(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】電子モジュールとその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/04 20230101AFI20230309BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20230309BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
(21)【出願番号】P 2021508078
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2019062294
(87)【国際公開番号】W WO2019219650
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-10-28
(31)【優先権主張番号】102018111989.5
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、カルステン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヘーネ、エッカルト
(72)【発明者】
【氏名】マルチョク、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ティナ
(72)【発明者】
【氏名】カーレ、ルーベン
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/136251(WO,A1)
【文献】特開2003-197849(JP,A)
【文献】特開2015-005681(JP,A)
【文献】特開2013-069807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モジュール(1)であって、
カプセル化(20)と、
カプセル化(20)に少なくとも部分的に埋め込まれ、第1のメタライゼーション層(15)を有しかつ少なくとも1つの第1の電子部品(30)が配置された部品側(25)を有するキャリア基板(10)とを備え、
前記第1の電子部品(30)がカプセル化(20)により囲まれていると共に、前記キャリア基板(10)が金属セラミック基板であり、
前記カプセル化(20)の外側(A)には、第1の電子部品(30)を制御する少なくとも1つの第2の電子部品(31)のための少なくとも1つの第2のメタライゼーション層(35)が設けられ、
前記カプセル化(20)は、第1の電子部品(30)および第2の電子部品(31)
の電気的接続のための少なくとも1つのスルーホールめっき(5)を有しており、
前記キャリア基板(10)は、冷却構造(60)を有し、
前記キャリア基板(10)の外面は、50%を超えて前記カプセル化(20)により覆われる、電子モジュール(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の電子モジュール(1)において、
前記第2のメタライゼーション層(35)は構造化され、およびまたは主延長面に垂直に測定された前記第1のメタライゼーション層と前記第2のメタライゼーション層との間の距離が5mm未満で
ある、電子モジュール(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子モジュール(1)において、
前記キャリア基板(10)は、一次層(11)、二次層(12)、および一次層(11)と二次層(12)との間に配置され、電気リターン導体としての金属製の中間層(16)を含み、
前記中間層(16)は、一次層(11)およびまたは二次層(12)よりも厚く、およびまたは
1mmより厚い、電子モジュール(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の電子モジュール(1)において、
中間層(16)を第1およびまたは第2の電子部品(30、31)に電気的に接続するために、スルーホールめっき(5')が設けられ、スルーホールめっき(5')は、少なくとも一次層(11)を通って延びている、電子モジュール(1)。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の電子モジュール(1)において、
前記カプセル化(20)において、前記カプセル化(20)の外側(A)と前記キャリア基板(10)の部品側(25)との間には接触面(14)が設けられ、
前記接触面(14)は、少なくとも2つのスルーホールめっき(5)を接続するためにスルーホールめっき(5)の延長方向に対して斜めおよびまたは横方向に延びている、電子モジュール(1)。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の電子モジュール(1)において、
前記キャリア基板(10)は、前記部品側(25)と反対側に冷却構造(60)を有し、前記電子モジュール(1)は、流体冷却装置に対する液密接続のためのシール要素(61)を有している、電子モジュール(1)。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか一項に記載の電子モジュール(1)において、
スルーホールめっき(5)は、0.1mm~15mmの長さ(L)を有している、電子モジュール(1)。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の電子モジュール(1)において、
スルーホールめっき(5)は、主延長面(HSE)に平行な方向に測定した断面積を有し、スルーホールめっき(5)が第1の部品(30
)に直接接続されている場合、5mm
2未満である、電子モジュール(1)。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか一項に記載の電子モジュール(1)において、
前記カプセル化(20)は、カプセル化材料としてのエポキシカプセル化部品からなる、電子モジュール(1)。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の電子モジュール(1)において、
