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  • 特許-給湯機 図1
  • 特許-給湯機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/30 20220101AFI20230309BHJP
   F24H 8/00 20220101ALI20230309BHJP
   F24H 1/28 20220101ALI20230309BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20230309BHJP
【FI】
F24H1/30
F24H8/00
F24H1/28
F24H9/16 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018089742
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2019196852
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】井上 俊輔
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261602(JP,A)
【文献】特開2002-013819(JP,A)
【文献】中国実用新案第202209775(CN,U)
【文献】特開2011-117680(JP,A)
【文献】特開2006-084054(JP,A)
【文献】特開2004-044949(JP,A)
【文献】特開2017-172884(JP,A)
【文献】特開2006-317035(JP,A)
【文献】国際公開第2005/108875(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/30
F24H 8/00
F24H 1/28
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内で発生した燃焼ガスが、1次熱交換器及び2次熱交換器にそれぞれ設けられた第1、第2の管部内を順に通過して該第1、第2の管部外の水を加熱する給湯機において、
前記1次熱交換器及び前記2次熱交換器を分割する仕切り部材と、
前記燃焼室内に露出した露出部を有し、該燃焼室の底部に配置された耐酸性の金属からなる水受け部材とを備え、
連通する前記第1、第2の管部からなる管部材が、前記仕切り部材を貫通して設けられ、前記管部材から前記水受け部材の露出部にドレイン水が落下することを特徴とする給湯機。
【請求項2】
請求項1記載の給湯機において、前記仕切り部材は板状であることを特徴とする給湯機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の給湯機において、前記管部材は、一端が前記燃焼室に連通し、他端が前記2次熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に排出する排気機構に連通していることを特徴とする給湯機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯機において、前記2次熱交換器、前記1次熱交換器及び前記燃焼室が上から順に設けられ、前記管部材は複数あって、それぞれ、直線状であり、鉛直に配置されていることを特徴とする給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスで水を加熱する給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を燃焼させて発生させた燃焼ガスを管に流して管外の水を加熱する給湯機には、1次熱交換器(顕熱熱交換器)及び2次熱交換器(潜熱熱交換器)を有するものがある(特許文献1参照)。この種の給湯機では、1次熱交換器が2次熱交換器の下方に設けられており、燃焼ガスが1次熱交換器を通過しながら水を加熱した後、2次熱交換器を通過しつつ水を加熱する。水は2次熱交換器で加熱された後、1次熱交換器で更に加熱される。これによって、燃焼ガスの熱を効率的に水に与えることができる。
【0003】
