(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】放射線診断装置、放射線検出器、及びコリメータ
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230309BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A61B6/03 320H
A61B6/03 320Y
G01T7/00 B
(21)【出願番号】P 2018181222
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2017192741
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正彦
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特表平04-500276(JP,A)
【文献】米国特許第05949850(US,A)
【文献】特開2003-307570(JP,A)
【文献】特開2007-52024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線源と、
前記X線を検出し、前記X線に応じた電気信号を発生するX線検出器と、
前記X線検出器の前記X線の入射側に設けられ、散乱X線を吸収する吸収壁からなるコリメータと、を備え、
前記吸収壁は、前記X線検出器の列方向に延設され、前記X線検出器のチャンネル方向に沿って複数配置され、
前記吸収壁は、前記X線の入射方向に沿って配置される複数の吸収部を含み、前記複数の吸収部の各吸収部と非吸収部との順番が、前記列方向に沿って互い違いの構成を備え、
前記複数の吸収部は、前記X線の入射方向に沿って不等間隔で配置され、
前記吸収壁としての第1の吸収壁の吸収部が、前記吸収壁としての、前記第1の吸収壁に隣接する第2の吸収壁の吸収部を支える構成を備える、
放射線診断装置。
【請求項2】
前記複数の吸収部は、前記X線の入射方向において、前記X線検出器に近い側と比して前記X線源に近い側で疎となるように配置される、
請求項
1に記載の放射線診断装置。
【請求項3】
前記複数の吸収部の間には、前記X線を透過する透過部材が配置される、
請求項1
又は2に記載の放射線診断装置。
【請求項4】
前記複数の吸収部の間には、前記複数の吸収部と同一の材料であって、前記複数の吸収部より薄厚の吸収部が配置される、
請求項1
又は2に記載の放射線診断装置。
【請求項5】
前記吸収壁は、前記X線検出器の列方向に延設され、かつ、前記X線検出器のチャンネル方向に沿って複数配置されると共に、前記X線検出器のチャンネル方向に延設され、かつ、前記X線検出器の列方向に沿って複数配置される、
請求項1
又は2に記載の放射線診断装置。
【請求項6】
前記チャンネル方向に沿って配置される前記複数の吸収壁の材料を、前記チャンネル方向に沿って変更する構成とし、及び/又は、前記列方向に沿って配置される前記複数の吸収壁の材料を、前記列方向に沿って変更する構成とする、
請求項
5に記載の放射線診断装置。
【請求項7】
前記列方向に延設される前記複数の吸収壁について、前記複数の吸収部の各吸収部と非
吸収部との順番が、前記列方向に沿って互い違いの構成を備え、
前記チャンネル方向に延設される前記複数の吸収壁について、前記複数の吸収部の各吸収部の各吸収部と非吸収部との順番が、前記チャンネル方向に沿って互い違いの構成を備える、
請求項
5に記載の放射線診断装置。
【請求項8】
前記吸収壁としての第1の吸収壁の吸収部が、前記吸収壁としての、前記第1の吸収壁に隣接する第2の吸収壁の吸収部を支える構成を備える、
請求項
7に記載の放射線診断装置。
【請求項9】
前記X線の入射方向に沿って配置される前記複数の吸収部の材料を、前記X線の入射方向に沿って変更する構成とする、
請求項1乃至
8のうちいずれか1項に記載の放射線診断装置。
【請求項10】
散乱X線を吸収する吸収壁からなるコリメータを含む放射線検出器であって、
前記吸収壁は、前記放射線検出器の列方向に延設され、前記放射線検出器のチャンネル方向に沿って複数配置され、
前記吸収壁は、X線源からのX線の入射方向に沿って配置される複数の吸収部を含み、前記複数の吸収部の各吸収部と非吸収部との順番が、前記列方向に沿って互い違いの構成を備え、
前記複数の吸収部は、前記X線の入射方向に沿って不等間隔で配置され、
前記吸収壁としての第1の吸収壁の吸収部が、前記吸収壁としての、前記第1の吸収壁に隣接する第2の吸収壁の吸収部を支える構成を備える、
放射線検出器。
【請求項11】
散乱X線を吸収する吸収壁からなるコリメータであって、
前記吸収壁は、放射線検出器の列方向に延設され、前記放射線検出器のチャンネル方向に沿って複数配置され、
前記吸収壁は、X線源からのX線の入射方向に沿って配置される複数の吸収部を含み、前記複数の吸収部の各吸収部と非吸収部との順番が、前記列方向に沿って互い違いの構成を備え、
前記複数の吸収部は、前記X線の入射方向に沿って不等間隔で配置され、
