(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】多孔性材料で作られた成形型キャビティを有する装置、該装置を有するパテ成形機及びキャビティ洗浄機
(51)【国際特許分類】
A22C 7/00 20060101AFI20230309BHJP
A23P 30/10 20160101ALI20230309BHJP
【FI】
A22C7/00 Z
A23P30/10
(21)【出願番号】P 2020514275
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(86)【国際出願番号】 FR2018052210
(87)【国際公開番号】W WO2019048805
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-04
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513117066
【氏名又は名称】マレル フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】ル ペ、ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ミュレンダイクス、ヨハネス マルティネス
(72)【発明者】
【氏名】ル パビック、ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ヨアン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03205837(US,A)
【文献】特表平05-500451(JP,A)
【文献】特表2014-507126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 7/00
A23P 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材の塊からパテを成形するための装置(10、30、40、50)であって、前記装置は、
- キャビティホルダー(11、311、411、52)と、
- 前記キャビティホルダー内に収容されるように配置されたキャビティ(12)であって、流体通過性の材料から作られ、かつ、パテ(121)を成形するための成形型を規定する内面(123)と、多孔性材料の厚さによって前記内面と分離される外面(122)を有する前記キャビティと、
- 前記キャビティホルダーにおいて前記キャビティを締め付けるための締付具(13、313、413、53)を有するものであって、
前記締付具が締付ナット(13)であることを特徴とし、かつ、前記装置が、更に
:
- 前記キャビティと前記キャビティホルダー及び前記締付具のうちの一方との間に介在するシールジョイント(14、15、17)を有し、前記シールジョイントは、前記外面上にもたらされそこから内面に向かう、多孔性材料の厚さを通過する加圧流体の通路を拘束するように配置されていること
、及び、
- 流体取込室(20)を有し、前記流体取込室は、前記キャビティの前記外面によって一部が規定され、かつ、前記締付ナット内に作られた中空(134)によって規定されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記キャビティと前記キャビティホルダー及び前記締付具のうちの他方との間に介在する第2のシールジョイント(15、17)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体取込室は、前記キャビティホルダー内に作られた凹部によって規定されることを特徴とする、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記キャビティホルダーは、前記流体取込室において圧力計測ダクト(4112)を有することを特徴とする、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
前記キャビティホルダーは、流体入口手段(33、4111)を有することを特徴とする、請求項
3に記載の装置。
【請求項6】
前記締付ナットは、前記流体取込室に入る流体取込ダクト(131)を有することを特徴とする、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、更に、前記キャビティと前記締付ナットとの間に配置されたスペーサー(16)を有し、前記スペーサーが前記流体取込室を一部規定することを特徴とする、請求項
5または
6に記載の装置。
【請求項8】
