(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】光学試験用装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
G01S7/497
(21)【出願番号】P 2019088777
(22)【出願日】2019-05-09
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】菅原 聡洋
(72)【発明者】
【氏名】増田 伸
(72)【発明者】
【氏名】桜井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】松村 英宜
(72)【発明者】
【氏名】関 孝生
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08368876(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第107688172(CN,A)
【文献】特開2001-126598(JP,A)
【文献】特開2009-257828(JP,A)
【文献】特開昭54-032349(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109655813(CN,A)
【文献】米国特許第05606409(US,A)
【文献】特表2013-519092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0234039(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102590802(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104820215(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0019154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51,
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの入射光を入射対象に与えて、該入射光が該入射対象により反射された反射光を取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置であって、
前記入射光を受ける入射光受理部と、
前記入射光受理部が前記入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を出力する光信号付与部と、
前記光信号を前記光学測定器具に向けて照射する光進行方向変化部と、
を備え、
前記光信号が前記光進行方向変化部により進行方向が変化した方向変化光信号が、前記光学測定器具に与えられ、
前記
所定の遅延時間が、
前記光学測定器具と前記入射対象との間に前記光学試験用装置を配置しないで前記光学測定器具を使用する場合の、前記光源から前記入射光が照射されてから、前記光学測定器具により前記反射光が取得されるまでの時間にほぼ等し
く、
前記光進行方向変化部が、前記光信号を、二つ以上の照射光に分岐させる、
光学試験用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学試験用装置であって、
前記入射光受理部が、前記入射光を電気信号に変換するものであり、
前記光信号付与部が、前記電気信号を前記
所定の遅延時間だけ遅延させたものを前記光信号に変換するものである、
光学試験用装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学試験用装置であって、
前記電気信号を前記
所定の遅延時間だけ遅延させる電気信号遅延部を備えた光学試験用装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学試験用装置であって、
前記電気信号遅延部における前記
所定の遅延時間が可変である、
光学試験用装置。
【請求項5】
請求項3に記載の光学試験用装置であって、
各々の前記電気信号遅延部における前記
所定の遅延時間が、それぞれ異なるものであり、
前記電気信号遅延部のうち、いずれか一つを選択して使用する、
光学試験用装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光学試験用装置であって、
前記入射光受理部が、前記入射光を電気信号に変換するものであり、
前記電気信号に基づき、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから前記
所定の遅延時間だけ経過した後、前記光信号付与部に前記光信号を出力させる出力制御部を備えた光学試験用装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光学試験用装置であって、
前記光信号付与部が、前記入射光を前記
所定の遅延時間だけ遅延させたものを前記光信号とするものである、
光学試験用装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光学試験用装置であって、
前記入射光を前記
所定の遅延時間だけ遅延させる入射光遅延部を備えた光学試験用装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光学試験用装置であって、
前記入射光遅延部が、光ファイバである、
光学試験用装置。
【請求項10】
請求項8に記載の光学試験用装置であって、
前記入射光遅延部が、多重反射セルである、
光学試験用装置。
【請求項11】
請求項8に記載の光学試験用装置であって、
前記入射光遅延部が、多重反射ファイバである、
光学試験用装置。
【請求項12】
請求項1
ないし11のいずれか一項に記載の光学試験用装置であって、
前記光信号のパワーを減衰させる減衰器を備え、
前記減衰器における減衰の程度が可変である、
光学試験用装置。
【請求項13】
請求項1
ないし11のいずれか一項に記載の光学試験用装置であって、
前記入射対象の反射率が可変である、
光学試験用装置。
【請求項14】
請求項1
ないし13のいずれか一項に記載の光学試験用装置と、
前記光学測定器具を用いた測定に関する試験を行う試験部と、
を備えた半導体試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射光を取得する器具の試験に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入射光を距離測定の対象に与えて、反射光を取得する距離測定器具が知られている。この距離測定器具と、距離測定の対象との距離が測定される(例えば、特許文献1、2および3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-15729号公報
【文献】特開2006-126168号公報
【文献】特開2000-275340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術のような距離測定器具を試験するためには、距離測定器具と、距離測定の対象とを、測定することが想定される距離だけ離して試験を行う。例えば、距離測定器具として、自動車に搭載したLiDARモジュールを想定した場合、測定することが想定される距離(以下、「想定距離」ということがある)は、おおむね200mとなる。
【0005】
しかしながら、上記のような試験によれば、距離測定器具と距離測定の対象とを、想定距離だけ実際に離さなければならないという不都合が生じる。例えば、試験のために広大な敷地(例えば、200m×200mの正方形の敷地)が必要になってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、反射光を取得する器具の試験の際に、この器具と測定対象(または、測定対象に代わるもの)との距離が長くなることの防止を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる第一の光学試験用装置は、光源からの入射光を入射対象に与えて、該入射光が該入射対象により反射された反射光を取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置であって、入射光を受ける入射光受理部と、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を入射対象に与える光信号付与部とを備え、前記光信号が前記入射対象により反射された反射光信号が、前記光学測定器具に与えられ、前記遅延時間が、前記光学測定器具を実際に使用する場合の、前記光源から前記入射光が照射されてから、前記光学測定器具により前記反射光が取得されるまでの時間にほぼ等しいように構成される。
