(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】天井構造及び固定具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/16 20060101AFI20230309BHJP
F16B 7/22 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
E04B9/16 C
F16B7/22
(21)【出願番号】P 2018184306
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397028360
【氏名又は名称】関包スチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 学
(72)【発明者】
【氏名】沙拉依丁 沙吾提
(72)【発明者】
【氏名】細川 俊治
(72)【発明者】
【氏名】北村 幸則
(72)【発明者】
【氏名】本田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 克典
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3181768(JP,U)
【文献】特開2017-145612(JP,A)
【文献】特開2007-146381(JP,A)
【文献】特開2014-084600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00 - 9/36
F16B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リップ部を有する野縁と、
前記野縁を上方から受ける野縁受けと、
前記野縁を前記野縁受けに固定する固定具と、
を具備する天井構造であって、
前記固定具は、
互いに別体として構成される第一固定具及び第二固定具を有し、
前記第一固定具及び前記第二固定具は、
前記野縁受けに引っ掛けられる引っ掛け部と、
前記野縁のリップ部と当接することで前記野縁を支持する支持部と、
を有し、
前記第一固定具及び前記第二固定具の引っ掛け部は、
前記支持部から前記野縁受けの幅方向へ延びるように形成され、前記野縁受けの上方に配置される頂部と、
前記頂部から折れ曲がるように形成され、前記野縁受けと当接することで前記野縁受けに引っ掛かる爪部と、
を有し、
前記第一固定具は、
前記支持部が前記野縁受けに対して前記幅方向の一側に配置されると共に、前記爪部が前記野縁受けの前記幅方向の他側において直接的に当接し、
前記第二固定具は、
前記支持部が前記野縁受けに対して前記幅方向の他側に配置されると共に、前記爪部が前記野縁受けの前記幅方向の一側において直接的に当接し
、
前記第二固定具の爪部は、
前記第一固定具に対して干渉しないように配置され、
前記第一固定具に対して、前記野縁受けの長手方向の一側及び他側に間隔をあけて一対形成される、
天井構造。
【請求項2】
前記第二固定具の頂部は、
前記第一固定具の頂部に上方から重ねられる、
請求項1に記載の天井構造。
【請求項3】
前記野縁受けは、
前記第一固定具の爪部と当接するウェブと、
前記ウェブの下部から前記幅方向の一側へ向けて突出する下フランジと、
前記ウェブの上部から前記幅方向の一側へ向けて突出し、前記第二固定具の爪部と当接する上フランジと、
を有し、
前記第二固定具の支持部は、
前記野縁受けのウェブとの間に前記第一固定具の爪部を挟み込む、
請求項1又は請求項2に記載の天井構造。
【請求項4】
前記第二固定具の爪部は、
前記上フランジと前記下フランジとの間に入り込むように延出する、
請求項3に記載の天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野縁を野縁受けに固定する天井構造及び固定具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野縁を野縁受けに固定する天井構造及び固定具の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載される天井構造において、固定具(クリップ)は、その上部に形成される爪片部と、その下部に形成される両係止片と、を具備する。前記固定具は、爪片部を野縁受けの上部に引っ掛けると共に、両係止片を野縁に形成される屈曲部に係止させることで、野縁を野縁受けに固定する。
【0004】
特許文献1においては、一部材(固定具)の両係止片を野縁に係止しているに過ぎないため、地震等が発生して天井が揺れた場合に、野縁が固定具から外れ、天井が容易に脱落する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、野縁が固定具から外れるのを抑制することが可能な天井構造及び固定具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、リップ部を有する野縁と、前記野縁を上方から受ける野縁受けと、前記野縁を前記野縁受けに固定する固定具と、を具備する天井構造であって、前記固定具は、互いに別体として構成される第一固定具及び第二固定具を有し、前記第一固定具及び前記第二固定具は、前記野縁受けに引っ掛けられる引っ掛け部と、前記野縁のリップ部と当接することで前記野縁を支持する支持部と、を有し、前記第一固定具及び前記第二固定具の引っ掛け部は、前記支持部から前記野縁受けの幅方向へ延びるように形成され、前記野縁受けの上方に配置される頂部と、前記頂部から折れ曲がるように形成され、前記野縁受けと当接することで前記野縁受けに引っ掛かる爪部と、を有し、前記第一固定具は、前記支持部が前記野縁受けに対して前記幅方向の一側に配置されると共に、前記爪部が前記野縁受けの前記幅方向の他側において直接的に当接し、前記第二固定具は、前記支持部が前記野縁受けに対して前記幅方向の他側に配置されると共に、前記爪部が前記野縁受けの前記幅方向の一側において直接的に当接し、前記第二固定具の爪部は、前記第一固定具に対して干渉しないように配置され、前記第一固定具に対して、前記野縁受けの長手方向の一側及び他側に間隔をあけて一対形成されるものである。
