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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】閉塞可能な静脈カテーテル装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230309BHJP
   A61M 39/20 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M39/20
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021543492
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2019120695
(87)【国際公開番号】W WO2020151359
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】201910076864.4
(32)【優先日】2019-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521329268
【氏名又は名称】浙江百穫健康科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG BAIHUO HEALTH TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4,22 Xingmei Avenue,Chengtan Street,Xinchang County,Shaoxing,Zhejiang,China
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】董 東生
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108578825(CN,A)
【文献】特開2017-164423(JP,A)
【文献】特開2009-232916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0096591(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108939206(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
前記密封体(25)、又は、前記密封体(25)の前記ガイド通路(40)が接続された部分は、前記静脈カテーテルベース(23)と相対回転可能に接続される、
ことを特徴とする、閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項2】
注入接続管(24)をさらに備え、前記注入接続管の内腔(240)は、前記密封体(25)を介して、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)と連通する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項3】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
前記ガイド通路の前記直管状部分(41)は、外界に対して隔離された状態で前記静脈カテーテル(2)に向かって軸方向に移動可能である、
ことを特徴とする静脈カテーテル装置。
【請求項4】
前記密封体(25)を貫通する針管通路(140)をさらに備え、前記針管の前記前端(111)は、前記針管通路(140)を経由して、前記静脈カテーテルの前記前端開口(201)から露出可能であり、
前記針管(1)が引き抜かれた後に、薬液を、前記針管通路(140)を経由させて前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に注入することができる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項5】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
前記密封体(25)に、前記ガイド通路(40)を外界に対して隔離した状態で変位させることができる穴(257)が設けられている、
ことを特徴とする静脈カテーテル装置。
【請求項6】
記密封体の回転軸(L3)は、前記静脈カテーテルの前記中心軸(L1)と平行であり、
前記ガイド通路の前記中心軸(L2)と前記回転軸(L3)との垂直距離は、前記静脈カテーテルの前記中心軸(L1)と前記回転軸(L3)との垂直距離に等しい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項7】
前記密封体(25)に回転ハンドル(255)が接続されており、前記静脈カテーテルベース(23)に、前記回転ハンドル(255)と係合する移動制限構造及び/又はガイド構造(2331)が設けられている、
ことを特徴とする、請求項に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項8】
前記ガイド通路の前記直管状部分(41)の長さ(L8)は、前記ガイド通路の前記前端開口(401)から前記静脈カテーテルの前記後端開口(202)までの距離(L5)と等しいか、それよりも長い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項9】
前記ガイド通路の前記直管状部分(41)の長さ(L8)は、前記静脈カテーテルの長さ(L6)の1/2と等しいか、それよりも長い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項10】
前記ガイド通路の前記直管状部分(41)の長さ(L8)は、前記静脈カテーテルの長さ(L6)と等しいか、それよりも長い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項11】
前記ガイド通路の前記直管状部分(41)の長さ(L8)は、前記ガイド通路の前記前端開口(401)から前記静脈カテーテルの前記前端開口(201)までの距離(L7)と等しいか、それよりも長い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項12】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
前記ガイド通路(40)と前記閉塞ワイヤの外面との間には、流体的に密封された状態で接触するために、少なくとも1つの環状エリア(404)がある、
ことを特徴とする閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項13】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
前記閉塞ワイヤ(3)の前記隔離部材(5)と接続される流体回転部材(54)をさらに備え、前記隔離部材の内腔(50)は、前記流体回転部材の内腔(540)と流体的に連通する、
ことを特徴とする閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項14】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
細長い前記閉塞ワイヤの尾セクション(34)に、操作ハンドル(53)が接続されており、前記操作ハンドル(53)の一部分は、前記閉塞ワイヤの前記隔離部材の底端(52)と密封状態で接続され、前記操作ハンドルの内腔(530)には、流体回転部材(54)が設けられており、前記閉塞ワイヤの前記隔離部材の内腔(50)は、前記流体回転部材の内腔(540)と流体的に連通する、
ことを特徴とする閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項15】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
細長い前記閉塞ワイヤ(3)の少なくとも前セクション(31)が中空であることによって、前記閉塞ワイヤの内腔(30)が形成され、前記閉塞ワイヤ(3)の先端(311)は閉口端である、
ことを特徴とする静脈カテーテル装置。
【請求項16】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
細長い前記閉塞ワイヤ(3)が中空であることによって、前記閉塞ワイヤの内腔(30)が形成され、前記閉塞ワイヤ(3)の末端(341)には開口(3410)が形成され、前記閉塞ワイヤ(3)の先端(311)は閉口端であり、前記閉塞ワイヤ(3)の前セクション(31)には、少なくとも1つの側孔(310)が形成されている、
ことを特徴とする閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項17】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
細長い前記閉塞ワイヤ(3)の少なくとも尾セクション(34)が中空であることによって、前記閉塞ワイヤの内腔(30)が形成される、
ことを特徴とする閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項18】
前記閉塞ワイヤの前記内腔(30)に入り、前記閉塞ワイヤ(3)を前進させることができる補助ガイドワイヤ(6)をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項19】
前記補助ガイドワイヤ(6)の一部又は全部を外界と隔離する補助ガイドワイヤ隔離部材(7)をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項20】
前記静脈カテーテル(2)が閉塞状態にある時、
前記補助ガイドワイヤ(6)は、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入っていない、又は、
前記内腔(20)に入っている前記補助ガイドワイヤ(6)の長さが、前記静脈カテーテルの長さ(L6)の1/2より小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項21】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
