(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ステッカー型粘着メッシュとステッカー型粘着メッシュの製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/21 20180101AFI20230309BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230309BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230309BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
C09J7/21
C09J7/38
B32B27/00 M
B32B5/02 Z
B32B27/00 E
(21)【出願番号】P 2021550701
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 KR2019017515
(87)【国際公開番号】W WO2020175776
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0022983
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521381749
【氏名又は名称】パク、ソン-ホ
(73)【特許権者】
【識別番号】521381978
【氏名又は名称】ハイ-カンパニー,リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】521381990
【氏名又は名称】クンウ ディーピーエスオーエル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソン-ホ
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068130(JP,A)
【文献】実開平02-055274(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0020586(US,A1)
【文献】特開昭61-136573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ生地(20)と、
前記メッシュ生地(20)の上面に印刷されるインク層(10)と、
前記メッシュ生地(20)の底面に塗布される第1の粘着層(30)と、
前記第1の粘着層(30)の底面に積層される吸収層(40)と、
吸収層(40)の底面に塗布される第2の粘着層(50)と、
前記第2の粘着層(50)の底面に積層される離型紙(60)と、からなり、
前記メッシュ生地(20)は、縦糸と横糸が交差されて製織される織物からなり、前記縦糸と前記横糸の間の隙間により多孔性状で形成され、前記第1の粘着層(30)は、複数の粘着層が繰り返して塗布されることにより、前記複数の粘着層が積層され、前記複数の粘着層のそれぞれは、微細薄膜状に形成され
、
前記第1の粘着層(30)をなす複数の粘着層は、前記メッシュ生地(20)に接触される部位に薄膜状で繰り返して塗布されることにより、前記第1の粘着層(30)は、前記メッシュ生地(20)の底面形態に対応するように、多孔性状で形成される、
ことを特徴とする、ステッカー型粘着メッシュ
。
【請求項2】
前記吸収層(40)は、吸湿性や多孔質構造を有する樹脂材料からなり、インクのような液状素材が前記吸収層(40)をなす微細組織の内部に浸透可能であり、
前記吸収層(40)と、前記第2の粘着層(50)と前記離型紙(60)は、一体で作製されて前記第1の粘着層(30)の底面に融着されることを特徴とする、請求項
1に記載のステッカー型粘着メッシュ
。
【請求項3】
前記インク層(10)をなすインク(I)の一部が前記インク層(10)の印刷過程で前記メッシュ生地(20)と前記第1の粘着層(30)と前記吸収層(40)の上面の一部の深さまで吸収されることを特徴とする、請求項
2に記載のステッカー型粘着メッシュ
。
【請求項4】
縦糸と横糸を交差させて製織して全体的に多孔性状で形成されるメッシュ生地(20)を用意し、前記メッシュ生地(20)の底面に粘着剤を塗布して第1の粘着層(30)を形成する段階と、
