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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】振動発生装置及び触感提示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230309BHJP
   H02K 7/065 20060101ALI20230309BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G06F3/041 480
H02K7/065
G06F3/01 560
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019029802
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020135558
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】飯野 朗弘
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522897(JP,A)
【文献】特開2005-222551(JP,A)
【文献】特開2016-053778(JP,A)
【文献】特開2013-161384(JP,A)
【文献】特開2018-086606(JP,A)
【文献】特開2018-099675(JP,A)
【文献】特開2011-234323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
H02K 7/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
前記固定部材に対して相対変位可能に配置された可動プレートと、
前記固定部材と前記可動プレートとの間に設けられ、前記可動プレートを弾性変形可能に支持する複数の弾性支持体と、
前記可動プレートに組み合わされると共に、前記可動プレートに対して振動を与える振動発生部と、を備え、
前記振動発生部は、回転軸線回りに回転可能で、且つ重心が前記回転軸線に対して偏心した重錘を有し、
前記弾性支持体は、
前記可動プレートの面内方向で互いに交差し合う第1方向及び第2方向において、前記第1方向における弾性率が前記第2方向における弾性率よりも小さくなるように形成され
前記第1方向における前記弾性支持体の弾性率、及び前記可動プレートの重量の少なくとも2つの要因によって決定される、前記可動プレートの固有周波数は、前記振動発生部の振動周波数よりも大きいことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発生装置において、
前記弾性支持体は、前記第1方向における弾性率の方が、前記第2方向における弾性率よりも2倍以上小さくなるように形成されている、振動発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振動発生装置において、
前記第1方向及び前記第2方向は、互いに直交し合う関係である、振動発生装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の振動発生装置において、
前記振動発生部は、前記第2方向に対して前記回転軸線が平行となるように前記可動プレートに組み合わされている、振動発生装置。
【請求項5】
請求項に記載の振動発生装置において、
前記弾性支持体は、前記可動プレートに対して直交する第3方向における弾性率が、前記第1方向における弾性率よりも大きくなるように形成されている、振動発生装置。
【請求項6】
請求項に記載の振動発生装置において、
前記弾性支持体は、前記可動プレートに対して直交する第3方向における弾性率が、前記第2方向における弾性率よりも小さくなるように形成されている、振動発生装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の振動発生装置において、
前記振動発生部は、
前記重錘を有し、前記回転軸線回りに回転可能に配置されたロータと、
前記ロータを回転可能に支持するステータと、を備えている、振動発生装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の振動発生装置と、
前記固定部材及び前記振動発生部を内部に収容すると共に、前記可動プレートが変位可能に組み合わされるケーシングと、
前記ケーシング内に収容され、前記可動プレートを通じて情報を表示する表示パネルと、を備え、
前記可動プレートは、指先で操作可能とされ、
前記ケーシング内には、前記可動プレートの操作に応じて前記表示パネルの表示を制御する制御部が収容されていることを特徴とする触感提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置及び触感提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット型PC等の携帯情報端末や、車載用ナビゲーション装置等の電子機器等には、操作者の操作に対して、振動によって触感を提示する装置が組み込まれている場合が多い。この種の装置の振動源としては、例えば電磁ソレノイド、電磁型リニアアクチュエータ、或いは形状記憶合金ワイヤを利用したアクチュエータ等が採用されていることが知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1に示されるように、タッチパネルの前面側に配置された接触パネルを指先で触った際に、形状記憶合金ワイヤを利用して接触パネルを瞬間的に移動させて、指先に対して力学的な操作感覚(いわゆるクリック感のような触覚)を疑似的に作用させる触感提示装置が知られている。
【0004】
さらには下記特許文献2に示されるように、タッチパネルを支持するケーシングに固定された固定部材と、タッチパネルに連結されると共に固定部材に対して弾性部材を介して支持される可動部材と、を備え、可動部材の振動をタッチパネルに伝達する触覚型ソレノイドを具備する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2012/023606号
