(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】表示装置、送信システム、表示システム、表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 530M
G09G5/00 530T
G09G5/00 550B
G09G5/00 555D
(21)【出願番号】P 2020062672
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519264564
【氏名又は名称】BBSakura Networks株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【氏名又は名称】中村 弘通
(74)【代理人】
【識別番号】100134728
【氏名又は名称】奥川 勝利
(72)【発明者】
【氏名】平井 亮次
(72)【発明者】
【氏名】堀場 勝広
(72)【発明者】
【氏名】日下部 雄也
(72)【発明者】
【氏名】川畑 裕行
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 秀幸
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-212013(JP,A)
【文献】特開2020-031292(JP,A)
【文献】特開2010-212930(JP,A)
【文献】特開2020-024585(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066668(WO,A1)
【文献】特表2019-510440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0318382(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、通信部と、該通信部で受信した表示情報に基づいて該表示部に画像を表示させる表示制御部とを備えた表示装置であって、
当該表示装置の位置情報を取得する位置情報取得部を有し、
前記通信部は、移動通信網を介して、NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信により制御チャネルを用いて
、前記位置情報を送信するとともに、該位置情報に対応した前記表示情報を受信
し、
前記表示制御部は、前記表示情報に基づいてコード画像を含む画像を表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示部は、電力を消費せずに画像表示状態を維持可能であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置において、
前記通信部は、前記表示情報の取得要求を送信することなく該表示情報を受信することを特徴とする表示装置
。
【請求項4】
請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記コード画像は、二次元コード画像であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記通信部が受信する表示情報は、前記コード画像のコードデータであり、
前記表示制御部は、前記通信部で受信したコードデータから生成されるコード画像を含む画像を前記表示部に表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項
1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記表示制御部は、前記表示情報に基づいて、前記コード画像と、視覚を通じて情報を認知可能な視覚認知画像とを含む画像を表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃
至6のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記通信部が受信する表示情報は、前記表示部に表示される画像のイメージデータであることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃
至7のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記表示制御部は、所定の画像切替タイミングで、前記通信部で受信した表示情報に基づく新たな画像を前記表示部に表示させることを特徴とする表示装置
。
【請求項9】
請求項1乃
至8のいずれか1項に記載の表示装置の前記通信部に送信する前記表示情報を生成又は保持する処理装置と、
移動通信網を介して、NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信により制御チャネルを用いて
、前記表示装置から送信される位置情報を受信するとともに、該位置情報に対応した前記表示情報を送信する送信装置とを備えることを特徴とする送信システム。
【請求項10】
請求
項9に記載の送信システムにおいて、
2以上の前記表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して、NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信により制御チャネルを用いて同一の表示情報を送信することを特徴とする送信システム。
【請求項11】
請求
項10に記載の送信システムにおいて、
前記処理装置は、複数の表示装置から送信される
前記位置情報に基づいて、所定地域内に位置する2以上の前記表示装置を特定し、前記2以上の前記表示装置に送信する同一の表示情報を生成する処理を実行し、
前記送信装置は、前記処理装置が特定した2以上の表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して
NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信により
制御チャネルを用いて前記同一の表示情報を送信することを特徴とする送信システム。
【請求項12】
請求項
9に記載の送信システムにおいて、
前記処理装置は、所定の期限情報に基づいて、前記表示部に表示される画像の表示期限が到来した前記表示装置を特定し、期限切れ画像を表示させるための表示情報を生成する処理を実行し、
前記送信装置は、前記処理装置が特定した表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して、NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信により制御チャネルを用いて前記期限切れ画像を表示させるための表示情報を送信することを特徴とする送信システム。
【請求項13】
