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  • 特許-ランプ制御装置およびランプアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ランプ制御装置およびランプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018212868
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020078999
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴野 寿紀
(72)【発明者】
【氏名】野寄 靖史
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210234(JP,A)
【文献】特開2002-087151(JP,A)
【文献】特開2014-080143(JP,A)
【文献】特開2003-072456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるランプアセンブリであって、
第一ランプと、
前記第一ランプと種別が異なる第二ランプと、
電流を供給する共通のランプ駆動回路と、
前記第一ランプと前記第二ランプのいずれかへ選択的に前記電流を供給可能であるスイッチング回路と、
記スイッチング回路を制御するプロセッサと、
を備えており
前記第一ランプと前記第二ランプは、前記ランプ駆動回路に並列接続されており、
前記第一ランプは、直列接続されたロービームランプとハイビームランプを含んでおり、
前記スイッチング回路は、前記ロービームランプと前記ハイビームランプの少なくとも一方へ選択的に前記電流を供給可能であり、
前記第二ランプは、前記第一ランプの消灯時に昼間点灯ランプとして使用され、前記第一ランプの点灯時にポジションランプとして使用される標識灯であり、
前記プロセッサは、前記第二ランプのみが点灯される第一状態と、前記第一ランプと前記第二ランプとが交互に点灯される第二状態とを選択可能であり、
前記第二状態が選択された場合、前記プロセッサは、前記ロービームランプのみが点灯される第一モードと、前記ロービームランプと前記ハイビームランプとが同時に点灯される第二モードとを選択可能である、
ランプアセンブリ。
【請求項2】
前記第一ランプへ前記電流が供給される期間の長さと前記第二ランプへ前記電流が供給
される期間の長さの少なくとも一方は、可変である、
請求項に記載のランプアセンブリ。
【請求項3】
前記第一ランプへ前記電流が供給される期間と前記第二ランプへ前記電流が供給される
期間の一方の長さが短くされると、他方の長さが長くされる、
請求項に記載のランプアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるランプの点消灯動作を制御するランプ制御装置に関連する。本発明は、当該ランプと当該ランプ制御装置を備えたランプアセンブリにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたランプ制御装置は、車両に搭載される前照灯と標識灯の点灯動作を制御する。具体的には、当該ランプ制御装置は、第一ランプ駆動回路、第二ランプ駆動回路、およびスイッチング回路を備えている。第一ランプ駆動回路は、第一電流を供給する。第二ランプ駆動回路は、第二電流を供給する。スイッチング回路は、前照灯と標識灯に対する第一電流と第二電流の供給経路を切り替える。標識灯のみが点灯される場合、第一電流が供給される。前照灯と標識灯が点灯される場合、第一電流が前照灯へ供給され、第二電流が標識灯へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-154735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、種別が相違する複数のランプの点消灯動作を共通のランプ駆動回路で制御可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、車両に搭載されるランプ制御装置であって、
電流を供給する共通のランプ駆動回路と、
種別が相違する第一ランプと第二ランプのいずれかへ選択的に前記電流を供給可能であるスイッチング回路と、
前記第一ランプへ前記電流が供給される状態と前記第二ランプへ前記電流が供給される状態が繰り返されるように、前記スイッチング回路を制御するプロセッサと、
を備えている。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、車両に搭載されるランプアセンブリであって、
第一ランプと、
前記第一ランプと種別が異なる第二ランプと、
電流を供給する共通のランプ駆動回路と、
第一ランプと第二ランプのいずれかへ選択的に前記電流を供給可能であるスイッチング回路と、