前記スルーホールめっき(5)は、前記キャリア基板(10)の主延長面(HSE)に対し垂直である方向に対して斜めである、電子モジュール(1)。
【請求項11】
電子モジュール(1)を製造するための方法であって、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の電子モジュール(1)を製造するための方法において、
第1の電子部品(30)を備えたキャリア基板(10)を提供すること(101)であって、前記第1の電子部品(30)は前記キャリア基板(10)の第1のメタライゼーション層(15)に接合されることと、
前記キャリア基板(10)の外面が50%を超えて前記カプセル化(20)により覆われるように、カプセル化(20)により、装着されたキャリア基板(10)の少なくとも一部を囲むこと(102)と、
第1の電子部品(30)とカプセル化の外側(A)上の第2の電子部品(31)との間に電気接続を提供するため、カプセル化(20)にスルーホールめっきを形成すること(103)と、
カプセル化(20)の外側(A)上に第2の電子部品(31)のために第2のメタライゼーション層を形成すること(104)と
を備える、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記カプセル化(20)は、射出成形プロセスによって、装着されたキャリア基板(10)の周りに形成される、方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の方法において、
カプセル化(20)の外側(A)上の第2のメタライゼーション層(35)は、
射出成形およびまたは射出成形プロセス中に射出およびまたは射出成形金型に挿入された金属箔によって、
物理蒸着およびまたは電気化学的堆積によって、
実現される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子モジュールは、例えば、パワーエレクトロニクスモジュールとして、最先端技術から十分に知られている。電子モジュールは、通常、導体経路を介して共通のキャリア基板上で相互接続されたスイッチ可能な電子部品を使用する。キャリア基板の必須構成要素として、例えば、金属-セラミック基板の場合、セラミックを含む材料からなる絶縁層と、金属化層とがある。金属層は、好ましくは、導体経路を形成するキャリア基板の片側に構造化及び形成されている。
【0003】
一般に、このような電子モジュールは、好ましくは冷却構造によって、電子モジュールに熱的に誘発される機械的応力を可能な限り回避し、部品上で発生する熱を可能な限り最適に放熱できるように、長い耐用年数と高い動作信頼性を実現するように設計されている。WBG半導体(ワイドバンドギャップ半導体)などの新しい電子部品、特に炭化ケイ素、窒化ガリウム、およびまたは窒化インジウムガリウム製の半導体の仕様は、e-モビリティの分野等の新しい応用分野だけでなく、電子モジュールに新しい課題をもたらしている。
【0004】
最新技術から、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4があり、これらにおいて、電子モジュールを形成するための電気部品は、キャリア基板上に配置され、カプセル化により埋め込まれている。電子モジュールの別の例が、「LTM4636」と呼ばれるアナログ・デバイセズ社によって販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102008029829号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009042399号明細書
【文献】米国特許第7589412号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014117086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この最先端技術に基づいて、本発明の目的は、特に、その設計、スイッチング動作、および耐用年数に関して、最先端技術よりも改善された電子モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載の電子モジュールおよび請求項13に記載の電子モジュールを製造するためのプロセスによって解決される。本発明の好ましい実施形態は、特に添付図に関連して、従属請求項および以下の説明に示す。
【0008】
本発明によれば、カプセル化と、キャリア基板とを含み、キャリア基板は、カプセル化に少なくとも部分的に埋め込まれ、第1の金属化層を有すると共に少なくとも1つの第1の電子部品が配置された部品側を有している、電子モジュールが提供される。ここで、少なくとも1つの第2の電子部品のための、特に第1の電子部品を制御するための少なくとも1つの第2の金属化層が、カプセル化の外側に設けられている。カプセル化は、電気接続のための、特に、第1の電子部品および第2の電子部品の直接電気接続のための少なくとも1つの貫通めっきを有している。
【0009】
最先端技術に対して、本発明は、カプセル化が、例えば成型材料の形態でキャリア基板を少なくとも部分的に取り囲むこと、キャリア基板が、カプセル化に埋め込まれること、スルーホールが、第1の電気部品と第2の電気部品との間の電気接続のための手段を提供することを提供する。貫通めっきは、外側から、特に第2の電子部品の接続として機能する第2のメタライゼーション層から、第1の電子部品およびまたはキャリア基板の部品側の第1のメタライゼーション層まで延びている。その結果、コンパクトな電子モジュールが形成されるだけでなく、一方では部品側の第1の電子部品と他方では外側の第2の電子部品との間に比較的短い距離が提供される。特に、本発明は、カプセル化の外側への直接接続を可能にする第2のメタライゼーション層によって特徴付けられる。
【0010】