請求項1乃
至8のいずれか1項に記載の表示装置と、
請求
項9乃
至12のいずれか1項に記載の送信システムとを含むことを特徴とする表示システム。
【請求項14】
請求項1乃
至8のいずれか1項に記載の表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して、NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信により制御チャネルを用いて
、前記表示装置から送信される位置情報を受信するとともに、該位置情報に対応した前記表示情報を送信する送信工程と、
前記表示装置において、前記通信部で受信した表示情報に基づいて前記表示部に
コード画像を含む画像を表示させる表示工程とを有することを特徴とする表示方法。
【請求項15】
請求項1乃
至8のいずれか1項に記載の表示装置のコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
移動通信網を介して、NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信により制御チャネルを用いて
、前記位置情報取得部で取得される位置情報を送信するとともに、前記表示情報を受信する受信工程と、
前記工程で受信した表示情報に基づいて前記表示部に
コード画像を含む画像を表示させる表示工程とを、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信部で受信した表示情報に基づいて表示部に画像を表示する表示装置、送信システム、表示システム、表示方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムの通信規格である3GPPのLTE(Long Term Evolution)-Advancedを発展させたLTE-AdvancedProと呼ばれる通信規格(非特許文献1参照)、及び、第5世代の移動通信で提案されている新しい無線アクセス技術(NR:New Radio)の通信規格では、IoT(Internet of Things)向けデバイスへの通信を提供する低消費電力広域(以下「LPWA」(Low Power、Wide Area)という。)通信技術として、IoT機器に組み込まれる端末装置の低価格化及び基地局と通信可能なカバレッジエリアの拡張を実現する2つの無線通信方式であるCat.MとCat.NB(NarrowBand)がサポートされている。Cat.Mは、Cat.M1、LTE-M又はeMTC(enhanced Machine-Type Communications)とも呼ばれ、周波数帯域幅が例えば1.4MHzに制限され、約15dBのカバレッジ拡張及び1Mbps(上り)の最大通信速度をサポートしている。また、Cat.NBは、NB-IoTとも呼ばれ、周波数帯域幅が例えば200kHzの狭帯域に制限され、約23dBのカバレッジ拡張及び63kbps(上り)の最大通信速度をサポートし、LTEの周波数バンドでも使用できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP TS 36.300 V13.5.0 (2016-09).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、LPWA通信技術は、IoT向けデバイスからのデータ収集などに利用することを想定していたため、IoT向けデバイスからサーバへのアップロード用途を前提に、様々な利用ケースについての開発が進められていた。これは、データのダウンロードを伴う既存の利用ケースの多くは、ダウンロードするデータ量が多いため、伝送速度が遅いLPWA通信技術には不向きであると考えられていたためである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置は、表示部と、通信部と、該通信部で受信した表示情報に基づいて該表示部に画像を表示させる表示制御部とを備えた表示装置であって、前記通信部は、移動通信網を介して低消費電力広域通信により前記表示情報を受信する。
前記表示装置において、前記表示部は、実質的に電力を消費せずに画像表示状態を維持可能であってもよい。
また、前記表示装置において、前記低消費電力広域通信は、IP(Internet Protocol)を用いずにデータ通信を行う非IP通信であってもよい。
また、表示装置において、前記非IP通信は、NIDD(Non-IP Data Deliver)に準拠する通信であってもよい。
また、前記表示装置において、前記通信部は、前記表示情報の取得要求を送信することなく該表示情報を受信してもよい。
また、前記表示装置において、前記表示制御部は、前記表示情報に基づいてコード画像を含む画像を表示させてもよい。
また、前記表示装置において、前記コード画像は、二次元コード画像であってもよい。
また、前記表示装置において、前記通信部が受信する表示情報は、前記コード画像のコードデータであってもよく、前記表示制御部は、前記通信部で受信したコードデータから生成されるコード画像を含む画像を前記表示部に表示させてもよい。
また、前記表示装置において、前記表示制御部は、前記表示情報に基づいて、前記コード画像と、視覚を通じて情報を認知可能な視覚認知画像とを含む画像を表示させてもよい。
また、前記表示装置において、前記通信部が受信する表示情報は、前記表示部に表示される画像のイメージデータであってもよい。
また、前記表示装置において、前記表示制御部は、所定の画像切替タイミングで、前記通信部で受信した表示情報に基づく新たな画像を前記表示部に表示させてもよい。
また、前記表示装置において、当該表示装置の位置情報を取得する位置情報取得部を有してもよく、前記通信部は、移動通信網を介して低消費電力広域通信により前記位置情報を送信してもよい。
【0006】
また、本発明の他の態様に係る送信システムは、前記表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して低消費電力広域通信により前記表示情報を送信する送信装置を備える。
前記送信システムにおいて、2以上の前記表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して低消費電力広域通信により同一の表示情報を送信してもよい。
また、前記送信システムにおいて、複数の前記表示装置から送信される位置情報に基づいて、所定地域内に位置する2以上の前記表示装置を特定する処理を実行する処理装置を有してもよく、前記送信装置は、前記処理装置が特定した2以上の表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して低消費電力広域通信により同一の表示情報を送信してもよい。
