(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20230309BHJP
A01K 85/01 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/01 A
(21)【出願番号】P 2019189332
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中道 理介
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 辰朗
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-330668(JP,A)
【文献】特開2003-204735(JP,A)
【文献】特開2004-275157(JP,A)
【文献】登録実用新案第3176180(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0264902(US,A1)
【文献】米国特許第6606815(US,B1)
【文献】特開2019-187246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 - 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが前後方向に延びる第一ハーフと第二ハーフとを備え、これらが左右方向から貼り合わされた構造を有し、内部に空洞を備えるボディと、
左右に貫通する孔を有し、上記空洞内において上記ボディに可動に取り付けられ光を放つ揺動部と、
上記孔を貫通し上記揺動部の可動範囲を制限するバーとを備え、
上記ボディが、上記揺動部からの光が外部から視認できるようになっており、
上記揺動部が、このルアーが動作状態から停止状態となった後も動くことができ、
上記バーが、上記第一ハーフから延びる片持ち構造を有し、
上記バーの端が、上記揺動部の可動範囲の外に位置するルアー。
【請求項2】
それぞれが前後方向に延びる第一ハーフと第二ハーフとを備え、これらが左右方向から貼り合わされた構造を有し、内部に空洞を備えるボディと、
左右に貫通する孔を有し、上記空洞内において上記ボディに可動に取り付けられ光を放つ揺動部と、
上記第一ハーフから上記孔を貫通して上記第二ハーフまで延び、上記揺動部の可動範囲を制限するバーとを備え、
上記ボディが、上記揺動部からの光が外部から視認できるようになっており、
上記揺動部が、このルアーが動作状態から停止状態となった後も動くことができ、
上記バーと上記第二ハーフとの継ぎ目が上記揺動部の可動範囲の外に位置するルアー。
【請求項3】
上記継ぎ目において、バーの端及び上記第二ハーフの表面が凹凸を備え、バーの凹凸と、第二ハーフの凹凸とが噛み合わされている、請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
上記バーと上記第一ハーフとの継ぎ目が上記揺動部の可動範囲の外に位置する、請求項2又は3に記載のルアー。
【請求項5】
上記揺動部が、外部からの光を受けて光を放つ、反射体、蛍光体、燐光体及び透過体のいずれかである請求項1から4のいずれかに記載のルアー。
【請求項6】
上記揺動部が、自ら光を放つ発光体である、請求項1から4のいずれかに記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに用いられるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
オオクチバス、ブリ及びその幼魚、スズキ等の大型の魚は、小魚を補食する。これら大型の魚は、フィッシュイーターと称されている。フィッシュイーターを捕獲する手段として、ルアーフィッシングが普及している。ルアーフィッシングでは、小魚等のベイトに疑似されたルアーが用いられる。ルアーは、キャストされることにより空中を飛行し、やがて着水する。ラインが巻かれることで、ルアーは水中を泳ぐ。このルアーをベイトと勘違いしたフィッシュイーターは、ルアーに食いつく。ルアーに取り付けられたフックがフィッシュイーターに刺さり、フィッシュイーターが釣り上げられる。フィッシュイーターがルアーに食いつく頻度は、ヒット率と称される。
【0003】
