(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置
(51)【国際特許分類】
B65B 67/04 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
B65B67/04
(21)【出願番号】P 2022125886
(22)【出願日】2022-07-20
【審査請求日】2022-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500453175
【氏名又は名称】笠松 保
(72)【発明者】
【氏名】笠松 保
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-193697(JP,U)
【文献】特開2007-182254(JP,A)
【文献】特開2000-190925(JP,A)
【文献】特開2011-131912(JP,A)
【文献】特開2005-060000(JP,A)
【文献】特開2016-088616(JP,A)
【文献】特開2017-109758(JP,A)
【文献】実開昭53-166189(JP,U)
【文献】特開2020-055623(JP,A)
【文献】特開昭59-084726(JP,A)
【文献】米国特許第02874886(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-2308578(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 67/00
B65B 69/00
A47F 9/00
A47F 13/00
B65D 25/00
B65H 1/00- 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記アームは前記フリーローラーと対面する位置に、前記フリーローラーの外面形状に追従して前記摩擦部材を変形可能とする凹溝を形成し、摩擦力を増大させるようにした請求項
1又は請求項2のいずれか1項に記載のポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等に設置されているポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等ではレジが精算時に混み合うことを避けるため、商品の自動読み取り機や購入者自身が行う自動精算機等を導入している。しかし、精算が終わった後、レジ袋やマイバックに購入品を詰め替えるテーブル(サッカー台)では、購入者は生ものや水分を含んだものが流れ出ないようポリ袋に詰めるが、その詰め替え作業に多くの時間がかかるとともに、清算が早く終わり、混みあうという問題が発生し、購入品を詰め替える所を増やさなければならないという問題があった。
【0003】
スーパーマーケット等においてサービス用として使用されるポリ袋は薄肉長尺のポリエチレン製等の合成樹脂の筒に予めポリ袋の底となる帯状溶封部とそれに近接する切断用ミシン目が等間隔に設けられることで多数の袋が連続して形成されており、従来はこのポリ袋を巻いたポリ袋連続巻きロールをロールホルダーの基板に回転自在に保持し、必要に応じてロールホルダーに設けられた袋切離突出部により切断用ミシン目で1枚ずつ切り取り使用されているが、ポリ袋の口開きが行われていないため、購入者はポリ袋の口開きも行わなければならず、購入品をポリ袋に入れるのに時間がかかるという問題点があり、レジ袋やマイバッグに購入品を詰め替えるテーブルを増やさざるを得ず、スーパーマーケット側としては好ましくない状況であった。
【0004】
上記問題点を解消するために、特許文献1には、ポリ袋を口開きする為、ポリ袋連続巻きロールを基板に回転自在に保持し、回転自在に設けたフリーローラーと、該フリーローラーの中央に接するように調整機構を介して設けられた所定の摩擦抵抗を有する材料よりなる摩擦部材とを設けた合成樹脂製ロール状連続袋の口開き切り取り装置が提案されているが、単に口開きをさせるだけであり、切り取られた袋は薄膜であるため品物を袋詰めをするとき位置が定まらず安定した挿入ができず、袋詰めに時間や手間を必要とするという問題点があった。