また、前記送信システムにおいて、所定の期限情報に基づいて、前記表示部に表示される画像の表示期限が到来した前記表示装置を特定する処理を実行する処理装置を有してもよく、前記送信装置は、前記処理装置が特定した表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して低消費電力広域通信により期限切れ画像を表示させるための表示情報を送信してもよい。
【0007】
また、本発明の更に他の態様に係る表示システムは、前記表示装置と、前記送信システムとを含む。
【0008】
また、本発明の更に他の態様に係る表示方法は、前記表示装置の前記通信部に対し、移動通信網を介して低消費電力広域通信により前記表示情報を送信する送信工程と、前記表示装置において、前記通信部で受信した表示情報に基づいて前記表示部に画像を表示させる表示工程とを有する。
【0009】
また、本発明の更に他の態様に係るプログラムは、前記表示装置のコンピュータを機能させるためのプログラムであって、移動通信網を介して低消費電力広域通信により前記表示情報を受信する受信工程と、前記工程で受信した表示情報に基づいて前記表示部に画像を表示させる表示工程とを、前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示装置に表示される画像を遠隔から省電力で管理することができるので、新たな利用ケース(ビジネスモデル)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る表示システムの概略構成の一例を示す説明図。
【
図2】同表示システムのより詳細な構成を示す説明図。
【
図3】同表示システムを構成する表示デバイスの概観を模式的に示す説明図。
【
図4】同表示システムにおいて、表示デバイスの表示部に画像を表示させるための処理の流れを示すシーケンス図。
【
図5】同表示システムの他の構成例において、表示デバイスの表示部に画像を表示させるための処理の流れを示すシーケンス図。
【
図6】同表示システムにより表示された二次元コード画像を用いた電子決済を行う処理の流れを示すシーケンス図。
【
図7】他の構成例により電子決済を行う処理の流れを示すシーケンス図。
【
図8】更に他の構成例により電子決済を行う処理の流れを示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、一例として、店舗などに設置される表示装置にQRコード(登録商標)等の二次元コード画像を表示させ、その二次元コード画像をスマートフォンなどのユーザ装置で読み取って代金等の支払いを行う電子決済システムへの適用例について説明する。なお、コード画像は、二次元コード画像に限らず、バーコード画像などの他のコード画像であってもよい。
【0013】
図1は、本実施形態に係る表示システムの概略構成の一例を示す説明図である。
本実施形態の表示システムは、主に、移動通信網1と、1又は2以上の表示装置としての表示デバイス10と、ユーザ装置200と、処理手段としての処理装置の少なくとも一部を構成するアプリケーションサーバ(AS)300とから構成される。
【0014】
図2は、本実施形態の表示システムのより詳細な構成を示す説明図である。
本実施形態の表示システムを構成する移動通信網1は、主に、表示デバイス10と無線通信する1又は2以上の基地局20と、SGW(Serving Gateway)及びPGW(PDN(Packet Data Network) Gateway)からなるS/PGW30と、MME(Mobility Management Entity)40、送信装置としてのSCEF(Service Capability Exposure Function)50と、SCEF用I/F100とから構成される。SCEF用I/F100は、本表示システムに属する各表示デバイス10にそれぞれ指定の画像を表示させるための管理、運営を行う管理装置としての機能を有し、SCEF50と通信を行うためのSCS(Service Capability Server)120を含む。
【0015】
基地局20、S/PGW30、MME40、SCEF50、SCEF用I/F100などの移動通信網1内の設備は、例えば、移動通信網1の移動通信事業者によって管理運営してもよい。
図2では、図示の都合上、表示デバイス10を1台のみ示しているが、表示デバイス10は2台以上であってもよい。
【0016】
図3は、本実施形態の表示デバイス10の概観を模式的に示す説明図である。
本実施形態の表示デバイス10は、実質的に電力を消費せずに画像表示状態を維持可能である電子ペーパーを表示部11に採用した表示装置である。電子ペーパーは、電気泳動方式、電子粉流体方式、液晶方式、化学変化方式など、方式に関係なく、どのような方式のものでも採用することができる。特に、本実施形態では、ユーザ装置200によって読み取り可能な二次元コード画像を表示できるものであればよい。
【0017】
本実施形態のように表示デバイス10の表示部11に電子ペーパーを採用することで、表示デバイス10における消費電力を少なく抑えることができる結果、表示デバイス10を設置する店舗等での電力消費量を抑え、電力コストを削減できるメリットがある。また、表示デバイス10がバッテリ駆動の場合、消費電力が少ないことで、バッテリ交換までの時期を延ばすことができ、長期間にわたって保守を必要としないメリットが享受できる。
【0018】
なお、本実施形態は、表示システム全体での電力消費を極力抑える観点から、表示デバイス10での消費電力も少なくするために電子ペーパーを採用しているが、電力を消費して画像表示状態を維持する液晶ディスプレイなどの一般的なディスプレイ装置を採用することを排除するものではない。
【0019】
本実施形態の表示デバイス10は、電子ペーパーからなる表示部11のほか、通信部としての移動通信部12と、表示制御部としての制御部13と、位置情報取得部14と、操作部15とも備えている。
【0020】
移動通信部12は、移動局とも呼ばれる移動通信用の通信部であり、移動通信網1を介して通信する通信手段として機能し、例えばシンセサイザ、周波数変換器、高周波増幅器などにより構成され、移動体通信網の基地局20との間で無線通信するための高周波信号処理を実行する。この移動通信部12は、例えば通信モジュールとして構成される。表示デバイス10は、当該移動通信部12により、所定の無線通信方式で基地局20と無線通信を行い、移動通信網1側に接続することができ、移動通信網1を介して低消費電力広域通信技術であるLPWA(Low Power、Wide Area)通信技術に属する例えばNIDD(Non-IP Data Deliver)通信方式による通信や、移動通信網1を介してIP(Internet Protocol)を用いた通信などを行うことができる。
【0021】
