(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】アンテナサブシステム、レーダサブシステム、車両、方法、及び有体非一時的媒体
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20230309BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230309BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20230309BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230309BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G01S7/03 230
G01S13/931
G01S7/02 216
H01Q21/06
H01Q1/32 Z
(21)【出願番号】P 2019529883
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(86)【国際出願番号】 US2017064754
(87)【国際公開番号】W WO2018106720
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-24
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519193541
【氏名又は名称】エコダイン コーポレーシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ブルーン、 ニコラス ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャトニ、 ムハンマド ラミーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドリスコル、 トム
(72)【発明者】
【氏名】ハル、 ジョナサン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハント、 ジョン デズモンド
(72)【発明者】
【氏名】ランブレヒト、 クリストファー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ランディ、 ネイサン イングル
(72)【発明者】
【氏名】ペルク、 ミルトン
(72)【発明者】
【氏名】レネンバーグ、 チャールズ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】サイクス、 ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ティースリンク、 タロン
(72)【発明者】
【氏名】ツァニディス、 ヨアニス
(72)【発明者】
【氏名】ワール、 ロバート ティルマン
(72)【発明者】
【氏名】ビリー、 アダム
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-162518(JP,A)
【文献】特開2005-195490(JP,A)
【文献】特開2008-241702(JP,A)
【文献】特開2014-003670(JP,A)
【文献】特開2005-257384(JP,A)
【文献】特開2011-257150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0288063(US,A1)
【文献】特開2013-083645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0026697(US,A1)
【文献】特表2016-535243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0241934(US,A1)
【文献】国際公開第2008/053685(WO,A1)
【文献】米国特許第03825928(US,A)
【文献】特開2003-110335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42,
G01S 13/00-13/95,
H01Q 1/32,21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダサブシステムであって、
一アレイの送信素子を含む電子式操縦可能送信アンテナと、
ビーム操縦コントローラと、
一アレイの受信素子を含むスパースな受信アンテナと、
レーダ処理ユニットと
を含み、
前記送信素子はそれぞれが、一の波長を有する対応信号を放射するべく構成されるとともに、それぞれが、隣接する各一つの送信素子から前記波長の1/2を下回る対応第1距離だけ離間し、
前記ビーム操縦コントローラは、前記電子式操縦可能送信アンテナに、前記送信素子から放射された信号から、送信ビーム領域を占める主送信ビームを含む送信ビームパターンを形成させるように構成され、
前記受信素子はそれぞれが、一の波長を有する対応信号を受信するべく構成されるとともに、それぞれが、隣接する各一つの受信素子から前記波長の1/2を超える対応第1距離だけ離間し、
前記レーダ処理ユニットは、前記受信された信号から受信ビームパターンを形成するように構成され、
前記受信ビームパターンは、前記送信ビーム領域の中に主受信ビームを含むとともに第1受信サイドローブを含み、
前記第1受信サイドローブは、第1振幅を有するとともに、前記送信ビーム領域の一部の中に前記第1振幅を下回る第2振幅を有する、レーダサブシステム。
【請求項2】
前記レーダ処理ユニットは、前記電子式操縦可能送信アンテナが前記送信ビームパターンを形成している間に前記受信ビームパターンを形成するべく構成される、請求項
1のレーダサブシステム。
【請求項3】
前記レーダ処理ユニットは、前記電子式操縦可能送信アンテナが前記送信ビームパターンを形成した後に前記受信ビームパターンを形成するべく構成される、請求項
1のレーダサブシステム。
【請求項4】
前記ビーム操縦コントローラは、前記電子式操縦可能送信アンテナに、前記送信素子から放射された信号から、第1方向において送信サイドローブピークを含む前記送信ビームパターンを形成させるように構成され、
前記レーダ処理ユニットは、前記受信された信号から、近似的に前記第1方向にヌルを有する第2受信サイドローブを含む前記受信ビームパターンを形成するように構成される、請求項
1のレーダサブシステム。
【請求項5】
前記ビーム操縦コントローラは、前記電子式操縦可能送信アンテナに、前記送信素子から放射された信号から、第1方向において送信サイドローブヌルを含む前記送信ビームパターンを形成させるように構成され、
前記レーダ処理ユニットは、前記受信された信号から、近似的に前記第1方向に第2受信サイドローブピークを含む前記受信ビームパターンを形成するように構成される、請求項
1のレーダサブシステム。
【請求項6】
車両であって、
レーダサブシステムと、
レーダ処理ユニットと、
駆動アセンブリと、
コントローラと
を含み、
前記レーダサブシステムは、
一アレイの送信素子を含む電子式操縦可能送信アンテナと、
ビーム操縦コントローラと、
一アレイの受信素子を含むスパースな受信アンテナと
を含み、
前記送信素子はそれぞれが、一の波長を有する対応信号を放射するべく構成されるとともに、それぞれが、隣接する各一つの送信素子から前記波長の1/2を下回る対応第1距離だけ離間し、
前記ビーム操縦コントローラは、前記電子式操縦可能送信アンテナに、前記送信素子から放射された信号から、送信ビーム領域を占める主送信ビームを含む送信ビームパターンを形成させるように構成され、
前記受信素子はそれぞれが、一の波長を有する対応信号を受信するべく構成されるとともに、それぞれが、隣接する各一つの受信素子から前記波長の1/2を超える対応第1距離だけ離間し、
前記レーダ処理ユニットは、前記受信された信号から、前記送信ビーム領域の中に主受信ビームを含む受信ビームパターンを形成するように構成されるとともに、前記主受信ビームを介して受信された信号に応答してデータを生成するように構成され、
前記受信ビームパターンはさらに第1受信サイドローブを含み、
前記第1受信サイドローブは、第1振幅を有するとともに、前記送信ビーム領域の一部の中に前記第1振幅を下回る第2振幅を有し、
前記コントローラは、前記データに応答して前記駆動アセンブリを制御するように構成される、車両。
【請求項7】
前記駆動アセンブリは、
推進ユニットと、
操縦ユニットと
を含む、請求項
6の車両。
【請求項8】
方法であって、
電子式操縦可能アンテナを使用して送信ビームパターンを生成することであって、前記送信ビームパターンは、送信サイドローブ領域を含み、前記電子式操縦可能アンテナは、各送信素子が、一の波長を有する対応信号を放射するべく構成されるとともに、各送信素子が、隣接する各一つの送信素子から前記波長の1/2を下回る対応距離だけ離間する一アレイの送信素子を含むことと、
スパースなデジタルビーム形成アンテナによって受信された信号に応答して受信ビームパターンを生成することであって、前記受信ビームパターンは、前記送信サイドローブ領域が前記送信ビームパターンのピークである場合に前記送信サイドローブ領域と近似的に整列する受信サイドローブヌルを含み、前記送信サイドローブ領域が前記送信ビームパターンのヌルである場合に前記送信サイドローブ領域と近似的に整列する受信サイドローブピークを含むことと
を含む方法。
【請求項9】
前記送信ビームパターンを生成することは、互いからオフセットされた2つのサブセクションを有する電子式操縦可能アンテナを使用して、前記送信ビームパターンを生成することを含む、請求項
8の方法。
【請求項10】
命令を記憶する有体非一時的媒体であって、
演算回路によって実行されると、前記演算回路に又は前記演算回路の制御下の別の回路に、
電子式操縦可能アンテナを使用して送信ビームパターンを生成することであって、前記送信ビームパターンは送信サイドローブ領域を含み、前記電子式操縦可能アンテナは、各送信素子が、一の波長を有する対応信号を放射するべく構成されるとともに、各送信素子が、隣接する各一つの送信素子から前記波長の1/2を下回る対応距離だけ離間する一アレイの送信素子を含むことと、
スパースなデジタルビーム形成アンテナによって受信された信号に応答して受信ビームパターンを生成することであって、前記受信ビームパターンは、前記送信サイドローブ領域が前記送信ビームパターンのピークを構成する場合に前記送信サイドローブ領域と近似的に整列する受信サイドローブヌルを含み、前記送信サイドローブ領域が前記送信ビームパターンのヌルを構成する場合に前記送信サイドローブ領域と近似的に整列する受信サイドローブピークを含むことと
を行わせる、有体非一時的媒体。
【請求項11】
レーダサブシステムであって、
一アレイの送信素子を含む電子式操縦可能送信アンテナと、
ビーム操縦コントローラと、
一アレイの受信素子を含むスパースな受信アンテナと、
レーダ処理ユニットと
を含み、
前記送信素子はそれぞれが、一の波長を有する対応信号を放射するべく構成されるとともに、それぞれが、隣接する各一つの送信素子から前記波長の1/2を下回る対応第1距離だけ離間し、