【0008】
上記のように構成された第一の光学試験用装置によれば、光源からの入射光を入射対象に与えて、該入射光が該入射対象により反射された反射光を取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置が提供される。入射光受理部が、入射光を受ける。光信号付与部が、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を入射対象に与える。前記光信号が前記入射対象により反射された反射光信号が、前記光学測定器具に与えられる。前記遅延時間が、前記光学測定器具を実際に使用する場合の、前記光源から前記入射光が照射されてから、前記光学測定器具により前記反射光が取得されるまでの時間にほぼ等しい。
【0009】
本発明にかかる第二の光学試験用装置は、光源からの入射光を入射対象に与えて、該入射光が該入射対象により反射された反射光を取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置であって、前記入射光を受ける入射光受理部と、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を出力する光信号付与部と、前記光信号を前記光学測定器具に向けて照射する光進行方向変化部とを備え、前記光信号が前記光進行方向変化部により進行方向が変化した方向変化光信号が、前記光学測定器具に与えられ、前記遅延時間が、前記光学測定器具を実際に使用する場合の、前記光源から前記入射光が照射されてから、前記光学測定器具により前記反射光が取得されるまでの時間にほぼ等しいように構成される。
【0010】
上記のように構成された第二の光学試験用装置によれば、光源からの入射光を入射対象に与えて、該入射光が該入射対象により反射された反射光を取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置が提供される。入射光受理部が、前記入射光を受ける。光信号付与部が、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を出力する。光進行方向変化部が、前記光信号を前記光学測定器具に向けて照射する。前記光信号が前記光進行方向変化部により進行方向が変化した方向変化光信号が、前記光学測定器具に与えられる。前記遅延時間が、前記光学測定器具を実際に使用する場合の、前記光源から前記入射光が照射されてから、前記光学測定器具により前記反射光が取得されるまでの時間にほぼ等しい。
【0011】
なお、本発明にかかる第二の光学試験用装置は、前記光進行方向変化部が、前記光信号を、二つ以上の照射光に分岐させるようにしてもよい。
【0012】
本発明にかかる第三の光学試験用装置は、光源からの入射光を入射対象に与えて、該入射光が該入射対象により反射された反射光を取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置であって、前記入射光を受ける入射光受理部と、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を前記光学測定器具に与える光信号付与部とを備え、前記遅延時間が、前記光学測定器具を実際に使用する場合の、前記光源から前記入射光が照射されてから、前記光学測定器具により前記反射光が取得されるまでの時間にほぼ等しいように構成される。
【0013】
上記のように構成された第三の光学試験用装置によれば、光源からの入射光を入射対象に与えて、該入射光が該入射対象により反射された反射光を取得する光学測定器具を試験する際に使用する光学試験用装置が提供される。入射光受理部が、前記入射光を受ける。光信号付与部が、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を前記光学測定器具に与える。前記遅延時間が、前記光学測定器具を実際に使用する場合の、前記光源から前記入射光が照射されてから、前記光学測定器具により前記反射光が取得されるまでの時間にほぼ等しい。
【0014】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記入射光受理部が、前記入射光を電気信号に変換するものであり、前記光信号付与部が、前記電気信号を前記遅延時間だけ遅延させたものを前記光信号に変換するものであるようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記電気信号を前記遅延時間だけ遅延させる電気信号遅延部を備えるようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記電気信号遅延部における前記遅延時間が可変であるようにしてもよい。
【0017】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、各々の前記電気信号遅延部における前記遅延時間が、それぞれ異なるものであり、前記電気信号遅延部のうち、いずれか一つを選択して使用するようにしてもよい。
【0018】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記入射光受理部が、前記入射光を電気信号に変換するものであり、前記電気信号に基づき、前記入射光受理部が前記入射光を受けてから前記遅延時間だけ経過した後、前記光信号付与部に前記光信号を出力させる出力制御部を備えるようにしてもよい。
【0019】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記光信号付与部が、前記入射光を前記遅延時間だけ遅延させたものを前記光信号とするものであるようにしてもよい。
【0020】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記入射光を前記遅延時間だけ遅延させる入射光遅延部を備えるようにしてもよい。
【0021】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記入射光遅延部が、光ファイバであるようにしてもよい。
【0022】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記入射光遅延部が、多重反射セルであるようにしてもよい。
【0023】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記入射光遅延部が、多重反射ファイバであるようにしてもよい。
【0024】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記光信号のパワーを減衰させる減衰器を備え、前記減衰器における減衰の程度が可変であるようにしてもよい。
【0025】
なお、本発明にかかる第一、第二および第三の光学試験用装置は、前記入射対象の反射率が可変であるようにしてもよい。
【0026】
なお、本発明にかかる半導体試験装置は、第一、第二および第三の光学試験用装置のいずれかと、前記光学測定器具を用いた測定に関する試験を行う試験部とを備えるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(
図1(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(
図1(b))である。
【
図2】本発明の第一の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態の第一変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態の第二変形例にかかる光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(
図4(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(
図4(b))である。
【