移動通信部12は、Cat.MやCat.NBなどのLPWA通信技術に属する他の通信方式を採用してもよい。なお、Cat.Mは、3GPPのCat.M、Cat.M1、LTE-M又はeMTCの仕様に準拠した無線通信方式であり、周波数帯域幅が例えば1.4MHzに制限され、約15dBのカバレッジ拡張及び1Mbps(上り)の最大通信速度(スループット)をサポートしている。また、Cat.NBは、3GPPのCat.NB又はNB-IoTの仕様に準拠した無線通信方式であり、周波数帯域幅が例えば200kHzの狭帯域に制限され、約23dBのカバレッジ拡張及び63kbps(上り)の最大通信速度(スループット)をサポートしている。
【0022】
制御部13は、表示デバイス10の動作を制御するものである。制御部13は、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)、RAM、ROM等を備え、所定の基本OSやミドルウェア等のプログラムが実行されることにより、例えば、移動通信部12で受信される表示情報に基づいて表示部11に画像を表示させる表示制御を実行する。
【0023】
位置情報取得部14は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)衛星等のGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から電波を受信し、その受信結果に基づいて表示デバイス10が位置する緯度、経度及び高度のデータ等の位置情報を算出する。
【0024】
操作部15は、ユーザ等の操作を受け付けるものであり、表示部11に組み込まれたタッチパネルであってもよいし、各種の操作キーやボタンなどであってもよい。
【0025】
基地局20は、無線アクセス網(RAN)を構成し、例えば、eNodeBやgNodeB等とも呼ばれたり、自局が形成するセルのサイズによりマクロセル基地局やスモールセル基地局などと呼ばれたりする。基地局20は、例えば、無線信号の送受信をする無線部(RRH)と、デジタルベースバンド信号処理を行うベースバンド部(BBU)を備える。RRHは、例えば、BBUから受信したデジタルベースバンド信号をRF信号に変換し、所定の信号レベルに電力増幅して表示デバイス10に送信する。また、RRHは、表示デバイス10の移動通信部12から受信したRF信号をデジタルベースバンド信号に変換し、BBUへ送信する。
【0026】
移動通信網1に含まれるコアネットワークは、例えばLTE/LTE-AdvancedにおいてEPC(Evolved Packet Core)とも呼ばれ、所定の通信インターフェースを介して基地局20が接続される。コアネットワークは、S/PGW30、MME40、SCEF50等の各種ノードも有している。コアネットワークは、PCRF(Policy and Charging Rules Function)等の他のノードを有していてもよい。
【0027】
S/PGW30は、基地局20との間では、IP(Internet Protocol)を用いずに移動通信網を通じてデータ通信を行い、ユーザ装置200との間では、IPを用いてデータ通信を行う。S/PGW30は、ユーザ装置200とAS300との間において、IPを用いたデータ通信を行う際のパケット転送を行うノードとして機能する。詳しくは、ユーザ装置200の無線通信部にIPアドレスを割り当ててパケットデータ転送の処理を行う。例えば、P-GWの機能として、ユーザ装置200へのIPアドレスの払出し、パケット網への接続に関するユーザ認証、DHCPサーバ機能等を有する。また、S-GWの機能として、基地局20等を有するRANのアンカーポイントとなり、P-GWの間でユーザパケットデータの中継処理を行う。
【0028】
MME40は、基地局20を収容して無線通信ネットワーク制御、モビリティ制御、ハンドオーバ制御、ユーザ認証制御等を行うノードである。MME40は、ユーザ登録情報に基づいて、基地局20を介して送信されてきたデータを、後述のNIDDのデータ転送を行うSCEF50に転送したり、SCEF50から送られてきた表示デバイス10宛のデータや受信要求などの制御情報を基地局20に転送したりする。また、MME40は、表示デバイス10及び基地局20のそれぞれについて通信ログ情報及び通信制御パラメータ等の情報を収集して格納する機能を有する。
【0029】
SCEF50は、3GPPの通信サービスの一部をサードパーティのアプリケーションプロバイダーに提供するためのインターフェースを有するノードである。SCEF50は、後述のNIDDによる表示デバイス10との間のデータ送受信の転送処理を行う。SCEF50は、NIDDによる表示デバイス10とのデータ送受信に対する課金用の通信利用データ(例えばCDR)を作成してもよい。
【0030】
また、本実施形態において、表示デバイス10が所定のデータ通信タイミングでデータ通信する定期通信のデータ通信タイミングを知らせる通知などの制御情報は、例えば、制御チャネルにより表示デバイス10からSCEF50に通知される。
【0031】
また、表示デバイス10の移動通信部12は、電力消費を低減するために着信待ち受け時に一部回路への電源供給を休止してスリープ状態にしておいてもよい。表示デバイス10の移動通信部12は、前記着信待ち受け時に後述する受信要求を受信し、その受信をトリガーとして全体回路への電源供給を行い、所定のアプリケーションを起動して受信対象のデータ(表示情報など)を受信し、データ受信が完了したらスリープ状態に戻るように制御してもよい。
【0032】
また、本実施形態において、表示デバイス10との通信状況を示す通信状況情報は、表示デバイス10や基地局20からMME40を介してSCEF50に転送される。通信状況情報は、例えば、表示デバイス10及び基地局20の通信ログ情報及び通信制御パラメータ等の情報、表示デバイス10の移動通信部12に設定されているデータ通信タイミングの設定情報などである。
【0033】
AS300は、例えば、移動通信網1を通じた通信を利用する各種サービスのアプリケーションを提供する上で必要な各種データ処理を実行するサーバである。本実施形態のAS300は、表示デバイス10に画像を表示させて行われる各種サービスを実行するための管理、運営のための機能を有するサーバを含む。本実施形態では、上述したとおり、店舗などに設置される表示デバイス10の表示部11に二次元コード画像を表示させ、その二次元コード画像をユーザ装置200で読み取って代金等の支払いを行う電子決済サービスを行うため、AS300は、この電子決済サービスに必要な各種データ処理を実行する。
【0034】
具体的には、AS300は、表示デバイス10の表示部11に二次元コード画像を表示させるために、SCEF用I/F100に対して二次元コード画像の表示情報を送信する処理を行う。また、AS300は、店舗などに設置される表示デバイス10の表示部11に表示された二次元コード画像をユーザ装置200で読み取った読取情報を、基地局20及びS/PGW30を介して受信し、当該読取情報に基づいて当該ユーザ装置200に対する決済のためのデータ処理を実行する。
