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特許7241026ラージマニピュレータ及びラージマニピュレータを操作する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ラージマニピュレータ及びラージマニピュレータを操作する方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20230309BHJP
   F15B 11/024 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
E04G21/04
F15B11/024 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019557610
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018069400
(87)【国際公開番号】W WO2019029957
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】102017118274.8
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510312961
【氏名又は名称】プッツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ディーボルト マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ミュンツェンマイアー ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ツィルプス ロマーン
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0084270(US,A1)
【文献】特開2013-091931(JP,A)
【文献】特開2010-014243(JP,A)
【文献】特開2008-163786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
F15B 11/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに配置されていて垂直回転軸(18)周りに回転可能なブーム台座(30)と、少なくとも2つのブームアーム(44,46,48,50,52)から成りコンクリート輸送ライン(22)を支承する関節式ブーム(32)と、少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)を水平回転軸(54,56,58,60,62)周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)とを有し、
当該少なくとも1つの油圧駆動ユニットは、油圧シリンダー(154)と、当該油圧シリンダー(154)内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッド(158)を有するピストン(156)を有し、
前記油圧シリンダー(154)には、作動油を充填できるピストン側作業ボリューム(160)と、作動油を充填できるロッド側作業ボリューム(162)が形成されている、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおいて、
前記少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)を駆動する油圧回路装置(164)を有し、当該油圧回路装置は、第1切替状態にて、第1流路(170)による作動油の供給又は排出のための第1作業ポート(168)を前記ロッド側作業ボリューム(162)に接続し、第2流路(174)による作動油の供給又は排出のための第2作業ポート(172)を前記ピストン側作業ボリューム(160)に接続し、
前記油圧回路装置は、第1切替状態とは異なる第2切替状態にて、前記第1作業ポート(168)を前記第1流路(170)から分離し、その際、作動油を前記ロッド側作業ボリューム(162)から前記ピストン側作業ボリューム(160)に供給するために前記第1流路(170)を前記第2流路(174)に接続し、
ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得する少なくとも1つの操作状態獲得装置(116,130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)と、当該操作状態獲得装置(116,130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)により獲得されたラージマニピュレータの前記少なくとも1つの操作状態変数から決定される前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの機械的負荷に従って、前記少なくとも1つの油圧回路装置(164)の切替状態を設定する作動アセンブリ(89)と、前記操作状態獲得装置(116,130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)により獲得されたラージマニピュレータの操作状態変数を、前記少なくとも1つの油圧回路装置(164)の切替状態を操作状態に依存して設定するための前記作動アセンブリ(89)に供給する入力ルーチン(152)とを備え、
前記少なくとも1つの操作状態獲得装置は、関節式ブームの姿勢及び少なくとも2つのブームアーム(44,46,48,50,52)の角度位置を有する群から選択されるラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得するよう設計される、ことを特徴とするラージマニピュレータ。
【請求項2】
前記ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数は、関節式ブームの移動状態、関節式ブームの負荷、前記関節式ブームのブームアームの負荷、コンクリートポンプの操作状態、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ロッド側作業ボリューム内の液圧、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ピストン側作業ボリューム内の液圧を有する群から選択される少なくとも1つの操作状態変数を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のラージマニピュレータ。
【請求項3】
ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得する前記少なくとも1つの操作状態獲得装置(130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)が、前記油圧シリンダー(154)の前記ロッド側作業ボリューム(162)に開口した前記第1流路(170)の部分での液圧を獲得する圧力変換器として設計される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラージマニピュレータ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの操作状態獲得装置(130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)が、前記油圧シリンダー(154)の前記ピストン側作業ボリューム(160)に開口した前記第2流路(174)の部分での液圧を獲得する、ことを特徴とする請求項3に記載のラージマニピュレータ。
【請求項5】
前記油圧回路装置(164)が、
第1下降ブレーキ弁(178)と、
前記第1下降ブレーキ弁(178)に対して並列に配置され、前記油圧シリンダー(154)の前記ロッド側作業ボリューム(162)からの作動油の逆流を防止する第1逆止め弁(184)と、
第2下降ブレーキ弁(182)と、
前記第2下降ブレーキ弁(182)に対して並列に配置され、前記油圧シリンダー(154)の前記ピストン側作業ボリューム(160)から作動油の供給又は排出用の前記第2作業ポート(172)への作動油の逆流を防止する第2逆止め弁(186)と、
バイパス弁(196)と、を有し、