前記ビーム操縦コントローラは、前記電子式操縦可能送信アンテナに、前記送信素子から放射された信号から、送信サイドローブを含む送信ビームパターンを形成させるように構成され、
前記受信素子はそれぞれが、一の波長を有する対応信号を受信するべく構成されるとともに、それぞれが、隣接する各一つの受信素子から前記波長の1/2を超える対応第1距離だけ離間し、
前記レーダ処理ユニットは、
前記受信された信号から、前記送信サイドローブが前記送信ビームパターンのピークである場合に前記送信サイドローブと近似的に整列する受信サイドローブヌルを含む受信ビームパターンを形成し、
前記受信された信号から、前記送信サイドローブが前記送信ビームパターンのヌルである場合に前記送信サイドローブと近似的に整列する受信サイドローブピークを含む受信ビームパターンを形成する
ように構成される、レーダサブシステム。
【請求項12】
前記電子式操縦可能送信アンテナは、
前記送信素子の第1サブアレイを有する第1送信アンテナセクションと、
前記送信素子の第2サブアレイを有して前記第1送信アンテナセクションからオフセットされた第2送信アンテナセクションと
を含む、請求項
11のレーダサブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月5日出願の米国仮特許出願第62/430,306号、発明の名称「RADAR SYSTEM WITH ANALOG BEAM-STEERING TRANSMIT ARRAY AND DIGITAL BEAM-FORMING RECEIVE ARRAY」の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
従来のフェイズドアレイレーダシステムは、例えば、そのサイズ、電力要件、単位面積当たりのアレイ素子数(素子密度)、及びコストのために、いくつかの用途には不適当である。例えば、従来のレーダシステムのフェイズドアレイは、密度が過度に高く、視野(FOV)を過度にゆっくりと走査し、そしてシステムは、自律型(自動運転)自動車に使用するには過度に高価である。同様に、従来のレーダシステムのフェイズドアレイは、ドローン等の無人航空機(UAV)で使用するには、過度に密度が高く、システムは過度に高価であり、過度に重く、過度に電力を消費する。
【0003】
したがって、そのような用途のために、従来のレーダシステムよりも、軽量で、低密度、低価格、低消費電力、及びより迅速にFOVを走査することができるレーダシステムが開発されてきた。
【0004】
自動車での使用のために開発されたそのようなレーダシステムの例は、例えば少なくとも4~8個(アンテナセグメントの数は、通常、システム回路がサポートするアンテナチャネルの数、例えばアンテナチャネルごとに1つのアンテナセグメントに制限される)の別個のアンテナセグメントを有するデジタルビーム形成(DBF)受信アンテナアレイを含む。
【0005】
送信期間中、システム回路は、同じ信号で、すなわち、同じ大きさ及び位相を各々有するそれぞれの信号ですべてのアンテナセグメントを効果的に励起し、それによって、アレイが固定FOVにわたって信号エネルギを「スプレー」するようにされる。言い換えれば、それぞれが同じ大きさ及び位相を各々有するそれぞれの信号ですべてのアンテナセグメントを同時に付勢することは、静止している、すなわち操縦されていない主送信ビームを生成する。使用可能なFOVをカバーするために、この送信主ビームはかなり広範であることが多く、例えば方位角(AZ)で20度を超える。
【0006】
受信期間中に、システム回路は、任意の受信アンテナセグメントからのそれぞれの利得及び位相シフトを動的に後処理し、送信ビームよりも著しく狭い受信ビームをデジタル的に形成及び操作することができ、システムは、単一の受信期間内に、単一の位置のみに、又は複数の位置に、受信ビームを操縦することができる。
【0007】
残念ながら、そのようなレーダシステムに関する問題は、受信DBFが送信ビームによって照らされた領域内でしか行うことができないことである。存在する受信機アレイセグメント/チャネルの数は、固定送信FOVを等しいセグメントに分割するために利用され、すなわち、受信機アレイセグメント/チャネルの数は、DBFの受信解像度を定義し、そして最終的にはレーダシステム全体の受信解像度を定義する。このように定義された受信解像度は、多くの場合、レイリー解像度と呼ばれ、レーダのパフォーマンスの基本的な限界を表す。例えば、送信時にAZで20°のFOVを照射し、4つの受信チャネルを含むレーダシステムは、このFOVをわたる約5°のレイリー分解能を有する。AZにおいてFOVを40°に広げるための代替の選択を行うことができ、これは、同じ4つの受信チャネルによって、約10°のレイリー分解能をもたらす。したがって、そのようなシステムには、FOVとレイリー解像度との間の基本的なトレードオフが存在する。
【0008】
そのようなレーダを、送信時に大きなFOVを照射し、受信時に高いレイリー分解能を有するように設計することは、多数のアンテナセグメント/チャネルを必要とする。
【0009】
残念なことに、そのようなレーダに実際に含めることができるチャネル数の工学的限界は、今日まで、そのようなレーダシステムのレイリー性能を制限してきた。
【0010】
固定数のアンテナチャネルを有するシステムのレイリー分解能を改善するための1つの手法は、受信アンテナ/アンテナセグメントをさらに離れて位置させること、すなわちスパースな受信アレイを設計することである。
【0011】
しかし、そのようなスパースな配列は、空間的なエイリアシングを引き起こす可能性があり、これは、物体を検出し、識別し、そしてマッピングするためのレーダシステムの能力を妨げる可能性があるサイドローブとグレーティングローブを作り出す。このようなエイリアシングによるサイドローブとグレーティングローブの原因の1つは、レーダシステムのスパース受信アンテナアレイが、最大セグメント間隔のナイキスト基準(λ/2)を満たさないことである。例えば、AZ次元において1°のレイリー分解能を得るために、アンテナは、50λ程度の寸法を有する必要がある。距離50λにわたって少数の、例えば4~8個のセグメント/チャネルを分散させることは、結果として平均セグメント間隔6.25λ~12.5λをもたらし、これはλ/2の最大ナイキスト間隔の12~25倍である。その結果、このシステムは、大きなサイドローブとグレーティングローブを被ることになる。
【0012】
当然ながら、空間的エイリアシングを減らすために、設計者はアンテナセグメント間の間隔を減少させることによってアンテナの有効サイズを減らすことができる。
【0013】
しかし、アンテナのサイズを小さくすると、レーダシステムが生成できる受信ビームの最小幅が制限される。
【0014】
したがって、そのようなスパースなアンテナアレイレーダシステム(すなわち、より大きなアンテナ開口及び限られた数のアンテナチャネルを有するレーダシステム)の設計者は、エイリアシングのためにビーム幅をトレードオフすることに直面し、逆もまた同様である。すなわち、受信ビーム幅が狭いほど、エイリアシングのレベルが大きくなり、エイリアシングレベルが低いほど、受信ビーム幅が広くなる。
【発明の概要】
【0015】
一実施形態では、アンテナサブシステムは、スパースな受信アンテナと電子式操縦可能送信アンテナとを含む。スパースな受信アンテナは、波長を有するそれぞれの信号を受信するように各々構成され、各々が、受信素子のうちの各隣接する1つから、波長の1/2を超えるそれぞれの第1の距離だけ離間している、受信素子のアレイを含む。そして、電子式操縦可能送信アンテナは、波長を有するそれぞれの信号を放射するように各々構成され、各々が、送信素子のうちの各隣接する1つから、波長の1/2を下回るそれぞれの第2の距離だけ離間している、送信素子のアレイを含む。
【0016】
例えば、そのようなアンテナサブシステムは、エイリアシングを低減するために、受信アンテナによって生成された受信ビームパターンを、送信アンテナによって生成された送信ビームパターンで効果的かつ空間的にフィルタリングする。例えば、主送信ビームの包絡線は、受信ビームパターンのサイドローブを排除することができ、または少なくとも減衰させることができる。さらに、受信ビームパターンのサイドローブのヌルは、送信受信パターンのサイドローブのピークと整列させることができる。さらに、受信ビームパターンのサイドローブのピークは、送信受信パターンのサイドローブのヌルと整列させることができる。
【0017】
一実施形態では、レーダシステムは、従来のレーダシステムと比較して大幅に低減されたエイリアシングを有する高いレイリー分解能(すなわち、狭いハーフパワービーム幅(HPBW))を提供する。レーダシステムは、送信ビームパターンを電子的に調整し、受信アンテナパターンのための空間フィルタとして作用する能力を有するアナログ送信アレイと、送信アンテナの主照明ビームに対する受信ビームを生成するためのナイキストコンプリート又はスパースデジタルビーム形成(DBF)アレイアンテナとを含む。送信アンテナ及び受信アンテナを適切に設計し駆動することによって、レーダシステムは、狭い幅(例えば、AZ及び仰角(EL)寸法の両方において≦2°)のビームを効果的に生成及び操縦することができる。さらに、レーダシステムは、そのような性能に通常必要とされる多数のアンテナチャネル(例えば、64~128個)を必要とすることなく、これを行うことができる。例えば、受信スパースDBFアレイアンテナのための12のアンテナチャネルのみを有するレーダシステムの実施形態は、AZにおいて約2°及びELにおいて約5°の幅のビームを効果的に生成及び操縦することができ、したがって、そのようなレーダシステムは、同様の数のアンテナチャネルを有する従来のレーダシステムよりも著しく優れた角度性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態による、メタマテリアル電子操縦アレイ(MESA)の送信アンテナセクションの、及びレーダシステムのスパースDBF受信アンテナセクションを示す図である。
【
図2】一実施形態による、サブアレイのうちの1つの拡大図を伴う、
図1のスパースなDBF受信アンテナセクションを示す図である。
【
図3】一実施形態による、AZ及びEL次元における
図2の受信アンテナセクションのアンテナ素子の受信ビームパターンのプロットである。
【
図4】一実施形態による、
図2のスパースなDBF受信アンテナセクションの図である。
【
図5】一実施形態による、
図4のスパースなDBF受信アンテナセクションのAZにおける受信ビームパターンのプロットである。
【
図6】一実施形態による、
図4のスパースなDBF受信アンテナセクションのELにおける受信ビームパターンのプロットである。
【
図7】一実施形態による、
図1の送信アンテナセクションの受信ビームパターンと、
図4のスパースなDBF受信アンテナセクションに対する、AZにおける受信素子ビームパターン及び送信アレイビームパターンとを示す図である。
【
図8】一実施形態による、
図1の送信アンテナセクションの受信ビームパターンと、
図4のスパースなDBF受信アンテナセクションに対する、ELにおける受信素子ビームパターン及び送信アレイビームパターンとを示す図である。
