによって支持されていた。下流側に位置する搬送体11が往路区間10aから折返し区間10bに達すると、反転機10のコンベアの移動に伴い、下流側に位置する搬送体11の支持部材12が側方に突出した状態から、折返し区間10bに向かって徐々に上方に突出した状態になり、デッキプレートDpを往路区間10aから折返し区間10bに搬送していく。
【0031】
かくして、往路区間10aにおいて一の搬送体11の支持部材12に支持されていたデッキプレートDpは、折返し区間10bにおける当該一の搬送体11の移動に伴う支持部材12,13の立ち上がり、および横倒しによる慣性力の作用により、支持部材12から支持部材13へと倒れるように移動する。
コンベアの移動に伴い、搬送体11は、支持部材13においてデッキプレートDpを支持しながら折返し区間10bから復路区間10cへと移動し、復路区間10cにおいて先に移動した(下流側の)搬送体11の支持部材12とともにデッキプレートDpを支持しながら下方に移動する。つまり、デッキプレートDpは、復路区間10cにおいては、互いに隣接する搬送体11のうち下流側に位置する搬送体11の支持部材12と、上流側に位置する搬送体11の支持部材13とによって支持される。
【0032】
つまり、デッキプレートDpが搬送体11の移動に伴い、往路区間10a、折返し区間10bおよび復路区間10cを経由する間、一の搬送体11におけるデッキプレートDpの支持は、支持部材12から支持部材13へと変わり、デッキプレートDpにおける支持面は、非塗装面(表面us)から塗装面csへと反転される。反転機10においてデッキプレートDpは、常に塗装面csが循環方向において下流側を臨んでいる。
【0033】
以上のような乾燥装置1によれば、反転機10により、塗装装置Cmにおいて塗装されたデッキプレートDpを搬送経路(搬入経路Tiおよび搬出経路To)から高さ方向へ昇降させるので、デッキプレートDpにおける塗装面csが乾燥する時間を稼ぐことができる。これにより、デッキプレートDpの搬送中における、塗装面csが完全に乾燥していないことに起因する塗膜剥離を防ぐことができる。
さらに、反転機10は、高さ方向に延在しているので、製造ラインにおける高さ方向における空間を乾燥のために活用することができ、デッキプレートDpの搬送距離を水平方向に稼ぐべく搬送経路を延長する必要はない。
【0034】
さらに、反転機10によれば、デッキプレートDpを乾燥させつつ、搬送体11の循環方向への移動によりデッキプレートDpを折返し区間10bにおいて反転させるので、搬入時には上を向いていた塗装面csは、搬出時には下を向いている。これにより、デッキプレートDpは、乾燥装置1より下流側での搬送経路において塗装面csを下方に向けるための反転作業、反転装置等は必要なくなり、乾燥装置1から搬出されたデッキプレートDpをそのまま、塗装面csを下にした状態で数十枚重ねて結束することができ、輸送時において安定した姿勢で出荷することができる。
【0035】
また、デッキプレートDpを支持する一対の支持部材12,13が循環方向に沿って対向して搬送体11に設けられているので、折返し区間10bにおけるデッキプレートDpの反転をスムーズに実施することができる。
【0036】
また、隣接する搬送体11において、下流側の搬送体11の支持部材12と、上流側の搬送体11の支持部材13とが、反転機10の高さ方向において並んで移動していくので、デッキプレートDpを往路区間10aおよび復路区間10cにおいて、2つの支持部材12,13により安定して支持することができる。
【0037】
また、支持部材12,13は、円柱部材であるので、デッキプレートDpとの設置面積を小さくすることができる。復路区間10cにおけるデッキプレートDpの塗装面csと支持部材13との接触面積を可能な限り小さくすることができるので、支持部材13との接触による塗装面csの損傷を防ぐことができる。
【0038】
<その他>
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、上記の実施の形態において、支持部材12,13は、円柱部材であったが、断面形状は、円形に限られず、多角形等であってもよく、また、支持部材12,13を形鋼により形成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 乾燥装置
10 反転機(往復部)
10a 往路区間
10b 折返し区間
10c 復路区間
11 搬送体(移動部材)
12 支持部材(第1の支持部材)
13 支持部材(第2の支持部材)
14 駆動軸(駆動部)
20 移送機
21 積込部
22 荷下部
Dp デッキプレート
cs 塗装面(一方の面)