ヒット率を上げるため、ルアーには様々な工夫がされている。例えば、ルアーに光沢のある塗装がなされる。このルアーでは、ルアーが動いたときに、光の反射の状態が変化してフィッシュイーターにアピールする。別のルアーは、ボディ内の空間にラトルボールを有する。ルアーが動いたときにこのボールが転動して音を出し、フィッシュイーターにアピールする。ルアーを引いたときに、振動しながら泳ぐルアーも知られている。種々のルアーが、株式会社シマノ発行の「2017シマノフィッシングタックルカタログ」に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】株式会社シマノ発行の「2017シマノフィッシングタックルカタログ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ルアーフィッシングでは、釣り人は、ルアーをキャストした後、ラインを引く動作とこの引きを止める動作とを繰り返す。ルアーの引きを止めたとき、止水域や潮流及び波が少ない海域等の、水の動きがほとんどない場所では、ルアーの動きはほぼ停止する。このルアーの動きが停止した後も、フィッシュイーターにアピールできれば、ヒット率を上げることができる。
【0006】
ルアーの組み立てでは、通常、ルアーのボディを左右に分割した形状の、第一ハーフ及び第二ハーフが準備され、これらが貼り合わされる。上記のフィッシュイーターにアピールするための機構が、このルアーの組み立て性を低下させないことが重要となる。
【0007】
本発明の目的は、優れた組み立て性を有し、ルアーの動きが停止した後も、フィッシュイーターにアピールするルアーの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るルアーは、それぞれが前後方向に延びる第一ハーフと第二ハーフとを備えこれらが左右方向から貼り合わされた構造を有し内部に空洞を備えるボディと、左右に貫通する孔を有し上記空洞内において上記ボディに可動に取り付けられ光を放つ揺動部と、上記孔を貫通し上記揺動部の可動範囲を制限するバーとを備える。上記ボディは、上記揺動部からの光が外部から視認できるようになっている。上記揺動部は、このルアーが動作状態から停止状態となった後も動くことができる。上記バーは、上記第一ハーフから延びる片持ち構造を有している。上記バーの端は、上記揺動部の可動範囲の外に位置する。
【0009】
本発明に係る他のルアーは、それぞれが前後方向に延びる第一ハーフと第二ハーフとを備えこれらが左右方向から貼り合わされた構造を有し内部に空洞を備えるボディと、左右に貫通する孔を有し上記空洞内において上記ボディに可動に取り付けられ光を放つ揺動部と、上記第一ハーフから上記孔を貫通して上記第二ハーフまで延び上記揺動部の可動範囲を制限するバーとを備える。上記ボディは、上記揺動部からの光が外部から視認できるようになっている。上記揺動部は、このルアーが動作状態から停止状態となった後も動くことができる。上記バーと上記第二ハーフとの継ぎ目は、上記揺動部の可動範囲の外に位置する。
【0010】
好ましくは、上記継ぎ目において、バーの端及び上記第二ハーフの表面が凹凸を備え、バーの凹凸と、第二ハーフの凹凸とが噛み合わされている。
【0011】
好ましくは、上記バーと上記第一ハーフとの継ぎ目は、上記揺動部の可動範囲の外に位置する。
【0012】
好ましくは、上記揺動部は、外部からの光を受けて光を放つ、反射体、蛍光体、燐光体又は透過体である。
【0013】
上記揺動部が、自ら光を放つ発光体であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るルアーは、ボディの空洞内に可動に取り付けられ光を放つ揺動部、及びこの空洞内で揺動部の可動範囲を適切に制限するバーを備える。この揺動部は、このルアーが動作状態から停止状態となった後もしばらく動きうる。揺動部からの光の見え方は、このルアーが停止状態となった後も変化する。このルアーでは、ルアーの動きが停止した後も、フィッシュイーターにアピールしうる。このバーは、ボディの第一ハーフから延びる片持ち構造をしている。このバーは、第一ハーフと第二ハーフとを貼り合わせる際の、組み立て性を阻害しない。このルアーの組み立ては、容易である。このルアーでは、良好な組み立て性が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るルアーが示された側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のルアーのII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のルアーのIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のルアーにおいて揺動部が動いた状態が示された断面図である。
【
図5】
図5(A)は本発明の他の実施形態に係るルアーが示された断面図であり、
図5(B)は
図5(A)のルアーにおいて揺動部が動いた状態が示された断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施形態に係るルアーが示された断面図である。
【
図7】
図7(A)は本発明の他の実施形態に係るルアーが示された断面図であり、
図7(B)は
図7(A)のルアーにおいて揺動部が動いた状態が示された断面図である。
【
図8】