【0012】
請求項2においては、前記第二固定具の頂部は、前記第一固定具の頂部に上方から重ねられるものである。
【0014】
請求項3においては、前記野縁受けは、前記第一固定具の爪部と当接するウェブと、前記ウェブの下部から前記幅方向の一側へ向けて突出する下フランジと、前記ウェブの上部から前記幅方向の一側へ向けて突出し、前記第二固定具の爪部と当接する上フランジと、を有し、前記第二固定具の支持部は、前記野縁受けのウェブとの間に前記第一固定具の爪部を挟み込むものである。
【0015】
請求項4においては、前記第二固定具の爪部は、前記上フランジと前記下フランジとの間に入り込むように延出するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、野縁が固定具から外れるのを抑制することができる。また、請求項1においては、固定具が野縁受けから外れるのを抑制することができる。また、請求項1においては、固定具が野縁受けから外れるのを効果的に抑制することができる。また、請求項1においては、第二固定具を野縁受けに簡単に引っ掛けることができる。また、請求項1においては、第一固定具が野縁受けに対して長手方向に相対移動しようとするのを規制することができる。
【0022】
請求項2においては、第一固定具が野縁受けから外れるのを抑制することができる。
【0024】
請求項3においては、第一固定具が野縁受けから外れるのを抑制することができる。
【0025】
請求項4においては、第二固定具が野縁受けから外れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】固定具により野縁が野縁受けに固定された状態を示した斜視図。
【
図3】(a)同じく、一部正面断面図。(b)同じく、一部側面断面図。
【
図6】(a)同じく、平面図。(b)同じく、正面図。(c)同じく、背面図。(d)同じく、側面図。
【
図8】(a)第二固定具を示した平面図。(b)同じく、正面図。(c)同じく、背面図。(d)同じく、側面図。
【
図9】(a)取り付け前の第一固定具を示した斜視図。(b)同じく、側面図。
【
図10】第一固定具を移動させる様子を示した斜視図。
【
図11】(a)第一固定具を移動させた後の状態を示した斜視図。(b)同じく、一部正面断面図。
【
図12】第一固定具を取り付けた状態を示した一部側面断面図。
【
図13】(a)取り付け前の第二固定具を示した斜視図。(b)同じく、側面図。
【
図14】第二固定具を移動させる様子を示した斜視図。
【
図15】第二固定具を移動させた後の状態を示した斜視図。
【
図18】変形例に係る第二固定具の凹部に第一固定具の爪部が収容された状態を示した側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0029】
以下では、
図1から
図3までを用いて、本発明の一実施形態に係る固定具50を具備する天井構造1について説明する。
【0030】
図1に示す天井構造1は、建物の天井を形成するためのものである。天井構造1は、例えば、店舗等の建物に採用される。天井構造1は、吊りボルト10、ハンガー20、野縁受け30、野縁40及び固定具50を具備する。
【0031】
吊りボルト10は、躯体Aから吊り下げられるものである。吊りボルト支持金具を用いて鋼材に取り付けられることで躯体Aに固定される(不図示)。吊りボルト10は、左右方向及び前後方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0032】
ハンガー20は、後述する野縁受け30を支持するためのものである。ハンガー20は、側面視略J字状に形成され、吊りボルト10の下端部に固定される。これにより、ハンガー20は、1つの吊りボルト10に対して1つ設けられ、左右方向及び前後方向に間隔をあけて配置される。
【0033】
野縁受け30は、後述する野縁40を支持するためのものである。野縁受け30は、その長手方向を左右方向に向けた長尺状に形成される。また、
図2及び
図3に示すように、野縁受け30は、側面視略C字状に形成される。野縁受け30は、上方から野縁40を受けることができる。野縁受け30は、ウェブ31、上フランジ32及び下フランジ33を具備する。
【0034】
ウェブ31は、その板面を前後方向へ向けて配置される略板状の部分である。上フランジ32は、ウェブ31の上端部から前方へ突出する略板状の部分である。下フランジ33は、ウェブ31の下端部から前方へ突出する略板状の部分である。
【0035】
このように構成される野縁受け30は、
図1に示すように、左右方向に間隔をあけて配置される複数のハンガー20を跨ぐように配置され、当該複数のハンガー20に支持される。また、野縁受け30は、前後方向に間隔をあけて複数設けられる。なお、本実施形態においては、前後方向(野縁受け30の長手方向及び上下方向に直交する方向)が、野縁受け30の幅方向となっている。