【文献】特開2015-27661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の各種の振動源を利用して、操作者の指先に対して触感を与えるためには、予め決まった一方向に振動を発生させることが求められる場合が多い。しかしながら上記従来の振動源において一方向に振動させるためには、複雑な駆動回路が必要となるうえ、動作制御が複雑になり易い。従って、ユーザにとって扱い難く、改善の余地があった。さらに、上記電磁型リニアアクチュエータ等に代表されるように、従来の振動源は部品点数が多く、構成が複雑化する傾向にあるので、コスト高になり易い。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができる振動発生装置及び触感提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る振動発生装置は、固定部材と、前記固定部材に対して相対変位可能に配置された可動プレートと、前記固定部材と前記可動プレートとの間に設けられ、前記可動プレートを弾性変形可能に支持する複数の弾性支持体と、前記可動プレートに組み合わされると共に、前記可動プレートに対して振動を与える振動発生部と、を備え、前記振動発生部は、回転軸線回りに回転可能で、且つ重心が前記回転軸線に対して偏心した重錘を有し、前記弾性支持体は、前記可動プレートの面内方向で互いに交差し合う第1方向及び第2方向において、前記第1方向における弾性率が前記第2方向における弾性率よりも小さくなるように形成され、前記第1方向における前記弾性支持体の弾性率、及び前記可動プレートの重量の少なくとも2つの要因によって決定される、前記可動プレートの固有周波数は、前記振動発生部の振動周波数よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る振動発生装置によれば、回転軸線回りに重錘を回転させることで振動を発生することができると共に、振動発生部で発生した振動を可動プレートに対して伝えることができる。これにより、可動プレートを振動させることができ、固定部材に対して可動プレートを相対変位させることができる。このとき可動プレートは、第1方向における弾性率と、第2方向における弾性率とが異なる弾性支持体によって支持されているので、弾性率の違いによって、第2方向よりも第1方向に変位し易く支持されている。そのため、振動発生部から与えられた振動を受けて、可動プレートを第1方向に積極的に振動させることができる。
従って、例えば直進型のアクチュエータ等を利用した場合と同様に、可動プレートを一方向、すなわち第1方向に沿って振動させることができる。これにより、可動プレートの振動を利用して、例えば操作者の指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることが可能となり、指先に対してクリック感を与えるような触感を与えることができる。
【0010】
特に、重錘を回転させるだけの簡便な構成で振動発生部を構成できるので、複雑な駆動回路及び複雑な動作制御が不要となり、振動発生部を簡略に構成できると共に、簡略に構成できる分、コストを削減することができる。また、可動プレートを弾性支持体で支持するだけの簡便な構成で、振動発生部で発生した振動を利用して、可動プレートを第1方向に沿って振動させることができる。これらのことから、振動発生装置全体として、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができると共に、可動プレートの第1方向に沿った振動を利用して、例えば操作者の指先に対して触感を効果的に与えるような使い方を行える。
さらに、可動プレートの固有周波数(固有振動数)が振動発生部の振動周波数よりも大きいので、可動プレートの共振を抑制できると共に、振動発生部の振動を効率良く可動プレートに伝えることができ、第1方向に沿って安定的に振動させることができる。
【0011】
(2)前記弾性支持体は、前記第1方向における弾性率の方が、前記第2方向における弾性率よりも2倍以上小さくなるように形成されても良い。
【0012】
この場合には、振動発生部で発生した振動を利用して、可動プレートをより積極的に第1方向に沿って振動させることができる。
【0013】
(3)前記第1方向及び前記第2方向は、互いに直交し合う関係であっても良い。
【0014】
この場合には、弾性変形し易い第1方向と、弾性変形し難い第2方向とが互いに直交し合うように弾性支持体が形成されているので、さらに第1方向に沿うように可動プレートを直線的に振動させることができる。
【0017】
)前記振動発生部は、前記第2方向に対して前記回転軸線が平行となるように前記可動プレートに組み合わされても良い。
【0018】
この場合には、重錘を第2方向に平行な回転軸線回りに回転させることで振動を発生させることができるので、積極的に第1方向に振動するような振動を可動プレートに対して伝えることができる。そのため、可動プレートをより効率良く第1方向に振動させ易い。
【0019】
)前記弾性支持体は、前記可動プレートに対して直交する第3方向における弾性率が、前記第1方向における弾性率よりも大きくなるように形成されても良い。
【0020】
この場合には、弾性支持体は、第3方向における弾性率が第1方向における弾性率よりも大きいので、第1方向よりも第3方向に弾性変形し難い。そのため、重錘を第2方向に平行な回転軸線回りに回転させることで振動を発生させた際、可動プレートの面内方向に対して直交する第3方向よりも、第1方向に沿って可動プレートをより積極的に振動させることができる。従って、可動プレートをさらに効率良く第1方向に振動させ易い。
【0021】
)前記弾性支持体は、前記可動プレートに対して直交する第3方向における弾性率が、前記第2方向における弾性率よりも小さくなるように形成されても良い。
【0022】
この場合には、弾性支持体は、第3方向における弾性率が第2方向における弾性率よりも小さいので、重錘を第2方向に平行な回転軸線回りに回転させることで振動を発生させた際、可動プレートの面内方向に対して直交する第3方向に対しても、第1方向と同様に可動プレートを積極的に振動させることができる。従って、例えば操作者の指先に対して、力学的な操作感覚をより強く、且つより疑似的に作用させることができ、指先に対してクリック感を与えるかのような触感をさらに効果的に与えるような使い方を行える。