前記スペーサーは、前記キャビティの前記外面上に流体分配格子(161)を有することを特徴とする、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、更に、前記スペーサーと前記キャビティとの間に介在する追加のシールジョイント(15)、及び/または前記スペーサーと前記締付ナットとの間に介在する追加のシールジョイント(17)を有することを特徴とする、請求項
7または
8に記載の装置。
【請求項10】
食材の塊からパテを成形するための、成形型支持部(1、51)を有するパテ成形機(M)であって、前記成形型支持部は、少なくとも1セットの、請求項1~
9のうち1項に記載の装置を有することを特徴とする、パテ成形機。
【請求項11】
前記成形型支持部は、ドラム(51)、回転プレート(1)及びスライドのいずれか1つであることを特徴とする、請求項
10に記載のパテ成形機。
【請求項12】
洗浄用流体回路を有するキャビティ洗浄機(29、290)であって、前記洗浄機が、前記洗浄用流体回路と流体接続にある、少なくとも1セットの、請求項1~
9のうち1項に記載の装置(30、50)を有することを特徴とする、洗浄機。
【請求項13】
前記洗浄用流体は、塩基または酸を含むことを特徴とする、請求項
12に記載の洗浄機。
【請求項14】
前記洗浄機は、前記キャビティの前記内面を洗浄するためのノズル(46)を有することを特徴とする、請求項
12または
13に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材の塊からパテを成形するための装置、並びにこの装置を使用する成形機及び洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ラインの効率化により、特に、肉の塊等の食材の塊から牛挽肉のパテ等のパテを製作する場面において、例えば、様々な形状のパテを同じ製造ラインで作れるようになる。そのために、パテ製造機は、2種類の異なる製造計画間の複数の成形用成形型の変更を可能とし、使用しない成形型は洗浄して将来の再使用に備えて収納する。そのような成形型は、例えば、国際公報WO2016/146519号に記載されている。ただし、複数のキャビティ(凹形状部分)を有するそのような成形型は、現状ではかさ高く重いので、作業者にとって操作性が悪く、また、洗浄も困難である。しかも、製造ライン上でそれらを変更するには、比較的長時間ラインを停止しなければならない。そうして、キャビティだけを成形型本体から取り外すことができる成形型が開発され、操作性を容易にした。さらに、そのようなキャビティは多孔性ステンレス鋼等の多孔性材料からできており、キャビティの成形を行う凹部の反対側であるキャビティの外面上で、成形後のパテを射出するために多孔性材料の厚さを通り抜ける圧縮空気を利用できるようにする。ただし、これらのキャビティの洗浄には問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目標は、簡単、容易かつ迅速な変更を可能としたまま、同時に最適な成形後のパテの射出とキャビティの洗浄も可能にする、パテを成形するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のため、本発明に従い、食材の塊からパテを成形するための装置が提供され、該装置は、
・キャビティホルダーと、
・キャビティホルダー内に収容されるように配置されたキャビティであって、流体通過性の材料から作られ、かつ、パテを成形するための成形型を規定する内面と、多孔性材料の厚さによって内面と分離される外面を有するキャビティと、
・キャビティホルダーにおいてキャビティを締め付けるための締付具を有するものであって、
該装置は、更に、キャビティとキャビティホルダー及び締付具のいずれかとの間に介在するシールジョイントを有し、該シールジョイントは、外面上にもたらされそこから内面に向かう、多孔性材料の厚さを通過する加圧流体の通路を拘束するように配置されている、装置である。
【0005】
それゆえ、多孔性材料で作られたキャビティを有する装置のそのような構造は、操作性における利点を保ちつつ、キャビティと、キャビティホルダー及び締付具のいずれかとの間にシールジョイントを使用することで、射出と洗浄を最適にするのに十分な高圧で、流体がキャビティの多孔性材料の厚さを確実に通過できるようにする。
【0006】
有利には、しかし任意に、本発明に従う装置は、少なくとも1つの下記の追加の技術的特徴を有する。
- 装置は、キャビティと、キャビティホルダー及び締付具のいずれかとの間に介在する第2のシールジョイントを有する。
- 装置は、キャビティの外面によって一部が規定される流体取込室を有する。
- 流体取込室は、キャビティホルダー内に作られた凹部によって規定される。
- キャビティホルダーは、流体取込室において圧力計測ダクトを有する。
- キャビティホルダーは、流体入口手段を有する。