又、口開きを行うためには摩擦部材とフリーローラーの圧力調整が微妙で、強すぎると上下共ミシン目をさいてしまい、弱すぎるとミシン目はどちらもさかずに通過してしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、簡単、迅速、衛生的に安定したポリ袋の口開き及び袋詰めが行えるポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置は、帯状溶封部とそれに隣接する切断用ミシン目を等間隔に設けたポリ袋連続巻きロールを回転自在に保持する基板と、前記基板に回転自在に設けられたフリーローラーと、前記フリーローラーの中央に圧接するように設けられた摩擦部材と、前記フリーローラーに隣接して設けられた袋詰めテーブルを備えたポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置であって、前記ポリ袋連続巻きロールより引き出され、口開きが行われた袋を購入者が購入品を入れ易い位置まで引き出し、次の袋とまだ連結状態である時に前記袋詰めテーブル上で購入品を入れ、持ち帰るために前記袋を引き出すと次の連続袋が前記フリーローラーと前記摩擦部材との間を通過し、前記摩擦部材に接している前記連続袋の片面のミシン目が引き裂かれて、次のポリ袋の口開きが行われるとともに、前記ミシン目が全て引き裂かれて分離するポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置であり、前記ポリ袋連続巻きロールから引き出された連続袋の下側ポリ袋をそのまま通過させる前記フリーローラーと、引き出された連続袋の上側ポリ袋の上面に圧接して上側ポリ袋のミシン目を引き裂いて前記連続袋の口開きを行い、前記連続袋を更に引き出すとミシン目が全て引き裂かれて連続袋を分割するとともに次のポリ袋が口開きされる前記摩擦部材と、前記ポリ袋内に購入品を挿入するために前記ポリ袋のミシン目付近までポリ袋連続巻きロールから引き出した前記ポリ袋を載置するテーブルとを備えたポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置であって、前記摩擦部材は、前記基板間に架設された支軸に回動自在に取り付けられるとともに圧力調整可能なばね体により前記フリーローラー側に圧接されたアームに取付けられたものであり、前記連続袋とミシン目で引き裂く時は前記フリーローラーに圧接し、前記連続袋を引き出す時は前記連続袋を上方に持ち上げることで前記摩擦部材と前記連続袋との接触を解除することを特徴とする。又、本発明のポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置は、前記摩擦部材が前記アームの後端側が自由端となった取付部に取付けられているのが望ましい。 又、本発明のポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置は、前記アームは前記フリーローラーと対面する位置に、前記フリーローラーの外面形状に追従して前記摩擦部材を変形可能とする凹溝を形成し、摩擦力を増大させるようにしているのが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置は帯状溶封部とそれに近接する切断用ミシン目を等間隔に設けたポリ袋連続巻きロールを回転自在に保持する基板と、前記基板に回転自在に設けられたフリーローラーと、前記フリーローラーの中央に圧接するように設けられた摩擦部材と、前記フリーローラーに隣接して設けられた袋詰めテーブルを備えたポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置であって、前記ポリ袋連続巻きロールより引き出され、口開きが行われた袋を購入者が購入品を入れやすい位置まで引き出し、次の袋とまだ連結状態であるときに前記袋詰めテーブル上で購入品を入れ、持ち帰るために前記袋を引き出すと次の連続袋が前記フリーローラーと前記摩擦部材との間を通過し、前記摩擦部材に接している連続袋の片面のミシン目が引き裂かれて、次の袋の口開きが行われるとともに、前記ミシン目が全て引き裂かれて分離することを特徴とするものであり、前記摩擦部材により確実な口開きをすることができ、更に、次の袋とまだ連結状態であるときに袋詰めテーブル上で購入品を入れることができるので、安定した状態で袋詰めでき、清算後の詰め替え作業が簡単に素早く処理ができ、延いては詰め替えテーブルの数を少なくすることができるという効果がある。