図8は、本発明のさらに他の実施形態に係るルアーの一部が示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るルアー2が示された側面図である。
図1において、矢印Xが示す方向がこのルアー2の前方であり、その反対がルアー2の後方である。矢印Zが示す方向がこのルアー2の上方であり、その反対がルアー2の下方である。紙面と垂直な方向がこのルアー2の左右方向である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図2において、矢印Yが示す方向がこのルアー2の右方向であり、その反対がルアー2の左方向である。矢印Zが示す方向がこのルアー2の上方であり、その反対がルアー2の下方である。紙面と垂直な方向がこのルアー2の前後方向である。
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図3において、矢印Xが示す方向がこのルアー2の前方であり、その反対がルアー2の後方である。矢印Zが示す方向がこのルアー2の上方であり、その反対がルアー2の下方である。紙面と垂直な方向がこのルアー2の左右方向である。
図1-3で示されるように、このルアー2は、ボディ4、揺動部6、弾性体8、バー10、ラインアイ12、フックアイ14及びフック16を備えている。
【0018】
ボディ4は、ベイトである小魚に類似の外形を有する。ボディ4は、硬質な材料から形成されている。典型的には、ボディ4は、合成樹脂組成物から形成されている。ボディ4が、熱可塑性エラストマーのような軟質な材料から形成されてもよい。ボディ4の前方部分はヘッド18と称され、後方部分はテール20と称される。
【0019】
図2に示されるように、ボディ4は第一ハーフ4a及び第二ハーフ4bを備える。第一ハーフ4a及び第二ハーフ4bは、それぞれ前後方向に延びる。ボディ4は、第一ハーフ4aと第二ハーフ4bとを、左右方向から貼り合わせることで形成されている。ボディ4は、第一ハーフ4aと第二ハーフ4bとが、左右方向から貼り合わされた構造を有している。なお、
図3の断面図では、ボディ4の断面及びルアー2の内部構造が示されている。換言すれば、
図3は、第二ハーフ4bを取り外したときのこのルアー2の側面図である。
【0020】
図2及び3で示されるように、ボディ4は、内部に空洞22を備える。このボディ4は、この空洞22に光を通す程度に透明性を有する。
図1では描かれていないが、空洞22の内部は、外部から視認できる。揺動部6からの光は、外部から視認できる。
図3で示されるように、ボディ4は、内面(空洞22の外面)から左右方向に延びる、吊り部24を備える。この実施形態では、揺動部6の前方に位置する第一吊り部24aと、揺動部6の後方に位置する第二吊り部24bとが存在する。
【0021】
揺動部6は、空洞22の内部に位置している。揺動部6は、前後方向に延びている。揺動部6は、板状である。
図2及び3で示されるように、揺動部6は、厚み方向に貫通する孔28を備えている。
図3で示されるように、揺動部6の先端部分及び後端部分には、それぞれ切り込み26が設けられている。揺動部6は、外部からの光を受けて光を放つ。この実施形態では、揺動部6は反射体である。すなわち、揺動部6の表面は光を反射する。揺動部6の表面は、光沢を有する。揺動部6の表面に、着色や模様が施されてもよい。揺動部6は、典型的には合成樹脂組成物から形成されている。揺動部6が金属から形成されていてもよい。典型的な揺動部6として、ホロプレートが例示される。
【0022】
弾性体8は、空洞22の内部に位置している。この実施形態では、弾性体8はバネ8である。
図3に示されるように、この実施形態では、第一バネ8aと第二バネ8bとが存在する。第一バネ8aは、揺動部6の前端部分の切り込み26に掛けられている。第一バネ8aは、揺動部6の前端から前方に延びている。第二バネ8bは、揺動部6の後端部分の切り込み26に掛けられている。第二バネ8bは、揺動部6の後端から後方に延びている。揺動部6は、第一バネ8aと第二バネ8bとの間に取り付けられている。
【0023】
図3で示されるように、第一バネ8aの前端は、第一吊り部24aに掛けられている。第二バネ8bの後端は、第二吊り部24bに掛けられている。揺動部6は、バネ8により、ボディ4に取り付けられている。揺動部6は、バネ8により、ボディ4に対して振動しうる。揺動部6は、このバネ8により前後上下左右に揺れ動くことができる。揺動部6は、このバネ8によりボディ4に対して可動となっている。揺動部6は、バネ8を介して、ボディ4に可動に取り付けられている。
【0024】
図2で示されるように、バー10は、第一ハーフ4aから第二ハーフ4bに向けて延びている。バー10は、第一ハーフ4aに固定されている。この実施形態では、バー10と第一ハーフ4aとは一体として形成されている。バー10の端30と第二ハーフ4bの内面と間には、隙間が設けられている。バー10は、第二ハーフ4bと接合されていない。バー10は、片持ち構造を有する。