図5】本発明の第二の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】本発明の第三の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】本発明の第三の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】本発明の第四の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】本発明の第五の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図11】本発明の第六の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図12】本発明の第七の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図13】本発明の第八の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図14】本発明の第九の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図15】本発明の第十の実施形態にかかる半導体試験装置10の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0029】
第一の実施形態
図1は、光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(
図1(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(
図1(b))である。
図2は、本発明の第一の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
図1(a)を参照して、実際の使用態様において、光学測定器具2は、光源2a(
図2参照)からの入射光を入射対象4に与える。入射光は入射対象4により反射されて反射光となり、光学測定器具2の受光部2b(
図2参照)により取得される。光学測定器具2は、例えば、LiDARモジュールであり、光学測定器具2と入射対象4との間の距離D1を測定するために使用される。なお、光学測定器具2をLiDARモジュールとした場合、距離D1は例えば200mである。
【0031】
距離D1の測定のための工程としては、(1)光源2aから入射光が照射されてから、光学測定器具2により反射光が取得されるまでの時間を測定すること、(2)(1)において測定された時間に光速を乗じて1/2倍して距離D1を求めること、が考えられる。ただし、本発明の実施形態においては、上記(1)および(2)の工程は、光学測定器具2とは別のモジュール(
図15参照)で行われるものとする。
【0032】
なお、入射対象4は、一例として、反射板である。
【0033】
図1(b)を参照して、光学試験用装置1が、光学測定器具2を試験する際に使用される。試験は、例えば、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できるか否かの検証を行うものである。
【0034】
試験の際の使用態様において、光学試験用装置1は、光学測定器具2と入射対象4との間に配置されている。光学測定器具2と入射対象4との間の距離D2は、距離D1よりも極めて小さく、例えば1mである。
【0035】
光学測定器具2の光源2a(
図2参照)からの入射光は光学試験用装置1に与えられ、光信号が入射対象4に与えられる。光信号は入射対象4により反射されて反射光信号となり、光学試験用装置1を通過して、光学測定器具2の受光部2b(
図2参照)により取得される。
【0036】
なお、光学試験用装置1および光学測定器具2は恒温槽に入れるようにしてもよい(他の実施形態も同様)。
【0037】
図2を参照して、第一の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器(入射光受理部)1a、可変遅延素子(電気信号遅延部)1b、レーザーダイオード(光信号付与部)1c、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1gを備える。
【0038】
光検出器(入射光受理部)1aは、入射光を受け、電気信号に変換する。光検出器1aは、例えば、フォトディテクタである。
【0039】
可変遅延素子(電気信号遅延部)1bは、光検出器1aの出力した電気信号を、所定の遅延時間だけ遅延させるものである。ただし、遅延時間は、光学測定器具2を実際に使用する場合(
図1(a)参照)の、光源2aから入射光が照射されてから、光学測定器具2により反射光が取得されるまでの時間(すなわち、2×D1/c)にほぼ等しい。ただし、cは光速である。なお、D1が200mの場合、2×D1/cはおよそ1332ナノ秒となる。
【0040】
ただし、遅延時間は、2×D1/cであってもよい(「ほぼ」等しいに含まれる)。また、遅延時間は、2×(D1-D2)/cであってもよい。遅延時間が、2×(D1-D2)/cであれば、2×D1/cとは異なるが、D2はD1よりも極めて小さいので、遅延時間は2×D1/cと「ほぼ」等しい。
【0041】
なお、可変遅延素子(電気信号遅延部)1bにおける遅延時間は可変である。これにより、光学測定器具2を実際に使用する場合の距離D1の変更に対応できる。
【0042】
レーザーダイオード(光信号付与部)1cは、可変遅延素子1bの出力(すなわち、光検出器1aの出力した電気信号を、所定の遅延時間だけ遅延させたもの)を光信号(例えば、レーザ光)に変換するものである。ただし、レーザーダイオード1cと可変遅延素子1bとの間にドライバ回路(図示省略)を接続し、ドライバ回路を介して、可変遅延素子1bの出力をレーザーダイオード1cに与えるようにしてもよい。この際、ドライバ回路は、可変遅延素子1bの出力電流を増幅させて、レーザーダイオード1cの駆動に充分な大きさの電流として、レーザーダイオード1cに与える。この場合でも、レーザーダイオード1cが、可変遅延素子1bの出力を光信号に変換していることに変わりはない(第二および第三の実施形態も同様)。これにより、レーザーダイオード1cは、光検出器1aが入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、光信号を入射対象4に与えることができる。なお、光検出器1aが入射光を受けてから、電気信号が可変遅延素子1bに与えられるまでの時間は、ほぼ0であることに留意されたい。
【0043】
レンズ1dは、レーザーダイオード1cの出力する光信号を受ける凸レンズである。
【0044】
減衰器1eは、レンズ1dを透過した光信号のパワーを減衰させて、ガルバノミラー1fに与える。この減衰の程度は可変である。光信号のパワーを減衰させることで、光学測定器具2の光源2aから出力される入射光のパワーが低い場合を模した試験を行うことが可能となる。
【0045】
ガルバノミラー1fは、減衰器1eの出力を受け、入射対象4のほぼ中央に、光信号を与える。光信号は入射対象4により反射されて反射光信号となる。
【0046】
ガルバノミラー1gは、反射光信号の光路を受光部2bに向かうものに変えながら、反射光信号を通過させ、光学測定器具2の受光部2bに与える。
【0047】
なお、ガルバノミラー1f、1gを使用しないで、減衰器1eを、直交する2軸方向(XY方向)に移動可能なステージまたは入射対象4に対する角度が変えられるステージに載せることも考えられる。
【0048】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0049】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、光学試験用装置1を、光学測定器具2と入射対象4との間に配置する(
図1(b)参照)。
【0050】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光検出器1aに与えられる。入射光は、光検出器1aにより電気信号に変換され、可変遅延素子1bに与えられる。電気信号は、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ遅延されて、レーザーダイオード1cに与えられる。可変遅延素子1bの出力が、レーザーダイオード1cにより、光信号に変換される。光信号は、レンズ1d、減衰器1eおよびガルバノミラー1fを通過して、入射対象4のほぼ中央に与えられる。光信号は入射対象4により反射されて反射光信号となる。
【0051】
反射光信号の光路は、ガルバノミラー1gによって受光部2bに向かうものに変えられる。反射光信号は、ガルバノミラー1gを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0052】
