(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】抗TM4SF1抗体およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20230309BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230309BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230309BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20230309BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230309BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20230309BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230309BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230309BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230309BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230309BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230309BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230309BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230309BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230309BHJP
C12N 1/15 20060101ALN20230309BHJP
C12N 1/19 20060101ALN20230309BHJP
C12N 1/21 20060101ALN20230309BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20230309BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20230309BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C07K16/46
C12P21/08
A61K38/10
A61K38/16
A61K38/08
A61K38/07
A61P35/00
A61P29/00
A61P35/04
A61K39/395 E
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61K47/68
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
(21)【出願番号】P 2020534793
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 US2018048402
(87)【国際公開番号】W WO2019046338
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520069899
【氏名又は名称】アンジーエックス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】ジャミネット,ポール・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャミネット,ショウ-チン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ドボラク,ハロルド・エフ
(72)【発明者】
【氏名】プレスタ,レオナルド・ジー
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/184099(WO,A1)
【文献】Molecular Cancer Therapeutics,Vol. 14, No. 8,2015年,P. 1868-1876
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00- 41/00
C12N 1/00- 7/08
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 38/00- 45/08
A61K 48/00- 51/12
C07K 1/00- 19/00
C12N 15/00- 15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
6つのCDRのセットを含む、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含む抗TM4SF1結合タンパク質であって、VHおよびVLは、以下:
A)配列番号8のCDR3、配列番号7のCDR2、および配列番号6のCDR1を含むVH領域、ならびに配列番号14のCDR3、配列番号13のCDR2、および配列番号12のCDR1を含むVL領域;
B)配列番号20のCDR3、配列番号19のCDR2、および配列番号18のCDR1を含むVH領域、ならびに配列番号26のCDR3、配列番号25のCDR2、および配列番号24のCDR1を含むVL領域;
C)配列番号32のCDR3、配列番号31のCDR2、および配列番号30のCDR1を含むVH領域、ならびに配列番号38のCDR3、配列番号37のCDR2、および配列番号36のCDR1を含むVL領域;
D)配列番号44のCDR3、配列番号43のCDR2、および配列番号42のCDR1を含むVH領域、ならびに配列番号50のCDR3、配列番号49のCDR2、および配列番号48のCDR1を含むVL領域;
および
E)配列番号96のCDR3、配列番号95のCDR2、および配列番号94のCDR1を含むVH領域、ならびに配列番号110または配列番号111のCDR3、配列番号109のCDR2、および配列番号107または108のCDR1を含むVL領域
からなる群から選択される、抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項2】
VH領域が、配列番号8のCDR3、配列番号7のCDR2、および配列番号6のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号14のCDR3、配列番号13のCDR2、および配列番号12のCDR1を含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項3】
VH領域が、配列番号20のCDR3、配列番号19のCDR2、および配列番号18のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号26のCDR3、配列番号25のCDR2、および配列番号24のCDR1を含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項4】
VH領域が、配列番号32のCDR3、配列番号31のCDR2、および配列番号30のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号38のCDR3、配列番号37のCDR2、および配列番号36のCDR1を含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項5】
VH領域が、配列番号44のCDR3ドメイン、配列番号43のCDR2、および配列番号42のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号50のCDR3、配列番号49のCDR2ドメイン、および配列番号48のCDR1を含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項6】
VH領域が、配列番号56のCDR3、配列番号55のCDR2、および配列番号54のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号62のCDR3、配列番号61のCDR2、および配列番号60のCDR1を含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項7】
VH領域が、配列番号68のCDR3、配列番号67のCDR2、および配列番号66のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号74のCDR3、配列番号73のCDR2、および配列番号72のCDR1を含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項8】
VH領域が、配列番号80のCDR3、配列番号79のCDR2、および配列番号78のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号86のCDR3ドメイン、配列番号85のCDR2ドメイン、および配列番号84のCDR1ドメインを含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項9】
VH領域が、配列番号96のCDR3、配列番号95のCDR2、および配列番号94のCDR1を含み、かつVL領域が、配列番号110または配列番号111のCDR3、配列番号109のCDR2、および配列番号107または108のCDR1を含む、
請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項10】
配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、および114からなる群から選択される配列に対して少なくとも
80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、および
配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101、103、105、および122からなる群から選択される配列に対して少なくとも
80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項11】
配列番号90、92、130および132からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および
配列番号97、99、101、103、105、131、および133からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項12】
IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む、請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項13】
その抗原結合フラグメントを含み、その抗原結合フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)
2、Fv、またはscFvを含む、請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項14】
前記タンパク質のヒトTM4SF1への結合が、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない、請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項15】
HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで
、1×10
-8M以下のK
DでカニクイザルTM4SF1に結合するか、またはHUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで
、1×10
-9M以下のK
DでヒトTM4SF1に結合する、請求項1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項16】
炎症性疾患またはがんの治療における使用のための、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項17】
炎症性疾患またはがんが、異常な内皮細胞(EC)-細胞相互作用を特徴とし、EC-細胞相互作用が、EC-間葉幹細胞、EC-線維芽細胞、EC-平滑筋細胞、EC-腫瘍細胞、EC-白血球、EC-脂肪細胞、およびEC-神経細胞相互作用の1つまたは複数を含む、請求項16に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
【請求項18】
位置1、44、または80に1つまたは複数の置換を含む
配列番号132を含むVH領域、ならびに
位置3、26、62、または90に1つまたは複数の置換を含む
配列番号133を含むVL領域
を含む、抗TM4SF1結合タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2017年8月28日に出願された米国仮出願第62/550,994号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]腫瘍細胞の内皮細胞への付着を遮断することができる、および/または経内皮遊走とも称される内皮単層を透過する腫瘍細胞の遊走を予防できる療法は、腫瘍転移を阻害または予防することができる。当技術分野において、がん治療薬、特に転移を予防できる治療薬の必要性が未だある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]一実施形態において、
配列番号8、20、32、44、56、68、または80、96、118、119、120、または121に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、または109、または128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、84、107、108、124、125、126、または127に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗TM4SF1結合タンパク質が本明細書で提供される。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号8、20、32、44、56、68、80、96、118、119、120、または121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、109、または128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、または84、107、108、124、125、126、または127に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101または122に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に記載の配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101、または122に記載の配列を含む可変軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合し、前記タンパク質は、IgG抗体である。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、IgG抗体を含み、該抗体はヒト化されている。一部の実施形態において、該タンパク質は、ヒトTM4SF1に結合し、カニクイザルTM4SF1と交差反応する。一部の実施形態において、該タンパク質のヒトTM4SF1への結合は、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない。一部の実施形態において、該タンパク質は、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、該タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、該タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、該タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、結合タンパク質は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、結合タンパク質のADCCまたはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよびCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、結合タンパク質は、IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、結合タンパク質は、IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297GおよびN297Qからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、抗TM4SF1抗体の抗原結合フラグメントを含み、該抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvを含む。
【0004】
[0004]一実施形態は、
配列番号8に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号7に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号6に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号13に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸を含むCDR2ドメイン、および配列番号12に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む。
【0005】
[0005]一実施形態は、
配列番号20に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号19に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号18に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号26に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号25に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号24に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、特許請求の範囲に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む。
【0006】
[0006]一実施形態は、
配列番号32に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号31に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号30に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号38に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号37に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号36に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む。
【0007】
[0007]一実施形態は、
配列番号44に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号43に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号42に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号50に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号49に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号48に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号39に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む。
【0008】
[0008]一実施形態は、
配列番号56に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号55に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号54に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号62に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号61に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号60に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号62に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む。
【0009】
[0009]一実施形態は、
配列番号68に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号67に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号66に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号74に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号73に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号72に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号68に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号74に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号63に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む。
【0010】
[0010]一実施形態は、
配列番号80に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号79に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号78に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号86に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号85に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号84に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号79に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号78に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号86に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号85に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号84に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号75に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号81に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、軽鎖可変領域は、ヒトIgGフレームワーク領域を含み、重鎖可変領域は、ヒトIgGフレームワーク領域を含む。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号87または88に記載のアミノ酸配列を含むIgGバックボーンをさらに含む。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むIgGバックボーンをさらに含む。
【0011】
[0011]一実施形態は、
配列番号96に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号96に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号90に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号97に記載のアミノ酸配列を含む。
【0012】
[0012]一実施形態は、
配列番号96に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号108に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号96に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号108に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号90または92に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号101に記載のアミノ酸配列を含む。
【0013】
[0013]一実施形態は、
配列番号96に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号96に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号90または92に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号99に記載のアミノ酸配列を含む。
【0014】
[0014]一実施形態は、
配列番号118に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
配列番号118に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号112に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号122に記載のアミノ酸配列を含む。
【0015】
[0015]一実施形態は、
配列番号118、配列番号119、配列番号120または配列番号121に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116または配列番号117に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124、配列番号125、配列番号126、または配列番号127に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、
配列番号118、配列番号119、配列番号120または配列番号121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116または配列番号117に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124、配列番号125、配列番号126、または配列番号127に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項57に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。一部の実施形態において、重鎖可変ドメインは、配列番号112または114に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号122に記載のアミノ酸配列を含む。
【0016】
[0016]一実施形態は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ヒトIgGフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含み、ヒトIgGフレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、IgG抗体である、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されている。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、カニクイザルTM4SF1と交差反応する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体のヒトTM4SF1への結合は、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを含む。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCまたはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297GおよびN297Qからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、その抗原結合フラグメントを含み、その抗原結合フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvを含む。
【0017】
[0017]一実施形態は、対象における疾患または障害を処置または予防する方法であって、疾患または障害は、異常な内皮細胞(EC)-細胞相互作用を特徴とし、前記方法は、請求項1から20のいずれか一項に記載の結合タンパク質、または請求項21から74のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態において、EC-細胞相互作用は、EC-間葉幹細胞、EC-線維芽細胞、EC-平滑筋細胞、EC-腫瘍細胞、EC-白血球、EC-脂肪細胞、およびEC-神経細胞相互作用の1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、疾患または障害は、炎症性疾患またはがんを含む。
【0018】
[0018]一実施形態は、対象における炎症を処置または予防する方法であって、請求項1から20のいずれか一項に記載の結合タンパク質、または請求項21から74のいずれか一項に記載の抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態は、対象における転移を予防する方法であって、本開示の結合タンパク質、または本開示による抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含み、対象は、がんからの部分または完全寛解にある、方法を提供する。一実施形態は、高い転移リスクを伴うがんを有する対象を処置する方法であって、本開示による結合タンパク質、または本開示による抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを高い転移リスクを伴うがんを有する対象に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態は、がんを有する対象における転移を処置または予防する方法であって、本開示による結合タンパク質、または本開示による抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをがんを有する対象に投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態において、対象は、転移を誘発する可能性がある処置を受けている。一部の実施形態において、処置は、外科手術、放射線処置および化学療法を含む。一部の実施形態において、対象は、ヒトである。一部の実施形態において、がんは、癌腫または肉腫である。一部の実施形態において、癌腫は、乳がん、肺がん、結腸がん、または前立腺がんを含む。一部の実施形態において、肉腫は、骨肉腫または軟部組織肉腫を含む。一部の実施形態において、がんは、膠芽腫である。
【0019】
[0019]一実施形態は、ヒト対象におけるリンパまたは血行性転移を処置または予防する方法であって、本開示による結合タンパク質、または本開示による抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをヒト対象に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態は、(i)本開示によるTM4SF1結合タンパク質および(ii)医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。一実施形態は、(i)本開示による抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントおよび(ii)医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
[0020]一実施形態は、本開示によるTM4SF1結合タンパク質を産生するためのプロセスであって、本開示によるTM4SF1結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、TM4SF1結合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生されたタンパク質を回収し精製することを含む、プロセスを提供する。
【0021】
[0021]一実施形態は、本開示による抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するためのプロセスであって、本開示による抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントの発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生された抗体またはその抗原結合フラグメントを回収し精製することを含む、プロセスを提供する。一実施形態は、スキャッチャード分析によって決定した場合、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、TM4SF1に対する改善された結合親和性を有する抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一実施形態は、スキャッチャード分析によって決定した場合、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、TM4SF1に対する改善された特異性を有する抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一実施形態は、HLA分子結合によって決定した場合、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、低減された免疫原性を有する抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一実施形態は、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、安定性の改善を有する抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一部の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質は、改善された化学的安定性を有する。一部の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質は、改善された物理的安定性を有する。一実施形態は、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、低減した凝集を有する抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一実施形態は、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、改善された溶解性を有する抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一部の実施形態において、該タンパク質は、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、該タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、該タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、該タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、該タンパク質は、配列番号8、20、32、44、56、68、または80、96、118、119、120、または121に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、または109、または128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、84、107、108、124、125、126、または127に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号8、20、32、44、56、68、80、96、118、119、120、または121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、109、または128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、または84、107、108、124、125、126、または127に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101または122に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に記載の配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101、または122に記載の配列を含む可変軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号90に記載の配列中の少なくとも1つのアミノ酸置換を含む重鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号97に記載の配列中に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む軽鎖を含む。一部の実施形態において、配列番号90に記載の配列中の少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号90のアミノ酸位置1、44、および80から選択されるアミノ酸位置にある。一部の実施形態において、配列番号97に記載の配列中の少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号97のアミノ酸位置3、26、および62から選択されるアミノ酸位置にある。一部の実施形態において、配列番号90の1位は、グルタミンからグルタミン酸に置換されている。一部の実施形態において、配列番号90の44位は、アスパラギン酸からグルタミン酸に置換されている。一部の実施形態において、配列番号90の80位は、フェニルアラニン(pheylalanine)からチロシンに置換されている。一部の実施形態において、配列番号97の3位は、イソロイシンからバリンに置換されている。一部の実施形態において、配列番号97の26位は、アスパラギンからグルタミンに、またはアスパラギンからセリンに置換されている。一部の実施形態において、配列番号97の62位は、グリシンからセリンに置換されている。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号112に記載の配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号99または配列番号101に記載の配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、ヒト化されている。
【0022】
[0022]一実施形態は、本開示によるTM4SF1結合タンパク質を産生するためのプロセスであって、本開示によるTM4SF1結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、TM4SF1結合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生されたタンパク質を回収し精製することを含む、プロセスを提供する。一実施形態は、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一実施形態は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一実施形態は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。一実施形態は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。
【0023】
[0023]一実施形態は、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、少なくとも1つの改善された機能的特徴を含む抗TM4SF1結合タンパク質であって、改善された機能的特徴は、改善された結合親和性、改善された特異性、改善された抗原性、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域に対する増加した類似性、改善された製造の容易さ、改善された発展性、改善された安定性、改善された溶解性、低減した凝集傾向、発現における改善、改善された産生レベルの少なくとも1つを含む、抗TM4SF1結合タンパク質を提供する。
【0024】
[0024]本開示は、少なくとも部分的に、例えばがんの処置において有用な、新規の抗膜貫通-4L6ファミリーメンバー-1(TMFSF1:Transmembrane-4 L six family member-1)結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体およびその抗原結合フラグメントの同定に基づく。本開示はさらに、少なくとも部分的に、腫瘍転移を阻害するための組成物および方法に基づく。したがって、本開示の一部の実施形態は、腫瘍細胞の血管内皮細胞への付着、および血管内皮細胞を透過するまたは血管内皮細胞間の遊走を予防することによって、例えば肺および他の臓器への腫瘍転移を遮断するための方法および組成物を含む。