前記ガイド通路(40)に接続されたケースアセンブリ(8)をさらに備え、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記隔離部材(5)の少なくとも一部は、形を適合させて、前記ケースアセンブリ(8)内に位置する、
ことを特徴とする閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項22】
皮膚及び静脈壁に刺すための針管(1)と、
前記針管(1)の底部(15)が内部に固定される針管ベース(16)と、
静脈カテーテル(2)と、
前記静脈カテーテルの後端開口(202)と密封状態で接続される静脈カテーテルベース(23)と、
前記針管(1)が貫通する前記静脈カテーテルベース(23)の密封体(25)と、
移動可能な細長い閉塞ワイヤ(3)と、
前記閉塞ワイヤ(3)の一部又は全部を外界と隔離する隔離部材(5)と、
を備え、
前記針管の前部(11)は、前記静脈カテーテルの内腔(20)に位置し、前記針管の前端(111)は、前記静脈カテーテルの前端開口(201)から露出する、
閉塞可能な静脈カテーテル装置であって、
少なくとも前端が直管状部分(41)であるガイド通路(40)をさらに備え、
前記ガイド通路の前端開口(401)は、直接又は前記静脈カテーテルベースの内腔(230)を介して、前記静脈カテーテルの前記内腔(20)と連通しており、前記閉塞ワイヤ(3)は、前記ガイド通路(40)を通過して前記静脈カテーテルの前記内腔(20)に入ることができ、
前記ガイド通路(40)の少なくとも前記直管状部分(41)は、前記静脈カテーテル(2)と同軸であるか、又は、その中心軸(L2)が前記静脈カテーテルの中心軸(L1)と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能であり、
前記閉塞ワイヤ(3)及び前記ガイド通路(40)は、前記静脈カテーテルベースの前記内腔(230)に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であって、いずれも外界と隔離され、
前記針管ベース(16)に、前記静脈カテーテルベース(23)を軸方向に移動させる弾性部材(E)が接続されている、
ことを特徴とする閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項23】
前記針管ベース(16)に、湾曲した前端を有する羽根状ハンドル(18)が接続されている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項24】
前記針管ベース(16)に、前記静脈カテーテルベースの上端面(233)まで延び、且つ湾曲した前端を有する、左右2つの羽根状ハンドル(19a、19b)が接続されており、
前記静脈カテーテルベース(23)に、2つの前記羽根状ハンドル(19a、19b)の間に位置する突起状又は凹状の係合構造(2335)が設けられている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【請求項25】
前記閉塞ワイヤ(3)及び/又は前記ガイド通路(40)に、発熱素子が接続されている、
ことを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の閉塞可能な静脈カテーテル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に属する閉塞可能な静脈カテーテル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈穿刺及びそれに伴う静脈注入は、臨床各科において最も一般的に使用される汎用技術である。注入時間が長い場合は、柔軟性を有する静脈カテーテルを静脈内腔内に留置するのが最も一般的であり、柔軟性のある静脈カテーテルによって、留置期間中に、剛性を有する針管の前端が静脈を貫通するリスクを取り除く。しかし、薬液の注入がない留置期間には、局所的な血流の緩慢又は血流の停滞により、静脈カテーテル内及び開口箇所において血液凝固が起こりやすく、ヘパリン等の抗凝固薬を用いてカテーテルに封をする、カテーテルに生理食塩水を充填する等の措置を行っても、静脈カテーテル内腔における血栓の形成を阻止できず、血栓の脱落により、急性肺塞栓症を引き起こし、生命に危険が及ぶことがある。
【0003】
患者の肢体運動が活発な場合、静脈カテーテル内腔に血液が入りやすいため、血栓の形成がさらに加速されてしまう。
【0004】
静脈カテーテル内腔に血栓が形成されなくても、局所的な血流の緩慢又は血流の停滞により、カテーテルの開口箇所に壁在血栓が形成されたり、或いはカテーテルの外面にフィブリンシースが形成されたりすることがあり、静脈内腔の閉塞だけでなく、近傍の静脈内膜における血栓形成を招く恐れがある。
【0005】
中国特許出願第201810470421.9号には、閉塞ワイヤにより、静脈カテーテルの前端開口を、外界に対して隔離した状態で閉塞することや、閉塞ワイヤを補助的にガイドすることにより、静脈カテーテル内腔にスムーズに入れることが提案されている。しかし、閉塞ワイヤは、ガイド通路の開口と静脈カテーテル内腔の後端開口との間を遊離状態で進み、かつ同軸のガイド構造がないため、閉塞ワイヤは、静脈カテーテル内腔に容易に入れにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題を解決するために、閉塞可能な静脈カテーテル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、以下のように実現される。
【0008】
閉塞可能な静脈カテーテル装置は、皮膚及び静脈壁に刺すための針管と、針管の底部が内部に固定される針管ベースと、静脈カテーテルと、静脈カテーテルの後端開口と密封状態で接続される静脈カテーテルベースと、針管が貫通する静脈カテーテルベースの密封体と、細長い移動可能な閉塞ワイヤと、閉塞ワイヤの一部又は全部を外界と隔離する隔離部材と、を含む。針管の前部は、静脈カテーテル内腔に位置し、針管の前端は、静脈カテーテルの前端開口から露出する。閉塞可能な静脈カテーテル装置は、少なくとも前端が直管状部分であるガイド通路をさらに含み、ガイド通路の前端開口は、直接又は静脈カテーテルベース内腔を介して、静脈カテーテル内腔と連通する。閉塞ワイヤは、ガイド通路を通過して静脈カテーテル内腔に入ることができる。ガイド通路の少なくとも直管状部分は、静脈カテーテルと同軸であるか、又は、その中心軸が静脈カテーテルの中心軸と重なり合う位置まで外界に対して隔離された状態で移動可能である。閉塞ワイヤ及びガイド通路は、静脈カテーテルベース内腔に直接接触可能、及び/又は、流体的に連通可能であり、いずれも外界と隔離される。
【0009】
上述の静脈カテーテルの機能は、無菌水、薬液、血液等の流体の注入に使用できるだけではなく、検査のための静脈血、動脈血、脳脊髄液、胸水等の体液の抽出に使用できる。静脈カテーテルは、静脈、動脈、胸膜腔、くも膜下腔、腹腔等の人の体腔に出入りする双方向の通路である。
【0010】
ガイド通路は、密封体を貫通する貫通孔により直接構成されてもよい。或いは、密封体及び/又は静脈カテーテルベースを貫通する中空の通路部材の内腔を、ガイド通路としてもよい。また、密封体の通路及び他の部材の通路が共同でガイド通路を構成してもよい。
【0011】
密封体は、全体として円柱状、ブロック状等の、静脈カテーテルベースに適合する形であり、変形可能な弾性材料又は変形しにくい硬質材料で作られる。密封体は、静脈カテーテルベースと密封され且つ変形しやすい弾性部分と、ガイド通路を含む硬質部分とにより共同で構成されてもよい。また、密封体は、静脈カテーテルベースと密封され且つ変形しにくい硬質部分と、ガイド通路を含む変形しやすい弾性部分とにより共同で構成されてもよい。密封体は、完全に硬質材料で作られ、且つ静脈カテーテルベースと密封状態で回転可能に接続されてもよい。また、硬質の本体の外側に、静脈カテーテルベースと密封状態で回転可能に接続される弾性シールリングを設けてもよい。密封体の断面形状は、好ましくは円形であるが、略円形又は多角形であってもよい。
【0012】
閉塞ワイヤが静脈カテーテル内腔に入りやすいように、ガイド通路の少なくとも一部は、静脈カテーテルベースの内腔まで延びていてもよく、さらには、静脈カテーテルの後端開口まで延びていてもよい。
【0013】
閉塞ワイヤとガイド通路とは、静止している時、又は、相対的に動いている時に、静脈カテーテルベース内腔の流体と直接接触可能である。静脈カテーテルベース内腔の流体は、ガイド通路と閉塞ワイヤとの間の隙間を通って外に流出し、閉塞ワイヤ及びガイド通路に接触する。即ち、流体的に連通する。
【0014】
ガイド通路の内面には、閉塞ワイヤが静止している時又は軸方向に運動している時に、流体の外への流出を阻止する突起及び/又は窪みが設けられていてもよい。突起及び/又は窪みは、閉塞ワイヤの外面と中間嵌めを形成し、気体を通して、流体を通さない。或いは、突起及び/又は窪みは、閉塞ワイヤの外面と締まり嵌めを形成し、流体を通さず、気体も通さない。
【0015】
隔離部材は、密封体が延伸した変形可能な袋体構造であってもよい。又は、隔離部材は、外界に対して密封され、且つ力を受けて変形しやすい中空薄壁の柔軟性を有する隔離部材であって、その形状に、管状、スリーブ状、円盤状、羽根状、蝶形状、櫂状が含まれうるものでもよい。或いは、隔離部材は、外界に対して密封され、且つ力を受けて変形しにくい中空の硬質の隔離部材であって、その形状に、管状、円盤状、羽根状、蝶形状、櫂状が含まれうるものでもよい。また或いは、隔離部材は、力を受けて変形しやすい中空薄壁の柔軟性を有する部分と、力を受けて変形しにくい中空の硬質部分とにより共同で構成され、且つ外界に対して密封された隔離部材であって、その形状に管状、スリーブ状、円盤状、羽根状、蝶形状、櫂状が含まれうるものでもよい。隔離部材の内腔は、ガイド通路を介して、静脈カテーテルベース内腔と接触し、流体を注入する部分と連通することができる。
【0016】
針管が静脈カテーテルから離れると、又は、完全に引き抜かれると、針管によるガイド通路の少なくとも直管状部分に対する回転及び/又は平行移動を含む移動の制約が解除され、ガイド通路の少なくとも直管状部分が、その中心軸が静脈カテーテルの中心軸と重なり合う位置まで移動することができる。重なり合う、とは、両者が共線であること及び同軸であることを指す。これにより、閉塞ワイヤは、ガイド通路、静脈カテーテルベース内腔を通って、静脈カテーテルの前端により容易に入る。
【0017】