又、請求項2のように、前記摩擦部材は前記基板間に架設された支軸に回動自在に取り付けられるとともに圧力調整可能なばね体により前記フリーローラー側に圧接されたアームに取り付けられたものであり、前記連続袋をミシン目で引き裂く時は前記フリーローラーに圧接し、前記連続袋を引き出す時は前記連続袋を上方に持ち上げることで前記アームの先端に連続袋が当たり前記摩擦部材と前記連続袋との接触を解除することが可能となっているものは、連続袋を軽く引き出すことが出来るという効果がある。更に、前記ばね体は、前記フリーローラー側に押圧する押圧力が調整可能となっているので、前記フリーローラー側に押圧する押圧力を適正な押圧力に調整することが可能となり、前記連続袋を確実に口開きすることができるという効果がある。又、請求項3のように、前記摩擦部材は、前記アームの後端側が自由端となった取付部に取付けられているものは、前記アームの先端側に溝や段差があると、その鋭利な部分で連続袋を引き出すときに袋に傷をつけるので、前記アームの先端周辺には溝や段差を設けず後方側を自由端とし、前記摩擦部材の取り付けは後方側より行うので取付部に袋が引っ掛かって袋が破損することが無いという効果がある。又、請求項4のように、前記アームは前記フリーローラーと対面する位置に、前記フリーローラーの外面形状に追従して前記摩擦部材を変形可能とする凹溝を形成し、摩擦力を増大させるようにしているものは、前記フリーローラーには大きな圧接力を掛けずに安定してミシン目を引き裂くことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図2のB-B断面であり、口開き行為時の動作状態図である。
【
図5】
図2のB-B断面であり、引き出し行為時の動作状態図である。
【
図7】 摩擦部材がゴムチューブ縦圧接の実施例であり、
図7(a)は平面図、
図7(b)は
図7(a)のC-C断面図である。
【
図8】 摩擦部材がゴムチューブ横圧接の実施例であり、
図8(a)は平面図、
図8(b)は
図8(a)のD-D断面図である。
【
図9】 摩擦部材がオーリングにて圧接の実施例であり、
図9(a)は平面図、
図9(b)は
図9(a)のE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0011】
図1に示すようにポリ袋連続巻きロール(1)が基板(6)に設けたロール受け軸(5)と左右側壁の芯棒サポート(18)とに水平に横架された芯棒(4)により回転自在に保持されている。又ポリ袋連続巻きロール(1)の上部には、それに平行で長さがポリ袋連続巻きロール(1)の横幅よりも若干長寸の回転自在のフリーローラー(10)が基板(6)に支持されている。さらにフリーローラー(10)に隣接して袋詰めテーブル(17)も基板(6)に支持されている。テーブル(17)は、フリーローラー(10)の中心位置とテーブル(17)の上面とが略一致するように設けており、テーブル上に載置された購入品が入ったポリ袋がアーム(14)や摩擦部材(13)に不用意に干渉しないようにしている。テーブル(17)のアーム(14)側の端部にテーブル上に載置された購入品が入ったポリ袋がアーム(14)や摩擦部材(13)に不用意に干渉しないように突起部を形成しても構わない。
【0012】
図4に示すように基板(6)に支持されているアーム軸(11)の中央部に回動自在のアーム(14)を設け、内部にねじりばね(15)を組み込み、押圧調整カラー(16)により押圧荷重を調整する。ねじりばね(15)の片端はアーム(14)の穴に差し込み、他方は押圧調整カラー(16)の穴に差し込んでいて、アーム(14)がフリーローラー(10)を押さえる方向に押圧調整カラー(16)を回すと押圧荷重が増す。押圧調整カラー(16)は割り締めによりアーム軸(11)に固定されていて押圧荷重の反動では動かず、押圧調整時に人手にて力を籠めれば回せる程度の締め付け力で締め付けられている。アーム(14)には柔軟性のあるゴム材(シリコンゴム)等の摩擦部材(13)が、フリーローラー(10)の円周面に当接するように設けられていて、帯ブレーキの原理(T
2=T
1e
uθ 例えばポリ袋と摩擦部材の摩擦係数が0.6 接触角度が36度とすると約1.5倍の摩擦力となる)を用いて摩擦力を増大させ上側ポリ袋(9)に大きな摩擦力を与え、フリーローラー(10)には大きな圧接力を掛けず、強すぎると上下共ミシン目を裂いてしまい、弱すぎるとミシン目はどちらも裂かずに通過してしまうようなことがないようにミシン目の引き裂きの安定度を増している。又、
図5に示すようにポリ袋を引き出すだけの場合は引き出す角度を少し上げるとアーム(14)先端に上側ポリ袋(9)が当たり摩擦部材(13)は接触しなくなり軽く引き出すことができるのでシンプルで操作性の良いものとなる。