前記吸収壁としての第1の吸収壁の吸収部が、前記吸収壁としての、前記第1の吸収壁に隣接する第2の吸収壁の吸収部を支える構成を備える、
コリメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線診断装置、放射線検出器、及びコリメータに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に放射線を照射することで、被検体の体内組織が画像化された放射線画像を生成する放射線診断装置が存在する。放射線診断装置としては、X線診断装置及びX線CT(Computed Tomography)装置等が挙げられる。X線診断装置は、X線源及びX線検出器を備え、X線検出器が検出したX線に基づいて、被検体の内部構造を投影したX線画像データを生成する。また、X線CT装置は、X線源及びX線検出器を備え、X線検出器が検出したX線に基づいて、被検体のアキシャル断層のCT画像データやボリュームデータを生成する。
【0003】
X線CT装置等の放射線診断装置は、X線検出器のX線入射側に、コリメータを備える。コリメータは、X線検出器への入射X線に含まれる散乱線成分、即ち、散乱X線を吸収することで、X線検出器に入射される散乱X線を除去する。一般的に、コリメータは、X線入射方向に沿って配置され、散乱X線を吸収可能な材料からなる複数の吸収壁を備える。
【0004】
また、コリメータを構成する吸収壁の材料として、Mo(モリブデン)及びW(タングステン)等の重金属が大量に使われる。そのため、コリメータの製造コストが大きく膨らむと共に、コリメータの重量が大きくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、コリメータの製造コスト及び重量を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る放射線診断装置は、X線を発生するX線源と、X線を検出し、X線に応じた電気信号を発生するX線検出器と、X線検出器のX線の入射側に設けられ、散乱X線を吸収する吸収壁からなるコリメータと、を備える。吸収壁は、X線の入射方向に沿って配置される複数の吸収部を含む。複数の吸収部は、X線の入射方向に沿って不等間隔で配置される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る放射線診断装置の一例であるX線CT装置の構成を示す概略図。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るコリメータを備えたX線検出器の外観を示す斜視図。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るコリメータの第1の構造例を示す正面図。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るコリメータの第2の構造例を示す正面図。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るコリメータの第3の構造例を示す正面図。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るコリメータの第4の構造例を示す正面図。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るコリメータの第5の構造例を示す正面図。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るコリメータの構造例を示す側面図。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るコリメータの構造例を示す側面図。
【
図10】
図10は、本実施形態に係るコリメータの構造例を示す側面図。
【
図11】
図11は、本実施形態に係るコリメータの第6の構造例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る放射線診断装置、放射線検出器、及びコリメータについて、添付図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態に係る放射線診断装置は、散乱線の除去を目的とするコリメータを放射線検出器のX線入射側に備えた装置である。放射線診断装置としては、X線診断装置及びX線CT装置等が挙げられる。以下、放射線診断装置がX線CT装置である場合について説明する。
【0011】
なお、X線CT装置によるデータ収集方式には、X線源とX線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(R-R:Rotate/Rotate)方式や、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(S-R:Stationary/Rotate)方式等の様々な方式がある。いずれの方式でも本発明を適用可能である。以下、本実施形態に係るX線CT装置では、現在、主流を占めている第3世代の回転/回転方式を採用する場合を例にとって説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る放射線診断装置の一例であるX線CT装置の構成を示す概略図である。