中心軸の位置が重なり合った後は、ガイド通路の前端開口から突出した細長い閉塞ワイヤが、静脈カテーテル内腔により入りやすくなり、最終的には静脈カテーテルの前端開口を閉塞する。
【0018】
ガイド通路は全体が直管状であってもよく、直管状部分が他の直線部分と角度を持って接続されていてもよいし、又は直管状部分が他の曲線状部分と接続されていてもよい。
【0019】
閉塞可能な静脈カテーテル装置は、注入接続管をさらに含み、注入接続管は、静脈カテーテルベースに接続することができ、注入接続管内腔は、静脈カテーテルベース内腔と連通する。
【0020】
1つの手段として、注入接続管は、密封体を介して静脈カテーテルベース内腔と連通する。これにより、静脈カテーテルベースの側面に分岐をなくすことができるので、使用時のテープと皮膚の接触の向上に寄与する。また、静脈カテーテルベース内腔の死腔の減少又は解消や、生理食塩水を用いて静脈カテーテルベース内腔を洗浄する時の渦流の減少にも役立つ。
【0021】
ガイド通路の前端開口をより静脈カテーテルの後端開口に接近させ、ガイドの効果をより信頼性のあるものにするため、直管状のガイド通路又はガイド通路の直管状部分は、外界に対して隔離された状態で、静脈カテーテルに向かって、軸方向に移動することができる。
【0022】
機能を併合した針管及び閉塞ワイヤ通路の手段として、ガイド通路の少なくとも直管状部分は、静脈カテーテルと同軸であり、針管がガイド通路の直管状部分を通過することで、針管の前部が静脈カテーテル内腔に位置する。針管が引き抜かれた後、閉塞ワイヤは、ガイド通路の直管状部分を経由して、静脈カテーテル内腔に入ることができる。予め同軸構造が設けられていることにより、移動により同軸にするステップが省略される。
【0023】
別の手段として、閉合しない針管通路が設けられており、針管通路は密封体を貫通する。針管の前部は、針管通路の前端開口を経由して静脈カテーテルの前端開口から露出することができる。針管が引き抜かれた後に、薬液を、針管通路の底端開口を経由させて、静脈カテーテルベース内腔に注入することができる。
【0024】
直管状のガイド通路又はガイド通路の直管状部分を、平行移動により静脈カテーテルと同軸にするために、密封体に、ガイド通路を外界に対して隔離した状態で変位させることができる穴が形成されている。
【0025】
穴は、変形しやすいフィルムにより、静脈カテーテルベース内腔と隔離される。フィルムは、密封体の一部であってもよく、静脈カテーテルベースの1つの接続部分であってもよい。非同軸であったガイド通路部分は、針管が引き抜かれた後、同軸の位置まで平行移動することができ、穴はこのような移動のために空間を提供する。
【0026】
移動により同軸にする別の考え方として、密封体又は密封体のガイド通路が接続された部分は、静脈カテーテルベースと相対回転可能に接続され、密封体の回転軸は、静脈カテーテルの中心軸と平行である。ガイド通路の中心軸と回転軸との垂直距離は、静脈カテーテルの中心軸と回転軸との垂直距離に等しい。
【0027】
よりうまく回転させるために、密封体には、回転ハンドルが接続されており、静脈カテーテルベースには、回転ハンドルと係合する移動制限構造及び又はガイド構造が設けられている。
【0028】
閉塞ワイヤが進行する過程で湾曲するのを防ぐために、ガイド通路の直管状部分の長さは、ガイド通路の前端開口から静脈カテーテルの後端開口までの距離と等しいか、それよりも長い。
【0029】
閉塞ワイヤが静脈カテーテル内腔内で自身の湾曲により進行困難になるのを確実に抑えるため、ガイド通路の直管状部分の長さは、静脈カテーテルの長さの1/2と等しいか、それよりも長い。
【0030】
さらに信頼性のある設計として、ガイド通路の直管状部分の長さは、静脈カテーテルの長さと等しいか、それよりも長い。
【0031】
より信頼性を高めるために、ガイド通路の直管状部分の長さは、ガイド通路の前端開口から静脈カテーテルの前端開口までの距離と等しいか、それよりも長い。
【0032】
ガイド通路と閉塞ワイヤの外面との間には、流体的に密封した状態で接触するために、少なくとも1つの環状エリアがあり、薬液が隔離部材内腔に入ることを防ぐ。
【0033】
隔離部材が変形する時に、その中の気体を収容するため、特に波形管状の隔離部材については、閉塞ワイヤの隔離部材に、流体回転部材が接続されており、隔離部材内腔は、流体回転部材内腔と流体的に連通する。
【0034】
閉塞ワイヤ及び隔離部材を移動させやすいように、細長い閉塞ワイヤの尾セクションには、操作ハンドルが接続され、閉塞ワイヤの隔離部材の底端は、操作ハンドルの一部と密封状態で接続され、操作ハンドル内腔には、流体回転部材が設けられており、閉塞ワイヤの隔離部材内腔は、流体回転部材内腔と流体的に連通する。
【0035】
閉塞期間中に、静脈カテーテルの撓みが大きくなって静脈壁を圧迫することを抑えるため、細長い閉塞ワイヤの少なくとも前セクションは中空であって、それにより閉塞ワイヤ内腔を形成する。閉塞ワイヤの先端は閉口端である。前セクションが中空の閉塞ワイヤは、静脈カテーテルの撓みを著しく増大させることはない。
【0036】
薬液注入通路を閉塞する手段として、細長い閉塞ワイヤは、全体が中空であることによって、閉塞ワイヤ内腔を形成する。閉塞ワイヤの末端には開口が形成され、先端は閉口端であって、前セクションに少なくとも1つの側孔が形成されている。閉塞ワイヤの前セクションが、静脈カテーテルベース内腔まで戻ると、薬液は、末端に形成された開口を経由して、閉塞ワイヤ内腔に入り、側孔から流出して、静脈カテーテルを経由して静脈に注入される。
【0037】
閉塞ワイヤの外径全体は小さいが進行距離が長いので、細長い閉塞ワイヤの少なくとも底セクションは中空であって、それにより閉塞ワイヤ内腔が形成され、その内腔に、撓みは大きいが外径がより小さい補助ガイドワイヤを入れることができる。補助ガイドワイヤの材料は、金属、カーボンファイバー等から選択される。
【0038】
補助ガイドワイヤは閉塞ワイヤ内腔に入って、閉塞ワイヤのより良好な前進を促進することができ、相応するように接続された後は、後退も補助することができる。
【0039】
補助ガイドワイヤの撓みは大きいため、静脈カテーテルが閉塞状態にある場合、補助ガイドワイヤは、静脈カテーテル内腔に入っていないか、或いは、静脈カテーテル内腔に入っている補助ガイドワイヤの長さは、静脈カテーテルの長さの1/2より小さい。
【0040】
補助ガイドワイヤは、閉塞ワイヤの先端を静脈カテーテルの前端開口まで移動するようにガイドした後、最初の位置、又は静脈カテーテルの後端開口の箇所まで戻ることができる。或いは、補助ガイドワイヤは、閉塞ワイヤによる閉塞が終了した後、閉塞ワイヤとともに、最初の位置まで戻る。
【0041】
補助ガイドワイヤは、閉塞ワイヤの先端が静脈カテーテルの後端開口の箇所まで移動するのを補助することができる。この時、補助ガイドワイヤは、静脈カテーテルの後端開口の箇所で留まって前進しないため、閉塞ワイヤのみを静脈カテーテルの前端開口まで移動させる。この過程では、静脈カテーテルが、閉塞ワイヤの前進をガイドする。
【0042】
補助ガイドワイヤの閉塞ワイヤに対する補助は、推進及び/又は支持を含む。
【0043】
中空の閉塞ワイヤの先端は非閉口端でもよく、閉塞ワイヤの先端部分の外面により静脈カテーテルの前端開口が閉塞され、補助ガイドワイヤの先端部分により、中空の閉塞ワイヤの先端開口が閉塞されてもよい。
【0044】
閉塞ワイヤと補助ガイドワイヤの底端にはそれぞれ、外力を加えやすくするための操作ハンドルが接続され、閉塞ワイヤの隔離部材の底端は、直接又は閉塞ワイヤの操作ハンドルを介して、閉塞ワイヤと密封状態で固定され、接続される。
【0045】
静脈カテーテル装置の使用中、静脈カテーテル装置をさらに確実に外界と隔離するため、補助ガイドワイヤも補助ガイドワイヤ用の隔離部材内に配置される。補助ガイドワイヤは、この隔離部材の底端に直接固定されて接続されてもよいし、或いは、補助ガイドワイヤの操作ハンドルを介してこの隔離部材の底端と密封状態で固定されて、接続されてもよい。
【0046】
静脈カテーテルベースの外で、閉塞ワイヤ、補助ガイドワイヤ及び隔離部材をよりうまく操作するために、静脈カテーテル装置は、ガイド通路に接続されたケースアセンブリをさらに含む。ケースアセンブリは、ブロック状、円盤状等でもよく、その中には、対応する溝等の収納及びガイド構造が設けられている。閉塞ワイヤ、隔離部材の少なくとも一部は、ケースアセンブリの形状に適合するようにケースアセンブリ内に位置する。。
【0047】
静脈穿刺の際、静脈内腔に入った鋭利な針管の前端が進行し続ける時に、静脈カテーテルの前端に被覆されて、針を安全に進入させることができるように、針管ベースには、静脈カテーテルベースを軸方向に移動させる弾性部材が接続されている。
【0048】
弾性部材の使用と共働させるために、針管ベースには、前端が湾曲した羽根状ハンドルが接続され、湾曲した前端と指が当接することで、弾性部材によって針管が後退しないようにすることができる。
【0049】
さらに、針管ベースには、前端が湾曲した左右2つの羽根状ハンドルが接続されており、羽根状ハンドルは、静脈カテーテルベースの上端面まで延びる。静脈カテーテルベースには、2つの羽根状ハンドルの間に位置する突起状又は凹状の係合構造が設けられる。
【0050】
低温による血液凝固を防ぐため、閉塞ワイヤ及び/又はガイド通路には、発熱素子が接続されている。
【0051】
発熱素子は、金属電熱線又は間接電磁誘導により発熱する素子であってよい。発熱素子は、中空の閉塞ワイヤ内に埋め込まれていてもよく、閉塞ワイヤの底端が、電源と電子制御モジュールとに接続される。閉塞状態において静脈内腔に位置する静脈カテーテルの温度、特に先端部分の温度を、静脈内の血液の温度と等しいか、それよりも高くすることで、血液が静脈カテーテル上で凝固することを効果的に防ぐ。
【0052】
本発明において、外力の作用を受ける回転ハンドル等の様々な操作ハンドルは、手動であっても、モータを含む駆動装置によって駆動されてもよい。
【発明の効果】
【0053】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0054】
1.閉塞ワイヤは、連続的にガイドされるか、又は、断続的ではあるが同軸によってガイドされる前提で、静脈カテーテル内腔にスムーズに入る。
【0055】
2.薬液の注入がない留置期間中、閉塞ワイヤが静脈カテーテルの先端開口を完全に閉塞するため、血液が静脈カテーテル内腔に入らず、静脈カテーテル内腔において血栓が形成されるリスクが徹底的に解消される。
【0056】
3.閉塞状態において、閉塞ワイヤの円錐形の先端が、部分的に静脈カテーテルの先端開口から突出していることにより、局所的な血流の死腔がなくなり、壁在血栓、フィブリンシース、静脈血栓の発生を最大限に減少させる。