前記メッシュ生地(20)及び前記第1の粘着層(30)とは別に吸湿性または多孔質構造を有する樹脂材料からなるシート状の吸収層(40)を用意し、前記吸収層(40)の底面に第2の粘着層(50)を塗布する段階と、
前記第2の粘着層(50)の底面に離型紙(60)を積層する段階と、
前記吸収層(40)と前記離型紙(60)が前記第2の粘着層(50)により一体に接合された状態で
前記吸収層(40)の上面を前記第1の粘着層(30)の底面に接合させる段階と、
前記メッシュ生地(20)の上面にインク(I)を印刷してインク層(10)を形成する段階と、からなり、
前記第1の粘着層(30)を形成する段階は、前記第2の粘着層(50)を塗布する段階と前記離型紙(60)を積層する段階に対して時間的前後関係はなく、前記第1の粘着層(30)を形成する段階は、粘着剤を塗布した後、凝固させる段階を複数回繰り返して行い、前記メッシュ生地(20)の底面に形成される多孔性状に対応するように前記第1の粘着層(30)を前記メッシュ生地(20)の底面と接触する部位にのみ塗布することにより、前記第1の粘着層(30)を前記メッシュ生地(20)の形態に対応するように多孔性で形成することを特徴とする、ステッカー型粘着メッシュの製造方法
。
【請求項5】
前記第1の粘着層(30)の塗布は、マイクログラビア印刷からなることを特徴とする、請求項
4に記載のステッカー型粘着メッシュの製造方法
。
【請求項6】
前記吸収層(40)と前記離型紙(60)が前記第2の粘着層(50)により一体に接合された状態で前記第1の粘着層(30)の底面に接合させる段階は、接合直前に前記第1の粘着層(30)が塗布された前記メッシュ生地(20)を加熱炉に一定の速度で通過させることにより、前記第1の粘着層(30)を前記第1の粘着層(30)の底面から上部に一定の深さだけ熱活性状態で形成する段階を含むことにより、前記第1の粘着層(30)の一部と前記吸収層(40)の上面を融着させることを特徴とする、請求項
4に記載のステッカー型粘着メッシュの製造方法
。
【請求項7】
前記離型紙(60)は、多孔性または吸湿性材質として選択することにより、前記インク層(10)を形成する段階において前記メッシュ生地(20)と、前記第1の粘着層(30)を順に通過したインク(I)が前記吸収層(
40)に吸収されることを特徴とする、請求項
6に記載のステッカー型粘着メッシュの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスに付着させる粘着シート及びその製造方法に関し、特にシートの材質が繊維からなる粘着シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内建具に付着させるインテリア部材は、通常、デコフィルムで仕上げられる場合がほとんどである。しかし、デコフィルムは、樹脂材料であるため、天然繊維が与える感じを完全に感じさせることができず、高級な雰囲気を演出するには限界がある。そして、デコフィルムは、時間の経過とともに収縮してシワが寄ったり、亀裂が発生して外観が粗悪になるという問題がある。また、デコフィルムは、原材料として主に用いられる塩化ビニル樹脂(PVC)にフタル酸エステル、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(TVOC)、トルエンなどの有害物質が含まれるため、人体に有害であるという問題もある。
【0003】
これらの問題を解決するとともに、最近、障子紙に対する高級天然材料の使用増加及びウェルビーイング文化に対する多くの関心のため、様々な天然素材が活用された障子紙が使用されている。
【0004】
ところが、最近、使用されている障子紙の中には、繊維(mesh)が活用されたことがない。なぜなら、特にメッシュ繊維で粘着シートを作製するためには、繊維の背面に粘着剤が塗布されるので、印刷を行うときに繊維のインクIの吸収率が低下し、繊維の空き空間を介してインクI成分が染み込んで粘着剤と反応することにより、粘着剤の成分が変形し、粘着剤の性能が低下して剥離が起こりやすいという問題点がある。
【0005】