第一の実施形態によれば、レーザーダイオード(光信号付与部)1cによって、光検出器(入射光受理部)1aが入射光を受けてから所定の遅延時間(光学測定器具2を実際に使用する場合(
図1(a)参照)の、光源2aから入射光が照射されてから、光学測定器具2により反射光が取得されるまでの時間にほぼ等しい)(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ経過した後、光信号が入射対象4に与えられる。これにより、光学測定器具2の試験の際に、光学測定器具2と測定対象4との距離D2(
図1(b)参照)を、光学測定器具2の使用が想定される状況下(距離D1:
図1(a)参照)よりも短くすることができるので、距離D2が長くなることの防止を図ることができる。
【0053】
もし、光学試験用装置1を配置しないで、光学測定器具2と入射対象4との間を距離D2だけ離して配置すれば、光源2aから入射光が照射されてから、光学測定器具2により反射光が取得されるまでの時間は、2×D2/c(ほぼ0)となる。よって、光学測定器具2と入射対象4との間の距離の測定結果はD2となってしまう。これでは、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験にならない。
【0054】
しかし、光学試験用装置1を、光学測定器具2と入射対象4との間に配置すれば(
図1(b)参照)、光学試験用装置1内で2×D1/cにほぼ等しい遅延時間だけ遅延が生じる。これにより、光源2aから入射光が照射されてから、光学測定器具2により反射光が取得されるまでの時間Δtは、2×D1/cにほぼ等しくなる。例えば、遅延時間が2×D1/cの場合は、Δt=2×D1/c+2×D2/cとなるが、D2はD1よりも極めて小さいので、2×D2/cは無視できるため、Δt=2×D1/cとなる。また、遅延時間が2×(D1-D2)/cの場合は、Δt=2×(D1-D2)/c+2×D2/c=2×D1/cとなる。いずれにせよ、Δt=2×D1/cから、光学測定器具2と入射対象4との間の距離の測定結果はD1となるので、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うことができる。
【0055】
なお、第一の実施形態にかかる光学試験用装置1には、以下のような変形例が考えられる。
【0056】
第一変形例
図3は、本発明の第一の実施形態の第一変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0057】
本発明の第一の実施形態の第一変形例にかかる光学試験用装置1は、第一の実施形態における可変遅延素子1bにかえて、遅延素子1b-1、1b-2を備える。
【0058】
遅延素子1b-1、1b-2は、遅延時間が、それぞれ異なるものであり(ただし、遅延時間は可変ではなく一定である)、これらのうち、いずれか一つを選択して使用する。
図3の例では、遅延素子1b-1を選択して使用している。
図3の例では、光学測定器具2を実際に使用する場合の距離D1が2種類ある場合に対応可能である。
【0059】
なお、第一変形例にかかる光学試験用装置1において、遅延素子の個数は2個に限らず、3個以上あってもかまわない。ただし、レーザーダイオード1cの入力側にドライバ回路(図示省略)を接続し、ドライバ回路を介して、遅延素子1b-1または遅延素子1b-2の出力をレーザーダイオード1cに与えるようにしてもよい。この際、ドライバ回路は、遅延素子1b-1または遅延素子1b-2の出力電流を増幅させて、レーザーダイオード1cの駆動に充分な大きさの電流として、レーザーダイオード1cに与える。この場合でも、レーザーダイオード1cが、遅延素子1b-1または遅延素子1b-2の出力を光信号に変換していることに変わりはない(第二および第三の実施形態の変形例も同様)。
【0060】
第二変形例
図4は、本発明の第一の実施形態の第二変形例にかかる光学測定器具2の実際の使用態様を示す図(
図4(a))、光学測定器具2の試験の際の使用態様を示す図(
図4(b))である。
【0061】
本発明の第一の実施形態の第二変形例にかかる光学試験用装置1は、入射対象4が平板であることが、第一の実施形態と異なる。なお、第二変形例における入射対象4は、反射率が可変であるようにしてもよい。例えば、入射対象4に液晶を用い、色を変えることで、反射率が可変となる。
【0062】
なお、この第二変形例と同様な変形例が、第四および第七の実施形態においても考えられる。
【0063】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる光学試験用装置1は、入射対象4に代えてカプラ(光進行方向変化部)5を使用する点が、第一の実施形態と異なる。
【0064】
第二の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様および試験の際の使用態様は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する(
図1参照、ただし、入射対象4に代えてカプラ5を使用する)。ただし、カプラ5は、光学試験用装置1に含まれるものとする(
図5参照)。
【0065】
図5は、本発明の第二の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。第二の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器(入射光受理部)1a、可変遅延素子(電気信号遅延部)1b、レーザーダイオード(光信号付与部)1c、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1g、カプラ(光進行方向変化部)5を備える。カプラ5は、入力端5a、分岐部5b、出力端5p、5qを有する。以下、第一の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
光検出器(入射光受理部)1a、可変遅延素子(電気信号遅延部)1b、レンズ1dおよび減衰器1eは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0067】
レーザーダイオード(光信号付与部)1cは、第一の実施形態とほぼ同様であるが、光信号を出力してカプラ5に与える点が第一の実施形態と異なる。
【0068】
ガルバノミラー1fは、第一の実施形態とほぼ同様であるが、光信号を、カプラ5の入力端5aに与える点が第一の実施形態と異なる。光信号は、分岐部5bにより、二つ以上の照射光に分岐され、それぞれ、出力端5p、5qから出力される。出力端5p、5qから出力された光を、方向変化光信号という。方向変化光信号は、光信号がカプラ5により進行方向が変化したものであり、カプラ5により光学測定器具2に向かって照射されるものである。
【0069】
ガルバノミラー1gは、方向変化光信号の光路を受光部2bに向かうものに変えながら、方向変化光信号を通過させ、光学測定器具2の受光部2bに与える。
【0070】
なお、ガルバノミラー1gと出力端5pとを結ぶ線分と、ガルバノミラー1gと出力端5qとを結ぶ線分とがほぼ同一視できる程度に、ガルバノミラー1gと出力端5p、5qとの距離は長い。よって、出力端5pから出力された方向変化光信号の光路と、出力端5qから出力された方向変化光信号の光路とが、ガルバノミラー1gの近傍においては、同一視できる。
【0071】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0072】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、カプラ5を有する光学試験用装置1を、光学測定器具2の前に配置する。
【0073】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光検出器1aに与えられる。入射光は、光検出器1aにより電気信号に変換され、可変遅延素子1bに与えられる。電気信号は、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ遅延されて、レーザーダイオード1cに与えられる。可変遅延素子1bの出力が、レーザーダイオード1cにより、光信号に変換される。光信号は、レンズ1d、減衰器1eおよびガルバノミラー1fを通過して、カプラ5の入力端5aに与えられる。光信号はカプラ5により進行方向が変化して方向変化光信号となって、出力端5p、5qから光学測定器具2に向かって照射される。
【0074】