- 締付具は締付ナットであり、流体取込室は、締付ナット内に作られた中空によって規定される。
- 締付ナットは、流体取込室に入る流体取込ダクトを有する。
- 装置は、更に、キャビティと締付ナットとの間に配置されたスペーサーを有し、該スペーサーが流体取込室の一部を規定する。
- スペーサーは、キャビティの外面上に流体分配格子を有する。
- 装置は、さらに、スペーサーとキャビティとの間に介在するシールジョイント及び/またはスペーサーと締付ナットとの間に介在する追加のシールジョイントを有する。
【0007】
本発明に従い、食材の塊からパテを成形するためにもパテ成形機が成形型支持部を有して提供され、該成形型支持部は、少なくとも1セットの、少なくとも1つの上記の技術的特徴を有する装置を有する。
【0008】
有利には、しかし、任意に、パテを成形する本発明に従うパテ成形機は、少なくとも下記の技術的特徴を有する。
- 成形型支持部は、ドラム、回転プレート及びスライドのいずれか1つである。
【0009】
本発明に従い、キャビティを洗浄するためのキャビティ洗浄機もまた、洗浄用流体回路と、少なくとも1セットの、洗浄用流体用の回路と流体接続する少なくとも1つの上記の技術的特徴を有する装置を有して提供される。
【0010】
有利には、しかし任意に、本発明に従う洗浄機は、少なくとも1つの下記の追加の技術的特徴を有する。
- 洗浄用流体は、塩基または酸を含む。
- 洗浄機は、キャビティの内面を洗浄するためのノズルを有する。
【0011】
本発明の他の特徴及び長所は、下記の実施態様の説明とその代替物の説明により明らかとなるであろう。添付の図面の記載は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、複数セットの本発明に従う装置を有する、本発明に従うパテ成形機の成形型の立体図であり、その1つを展開して示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の装置の複数セットのうち1つの部分断面図である。
【
図3】
図3は、本発明に従う洗浄機の立体図である。
【
図4】
図4は、
図3の洗浄機の洗浄プレートの第1の実施態様の前面立体図である。
【
図8】
図8は、
図3の洗浄機の洗浄プレートの第2の実施態様の背面立体図である。
【
図13】
図13及び
図14は、複数セットの本発明に従う装置を有する、本発明に従うパテ成形機の成形型の第2の実施態様の部分立体図である。
【
図14】
図13及び
図14は、複数セットの本発明に従う装置を有する、本発明に従うパテ成形機の成形型の第2の実施態様の部分立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び
図2を参照して、本発明に従う装置10の第1の実施態様、及びパテを成形するための機械Mにおけるその使用を説明する。成形型(ここでは円形プレート1の形態)は回転し、この上に本発明に従う装置10の一連のセットが配置され、好ましくは、円形プレート1の円周上に均等に分配される。
図1に示す実施態様において、円形プレート10は、4セットの本発明に従う装置10を有している。このタイプの成形型は、食材の塊を下方から供給するのに使用され、ジョイント2とコード3(いずれも本発明に従う装置10を囲む円形プレート1の内面で開口する溝5に収納される)で構成される密閉システムが、確実な供給のために備えられている。
【0014】
本発明に従う装置10は、したがって、食材の塊からパテを成形することが意図されている。装置は、ここでは、
- 円形プレート10上に固定されたキャビティホルダー11と、
- キャビティホルダー11内に収容されるキャビティ12と、
- キャビティホルダー11内のキャビティ12を締め付けるための締付ナット13の形態の締付手段と、
- 第1のシールジョイント14(ここではキャビティ12とキャビティホルダー11の間に配置されている)を有する。
【0015】
代替的実施例において、第1のシールジョイント14は、キャビティ12と締付ナット13との間に介在する。
【0016】
しかも、任意に、本発明に従う装置10は、さらにここでは、
- 第2のシールジョイント15と、
- スペーサー16と、
- 第3のシールジョイント17を有しており、
第2のシールジョイント15はキャビティ12とスペーサー16との間に介在し、第3のシールジョイント17はスペーサー16と締付ナット13との間に介在する。
【0017】
代替的実施例において、第2のシールジョイント15は、キャビティ12と締付ナット13との間に配置され、装置はスペーサー16を有しない。
【0018】