前記第一ランプへ前記電流が供給される状態と前記第二ランプへ前記電流が供給される状態が繰り返されるように、前記スイッチング回路を制御するプロセッサと、
を備えている。
【0007】
第一ランプと第二ランプの双方が同時に点灯されることはない。しかしながら、第一ランプと第二ランプのいずれかが点灯される状態がある程度高い速度で繰り返されることにより、人間の眼には第一ランプと第二ランプが同時に点灯しているように見える。すなわち、ランプ駆動回路から供給される電流が、第一ランプと第二ランプにより時分割的に共有される。したがって、第一ランプと第二ランプのように種別が相違する複数のランプの点消灯動作を、共通のランプ駆動回路で制御できる。具体的には、種別が相違する複数のランプが同時に点灯されている状態を、共通のランプ駆動回路で疑似的に再現できる。
【0008】
例えば、上記のランプアセンブリは、以下のように構成されうる。
前記第一ランプは、ロービームランプとハイビームランプを含んでおり、
前記スイッチング回路は、前記ロービームランプと前記ハイビームランプの少なくとも一方へ選択的に前記電流を供給可能である。
【0009】
この場合、上記のランプアセンブリは、以下のように構成されうる。
前記第二ランプは、前記第一ランプの消灯時に昼間点灯ランプとして使用され、前記第一ランプの点灯時にポジションランプとして使用される標識灯である。
【0010】
上記のランプ制御装置およびランプアセンブリは、以下のように構成されうる。
前記第一ランプへ前記電流が供給される期間の長さと前記第二ランプへ前記電流が供給される期間の長さの少なくとも一方は、可変である。
【0011】
このような構成によれば、各ランプの点灯時における見かけ上の明るさを、必要に応じて変化させることができる。
【0012】
上記のランプ制御装置およびランプアセンブリは、以下のように構成されうる。
前記第一ランプへ前記電流が供給される期間と前記第二ランプへ前記電流が供給される期間の一方の長さが短くされると、他方の長さが長くされる。
【0013】
このような構成によれば、ランプ駆動回路から供給される電力の利用効率を高めることができる。
【0014】
本明細書においてランプに関して用いられる「種別が異なる」という表現は、異なる照明機能に対応付けられていることを意味する。例えば、前照灯と標識灯のように機能が本来的に異なる複数のランプだけではなく、同じ前照灯であっても照明領域が相違する複数のランプ(ロービームランプとハイビームランプなど)もまた、「種別が異なる」複数のランプに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態に係るランプアセンブリの構成例を示している。
図2図1のランプアセンブリにより実行されうる制御の例を示している。
図3】第二実施形態に係るランプアセンブリの構成例を示している。
図4図3のランプアセンブリにより実行されうる制御の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0017】
図1は、第一実施形態に係るランプアセンブリ11の構成例を模式的に示している。ランプアセンブリ11は、車両に搭載される。ランプアセンブリ11は、前照灯20と標識灯30を備えている。
【0018】
前照灯20は、ロービームランプ21とハイビームランプ22を含んでいる。ロービームランプ21は、車両の前方における比較的近距離に位置する路面を含む領域を照明するランプである。ハイビームランプ22は、車両の前方における比較的遠方まで照明光を照射するランプである。ロービームランプ21とハイビームランプ22は、電気的に直列接続されている。前照灯20は、第一ランプの一例である。
【0019】
標識灯30は、前照灯20の消灯時に点灯されることにより中間点灯ランプ(DRL)として使用され、前照灯20とともに点灯されることによりポジションランプとして使用されるランプである。標識灯30は、第二ランプの一例である。
【0020】
ロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30の各々は、少なくとも一つの光源を備えている。光源は、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)のような半導体発光素子でもよいし、ハロゲンランプやHIDランプのようなランプ光源でもよい。
【0021】
ランプアセンブリ11は、ランプ制御装置40を備えている。前照灯20と標識灯30は、ランプ制御装置40と電気的に接続される。ランプ制御装置40は、前照灯20と標識灯30の各々の点消灯動作を制御する装置である。
【0022】
ランプ制御装置40は、ランプ駆動回路41を備えている。ランプ駆動回路41は、前照灯20と標識灯30を点灯させるための電流Iを供給する回路である。換言すると、前照灯20と標識灯30は、ランプ駆動回路41を共有している。ランプ駆動回路41は、例えば降圧型定電流スイッチングレギュレータ(DC/DCコンバータ)により実現されうる。