【0025】
[0025]一実施形態において、本開示は、本明細書で開示される抗体の結合領域、例えば、重鎖および軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含むヒト化抗体を特徴とする。
【0026】
[0026]上記の態様または実施形態のいずれかの一実施形態において、軽鎖可変領域は、本明細書で開示される軽鎖CDRおよびヒトIgGフレームワーク領域を含み、重鎖可変領域は、本明細書で開示される重鎖CDRおよびヒトIgGフレームワーク領域を含む。
【0027】
[0027]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号87または88に記載のアミノ酸配列を含むIgG重鎖定常領域を含む。別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号89に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。
【0028】
[0028]一実施形態において、配列番号8、20、32、44、56、68、または80に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、または79に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、または78に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号14、26、38、50、62、74、または86に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、または85に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、または84に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含む軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1結合タンパク質が提供される。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号8、20、32、44、56、68、または80に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、または79に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、または78に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号14、26、38、50、62、74、または86に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、または85に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、または84に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号3、15、27、39、51、63、または75に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、または81に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、配列番号3、15、27、39、51、63、または75に記載の配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、または81に記載の配列を含む可変軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合し、前記タンパク質は、IgG抗体である。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、IgG抗体を含み、該抗体はヒト化されている。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、ヒトTM4SF1に結合し、カニクイザルTM4SF1と交差反応する。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質のヒトTM4SF1への結合は、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCまたはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む抗TM4SF1抗原結合タンパク質またはその抗原結合フラグメントである。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよびCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297GおよびN297Qからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1結合タンパク質は、抗TM4SF1抗体の抗原結合フラグメントを含み、該抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvを含む。
【0029】
[0029]一実施形態は、配列番号8に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号7に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号6に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号14に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号13に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸を含むCDR2ドメイン、および配列番号12に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0030】
[0030]一実施形態は、配列番号20に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号19に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号18に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号26に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号25に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号24に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0031】
[0031]一実施形態は、配列番号32に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号31に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号30に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号38に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号37に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号36に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0032】
[0032]一実施形態は、配列番号44に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号43に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号42に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号50に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号39に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0033】
[0033]一実施形態は、配列番号56に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号55に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号54に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号62に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号61に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号60に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号62に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項33に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0034】
[0034]一実施形態は、配列番号68に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号67に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号66に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号74に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号73に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号72に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、配列番号68に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号74に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0035】
[0035]一実施形態は、配列番号80に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号79に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号78に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号86に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号85に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号84に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号79に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号78に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号86に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号85に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号84に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号75に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号81に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgGフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域およびヒトIgGフレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号87または88に記載のアミノ酸配列を含むIgGバックボーンをさらに含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むIgGバックボーンをさらに含む。
【0036】
[0036]一実施形態は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ヒトIgGフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含み、ヒトIgGフレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0037】
[0037]一実施形態は、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、IgG抗体である、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0038】
一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されている。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、カニクイザルTM4SF1と交差反応する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体のヒトTM4SF1への結合は、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCまたはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよびCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297GおよびN297Qからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、その抗原結合フラグメントを含み、その抗原結合フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvを含む。
【0039】
[0038]一実施形態において、対象における疾患または障害を処置または予防する方法であって、疾患または障害は、異常な内皮細胞(EC)-細胞相互作用を特徴とし、本発明の開示による結合タンパク質または抗体もしくはその抗原結合フラグメントを投与することを含む、方法が提供される。一部の実施形態において、EC-細胞相互作用は、EC-間葉幹細胞、EC-線維芽細胞、EC-平滑筋細胞、EC-腫瘍細胞、EC-白血球、EC-脂肪細胞、およびEC-神経細胞相互作用の1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、疾患または障害は、炎症性疾患またはがんを含む。
【0040】
[0039]一実施形態は、対象における炎症を処置または予防する方法であって、結合タンパク質または本発明の開示による抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを投与することを含む、方法を提供する。
【0041】
[0040]一実施形態は、対象における転移を予防する方法であって、本発明の開示による結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを投与することを含み、対象は、がんからの部分または完全寛解にある、方法を提供する。
【0042】
[0041]一実施形態は、高い転移リスクを伴うがんを有する対象を処置する方法であって、本発明の開示による結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを、高い転移リスクを伴うがんを有する対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0043】
[0042]一実施形態は、がんを有する対象における転移を処置または予防する方法であって、本発明の開示による結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをがんを有する対象に投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態において、対象は、転移を誘発する可能性がある処置を受けている。一部の実施形態において、処置は、外科手術、放射線処置および化学療法を含む。一部の実施形態において、対象は、ヒトである。一部の実施形態において、がんは、癌腫または肉腫である。一部の実施形態において、癌腫は、乳がん、肺がん、結腸がん、または前立腺がんを含む。一部の実施形態において、肉腫は、骨肉腫または軟部組織肉腫を含む。一部の実施形態において、がんは、膠芽腫である。
【0044】
[0043]一実施形態は、ヒト対象におけるリンパまたは血行性転移を処置または予防する方法であって、本発明の開示による結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをヒト対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0045】
[0044]一実施形態は、(i)本発明の開示によるTM4SF1結合タンパク質および(ii)医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
[0045]一実施形態は、(i)本発明の開示による抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントおよび(ii)医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0046】
[0046]一実施形態は、本発明の開示によるTM4SF1結合タンパク質を産生するためのプロセスであって、本発明の開示によるTM4SF1結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、TM4SF1結合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生されたタンパク質を回収し精製することを含む、プロセスを提供する。
【0047】
[0047]一実施形態は、本発明の開示による抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するためのプロセスであって、本発明の開示による抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントの発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生された抗体またはその抗原結合フラグメントを回収し精製することを含む、プロセスを提供する。
【0048】
[0048]一実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない方式で、ヒトTM4SF1と結合する。
【0049】
[0049]一実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、HEK293細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一実施形態において、HEK293細胞は、カニクイザルTM4SF1を発現するようにトランスフェクトされている。さらなる実施形態において、HEK293細胞は、106コピーの18S rRNA当たり約600のmRNAコピーで、カニクイザルTM4SF1を発現する。
【0050】
[0050]別の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0051】
[0051]別の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0052】
[0052]さらなる実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0053】
[0053]ある特定の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプである。
【0054】
[0054]さらなる実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む。さらなる実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも2つの突然変異を含むFc領域を含む。さらなる実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10個またはそれより多くの突然変異を含むFc領域を含む。
【0055】
[0055]さらに他の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0056】
[0056]他の実施形態において、抗TM4SF1 TM4SF1結合タンパク質または抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0057】
[0057]他の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297GおよびN297Qからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0058】
[0058]一態様において、TM4SF1結合タンパク質またはその抗TM4SF1抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvである。
[0059]一態様において、本開示は、対象における疾患または障害を処置または予防する方法であって、疾患または障害は、望ましくない内皮細胞(EC)-細胞相互作用を特徴とし、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0059】
[0060]一実施形態において、EC-細胞相互作用は、EC-EC、EC-間葉幹細胞、EC-線維芽細胞、EC-平滑筋細胞、EC-腫瘍細胞、EC-白血球、EC-脂肪細胞およびEC-神経細胞相互作用からなる群から選択される。
【0060】
[0061]別の実施形態において、疾患または障害は、炎症性疾患またはがんから選択される。
[0062]別の態様において、本開示は、対象における炎症を処置または予防する方法であって、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法を特徴とする。
【0061】
[0063]一態様において、本開示は、対象における転移を予防する方法であって、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含み、対象は、がんからの部分または完全寛解にある、方法を提供する。
【0062】
[0064]別の態様において、本開示は、高い転移リスクを伴うがんを有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを、高い転移リスクを伴うがんを有する対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0063】
[0065]別の態様において、本開示は、がんを有する対象における転移を処置または予防する方法であって、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含む、方法を提供する。
【0064】
[0066]さらなる態様において、本開示は、対象における血行性転移を処置または予防する方法であって、TM4SF1結合タンパク質、例えば本明細書に記載される抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法を含む。
【0065】
[0067]さらなる態様において、本開示は、対象におけるリンパ転移を処置または予防する方法であって、TM4SF1結合タンパク質、例えば本明細書に記載される抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法を含む。
【0066】
[0068]一実施形態において、対象は、転移を誘発する可能性がある処置を受けている。さらなる実施形態において、処置は、外科手術、放射線処置および化学療法からなる群から選択される。
【0067】
[0069]一実施形態において、対象は、ヒトである。
[0070]本開示は、さらに、別の態様において、ヒト対象における転移を処置または予防する方法であって、有効量のTM4SF1結合タンパク質、例えば本明細書に記載される抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含み、有効量の抗体またはその抗原結合フラグメントは、1から80mg/kgの量の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、方法を提供する。
【0068】
[0071]さらに別の態様において、本開示は、高い転移リスクを伴うがんを有する対象を処置する方法であって、有効量のTM4SF1抗体、例えば本明細書に記載される抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含み、有効量の抗体またはその抗原結合フラグメントは、1から80mg/kgの量の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、方法を提供する。
【0069】
[0072]一実施形態において、TM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、次の用量が投与されるまでの期間中、対象において約1μg/mlまたはそれより高い血清濃度が維持されるような頻度で投与される。
【0070】
[0073]ある特定の実施形態において、投与される有効量のTM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、1週間で循環抗体濃度>1μg/mlを達成するのに十分な量である。
【0071】
[0074]他の実施形態において、投与される有効量のTM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1カ月にわたり連続的に抗体の血清濃度を1μg/mlにまたはそれより高く維持するのに十分な量である。
【0072】
[0075]また本開示は、さらなる態様において、ヒト対象における転移を処置または予防する方法であって、1mg/kgから80mg/kgのTM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを、週1回、対象に投与することを含む、方法も提供する。本明細書に記載されるTM4SF1結合タンパク質または抗TM4SF1抗体またはそのフラグメントは、一部の実施形態において、転移を処置または予防する方法で、維持用量スケジュールに従って使用される。
【0073】
[0076]一実施形態において、がんは、癌腫(例えば、乳がん、肺がん、結腸がん、および前立腺がん)または肉腫(例えば、骨肉腫または軟部組織肉腫)である。
[0077]一実施形態において、がんは、膠芽腫である。
【0074】
[0078]一実施形態において、ヒト対象は、高い転移リスクを伴うがんを有する。
[0079]別の実施形態において、対象は、転移を誘発する可能性がある処置を受けている。さらなる実施形態において、処置は、外科手術、放射線処置および化学療法からなる群から選択される。
【0075】
[0080]別の実施形態において、ヒト対象は、過去にがんに関して処置され、転移を発症するリスクを有する。
参照による組み込み
[0081]本明細書に記載される全ての公報、特許、および特許出願は、それぞれ個々の公報、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
[0082]本開示の新規の特徴は添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本開示の特徴および利点のより良い理解は、例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明を参照することによって得られ、ここでは本開示の原理が利用され、その添付の図面は以下の通りである:
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】[0083]
図1は、血管外遊出のための腫瘍細胞(TC)と内皮細胞(EC)の相互作用におけるTM4SF1の役割を示す概略図である。
【
図2】[0084]
図2は、野生型(+/+)TM4SF1の正常レベルの約1/2を発現するTM4SF1(ヘテロ接合(+/-)マウスにおける肺へのTC転移の頻度を示す図である。転移の数は、腫瘍結節(#)として示される。例示的な転移は矢印で示される。
【
図3】[0085]
図3Aは、10%または90%培養密度に増殖したB16F10細胞におけるTM4SF1発現を示すグラフである。
図3Aに示すように、TM4SF1発現レベルは、培養密度によって減少する。
図3Bは、10%(高TM4SF1)または90%(低TM4SF1)発現B16F10細胞における転移の数を示す図である。
図3Bに示すように、高TM4SF1発現B16F10細胞は、低TM4SF1発現体よりも肺転移を生成する。例示的な転移は矢印で示される。
【
図4】[0086]
図4は、蛍光ライブイメージング結果を示す図である。GFP標識B16F10細胞は、RFP標識HLMECのローン上に重ねられた。代表的なライブ細胞イメージングからの連続画像は、対照(Ctl)抗体と対照的に、抗hTM4SF1抗体AGX-01(10μg/ml)が遊走のためのTC相互作用と干渉し、細胞脱離をもたらす広範で、不規則な細胞突出を生じることを示す。
【
図5】[0087]
図5は、抗体AGX-A03の可変重鎖(VH)配列(配列番号3)、可変軽鎖(VL)配列(配列番号9)を示す図である。
図5では、重鎖CDR1(配列番号6)、CDR2(配列番号7)およびCDR3(配列番号8)配列に下線が引かれ、軽鎖CDR1(配列番号12)、CDR2(配列番号13)およびCDR3(配列番号14)配列に下線が引かれる。
【
図6】[0088]
図6は、抗体AGX-A04の可変重鎖(VH)配列(配列番号15)、可変軽鎖(VL)配列(配列番号21)を示す図である。
図6では、重鎖CDR1(配列番号18)、CDR2(配列番号19)およびCDR3(配列番号20)配列に下線が引かれ、軽鎖CDR1(配列番号24)、CDR2(配列番号25)およびCDR3(配列番号26)配列に下線が引かれる。
【
図7】[0089]
図7は、抗体AGX-A05の可変重鎖(VH)配列(配列番号27)、可変軽鎖(VL)配列(配列番号33)を示す図である。
図7では、重鎖CDR1(配列番号30)、CDR2(配列番号31)およびCDR3(配列番号32)配列に下線が引かれ、軽鎖CDR1(配列番号36)、CDR2(配列番号37)およびCDR3(配列番号38)配列に下線が引かれる。
【
図8】[0090]
図8は、抗体AGX-A07の可変重鎖(VH)配列(配列番号39)、可変軽鎖(VL)配列(配列番号45)を示す図である。
図8では、重鎖CDR1(配列番号42)、CDR2(配列番号43)およびCDR3(配列番号44)配列に下線が引かれ、軽鎖CDR1(配列番号48)、CDR2(配列番号49)およびCDR3(配列番号50)配列に下線が引かれる。
【
図9】[0091]
図9は、抗体AGX-A08の可変重鎖(VH)配列(配列番号51)、可変軽鎖(VL)配列(配列番号57)を示す図である。
図9では、重鎖CDR1(配列番号54)、CDR2(配列番号55)およびCDR3(配列番号56)配列に下線が引かれ、軽鎖CDR1(配列番号60)、CDR2(配列番号61)およびCDR3(配列番号62)配列に下線が引かれる。
【
図10】[0092]
図10は、抗体AGX-A09の可変重鎖(VH)配列(配列番号63)、可変軽鎖(VL)配列(配列番号69)を示す図である。
図10では、重鎖CDR1(配列番号66)、CDR2(配列番号67)およびCDR3(配列番号68)配列に下線が引かれ、軽鎖CDR1(配列番号72)、CDR2(配列番号73)およびCDR3(配列番号74)配列に下線が引かれる。
【
図11】[0093]
図11は、抗体AGX-A11の可変重鎖(VH)配列(配列番号75)、可変軽鎖(VL)配列(配列番号81)を示す図である。
図11では、重鎖CDR1(配列番号78)、CDR2(配列番号79)およびCDR3(配列番号80)配列に下線が引かれ、軽鎖CDR1(配列番号84)、CDR2(配列番号85)およびCDR3(配列番号86)配列に下線が引かれる。
【
図12】[0094]
図12は、本開示のいくつかの抗TM4SF1抗体、hAGX-A07 H2L5、hmAGX-A07 H2L5 V1、hmAGX-A07 H2L5 V2、hmAGX-A07 H2L5 V3、hmAGX-A07 V4、およびhAGX-A01 H1L10の標的結合を示す図である。
【
図13】[0095]
図13は、異なる阻害剤の存在下での、HUVECにおけるTM4SF1の内部移行への効果を示す図である。
図13(A)は、4℃でAGX-A01(1μg/mlの濃度で)によって前標識されたHUVECを示す図である。
図13(B)は、4℃でAGX-A01(1μg/mlの濃度で)によって前標識され、37℃での培養に戻されたHUVECによるAGX-A01の取り込みを示す図である。
図13(C)は、4℃でAGX-A01(1μg/mlの濃度で)によって前標識され、クラスリン阻害剤、20μM pitstop-2の存在下で、37℃での培養に戻されたHUVECによるAGX-A01の取り込みを示す図である。
図13(D)は、4℃でAGX-A01(1μg/mlの濃度で)によって前標識され、クラスリンおよびカベオリン媒介エンドサイトーシス阻害剤、10μMクロルプロマジン(chloropromazine)の存在下で、37℃での培養に戻されたHUVECによるAGX-A01の取り込みを示す図である。
図13(E)は、4℃でAGX-A01(1μg/mlの濃度で)によって前標識され、オートファジー阻害剤、0.4μMバフィロマイシン(Bifilomycin)Aの存在下で、37℃での培養に戻されたHUVECによるAGX-A01の取り込みを示す図である。
図13(F)は、4℃でAGX-A01(1μg/mlの濃度で)によって前標識され、ダイナミン阻害剤、20μMダイナソアの存在下で、37℃での培養に戻されたHUVECによるAGX-A01の取り込みを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
[0096]膜貫通-4L6ファミリーメンバー-1(TM4SF1)は、多くのヒト上皮性腫瘍細胞上で高度に発現されるテトラスパニンの形態を有する小さい膜糖タンパク質である。
【0079】
[0097]一実施形態において、本開示は、新規のTM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体およびその抗原結合フラグメントを提供する。本開示は、一部の例において、がんを処置または予防するために、TM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを使用する方法を含む。本開示は、これらに限定されないが、血行性腫瘍転移を阻害するための組成物および方法を含む。したがって、本開示は、少なくとも部分的に、腫瘍細胞(TC)の血管内皮細胞(EC)への付着および血管内皮細胞(EC)を透過する遊走を予防することによって、肺および他の臓器への腫瘍転移を遮断する、ヒトTM4SF1に対する抗体を提供する。
【0080】
I.定義
[0098]本明細書において別段の定義がない限り、本発明の開示と関連して使用される科学用語および専門用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。用語の意味および範囲は明確であるべきであるが、何らかの潜在的なあいまいさがある場合、本明細書で提供される定義が、いずれの辞書または非本質的な定義よりも優先される。さらに、文脈上別段の要求がなされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。本出願において、「または」の使用は、別段の指定がない限り「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including)」、加えて他の形態、例えば「含む(includes)」および「含まれる(included)」の使用は、非限定的である。
【0081】
[0099]一般的に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションと関連して使用される学術名、およびその技術は、周知であり、当技術分野において一般的に使用されるものである。本発明の開示の方法および技術は、一般的に、別段の指定がない限り、当技術分野において周知の従来の方法に従って、さらに、本明細書中で引用および考察される様々な一般的な参考文献やより詳細な参考文献に記載されるように実行される。酵素反応および精製技術は、当技術分野で一般的に達成される通り、または本明細書に記載される通り、製造元の詳細な説明に従って実行される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医薬および製薬化学と関連して使用される学術名、ならびにそれらの実験手順および技術は、周知であり、当技術分野において一般的に使用されるものである。化学合成、化学分析、医薬の調製、配合、および送達、ならびに患者の処置に関して、標準的な技術が使用される。
【0082】
[0100]本発明の開示がより容易に理解できるように、選択される用語は、以下で定義される。用語「膜貫通-4L6ファミリーメンバー-1」または「TM4SF1」は、本明細書で使用される場合、腫瘍血管系内皮細胞(EC)、腫瘍細胞(TC)、網膜血管系および血管新生の血管を発達させるEC上で高度に発現される膜貫通4スーパーファミリー/テトラスパニンファミリーのポリペプチドを指す。TM4SF1は、4つの膜貫通ドメイン(M1、M2、M3、およびM4)によって分離される2つの細胞外ループ(ECL1およびECL2)、NおよびC末端、ならびに細胞内ループ(ICL)を有する。ECL2は、2つのN-グリコシル化部位を含有する。ヒトTM4SF1(hTM4SF1)のアミノ酸配列は、配列番号90に記載される(NCBI参照配列番号NP_055035.1も参照)。
【0083】
[0101]用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、特定の抗原(例えば、TM4SF1)に特異的に結合するかまたはそれと相互作用する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含むあらゆる抗原結合分子を意味する。用語「抗体」は、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互連結された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、加えて、それらの多量体(例えば、IgM)を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略記される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略記される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、超可変性を有する領域にさらに細かく分類でき、この領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより高度に保存された領域に散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される。本開示の異なる実施形態において、抗TMS4F1抗体(またはその抗原結合部位)のFRは、ヒト生殖細胞系配列に同一であってもよいし、または天然にもしくは人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれより多くのCDRの並行分析に基づき定義することができる。
【0084】
[0102]用語「無傷の抗体」は、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互連結した2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む抗体を指す。一実施形態において、抗TM4SF1抗体は、無傷の抗体である。一実施形態において、無傷の抗体は、無傷のヒトIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。ある特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプである。
【0085】
[0103]抗体の「抗原結合部位」、抗体の「抗原結合フラグメント」などの用語は、本明細書で使用される場合、抗原と特異的に結合して複合体を形成する、あらゆる天然に存在する、酵素によって入手可能な、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、例えば、タンパク質分解消化、または抗体の可変ドメインおよび任意選択で定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子工学技術などのあらゆる好適な標準的技術を使用して、無傷の抗体分子から得ることができる。このようなDNAは公知であり、および/または例えば、商業的な供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーなど)から容易に入手可能であり、または合成することができる。DNAは、シーケンシングし、化学的に、または分子生物学的技術を使用することによって操作して、例えば、1つまたは複数の可変および/または定常ドメインを好適な配置に配列する、またはコドンを導入する、システイン残基を作り出す、アミノ酸の改変、付加もしくは欠失などをもたらすことができる。
【0086】
[0104]抗原結合フラグメントの非限定的な例としては、(i)Fabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;および(vii)抗体の高度可変領域(例えば、単離した相補性決定領域(CDR)、例えばCDR3ペプチド)、または拘束性FR3-CDR3-FR4ペプチドを模擬するアミノ酸残基からなる最小認識単位が挙げられる。
【0087】
[0105]抗体またはそのフラグメントの「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR-1、CDR-2、およびCDR-3)、およびフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む、抗体分子の軽鎖および重鎖の部分を指す。VHは、重鎖の可変ドメインを指す。VLは、軽鎖の可変ドメインを指す。本開示で使用される方法によれば、CDRおよびFRに割り振られたアミノ酸位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1987および1991))に従って定義することができる。抗体または抗原結合フラグメントのアミノ酸の番号付けも、Kabatの番号付けに従う。