【0025】
図2及び3に示されるように、バー10は、揺動部6の孔28に通されている。バー10の外径は、揺動部6の孔28の内径より小さい。ルアー2が泳ぐ通常の姿勢において揺動部6が静止しているときは、バー10は、揺動部6の孔28の内面と接触していない。揺動部6が動くと、揺動部6はバー10と接触しうる。バー10は、揺動部6の前後上下方向の可動範囲を制限する。バー10は、ボディ4の外部から、揺動部6が視認できる程度に透明性を有する。
【0026】
図4は、このルアー2が激しく動き、揺動部6が最大に振れた状態が示された断面図である。
図4に示されるように、揺動部6が最大に振れた場合にも、揺動部6はバー10の端30の位置には到達しない。換言すれば、このルアー2では、バー10の端30は、揺動部6の可動範囲の外に位置する。
【0027】
ラインアイ12は、ヘッド18の前端に取り付けられている。フックアイ14はボディ4の中央近辺及びテール20に取り付けられている。ラインアイ12及びフックアイ14は、金属線が曲げられて形成されている。この金属線の両端は、ボディ4に埋め込まれている。ラインアイ12及びフックアイ14は、ボディ4に堅固に固定されている。ラインアイ12には、ライン32が取り付けられる。それぞれのフックアイ14には、フック16が取り付けられる。この実施形態では、フック16の数は、2である。
【0028】
このルアー2の組み立てでは、第一ハーフ4a、第二ハーフ4b、ラインアイ12とフックアイ14とを形成する金属線、第一バネ8a、第二バネ8b、及び揺動部6が用意される。第一ハーフ4aに、ラインアイ12とフックアイ14用の金属線、第一バネ8a、第二バネ8b及び揺動部6が取り付けられる。第二ハーフ4bが第一ハーフ4aに被せられる。第一ハーフ4aと第二ハーフ4bの互いに接する面が溶着される。これにより、ルアー2が完成する。
【0029】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0030】
本発明に係るルアー2は、ボディ4の空洞22内に、光を放つ揺動部6を備える。この揺動部6は、反射体である。揺動部6の表面は、光を反射する。ボディ4は、空洞22内に光を通す程度に透明性を有する。揺動部6が反射した光は、外部から視認されうる。揺動部6が反射した光は、フィッシュイーターにアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0031】
このルアー2の揺動部6は、バネ8を介してボディ4に取り付けられている。釣り人がルアー2を引いたとき、水や潮の流れが速いとき等のルアー2の動作状態において、このバネ8により揺動部6は前後上下左右に揺れ動く。この揺動部6の動きにより、光の反射の状態が変化する。揺動部6が放つ光の見え方が変化する。揺動部6は、瞬いているように見える。これは、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0032】
このルアー2の揺動部6は、バネ8を介してボディ4に可動に取り付けられている。釣り人がルアー2を引くのを止めたとき、水や潮の流れが止まったとき等の、ルアー2が動作状態から停止状態となったときも、このバネ8はしばらく動く。この揺動部6は、ルアー2が動作状態から停止状態となったときも、しばらく前後上下左右に揺れ動く。このときも、揺動部6は瞬いているように見える。この揺動部6は、ルアー2が停止状態となった後も、しばらくフィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0033】
このルアー2は、揺動部6の可動範囲を制限するバー10を備える。このバー10により、揺動部6が大きく動くことで、揺動部6が空洞22内部の構造物に挟まることや、この構造物に引っかかることが防止される。揺動部6が、通常ではない位置で固定されることが防止される。さらに、バー10により、揺動部6の揺れが大きくなり過ぎることが抑えられている。この揺動部6は、高い周波数で揺れることができる。揺動部6は、瞬いているように見える。これは、フィッシュイーターにより効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0034】
従来のルアーでは、通常、第一ハーフと第二ハーフとは、左右対称の形状となるように形成されている。揺動部とバーとを有するルアーにおいて、従来のように第一ハーフと第二ハーフとを左右対称の形状とした場合、バーは、左右方向の中央において分割される。バーは、第一ハーフから延びる第一部と、第二ハーフから延びる第二部とからなる。第一部と第二部とが、左右方向の中央で突き合わされる構造となる。このルアーでは、第一部と第二部との継ぎ目(ここでは、別々に形成された部品同士の接合部分は、「継ぎ目」と称される)が存在する。このバーにおける継ぎ目は、揺動部の動きを阻害するおそれがある。この継ぎ目では、第一部と第二部との位置合わせが必要となるため、これは、ルアーの組み立て性を低下させうる。