【0023】
)前記振動発生部は、前記重錘を有し、前記回転軸線回りに回転可能に配置されたロータと、前記ロータを回転可能に支持するステータと、を備えても良い。
【0024】
この場合には、振動発生部をいわゆる回転型の振動モータとして、簡便に構成することができる。
【0025】
)本発明に係る触感提示装置は、前記振動発生装置と、前記固定部材及び前記振動発生部を内部に収容すると共に、前記可動プレートが変位可能に組み合わされるケーシングと、前記ケーシング内に収容され、前記可動プレートを通じて情報を表示する表示パネルと、を備え、前記可動プレートは、指先で操作可能とされ、前記ケーシング内には、前記可動プレートの操作に応じて前記表示パネルの表示を制御する制御部が収容されていることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る触感提示装置によれば、可動プレートを指先で操作可能な例えばタッチパネルとして利用することができる。そして、表示パネルに表示された情報を視認しながら、可動プレートを指先で操作するときに、ケーシングの内部に収容された振動発生部からの振動を利用して可動プレートを第1方向に振動させることができる。そのため、可動プレートに触れた指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、指先に対してクリック感を与えるような触感を与えることができる。
従って、使い勝手に優れた触感提示装置とすることができ、例えば車載用途(カーナビゲーション装置等)、或いは操作者に装着或いは操作者が所持した状態で使用するようなウエラブル用途(スマートフォンやスマートウォッチ等の携帯情報端末等)として好適に利用することができる。さらに、触感提示装置を携帯情報端末等として利用した場合には、操作者の操作とは別に必要に応じて振動発生装置を振動させることで、例えば電話やメールの着信等を操作者に報知することも可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができ、可動プレートの第1方向に沿った振動を利用して、例えば操作者の指先に対して触感を効果的に与えるような使い方を行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るカーナビゲーション装置(触感提示装置)の第1実施形態を示す外観正面図である。
図2図1に示すA-A線に沿ったカーナビゲーション装置の縦断面図である。
図3図2に示す振動発生部の周辺を拡大した縦断面図である。
図4】本発明に係るカーナビゲーション装置(触感提示装置)の第2実施形態を示す外観正面図である。
図5図4に示すB-B線に沿ったカーナビゲーション装置の縦断面図である。
図6図5に示す振動発生部の周辺を拡大した縦断面図である。
図7図6に示す振動発生部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、触感提示装置として、車載用のカーナビゲーション装置を例に挙げて説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態のカーナビゲーション装置1は、車両VにおけるインストルメントパネルPに取り付けられている。具体的には、カーナビゲーション装置1は、インストルメントパネルPのうち運転席と助手席との間に一体的に組み込まれるように取り付けられている。ただし、カーナビゲーション装置1の位置及び固定方法等は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0031】
図1及び図2に示すように、カーナビゲーション装置1は、タッチパネル2を有する振動発生装置3と、タッチパネル2が変位可能に組み合わされるケーシング4と、ケーシング4内に収容され、タッチパネル2を通じて情報を表示する表示パネル5と、ケーシング4内に収容され、タッチパネル2の操作に応じて表示パネル5の表示を制御する制御部6と、を備えている。
【0032】
本実施形態では、ケーシング4の平面視で互いに直交する2方向を第1方向L1及び第2方向L2という。よって、第1方向L1及び第2方向L2は、ケーシング4の厚さ方向である第3方向L3に対して直交する直交方向となる。
なお、カーナビゲーション装置1は車両VのインストルメントパネルPに組み込まれているので、図1に示すように、第3方向L3は車両Vの前後方向に相当し、第1方向L1は車両Vの左右方向に相当し、第2方向L2は車両Vの上下方向に相当する。
【0033】
図1及び図2に示すように、ケーシング4は、底壁部4a及び周壁部4bを有し、第1方向L1に沿った長さが第2方向L2に沿った長さよりも長い平面視矩形状に形成されていると共に、厚みの薄い有底筒状に形成されている。これにより、ケーシング4には、車両Vの車室側に開口した収容空間10が形成されている。
【0034】
収容空間10は、第1方向L1に沿った長さが、ケーシング4における第1方向L1に沿った長さよりも短く形成されている。そのため、ケーシング4には、車室側を向いたボタン設置面11が形成されている。ただし、ボタン設置面11は必須なものではなく、具備しなくても構わない。また、ケーシング4は一部品である必要がなく、例えば複数の部品を一体に組み合わせて構成しても構わない。
【0035】
振動発生装置3は、固定部材20と、固定部材20に対して相対変位可能に配置され、指先で操作されるタッチパネル(本発明に係る可動プレート)2と、固定部材20とタッチパネル2との間に設けられ、タッチパネル2を弾性変形可能に支持する複数の板ばね部材(本発明に係る弾性支持体)21と、表示パネル5を介してタッチパネル2に組み合わされ、タッチパネル2に対して振動を与える振動発生部22と、を備えている。
【0036】
タッチパネル2は、ケーシング4の収容空間10を塞ぐように、ケーシング4に対して一体的に組み合わされている。
この際、タッチパネル2は、第1方向L1及び第2方向L2で画成される自身の面内方向に変位可能にケーシング4に対して組み合わされている。具体的には、タッチパネル2は、ケーシング4に対して第1方向L1に相対変位可能にケーシング4に対して組み合わされている。従って、タッチパネル2とケーシング4との間には、第1方向L1において、タッチパネル2の第1方向L1の変位を許容するための僅かな隙間が確保されている。