前記第1下降ブレーキ弁(178)は、作動油の供給又は排出用の前記第2作業ポート(172)と連通した第1圧力制御ライン(176)により油圧で作動され、前記第1下降ブレーキ弁は、第1切替位置にプリロードされ、前記第1下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置において、前記第1圧力制御ライン(176)内の液圧が閾値を超えた場合に前記第1流路(170)を開け、前記第1下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、前記第1圧力制御ライン(176)内の液圧が閾値より下がった場合に前記第1流路(170)を遮断し、
前記第2下降ブレーキ弁(182)は、前記ロッド側作業ボリューム(162)から離反した前記第1下降ブレーキ弁(178)の側の前記第1流路(170)と連通した別な圧力制御ライン(180)により油圧で作動され、前記第2下降ブレーキ弁は、第1切替位置にプリロードされ、前記第2下降ブレーキ弁は、前記別な圧力制御ライン(180)内の液圧が閾値を超えた場合に前記第2流路(174)を開け、前記第2下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、前記別な圧力制御ライン(180)内の液圧が閾値より下がった場合に前記第2流路(174)を遮断し、
前記バイパス弁は、第1切替状態では、前記第1流路(170)を作動油の供給又は排出用の前記第1作業ポート(168)に接続し、その際前記第1流路(170)を前記第2流路(174)から分離し、前記バイパス弁は、前記第1切替状態とは異なる第2切替状態では、前記ピストン側作業ボリューム(160)から離反した前記第2下降ブレーキ弁(182)の側の前記第1流路(170)を前記第2流路(174)に接続し、その際前記第1流路(170)を油圧作業媒体の供給又は排出用の前記第1作業ポート(168)から分離する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のラージマニピュレータ。
【請求項6】
前記バイパス弁(196)は、前記第1切替状態の及び前記第2切替状態の設定のための電気駆動部(198)又は油圧駆動装置又は空気圧駆動装置又は機械的駆動装置を有する、ことを特徴とする請求項5に記載のラージマニピュレータ。
【請求項7】
前記バイパス弁(196)は、前記第1切替状態に機械的に又は油圧により又は空気圧により又は電気的にプリロードされる、ことを特徴とする請求項6に記載のラージマニピュレータ。
【請求項8】
過圧ポート(188)と、前記油圧シリンダー(154)の前記ロッド側作業ボリューム(162)に開口している前記第1流路(170)の一部を、前記第1流路(170)内の油圧作業媒体の過圧時に前記過圧ポート(188)に接続する第1過圧弁(190)と、前記油圧シリンダー(154)の前記ピストン側作業ボリューム(160)に開口している前記第2流路(174)の一部を、前記第2流路(174)内の油圧作業媒体の過圧時に前記過圧ポート(188)に接続する第2過圧弁(192)を有する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のラージマニピュレータ。
【請求項9】
コンクリートポンプ用のラージマニピュレータを操作する方法であって、
前記ラージマニピュレータは、フレーム(16)に配置されていて垂直回転軸(18)周りに回転可能なブーム台座(30)を有し、また少なくとも2つのブームアーム(44,46,48,50,52)から成りコンクリート輸送ライン(22)を支承する関節式ブーム(32)を有し、また少なくとも1つの前記ブームアーム(44,46,48,50,52)を水平回転軸(54,56,58,60,62)周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)を有し、
前記油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)は、油圧シリンダー(154)と、当該油圧シリンダー(154)内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッド(158)を有するピストン(156)を有し、前記油圧シリンダー(154)には、第1流路(170)によって作動油を充填できるロッド側作業ボリューム(162)と、第2流路(174)によって作動油を充填できるピストン側作業ボリューム(160)が形成されている、方法において、
前記ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数が獲得され、前記ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数から決定される前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの機械的負荷に従って、前記第1流路(170)が作動油の供給又は排出用の第1作業ポート(168)に接続され、その工程において前記第1流路(170)が前記第2流路(174)から分離されるか、又は前記第1流路(170)が、前記ロッド側作業ボリューム(162)から前記ピストン側作業ボリューム(160)への作動油の供給のために前記第2流路(174)に接続され、その工程において前記第1流路(170)は油圧作業媒体の供給又は排出用の前記第1作業ポート(168)から分離され、
前記ラージマニピュレータの獲得された前記少なくとも1つの操作状態変数は、関節式ブームの姿勢及び少なくとも2つのブームアームの角度位置を有する群から選択される操作状態変数である、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数は、関節式ブームの移動状態、関節式ブームの負荷、前記関節式ブームのブームアームの負荷、コンクリートポンプの操作状態、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ロッド側作業ボリューム内の液圧、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ピストン側作業ボリューム内の液圧を有する群から選択された少なくとも1つの操作状態変数を含み、それに依存して、前記第1流路を前記第2流路から分離するか、又は前記第1流路を前記第2流路に接続し、その際前記第1流路を前記油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポートから分離する、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
フレームに配置されていて垂直回転軸(18)周りに回転可能なブーム台座(30)と、少なくとも2つのブームアーム(44,46,48,50,52)から成りコンクリート輸送ライン(22)を支承する関節式ブーム(32)と、少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)を水平回転軸(54,56,58,60,62)周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)とを有し、
当該少なくとも1つの油圧駆動ユニットは、油圧シリンダー(154)と、当該油圧シリンダー(154)内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッド(158)を有するピストン(156)を有し、
前記油圧シリンダー(154)には、作動油を充填できるピストン側作業ボリューム(160)と、作動油を充填できるロッド側作業ボリューム(162)が形成されている、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおいて、
前記少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)を駆動する油圧回路装置(164)を有し、当該油圧回路装置は、第1切替状態にて、第1流路(170)による作動油の供給又は排出のための第1作業ポート(168)を前記ロッド側作業ボリューム(162)に接続し、第2流路(174)による作動油の供給又は排出のための第2作業ポート(172)を前記ピストン側作業ボリューム(160)に接続し、
前記油圧回路装置は、第1切替状態とは異なる第2切替状態にて、前記第1作業ポート(168)を前記第1流路(170)から分離し、その際、作動油を前記ロッド側作業ボリューム(162)から前記ピストン側作業ボリューム(160)に供給するために前記第1流路(170)を前記第2流路(174)に接続し、
ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得する少なくとも1つの操作状態獲得装置(116,130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)と、当該操作状態獲得装置(116,130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)により獲得されたラージマニピュレータの前記少なくとも1つの操作状態変数から決定される前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの機械的負荷に従って、前記少なくとも1つの油圧回路装置(164)の切替状態を設定する作動アセンブリ(89)と、前記操作状態獲得装置(116,130,132,134,136,138,140,142,144,146,148)により獲得されたラージマニピュレータの操作状態変数を、前記少なくとも1つの油圧回路装置(164)の切替状態を操作状態に依存して設定するための前記作動アセンブリ(89)に供給する入力ルーチン(152)とを備え、
前記少なくとも1つの操作状態獲得装置は、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ロッド側作業ボリューム内の液圧、及び前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ピストン側作業ボリューム内の液圧を含むラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得するよう設計される、ことを特徴とするラージマニピュレータ。
【請求項12】
コンクリートポンプ用のラージマニピュレータを操作する方法であって、
前記ラージマニピュレータは、フレーム(16)に配置されていて垂直回転軸(18)周りに回転可能なブーム台座(30)を有し、また少なくとも2つのブームアーム(44,46,48,50,52)から成りコンクリート輸送ライン(22)を支承する関節式ブーム(32)を有し、また少なくとも1つの前記ブームアーム(44,46,48,50,52)を水平回転軸(54,56,58,60,62)周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)を有し、
前記油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)は、油圧シリンダー(154)と、当該油圧シリンダー(154)内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッド(158)を有するピストン(156)を有し、前記油圧シリンダー(154)には、第1流路(170)によって作動油を充填できるロッド側作業ボリューム(162)と、第2流路(174)によって作動油を充填できるピストン側作業ボリューム(160)が形成されている、方法において、
前記ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数が獲得され、前記ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数から決定される前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの機械的負荷に従って、前記第1流路(170)が作動油の供給又は排出用の第1作業ポート(168)に接続され、その工程において前記第1流路(170)が前記第2流路(174)から分離されるか、又は前記第1流路(170)が、前記ロッド側作業ボリューム(162)から前記ピストン側作業ボリューム(160)への作動油の供給のために前記第2流路(174)に接続され、その工程において前記第1流路(170)は油圧作業媒体の供給又は排出用の前記第1作業ポート(168)から分離され、
前記ラージマニピュレータの獲得された前記少なくとも1つの操作状態変数は、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ロッド側作業ボリューム内の液圧、及び前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの前記油圧シリンダーの前記ピストン側作業ボリューム内の液圧を含む操作状態変数である、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
フレームに配置されていて垂直回転軸(18)周りに回転可能なブーム台座(30)と、少なくとも2つのブームアーム(44,46,48,50,52)から成りコンクリート輸送ライン(22)を支承する関節式ブーム(32)と、少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)を水平回転軸(54,56,58,60,62)周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)とを有し、
当該少なくとも1つの油圧駆動ユニットは、油圧シリンダー(154)と、当該油圧シリンダー(154)内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッド(158)を有するピストン(156)を有し、
前記油圧シリンダー(154)には、作動油を充填できるピストン側作業ボリューム(160)と、作動油を充填できるロッド側作業ボリューム(162)が形成されている、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータであって、
前記少なくとも1つの油圧駆動ユニット(68,78,80,82,84)を駆動する油圧回路装置(164)を有し、当該油圧回路装置は、第1切替状態にて、第1流路(170)による作動油の供給又は排出のための第1作業ポート(168)を前記ロッド側作業ボリューム(162)に接続し、第2流路(174)による作動油の供給又は排出のための第2作業ポート(172)を前記ピストン側作業ボリューム(160)に接続し、
前記油圧回路装置は、第1切替状態とは異なる第2切替状態にて、前記第1作業ポート(168)を前記第1流路(170)から分離し、その際、作動油を前記ロッド側作業ボリューム(162)から前記ピストン側作業ボリューム(160)に供給するために前記第1流路(170)を前記第2流路(174)に接続するラージマニピュレータにおいて、
前記油圧回路装置(164)が、
第1下降ブレーキ弁(178)と、
前記第1下降ブレーキ弁(178)に対して並列に配置され、前記油圧シリンダー(154)の前記ロッド側作業ボリューム(162)からの作動油の逆流を防止する第1逆止め弁(184)と、
第2下降ブレーキ弁(182)と、
前記第2下降ブレーキ弁(182)に対して並列に配置され、前記油圧シリンダー(154)の前記ピストン側作業ボリューム(160)から作動油の供給又は排出用の前記第2作業ポート(172)への作動油の逆流を防止する第2逆止め弁(186)と、
バイパス弁(196)と、を有し、
前記第1下降ブレーキ弁(178)は、作動油の供給又は排出用の前記第2作業ポート(172)と連通した第1圧力制御ライン(176)により油圧で作動され、前記第1下降ブレーキ弁は、第1切替位置にプリロードされ、前記第1下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置において、前記第1圧力制御ライン(176)内の液圧が閾値を超えた場合に前記第1流路(170)を開け、前記第1下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、前記第1圧力制御ライン(176)内の液圧が閾値より下がった場合に前記第1流路(170)を遮断し、
前記第2下降ブレーキ弁(182)は、前記ロッド側作業ボリューム(162)から離反した前記第1下降ブレーキ弁(178)の側の前記第1流路(170)と連通した別な圧力制御ライン(180)により油圧で作動され、前記第2下降ブレーキ弁は、第1切替位置にプリロードされ、前記第2下降ブレーキ弁は、前記別な圧力制御ライン(180)内の液圧が閾値を超えた場合に前記第2流路(174)を開け、前記第2下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、前記別な圧力制御ライン(180)内の液圧が閾値より下がった場合に前記第2流路(174)を遮断し、