主延長面に垂直に測定された、第1のメタライゼーション層と第2のメタライゼーション層との間の距離は、5mm未満であり、好ましくは2.5mm未満であり、特に好ましくは、1mm未満であり、400μm未満であり、例えば、約300μm、つまり、可能な限り小さいことが好ましい。従って、主延長面に垂直な方向では、第1の部品と広い部品との間に非常に短い距離が存在している。更に、ビアは、カプセル化に埋め込まれいる。つまり、ビアは、カプセル化後に実現される。ビアは、湿式化学、ペースト、気相堆積、スクリーン印刷、3D印刷などによって、機械的およびまたは電気的に実現できる。更に、第1のメタライゼーション層および第2のメタライゼーション層は、第1の部品および第2の部品が主延長面に平行な方向に横方向距離だけ互いにオフセットされるように、構造化されていることが好ましい。これは、第1の電子部品と第2の電子部品との熱発生が相互に影響を及ぼしたり、損なったりすることを回避するのに有利である。第2の電子部品による第1の電子部品の効果的な制御を確実にするために、横方向距離は35mm未満であり、好ましくは15mm未満であり、特に好ましくは5mm未満である。
【0011】
「埋め込み」または「埋め込まれている」とは、特に、カプセル化がキャリア基板の外側に直接隣接していること、即ち、カプセル化が少なくとも一部の領域でキャリア基板に対して直接存在し、電子部品を備えたキャリア基板とカプセル化との間に明確な領域や空洞がないことを意味する。キャリア基板は、全ての側面がカプセル化により取り囲まれている必要はない。カプセル化が固体であり、すなわち空洞がないことも意図している。
【0012】
さらに、スルーホールめっきの断面積は、特にスルーホールめっきが第1の電子部品に、特に第1の電子部品の上側に直接接続されている場合、主延長面に平行な方向に5mm2未満であり、好ましくは1.5mm2未満であり、特に好ましくは0.5mm2未満であることが好ましい。スルーホールが第1のメタライゼーション層に接続されている場合、その断面積は、好ましくは1.5mm2よりも小さく、好ましくは2.5mm2よりも小さく、特に好ましくは1.5mm2よりも小さい。製造上の理由で断面積が積層方向に変化する可能性、特に先細になる可能性があることから、断面積は、積層方向の延長に沿った平均であると理解されることが好ましい。
【0013】
また、スルーホールがカプセル化の外側と同一平面上にあることも意図している。スルーホールと同一平面にある第2のメタライゼーション層の部分も、主延長面に平行な接触領域を有している。主延長面に平行な寸法のスルーホールの断面積と、スルーホールに隣接する第2のメタライゼーション層の部分の接触面積との間の比率は、好ましくは0.25未満であり、好ましくは0.15未満であり、特に好ましくは0.1より小さい値である。言い換えれば、スルーホールは比較的狭い。さらに、いくつかのビアが共通の電子部品に接続されており、すべてのビアの総断面積が第2のメタライゼーション層の接触面積よりも小さいことが考えられる。
【0014】
さらに、ビアは、積層方向から見たときに、すべてのビアの少なくとも一部が第1の電子部品の上、または第1の電子部品と第2の電子部品との間に位置するという事実によって特徴付けられることが好ましい。すべてのビアの第1の部分が第1の電子部品に直接接触し、すべてのビアの第2の部分が第1のメタライゼーション層に接触すると考えられる。好ましくは、第2の部分は第1の部分よりも大きい。
【0015】
スルーホールを介した第1の部品と第2の部品との接触は、直接的または間接的または間接的に行うことができる。例えば、第1の部品自体をプレラミネートに一体化するか、スルーホールめっきが第1のメタライゼーション層に接触して、第1の部品と第2の部品との間の電気的接続を実現することができる。
【0016】
好ましくは、キャリア基板の少なくとも1つの外側は、カプセル化されていない。特に、キャリア基板の少なくとも部品側が完全にカプセル化されていること、即ち、カプセル化によって覆われているか囲まれていることを意図している。更に、外側面または外面外周は、40%を超えて、好ましくは50%を超えて、特に好ましくは60%を超えてカプセル化により覆われることが考えられる。キャリア基板への直接接続またはカプセル化へのキャリア基板の埋め込みも、有利な方法で電子モジュールの安定性を改善すると共に、例えばカプセル化とキャリア基板の間に設けられた安定化のための追加の手段を省くことができる。第1の電子部品とカプセル化との間に保護層が設けられ、これが第1の電子部品を覆いまたは保護し、それを通してスルーホールめっきおよびまたはさらなるスルーホールを形成することも考えられる。
【0017】
第1の電子部品は、好ましくは、スイッチ可能な部品または能動部品である。好ましくは、少なくとも1つの第1の電気部品は、炭化ケイ素、窒化ガリウムおよびまたは窒化インジウムガリウム製の半導体などのWBG半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を備えたものである。電子部品の例として、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)またはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)がある。第1の部品は、プレコンポジットまたはプレパッケージングとして組み合わせることもできる。そのようなプレコンポジットでは、1つまたは複数の第1の電子部品が、例えば、プリント回路基板上に配置され、マトリックスに埋め込まれる。プレコンポジットの例は、電気部品が誘電体マトリックスに一体化されている再分配構造として特許文献4に記載されている。プレコンポジットまたは再分配構造に関する特許文献4の開示内容は明示的に参照する。明示的に参照されているプレコンポジットの更に別の例は、L.Boettchr等による「自動車用途向けの組み込みパワーエレクトロニクスモジュールの開発」や「革新的なパッケージおよびモジュールのためのパワー半導体の埋め込み」等に記載されている。
【0018】
第2の電子部品およびまたは接触要素として、好ましくは、
ドライバーまたは制御要素、特に「ゲートドライバー」、およびまたは
入力信号または電源の負荷接続として機能する接続デバイス、およびまたは
コンデンサ、例えば中間コンデンサであり、