【0037】
タッチパネル2は、合成樹脂材或いはガラス材で形成された薄型の透明パネルであって、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式等の公知の接触検知機能を具備している。これにより、タッチパネル2は、指先で触れた箇所を検知することが可能とされている。なお、タッチパネル2のうち車室側を向いた面は、操作者の指先等によって操作される操作面2a、いわゆる触感提示面とされている。
このように構成されたタッチパネル2は、少なくとも指先による操作時に、振動発生部22からの振動によって瞬間的に第1方向L1に振動するように構成されている。
【0038】
表示パネル5は、タッチパネル2に対して重なるように収容空間10内に配置されている。表示パネル5は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置であって、タッチパネル2を通じて各種の情報を表示可能としている。これにより、表示パネル5に表示された各種情報に対応して、タッチパネル2を指先で触れることで、触れた場所に対応する操作内容に基づいた入力信号(指令信号)が制御部6に送られる。
【0039】
特に表示パネル5は、GUI(Graphical User Interface)を有し、各種情報を表示するだけでなく、図示しない複数の仮想ボタンを少なくとも表示することが可能とされている。なお、表示パネル5は、仮想ボタン以外の表示内容として、例えば各種ウインドウ、メニュー等を表示することも可能である。
これにより操作者は、タッチパネル2を指先で触れて所望する仮想ボタンの入力操作を行うことが可能とされている。これにより、入力操作した仮想ボタンに対応する操作内容に基づいた入力信号が制御部6に送られる。
【0040】
なお、本実施形態の表示パネル5は、タッチパネル2に一体的に組み合わされており、タッチパネル2に伴って、第1方向L1に変位可能とされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、表示パネル5を変位不能に収容空間10に配置し、タッチパネル2だけを第1方向L1に変位させても構わない。
【0041】
図2に示すように、ケーシング4の収容空間10内には、制御部6が実装された制御基板30が収容されている。制御基板30は、両面に図示しない回路パターンが形成された例えばプリント基板とされ、図示しない支持部材によって収容空間10内に安定的に支持されている。
【0042】
制御部6は、カーナビゲーション装置1を総合的に制御するCPU等であって、上述のように制御基板30に実装されている。特に制御部6は、タッチパネル2の操作に伴う上記入力信号に基づいて、表示パネル5の表示を制御している。さらに制御部6は、タッチパネル2の操作に基づいて振動発生部22を作動させて、タッチパネル2に与える振動の発生タイミング等を制御している。
【0043】
さらにカーナビゲーション装置1は、カーナビゲーション装置1を機能させるための各種電子部品を備えている。
例えばカーナビゲーション装置1は、車両Vの位置を検出(測位)する位置検出部、外部との無線通信を行う通信部、メモリ部、複数の操作スイッチ31(図1参照)、音声をスピーカから出力する音声出力部、地図データを記憶する地図データベース部等を主に備えている。このうち、位置検出部、通信部、メモリ部、音声出力部、地図データベース部は、制御基板30に実装された状態で収容空間10内に収容されている。
なお、図2では、これら位置検出部、通信部、メモリ部、音声出力部、地図データベース部の図示を省略している。
【0044】
位置検出部は、例えば地磁気センサ、ジャイロセンサ及び車速センサ等を備え、人工衛星からの送信電波に基づいて車両Vの位置を検出するGPS機能を具備している。これにより、制御部6は、位置検出部からの検出結果に基づいて車両Vの現在位置、進行方向、速度、走行距離等を検出することが可能とされている。さらに制御部6は、車両Vの現在位置及び地図データベース部に記憶された地図データ等に基づいて、車両Vの現在位置及び進行方向を車両Vの周辺の道路地図に重ね合わせた状態で表示パネル5に表示させることが可能とされている。
【0045】
さらに制御部6は、通信部を介して入出した情報に基づいて、例えば道路交通情報(渋滞情報、事故情報等)、周辺の施設情報等を、車両Vの周辺の道路地図に重ね合わせた状態で表示パネル5に表示させることも可能とされている。
【0046】
図1に示すように、複数の操作スイッチ31は、ケーシング4におけるボタン設置面11に配置され、車室側に露出している。これにより操作者は、必要に応じて操作スイッチ31を指先で押圧するように入力操作することが可能とされ、例えば表示パネル5の画面切り換えや、カーナビゲーション装置1としての各種機能を選択、実行等することが可能とされている。
【0047】
図2に示すように、固定部材20は、例えば制御基板30の周囲を囲む平面視枠状に形成され、ケーシング4の底壁部4a及び周壁部4bに対して一体的に形成されている。ただし、固定部材20の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えばケーシング4の底壁部4aから表示パネル5に向かって突出するように形成され、タッチパネル2及び表示パネル5の四隅に対して第3方向L3に向かい合うように4つ形成しても構わない。
なお、固定部材20のうち表示パネル5側を向いた端面は、平坦な固定面20aとされている。
【0048】
板ばね部材21は、固定部材20と表示パネル5との間に配置され、表示パネル5を介してタッチパネル2を第1方向L1に弾性変形可能に支持している。
本実施形態の板ばね部材21は、図1及び図2に示すように、第1方向L1に沿った長さが第2方向L2に沿った長さよりも短い板片状に形成され、表示パネル5の四隅に対して第3方向L3に向かい合うように、第1方向L1及び第2方向L2に間隔をあけて4つ配置されている。
各板ばね部材21は、一端部側が固定部材20における固定面20aに連結され、他端部側が表示パネル5に連結されている。これにより、板ばね部材21は、表示パネル5を介してタッチパネル2を第1方向L1に変位可能に支持している。