【0035】
本実施形態の表示システムを構成する通信システムは、NIDD(Non-IP Data Delivery)をサポートしている。NIDDは、3GPPの標準規格(例えば、TS23.401 V15.4.0(2018-06),TS23.682 V15.5.0(2018-06)参照)で定義された機能であり、表示デバイス10等の各種デバイスに搭載される移動通信部12がIPスタックの操作やIPアドレスの取得を行うことなくデータ転送が可能になる機能である。このNIDDを利用することにより、IPを用いるIPネットワークからの攻撃が少なくセキュアなデータ転送が可能になるとともに、移動通信網1において同じ情報量を転送するための伝送データ量が少なくて済む。
【0036】
移動通信網1におけるデータ処理の負荷を軽減するため、移動通信網1におけるデータ処理の一部を行うMEC(Mobile Edge Computing)サーバを、基地局20の内部又は近傍に設けてもよい。MECサーバは、例えば、そのサーバに対応する基地局20のセルに在圏する表示デバイス10へのデータ送信タイミングを管理する機能を有してもよい。
【0037】
また、本実施形態の表示システムを構成する通信システムは、表示デバイス10がIoT通信モードで通信できるようにカテゴリーM1(eMTC)及びカテゴリーNB1(NB-IoT)のカバレッジ拡張(CE)をサポートしている。
【0038】
IoT通信モードは、基地局20との間でIoT用通信を行う通信モードであり、例えばLTE-Advanced ProのeMTC若しくはNB-IoTの標準規格(非特許文献1参照)に準拠した通信モード、又は、第5世代の移動通信で提案されている大規模マシンタイプ通信(5GのmMTC:massive Machine-Type Communications)の通信モードである。
【0039】
広帯域通信モードは、IoT通信モードで通信可能なIoT通信エリアよりも狭い広帯域通信エリアにおいて基地局20との間で広帯域の通信を行う通信モードであり、例えば移動通信の第3世代(3G)、LTE、LTE-Advanced若しくはLTE-Advanced Proの標準規格に準拠する通信モード、又は、第5世代の移動通信で提案されている新しい無線アクセス技術(5G(New Radio))の通信モードである。
【0040】
本実施形態の表示デバイス10を構成する通信システムは、広帯域通信モード及びIoT通信モードの両方に対応しているものであってもよいし、IoT通信モードのみに対応しているものであってもよい。
【0041】
また、本実施形態の表示デバイス10を構成する通信システムでは、SCEF用I/F100から表示デバイス10の移動通信部12へのデータ送信をプッシュ通信(移動通信部12がデータの取得要求を送信することなく当該データを受信する通信方式)によって行うことができる。このようなプッシュ通信によれば、SCEF用I/F100又はAP300側が希望する時期に表示デバイス10に表示情報を送信して、当該表示情報に基づく画像を当該表示デバイス10の表示部11に表示させることが可能である。
【0042】
ただし、表示デバイス10の移動通信部12は、電力消費を低減するために、所定のデータ通信タイミングではない通信不可タイミングでは通信不可の状態になっている。そのため、通信不可タイミングで表示デバイス10の移動通信部12にデータを送信(プッシュ通信)してもデータ不達となってしまう。
【0043】
この点について、本実施形態では、データ通信タイミングがSCEF50等によって管理されているので、通信不可タイミングにSCEF用I/F100から表示デバイス10の移動通信部12へのデータ送信(プッシュ通信)があった場合、当該データをSCEF50が一時的に保持する。そして、所定のデータ通信タイミングになったタイミングで、SCEF50が表示デバイス10の移動通信部12へ当該データを送信する。
【0044】
また、所定のデータ通信タイミングであっても、表示デバイス10の電源が落とされているなど、表示デバイス10の移動通信部12が基地局20との間で通信できない状況になっている場合には、データ不達となってしまう。このような場合、本実施形態では、MME40が表示デバイス10の移動通信部12と基地局20との通信状況を監視しているので、当該移動通信部12へのデータ送信があった場合、MME40は当該移動通信部12とは通信できない状況であることをSCEF50へ通知する。これにより、SCEF50は、当該データを一時的に保持しておき、当該移動通信部12との通信が可能な状況になった旨の通知がMME40から受けたら、当該データをMME40を介して表示デバイス10の移動通信部12へ送信する。
【0045】
以上のように、本実施形態の表示システムは、表示デバイス10の移動通信部12に対し、移動通信網を介して低消費電力広域通信により表示情報を送信する送信装置としてのSCEF50と、MME40と、基地局20とを備えた送信システムを含むものである。
【0046】
次に、本実施形態のSCEF用I/F100の構成について説明する。
SCEF用I/F100は、本表示システムに属する各表示デバイスの表示部11にそれぞれ指定の画像を表示させるための管理、運営を行う管理装置としての機能を有する。SCEF用I/F100は、
図2に示すように、制御部110と、SCS120と、ユーザ管理DB130と、IP用I/F140とを備えている。
【0047】
制御部110は、SCEF用I/F100が担う機能を発揮させるための各種制御、データ処理を実行する。具体的には、制御部110は、IP用I/F140により受信されるAS300からの二次元コード画像の表示情報を、対応する表示デバイス10に対し、非IP通信方式であるNIDDに準拠した通信方式(以下、「NIDD通信方式」という。)により、当該表示デバイス10へ送信するための処理を実行する。なお、本実施形態の二次元コード画像は、決済に用いるため、その表示情報の送信には、高いセキュリティ性が望まれるため、高いセキュリティ性を備えたNIDD通信方式を用いることは有効である。
【0048】
本実施形態の表示システムがサポートしているNIDD通信方式は、上述のとおり、IPを使わないIPアドレス不要の通信技術であるため、一般的なIP通信方式による悪意ある攻撃を受けるリスクが低く、セキュアな通信が可能である。また、このように、NIDD通信方式を利用することにより、暗号化通信などの他のセキュリティ対策を取らなくても十分なセキュリティ性を確保できることから、他の通信方式においてセキュリティ対策のために必要な分のデータ量を削減でき、同じ情報量を転送するための伝送データ量が少なくて済む。
【0049】
SCS120は、SCEF50との間で通信を行うためのインターフェースである。SCEF用I/F100とSCEF50との間は、IPを用いない非IP通信方式で接続される必要はないが、IP通信方式により接続する場合には、プライベートIPを用いたり専用線を用いたりして十分なセキュリティを確保することが望ましい。