【0013】
図1は、本実施形態に係る放射線診断装置1の一例であるX線CT装置1Aを示す。X線CT装置1Aは、架台装置10、寝台装置30、及びコンソール装置40を備える。架台装置10及び寝台装置30は、検査室に設置される。架台装置10は、寝台装置30に載置された被検体(例えば、患者)Pに関するX線の検出データを収集する。一方、コンソール装置40は、検査室に隣接する制御室に設置され、多方向の検出データに基づいて多方向の投影データを生成し、多方向の投影データに基づいてCT画像を再構成して表示する。
【0014】
架台装置10は、X線源(例えば、X線管)11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、絞り17、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18、及びコリメータ19(
図2に図示)を備える。
【0015】
X線管11は、回転フレーム13に備えられる。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。なお、本実施形態においては、一管球型のX線CT装置にも、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置にも適用可能である。
【0016】
なお、X線を発生させるX線源は、X線管11に限定されるものではない。例えば、X線管11に替えて、電子銃から発生した電子ビームを収束させるフォーカスコイル、電磁偏向させる偏向コイル、患者Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングを含む第5世代方式によりX線を発生させても良い。
【0017】
X線検出器12は、放射線検出器の一例であり、X線管11に対向するように回転フレーム13に備えられる。X線検出器12は、X線管11から照射されたX線を検出し、X線量に対応した検出データを電気信号としてDAS18に出力する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0018】
ここで、X線検出器12のX線入射側に、コリメータ19(
図2に図示)が備えられる。コリメータ19は、グリッドとも呼ばれ、入射X線のうち散乱X線を吸収することで、X線検出器12に入射される散乱X線を除去する。コリメータ19は、散乱X線を吸収可能な材料からなる吸収壁(
図3等に示す吸収壁G,H)を備える。
【0019】
また、X線検出器12は、シンチレータアレイ51及び光センサアレイ52(
図2に図示)を有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイ51は、複数のシンチレータを有し、各シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。光センサアレイ52は、シンチレータアレイ51からの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤ、Photo Multiplier Tube:PMT)等の光センサを有する。
【0020】
回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12を対向支持する。回転フレーム13は、後述する制御装置15による制御の下、X線管11及びX線検出器12を一体として回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する場合もある。
【0021】
このように、X線CT装置1Aは、X線管11とX線検出器12とを対向させて支持する回転フレーム13を患者Pの周りに回転させることで、患者Pの周囲一周分、即ち、患者Pの360°分の検出データを収集する。なお、CT画像の再構成方式は、360°分の検出データを用いるフルスキャン再構成方式には限定されない。例えば、X線CT装置1Aは、半周(180°)+ファン角度分の検出データに基づいてCT画像を再構成するハーフ再構成方式を採っても良い。
【0022】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有する。X線高電圧装置14は、後述する制御装置15による制御の下、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置(図示省略)と、後述する制御装置15による制御の下、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置(図示省略)を有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であっても良いし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、後述する回転フレーム13に設けられても良いし、架台装置10の固定フレーム側に設けられても構わない。