【
図9】別の実施形態による、レーダシステムにおいて使用することができる受信アンテナアレイセクションの図である。
【
図10】一実施形態による、単一の受信主ビーム用AZ次元における
図9の受信アンテナアレイセクションのビーム及びサイドローブパターンのプロットである。
【
図11】一実施形態による、単一の受信主ビーム用EL次元における
図9の受信アンテナアレイセクションのビーム及びサイドローブパターンのプロットである。
【
図12】一実施形態による、受信アンテナサブ要素(
図2)、受信アンテナアレイ(
図9)、及び送信アンテナセクション(
図1)のパターン(
図10~11)の組み合わせから得られたAZ次元における有効(すなわち、双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図13】一実施形態による、受信アンテナサブ要素(
図2)、受信アンテナアレイ(
図9)、及び送信アンテナセクション(
図1)のパターン(
図10~11)の組み合わせから得られたEL次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図14】一実施形態による、複数(ここでは2つ)のサブセクションを有する送信アンテナセクションを示す図である。
【
図15】一実施形態による、
図9の受信アンテナセクションと同様であることができる受信アンテナセクションのEL次元における受信ビーム及びサイドローブパターンに重ね合わせられる、
図14の送信アンテナセクションの実施形態のEL次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットである。
【
図16】EL=AZ=0°である実施形態による、
図15のプロットである。
【
図17】EL=AZ=0°である実施形態による、
図15の送信ビームパターンと受信ビームパターンとの組み合わせから得られたEL次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図18】EL=AZ=0°である実施形態による、
図16の送信ELパターンをもたらす
図14の送信アンテナセクションの実施形態のAZ次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットであり、
図16の受信ELパターンをもたらす受信アンテナセクションの一実施形態のAZ次元において受信ビーム及びサイドローブパターンが重ね合わせられている。
【
図19】EL=AZ=0°である実施形態による、
図18の送信及び受信ビームパターンの組み合わせから得られたAZ次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図20】EL=5°及びAZ=0°である実施形態による、
図15~19の送信パターンをもたらす
図14の送信アンテナセクションの実施形態のEL次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットであり、
図15~
図19の受信パターンをもたらす受信アンテナセクションの実施形態のEL次元において受信ビーム及びサイドローブが重ね合わせられている。
【
図21】EL=5°及びAZ=0°である実施形態による、
図20の送信ビームパターンと受信ビームパターンとの組み合わせから得られたEL次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図22】EL=5°及びAZ=0°である実施形態による、EL次元における
図20の送信パターンをもたらす
図14の送信アンテナセクションの実施形態のAZ次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットであり、EL次元における
図20の受信パターンをもたらす受信アンテナセクションの実施形態のAZ次元において受信ビーム及びサイドローブパターンが重ね合わせられている。
【
図23】EL=5°及びAZ=0°である実施形態による、
図22の送信及び受信ビームパターンの組み合わせから得られたAZ次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図24】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図14の送信アンテナセクションの実施形態のEL次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットであり、
図9の受信アンテナセクションの実施形態のEL次元において受信ビーム及びサイドローブが重ね合わせられている。
【
図25】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図24の送信及び受信ビームパターンの組み合わせから得られたEL次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図26】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図14の送信アンテナセクションの実施形態のAZ次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットであり、
図9の受信アンテナセクションのAZ次元における受信ビーム及びサイドローブパターンが重ね合わせられている。
【
図27】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図26の送信及び受信ビームパターンの組み合わせから得られたAZ次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図28】別の実施形態による、複数(ここでは2つ)のサブセクションを有する送信アンテナセクションの図である。
【
図29】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図28の送信アンテナセクションの実施形態のEL次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットであり、
図9の受信アンテナセクションの実施形態のEL次元における受信ビーム及びサイドローブパターンが重ね合わせられている。
【
図30】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図29の送信及び受信ビームパターンの組み合わせから得られたEL次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図31】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図14の送信アンテナセクションの実施形態のAZ次元における送信ビーム及びサイドローブパターンのプロットであり、
図9の受信アンテナセクションの実施形態のAZ次元における受信ビーム及びサイドローブパターンが重ね合わせられている。
【
図32】EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図31の送信及び受信ビームパターンの組み合わせから得られたAZ次元における有効(双方向)ビームパターンのプロットである。
【
図33】
図1、14、及び28に関連して上述した送信アンテナセクションのうちの1つ以上と、
図1~2、4、及び9に関連して上述した送信アンテナセクションのうちの1つ以上とを組み入れているレーダサブシステムの図である。
【
図34】一実施形態による、
図33のレーダサブシステムのうちの1つ以上を組み入れているシステムの図である。
【
図35】一実施形態による、
図1の送信アンテナセクションの、並びに
図14及び
図28の送信アンテナセクションのサブセクションの平面図である。
【
図36】一実施形態による、
図35の送信アンテナセクションの側面図である。
【
図37】一実施形態による、
図35及び36の送信アンテナセクションの側面図及び電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「近似的に」及び「実質的に」という語は、以下においては、以下に記載された物理的構造の製造公差、又は他の設計上の考慮により、2つ以上の量が全く等しくあることができるか、又は互いの±10%以内であることができることを示すために使用され得る。
【0020】
図1は、一実施形態による、レーダシステム14のメタマテリアル電子操縦アレイ(MESA)送信アンテナセクション10及びスパースなDBF受信アンテナセクション12の図であり、レーダシステムは、
図33~
図34に関連して以下でさらに説明され、
図1に示されていない他の構成要素、例えば増幅器、移相器、及び他の駆動回路を含むことができる。さらに、送信アンテナセクション10は、レーダシステム14の送信アンテナ全体、又はセクション10と同様の1つ以上の他のセクションを含み得る送信アンテナのセクションのみを形成することができ、同様に、受信アンテナセクション12は、レーダシステムの受信アンテナ全体、又はセクション12と同様の1つ以上の他のセクションを含み得る受信アンテナのセクションのみを形成することができる。また、レーダシステム14は、任意の従来のレーダ周波数帯で動作するように構成されることができ、例えば、レーダシステムは、75GHz~110GHzの範囲のW帯で動作するように構成することができ、76GHz~81GHzの間の動作のために調整されることができる。加えて、設計者が送信アンテナセクション10として使用することができるMESA送信アンテナセクションの構造及び動作の一例を、
図35~
図37に関連して以下に説明する。
【0021】
送信アンテナセクション10は、1つ以上の電子式操縦可能/切り替え可能アレイ(ESA)、例えば、必ずしもそうではないがMESAを含む。さらに、送信アンテナセクション10は、任意の好適な寸法、例えば近似的にW=10λ×H=3λ、又はW=12λ×H=4λを有することができる。これらの寸法は、送信アンテナセクション10の開口部を画定し、AZ及びEL次元における送信ビームの最小電力半値ビーム幅(HPBW)にも影響を及ぼすが、これは、HPBWが開口サイズに反比例することが知られているためである。例えば、W=12λ×H=4λの場合、送信アンテナセクション10の一実施形態は、AZ次元で5°、EL次元で10°の最小HPBWを有する送信ビームを生成することができる。
【0022】
送信アンテナセクション10の各ESA(
図1に示されるESAは1つのみ)は、それぞれ1つのアナログRFチャネル入力16を含み、ここで、RF信号は、従来の方法、例えば導波路、伝送線路、又はマイクロストリップ等によって、ESA領域全体及び/又はESAのサブ素子に分配される。
【0023】
送信アンテナセクション10の各ESAはまた、送信アレイビーム操縦の電子制御を提供する、デジタル又はアナログの1つ以上の制御線18を含む。この制御は、単一のデジタルライン18として、デジタルラインの集合(例えば、デジタルバス)として、又はアナログラインの集合として、実施されることができる。
【0024】