【0050】
ユーザ管理DB130は、制御部110で実行されるデータ処理に利用される各種情報が登録されたデータベースである。ユーザ管理DB130には、例えば、二次元コード画像の表示情報を送信するAS300と、この表示情報を表示させる表示デバイス10との対応関係を示すデータベースなどが管理される。
【0051】
IP用I/F140は、主にAS300との間で通信を行うためのインターフェースである。SCEF用I/F100とAS300との間は、IPを用いて通信するIP通信方式により接続されているが、十分なセキュリティを確保することが望まれる。そのため、例えば、クライアント証明書により通信が許可されているAS300のみがSCEF用I/F100と通信できるように認証を行うとともに、SSL(Secure Sockets Layer)による暗号化通信を行うなどして、十分なセキュリティ性を確保している。
【0052】
次に、本表示システムにおいて、店舗などに設置される表示デバイス10に二次元コード画像を表示させる処理の流れについて説明する。
図4は、本実施形態の表示システムにおいて、表示デバイス10の表示部11に画像を表示させるための処理の流れを示すシーケンス図である。
本実施形態において、表示デバイス10に二次元コード画像を表示させる処理は、本表示システムに表示デバイス10を登録するための認証処理を行うデバイス認証ステップ(S100)と、表示デバイス10に二次元コード画像を表示させる画像表示ステップ(S200)とに、大別できる。
【0053】
デバイス認証ステップ(S100)では、店舗などに表示デバイス10を設置して電源を投入すると、表示デバイス10の移動通信部12は、自身のIMSI(International Mobile Subscriber Identity)情報を、基地局20を介してMME40に通知する(S101,S102)。MME40は、このIMSIが認証されたものであるかどうかを確認するための認証設備に問い合わせを行って認証処理を行う(S103)。
【0054】
ここで、この認証処理の前に、SCEF用I/F100は、事前に、SCEF50を介して当該表示デバイス10の移動通信部12との間でNIDD通信方式での通信を行うためのリソースを生成する。このとき、SCEF50は、認証設備に対し、External-ID(以下「E-ID」という。)の認証要求を出し、認証設備は、この認証要求の応答として、当該認証処理に係るIMSIをSCEF50に返す。これにより、SCEF50は、デバイス認証ステップの認証対象である表示デバイス10の移動通信部12に対応する当該IMSIと、SCEF50とSCEF用I/F100との間の通信に用いられるE-IDとの対応付けを行う処理を実行し、当該対応付けを保持する。
【0055】
認証設備は、この事前の処理により、SCEF50にIMSIとE-IDとの対応付けがなされたIMSI、すなわち、本表示システムの表示デバイス10として利用可能なIMSIが登録されている。したがって、表示デバイス10の移動通信部12からIMSIの通知を受けたMME40は、認証設備に問い合わせることで、このIMSIが本表示システムの表示デバイスのIMSIであるかどうかの認証を行うことができる。
【0056】
MME40は、表示デバイス10のIMSIの認証処理を終えたら、NIDD通信方式によるセッション生成要求をSCEF50へ送信する(S104)。これにより、SCEF50は、事前に対応づけておいた当該IMSIとE-IDとの対応付け処理をSCEF用I/F100との間で実行する(S105)。これにより、SCEF用I/F100は、当該表示デバイス10の移動通信部12に対し、SCEF50を介してデータの通信を行うことが可能となる。
【0057】
次に、画像表示ステップ(S200)について説明する。
AS300は、各表示デバイス10に対して発行するコードデータを変換した二次元コード画像を表示させるための表示情報をSCEF用I/F100に送信する(S201)。SCEF用I/F100は、この表示情報をIP用I/F140により受信すると、制御部110が、ユーザ管理DB130を参照して、当該表示情報の送信先となる表示デバイス10の移動通信部12に対し、当該表示情報をSCS120からSCEF50へ送信する(S202)。
【0058】
SCEF50は、SCEF用I/F100から受信した表示情報を、表示デバイス10の移動通信部12との間でデータ通信可能な所定のデータ通信タイミングに、当該表示デバイス10に向けて送信する(S203~S206)。これにより、SCEF50から送信される表示情報は、NIDD通信方式により、MME40及び基地局20を介して、表示デバイス10の移動通信部12へと送られる。
【0059】
ここで、本実施形態において、NIDD通信方式により送信される表示情報は、制御情報の送受信に利用される制御チャネルを用いて送信され、1回の送信で送信可能なデータ量が少ない。そのため、表示情報のデータ量が多いと、表示情報を表示デバイス10へ送信するのに要する時間がかかるうえ、消費電力も多くなってしまう。
【0060】
そのため、本実施形態における表示情報は、表示デバイス10の表示部11に表示させる二次元コード画像のイメージデータではなく、二次元コード画像に変換される前のコードデータを用いている。コードデータは、イメージデータに比べてデータ量を少なく抑えることができるので、NIDD通信方式により送信する場合でも、短時間で送信でき、かつ、消費電力も抑制できる。
【0061】
ただし、本実施形態における表示情報として、二次元コード画像のイメージデータを用いても良い。例えば、表示デバイス10の制御部13が、コードデータを二次元コード画像へ変換する変換処理を実行する機能を備えていなかったり、イメージデータのデータ量が許容範囲内であったりする場合には、表示情報として二次元コード画像のイメージデータを用いても良い。一般に、このような二次元コード画像を含むコード画像は、他の種類の画像よりも、その表示に必要となる表示情報のデータ量が少なくて済むので、本表示システムで表示させる画像としては好適である。
【0062】
表示情報が表示デバイス10の移動通信部12に受信されると、制御部13は、表示情報に含まれるコードデータを変換して二次元コード画像を生成し、二次元コード画像を表示部11に表示させる処理を実行する(S207)。これにより、表示デバイス10の表示部11には、AS300によって発行された当該表示デバイス10のコードデータに対応する二次元コード画像が表示される。
【0063】
以上のように、本実施形態においては、店舗等に設置される表示デバイス10の表示部11に表示される二次元コード画像の表示情報を、NIDD通信方式により、表示デバイス10へダウンロードする。このような表示情報は、ダウンロードするデータ量が比較的少なくて済むので、伝送速度の遅いNIDD通信方式を用いても実用化が可能である。