方向変化光信号の光路は、ガルバノミラー1gによって受光部2bに向かうものに変えられる。方向変化光信号は、ガルバノミラー1gを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0075】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。すなわち、光学測定器具2の試験の際に、光学測定器具2と(測定対象4に代わる)カプラ5との距離D2(
図5参照:ただし、距離D2の長さは第一の実施形態と同様)を、光学測定器具2の使用が想定される状況下(距離D1:
図1(a)参照)よりも短くすることができるので、距離D2が長くなることの防止を図ることができる。
【0076】
なお、第二の実施形態にかかる光学試験用装置1には、以下のような変形例が考えられる。
【0077】
図6は、本発明の第二の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0078】
本発明の第二の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1は、第二の実施形態における可変遅延素子1bにかえて、遅延素子1b-1、1b-2を備える。
【0079】
遅延素子1b-1、1b-2は、遅延時間が、それぞれ異なるものであり(ただし、遅延時間は可変ではなく一定である)、これらのうち、いずれか一つを選択して使用する。
図6の例では、遅延素子1b-1を選択して使用している。
図6の例では、光学測定器具2を実際に使用する場合の距離D1が2種類ある場合に対応可能である。
【0080】
なお、この変形例にかかる光学試験用装置1において、遅延素子の個数は2個に限らず、3個以上あってもかまわない。
【0081】
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる光学試験用装置1は、入射対象4を使用しない点が、第一の実施形態と異なる。
【0082】
第三の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様は第一の実施形態と同様であり、説明を省略する(
図1(a)参照)。第三の実施形態にかかる光学測定器具2の試験の際の使用態様は、光学測定器具2と光学試験用装置1とを用いるが、反射対象4もカプラ5も用いない(
図7参照)。
【0083】
図7は、本発明の第三の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図7を参照して、第三の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器(入射光受理部)1a、可変遅延素子(電気信号遅延部)1b、レーザーダイオード(光信号付与部)1c、レンズ1d、減衰器1eを備える。
【0084】
光検出器(入射光受理部)1a、可変遅延素子(電気信号遅延部)1bおよびレンズ1dは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0085】
レーザーダイオード(光信号付与部)1cは、第一の実施形態とほぼ同様であるが、光信号を出力して光学測定器具2に与える点が第一の実施形態と異なる。
【0086】
減衰器1eは、第一の実施形態とほぼ同様であるが、光信号を光学測定器具2の受光部2bに与える点が第一の実施形態と異なる。
【0087】
次に、第三の実施形態の動作を説明する。
【0088】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、光学試験用装置1を、光学測定器具2の前に配置する。
【0089】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光検出器1aに与えられる。入射光は、光検出器1aにより電気信号に変換され、可変遅延素子1bに与えられる。電気信号は、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間だけ遅延されて、レーザーダイオード1cに与えられる。可変遅延素子1bの出力が、レーザーダイオード1cにより、光信号に変換される。光信号は、レンズ1dおよび減衰器1eを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0090】
第三の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。すなわち、光学測定器具2の試験の際に、測定対象4も(測定対象4に代わる)カプラ5も使用しないので、光学測定器具2と測定対象4(またはそれに代わるもの)との距離D2は存在せず、距離D2が長くなることの防止を図ることができる。
【0091】
なお、第三の実施形態にかかる光学試験用装置1には、以下のような変形例が考えられる。
【0092】
図8は、本発明の第三の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0093】
本発明の第三の実施形態の変形例にかかる光学試験用装置1は、第三の実施形態における可変遅延素子1bにかえて、遅延素子1b-1、1b-2を備える。
【0094】
遅延素子1b-1、1b-2は、遅延時間が、それぞれ異なるものであり(ただし、遅延時間は可変ではなく一定である)、これらのうち、いずれか一つを選択して使用する。
図8の例では、遅延素子1b-1を選択して使用している。
図8の例では、光学測定器具2を実際に使用する場合の距離D1が2種類ある場合に対応可能である。
【0095】
なお、この変形例にかかる光学試験用装置1において、遅延素子の個数は2個に限らず、3個以上あってもかまわない。
【0096】
第四の実施形態
第四の実施形態にかかる光学試験用装置1は、IC1iを使用する点が、第一の実施形態と異なる。
【0097】
第四の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様および試験の際の使用態様は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する(
図1参照)。
【0098】
図9は、本発明の第四の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。第四の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器(入射光受理部)1a、レーザーダイオード(光信号付与部)1c、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1g、カプラ1h、IC1i、ドライバ回路1jを備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
光検出器(入射光受理部)1a、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1gは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0100】
カプラ1hは、光検出器1aの出力した電気信号を、二つの信号に分岐させ、IC1iのパワー検出部1i―1および出力制御部1i-2に与える。
【0101】
IC1iは、集積回路(Integrated Circuit)であり、パワー検出部1i―1および出力制御部1i-2を有する。
【0102】
パワー検出部1i―1は、電気信号を受け、入射光のパワーが所定の範囲内であるか否かを判定する。パワー検出部1i―1は、入射光のパワーが所定の範囲内であれば、出力制御部1i-2を作動させる。出力制御部1i-2は、電気信号を受け、所定の遅延時間(第一の実施形態と同様)だけ経過した後、ドライバ回路1jを作動させる。
【0103】
ドライバ回路1jは、レーザーダイオード1cを作動させる。
【0104】
レーザーダイオード(光信号付与部)1cは、光信号(例えば、レーザ光)を出力する。
【0105】
なお、光検出器(入射光受理部)1aが入射光を受けてから出力制御部1i-2が作動するまでの時間も、ドライバ回路1jが作動してからレーザーダイオード1cが光信号を出力するまでの時間も、ほぼ0である。よって、出力制御部1i-2は、電気信号に基づき、光検出器(入射光受理部)1aが入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、レーザーダイオード(光信号付与部)1cに光信号を出力させることになる。
【0106】
次に、第四の実施形態の動作を説明する。