【0057】
4.静脈穿刺の過程において、自発的且つ素早い血液の逆流及び安全な針の進入が実現される。
【0058】
5.少なくとも閉塞ワイヤの先端に設けられた発熱素子により、静脈カテーテルの先端開口の箇所の温度を顕著に上昇させることができ、血液の凝固を最大限に回避することができる。
【0059】
6.連通状態において、薬液は、閉塞ワイヤの先端の発熱素子を経て流れるので、人体の熱バランスの安定に有利なだけでなく、低温による血液凝固を最大限防止する。
【0060】
7.連通状態又は閉塞状態にかかわらず、少なくとも閉塞ワイヤの先端に設けられた発熱素子により、局所的な低温による白血球の活性低下が招く感染リスクを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
以下の図面は本発明を限定するものではない。
図1A】実施例1の構造模式図である。
図1B】実施例1の構造模式図である。
図1C】実施例1の構造模式図である。
図1D】実施例1の構造模式図である。
図1E】実施例1の構造模式図である。
図1F】実施例1の構造模式図である。
図2A】実施例2の構造模式図である。
図2B】実施例2の構造模式図である。
図2C】実施例2の構造模式図である。
図2D】実施例2の構造模式図である。
図2E】実施例2の構造模式図である。
図2F】実施例2の構造模式図である。
図2G】実施例2の構造模式図である。
図2H】実施例2の構造模式図である。
図2I】実施例2の構造模式図である。
図3A】実施例3の構造模式図である。
図3B】実施例3の構造模式図である。
図3C】実施例3の構造模式図である。
図3D】実施例3の構造模式図である。
図4A】実施例4の構造模式図である。
図4B】実施例4の構造模式図である。
図4C】実施例4の構造模式図である。
図4D】実施例4の構造模式図である。
図4E】実施例4の構造模式図である。
図5A】実施例5の構造模式図である。
図5B】実施例5の構造模式図である。
図5C】実施例5の構造模式図である。
図5D】実施例5の構造模式図である。
図5E】実施例5の構造模式図である。
図6A】実施例6の構造模式図である。
図6B】実施例6の構造模式図である。
図6C】実施例6の構造模式図である。
図6D】実施例6の構造模式図である。
図7A】実施例7の構造模式図である。
図7B】実施例7の構造模式図である。
図7C】実施例7の構造模式図である。
図7D】実施例7の構造模式図である。
図8A】実施例8の構造模式図である。
図8B】実施例8の構造模式図である。
図8C】実施例8の構造模式図である。
図8D】実施例8の構造模式図である。
図8E】実施例8の構造模式図である。
図9A】実施例9の構造模式図である。
図9B】実施例9の構造模式図である。
図10A】実施例10の構造模式図である。
図10B】実施例10の構造模式図である。
図11】実施例11の構造模式図である。
図12A】実施例12の構造模式図である。
図12B】実施例12の構造模式図である。
図13A】実施例13の構造模式図である。
図13B】実施例13の構造模式図である。
図13C】実施例13の構造模式図である。
図13D】実施例13の構造模式図である。
図13E】実施例13の構造模式図である。
図13F】実施例13の構造模式図である。
図13G】実施例13の構造模式図である。
図13H】実施例13の構造模式図である。
図13I】実施例13の構造模式図である。
図13J】実施例13の構造模式図である。
図13K】実施例13の構造模式図である。
図13L】実施例13の構造模式図である。
図13M】実施例13の構造模式図である。
図13N】実施例13の構造模式図である。
図14A】実施例14の構造模式図である。
図14B】実施例14の構造模式図である。
図14C】実施例14の構造模式図である。
図14D】実施例14の構造模式図である。
図15A】実施例15の構造模式図である。
図15B】実施例15の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明における図面の符号のうち、先の実施例で説明されたものについては、後の実施例において必ずしも逐一繰り返して説明されるとは限らない。また、以下に述べる実施例は、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0063】
図1A、1B、1C、1D、1E、1Fに示すように、本発明の実施例1の静脈カテーテル装置は、皮膚S及び静脈壁Vに刺すための剛性を有する針管1と、針管ベース16と、静脈カテーテル2と、静脈カテーテルベース23と、密封体25と、閉塞ワイヤ3と、閉塞ワイヤのガイド通路40と、隔離部材5と、を含む。針管1内部の中空部分は、針管内腔10である。針管前部11は、静脈カテーテル内腔20に位置する。穿刺時、尖った針管前端111が、静脈カテーテルの前端開口201から露出する。針管内腔10の針管前端には開口101が形成されており、針管前部11の針管前端111の近傍には、側方開口102が形成されている。針管接続部12は、静脈カテーテルベース23の前端231エリア内に位置し、針管中間部13は、静脈カテーテルベース内腔230に位置する。針管のうち密封体内にある部分は、針管貫通部14である。針管底部15は針管ベース16内に固定され、針管ベース16には針管ベースハンドル17が接続されている。相対的に柔軟性を有する中空の静脈カテーテル2は、PU、FEP等の材料で作られ、前部21及び後部22から成る。静脈カテーテルの前部21は、錐状に細くなった前端211を有し、薬液は、静脈カテーテル内腔20を経由して前端開口201から静脈Vに流入する。静脈カテーテル内腔20は、後端開口202を介して静脈カテーテルベース内腔230と連通する。静脈カテーテルベース23の前端231と後端232との間は、上端面233、下端面234、左側面235、右側面236である。静脈カテーテルベース23の内腔230には、前端231に小さい前端開口2301が、後端232に大きな後端開口2302が形成されている。静脈カテーテルベースの前端開口2301内には、中空の静脈カテーテルの後部22が嵌合しており、静脈カテーテルベースの後端開口2302内には、密封体25が充填されている。静脈カテーテルベースは、左側面235に、接続管24が接続される中空の注入側分岐2351を有し、静脈カテーテルベース内腔230は、接続管内腔240と連通している。密封体25の前端面251は、静脈カテーテルベース内腔230に隣接し、後端面252は外に面している。密封体25は、硬質部分25aと弾性部分25bとがつなぎ合わせられて成る。硬質部分25aは、PC、AS、ABS等の樹脂で作られてもよく、弾性部分25bは、シリコンゴム、ポリウレタン等の弾性材料で作られてもよい。弾性部分25bは、針管1が引き抜かれた後、針管1が通ったエリアを閉じて外界に対して密封することができる。密封体の硬質部分25a内には、閉塞ワイヤのガイド通路40が設けられている。ガイド通路40の前セクションは直管状部分41であり、ガイド通路40の後セクション42は傾斜して前セクション41と連通している。ガイド通路40には、前端開口401及び後端開口402が形成されている。細長い閉塞ワイヤ3は、ガイド通路の後端開口402からガイド通路40に入ることができる。閉塞ワイヤ3の外は、袋状かつ薄壁の変形可能な、シリコンゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、EVA、PET等の柔軟性を有するフィルム材料で作られてもよい、隔離部材5である。隔離部材の前端51には開口501が形成されており、隔離部材の後端52は閉口端である。隔離部材の前端51は、密封体25の硬質部分25aの円柱状又は扁平状の突出部254に密封状態で嵌合接続される。具体的には、接着、熱溶接、超音波溶接等の方法で密封接続されてもよい。ガイド通路の後セクション42の一部は、この突出部254内に位置し、ガイド通路の後端開口402は、突出部254の後端面2541に位置する。閉塞ワイヤ3が静脈カテーテルベース内腔230に直接接触しうる部分、及び/又は、流体的に連通しうる部分は、いずれも隔離部材内腔50に位置する。本実施例では、閉塞ワイヤの末端341は、完全に隔離部材内腔50に位置する。
【0064】
図1Aに示すように、針管1は静脈カテーテル2とともに、皮膚表面S、皮下組織S1、静脈壁Vを貫通する。尖った針管前端111が静脈内腔V0に入ると、静脈血は針管内腔10に流入する。操作者は、針管前端の側方開口102の箇所を、透明な静脈カテーテル2を通して観察することによって、穿刺の成功を確認する。
【0065】
図1Bに示す初期状態では、針管の中心軸L0、ガイド通路の直管状部分の中心軸L2、静脈カテーテルの中心軸L1の三線は、共線である。針管貫通部14の一部分14aは、密封体の硬質部分25aのガイド通路の直管状部分41内に位置し、針管貫通部14の他の部分14bは密封体の弾性部分25bを貫通する。この時、ガイド通路の前端開口401は、針管貫通部の一部分14aに占有され、閉塞ワイヤ3は静脈カテーテルベース内腔230に入ることができない。
【0066】
図1Cに示すように、静脈穿刺が完了した後、針管1を引き抜くと、密封体の弾性部分25bでは、材料の弾性復帰により、針管が通過した線状エリア253が閉じられ、外界に対して密封される。この時、ガイド通路の前端開口401は静脈カテーテルベース内腔230と連通している。図1Dに示すように、ガイド通路の直管状部分41は、静脈カテーテル2と同軸である。即ち、ガイド通路の直管状部分の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1とは、共線である。閉塞ワイヤ3は、ガイド通路の直管状部分41の同軸によるガイドのもと、静脈カテーテルベース内腔230に入る。図1Eに示すように、閉塞ワイヤ3は、静脈カテーテルの後端開口202を経由して静脈カテーテル内腔20に入る。図1Fに示すように、閉塞ワイヤ3は、最終的に静脈カテーテルの前端開口201を閉塞する。隔離部材5は、変形して密封体25の後端面252に向かって圧縮され堆積する。このように同軸上を直進する設計にすることで、細長い閉塞ワイヤ3を静脈カテーテル内腔20にさらに入れやすくなる。その効果は、非同軸上を斜行する方法よりも、はるかに優れている。
【0067】