【0035】
このルアー2では、バー10は第一ハーフ4aから延びる片持ち構造を有している。バー10の端30と第二ハーフ4bとの間には隙間が設けられている。バー10の端30において、他の部品との継ぎ目は存在しない。このルアー2の組み立ては容易である。このルアー2は、組み立て性に優れる。
【0036】
このルアー2では、バー10の端30は、揺動部6の可動範囲の外に位置している。揺動部6が最大に振れても、揺動部6がバー10の端30に引っかかることはない。このバー10は、揺動部6の動きを過度に阻害することはない。この揺動部6は、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0037】
揺動部6は、第一バネ8aと第二バネ8bとの間に取り付けられるのが好ましい。この実施形態では、揺動部6は、前後から第一バネ8aと第二バネ8bとに挟まれている。このようにすることで、揺動部6の揺れが、大きくなり過ぎることが抑えられている。この揺動部6は、高い周波数で揺れることができる。揺動部6は、瞬いているように見える。これは、フィッシュイーターにより効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0038】
上記のとおり、揺動部6は、ルアー2が動作状態から停止状態となったときも、しばらく前後上下左右に揺れ動く。このルアー2が振動する時間は、3秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、10秒以上がさらに好ましい。
【0039】
効果的にフィッシュイーターにアピールするとの観点から、揺動部6の反射率は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましい。
【0040】
図5(A)は、本発明の他の実施形態に係るルアー40が示された断面図である。矢印Yが示す方向がこのルアー40の右方向であり、その反対がルアー40の左方向である。矢印Zが示す方向がこのルアー40の上方であり、その反対がルアー40の下方である。紙面と垂直な方向がこのルアー40の前後方向である。このルアー40は、ボディ42、揺動部44及びバー46を備えている。図示されないが、このルアー40は、ラインアイ、フックアイ、フック及び弾性体をさらに備えている。このルアー40のラインアイ、フックアイ、フック、揺動部44及び弾性体は、
図1-3のルアー2のこれらと同じである。このルアー40の弾性体は、バネである。
【0041】
ボディ42は、ベイトである小魚に類似の外形を有する。ボディ42は、硬質な材料から形成されている。典型的には、ボディ42は、合成樹脂組成物から形成されている。ボディ42が、熱可塑性エラストマーのような軟質な材料から形成されてもよい。
【0042】
図5(A)に示されるように、ボディ42は第一ハーフ42a及び第二ハーフ42bを備える。第一ハーフ42a及び第二ハーフ42bは、それぞれ前後方向に延びる。ボディ42は、第一ハーフ42aと第二ハーフ42bとを、左右から貼り合わせることで形成されている。ボディ42は、第一ハーフ42aと第二ハーフ42bとが、左右方向から貼り合わされた構造を有している。ボディ42は、内部に空洞47を備える。このボディ42は、この空洞47に光を通す程度に透明性を有する。空洞47の内部は、外部から視認できる。揺動部44からの光は、外部から視認できる。図示されないが、ボディ42は、吊り部をさらに備える。このルアー40の吊り部は、
図3のルアー2の吊り部と同じである。
【0043】
図5(A)で示されるように、バー46は、第一ハーフ42aから第二ハーフ42bまで延びている。バー46と第一ハーフ42aとは一体として形成されている。このため、このルアー40では、バー46と第一ハーフ42aとの継ぎ目は存在しない。バー46の端は、第二ハーフ42bの内面と接合している。このルアー40では、バー46と第二ハーフ42bとの継ぎ目48が存在する。この実施形態では、バー46は、ボディ42の外部から、揺動部44が視認できる程度に透明性を有する。
【0044】
図5(A)に示されるように、バー46は、揺動部44の孔50に通されている。バー46の外径は、揺動部44の孔50の内径より小さい。ルアー40が泳ぐ通常の姿勢において揺動部44が静止しているときは、バー46は、揺動部44の孔50の内面と接触していない。揺動部44が動くと、揺動部44はバー46と接触しうる。バー46は、揺動部44の前後上下方向の可動範囲を制限する。
【0045】
図5(B)は、このルアー40が激しく動き、揺動部44が最大に振れた状態が示された断面図である。