さらに、1つ以上の制御線18は、経時的な制御信号の集合状態(例えば、論理ハイ若しくは論理ロー、又はアナログ電圧のアレイ)に応じて、送信アレイセクション10の特定の構成を記述する構成を電子的に起動する、それぞれの制御信号を搬送するように各々構成され、該構成は、特定の送信ビーム位置、送信ビームサイドローブレベル、送信ビームHPBW等を記述する。
【0025】
さらに、複数のESAは、それぞれの制御線18を介して送信された送信アレイ構成を調整し同期させることによって、それぞれがそれ自身のアナログ送信入力と一緒に動作するように構成することができる。
【0026】
さらに
図1を参照すると、受信アンテナセクション12は、アンテナ素子22のアレイ20を含み、アンテナ素子は「アンテナセグメント」又は「セグメント」とも呼ばれることができる。アレイ20は、アンテナ素子22の行24及び列26にセグメント化される。例えば、アレイ20は、6つの列26及び2つの行24の、合計12個のアンテナ素子22を有することができる。代替的には、例えば、
図1に示されるように、アレイ20は、5つの列26及び2つの行24の、合計10個のアンテナ素子22を有することができる。
【0027】
さらに、各アンテナセグメント22のそれぞれの位相中心28は、単一のRF受信チャネル(
図1には図示せず)に結合され、それによって、受信アンテナセクション12が、デジタルビーム形成(DBF)アレイであるようにされる。各受信チャネルは、それぞれの増幅器(
図1には図示せず)、それぞれのダウンコンバータ(
図1には図示せず)、それぞれのアナログ・デジタル変換器(ADC)(
図1には図示せず)、及びレーダシステム14が、各対応するアンテナ素子22によって受信されたそれぞれの信号を測定及びデジタル化することを可能にする他のRF、アナログ、及びデジタルコンポーネントを含むことができる。さらに、受信アンテナセクション12は、例えば、近似的にW=25λ×H=10λ等の、任意の適切な寸法を有することができる。これらの寸法は、受信アンテナセクション12の開口部を画定し、AZ及びEL次元における送信ビームの最小電力半値ビーム幅(HPBW)にも影響を及ぼすが、これは、HPBWが開口サイズに反比例することが知られているためである。例えば、W=25λ×H=10λの場合、受信アンテナセクション12の一実施形態は、AZ次元で5°、EL次元で10°の最小HPBWを有する受信ビームを生成することができる。
【0028】
さらに、受信アンテナアレイ20内のアンテナ素子22は、例えば、効率、利得、帯域幅、AZ及びEL次元におけるHPBW等、有利なアンテナ素子特性を提供する任意の形状及び材料であることができる。
【0029】
加えて、アンテナ素子22の各々は、1つ以上のサブ素子を含むことができる。例えば、マイクロストリップ給電パッチアレイ、CPWパッチアレイ等の構成では、アンテナ素子22は、複数のサブ素子を含むことができる。
【0030】
さらに
図1を参照して、一実施形態によるレーダシステム14の動作を説明する。
【0031】
一般に、ESA送信アンテナセクション10は、比較的低電力のサイドローブを有する送信ビームを生成し、レーダシステム14は、受信ビーム(又は複数の受信ビーム、下記参照)を送信ビーム内で整列させるため、従来のレーダシステムと比較して、受信ビームパターンサイドローブによって受信された転送送信エネルギが著しく低減される。したがって、たとえ受信ビームパターンのサイドローブが比較的大きく、それゆえに著しい空間エイリアシングをもたらす可能性があるとしても、制御されたESA送信ビームパターンを追加する(従来のレーダの送信「ブラスト」又は「スプレー」とは対照的)ことは、エイリアシングを大幅に低減するが、これは、従来のレーダシステムと比較して、比較的小さい送信ビームパターンのサイドローブを有するシステムは、転送送信エネルギのうちのより大きなパーセンテージが受信ビームによって受信され、より低い割合の転送送信エネルギのうちのより低いパーセンテージが受信サイドローブによって受信されるためである。言い換えると、ESA送信アンテナセクション10を含むことによって、レーダシステム14は、「スパースな」受信DBFアレイ20(すなわち、距離>>λ/2だけ間隔を置かれたアンテナセグメント22によるアレイ)によって、さもなければ、DBFアレイを単独で、又は従来のレーダシステムの「ブラスト」又は「スプレー」送信と対にされた場合に可能であるよりもはるかに狭いHPBWを有する有効受信ビーム(すなわち、送信ビームと受信ビームとの組み合わせから生じるビーム)を生成することができる。
【0032】
より詳細には、レーダシステム14は、1つ以上のESA制御線18を使用して、選択されたAZ方向及び選択されたEL方向に送信ビームを向ける。ESA送信ビームのHPBWによって制約されるこれらの選択された方向は、受信DBFアレイ20が著しく低減された空間エイリアシングで動作することができる照明領域を集合的に定義する。
【0033】
この照射領域は、DFBアレイ20によって比較的高いレイリー分解能で分解されることができ、そして、送信アンテナセクション10は、送信アンテナセクション10の再構成と、1つ以上の制御線18を用いたその送信ビームパターンとを通して、新しい領域を照射することができる。送信アンテナセクション10及びその送信ビームパターンの逐次的な再構成と、それに続くDBFアレイ20を用いた解像度によって、現在の照明領域から新しい照明領域までの非常に広範なFOVをカバーすることができる。この照明の順序は、順序付けられるか(例えば、ラスタスキャン、コニカルスキャン)、不規則にされるか(ランダム、アダマール)、又は動的若しくはインテリジェントに順序付けられる(タスク可能照明、優先FOV時間重み付け等)ことができる。
【0034】
依然として
図1を参照すると、レーダシステム14は、受信アレイビームを以下のように操縦する。
【0035】
一実施形態では、レーダシステム14は、送信ビームと受信ビームとを同時に生成する連続波(CW)モードで動作する。しかし、レーダシステム14は、送信ビームの1つ以上の「パルス」を生成し、送信ビームを停止し、受信ビームを作動させ、受信ビームを停止し、そしてこの手順を繰り返すパルスモードで動作するように構成されることもできる。以下の説明は、レーダシステム14がCWモードで動作していると仮定しているが、以下の説明は、パルスモードで動作しているレーダシステムにも適用可能である。
【0036】
レーダシステム14は、各アンテナセグメント22によって受信されたそれぞれの信号に対して、それぞれの複素要素重み付けを選択的に適用することによって1つ以上の受信ビームを同時に操縦し、これにより、それぞれの信号に対して、それぞれの位相シフト及びそれぞれの利得が効果的に適用される(利得は、1未満、1、又は1超であることができる)。すなわち、レーダシステム14は、受信アンテナアレイ20を真のフェイズドアレイとして動作させる。
【0037】
レーダシステム14が、12個のアンテナセグメント22のみによって、単一の受信ビームのみを生成する実施形態では、レーダシステムは、比較的狭い幅(例えば、AZ次元で2°HPBW)を有する受信ビームを生成することができ、非常に微細なステップ(例えば、0.1°ステップ)において、ビームをAZ次元に操縦することができる。上述のように、送信ビームは受信ビームを超指向するので、レーダシステム14は、送信ビームのHPBWによって境界を定められた領域などの送信照明立体角(TISA)内で受信ビームを操縦することができる。ステップは、1つの位置における受信ビームが、該受信ビームの隣接する以前の位置と重なるようであってもよく、そうでなくてもよい。
【0038】
別の実施形態では、レーダシステム14は、TISA領域に「適合する」受信ビームの「束」を同時に生成する。例えば、TISA領域が一箱のスパゲティになぞらえるとスパゲティの各ストランドはそれぞれの受信ビームを表す。本実施形態では、受信ビーム束がTISAを「満たす」ので、レーダシステム14は、上記の実施形態で説明したような、受信ビームを操縦する必要はない。すなわち、本実施形態では、レーダシステム14は、複数の受信ビームによって同時にTISA領域をカバーするのに対し、上述の実施形態では、レーダシステムは、単一の受信ビームを受信ビーム位置間で順次操縦して、TISA地域を一定期間にわたってカバーする。
【0039】
さらに別の実施形態では、レーダシステム14は、TISA領域内に「適合する」がそれを「満たさない」受信ビーム束を同時に生成する。次に、レーダシステムは、一定期間にわたってTISA領域をカバーするために、受信ビーム束を束の位置間で順次操縦する。束の位置は他の束の位置と重なっても重ならなくてもよい。
【0040】
さらに別の実施形態では、受信ビーム束は、TISA領域を「埋める」ために必要とされるよりも少ないビームを含む。したがって、レーダシステム14は、束又は束内の1つ以上の受信ビームを操縦することができ、その結果、レーダシステムが送信ビームを操縦するために送信ESAを再構成する前に、少なくとも1つの受信ビームが、TISA領域内の各領域を占める。
【0041】
以下では、レーダシステム14は、単一の受信ビームを生成及び操縦するとして説明されているが、特記しない限り、当該説明は、複数(例えば、束)の受信ビームを同時に生成及び操縦するレーダシステムにも適用されることが理解される。
【0042】
図2は、一実施形態による、受信アンテナセクション12、アンテナ素子22のアレイ20、アンテナ素子の位相中心28の図であり、アンテナ素子22のうちの1つの拡大図である。本実施形態では、限定することは意図されていないが、各アンテナ素子22は、パッチサブ素子30のマイクロストリップ給電直列サブアレイを含む。
【0043】
図3は、AZ及びEL次元における基本ビームパターン32(受信ビームのパターン)の設計を描写するプロットである。基本ビームパターン32、及びAZ及びELにおけるその特性HPBWは、各受信チャネルが、そしてひいては、最終的には受信アレイ20が、信号を受信することができるFOVを定義する。次に、要素ビームパターン32はまた、レーダシステム全体が動作することができるFOVを規定する。
【0044】
図2~
図3を参照すると、一実施形態では、受信素子22は、受信アレイ20に、AZ次元で約90°、EL次元で約20°の総HPBWを与えるサブ素子30の数及び形状寸法をもって設計されて、レーダシステム14が、AZ次元において非常に広範なFOVを有し、EL次元においていくぶん制限されたFOVを有することを可能にする。
【0045】
図4は、受信アンテナセクション12と受信アレイ20の面積を示す図である。
【0046】
図5~6は、それぞれ、AZ次元及びEL次元における受信ビームパターン40及び42のプロットであり、これらのパターンは、アレイ20の幾何学的配置の結果として生じ、アレイ20の幾何学的配置は、通常、「アレイファクタ」と呼ばれる。
【0047】
図4~6を参照すると、アレイファクタビームパターン(AZ及びEL受信ビームパターンをともに見ている)は、受信チャネルに適用される複素重み(振幅及び位相)の選択によって影響され、上述のように、個々のビーム又はビーム束を生成する非常に多数の可能な受信ビームパターンがある。言い換えると、