【0013】
アーム(14)は先端側(19)に溝や段差があると、その鋭利な部分で連続袋(7)を引き出すときに袋に傷をつけるので、
図7に示すようにアーム(14)の先端周辺には溝や段差を設けず後方側(20)を自由端とし、摩擦部材(13)の取り付けは後方側(20)より行うようにしている。又、フリーローラー(10)と対面する位置に、フリーローラー(10)の外面形状に追従して摩擦部材(13)を変形可能とする凹溝(21)を形成し、上側ポリ袋(9)に与える摩擦力を増大させるようにしている。凹溝(21)は摩擦部材とフリーローラーの接触角度が40度で接触できる幅と深さにしているが0~180度接触できる幅と深さの形状のものでもよい。又、
図7に示すように摩擦部材(13)はゴムチューブ(22)を縦に取り付けた場合や
図8に示すようにゴムチューブ(22)を横に取り付けた場合、
図9に示すようにオーリング(23)を用いた形状の物でも良い。
【0014】
ポリ袋連続巻きロールの種類(ミシン目の形状)によっては押圧ユニット((12)(13)(14)(15)(16))を複数設けてもよい。
【0015】
押圧荷重を調整するためにアーム(14)の内部にねじりばね(15)を組み込んだ方法を採用しているが取付方法を少し変えて板バネ、圧縮ばね、引張りばねを用いてもよい。又、ポリ袋連続巻きロールの保持方法は心棒が固定されているものなど現在もいろいろあるが保持方法についてはこだわらない。
【0016】
次に上記構成のポリ袋連続巻きロールの口開き袋詰め装置を実際に使用する際の使用方法について説明する。
【0017】
ポリ袋連続巻きロール(1)を芯棒(4)にセットし、連続袋(7)の先端を上部のフリーローラー(10)とそれに軽く押圧されたアーム(14)との間に通し挟持させ、袋詰めテーブル(17)の上に乗せセットする。最初の1枚目は連続袋(7)の端部をつまみ、まず水平に引き出し切断用ミシン目(3)が摩擦部材(13)を通過するときフリーローラー(10)の円周面に接している下側ポリ袋(8)はそのまま通過し、摩擦部材(13)に接している上側ポリ袋(9)は引き裂かれ口開きを行い、さらに引き出すと切断用ミシン目(3)の全てを引き裂き、1枚目のポリ袋は切り取られる。
【0018】
2枚目以降は事前に口開きされ待機している袋の上部を摘まみ次のミシン目付近まで引き出し、次の袋とまだ連結状態であるときに袋詰めテーブル(17)の上で購入品を挿入する。その時、袋は帯状溶封部(2)が次の袋と繋がっていて保持され、安定して袋詰めができる。袋詰めされた袋をそのまま引き出すと前述のようにフリーローラー(10)と摩擦部材(13)によりミシン目が全て引き裂かれて分割し、次の袋は口開きされた状態で袋詰めテーブル上で待機する
【0019】
摩擦部材(13)はフリーローラー(10)の外面に圧接できるような柔軟性を持たせ、摩擦力を増大させ、より安定した口開きができるようにし、ポリ袋を引き出すだけの場合は引き出す角度を少し上げるとアーム(14)先端にポリ袋が当たり摩擦部材(13)は接触しなくなり軽く引き出すことができる。
【符号の説明】
【0020】
(1) ポリ袋連続巻きロール
(2) 帯状溶封部
(3) 切断用ミシン目
(4) 芯棒
(5) ロール受け軸
(6) 基板
(7) 連続袋
(8) 下側ポリ袋
(9) 上側ポリ袋
(10) フリーローラー
(11) アーム軸
(12) 位置決めカラー
(13)、(22)、(23) 摩擦部材
(14)、(24)、(25) アーム
(15) ねじりばね
(16) 押圧調整カラー
(17) 袋詰めテーブル
(18) 芯棒サポート
(19) アーム先端側
(20) アーム後方側
(21)、(26)、(27) アーム凹溝
【要約】 (修正有)
【課題】購入者が短時間で袋詰めができ、更に衛生的で安定したポリ袋の口開きが行える口開き袋詰め装置を提供する。
【解決手段】ポリ袋連続巻きロール1より引き出され、口開きが行われた袋を購入者が購入品を入れやすい位置まで引き出し、次の袋とまだ連結状態であるときに袋詰めテーブル17上で購入品を入れ、持ち帰るために前記袋を引き出すと次の連続袋7がフリーローラー10と摩擦部材13との間を通過し、摩擦部材に接している連続袋の片面のミシン目3が引き裂かれて、次の袋の口開きが行われるとともに、ミシン目が全て引き裂かれて分離し、次の袋は口開きされた状態で袋詰めテーブル上で待機する。
【選択図】
図1