【0023】
制御装置15は、処理回路及びメモリと、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路及びメモリの構成については、後述するコンソール装置40の処理回路44及びメモリ41と同等であるので説明を省略する。
【0024】
制御装置15は、コンソール装置40又は架台装置10に取り付けられた入力インターフェース(図示省略)からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台装置10に設けられても良いし、コンソール装置40に設けられても良い。
【0025】
また、制御装置15は、コンソール装置40や架台装置10に取り付けられた入力インターフェースから入力された撮像条件に基づいて、X線管11の角度や、後述するウェッジ16及び絞り17の動作を制御する。
【0026】
ウェッジ16は、X線管11のX線出射側に配置されるように回転フレーム13に備えられる。ウェッジ16は、制御装置15による制御の下、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から患者Pに照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter))は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0027】
絞り17は、スリットとも呼ばれ、X線管11のX線出射側に配置されるように回転フレーム13に備えられる。絞り17は、制御装置15による制御の下、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組合せによってX線の照射開口を形成する。
【0028】
DAS18は、回転フレーム13に備えられる。DAS18は、制御装置15による制御の下、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、制御装置15による制御の下、電気信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)変換器とを有し、増幅及びデジタル変換後の検出データを生成する。DAS18によって生成された検出データは、コンソール装置40に転送される。
【0029】
ここで、DAS18によって生成された検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分、例えば図示しない固定フレームに設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、図示しない固定フレームは回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0030】
寝台装置30は、基台31、寝台駆動装置32、天板33及び支持フレーム34を備える。寝台装置30は、スキャン対象の患者Pを載置し、制御装置15による制御の下、患者Pを移動させる装置である。
【0031】
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動するモータ或いはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、患者Pを載置可能な形状を有する板である。
【0032】
なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動しても良い。また、寝台駆動装置32は、寝台装置30の基台31ごと移動させても良い。本発明を立位CTに応用する場合、天板33に相当する患者移動機構を移動する方式であっても良い。また、ヘリカルスキャン撮影や位置決め等のためのスキャノ撮影等、架台装置10の撮像系と天板33の位置関係の相対的な変更を伴う撮影を実行する場合は、当該位置関係の相対的な変更は天板33の駆動によって行われても良いし、架台装置10の固定フレームの走行によって行われてもよく、またそれらの複合によって行われても良い。
【0033】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をz軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をx軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をy軸方向とそれぞれ定義するものとする。
【0034】
コンソール装置40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43、及び処理回路44を備える。なお、以下の説明では、コンソール装置40が単一のコンソールで全ての機能を実行するものとするが、これらの機能は、複数のコンソールが実行しても良い。
【0035】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等であって、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含む構成を有する。