図1Fに示す封止状態において、閉塞ワイヤ3のうち、静脈カテーテル内腔20に位置する部分は、前セクション31であり、静脈カテーテルベース内腔230に位置する部分は、中セクション32であり、ガイド通路の直管状部分41内に位置する部分は後セクション33であり、残りの部分は尾セクション34である。尾セクション34の末端341は、隔離部材内腔50内に位置する。閉塞ワイヤの前セクション31の先端311は錐形で、次第に細くなっていて、静脈カテーテルの前端開口201から突出し、閉塞期間中、この箇所の血液の渦流を最大限に解消する。閉塞ワイヤの先端311と静脈カテーテルの前端開口201とは、血液を遮断した状態で接触している。即ち、血液は両者の隙間を通過することができない。閉塞ワイヤの先端311と静脈カテーテルの前端開口201とは、締り嵌めにより係合されても、形が適合することで係合されてもよい。
【0068】
本実施例の閉塞ワイヤ3は、実体として糸状であり、PU、PA、PET、PDFEのような樹脂材料を押出又は射出により成形してもよいし、ニッケルチタン合金等の金属材質を選択してもよい。使用時、操作者は、指Pで柔軟性のあるフィルム状の隔離部材5をつまむことにより、その内腔50に位置する閉塞ワイヤ3を固定して、閉塞ワイヤ3を前進又は後退させる。具体的には、隔離部材の後端52及びその中の閉塞ワイヤの尾セクション34の末端341部分をしっかりとつまむことができる。
【実施例2】
【0069】
図2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2Iに示すように、本実施例が実施例1と最も相違する点は、初期状態において、ガイド通路の直管状部分41の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1は非同軸であるが、平行関係である点である。図2Aに示すように、針管ベース16は、隔離部材5の下方に位置する。静脈カテーテルベース23の上端面233にはアーチ状窓2331が設けられており、アーチ状窓2331から、密封体の硬質部分25aの一部が露出している。密封体の硬質部分25aには、ハンドル255が接続されており、ハンドル255は、ネック部2551を介して、密封体の硬質部分25aと繋がっている。図2Bに断面視で示すように、閉塞ワイヤの前セクションの先端311は、ガイド通路40内にあって、後端開口402近傍に位置し、ガイド通路の前端開口401は、静脈カテーテルベース内腔230のボス2303に対向している。このため、閉塞ワイヤ3は静脈カテーテル内腔20に入ることができない。密封体の硬質部分25a及び弾性部分25bは、共射出成形、接着、締り嵌め等の方法で互いに入り組んで一体に繋ぎ合わされており、両者は同時に動くことができる。静脈カテーテル内腔20内に針管1の干渉がない時は、ハンドル255をアーチ状窓2331の左側から右側まで回すことにより、静脈カテーテルベース23の中心線L3を軸として、密封体25を回転させ変位させることができる。図2Cに示すように、針管1が密封体25から引き抜かれ、線状エリア253が閉じて外界に対して密封されると、密封体25にある針管ベースの窪み256は空になる。この時、線状エリア253は変わらず静脈カテーテルの中心軸L1の延長線上に位置する。図2Dに示すように、操作者の指Pが密封体の硬質部分25aのハンドル255に作用すると、ハンドル255はアーチ状窓2331の左側から右側まで回転する。ネック部2551が移動できなくなった時、即ち所定の位置まで回転した時、直管状のガイド通路40の中心軸L2と、静脈カテーテルの中心軸L1とが、共線になる。図2Eに示すように、指Pで隔離部材5に力を加えると、閉塞ワイヤの前セクションの先端311を、静脈カテーテルの中心軸L1上で矢印の方向に前進させることができる。図2Fに示すように、閉塞ワイヤの前セクション31の先端311は錐形で、次第に細くなっていて、静脈カテーテルの前端開口201から突出することで、静脈カテーテル2を閉塞する。隔離部材5は、全体が軸方向に圧縮され、両側方向に変形する。回転移動の方法により同軸にする原理を分かりやすく示すため、断面図2Gに初期状態を示す。図2Gにおいて、針管1は、静脈カテーテル内腔20に位置し、直管状のガイド通路40の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1とは非同軸であるが、平行関係にある。回転軸L3は両者の中間に位置する。断面図2Hでは、針管1が密封体25から引き抜かれており、この時、回転移動を干渉する要素はない。断面図2Iは、所定の位置まで回転した後の状態を示す。図2Iにおいて、直管状のガイド通路40の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1は共線の位置にある。本実施例のガイド通路40は、全路にわたり真っ直ぐであり、湾曲及び傾斜した部分がない。回転動作は全て、外界の環境に対し隔離した前提で行われるので、微生物又は異物が静脈カテーテルベース内腔230に入るリスクがない。静脈注入が必要な時は、閉塞ワイヤ3を静脈カテーテル内腔20から引き出して、閉塞ワイヤ3が静脈カテーテルの後端開口202を閉塞しないようにするだけでよい。
【実施例3】
【0070】
実施例2は、外界に対して隔離した状態で回転させる方法により、密封体25の直管状のガイド通路40の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1を共線にする方法であった。本実施例3が実施例2と最大に相違する点は、図3A、3B、3C、3Dに示すように、ガイド通路40が独立した中空の通路部材4で構成されており、外界に対して隔離した状態で平行移動させる方法により、つまり回転させない方法で、共線にする点である。
【0071】
断面図3Aに示すように、静脈カテーテルベースは、上端面233に管状突出部2332を有し、管状突出部2332内に通路部材4が嵌合する。通路部材4は、静脈カテーテルベースの管状突出部の外端面2333から突出する延伸セクション43を有する。隔離部材の前端51の内面は、管状突出部2332の外面と密封状態で接続され、通路部材の延伸セクション43は隔離部材内腔50に位置する。通路部材4は、延伸セクション43に作用する外力により動かされて、管状突出部2332に対して変位することができる。通路部材4の湾曲した中空部分の前セクションは、ガイド通路の直管状部分41であり、後セクション42は、傾斜して前セクション41と連通している。細長い閉塞ワイヤ3の前セクション31は、ガイド通路の後セクション42内に部分的に入る。ガイド通路の直管状部分41の中心軸L2は、静脈カテーテルの中心軸L1と平行であるが、非同軸である。密封体25は、完全に弾性材料で作られており、回転する必要がない。初期状態では、針管1に阻害されて、通路部材4は下方に移動することができない。
【0072】
使用時は、静脈穿刺の成功後、針管1を密封体25から引き抜き始める。図3Bに示すように、針管1が引き抜かれた後は、針管1が通路部材4の下方移動を阻害することはない。
図3Cに示すように、指Pで隔離部材の前端51付近のエリアをつまみ、フィルム状の柔軟性のある隔離部材5を部分的に通路部材の延伸セクション43に接触させ、力を入れて下方向に押すと、通路部材4は、その直管状部分41の中心軸L2が静脈カテーテルの中心軸L1と同軸になるまで下方に移動する。この時、通路部材の直管状部分41の前端は、静脈カテーテルベースの内壁に当接して、移動し続けることができない。
【0073】
図3Dに示すように、閉塞ワイヤの前セクション31は、ガイド通路の前端開口401から出て、静脈カテーテルの中心軸L1に沿って前進し、静脈カテーテル内腔20に入る。しっかりと隔離されているため、外界環境に存在する微生物及び/又は他の異物が、この操作によって静脈カテーテルベース内腔230に持ち込まれることはなく、つまりは、静脈内腔V0に入ることもない。当然ながら、静脈カテーテルベース23の管状突出部2332は、静脈カテーテルベースの左側面235又は右側面236に設置されてもよい。
【実施例4】
【0074】
実施例3は、独立した中空の通路部材4で構成されたガイド通路の直管状部分41を、その中心軸L2が静脈カテーテルの中心軸L1と同軸の位置になるまで、外界と隔離した状態で平行移動させる方法により、つまり回転させない方法で、移動させる方法であった。本実施例4が実施例3と最も相違する点は、図4A、4B、4C、4D、4Eに示すように、直管状の通路部材4と針管が、密封体の弾性部分25b及び密封体の硬質部分25aを貫通して、静脈カテーテルベース23の内壁に密封状態で接続されていることと、静脈カテーテルベースの右側面236近傍の、密封体の弾性部分25bと硬質部分25aとの間に、穴257があり、右側の穴257は、弾性部分25bの針管1が通過するエリアをちょうど収容可能な形状と体積を有すること、である。
【0075】
図4Bに断面視で示すように、密封体の弾性部分25bは、外界に対して密封された状態で、硬質部分25aに対して平行に移動することができ、密封体の弾性部分25bの前端の縁は、柔軟性のあるフィルム部材を介して硬質部分25aの前端の縁と密封状態で接続されている。図において、密封フィルム部材の左側部分25cは折れ曲がった状態であり、右側部分25dは相対的に伸張している。右側の穴257は、密封フィルム部材の右側部分25dにより、静脈カテーテルベース内腔230と隔離されている。通路部材4は、密封体の弾性部分25bの後端から突出した延伸セクション44を有し、延伸セクション44の外面は、隔離部材の前端51の内面と密封状態で接続されている。針管1の干渉がない時に、外力が通路部材の延伸セクション44に作用すると、密封体の弾性部分25bをガイド通路40とともに平行移動させることができる。
【0076】
図4Cに断面視で示すように、静脈穿刺が成功した後、針管1を密封体の弾性部分25bから引き抜くと、針管1が通過した線状エリア253が閉じられて、外界に対し密封される。この時、外力等が通路部材の延伸セクション44に作用すると、矢印に示すように、密封体の弾性部分25bは、ガイド通路40とともに、外界と隔離された状態で平行移動することができる。
【0077】
図4Dに断面視で示すように、密封体の弾性部分25bは、ガイド通路40とともに右側の穴257まで平行移動して、穴257を埋める。すると、弾性部分25bがあった空間が空いて、左側の穴258を形成する。密封フィルム部材の左側部分25cは伸張するが、右側部分25dは、以前と比べて折れ曲がった状態となる。この時、ガイド通路の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1は同軸の位置になる。
【0078】
図4Eに示すように、ガイド通路の前端開口401から出た閉塞ワイヤ3は、静脈カテーテル内腔20にスムーズに入って、最終的には、静脈カテーテルの前端開口201を閉塞する。