はんだ付けや焼結された接続として機能する第2のメタライゼーション層に直接接触されている。「ゲートドライバー」、例えばMOSFETドライバ、IGBTドライバ、またはハーフブリッジドライバは、特に、MOSFETやIGBT等の電源スイッチを駆動するディスクリートまたは集積電子回路を意味する。第2の電子部品としての制御要素の場合、外部の制御要素から、制御すべき第1の電子部品までの長い制御信号の送経路を有利な方法で回避できるため、部品側の第1の電子部品を良好に制御することができる。更に、比較的短い導体経路から得られる利点として、カプセル化が無く、カプセル化の外側とキャリア基板の部品側との間の電気接続のためのスルーホールが無い場合に予想される寄生インダクタンスの低減がある。
【0019】
ビアは、カプセル化を通過するか、カプセル化の対向する2つの側面を互いに接続する導電性パスである。ビアは、第1のメタライゼーション層およびまたは第2のメタライゼーション層と同じ金属または材料で形成するか、異なる金属または材料で形成することもできる。スルーホールが完全にまたは部分的にのみ導電性材料で充填されていることも考えられる。さらに、スルーホールめっきは、好ましくは直線状である。この場合、スルーホールは、キャリア基板の主平面に垂直な方向に平行またはある角度で延びている。さらに、第1の電子部品は、キャリア基板と反対側を向く面を介して、またはカプセル化の外側を向く面を介して接触することができ、すなわち、電気接続も、カプセル化から「上方」に導くことができる。プレラミネーションまたはプレパッケージングの場合、部品が取り付けられたときにカプセル化の外側を向くプレラミネートの側面にプレラミネートされた接触面を形成するのに有利である。この場合、カプセル化におけるスルーホール接触への接続を容易にするために、プレ接続側の接触面積を増やすことが有利である。例えば、主延長面に平行に測定されたスルーホールめっきの直径と、主延長面に平行に測定されたプレラミネート側接触面積との間の比は、0.1~1であり、好ましくは0.15~0.8であり、好ましくは0.3~0.6である。
【0020】
電子モジュール内の第1の電子部品は、カプセル化の外側を向く面上の接点、特に第2のメタライゼーション層上の接点を有し、この接点を介してスルーホールに接続されることが好ましい。
【0021】
特に、カプセル化は成型部品であり、好ましくは、射出成形等の成型によるプラスチック製であることを意図している。この場合、組み立てられた電子モジュール内のカプセル化は、形態、力、およびまたは材料固定の方法で、キャリア基板と相互作用する。例えば、カプセル化は、アンダーカットまたはノーズ状突起を含み、それを介して、カプセル化は、組み立てられたキャリア基板とフォームフィット方式で相互作用することができる。特に、カプセル化は、キャリア基板にクリップするか、キャリア基板にクリップすることができ、好ましくは、部品側と反対側でクリップすることができる。これは、冷却目的でよく使用される。成形化合物として知られる適切な成型材料には、例えば、合成デュロプラスチックなどの成型樹脂がある。好ましくは、カプセル化は、カプセル化材料としてのエポキシ成型成分から形成される。カプセル化部品は、200℃を超える比較的高いガラス転移温度を有し、曲げ強度は10~15kg/mm2であり、特に硬化し易い。たとえば、材料は、Hyso(登録商標)MG15F-MOD2である。さらに、好ましくは、例えば、SiO2およびまたは酸化アルミニウムを含む充填材料がカプセル化材料に添加されることを意図している。
【0022】
第1のメタライゼーション層または第2のメタライゼーション層の材料として考えられる材料は、銅、アルミニウム、モリブデンおよびまたはそれらの合金、ならびにCuW、CuMo、CuAl、AlCuおよびまたはCuCuなどの積層体、特に、第1の銅層および第2の銅層を有する銅サンドイッチ構造である。第1の銅層の粒子サイズは、第2の銅層のそれとは異なる。さらに、好ましくは、第1のメタライゼーション層およびまたは第2のメタライゼーション層が表面改質されていることを意図している。表面改質として、例えば、貴金属、特に、銀およびまたは金、またはENIG(無電解ニッケル浸漬金)によるシールや、亀裂形成または膨張を抑制するための第1または第2のメタライゼーション層でのエッジシールが考えられる。
【0023】
好ましくは、第2のメタライゼーション層は構造化され、およびまたは第1の電子部品は、スルーホールめっきを介していくつかの第2の電子部品によって制御される。
本発明の好ましい実施形態によれば、キャリア基板は金属セラミック基板であり、金属セラミック基板はその部品側に構造化された第1の金属化層を有し、金属セラミック基板は好ましくは多層である。金属セラミック基板の必須構成要素は、セラミック製の絶縁層と、絶縁層に結合されたメタライゼーション層とである。比較的高い絶縁強度のため、セラミック製の絶縁層が特に有利であることが証明されている。第1のメタライゼーション層を構造化することにより、第1の電気部品のための導体経路およびまたは接続領域を実現することができる。特に、金属セラミック基板は3つ又は5つの層を有している。多層設計により、安定化のためにいくつかのセラミック層が使用されている一方で、比較的厚い金属中間層を有利に使用することができる。その結果、熱抵抗を低減することができ、熱の広がりを特別に調整することができる。特に、セラミック製の絶縁層の厚さが必要な絶縁強度に適合させることを意図している。
【0024】
好ましくは、Al2O3、Si3N4、AlN、HPSXセラミック(すなわち、xパーセント割合のZrO2を含むAl2O3マトリックスを有するセラミック、例えば、9%のZrO2を有するAl2O3(HPS9)または25%のZrO2を有するAl2O3(HPS25))、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の90%)、TSZ(正方晶で安定化された酸化ジルコニウム)、またはセラミックの材料としてのZTAがある。また、絶縁層は、複合セラミックまたはハイブリッドセラミックとして設計することも考えられる。この場合、さまざまな望ましい特性を組み合わせるべく絶縁層を形成するため、材料組成が異なる複数のセラミック層を重ね合わせて一体に接合することが考えられる。好ましくは、可能な限り低い熱抵抗のために、高熱伝導性セラミックが使用される。
【0025】