また、メッシュの繊維背面に粘着剤が塗布された場合、繊維間の穴に粘着剤が埋まって外観品質が低下し、メッシュの繊維には、特に溶剤(solvent)インクI出力の場合は、繊維の間にインクIが過剰に吸収されて印刷品質が低下し、多くの場合、メッシュにインクIがよく吸収されず、印刷品質が低下するという問題点がある。
【0006】
したがって、天然素材で作製されるメッシュの繊維が主材料として用いられるにもかかわらず粘着性能が低下せず、また、インクI印刷による粘着力の低下が発生しない粘着シートに対する技術が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、メッシュ繊維からなるが、高い粘着力の維持と優れた印刷品質という2つの矛盾する要求を同時に満たすことができる構造を持つステッカー型粘着メッシュを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するための本発明によるステッカー型粘着メッシュは、メッシュ生地20と、メッシュ生地20の上面に印刷されるインク層10と、メッシュ生地20の底面に塗布される第1の粘着層30と、第1の粘着層30の底面に積層される吸収層と、吸収層40の底面に塗布される第2の粘着層50、及び第2の粘着層50の底面に積層される離型紙60からなる。
【0009】
ここで、メッシュ生地20は、縦糸と横糸が交差されて製織される織物からなり、縦糸と横糸の間の隙間により多孔性状で形成され、特に、第1の粘着層30は、複数の粘着層が繰り返して塗布されることにより、複数の粘着層が積層される形態で形成される。
【0010】
また、前記第1の粘着層30をなす複数の粘着層は、好ましくは、メッシュ生地20に接触する部位に繰り返して塗布されることにより、第1の粘着層30は、メッシュ生地20の底面の形態に対応するように多孔性状で形成される。
【0011】
そして、前記吸収層40は、第1の粘着層30と同一形態の多孔性状で形成されるように積層されるが、好ましくは、吸収層と第1の粘着層30との間には、第1の粘着層30の背面が一定の深さまで熱溶融されることにより、吸収層の上面の一部と融着されることにより、融着層42が形成される。
【0012】
また、前記離型紙60は、多孔性材質または吸湿性材質からなることにより、好ましくは、前記インク層10をなすインクIの一部がインク層10の印刷過程でメッシュ生地20と第1の粘着層30と吸収層40及び第2の粘着層50を通過して離型紙60の上面の一部の深さまで吸収され、離型紙60の上面に吸収層62が形成される。
【0013】
一方、本発明によるステッカー型粘着メッシュの製造方法は、縦糸と横糸を交差させて製織して全体的に多孔性状で形成されるメッシュ生地20を用意し、メッシュ生地20の底面に粘着剤を塗布して第1の粘着層30を形成する段階と、第1の粘着層30の底面に吸収層40を積層する段階と、吸収層40の底面に第2の粘着層50を塗布する段階と、第2の粘着層50の底面に離型紙60を積層する段階、及びメッシュ生地20の上面にインクIを印刷してインク層10を形成する段階からなる。
【0014】
ここで、前記第1の粘着層30を形成する段階は、好ましくは、粘着剤を塗布した後に凝固させる段階を複数回繰り返して行い、メッシュ生地20の底面に形成される多孔性状に対応するように第1の粘着層30をメッシュ生地20の底面と接触する部位にのみ塗布することにより、第1の粘着層30を多孔性で形成する。
【0015】
このとき、前記第1の粘着層30の塗布は、マイクログラビア印刷で行われてもよい。
【0016】
そして、前記吸収層40を積層する段階は、好ましくは、多孔性の吸収フィルムを第1の粘着層30の底面にラミネート方式で接合するか、または吸収溶融液を第1の粘着層30の底面に塗布することにより、吸収層40を第1の粘着層30と同様に多孔性状で形成する。
【0017】
また、前記吸収層40を積層する段階は、好ましくは、吸収層40を接合または塗布する前に第1の粘着層30が塗布されたメッシュ生地20を加熱炉に一定の速度で通過させることにより、第1の粘着層30の底面から一定の深さだけ上部まで半溶融状態で形成する段階を含むことにより、吸収層40を第1の粘着層の底面に接合または塗布するときに半溶融状態になった第1の粘着層30の一部と吸収層40の上面を融着させる。
【0018】