更に詳細には、キャビティ12は、特に316L等のステンレス鋼等の食品用品質の多孔性材料から作られている。そして、パテ121を成形するための成形型を形成する中空の内面123と、内面123から(特に、パテ122を成形するための成形型の底(この底は内面123の一部である)から)多孔性材料の厚さによって分離された外面122を有する。ここでは、外面122は平坦である。キャビティ12の周縁部を形成する横方向の面上に、後者は、適切な道具(図示せず)を用いてキャビティ12を操作することを意図した、一連のノッチ124とともに、キャビティ12の周縁部の全長に沿って延びるベアリングリム125を有する。ここでは、キャビティ12の全体的な形状は回転柱である。代替的に、正方形、長方形若しくは多角形または楕円形等の他の形状も可能である。
【0019】
本発明に従う装置10の
図1及び
図2に示す実施態様において、キャビティホルダー11は、2つの部分110及び111に分かれている。部分111は、円形プレート1に組み込まれてこれと一体化されている。部分110は、部分111上に付加されてこれに固定されている。代替的実施例において、キャビティホルダー11は一体のものであり、単一の部品として円形プレート1上に付加されてこれに固定されている。
【0020】
さらに、キャビティホルダー11は、キャビティ12を収納するオリフィス115を有し、この収納オリフィス115はキャビティ12の形状に相補的な形状を有する。それゆえ、キャビティ12は、キャビティホルダー11のオリフィス115内に少なくともスライドして収納される。キャビティ12を取り付ける間これを保持できるように、キャビティホルダー11は、オリフィス115内に配置される保持リム113を有する。キャビティ12をキャビティホルダー11内へ取り付ける時には、キャビティ12は、キャビティ12のベアリングリム125がキャビティホルダー11の保持リム113と接触するまで、収納オリフィス115にスライドして挿入される。代替的に、第1のシールジョイント14は、ベアリングリム125と保持リム113の間に挟まれて配置される。
【0021】
保持リム113とベアリングリム125は、第1のジョイント14と共にまたはこれなしで、キャビティ12がキャビティホルダー11内に一旦配置されると、パテ121を成形するための成形型の開口126が、実質的に円形プレート1の下面の平面内にあるように、配置される。
【0022】
さらに、キャビティホルダー11は、ねじ部112を有し、ここではねじ部112はオリフィス115上方に位置し、かつ、内部リム116によってこれに接続されている。それゆえ、ねじ部112は、キャビティ12を上向きに収納するためにオリフィス115に延びる。ねじ部112は、締付ナット13を収納するように意図され、この目的のため、相補的なねじすじ132を有する。締付ナット13は、さらに以下のものを有する。
- 実施キャビティ133(ここでは六角形の形状を有する)であって、これは、キャビティホルダー11において締付ナット13を締め付けたり緩めたりするために、実施キャビティ133に対して相補的な適切な締付具と協働するように意図されている。
- 中空134であって、本発明に従う装置10における取込室20を規定するように、本発明に従う装置10の据付時はキャビティ12の外面122に面する位置にある。
- オリフィス115内に挿入されるように配置される、中空134の開口を規定するベアリング面135。
- 中空134における取込室20内へと通じる取込ダクト131。取込ダクト131の上方に、流体供給用パイプの流体接続のための手段を囲むシールジョイント18がある。取込ダクト131は、取込室を流体で満たすことを可能にする。
【0023】
本発明に従う装置10の第1の配置において、キャビティ12はキャビティホルダー11内に配置され、ベアリングリム125と保持リム113は接触している。次に、第1のシールジョイント14がキャビティ12の外面122上に(
図2に示す第2のシールジョイント15と同様に)取り付けられる。次に、締付ナット13が取り付けられて締め付けられ、そうして第1のシールジョイント14が締付ナット13のベアリング面135とキャビティ12の外面122の間に挟まれて圧縮される。そうして第1のシールジョイント14が、キャビティ12の外面122と締付ナット13の中空134によって形成されかつ規定される取込室20を確実に密閉する。この配置の代替的実施例において、第1のシールジョイント14は、ベアリングリム125と保持リム113の間に挟まれて配置され、また、第2のシールジョイント15は、締付ナット13のベアリング面135とキャビティ12の外面122の間に挟まれて配置される。
【0024】