前記バイパス弁は、第1切替状態では、前記第1流路(170)を作動油の供給又は排出用の前記第1作業ポート(168)に接続し、その際前記第1流路(170)を前記第2流路(174)から分離し、前記バイパス弁は、前記第1切替状態とは異なる第2切替状態では、前記ピストン側作業ボリューム(160)から離反した前記第2下降ブレーキ弁(182)の側の前記第1流路(170)を前記第2流路(174)に接続し、その際前記第1流路(170)を油圧作業媒体の供給又は排出用の前記第1作業ポート(168)から分離する、ことを特徴とするラージマニピュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータに関する。それは、フレームに配置されていて垂直回転軸周りに回転可能なブーム台座を有し、また少なくとも2つのブームアームから成りコンクリート輸送ラインを支承する関節式ブーム(articulated boom)を有し、また少なくとも1つのブームアームを水平回転軸周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニットを有する。当該少なくとも1つの油圧駆動ユニットは、油圧シリンダーと、当該油圧シリンダー内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッドを有するピストンを有する。油圧シリンダーには、作動油を充填されるピストン側作業ボリュームと、作動油を充填されるロッド側作業ボリュームが形成されている。本発明はさらに、ラージマニピュレータ用の油圧回路装置に関し、またラージマニピュレータを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導入部で述べたタイプのラージマニピュレータが特許文献1及び特許文献2から知られている。当該ラージマニピュレータは、ブームアームでできた関節式ブームを備えた分配ブーム(distributor boom)を有し、それらブームアームはそれぞれ、油圧シリンダーを有するリニアモーターの形式の1つの油圧駆動ユニットにより水平で相互に平行な連結軸の周りに回動可能である。当該ラージマニピュレータは、個々の駆動ユニットに割り当てられた複数の作動要素によるブーム移動のための制御装置を有する。
特許文献3は、掘削機又はテレハンドラー用の油圧回路を記述しており、当該油圧回路は、油圧シリンダーの作動のために機能する。当該油圧回路は、バイパス弁として作用する、油圧シリンダーの移動方向に依存して作動可能な方向弁を有する。
特許文献4は、掘削機用の油圧回路を開示しており、その場合、バイパス弁の設定が、油圧シリンダーの環状スペースの圧力に依存して及び油圧シリンダーの環状スペースの圧力に依存して又は油圧ラインの圧力に依存して実行される。
【0003】
公知のラージマニピュレータの関節式ブームにおいてブームアームを迅速に調節するために、非常に大量の作動油が高い流速で移動される必要がある。ゆえに、非常に多くのブームアームを有する長い複数の関節式ブームを有するラージマニピュレータでは、高出力油圧ポンプと作動油用のラージタンクを具備する必要がある。結局、このようなラージマニピュレータは非常に重くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】EP1319110B1
【文献】WO02/25036A1
【文献】DE102007029358A1
【文献】特開2013-040641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、関節式ブームにおけるブームアームの調節のために、可能な最小量の作動油を移動させることを可能とし、且つラージマニピュレータの機能を損なわずに、減少したパワーで油圧ポンプを使用することができるコンクリートポンプ用のラージマニピュレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、請求項1、11、13に記載のラージマニピュレータによって及び請求項9、12に記載の操作方法によって達成される。
【0007】
本発明の有利な実施形態は従属請求項で特定される。
【0008】
本発明は、本発明に従うコンクリートポンプ用のラージマニピュレータが、フレームに配置されていて垂直回転軸周りに回転可能なブーム台座と、少なくとも2つのブームアームから成りコンクリート輸送ラインを支承する関節式ブームを有することを提案する。本発明に従うコンクリートポンプ用のラージマニピュレータでは、少なくとも1つのブームアームを水平回転軸周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニットを有する。当該少なくとも1つの油圧駆動ユニットは、油圧シリンダーと、当該油圧シリンダー内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッドを有するピストンを有する。油圧シリンダーには、作動油を充填できるピストン側作業ボリュームと、作動油を充填できるロッド側作業ボリュームが形成されている。本発明に従うラージマニピュレータは、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットを駆動する油圧回路装置を有し、当該油圧回路装置は、第1切替状態にて、第1流路による作動油の供給又は排出のための第1作業ポートをロッド側作業ボリュームに接続し、第2流路による作動油の供給又は排出のための第2作業ポートをピストン側作業ボリュームに接続する。また、当該油圧回路装置は、第1切替状態とは異なる第2切替状態にて、第1作業ポートを第1流路から分離し、その際、作動油をロッド側作業ボリュームからピストン側作業ボリュームに供給するために第1流路を第2流路に接続する。
【0009】
このようにして、ラージマニピュレータをより軽量構造にすることができる、と言うのもこのようにしてラージマニピュレータに運ばなければならない作動油の量を低減することが可能であり、また対応的に小さめの油圧ポンプをラージマニピュレータ内での作動油の移動のために使用でき、当該油圧ポンプは小さめの重量を有するからである。
【0010】
本発明に従うラージマニピュレータが、ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得するための少なくとも1つの操作状態獲得装置を有し、また当該操作状態獲得装置により獲得されたラージマニピュレータの前記少なくとも1つの操作状態変数から決定される前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの機械的負荷に従って、前記少なくとも1つの油圧回路装置の切替状態を設定する作動アセンブリと、前記操作状態獲得装置により獲得されたラージマニピュレータの操作状態変数を、前記少なくとも1つの油圧回路装置の切替状態を操作状態に依存して設定する前記作動アセンブリに供給する入力ルーチンとを有することを提案する。
【0011】
ここで、前記少なくとも1つの操作状態獲得装置は、関節式ブームの姿勢及び少なくとも2つのブームアームの角度位置を有する群から選択されるラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得するよう設計される。
前記少なくとも1つの操作状態獲得装置はさらに、関節式ブームの移動状態、関節式ブームの負荷、関節式ブームのブームアームの負荷、コンクリートポンプの操作状態、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの油圧シリンダーのロッド側作業ボリューム内の液圧、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニットの油圧シリンダーのピストン側作業ボリューム内の液圧を有する群から選択されるラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得する少なくとも1つの操作状態獲得装置がある。ここで、ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数を獲得する前記少なくとも1つの操作状態獲得装置は、油圧シリンダーのロッド側作業ボリュームに開口した第1流路の部分での液圧を獲得する圧力変換器として設計されてもよい。特に、操作状態獲得装置は、油圧シリンダーのピストン側作業ボリュームに開口した第2流路の部分での液圧を獲得してもよい。
【0012】
このようにして、ラージマニピュレータへの駆動ユニットの機械的負荷・荷重(mechanical loading)に依存してラージマニピュレータの調節のために移動される作動油の量を設定することが可能である。
【0013】
本発明に従うラージマニピュレータでは、特に油圧回路装置は以下のものを有する。