【0023】
ランプ制御装置40は、スイッチング回路42を備えている。スイッチング回路42は、ランプ駆動回路41から供給される電流Iを、前照灯20と標識灯30のいずれかへ選択的に供給するための回路である。
【0024】
具体的には、スイッチング回路42は、第一スイッチ421、第二スイッチ422、第三スイッチ423、および第四スイッチ424を備えている。例えば、第一スイッチ421、第二スイッチ422、第三スイッチ423、および第四スイッチ424の各々は、電界効果トランジスタなどの半導体スイッチとして実現されうる。
【0025】
ランプ制御装置40は、プロセッサ43を備えている。プロセッサ43は、スイッチング回路42の動作を制御することにより、前照灯20と標識灯30の点消灯動作を制御可能に構成されている。プロセッサ43は、第一スイッチ421の開閉状態を切り替える第一制御信号S1、第二スイッチ422の開閉状態を切り替える第二制御信号S2、第三スイッチ423の開閉状態を切り替える第三制御信号S3、および第四スイッチ424の開閉状態を切り替える第四制御信号S4を出力する。第一制御信号S1、第二制御信号S2、第三制御信号S3、および第四制御信号S4の各々は、例えば、対応する半導体スイッチの制御端子電圧を変化させる信号でありうる。
【0026】
プロセッサ43は、後述される動作を実現するためのプログラムを実行可能なマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路素子によって実現されうる。プロセッサ43は、汎用メモリと協働して当該プログラムを実行可能な汎用マイクロプロセッサによって実現されてもよい。汎用マイクロプロセッサの例としては、CPUやMPUが挙げられる。汎用メモリの例としては、ROMやRAMが挙げられる。
【0027】
図2の(A)は、第一スイッチ421、第二スイッチ422、第三スイッチ423、および第四スイッチ424の各々と点灯されるランプの関係を示している。同図における符号Oは、スイッチが閉じられている状態を示しており、符号Xは、スイッチが開かれている状態を示している。
【0028】
状態Aは、第一スイッチ421が閉じられ、第二スイッチ422が開かれ、第三スイッチ423が閉じられ、第四スイッチ424が開かれた状態に対応する。これにより、ハイビームランプ22を迂回してランプ駆動回路41からロービームランプ21へ電流Iが供給される経路が形成される。第四スイッチ424が開放されているので、電流Iは標識灯30へ供給されない。結果として、ロービームランプ21のみが点灯される。
【0029】
状態Bは、第三スイッチ423のみが閉じられ、他のスイッチが開かれた状態に対応する。これにより、ランプ駆動回路41からロービームランプ21とハイビームランプ22の双方へ電流Iが供給される経路が形成される。第四スイッチ424が開放されているので、電流Iは標識灯30へ供給されない。結果として、ロービームランプ21とハイビームランプ22が点灯され、標識灯30は消灯される。
【0030】
状態Cは、第四スイッチ424のみが閉じられ、他のスイッチが開かれた状態に対応する。これにより、ランプ駆動回路41から標識灯30へ電流Iが供給される経路が形成される。第三スイッチ423が開放されているので、電流Iは前照灯20へ供給されない。結果として、標識灯30のみが点灯される。状態Cは、標識灯30が昼間点灯ランプとして使用されている状態に対応している。
【0031】
図示を省略するが、第一スイッチ421と第四スイッチ424が開かれ、第二スイッチ422と第三スイッチ423が閉じられた状態となるようにスイッチング回路42が制御されると、ロービームランプ21を迂回してランプ駆動回路41からハイビームランプ22へ電流Iが供給される経路が形成されうる。結果として、ハイビームランプ22のみが点灯される。すなわち、スイッチング回路42は、ランプ駆動回路41から供給された電流Iを、ロービームランプ21とハイビームランプ22の少なくとも一方へ選択的に供給可能に構成されうる。
【0032】
プロセッサ43は、図2の(A)における状態Dを実現するようにスイッチング回路42を制御可能に構成されている。具体的には、上述した状態BとCが周期的に繰り返されるように、スイッチング回路42が制御される。図2の(B)は、プロセッサ43により実現される動作状態が、標識灯30が昼間点灯ランプとして使用されている状態(状態C)から状態Dへ移行している例を示している。この図は、各ランプの点消灯状態の経時的変化のみを示しており、各ランプに供給される電流Iの値に係る情報は含んでいない。
【0033】