【0049】
ただし、板ばね部材21は、表示パネル5と固定部材20との間に配置される場合に限定されるものではない。例えば先に述べたように、表示パネル5を変位不能に収容空間10に配置し、且つタッチパネル2だけを第1方向L1に変位可能に構成した場合には、タッチパネル2を支持するように板ばね部材21を構成すれば良い。さらには、板ばね部材21を、例えばケーシング4の底壁部4a、或いは制御基板30に連結させても構わない。この場合には、ケーシング4或いは制御基板30が固定部材として機能する。
【0050】
特に板ばね部材21は、第1方向L1における弾性率(ばね定数)が、第2方向L2における弾性率(ばね定数)よりも小さくなるように形成されている。つまり、板ばね部材21は、第1方向L1の剛性の方が第2方向L2の剛性よりも低く形成されており、弾性率の違いによってタッチパネル2を第1方向L1に積極的に変位可能に支持している。
【0051】
振動発生部22は、表示パネル5における中央部に取り付けられている。これにより、振動発生部22は、表示パネル5を介してタッチパネル2に一体的に組み合わされていると共に、発生した振動を、表示パネル5を介してタッチパネル2に伝えることが可能とされている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば先に述べたように、表示パネル5を変位不能に収容空間10に配置し、且つタッチパネル2だけを第1方向L1に変位可能に構成した場合には、振動発生部22をタッチパネル2に取り付けるように構成すれば良い。なお、図1及び図2では、振動発生部22の図示を簡略化している。
【0052】
図3に示すように、振動発生部22は、回転軸線O回りに回転可能で、且つ重心が回転軸線Oに対して偏心した重錘40を有する、いわゆる回転型の振動モータとされている。具体的には、振動発生部22は、ステータ41及びロータ42を有する、コイン型のブラシレスモータとされている。
【0053】
振動発生部22は、第3方向L3に対して回転軸線Oが平行となるように、表示パネル5に取り付けられている。なお、第3方向L3から見た平面視で、回転軸線Oに交差する方向を径方向といい、回転軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0054】
ロータ42は、軸受部50と、バックヨーク51と、磁石52と、重錘40とを備えている。
軸受部50は、例えば含油軸受等の円筒状に形成された滑り軸受とされ、回転軸線Oと同軸に配置されている。ただし、軸受部50は、滑り軸受に限定されるものではなく、例えば内輪と外輪との間にボールが転動可能に保持されたボール軸受等で構成されていても構わない。なお、軸受部50における挿通孔50a内には、後述するシャフト61が挿通されている。
【0055】
バックヨーク51は、回転軸線Oを中心として円環状に形成されると共に、回転軸線Oと同軸に配置されたヨーク本体51aと、ヨーク本体51aにおける内周縁部から回転軸線Oに沿って表示パネル5側に向けて延びる嵌合筒部51bと、ヨーク本体51aにおける外周縁部から径方向の外側に向けて延びる取付プレート51cと、を備え、これらが一体形成されている。
【0056】
嵌合筒部51bは、円筒状に形成され、軸受部50に対して嵌合固定されている。これにより、バックヨーク51の全体は、軸受部50と共に回転軸線Oを中心として回転可能とされている。取付プレート51cは、ヨーク本体51aにおける外周縁部の一部から径方向の外側に向かって延びている。なお、取付プレート51cは、重錘40の形状に対応して形成され、例えば中心角が約180°の扇状に形成されている。
【0057】
磁石52は、バックヨーク51におけるヨーク本体51aに対して取り付けられている。この際、磁石52は、軸受部50を径方向外側から囲むようにヨーク本体51aに取り付けられている。なお、磁石52の材質としては、特に限定されるものではなく、公知の材質を用いることが可能である。
【0058】
重錘40は、バックヨーク51よりも径方向外側に配置されるように、取付プレート51cに対して取り付けられている。重錘40は、例えば回転軸線Oを中心とする扇状に形成されている。例えば重錘40は、第3方向L3から見た平面視で、中心角が例えば約180°となるように形成されている。これにより、重錘40の重心は、回転軸線Oに対して偏心している。
なお、重錘40の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば比重の高い金属材料であるタングステン等を用いることが好ましい。また、重錘40は、取付プレート51cに対して、例えば接着、溶着等によって固着されている。
【0059】
ステータ41は、ベースプレート60と、シャフト61と、コイル62と、駆動部63と、を備え、ロータ42を回転軸線O回りに回転可能に支持している。
【0060】
ベースプレート60は、第3方向L3において、磁石52を挟んでヨーク本体51aの反対側に配置され、表示パネル5に対して一体的に取り付けられている。ベースプレート60は、例えば平面視円形状に形成され、その外径はロータ42の最大外径よりも大きく形成されている。
ベースプレート60における中央部分には、例えばベースプレート60を第3方向L3に貫通するシャフト支持孔60aが回転軸線Oと同軸に形成されている。
【0061】
シャフト61は、回転軸線Oと同軸に配置され、シャフト支持孔60a内に回転不能に固定されている。これにより、シャフト61はベースプレート60によって安定に支持されている。また、シャフト61は、ベースプレート60からロータ42側に向けて延びるように形成され、軸受部50の挿通孔50a内に挿通されている。これにより、軸受部50は、シャフト61に対して相対回転可能に該シャフト61に組み合わされている。これにより、ロータ42の全体では、シャフト61によって支持されながら、回転軸線O回りに安定的に回転可能とされている。
【0062】
コイル62及び駆動部63は、ベースプレート60に取り付けられている。このうちコイル62は、ベースプレート60のうち磁石52と第3方向L3に対向する部分に取り付けられている。