【0036】
野縁40は、天井板(不図示)を支持するためのものである。野縁40は、その長手方向を前後方向に向けた長尺状に形成される。
図2及び
図3に示すように、野縁40は、その上部が開口する正面視略U字状に形成される。野縁40は、リップ部41を具備する。
【0037】
リップ部41は、野縁40に左右一対設けられ、野縁40の上端部から左右方向内側へ突出するように形成される。リップ部41には、その左右方向内側の端部からそれぞれ下方へ突出する返し部41aが形成される。
【0038】
このように構成される野縁40は、野縁受け30の下方において、当該野縁受け30と直交するように配置される。また、野縁40は、前後に配置された複数の野縁受け30を跨ぐように配置される(不図示)。このような野縁40は、左右方向に間隔をあけて複数設けられる。なお、本実施形態に係る野縁40は、シングル野縁である。
【0039】
固定具50は、野縁40を野縁受け30に固定するためのものである。固定具50は、野縁受け30に取り付けられる。固定具50は、天井構造1において、野縁受け30及び野縁40が交差する箇所に設けられる。これにより、固定具50は、前後方向及び左右方向に間隔をあけて複数設けられる。当該複数の固定具50は、それぞれ互いに別体である2つの部材により構成される。より詳細には、固定具50は、第一固定具60及び第二固定具70により構成される。第一固定具60及び第二固定具70は、それぞれ一枚の板状の金属部材を適宜折り曲げることにより形成されている。
【0040】
以下では、第一固定具60及び第二固定具70の構成について詳細に説明する。
【0041】
図1に示すように、天井構造1において複数設けられる固定具50は、それぞれ適宜の方向へ向けて取り付けられる。以下では、
図1に示す2つの固定具50のうち、右側に記載された固定具50を基準として第一固定具60及び第二固定具70の方向を定義するものとする。
【0042】
また、第一固定具60及び第二固定具70は、後述するように、野縁受け30に取り付けられる際に一部(後述する引っ掛け部62・72)が折り曲げられる。当該第一固定具60及び第二固定具70は、野縁受け30への取り付け前後で、全体としての形状が変化する。そこで、以下では、まず変形後(取り付け後)の第一固定具60及び第二固定具70の構成について説明し、変形前(取り付け前)の構成については、後述する野縁40の固定方法の説明の中で適宜説明する。
【0043】
まず、
図3(a)、
図5及び
図6を用いて、第一固定具60の構成について詳細に説明する。
【0044】
第一固定具60は、第二固定具70と共に固定具50を構成する部材である。第一固定具60は、側面視略逆J字状に形成される。
図5及び
図6に示すように、第一固定具60は、側板部61及び引っ掛け部62を具備する。
【0045】
側板部61は、野縁40を支持する部分である。側板部61は、第一固定具60の前部に形成されると共に、板面を前後方向へ向けた略平板状に形成される。側板部61は、正面視で上下方向を長手方向とした略矩形状に形成される。
図3(a)に示すように、側板部61は、上下方向幅が野縁受け30の上下方向幅よりも広くなるように形成される。
図5及び
図6に示すように、側板部61は、凸部61a、上側ストレート部61b、テーパ部61c、下側ストレート部61d及び係合部61eを具備する。
【0046】
凸部61aは、側板部61から前方へ突出する部分である。凸部61aは、側板部61の上部から下端部までに亘って、当該側板部61を前方に突出させることで形成される。凸部61aは、上部の左右方向幅が下部の左右方向幅よりも広くなるような縦長状に形成される。
【0047】
上側ストレート部61bは、側板部61の外縁部の左上部及び右上部であり、側板部61において一定の左右方向幅を有する部分である。上側ストレート部61bは、側板部61の上端部から上下中途部までに亘って、上下方向に延びるように形成される。側板部61は、上側ストレート部61b(上部)において左右方向幅が最も広くなる。なお、以下においては、側板部61の上側ストレート部61bにおける(最も広い)左右方向幅を、「側板部61の左右方向幅」と称する。
【0048】
テーパ部61cは、側板部61の外縁部の上下中途部であり、側板部61の左右方向幅が変化する部分である。テーパ部61cは、下方へ向かうにつれて左右方向内側へ延びるように形成される。テーパ部61cは、上側ストレート部61bの下端部と連続するように形成される。
【0049】
下側ストレート部61dは、側板部61の外縁部の左下部及び右下部であり、側板部61において一定の左右方向幅を有する部分である。下側ストレート部61dは、テーパ部61cの下端部から側板部61の下端部近傍までに亘って、上下方向に延びるように形成される。下側ストレート部61dは、テーパ部61cの下端部と連続するように形成される。側板部61は、下側ストレート部61d(下部)において左右方向幅が最も狭くなる。
図3(a)に示すように、側板部61は、下側ストレート部61dが形成される部分(下部)が、野縁40の左右の返し部41aの間に配置可能となるように形成される。
【0050】
図5及び
図6に示す係合部61eは、野縁40のリップ部41に係合可能な部分である。係合部61eは、側板部61の下端部に形成される。係合部61eは、左右方向外側へ延びると共に当該延びた端部が上方へ延びるような正面視略L字状に形成される。係合部61eの外縁部は、後方へ折り曲げられている。こうして、係合部61eは、折り曲げられた角部を有することにより、剛性が高くなるように形成される。当該係合部61eは、側板部61に左右一対形成される。