【0088】
[0106]用語「相補性決定領域」または「CDR」は、本明細書で使用される場合、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域のそれぞれの3つのCDRがあり、これらは、可変領域のそれぞれにつきCDR1、CDR2およびCDR3と指定される。用語「CDRセット」は、本明細書で使用される場合、抗原に結合が可能な単一の可変領域中に生じる3つのCDRのグループを指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従って異なって定義されている。Kabatによって説明されるシステム(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md. (1987)および(1991)))は、抗体のあらゆる可変領域に適用可能な疑いのない残基の番号付けシステムを提供することに加えて、3つのCDRを定義する正確な残基の境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称する場合もある。Chothiaおよび共同研究者(Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901~917(1987)およびChothiaら、Nature 342:877~883(1989))は、Kabat CDR内の特定の下位部分が、アミノ酸配列のレベルで大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチドバックボーンコンフォメーションをとることを見出した。これらの下位部分を、L1、L2およびL3またはH1、H2およびH3と指定した。ここで「L」および「H」はそれぞれ軽鎖および重鎖領域を指示する。これらの領域は、Chothia CDRと称する場合もあり、Kabat CDRとオーバーラップする境界を有する。Kabat CDRとオーバーラップするCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133~139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732~45(1996))によって説明されている。さらに他のCDRの境界の定義は、上記のシステムのどちらかに厳密に従っていない場合があるが、それでもKabat CDRとオーバーラップすると予想され、それにもかかわらず、それらは、特定の残基もしくは残基の群が、またはCDR全体も、抗原結合に顕著な影響を与えないという予測または実験的発見の観点で、短くしたりまたは長くしたりすることができる。本明細書で使用される方法は、これらのシステムのいずれかに従って定義されたCDRを利用することができるが、好ましい実施形態は、KabatまたはChothiaによって定義されたCDRを使用する。
【0089】
[0107]用語「フレームワーク領域」(以下FR)は、本明細書で使用される場合、CDR残基以外の可変ドメイン残基を指す。各可変ドメインは、典型的には、FR1、FR2、FR3およびFR4として同定された4つのFRを有する。抗体またはその機能的なフラグメントの可変領域のうち共通の構造的特徴は当技術分野において周知である。特定の抗体をコードするDNA配列は、一般的に、周知の方法、例えば、参考文献として本明細書に組み込まれるKabatら、1987 Sequence of Proteins of Immunological Interest、U.S.Department of Health and Human Services、Bethesda MDに記載される方法に従って見出すことができる。加えて、抗体から機能的な可変領域をクローニングするための一般的な方法は、参考文献として本明細書に組み込まれるChaudhary,V.K.ら、1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066に見出すことができる。
【0090】
[0108]本明細書における用語「Fc領域」は、抗体重鎖のC末端領域を定義するのに使用され、例えば、天然配列のFc領域、組換えFc領域、およびバリアントFc領域が含まれる。抗体重鎖のFc領域の境界は変わる場合があるが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端への伸長部分と定義されることが多い。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムに従って残基447)は、例えば、抗体の産生または精製中に除去してもよいし、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって除去してもよい。したがって、無傷の抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、およびK447残基を有するおよび有さない抗体の混合物を有する抗体集団を含んでいてもよい。
【0091】
[0109]用語「ヒト化抗体」は、本明細書で使用される場合、目的の抗原(例えば、ヒトTM4SF1)に免疫特異的に結合し、実質的にヒト抗体のアミノ酸配列を有するフレームワーク(FR)領域と、実質的に非ヒト抗体のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体またはそのバリアント、誘導体、類似体もしくはフラグメントを指す。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ免疫グロブリンである。一般的に、ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFR領域である、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むと予想される。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFcの少なくとも一部を含んでいてもよい。抗体ヒト化方法は、当技術分野において公知である。例えば、全て参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Riechmannら、1988、Nature 332:323~7;Queenらの、米国特許第5,530,101号;5,585,089号;5,693,761号;5,693,762号;および6,180,370号;EP239400;PCT公報WO91/09967;米国特許第5,225,539号;EP592106;EP519596;Padlan、1991、Mol.Immunol.、28:489~498;Studnickaら、1994、Prot.Eng.7:805~814;Roguskaら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.91:969~973;ならびに米国特許第5,565,332号を参照されたい。
【0092】
[0110]用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、可能性のある突然変異、例えば少量で存在する可能性がある天然に存在する突然変異を除いて、同一である。したがって、修飾句「モノクローナル」は、分離した抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。特定の実施形態において、このようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的と結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列からの単一の標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスによって得られた。例えば、選択プロセスは、複数のクローンからの、例えばハイブリドーマクローン、ファージクローン、または組換えDNAクローンのプールからの固有なクローンの選択であってもよい。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一のエピトープに対して向けられる。
【0093】
[0111]用語「キメラ抗体」は、本明細書で使用される場合、所望の生物学的活性を示す限り、特定の種由来の、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同な重鎖および/または軽鎖の部分を有し、それと同時に、鎖の残部が、別の種由来の、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、加えてこのような抗体のフラグメントにおける対応する配列と同一または相同である抗体(免疫グロブリン)を指す(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851~6855(1984))。
【0094】
[0112]用語「エピトープ」は、本明細書で使用される場合、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域中の特異的な抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が、1つより多くのエピトープを有する場合もある。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合する場合もあるし、異なる生物学的作用を有する場合もある。エピトープは、構造的または機能的と定義される場合もある。機能的エピトープは、一般的に、構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接的に寄与する残基を有する。またエピトープは、配座エピトープであってもよく、すなわち非線形アミノ酸で構成されていてもよい。特定の実施形態において、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの化学的に活性な表面の分子群である決定基を含む場合もあり、特定の実施形態において、特定の3次元構造特徴、および/または特定の電荷の特徴を有していてもよい。
【0095】
[0113]「結合親和性」は、一般的に、分子(例えば、抗体などの結合タンパク質)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合による全体の相互作用の強度を指す。結合分子X(例えば、抗TM4SF1抗体)のその結合パートナーY(例えば、ヒトTM4SF1)に対する親和性は、一般的に、解離定数(KD)によって表することができる。親和性は、本明細書に記載されるものなどの当技術分野において公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般的に、ゆっくり抗原と結合し、容易に解離する傾向があり、それに対して高親和性抗体は、一般的に、より速く抗原と結合し、より長く結合したままの状態である傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当技術分野において公知であり、それらのいずれかは、本発明の開示の目的のために使用することができる。特定の例示的な実施形態は、以下を含む。一実施形態において、「KD」または「KD値」は、当技術分野において公知のアッセイによって、例えば結合アッセイによって測定することができる。KDは、RIAで測定することができ、これは例えば、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実行される(Chenら、1999、J.Mol Biol 293:865~81)。KDはまた、FACS、またはBIACOREによる、例えばBIACORE2000もしくはBIACORE3000を使用する、表面プラズモン共鳴アッセイを使用することによって、または例えばOCTET QK384システムを使用するバイオレイヤー干渉法によっても測定できる。特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体のKDは、HUVEC細胞を用いる標準的なフローサイトメトリーアッセイを使用して決定される。また、「オンレート」または「会合の速度」または「会合速度」または「kon」および「オフレート」または「解離の速度」または「解離速度」または「koff」も、例えばBIACORE2000もしくはBIACORE3000、またはOCTET QK384システムを使用する、上述した同じ表面プラズモン共鳴またはバイオレイヤー干渉法技術で決定することができる。
【0096】
[0114]用語「kon」は、本明細書で用いられる場合、当技術分野において公知のように、抗体/抗原複合体を形成するための抗体の抗原への会合に関するオンレート定数を指すことが意図される。
【0097】
[0115]用語「koff」は、本明細書で用いられる場合、当技術分野において公知のように、抗体/抗原複合体からの抗体の解離に関するオフレート定数を指すことが意図される。
【0098】
[0116]用語「阻害」または「阻害する」は、本明細書で使用される場合、部分的な(例えば、1%、2%、5%、10%、20%、25%、50%、75%、90%、95%、99%の)または完全な(すなわち、100%の)阻害を指す。
【0099】
[0117]用語「がん」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物における典型的には無秩序な細胞増殖を特徴とする生理学的状態を指すかまたは記載する。
[0118]用語「高い転移リスクを伴うがん」は、本明細書で使用される場合、がんを有する対象が転移がんを発症させるリスクを増加させることがわかっている少なくとも1つの因子に関連するがんを指す。転移リスクの増加に関連する因子の例としては、これらに限定されないが、対象が最初のがん診断時に有するがん性のリンパ節の数、腫瘍のサイズ、組織学的な格付け、および最初の診断時のがんの段階が挙げられる。
【0100】
[0119]用語「血行性転移」は、本明細書で使用される場合、がん細胞が血管壁に侵入し、その後、血流(循環腫瘍細胞)を介して体内の他の部位および組織に循環できる能力を指す。
【0101】
[0120]用語「リンパ転移」は、本明細書で使用される場合、がん細胞がリンパ管に侵入し、血管に排出する能力を指す。
[0121]本開示に関して、用語「処置する」または「処置」は、本明細書で使用される場合、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状を、回復させること、軽減すること、その進行を阻害すること、または予防することを意味する。用語「がんを処置する」は、本明細書で使用される場合、がん細胞の増殖および/または増殖の阻害を意味する。一実施形態において、本明細書に記載される組成物および方法は、転移がんを有する対象における転移を処置するのに使用される。
【0102】
[0122]用語「がんを予防する」または「がんの予防」は、発癌または腫瘍形成の発生が証明されていないが、例えば遺伝学的スクリーニングによって決定したかまたはそれ以外の方法によるかにかかわらず、がんの素因が同定されている哺乳動物におけるがんの発病を、遅らせること、阻害すること、または予防することを指す。この用語はまた、悪性になる前の状態を有する哺乳動物を処置して、悪性になる前の状態から悪性状態への進行を止める、またはそのような進行を逆行させることも包含する。悪性になる前の状態の例としては、過形成、形成異常、および異形成が挙げられる。一部の実施形態において、がんの予防は、がんからの寛解にある対象に関して使用される。
【0103】
[0123]悪性もしくは良性のおよび/または原発性もしくは続発性などの様々ながんが、本開示による方法で処置または予防することができる。このようながんの例は、当業者に公知であり、Merck Manual of Diagnosis and Therapy(Merckにより出版)などの標準的な教本に列挙される。
【0104】
[0124]用語「対象」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物(例えば、ヒト)を指す。
[0125]用語「投与する」は、本明細書で使用される場合、抗体またはそのフラグメント、または組成物(例えば、医薬組成物)の投薬量を対象に与える方法を指す。投与方法は、様々な要因(例えば、投与される結合タンパク質または医薬組成物、および処置される状態、疾患、または障害の重症度)に応じて変更することができる。
【0105】
[0126]用語「有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の転帰をもたらすのに十分な、本明細書で提供される抗体または医薬組成物の量を指す。
[0127]用語「約」および「およそ」は、所与の値または範囲の、20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、またはそれ未満を意味する。
【0106】
[0128]用語「同一性」、または「相同性」は、本明細書では置き換え可能に使用され、最適な比較目的で配列をアライメントすること(例えば、第1の配列の配列中にギャップを導入してもよい)によって決定できる2つまたはそれより多くのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の「同一性」、「相同性」、または「パーセント相同性」の計算値であり得る。次いで対応する位置のヌクレオチドを比較することができ、2つの配列間のパーセント同一性は、配列が共通する同一の位置の数の関数であり得る(すなわち、%相同性=同一の位置の数/位置の合計数×100)。例えば、第1の配列における位置は、第2の配列における対応する位置と同じヌクレオチドで占められていてもよく、その場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間のパーセント相同性は、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、配列が共通する同一の位置の数の関数であり得る。一部の実施形態において、比較目的でアライメントされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約95%であり得る。BLAST(登録商標)検索は、2つの配列間の相同性を決定することができる。2つの配列は、遺伝子、ヌクレオチド配列、タンパク質配列、ペプチド配列、アミノ酸配列、またはそのフラグメントであり得る。2つの配列の実際の比較は、周知の方法によって、例えば数学的なアルゴリズムを使用して達成することができる。このような数学的なアルゴリズムの非限定的な例は、Karlin,S.およびAltschul,S.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90-5873-5877(1993)に記載され得る。このようなアルゴリズムは、Altschul,S.ら、Nucleic Acids Res.、25:3389~3402(1997)に記載されるように、NBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている場合もある。BLASTおよびギャップ有りBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、NBLAST)のあらゆる関連パラメーターを使用することができる。例えば、配列比較に関するパラメーターは、スコア=100、ワード長さ=12に設定してもよいし、または変更してもよい(例えば、W=5またはW=20)。他の例としては、Myersおよびミラー、CABIOS(1989)のアルゴリズム、ADVANCE、ADAM、BLAT、およびFASTAが挙げられる。別の実施形態において、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、例えば、GCGソフトウェアパッケージ(Accelrys、Cambridge、UK)中のGAPプログラムを使用して達成することができる。
【0107】
[0129]用語「製造性」は、本明細書で使用される場合、特定のタンパク質の組換え発現および精製中におけるそのタンパク質の安定性を指す。製造性は、発現および精製の条件下における分子の固有の特性によると考えられる。改善された製造性の特徴の例としては、タンパク質の均一なグリコシル化、増加した細胞力価、タンパク質の組換え産生中の増殖およびタンパク質発現、改善された精製特性、凝集する傾向が低いことまたは凝集しないこと、ならびにこれらに限定されないが、低いpHでの熱安定性および安定性などの改善された安定性が挙げられる。一部の実施形態において、他のTM4SF1抗体と比較して、インビトロおよびインビボでの活性の保持と共に製造性を実証するTM4SF1結合タンパク質が提供される。一部の実施形態において、CDRまたはフレームワーク領域中にアミノ酸置換をもたらすことによる親TM4SF1結合タンパク質のヒト化は、追加の製造性の利益を付与することができる。
【0108】
[0130]一部の実施形態において、これらに限定されないが、例えばプロテインA精製またはサイズ排除クロマトグラフィー後の改善された精製収量、精製後の改善された均一性、改善された熱安定性などの改善された発展性の特徴を実証するTM4SF1結合タンパク質が提供される。一部の場合において、改善は、HLA分子結合によって決定した場合、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体に関する改善である。
【0109】
[0131]一部の例において、結合親和性は、スキャッチャード分析によって決定され、この分析は、未結合リガンドに結合したリガンドの濃度と結合したリガンドの濃度との比率のプロットであるスキャッチャードプロットを作成することを含む。
【0110】
II.TM4SF1結合タンパク質
[0132]本開示の一実施形態は、TM4SF1結合タンパク質を提供する。一部の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質は、例えばがんを処置または予防するのに使用できる抗体およびその抗原結合フラグメントである。特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体および抗原結合フラグメントは、腫瘍細胞の転移を予防するのに使用することができる。本開示の抗TM4SF1抗体およびその抗原結合フラグメントは、一部の例において、腫瘍細胞と血管内皮細胞との相互作用を妨害することによって腫瘍細胞の転移を予防する。
【0111】
[0133]TM4SF1は、テトラスパニン形態を有するが相同性を有さない小さい原形質膜糖タンパク質である(NCBI参照配列番号NP_055035.1)(Wrightら、Protein Sci.9:1594~1600、2000)。これは、原形質膜上にTM4SF1濃縮ドメイン(TMED)を形成し、この場合、真のテトラスパニンのように、機能的に関連する膜およびサイトゾル分子を補充する分子促進剤として役立ち(Shihら、Cancer Res.69:3272~3277、2009;Zukauskasら、Angiogenesis.14:345~354、2011)、がん細胞増殖(Hellstromら、Cancer Res.46:3917~3923、1986)、運動性(Changら、Int J Cancer.116:243~252、2005)、および転移(Richmanら、Cancer Res.5916s~5920s、1995)において重要な役割を果たす。ヒトTM4SF1タンパク質のアミノ酸配列(NCBI参照配列番号NP_055035.1)は、以下に配列番号134として示される。
MCYGKCARCI GHSLVGLALL CIAANILLYF PNGETKYASE NHLSRFVWFF SGIVGGGLLM LLPAFVFIGL EQDDCCGCCG HENCGKRCAM LSSVLAALIG IAGSGYCVIV AALGLAEGPLCLDSLGQWNYTFASTEGQYLLDTSTWSECTEPKHIVEWNVSLFSILLALG GIEFILCLIQVINGVLGGIC GFCCSHQQQY DC(配列番号91)
[0134]本開示の抗TM4SF1抗体およびその抗原結合フラグメントは、TM4SF1のECL2ドメインに特異的である。ヒトTM4SF1のECL2ドメインのアミノ酸配列は、EGPLCLDSLGQWNYTFASTEGQYLLDTSTWSECTEPKHIVEWNVSLFS(配列番号92)である。
【0112】
[0135]以下の表2に記載されるように、TM4SF1に特異的な新規の抗体が本開示に含まれる。表2に記載される抗体は、モノクローナルマウス抗体AGX-A03、AGX-A04、AGX-A05、AGX-A07、AGX-A08、AGX-A09、およびAGX-A11であり、これらのそれぞれは実施例に記載されるスクリーニングで同定されたものであり、TM4SF1のECL2領域と結合する。さらに以下の表2に、ヒト化抗体hAGX-A07およびhAGX-A01が提供される。
【0113】
[0136]一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号87または88に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号73または74に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一の配列を含むIgG重鎖定常領域を含む。
【0114】
[0137]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号89に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む軽鎖定常領域を含む。
【0115】
[0138]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3、15、27、39、51、63、または75に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、15、27、39、51、63、または75に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0116】
[0139]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号90または92に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号90または92に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0117】
[0140]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号112または114に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号112または114に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0118】
[0141]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9、21、33、45、57、69、または81に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号9、21、33、45、57、69、または81に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0119】
[0142]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号97、99、101、103、または105に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号97、99、101、103または105に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号97、99、または101に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号97、99、または101に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0120】
[0143]別の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号122に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号122に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0121】
[0144]一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号6、18、30、42、54、66、または78に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7、19、31、43、55、67、または79に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号8、20、32、44、56、68、または80に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む。
【0122】
[0145]一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号12、24、36、48、60、72、または84に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号13、25、37、49、61、73、または85に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号14、26、38、50、62、74、または86に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0123】
[0146]一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号94または配列番号115に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号95、配列番号116、または配列番号117に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号96、配列番号118、配列番号119、配列番号120、または配列番号121に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む。
【0124】
[0147]一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号107、配列番号108、配列番号124、配列番号125、配列番号126、または配列番号127に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号109または配列番号128に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号110、配列番号111、または配列番号129に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されており、配列番号110、または配列番号129に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0125】
[0148]マウスモノクローナル抗体AGX-A03のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号6、7、および8(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号12、13、および14(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号6、7、および8のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号12、13、および14のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。AGX-A03のCDRを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。さらに、AGX-A03の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号3および9に記載される。
【0126】
[0149]マウスモノクローナル抗体AGX-A04のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号18、19、および20(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号24、25、および26(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号18、19、および20のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号24、25、および26のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。AGX-A04のCDRを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。さらに、AGX-A04の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号15および21に記載される。
【0127】
[0150]マウスモノクローナル抗体AGX-A05のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号30、31、および32(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号36、37、および38(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号30、31、および32のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号36、37、および38のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。AGX-A05のCDRを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。さらに、AGX-A05の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号27および33に記載される。
【0128】
[0151]マウスモノクローナル抗体AGX-A07のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号42、43、および44(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号48、49、および50(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号42、43、および44のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号48、49、および50のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。AGX-A07のCDRを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。さらに、AGX-A07の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号39および45に記載される。
【0129】
[0152]一実施形態において、配列番号90のアミノ酸配列に記載の重鎖配列を含むヒト化されたAGX-A07(hAGX-A07)抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。一部の実施形態において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号90のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A07(hmAGX-A07)抗体またはその抗原結合フラグメントである。表2に示されるように、配列番号90に記載の重鎖配列はまた、本明細書でAGX-A07H2とも称される。一部の実施形態において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号90のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントであって、1つまたは複数の置換は、配列番号90のアミノ酸位置1、44、および80にある、抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、E1Q(重鎖、配列番号90の1位におけるグルタミン酸からグルタミンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、D44G(重鎖、配列番号90の44位におけるアスパラギン酸からグリシンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、F80Y(重鎖、配列番号90の80位におけるフェニルアラニンからチロシンへの置換)を含む。一部の実施形態において、配列番号92のアミノ酸配列に記載の重鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A07抗体または抗原結合フラグメントが提供される。表2に示されるように、配列番号92に記載の重鎖配列はまた、本明細書でAGX-A07H2v1とも称される。一部の実施形態において、配列番号97のアミノ酸配列に記載の軽鎖配列を含むヒト化されたAGX-A07抗体または抗原結合フラグメントが提供される。表2に示されるように、配列番号97に記載の軽鎖配列はまた、本明細書でAGX-A07L5とも称される。一部の実施形態において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号97のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の実施形態において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号97のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントであり、ここで1つまたは複数の置換は、配列番号97のアミノ酸位置3、26、62、および90にある。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、I3V(軽鎖、配列番号97の3位におけるイソロイシン(isoluecine)からバリンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、N26Q(軽鎖、配列番号97の26位におけるアスパラギンからグルタミンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、N26S(軽鎖、配列番号97の26位におけるアスパラギンからセリンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、G62S(軽鎖、配列番号97の62位におけるグリシンからセリンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、W90Y(軽鎖、配列番号97の90位におけるトリプトファンからチロシンへの置換)を含む。一部の実施形態において、配列番号99、配列番号101、配列番号103、および配列番号105からなる群から選択されるアミノ酸配列に記載の軽鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A07抗体または抗原結合フラグメントが提供される。表2に示されるように、配列番号99に記載の軽鎖配列はまた、本明細書でAGX-A07L5v1とも称され、配列番号101に記載の軽鎖配列はまた、本明細書でAGX-A07L5v2とも称され、配列番号103に記載の軽鎖配列はまた、本明細書でAGX-A07L5v3とも称され、配列番号105に記載の軽鎖配列はまた、本明細書でAGX-A07L5v4とも称される。ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖に関する例示的なコード配列は、配列番号91で提供される。ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖に関する例示的なコード配列は、配列番号93で提供される。ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖に関する例示的なコード配列は、配列番号98(AGX-A07L5)で提供される。ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖に関する例示的なコード配列は、配列番号100(AGX-A07L5v1)、配列番号102(AGX-A07L5v2)、配列番号104(AGX-A07L5v3)、および配列番号106(AGX-A07L5v4)で提供される。
【0130】
[0153]一部の場合において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号94、95、および96(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の重鎖CDR配列、または配列番号94、95、および96(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号94、95、および96(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の重鎖CDR配列、または配列番号94、95、および96(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。
【0131】
[0154]一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号94に記載の重鎖CDR1配列、または配列番号94に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖CDR1配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号95に記載の重鎖CDR2配列、または配列番号95に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖CDR2配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号96に記載の重鎖CDR3配列、または配列番号96に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖CDR3配列を含む。
【0132】