【0036】
X線CT装置1Aによって生成された検出データや、後述する投影データ及び再構成画像データは、メモリ41に記憶されても良い。また、X線CT装置1Aによって生成された検出データ、投影データ、及び再構成画像データは、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介してX線CT装置1Aに接続可能な画像サーバ等の外部記憶装置に記憶されても良い。同様に、メモリ41の記録媒体内のプログラム及びデータの一部又は全部は、ネットワークを介した通信によりダウンロードされても良いし、光ディスク等の可搬型記憶媒体を介してメモリ41に与えられても良い。
【0037】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。
【0038】
入力インターフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像を画像処理する際の画像処理条件等の設定情報をユーザから受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等の入力デバイスにより実現される。
【0039】
処理回路44は、メモリ41に記憶されたプログラムを読み出して実行することによりX線CT装置1Aの全体の動作を制御するプロセッサである。処理回路44は、DAS18から出力された検出データに対して補正処理等の前処理を実行して投影データを生成する。また、処理回路44は、投影データを再構成処理して、アキシャル断層のCT画像データを生成する。更に、処理回路44は、CT画像データに基づいてボリュームデータを生成することで、任意断層(MPR:Multi-Planar Reconstruction)の画像データや、任意方向から見た投影画像データをCT画像データとして生成する。ボリュームデータは、3次元空間におけるCT値の分布情報を有するデータである。投影画像データは、ボリュームデータをボリュームレンダリング処理したり、サーフィスレンダリング処理したりすることで得られる。
【0040】
続いて、本実施形態に係るX線CT装置1Aに備えられる本実施形態に係るコリメータ19の構造について具体的に説明する。
【0041】
図2(A),(B)は、コリメータ19の外観を示す斜視図である。
【0042】
図2(A),(B)に示すように、コリメータ19は、X線検出器12のX線入射側に配置される。
図2(A)は、列方向に延設される吸収壁がチャンネル方向に沿って複数配置され、かつ、チャンネル方向に延設される吸収壁が列方向に沿って複数配置されるコリメータ、即ち、2次元コリメータを示す。一方、
図2(B)は、列方向に延設される吸収壁がチャンネル方向に沿って複数配置されるコリメータ、即ち、1次元コリメータを示す。本実施形態に係るコリメータ19は、1次元コリメータにも2次元コリメータにも適用可能であるが、以下の説明では、
図2(B)に示す1次元コリメータの場合について説明する。
【0043】
図3は、コリメータ19の第1の構造例を示す正面図である。
【0044】
図3に示すように、コリメータ19は、シンチレータアレイ51のX線入射側に設けられる。シンチレータアレイ51は、チャンネル方向に複数の要素51a(X線検出素子に相当)を備える。また、コリメータ19は、チャンネル方向に複数の要素51aを隔てるように、チャンネル方向に沿って複数の吸収壁を配置する。各吸収壁は、その側面がX線入射方向に沿うように配置される。各吸収壁は、散乱線を吸収する。
図3には、複数の吸収壁のうち、チャンネル方向に隣接する2個の吸収壁G,Hを示す。
【0045】
吸収壁Gは、X線入射方向に沿って配置されるn(nは、3以上の整数)個の吸収部G1~Gnと、各吸収部の間の非吸収部とを備える。チャンネル方向で吸収壁Gに隣り合う吸収壁Hは、X線入射方向に沿って配置されるn個の吸収部H1~Hnを備える。n個の吸収部G1~Gnは、それぞれの間に間隔(ピッチ)を有し、X線入射方向に沿って不等間隔で配置される。n個の吸収部G1~Gnのそれぞれの間には、接着剤等の、X線を透過する非吸収部としての透過部材が配置される。n個の吸収部H1~Hnについてもn個の吸収部G1~Gnと同様である。
【0046】
図3に示す例では、コリメータ19の吸収壁Gに配置されるn個の吸収部G1~Gnは、シンチレータアレイ51に入射しようとする少なくとも一次X線を除去するような間隔でX線入射方向に沿って配置される。一次X線を除去するためには、n個の吸収部G1~Gnは、吸収部G1から吸収部Gnの向きに向かうに従って、間隔が徐々に小さくなるように配置される。つまり、n個の吸収部G1~Gnは、X線の入射方向において、シンチレータアレイ51に近い側と比してX線管11に近い側で疎となるように配置される。
【0047】