図5~6のAZ及びEL受信ビームパターン40及び42は、アレイ20の形状寸法(すなわち、アンテナ素子22の相対位置)と、複素受信重みの選択とからのみ生じる。
【0048】
アレイファクタ受信ビームパターンは、HPBW、ビーム角度、及びサイドローブレベル等のビーム特性を有し、これらは複素受信重みの選択によって影響される。AZパターン40は、受信ビーム44と、主サイドローブ46及び48とを含む。主サイドローブ46及び48は、受信ビーム44の電力レベルの半分を上回る(すなわち、そこから3dBを下回る)最大電力レベルを各々有する。同様に、ELパターン42は、受信ビーム44と、主サイドローブ50及び52とを含む。
【0049】
レーダシステム14(
図1及び
図33)のレーダシステム設計者の目的は、AZ及びEL次元の両方において、送信及び受信パターンをエイリアシングし、対象となる領域の外側のサイドローブを最大限排除することによって、送信ビームのHPBW領域からサイドローブ46、48、50、及び52を最大限排除することである。
【0050】
図7は、一実施形態の受信アレイ40の送信ビームパターン54、受信要素ビームパターン56、及びAZ次元のビームパターンを描写する図である。受信素子ビームパターン56は、アンテナサブ素子30(
図2)の配置、大きさ、形状等に起因する。図から分かるように、受信空間エイリアシングの大部分は、送信ビームパターン54のHPBWの外側に位置し、したがって、送信アンテナセクションとスパースな受信アンテナセクションとの組み合わせは、AZにおける受信空間エイリアシングを大いに抑制する。
【0051】
図8は、一実施形態についての、EL次元における送信ビームパターン58、受信要素ビームパターン60、及び受信アレイ42のビームパターンを示す図である。図から分かるように、受信空間エイリアシングの大部分は、送信ビームパターン58のHPBWの外側に位置し、したがって、送信アンテナセクションとスパース受信アンテナセクションとの組み合わせは、ELにおける受信空間エイリアシングを大いに抑制する。
【0052】
送信ビームの形状に実際的な制限、例えば、送信ビームがその中央領域からそのHPBWを通って低いレベルまで進行する際の鮮明度等がある限りにおいて、送信ビームのサイドローブの形状、場所、及びレベルに対して実際的な制限がある限りにおいて、そして、これらの制限がAZとELの両方に存在することを考慮して、レーダシステム14の設計者は、レーダシステムのサイドローブを特定の用途のための所望のレベルまで低減することにおいて課題に直面する場合がある。
【0053】
結果として、AZ及びELに存在し得る空間エイリアシングサイドローブをさらに低減するために、
図9に関連して以下に説明されるように、レーダシステム設計者はさらに、複数の許容可能な受信アレイ20の幾何学的構成を活用することができる。
【0054】
上記を考慮すると、所与の受信エリアにわたって必要とされるチャネル数が減少するという利点を提供することに加えて、受信アレイのスパース化、すなわち、λ/2よりはるかに大きいアレイ素子の分離もまた、受信素子22の位置付けにおいて付加的な自由度を提供することに注目されたい。言い換えると、広いエリアにわたって置かれた固定数の受信素子22は、それらが衝突するか又は重ならない多数の可能な位置構成を有し、そのような可能な位置構成の数は、受信アンテナアレイ20の面積とともに増大する。
【0055】
図9は、受信アンテナアレイセクション70の図であり、
図1、2、及び4の受信アンテナアレイセクション20に代えて、レーダシステム14に用いることができる。
【0056】
図10~11は、単一の受信ビームに対してアンテナ部70によって生成された、それぞれAZ及びEL次元におけるビーム及びサイドローブパターン72及び74のプロットである(レーダシステム14が受信ビーム束を生成場合であり、そして、これらのプロットは、束における各受信ビームに対するものである)。
【0057】
図9~
図11を参照すると、後述するように、受信アンテナセクション70は、受信アンテナ12(
図1~2)によって生成された主受信サイドローブ46、48、50、及び52(
図5~
図6)よりも低電力の主受信サイドローブを生成することができ、そしてひいては、受信サイドローブによって引き起こされるエイリアシングをさらに減少させることができる。
【0058】
図1~2及び
図4の受信アンテナセクション12と同様に、受信アンテナセクション70は、6個のアンテナサブ素子30を各々有する10個のアンテナセグメント22を含む(
図9~
図11には図示せず)。
【0059】
しかし、
図1~
図2及び
図4の受信アンテナセクション12とは異なり、アンテナセグメント22は、
図1のデカルト垂直列26及び水平行24には配置されず、代わりに
図9に示すパターンで配置される。後述するように、この受信アンテナパターンは、
図1の受信アンテナセクション12と比較して、AZ及びEL次元の両方において主受信サイドローブのレベルを著しく減少させ、そしてひいては、エイリアシングをさらに減少させる。
【0060】
さらに
図9~
図11を参照すると、受信アンテナセクション70のAZビームパターン72は、受信ビーム76と受信サイドローブ78及び80とを含む。受信ビーム76に最も近いサイドローブ78は、受信ビーム76の電力レベルから少なくとも11dB低い最大電力レベルを各々有する。したがって、サイドローブ78が、AZ次元において送信ビーム82のHPBW領域に近接しており、かつその範囲内にあり得たとしても、サイドローブ78は、
図1の受信アンテナセクション12によって生成されるエイリアシングのレベルと比較して、エイリアシングにおける著しい減少を提供するが、これは、サイドローブ78の各々の電力レベルが、受信アンテナセクション12によって生成された最も近いサイドローブ46の電力レベルよりも少なくとも10dB低いためである。そして、サイドローブ80が、AZ次元における送信ビーム82のHPBW領域に近接しており、かつその範囲内にあり得たとしても、サイドローブ80は、
図1の受信アンテナセクション12によって生成されるエイリアシングのレベルと比較して、エイリアシングにおける著しい減少を提供するが、これは、各サイドローブ80の電力レベルが、受信アンテナセクション12によって生成された最も近いサイドローブ48(
図5)の電力レベルよりも少なくとも10dB低いためである。
【0061】
同様に、ELパターン74は、受信ビーム76とサイドローブ84及び86とを含む。受信ビーム76に最も近いサイドローブ84は、ビーム76の電力レベルから少なくとも10dB低い最大電力レベルを各々有する。したがって、サイドローブ84が、EL次元において送信ビーム82のHPBW領域に近接しており、かつその範囲内にあったとしても、サイドローブ84は、
図1の受信アンテナセクション12によって生成されるエイリアシングのレベルと比較して、エイリアシングの大幅な減少を提供するが、これは、サイドローブ84の各々の電力レベルが、受信アンテナセクション12によって生成された最も近いサイドローブ50(
図6)の電力レベルよりも少なくとも10dB低いからである。そして、受信ビーム76に最も近い受信サイドローブ86は、ビーム76の電力レベルから少なくとも10dB低い最大電力レベルを有する。したがって、サイドローブ86が、EL次元において送信ビーム82のHPBW領域に近接しており、かつその範囲内にあり得たとしても、サイドローブ86は、
図1の受信アンテナセクション12によって生成されるエイリアシングのレベルと比較して、エイリアシングにおける著しい減少を提供するが、これは、サイドローブ86の各々の電力レベルが、受信アンテナセクション12によって生成された最も近いサイドローブ52の電力レベルよりも少なくとも10dB低いためである。
【0062】
さらに
図9~
図11を参照すると、受信アンテナセクション70の代替実施形態が意図される。例えば、アンテナセグメント22の数、パターン、及び構成は、
図9~
図11に関連して示され、かつそれらに関連して上述されたものとは異なることができる。例えば、受信アンテナセクション70は、12個よりも多いか又は少ないアンテナセグメント22を有することができ、アンテナセグメントは、
図9に示すものとは異なるように配置することができ、各アンテナ素子22は、サブ素子の数、場所、形状、及び設計の点で様々な構成のサブ素子30を有することができる。
【0063】
図12は、一実施形態による、受信アンテナサブ素子30(
図2)、受信アンテナアレイ20(
図9)、及び送信アンテナセクション10(
図1)のパターン(
図10~11)の組み合わせから得られた有効(双方向)AZビームパターン90のレーダシステム14のプロットである。有効パターン90を生成するために、
図10のAZパターン72の受信アレイ及び受信サブ素子ビームパターン(電力又は大きさの単位で)は、互いに、そして各ビーム角度において(同じ電力又は大きさの単位で)AZパターン72の送信ビームパターンによって乗算される。有効AZパターン90は、
図10のAZ受信アレイビームパターン、AZ受信サブ素子ビームパターン、又はAZ送信ビームパターンと比較して、著しく低いサイドローブレベルを有し、そしてひいては著しく優れたエイリアス除去を有する。
【0064】
図13は、一実施形態による、受信アンテナサブ素子30(
図2)、受信アレイ20(
図9)、及び送信アンテナセクション10(
図1)のパターン(
図10~11)の組み合わせから得られた有効(双方向)ELビームパターン92のレーダシステム14のプロットである。有効パターン92を生成するために、
図11のELパターン74の受信アレイ及び受信サブ素子ビームパターン(電力又は大きさの単位で)は互いに、そして各ビーム角度において(同じ電力又は大きさの単位で)ELパターン74の送信ビームパターンによって乗算される。有効パターン92は、
図11のEL受信アレイビームパターン、EL受信サブ素子ビームパターン、又はEL送信ビームパターンと比較して、著しく低いサイドローブレベルを有し、そしてひいては著しく優れたエイリアス除去を有する。
【0065】
図14~
図19を参照すると、一実施形態による、レーダシステム14の上述の実施形態と比較した場合、エイリアシングをさらに低減するための技法が説明されている。より具体的には、レーダシステム14の設計者は、ESA送信アンテナの設計を変更して、(AZ又はEL次元における)送信ビーム及びサイドローブパターンのヌルを、(AZ又はEL次元における)
受信ビーム及びサイドローブパターンのピークと整列させるか、又は、又は送信ビーム及びサイドローブパターンのサイドローブピークを、受信ビーム及びサイドローブパターンのヌルと整列させるようにすることができる。そのような整列は、ビーム及びサイドローブパターンにおいて、送信ヌル/ピークが受信ピーク/ヌルを効果的に「取り消す」ことを引き起こす。
【0066】
図14は、一実施形態による、送信アンテナセクション100の図であり、送信アンテナセクション100が、それぞれのMESAの幾何学的中心102及び104間の垂直距離Δyによって分離された2つのMESA半部(サブセクション)106及び108を有することを除き、