[0155]一部の場合において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号107、109、および110(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の軽鎖CDR配列、または配列番号107、109、および110(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。一部の場合において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号107、109、および111(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の軽鎖CDR配列、または配列番号107、109、および111(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。一部の場合において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号108、109、および110(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の軽鎖CDR配列、または配列番号108、109、および110(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。一部の場合において、ヒト化されたAGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号108、109、および111(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の軽鎖CDR配列、または配列番号108、109、および111(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。
【0133】
[0156]一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号107または108に記載の軽鎖CDR1配列、または配列番号107または108に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖CDR1配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号109に記載の軽鎖CDR2配列、または配列番号109に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖CDR2配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号110または111に記載の軽鎖CDR3配列、または配列番号110または111に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖CDR1配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A07抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号110に記載の軽鎖CDR3配列、または配列番号110に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖CDR1配列を含む。
【0134】
[0157]一部の実施形態において、ヒト化突然変異AGX-A07は、配列番号132中に以下のアミノ酸置換:Q1E、D44G、F80Yを含む重鎖可変領域(本明細書ではAGX-A07H2とも称される)、および配列番号133中に以下のアミノ酸置換:I3V、N26Q、G62Sを含む軽鎖可変領域(本明細書ではAGX-A07L5とも称される)を含む。一部の実施形態において、ヒト化突然変異AGX-A07は、配列番号132中に以下のアミノ酸置換:Q1E、D44G、F80Yを含む重鎖可変領域、および配列番号133中に以下のアミノ酸置換:I3V、N26Q、G62Sを含む軽鎖可変領域を含み、この重鎖は、CDR1(配列番号94)、CDR2(配列番号95)、およびCDR3(配列番号96)を含み、この軽鎖は、CDR1(配列番号108)、CDR2(配列番号109)、およびCDR3(配列番号110)を含む。一部の実施形態において、ヒト化突然変異AGX-A07は、AGX-A07H2v1L5v2であり、配列番号130に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(本明細書ではAGX-A07H2v1とも称される)、および配列番号131に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(本明細書ではAGX-A07L5v2とも称される)を含む。一部の実施形態において、ヒト化突然変異AGX-A07は、配列番号92に記載のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号101に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0135】
[0158]マウスモノクローナル抗体AGX-A08のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号54、55、および56(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号60、61、および62(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号54、55、および56のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号60、61、および62のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。AGX-A08のCDRを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。さらに、AGX-A08の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号51および57に記載される。
【0136】
[0159]マウスモノクローナル抗体AGX-A09のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号66、67、および68(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号72、73、および74(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号66、67、および68のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号72、73、および74のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。AGX-A09のCDRを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。さらに、AGX-A09の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号63および69に記載される。
【0137】
[0160]マウスモノクローナル抗体AGX-A11のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号78、79、および80(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号84、85、および86(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号78、79、および80のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号84、85、および862のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。AGX-A11のCDRを含むヒト化抗体または抗原結合フラグメントが、本開示に含まれる。さらに、AGX-A11の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号75および81に記載される。
【0138】
[0161]ヒト化抗体AGX-A01(hAGX-A01)のアミノ酸配列は、表2に記載される。表2に示されるように、配列番号112に記載の重鎖配列はまた、本明細書でAGX-A01H1とも称される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号115、116、および118(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号124、128、および129(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。さらに、例示的なヒト化されたAGX-A01の重鎖アミノ酸配列および軽鎖アミノ酸配列は、それぞれ配列番号112および122に記載される。ヒト化されたAGX-A01の重鎖および軽鎖の例示的なコード配列は、それぞれ配列番号113および123に記載される。
【0139】
[0162]一部の実施形態において、ヒト化されたAGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号112のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A01(hmAGX-A01)抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の実施形態において、ヒト化されたAGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号112のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントであり、1つまたは複数の置換は、配列番号112のアミノ酸位置63および106にある。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、G63S(重鎖、配列番号112の63位におけるグリシンからセリンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、D106E(重鎖、配列番号112の106位におけるアスパラギン酸からグルタミン酸への置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、D106S(重鎖、配列番号112の106位におけるアスパラギン酸からセリンへの置換)を含む。一部の実施形態において、配列番号114のアミノ酸配列に記載の重鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A01抗体または抗原結合フラグメントが提供される。表2に示されるように、配列番号114に記載の重鎖配列はまた、本明細書でAGX-A01H1v1とも称される。
【0140】
[0163]一部の実施形態において、配列番号122のアミノ酸配列に記載の軽鎖配列を含むヒト化されたAGX-A01抗体または抗原結合フラグメントが提供される。表2に示されるように、配列番号122に記載の軽鎖配列はまた、本明細書でAGX-A01L10とも称される。一部の実施形態において、ヒト化されたAGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号122のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の実施形態において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号122のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントであり、1つまたは複数の置換は、配列番号122のアミノ酸位置1、33、42、51、86、および90から選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にある。一部の実施形態において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号122のアミノ酸配列に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖配列を含むヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントであり、1つまたは複数の置換は、配列番号122のアミノ酸位置1、33、42、51、および86から選択される1つまたは複数のアミノ酸位置にある。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、A1E(軽鎖、配列番号122の1位におけるアラニンからグルタミン酸への置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、N33S(軽鎖、配列番号122の33位におけるアスパラギンからセリンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、M42Q(軽鎖、配列番号122の42位におけるメチオニンからグルタミンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、V51L(軽鎖、配列番号122の51位におけるバリンからロイシンへの置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、D86E(軽鎖、配列番号122の86位におけるアスパラギン酸からグルタミン酸への置換)を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、I90V(軽鎖、配列番号122の90位におけるイソロイシンからバリンへの置換)を含む。
【0141】
[0164]一部の場合において、ヒト化されたAGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号115(CDR1);116(CDR2);および118(CDR3)に記載の重鎖CDR配列、または配列番号115(CDR1);116(CDR2);および118(CDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号115(CDR1);116または117(CDR2);および118、119、120、または121(CDR3)に記載の重鎖CDR配列、または配列番号115(CDR1);116または117(CDR2);および118、119、120、または121(CDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。
【0142】
[0165]一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号115に記載の重鎖CDR1配列、または配列番号115に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖CDR1配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号116に記載の重鎖CDR2配列、または配列番号116に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖CDR2配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号117に記載の重鎖CDR2配列、または配列番号117に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖CDR2配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号118、119、120および121から選択される配列に記載の重鎖CDR3配列、または配列番号118、119、120、および121から選択される配列中に1つまたは複数の置換を含む重鎖CDR3配列を含む。
【0143】
[0166]一部の場合において、ヒト化されたAGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号124(CDR1);128(CDR2);および129(CDR3)に記載の軽鎖CDR配列、または配列番号124(CDR1);128(CDR2);および129(CDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号124、125、126、もしくは127(CDR1);128(CDR2);および129(CDR3)に記載の軽鎖CDR配列、または配列番号124、125、126、もしくは127(CDR1);128(CDR2);および129(CDR3)に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含むCDR配列を含む。
【0144】
[0167]一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号125、126、127、もしくは128に記載の軽鎖CDR1配列、または配列番号125、126、127、もしくは128に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖CDR1配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号129に記載の軽鎖CDR2配列、または配列番号129に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖CDR2配列を含む。一部の場合において、ヒト化突然変異AGX-A01抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号130に記載の軽鎖CDR3配列、または配列番号130に記載の配列中に1つまたは複数の置換を含む軽鎖CDR1配列を含む。
【0145】
[0168]一実施形態において、本開示は、配列番号3に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号9に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号15に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号21に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号27に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号33に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号39に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号45に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号51に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号57に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号63に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号69に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号75に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号81に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号90に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号97に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号90に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号99に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号90に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号101に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号90に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号103に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号90に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号105に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号92に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号97に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号92に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号99に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号92に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号101に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号92に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号103に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号92に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号105に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0146】
[0169]一実施形態において、本発明の開示は、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、配列番号75、配列番号90、配列番号92、配列番号112、または配列番号114から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または100%同一の重鎖可変ドメイン配列を有し;配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、配列番号81、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、または配列番号122から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または100%同一の軽鎖可変ドメイン配列を有する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本発明の開示は、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、配列番号75、配列番号90、配列番号92、配列番号112、または配列番号114から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または100%同一の重鎖可変ドメイン配列を有し;配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、配列番号81、配列番号97、配列番号99、配列番号101、または配列番号122から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または100%同一の軽鎖可変ドメイン配列を有する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0147】
[0170]一実施形態において、本開示は、IgGであり、それぞれ重鎖可変ドメインならびに重鎖定常領域CH1、CH2およびCH3を含む2つの重鎖と、それぞれ軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常領域(CL)を含む2つの軽鎖とを包含する4つのポリペプチド鎖を含む抗TM4SF1抗体を含む。特定の実施形態において、抗体は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4である。特定の実施形態において、抗体は、ヒトIgG1である。他の実施形態において、抗体は、IgG2である。重鎖および軽鎖可変ドメイン配列は、表2に記載のCDRを含有していてもよい。
【0148】
[0171]相補性決定領域(CDR)は、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方において高度可変領域として公知である。それより高度に保存された可変ドメインの部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。所与の抗体のCDRおよびフレームワーク領域(FR)は、Kabatら、上記;Lefrancら、上記および/またはHoneggerおよびPluckthun、上記により説明されたシステムを使用して同定することができる。また、Kabatら(1991、NIH Publication 91~3242、National Technical Information Service、Springfield、Va.)に記載される番号付けシステムも当業者によく知られている。これに関して、Kabatらは、あらゆる抗体に適用可能なCDRの同定を含む可変ドメイン配列の番号付けシステムを定義した。
【0149】
[0172]1つまたは複数のCDRを、共有結合または非共有結合のいずれかで分子に取り込むことで、それを抗原結合タンパク質にすることもできる。
[0173]抗原結合タンパク質は、CDRをより大きいポリペプチド鎖の一部として取り込んでいてもよいし、共有結合でCDRが別のポリペプチド鎖に連結されていてもよいし、または非共有結合でCDRを取り込んでいてもよい。CDRは、抗原結合タンパク質が目的の特定の抗原に特異的に結合することを許容する。特にCDR3は、抗体または抗体フラグメントの抗原結合において重要な役割を果たすことがわかっている。
【0150】
[0174]一実施形態において、本開示は、配列番号8、配列番号20、配列番号32、配列番号44、配列番号56、配列番号68、または配列番号80のいずれか1つに記載のCDR3ドメインを含む重鎖を含み、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、または配列番号75のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号14、配列番号26、配列番号38、配列番号50、配列番号62、配列番号74、または配列番号86のいずれか1つに記載のCDR3ドメインを含む軽鎖を含み、配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、または配列番号81のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。したがって、特定の実施形態において、CDR3ドメインは一定に保ちつつ、重鎖および/または軽鎖の残存するCDRおよび/またはフレームワーク領域に可変性が導入されてもよく、一方で抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1に結合する能力を保持し、親の機能的特徴、例えば結合親和性を保持するか、または親と比較して改善された機能的特徴、例えば結合親和性を有する。
【0151】
[0175]一実施形態において、本開示は、配列番号7、配列番号19、配列番号31、配列番号43、配列番号55、配列番号67、または配列番号79のいずれか1つに記載のCDR2ドメインを含む重鎖を含み、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、または配列番号75のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号13、配列番号25、配列番号37、配列番号49、配列番号61、配列番号73、または配列番号85のいずれか1つに記載のCDR2ドメインを含む軽鎖を含み、配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、または配列番号81のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。したがって、特定の実施形態において、CDR2ドメインは一定に保ちつつ、重鎖および/または軽鎖の残存するCDRおよび/またはフレームワーク領域に可変性が導入されてもよく、一方で抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1に結合する能力を保持し、親の機能的特徴、例えば結合親和性を保持するか、または親と比較して改善された機能的特徴、例えば結合親和性を有する。
【0152】
[0176]一実施形態において、本開示は、配列番号6、配列番号18、配列番号30、配列番号42、配列番号54、配列番号66、または配列番号78のいずれか1つに記載のCDR1ドメインを含む重鎖を含み、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号45、配列番号69、または配列番号81のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号12、配列番号24、配列番号36、配列番号48、配列番号60、配列番号72、または配列番号84のいずれか1つに記載のCDR1ドメインを含む軽鎖を含み、配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、または配列番号81のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。したがって、特定の実施形態において、CDR1ドメインは一定に保ちつつ、重鎖および/または軽鎖の残存するCDRおよび/またはフレームワーク領域に可変性が導入されてもよく、一方で抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1に結合する能力を保持し、親の機能的特徴、例えば結合親和性を保持する。
【0153】
[0177]また表2に記載される抗TM4SF1抗体およびフラグメントは、ヒト化されていてもよい。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当技術分野において公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒト源からそれに導入される1つまたは複数のアミノ酸残基を有していてもよい。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「インポート」残基と称されることが多く、これは、典型的には「インポート」可変ドメインから得られる。ヒト化は、例えば、Jonesら、1986、Nature 321:522~25;Riechmannら、1988、Nature 332:323~27;およびVerhoeyenら、1988、Science 239:1534~36の方法に従って、高度可変領域配列をヒト抗体の対応する配列で置換することによって実行することができる。
【0154】
[0178]一部の場合において、ヒト化抗体は、CDRグラフティングによって構築され、この場合、親非ヒト抗体(例えば、げっ歯類)の6つのCDRのアミノ酸配列が、ヒト抗体フレームワーク上にグラフト化される。例えば、Padlanらは、CDR中の残基の約3分の1のみが実際に抗原と接触することを決定し、これらを「特異性決定残基」、またはSDRと名付けた(Padlanら、1995、FASEB J.9:133~39)。SDRグラフティングの技術において、SDR残基のみが、ヒト抗体フレームワーク上にグラフト化される(例えば、Kashmiriら、2005、Methods 36:25~34を参照)。
【0155】
[0179]ヒト化抗体の作製において使用される、ヒト可変ドメイン、軽鎖および重鎖の両方の選択は、抗原性を低減させるのに重要であり得る。例えば、いわゆる「ベストフィット」方法に従って、非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の可変ドメインの配列は、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングされる。げっ歯類の配列に最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のヒトフレームワークとして選択され得る(Simsら、1993、J.Immunol.151:2296~308;およびChothiaら、1987、J.Mol.Biol.196:901~17)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列由来の特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークが、いくつかの異なるヒト化抗体に使用される可能性がある(Carterら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285~89;およびPrestaら、1993、J.Immunol.151:2623~32)。一部の場合において、フレームワークは、最も豊富なヒトサブクラスであるVL6サブグループI(VL6I)およびVHサブグループIII(VHIII)のコンセンサス配列由来である。別の方法において、ヒト生殖細胞系遺伝子は、フレームワーク領域の源として使用される。
【0156】
[0180]さらに、一般的に、抗体が、その抗原に対する親和性や他の好都合な生物学的特性を保持しながらヒト化されることが望ましい。この目標を達成するために、1つの方法によれば、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化された配列の3次元モデルを使用した親配列および様々な概念のヒト化生成物の分析のプロセスによって調製される。3次元免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性がある3次元立体配座構造を例示および表示するコンピュータープログラムが利用可能である。そのようなものとしては、例えば、WAM(WhiteleggおよびRees、2000、Protein Eng.13:819~24)、Modeller(SaliおよびBlundell、1993、J.Mol.Biol.234:779~815)、およびSwiss PDB Viewer(GuexおよびPeitsch、1997、Electrophoresis 18:2714~23)が挙げられる。これらの表示の検査は、候補免疫グロブリン配列の機能化における残基の可能性がある役割の分析、例えば、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を与える残基の分析を許容する。この方法では、FR残基は、所望の抗体の特徴、例えば標的抗原への親和性の増加が達成されるように、レシピエントおよびインポート配列から選択し組み合わせることができる。一般的に、高度可変領域残基は、直接的に、ほぼ実質的に、抗原結合への影響に関与する。
【0157】
[0181]ヒト化に使用可能なヒトフレームワーク領域としては、これらに限定されないが、「ベストフィット」方法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Simsら、J.Immunol.151(1993)2296を参照);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列由来のフレームワーク領域(例えば、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89(1992)4285;およびPrestaら、J.Immunol.、151(1993)2623を参照);ヒト成熟(体細胞突然変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro、およびFransson、Front.Biosci.13(2008)1619~1633を参照);およびFRライブラリーをスクリーニングすることによって得られたフレームワーク領域(例えば、Bacaら、J.Biol.Chem.272(1997)10678~10684およびRosokら、J.Biol.Chem.271(1996)22611~22618を参照)が挙げられる。
【0158】
[0182]ヒト化抗体およびその作製方法は、例えば、Almagro、およびFransson、Front.Biosci.13(2008)1619~1633で総論され、さらに、例えば、Riechmannら、Nature 332(1988)323~329;Queenら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86(1989)10029~10033;米国特許第5,821,337号、7,527,791号、6,982,321号、および7,087,409号;Kashmiriら、Methods 36(2005)25~34(SDR(a-CDR)グラフティングを説明する);Padlan、Mol.Immunol.28(1991)489~498(「リサーフェシング(resurfacing)」を説明する);Dall’Acquaら、Methods 36(2005)43~60(「FRシャッフリング」を説明する);ならびにOsbournら、Methods 36(2005)61~68およびKlimkaら、Br.J.Cancer、83(2000)252~260(FRシャッフリングへの「ガイド選択」アプローチを説明する)で説明される。
【0159】
[0183]一部の実施形態において、TM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、裸であるか、コンジュゲートしていないか、および/または改変されていない。一部の実施形態において、結合タンパク質はさらに、薬剤を包含する。一部の実施形態において、薬剤は、治療剤または診断剤である。一部の実施形態において、治療剤は、生物学的に活性な成分である。一部の実施形態において、生物学的に活性な成分は、細胞傷害性物質、化学療法剤、タンパク質、ペプチド、抗体、増殖阻害剤、および抗ホルモン剤を含む。一部の実施形態において、細胞傷害性物質は、リボソーム不活性化タンパク質、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、チューブリン阻害剤、アルキル化剤、抗生物質、抗新生物剤、抗増殖剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼIまたはII阻害剤、ホルモンのアゴニストまたはアンタゴニスト、イムノモジュレーター、DNA副溝結合剤、および放射活性物質を含む。特定の実施形態において、リボソーム不活性化タンパク質は、サポリンである。一部の実施形態において、診断剤は、標識である。一部の実施形態において、標識は、蛍光標識、色素産生標識、または放射標識である。一部の実施形態において、薬剤は、TM4SF1結合タンパク質に直接的にコンジュゲートされる。他の実施形態において、薬剤は、TM4SF1結合タンパク質に、間接的に、任意選択でリンカーによって、コンジュゲートされる。
【0160】
[0184]一部の実施形態において、本開示のTM4SF1結合タンパク質は、コンジュゲート(すなわち、コンジュゲートした結合タンパク質)であり、さらに、1つまたは複数の薬剤(例えば、1、2、3、または4つまたはそれより多くの薬剤)、例えばTM4SF1結合タンパク質と相加的または相乗的に作用して、例えば病的な血管新生に関連する障害、例えばがんの処置において腫瘍細胞(TC)および/または腫瘍血管系内皮細胞(EC)を致死させるかまたは阻害する治療剤を含む。例えば、治療剤は、生物学的に活性な成分、例えば細胞傷害性物質、化学療法剤、タンパク質、ペプチド、抗体、増殖阻害剤、および/または抗ホルモン剤であり得る。
【0161】
[0185]本開示のTM4SF1結合タンパク質に直接的または間接的のいずれかでコンジュゲートできるチューブリン阻害剤の例としては、これらに限定されないが、重合阻害剤(例えば、チューブリンのビンカドメインに結合することができる、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンフルニン、クリプトフィシン52、ハリコンドリン(hallchondrin)、ドラスタチン、ヘミアステリン;チューブリンのコルヒチン(cholchicine)ドメインに結合することができる、コルチン(colchine)、コンブレタスタチン、2-メトキシ-エストラジオール、E7010;解重合阻害剤、例えば、タキサン部位に結合することができる、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、ディスコデルモリド)が挙げられる。
【0162】
[0186]例示的な化学療法剤としては、これらに限定されないが、メトトレキセート、アドリアマイシン(adriamicin)、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤;核酸分解酵素、抗生物質、および毒素などの酵素およびそのフラグメント、例えば細菌、真菌、植物または動物起源の小分子毒素または酵素的に活性な毒素、ならびにそれらのフラグメントおよび/またはバリアントなどが挙げられる。使用することができる酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセン(tricothecene)が挙げられる。
【0163】
[0187]加えて、様々な放射性核種は、本開示のTM4SF1結合タンパク質へのコンジュゲーションのために使用することができる。その例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Sm153、Bi212、P32、およびLuの放射性同位体が挙げられる。代替として、本開示のTM4SF1結合タンパク質は、1種のまたはより小さい分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン(aurostatin)、トリコテセン、およびCC1065にコンジュゲートしていてもよいし、毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体も、本明細書において予期される。本開示のTM4SF1結合タンパク質にコンジュゲートできる他の治療剤としては、様々な例において、BCNU、ストレプトゾシン(streptozoicin)、ビンクリスチンおよび5-フルオロウラシルなどが挙げられる。
【0164】