図3(a)に示すように、左右の係合部61eは、野縁40の左右のリップ部41に下方から当接可能となるように形成される。
【0051】
引っ掛け部62は、野縁受け30に引っ掛けられる部分である。
図5及び
図6に示すように、引っ掛け部62は、側板部61の上端部から後方へ突出し、当該突出した端部か下方へ折れ曲がるような側面視略逆L字状に形成される。引っ掛け部62は、頂部62a及び爪部62bを具備する。
【0052】
頂部62aは、側板部61から後方へ突出する部分である。頂部62aは、その板面を上下方向へ向けた略平板状に形成される。また、頂部62aは、平面視で左右方向を長手方向とした略矩形状に形成される。
【0053】
爪部62bは、頂部62aの後端部から下方へ折れ曲がる部分である。爪部62bは、板面を前後方向へ向けた略平板状に形成される。爪部62bは、引っ掛け部62に左右一対形成される。
【0054】
【0055】
第二固定具70は、第一固定具60と共に固定具50を構成する部材である。第二固定具70は、側面視略逆J字状に形成される。
図7及び
図8に示すように、第二固定具70は、側板部71及び引っ掛け部72を具備する。
【0056】
側板部71は、野縁40を支持する部分である。側板部71は、第二固定具70の後部に形成されると共に、板面を前後方向へ向けた略平板状に形成される。側板部71は、その上下方向幅が第一固定具60の側板部61の上下方向幅よりも僅かに(第一固定具60の厚み程度だけ)広くなるように形成される。側板部71は、凸部71a、上側ストレート部71b、テーパ部71c、下側ストレート部71d及び係合部71eを具備する。
【0057】
凸部71aは、側板部71から後方へ突出する部分である。凸部71aは、側板部71の左右中央部において、上部から下部までに亘って側板部71を後方に突出させることで形成される。凸部71aは、正面視で長手方向を上下方向に向けた略トラック状に形成される。
【0058】
上側ストレート部71bは、側板部71の外縁部の左上部及び右上部である。上側ストレート部71bは、側板部71の上端部から上下中途部までに亘って、上下方向に延びるように形成される。側板部71は、上側ストレート部71b(上部)において左右方向幅が最も広くなる。なお、以下においては、側板部71の上側ストレート部71bにおける(最も広い)左右方向幅を、「側板部71の左右方向幅」と称する。側板部71の左右方向幅は、第一固定具60の側板部61の左右方向幅よりも広くなるように形成される(
図4参照)。
【0059】
テーパ部71cは、側板部71の外縁部の上下中途部である。テーパ部71cは、下方へ向かうにつれて左右方向内側へ延びるように形成される。テーパ部71cは、上側ストレート部71bの下端部と連続するように形成される。テーパ部71cは、上下方向に対する傾斜角度が、第一固定具60のテーパ部61cよりも大きくなるように形成される。
【0060】
下側ストレート部71dは、側板部71の外縁部の左下部及び右下部である。下側ストレート部71dは、第一固定具60の下側ストレート部71dと同様に形成される。
【0061】
係合部71eは、野縁40のリップ部41に係合可能な部分である。係合部71eは、外縁部が前方へ折り曲げられる点を除いて、第一固定具60の係合部61eと同様に形成される。
【0062】
引っ掛け部72は、野縁受け30に引っ掛けられる部分である。引っ掛け部72は、側板部71の上端部から前方へ突出し、当該突出した端部が下方及び後下方へ適宜折れ曲がるように形成される。引っ掛け部72は、頂部72a及び爪部72bを具備する。
【0063】
頂部72aは、側板部71から前方へ突出する部分である。頂部72aは、その板面を上下方向へ向けた略平板状に形成される。また、頂部72aは、平面視で左右方向を長手方向とした略矩形状に形成される。頂部72aは、その左右方向幅が第一固定具60の頂部62aの左右方向幅よりも広くなるように形成される(
図2参照)。
【0064】
爪部72bは、頂部72aの前端部から折れ曲がる部分である。爪部72bは、略平板状に形成される。爪部72bは、頂部72aの前端部から下方へ折れ曲がると共に当該下端部が後下方へ折れ曲がるように形成される。爪部72bは、引っ掛け部72に左右一対形成される。左右の爪部72bの間隔(左側の爪部72bの右端部から右側の爪部72bの左端部までの左右方向の間隔)は、第一固定具60の側板部61の左右方向幅よりも大きくなるように形成される(
図3(a)参照)。
【0065】
以下では、
図3、
図4、及び
図9から
図16までを参照して固定具50を用いた野縁40の固定方法について説明する。
【0066】
まず、野縁受け30に
図9に示す第一固定具60(取り付け前の第一固定具60)が取り付けられる。
【0067】
図9に示すように、取り付け前の第一固定具60の引っ掛け部62は、後部が折れ曲がっておらず、全体として板面を上下方向へ向けた略平板状に形成される。当該引っ掛け部62は、後部が開口する平面視略U字状に形成される。当該引っ掛け部62の後部(頂部62aを除く部分)は、下方へ折り曲げ変形可能な変形部62cとして形成される。
【0068】
図10に示すように、取り付け前の第一固定具60は、野縁受け30に取り付けられる際、所定の取り付け位置(より詳細には、野縁受け30及び野縁40が交差する箇所の上前方)に配置される。なお、野縁受け30及び野縁40が交差する箇所において、野縁受け30及び野縁40は、上下に互いに当接するように配置されている。こうして、取り付け位置に配置された第一固定具60は、適宜移動されることで引っ掛け部62が野縁受け30に引っ掛けられる。