繰り返し周波数は、100Hz以上とされることが好ましく、200Hz以上とされることがより好ましい。この場合、前照灯20へランプ駆動回路41からの電流Iが供給される状態と、標識灯30へランプ駆動回路41からの電流Iが供給される状態とが、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。これにより、前照灯20が点灯される状態と、標識灯30が点灯される状態とが、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。前照灯20と標識灯30の双方が同時に点灯されることはない。しかしながら、前照灯20と標識灯30のいずれかが点灯される状態が高速で繰り返されるので、人間の眼には前照灯20と標識灯30が同時に点灯しているように見える。このとき標識灯30は、ポジションランプとして使用される。
【0034】
すなわち、ランプ駆動回路41から供給される電流Iが、前照灯20と標識灯30により時分割的に共有される。したがって、前照灯20と標識灯30のように種別が相違する複数のランプの点消灯動作を、共通のランプ駆動回路41で制御できる。具体的には、種別が相違する複数のランプが同時に点灯されている状態を、共通のランプ駆動回路41で疑似的に再現できる。
【0035】
状態Dにおいては、ロービームランプ21とハイビームランプ22の双方が点灯される状態と、標識灯30が点灯される状態とが交互に繰り返されている。しかしながら、プロセッサ43は、図2の(A)における状態Eを実現するようにもスイッチング回路42を制御可能に構成されている。具体的には、図2の(B)に示されるように、上述した状態Aと状態Cが周期的に繰り返されるように、スイッチング回路42が制御されうる。繰り返し周波数は、100Hz以上とされることが好ましく、200Hz以上とされることがより好ましい。
【0036】
この場合、ロービームランプ21へランプ駆動回路41からの電流Iが供給される状態と、標識灯30へランプ駆動回路41からの電流Iが供給される状態とが、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。これにより、ロービームランプ21が点灯される状態と、標識灯30が点灯される状態とが、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。ロービームランプ21と標識灯30の双方が同時に点灯されることはない。しかしながら、ロービームランプ21と標識灯30のいずれかが点灯される状態が高速で繰り返されるので、人間の眼にはロービームランプ21と標識灯30が同時に点灯しているように見える。この場合においても、標識灯30は、ポジションランプとして使用される。
【0037】
前照灯20へ電流Iが供給される時間T1と標識灯30へ電流Iが供給される時間T2の少なくとも一方は、可変とされうる。図2の(B)に示される例においては、状態Dと状態Eの間で、標識灯30へ電流Iが供給される時間T2の長さが相違している。電流の値が一定という条件下では、電流が供給される時間が長くなるほど、見かけ上のランプの明るさが増す。したがって、標識灯30の見かけ上の明るさは、状態Eの方が状態Dよりも増す。
【0038】
このような構成によれば、各ランプの点灯時における見かけ上の明るさを、必要に応じて変化させることができる。例えば、ロービームランプ21のみが点灯される状態Eにおいては、ロービームランプ21とハイビームランプ22の双方が点灯される状態Dよりも標識灯30の見かけ上の明るさを増すような制御が可能になる。
【0039】
前照灯20へ電流Iが供給される時間T1と標識灯30へ電流Iが供給される時間T2の一方の長さが短くされると、他方の長さが長くされるように制御されうる。図2の(B)に示される例においては、状態Eにおける標識灯30へ電流Iが供給される時間T2が状態Dにおいて標識灯30へ電流Iが供給される時間T2よりも長くされている分、状態Eにおいて前照灯20へ電流Iが供給される時間T1が状態Dにおいて前照灯20へ電流Iが供給される時間T1よりも短くされている。
【0040】
このような構成によれば、ランプ駆動回路41から供給される電力の利用効率を高めることができる。一周期分の時間内で前照灯20と標識灯30の双方が消灯されている時間の長さは、できるだけ短くされることが好ましい。
【0041】
しかしながら、前照灯20へ電流Iが供給される時間T1と標識灯30へ電流Iが供給される時間T2の一方が変更される場合において、他方の長さは一定とされてもよい。
【0042】
図示を省略するが、プロセッサ43は、ハイビームランプ22のみが点灯される状態と標識灯30のみが点灯される状態が交互に繰り返される動作も実現可能である。
【0043】
図3は、第二実施形態に係るランプアセンブリ12の構成例を模式的に示している。第一実施形態に係るランプアセンブリ11と実質的に同じ構成要素については、同一の参照番号を付与して繰り返しとなる説明を省略する。
【0044】
ランプアセンブリ12においては、ロービームランプ21とハイビームランプ22が、ランプ制御装置40に対して並列的に接続されている。ランプ制御装置40は、スイッチング回路44を備えている。スイッチング回路44は、ランプ駆動回路41から供給される電流Iを、ロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30のいずれかへ選択的に供給するための回路である。