本発明に従う装置10の第2の配置において、これは、締付ナット13とキャビティ12との間に介在するスペーサー16を有する。スペーサーは、そうしてキャビティホルダー11のオリフィス115内にスライドして配置され、取込室20の形成に関係する。スペーサー16は、キャビティ12の外面122に面した端部において第1の周囲ゆとり部分164を有する。第2のシールジョイント15は、スペーサー16とキャビティ12の外面122の間に挟まれてこの第1のゆとり部分164内に収納される。同様に、スペーサー16は、第2のゆとり部分165を有する。第3のシールジョイント17は、スペーサー16と締付ナット13のベアリング面135の間に挟まれてこの第2のゆとり部分165内に収納される。取込室20の密閉は、こうして第2のシールジョイント15と第3のシールジョイント17によって確保される。
【0025】
スペーサー16は、更に、一連の目隠しされていない通路162を有する分配格子161を有する。分配格子161は、取込室20を貫通して延びて、これを2つの部分、即ち、分配格子161と締付ナット13の中空134の間の部分と、分配格子161とキャビティ12の外面122の間の部分に分断する。この分配格子16の役割は、取込室20に高速で注入された流体をキャビティ12の外面122上に分配することである。それゆえ、高速で注入された流体によって奏される圧力がキャビティ12の外面122上一面に、そして最終的には、多孔性材料の厚さを通ってキャビティ12の内面123の底に、より良く分配される。これにより、パテ121を成形するための成形型において成形後のパテの迅速かつ最適な射出が可能になる。
【0026】
図3を参照して、上述したキャビティ12を洗浄するための洗浄機29を説明する。洗浄機29は、アクセス可能な洗浄用区画21を有し、その中には、ノズル付矩形ローター40と、洗浄プレート27を形成する本発明に従う装置30の一連のセット(ここでは4セット)が配置される。ノズル付ローター40と洗浄プレート27は、両方とも、タンク24、25に含まれる洗浄用流体を供給するためのポンプ22に流体接続されている。タンク24は、塩基を含む洗浄用流体を含み、タンク25は、酸を含む洗浄用流体を含む、またはその逆である。パイプ23は、ポンプ22を洗浄プレート27に流体接続し、パイプ26は、ポンプ22をノズル付ローター40に流体接続する。
【0027】
図12を参照して、ノズル付ローター40を簡単に説明する。これは、一方の端部にパイプ26への接続用の流体手段410及び他方の端部に湾曲チューブ43付の旋回リンク42を有する、固定された供給チューブ41を有する。湾曲チューブ43はアームを形成し、その端部に、一連のライン46(ここでは3本)が出るハブ44が据え付けられる。ハブ44は湾曲チューブ43の端部に回転可能に据え付けられ、これとライン46との間の流体接続を確保する。ライン46には、噴射ノズル46が備えられている(ここでは、ライン45の1本につき3本)。ノズル46は、一連のライン45を含む平面に対する垂線に対して僅かに傾いており、それゆえ、ノズル46による洗浄用流体の噴射の間、それらの傾きが、ハブ44のその軸に対する回転運動を生じさせる。旋回リンク42は、固定された供給チューブ41を湾曲チューブ43に流体接続するとともに、その回転を取り消す運動を可能にして、一連のライン46を本発明に従う装置30のセットにより形成される洗浄プレート27にノズル46が面する洗浄位置から離して、本発明に従う装置30のセットにアクセスを与える介入位置に向けて移動させられるようにする。ノズル付ローター40は、キャビティ12の多孔性材料から抽出された廃棄物と共に、残った食材片の退避を確保することによって、パテ121を成形するための成形型の表面の洗浄を可能にする。
【0028】
図4~
図8を参照して、洗浄プレート27の第1の実施態様を説明する。ここでは、洗浄プレート27は、4セットの本発明に従う装置30を有する。本発明に従う装置30のこの実施態様において、これは、キャビティ12、キャビティ12を収納するように配置されているキャビティキャリア311、第1のシールジョイント14及び締付手段(ここでは締付ナット313の形態)を有する。
【0029】
キャビティホルダーキャリア311は、取込室20を形成する凹部を有し、この凹部は、底3113と側壁3114によって規定され、凹部の開口3111を有する。凹部の開口3111を囲む円周上に細長いくぼみ3112が作られている。細長いくぼみ3112は、第1のシールジョイント14を収納する。凹部の開口3111と連続して、キャビティホルダー311は、キャビティ12を収納するためのハウジング3115を有する(ここではハウジング3115は先細りの形状をしている)。中心から外側に向かっては、ハウジング3111は、キャビティホルダー311のねじ切りされた外側の側壁3116によって囲まれている。
【0030】
さらに、キャビティホルダー313は、底3113のそばの取込室20に通じる、流体(ここでは洗浄用流体)の取り込みのための手段33を有する。
【0031】