【0107】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、光学試験用装置1を、光学測定器具2と入射対象4との間に配置する(
図1(b)参照)。
【0108】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光検出器1aに与えられる。入射光は、光検出器1aにより電気信号に変換され、カプラ1hを介して、IC1iのパワー検出部1i―1および出力制御部1i-2に与えられる。
【0109】
パワー検出部1i―1が、電気信号を受け、出力制御部1i-2を作動させると、出力制御部1i-2が、電気信号を、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ遅延させて、ドライバ回路1jに与える。ドライバ回路1jがレーザーダイオード1cを作動させると、レーザーダイオード1cから光信号が出力される。光信号は、レンズ1d、減衰器1eおよびガルバノミラー1fを通過して、入射対象4のほぼ中央に与えられる。光信号は入射対象4により反射されて反射光信号となる。
【0110】
反射光信号の光路は、ガルバノミラー1gによって受光部2bに向かうものに変えられる。反射光信号は、ガルバノミラー1gを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0111】
第四の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。
【0112】
第五の実施形態
第五の実施形態にかかる光学試験用装置1は、IC1iを使用する点が、第二の実施形態と異なる。
【0113】
第五の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様および試験の際の使用態様は、第二の実施形態と同様であり、説明を省略する(
図1参照、ただし、入射対象4に代えてカプラ5を使用する)。ただし、カプラ5は、光学試験用装置1に含まれるものとする(
図10参照)。
【0114】
図10は、本発明の第五の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。第五の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器(入射光受理部)1a、レーザーダイオード(光信号付与部)1c、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1g、カプラ1h、IC1i、ドライバ回路1j、カプラ(光進行方向変化部)5を備える。カプラ5は、入力端5a、分岐部5b、出力端5p、5qを有する。以下、第二の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
光検出器(入射光受理部)1a、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1g、カプラ5は、第二の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0116】
カプラ1hは、光検出器1aの出力した電気信号を、二つの信号に分岐させ、IC1iのパワー検出部1i―1および出力制御部1i-2に与える。
【0117】
IC1iは、集積回路(Integrated Circuit)であり、パワー検出部1i―1および出力制御部1i-2を有する。
【0118】
パワー検出部1i―1は、電気信号を受け、入射光のパワーが所定の範囲内であるか否かを判定する。パワー検出部1i―1は、入射光のパワーが所定の範囲内であれば、出力制御部1i-2を作動させる。出力制御部1i-2は、電気信号を受け、所定の遅延時間(第一の実施形態と同様)だけ経過した後、ドライバ回路1jを作動させる。
【0119】
ドライバ回路1jは、レーザーダイオード1cを作動させる。
【0120】
レーザーダイオード(光信号付与部)1cは、光信号(例えば、レーザ光)を出力する。
【0121】
なお、光検出器(入射光受理部)1aが入射光を受けてから出力制御部1i-2が作動するまでの時間も、ドライバ回路1jが作動してからレーザーダイオード1cが光信号を出力するまでの時間も、ほぼ0である。よって、出力制御部1i-2は、電気信号に基づき、光検出器(入射光受理部)1aが入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、レーザーダイオード(光信号付与部)1cに光信号を出力させることになる。
【0122】
次に、第五の実施形態の動作を説明する。
【0123】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、カプラ5を有する光学試験用装置1を、光学測定器具2の前に配置する。
【0124】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光検出器1aに与えられる。入射光は、光検出器1aにより電気信号に変換され、カプラ1hを介して、IC1iのパワー検出部1i―1および出力制御部1i-2に与えられる。
【0125】
パワー検出部1i―1が、電気信号を受け、出力制御部1i-2を作動させると、出力制御部1i-2が、電気信号を、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ遅延させて、ドライバ回路1jに与える。ドライバ回路1jがレーザーダイオード1cを作動させると、レーザーダイオード1cから光信号が出力される。光信号は、レンズ1d、減衰器1eおよびガルバノミラー1fを通過して、カプラ5の入力端5aに与えられる。光信号はカプラ5により進行方向が変化して方向変化光信号となって、出力端5p、5qから光学測定器具2に向かって照射される。
【0126】
方向変化光信号の光路は、ガルバノミラー1gによって受光部2bに向かうものに変えられる。方向変化光信号は、ガルバノミラー1gを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0127】
第五の実施形態によれば、第二の実施形態と同様な効果を奏する。
【0128】
第六の実施形態
第六の実施形態にかかる光学試験用装置1は、IC1iを使用する点が、第三の実施形態と異なる。
【0129】
第六の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様は第一の実施形態と同様であり、説明を省略する(
図1(a)参照)。第六の実施形態にかかる光学測定器具2の試験の際の使用態様は、光学測定器具2と光学試験用装置1とを用いるが、反射対象4もカプラ5も用いない(
図11参照)。
【0130】
図11は、本発明の第六の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。第六の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器(入射光受理部)1a、レーザーダイオード(光信号付与部)1c、レンズ1d、減衰器1e、カプラ1h、IC1i、ドライバ回路1jを備える。以下、第三の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0131】
光検出器(入射光受理部)1a、レンズ1d、減衰器1eは、第三の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0132】
カプラ1hは、光検出器1aの出力した電気信号を、二つの信号に分岐させ、IC1iのパワー検出部1i―1および出力制御部1i-2に与える。
【0133】
IC1iは、集積回路(Integrated Circuit)であり、パワー検出部1i―1および出力制御部1i-2を有する。
【0134】
パワー検出部1i―1は、電気信号を受け、入射光のパワーが所定の範囲内であるか否かを判定する。パワー検出部1i―1は、入射光のパワーが所定の範囲内であれば、出力制御部1i-2を作動させる。出力制御部1i-2は、電気信号を受け、所定の遅延時間(第一の実施形態と同様)だけ経過した後、ドライバ回路1jを作動させる。
【0135】
ドライバ回路1jは、レーザーダイオード1cを作動させる。
【0136】
レーザーダイオード(光信号付与部)1cは、光信号(例えば、レーザ光)を出力する。
【0137】
なお、光検出器(入射光受理部)1aが入射光を受けてから出力制御部1i-2が作動するまでの時間も、ドライバ回路1jが作動してからレーザーダイオード1cが光信号を出力するまでの時間も、ほぼ0である。よって、出力制御部1i-2は、電気信号に基づき、光検出器(入射光受理部)1aが入射光を受けてから所定の遅延時間だけ経過した後、レーザーダイオード(光信号付与部)1cに光信号を出力させることになる。