【実施例5】
【0079】
本実施例に示す手段は、直管状のガイド通路40を、その中心軸L2が静脈カテーテルの中心軸L1と共線になる位置まで回転移動させた後、軸方向に移動させ、最終的には、ガイド通路の前端開口401を、静脈カテーテルの後端開口202に、より近接又は直接接触させることによって、より確実に閉塞ワイヤ3を入れるようにするものである。
【0080】
図5Aに断面視で示すように、針管1と通路部材4は、密封体25を貫通した状態で密封体25内に位置し、針管ベース16の前端部分は、密封体25の窪み256に嵌め込まれている。密封体25は、硬質部分25a及び弾性部分25bで構成される。通路部材4は、全体が直管状であり、延伸部45が密封体の硬質部分25aの後端から突出している。通路部材4を被覆する密封体の硬質部分25aは、その後端に、静脈カテーテルベースの後端232から突出する延伸部分259を有する。延伸部分259は、薄壁の末端2591と、ハンドル2592とを有し、延伸部分259の薄壁の末端2591の外面は、隔離部材の前端51部分の内面と密封状態で接続される。
【0081】
図5Bに断面視で示すように、静脈穿刺が成功した後、針管1を密封体の弾性部分25bから引き抜くと、針管1が通過した線状エリア253が閉じられて、外界に対し密封される。また、針管ベース16を収容していた窪み256部分は空になる。この時、密封体の硬質部分25aの延伸部分259又はハンドル2592に外力が作用すると、回転による変位によって、ガイド通路40は、図5Cに示すように、その中心軸L2が静脈カテーテルの中心軸L1と共線になる位置まで移動する。この時、閉塞ワイヤ3は、矢印で示す方向、すなわち静脈カテーテルの中心軸L1と同軸の方向に移動することができる。
【0082】
図5Dに断面視で示すように、閉塞ワイヤ3が確実にガイド通路40に沿って前進し、静脈カテーテルの後端開口202にスムーズに入るように、且つ、閉塞ワイヤ3が静脈カテーテルベース内腔230を通過する時に発生しうる歪みを防ぐために、外力が隔離部材5の外面を介して通路部材4の延伸部45に作用すると、通路部材4は、ガイド通路の前端開口401が静脈カテーテルの後端開口202と接合するまで、外界に対して隔離された状態で軸方向に前方移動する。これにより、閉塞ワイヤ3は、静脈カテーテル内腔20にスムーズに入ることができる。通路部材4は、密封体の硬質部分25a内の通路の中を平行移動する。この平行移動は、密封状態で接触していることを前提とした平行移動であってよい。通路部材4のうち、静脈カテーテルベース内腔230に入る部分には、1つ又は複数の側方開口403が設けられている。薬液を注入する必要がある場合、薬液は、注入側分岐(図示せず)を経由して、静脈カテーテルベース内腔230に入り、この開口をからガイド通路40及び静脈カテーテル内腔20に入るので、通路部材4を戻す必要がない。
【0083】
図5Eに断面視で示すように、閉塞ワイヤ3は、静脈カテーテル内腔20にスムーズに入って前端開口201を閉塞することができる。閉塞ワイヤ3の前進は、その全過程にわたって、直管状且つ連続的なガイドのもと行われる。
【実施例6】
【0084】
図6A、6B、6C、6Dに示すように、本実施例6が実施例2と最も相違する点は、密封体25に針管通路140が設けられており、針管1が引き抜かれた後に、針管通路140が閉じられるのではなく、オス継手25eと薬液を注入する接続管24の継手241とを接合することにより、接続管内腔240の薬液が、針管通路140を流れて静脈カテーテルベース内腔230に入り、続いて静脈カテーテル内腔20に入ることである。
【0085】
図6Aに断面視で示すように、初期状態では、隔離部材5は上に位置し、針管ベース16は下に位置している。針管ベースのハンドル17は右側に延び、針管1は、硬質材料で作られた密封体25内に位置している。針管ベース16は、密封体25の後端面252から突出したオス継手25e内に部分的に嵌め込まれている。直管状のガイド通路40の中心軸L2は、静脈カテーテルの中心軸L1と平行であるが同軸ではない。
【0086】
図6Bに示すように、針管1が引き抜かれると、密封体25内の針管通路140が現れる。接続管24の前端のメス継手241をオス継手25eと密封状態で接合すると、薬液を矢印の方向に沿って静脈カテーテル内腔20に流入させることができる。
【0087】
図6Cに示すように、回転操作により、直管状のガイド通路40の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1とが共線になるようにして、閉塞ワイヤ3により静脈カテーテルの前端開口201を閉塞すると、静脈内腔V0内の血液は、静脈カテーテル内腔20に入ることができず、また、薬液も静脈内腔V0に入ることができない。本実施例において、ガイド通路40は、全路にわたり直管状であって、別部材を設けることなく、密封体25の内部通路により形成される。
【0088】
図6Dに示すように、閉塞ワイヤ3がガイド通路40内に回収されると、薬液は、矢印の方向に沿って、静脈カテーテル内腔20に流入することができる。
【実施例7】
【0089】
図7A、7B、7C、7Dに示すように、本実施例7が実施例6と最も相違する点は、密封体25の後端に連通管242が設けられている点である。図7Aに示す初期状態では、連通管242は、隔離部材5の下方に位置しており、連通管242には側方分岐243が設けられている。連通管の側方分岐内腔2430には、薬液を注入することができる。連通管242の底端には、継手244が接続されており、継手244内には、弾性密封栓245が取り付けられている。針管1は、弾性密封栓245、連通管内腔2420、及び密封体25内の針管通路140を貫通している。針管ベース16にはハンドル17が接続されており、ハンドル17は、継手244の外に位置している。
【0090】
図7Bに示すように、静脈穿刺成功後に針管1を引き抜くと、弾性密封栓245の、針管1が通った線状エリア2451が閉じられ、外界に対し密封される。薬液は、連通管の側方分岐内腔2430、連通管内腔2420、及び/又は注入針管(図示せず)が刺さった弾性密封栓245を経て注入され、図中の矢印の方向に沿って、静脈カテーテルベース内腔230に流入する。
【0091】
図7Cは、外界に対し隔離した状態で回転した後の、薬液注入のない閉塞状態を示している。図7Cに示すように、連通管242は、隔離部材5の上方に位置し、連通管242の底端には、継手244が接続され、外界に対して密封されている。連通管の側方分岐243は、注入管路に接続可能であるか、又は注入継手により閉塞可能である(図示せず)。
【0092】
薬液注入を再び行う必要がある場合、図7Dに示すように、薬液は、隔離部材5の上方に位置する連通管の側方分岐内腔2430、連通管内腔2420、及び/又は、注入針管(図示せず)が刺さった弾性密封栓245を経由して注入され、図中の矢印の方向に沿って、静脈カテーテルベース内腔230に流入することができる。
【実施例8】
【0093】
図8A、8B、8C、8D、8Eに示すように、本実施例の手段において強調することは、薬液を注入する接続管24は、その内腔が、密封体25の注入通路250を経由して静脈カテーテルベース内腔230に入ることである。
【0094】
図8Aに示すように、針管ベース16は、隔離部材5の下方に位置し、薬液を注入する接続管24は、密封体25の後端面252から繋がれている。静脈カテーテルベース23の上端面233には、アーチ状窓2331が設けられており、アーチ状窓2331から密封体の硬質部分25aの一部が露出している。密封体の硬質部分25aには、ハンドル255が接続され、ハンドル255は、ネック部2551を介して、密封体の硬質部分25aと繋がっている。
【0095】
異なる角度から部分的に断面視した断面図8B及び8Cに示すように、閉塞ワイヤの前セクションの先端311は、ガイド通路40内にあって、後端開口402近傍に位置し、ガイド通路の前端開口401は、静脈カテーテルベース23の内壁に対向している。このため、閉塞ワイヤ3は静脈カテーテル内腔20に入ることができない。針管1が密封体25から引き抜かれると、針管1を収容していた密封体の弾性部分25bの線状エリア253が閉じられて、外界に対し密封される。硬質部分25aの、針管ベース16を収容していた窪み256は空になる。この時、薬液は、接続管内腔240から、密封体25の注入通路250を経由して、静脈カテーテルベース内腔230に入り、さらに静脈カテーテル内腔20から静脈に流入することができる。
【0096】
図8Dに示すように、静脈カテーテル内腔20の針管1の干渉がない場合、ハンドル255をアーチ状窓2331の左側から右側に270°回転させて下側まで移動させることで、静脈カテーテルベース23の中心線L3を回転軸として、密封体25を回転させて変位させることができる。直管状のガイド通路40の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1は共線になる。
【0097】
図8Eに示すように、閉塞ワイヤの前セクション31の先端311は錐形で、次第に細くなっていて、静脈カテーテルの前端開口201から突出することによって、静脈カテーテル2を閉塞する。隔離部材5は全体として軸方向に圧縮されて両側方向に変形する。
【実施例9】
【0098】
図9Aに示すように、直管状のガイド通路40の長さL8は、ガイド通路40の前端開口401から静脈カテーテルの後端開口202までの距離L5と等しいか、それよりも長い。このように設計することで、閉塞ワイヤ3は、直管状のガイド通路40の制約を受けながら、確実に同軸上を前進し、静脈カテーテル内腔20にスムーズに入ることができる。また、静脈カテーテル内腔20によって、閉塞ワイヤ3を継続的にガイドすることができる。
【0099】
試験により実証された手段として、直管状のガイド通路40の長さL8は、静脈カテーテル2の長さL6の1/2と等しいか、それよりも長い。これにより、湾曲したガイド通路40を使用した場合、湾曲部分が閉塞ワイヤ3に与える塑性変形作用によって閉塞ワイヤ3が静脈カテーテル内腔20に入る時に抵抗力が生じるのを、一定程度防ぐことができる。
【0100】
閉塞ワイヤ3が進行している時に、ガイド通路40に存在しうる湾曲部分の影響を確実に受けないようにするため、より信頼性のある1つの寸法選択として、直管状のガイド通路40の長さL8は、静脈カテーテル2の長さL6と等しいか、それよりも長い。
【0101】