ここで、締付ナット313は、リングの形状を有し、その1つの横方向の内壁3132は、互いに協働するように、ねじ切りされた壁3116に対して相補的にねじ切りされている。締付ナット313は、更に求心リム3131を有する。しかも、締付ナット313は、実施手段3133(ここでは溝)を有し、これはキャビティホルダー311において締付ナット313を締め付けたり緩めたりするのに適した締付具35と協働するように意図されている。
【0032】
本発明に従う装置30の組立時は、キャビティ12は、ハウジング3115内に取り付けられ、キャビティの外面122上に第1のシールジョイント14を有して取込室20を完全に形成する。次に、締付ナット313が、リム3131がキャビティ12のベアリングリム125上に来て、かつ、パテ121を成形するための成形型の開口126が実質的にリム3131の外面の平面内に来るまで、ねじ切りされた壁3116及び3132を互いに協働させることによってキャビティホルダー311上にねじ込まれ、第1のシールジョイントが圧縮されて、キャビティ12の外面122とキャビティホルダー311の間を確実に密閉する。
【0033】
洗浄プレート27の本発明に従う装置30の様々なセットが、それぞれの底3113によって互いに接続(ここでは互いに一体化)されている。取込手段33は、洗浄プレート27の取込手段33の数と同じ数の接続ディスク32の平面に垂直な内部ダクト234を有する、接続ディスク32の表面上に据え付けられたチューブ部分によって形成されている。分配ディスク31は、接続ディスク32の他方の表面上に据え付けられている。分配ディスク31は、接続ディスク32の他方の表面に面する表面に通じる、分配ディスク32内の内部ダクトの数に対応する数の出口を有する。分配ディスク31の反対側の表面上で、これはパイプ23と流体接続を有し、分配ディスク31内に配置される流体の分配のための内室によって、分配ディスク31の全ての出口に同時に流体的に接続される。したがって、すべての出口に、またしたがって、洗浄プレート27の全ての取込室20に、同時に供給される。さらに、分配31ディスクと接続ディスク32の組立ては洗浄用区画21の壁のオリフィスを通して行われ、このオリフィスの縁は、分配31ディスクと接続32ディスクの間に挟まれている。
【0034】
次に、
図8及び
図9を参照して、洗浄プレート270の第2の実施態様を説明する。上述の洗浄プレート27に対して洗浄プレート270が異なる点のみを説明する。これらの異なる点は、接続ディスクと分配ディスクに存在している。接続ディスク302は、接続ディスク32と形状および役割において類似する。分配ディスク31は、下記のものを有する分配組立体に置き換えられる。
- 接続ディスク302の内部ダクト234と同じ数の、接続ディスク301の平面に垂直な内部ダクトを有する、第2の接続ディスク301。2つの接続ディスク301及び302の組立ては、洗浄用区画21の壁のオリフィスを通して行われ、このオリフィスの縁は、2枚の接続ディスク301及び302の間に挟まれている。
- 接続ディスク302の内部ダクト234の数と同じ数の、第2の接続ディスク301の内部ダクトに流体的に接続された、一連のバイパス231。バイパス231は、パイプ23上に流体的に合流する。
- バイパス231の数と同じ数の、ソレノイドバルブ方式の一連の作動弁232。したがって、バイパス231の各々は、専用の作動弁232を備えている。
【0035】
そのような構造は、洗浄プレート270の様々な取込室20に差別的な供給を可能にして、具体的な本発明に従う装置30において、効果的に配置されたキャビティ12に洗浄を適用できるようにする。
【0036】
洗浄プレート27,270の実施態様にかかわらず、洗浄機29の操作は同一である。すなわち、洗浄用流体は、タンク24または25のいずれかにおけるポンプによって汲み出されて、これによって、加圧下で以下の各所に送られる。
- 本発明に従う装置30の様々な取込室20。上述したその構造により、加圧下の洗浄用流体をキャビティ12の多孔性材料の外面122から内面123に向けて通過するよう強制して、孔の最適の洗浄を確実にする。
- ノズル付ローター40のノズル46。
【0037】
図10及び
図11を参照して、キャビティ12用テスト装置を以下に説明する。ここではこのテスト装置は、本発明に従う装置40を形成する。これは、下記のものを有する。
- 取込室20を形成する凹部を有する、キャビティホルダー411。凹部の底は、流体の取込みのための手段411を有し、その上に、4分の1回転型の弁42が配置され、それ自体が加圧流体43の供給源に流体的に接続されている。さらに、キャビティホルダー411は、取込室20における圧力の計測のためのダクト4112、計測ダクト上に接続された圧力センサ41(マノメーター等)を有する。上述のキャビティホルダー311の時のように、キャビティホルダー411は、取込室20を形成する凹部の開口を囲む第1のシールジョイント14を収納するための周囲を囲む溝を有し、その上にテスト対象のキャビティ12の外面122が位置する。この開口に接続して、キャビティホルダー411が、ねじ切りされた内部側壁を有する。