図5(B)に示されるように、揺動部44が最大に振れた場合にも、揺動部44は、バー46と第二ハーフ42bとの継ぎ目48には到達しない。換言すれば、このルアー40では、バー46と第二ハーフ42bとの継ぎ目48は、揺動部44の可動範囲の外に位置する。
【0046】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0047】
このルアー40の揺動部44は、バネを介してボディ42に可動に取り付けられている。釣り人がルアー40を引くのを止めたとき、水や潮の流れが止まったとき等の、ルアー40が動作状態から停止状態となったときも、このバネはしばらく動く。このルアー40では、ルアー40の動きが停止した後も、効果的にフィッシュイーターにアピールしうる。
【0048】
このルアー40は、揺動部44の可動範囲を制限するバー46を備える。このバー46により、揺動部44が大きく動くことで、揺動部44が空洞47内部の構造物に挟まることや、この構造物に引っかかることが防止される。揺動部44が、通常ではない位置で固定されることが防止される。さらに、バー46により、揺動部44の揺れが大きくなり過ぎることが抑えられている。この揺動部44は、高い周波数で揺れることができる。揺動部44は、瞬いているように見える。これは、フィッシュイーターにより効果的にアピールする。このルアー40では、高いヒット率が期待できる。
【0049】
このルアー40では、バー46は、第一ハーフ42aから第二ハーフ42bまで延び、第二ハーフ42bの内面と接合している。バー46と第二ハーフ42bとの継ぎ目48は、揺動部44の可動範囲の外に位置している。揺動部44が最大に振れても、揺動部44は継ぎ目48に到達しない。この継ぎ目48は、揺動部44の動きの邪魔にはならない。このバー46は、揺動部44の動きを過度に阻害することはない。この揺動部44は、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー40では、高いヒット率が期待できる。
【0050】
このルアー40では、継ぎ目48は揺動部44の動きを阻害しないため、この継ぎ目48において、バー46と第二ハーフ42bとの位置合わせの精度は求められない。このルアー40の組み立ては容易である。このルアー40は、組み立て性に優れる。
【0051】
図6は、本発明のさらに他の実施形態に係るルアー52が示された断面図である。このルアー52は、バー54及び第二ハーフ56bの形状を除き、
図5(A)のルアー52と同じである。
【0052】
図6で示されるように、バー54は、第一ハーフ56aから第二ハーフ56bまで延びている。バー54と第一ハーフ56aとは一体として形成されている。このため、バー54と第一ハーフ56aとの継ぎ目は存在しない。第二ハーフ56bは、その内面に突起58を有している。バー54の端は、この突起58の表面に接触している。バー54の端は、突起58の表面と接合している。このルアー52には、バー54と第二ハーフ56bとの継ぎ目60が存在する。この実施形態では、バー54は、ボディ56の外部から、揺動部62が視認できる程度に透明性を有する。
【0053】
図6に示されるように、バー54は、揺動部62の孔64に通されている。バー54の外径は、揺動部62の孔64の内径より小さい。ルアー52が泳ぐ通常の姿勢において揺動部62が静止しているときは、バー54は、揺動部62の孔64の内面と接触していない。揺動部62が動くと、揺動部62はバー54と接触しうる。バー54は、揺動部62の前後上下方向の可動範囲を制限する。
【0054】
図示されないが、このルアー52が激しく動き、揺動部62が最大に振れた場合にも、揺動部62は、バー54と第二ハーフ56bの突起58との継ぎ目60には到達しない。換言すれば、このルアー52では、バー54と第二ハーフ56bの突起58との継ぎ目60は、揺動部44の可動範囲の外に位置する。
【0055】
このルアー52では、バー54と第二ハーフ56bの突起58との継ぎ目60は、揺動部62の可動範囲の外に位置している。揺動部62が最大に振れても、揺動部62は継ぎ目60に到達しない。この継ぎ目60は、揺動部62の動きの邪魔にはならない。このバー54は、揺動部62の動きを過度に阻害することはない。この揺動部62は、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー52では、高いヒット率が期待できる。
【0056】
このルアー52では、継ぎ目60は揺動部62の動きを阻害しないため、バー54と第二ハーフ56bの突起58との位置合わせの精度は求められない。このルアー52の組み立ては容易である。このルアー52は、組み立て性に優れる。
【0057】
図7(A)は、本発明のさらに他の実施形態に係るルアー70が示された断面図である。このルアー70は、第一ハーフ72a及びバー74を除き、