駆動部63は、図示しない外部電源に電気的に接続されていると共に、コイル62に対して電気的に接続されている。さらに駆動部63は、図示しないホール素子を有し、ホール素子によって磁石52の極性を検知し、検知した極性に応じて外部電源から供給された電流を制御しながらコイル62に供給することが可能とされている。コイル62に電流が供給されることで、コイル62に磁力が発生する。そして、コイル62に発生した磁力と、磁石52の磁力との相互作用を利用して、ロータ42を回転軸線O回りに回転させることが可能となる。これにより、振動発生部22は、ロータ42の回転に伴う重錘40の遠心力を利用して、振動を発生させることが可能とされている。
なお、ホール素子に代わりホール素子を内蔵した駆動ICを駆動部63に設けても良い。この場合、磁石52の極性に応じた駆動信号をコイル62に供給するように駆動ICは機能する。
【0063】
なお、シャフト61には、軸受部50を第3方向L3に位置決めするための一対の位置決めリング64が嵌合されている。
一方の位置決めリング64は、軸受部50とベースプレート60との間に配置されるように、シャフト61に嵌合されている。他方の位置決めリング64は、軸受部50を間に挟んで位置決めリング64とは第3方向L3の反対側に位置するようにシャフト61に嵌合されている。
【0064】
これら位置決めリング64は、軸受部50に対して抵抗少なく摺接しており、軸受部50を第3方向L3に位置決めしながら軸受部50の回転を滑らかにする役割を果たしている。このような位置決めリング64の材質としては、特に限定されるものでないが、例えば機械的特性或いは耐熱性等を考慮しながら、従来からこの技術分野で用いられている各種の樹脂材料等を採用することができる。
例えば、位置決めリング64の材質としては、ポリアセタールやナイロン等の滑り性を有する合成樹脂材料、又は当該合成樹脂に例えばポリテトラフルオロエチレンや超高分子ポリエチレン等の固体潤滑剤が添加された合成樹脂等を採用することができる。
ただし、位置決めリング64は、必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0065】
上述のように構成された振動発生部22は、ロータ42を内部に収容する有頂筒状の保護カバー43を有している。保護カバー43は、例えばベースプレート60に一体的に組み合わされている。ただし、保護カバー43は、必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0066】
(カーナビゲーション装置の作用)
上述のように構成された振動発生装置3を具備するカーナビゲーション装置1を使用する場合の作用について説明する。
【0067】
この場合には、図1に示すように、タッチパネル2を通じて、表示パネル5に表示された情報を視認しながら、タッチパネル2を指先で操作することで、触れた場所に対応する操作を行うことができる。これにより、カーナビゲーション装置1が有する各種機能を適宜利用することができる。
【0068】
特に、タッチパネル2を操作する際、振動発生部22からの振動を利用して、タッチパネル2を操作面2aの面内方向である第1方向L1に瞬間的に振動させることができる。そのため、タッチパネル2に触れた指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、指先に対してクリック感を与えるかのような触感を与えることができる。
【0069】
より詳細に説明する。
タッチパネル2が指先で操作されると、制御部6は図3に示す駆動部63を介してコイル62に電流を供給して、コイル62に磁力を発生させる。これにより、コイル62に発生した磁力と、磁石52の磁力との相互作用によって、ロータ42を回転軸線O回りに回転させることができ、重錘40に作用する遠心力を利用して振動を発生させることができる。
【0070】
これにより、振動発生部22で発生した振動を、表示パネル5を介してタッチパネル2に伝えることができる。このとき、振動発生部22は、回転軸線Oが第3方向L3に対して平行となるように取り付けられているので、タッチパネル2は操作面2aの面内方向に主に振動しようとする。
ところがタッチパネル2は、図1に示すように、第1方向L1における弾性率と第2方向L2における弾性率とが異なる板ばね部材21によって支持されているので、弾性率の違いによって、第2方向L2よりも第1方向L1に変位し易く支持されている。そのため、振動発生部22から与えられた振動を利用して、タッチパネル2を第1方向L1に積極的に振動させることができる。
【0071】
従って、例えば直進型のアクチュエータ等を利用した場合と同様に、タッチパネル2を一方向、すなわち第1方向L1に沿って振動させることができる。これにより、タッチパネル2の振動を利用して、操作者の指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、指先に対してクリック感を与えるかのような触感を与えることができる。
【0072】
特に、重錘40を回転させるだけの簡便な構成で振動発生部22を構成できるので、複雑な駆動回路及び複雑な動作制御が不要となり、振動発生部22を簡略に構成できると共に、簡略に構成できる分、コストを削減することができる。さらに、タッチパネル2を板ばね部材21で支持するだけの簡便な構成で、振動発生部22で発生した振動を利用して、タッチパネル2を第1方向L1に沿って振動させることができる。
これらのことから、振動発生装置3全体として、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができる。その結果、カーナビゲーション装置1として、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置1によれば、振動発生装置3を備えているので、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができ、タッチパネル2の第1方向L1に沿った振動を利用して、操作者の指先に対して触感を効果的に与えることができる。
【0074】
さらに本実施形態では、弾性変形し易い第1方向L1と、弾性変形し難い第2方向L2とが互いに直交し合うように板ばね部材21が形成されているので、タッチパネル2を第1方向L1に沿うように、より直線的に振動させ易い。