より信頼性のある手段として、直管状のガイド通路40の長さL8は、その前端開口401から静脈カテーテルの前端開口201までの距離L7と等しいか、それよりも長い。これにより、湾曲しやすい細長い閉塞ワイヤ3が、直管状のガイド通路40内で塑性変形した後でも、依然として静脈カテーテル内腔20にスムーズに入ることができる。
【0102】
図9Bに部分的に拡大して示すように、ガイド通路の前端開口401内には、2つの環状突起404が設けられている。環状突起404は、閉塞ワイヤ3の外面と締り嵌めにより接触し、静脈カテーテルベース内腔230の薬液又は血液が、環状突起404と閉塞ワイヤ3の隙間から隔離部材内腔50に入ることを阻止する。
【実施例10】
【0103】
図10Aに示すように、本実施例10が前述の実施例と最も相違する点は、隔離部材は、その後端52に接続された中空の操作ハンドル53を有し、操作ハンドル内腔530の前端開口531には、袋状の膨張しやすい流体回転部材54が嵌合しており、流体回転部材内腔540は、連通孔5054を介して隔離部材内腔50と連通していることである。本図では、流体回転部材54はまだ膨張しておらず、閉塞ワイヤの尾セクション34の末端341が、操作ハンドル内腔530の前端開口531に固定されている。
【0104】
図10Bに示すように、指(図示せず)で操作ハンドル53を動かして、閉塞ワイヤ3を前進させると、隔離部材5が圧縮されて変形し、その内腔50の気体は、膨張する流体回転部材内腔540に押し込まれる。これにより、気体の圧縮による抵抗力が閉塞ワイヤ3の前進に対して干渉するのを防ぐ。操作ハンドル53は、扁平状、柱状、楕円球状等であってよい。
【実施例11】
【0105】
図11に示すように、本実施例11が前述の実施例と最も相違する点は、細長い閉塞ワイヤ3は、少なくとも前セクション31が中空であり、それにより閉塞ワイヤ内腔30が形成され、先端311は閉口端である点である。閉塞状態において、静脈カテーテル内腔20に入るのは閉塞ワイヤの前セクション31であるので、その内部が中空であることにより、前セクションの撓みを大幅に低減することができる。これにより、閉塞ワイヤ3と静脈カテーテル2とが重なった後、全体の撓みが大きくなるのを防ぎ、閉塞期間中、静脈カテーテル2が静脈壁Vに与えうる押圧損傷を少なくすることができる。
【0106】
閉塞ワイヤ3の前セクション31又は閉塞ワイヤ3の全体には、発熱素子(図示せず)を設けることができる。発熱素子は、金属電熱線、又は、間接電磁誘導により発熱する素子でもよい。閉塞状態において、発熱素子により、静脈内腔V0内に位置する静脈カテーテル2の温度、特に前端211の温度を、静脈内の血液の温度と等しいかそれよりも高くすることで、静脈カテーテル2における血液の凝固を効果的に防ぐ。
【実施例12】
【0107】
本実施例の手段は、閉塞ワイヤ内腔30を、薬液を注入する通路とすることができる。
【0108】
図12Aに示すように、細長い閉塞ワイヤ3が中空であることにより、閉塞ワイヤ内腔30が形成される。閉塞ワイヤの尾セクション34の末端341には開口3410が形成され、閉塞ワイヤの先端311は閉口端である。前セクション31には、少なくとも1つの側孔310が形成されている。閉塞ワイヤの末端開口3410は、中空の操作ハンドル55の内腔550と連通している。操作ハンドル55の前端551は細くなっており、この前端551内部の中空に、閉塞ワイヤの尾セクション34が嵌合している。操作ハンドル内腔550には、弾性密封栓56が充填されている。本図は、針管1が引き抜かれた後の閉塞状態を示しており、この状態では、静脈血は、静脈カテーテルベース内腔230に逆流しない。図中の左側の拡大図は、閉塞ワイヤの前セクションの側孔310が、静脈カテーテル2の内壁の真隣にあることを示している。
【0109】
図12Bに示すように、薬液を注入する必要がある時は、操作ハンドル55を引っ張って隔離部材5を引き伸ばし、閉塞ワイヤの前セクション31を静脈カテーテルの後端開口202から抜き出す。この時、外部の針管を操作ハンドル内腔550の弾性密封栓56に刺入して、薬液を注入すると(図示せず)、薬液が操作ハンドル内腔550を経由して、閉塞ワイヤ内腔30に入り、図中の矢印で示すように、閉塞ワイヤの前セクションの側孔310から静脈カテーテルベース内腔230に流入する。
【実施例13】
【0110】
回転により、ガイド通路40の中心軸L2を静脈カテーテルの中心軸L1と共線にする構造については、上述のとおり詳細に説明したが、本実施例が例示する手段の最大の相違点は、閉塞ワイヤ3及び隔離部材5の外側に、動かしやすくするためのケースアセンブリ8が嵌合されており、ケースアセンブリ8の構成要素によって、閉塞ワイヤ3及びその中にある補助ガイドワイヤ6の移動を正確に制御できることである。
【0111】
図13A、13Bに示すように、初期状態において、直管状のガイド通路40の中心軸L2が、静脈カテーテル中心軸L1と非同軸だが平行である点と、針管ベース16が、隔離部材5の下方に位置する点と、静脈カテーテルベース23の上端面233にアーチ状窓2331が設けられ、アーチ状窓2331から密封体の硬質部分25aの一部が露出している点で、本実施例の静脈カテーテルベース23の構造は、実施例2とほぼ同じであるが、以下の点で実施例2とは異なる。密封体の硬質部分25aは、その後端に静脈カテーテルベースの後端面232から突出する延伸部分259を有し、延伸部分259に、ケースアセンブリ8の下ケース部材83の接続部834が嵌合して接続される。ケースアセンブリ8は、全体的に円盤状であり、下ケース部材83、中ケース部材82、上ケース部材81及び組立盤84を組み合わせて成る。図13A、13Bに示す初期状態では、下ケース部材83が上に、中ケース部材82が中間に、上ケース部材81が下に位置しており、組立盤84が、下ケース部材の中心空洞8300を貫通している。安定性を高めるため、アーチ状窓2331の真ん中の位置には、上方に延び且つ前後長手方向にアーチ状窓2331を跨ぐブリッジ状の補強リブ2334が設けられている。密封体の硬質部分25aには、円柱状のストッパー突起2594が設けられ、円柱状のストッパー突起2594は、アーチ状窓2331を露出せず、アーチ状窓の左側境界2331aと当接する。ストッパー突起2594がアーチ状窓の右側境界(図示せず)に当接すると、ガイド通路40の中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1とが同軸の状態になる。
【0112】
図13Dに示すように、密封体の硬質部分25aの延伸部分259には、複数の係止部2593が設けられている。係止部2593が、下ケース部材の接続部834の矩形の取付孔8341に嵌め込まれることにより、密封体と下ケース部材とが接続されて一体となる。針管1を引き抜いた後、指で下ケース部材83の本体、及び/又は本体と繋がっているケースアセンブリ8の他の部分を把持して回転させると、密封体25を、L3を軸にして、同期的に半周回転させることができる。つまり、図13Aの初期状態から図13Cの同軸状態に変化する。この時、下ケース部材83は下に、上ケース部材81は上に位置する。上ケース部材の上端面814には、3つの羽根状突起811が設けられている。図13Cにさらに示すように、下ケース部材83の左側には斜行溝833があり、引き抜かれる前の針管ベース16が、この斜行溝833内に部分的に位置する。
【0113】
図13Dにさらに示すように、針管1が引き抜かれると、線状エリア253が閉じられて外界に対して密封され、密封体25の、針管ベースがあった窪み256は空になる。中空の閉塞ワイヤ内腔30には、補助ガイドワイヤ6が設けられている。部分的に拡大した図では、補助ガイドワイヤの前端61と閉塞ワイヤの前セクションの先端311の内側との間には一定の隙間があるが、当然ながら完全に当接してもよい。補助ガイドワイヤ6は、チタン合金、ステンレス等の金属材料、又は硬質のPET、PA等の樹脂を選択して作ることができる。補助ガイドワイヤ6を設けることによって、中空の閉塞ワイヤ3の強度が高まり、閉塞ワイヤ3が前方移動しやすくなる。
【0114】
さらに、ガイド通路40を形成する密封体の硬質部分25aの後端から、延伸セクション44が突出している。延伸セクション44の外面は、波形管状の隔離部材の前端開口51部分の内面と密封状態で接続され、波形管状の隔離部材5の末端には、柱状の操作ハンドル53が接続されている。操作ハンドル53の上端面には、取付孔532が形成されており、操作ハンドル53の一方の側には、膨張変形しやすい流体回転部材54が接続されている。操作ハンドル53の後端には、波形管状の補助ガイドワイヤ隔離部材7の近位端部分71が接続されており、補助ガイドワイヤ隔離部材7の遠位端部分72は、柱状の補助ガイドワイヤの操作ハンドル73に止められている。操作ハンドル73の上端面には、取付孔730が形成されている。下ケース部材83の外環リブ832と内環リブ831との間は、円環状の収容溝830であり、隔離部材5及び補助ガイドワイヤ隔離部材7が、この収容溝830及び収容溝830と連通する接続部内腔8340に取り付けられる。下ケース部材83の内環リブ831に複数の溝が設計されていることによって、材料の重さを減らし、製造コストを下げることができる。
【0115】
図13D及び13Eに示すように、上ケース部材の内環リブ812は、中ケース部材82の中心空洞820に嵌合する。内環リブ812の外面は、中ケース部材の中心空洞周縁8201と隣接している。ここで言う隣接とは、相対移動可能に接触している、又は互いに近接していることを言う。中ケース部材82には、円弧状窓821が形成されており、操作ハンドル53は円弧状窓821内に嵌合する。上ケース部材81の下端面813には、嵌合柱815が設けられ、嵌合柱815は中ケース部材の円弧状窓821を介して操作ハンドル53の上端面の取付孔532内に嵌め込まれる。これにより上ケース部材81は、隔離部材5及び閉塞ワイヤ3と接続される。中ケース部材82の下端面823には、嵌合柱826が設けられており、嵌合柱826は、操作ハンドル73の上端面の取付孔730内に嵌め込まれる。これにより、中ケース部材82は補助ガイドワイヤ隔離部材7及び補助ガイドワイヤ6と接続される。
【0116】