【0069】
具体的には、まず、第一固定具60は、野縁受け30及び野縁40に近接するように下方へと移動され(
図10に示す矢印参照)、係合部61eが野縁40内に挿入される。このとき、第一固定具60は、係合部61eが野縁40のリップ部41に上方から接触しないように、適宜向きが変更(例えば、側板部61の板面が左右方向を向くように横向きに変更)される。当該第一固定具60は、係合部61eの挿入後に元の向き(側板部61の板面が前後方向を向いた
図10に示す向き)に戻され、係合部61eがリップ部41に下方から当接するように持ち上げられる(
図3(a)参照)。
【0070】
図11に示すように、係合部61eがリップ部41と当接した第一固定具60は、後方へ移動されて側板部61の後面が野縁受け30の上フランジ32及び下フランジ33の前端部と当接する。当該第一固定具60は、頂部62aが野縁受け30の上フランジ32に載置される。一方、変形部62cは、上フランジ32に載置されず、野縁受け30よりも後方に配置される。
【0071】
このような状態において、変形部62cは、下方へ折り曲げられる(
図11に示す矢印参照)。これにより、
図12に示すように、変形部62cが略90°折り曲げられ、引っ掛け部62に爪部62bが形成されることになる。当該爪部62bは、野縁受け30のウェブ31の後面と当接し、野縁受け30に引っ掛けられる。以上によって、第一固定具60は、係合部61eが野縁40を持ち上げるようにリップ部41と当接した状態で野縁受け30に取り付けられる。これにより、第一固定具60は、野縁40を野縁受け30に固定する。
【0072】
第一固定具60が野縁受け30に取り付けられると、次に、
図13に示す第二固定具70(取り付け前の第二固定具70)が野縁受け30に取り付けられる。
【0073】
図13に示すように、取り付け前の第二固定具70の引っ掛け部72は、前部が折れ曲がっておらず、全体として板面を上下方向へ向けた略平板状に形成される。当該引っ掛け部72は、後部が開口する平面視略U字状に形成される。当該引っ掛け部72の後部(頂部72aを除く部分)は、下方へ折り曲げ変形可能な変形部72cとして形成される。左右の変形部72cの間隔(左側の変形部72cの右端部から右側の変形部72cの左端部までの左右方向の間隔)は、第一固定具60の側板部61の左右方向幅よりも大きくなるように形成される(
図15参照)。
【0074】
図14に示すように、取り付け前の第二固定具70は、野縁受け30に取り付けられる際、所定の取り付け位置(より詳細には、野縁受け30及び野縁40が交差する箇所の上後方、すなわち当該野縁受け30に取り付けられた第一固定具60の上後方)に配置される。こうして、取り付け位置に配置された第二固定具70は、適宜移動されることで引っ掛け部72が野縁受け30に引っ掛けられる。
【0075】
具体的には、まず、第二固定具70は、第一固定具60の係合部61eが野縁40のリップ部41に当接される場合と同じようにして、係合部71eがリップ部41に当接される(
図4参照)。すなわち、第二固定具70は、適宜向きが変更された状態で下方へ移動され(
図14に示す矢印参照)、係合部71eが野縁40内に挿入されると元の向きに戻されて持ち上げられる。
【0076】
図15に示すように、係合部71eがリップ部41と当接した第二固定具70は前方へ移動されて、側板部71の前面が野縁受け30に近接する。
【0077】
前述の如く、第一固定具60の爪部62bは、野縁受け30のウェブ31の後面と当接している。よって、
図15及び
図16に示すように、第二固定具70が前方へと移動した状態において、側板部71は、ウェブ31ではなく、第一固定具60の爪部62bと当接する。こうして、側板部71は、ウェブ31との間で第一固定具60の爪部62bを挟むことになる。
【0078】
第二固定具70が前方へと移動した状態において、側板部71は、野縁受け30を挟んで第一固定具60の側板部61と対向するように配置される。また、第二固定具70は、第一固定具60に対して左右方向の位置を合わせて配置される。
【0079】
また、第二固定具70が前方へと移動した状態において、引っ掛け部72の頂部72aは、第一固定具60(頂部62a)に載置される。当該頂部72aは、左右中央部が第一固定具60の頂部62aに載置されると共に、左部及び右部が第一固定具60の頂部62aに対して左右方向外側に配置される。また、変形部72cは、第一固定具60の頂部62a及び側板部61に対して左右方向外側、かつ野縁受け30よりも前方に配置される。こうして、第二固定具70の頂部72aは、第一固定具60の頂部62aに重なるように配置される。
【0080】
このような状態において、変形部72cは、下方へ折り曲げられる(
図15及び
図16に示す矢印参照)。変形部72cは、第一固定具60の側板部61に対して左右方向外側に配置されているため、下方へ折り曲げられても側板部61と対向(当接)しない。こうして、変形部72cは、第一固定具60の側板部61に干渉することなく折り曲げられる。これにより、変形部72cを簡単に曲げることができる。
【0081】
当該変形部72cは、野縁受け30の上フランジ32と下フランジ33との間に入り込むように(90°よりも大きい角度、本実施形態では略135°)折り曲げられる。これによって、引っ掛け部72に爪部72bが形成されることになる(
図3参照)。当該爪部72bは、野縁受け30の上フランジ32と当接し、野縁受け30に引っ掛けられる。