ここで、2次熱交換器の管内では、結露によって酸性のドレイン水が生じる。そのため、ドレイン水を中和処理すべく、1)中和器を具備し、2)1次熱交換器の管と2次熱交換器の管とをそれぞれ独立して設け、3)2次熱交換器と1次熱交換器の間に2次熱交換器の管から落下するドレイン水を受けて中和器に送る機構を設ける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-242023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ドレイン水の中和処理には、多数の部材や中和器を要し、給湯機全体の設計が複雑化するという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、必要とされる部材を減少させ、中和器を要さない給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る給湯機は、燃焼室内で発生した燃焼ガスが、1次熱交換器及び2次熱交換器にそれぞれ設けられた第1、第2の管部内を順に通過して該第1、第2の管部外の水を加熱する給湯機において、前記1次熱交換器及び前記2次熱交換器を分割する仕切り部材と、前記燃焼室内に露出した露出部を有し、該燃焼室の底部に配置された耐酸性の金属からなる水受け部材とを備え、連通する前記第1、第2の管部からなる管部材が、前記仕切り部材を貫通して設けられ、前記管部材から前記水受け部材の露出部にドレイン水が落下する。
【0007】
【0008】
本発明に係る給湯機において、前記仕切り部材は板状であるのが好ましい。
【0009】
本発明に係る給湯機において、前記管部材は、一端が前記燃焼室に連通し、他端が前記2次熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に排出する排気機構に連通しているのが好ましい。
【0010】
本発明に係る給湯機において、前記2次熱交換器、前記1次熱交換器及び前記燃焼室が上から順に設けられ、前記管部材は複数あって、それぞれ、直線状であり、鉛直に配置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る給湯機は、1次熱交換器及び2次熱交換器を分割する仕切り部材を備え、連通する第1、第2の管部からなる管部材が、仕切り部材を貫通して設けられているので、第2の管部内で生じるドレイン水は、管部材の熱による気化によって減少しながら管部材の内壁を伝って下降する。よって、燃焼室に到達するドレイン水の量は、燃焼室内の熱で気化可能な量となり、ドレイン水を中和する中和器を省くことが可能となる。従って、給湯機全体に必要な部材の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る給湯機の説明図である。
図2図1の一部省略Q-Q’矢視断面図である。
図3図1の一部省略P-P’矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る給湯機10は、燃焼室11内で発生した燃焼ガスが、1次熱交換器12及び2次熱交換器13にそれぞれ設けられた管部14(第1の管部)及び管部15(第2の管部)内を順に通過して管部14、15外の水を加熱する。以下、詳細に説明する。
【0014】
給湯機10は、図1に示すように、バーナ16と、バーナ16による燃料(例えば、灯油)の燃焼によって燃焼ガスが発生する燃焼室11と、1次熱交換器12と、2次熱交換器13と、2次熱交換器13を通過した燃焼ガスを外部に排出する排気機構17を備えている。排気機構17、2次熱交換器13、1次熱交換器12及び燃焼室11は、上から順に設けられている。
【0015】
バーナ16は燃焼室11に固定され、燃焼室11の下方には主として耐火材(例えば、セラミックファイバ)によって形成された断熱層18が設けられている。断熱層18の上側、即ち、燃焼室11の底部には、耐酸性の金属(本実施の形態ではステンレス鋼)からなる金属板(水受け部材の一例)19が水平に配置され、金属板19は燃焼室11内に露出した上面20(露出部の一例)を有している。
【0016】
燃焼室11の上方には、1次熱交換器12に設けられた直線的な管部14及び2次熱交換器13に設けられた直線的な管部15が連通してなる直線状の管部材21が設けられている。管部材21は複数あって、それぞれ鉛直に配置されている。
各管部材21は、燃焼ガスの吸込み口22が形成された下端(一端)が燃焼室11に連通し、燃焼ガスの排出口23が形成された上端(他端)が排気機構17に連通している。
【0017】
そのため、燃焼室11内で発生した燃焼ガスは、吸込み口22から管部材21内に流入し、管部材21に沿って上昇して1次熱交換器12及び2次熱交換器13を順に通過した後、排出口23から出て排気機構17に送られ、外部に排出される。
なお、各管部材21の内側には、燃焼ガスの上昇速度を遅くする図示しないバッフルプレートが設けられている。
【0018】