[0188]コンジュゲーションに関する診断剤は、一部の実施形態において、標識、例えば蛍光標識、色素産生標識、または放射標識である。したがって、標識は、検出目的で使用でき、蛍光化合物、酵素、補欠分子団、発光物質、生物発光物質、または放射活性物質であり得る。放射標識は、例えば、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えばTc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)映像法(磁気共鳴映像法、MRIとしても公知)のためのスピン標識、例えばここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄を含んでいてもよい。
【0165】
[0189]1つまたは複数の薬剤(例えば、治療剤および/または診断剤)は、薬剤がタンパク質に隣接してコンジュゲートされるように、本開示のTM4SF1結合タンパク質に直接的にコンジュゲートさせてもよい(例えば、直接的な共有結合または非共有結合による相互作用の方法によって)。薬剤は、例えば直接的なペプチド結合によって、本開示の結合タンパク質に直接的にコンジュゲートさせてもよい。他の例において、直接的なコンジュゲーションは、直接的な非共有結合による相互作用、例えば本開示のTM4SF1結合タンパク質とTM4SF1結合タンパク質に特異的に結合する薬剤(例えば、抗体薬剤)との相互作用の方法によってなされる。
【0166】
[0190]1つまたは複数の薬剤(例えば、治療剤および/または診断剤)は、本開示のTM4SF1結合タンパク質に間接的にコンジュゲートさせてもよい(例えば、直接的な共有結合または非共有結合による相互作用でリンカーを用いることによって)。リンカーは、化学的な連結剤、例えばホモ二官能性およびヘテロ二官能性架橋剤であってもよく、これらは、多くの商業的な供給源より入手可能である。架橋に利用可能な領域は、本開示の結合タンパク質(例えば、抗TM4SF1抗体)上に見出すことができる。リンカーは、フレキシブルなアーム、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の炭素原子を含んでいてもよい。例示的なリンカーとしては、BS3([ビス(スルホスクシンイミジル)スベリン酸塩];BS3は、接近可能な第一アミンを標的化するホモ二官能性N-ヒドロキシスクシンイミドエステルである)、NHS/EDC(N-ヒドロキシスクシンイミドおよびN-エチル-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(carbodimide);NHS/EDCは、第一アミン基とカルボキシル基とのコンジュゲーションを可能にする)、スルホ-EMCS([N-e-マレイミドカプロン酸]ヒドラジド;スルホ-EMCSは、スルフヒドリルおよびアミノ基に反応性を有するヘテロ二官能性反応性基(マレイミドおよびNHS-エステル)である)、ヒドラジド(ほとんどのタンパク質は露出した炭水化物を含有し、ヒドラジドは、カルボキシル基を第一アミンに連結するのに有用な試薬である)、およびSATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート;SATAは、アミンに反応性を有し、保護されたスルフヒドリル基を付加する)が挙げられる。共有結合を形成するために、化学的に反応性の基は、様々な活性カルボキシル基(例えば、エステル)であり、その場合、ヒドロキシル部分は、ペプチドを改変するのに必要なレベルで生理学的に許容される。特定の薬剤としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-ヒドロキシ-スルホスクシンイミド(スルホ-NHS)、マレイミド-ベンゾイル-スクシンイミド(MBS)、ガンマ-マレイミド-ブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)、マレイミドプロピオン酸(MPA)、マレイミドヘキサン酸(MHA)、およびマレイミドウンデカン酸(MUA)が挙げられる。第一アミンは、NHSエステルの主要な標的である。タンパク質のN末端に存在する接近可能なa-アミノ基およびリジンのε-アミンは、NHSエステルと反応する。アミド結合は、NHSエステルのコンジュゲーション反応物が第一アミンと反応してN-ヒドロキシスクシンイミドを放出すると形成される。これらのスクシンイミドを含有する反応性基は、本明細書ではスクシンイミジル基と称される。本開示の特定の実施形態において、タンパク質上の官能基は、チオール基と予想され、化学的に反応性の基は、マレイミドを含有する基、例えばガンマ-マレイミド-ブチリルアミド(GMBAまたはMPA)と予想される。このようなマレイミドを含有する基は、本明細書では、マレイミド(maleido)基と称される。マレイミド基は、反応混合物のpHが6.5~7.4である場合、ペプチド上のスルフヒドリル基にとって最も選択的である。pH7.0において、マレイミド基のスルフヒドリル(例えば、血清アルブミンまたはIgGなどのタンパク質上のチオール基)との反応速度は、アミンより1000倍速い。したがって、マレイミド基とスルフヒドリルとの間の安定なチオエーテル結合を形成することができる。
【0167】
[0191]他の実施形態において、リンカーは、少なくとも1つのアミノ酸を含む(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、10、15、20、25、40、または50アミノ酸のペプチド)。特定の実施形態において、リンカーは、単一のアミノ酸(例えば、あらゆる天然に存在するアミノ酸、例えばCys)である。他の実施形態において、グリシンリッチなペプチド、例えばペプチドが使用できる。一部の場合において、リンカーは、単一のアミノ酸(例えば、あらゆるアミノ酸、例えばGlyまたはCys)であってもよい。好適なリンカーの例は、コハク酸、Lys、Glu、およびAspであるか、またはGly-Lysなどのジペプチドである。リンカーがコハク酸である場合、その1つのカルボキシル基は、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成することができ、その他のカルボキシル基は、例えば、ペプチドまたは置換基のアミノ基とアミド結合を形成することができる。リンカーがLys、Glu、またはAspである場合、それらのカルボキシル基は、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成でき、それらのアミノ基は、例えば、置換基のカルボキシル基とアミド結合を形成できる。Lysがリンカーとして使用される場合、さらなるリンカーが、Lysのε-アミノ基と置換基との間に挿入される場合もある。1つの特定の実施形態において、さらなるリンカーは、コハク酸であり、これは例えば、Lysのε-アミノ基および置換基に存在するアミノ基とアミド結合を形成する。一実施形態において、さらなるリンカーは、GluまたはAspであり(例えばこれは、Lysのε-アミノ基とアミド結合を形成し、置換基に存在するカルボキシル基と別のアミド結合を形成する)、すなわち置換基は、NEアシル化リジン残基である。
【0168】
[0192]一実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1×10-6M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。
[0193]特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定した場合、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する。
【0169】
[0194]特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0170】
[0195]特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1×10-3Mから約1×10-4M、約1x10-4Mから約1x10-5M、約1x10-5Mから約1x10-6M、約1x10-6から約1x10-7M、約1x10-7から約1x10-8M、約1x10-8Mから約1x10-9M、約1x10-9Mから約1x10-10M、約1x10-10Mから約1x10-11M、約1x10-11Mから約1x10-12M、約2x10-3Mから約2x10-4M、約2x10-4Mから約2x10-5M、約2x10-5Mから約2x10-6M、約2x10-6から約2x10-7M、約2x10-7から約2x10-8M、約2x10-8Mから約2x10-9M、約2x10-9Mから約2x10-10M、約2x10-10Mから約2x10-11M、約2x10-11Mから約2x10-12M、約3x10-3Mから約3x10-4M、約3x10-4Mから約3x10-5M、約3x10-5Mから約3x10-6M、約3x10-6から約3x10-7M、約3x10-7から約3x10-8M、約3x10-8Mから約3x10-9M、約3x10-9Mから約3x10-10M、約3x10-10Mから約3x10-11M、約3x10-11Mから約3x10-12M、約4x10-3Mから約4x10-4M、約4x10-4Mから約4x10-5M、約4x10-5Mから約4x10-6M、約4x10-6から約4x10-7M、約4x10-7から約4x10-8M、約4x10-8Mから約4x10-9M、約4x10-9Mから約4x10-10M、約4x10-10Mから約4x10-11M、約4x10-11Mから約4x10-12M、約5x10-3Mから約5x10-4M、約5x10-4Mから約5x10-5M、約5x10-5Mから約5x10-6M、約5x10-6から約5x10-7M、約5x10-7から約5x10-8M、約5x10-8Mから約5x10-9M、約5x10-9Mから約5x10-10M、約5x10-10Mから約5x10-11M、約5x10-11Mから約5x10-12M、約5x10-7Mから約5x10-11M、約5×10-7M、約1×10-7M、約5×10-8M、約1×10-8M、約5×10-9M、約1×10-9M、約5×10-10M、約1×10-10M、約5×10-11Mまたは約1×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、KDは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定される。
【0171】
[0196]特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0172】
[0197]特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-6M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一実施形態において、HEK293細胞は、カニクイザルTM4SF1を発現するようにトランスフェクトされている。さらなる実施形態において、HEK293細胞は、106コピーの18S rRNA当たり約600のmRNAコピーで、カニクイザルTM4SF1を発現する。
【0173】
[0198]抗体または抗体フラグメントのKDを決定する方法は、当技術分野において公知である。例えば、表面プラズモン共鳴は、抗原に対する抗体のKDを決定するのに使用することができる(例えば、BIACORE2000またはBIACORE3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)を、約10反応単位(RU)での固定化した抗原またはFc受容体CM5チップと共に、25℃で使用して)。特定の実施形態において、FACSまたはフローサイトメトリーは、KDを決定するのに使用され、TM4SF1を発現する細胞、例えばHEK293細胞またはHUVEC細胞は、抗体またはフラグメントに結合させて、標準的な方法に従ってKDを測定するのに使用される。フローサイトメトリーを使用する抗体の親和性決定は、例えば、Geuijenら(2005)J Immunol Methods.302(1~2):68~77に記載される。特定の実施形態において、FACSは、抗体の親和性を決定するのに使用される。
【0174】
[0199]一実施形態において、本開示は、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、表2に記載のアミノ酸配列CDRに対して、少なくとも95%同一の(または少なくとも96%同一の、または少なくとも97%同一の、または少なくとも98%同一の、または少なくとも99%同一の)CDRのアミノ酸配列を含むように、本明細書に記載される保存的アミノ酸置換を含むCDRアミノ酸配列を有する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを特徴とする。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基で置換される置換である。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させないものである。2つまたはそれより多くのアミノ酸配列が保存的置換により互いに異なる場合、パーセント配列同一性または類似性の程度は、置換の保存的性質のために補正されるように上方調整される場合がある。この調整を行うための手段は当業者に周知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれるPearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307~331を参照されたい。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸のグループの例としては、(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;(2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリンおよびスレオニン;(3)アミドを含有する側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(7)硫黄を含有する側鎖:システインおよびメチオニンが挙げられる。
【0175】
[0200]本開示はさらに、一態様において、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定した場合、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを特徴とし、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgGフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含み、ヒトIgGフレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されている。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、カニクイザルTM4SF1と交差反応する。
【0176】
[0201]本開示の別の態様において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定した場合、約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する、ヒト化された抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントである。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-6M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、1x10-3Mから約1x10-4M、約1x10-4Mから約1x10-5M、約1x10-5Mから約1x10-6M、約1x10-6から約1x10-7M、約1x10-7から約1x10-8M、約1x10-8Mから約1x10-9M、約1x10-9Mから約1x10-10M、約1x10-10Mから約1x10-11M、約1x10-11Mから約1x10-12M、約2x10-3Mから約2x10-4M、約2x10-4Mから約2x10-5M、約2x10-5Mから約2x10-6M、約2x10-6から約2x10-7M、約2x10-7から約2x10-8M、約2x10-8Mから約2x10-9M、約2x10-9Mから約2x10-10M、約2x10-10Mから約2x10-11M、約2x10-11Mから約2x10-12M、約3x10-3Mから約3x10-4M、約3x10-4Mから約3x10-5M、約3x10-5Mから約3x10-6M、約3x10-6から約3x10-7M、約3x10-7から約3x10-8M、約3x10-8Mから約3x10-9M、約3x10-9Mから約3x10-10M、約3x10-10Mから約3x10-11M、約3x10-11Mから約3x10-12M、約4x10-3Mから約4x10-4M、約4x10-4Mから約4x10-5M、約4x10-5Mから約4x10-6M、約4x10-6から約4x10-7M、約4x10-7から約4x10-8M、約4x10-8Mから約4x10-9M、約4x10-9Mから約4x10-10M、約4x10-10Mから約4x10-11M、約4x10-11Mから約4x10-12M、約5x10-3Mから約5x10-4M、約5x10-4Mから約5x10-5M、約5x10-5Mから約5x10-6M、約5x10-6から約5x10-7M、約5x10-7から約5x10-8M、約5x10-8Mから約5x10-9M、約5x10-9Mから約5x10-10M、約5x10-10Mから約5x10-11M、約5x10-11Mから約5x10-12M、約5x10-7Mから約5x10-11M、約5×10-7M、約1×10-7M、約5×10-8M、約1×10-8M、約5×10-9M、約1×10-9M、約5×10-10M、約1×10-10M、約5×10-11Mまたは約1×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、KDは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定される。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1を発現するHUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0177】
[0202]一実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントのヒトTM4SF1への結合は、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でなく、すなわち、抗体の結合は、ECL2ループ(配列番号77)内のTM4SF1のグリコシル化から独立している。
【0178】
[0203]本開示の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、いずれかのアイソタイプ(例えば、これらに限定されないが、IgG、IgM、およびIgE)のいずれかであり得る。特定の実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgGアイソタイプである。具体的な実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプ由来である。特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgG1、ヒトIgG2、またはヒトIgG4アイソタイプである。
【0179】
[0204]IgG2は、天然において、ADCCおよび/またはCDC活性が最も低い(Anら、MAbs.2009年11月~12月;1(6):572~579)。したがって、特定の実施形態において、IgG2は、有利に使用される。しかしながら、IgG2は、2つの余分なシステイン(4つのヒンジ間ジスルフィド結合を生じる)を有し、それにより抗体間ジスルフィド結合の形成を介した凝集が起こりやすくなる。関連する実施形態において、凝集を減少させるために、IgG2システインへの突然変異が作製される。
【0180】
[0205]本発明の開示は、TM4SF1に結合する抗体フラグメントを提供する。特定の環境において、全抗体よりも抗体フラグメントを使用するほうが利点がある。フラグメントのサイズが小さいほど迅速なクリアランスが可能になり、それにより細胞、組織、または臓器への改善された接近をもたらすことができる。特定の抗体フラグメントの総論に関して、Hudsonら、2003、Nature Med.9:129~34を参照されたい。
【0181】
[0206]抗体フラグメントを産生するための様々な技術が開発されてきた。従来、これらのフラグメントは、無傷の抗体のタンパク質分解消化を介して得られた(例えば、Morimotoら、1992、J.Biochem.Biophys.Methods 24:107~17;およびBrennanら、1985、Science 229:81~83を参照)。しかしながら、現在これらのフラグメントは、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。Fab、Fv、およびscFv抗体フラグメントは全て、E.coliまたは酵母細胞で発現および分泌させることができ、したがって大量のこれらのフラグメントの容易な産生が可能である。抗体フラグメントは、上記で論じられた抗体ファージライブラリーから単離することができる。代替として、Fab’-SHフラグメントは、E.coliから直接回収し、化学的にカップリングして、F(ab’)2フラグメントを形成することができる(Carterら、1992、Bio/Technology 10:163~67)。別のアプローチによれば、F(ab’)2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含むインビボでの半減期が増加したFabおよびF(ab’)2フラグメントは、例えば、米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体フラグメントを産生するための他の技術は、熟練した専門家には明らかであると予想される。特定の実施形態において、抗体は、単鎖Fvフラグメント(scFv)である(例えば、WO93/16185;米国特許第5,571,894号および5,587,458号を参照)。FvおよびscFvは、定常領域を欠く無傷の結合部位を有する。したがってそれらは、インビボでの使用中における非特異的な結合の低減に適している可能性がある。scFv融合タンパク質を構築して、scFvのアミノまたはカルボキシ末端のいずれかにおけるエフェクタータンパク質の融合をもたらすことができる(例えば、Borrebaeck編、上記を参照)。抗体フラグメントはまた、「線状抗体」であってもよく、例えば、上記で引用された参考文献に記載されたものである。このような線状抗体は、単一特異性または多重特異性、例えば二重特異性であってもよい。
【0182】
[0207]特定の実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、およびscFvからなる群から選択される。
[0208]例えばヒトTM4SF1に高親和性を有する抗TM4SF1抗体(およびフラグメント)は、当技術分野において公知のスクリーニング技術を使用して同定することができる。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら、1975、Nature 256:495~97により最初に説明されたハイブリドーマ方法を使用して作製してもよいし、または組換えDNA方法によって作製してもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。
【0183】
[0209]ハイブリドーマ方法において、マウスまたは他の適切な宿主動物、例えばハムスターは、例えばヒトTM4SF1のECL2ループまたはTM4SF1を発現する細胞を使用することにより免疫化されて(それによってECL2ループが細胞表面上に発現される)、免疫化に使用されるタンパク質に特異的に結合すると予想される抗体を産生するかまたは産生することが可能なリンパ球を惹起する。代替として、リンパ球は、インビトロで免疫化されてもよい。免疫化後、リンパ球を単離し、次いで好適な融合剤、例えばポリエチレングリコールを使用して骨髄腫細胞株と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice 59~103(1986))。
【0184】
[0210]このようにして調製されたハイブリドーマ細胞は、好適な培養培地中にシーディングされ、増殖させ、このような培養培地は、特定の実施形態において、融合していない親の骨髄腫細胞(融合パートナーとも称される)の増殖または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含有する。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を喪失している場合、ハイブリドーマに選択的な培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含むと予想され(HAT培地)、これは、HGPRT欠損細胞の増殖を予防するものである。
【0185】
[0211]例示的な融合パートナーである骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定して高レベルの抗体産生を維持し、融合していない親細胞を選択する選択的な培地に感受性を有するものである。例示的な骨髄腫細胞株は、マウス骨髄腫株、例えばSP-2および誘導体、例えば、American Type Culture Collection(Manassas、Va.)より入手可能なX63-Ag8-653細胞、ならびにSalk Institute Cell Distribution Center(San Diego、Calif.)より入手可能なMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍由来のものである。またヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株も、ヒトモノクローナル抗体産生に関して記載されている(Kozbor、1984、Immunol.133:3001~05;およびBrodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications 51~63(1987))。
【0186】
[0212]ハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地は、抗原に対して向けられたモノクローナル抗体の産生に関してアッセイされる。ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、またはインビトロでの結合アッセイ、例えばRIAもしくはELISAによって決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら、1980、Anal.Biochem.107:220~39に記載されるスキャッチャード分析によって決定することができる。
【0187】
[0213]所望の特異性、親和性、および/または活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定されたら、クローンを限界希釈法によってサブクローニングし、標準的な方法によって増殖させる(Goding、上記)。この目的のために好適な培養培地としては、例えば、DMEMまたはRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍として、例えばマウスへの細胞のi.p.注射によって、インビボで増殖させることができる。
【0188】
[0214]サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、好適には、培養培地、腹水、または血清から、例えば、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、プロテインAまたはプロテインG-セファロースを使用するもの)またはイオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析などの従来の抗体精製手順によって分離される。
【0189】
[0215]モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離およびシーケンシングされる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの源として役立つ可能性がある。DNAは、単離されたら、発現ベクターに入れてもよく、次いで発現ベクターは、トランスフェクトされなければ抗体タンパク質を産生しない宿主細胞、例えばE.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成が達成される。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する総論としては、Skerraら、1993、Curr.Opinion in Immunol.5:256~62およびPluckthun、1992、Immunol.Revs.130:151~88が挙げられる。
【0190】
[0216]さらなる実施形態において、モノクローナル抗体または抗体フラグメントは、例えば、Antibody Phage Display: Methods and Protocols(O’BrienおよびAitken編、2002)に記載される技術を使用して生成した抗体ファージライブラリーから単離することができる。原則的に、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質に融合した抗体可変領域(Fv)の様々なフラグメントを提示するファージを含有するファージライブラリーをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリーは、所望の抗原に対してスクリーニングされる。所望の抗原に結合することが可能なFvフラグメントを発現するクローンは抗原に吸着されるため、ライブラリー中の非結合クローンから分離される。次いで結合クローンは抗原から溶出され、さらに、抗原吸着/溶出の追加のサイクルによって濃縮することができる。
【0191】
[0217]可変ドメインは、例えばWinterら、1994、Ann.Rev.Immunol.12:433~55に記載されるように、VHとVLとが短いフレキシブルなペプチドを介して共有結合で連結されている単鎖Fv(scFv)フラグメントとして、またはそれぞれ定常ドメインに融合しており、非共有結合によって相互作用するFabフラグメントとしてのいずれかで、ファージ上に機能的に提示させることが可能である。
【0192】
[0218]VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、PCRによって別々にクローニングし、ファージライブラリー中でランダムに組み換えることができ、これは次いで、Winterら、上記に記載されるように、抗原結合クローンに関して検索することができる。免疫化源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築することを必要とせずに、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。代替として、Griffithsら、1993、EMBO J 12:725~34で記載されるように、ナイーブレパートリーをクローニングして、免疫化をまったく行わなくても、多様な非自己に対する、さらには自己抗原にも対するヒト抗体の単一の源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、例えば、HoogenboomおよびWinter、1992、J.Mol.Biol.227:381~88によって記載されるように、幹細胞からの再配列されていないV-遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロでの再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。
【0193】
[0219]ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野において公知の様々な技術によって達成することができる。例えば、TM4SF1(例えば、ECL2ループまたは前記ループを発現する細胞の可溶性形態)を使用して、吸着プレートのウェルをコーティングする、吸着プレートに付着させた宿主細胞上で発現させる、またはセルソーティングで使用する、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズを捕獲するためにビオチンにコンジュゲートする、またはディスプレイライブラリーをパニングするための他のあらゆる方法で使用することができる。遅い解離速度論(例えば、優れた結合親和性)を有する抗体の選択は、Bassら、1990、Proteins 8:309~14およびWO92/09690に記載されるように、長い洗浄および1価ファージディスプレイの使用によって、さらに、Marksら、1992、Biotechnol.10:779~83に記載されるように抗原の低いコーティング密度の使用によって向上させることができる。
【0194】
[0220]抗TM4SF1抗体は、目的のファージクローンを選択するのに好適な抗原スクリーニング手順を設計し、それに続き、目的のファージクローンからの、VHおよび/もしくはVL配列(例えば、Fv配列)、またはVHおよびVL配列からの様々なCDR配列、ならびにKabatら、上記に記載される好適な定常領域(例えば、Fc)配列を使用して全長抗TM4SF1抗体クローンを構築することにより得ることができる。
【0195】
[0221]抗TM4SF1抗体のスクリーニングは、抗体がTM4SF1のECL2ループに治療的な親和性を有するかどうかを決定するために、当技術分野において公知の、および本明細書に記載される結合アッセイを使用して実行することができる。転移性の細胞活性を阻害したりまたは減少させたりする抗体の能力は、当技術分野における標準的なアッセイや、本明細書に記載される標準的なアッセイを使用して測定することができる。前臨床アッセイは、一般的に以下の3つのタイプのうち1つの転移の動物モデルの使用を必要とする:(i)転移性マウス腫瘍細胞、例えばB16F10黒色腫TCを、一般的に、肺転移を生成するために尾静脈注射を介して、肝臓転移を生成するために門脈または脾臓内注射を介して、または骨および他の転移を生成するために心臓の左心室への注射を介してマウスに注射すること;(ii)転移性腫瘍細胞または無傷の腫瘍フラグメントを、マウスに同所移植することであり、この方法はしばしば、原発性腫瘍増殖に関連する罹患率を抑えるために後の原発性腫瘍の外科的切除を必要とするもの;および(iii)遺伝子操作された自然転移のマウスモデルであり、そのうち最も一般的なものは、MMTV-Pyt(マウス乳がんウイルス-ポリオーマウイルス中型T抗原)マウス乳癌モデルであり、これは、ヒトがん転移の極めてリアルなマウスモデルを提供し、半接合MMTV-PyMT雌の85%より多くが、8~16週齢で肺に転移する触診可能な乳がんを自然に発症するもの。生きた動物を画像化するか、またはTM4SF1免疫遮断(immunoblockade)の程度の関数として致死させた動物の肺における転移性小結節を直接計数するかのいずれかによって肺における転移性の負荷量を定量化して、治療的なレベル、例えば肺転移の少なくとも50%の低減が達成されることが、治療抗体が例えば本開示の方法で使用できることの指標となると予想される。さらに、異種間反応性アッセイは、当技術分野において公知である。使用できるアッセイの例は、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるKhannaおよびHunter(Carcinogenesis.2005年3月;26(3):513~23)ならびにSaxenaおよびChristofori(Mol Oncol.2013年4月;7(2):283~96)に記載される。
【0196】
[0222]本開示の一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはフラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる突然変異を含有する。
【0197】
[0223]用語「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)」は、本明細書で使用される場合、細胞傷害性顆粒の内容物の放出を特徴とする非食細胞プロセスを介した細胞傷害性エフェクター細胞によって、または細胞死誘導分子の発現によって、抗体被覆標的細胞を致死させることを指す。ADCCは、標的結合抗体(IgGまたはIgAまたはIgEクラスに属する)と、特定のFc受容体(FcR)、すなわち免疫グロブリン(Ig)のFc領域に結合するエフェクター細胞表面上に存在する糖タンパク質との相互作用を介して開始される。ADCCを媒介するエフェクター細胞としては、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好中球、好酸球および樹状細胞が挙げられる。ADCCは、迅速なエフェクターメカニズムであり、その効能は、多数のパラメーター(標的細胞の表面上の抗原の密度および安定性;抗体親和性ならびにFcR結合親和性)に依存する。PBMCベースのADCCアッセイおよびナチュラルキラー細胞ベースのADCCアッセイは、ADCCを検出するのに使用することができる。これらのアッセイにおける読み出しは、終点駆動型(標的細胞溶解)である。
【0198】
[0224]「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体
の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1の要素(C1q)が、その同族抗原に結合する抗体(適切なサブクラスに属するもの)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ(例えば、Gazzano-Santoroら、1996、J.Immunol.Methods 202:163を参照)を実行してもよい。変更されたFc領域アミノ酸配列(バリアントFc領域を有するポリペプチド)および増加または減少したC1q結合能力を有するポリペプチドバリアントが記載されている(例えば、米国特許第6,194,551号;WO1999/51642;Idusogieら、2000、J.Immunol.164:4178~84を参照)。CDC活性をほとんど有さない抗体(またはフラグメント)も使用のために選択され得る。
【0199】
[0225]用語「エフェクター機能」は、本明細書で使用される場合、IgGのFcエフェクタードメイン(例えば、免疫グロブリンのFc領域)が寄与する機能を指す。このような機能は、例えば、Fcエフェクタードメインが、食細胞または溶解活性を有する免疫細胞上のFc受容体に結合することによって、またはFcエフェクタードメインが補体系の要素に結合することによって達成することができる。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);貪食(ADCP);細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節;およびB細胞活性化が挙げられる。
【0200】
[0226]用語「低減する」または「消失させる」は、本明細書で使用される場合、全体で、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは75%、85%、90%、95%、またはそれより多くの減少を引き起こす能力を指す。低減または消失は、処置される障害(例えば、がん)の症状、転移の存在もしくはサイズまたは原発性腫瘍のサイズを指す場合もある。
【0201】
[0227]用語「低減したADCC/CDC機能」は、本明細書で使用される場合、対照(例えば突然変異を含まないFc領域を有する抗体)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも、少なくとも約90%またはそれより多くの、特異的なエフェクター機能、例えばADCCおよび/またはCDCの低減を指す。
【0202】
[0228]したがって、特定の実施形態において、本開示の突然変異した抗体は、本開示の抗体と同じアミノ酸配列を有するがFc領域への少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含まない抗体(本明細書では「改変されていない抗体」とも称される)と比較して、エフェクター機能を促進することに関与するFcリガンドへの親和性が低減または消失している。
【0203】
[0229]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも2つの突然変異を含むFc領域を含む。さらなる実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10個またはそれより多くの突然変異を含むFc領域を含む。
【0204】
[0230]特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、P329G、P329R、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0205】
[0231]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、G237A突然変異と共に、またはG237A突然変異なしで、L234A/L235A突然変異を含むFc領域を含む。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、L234A、L235A、およびG237A突然変異を含むFc領域を含む。
【0206】
[0232]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、A327G/A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0207】
[0233]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAn Zら、Mabs 2009年11月-Ec;1(6):572~9で記載されるように、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIIAへの低減した結合、および低減したADCCおよびCDCエフェクター機能を提供するE233P/L234V/L235A/デルタG236(欠失)突然変異を含むFc領域を含む。
【0208】
[0234]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、N297x突然変異(式中、x=A、D、G、Q)を含むFc領域を含む。
【0209】
[0235]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、A327G/A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0210】
[0236]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCanfieldおよびMorrison.J Exp Med(1991)173(6):1483~91.10.1084で記載されるように、C1qへの低減した結合を提供するK322A、P329A、およびP331Aの1つまたは複数に突然変異を含むFc領域を含む。