【0045】
具体的には、スイッチング回路44は、第一スイッチ441、第二スイッチ442、および第三スイッチ443を備えている。例えば、第一スイッチ441、第二スイッチ442、および第三スイッチ443の各々は、電界効果トランジスタなどの半導体スイッチとして実現されうる。
【0046】
図4の(A)は、第一スイッチ441、第二スイッチ442、および第三スイッチ443の各々と点灯されるランプの関係を示している。同図における符号Oは、スイッチが閉じられている状態を示しており、符号Xは、スイッチが開かれている状態を示している。
【0047】
状態Aは、第一スイッチ441のみが閉じられ、他のスイッチが開かれた状態に対応する。これにより、ランプ駆動回路41からロービームランプ21へ電流Iが供給される経路が形成される。第二スイッチ442と第三スイッチ443が開放されているので、ハイビームランプ22と標識灯30へ電流Iが供給されない。結果として、ロービームランプ21のみが点灯される。
【0048】
状態Bは、第二スイッチ442のみが閉じられ、他のスイッチが開かれた状態に対応する。これにより、ランプ駆動回路41からハイビームランプ22へ電流Iが供給される経路が形成される。第一スイッチ441と第三スイッチ443が開放されているので、ロービームランプ21と標識灯30へ電流Iが供給されない。結果として、ハイビームランプ22のみが点灯される。
【0049】
状態Cは、第三スイッチ443のみが閉じられ、他のスイッチが開かれた状態に対応する。これにより、ランプ駆動回路41から標識灯30へ電流Iが供給される経路が形成される。第一スイッチ441と第二スイッチ442が開放されているので、ロービームランプ21とハイビームランプ22へ電流Iが供給されない。結果として、標識灯30のみが点灯される。状態Cは、標識灯30が昼間点灯ランプとして使用されている状態に対応している。
【0050】
プロセッサ43は、図4の(A)における状態Dを実現するようにスイッチング回路44を制御可能に構成されている。具体的には、上述した状態A、状態B、および状態Cがこの順序で周期的に繰り返されるように、スイッチング回路44が制御される。図4の(B)は、プロセッサ43により実現される動作状態が、標識灯30が昼間点灯ランプとして使用されている状態(状態C)から状態Dへ移行している例を示している。この図は、各ランプの点消灯状態の経時的変化のみを示しており、各ランプに供給される電流Iの値に係る情報は含んでいない。
【0051】
繰り返し周波数は、100Hz以上とされることが好ましく、200Hz以上とされることがより好ましい。この場合、ランプ駆動回路41からの電流Iが、まずロービームランプ21へ供給され、続いてハイビームランプ22へ供給され、最後に標識灯30へ供給される。この一連の動作が、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。これにより、まずロービームランプ21が点灯され、続いてハイビームランプ22が点灯され、最後に標識灯30が点灯されるという一連の動作が、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。ロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30の少なくとも二つが同時に点灯されることはない。しかしながら、ロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30のいずれかが点灯される状態が高速で繰り返されるので、人間の眼にはロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30が同時に点灯しているように見える。このとき標識灯30は、ポジションランプとして使用される。
【0052】
すなわち、ランプ駆動回路41から供給される電流Iが、ロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30により時分割的に共有される。したがって、ロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30のように種別が相違する複数のランプの点消灯動作を、共通のランプ駆動回路41で制御できる。具体的には、種別が相違する複数のランプが同時に点灯されている状態を、共通のランプ駆動回路41で疑似的に再現できる。
【0053】
同じ順序で一連の点灯動作が繰り返されるのであれば、一周期内におけるロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30が点灯される順序は、適宜に変更されうる。
【0054】