1次熱交換器12は、図1図2に示すように、間隔を空けて並列配置された複数の管部14と、複数の管部14及び燃焼室11を内側に収容した筒状の側壁体24を具備し、2次熱交換器13は、図1図3に示すように、間隔を空けて並列配置された複数の管部15と、複数の管部15を内側に収めた側壁体25と、天井部26を有している。なお、図3ではバーナ16の記載が省略されている。
側壁体24、25は連続して形成されて1つの部材を成し、1次熱交換器12及び2次熱交換器13は水平配置された板状の仕切り部材27によって分割されている。各管部材21は仕切り部材27を貫通して設けられている。
【0019】
側壁体24内には、金属板19を上側から覆って金属板19と共に燃焼室11を形成するカバー体28が設けられている。カバー体28には各管部材21の下端が連結され、金属板19は複数の管部材21の吸込み口22の下方に配置されている。カバー体28の外側と側壁体24の内側は接触し、その接触部はシールされている。
側壁体24には出湯管29が接続されており、側壁体24、仕切り部材27及びカバー体28によって囲まれた、複数の管部14外の空間部30は水で満たされている。
【0020】
2次熱交換器13は、側壁体25に給水管31が接続され、側壁体25、天井部26及び仕切り部材27によって囲まれた、複数の管部15外の空間部32には、給水管31から水(本実施の形態では水道水)が供給される。
【0021】
空間部30、32は連結管33によって接続され、出湯管29から空間部30内の水が出るのに伴って、給水管31から空間部32に水が供給され、空間部32から連結管33経由で空間部30に水が送られる。即ち、水は空間部32から空間部30に進み出湯管29から出る。そのため、水は、空間部32で各管部15内の燃焼ガスとの熱交換によって加熱された後、空間部30内で各管部14内の燃焼ガスとの熱交換によって加熱され、出湯管29から出ることとなる。
【0022】
各管部材21内を上昇する燃焼ガスは、1次熱交換器12を通過の際に空間部30内の水に熱を奪われて温度が低下した後、2次熱交換器13で空間部32内の水に熱を奪われ温度が低下する。管部材21内には、主に管部15内で燃焼ガスの温度低下によって結露が発生する。この結露は酸性のドレイン水であり、ドレイン水は管部材21の内側を伝って下降する。ドレイン水は、その大部分が管部材21内で燃焼ガスの熱によって蒸発(気化)して管部材21内を上昇し、一部が吸込み口22に到達して管部材21から金属板19の上面20に落下する。
【0023】
金属板19は燃焼室11内の燃焼ガスで加熱されており、かつ、金属板19の上面20は燃焼室11内に露出していることから、金属板19の上面20に付着したドレイン水は、蒸発し気体となって燃焼室11から複数の管部材21内に流入した後、各管部材21内を上昇し、排気機構17から外部に排出される。
【0024】
ここで、ドレイン水は、バーナ16による燃焼を止めた直後に多く発生することになる。この点、バーナ16による燃焼を止めた直後、各管部材21及び金属板19は燃焼ガスによって加熱された状態になっているため、ドレイン水は管部材21の熱及び金属板19の熱によって安定的に気化され排気機構17から外部に排出される。
本実施の形態では、ドレイン水が気化されて排出されるため、給湯機10に、ドレイン水を液体の状態で側壁体24、25外に排出するための機構や、排出したドレイン水を中和する中和器を設ける必要はない。
【0025】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、水受け部材は、板状以外の形状(例えば、椀状)であってもよい。更に、水受け部材全体が燃焼室内に露出する露出部となるように配置されていてもよい
【0026】
そして、仕切り部材は板状である必要はなく、例えば、中空形状であってもよいし、表面に凹凸のある形状であってもよい。
更に、2次熱交換器、1次熱交換器及び燃焼室が上から順に設けられている必要はなく、例えば、2次熱交換器と1次熱交換器を同じ高さに設けてもよい。
また、管部材は直線状でなくてもよく、例えば、曲線領域を有する管部材を採用してもよい。そして、直線状の管部材を用いる場合、管部材を鉛直に対し傾斜して配置することができる。更に、管部材は両端がそれぞれ燃焼室及び排気機構に連通している必要はなく、例えば、燃焼ガスの流れに沿って、燃焼室の下流側にガス溜まり部を設け、各管部材の一端をガス溜まり部に連通させてもよい。
【符号の説明】
【0027】
10:給湯機、11:燃焼室、12:1次熱交換器、13:2次熱交換器、14、15:管部、16:バーナ、17:排気機構、18:断熱層、19:金属板、20:上面、21:管部材、22:吸込み口、23:排出口、24、25:側壁体、26:天井部、27:仕切り部材、28:カバー体、29:出湯管、30:空間部、31:給水管、32:空間部、33:連結管
図1
図2
図3