【0064】
なお、NIDD通信方式以外のLPWA通信技術の通信方式を利用してもよいが、高いセキュリティ性が望まれるコードデータなどを含む二次元コード画像をダウンロードする場合には、本実施形態のようにセキュリティ性の高いNIDD通信方式を採用することが好ましい。
【0065】
また、本実施形態においては、表示デバイス10の移動通信部12に送信する表示情報を生成又は保持する処理装置が、SCEF用I/F100とAS300とによって構成される例であるが、AS300の機能をSCEF用I/F100に組み込んで、
図5に示すように、SCEF用I/F100の単体で構成されてもよい。
【0066】
次に、本表示システムにより店舗などに設置される表示デバイス10に表示された二次元コード画像をユーザ装置200で読み取って電子決済を行う処理の流れについて説明する。
図6は、本実施形態に表示システムにより表示された二次元コード画像を用いた電子決済を行う処理の流れを示すシーケンス図である。
本実施形態における電子決済の処理は、本電子決済システムにユーザ装置200を登録するためのサービス登録ステップ(S300)と、ユーザ装置200によって読み込んだ二次元コード画像のコードデータに基づいて決済処理を行う決済ステップ(S400)とに、大別できる。
【0067】
サービス登録ステップ(S300)では、ユーザ装置200に対してユーザが所定の操作を行うことで、ユーザ装置200又はそのユーザを本電子決済システムに登録するためのサービス利用要求がユーザ装置200から送信される(S301)。この操作は、例えば、ユーザ装置200に対して本電子決済システム用のアプリをインストールして、当該アプリを利用して、本電子決済システムに登録するための操作を行う。
【0068】
ユーザ装置200から送信されたサービス利用要求が、基地局20及びS/PGW30を介してAS300に送られると(S302,S303)、AS300は、当該サービス利用要求に係るユーザ装置200又はそのユーザを本電子決済システムに登録するための登録処理を実行する(S304)。
【0069】
次に、決済ステップ(S400)について説明する。
ユーザは、表示デバイス10が設置されている店舗等において本電子決済システムにより代金等の支払いを行う場合、ユーザ装置200を操作して、本電子決済システム用のアプリを起動させる。そして、当該表示デバイス10の表示部11に表示されている二次元コード画像をユーザ装置200の撮像部を用いて読み取ると(S401)、ユーザ装置200は、その二次元コード画像からコードデータを抽出する。本実施形態におけるコードデータは、当該表示デバイス10が設置される店舗等を識別するための識別情報である。
【0070】
その後、ユーザがユーザ装置200を操作して支払う代金の金額などの必要な情報を入力したら、ユーザ装置200から、コードデータと代金の金額などを含む決済情報が、基地局20及びS/PGW30を介してAS300に送られる(S402~S405)。そして、AS300は、送られてきた決済情報に基づき、コードデータに対応する店舗等に対し、支払い代金の金額についての決済を行うための決済処理を実行する(S406)。
【0071】
なお、本実施形態においては、ユーザ装置200から送信される決済情報に基づく決済処理を行う決済装置がAS300によって構成される例であるが、SCEF用I/F100によって構成されてもよい。この場合、
図7に示すように、SCEF用I/F100によって構成してもよい。この場合、ユーザ装置200から決済装置であるSCEF用I/F100までの通信経路は、移動通信網1内で完結することができるので、非IP通信によって通信を行うことができ、高いセキュリティ性を確保することができる。
【0072】
なお、決済装置がAS300によって構成される場合でも、
図8に示すように、移動通信網1内の基地局20から、MME40、SCEF50、SCEF用I/F100を介して、AS300に決済情報を送信するようにしてもよい。この場合も、高いセキュリティ性を確保することが可能である。
【0073】
ここでは、表示デバイス10の表示部11に二次元コード画像を表示する場合について説明したが、二次元コード画像と併せて他の画像も表示部11に表示するようにしてもよい。他の画像としては、人間が情報を認知できない二次元コード画像とは異なり、人間が視覚を通じて情報を認知可能な視覚認知画像を用いることができる。なお、「視覚認知画像」とは、当該視覚認知画像を見ただけで、人間がその視覚認知画像によって伝えられる情報を認知できるような画像であって、例えば、当該情報を表現した文字や絵柄などの画像である。
【0074】
例えば、他の画像として、当該表示デバイスが設置される店舗等の名称やマークなどの設置場所情報を文字などで表した視覚認知画像である設置場所情報画像を、二次元コード画像と一緒に、又は、所定のタイミングで二次元コード画像と入れ替えるように、表示するようにしてもよい。このような設置場所情報画像を表示することは、電子決済システムに用いる二次元コード画像を表示する表示システムにおいては、次のような不正行為の抑制効果が期待できる。
【0075】
従来、二次元コード画像を利用した電子決済システムにおいては、店舗等に設置されている二次元コード画像を表示(印字)した張り紙が他の店舗等の二次元コード画像を表示(印字)した張り紙に差し替えられるという不正行為が行われることがあった。本実施形態のように表示デバイス10の表示部11に二次元コード画像を表示する場合、従来の張り紙での差し替えでは一目で不正行為が確認できる。ただし、表示デバイスに二次元コード画像だけを表示する場合、表示デバイス自体を他の店舗の表示デバイスに差し替えられると、通常は二次元コード画像だけでは違いを認知できないので、不正行為に気づかないおそれがある。この点、上述したように、店舗等の設置場所情報画像も表示デバイス10で表示するようにすれば、当該設置場所情報画像を見ることで、他の店舗の表示デバイスへの差し替えに容易に気づくことができ、不正行為の抑制効果が期待される。
【0076】
また、例えば、他の画像として、本日の日付などの日付情報を文字などで表した視覚認知画像である日付情報画像を、二次元コード画像と一緒に、又は、所定のタイミングで二次元コード画像と入れ替えるように、表示するようにしてもよい。このような日付情報画像は、日ごと、月ごとのように定期的に、本表示システムによって更新されることになるので、日付情報画像の更新されないような他の店舗等の表示デバイスへの差し替えに容易に気づくことができ、不正行為の抑制効果が期待される。
【0077】