好ましくは、カプセル化は、一体物であり、一体型であり、モノリシックである。一体物とは、特に、カプセル化を破壊しない限り、カプセル化が個々の部分に分解されないことを意味する。これにより、カプセル化された部品に最適な保護を提供する特に安定したカプセル化がもたらされる。さらに、第2のメタライゼーションは製造された状態で電気モジュールの外側に形成されることが好ましい。製造された状態では、電子モジュールは、例えば、外部の第2の電子部品をカプセル化する別のカプセル化に埋め込まれていない。これにより、製造された電子モジュールの外側にある2番目の電子部品へのアクセスが容易に行える。本発明のさらなる実施形態では、製造された電子モジュールは、取り外し可能なケーシングによって囲まれている。これにより、ケーシングを取り外すことによって第2の電子部品へのアクセスが容易に行える。
【0026】
キャリア基板は、特に電気リターン導体として、一次層と二次層との間に配置された一次層、二次層、および金属中間層を有することが好ましい。中間層は、好ましくは、一次層およびまたは二次層およびまたはより厚く、1mmより厚く、好ましくは1.5mmより厚く、特に好ましくは2.5mmより厚い。
【0027】
このような厚い金属中間層は、一時的な保存として有益な方法で機能し、それにより、熱インピーダンスZthを向上させる。特に、厚さは、熱放散中の熱拡散をサポートし、熱は、部品側からキャリア基板を介して部品側と反対側のキャリア基板の側にまで伝導される。特に、中間層が単一層または単一物として設計されることを意図している。中間層は、好ましくは、第1のメタライゼーション層だけでなく金属中間層も使用して電流を伝導するように、一次層で追加のスルーホールをめっきすることにより電気リターン導体として機能することができる。
【0028】
さらに、一次層、二次層、および金属中間層を有するキャリア基板は、5つ以上の層の構造として構成されることが好ましい。特に5層構造の場合、一次層と二次層との間に2つの金属中間層が設けられ、これにより2つの金属中間層の間に三次層が配置される。好ましくは、少なくとも2つの層は、比較的高い弾性率を有している。これにより、動作および環境の温度変化中にねじれる傾向がさらに低減する。好ましくは、一次層、二次層およびまたは三次層は、セラミック、例えば上記のセラミックのうちの1つを含む材料から形成される。これは、絶縁強度の望ましい要件を満たすための有利な方法である。しかしながら、二次およびまたは三次層は、本質的にはキャリア基板を硬化させるのに有用であるが、絶縁には寄与しないため、セラミックを含む材料で形成しないことも考えられる。ここでは、例えば、セラミックに代えて、モリブデンおよびまたはタングステンを使用することが考えられる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、電子モジュールおよびまたはキャリア基板は、特にキャリア基板の主延長面に垂直な積層方向に沿って、熱機械的に対称であることが提供される。熱機械的に対称な構成とは、特に、積層方向から見たときに熱機械的な膨張係数が対称であることを意味する。熱機械的膨張係数は、温度変化または温度変化中のそれぞれの層の膨張量を表す。好ましくは、電子モジュールは、特に仮想一次基板、仮想二次基板、および仮想中間層を備えた仮想サブ基板に分割することができ、仮想サブ基板の熱膨張係数は、積層方向に対称的に分布する。膨張係数の対称的な設計により、動作温度または環境温度の変化と比較して歪みが少ない電子モジュールが提供される。その結果、熱的に誘発された機械的応力によって引き起こされる欠陥や亀裂を回避できる。特に、特に1mmを超える比較的厚い金属中間層を有するキャリア基板と組み合わせると、キャリア基板全体に比較的高い熱膨張係数を提供することができる。結果として、カプセル化の高い熱膨張係数を低減する労力を削減できるため、電子モジュールのカプセル化のための熱膨張係数の適合が簡素化される。最後に、熱膨張係数を下げるために、充填材料がカプセル化材料に挿入される。キャリア基板の膨張係数の増加により、充填材料の量を減らすことができ、電子モジュールの製造コストが削減される。
【0030】
好ましくは、中間層を第2の電子部品に電子接続するための別のビアが提供され、別のビアは、カプセル化および一次層を通過する。別のビアは、キャリア基板の第1のメタライゼーション層を通過するか、いくつかの部分を含むことができる。例えば、別のビアは、カプセル化内の部分と、一次層を通過する部分とを含む。別のスルーホールめっきによって、カプセル化の外側から一次層と二次層との間の中間金属層への直接電気接続を実現することができる。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、カプセル化の外側とキャリア基板の部品側との間に配置され、かつ少なくとも2つのスルーホールを接続するための接触面がカプセル化内に提供される。少なくとも2つのスルーホールは、スルーホールの延長方向走行方向に対して斜めおよびまたは横方向に延びている。このようにして、カプセル化内の領域が分配システムとして、即ち三次元導体システムとして既に使用できるように、いくつかのビアを互いに電気的に接続することができる。さらに、接触レベルによって、別のビアを1つまたは複数のビアに接続することが考えられる。好ましくは、接触面は、キャリア基板の主延長面に平行に延在し、追加の構造化メタライゼーション層として設計される。そのような接触面の製造について、例えば、カプセル化をいくつかの部品で組み立てるか、いくつかの連続する射出成形およびまたは射出成型プロセスで実現することが考えられる。さらに、接触レベルにより、特に積層方向に対して斜めに延びるスルーホールめっきなしで、第1の部品と第2の部品との間の横方向のオフセットを実現する簡単な方法が可能になる。
【0032】