なお、上記実施形態において、第1方向L1における弾性率の方が第2方向L2における弾性率よりも2倍以上小さくなるように、板ばね部材21を構成しても良い。この場合には、タッチパネル2をさらに積極的に第1方向L1に沿って振動させることが可能となる。
【0075】
さらに、上記第1実施形態では第1方向L1と第2方向L2とを互いに直交する方向として説明したが、この場合に限定されるものではなく、タッチパネル2の面内方向において、第1方向L1と第2方向L2とが互いに交差し合っていれば良い。
例えば、カーナビゲーション装置1を車室側から見たときに、車両Vの左右方向に対して斜めにタッチパネル2が振動するように構成することも可能である。
【0076】
さらに、上記第1実施形態において、第1方向L1における板ばね部材21の弾性率と、タッチパネル2及び表示パネル5の重量との少なくとも2つの要因によって決定される、タッチパネル2及び表示パネル5の固有周波数が、振動発生部22の振動周波数よりも大きくなるように構成しても良い。
この場合には、タッチパネル2及び表示パネル5の固有周波数(固有振動数)が振動発生部22の振動周波数よりも大きいので、タッチパネル2及び表示パネル5の共振を抑制できると共に、振動発生部22の振動を効率良くタッチパネル2及び表示パネル5に伝えることができ、第1方向L1に沿って安定的に振動させることができる。
【0077】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0078】
第1実施形態ではタッチパネル2の操作面2aに対して直交する第3方向L3に対して回転軸線Oが平行となるように振動発生部22を構成したが、本実施形態では、第2方向L2に対して回転軸線Oが平行となるように振動発生部が構成されている。
【0079】
図4及び図5に示すように、本実施形態のカーナビゲーション装置1は、第2方向L2に対して回転軸線Oが平行となるように表示パネル5に取り付けられた振動発生部71を有する振動発生装置70を備えている。
【0080】
振動発生部71は、表示パネル5における中央部に取り付けられている。これにより、第1実施形態と同様に、振動発生部71は、表示パネル5を介してタッチパネル2に一体的に組み合わされていると共に、発生した振動を、表示パネル5を介してタッチパネル2に伝えることが可能とされている。
なお、図4及び図5では、振動発生部71の図示を簡略化している。
【0081】
図6及び図7に示すように、振動発生部71は、回転軸線O回りに回転可能で、且つ重心が回転軸線Oに対して偏心した重錘72を有する、いわゆる回転型の振動モータとされている。具体的には、振動発生部71は、ステータ73及びロータ74を有する、シリンダ型のブラシレスモータとされている。
【0082】
ステータ73は、有底筒状に形成されたステータハウジング80を有している。ステータハウジング80の内部には、図示しないマグネット、整流子及びブラシが設けられている。さらにステータハウジング80には、電力を供給するための図示しない一対のリード線が、内部から外部に向けて延出されている。
このように構成されたステータ73は、ステータハウジング80に取り付けられたスペーサ81を利用して、表示パネル5に取り付けられている。この際、ステータ73は、ロータ74の回転軸線Oが第2方向L2に対して平行になるように取り付けられている。
【0083】
ロータ74は、図示しないコイルと、コイルが巻回された図示しないコイルホルダと、コイルホルダに取り付けられた回転シャフト85と、を有する。
コイル及びコイルホルダは、ステータハウジング80内に収容されている。回転シャフト85は、回転軸線Oと同軸に配置されていると共に、ステータハウジング80内から第2方向L2に突出するように形成されている。
【0084】
重錘72は、ステータハウジング80の外側に配置された状態で、回転シャフト85に取り付けられている。重錘72は、周方向において非一様な形状に形成されており、重心が回転軸線Oに対して偏心している。これにより、振動発生部71は、ロータ74の回転に伴う重錘72の遠心力を利用して、振動を発生させることが可能とされている。
【0085】
さらに本実施形態の振動発生装置70は、第1実施形態と同様に、固定部材20と表示パネル5との間に配置され、表示パネル5を介してタッチパネル2を第1方向L1に弾性変形可能に支持する板ばね部材(本発明に係る弾性支持体)75を備えている。
【0086】
板ばね部材75は、表示パネル5の四隅に対して第2方向L2に向かい合うように、第1方向L1及び第2方向L2に間隔をあけて4つ配置されている。固定部材20は、表示パネル5の周囲を囲むように枠状に形成され、ケーシング4の周壁部4bに対して組み合わされている。
各板ばね部材75は、一端部側が固定部材20に連結され、他端部側が表示パネル5に連結されており、表示パネル5を介してタッチパネル2を面内方向に変位可能に支持している。なお、各板ばね部材75は、第1方向L1に沿った長さが第2方向L2に沿った長さよりも短い板片状に形成されている。
【0087】
特に板ばね部材75は、第1方向L1における弾性率(ばね定数)が、第2方向L2における弾性率(ばね定数)よりも小さくなるように形成され、弾性率の違いによってタッチパネル2を第1方向L1に変位可能に支持している。それに加え、本実施形態の板ばね部材75は、第3方向L3における弾性率(ばね定数)が、第1方向L1における弾性率(ばね定数)よりも大きくなるように形成され、弾性率の違いによって、タッチパネル2を第1方向L1よりも第3方向L3に変位し難く支持している。
【0088】
なお、板ばね部材75は、第1実施形態と同様に、表示パネル5と固定部材20との間に設ける場合に限定されるものではない。例えば先に述べたように、表示パネル5を変位不能に収容空間10に配置し、且つタッチパネル2だけを第1方向L1に変位可能に構成した場合には、タッチパネル2を支持するように板ばね部材75を構成すれば良い。
【0089】
(カーナビゲーション装置の作用)
上述のように構成された本実施形態のカーナビゲーション装置1であっても、ロータ74の回転軸線Oの方向が第1実施形態と異なるだけで、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
【0090】