【0082】
以上によって、第二固定具70は、係合部71eが野縁40を持ち上げるようにリップ部41と当接した状態で野縁受け30に取り付けられる。これにより、第二固定具70は、第一固定具60の係合部61eと当接しているリップ部41に、係合部71eをさらに当接させて野縁40を野縁受け30に固定する。
【0083】
以上により、固定具50を用いた野縁40の固定が完了する。
【0084】
本実施形態に係る固定具50は、第一固定具60及び第二固定具70のそれぞれの係合部61e・71eを野縁40のリップ部41に当接させて当該第一固定具60及び第二固定具70を野縁受け30に取り付けている。これにより、固定具50は、従来技術のような1つの部材の両係止片(係合部)を野縁40に係止させる構成と比較して、野縁40に対する当接箇所を増やして野縁40を野縁受け30に強固に固定することができる。このため、固定具50は、地震等が発生して天井が揺れた場合であっても、野縁40の固定具50に対する相対移動を抑制し、野縁40が固定具50から外れるのを抑制することができる。
【0085】
また、固定具50は、第一固定具60に加えて、第二固定具70も引っ掛け部72を野縁受け30に引っ掛ける(爪部72bを当接させる)ようにしている。これによれば、複数の部材(第一固定具60及び第二固定具70)の爪部62b・72bを野縁受け30にそれぞれ当接させることができる。これにより、固定具50は、従来技術のような1つの部材の爪片部(爪部)を野縁受け30に係止させる構成と比較して、野縁受け30に対する当接箇所を増やして野縁受け30に強固に引っ掛かることができる。このため、固定具50は、地震等が発生して天井が揺れた場合であっても、野縁受け30の固定具50に対する相対移動を抑制し、固定具50が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0086】
また、第二固定具70は、頂部72aが第一固定具60の頂部62aに載置されることで、第一固定具60を上方から押さえて第一固定具60が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0087】
また、前述の如く、取り付け前の第二固定具70の引っ掛け部72は、その前部が開口する平面視略U字状に形成されている(
図15参照)。このように構成することで、引っ掛け部72は、左右方向幅が広い後部(頂部72a)から前方へ突出するように変形部72cが形成されるようにしている。これにより、引っ掛け部72は、頂部72aの剛性を確保して、変形部72cを折り曲げたときに頂部72aの前端部が上方へ撓むのを抑制することができる。
【0088】
また、
図3に示すように、第一固定具60及び第二固定具70は、側板部61・71が野縁受け30を挟んで互いに対向する(野縁受け30に対する側板部61・71の前後の位置関係が互いに反対となる)ように配置される。こうして、第一固定具60及び第二固定具70は、互いに反対向きに野縁受け30に取り付けられている。このように構成することにより、第一固定具60及び第二固定具70の側板部61・71によって、野縁受け30を前後から挟むことができる。これによって、固定具50が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0089】
また、第二固定具70は、側板部71と野縁受け30のウェブ31との間に第一固定具60の爪部62bを挟んだ状態で、野縁受け30に引っ掛けられている。これにより、第二固定具70は、第一固定具60の爪部62bが十分に折り曲げられず、当該爪部62bの先端部(下端部)がウェブ31に対して浮いてしまった(僅かに離れてしまった)場合でも、当該爪部62bを保持して第一固定具60が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態においては、第二固定具70の変形部72cが、野縁受け30の上フランジ32と下フランジ33との間に入り込むように(略135°)折り曲げられている。これにより、第二固定具70を野縁受け30に強固に引っ掛けることができる。
【0091】
また、第二固定具70は、既存の天井に設置済みのクリップに重ねるように取り付けることもできる。これにより、既存の天井において、野縁40を野縁受け30に強固に固定することができ、地震等が発生して天井が揺れた場合であっても、第二固定具70及び前記クリップから野縁40が外れるのを抑制することができる。また、第二固定具70は、折り曲げて野縁受け30に取り付けるだけであるため、簡単な施工で既存の天井に対して耐震補強を施すことができる。この場合、既存のクリップは、本実施形態に係る第一固定具60に相当する。また、この場合、既存のクリップ及び第二固定具70は、本実施形態に係る固定具50に相当する。
【0092】
なお、第一固定具60は、前後方向の向きが互い違いとなるように、左右方向に間隔をあけて野縁受け30に複数配置される(
図1参照)。
図1の右側に示す固定具50においては、第一固定具60(以下、「後向きの第一固定具60」と称する)の爪部62bが略90°折り曲げられ(
図12参照)、爪部62bが野縁受け30のウェブ31と当接する。一方、
図1の左側に示す固定具50においては、第一固定具60(以下、「前向きの第一固定具60」と称する)の爪部62bが、
図3に示す第二固定具70の爪部72bのように略135°折り曲げられて上フランジ32と下フランジ33との間に配置される。よって、前向きの第一固定具60は、爪部62bの折り曲げ角度が後向きの第一固定具60よりも大きくなる。