図1の送信アンテナセクション10と同様である。送信アンテナセクション100は、送信アンテナの一部又は全体を形成することができ、Δyは、送信ELビーム及びサイドローブパターンのヌル及びピークを、EL次元にシフトするように調整されることができる。このシフトは、典型的には、送信ビームを中心として対称である。例えば、Δyを大きくすると、送信ELビーム及びサイドローブパターンのヌル及びサイドローブは、送信ビームに向かって近接して移動し、Δyを小さくすると、送信ELビーム及びサイドローブパターンのヌル及びサイドローブは、移動する。送信ビームから遠くに離れるように移動する。
【0067】
図15は、一実施形態による、
図9の受信アンテナセクション70と同様であることができる受信アンテナセクションの受信ELビーム及びサイドローブパターン112に重ね合わせられる送信アンテナセクション100(
図14)の実施形態の送信ELビーム及びサイドローブパターン110のプロットである。例えば、送信ELパターン110のヌル114及び116は、受信ELパターン112のサイドローブ118及び120のピークと近似的に整列され、受信ELパターン112のヌル122及び124は、送信ELパターン110のサイドローブ126及び128のピークと近似的に整列する。
【0068】
【0069】
図17は、一実施形態による、EL=AZ=0°に対する、
図15の送信ビームパターン110と受信ビームパターン112との組み合わせから得られた有効ELビームパターン130のプロットである。
【0070】
図18は、EL=AZ=0°である実施形態による、
図16の送信ELパターン110をもたらす送信アンテナセクション100(
図14)の実施形態の送信AZビーム及びサイドローブパターン132のプロットであり、
図16の受信ELパターン112をもたらす受信アンテナセクションの受信AZビーム及びサイドローブパターン134が重ね合わせられている。
【0071】
図19は、一実施形態による、EL=AZ=0°のための
図18の送信及び受信ビームパターン132及び134の組み合わせから得られた有効AZビームパターン136のプロットである。
【0072】
図14~
図19の説明を続けるが、ここで
図20~
図23を参照すると、送信アレイ及び受信アレイの両方がEL次元で操縦されると、上記技術を使用して達成されるサイドローブ及び空間エイリアシングの低減が維持される。
【0073】
図20は、EL=5°及びAZ=0°である実施形態による、
図15~19の送信パターンをもたらす送信アンテナセクション100の実施形態の送信ELビーム及びサイドローブパターン140のプロットであり、
図15~
図19の受信パターンをもたらす受信アンテナセクションの受信ELビーム及びサイドローブ142が重ね合わせられている。
【0074】
図21は、EL=5°及びAZ=0°の実施形態による、
図20の送信ビームパターン140と受信ビームパターン142との組み合わせから得られた有効ELビームパターン144のプロットである。
【0075】
図22は、EL=5°及びAZ=0°である実施形態による、
図20の送信ELパターン140をもたらす送信アンテナセクション100の実施形態の送信AZビーム及びサイドローブパターン146のプロットであり、
図20の受信ELパターン142をもたらす受信アンテナセクションの受信AZビーム及びサイドローブパターン148が重ね合わせられている。
【0076】
図23は、EL=5°及びAZ=0°である実施形態による、
図22の送信及び受信ビームパターン146及び148の組み合わせから得られた有効AZビームパターン150のプロットである。
【0077】
さらに、場合によっては、受信ビーム及びサイドローブパターンのサイドローブのピークは、送信ビーム及びサイドローブパターンのサイドローブのピークと一致する。すなわち、有効サイドローブの大きさを減少させるように作用することに代えて、受信サイドローブ及び送信サイドローブは、整列された/一致している送信及び受信サイドローブの組み合わせから得られた有効サイドローブの大きさを増大させるように作用するように付加的である。
【0078】
図24は、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図15~19の送信パターンをもたらす送信アンテナセクション100(
図14)の実施形態の送信ELビーム及びサイドローブパターン152のプロットであり、
図15~
図19の送信パターンをもたらす受信アンテナセクション70(
図9)の受信ELビーム及びサイドローブ154が重ね合わせられている。
【0079】
図25は、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図24の送信及び受信ビームパターン152及び154の組み合わせから得られた有効(双方向)ELビームパターン156のプロットである。
【0080】
図26は、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図15~19の送信パターンをもたらす送信アンテナセクション100(
図14)の実施形態の送信AZビーム及びサイドローブパターン160のプロットであり、
図15~19の受信パターンをもたらす受信アンテナセクション70(
図9)の受信AZビーム及びサイドローブパターン162が重ね合わせられている。
【0081】
図27は、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図26の送信及び受信ビームパターン160及び162の組み合わせから得られた有効(双方向)AZ及びELビームパターン164のプロットである。
【0082】
図26~
図27を参照すると、残念なことに、約20°のAZ角では、送信サイドローブ166のピークは、受信サイドローブ168のピークと一致し、それによってサイドローブ166及び168の組み合わせが、著しい有効サイドローブ170を形成するようにされる。
【0083】
図28は、セクション180が送信アンテナの一部又は全体を形成することができる実施形態による、送信アンテナセクション180の図である。送信アンテナセクション180は、垂直に積み重ねられているが分離された2つの送信サブセクション又は部分182及び184を含み、それらの各々が、それぞれのMESAであることができる。
【0084】
図26の送信サイドローブ及び受信サイドローブ166及び168のピークを整列解除又は相関解除するための技術は、送信アンテナセクション180の送信部分182を、送信部184に対し水平(AZ)次元にシフト又はスライドさせることである。
【0085】
図29は、
図24に類似しているが、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図15~19の送信パターンをもたらす送信アンテナセクション100(
図14)の実施形態の送信ELビーム及びサイドローブパターン186のプロットであり、
図15~19の受信パターンをもたらす受信アンテナセクション70(
図9)の実施形態の受信ELビーム及びサイドローブパターン187が重ね合わせられている。
【0086】
図30は、
図25に類似しているが、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図29の送信及び受信ビームパターン186及び187の組み合わせから得られた有効(双方向)ELビームパターン188のプロットである。
【0087】
図31は、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図15~19の送信パターンをもたらす送信アンテナセクション180(
図28)の実施形態の送信AZビーム及びサイドローブパターン190のプロットであり、
図15~19の受信パターンをもたらす受信アンテナセクション70(
図9)の受信AZビーム及びサイドローブパターン192が重ね合わせられている。
【0088】
図32は、EL=0°及びAZ=49°である実施形態による、
図31の送信ビームパターン190と受信ビームパターン192との組み合わせから得られた有効AZビームパターン194のプロットである。
【0089】
図28及び31~32を参照すると、約20°のAZ角では、送信アンテナセクション180の送信部182の、送信部184に対するAZシフトは、送信サイドローブ166のピークを、
図31の左側にシフトし、それによって、当該ピークがもはや受信サイドローブ168のピークと一致しないようにされる。さらに、このシフトはまた、送信サイドローブ166のピークの大きさを減少させる。したがって、サイドローブ166及び168の組み合わせによって形成される有効サイドローブ170の大きさは、
図27のサイドローブ170の大きさから著しく(約15dBだけ)減少する。
【0090】
再び
図27を、そして加えて
図14を参照すると、送信部184(108)に対して送信部182(106)をAZにシフトする(及び/又はELをシフトする)技法は、AZ次元の他のビーム角での送信及び受信サイドローブの相関を解除するために適用することができる。設計者は、特定の用途のために、AZ次元におけるすべてのビーム角度にわたって最良の全体的なサイドローブ無相関をもたらすシフトの大きさ及び極性/方向を選択することができる。
【0091】
1つ以上の受信サイドローブに沿ってリダイレクトされた送信エネルギを受信する受信アンテナによるエイリアシングを低減するための別の技術は、各受信チャネルに適用されることができる複数の複素重みを利用することであり、複素重みベクトルは、ほぼ同一の主ビームを有するが非常に異なるサイドローブパターンを有する受信アレイをもたらし得ることに注目されたい。
【0092】
この技術は、受信ビーム(又は受信ビーム束)の1つ以上の位置の各々に対して、受信アンテナセグメント22(
図4)のうちの1つ以上の各々の複素重み付けを調整することによって、1つ以上の受信サイドローブを選択的に減少させるために適用されることができる。設計者は、シミュレーション又は測定によって、受信ビーム位置における主要な受信サイドローブを決定することができ、受信ビーム(又は受信ビーム束)に所望のビーム特性(例えば、AZ及びEL次元のHPBW)を与え、主受信サイドローブに所望のサイドローブ特性(例えば、大きさ、位相)を与えるように、各アンテナセグメント22に対して最良の複素重みを決定することができる。次に、設計者は、レーダシステム14を、アンテナセグメント22に対してこれらのそれぞれ決定された複素重み付けを実施し、一方で受信ビームが対応する受信ビーム位置を有するようにプログラムすることができる。設計者は、受信ビームの1つ以上の位置についてこの手順を繰り返すことができ、例えば、ルックアップテーブル(LUT)に、各受信ビーム位置についての各アンテナセグメント22のためのそれぞれの複素重み付けを記憶することができる。
【0093】
図33は、レーダサブシステム210のブロック図であり、これは、レーダサブシステム210が、
図1のレーダシステム14と同じであることができるか、又はそれに代わることができる実施形態による、
図1~2、4、9、14及び28の送信及び受信アンテナ10、12、100、及び180のうちの1つ以上を含むアンテナグループ又はサブシステム212を含む。
【0094】