また、例えば、他の画像としては、所定の画像切替タイミングで定期的に又は不定期に新たな画像へ更新されるような種類の画像であれば、更に本表示システムを好適に利用することができる。このような画像としては、例えば、有効期限(表示期限)が存在する種類の画像を挙げることができる。具体例としては、車両のウィンドシールド等に貼付される車検標章や、住宅の外壁に設置される警備会社のステッカーなどが挙げられる。このような有効期限のある種類の画像の表示に本発明に係る表示システムを利用すれば、有効期限が切れたときにそれまでの画像から別の画像(期限切れを示すような画像)に表示を切り替えるという用途例が実現できる。このような用途例によれば、有効期限(表示期限)が切れた車検標章などの画像の表示がそのまま放置される事態を迅速かつ容易に解消することができる。
【0078】
この用途例を実現するための具体例としては、表示デバイス10ごとに、その表示部11に表示されている画像の有効期限(表示期限)を管理する処理装置としてのAP300又はSCEF用I/F100において、その有効期限を示す期限情報に基づいて、画像の有効期限(表示期限)が到来した表示デバイスを特定する処理を実行する。そして、特定した表示デバイスに対して本表示システムにより期限切れを示す別の画像を送信し、この画像を当該表示デバイスの表示部に表示させる。
【0079】
また、例えば、本表示システムを利用して広告画像を表示する広告サービスを行う場合には、他の画像として、広告主から依頼された広告画像を、二次元コード画像と一緒に、又は、所定のタイミングで二次元コード画像と入れ替えるように、表示するようにしてもよい。
【0080】
また、本実施形態における表示デバイス10には、上述したように、位置情報取得部14が備わっている。したがって、表示デバイス10の位置情報を、移動通信網を介して低消費電力広域通信により送信することにより、表示デバイス10の位置情報を利用した種々のサービスを行うことが可能である。
【0081】
例えば、店舗等に設置されている二次元コード画像を表示した表示デバイス10が他の表示デバイスに差し替えられるという不正行為が行われたときに、その店舗へ通報するサービスを提供することができる。この場合、表示デバイス10の位置情報を所定のタイミングで当該サービスを提供するAP300又はSCEF用I/F100に送信するようにする。そして、店舗等に設置されている表示デバイス10の位置が当該店舗とは異なる場所に移動されたかどうかを監視し、移動されたと判断したときに当該店舗へ通報を行う。
【0082】
また、例えば、特定地域に限定した広告配信サービスを提供することも可能である。表示デバイス10の位置情報から、当該サービスを提供する処理装置としてのAP300又はSCEF用I/F100では、広告配信を行う特定地域内に存在する表示デバイスを把握できる。よって、本表示システムにより当該特定地域内に存在する表示デバイスに対して広告画像の表示情報を送信することで、特定地域内に存在する表示デバイスの表示部11だけに当該広告画像を表示させることができる。この広告画像としては、例えば、安売り情報などの店舗の宣伝のための画像や、迷子になったペットを探している旨の画像などが挙げられる。
【0083】
また、このような広告配信サービスのように、2以上の表示デバイス10の移動通信部12に対し、移動通信網を介して低消費電力広域通信により、同じ広告画像を表示させるための同一の表示情報を送信するサービスは、広告配信サービスに限られない。例えば、同じグループに属する複数の店舗にそれぞれ設置されている表示デバイス10に対して、当該グループに関する情報提供を行うための同一の画像の表示情報を送信し、各表示デバイスの表示部11に当該同一の画像を表示させるものが挙げられる。
【0084】
また、本発明は、本実施形態に例示した用途例に限らず、移動通信網を介して低消費電力広域通信により表示情報を表示装置へ送信し、当該表示情報に基づいた画像を表示装置に表示させるものであれば、多種多様な用途のものに適用することができる。
【0085】
その中でも、これまでは、紙媒体等に印刷された画像を他の画像に切り替えるにあたって、当該他の画像を印刷した他の紙媒体等に置き換えるという作業が必要であった様々な既存の用途例に対しては、本発明に係る表示システムを好適に適用することが可能である。例えば、駅やバス停などに設置されている電車やバスなどの時刻表の表示に本発明に係る表示システムを適用すれば、時刻表の更新時における時刻表の置き換え作業を容易化することができる。同様に、街角に掲示される選挙ポスターの表示、ごみ収集場所に掲示されるゴミ種別ごとの収集日等の表示など、従来紙媒体等によって表示していたあらゆる用途例に対して、本発明に係る表示システムを適用することができる。
【0086】
特に、本実施形態では、移動通信網を介して低消費電力広域通信により表示情報を表示装置へ送信するため、従来の紙媒体等を置き換えるための作業が不要となるだけでなく、表示情報の通信に要する表示装置側での電力消費が少ないことから、電力消費の面では、電力を消費しない従来の紙媒体と同様の使い勝手(電力コストの負担が少なく、またバッテリ交換などの保守負担も少ない)も維持できるというメリットを享受できる。このメリットは、表示装置として、本実施形態のように電子ペーパーを採用することで、より享受できるようになる。
【0087】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに表示装置、送信システム、表示システムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0088】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、eNodeBやgNode等の各種基地局装置、移動通信部、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0089】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる各部は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置や記憶装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0090】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であれよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0091】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0092】
1 :移動通信網
10 :表示デバイス
11 :表示部
12 :移動通信部
13 :制御部
14 :位置情報取得部
15 :操作部
20 :基地局
30 :S/PGW
40 :MME
50 :SCEF
100 :SCEF用I/F
110 :制御部
120 :SCS
130 :ユーザ管理DB
140 :IP用I/F
200 :ユーザ装置
300 :AP