例えば、図4に示すように、タッチパネル2が指先で操作されると、制御部6はコイル62に電流を供給して、コイル62に磁力を発生させる。これにより、コイル62に発生した磁力と、磁石52の磁力との相互作用によってロータ74を回転軸線O回りに回転させることができ、重錘72に作用する遠心力を利用して振動を発生させることができる。
【0091】
これにより、振動発生部71で発生した振動を、表示パネル5を介してタッチパネル2に伝えることができる。このとき、振動発生部71は、回転軸線Oが第2方向L2に対して平行となるように取り付けられているので、積極的に第1方向L1に振動するような振動をタッチパネル2に対して伝えることができる。
しかも、板ばね部材75は、第3方向L3における弾性率が第1方向L1における弾性率よりも大きいので、第1方向L1よりも第3方向L3に弾性変形し難い。そのため、重錘72を第2方向L2に平行な回転軸線O回りに回転させることで振動を発生させた際、タッチパネル2の操作面2aに対して直交する第3方向L3よりも、第1方向L1に沿ってタッチパネル2を積極的に振動させることができる。従って、タッチパネル2を効率良く第1方向L1に振動させることができる。
【0092】
従って、本実施形態の場合であっても、例えば直進型のアクチュエータ等を利用した場合と同様に、タッチパネル2を一方向、すなわち第1方向L1に沿って振動させることができる。これにより、タッチパネル2の振動を利用して、操作者の指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、指先に対してクリック感を与えるかのような触感を与えることができる。
【0093】
なお、上記第2実施形態では、板ばね部材75を、第3方向L3における弾性率(ばね定数)が第1方向L1における弾性率(ばね定数)よりも大きくなるように形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
【0094】
例えば、第3方向L3における弾性率(ばね定数)が第2方向L2における弾性率(ばね定数)よりも小さくなるように、板ばね部材75を形成しても構わない。
この場合において、例えば第3方向L3における弾性率(ばね定数)が第1方向L1における弾性率(ばね定数)と同一、或いは該弾性率よりも小さくなるように板ばね部材75を形成することが好ましい。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば第3方向L3における弾性率(ばね定数)が第2方向L2における弾性率よりも小さい条件を満たしていれば、第1方向L1における弾性率(ばね定数)よりも大きくても構わない。
【0095】
上述のように構成した場合、板ばね部材75は、第3方向L3における弾性率が第2方向L2における弾性率よりも小さいので、重錘72を第2方向L2に平行な回転軸線O回りに回転させることで振動を発生させた際、タッチパネル2の操作面2aに対して直交する第3方向L3に対しても、第1方向L1と同様にタッチパネル2を積極的に振動させることができる。つまり、タッチパネル2を効率良く第1方向L1及び第3の方向L3に振動させることができる。
従って、タッチパネル2を第1方向L1に沿って振動させることができると共に、指先の接触方向でもある第3の方向L3にも振動することができるので、タッチパネル2の振動を利用して、操作者の指先に対して力学的な操作感覚をより強く、且つより疑似的に作用させることができる。その結果、指先に対してクリック感を与えるかのような触感をさらに効果的に与えることが可能である。
なお、第3方向L3における弾性率(ばね定数)が第1方向L1における弾性率(ばね定数)と同一、或いは該弾性率よりも小さくなるように板ばね部材75を形成した場合には、重錘72を第2方向L2に平行な回転軸線O回りに回転させることで振動を発生させた際、タッチパネル2の操作面2aに対して直交する第3方向L3に対して、第1方向L1と同等或いはそれ以上にタッチパネル2を積極的に振動させることが可能となり、好ましい。
【0096】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0097】
例えば上記実施形態では、触感提示装置をカーナビゲーション装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、タッチ時に指先に対して物理的な操作触感を疑似的に与える各種の電子機器等に適用しても構わない。例えば、操作者に装着或いは操作者が所持した状態で使用するようなウエラブル用途等に好適に利用することができる。例えば、スマートウォッチ或いはスマートフォン等の携帯情報端末に好適に利用することができる。
【0098】
さらに上記各実施形態では、タッチパネルを可動プレートとして利用した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えばケーシング内に収容された制御基板を可動プレートとして利用しても構わないし、専用の可動プレートをケーシング内に設けても構わない。この場合には、例えば振動発生部で発生した振動によって制御基板を第1方向に振動させることで、該振動を、ケーシングを介してタッチパネルに伝えることが可能となる。従って、同様の作用効果を奏功することができる。
特に、制御基板を可動プレートとして利用する場合には、例えば、振動発生部の振動を利用して、制御基板を第3方向に積極的に振動するように構成しても構わない。
【0099】
さらに上記各実施形態では、弾性支持体の一例として板ばね部材を用いた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、方向に応じて弾性率を変化させることができれば、例えばコイルばね等であっても構わない。
【符号の説明】
【0100】
O…回転軸線
L1…第1方向
L2…第2方向
L3…第3方向
1…カーナビゲーション装置(触感提示装置)
2…タッチパネル(可動プレート)
3、70…振動発生装置
4…ケーシング
5…表示パネル
6…制御部
20…固定部材
21、75…板ばね部材(弾性支持体)
22、71…振動発生部
40、72…重錘
41、73…ステータ
42、74…ロータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7