好ましくは、キャリア基板は、部品側と反対側に冷却構造を有し、それにより、電子モジュールは、好ましくは、シール要素およびまたはシール材料、例えば、流体冷却装置への液密接続用のシリコーンを有している。特に、冷却構造は、キャリア基板に一体化されており、カプセル化によって囲まれておらず、すなわち、露出している。一体化により、ベースプレートおよびまたはクーラーをキャリア基板に接続する追加の作業層、例えば、はんだ付け、焼結、およびまたはクランプを有利な方法で省くことができるため、電子モジュールの設置にかかる労力が少なくて済む。流体冷却装置は、特に、冷却流体、特に冷却液の接近および除去に有用である。好ましくは、冷却構造は、冷却構造および流体冷却装置によって形成された溝内に突出するフィンを備えている。キャリア基板側冷却構造と流体冷却装置との間に形成される溝をシールするために、好ましくは電子モジュールに一体化され、かつ好ましくは積層方向の冷却構造の高さに配置されるシール要素が提供される。好ましくは、シール要素は、リング形状またはビード形状であり、好ましくは、冷却構造、特に冷却構造のフィンを取り囲む。好ましくは、シール要素は、カプセル化物上、例えば、この目的のために提供される溝内に配置される。
【0033】
冷却構造をキャリア基板に直接一体化することの別の利点は、冷却構造とキャリア基板または二次層との間の材料を省略できることである。このようなTIM(熱界面材料)は、通常は、キャリア基板で使用される他の材料よりも低い熱伝導率を有している。TIM材料を省略し、界面を避けることで、キャリア基板または電子モジュールの熱抵抗が大幅に向上する。
【0034】
本発明のさらなる実施形態では、スルーホールは、0.1mm~15mm、好ましくは0.15mm~8mm、特に好ましくは0.2mm~5mmの長さを有することを意図している。そのような短い導体経路またはビアを用いることで、寄生インダクタンスの影響が大幅に低減されるため、第2の電子部品による第1の電子部品の制御が改善されることが明らかにされた。
【0035】
本発明の主題は、電子モジュール、特に、本発明による電子モジュールを製造するためのプロセスである。
第1の電子部品を備えたキャリア基板を提供することであって、第1の電子部品は、キャリア基板の第1のメタライゼーション層に接合される。
【0036】
装着されたキャリア基板のカプセル化による少なくとも部分的なカプセル化
カプセル化に貫通孔を形成して、第1の電子部品と、カプセル化の外側にある第2の電子部品との間に電気的接続を提供する。
【0037】
第2のメタライゼーション層の形成、特に、カプセル化の外側の第2の電子部品のために構造化された第2のメタライゼーション層の形成。
本発明による金属セラミック基板について記載されたすべての特徴および利点は、本発明による製造過程に移すことができ、逆もまた同様である。特に、第2のメタライゼーション層は、スルーホールめっきを介して第1の部品およびまたは第1のメタライゼーション層に接続されることを意図している。
【0038】
キャリア基板を提供するために、例えば、一次層、二次層、中間層、第1のメタライゼーション層、およびまたは冷却構造が共に、共通の接合プロセスで接合される。種々の接合法を使用できる。接合方法として、例えばDCB(直接銅接合)またはDAB(直接アルミニウム接合)法、或いは活性はんだによる接合法、即ちAMB(活性金属ろう付け)法が挙げられる。
【0039】
スルーホールめっきを形成するため、好ましくは、凹部、特にドリル穴が、完成したカプセル化に形成されることを意図している。これは、好ましくはレーザー光で実現される。しかしながら、穴またはスルーホールをスルーホールめっきのためにカプセルにフライス加工することも考えられる。レーザー光を使用する場合、キャリア基板の方向に先細になるテーパ状の凹部、例えば円錐形のテーパ状の凹部を形成することが好ましい。スルーホールを正しく配置するため、カプセル化のエッジまたはマーキングを参照として使用できる。凹部の形成に続いて、凹部は完全にまたは部分的に導電性材料で充填される。例えば、導電性材料のペーストをスルーホールに導入してから、ペーストを硬化させる。
【0040】
好ましくは、第1の電子部品は、キャリア基板上に取り付けられたときに外側またはスルーホールを向く接続面を有するように、準備または提供される。第1の電子部品に接続穴が形成され、物理的な気相堆積により接続が行われると考えられる。続いて、末端接続は、例えば電気めっきによる化学堆積によって強化される。好ましくは、第1の電子部品、または所望の接続領域を有する第1の電子部品の群が提供される。
【0041】
好ましくは、カプセル化は、特に装着されたキャリア基板の周りに、射出成形およびまたはトランスファー成形によって形成されることを意図している。特に、カプセル化は、射出成形およびまたは射出圧縮成形プロセスで形成される。この場合、好ましくは、特に部品側では、装着されたキャリア基板が、射出成形およびまたは射出成形部品に挿入された後、射出成形およびまたは射出成形材料で覆われる。射出成形およびまたは射出成形プロセスは、例えば、トランスファー成形、圧縮成形、およびまたは液体カプセル化プロセスである。1つまたは複数の接触レベルが提供される場合、カプセル化は、いくつかの連続する射出成形およびまたは射出成型プロセスで実現される。その結果、カプセル化の最後の成形セクションに構造化された金属化層を適用することによって、射出成形およびまたは射出成形プロセスの間で、さらなる部品の有無に関係なく、接触レベルが実現されると考えられる。
【0042】
本発明の更に別の実施形態では、カプセル化の外側の第2のメタライゼーション層が、
射出成形およびまたは射出成形プロセス中に射出およびまたは射出成形金型に挿入された金属箔によって、
物理理蒸着およびまたは電気学的堆積によって
実現されることを意図している。
【0043】
特に、例えば電気めっきによる電気化学的堆積は、金属箔または物理蒸着によって既に開始または開始された構造を強化するのに有用である。たとえば、蒸着または金属箔によって提供される構造は、特に構造化の前後においてガルバニック銅により強化される。たとえば、ステンシルが気相成長プロセスで使用される。金属箔が第2のメタライゼーション層の実現を意図している場合、この金属箔は既に構造化されていると考えられる。あるいは、またはさらに、第2のメタライゼーション層がその製造後に構造化されることが考えられる。第2のメタライゼーション層がカプセル化に接着されていることも考えられる。第2のメタライゼーション層が印刷プロセス、特に3D印刷プロセスによって適用されることも考えられる。第2のメタライゼーション層が提供された後に後処理することも考えられる。たとえば、第2のメタライゼーション層は(金、銀、ENIGで)シールされているか、およびまたははんだ付けされている。