アンテナグループ212に加えて、レーダサブシステム210は、トランシーバ214、ビーム操縦コントローラ216、レーダ処理ユニット218、及びマスタコントローラ220を含み、これらの構成要素は、ハードワイヤードであるか、データストリーム構成可能であるか、ソフトウェアを実行するか、又はそのような回路のサブコンビネーション若しくはコンビネーションである回路であることができる。
【0095】
アンテナサブシステム212は、送信アンテナセクション10(
図1)、100(
図14)、及び180(
図28)のうちの1つ以上を含み得る送信アンテナ222を含み、かつ受信アンテナ224を含み、これは、1つ以上の受信アンテナセクション12(
図1~2及び4)又は70(
図9)を含むことができる。上述のように、送信アンテナ222は、1つ以上の所望の特性を有する1つ以上の送信ビームパターンを生成するように構成され、受信アンテナ224は1つ以上の所望の特性を有する1つ以上の受信ビームパターンを生成するように構成され、それによって、送信ビームパターンがそれぞれの受信ビームパターンと結合して空間フィルタを形成するようにされる。
【0096】
トランシーバ214は、送信回路226と受信回路228を含む。送信回路226は、電圧制御発振器(VCO)230、前置増幅器232、及び増幅器(PA)234を含む。VCO 230は、送信アンテナ222が設計される周波数である周波数f0=c/λ0を有する信号を生成するように構成される。前置増幅器232は、VCO信号を増幅するように構成され、PA234は、前置増幅器からの信号を増幅するように構成される。受信機回路228は、受信アンテナ224の各アンテナセグメント22に対するそれぞれの受信チャネル236を含む。各低雑音増幅器(LNA)238、ミキサ240、及びアナログ・デジタル変換器(ADC)242。LNA238は、受信アンテナ224によって受信された信号を増幅するように構成される。ミキサ240は、増幅された受信信号の周波数をベースバンドまでシフトダウンするように構成され、ADC242は、レーダ処理ユニット220による処理のために、シフトダウンされたアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される。
【0097】
ビーム操縦コントローラ216は、制御線18(
図1)上で、1つ以上の送信アンテナで構成されるアンテナユニットへの制御信号を、時間と主送信ビーム位置の関数として生成することによって、1つ以上のMESA送信アンテナ222によって生成された送信ビームを誘導するように構成される。制御信号を適切に生成することによって、ビーム操縦コントローラ216は、選択された空間的及び時間的パターンに従って、1つ以上のMESA送信アンテナ222のアンテナ素子を選択的に起動及び停止するように構成される。1つ以上のMESA送信アンテナ222などの送信アンテナのビーム操縦が、
図35~
図37と併せて以下に説明される。
【0098】
レーダ処理ユニット218は、受信機228からデジタル化されたベースバンド受信信号の各々を受信し、その信号を処理して、上述のように受信ビームを形成し、そして操縦するように構成される。上述のように、レーダ処理ユニット218は、任意の所与の時間に、デジタル化信号のそれぞれをそれぞれの利得で増幅し、デジタル化信号のそれぞれをそれぞれの位相だけシフトすることによってそれぞれの受信ビームパターンを生成するように構成される。利得及び位相シフトを時間の関数として変化させることによって、レーダ処理ユニット218は、受信ビームパターンの1つ以上の主受信ビームを効果的に操縦する。そして、レーダ処理ユニット218は、例えば受信ビームに沿って物体を検出し、物体の位置及び速度を決定するためのさらなる処理のために、形成された受信ビームパターンによって搬送されるレーダデータを従来のデータ処理回路に供給する。例えば、データ処理回路は、受信機228からの信号を分析して、例えば検出された物体と物体の場所及び速度とを識別し、もしあれば、システムが含むか又は結合されるどのような動作を、レーダサブシステム210がとるべきであるかを決定するように構成されることができる。例えば、システムが自動運転車両又は自己指示ドローンである場合、データ処理回路は、もしあれば、どのような動作(例えば、制動、旋回)を、検出された物体に応答して車両がとるべきかを決定するように構成される。代替的には、レーダ処理ユニット218は、データ処理システムの代わりに、又はそれに加えて、レーダデータのそのようなさらなる処理を実行するように構成され得る。
【0099】
マスタコントローラ220は、レーダシステムコントローラ(
図33に図示せず)からのレーダ制御信号に応答して、トランシーバ214、ビーム操縦コントローラ216、及びレーダ処理ユニット218を制御するように構成される。例えば、1つ以上の送信アンテナ222が、f
0を中心とする範囲内の周波数で動作するように設計されていると仮定すると、マスタコントローラ220は、例えば環境条件、例えば天気、1つ以上の送信アンテナ及び1つ以上の受信アンテナ224の範囲内の物体の平均数、及び1つ以上の送信アンテナと受信アンテナからの物体の平均距離に対して、VCO230によって生成される信号の周波数を調整し、送信信号をスペクトル規制と一致させるように構成される。さらに例では、マスタコントローラ220は、ビーム操縦コントローラ216及びレーダ処理ユニット218に、送信ビーム及び受信ビームを形成させるコマンドを、ビーム操縦コントローラ216及びレーダ処理ユニット218にそれぞれ発行するように構成することができ、これらはコマンドに対応する。
【0100】
一実施形態による、レーダサブシステム220の動作を以下に説明する。マスタコントローラ220等のシステム構成要素のいずれかが、ソフトウェア/プログラム命令をメモリに格納し、実行して、以下に説明する動作を実行することができる。代替的に、システムコントローラ(
図33に図示せず)等の任意のシステムコンポーネントが、ロードされるとシステムコンポーネントのうちの1つ以上が下記の動作を行うように構成するデータセット、例えばファームウェアを、メモリに記憶することができる。または、システムコントローラ等のシステムコンポーネントのいずれかをハードワイヤ接続して、後述の動作を実行することができる。
【0101】
マスタコントローラ220は、VCO230に、f0を中心とする周波数範囲内の周波数で信号を生成させる制御電圧を生成する。例えば、f0は、約5ギガヘルツ(GHz)~100GHzの範囲内にあることができる。
【0102】
VCO230は、信号を生成し、PA232及び増幅器234は、信号を増幅し、増幅された信号を1つ以上の送信アンテナ222に提供する。
【0103】
増幅器234は、送信信号を1つ以上の送信アンテナ222に結合している間、ビーム制御コントローラ216は、マスタコントローラ220に応答して、1つ以上の送信アンテナのアンテナユニットへの制御信号を生成している。これらの制御信号は、1つ以上の送信アンテナに1つ以上の主信号送信ビームを生成させ、それを操縦させる。
図7~8、10~27、及び29~32に関連して上述したように、制御信号は、1つ以上の主信号送信ビームに所望の特性をもたせ、また、送信サイドローブにも所望の特性、例えば、好適な総サイドローブ電力及び好適なサイドローブレベル(例えば、最小主信号送信ビームと最大サイドローブとの間)をもたせる。
【0104】
その後、マスタコントローラ220は、VCO230に送信信号の生成を中止させる。
【0105】
次に、VCO230が信号を生成していない間、LNA238は、それぞれの受信アンテナセグメント22から受信した信号をそれぞれ増幅する。
【0106】
そして、ミキサ240は、LNA238から受信した増幅信号を、例えばf0又はその近傍の周波数からベースバンド周波数にそれぞれ逓降する。
【0107】
次に、ADC242は、アナログの逓降された信号を、それぞれのデジタル信号に変換する。
【0108】
そして、主制御部220は、1つ以上の制御信号を生成してレーダ処理ユニット218に送信する。
【0109】
これらの制御信号によって、レーダ処理ユニット218は、受信回路214からのデジタル化された信号のそれぞれに好適なそれぞれの利得及び位相シフトを適用することによって、1つ以上の主信号受信ビームを生成及び操縦する。
図7~8、10~27、及び29~32に関連して上述したように、制御信号は、レーダ処理ユニット218に、所望の特性を有するように1つ以上の主信号受信ビームを生成させ、また、サイドローブを生成して、好適な総サイドローブ電力及び適切なサイドローブレベル等の所望の特性を有するようにさせる。
【0110】
次に、レーダ処理ユニット218、又はデータ処理回路(
図33に図示せず)は、増幅され位相シフトされたデジタル信号を分析して、信号からの情報を得、もしあれば、信号から得られた情報に応答して何がされるべきかを判定する。
【0111】
レーダサブシステム210は、上記のサイクルを1回以上繰り返すことができる。
【0112】
さらに
図33を参照すると、レーダサブシステム210の代替の実施形態が意図される。例えば、レーダサブシステム210は、上記で説明されていない1つ以上の追加の構成要素を含むことができ、1つ以上の上記の構成要素を省略することができる。さらに、レーダサブシステム210の1つの構成要素に起因する機能又は動作は、レーダサブシステムの他の構成要素によって、又はレーダサブシステムの外部の他の構成要素によって実行されることができる。
【0113】
図34は、一実施形態による、
図33のレーダサブシステム210を含む車両システム250等のシステムのブロック図である。例えば、車両システム250は、無人機又は自動運転車などの無人航空機(UAV)であることができる。
【0114】
レーダサブシステム210に加えて、車両システム250は駆動アセンブリ242及びシステムコントローラ244を含む。
【0115】
駆動アセンブリ252は、エンジン又はモータ等の推進ユニット256と、方向舵、フラペロン、ピッチ制御、又はヨー制御(例えば、UAV又はドローン用)、又は操舵可能な車輪にリンクされた操縦車輪(例えば、自動運転車用)等の操舵ユニット258とを含む。
【0116】
システムコントローラ254は、レーダサブシステム210及び駆動アセンブリ252を制御し、それらから情報を受信するように構成される。例えば、システムコントローラ254は、レーダサブシステム210から近くの物体の位置、サイズ、及び速度を受信し、例えばGPS受信機(
図34に図示せず)から、又はシステム250に搭載されたセンサ(例えば、
図34にも示されていない加速度計)から、車両システム210の速度及び進行方向を受信するように構成されることができる。
【0117】
一実施形態による、車両システム250の動作を以下に説明する。システムコントローラ254等のシステム構成要素のいずれかが、ソフトウェア/プログラム命令をメモリに格納し、実行して、以下に説明する動作を実行することができる。代替的に、システムコントローラ254等の任意のシステムコンポーネントのが、ロードされるとシステムコンポーネントのうちの1つ以上が下記の動作を行うように構成するファームウェアを、メモリに記憶することができる。または、システムコントローラ244等のシステムコンポーネントのいずれかをハードワイヤ接続して、後述の動作を実行することができる。
【0118】