状態Dにおいては、ロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30の全てが、繰り返し点灯動作に供されている。しかしながら、プロセッサ43は、図4の(A)における状態Eを実現するようにもスイッチング回路44を制御可能に構成されている。具体的には、図4の(B)に示されるように、上述した状態Aと状態Cが周期的に繰り返されるように、スイッチング回路44が制御されうる。繰り返し周波数は、100Hz以上とされることが好ましく、200Hz以上とされることがより好ましい。
【0055】
この場合、ロービームランプ21へランプ駆動回路41からの電流Iが供給される状態と、標識灯30へランプ駆動回路41からの電流Iが供給される状態とが、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。これにより、ロービームランプ21が点灯される状態と、標識灯30が点灯される状態とが、当該繰り返し周波数に対応する頻度で繰り返される。ロービームランプ21と標識灯30の双方が同時に点灯されることはない。しかしながら、ロービームランプ21と標識灯30のいずれかが点灯される状態が高速で繰り返されるので、人間の眼にはロービームランプ21と標識灯30が同時に点灯しているように見える。この場合においても、標識灯30は、ポジションランプとして使用される。
【0056】
前照灯20へ電流Iが供給される時間と標識灯30へ電流Iが供給される時間の少なくとも一方は、可変とされうる。図4の(B)に示される例においては、状態Dと状態Eの間で、標識灯30へ電流Iが供給される時間の長さが相違している。電流の値が一定という条件下では、電流が供給される時間が長くなるほど、見かけ上のランプの明るさが増す。したがって、標識灯30の見かけ上の明るさは、状態Eの方が状態Dよりも増す。
【0057】
このような構成によれば、各ランプの点灯時における見かけ上の明るさを、必要に応じて変化させることができる。例えば、ロービームランプ21のみが点灯される状態Eにおいては、ロービームランプ21とハイビームランプ22の双方が点灯される状態Dよりも標識灯30の見かけ上の明るさを増すような制御が可能になる。
【0058】
ロービームランプ21へ電流Iが供給される時間、ハイビームランプ22へ電流Iが供給される時間、および標識灯30へ電流Iが供給される時間のいずれかの長さが短くされると、残りの二つの時間の長さの少なくとも一方が長くされるように制御されうる。図4の(B)に示される例においては、状態Eにおける標識灯30へ電流Iが供給される時間が、状態Dにおいて標識灯30へ電流Iが供給される時間がよりも長くされている。その分、状態Eにおいて前照灯20へ電流Iが供給される時間が、状態Dにおいて前照灯20へ電流Iが供給される時間よりも短くされている。他方、状態Eにおいてはハイビームランプ22が点灯されないので、ロービームランプ21へ電流Iが供給される時間が、状態Dにおいてロービームランプ21へ電流Iが供給される時間よりも長くされている。
【0059】
このような構成によれば、ランプ駆動回路41から供給される電力の利用効率を高めることができる。一周期分の時間内でロービームランプ21、ハイビームランプ22、および標識灯30の全てが消灯されている時間の長さは、できるだけ短くされることが好ましい。
【0060】
しかしながら、ロービームランプ21へ電流Iが供給される時間の長さ、ハイビームランプ22へ電流Iが供給される時間の長さ、および標識灯30へ電流Iが供給される時間の長さのいずれかが変更される場合において、残りの二つ時間の長さの少なくとも一方は一定とされてもよい。
【0061】
図示を省略するが、プロセッサ43は、ロービームランプ21が点灯される状態とハイビームランプ22が点灯される状態が交互に繰り返される動作も実現可能である。この場合、ロービームランプ21は第一ランプの一例であり、ハイビームランプ22は、第二ランプの一例である。
【0062】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0063】
上記の各実施形態においては、前照灯20と標識灯30が、電流Iを供給するランプ駆動回路41を時分割的に共有している。しかしながら、同時に点灯されている状態の疑似的な再現が必要であれば、ランプ駆動回路41の時分割的共有に供される複数種のランプの組合せは、適宜に選択されうる。そのようなランプの例としては、テールランプやフォグランプが挙げられる。標識灯30は、昼間点灯ランプやポジションランプに限られない。運転支援動作が有効であることを車両の外部へ報知する光を出射するためのランプなども標識灯30の例に含まれうる。
【符号の説明】
【0064】
11、12:ランプアセンブリ、20:前照灯、21:ロービームランプ、22:ハイビームランプ、30:標識灯、40:ランプ制御装置、41:ランプ駆動回路、42、44:スイッチング回路、43:プロセッサ、I:電流
図1
図2
図3
図4