-第1下降ブレーキ弁。当該第1下降ブレーキ弁は作動油の供給又は排出用の第2作業ポートと連通した第1圧力制御ラインにより油圧で作動され、前記第1下降ブレーキ弁は、第1切替位置にプリロード(予負荷)(preloaded)され、第1切替位置において、第1圧力制御ライン内の液圧(hydraulic pressure)が閾値を超えた場合に第1流路を開け、前記第1下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、圧力制御ライン内の液圧が閾値より下がった場合に第1流路を遮断する。
【0014】
-第1下降ブレーキ弁に対して並列に配置され、油圧シリンダーのロッド側作業ボリュームからの作動油の逆流を防止する第1逆止め弁。
【0015】
-第2下降ブレーキ弁。当該第2下降ブレーキ弁はロッド側作業ボリュームから離反した第1下降ブレーキ弁の側の第1流路と連通した別な圧力制御ラインにより油圧で作動され、前記第2下降ブレーキ弁は、第1切替位置にプリロードされ、前記第2下降ブレーキ弁は、前記別な圧力制御ライン内の液圧が閾値を超えた場合に第2流路を開け、前記第2下降ブレーキ弁は、前記第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、別な圧力制御ライン内の液圧が閾値より下がった場合に第2流路を遮断する。
【0016】
-第2下降ブレーキ弁に対して並列に配置され、油圧シリンダーのピストン側作業ボリュームから作動油の供給又は排出用の第2作業ポートへの作動油の逆流を防止する第2逆止め弁。
【0017】
バイパス弁。当該バイパス弁は、第1切替状態では、第1流路を作動油の供給又は排出用の第1作業ポートに接続し、その際第1流路を第2流路から分離し、前記バイパス弁は、第1切替状態とは異なる第2切替状態では、ピストン側作業ボリュームから離反した第2下降ブレーキ弁の側の第1流路を第2流路に接続し、その際第1流路を油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポートから分離する。
【0018】
第1下降ブレーキ弁は、そこに一体化したスロットル(絞り)を有してもよい。第1切替位置では、第1下降ブレーキ弁は、そこに一体化したスロットルを介して、第1圧力制御ライン内の液圧が閾値を超えた場合に第1流路を開ける。
【0019】
第1下降ブレーキ弁に一体化したスロットルにより、油圧シリンダーのロッド側作業ボリュームから第1下降ブレーキ弁の第1切替位置に出る作動油が予圧される。油圧シリンダーのロッド側作業ボリュームから第1下降ブレーキ弁の第1切替位置に出る作動油の予圧は、油圧回路(hydraulic circuitry)における圧力変動が相殺され、それによりピストンロッドの揺動運動が防止され又は少なくとも最小化される、という効果を有する。対照的に、第1切替位置とは異なる第2切替位置では、第1下降ブレーキ弁は第1流路を遮断する。
【0020】
対応的に、第2下降ブレーキ弁は、そこに一体化したスロットル(絞り)を有してもよい。第1切替位置では、第2下降ブレーキ弁は、そこに一体化したスロットルによって、別な圧力制御ライン内の液圧が閾値を超えた場合に第2流路を開ける。第2下降ブレーキ弁に一体化したスロットルにより、油圧シリンダーのピストン側作業ボリュームから第2下降ブレーキ弁の第1切替位置に出る作動油が予圧される。
【0021】
油圧シリンダーのピストン側作業ボリュームから第2下降ブレーキ弁の第1切替位置に出る作動油の予圧も同様に、油圧回路における圧力変動が相殺され、それによりピストンロッドの揺動運動が防止され又は少なくとも最小化される、という効果を有する。対照的に、少なくとも1つの第1切替位置とは異なる第2切替位置では、第2下降ブレーキ弁は第2流路を遮断する。
【0022】
特筆すべきことに、下降ブレーキ弁に一体化したスロットルのスロットル断面が調節可能であって、下降ブレーキ弁が第1切替状態に切り替えられた場合に、下降ブレーキ弁に一体化したスロットルのスロットル断面がバイパス弁の第1切替状態においてバイパス弁の第2切替状態におけるよりも小さくなるように、スロットル断面がバイパス弁の切替状態に依存して設定されるように設計されてもよい。このようにして、バイパス弁がピストン側作業ボリュームから離反した第2下降ブレーキ弁の側の第1流路を第2流路に接続する場合でも、ピストン側又はロッド側作業ボリュームから出る作動油の予圧が増加せず又は少量しか増加せず、その際第1流路を油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポートから分離することが実現される。
【0023】
バイパス弁は、第1切替状態の及び第2切替状態の設定のための電気駆動部又は油圧駆動装置又は空気圧駆動装置又は機械的駆動装置を有すると有利である。ここで、バイパス弁は、第1切替状態に機械的に又は油圧により又は空気圧により又は電気的にプリロードされる
【0024】
ここで、電気駆動部は本ケースでは、バイパス弁の切替状態の設定のために機能する電気モーターを意味すると理解されたい。空気圧駆動装置は、例えば空気圧シリンダーを備えた空気圧リニアモーターであり、それによりバイパス弁が調節される。油圧駆動装置は、例えばバイパス弁の設定のための油圧モーターである。機械的駆動装置は本ケースでは、リンク機構又はカムトラックによって、関節式ブームの特定のジョイント角度でバイパス弁の切替状態の設定を行う機構を意味する。
【0025】
本発明に従うラージマニピュレータでは、油圧回路装置は好ましくは、過圧ポートと第1過圧弁と第2過圧弁を有する。第1過圧弁は、油圧シリンダーのロッド側作業ボリュームに面する第1下降ブレーキ弁の側の第1流路を、油圧作業媒体の過圧時に過圧ポートに接続する。第2過圧弁は、油圧シリンダーのピストン側作業ボリュームに面する第1下降ブレーキ弁の側の第2流路を、油圧作業媒体の過圧時に過圧ポートに接続する。
【0026】
本発明に従う油圧回路装置は、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおいて少なくとも1つのブームアームを回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニットを駆動させるために作動油の供給又は排出用の第1作業ポートと第2作業ポートを有する。前記ラージマニピュレータは、フレームに配置されていて垂直回転軸周りに回転可能なブーム台座を有し、またブーム台座に保持された、少なくとも2つのブームアームから成りコンクリート輸送ラインを支承する関節式ブームを有する。ここで前記油圧駆動ユニットは、油圧シリンダーと、当該油圧シリンダー内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッドを有するピストンを有し、油圧シリンダーには、作動油を充填できるピストン側作業ボリュームと、作動油を充填できるロッド側作業ボリュームが形成されている。油圧回路装置には、第1下降ブレーキ弁と、第1下降ブレーキ弁に対して並列に配置され、油圧シリンダーのロッド側作業ボリュームからの作動油の逆流を防止する第1逆止め弁と、第2下降ブレーキ弁と、第2下降ブレーキ弁に対して並列に配置され、油圧シリンダーのピストン側作業ボリュームから作動油の供給又は排出用の第2作業ポートへの作動油の逆流を防止する第2逆止め弁と、バイパス弁と、があり、第1下降ブレーキ弁は、作動油の供給又は排出用の第2作業ポートと連通した圧力制御ラインにより油圧で作動され、第1下降ブレーキ弁は、第1切替位置にプリロードされ、圧力制御ライン内の液圧が閾値を超えた場合に第1流路を開け、第1下降ブレーキ弁は、第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、圧力制御ライン内の液圧が閾値より下がった場合に第1流路を遮断し、第2下降ブレーキ弁は、ロッド側作業ボリュームから離反した第1下降ブレーキ弁の側の第1流路と連通した圧力制御ラインにより油圧で作動され、第2下降ブレーキ弁は、第1切替位置に機械的にプリロードされ、第2下降ブレーキ弁は、圧力制御ライン内の液圧が閾値を超えた場合に第2流路を開け、第2下降ブレーキ弁は、第1切替位置とは異なる少なくとも1つの第2切替位置において、圧力制御ライン内の液圧が閾値より下がった場合に第2流路を遮断し、バイパス弁は、第1切替状態では、第1流路を作動油の供給又は排出用の第1作業ポートに接続し、その際第1流路を第2流路から分離し、バイパス弁は、第1切替状態とは異なる第2切替状態では、ピストン側作業ボリュームから離反した第2下降ブレーキ弁の側の第1流路を第2流路に接続し、その際第1流路を油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポートから分離する。
【0027】