【0138】
次に、第六の実施形態の動作を説明する。
【0139】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、光学試験用装置1を、光学測定器具2の前に配置する。
【0140】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光検出器1aに与えられる。入射光は、光検出器1aにより電気信号に変換され、カプラ1hを介して、IC1iのパワー検出部1i―1および出力制御部1i-2に与えられる。
【0141】
パワー検出部1i―1が、電気信号を受け、出力制御部1i-2を作動させると、出力制御部1i-2が、電気信号を、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間だけ遅延させて、ドライバ回路1jに与える。ドライバ回路1jがレーザーダイオード1cを作動させると、レーザーダイオード1cから光信号が出力される。光信号は、レンズ1dおよび減衰器1eを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0142】
第六の実施形態によれば、第三の実施形態と同様な効果を奏する。
【0143】
第七の実施形態
第七の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器1a、可変遅延素子1bおよびレーザーダイオード1cにかえて光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1kを使用する点が、第一の実施形態と異なる。
【0144】
第七の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様および試験の際の使用態様は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する(
図1参照)。
【0145】
図12は、本発明の第七の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。第七の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1k、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1gを備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0146】
レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1gは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0147】
光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1kは、入射光を所定の遅延時間(第一の実施形態と同様)だけ遅延させたものを光信号とする。なお、光ファイバ1kにより実現できる遅延時間は、(光ファイバ1kの屈折率)×(光ファイバ1kの長さ)/cである。距離D1が200mの場合、光ファイバ1kの長さは約270mとなり、直径10cm程度のボビンの光ファイバにより実現可能となる。
【0148】
次に、第七の実施形態の動作を説明する。
【0149】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、光学試験用装置1を、光学測定器具2と入射対象4との間に配置する(
図1(b)参照)。
【0150】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光ファイバ1kに与えられる。入射光は、光ファイバ1kにより、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ遅延されて、光信号となる。光信号は、レンズ1d、減衰器1eおよびガルバノミラー1fを通過して、入射対象4のほぼ中央に与えられる。光信号は入射対象4により反射されて反射光信号となる。
【0151】
反射光信号の光路は、ガルバノミラー1gによって受光部2bに向かうものに変えられる。反射光信号は、ガルバノミラー1gを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0152】
第七の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。
【0153】
なお、第七の実施形態においては、光ファイバ1kを用いる旨を説明したが、光ファイバ1kにかえて、多重反射セルまたは多重反射ファイバを用いてもよい。
【0154】
多重反射セルは、ヘリオットセルともいい、対向した凹面鏡を多重反射して出力するセルである。多重反射セルにより実現できる遅延時間は、(多重反射セルにおける多重反射の回数)×(多重反射セルにおける対向した凹面鏡の間隔)/cである。
【0155】
多重反射ファイバは、光ファイバの両端に反射材をコーティングしたものである。ただし、反射材は全反射するものではない。多重反射ファイバにより実現できる遅延時間T1は、2×(多重反射ファイバの屈折率)×(多重反射ファイバの長さ)/cである。多重反射ファイバの入力端に光パルスを与えると、この遅延時間T1間隔の光パルスが多重反射ファイバの出力端から出力される。
【0156】
なお、多重反射ファイバの出力端を、全反射材またはレンズ1dへ光信号を出力する部分のいずれかに接続する光スイッチを設けてもよい。光スイッチは、多重反射ファイバの入力端と全反射材との間を光が所定回数(m回)往復するまでは、出力端を全反射材に接続し、その後、出力端をレンズ1dへ光信号を出力する部分に接続する。この場合、多重反射ファイバにより実現できる遅延時間T2は、2×m×(多重反射ファイバの屈折率)×(多重反射ファイバの長さ)/cである。
【0157】
第八の実施形態
第八の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器1a、可変遅延素子1bおよびレーザーダイオード1cにかえて光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1kを使用する点が、第二の実施形態と異なる。
【0158】
第八の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様および試験の際の使用態様は、第二の実施形態と同様であり、説明を省略する(
図1参照、ただし、入射対象4に代えてカプラ5を使用する)。ただし、カプラ5は、光学試験用装置1に含まれるものとする(
図13参照)。
【0159】
図13は、本発明の第八の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。第八の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1k、レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1g、カプラ(光進行方向変化部)5を備える。カプラ5は、入力端5a、分岐部5b、出力端5p、5qを有する。以下、第二の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0160】
レンズ1d、減衰器1e、ガルバノミラー1f、1g、カプラ5は、第二の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0161】
光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1kは、入射光を所定の遅延時間(第一の実施形態と同様)だけ遅延させたものを光信号とする。なお、光ファイバ1kにより実現できる遅延時間は、(光ファイバ1kの屈折率)×(光ファイバ1kの長さ)/cである。距離D1が200mの場合、光ファイバ1kの長さは約270mとなり、直径10cm程度のボビンの光ファイバにより実現可能となる。
【0162】
次に、第八の実施形態の動作を説明する。
【0163】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、カプラ5を有する光学試験用装置1を、光学測定器具2の前に配置する。