- 締付ナット413の形態の、キャビティホルダー411のねじ切りされた内部側壁と協働するように配置される相補的なねじ切りされた外側側壁を有するリングの形状の、締付手段。締付ナット413は、実施手段4131(ここではノッチ)を有し、キャビティホルダー411において締付ナット413を締め付けたり緩めたりするのに適した締付具350と協働するよう意図されている。
【0038】
本発明に従う装置40の組立時、キャビティ12は、キャビティの外面122が第1のシールジョイント14上にあって、取込室20を完全に形成するように、キャビティホルダー411内に配置される。次に、ねじ切りされた複数の壁を互いに協働させて、締付ナット413がキャビティ12のベアリングリム125上に来るまで、締付ナット413がキャビティホルダー411にねじ込まれる。
【0039】
そのようなキャビティ12用のテスト装置は、キャビティ12が有する孔の、空気等の加圧流体に対する性能の簡易な計測を可能にする。この装置は、キャビティ12の洗浄の適否の検証も可能にする。
【0040】
次に、
図13及び14を参照して、本発明に従う装置50の第2の実施態様を説明する。成形型は、ここではドラム51の形態であり、縦軸の周りを回転し、かつ、その外側周縁部上に、本発明に従う装置50の一連のセットが配置され、好ましくは、ドラム50の母線に従って、ドラム51の外側周囲の周りに均等に分配される。
図13に示す実施態様においては、4セットの本発明に従う装置50が可視であり、そのうちの2セットはキャビティ12を取り外している。本発明に従う装置10について上述したのと同様に、本発明に従う装置50は、食材の塊からパテを成形することが意図されている。ここでは装置50は、
- ドラム51の厚さに配置したキャビティホルダー52と、
- キャビティホルダー52に収容されるキャビティ12と、
- 一連の締付ねじ53の形態の、キャビティホルダー52においてキャビティ12を締め付けるための手段と、
- 第1のシールジョイント55(ここではキャビティ12とキャビティホルダー52の間に配置されている)を有する。
【0041】
さらに、キャビティホルダー52において取込室20を規定するように、キャビティホルダー52にスペーサー56が配置される。取込室20もまた、キャビティホルダー52にキャビティ12の外面122が一旦取り付けられると、これによって規定される。
【0042】
さらに、キャビティホルダー52は、取込室20に通じる取込ダクト531を(ここでは取込室20の横方向の縁の1つにおいて)有する。取込ダクト531は、取込室20を流体で満たすことを可能にする。
【0043】
本発明に従う装置50の配置において、シールジョイント55の取り付け後、キャビティ12が、シールジョイント55上に来るようにキャビティホルダー52内に配置される。次に一連の締付ねじ53が取付けられて締め付けられ、シールジョイント55が、こうして、キャビティ12の外面とキャビティホルダー52のリムの間に挟まれて圧縮される。そうして、締め付けの最後に、キャビティ12の外面がスペーサー56上に来て、取込室20が形成されて密閉される。
【0044】
図15において、上述の洗浄機29の代替的実施例290を示す。この代替例290は、上述の29とは洗浄用区画21の配置だけが異なる。洗浄機290は、ドラム51を据え付けるための回転軸291を有する。ある代替的実施例において、回転据付軸291は、洗浄用流体を取込ダクト531経由でドラム51の取込室20に供給するための手段を有する。さらに、洗浄用区画21は、回転据付軸291に平行に延びる固定された供給チューブ45と、洗浄時は回転据付軸291上に据え付けられたドラム51上に位置するキャビティ12に面する一連の噴射ノズル46を有する、少なくとも1本のノズル400(ここでは2本)を有している。洗浄機29の実施態様について上述したのと同様に、これは、キャビティ12の多孔性材料から抽出された廃棄物と共に、残った食材片の退避を確保することによってパテ121を成形するための成形型の表面の洗浄を可能にする。
【0045】
上述の本発明に従う装置10、30、40、50は、所定の形状の、軽量で、かつ操作を容易にし、別の場所への移動も可能する寸法を有するキャビティ12の操作を要するだけでありながら、パテ121を成形するための成形型に様々な形状(
図3及び
図4に示す通り)を提供しつつ、他方では最適な射出及び洗浄を確実にする。
【0046】
もちろん、本発明の範囲を超えることなく、本発明に無数の変更を加えることが可能である。