ここで、バイパス弁は、第1切替状態の及び第2切替状態の設定のための電気駆動部又は油圧駆動装置又は空気圧駆動装置又は機械的駆動装置を有してもよい。特に、バイパス弁は、第1切替状態に機械的にプリロードされてもよい。
【0028】
油圧回路装置は、過圧ポートと、油圧シリンダーのロッド側作業ボリュームに面する第1下降ブレーキ弁の側の第1流路を、油圧作業媒体の過圧時に過圧ポートに接続する第1過圧弁と、油圧シリンダーのピストン側作業ボリュームに面する第1下降ブレーキ弁の側の第2流路を、油圧作業媒体の過圧時に過圧ポートに接続する第2過圧弁を有する。
【0029】
コンクリートポンプ用のラージマニピュレータを操作する本発明に従う方法であって、ラージマニピュレータは、フレームに配置されていて垂直回転軸周りに回転可能なブーム台座を有し、また少なくとも2つのブームアームから成りコンクリート輸送ラインを支承する関節式ブームを有し、また少なくとも1つのブームアームを水平回転軸周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニットを有し、少なくとも1つの油圧駆動ユニットは、油圧シリンダーと、当該油圧シリンダー内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッドを有するピストンを有し、油圧シリンダーには、第1流路によって作動油を充填できるロッド側作業ボリュームと、第2流路によって作動油を充填できるピストン側作業ボリュームが形成されている、方法よれば、ラージマニピュレータの少なくとも1つの操作状態変数が獲得され、当該獲得された操作状態変数に依存して、第1流路が作動油の供給又は排出用の第1作業ポートに接続され、その工程において第1流路が第2流路から分離されるか、又は第1流路が第2流路に接続され、その工程において第1流路が油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポートから分離される。
【0030】
ここで、ラージマニピュレータの前記少なくとも1つの獲得された操作状態変数は、関節式ブームの姿勢及び少なくとも2つのブームアームの角度位置を有する群から選択される操作状態変数である。
さらに、関節式ブームの移動状態、関節式ブームの負荷、関節式ブームのブームアームの負荷、コンクリートポンプの操作状態、少なくとも1つの油圧駆動ユニットの油圧シリンダーのロッド側作業ボリューム内の液圧、少なくとも1つの油圧駆動ユニットの油圧シリンダーのピストン側作業ボリューム内の液圧を有する群から選択されたラージマニピュレータの操作状態変数を操作状態変数として獲得し、それに依存して、第1流路が第2流路から分離されるか又は第1流路が第2流路に接続され、及びその工程において第1流路が油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポートから分離されることも可能である。
【0031】
本発明を、図面に概略的に描かれた例示の実施形態に基づいて以下でより詳細に議論する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】一緒に折り曲げられた分配ブームを備えた移動式コンクリートポンプの側面図である。
図2】展開位置にある分配ブームを有する移動式コンクリートポンプを示す図である。
図3】移動式コンクリートポンプの複数の油圧駆動ユニット用の制御装置を示す図である。
図4】油圧駆動ユニットを駆動させる油圧回路装置を有する油圧回路図である。
図5】油圧シリンダーの拡張の間の第1切替状態における図4の油圧回路装置を示す図である。
図6】油圧シリンダーの収縮の間の第1切替状態における図5の油圧回路装置を示す図である。
図7】油圧シリンダーの拡張の間の第2切替状態における図5の油圧回路装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示す移動式コンクリートポンプ10は輸送車両12を有し、また例えば2シリンダーピストンポンプとして設計された脈動濃物質ポンプ14と、車両に対して固定されたフレーム16に保持された分配ブーム20であって回転ジョイント28にて車両に対して固定された垂直軸18の周りに回転可能な分配ブーム20を備えたラージマニピュレータと、を有する。分配ブーム20はコンクリート運搬ライン22を支承する。図2に見られるように、運搬ライン22を介して、コンクリート工程の間に供給ホッパー24に連続的に導入される液体コンクリートが、車両12の位置から離れて配置されたコンクリート塗布位置25に運ばれる。
【0034】
分配ブーム20は、回転軸として作用する回転ジョイント28の垂直軸18の周りを、油圧回転駆動部の形式である駆動ユニット26により回転される回転可能なブーム台座30を有する。分配ブーム20は、ブーム台座30上で旋回可能な関節式ブーム32であって、車両12とコンクリート塗布位置25の間の高さ差異及び可変距離のために連続的に調節可能な関節式ブーム32を有する。図示の例示の実施形態では、関節式ブーム32は、関節ジョイント34,36,38,40,42によって関節式に互いに連結したブームアームであって、互いに平行且つブーム台座30の垂直軸18に対して直角に延びたジョイント軸54,56,58,60,62の周りに旋回可能な5つのブームアーム44,46,48,50,52を有する。関節ジョイント34,36,38,40,42のジョイント軸54,56,58,60,62の周りのブームアームの運動のために、ラージマニピュレータは、関節ジョイントに割り当てられた駆動ユニット68,78,80,82,84を有する。関節ジョイント34,36,38,40,42の配置、及び、関節ジョイントの調節により分配ブームにおいて設定され得るジョイント軸54,56,58,60,62の周りの関節角度ε、i=34,36,38,40,42(図2)によって、分配ブーム20は、図1に示す多重に折り畳まれた構造に対応するスペース節約輸送構造で車両12に格納することができる。
【0035】
関節式ブーム32はブーム先端64を有し、ブーム先端64には、液体コンクリートを分配ブーム20の運搬ライン22からコンクリート塗布位置25に排出できる端部ホース66がある。
【0036】
関節式ブーム32の複数のブームアームの移動を制御するために、ラージマニピュレータは制御装置86を有し、それを図3に基づいて以下で説明する。制御装置86は、関節ジョイント34,36,38,40,42及び回転ジョイント28に割り当てられた駆動ユニット26,68,78,80,82,84用の油圧回路装置を備えた作動要素90,92,94,96,98,100によって図2に示される関節式ブーム32の移動を制御する。
【0037】
ジョイント軸54,56,58,60,62及び回転軸18に個々に割り当てられた油圧駆動ユニット26,68,78,80,82,84のプログラム制御された作動によって、関節式ブーム32は、コンクリート塗布位置25と車両位置の間の様々な距離及び/又は高さ差異をカバーするように広げられる(展開される)。
【0038】
ブームコントローラは、例えば制御ユニット87を備えた制御アセンブリ85によって分配ブーム20を制御する。制御ユニット87は、遠隔制御装置として設計され、関節式ブーム32を備えた分配ブーム20の調節のために複数の制御要素83を有する。前記遠隔制御装置は、ラージマニピュレータ内の作動要素90,92,94,96,98,100の作動のための作動アセンブリ89に供給される制御信号Sを生成する。
【0039】
制御信号Sは、無線経路91を介して、車両に対して固定された無線受信機93に伝送される。無線受信機93は、出力側で、例えばCANバスとして設計されるバスシステム95を介して作動アセンブリ89に接続している。
【0040】
制御装置86は、ラージマニピュレータの操作状態変数を獲得する第1操作状態獲得装置116を有し、当該操作状態獲得装置は、複数の関節ジョイント34の関節角度ε、i=34,36,38,40,42を決定する角度センサ118,120,122,124,126,199と、角度センサ129を有する回転ジョイント28の垂直軸18周りの回転角度ε、i=18を決定する装置128とを有する。
【0041】
制御装置86では、油圧駆動ユニット26,68,78,80,82,84に割り当てられた別な操作状態獲得装置130,132,134,136,138,140,142,144,146,148がある。操作状態獲得装置130,132,134,136,138,140,142,144,146,148は、作動油の獲得された液圧を電流に変換する圧力変換器(pressure transducers)である。操作状態獲得装置130,132,134,136,138,140,142,144,146,148は、複数の油圧シリンダー154内の作動油のロッド側圧力PSi、i=130,134,138,142,146及びピストン側圧力PKi、i=132,136,140,144,148を測定するために機能する。操作状態獲得装置130,132,134,136,138,140,142,144,146,148は、駆動ユニット68,78,80,82,84により生成され、関節式ブーム32のブームアーム44,46,48,50,52に導入される実際の力F、i=68,78,80,82,84の決定を可能にする。