【0211】
[0237]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHezarehら、J Virol.2001年12月;75(24):12161~8に記載されるように、FcγRIIBへの強化された結合および強化されたADCCを提供するV263L突然変異を含むFc領域を含む。
【0212】
[0238]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、L234A/L235A、G237AまたはL235E突然変異を含むFc領域を含む。
【0213】
[0239]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、L234F、L235EまたはP331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0214】
[0240]特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0215】
[0241]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
[0242]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、A330S/P331S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331SまたはH268Q/V309L/A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0216】
[0243]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297G、N297Q、P329G、P329Rからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0217】
[0244]特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChappelら、Proc Natl Acad Sci USA(1991)88(20):9036~40に記載されるように、低減したFab-アーム交換および低減した凝集を提供するS228P突然変異を含むFc領域を含む。
【0218】
[0245]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/L235E突然変異を含むFc領域を含む。
[0246]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/E233P/F234V/L235A/デルタG236(欠失)突然変異を含むFc領域を含む。
【0219】
[0247]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、N297x突然変異(式中、x=A、D、G、Q)を含むFc領域を含む。
【0220】
[0248]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/F234A/L235A突然変異を含むFc領域を含む。
【0221】
[0249]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSaxenaら、Front Immunol.2016年12月12日;7:580に記載されるように、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIIAへの低減した結合および低減したADCCおよびCDCエフェクター活性を提供するL235E突然変異を含むFc領域を含む。
【0222】
[0250]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/F234A/L235AまたはE233P/L235A/G236デルタ突然変異を含むFc領域を含む。
【0223】
[0251]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、少なくともS228P突然変異を含むFc領域を含む。Angalら(Mol Immunol.1993年1月;30(1):105~8)は、残基241におけるセリンの存在(EU番号付けシステムに従って、ここではKabat番号付けにおける残基228に対応する)が、分泌されたヒトIgG4の所定の割合において、ヒンジ領域における重鎖間ジスルフィド架橋の不均質性の原因であることを決定するための、ヒトIgG4重鎖のヒンジ配列の分析を記載する。Silvaら(J Biol Chem.2015年2月27日;290(9):5462~9)は、インビボおよびインビトロにおけるIgG4 Fab-アーム交換を防止するヒトIgG4におけるS228P突然変異を記載する。
【0224】
[0252]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、L235EまたはS228P突然変異を含むFc領域を含む。
【0225】
[0253]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4またはIgG1アイソタイプであり、N297A、N297DまたはN297G突然変異を含むFc領域を含む。
【0226】
[0254]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4またはIgG1アイソタイプであり、P329G、P329R突然変異を含むFc領域を含む。
【0227】
[0255]例示的な実施形態の一つにおいて、いずれかのIgGアイソタイプの突然変異したFc領域が、234位、235位、236位、237位、297位、318位、320位、322位(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO1988007089に記載される通り)に1つまたは複数の突然変異を含む。また置換、欠失および付加などのFc領域における他の可能性のある突然変異は、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるUS20140170140、WO2009100309、US20090136494およびUS8969526にも記載される。
【0228】
[0256]インビトロおよび/またはインビボの細胞傷害性アッセイは、CDCおよび/またはADCC活性の低減または消失を確認するのに実行することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を喪失しているが(したがってADCC活性を喪失している可能性がある)、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、それに対して単球は、FcγRI、RIIおよびRIIIを発現する。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えばHellstrom,I.ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83(1986)7059~7063を参照)およびHellstrom,I.ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82(1985)1499~1502;米国特許第5,821,337号(Bruggemann,M.ら、J.Exp.Med.166(1987)1351~1361を参照)に記載される。代替として、非放射性アッセイ方法が採用される場合がある(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View、Calif.;およびCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、Wis.)を参照されたい。このようなアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替として、または加えて、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、例えばClynesら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95(1998)652~656で開示された動物モデルで、評価することができる。またC1q結合アッセイを行って、抗体が、C1qに結合できないこと、したがってCDC活性を喪失していることを確認することもできる。例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402に記載のC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実行することができる(例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods 202(1996)163;Cragg,M.S.ら、Blood 101(2003)1045~1052;およびCragg,M.S.、およびGlennie,M.J.、Blood 103(2004)2738~2743を参照)。またFcRn結合およびインビボにおけるクリアランス/半減期の決定も、当技術分野において公知の方法を使用して実行することができる(例えば、Petkova,S.B.ら、Int’l.Immunol.18(12)(2006)1759~1769を参照)。
【0229】
[0257]一実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、改変されていない抗体と比較して、低減または消失したADCCエフェクター機能を示す。別の実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、改変されていない抗体のADCCエフェクター機能の、2分の1以下、または3分の1以下、または5分の1以下、または10分の1以下、または50分の1以下、または100分の1以下に低減したADCCエフェクター機能を示す。さらに別の実施形態において、本開示の抗体は、改変されていない抗体と比べて、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%低減したADCCエフェクター機能を示す。本開示のさらなる態様において、本発明の開示の抗体またはその抗原結合フラグメントにより誘発されたADCCエフェクター機能の低減または下方調節は、改変されていない抗体によるADCCの誘発について観察された値の0、2.5、5、10、20、50または75%の低減である。特定の実施形態において、ADCC活性の低減および/または消失は、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントのFcリガンドおよび/または受容体に対する低減した親和性に起因する可能性がある。
【0230】
III.ポリヌクレオチド
[0258]また、一部の実施形態において、本明細書に記載されるTM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドも提供される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド分子は、DNAコンストラクトとして提供される。他の実施形態において、ポリヌクレオチド分子は、メッセンジャーRNA転写物として提供される。
【0231】
[0259]一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号4、16、28、40、52、64、または76のいずれか1つに記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメインを含む。一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号10、22、34、46、58、70、または82のいずれか1つに記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む。
【0232】
[0260]一部の実施形態において、宿主細胞、例えば、E.coliなどの細菌、またはCHO細胞などの真核細胞での発現のためにコドンが最適化された核酸配列が提供される。一部の例において、核酸配列は、CHO細胞での発現のためにコドンが最適化されている。一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号5、17、29、41、53、65、または77のいずれか1つに記載のコドンが最適化された核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメインを含む。一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号11、23、35、47、59、71、または83のいずれか1つに記載のコドンが最適化された核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む。特定の場合において、配列番号5、17、29、41、53、65、または77のいずれか1つの核酸配列は、CHO細胞での発現のためにコドンが最適化された核酸配列である。特定の場合において、配列番号11、23、35、47、59、71、または83のいずれか1つの核酸配列は、CHO細胞での発現のためにコドンが最適化された核酸配列である。
【0233】
[0261]ポリヌクレオチド分子は、公知の方法によって、例えば、好適なプロモーターに、および任意選択で好適な転写ターミネーターに連結された遺伝学的コンストラクトに、結合タンパク質をコードする遺伝子を取り込ませ、それを細菌または他の適切な発現系、例えばCHO細胞などで発現することによって構築される。利用されるベクター系および宿主に応じて、構成的および誘導性プロモーターを含む様々な好適な転写および翻訳エレメントを使用することができる。プロモーターは、それがそれぞれの宿主細胞においてポリヌクレオチドの発現を駆動するように選択される。
【0234】
[0262]一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、ベクター、好ましくは発現ベクターに挿入され、これは、さらなる実施形態の一つに相当する。この組換えベクターは、公知の方法に従って構築することができる。特に興味深いベクターとしては、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、ウイルス(virii)(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルスなど)、およびコスミドが挙げられる。
【0235】
[0263]様々な発現ベクター/宿主系が、記載されたTM4SF1結合タンパク質のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有および発現するのに利用することができる。E.coliでの発現のための発現ベクターの例は、pSKK(Le Gallら、J Immunol Methods.(2004)285(1):111~27)であり、または哺乳類細胞での発現のためには、pcDNA5(Invitrogen)である。
【0236】
[0264]したがって、本明細書に記載されるTM4SF1結合タンパク質は、一部の実施形態において、上述したタンパク質をコードするベクターを宿主細胞に導入し、前記宿主細胞を、タンパク質ドメインが発現される条件下で培養することによって産生され、これらは単離してもよいし、任意選択でさらに精製してもよい。
【0237】
IV. 処置の方法
[0265]本開示は、内皮細胞(EC)特異的であるが、例えば、EC-EC、EC-間葉幹細胞、EC-繊維芽細胞、EC-平滑筋細胞、EC-腫瘍細胞、EC-白血球、EC-脂肪細胞、およびEC-神経細胞相互作用に限定されない細胞-細胞相互作用を阻害する方法をさらに提供する。特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体およびフラグメントは、異常なEC-細胞相互作用によって特徴付けられる病理を有する任意のヒトの疾患または障害を処置するために使用され得る。特定の実施形態において、EC-細胞相互作用は、EC-白血球相互作用であり、EC-白血球相互作用の阻害は炎症を予防するために使用される。
【0238】
[0266]他の実施形態において、本開示は、対象における疾患または障害を処置または予防する方法に注目し、疾患または障害は、異常な内皮細胞(EC)-細胞相互作用を特徴とし、前記方法は、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。特定の実施形態において、EC-細胞相互作用は、EC-間葉幹細胞、EC-繊維芽細胞、EC-平滑筋細胞、EC-腫瘍細胞、EC-白血球、EC-脂肪細胞、およびEC-神経細胞相互作用の1つまたは複数を含む。例示的な実施形態において、疾患は、炎症性疾患または障害であり、本開示の抗体およびフラグメントは、EC-白血球相互作用を阻害するために使用される。別の例示的な実施形態において、疾患または障害は、炎症性疾患またはがんから選択される。白血球の血管内皮への付着は、炎症工程の顕著な特徴である。したがって、一実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体、またはその抗原結合フラグメントは炎症性疾患を処置するために使用され、白血球の内皮細胞への接着、または内皮を透過する白血球遊出の阻害は処置に有用である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるRychlyら、Curr Pharm Des.2006;12(29):3799~806参照)。例としては、限定はされないが、敗血症、炎症性腸疾患、乾癬、または多発性硬化症が挙げられる。
【0239】
[0267]米国だけでも、毎年およそ50万人の患者ががんにより死亡する。腫瘍転移は、これらの死の約90%の原因である。転移を遮断する治療は公知ではない。本開示は、新規の標的、TM4SF1によって媒介される腫瘍細胞(TC)-内皮細胞(EC)相互作用の免疫遮断に基づいてがんを処置し、転移細胞を阻害することができる抗体およびその抗原結合フラグメントを提供する。
【0240】
[0268]上記のように、TM4SF1は、元々は、TC浸潤および転移における役割を有するTC抗原として発見された小さい、テトラスパニン様、細胞表面糖タンパク質である。TM4SF1は、TCおよびECによって選択的に発現される。TM4SF1は、マウスとヒトの両方において正常組織に供給する血管ECに低レベルで発現される。TM4SF1は、多くのヒトがんに供給する血管の内側にある血管ECに約10~20倍の高レベルで発現され、培養ECに同等の高レベルで発現されることが示されている。
図1は、血管外遊出のためのTCとECの相互作用におけるTM4SF1の推定の役割を示す概略図を提供する。TM4SF1濃縮マイクロドメイン(TMED)は細胞表面タンパク質様インテグリンを動員し、ナノポディア、細胞表面から伸びた薄膜チャネルの形成を補助し、細胞-細胞相互作用を媒介する。したがって、特定の例において、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体およびフラグメントは、ナノポディア媒介相互作用を干渉し、TC血管外遊出に必要であるTCのECとの相互作用を阻害する。
【0241】
[0269]本明細書に記載のTM4SF1結合タンパク質または医薬組成物のいずれか1つは、病的血管新生(例えば、がん、例えば乳がん、卵巣がん、腎臓がん、結腸直腸がん、肝臓がん、胃がん、および肺がん;肥満;黄斑変性症;糖尿病性網膜症;乾癬;リウマチ性関節炎;細胞性免疫;および酒さと関連する障害を有する対象(例えばヒト)を処置するために製剤化され得る。
【0242】
[0270]TM4SF1は、ほとんどの上皮TCの表面に高度に発現され、腫瘍血管の内側にあるECおよび培養ECにおいても高度に発現される。それは、正常血管ECの表面に約10~20分の1の低レベルで発現される。マウスモデルでは、肺への腫瘍転移は、ECとTCの両方でのTM4SF1発現と関連する。転移は、血管ECへのTCの最初の接着、および肺または他の転移部位に侵入するECを透過するそれらのその後の遊走を必要とする。以下の例は、一部の例において、本開示の抗TM4SF1抗体が培養においてTC-EC相互作用と干渉し、インビボで腫瘍転移も阻害し得ることを示す。
【0243】
[0271]したがって、本開示の抗体およびフラグメントは、転移の初期段階、すなわち、血管ECへのTC接着および/またはECを透過するTCの遊出の1つまたは両方を遮断するために使用され(
図1参照)、それによりリスクのあるがん患者における転移を予防するまたは転移の数を実質的に低減させることができる。
【0244】
[0272]本開示は、転移を予防する方法をさらに提供する。ヒト腫瘍は、典型的には増殖の初期に血液およびリンパにTCを流す;それゆえに、原発性腫瘍の早期処置は転移がまだ起こっていないという保証を与えない。したがって、TM4SF1の免疫遮断は、血行性転移を処置もしくは予防するため、またはリンパ性転移を処置もしくは予防するために使用され得る。
【0245】
[0273]本開示の方法は、一部の実施形態において、対象における転移細胞を阻害することに向けられる。一実施形態において、対象は、がん、例えば転移と関連するがんまたはすでに転移したがんを有する。他の実施形態において、対象はすでにがんを処置され、寛解または部分寛解であり、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体またはフラグメントを投与することの利点は、それらが転移を予防し、寛解または部分寛解を維持するために作用することである。
【0246】
[0274]特定の実施形態において、本開示は、転移発生のリスクが高いヒトを処置する方法を提供し、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体およびフラグメントの投与は、転移の発生を阻害または遅延するために使用され得る。
【0247】
[0275]本開示には、抗TM4SF1抗体を、それを必要とする対象に投与することにより、腫瘍転移、特に肺への転移を遮断する方法が含まれる。一部の例において、抗TM4SF1抗体はヒト抗TM4SF1抗体であり、本明細書において抗hTM4SF1とも呼ばれる。特定の実施形態において、方法は、有効量の抗hTM4SF1抗体のそれを必要とする対象への投与を含み、有効量の抗体は、血管内皮細胞(EC)への腫瘍細胞(TC)の接着および血管内皮細胞(EC)を透過する遊走を予防する。
【0248】
[0276]特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体は、投与量および頻度が長期のTM4SF1免疫遮断を維持するように、がんを有する対象または転移を有するリスクのある対象に投与される。投与レジメンは、対象の正常血管ECに発現するTM4SF1を飽和するのに十分な量で対象に抗TM4SF1抗体を投与することによりTM4SF1媒介転移を最大限に阻害する。
【0249】
[0277]特定の実施形態において、投与される抗TM4SF1抗体、またはその抗原結合フラグメントの有効量は、1週間で循環抗体濃度>1μg/mlを達成するのに十分な量である。
【0250】
[0278]特定の実施形態において、投与される抗TM4SF1抗体、またはその抗原結合フラグメントの有効量は、抗体の血清濃度を約1カ月間継続して1μg/ml以上に維持するのに十分な量である。
【0251】
[0279]一実施形態において、本開示は、有効量の抗TM4SF1抗体、またはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含むヒト対象における転移を処置または予防する方法を提供し、抗体、またはその抗原結合フラグメントの有効量は、1~80mg/kgの量の抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0252】
[0280]本開示の抗体の治療用途のための投与の様式は、抗体を宿主に送達する任意の好適な経路、例えば錠剤、カプセル剤、溶液、粉末、ゲル、粒子の、およびシリンジ、移植装置、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプに含有される製剤を使用する、非経口投与、例えば皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内または皮下、肺、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)、または当業者によって認められ、当技術分野で周知の他の手段であり得る。部位特異的投与は、例えば、関節内(intrarticular)、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、体腔内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、子宮頸部内、胃内、肝臓内、心臓内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、腹膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣、直腸、頬側、舌下、鼻腔内、または経皮送達によって達成され得る。
【0253】
[0281]一部の実施形態において、本開示の抗体は、対象に、任意の好適な経路によって、例えば静脈内(i.v.)注入またはボーラス注射により非経口的に(parentally)、筋肉内または皮下または腹腔内に投与され得る。i.v.注入は、例えば15、30、60、90、120、180、もしくは240分にわたって、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12時間から与えられ得る。一部の実施形態において、対象に与えられる用量は、約0.005mg~約100mg/kg、例えば約0.05mg~約30mg/kgまたは約5mg~約25mg/kg、または約4mg/kg、約8mg/kg、約16mg/kgまたは約24mg/kg、または例えば約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10mg/kgである。特定の実施形態において、対象に与えられる用量は、例えば約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90または100mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、静脈内投与を介して約0.1mg/kg~10mg/kgであり得る。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、皮下投与を介して約0.1mg/kg~10mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、静脈内投与を介して約0.1mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、皮下投与を介して約0.1mg/kgである。一部の実施形態において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、静脈内投与を介して約0.3mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、皮下投与を介して約0.3mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、静脈内投与を介して約1.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、皮下投与を介して約1.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、静脈内投与を介して約3.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、皮下投与を介して約3.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、静脈内投与を介して約10.0mg/kgであり得る。一部の例において、対象に与えられる本開示の抗体の用量は、皮下投与を介して約10.0mg/kgである。
【0254】
[0282]特定の実施形態において、本開示の抗体の固定単位用量、例えば50、100、200、500または1000mgが与えられ、または用量は患者の表面積、例えば500、400、300、250、200、または100mg/m2に基づき得る。一部の例において、1~8の間の用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8)が投与され、患者を処置するが、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の用量が与えられる。
【0255】
[0283]本明細書に記載の本開示の抗体の投与は、一部の実施形態において、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1カ月、5週間、6週間、7週間、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月またはそれ以上の後に反復される。慢性投与として、処置の反復コースも可能である。反復投与は、同じ用量または異なる用量である。一部の例において、本明細書に記載の本開示の抗体は、8週間の間1週間間隔で8mg/kgまたは16mg/kg、続いてさらに16週間の間2週間毎に8mg/kgまたは16mg/kgでの投与、続いて静脈内注入によって4週間毎に8mg/kgまたは16mg/kgでの投与で投与される。代わりに、一部の実施形態において、本明細書に記載の本開示の抗体は、17週間の間1週間間隔で0.1mg/kg~約10mg/kgの間で投与される。例えば、一部の場合、本開示の抗体は1日投与量として、24、12、8、6、4、または2時間毎の単回または分割用量、または任意のそれらの組合せを使用して、処置の開始後少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40日目の少なくとも1日、または代わりに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20週目の少なくとも1週、またはそれらの任意の組合せに、1日当たり、約0.1~100mg/kg、例えば0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、または100mg/kgの量で提供される。一部の実施形態において、本明細書に記載の本開示の抗体は、炎症性疾患、例えばRA、乾癬性関節炎または乾癬の発症のリスクを低減させるため、炎症性疾患、例えばRA、乾癬性関節炎または乾癬の進行における事象の出現の発病を遅らせるために予防的に投与される。一部の例において、本開示の抗体は、貯蔵のために凍結乾燥され、使用前に好適な担体で再構成される。一部の場合、本開示の抗体は、フリップオフキャップの栓およびアルミニウムシールを有するガラスバイアル中の滅菌された凍結液体として供給される。一部の例において、各バイアルは、pH5.8の10mMヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、および0.04%(w/v)ポリソルベート80の製剤中3.3mLの抗体の50mg/mL溶液(10%過剰量を含む)を含有する。一部の例において、バイアルは保存剤を含有せず、単回使用用である。バイアルは凍結して保存され、光から保護される。IV投与のための抗体を調製するため、抗体製剤は、一部の例において、滅菌希釈剤に希釈される前に0.22ミクロンフィルターによって濾過される。一部の例において、およそ100mLまで体積を合わせた希釈抗体は、インライン0.22ミクロンフィルターを使用して少なくとも30分の期間にわたってIV注入によって投与される。代わりに、一部の実施形態において、抗体は、約3.3mL中50mg/mL抗体の1または2回の皮下注射として投与される。皮下注射部位は、例えば、腹部領域内であってよい。
【0256】
V.医薬組成物
[0284]本開示のTM4SF1結合タンパク質のいずれか1つ(例えば、抗TM4SF1抗体、またはその抗原結合フラグメント)または本開示のTM4SF1結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、組成物(例えば、医薬組成物)に含まれ得る。本開示の医薬組成物は、医薬的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含み得る。
【0257】
[0285]本明細書で使用する用語「医薬組成物」は、医薬的に許容される担体によって製剤化される本明細書に記載のTM4SF1結合タンパク質を含有する組成物を指し、哺乳動物における疾患の処置のための治療レジメンの一部として政府規制機関の認可により製造または販売される。医薬組成物は、例えば、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、ゲルカップ、またはシロップ)での経口投与のため、局所投与のため(例えば、クリーム、ゲル、ローション、または軟膏として)、静脈内投与のため(例えば、粒状塞栓のない滅菌溶液としておよび静脈内使用に適した溶媒系で)、または本明細書に記載の任意の他の製剤で製剤化され得る。
【0258】
[0286]本明細書で使用する用語「医薬的に許容される担体」は、それにより投与されるタンパク質の治療特性を保持しながら処置される哺乳動物(例えば、ヒト)に生理的に許容される担体を指す。1つの例示的な医薬的に許容される担体は、生理食塩水である。他の生理的に許容される担体およびそれらの製剤は当業者に公知であり、例えば参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences(18th edition、A.Gennaro、1990、Mack Publishing Company、Easton、PA)に記載される。
【0259】
[0287]上記のTM4SF1結合タンパク質を含有する医薬組成物は、一部の実施形態において、吸入可能剤形として、鼻腔内剤形として、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む剤形、マイクロ粒子を含む剤形、ポリマー剤形、またはそれらの任意の組合せとして、溶液、グリセロール中分散液、液体ポリエチレングリコール、および油中、固体剤形中のそれらの任意の組合せとして調製される。
【0260】
[0288]医薬的に許容される賦形剤は、一部の例において、Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical Association(1986)に記載の賦形剤である。好適な賦形剤の非限定的な例としては、緩衝剤、保存剤、安定剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、キレート剤、分散強化剤、崩壊剤、風味剤、甘味料、着色料が挙げられる。
【0261】
[0289]一部の実施形態において、賦形剤は緩衝剤である。好適な緩衝剤の非限定的な例としては、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸水素カルシウムが挙げられる。緩衝剤としては、一部の実施形態において、本開示の医薬組成物において、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム(magnesium glucomate)、水酸化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および他のカルシウム塩またはそれらの組合せが使用される。
【0262】
[0290]一部の実施形態において、賦形剤は保存剤を含む。好適な保存剤の非限定的な例としては、抗酸化剤、例えばαトコフェロールおよびアスコルビン酸塩、ならびに抗菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、およびフェノールが挙げられる。一部の例において、抗酸化剤としては、限定はされないが、EDTA、クエン酸、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、システイン、メチオニン、エタノールおよびN-アセチルシステインがさらに挙げられる。一部の例において、保存剤としては、バリダマイシンA、TL-3、オルトバナジウム酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、N-a-トシル-Phe-クロロメチルケトン、N-a-トシル-Lys-クロロメチルケトン、アプロチニン、フッ化フェニルメチルスルホニル、ジイソプロピルフルオロリン酸、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、カスパーゼ阻害剤、グランザイム阻害剤、細胞接着阻害剤、細胞分裂阻害剤、細胞周期阻害剤、脂質シグナル伝達阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、アルキル化剤、抗菌剤、オキシダーゼ阻害剤、または他の阻害剤が挙げられる。
【0263】
[0291]一部の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤として結合剤を含む。好適な結合剤の非限定的な例としては、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキサゾリドン(polyvinyloxoazolidone)、ポリビニルアルコール、C12~C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、サッカリド、オリゴサッカリド、およびこれらの組合せが挙げられる。医薬製剤に使用される結合剤は、一部の例において、デンプン、例えばジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン;糖、例えばスクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース、マルトデキストリン;天然および合成ゴム;ゼラチン;セルロース誘導体、例えば結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルピロリドン(ポビドン);ポリエチレングリコール(PEG);ワックス;炭酸カルシウム;リン酸カルシウム;アルコール、例えばソルビトール、キシリトール、マンニトール、および水またはこれらの任意の組合せから選択される。
【0264】
[0292]一部の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤として潤滑剤を含む。好適な潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水添植物油、ステロテックス、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、滑石、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムおよび軽油が挙げられる。医薬製剤に使用される潤滑剤は、一部の実施形態において、ステアリン酸金属塩類(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、脂肪酸エステル(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、脂肪アルコール、ベヘン酸グリセリル、鉱油、パラフィン、水添植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール(PEG)、ラウリル硫酸金属塩類(metallic lauryl sulphate)(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム)、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および滑石またはこれらの組合せから選択される。
【0265】
[0293]一部の実施形態において、医薬製剤は賦形剤として分散強化剤を含む。好適な分散剤の非限定的な例としては、一部の例において、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、グアーゴム、カオリン、ベントナイト、精製木材セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、イソアモルファスシリケート、および高HLB乳化剤界面活性剤としての結晶セルロースが挙げられる。
【0266】
[0294]一部の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤として崩壊剤を含む。一部の実施形態において、崩壊剤は非起泡性崩壊剤である。好適な非起泡性崩壊剤の非限定的な例としては、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、これらのアルファ化および修飾デンプン、甘味料、粘土、例えばベントナイト、結晶セルロース、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ゴム、例えばカンテン、ガウア、イナゴマメ、カラヤ、ペシチン(pecitin)、およびトラガカントが挙げられる。一部の実施形態において、崩壊剤は起泡性崩壊剤である。好適な起泡性崩壊剤の非限定的な例としては、クエン酸と組み合わせた炭酸水素ナトリウムおよび酒石酸と組み合わせた炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
【0267】
[0295]一部の実施形態において、賦形剤は風味剤を含む。外層に組み込まれる風味剤は、一部の例において、合成風味油および風味香料;天然油;植物、葉、花および果物からの抽出物ならびにこれらの組合せから選択される。一部の実施形態において、風味剤は、ケイヒ油;ウインターグリーン油;ハッカ油;クローバー油;干し草油;アニス油;ユーカリ;バニラ;柑橘類の油、例えばレモン油、オレンジ油、ブドウおよびグレープフルーツ油;ならびにリンゴ、モモ、セイヨウナシ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップルおよびアプリコットを含む果実エキスからなる群から選択され得る。
【0268】
[0296]一部の実施形態において、賦形剤は、甘味料を含む。好適な甘味料の非限定的な例としては、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトースおよびこれらの混合物(担体として使用されない場合);サッカリンおよびその様々な塩、例えばナトリウム塩;ジペプチド甘味料、例えばアスパルテーム;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリジン;ステビア(Stevia Rebaudiana)(ステビオシド);スクロースのクロロ誘導体、例えばスクラロース;および糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、シリトール(sylitol)などが挙げられる。
【0269】
[0297]一部の例において、本明細書に記載の医薬組成物は、着色料を含む。好適な着色料の非限定的な例としては、食品、医薬品および化粧品色素(FD&C)、医薬品および化粧品色素(D&C)、ならびに外用医薬品および化粧品色素(Ext.D&C)が挙げられる。着色料は、染料またはこれらの対応するレーキとして使用され得る。