そして、前記離型紙60は、好ましくは、多孔性または吸湿性材質として選択することにより、インク層10を形成する段階でメッシュ生地20と、第1の粘着層30と、吸収層40と、第2の粘着層50の順に通過したインクIが離型紙60の上部に吸収され、吸収層62が形成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるステッカー型粘着メッシュは、特に多孔性材質からなって粘着剤の塗布及びインクI印刷が困難なメッシュ生地20が、優れた印刷品質と優れた粘着力という2つの相反する特性をすべて持つことができ、従来のウィンドウ用デコ粘着シートに比べて、天然素材が与える高級なインテリア感覚を演出させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明によるステッカー型粘着メッシュの断面図である。
【
図2】
図1のメッシュ生地20と第1の粘着層30だけを拡大した断面図である。
【
図3】
図2の吸収層40が追加された断面図である。
【
図4】
図3の第2の粘着層50と離型紙60が追加された断面図である。
【
図5】
図4のインク層10が追加された断面図である。
【
図6】第1または第2の粘着層50の塗布原理を示す概念図である。
【
図7】本発明によるステッカー型粘着メッシュの製造方法のブロック図である。
【
図8】
図7の段階IIと段階IIIを細分したブロック図である。
【
図9】本発明によるステッカー型粘着メッシュの正面写真である。
【
図10】
図9の離型紙60が分離される写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照し、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明によるステッカー型粘着メッシュは、
図1に示すように、メッシュ生地20と、メッシュ生地20の上面に印刷されるインク層10と、メッシュ生地20の底面に塗布される第1の粘着層30と、第1の粘着層30の底面に積層される吸収層40と、吸収層40の底面に塗布される第2の粘着層50、及び第2の粘着層50の底面に積層される離型紙60からなる。
【0023】
メッシュ生地20は、縦糸と横糸が交差されて製織される織物からなる。一般的な繊維生地のほとんどがこれに該当してもよく、特にナイロンなどの樹脂だけでなく、天然素材のすべての種類の生地が該当してもよい。
【0024】
メッシュ生地20は、縦糸と横糸からなるので、縦糸と横糸の間の隙間により多孔性状で形成される。このような形態からなる理由は、本発明に適用されるメッシュ生地20が特殊な織物であるためではなく、一般的な繊維生地自体が微細な極細糸が撚線されて糸に形成され、糸が再び製織されて織物になるので、自然に微細な隙間が形成される多孔性構造になるからである。
【0025】
このとき、特に重要な点は、第1の粘着層30は、複数の粘着層が繰り返して塗布されることにより、複数の粘着層が積層される形態で形成される点である。
【0026】
従来、メッシュ生地20が粘着シートのベースとして採択されることが困難であった大きな理由の一つは、メッシュ生地20自体が多孔性材料であるため、粘着剤が底面に塗布されるとき、粘着剤がメッシュ生地20の隙間に染み込み、メッシュ生地20の上面に突出して印刷が困難になるからでもあるが、メッシュ生地20自体が多孔性材質であるため、均一で表面エネルギーの高い樹脂や金属類とは異なり、粘着剤が塗布される面積自体が狭いからである。
【0027】
また、メッシュ生地20は、繊維構造的な面で多量の粘着剤を底面に塗布しても、一度の塗布工程で塗布すると、メッシュ生地の底面に残って、実際に粘着力を発揮する粘着剤の量は、ごく微量に過ぎず、残りは生地に吸収されるか、または、前述のように生地の組織の間に抜けて生地の上面に突出して生地の美感を損ない、インク印刷にも悪影響を及ぼすおそれがあるという問題がある。
【0028】
すなわち、ビニルに粘着剤を塗布して壁に貼るよりも、ネットに粘着剤を塗布して壁に貼ることが困難であるという理由である。もちろん、メッシュ生地20は、ネットよりは比較できないほど細かく製織されているが、隙のない表面を有するものではなく、縦糸と横糸の間の微細な隙間が形成され、多孔質と類似した形態の表面を持つからである。
【0029】