システムコントローラ254はレーダサブシステム210を起動し、レーダサブシステム210は、
図33に関連して上述したように、車両システム250の近くの1つ以上の物体に関する情報をシステムコントローラに提供する。例えば、車両システム250がUAV又は無人機である場合、レーダサブシステムは、UAV/ドローンの前方、側方、及び公報への飛行経路において、1つ以上の物体(例えば、鳥、航空機、及び他のUAV/無人機)に関する情報を提供することができる。代替的に、車両システム250が自動運転車である場合、レーダサブシステム210は、車両システムの前方、側面、及び後方への道路内の1つ以上の物体(例えば、他の車両、破片、歩行者、自転車)に関する情報を提供することができる。
【0119】
レーダサブシステム210からの物体情報に応答して、システムコントローラ254は、もしあれば、車両システム250が物体情報に応答してとるべき行動を決定する。代替として、レーダサブシステム210のマスタコントローラ220(
図33)はこの決定を行い、それをシステムコントローラ254に提供することができる。
【0120】
次に、システムコントローラ254(又は
図33のマスタコントローラ220)が動作をとるべきであると判断した場合、システムコントローラは駆動アセンブリ252に決定した動作を行わせる。例えば、システムコントローラ254又はマスタコントローラ220が、UAVシステム250がUAVシステムの前の物体に接近していると判断した場合、システムコントローラ254は、推進ユニット256を制御して空気速度を低下させることができる。あるいは、システムコントローラ254又はマスタコントローラ220が、自動運転システム250の前にある物体が減速していると判断した場合、システムコントローラ254は推進ユニット256を制御してエンジン速度を下げ、ブレーキをかけることができる。あるいは、システムコントローラ254又はマスタコントローラ220が、車両システムの前にある物体(例えば、別のUAV/無人機、鳥、車両システム250の前に走った子供)を回避するために回避行動が必要であると判断した場合、次いで、システムコントローラ254は、推進ユニット256を制御してエンジン速度を低下させ、そして自動運転車両の場合はブレーキをかけるように制御し、操縦ユニット258を制御して車両システムを物体から又は物体の周囲に操縦することができる。
【0121】
さらに
図34を参照すると、車両システム250の代替実施形態が意図される。例えば、車両システム250は、上記で説明されていない1つ以上の追加の構成要素を含むことができ、1つ以上の上記の構成要素を省略することができる。さらに、車両システム250は、UAV、無人機、又は自動運転車以外の車両システムであることができる。車両システム250の他の例には、船舶、オートバイ、自動運転ではない車、及び宇宙船が含まれる。さらに、レーダサブシステム210を含むシステムは、車両システム以外のものであることができる。
【0122】
図35は、一実施形態に
よる、
図1の送信アンテナ部10の平面図であり、送信アンテナセクションは、複数の導波路260
1~260
n及び対応する導電性アンテナ素子262
1~262
nを有するホログラフィック開口アンテナ部である。導波路260は、従来の矩形ストリップ伝送線路導波路であり、その上部のみが
図35において見ることができ、近似的に互いに平行である。アンテナ素子262
1~262
nは、導波路260上にそれぞれ一次元アレイ状に配置されている。例えば、アンテナ素子262
1は、導波路260
1上に一次元アレイ状に配置され、アンテナ素子262
2は導波路260
2上に一次元アレイ状に配置され、以下同様である。送信アンテナセクション10が、λ
0の波長で信号を送受信するように設計されていると仮定すると、導波路260は、長手方向の中心において、距離d
1≒λ
0/2だけ互いに離間しており、各一次元アレイ内のアンテナ素子262は、互いに距離d
2<<λ
0だけ離間している。例えば、λ
0/1000<d
2<λ
0/10である。さらに、導波路260の各々は、約3λ
0~20λ
0の間の近似的に同一の長さlを有するか、又は長さlは、20λ
0よりも長いことができる。
【0123】
図36は、一実施形態による、
図35の送信アンテナセクション10を
図35の線A-Aに沿って切り取った側面図である。
図36には、導波路260
3及び対応するアンテナ素子262
3のみが示されているが、以下の説明は他の導波路及びアンテナ素子にも当てはまる。
【0124】
導波路262
3は、周波数f
0=c/λ
0、付近で調整可能なインピーダンスを有する結合層270、導電層/ストリップ272
3、誘電体層274を含み、ここで、cは自由空間での光の速度である。図示されていないが、送信アンテナセクション10は、誘電体層274の下に配置された接地面などの導電面を含む。動作中、導波路260
3によって案内される信号は、導電性ストリップ272
3と接地面との間の誘電体層274に沿って伝搬する。送信アンテナセクション10は、すべての導波路260に共通の単一の結合層270及び単一の誘電体層274を含むことができるが、アンテナ部は、導波路ごとに1つのストリップを有する別々の導電性ストリップ272を含む。これらのストリップ272、及び対応するアンテナ素子262は、距離d
1だけ離間している(
図35参照)。
【0125】
各アンテナ素子2623、及びアンテナ素子の下に配置された層270の結合領域2763は、それぞれのアンテナユニット2783を形成する。例えば、層270のアンテナ素子2623,5及び結合領域2763,5は、送信アンテナセクション10のアンテナユニット2783,5を形成する。
【0126】
図37は、一実施形態による、
図36のアンテナユニット278
3,5、及びアンテナユニットに対応する導波管260
3の導電性ストリップ272
3の部分の側面図及び電気回路図である。
【0127】
結合領域276
3,5は、導電性ストリップ272
3とアンテナ素子262
3,5との間に電気的に結合されている集中調整可能インピーダンス素子280
3,5としてモデル化されることができる。導電性制御線282
3,5は、集中素子280
3,5に直接結合されるか、又は図示のように導電性アンテナ素子262
3,5を介して集中素子に間接的に結合される。以下に説明するように、コントローラ(例えば、
図33のマスタコントローラ220)は、アンテナ素子262
3,5へ、そしてそこから導波管260
3に沿って伝搬する信号を選択的に結合及び結合解除することができ、そしてひいては、アンテナ素子、制御線282
3,5上のバイアス信号(例えば、バイアス電圧)を選択的に変化させることによって、アンテナ素子を選択的に始動及び停止させることができる。さらに、ローパスフィルタ284
3,5を集中素子280
3,5とコントローラとの間に直列に結合して、導波路260
3に沿って伝搬する信号からの高周波エネルギをコントローラから切り離すことができる。
【0128】
アンテナユニット2783,5に対応する導電性ストリップ2723の部分は、間隙383,5を含み、これは、結合層270を形成する同一の材料で充填されることができ、導波管2603に沿ってアンテナユニットまで信号を結合させるように構成される。
【0129】
さらに
図37を参照すると、アンテナユニット278
3,5の動作中、集中素子280
3,5を停止させるレベルを有する制御線282
3,5上の制御信号に応答して、結合領域276
3,5は、間隙286
3,5に対して大きなインピーダンスを呈し、そしてひいては、導波路260
3に沿って伝搬する信号がアンテナ素子262
3,5に結合して、それを励起することを阻止する。したがって、アンテナ素子262
3,5は、ほとんど又は全くエネルギを放射しない。
【0130】
対照的に、集中素子2803,5を作動させるレベルを有する制御線2823,5上の制御信号に応答して、結合領域2763,5は、空隙2863,5に対して小さなインピーダンスを呈し、そしてひいては、信号がアンテナ素子を励起するように、導波路2603に沿って伝搬する信号をアンテナ素子2623,5に結合する。したがって、励起アンテナ素子2623,5は、導波管2603に沿って伝搬する信号の1つ以上の周波数と同じ1つ以上の周波数でエネルギを放射する。例えば、集中素子2803,5がアクティブであるとき、結合領域2763,5は、アンテナ素子2623,5とともに、近似的にf0の共振周波数を有する直列共振回路を形成するように構成される。既知のように、その共振周波数において、直列共振回路は、低インピーダンス、理想的にはゼロインピーダンスを有する。導波路2603に沿って伝搬する信号は、近似的にf0の周波数を有するため、集中素子2803,5がアクティブであるとき、領域2763,5は信号に対して低インピーダンスを示す。そのような選択的な共振回路を実装するために、集中素子2803,5は、PN接合ダイオード、電界効果トランジスタ(FET)、又は活性化されると、結合領域がf0でアンテナ素子2623,5と直列共振回路を形成するような、又は導電性ストリップ2723とアンテナ素子との間の、結合領域263,5のインピーダンスを変化させる。
【0131】
依然として
図37を参照すると、アンテナユニット278
3,5のみが記載されているが、送信アンテナセクション10(
図1及び35~36)の他のアンテナユニット278のすべてが、同じ構造を有することができ、またアンテナ部278
3,5として、同じように動作することができる。
【0132】
図1及び35~37を参照すると、送信アンテナセクション10及びアンテナユニット278のさらなる詳細は、以下の文献、2014年10月3日出願の米国特許出願第14/506,432号、発明の名称SURFACE SCATTERING ANTENNAS WITH LUMPED ELEMENTS、及び2011年10月14日出願の米国特許第9,450,310号、発明の名称SURFACE SCATTERING ELEMENTSに見出すことができ、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、
図14の送信アンテナセクション100の各サブセクション106及び108、並びに
図28の送信アンテナセクション180の各サブセクション182及び184は、構造及び動作において送信アンテナセクション10と同様であることができる。
【0133】
以上の説明から、本明細書では例示の目的で特定の実施形態を説明してきたが、本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされ得ることが理解されよう。さらに、特定の実施形態について代替案が開示されている場合、この代替案は、特に述べられていなくても、他の実施形態にも適用され得る。さらに、任意の説明された構成要素又は動作は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアのうちの任意の2つ以上の組み合わせにおいて実装/実行され得る。さらに、説明された機器又はシステムのうちの1つ以上の構成要素は、明確さ又は別の理由で説明から省略されている場合がある。さらに、本明細書に含まれている説明された機器又はシステムの1つ以上の構成要素は、装置又はシステムから省略される場合がある。