【0270】
[0298]一部の例において、本明細書に記載の医薬組成物は、キレート剤を含む。一部の場合、キレート剤は殺真菌性キレート剤である。例としては、限定はされないが、以下が挙げられる:エチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸(EDTA);EDTAの二ナトリウム、三ナトリウム、四ナトリウム、二カリウム、三カリウム、二リチウムおよび二アンモニウム塩;EDTAのバリウム、カルシウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、ユーロピウム、鉄、インジウム、ランタン、マグネシウム、マンガン、ニッケル、サマリウム、ストロンチウム、または亜鉛キレート;トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N’,N’-四酢酸一水和物;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン;1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸;1,3-ジアミノプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸;エチレンジアミン-N,N’-二酢酸;エチレンジアミン-N,N’-二プロピオン酸二塩酸塩;エチレンジアミン-N,N’-ビス(メチレンホスホン酸)半水和物;N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N’-三酢酸;エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラキス(メチレンホスホン酸);O,O’-ビス(2-アミノエチル)エチレングリコール-N,N,N’,N’-四酢酸;N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸;1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸;N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸;イミノ二酢酸;1,2-ジアミノプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸;ニトリロ三酢酸;ニトリロ三プロピオン酸;ニトリロトリス(メチレンホスホン酸(methylenephosphoric acid))の三ナトリウム塩;7,19,30-トリオキサ-1,4,10,13,16,22,27,33-オクタアザビシクロ[11,11,11]ペンタトリアコンタンヘキサヒドロブロミド;またはトリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸。
【0271】
[0299]また、本明細書で開示される抗TM4SF1抗体および1つまたは複数の他の抗菌剤または抗真菌剤、例えば、ポリエン、例えば、アンホテリシンB、アンホテリシンB脂質複合体(ABCD)、リポソーム型アンホテリシンB(L-AMB)およびリポソーム型ナイスタチン、アゾールおよびトリアゾール、例えばボリコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール(pozaconazole)など;グルカンシンターゼ阻害剤、例えば、カスポファンギン、ミカファンギン(FK463)、およびV-エキノカンジン(LY303366);グリセオフルビン;アリルアミン、例えば、テルビナフィン;フルシトシンまたは本明細書に記載されるそれらを含む他の抗真菌剤を含む組合せ製品が考えられる。さらに、ペプチドは、局所抗真菌剤、例えば、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレン酸塩、局所ナイスタチン(nysatin)、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィンおよび他の局所薬剤と組み合わされ得ると考えられる。一部の例において、医薬組成物は、さらなる薬剤を含む。一部の場合、さらなる薬剤は医薬組成物に治療有効量で存在する。
【0272】
[0300]貯蔵および使用の通常の条件下で、本明細書に記載の医薬組成物は、保存剤を含み、微生物の増殖を防止する。特定の例において、本明細書に記載の医薬組成物は、保存剤を含まない。注射可能な使用に好適な医薬品形態は、滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末を含む。医薬組成物は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および/または植物油、またはこれらの任意の組合せを含有する溶媒または分散培地である担体を含む。良好な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散液の場合必要な粒子サイズの維持によって、ならびに界面活性剤の使用によって維持される。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムが含まれる。注射可能な組成物の吸収の延長は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物での使用によってもたらされ得る。
【0273】
[0301]水溶液での非経口投与のため、例えば、液体剤形は必要であれば好適に緩衝され、液体希釈剤は十分な生理食塩水またはグルコースによって等張にされる。液体剤形は、特に静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内、および腹腔内投与に好適である。これに関連して、用いられ得る滅菌水性培地は、本開示に照らして当業者に公知である。例えば、1回の投与量は、特定の場合、1mL~20mLの等張NaCl溶液に溶解され、100mL~1000mLの液体、例えば炭酸水素ナトリウム緩衝生理食塩水に添加されるか、注入の提案された部位で注射された。
【0274】
[0302]特定の実施形態において、滅菌注射可能溶液は、免疫療法剤を、必要な場合、上記に列挙した様々な他の成分と適切な溶媒に必要な量で組み入れ、滅菌濾過することによって調製される。通常、分散液は様々な滅菌活性成分を、基本分散培地および上記に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み入れることによって調製される。本明細書で開示される組成物は、一部の例において、中性または塩形態に製剤化される。医薬的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基によって形成される)が挙げられ、それらは無機酸、例えば塩酸もしくはリン酸など、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などによって形成される。遊離カルボキシル基によって形成された塩は、一部の場合、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムなど、または水酸化第二鉄、および有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどに由来する。製剤時、医薬組成物は、一部の実施形態において、投与製剤に対応した方法および治療に有効であるような量で投与される。
【0275】
[0303]特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせて本明細書で開示される有効量の抗TM4SF1抗体を含む。本明細書で使用する「医薬的に許容される」は、活性成分の生物学的活性の有効性に干渉しないおよび/または投与される患者に毒性ではない任意の担体を含む。好適な医薬担体の非限定的な例としては、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン、例えば、油/水型エマルジョン、様々な型の湿潤剤および滅菌溶液が挙げられる。医薬的に適合する担体のさらなる非限定的な例としては、ゲル、生体吸収性マトリックス材、免疫療法剤または任意の他の好適なビヒクルを含有する移植エレメント、送達または分配手段または材料が挙げられ得る。そのような担体は、例えば従来の方法によって製剤化され、有効量で対象に投与される。
【0276】
VI.組合せ療法
[0304]特定の実施形態において、本開示の方法は、1つまたは複数のさらなる治療に続く、先行されるまたは組み合わせる、本明細書で開示される抗TM4SF1抗体を投与することを含む。さらなる治療の例としては、限定はされないが、化学療法、放射線、抗がん剤、またはこれらの任意の組合せが挙げられ得る。さらなる治療は、免疫療法の投与と同時にまたは順に投与され得る。特定の実施形態において、本開示の方法は、1つまたは複数の抗がん剤またはがん治療に続く、先行される、または組み合わせる本明細書で開示される免疫療法を投与することを含む。抗がん剤としては、限定はされないが、化学療法剤、放射線療法剤、サイトカイン、免疫チェックポイント阻害剤、抗血管新生剤、アポトーシス誘導剤、抗がん抗体、および/または抗サイクリン依存性キナーゼ剤が挙げられる。特定の実施形態において、がん治療としては、化学療法、生物学的療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、抗血管療法、寒冷療法、毒物療法、および/または外科手術またはこれらの組合せが挙げられる。特定の実施形態において、本開示の方法は、1つまたは複数のさらなる免疫調節剤に続く、先行される、または組み合わせる本明細書で開示される免疫療法を投与することを含む。免疫調節剤としては、一部の例において、腫瘍またはがんと関連する抗ウイルス免疫を抑制することができる任意の化合物、分子または物質が挙げられる。さらなる免疫調節剤の非限定的な例としては、抗CD33抗体またはこれらの可変領域、抗CD11b抗体またはこれらの可変領域、COX2阻害剤、例えばセレコキシブ、サイトカイン、例えばIL-12、GM-CSF、IL-2、IFN3およびIFNγ、ならびにケモカイン、例えばMIP-1、MCP-1、およびIL-8が挙げられる。
【0277】
[0305]特定の例において、さらなる治療は例示的な放射線量が5,000Rads(50Gy)~100,000Rads(1000Gy)、または50,000Rads(500Gy)、または記載した範囲内の他の適切な線量である。代わりに、例えば上記の線量測定試験によって決定された線量により、放射線量は約30~60Gy、約40~約50Gy、約40~48Gy、または約44Gy、または記載した範囲内の他の適切な線量である。本明細書で使用する「Gy」は、100Radsに等しい放射線の特定の吸収線量の単位を指し得る。Gyは、「グレイ(Gray)」の省略形である。
【0278】
[0306]特定の例において、さらなる治療は化学療法であり、例示的な化学療法剤としては、限定されないが、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード誘導体、エチレンイミン、スルホン酸アルキル、ヒドラジンおよびトリアジン、ニトロソウレア(nitrosurea)、ならびに金属塩)、植物アルカロイド(例えば、ベンカアルカロイド、タキサン、ポドフィロトキシン、およびカンプトテシン(camptothecan)類似体)、抗腫瘍抗生物質(例えば、アントラサイクリン、クロモマイシンなど)、代謝拮抗薬(例えば、葉酸拮抗薬、ピリミジン拮抗薬、プリン拮抗薬、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤)、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、および種々の抗悪性腫瘍薬(例えば、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、副腎皮質ステロイド阻害剤、酵素、微小管阻害剤、およびレチノイド)が挙げられる。例示的な化学療法剤としては、限定はされないが、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、ブレオマイシン硫酸塩(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注射剤(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射剤(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメガン(cosmegan))、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射剤(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン(tezacitibine)、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イフォスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキセート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、フェニックス(イットリウム90/MX-DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラント含有ポリフェプロサン20(Gliadel(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用の塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))、イブルチニブ、イデラリシブ、およびブレンツキシマブベドチンが挙げられ得る。
【0279】
[0307]例示的なアルキル化剤としては、限定はされないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレアおよびトリアゼン):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen Mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イフォスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスフォルアミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))が挙げられる。さらなる例示的なアルキル化剤としては、限定はされないが、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)およびTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシンDとしても公知、Cosmegen(登録商標));メルファラン(L-PAM、L-サルコリシン、およびフェニルアラニンマスタードとしても公知、Alkeran(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知、Hexalen(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(Busulfex(登録商標)およびMyleran(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));ロムスチン(CCNUとしても公知、CeeNU(登録商標));シスプラチン(CDDPとしても公知、Platinol(登録商標)およびPlatinol(登録商標)-AQ);クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)およびNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミドとしても公知、DTIC-Dome(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知、Hexalen(登録商標));イフォスファミド(Ifex(登録商標));プレドニマスチン(Prednumustine);プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチンおよび塩酸メクロレタミン(mechloroethamine)としても公知、Mustargen(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスファミド(thiophosphoamide)、TESPAおよびTSPAとしても公知、Thioplex(登録商標));シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標));およびベンダムスチンHCl(Treanda(登録商標))が挙げられる。
【0280】
[0308]例示的なアントラサイクリンとしては、限定はされないが、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)およびRubex(登録商標));ブレオマイシン(Lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(塩酸ダウノルビシン(dauorubicin hydrochloride)、ダウノマイシン、および塩酸ルビドマイシン、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(クエン酸ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標)、Idamycin PFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;およびデスアセチルラビドマイシンが挙げられ得る。
【0281】
[0309]例示的なビンカアルカロイドとしては、限定はされないが、酒石酸ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチンおよびVLBとしても公知、Alkaban-AQ(登録商標)およびVelban(登録商標));およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))が挙げられる。
【0282】
[0310]例示的なプロテオソーム阻害剤としては、限定はされないが、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));カルフィルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-N-((S)-1-(((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI-0052);クエン酸イキサゾミブ(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);およびO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912)が挙げられ得る。
【0283】
[0311]本明細書で使用する「と組み合わせて」は、抗TM4SF1抗体とさらなる治療が、処置レジメンまたは計画の一部として対象に投与されることを意味する。特定の実施形態において、組合せで使用されることは、抗TM4SF1抗体とさらなる治療が投与前に物理的に組み合わされるまたは同じ時間枠にわたって投与される必要がない。例えば、限定としてではなく、抗TM4SF1抗体と1つまたは複数の薬剤は、処置される対象に同時に投与される、または同時にもしくは任意の順序でもしくは異なる時点で順に投与される。
【0284】
VII.キット
[0312]本開示は、本開示の組成物(例えば医薬組成物)(例えば本開示の抗TM4SF1抗体を含む組成物)を含むキットを提供する。キットは、臨床医(例えば医師または看護師)がそこに含有される組成物を対象に投与し、病的血管新生(例えばがん)と関連する障害を処置することを可能にする説明書を含む。
【0285】
[0313]特定の実施形態において、キットは、有効量の本開示の抗体を含有する単回用量の医薬組成物のパッケージを含む。任意選択により、医薬組成物を投与することに必要な器具または装置がキットに含まれ得る。例えば、本開示のキットは、本開示の有効量のワクチン、ベクター、安定化三量体、または最適化ウイルスポリペプチドを含有する1つまたは複数のプレフィルドシリンジを提供し得る。さらに、キットはさらなる構成成分、例えば、病的血管新生(例えばがん)と関連する障害を有する対象の投与スケジュールに関する説明書も含み、本開示のTM4SF1結合タンパク質またはポリヌクレオチドを含有する医薬組成物を使用し得る。
【0286】
[0314]本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、本開示の組成物、方法、およびキットに様々な修正および変更がなされ得ることは当業者には明らかである。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に入ることを条件に本開示の修正および変更をカバーすることを意図する。
【実施例】
【0287】
[0315]以下の実施例は、例示のために提供され、ここで請求する開示に限定しない。
実施例1.腫瘍細胞(TC)-内皮細胞(EC)相互作用はTM4SF1によって媒介される
[0316]本研究の目的は、TM4SF1の発現とTC転移の間のTC相関におけるTM4SF1の発現、ならびに本開示に記載の、EC-TC相互作用への例示的な抗TM4SF1抗体の効果を決定することであった。TM4SF1のレベルは、野生型マウス(TM4SF1+/+)と比較して、TM4SF1ヘテロ接合(+/-)マウスを使用する転移とインビボで相関した。肺へのTC転移の頻度は、EC TM4SF1発現によって変わる。
図2に示すように、B16F10 TCの尾静脈注射後の肺転移は、野生型(+/+)TM4SF1の正常レベルの約1/2を発現するTM4SF1ヘテロ接合(+/-)マウスにおいておよそ5分の1であった。
【0288】
[0317]TM4SF1発現は、B16F10細胞においても研究された。
図3Aおよび
図3Bに示す結果は、B16F10 TCの転移能力が、TM4SF1発現によって変わることを示す。
図3Aに示すように、TM4SF1発現レベルは培養密度によって減少した。
図3Bに示すように、高TM4SF1発現B16F10細胞は、低TM4SF1発現体よりも肺転移を生成した。
【0289】
[0318]さらなる実験は、B16F10細胞が、抗TM4SF1抗体AGX-A01によって処置されたヒト肺微小血管EC(HLMEC)の単層に弱く接着し、異常に遊走し、頻繁に剥がれることを示した(
図4;AGX-A01は、PCT/US2014/059761では抗体8G4と呼ばれ、AGX-A01の可変重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号1および配列番号2として記載されたアミノ酸配列を含む)。GFP標識B16F10細胞は、RFP標識HLMECのローンの上に重ねられた。
図4に示す代表的なライブ細胞イメージングからの連続画像は、対照(Ctl)抗体と対照的に、抗TM4SF1抗体(10μg/ml)は遊走のためのTC相互作用と干渉し、細胞脱離をもたらす広範で、不規則な細胞突出を生じることを実証する。
【0290】
実施例2.抗ヒトTM4SF1抗体はTC-EC相互作用を阻害し、TC遊走を遮断することができる
[0319]いくつかの例示的なモノクローナル抗体(AGX-A03、AGX-A04、AGX-A05、AGX-A07、AGX-A08、AGX-A09、およびAGX-A11)が、ヒトTM4SF1(hTM4SF1)に対して生じた。それらの治療価値を決定するため、各例示的な抗hTM4SF1抗体が試験され、どの抗体が培養ヒト肺微小血管内皮細胞(EC)への腫瘍細胞(TC)接着および/または培養ヒト肺微小血管内皮細胞(EC)を透過する遊走を阻害することができるか決定する。
【0291】
[0320]例示的な抗hTM4SF1抗体の7個全て(AGX-A03、AGX-A04、AGX-A05、AGX-A07、AGX-A08、AGX-A09、およびAGX-A11)は、ヒトおよびカニクイザルTM4SF1と交差反応する。
【0292】
[0321]対照的に、抗体AGX-A01(PCT/US2014/059761では、抗体8G4と呼ばれる)は、ヒトに対してナノモル以下の親和性で反応するが、カニクイザルTM4SF1とは反応しない。7個の抗体のそれぞれの可変領域を含むキメラ抗体が作成され、切除されたADCCおよびCDCエフェクター機能を有するアイソタイプヒトIgG1である。それらは、TM4SF1のECL-2ループ上の異なるエピトープと反応する。
【0293】
[0322]アイソタイプ適合抗体は、他に指定しない限り、以下および本明細書に記載の実験を通して対照として働く。
[0323]それぞれ高い(109±17 mRNAコピー数/細胞)および低い(1.5±2.6 mRNAコピー数/細胞)レベルのTM4SF1を発現する2つのヒト乳腺癌細胞株、MDA-MB-468およびMCF-7が、これらの研究のために選択される。120±17 mRNAコピー数/細胞でTM4SF1を発現するヒト肺微小血管内皮細胞(HLMEC)は、ヒト肺微小血管系由来である(Lonza Biologics Inc)。10μg/ml AGX-A01は、MDA-MB-468とHLMECの両方においてフローサイトメトリーで細胞表面のTM4SF1結合を飽和することが示されており、B16F10 TC-EC相互作用を遮断する用量が
図4に示された。2日間の細胞培養では1mg/ml AGX-A01もの高い用量でもインビボでのHLMECに対する毒性が観察されなかった。
【0294】
EC-TC相互作用(ECへのTC接着および/またはECを透過する遊走)を阻害する抗体濃度の決定
[0324]研究は、EC-TC相互作用(ECへのTC接着および/またはECを透過する遊走)を阻害する抗体濃度を決定するために実施される。HLMECを増殖させ、4ウェルスライドチャンバーに単層を形成させる。段階希釈100、10、1および0μg/mlの抗体(7個の抗hTM4SF1試験抗体またはアイソタイプ適合対照抗体のそれぞれ)が各ウェルに添加され、103個のGFPトランスフェクトTCの添加前に0.5時間HLMECによって平衡化させる。1時間および4時間後、培養培地は優しくリンスした後に除去され、弱く結合した、または剥がれたTCを除き、チャンバーは温かい培養培地によって1回洗浄され、次いで37℃に前もって温めたパラホルムアルデヒドによって固定される。EVOS FL Auto Cell Imaging System(ThermoFisher)が用いられ、単層の上部からマトリックスの下部まで、Zスタック機能によってウェル全体がスキャンされる。次いで、個々の画像は、自動で合わされ、EVOSによって一緒にZスタックされ、蛍光シグナルが計数され、接着および遊出したTCの数が得られる。ライブ細胞イメージングもEVOSイメージングシステムを使用して実行され、それらが起こる場合、EC-TC相互作用が観察される。
【0295】
[0325]7個の例示的な抗hTM4SF1試験抗体のそれぞれがHLMEC単層へのTC接着を阻害することが観察される。さらに、8個の例示的な抗hTM4SF1抗体のそれぞれがHLMEC単層を透過する遊走を阻害することが観察される。
【0296】
実施例3.抗TM4SF1抗体投与レジメン
[0326]以下の実験は、C57B1/6マウスにおける長期のTM4SF1免疫遮断を確立および維持する本開示の例示的な抗TM4SF1抗体の投与レジメンを決定するために実施される。投与レジメンは、C57B1/6マウスの正常な血管ECに発現するTM4SF1を飽和するのに十分な例示的な抗TM4SF1抗体の量を注射することによってTM4SF1媒介転移を最大限に阻害する。
【0297】
[0327]本明細書の実施例3に規定する「飽和用量」は、注射した例示的な抗TM4SF1抗体の数がインビボでマウスにおいて利用可能な結合部位の数に等しい用量である。例示的な抗TM4SF1抗体の様々な用量での薬力学(PK)アッセイは、血清抗TM4SF1抗体濃度が、注射用量が飽和用量を超えるとすぐに急速に上昇するため、飽和用量を同定する。以下に示す表1は、約0.5nMの親和性Kdを有する例示的な抗TM4SF1抗体の注射用量、血清濃度、および免疫遮断のレベルの間の予期される関係を要約する。
【0298】
[0328]
【0299】
【0300】
[0329]特定の例において、3mg/kgの例示的な抗TM4SF1試験抗体の投与が、12時間でおよそ0.07μg/mlの血清濃度に達し、予測される平衡血清濃度をわずかに上回ることが観察される。対照的に、任意のマウスタンパク質と相互作用しない抗hTM4SF1抗体(AGX-A01)は、同じ用量で、および抗体応答を誘導せずに12日間より長く>5μg/mlの血清レベルを維持する。
【0301】
3.1 1週間で高レベルの免疫遮断を達成するために必要な例示的な抗TM4SF1試験抗体の初期用量の決定
[0330]研究が実施され、それにより例示的な抗TM4SF1試験抗体が30mg/kgの単回用量でマウスに投与される。抗TM4SF1抗体の腹腔内投与の24時間後、B16F10転移TCがマウスに注射される。抗mTM4SF1抗体を受けるマウスは、腫瘍細胞を注射されるが、例示的な抗TM4SF1試験抗体によって処置されない対照マウスに対して、例えば約83%まで肺転移の低減を示すことが観察される。
【0302】
[0331]さらなる実験では、例示的な抗TM4SF1試験抗体の飽和用量は、5匹の8週齢の雌のC57B1/6マウスの群への例示的な抗mTM4SF1試験抗体の単一の高い(40mg/kg)用量、ならびに2つの低い(20および10mg/kg)用量からなる一連のPKアッセイによって同定される。
【0303】
[0332]血清に存在する例示的な抗TM4SF1試験抗体のレベルは、フローサイトメトリーによってアッセイされる。簡単に言うと、血液(約30μl)が回収され、血清は4℃で30分間、高レベルのマウスTM4SF1(215±27 TM4SF1 mRNAコピー数/細胞)を発現するMS1マウスECとのインキュベーションのためにPBSで必要に応じて希釈される。次いで、細胞は、PBSで洗浄され、未結合の抗体が除去され、4℃で30分間AlexaFlour-488標識抗ヒト二次抗体とインキュベートされる。存在する例示的な抗TM4SF1試験抗体の量は、抗TM4SF1抗体の10倍段階希釈濃度を使用して作成された標準曲線から決定される。このアッセイは、典型的には0.001μg/mlの感受性を有する。特定の場合において、免疫遮断は、血清レベル1μg/mlで約93%、血清レベル約5μg/mlで98.5%であることが見出された。
【0304】
[0333]これらの実験の目的は、1週間で、循環抗体濃度>1μg/ml、例えば約5μg/mlを達成する初期用量を同定することである。
3.2 長期の、高レベル免疫遮断を維持するために必要な1週間当たりの維持用量のサイズの決定
[0334]この実験の目的は、一貫して1μg/mlを超える循環中の抗mTM4SF1抗体のレベルによって示される、血管TM4SF1の高レベルの免疫遮断を維持する例示的な抗TM4SF1試験抗体の1週間当たりの維持用量を同定することである。
【0305】
[0335]所望の1週間当たりの維持用量は、次の維持用量注射まで少なくとも7日間、1μg/mlを超える、理想的には5μg/mlに近い、例示的な抗TM4SF1試験抗体の血清濃度を維持する。維持用量を決定するため、上記の3.1で決定した初期用量は開始用量として使用され、次いで約7日で、初期用量の100%、50%、25%および0%に等しい維持用量が試験される。例示的な抗TM4SF1試験抗体の14日目の血清濃度に依存して、14日目の維持用量は、注射後7日目の血清濃度を所望の1~5μg/ml範囲にするためにマウスの各群で調整される。このサイクルは、全ての群が同じ維持用量に収束するまで繰り返される。対照抗体群により、これらの実験は120匹の8週齢の雌のC57B1/6マウスを使用する(2抗体×4群×5匹のマウス/群×3回繰り返し)。
【0306】
3.3.毒性および抗mTM4SF1免疫原性のモニタリング
[0336]実験は、例示的な抗TM4SF1試験抗体の1週間当たりの維持用量を投与されるマウスにおける毒性を決定するために実施される。実施例3.2で決定された1週間当たりの維持用量は、少なくとも3カ月の期間続けられ、マウスは毒性の兆候および抗TM4SF1試験抗体免疫原性をモニターされる。
【0307】
[0337]免疫遮断の維持を確実にするため、およびマウスが抗mTM4SF抗体に対する抗体を発生するかどうか調べるため、血液が毎週採取され、以下が評価される:(a)抗TM4SF1試験抗体の血清濃度;および(b)アッセイされる抗TM4SF1試験抗体によってコートされたプレートおよび抗マウスIgG二次抗体を使用するELISAアッセイによって開発された任意の抗TM4SF1試験抗体存在の可能性。これらの実験は30匹のマウスを含む(2抗体×5匹のマウス/群×3回繰り返し)。
【0308】
実施例4.肺転移の2匹のマウスモデルにおける例示的な抗TM4SF1試験抗体の抗転移能力
[0338]3つのレベルの免疫遮断の有効性がB10F10メラノーマ腫瘍細胞およびMMTV Pyt(マウス乳腺腫瘍ポリオーマウイルスミドルT抗原)において試験される。投与は、上記の実施例3で同定された投与スケジュールの100%、50%、および25%などであり、肺で生じる転移負荷が定量される。
【0309】
[0339]両モデルにおいて、免疫遮断のレベルの関数として転移の数が定量され、達成される目的は肺転移の少なくとも50%低減である。
4.1.B16F10 TCのiv(尾静脈)注射後の肺転移の定量
[0340]尾静脈を介して注射されたTC(100μl PBS中2×105個の細胞)は、最初の通過後、肺による循環から除去され;14日目までに目に見える肺転移が発生する。転移は標準的な方法(例えば、Overwijk WW、Restifo NP.B16 as a mouse model for human melanoma.Curr Protoc Immunol 2001;Chapter 20:Unit 20 1;Brown LM、Welch DR、Rannels SR.B16F10 melanoma cell colonization of mouse lung is enhanced by partial pneumonectomy.Clin Exp Metastasis 2002;19:369~76.35;Khanna C、Hunter K.Modeling metastasis in vivo.Carcinogenesis 2005;26:513~23に記載される)によって評価され、目に見える腫瘍結節の総数および腫瘍大結節(直径>1mm)対腫瘍小結節(直径<1mm)の数を計数する。
【0310】
4.1.1.例示的な抗TM4SF1試験抗体によるマウスの処置
[0341]研究は、肺での転移負荷がTM4SF1免疫遮断の程度の関数であるかどうか、およびどの程度であるか決定するために実施される。3つのレベルの抗TM4SF1試験抗体免疫遮断は、実施例3.1の結果に基づいて試験される:100%遮断を達成する例示的な抗TM4SF1試験抗体用量(例えば、血清中1~5μg/mlの抗TM4SF1試験抗体)、ならびにその用量の50%および25%を示す用量の単回注射。B16F10細胞注射は、抗体注射後4日で実施され、それは典型的には免疫遮断が100%免疫遮断に近づき始める時間である。マウスは、B16F10細胞注射後14日、すなわち最初の注射後18日で屠殺される。血液試料は、-0日、-4日(細胞注射前)、+7日(細胞注射後)、+14日、および+18日目に採取され、抗TM4SF1試験抗体の血清濃度を評価する。対照抗体群を含み、90匹の8週齢の雌のC57B1/6マウス(2抗体×3用量/抗体×5匹のマウス/群×3回繰り返し)が研究に使用される。
【0311】
4.1.2.マウスへの注射前の抗mTM4SF1抗体によるTCの処置
[0342]B16F10細胞は、高レベルのTM4SF1(
図3Aに示すように10%の培養密度で終夜培養後の約130TM4SF1 mRNAコピー数/細胞)を発現する。肺転移へのTC TM4SF1の選択的免疫遮断の効果は本研究で調べられる。これらの実験は、TCを4℃で1時間、10μg/mlの例示的な抗TM4SF1抗体とインキュベートし、TM4SF1結合部位を飽和し、次いで洗浄して、マウスへの注射前に未結合の抗TM4SF1試験抗体を除去することを除いて、実施例4.1.1.に記載したプロトコールに従う。例示的な抗TM4SF1試験抗体および対照抗体のため、本研究では30匹のマウス(2抗体×1用量/抗体×5匹のマウス/群×3回繰り返し)が使用される。
【0312】
[0343]上記のように処置されたTCは、続いて尾静脈を介して注射され、肺を通る最初の通過後に循環から除去されることが見出され、それによりTC TM4SF1の免疫遮断がマウスにおいてインビボで転移阻害に寄与することを実証する。
【0313】
4.2.MMTV-Pytモデルにおける自発的肺転移
[0344]MMTV-Pytマウス乳腺腫瘍転移モデルは、過形成から前悪性、次いで直に8~12週齢まで転移能力を有する浸潤性腺管癌にヒトがんの進行を再現する。8週齢後、TCは継続して流され、継続的な免疫遮断が転移の予防に必要なヒトにおける臨床状況を複製する。目に見える肺転移は、およそ13週で開始するようである。
【0314】
[0345]例示的な抗TM4SF1試験抗体の有効性を試験するため、抗体処置は、原発性悪性腫瘍が乳腺で最初に現れる年齢である、8週齢の雌のMMTV-Pytマウスに始めに投与される。実施例3で開発された抗TM4SF1試験抗体の投与スケジュールが本明細書で使用される。マウスは、16週で屠殺される。肺転移の数および腫瘤が評価され、実施例4.1に記載のように転移を計数する。対照抗体も含めて、90匹の7週齢の雌のPytマウス(2抗体×3用量/Ab×5匹のマウス/群×3回繰り返し)が研究のために使用される。
【0315】
[0346]腫瘍血管のTCおよび血管新生ECの両方とも、新しい表面TM4SF1を定常的に生成する細胞を活発に代謝および分裂するため、腫瘍の存在(乳腺および肺転移おいて両方とも原発性)は、免疫遮断を維持するために必要とされる抗TM4SF1試験抗体の用量を増加し得ることが可能である。結果として、実施例3の腫瘍なしマウスで開発された投与スケジュールは、特定の例において、実施例4.2の腫瘍担持マウスにおける等価な免疫遮断を維持するように調整される。循環する抗TM4SF1試験抗体レベルのPK評価が定期的に行われ、血清抗体レベルを1μg/mlより高く維持することを確認する;そうでない場合、さらなる抗体が注射され、所望の免疫遮断を維持する。
【0316】
[0347]抗TM4SF1抗体(ヒトIgGバックボーンに対する)は、実験期間の8週中に発生することが可能であるが、そのような抗体は12日目までに発生することが見出されていない。抗TM4SF1抗体が発生する場合、研究は、ヒトIgGの代わりにマウスIgGバックボーンを含む例示的な抗TM4SF1抗体によって繰り返される。
【0317】
[0348]本明細書に記載の両モデルにおいて、目的はTM4SF1免疫遮断の程度の関数として肺での転移負荷を定量し、肺転移の少なくとも50%低減を達成することである。
実施例5.ヒト化突然変異TM4SF1抗体は、原発性内皮細胞においてTM4SF1に結合し得る
[0349]ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、4℃で様々な試験抗体(1μg/ml)によって前標識され、37℃の培養に戻された。
【0318】
[0350]本研究に使用した試験抗体は以下であった:ヒト化AGX-A07 H2L5(配列番号97に記載の軽鎖アミノ酸配列(AGX-A07 L5)および配列番号90に記載の重鎖アミノ酸配列(AGX-A07 H2)を含む);ヒト化突然変異(hm)AGX-A07 H2L5 V1(配列番号99に記載の軽鎖アミノ酸配列(AGX-A07 L5v1)および配列番号92に記載の重鎖アミノ酸配列(AGX-A07 H2v1)を含む);hmAGX-A07 H2L5 V2(配列番号101に記載の軽鎖アミノ酸配列(AGX-A07 L5v2)および配列番号92に記載の重鎖アミノ酸配列(AGX-A07 H2v1)を含む);hmAGX-A07 H2L5 V3(配列番号103に記載の軽鎖アミノ酸配列(AGX-A07 L5v3)および配列番号92に記載の重鎖アミノ酸配列(AGX-A07 H2v1)を含む);hmAGX-A07 H2L5 V4(配列番号105に記載の軽鎖アミノ酸配列(AGX-A07 L5v4)および配列番号92に記載の重鎖アミノ酸配列(AGX-A07 H2v1)を含む);ならびにヒト化AGX-A01。
【0319】
[0351]
図12の平均蛍光強度(MFI)プロットに示すように、90位にトリプトファン残基を有する軽鎖配列を含む試験抗体hAGX-A07 H2L5、hmAGX-A07 H2L5 V1およびhmAGX-A07 H2L5 V2(hAGX-A07 H2L5、hmAGX-A07 H2L5 V1、hmAGX-A07 H2L5 V2の高MFI値;およびhAGX-A07 H2L5のEC
50=1.53nM;hmAGX-A07 H2L5 V1のEC
50=1.58nM、hmAGX-A07 H2L5 V2のEC
50=1.64nMによって示される)は、90位にトリプトファンからチロシンへの置換(W90Y)を有する軽鎖配列を含む試験抗体hmAGX-A07 H2L5 V3およびhmAGX-A07 H2L5 V4(hmAGX-A07 H2L5 V3およびhmAGX-A07 H2L5 V4の低MFI値;hmAGX-A07 H2L5 V3のEC
50=4.19nM;hm AGX-A07 H2L5 V4のEC
50=46.06nMによって実証される)と比較してHUVEC細胞結合に優れていた。ヒト化AGX-A01もEC
50=3.03nMで結合することができた。
【0320】
実施例6.抗TM4SF1抗体によって前標識された原発性内皮細胞におけるTM4SF1の内部移行(internationalization)
[0352]ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、4℃で様々なAGX-A01(1μg/ml)によって前標識され(
図13(A)に示す染色)、以下の阻害剤なしで(
図13(B)に示す)または以下の阻害剤の存在下で37℃の培養に戻された;20μM pitstop-2(クラスリン阻害剤)(
図13(C)に示す);10μMクロルプロマジン(クラスリンおよびカベオリン媒介エンドサイトーシス阻害剤)(
図13(D)に示す);0.4μMバフィロマイシン(bifilomycin)A(オートファジー阻害剤)(
図13(E)に示す);または20μMダイナソア(ダイナミン阻害剤)(
図13(F)に示す)。4時間後、細胞は4%パラホルムアルデヒド中で固定され、Alexa-488標識ロバ抗ヒトAb、ファロイジン(phallodin)(アクチン線維を染色)およびDAPI(核を染色)によって染色された。
免疫細胞化学は、阻害剤添加なし(
図13(A))またはpitstop-2(
図13(C)、クロルプロマジン(
図13(D))、もしくはバフィロマイシン(bifilomycin)A(
図13(E))の存在下で、4時間で実質的に等価なAGX-A01取り込みを実証した。しかしながら、AGX-A01は、ダイナソアと培養した場合(
図13(F))、細胞表面に多く残った。
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【0336】
【0337】
【0338】
【0339】
【0340】
【0341】
【0342】
【0343】