【0042】
油圧回転駆動部の形式の駆動ユニット26のために、制御装置86は、回転駆動部によってブーム台座30にトルクとして導入される実際のモーメントM、i=18を獲得するよう設計されたトルクセンサ150を有する。回転駆動部によってブーム台座30にトルクとして導入される実際のモーメントM、i=18を獲得するために、油圧回転駆動部に接続していて、油圧回転駆動部における作動油の液圧を決定する圧力センサ装置を設けることも可能である。
【0043】
作動アセンブリ89の技術的機能は特に、駆動ユニット26,68,78,80,82,84を駆動させる作動要素90,92,94,96,98,100の、図4に示す油圧回路装置164,166を設定することである。
【0044】
制御アセンブリ85からの制御信号Sに基づいて、作動アセンブリ89は、分配ブーム20の駆動ユニットの作動要素のために作動信号SW、i=90,92,94,96,98,100を生成する。操作状態獲得装置116における角度センサ118,120,122,124,126により獲得される、関節ジョイント34,36,38,40,42のジョイント角度ε、i=34,36,38,40,42の設定及び回転軸18周りのブーム台座30の、角度センサ129により獲得される回転角度ε、i=18の設定の評価を通じて、分配ブーム20の姿勢が、作動要素90,92,94,96,98,100の作動により、制御アセンブリ85によって予め決定可能な設定値WSollに設定される。
【0045】
ここで、作動要素90,92,94,96,98,100の作動は、操作状態獲得装置116により獲得される、関節ジョイント34,36,38,40,42のジョイント角度ε、i=34,36,38,40,42、及び、別な操作状態獲得装置により獲得される油圧シリンダー内の作動油のロッド側圧力PSi、i=130,134,138,142,146及びピストン側圧力PKi、i=132,136,140,144,148に依存して実行される。
【0046】
作動アセンブリ89は入力ルーチン152を有し、それにより、操作状態獲得装置116は、角度センサ118,120,122,124,126による関節ジョイント34,36,38,40,42のジョイント角度ε、i=18の決定のために連続的に問審され(質問され)、装置128は、角度センサ129による回転ジョイント28の垂直軸18周りの回転角度ε、i=18の決定のために連続的に問審される。入力ルーチン152はまた、圧力変圧器として設計された操作状態獲得装置130,132,134,136,138,140,142,144,146,148の信号pSi,pKiを連続的に受信する。入力ルーチン152によって、さらに、複数の制御信号Sが制御アセンブリ85から読み込まれる。
【0047】
作動アセンブリ89は処理ルーチン155を有し、処理ルーチンでは、ラージマニピュレータの連続的に供給される作動状態変数及び作動アセンブリ89の制御信号Sが、作動要素90,92,94,96,98,100用の作動信号SW、i=90,92,94,96,98,100を形成するように処理される。
【0048】
出力ルーチン161により、作動要素90,92,94,96,98,100用の作動信号SW、i=90,92,94,96,98,100が次に、ラージマニピュレータの作動要素90,92,94,96,98,100に出力される。
【0049】
図4は、油圧駆動ユニット68,78,80,82,84を駆動する作動要素92,94,96,98,100の油圧回路装置164,166を備えた油圧回路図を示す。駆動ユニット68,78,80,82,84はそれぞれに、1つの油圧シリンダー154と、当該油圧シリンダー154内に可動に配置されていてそこに接続したピストンロッド158を有する1つのピストン156とを有する。油圧シリンダー154には、作動油を充填できるピストン側作業ボリューム160と、作動油を充填できるロッド側作業ボリューム162が形成されている。
【0050】
油圧駆動ユニット68,78,80,82,84用の作動要素92,94,96,98,100の油圧回路装置164,166はそれぞれ、ロッド側作業ボリューム162に接続した第1流路170による作動油の供給又は排出用の1つの第1作業ポート168を有する。油圧回路装置164,166はさらに、それぞれ、ピストン側作業ボリューム160に接続した第2流路174による作動油の供給又は排出のために機能する1つの第2作業ポート172を有する。作動要素92,94,96,98,100の油圧回路装置164,166はさらに、それぞれ、ばね力により機械的に予圧されて第1圧力制御ライン176により油圧により作動される1つの第1下降ブレーキ弁178と、ばね力により機械的に予圧されて別な圧力制御ライン180により油圧により作動される1つの第2下降ブレーキ弁182を有する。ここで、油圧回路装置164,166における第1圧力制御ライン176はそれぞれ、第2作業ポート172に連通している。別な圧力制御ライン180は、ロッド側作業ボリューム162から離反した第1下降ブレーキ弁178の側で、第1流路170に接続している。
【0051】
少なくとも1つの第1切替位置では、第1下降ブレーキ弁178は、そこに一体化したスロットル(絞り)により、第1圧力制御ライン176内の液圧が閾値を超えた場合に第1流路170を開ける。第1下降ブレーキ弁178に一体化したスロットルにより、油圧シリンダー154のロッド側作業ボリューム162から第1下降ブレーキ弁178の第1切替位置に出る作動油が予圧される。油圧シリンダー154のロッド側作業ボリューム162から第1下降ブレーキ弁178の第1切替位置に出る作動油の予圧は、油圧回路(hydraulic circuitry)における圧力変動が相殺され、それによりピストンロッド158の揺動運動が防止され又は少なくとも最小化される、という効果を有する。対照的に、少なくとも1つの第1切替位置とは異なる第2切替位置では、第1下降ブレーキ弁178は第1流路170を遮断する。
【0052】
対応的に、少なくとも1つの第1切替位置では、第2下降ブレーキ弁182は、そこに一体化したスロットルによって、別な圧力制御ライン180内の液圧が閾値を超えた場合に第2流路174を開ける。第2下降ブレーキ弁182に一体化したスロットルにより、油圧シリンダー154のピストン側作業ボリューム160から第2下降ブレーキ弁182の第1切替位置に出る作動油が予圧される。油圧シリンダー154のピストン側作業ボリューム160から第2下降ブレーキ弁182の第1切替位置に出る作動油の予圧も同様に、油圧回路における圧力変動が相殺され、それによりピストンロッド158の揺動運動が防止され又は少なくとも最小化される、という効果を有する。対照的に、少なくとも1つの第1切替位置とは異なる第2切替位置では、第2下降ブレーキ弁182は第2流路174を遮断する。
【0053】
作動要素92,94,96,98,100の油圧回路装置164,166では、それぞれ、第1下降ブレーキ弁178に対して並列に配置され、油圧シリンダー154のロッド側作業ボリューム162からの作動油の逆流を防止する1つの第1逆止め弁184と、第2下降ブレーキ弁182に対して並列に配置され、油圧シリンダー154のピストン側作業ボリューム160からの作動油の逆流を防止する1つの第2逆止め弁186とがある。
【0054】
作動要素92,94,96,98,100の油圧回路装置164,166はそれぞれ、1つの過圧ポート188と1つの第1過圧弁190を有する。第1過圧弁は、油圧シリンダー154のロッド側作業ボリューム162に面する第1下降ブレーキ弁178の側の第1流路170を、油圧作業媒体の過圧時に過圧ポート188に接続する。油圧回路装置164,166には、さらに、油圧シリンダー154のピストン側作業ボリューム160に面する第2下降ブレーキ弁182の側の第2流路174を、油圧作業媒体の過圧時に過圧ポート188に接続する第2過圧弁192がある。
【0055】
作動要素92,94,96,98,100の油圧回路装置164,166の第1作業ポート168と第2作業ポート172は制御ブロック194に接続している。油圧回路装置164,166の過圧ポート188はこの場合、ラージマニピュレータ内の作動油用のタンク195に連通している。
【0056】