【0164】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光ファイバ1kに与えられる。入射光は、光ファイバ1kにより、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ遅延されて、光信号となる。光信号は、レンズ1d、減衰器1eおよびガルバノミラー1fを通過して、カプラ5の入力端5aに与えられる。光信号はカプラ5により進行方向が変化して方向変化光信号となって、出力端5p、5qから光学測定器具2に向かって照射される。
【0165】
方向変化光信号の光路は、ガルバノミラー1gによって受光部2bに向かうものに変えられる。方向変化光信号は、ガルバノミラー1gを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0166】
第八の実施形態によれば、第二の実施形態と同様な効果を奏する。
【0167】
なお、第八の実施形態においては、光ファイバ1kを用いる旨を説明したが、光ファイバ1kにかえて、多重反射セルまたは多重反射ファイバを用いてもよい。
【0168】
多重反射セルは、ヘリオットセルともいい、対向した凹面鏡を多重反射して出力するセルである。多重反射セルにより実現できる遅延時間は、(多重反射セルにおける多重反射の回数)×(多重反射セルにおける対向した凹面鏡の間隔)/cである。
【0169】
多重反射ファイバは、光ファイバの両端に反射材をコーティングしたものである。ただし、反射材は全反射するものではない。多重反射ファイバにより実現できる遅延時間T1は、2×(多重反射ファイバの屈折率)×(多重反射ファイバの長さ)/cである。多重反射ファイバの入力端に光パルスを与えると、この遅延時間T1間隔の光パルスが多重反射ファイバの出力端から出力される。
【0170】
なお、多重反射ファイバの出力端を、全反射材またはレンズ1dへ光信号を出力する部分のいずれかに接続する光スイッチを設けてもよい。光スイッチは、多重反射ファイバの入力端と全反射材との間を光が所定回数(m回)往復するまでは、出力端を全反射材に接続し、その後、出力端をレンズ1dへ光信号を出力する部分に接続する。この場合、多重反射ファイバにより実現できる遅延時間T2は、2×m×(多重反射ファイバの屈折率)×(多重反射ファイバの長さ)/cである。
【0171】
第九の実施形態
第九の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光検出器1a、可変遅延素子1bおよびレーザーダイオード1cにかえて光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1kを使用する点が、第三の実施形態と異なる。
【0172】
第九の実施形態にかかる光学測定器具2の実際の使用態様は第三の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0173】
図14は、本発明の第九の実施形態にかかる光学試験用装置1の構成を示す機能ブロック図である。第九の実施形態にかかる光学試験用装置1は、光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1k、レンズ1d、減衰器1eを備える。以下、第三の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0174】
レンズ1d、減衰器1eは、第三の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0175】
光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)1kは、入射光を所定の遅延時間(第一の実施形態と同様)だけ遅延させたものを光信号とする。なお、光ファイバ1kにより実現できる遅延時間は、(光ファイバ1kの屈折率)×(光ファイバ1kの長さ)/cである。距離D1が200mの場合、光ファイバ1kの長さは約270mとなり、直径10cm程度のボビンの光ファイバにより実現可能となる。
【0176】
次に、第九の実施形態の動作を説明する。
【0177】
まず、光学測定器具2が距離D1を正確に測定できる否かの試験を行うために、光学試験用装置1を、光学測定器具2の前に配置する。
【0178】
光学測定器具2の光源2aからの入射光は、光学試験用装置1の光ファイバ1kに与えられる。入射光は、光ファイバ1kにより、2×D1/cにほぼ等しい遅延時間(例えば、2×D1/cまたは2×(D1-D2)/c)だけ遅延されて、光信号となる。光信号は、レンズ1dおよび減衰器1eを通過して、光学測定器具2の受光部2bに与えられる。
【0179】
第九の実施形態によれば、第三の実施形態と同様な効果を奏する。
【0180】
なお、第九の実施形態においては、光ファイバ1kを用いる旨を説明したが、光ファイバ1kにかえて、多重反射セルまたは多重反射ファイバを用いてもよい。
【0181】
多重反射セルは、ヘリオットセルともいい、対向した凹面鏡を多重反射して出力するセルである。多重反射セルにより実現できる遅延時間は、(多重反射セルにおける多重反射の回数)×(多重反射セルにおける対向した凹面鏡の間隔)/cである。
【0182】
多重反射ファイバは、光ファイバの両端に反射材をコーティングしたものである。ただし、反射材は全反射するものではない。多重反射ファイバにより実現できる遅延時間T1は、2×(多重反射ファイバの屈折率)×(多重反射ファイバの長さ)/cである。多重反射ファイバの入力端に光パルスを与えると、この遅延時間T1間隔の光パルスが多重反射ファイバの出力端から出力される。
【0183】
なお、多重反射ファイバの出力端を、全反射材またはレンズ1dへ光信号を出力する部分のいずれかに接続する光スイッチを設けてもよい。光スイッチは、多重反射ファイバの入力端と全反射材との間を光が所定回数(m回)往復するまでは、出力端を全反射材に接続し、その後、出力端をレンズ1dへ光信号を出力する部分に接続する。この場合、多重反射ファイバにより実現できる遅延時間T2は、2×m×(多重反射ファイバの屈折率)×(多重反射ファイバの長さ)/cである。
【0184】
第十の実施形態
図15は、本発明の第十の実施形態にかかる半導体試験装置10の構成を示す機能ブロック図である。
【0185】
第十の実施形態にかかる半導体試験装置(光学試験装置)10は、光学試験用装置1および試験部8を備える。
【0186】
光学試験用装置1は、上記の実施形態(第一の実施形態から第九の実施形態まで)のいずれか一つと同様であるので、説明を省略する。なお、
図15においては、入射対象4が図示されているが(第一、第四、第七の実施形態を参照)、入射対象4にかえてカプラ5を用いてもよいし(第二、第五、第八の実施形態を参照)、そもそも入射対象4を用いなくてもかまわない(第三、第六、第九の実施形態を参照)。
【0187】
測定モジュール6は、光学測定器具2を用いて測定を行う。測定モジュール6は、光学測定器具2に入射光を照射する指示を行い、反射光信号を受け取る。測定モジュール6は、第一の実施形態において説明したように、実際の使用態様(
図1(a)参照)においては、光学測定器具2と入射対象4との間の距離D1の測定を行う。ほかにも、測定モジュール6は、入射光と反射光信号の応答速度を測定する。
【0188】
試験部8は、光学測定器具2を用いた測定モジュール6による測定に関する試験を行う。例えば、試験部8は、入射光と反射光の応答速度の測定に関する試験および光学測定器具2と入射対象4との間の距離D1の測定の精度に関する試験を行う。なお、ほかにも、試験部8は、制御バス、電源などの機能を確認する機能確認試験、特定波長の検出効率が規定範囲内か否かを判断する検出効率試験を行う。また、試験部8は、光学測定器具2の入射光ON/OFF、入射光のパワーおよび射出角度などの制御と、光学試験用装置1の遅延時間の設定や光パワーの減衰のための減衰器1eを含む光学系の制御および入射対象4の反射率の制御を行う。
【符号の説明】
【0189】
2 光学測定器具
2a 光源
2b 受光部
4 入射対象
5 カプラ(光進行方向変化部)
5a 入力端
5b 分岐部
5p、5q 出力端
1 光学試験用装置
1a 光検出器(入射光受理部)
1b 可変遅延素子(電気信号遅延部)
1b-1、1b-2 遅延素子
1c レーザーダイオード(光信号付与部)
1d レンズ
1e 減衰器
1f、1g ガルバノミラー
1h カプラ
1i IC
1i―1 パワー検出部
1i-2 出力制御部
1j ドライバ回路
1k 光ファイバ(光信号付与部かつ入射光遅延部)
6 測定モジュール
8 試験部
10 半導体試験装置