【0093】
天井構造1においては、第二固定具70を全ての第一固定具60に重ねるのではなく、一部の第一固定具60に第二固定具70を重ねてもよい。具体的には、第二固定具70は、前向き及び後向きの第一固定具60のうち、後向きの第一固定具60、すなわち爪部62bが野縁受け30のウェブ31に引っ掛かる第一固定具60にのみ重ねられてもよい。これによって、第一固定具60のうち、爪部62bの折り曲げの角度が小さく、比較的野縁受け30から外れ易い後向きの第一固定具60に第二固定具70を重ねることができる。また、第二固定具70は、地震等が発生した場合に荷重がかかり易い第一固定具60、具体的には、天井に設けられたブレースの周辺に配置される第一固定具60にのみ重ねてもよい。このように、第二固定具70の取り付けにメリハリをつけることで、費用対効果を向上させることができる。
【0094】
以上の如く、本実施形態に係る天井構造1は、リップ部41を有する野縁40と、前記野縁40を上方から受ける野縁受け30と、前記野縁40を前記野縁受け30に固定する固定具50と、を具備する天井構造1であって、前記固定具50は、互いに別体として構成される第一固定具60及び第二固定具70を有し、前記第一固定具60及び前記第二固定具70は、前記野縁受け30に引っ掛けられる引っ掛け部62・72と、前記野縁40のリップ部41と当接することで前記野縁40を支持する側板部61・71(支持部)と、を有するものである。
【0095】
このように構成することにより、野縁40が固定具50から外れるのを抑制することができる。具体的には、野縁40と固定具50とが相対移動しようとする際に、リップ部41と2つ(第一固定具60及び第二固定具70)の側板部61・71との間で摩擦力を発生させることができる。これによって、野縁40を野縁受け30に強固に固定することができるため、野縁40と固定具50との相対移動を抑制することができる。
【0096】
また、前記第一固定具60及び前記第二固定具70の引っ掛け部62・72は、前記側板部61・71から前記野縁受け30の幅方向へ延びるように形成され、前記野縁受け30の上方に配置される頂部62a・72aと、前記頂部62a・72aから折れ曲がるように形成され、前記野縁受け30と当接することで前記野縁受け30に引っ掛かる爪部62b・72bと、を有するものである。
【0097】
このように構成することにより、固定具50が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。具体的には、野縁受け30と固定具50とが相対移動しようとする際に、野縁受け30と2つ(第一固定具60及び第二固定具70)の爪部62b・72bとの間で摩擦力を発生させることができる。これによって、固定具50を野縁受け30に強固に引っ掛けることができるため、野縁受け30と固定具50との相対移動を抑制することができる。
【0098】
また、前記第二固定具70の爪部72bは、前記第一固定具60に対して干渉しないように配置されるものである。
【0099】
このように構成することにより、第一固定具60が引っ掛けられた状態で第二固定具70を引っ掛ける場合において、第一固定具60が第二固定具70の爪部72bに接触するのを抑制できる。このため、第二固定具70を野縁受け30に簡単に引っ掛けることができる。
【0100】
また、前記第二固定具70の爪部72bは、前記第一固定具60に対して、前記野縁受け30の長手方向の一側及び他側(左側及び右側)に間隔をあけて一対形成されるものである。
【0101】
このように構成することにより、第一固定具60が野縁受け30に対して左右方向に相対移動した場合に、第二固定具70の爪部72bを第一固定具60に当接させて相対移動を規制することができる。このため、第一固定具60が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0102】
また、前記第二固定具70の頂部72aは、前記第一固定具60の頂部62aに上方から重ねられるものである。
【0103】
このように構成することにより、第二固定具70により第一固定具60を上方から押さえることができる。これにより、第一固定具60が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0104】
また、前記第一固定具60は、前記側板部61が前記野縁受け30に対して前記幅方向の一側(前側)に配置されると共に、前記爪部62bが前記野縁受け30の前記幅方向の他側(後側)において当接し、前記第二固定具70は、前記側板部71が前記野縁受け30に対して前記幅方向の他側(後側)に配置されると共に、前記爪部72bが前記野縁受け30の前記幅方向の一側(前側)において当接するものである。
【0105】
このように構成することにより、側板部61・71によって野縁受け30を挟むことができるため、固定具50が野縁受け30から外れるのを効果的に抑制することができる。
【0106】
また、前記野縁受け30は、前記第一固定具60の爪部62b・72bと当接するウェブ31と、前記ウェブ31の下部から前記幅方向の一側(前側)へ向けて突出する下フランジ33と、前記ウェブ31の上部から前記幅方向の一側(前側)へ向けて突出し、前記第二固定具70の爪部62b・72bと当接する上フランジ32と、を有し、前記第二固定具70の側板部61・71は、前記野縁受け30のウェブ31との間に前記第一固定具60の爪部62b・72bを挟み込むものである。
【0107】