したがって、メッシュ生地20に粘着剤を塗布する過程が普通のデコシートのようにただ一度の塗布で終了されてしまうと、粘着剤は、メッシュ生地20の隙間に吸収されてメッシュ生地20の上面に突出され、結局、メッシュ生地20の美しい美感が消えてしまうだけでなく、相当量の粘着剤がメッシュ生地20の隙間に消えてしまい、粘着力のための成分は、メッシュ生地20の底面に少量だけ残ることになるという問題がある。
【0030】
また、従来は、メッシュ生地にただ一度の粘着剤塗布のみ行われる場合、インクが粘着剤において形態上の変形を起こすことにより、シワ、巻き込み現象が発生し、特にインクジェットプリントには適用されないという問題点がある。
【0031】
また、インクジェットプリンティングでメッシュ生地の粘着シートを作製する場合、ただ一度の多量粘着剤の塗布が行われる場合、シワ、巻き込み、ねじれなどのメッシュ生地の形態の変形が発生することにより、プリンターヘッドとメッシュ生地がぶつかって、プリンタを損傷させるという問題点がある。
【0032】
このように粘着剤がメッシュ生地20の微細構造の間に浸透し、メッシュ生地20の印刷過程にも悪影響を及ぼし、粘着剤がメッシュ生地20の背面に微量だけ残る問題を回避するため、本発明では、2つの技術的な要素が導入される。
【0033】
第一は、粘着剤を従来のように強い圧力で塗布させるのではなく、
図6に示すように、マイクログラビア方式で粘着剤をメッシュ生地20の背面に塗布することにより、微細薄膜状で粘着剤を塗布するものである。このように微細薄膜状で粘着層が塗布される場合、粘着剤がメッシュ生地20の隙間に沿って吸収され、メッシュ生地20の上面に浸透する現象が防止されることにより、後述する印刷過程においてもメッシュ生地20の質感がそのまま生きている効果を発揮することになる。
【0034】
第二は、前記のような微細薄膜状の粘着層が複数の層で形成されることにより、第1の粘着層30がなる点である。1つの微細薄膜層は、極めて薄く形成されることにより、粘着剤がメッシュ生地20の隙間に浸透することは防止されるが、厚さが小さいため、1つの微細薄膜状の粘着層によっては、望む粘着力を発揮させることが困難である。したがって、微細薄膜状の粘着層が複数個が積層する形態で第1の粘着層30が形成されると、必要な粘着力が発揮されるとともに、メッシュ生地20の上部に粘着剤が浸透することも防止される二重効果がすべて得られる。
【0035】
ここで、
図6に示されたマイクログラビア印刷は、業界の専門用語で、厳密に言えば、「リバースロールキスコーティング法」という。マイクログラビアという用語は、キスコーティング作業の際、生地とコーティングロール(IR)の接触角(Wrap angle)を最小化するためにコーティングロール(IR)の半径を小型化して、ロール表面と加工生地の塗料及びink vortex area(VA)範囲を極小化することで薄膜の塗料及びインクを均一に塗布する簡単な精密コーティング方法に由来した。マイクログラビアコーティング方式は、ニップロールがないため、極薄の基材に対して安定した薄膜コーティング操作が可能で、塗料及びインクIの凝集がないという長所を有している。また、コーティングロール(IR)の逆回転による軟化(smoothing)効果も期待でき、工程の特性上、ロール・ツー・ロール(roll to roll)装置への適用が容易で、低価格の大量生産で容易かつ均一に薄膜コーティングが可能であるという長所を有する。また、マイクログラビアコーティング技術は、粘着メッシュ1を支持する2つのテンションロール(TR)を用いてマイクログラビアコーティングロール(IR)に粘着メッシュ1を微細に接触させることにより、微細薄膜をコーティングする技法であるため、現在の接触式薄膜コーティング技術の中で最も微細な薄膜の形成が可能で、最高800nmの溶液コーティングが可能な技術である。また、30m/minのリファレンス速度を有しているため、高速大量及びパターニング薄膜の形成に大きな長所を有する。
【0036】
このように、マイクログラビア印刷方式は、従来は、印刷にのみ用いられていたが、本発明では、マイクログラビア方式で超薄膜の形成が可能であるという点を用いてメッシュ生地20の背面に粘着剤を薄膜状で複数の層に粘着剤を塗布することにより、結果としてメッシュ生地20の表面効果と印刷には全く影響を及ぼさないだけでなく、メッシュ生地20の多孔質構造も維持されるとともに、望む背面粘着力を持つことができる。このような効果は、後述するインクI印刷の過程において、インク(I)が粘着力を低下させずにインクI印刷が安定的に行われる効果を持つようにする。