吸収壁Gに配置される複数の吸収部G1~Gnがこのような配置を有することによって、隣り合う吸収壁Hに配置されるn個の吸収部H1~Hnのそれぞれの間隔によって形成される隙間(非吸収部)を通過する一次X線L1~Lnを漏れなく吸収することができる。加えて、吸収壁Gの複数の吸収部G1~Gnがこのような配置を有することによって、間隔のない吸収壁を備える従来のコリメータに対して、モリブデン及びタングステン等の材料の使用を約1割まで減らすことが可能である。なお、吸収壁Gの他、チャンネル方向に複数備えられる他の吸収壁の複数の吸収部についても、吸収壁Gと同一の配置とすることができる。
【0048】
なお、チャンネル方向に複数備えられる吸収壁の全てを同一の配置とすることは必須ではない。例えば、チャンネル方向に複数の吸収壁のうち、
図3に示す吸収壁Hが端部に相当する場合、外部からの一次X線Lnが吸収壁Gに到達する場合が有り得る。一方で、チャンネル方向に複数の吸収壁のうち、
図3に示す吸収壁Hの右側に更に他の吸収壁が存在する場合、一次X線Lnは、当該他の吸収壁、又は、吸収壁Hによって吸収され、吸収壁Gには到達しない。したがって、チャンネル方向に複数の吸収壁は、各吸収壁がチャンネル方向のどの位置のものであるかに応じて、複数の吸収部の間隔の長さや数を変更することができる。
【0049】
図3に示すコリメータ19の第1の構造例によれば、散乱X線の除去機能を維持しつつ、コリメータの製造コスト及び重量を抑えることができる。
【0050】
ここで、
図3に示すコリメータ19の構造を一部変形しても良い。例えば、吸収壁からの二次X線の吸収率を向上させるために、吸収壁の材料を、チャンネル方向に沿って変更する構成としたり(
図4に図示)、又は、複数の吸収部の材料を、X線入射方向に沿って変更する構成としたり(
図5に図示)、吸収壁の厚さをX線入射方向に沿って変更する構成(凹凸にする構成)としたり(
図6に図示)することもできる。それにより、第1の材料が発する二次X線であって、比較的強度が大きい特性X線のエネルギーより小さいエネルギーの二次X線を第2の材料が吸収することができるので、二次X線の吸収率を向上させることができる。
【0051】
図4は、コリメータ19の第2の構造例を示す正面図である。
【0052】
図4に示すように、コリメータ19は、
図3に示す間隔をもつ複数の吸収部の構造を採用しつつ、吸収部の材料を、チャンネル方向に沿って変更するものである。例えば、コリメータ19は、吸収壁Gに配置されるn個の吸収部G1~Gnの材料を第1の材料(例えば、モリブデン)とし、吸収壁Hに配置されるn個の吸収部H1~Hnの材料を第2の材料(例えば、タングステン)とすることができる。
【0053】
なお、
図4に示すコリメータ19は、チャンネル方向で隣り合う吸収壁同士(1個の吸収壁と、その吸収壁に隣り合う1個の吸収壁との場合と、複数の吸収壁からなるセットと、そのセットに隣り合う吸収壁からなるセットとの場合がある)の材料を異なるものとすれば良い。例えば、2種類の材料を使用する場合、チャンネル方向に沿って配列される複数の吸収壁の材料が交互に入れ替わるように構成されることが好適である。また、例えば、3種類の材料を使用する場合、チャンネル方向に沿って配列される複数の吸収壁の材料が順に替わるように構成されることが好適である。
【0054】
図4に示すコリメータ19の第2の構造例によれば、
図3に示すコリメータ19の第1例の効果に加え、二次X線の吸収率を向上させることができる。
【0055】
図5は、コリメータ19の第3の構造例を示す正面図である。
【0056】
図5に示すように、コリメータ19は、
図3に示す間隔をもつ複数の吸収部の構造を採用しつつ、各吸収壁の複数の吸収部の材料を、X線入射方向に沿って変更するものである。例えば、コリメータ19は、吸収壁Gに配置される吸収部G1,G3,…の材料と、吸収壁Hに配置される吸収部H1,H3,…の材料とを第1の材料(例えば、モリブデン)とし、吸収壁Gに配置される吸収部G2,G4,…の材料と、吸収壁Hに配置される吸収部H2,H4,…の材料とを第2の材料(例えば、タングステン)とすることができる。
【0057】
なお、
図5に示すコリメータ19は、X線入射方向で隣り合う吸収部同士(1個の吸収部と、その吸収部に隣り合う1個の吸収部との場合と、複数の吸収部からなるセットと、そのセットに隣り合う吸収部からなるセットとの場合がある)の材料を異なるものとすれば良い。例えば、2種類の材料を使用する場合、X線入射方向に沿って配置される複数の吸収部の材料が交互に入れ替わるように構成されることが好適である。また、例えば、3種類の材料を使用する場合、X線入射方向に沿って配置される複数の吸収部の材料が順に替わるように構成されることが好適である。また、隣り合う吸収壁同士で同一の順序で異なる材料が切り替えられているが、異なる順序で異なる材料が切り替えられても良い。
【0058】
図5に示すコリメータ19の第3の構造例によれば、
図3に示すコリメータ19の第1例の効果に加え、二次X線の吸収率を向上させることができる。
【0059】
図6は、コリメータ19の第4の構造例を示す正面図である。
【0060】
図6に示すように、コリメータ19は、
図3に示す間隔をもつ複数の吸収部の構造を採用しつつ、X線入射方向で隣り合う吸収部の間に、材料が吸収部と同一であって、チャンネル方向に吸収部より薄厚の吸収部を配置するものである。つまり、