図5(A)のルアー40と同じである。
【0058】
図7(A)で示されるように、バー74は、第一ハーフ72aと第二ハーフ72bとの間に位置する。バー74の第一端は、第一ハーフ72aと接合している。このルアー70には、バー74と第一ハーフ72aとの継ぎ目76が存在する。バー74と第一ハーフ72aとの継ぎ目76は、第一継ぎ目76aと称される。バー74の第二端は、第二ハーフ72bと接合している。このルアー70には、バー74と第二ハーフ72bとの継ぎ目76が存在する。バー74と第二ハーフ72bとの継ぎ目76は、第二継ぎ目76bと称される。
【0059】
図7(A)に示されるように、バー74は、揺動部78の孔80に通されている。バー74の外径は、揺動部78の孔80の内径より小さい。ルアー70が泳ぐ通常の姿勢において揺動部78が静止しているときは、バー74は、揺動部78の孔80の内面と接触していない。揺動部78が動くと、揺動部78はバー74と接触しうる。バー74は、揺動部78の前後上下方向の可動範囲を制限する。バー74は、ボディの外部から、揺動部78が視認できる程度に透明性を有する。
【0060】
図7(B)は、このルアー70が激しく動き、揺動部78が最大に振れた状態が示された断面図である。
図7(B)に示されるように、揺動部78が最大に振れた場合にも、揺動部78は、第一継ぎ目76aには到達しない。換言すれば、第一継ぎ目76aは、揺動部78の可動範囲の外に位置する。図示されないが、揺動部78が最大に振れた場合にも、揺動部78は、第二継ぎ目76bには到達しない。換言すれば、第二継ぎ目76bは、揺動部78の可動範囲の外に位置する。
【0061】
このルアー70では、第一継ぎ目76a及び第二継ぎ目76bは、いずれも揺動部78の可動範囲の外に位置しているため、揺動部78が最大に振れても、揺動部78はこれらの継ぎ目76に到達しない。これらの継ぎ目76は、揺動部78の動きの邪魔にはならない。このバー74は、揺動部78の動きを過度に阻害することはない。この揺動部78は、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー70では、高いヒット率が期待できる。
【0062】
このルアー70では、第一継ぎ目76a及び第二継ぎ目76bは揺動部78の動きを阻害しないため、これらの継ぎ目76における位置合わせの精度は求められない。このルアー70の組み立ては容易である。このルアー70は、組み立て性に優れる。
【0063】
図5-7の実施形態では、継ぎ目におけるバーの端と第一ハーフ又は第二ハーフの表面は、いずれも平坦であった。バーの端と第一ハーフ又は第二ハーフの表面とがいずれも凹凸を備え、これらの凹凸が噛み合わされていてもよい。
図8、この様子が示されている。このルアー82では、バー84の端が凹部86を備え、第二ハーフ88の突起90の表面が凸部92を備えている。この凹部86と凸部92とが噛み合わされている。
【0064】
上記で説明された実施形態では、揺動部は反射体であった。揺動部は、外部からの光を受けて発光する、蛍光体又は燐光体であってもよい。揺動部が、外部からの光を受けて、これを集光又は拡散させる透過体であってもよい。典型的な透過体として、レンズ及びプリズムが例示される。
【0065】
揺動部は、自ら発光する発光体であってもよい。典型的な発光体として、化学反応による発光を利用した化学発光体が挙げられる。発光体の他の例として、発光デバイスが挙げられる。例えば、その本体に発光ダイオード及び電池が固定された揺動部が使用される。
【0066】
以上では、魚用のルアーでの実施形態を挙げて、本発明が説明された。ここでは挙げられていないが、本発明は、エギ等の、魚以外の魚介類用のルアーにも適用できる。
【0067】
以上説明されたように、本発明に係るルアーは、効果的にフィッシュイーターにアピールできる。このルアーは、動作状態から停止状態となった後もフィッシュイーターにアピールできる。しかもこのルアーは、組み立て性に優れる。このことから本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るルアーは、湖沼、池、ダム、川、海等の種々のフィールドでの釣りに適している。
【符号の説明】
【0069】
2、40、52、70、82・・・ルアー
4、42、56・・・ボディ
4a、42a、56a、72a・・・第一ハーフ
4b、42b、56b、72b、88・・・第二ハーフ
6、44、62、78・・・揺動部
8・・・弾性体(バネ)
10、46、54、74、84・・・バー
12・・・ラインアイ
14・・・フックアイ
16・・・フック
18・・・ヘッド
20・・・テール
22、47・・・空洞
24・・・吊り部
26・・切り込み
28、50、64、80・・・孔
30・・・バーの端
32・・・ライン
48、60、76・・・継ぎ目
58、90・・・突起
86・・・凹部
92・・・凸部