[0353]本開示の好ましい実施形態が示され、本明細書に記載されるが、当業者にはそのような実施形態が例示のためだけに提供されることが明らかである。多くの変更、改変および置換が、ここで本開示から逸脱することなく当業者に想起されるであろう。本明細書に記載の本開示の実施形態の様々な代替えが本開示の実行に用いられ得ることが理解されるはずである。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物がそれによりカバーされることが意図される。
発明の態様
[態様1]配列番号8、20、32、44、56、68、または80、96、118、119、120、または121に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、または109、または128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、84、107、108、124、125、126、または127に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様2]配列番号8、20、32、44、56、68、80、96、118、119、120、または121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、109、または128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、または84、107、108、124、125、126、または127に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様1に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様3]配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101または122に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、態様1または2に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様4]配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に記載の配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101、または122に記載の配列を含む可変軽鎖を含む、態様1から3のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様5]約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する、態様1から4のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様6]約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合し、IgG抗体である、態様1から5のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様7]IgG抗体を含み、該抗体はヒト化されている、態様1から5のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様8]ヒトTM4SF1に結合し、カニクイザルTM4SF1と交差反応する、態様1から5のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様9]前記タンパク質のヒトTM4SF1への結合が、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない、態様1から8のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様10]HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する、態様1から9のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様11]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、態様1から9のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様12]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する、態様1から9のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様13]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、態様1から9のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様14]ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントである、態様1から13のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様15]前記結合タンパク質のADCCまたはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む、態様1から14のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様16]抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよびCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む、態様1から15のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様17]IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む、態様1から16のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様18]IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む、態様1から17のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様19]IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297GおよびN297Qからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む、態様1から18のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様20]抗TM4SF1抗体の抗原結合フラグメントを含み、該抗原結合フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvを含む、態様1から19のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様21]配列番号8に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号7に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号6に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号13に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸を含むCDR2ドメイン、および配列番号12に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様22]配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様21に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様23]重鎖可変ドメインが、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む、態様21または22に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様24]配列番号20に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号19に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号18に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号26に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号25に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号24に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様25]配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様24に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様26]重鎖可変ドメインが、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む、態様24または25に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様27]配列番号32に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号31に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号30に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号38に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号37に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号36に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様28]配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様27に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様29]重鎖可変ドメインが、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む、態様27または28に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様30]配列番号44に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号43に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号42に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号50に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号49に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号48に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様31]配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様30に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様32]重鎖可変ドメインが、配列番号39に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む、態様30または31に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様33]配列番号56に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号55に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号54に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号62に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号61に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号60に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様34]配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号62に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様33に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様35]重鎖可変ドメインが、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む、態様33または34に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様36]配列番号68に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号67に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号66に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号74に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号73に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号72に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様37]配列番号68に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号74に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号73に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様36に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様38]重鎖可変ドメインが、配列番号63に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む、態様36または37に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様39]配列番号80に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号79に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号78に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号86に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号85に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号84に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様40]配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号79に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号78に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号86に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号85に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号84に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様39に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様41]重鎖可変ドメインが、配列番号75に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号81に記載のアミノ酸配列を含む、態様39または40に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様42]軽鎖可変領域が、ヒトIgGフレームワーク領域を含み、重鎖可変領域が、ヒトIgGフレームワーク領域を含む、態様21から41のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様43]配列番号87または88に記載のアミノ酸配列を含むIgGバックボーンをさらに含む、態様21から42のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様44]配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むIgGバックボーンをさらに含む、態様21から43のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様45]配列番号96に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様46]配列番号96に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様45に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様47]重鎖可変ドメインが、配列番号90に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号97に記載のアミノ酸配列を含む、態様45または46に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様48]配列番号96に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号108に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様49]配列番号96に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号108に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様48に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様50]重鎖可変ドメインが、配列番号90または92に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号101に記載のアミノ酸配列を含む、態様49または50に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様51]配列番号96に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様52]配列番号96に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号95に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号94に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号110に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号109に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号107に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様51に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様53]重鎖可変ドメインが、配列番号90または92に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号99に記載のアミノ酸配列を含む、態様51または52に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様54]配列番号118に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様55]配列番号118に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様54に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様56]重鎖可変ドメインが、配列番号112に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号122に記載のアミノ酸配列を含む、態様60または61に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様57]配列番号118、配列番号119、配列番号120または配列番号121に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116または配列番号117に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124、配列番号125、配列番号126、または配列番号127に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様58]配列番号118、配列番号119、配列番号120または配列番号121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号116または配列番号117に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号124、配列番号125、配列番号126、または配列番号127に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様57に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様59]重鎖可変ドメインが、配列番号112または114に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号122に記載のアミノ酸配列を含む、態様57または58に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様60]約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ヒトIgGフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含み、ヒトIgGフレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様61]約5×10-8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、IgG抗体である、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様62]ヒト化されている、態様21から61のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様63]カニクイザルTM4SF1と交差反応する、態様21から62のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメント。
[態様64]抗TM4SF1抗体のヒトTM4SF1への結合が、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でない、態様21から63のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様65]HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する、態様21から64のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様66]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、態様21から64のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様67]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する、態様21から64のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様68]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、態様21から64のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様69]ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを含む、態様21から68のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様70]前記抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCまたはCDCエフェクター機能を低減させるまたは消失させる少なくとも1つの突然変異を含むFc領域を含む、態様21から69のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様71]IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む、態様21から70のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様72]IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む、態様21から71のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様73]IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297GおよびN297Qからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む、態様21から72のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様74]その抗原結合フラグメントを含み、その抗原結合フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvを含む態様21から73のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様75]対象における疾患または障害を処置または予防する方法であって、前記疾患または障害は、異常な内皮細胞(EC)-細胞相互作用を特徴とし、前記方法は、態様1から20のいずれかに記載の結合タンパク質、または態様21から74のいずれかに記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法。
[態様76]EC-細胞相互作用が、EC-間葉幹細胞、EC-線維芽細胞、EC-平滑筋細胞、EC-腫瘍細胞、EC-白血球、EC-脂肪細胞、およびEC-神経細胞相互作用の1つまたは複数を含む、態様75に記載の方法。
[態様77]疾患または障害が、炎症性疾患またはがんを含む、態様76に記載の方法。
[態様78]対象における炎症を処置または予防する方法であって、態様1から20のいずれかに記載の結合タンパク質、または態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含む、方法。
[態様79]対象における転移を予防する方法であって、態様1から20のいずれかに記載の結合タンパク質、または態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを対象に投与することを含み、対象は、がんからの部分または完全寛解にある、方法。
[態様80]高い転移リスクを伴うがんを有する対象を処置する方法であって、態様1から20のいずれかに記載の結合タンパク質、または態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを、高い転移リスクを伴うがんを有する対象に投与することを含む、方法。
[態様81]がんを有する対象における転移を処置または予防する方法であって、態様1から20のいずれかに記載の結合タンパク質、または態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを、がんを有する対象に投与することを含む、方法。
[態様82]対象が、転移を誘発する可能性がある処置を受けている、態様75から81のいずれかに記載の方法。
[態様83]前記処置が、外科手術、放射線処置および化学療法を含む、態様82に記載の方法。
[態様84]対象が、ヒトである、態様75から83のいずれかに記載の方法。
[態様85]がんが、癌腫または肉腫である、態様75から84のいずれかに記載の方法。
[態様86]癌腫が、乳がん、肺がん、結腸がん、または前立腺がんを含む、態様85に記載の方法。
[態様87]肉腫が、骨肉腫または軟部組織肉腫を含む、態様86に記載の方法。
[態様88]がんが、膠芽腫である、態様75から87のいずれかに記載の方法。
[態様89]ヒト対象におけるリンパまたは血行性転移を処置または予防する方法であって、態様1から20のいずれかに記載の結合タンパク質、または態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをヒト対象に投与することを含む、方法。
[態様90](i)態様1から20のいずれかに記載のTM4SF1結合タンパク質および(ii)医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
[態様91](i)態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントおよび(ii)医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
[態様92]態様1から20のいずれかに記載のTM4SF1結合タンパク質を産生するためのプロセスであって、態様1から20のいずれかに記載のTM4SF1結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、TM4SF1結合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生されたタンパク質を回収し精製することを含む、プロセス。
[態様93]態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するためのプロセスであって、態様21から74のいずれかに記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントの発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生された抗体またはその抗原結合フラグメントを回収し精製することを含む、プロセス。
[態様94]スキャッチャード分析によって決定した場合、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、TM4SF1に対する改善された結合親和性を有する抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様95]スキャッチャード分析によって決定した場合、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、TM4SF1に対する改善された特異性を有する抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様96]HLA分子結合によって決定した場合、ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、低減された免疫原性を有する抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様97]ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、改善された安定性を有する抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様98]改善された化学的安定性を有する、態様97に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様99]改善された物理的安定性を有する、態様97に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様100]ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、低減した凝集を有する抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様101]ハイブリドーママウス細胞株8G4-5-13-13F(PTA-120523)によって産生された抗TM4SF1抗体と比較して、改善された溶解性を有する抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様102]HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する、態様94から101のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様103]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、態様94から102のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様104]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する、態様94から104のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様105]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、態様94から105のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様106]配列番号8、20、32、44、56、68、または80、96、118、119、120、または121に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、または109、または128に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、84、107、108、124、125、126、または127に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様94から103のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様107]配列番号8、20、32、44、56、68、80、96、118、119、120、または121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号7、19、31、43、55、67、79、95、116、または117に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号6、18、30、42、54、66、78、94、または115に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
配列番号14、26、38、50、62、74、86、110、または129に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;配列番号13、25、37、49、61、73、85、109、または128に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号12、24、36、48、60、72、または84、107、108、124、125、126、または127に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、態様106に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様108]配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101または122に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、態様106または107に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様109]配列番号3、15、27、39、51、63、75、90、92、112、または114に記載の配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号9、21、33、45、57、69、81、97、99、101、または122に記載の配列を含む可変軽鎖を含む、態様106から108のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様110]配列番号90に記載の配列中に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む重鎖を含む、態様106に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様111]配列番号97に記載の配列中に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む軽鎖を含む、態様106に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様112]配列番号90に記載の配列中の少なくとも1つのアミノ酸置換が、配列番号90のアミノ酸位置1、44、および80から選択されるアミノ酸位置にある、態様110に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様113]配列番号97に記載の配列中の少なくとも1つのアミノ酸置換が、配列番号97のアミノ酸位置3、26、および62から選択されるアミノ酸位置にある、態様111に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様114]配列番号90の1位が、グルタミンからグルタミン酸に置換されている、態様112または113に記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様115]配列番号90の44位が、アスパラギン酸からグルタミン酸に置換されている、態様112から114のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様116]配列番号90の80位が、フェニルアラニンからチロシンに置換されている、態様112から115のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様117]配列番号97の3位が、イソロイシンからバリンに置換されている、態様112から116のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様118]配列番号97の26位が、アスパラギンからグルタミンに、またはアスパラギンからセリンに置換されている、態様113から117のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様119]配列番号97の62位が、グリシンからセリンに置換されている、態様113から118のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様120]配列番号112に記載の配列を含む重鎖を含む、態様113から119のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様121]配列番号99または配列番号101に記載の配列を含む軽鎖を含む、態様113から120のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様122]ヒト化されている、態様94から121のいずれかに記載の抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様123]態様94から122のいずれかに記載のTM4SF1結合タンパク質を産生するためのプロセスであって、態様94から122のいずれかに記載のTM4SF1結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主を、TM4SF1結合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養すること、および培養物から、産生されたタンパク質を回収し精製することを含む、プロセス。
[態様124]HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-8M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様125]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10-9M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様126]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-8Mから約5×10-11MのKDでヒトTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質。
[態様127]HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10-10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する、ヒト化された抗TM4SF1結合タンパク質。