図3に示すX線入射方向で隣り合う吸収部の間の非吸収部を、薄厚の吸収部に置換するものである。
【0061】
例えば、コリメータ19は、吸収壁Gに配置される吸収部G1と吸収部G2との間に、チャンネル方向に吸収部Gnより薄厚の吸収部g1を配置する。また、例えば、コリメータ19は、吸収壁Hに配置される吸収部H1と吸収部H2との間に、チャンネル方向に吸収部Hnより薄厚の吸収部h1を配置する。なお、薄厚の吸収部は、チャンネル方向に吸収部Gnより薄厚である場合に限定されるものではない。薄厚の吸収部は、列方向に吸収部Gnより薄厚である場合であってもよく、また、チャンネル方向、かつ、列方向に吸収部Gnより薄厚である場合であってもよい。
【0062】
図6に示すコリメータ19の第4の構造例によれば、
図3に示すコリメータ19の第1例の効果に加え、非吸収部、つまり、接着層を不要とすることができる。
【0063】
また、各吸収壁の複数の吸収部が等間隔に配置されるコリメータ19Aにおいて、X線入射方向で隣り合う吸収部の間に、材料が吸収部と同一であって、チャンネル方向に吸収部より薄厚の吸収部を配置する場合もある。その場合について、
図7に示す。
図7は、
図6の変形例である。このような構成とすることにより、
図6の効果と同様に、非吸収部、つまり、接着層を不要とすることができる。
【0064】
続いて、
図3~
図6に示すコリメータ19の吸収壁を側面から見た構造について
図8~
図9を用いて説明する。なお、
図7に示すコリメータ19Aの吸収壁の構造についても
図8~
図9に示す技術思想を準用できる。
【0065】
図8は、コリメータ19の構造例を示す側面図である。
【0066】
図8を用いて、
図3に示すコリメータ19の列方向における吸収壁の構造について説明する。なお、
図4~
図6に示すコリメータ19の列方向における吸収壁の構造についても同様である。
【0067】
図8に示すように、コリメータ19は、列方向に複数の要素51aを跨ぐように吸収壁を配置する。
図8には、
図3に示す吸収壁Gを示す。
図3を用いて説明したように、n個の吸収部G1~Gnは、X線の入射方向において、シンチレータアレイ51に近い側と比してX線管11に近い側で疎となるように配置される。
【0068】
図9(A),(B)は、コリメータ19の構造例を示す側面図である。
図9(B)は、
図9(A)に示す領域Rの拡大図である。
【0069】
図9(A),(B)を用いて、
図3に示すコリメータ19の列方向における構造について説明する。なお、
図4~
図6に示すコリメータ19の列方向における吸収壁の構造についても同様である。
【0070】
図9(A)に示すように、コリメータ19は、列方向に複数の要素51aを隔てるように、列方向に沿って複数の吸収壁を配置する。また、コリメータ19は、吸収部と非吸収部との順序が列方向に沿って互い違いとなるように複数の吸収壁を配置する。例えば、吸収壁Gの吸収部G1,G2,…と非吸収部との順序と、隣接する吸収壁Jの吸収部J1,J2,…と非吸収部との順序とは互い違いになっている。
【0071】
図9(B)に示すように、吸収壁Gの吸収部G1が、列方向で隣接する吸収壁Jの吸収部J1に支えられる構成を備える。このような構成とすることにより、コリメータ19の各吸収壁を3Dプリンタ等によって容易に作製することができる。
【0072】
なお、
図9(A),(B)を用いて、各吸収壁の複数の吸収部が不等間隔であるコリメータ19の列方向の構造について説明した。しかしながら、その場合に限定されるものではない。各吸収壁の複数の吸収部が等間隔に配置されるコリメータ19A(例えば、
図7に示すコリメータ19A)において、吸収部と非吸収部との順序が列方向に沿って互い違いとなるように複数の吸収壁を配置する場合もある。その場合について、
図10に示す。
図10は、
図9(A)の変形例である。
図10に示すコリメータ19Aにおいても、吸収壁Gの吸収部G1は、
図9(B)に示すように、隣接する吸収壁Jの吸収部J1に支えられる構成を備える。このような構成とすることにより、
図9(A),(B)の効果と同様に、コリメータ19Aの各吸収壁を3Dプリンタ等によって容易に作製することができる。
【0073】
ここまで、チャンネル方向に沿って複数の吸収壁が配置される一次元コリメータ(
図2(B)に図示)についての構造について説明したが、その技術思想は、チャンネル方向、かつ、列方向に沿って複数の吸収壁が配置される二次元コリメータ(
図2(A)に図示)にも適用できる。二次元コリメータの場合は、列方向に複数の吸収壁のみを
図3~
図7のいずれか(
図3~
図7のいずれかに
図8~
図10のいずれかを組み合わせたものを含む)に示す配置としても良いし、チャンネル方向に複数の吸収壁と、列方向に複数の吸収壁との両方を
図3~
図7のいずれか(
図3~
図7のいずれかに
図8~
図10のいずれかを組み合わせたものを含む)に示す配置としても良い。
【0074】
また、ここまで、各吸収壁の複数の吸収部がX線入射方向に沿って不等間隔で配置される例として、複数の吸収部の間隔が規則性をもって拡がる、又は、狭まる構造について説明した。しかしながら、その場合に限定されるものではない。