【0037】
このように、第1の粘着層30をなす複数の粘着層は、
図2に示すようにメッシュ生地20に接触する部位に繰り返して塗布されることにより、第1の粘着層30は、メッシュ生地20の底面の形態に対応するように多孔性状で形成される。
【0038】
一方、前記第1の粘着層30塗布工程とは別に吸収層40と第2の粘着剤50及び離型紙60が順に接合される工程が行われる。次に、吸収層40と第2の粘着剤50及び離型紙60が一体に接合された状態で、吸収層40と第2の粘着剤50及び離型紙60が第1の粘着層30の底面に接合される。前記第1の粘着層30がメッシュ生地20の多孔構造に対応してメッシュ生地20と同様に一致する多孔構造で形成されることにより、以後のインクI印刷の過程においてインク(I)がメッシュ生地20の表面に滲まずに、メッシュ生地20の間に吸収されることが可能になるので、吸収層40も多孔構造で形成されることが好ましい。または吸収層40は、液状の吸収可能な組織を有する樹脂材料で作製される。
【0039】
したがって、吸収層40は、第一には多孔質微細構造を有する吸収フィルムがラミネート状で第1の粘着層30に積層されて互いに接合されてもよい。
【0040】
参考までに、吸収層40と第2の粘着剤50及び離型紙60が順に接合される工程と、前述のメッシュ生地20に第1の粘着層30を塗布する工程との間には、時間的な前後関係はない。すなわち、吸収層40と離型紙60は、別途の工程で互いに接合され、あらかじめ中間工程の製品として別途用意されることになる。
【0041】
この場合、吸収層40がメッシュ生地20から第1の粘着層30につながる多孔構造をそのまま引き継ぐことにより、粘着効果が高くなり、多孔質構造の長所もそのまま維持される。
【0042】
したがって、吸収層40は、後述するインク印刷過程においてメッシュ生地20及び第1の粘着層30を通過したインクが吸収層40に吸収され、結果としてインクがメッシュ生地の上面でにじんだり、または第1の粘着層30の粘着力を低下させる問題を起こさなくなり、メッシュ生地20が持つ天然素材の質感がそのまま活かされるようになる。
【0043】
吸収層40は、
図3に示すように、第1の粘着層30に塗布される。参考までに、吸収層40と粘着層が互いにしっかりと結束力を持つために、本発明では、第1の粘着層30が塗布されたメッシュ生地20を加熱炉に通過させることにより、第1の粘着層30を形成する複数の粘着層の中で底面から上部に一定の深さまでの約摂氏90度~110度になるようにして第1の粘着層30を熱で活性化させ、吸収層40と容易に融着される構造が提案される。
【0044】
ただし、
図3では便宜上、第2の粘着層50と離型紙60は、図示していない。
【0045】
離型紙60の材質には、特な制限はない。参考までに、
図9及び
図10の写真に示されている。
図9は、本発明による粘着メッシュの正面を撮った写真であり、
図10は、吸収層40と第2の粘着剤50及び離型紙60をメッシュ生地20から分離することにより、離型紙60に接合された吸収層40に吸収されたインク層10により、あたかも吸収層40にもかすかに印刷されたような形態が示された写真である。参考までに、このように吸収層40と第2の粘着剤50及び離型紙60をメッシュ生地20から分離すると、残るのは、上面にはインクが印刷され、底面には、第1の粘着層30が塗布されたメッシュ生地20であり、最終的に付着されるのは、上面にはインクが印刷され、底面には第1の粘着層30が塗布されたメッシュ生地20となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上で説明したステッカー型粘着メッシュ及びその製造方法は、障子紙として使用されてもよいが、通常の室内装飾や家具の仕上げのために様々な用途として適用可能であることを明らかにしておく。また、本発明は、インクジェットプリンティングで作製される粘着ステッカーの製品に適用可能である。
【0047】
以上で説明した本発明は、前述の実施例及び添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者にとって明らかであろう。