このように構成することにより、ウェブ31と第二固定具70の側板部71とにより、第一固定具60の爪部62bを保持することができる。このため、第一固定具60が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0108】
また、前記第二固定具70の爪部62b・72bは、前記上フランジ32と前記下フランジ33との間に入り込むように延出するものである。
【0109】
このように構成することにより、第二固定具70を野縁受け30に強固に引っ掛けることができる。このため、第二固定具70が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【0110】
また、以上の如く、本実施形態に係る固定具50は、野縁受け30に引っ掛けられ、リップ部41を有する野縁40を前記野縁受け30に固定する固定具50であって、互いに別体として構成される第一固定具60及び第二固定具70を有し、前記第一固定具60及び前記第二固定具70は、前記野縁受け30に引っ掛けられる引っ掛け部62・72と、前記野縁40のリップ部41と当接することで前記野縁40を支持する支持部(側板部61・71)と、を有し、前記第一固定具60及び前記第二固定具70の引っ掛け部62・72は、前記側板部61・71から前記野縁受け30の幅方向へ延びるように形成され、前記野縁受け30の上方に配置される頂部62a・72aと、前記頂部62a・72aと連続するように形成され、下方へと折れ曲がるように変形可能な変形部62c・72cと、を有するものである。
【0111】
このように構成することにより、第一固定具60及び第二固定具70の側板部61・71をそれぞれ野縁40のリップ部41に当接させた状態で、第一固定具60及び第二固定具70の引っ掛け部62・72を野縁受け30に引っ掛けることができる。これにより、野縁40を野縁受け30に強固に固定することができるため、野縁40が固定具50から外れるのを抑制することができる。
【0112】
なお、本実施形態に係る側板部61・71は、本発明に係る支持部の実施の一形態である。
本実施形態における前後方向は、本発明に係る野縁受けの幅方向に対応する。
本実施形態における左右方向は、本発明に係る野縁受けの長手方向に対応する。
【0113】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0114】
例えば、本実施形態において、野縁40は、シングル野縁であるものとしたが、シングル野縁よりも左右方向幅が大きなダブル野縁であってもよい。
【0115】
また、野縁40のリップ部41には、必ずしも本実施形態のように返し部41aが形成されている必要はない。
【0116】
また、第一固定具60及び第二固定具70の爪部62b・72bは、それぞれ左右一対形成されるものとしたが、野縁受け30に引っ掛け可能であれば、爪部62b・72bの構成はこれに限定されるものではない。
【0117】
また、爪部62b・72bを折り曲げる角度は、本実施形態に限定されるものではなく、第一固定具60及び第二固定具70の向き等に応じた適宜の角度であればよい。
【0118】
また、第一固定具60及び第二固定具70の野縁受け30に対する向きは、本実施形態に限定されるものではなく、本実施形態とは反対向きであってもよい。
【0119】
また、第一固定具60及び第二固定具70は、互いに反対向きで野縁受け30に取り付けられるものとしたが、第一固定具60及び第二固定具70の向きの関係はこれに限定されるものではなく、互いに同じ向きで取り付けられていてもよい。
【0120】
また、第一固定具60及び第二固定具70は、取り付け時に係合部61e・71eがリップ部41に当接されていればよく、必ずしも取り付け時に持ち上げられる必要はない。
【0121】
また、第一固定具60及び第二固定具70の構成は、野縁40を野縁受け30に固定可能であれば、本実施形態に限定されるものではない。
図17は、本実施形態に係る第二固定具70とは一部の構成が異なる変形例に係る第二固定具170を示すものである。変形例に係る第二固定具170は、側板部171に収容部171fが形成される点、及び頂部172aの形状が異なる点で、本実施形態に係る第二固定具70と相違する。
【0122】
収容部171fは、側板部171の上部に形成される。収容部171fは、側板部171の上部を後方に突出させることで形成される。収容部171fは、内側に第一固定具60の爪部62bを収容可能に形成される。頂部172aは、本実施形態の頂部72aのように引っ掛け部72の左端部から右端部までに亘って形成されるのではなく、引っ掛け部172の左部及び右部に間隔をあけて(左右一対)形成される。
【0123】
図18は、変形例に係る第二固定具170を第一固定具60に重ねた状態を示す図である。
図18に示すように、第二固定具170は、第一固定具60に重ねた状態において、第一固定具60の爪部62bを収容部171fに収容することができる。これにより、第二固定具170の側板部171を、本実施形態のように第一固定具60(爪部62b)に当接させるのではなく、野縁受け30のウェブ31に当接させることができる。これによれば、第一固定具60の側板部61と第二固定具170の側板部171とにより野縁受け30を挟み込んで保持することができるため、固定具50が野縁受け30から外れるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 天井構造
41 リップ部
40 野縁
30 野縁受け
50 固定具
60 第一固定具
70 第二固定具
62・72 引っ掛け部
61・71 側板部(支持部)