【0044】
さらなる利点および特徴は、添付図を参照した本発明の主題の好ましい実施形態の説明から明らかにされる。各実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の第1実施形態による電子モジュールを示す図。
【
図2】本発明の第2実施形態による電子モジュールを示す図。
【
図3】本発明の一実施形態による電子モジュールを製造するための製造過程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明の第1実施形態による電子モジュール1を示す。電子モジュール1の必須構成要素は、キャリア基板10およびカプセル化20である。キャリア基板10は、カプセル化20に少なくとも部分的に埋め込まれている。すなわち、キャリア基板10は、カプセル化20に少なくとも部分的にカプセル化されている。キャリア基板10は、第1のメタライゼーション層15を備えた部品側25を有している。第1のメタライゼーション層15は、導体トラックまたは接続パッドを形成するように構造化されている。第1の電子部品30は、部品側25に接続されている。部品側25は、好ましくは、電子回路の少なくとも一部を形成するように相互接続されている。例えば、第1の電子部品は、半導体、特に、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップが2eVと4eV以上との間にある、炭化ケイ素、窒化ガリウムおよびまたは窒化インジウムガリウムからなる、特にWBG半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を含む。特に、電子モジュール1は、パワーエレクトロニクスモジュールであり、例えば、電子部品のスイッチングにより電気エネルギーを変換するために用いられる。例えば、電子モジュールは、電子駆動技術の分野において、特にe-モビリティの分野において、DC電圧変換器、インバーター、および/または周波数変換器として、再生的に生成されたエネルギーをグリッドに供給するためのソーラーインバーターおよびまたは風力発電所用のコンバーターとして、またはスイッチモード電源またはDC-DCコンバーターとして用いられる。
【0047】
部品側25の第1の電子部品30を制御するため、特に接続として機能する第2のメタライゼーション層35が、少なくとも1つの第2の電子部品または接触要素31のためにカプセル化20の外側Aに設けられている。第2のメタライゼーション層35も、好ましくは構造化されている。例えば、第2の電子部品31は、ゲートドライバ、中間コンデンサ、負荷接続、電源用接続などの制御要素である。第1の電子部品30と第2の電子部品31との間に直接電気接続を提供するために、少なくとも1つのビア5がカプセル化20に設けられている。ビア5は、カプセル化20の外側Aからキャリア基板10の部品側25まで延びている。
【0048】
好ましくは、部品側25の第1の電気部品30と外側Aの第2の電気部品31との間の距離は、スルーホールめっき5により、10mm未満であり、好ましくは5mmであり、特に好ましくは2.5mmであり、特に1mmの寸法であり、300μm未満まで低下して、可能な限り小さくすることを意図している。スルーホール5の長さLは、好ましくは、第1の部品30と第2の部品31との間の距離と一致している。
【0049】
好ましくは、キャリア基板10は、一次層11、二次層12、および一次層11と二次層12との間に配置された金属中間層16を備えている。一次層11、二次層12および中間層16は、主平面HSEに沿って延びており、主平面HSEに垂直な積層方向Sに沿って上下に配置されている。金属中間層16は、好ましくは、寄生インダクタンスを低減するのに有利な電気リターン導体として機能する。一次層11およびまたは二次層12は、主に、電気リターン導体としての選択的機能に加え、キャリア基板10や中間層16(一次層を介した貫通接続がある場合)の補強を主な目的としているが、特に、ヒートシンクや、(追加の)熱拡散が発生する一時的な蓄熱器として機能する。一時的な蓄熱器として、中間層は、キャリア基板の熱インピーダンスZthを向上させる。熱拡散は、有利な方法で、キャリア基板10における部品側25と反対側に均一な温度分布をもたらす。それにより、第1の部品によって発生した熱は、冷却構造60または別の冷却装置を介して、放熱される。この目的のため、中間層16は、好ましくは一次層11およびまたは二次層12よりも厚く、およびまたは1mmより厚く、好ましくは1.5mmより厚く、特に好ましくは2.5mmより厚い。
【0050】
好ましくは、電子モジュール10の各部品の熱膨張係数または膨張は、熱膨張係数が積層方向Sで見たときに実質的に対称であるか、可能な限り対称であるように選択される。厚さが1mmを超える層16が使用され、より薄い一次層11または二次層12、特にセラミック層が使用されると、キャリア基板10の比較的高い熱膨張係数CTEを有利な方法で実現することができる。この比較的高い熱膨張係数は、カプセル化20の熱膨張係数の調整を簡素化する。そうでなければ、適切な充填材料によって低減する必要がある。その結果、充填材の材料コストを有益な方法で削減できる。
【0051】
特にカプセル化20は、可能な限りコンパクトである設計を確実にする。特に、カプセル化は、組み立てられた状態で、正、非正、およびまたはフォームフィット方式でキャリア基板10と相互作用するように設計されている。キャリア基板10は、好ましくは、カプセル化20の少なくとも部品側25に埋め込まれている、すなわち、カプセル化は、部品側25を完全に囲んでいる。
図1に示す設計では、冷却構造60が、部品側25の反対側に設けられている。特に、冷却構造60はフィンを含む。さらに、冷却構造60は、カプセル化20によって囲まれていない、すなわち、冷却構造およびまたはそのフィンが露出していることを意図している。また、冷却構造60は、流体冷却装置への直接接続、即ち、冷却構造との間で冷却流体を運ぶ対応する溝を意図している。流体冷却構造とキャリア基板側冷却構造60との間には、流体溝をシールするためのシール要素61が設けられている。好ましくは、シール要素61は、延長HSEの主平面に平行な平面で円周方向に設計されている。
【0052】