さらに、中ケース部材の下端面823は、下ケース部材の外環リブの上端面8321と隣接しており、上ケース部材の下端面813は、中ケース部材の上端面824と隣接している。組立盤84の上端面843は、下ケース部材の中心空洞8300の環状ボスの下端面8302(図13G参照)と隣接しており、組立盤84には、垂直上方に延びる複数の係止部841が設けられている。組立盤の係止部841は、下ケース部材の中心空洞8300、中ケース部材の中心空洞820を貫通して、最終的には、組立盤の係止部のうち外向きの突出部8411が、上ケース部材の下端面813の環状リブ812の側方取付孔8120にそれぞれ対応して嵌め込まれる。これにより、ケースアセンブリ8が組み立てられて一体となる。中ケース部材82、上ケース部材81はいずれも、下ケース部材83に対して相対的に回転可能であり、中ケース部材82と上ケース部材81も、相対的に回転可能である。また、上ケース部材81が、組立盤84と一体となって、同期的に回転することは明らかである。上ケース部材81の回転により、円弧状窓821内に位置する操作ハンドル53が回転する時、操作ハンドル53の回転範囲は、円弧状窓821の近位端境界8212と遠位端境界8211との間に留まる。指で操作しやすいように、中ケース部材82の外縁には、複数の歯状突起825が設けられている。中ケース部材82が回転して、その近位端の歯状突起825の前端8251と下ケース部材83の斜行溝のボス8331とが当接すると、回転が停止する。
【0117】
図13Fの部分断面図に示すように、針管1を引き抜き、ガイド通路40をその中心軸L2と静脈カテーテルの中心軸L1とが同軸状態になるまで回転させた後において、上ケース部材81の嵌合柱815は、中ケース部材の円弧状窓821を介して、操作ハンドル53の上端面の取付孔532に嵌め込まれ(図13G参照)、中ケース部材82の嵌合柱826は、補助ガイドワイヤの操作ハンドル73の上端面の取付孔730に嵌め込まれている。中ケース部材82の近位端の歯状突起825の前端8251は、下ケース部材83の斜行溝のボス8331から離れており、中ケース部材82の遠位端の歯状突起の前端8252は、下ケース部材の接続部834の右側ボス8342に当接するか又は真隣に位置している。この時、指で中ケース部材の歯状突起825を、矢印で示すように時計回りに回転させると、補助ガイドワイヤ6及び閉塞ワイヤ3を、円弧を描くように、前方移動させることができる。
【0118】
図13Gの別の角度から見た断面図に示すように、同軸状態において、閉塞ワイヤの操作ハンドル内腔530は、流体回転部材内腔540と連通する。
【0119】
図13Hの水平断面図に示すように、同軸状態において、操作ハンドル73はa点の位置に位置し、補助ガイドワイヤの末端62は、操作ハンドル73内に固定され、操作ハンドル53はc点の位置に位置する。
【0120】
図13Iに示すように、中ケース部材82を矢印に示すように時計回りに回転させて、中ケース部材82の近位端の歯状突起825の前端8251が、下ケース部材83の斜行溝のボス8331に当接するまで回転すると所定位置に至る。この時、図13Jの部分断面図に示すように、閉塞ワイヤ3の前セクションの先端311は、静脈カテーテルの後端開口202まで進み、補助ガイドワイヤの前端61は、先端311内に位置する。この時、図13Kの水平断面図に示すように、操作ハンドル73はb点の位置まで前進しており、操作ハンドル53は、d点の位置まで前進している。
【0121】
図13Lに示すように、上ケース部材81を矢印で示すように時計回りに回転させ、引き続き閉塞ワイヤ3を前進させると、図13Mの部分断面図に示すように、閉塞ワイヤの先端311が静脈カテーテルの前端開口201から突出して、閉塞状態になり、収容溝830内に位置する波形管状の隔離部材5は、著しく圧縮される。この時、図中の隔離部材5の大部分は、接続部内腔8340内に位置し、補助ガイドワイヤ隔離部材7は、最大限に引き伸ばされる。水平断面図13Nに示すように、この時、操作ハンドル53は、e点の位置まで前進しており、操作ハンドル73は、依然としてb点の位置に位置している。このような設計によって、補助ガイドワイヤ6が静脈カテーテル内腔20に入らないように、或いは入る長さを極めて小さくすることができる。これにより、閉塞状態において、中空の閉塞ワイヤの前セクション31によって、静脈カテーテル2の撓みが著しく大きくなることがなく、静脈壁に余計な損傷を与える恐れを確実に解消できる。収容溝830は、隔離部材5、閉塞ワイヤ3、補助ガイドワイヤ隔離部材7、補助ガイドワイヤ6に対し、全路にわたってガイド及びストッパーの役割を果たす。
【0122】
閉塞を解除する時は、逆方向に操作すればよい。
【実施例14】
【0123】
本実施例14と先の実施例との最大の相違点は、本実施例の手段は、素早い血液の逆流と、針の進入過程における針先保護が実現される点である。図14Aの部分断面図に示すように、針管ベース16には内腔160が形成されており、針管底部15は、針管ベース内腔160に位置する。針管1の収容に関与する密封体の硬質部分25aの後端には、管状延伸部26が設けられており、その内腔260に針管1の一部が収容されている。密封体の管状延伸部26の底端部分は、針管ベース内腔160に嵌合する。針管底部15には、針管1を静脈カテーテルベース23に対して軸方向に移動させることができる圧縮バネEが嵌められており、圧縮バネEの一端は、針管ベース内腔160の底部に当接し、他端は、管状延伸部26の底端面261に当接している。管状延伸部26の右側には、局部開口262が形成されている。圧縮バネEが軸方向に伸びて、管状延伸部26の底端面261及び密封体25を押すのに伴って、静脈カテーテルベース23が前方移動し、静脈カテーテル内腔の前端開口201によって、鋭利な針管の前端111が被覆される。
【0124】
針管ベース16には、静脈カテーテルベースの右側面236まで延びる羽根状のハンドル18が接続されている。羽根状のハンドル18は、その前端に湾曲部182を有する。図14Bに示すように、ハンドル18は、密封体の管状延伸部26の局部開口262に対応するエリアに、左に湾曲した円弧状の水平断面を有する押圧片181を有する。また、針管ベース16にも、密封体の管状延伸部26の局部開口262に対応するエリアに、局部開口161が形成されている。押圧片の遊離セクション1811は、針管ベースの局部開口161を介して、密封体の管状延伸部の局部開口262内に嵌め込まれる。このような状態において、圧縮バネEは圧縮されて弾性位置エネルギーを貯め、鋭利な針管の前端111が静脈カテーテルの前端開口201から突出し、静脈穿刺の操作を行うことができる。
【0125】
穿刺時は、図14Cに示すように、柔軟性を有する薬液注入用の接続管24を、指Pでハンドル18の上面に押しつけて、接続管24を部分的に凹ませて変形させる(図示せず)。それと同時に、ハンドルの押圧片の遊離セクション1811を、指Pで密封体の管状延伸部の局部開口262に嵌め込み、密封体25の管状延伸部26が圧縮バネEの弾性力に押されて前方移動することを阻止する。静脈内腔V0に入ったと感じた時に、指Pを軽く緩めると、接続管24の押圧された箇所が弾性復帰することにより発生した負圧吸引力により、静脈内腔の血液が自発的に針管内腔10に吸い込まれる。透明な静脈カテーテル2を通して、針管の前端の側方開口102において、血液の逆流の有無をタイムリーに観察することができる。素早く自発的に血液を逆流させることができる機能は、静脈内腔の血液の圧力が低い患者にとって特に重要である。血液の逆流を確認後、引き続き指Pを緩めると、押圧片181が反発し、その遊離セクション1811が、密封体の管状延伸部26の局部開口262から出る。そして、圧縮バネEから放たれた弾性位置エネルギーにより、密封体25の管状延伸部26が押されるのに伴って、静脈カテーテルベース23と静脈カテーテル2が前方移動し、図14Aに示す状態のように、静脈カテーテル内腔の前端開口201により鋭利な針管の前端111が被覆される。指Pの先がハンドル18の前端の湾曲部182に当接しているため、圧縮バネEの伸張によるハンドル18の後方移動が阻止される。よって、さらに静脈内腔V0への針の進入を続けたとしても、静脈壁Vを貫通しないので、安全な針の進入が実現される。
【0126】
図14Dに示すように、静脈穿刺成功後に針管1を引き抜くと、薬液注入の開始も、先の実施例で述べた静脈カテーテル2の閉塞操作の開始も可能になる。
【0127】
針管ベース16に接続された羽根状のハンドル18は、静脈カテーテルベースの上端面233又は左側面235に設けられてもよい。ハンドル18の押圧片の遊離セクション1811は、密封体の管状延伸部26の局部開口262に嵌め込まれなくてもよく、開口がない管状延伸部26の外面と密接することにより発生する摩擦抵抗によって、圧縮バネEの弾性力に対抗してもよい。
【実施例15】
【0128】
自発的且つ素早い血液の逆流と、安全な針の進入をよりよく実現するために、本実施例が実施例14と相違する点は、以下のとおりである。本実施例は、実施例13の閉塞機構を採用し、閉塞機構の針管ベースのハンドルは、図15Aに示すように設計されている。つまり、針管ベース16に、前端が湾曲した左右2つの羽根状のハンドル19a、19bが接続されている。ハンドル19aは上方左側に、ハンドル19bは上方右側に延びて静脈カテーテルベースの上端面233に配置され、両者の間には隙間190がある。左側のハンドル19aの湾曲部191の縁には、切欠き1910が形成されており、ハンドル19aとハンドル19bの接続部192の左側には、リブ状切欠き1920が形成されている。切欠き1910及びリブ状切欠き1920に、柔軟性を有する薬液注入用の接続管24を嵌め込むことができる。図15Bに示すように、静脈カテーテルベースの上端面233には、上方に延び且つ長手方向に配置されたリブ2335が設けられている。リブ2335は、隙間190内に位置する。二本の指でハンドル19a、19bを中心に向かって押圧すると、ハンドルの湾曲部191の湾曲が始まる箇所にある内側の突起1912にリブ2335の前端が阻まれて、静脈カテーテルベース23は圧縮バネEに押されても前方移動することができない。指で加減して、ハンドル19a、19bを両側に移動させると、ハンドルの湾曲部191の内側の突起1912によるリブ2335の移動に対する阻害が解除される。この時、圧縮バネEに押されると、静脈カテーテルベース23は前方移動することができる。指Pの先がハンドル19a、19bの前端の湾曲部191に当接するため、圧縮バネE(実施例14と同じ、図示せず)の伸張によるハンドル19a、19bの後方移動が阻止され、これにより実施例14と同様の効果がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0129】
【文献】中国特許出願第201810470421.9号
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図13J
図13K
図13L
図13M
図13N
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B