作動要素92,94の油圧回路装置164は、油圧回路装置166とは異なり、バイパス弁196を有し、当該バイパス弁は、第1切替状態では、第1流路170を作動油の供給又は排出用の第1作業ポート168に接続し、その際第1流路170を第2流路174から分離する。第1切替状態とは異なる第2切替状態では、バイパス弁196は、ピストン側作業ボリューム160から離反した第2下降ブレーキ弁182の側の第1流路170を第2流路174に接続し、その際第1流路170を油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポート168から分離する。作動要素92,94の油圧回路装置164におけるバイパス弁196は、それぞれ、第1切替状態の及び第2切替状態の設定のための1つの電気駆動部198を有する。バイパス弁196は第1切替状態において機械的に予圧される。
【0057】
特筆すべきことに、油圧駆動ユニットを駆動させる油圧回路装置を備えた油圧回路の変形実施形態では、下降ブレーキ弁178,182に一体化したスロットルのスロットル断面が調節可能であって、バイパス弁196の切替状態に依存して設定されるように設計され、それにより、下降ブレーキ弁178,182が第1切替状態に切り替えられた場合に、下降ブレーキ弁178,182に一体化したスロットルのスロットル断面がバイパス弁196の第1切替状態においてバイパス弁196の第2切替状態におけるよりも小さくてもよい。このようにして、バイパス弁196がピストン側作業ボリューム160から離反した第2下降ブレーキ弁182の側の第1流路170を第2流路174に接続する場合でも、ピストン側又はロッド側作業ボリューム160,162から出る作動油の予圧が増加せず又は少量しか増加せず、その際第1流路170を油圧作業媒体の供給又は排出用の第1作業ポート168から分離することが実現される。
【0058】
やはり特筆すべきことに、油圧駆動ユニットを駆動させる油圧回路装置を備えた油圧回路の更なる変形実施形態では、バイパス弁196を、そこに備えられる複数の油圧回路装置の全て又は幾つかだけにおいて備え、又は図4の回路図に対して、そこで示される装置とは異なる油圧回路装置164に備えることも可能である。
【0059】
圧力変換器として設計された操作状態獲得装置130,134,138,142,146はそれぞれ、油圧シリンダー154のロッド側作業ボリューム162に開口した第1流路170の部分の液圧を獲得する。圧力変換器として設計された別な操作状態獲得装置132,136,140,144,148によって、油圧シリンダー154のピストン側作業ボリューム160に開口した第2流路174の部分の液圧が獲得される。
【0060】
図5は、バイパス弁196が第1切替状態に切り替えられた場合に駆動ユニット80における油圧シリンダー154の拡張の間の油圧回路装置164を示す。図6は、同様にバイパス弁196が第1切替状態に位置する場合に油圧シリンダー154の収縮の間の油圧回路装置164を示す。バイパス弁196が第2切替状態に切り替えられた場合に油圧シリンダー154の拡張の間の油圧回路装置164を示す。
【0061】
制御装置86によって、バイパス弁196の第1切替状態及び第2切替状態を設定する電気駆動部198が、油圧シリンダー154内の作動油のロッド側圧力PSi、i=130,134,138,142,146及びピストン側圧力PKi、i=132,136,140,144,148及び関節式ブームのジョイント軸54,56,58,60,62の周りのジョイント角度ε、i=34,36,38,40,42(図2)の形式の、ラージマニピュレータの、操作状態獲得装置により獲得された操作状態変数に依存して制御される。この目的のために、作動アセンブリ89では、油圧駆動ユニット68,78,80,82,84の機械的負荷が獲得された操作状態変数から決定される。次いで、決定された機械負荷に従い、バイパス弁196が第1又は第2切替状態に切り替えられる。このようにして、油圧駆動ユニット68,78,80,82,84の高い機械負荷の場合にラージマニピュレータにおけるブームアーム44,46,48,50,52の調節のために必要とされるよりも、ラージマニピュレータにおける関節式ブームのブームアーム44,46,48,50,52の調節のために、ラージマニピュレータにおける油圧駆動ユニット68,78,80,82,84の低い機械負荷の場合に油圧ポンプによってより少ない作動油が運ばれることが実現される。
【0062】
特筆すべきことに、前述したラージマニピュレータの変形実施形態では、ラージマニピュレータの操作状態変数として、関節式ブームの移動状態、関節式ブームの姿勢、関節式ブームの負荷、関節式ブームのブームアームの機械的負荷及び/又はコンクリートポンプの操作状態が、制御装置86における操作状態獲得装置によって獲得され、制御装置86により獲得された操作状態変数に依存してバイパス弁196の切替位置が設定される。
【0063】
要約すると、以下の本発明の好ましい特徴を特に確実に述べることができる。すなわち、本発明は、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータに関する。それは、フレーム16に配置されていて垂直回転軸18周りに回転可能なブーム台座30と、少なくとも2つのブームアーム44,46,48,50,52から成りコンクリート輸送ライン22を支承する関節式ブーム32と、少なくとも1つのブームアーム44,46,48,50,52を水平回転軸18周りに回動させる少なくとも1つの油圧駆動ユニット26とを有する。当該少なくとも1つの油圧駆動ユニットは、油圧シリンダー154と、当該油圧シリンダー内に可動に配置され、そこに連結されたピストンロッド158を有するピストン156を有する。ここで、油圧シリンダー154には、作動油を充填できるピストン側作業ボリューム160と、作動油を充填できるロッド側作業ボリューム162が形成されている。本発明によれば、ラージマニピュレータは、前記少なくとも1つの油圧駆動ユニット26を駆動する油圧回路装置164,166を有し、当該油圧回路装置は、第1切替状態にて、第1流路170による作動油の供給又は排出のための第1作業ポート168をロッド側作業ボリューム162に接続し、第2流路174による作動油の供給又は排出のための第2作業ポート172をピストン側作業ボリューム160に接続する。また、当該油圧回路装置は、第1切替状態とは異なる第2切替状態にて、第1作業ポート168を第1流路170から分離し、その際、作動油をロッド側作業ボリューム162からピストン側作業ボリューム160に供給するために第1流路170を第2流路174に接続する。
【符号の説明】
【0064】
10 移動式コンクリートポンプ
12 輸送車両
14 濃物質ポンプ
16 車両に対して固定されたフレーム
18 回転軸(垂直軸)
20 分配ブーム
22 コンクリート運搬ライン
24 供給ホッパー
25 コンクリート塗布位置
26 駆動ユニット
28 回転ジョイント
30 ブーム台座
32 関節式ブーム
34,36,38,40,42 関節ジョイント
44,46,48,50,52 ブームアーム
54,56,58,60,62 ジョイント軸
64 ブームアーム位置、例えばブーム先端
66 端部ホース
68 駆動ユニット
78,80,82,84 駆動ユニット
83 オペレータ制御要素
85 制御アセンブリ
86 制御装置
87 制御ユニット
89 作動アセンブリ
90,92,94,96,98,100 作動要素
91 無線経路
93 無線受信機
95 バスシステム
116 操作状態獲得装置
118,120,122,124,126 角度センサ
129,199 角度センサ
128 回転角度を決定する装置
130,132,134,136,138,140,142,144,146,148 操作状態獲得装置
150 トルクセンサ
152 入力ルーチン
154 油圧シリンダー
155 処理ルーチン
156 ピストン
158 ピストンロッド
160 ピストン側作業ボリューム
161 出力ルーチン
162 ロッド側作業ボリューム
164,166 回路装置
168 第1作業ポート
170 第1流路
172 第2作業ポート
174 第2流路
176,180 圧力制御ライン
178 第1下降ブレーキ弁
182 第2下降ブレーキ弁
184 第1逆止め弁
186 第2逆止め弁
188 過圧ポート
190 第1過圧弁
192 第2過圧弁
194 制御ブロック
195 タンク
196 バイパス弁
198 電気駆動部
Ki ピストン側圧力
Si ロッド側圧力
S 制御信号
SW 作動信号
ε 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7