図2は、本発明の第2実施形態による電子モジュール10を概略的に示す。
図2の設計は、いくつかの接触レベル14をカプセル化20に設けた点で、
図1の設計と異なる。これらの接触レベル14は、ビア5の方向に対して実質的に斜めか横方向に延びている。その結果、図示された設計によるビアの方向は、積層方向に平行である。しかしながら、スルーホールめっきの方向が積層方向Sに対して斜めであることも考えられる。ビア14を用いて、いくつかのビア5を有利な方法で互いに接続することができる。好ましくは、他の接触レベル14のいくつかは、互いに平行に、特に主延長面と平行に延びている。
【0053】
図3は、電子モジュール10の製造プロセスを概略的に示す。キャリア基板10が最初に提供されることを意図している。特に、キャリア基板10には、金属中間層16およびまたは冷却構造60が準備されている。続いて、一次層11、二次層12、金属中間層16、およびまたは冷却構造60が共に、共通のまたはいくつかの接合プロセスで接合される。接合プロセスは、好ましくは、DCBまたはDABプロセス、あるいは活性はんだによる接合である。導体経路および接続領域を提供するため、第1のメタライゼーション層15は、例えば、エッチングプロセスによって、部品側25上に構造化される。次に、好ましくは、部品側25は、ニッケルめっき、銀めっき、エッジシーリングまたは同様のものによって表面改質される。
【0054】
また、部品側25に接続するための第1の電子部品30は、電気モジュール10のために準備され、例えば、プレラミネートとして提供される。特に、電子モジュール1に取り付けられた状態の接点がカプセル化20の外側Aを向くように、30個の接点が電子部品に実装される。この目的のため、コンタクトホールがプレコンポジットに形成される。挿入された接点は、物理蒸着によって銅メッキされ、亜鉛メッキされて補強される。
【0055】
キャリア基板10の完成後、プレコンポジットは、はんだ付けまたは焼結によって、キャリア基板10の部品側25上に、構造化されたメタライゼーション層15に取り付けられる。次に、プレコンポジットを備えたキャリア基板10がカプセル化される。好ましくは、射出成形およびまたは射出成形プロセスがカプセル化102に用いられる。この目的のため、組み立てられたキャリア基板は射出成形型に配置される。好ましくは、射出成形型は、冷却構造60が射出成形中に充填されるキャビティとは反対側を向くように設計される。したがって、冷却構造60は、射出成形およびまたは射出成形で使用されるプラスチック材料によって覆われていない。
【0056】
さらに、カプセル化20の貫通めっきの形成103は、例えば、レーザー光を使用して、カプセル化5に凹部、特に穴またはドリル穴を形成することで実行される。穴及びボア穴は実質的に円錐形である。円錐形は、通常、凹部が実現されるレーザービームの集束から生じる。穴またはボア穴は、例えばペーストを用いることによってスルーホール5を形成するように金属で充填することを意図している。穴を実現する際の外側Aの方向付けのため、好ましくはマーキングが提供される。好ましくは、マーキングは、カプセル化20にフライス加工された穴である。これは、例えば、穴を形成する前にカプセル化20を位置合わせするためにも使用される。
【0057】
さらに、カプセル化が形成される使用済みの射出成形型に金属箔を挿入することが考えられる。射出成形およびまたは射出圧縮成形後、この箔は、第2の電子部品31に第2のメタライゼーション層35を提供する。加えてまたは代替的に、第2のメタライゼーション層35は、射出成形およびまたは射出成形後の物理蒸着プロセスまたは3D印刷プロセスによって、射出成形されたカプセル化20上に生成されると考えられる。好ましくは、第2のメタライゼーション層は、電気めっきに適用される金属、例えば、電気メッキ銅によって強化される。
【0058】
メタライゼーション層104の形成は、好ましくは、外側Aの第2のメタライゼーション層35を構造化することを含む。はんだレジストを使用すること、およびまたは外側Aの第2のメタライゼーション層35を後処理することも考えられる。後処理として、例えば、ENIG(無電解ニッケル浸漬金)、銀、または金でシールする表面改質105が考えられる。好ましくは、第2の電子部品31は、最終的には、外側Aの第2のメタライゼーション層35に取り付けられる。さらに、カバー要素が電子モジュール10に取り付けられ、提供された電子モジュールが最終検査を受けることを意図している。
【0059】
図4は、プレラミネート50を製造するための概略的かつ例示的なプロセスを示す。部品側接点54を有する第1の部品30がPCB51に適用されることを意図している。続いて、PCB51および第1の部品30は、第1の部品30がマトリックス52、例えば誘電体マトリックス52内に配置または埋め込まれるように積層される。誘電体マトリックス52は、部品側接点54を露出させるように構成される。これにより、プリント回路基板51または電気接続54まで延びる凹部53が形成される。凹部53は、誘電体マトリックス52の外側を覆う導電性材料で充填される。次に、導電性材料は、プレコンポジット接触領域55を提供するように外側で構造化される。これらの予め積層された接触パッド55は、カプセル化20内の第1の部品の接触領域を表し、カプセル化20のビア5と接触している。プレラミネート50を使用する利点は、プレラミネート側接触領域55が部品側接触領域53よりも大きくなることで、カプセル化20のスルーホール5がスルーホール5の製造に関連するオフセットにより第1の部品30に接続できなくなることを回避することである。
【符号の説明】
【0060】
1…電子モジュール、5…ビア、5’…別のスルーホール、10…基板、11…一次層、12…二次層、15…メタライゼーション層、16…中間層、20…カプセル化、25…部品側、30…第1の電子部品、31…第2の電子部品、35…第2のメタライゼーション層、50…プレラミネート、51…回路基板、52…マトリックス、53…凹部、54…部品側接点、55…部品側接点、60…冷却構造、61…シール要素、101…キャリア基板を提供すること、102…カプセル化、103…スルーホールの一時的めっき、104…構造化された第2のメタライゼーション層を形成すること、105…表面改質。