図3を用いて説明すると、シンチレータアレイ51がチャンネル方向に多数の要素51a(X線検出素子に相当)を備えることを考慮した場合、各吸収壁の下部側には吸収部を設ける必要がない。具体的には、シンチレータアレイ51の要素51aの検出面に対して吸収壁H側から鋭角で入射しようとする散乱線は、吸収壁Hより遠い吸収壁(
図3の吸収壁Hの右側の吸収壁)によって吸収されるため、吸収壁Hにおいて、当該散乱線の入射位置には吸収部を配置する必要はない。
【0075】
図11(A),(B)は、コリメータ19の第6の構造例を示す正面図である。
【0076】
図11(A)は、シンチレータアレイ51のうちの要素51aを基準とした場合に考慮される、要素51aの右側からの各散乱線を示す。吸収壁Hは、隣接する吸収壁Kによって吸収されない散乱線(図中の2点破線)を吸収する位置に吸収部を配置する。
【0077】
一方で、要素51aの検出面に対して鋭角で入射しようとする散乱線は、吸収壁Hより遠い吸収壁K,S,…によって吸収される(図中の太い破線)。そのため、吸収壁Hにおいて、当該散乱線の延長線がぶつかる下部側Wには、吸収部を配置する必要がない。吸収壁K,S,…についても同様に、下部側Wには、吸収部を配置する必要はない。
【0078】
図11(A)から、基準となる要素51aに近い吸収壁Hについてはその下部に多くの吸収部の配置が必要である一方、要素51aから離れるに従って、必要な吸収部が減少することが分かる。なお、
図11(A)において、基準となる要素51aの右側のみを図示するが、要素51aの左側についても同様である。
【0079】
図11(B)は、シンチレータアレイ51のうちの要素51bを基準とした場合に考慮される、要素51bの右側からの各散乱線を示す。要素51bは、
図11(A)の要素51aに隣接する。吸収壁Kは、隣接する吸収壁Sによって吸収されない散乱線(図中の2点破線)を吸収する位置に吸収部を配置する。
【0080】
一方で、要素51bの検出面に対して鋭角で入射しようとする散乱線は、吸収壁Kより遠い吸収壁S,T,…によって吸収される(図中の太い破線)。そのため、吸収壁Kにおいて、当該散乱線の延長線がぶつかる下部側Wには、吸収部を配置する必要がない。吸収壁S,T,…についても同様に、下部側Wには、吸収部を配置する必要がない。
【0081】
図11(B)から、基準となる要素51bに近い吸収壁Kについてはその下部に多くの吸収部の配置が必要である一方、要素51bから離れるに従って、必要な吸収部が減少することが分かる。なお、
図11(B)において、基準となる要素51bの右側のみを図示するが、要素51bの左側についても同様である。
【0082】
そして、基準となる要素を51a,52b,…とずらしながら各吸収壁に必要な吸収部の位置を求め、全ての基準における吸収部の位置を総合して、各吸収壁に必要な吸収部の位置を算出する。
【0083】
これにより、吸収壁の下部側については、吸収部の設置を大幅に省略することができる。特に、チャンネル方向におけるコリメータ19の中央に比べて端側では、吸収部の設置を大幅に省略することができる。
【0084】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、コリメータの製造コスト及び重量を抑えることができる。
【0085】
なお、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の他、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)及びプログラマブル論理デバイス等の回路を意味するものとする。プログラマブル論理デバイスは、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。プロセッサは、記憶媒体に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0086】
また、上記実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現しても良い。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶媒体が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶しても良い。
【0087】
なお、上記実施形態では、シンチレータアレイ51及び光センサアレイ52を、「放射線検出器」及び「X線検出器」と称する場合について説明した。しかしながら、コリメータ19、シンチレータアレイ51、及び光センサアレイ52を、「放射線検出器」及び「X線検出器」と称する場合もある。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1…放射線診断装置
1A…X線CT装置
11…X線源(X線管)
12…X線検出器
19,19A…コリメータ
51…シンチレータアレイ
52…光センサアレイ
G,H…吸収壁
G1~Gn,H1~Hn…吸収部