(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】身体活動支援システム及び身体活動支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/30 20180101AFI20230310BHJP
【FI】
G16H20/30
(21)【出願番号】P 2018231356
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】511058383
【氏名又は名称】株式会社ゼネット
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】四元 一弘
(72)【発明者】
【氏名】渡部 鐐二
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-115362(JP,A)
【文献】特開2008-229266(JP,A)
【文献】特開2004-223120(JP,A)
【文献】特開2018-045393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の立ち上がり動作を測定する起居能力測定手段
と、
被測定者のジグザグ歩行動作を測定する歩行能力測定手段
と、
被測定者のボール移動動作を測定する手腕作業能力測定手段
と、
被測定者の外部刺激からの反応動作を測定する全身反応能力測定手段
と、
被測定者のタッチ動作を測定する身辺作業能力測定手段
と、
上記各測定手段において被測定者の動作に応じてオン・オフの状態が切換わるスイッチ部と、
このスイッチ部のオン・オフの状態を検知する検知手段と、
この検知手段とワイヤレス状態で接続し
、上記検知手段が検知する上記スイッチ部のオン
・オフの状態の切換わりに基づき時間計測を開始及び終了して時間を計測する計測手段と、
この計測手段
が計測した計測時間情報を属性情報とともに外部へ送出する測定情報送出手段と、
この測定情報送出手段からの上記属性情報を参照して被測定者を特定し管理する端末機器と、
属性情報に基づく所定時間毎の評価情報及びこの評価情報に基づくレコメンド情報を記憶する記憶手段を有し、上記測定情報送出手段から通信ネットワークを介して送出されてくる上記計測時間情報及び上記属性情報に関し、当該記憶手段を参照して推奨可能な情報を上記端末機器に送出するサーバコンピュータとから構成されることを特徴とする身体活動支援システム。
【請求項2】
上記端末機器は所望する情報の要求指示を上記サーバコンピュータに対して行うと、上記サーバコンピュータは上記記憶手段を参照して当該要求指示に合致した情報を上記端末機器に送出可能となるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の身体活動支援システム。
【請求項3】
上記計測手段による計測時間情報及び/または上記サーバコンピュータから送出される推奨可能な情報を出力する出力装置を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の身体活動
支援システム。
【請求項4】
上記属性情報は、被測定者の年齢、性別及び疾患状況の情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の身体活動支援システム。
【請求項5】
上記レコメンド情報は、運動プログラムを含み、上記推奨可能な情報は、被測定者の年齢、性別及び疾患状況を考慮した運動プログラムを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の身体活動支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人の身体活動能力を測定することにより、特に高齢者個人の身体活動能力を測定することにより身体活動能力の維持・改善を図る対応策や処方、運動プログラムを提供するための身体活動支援システム及び身体活動支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、日本国の高齢者人口は増加の一途を辿り、社会構造として高齢者社会を形成するに至っている。この傾向はますます強まっており、2020年には4人に1人が高齢者になることが予想されている。このような高齢者社会に於いては、高齢者の豊な人生経験や知識を生かした社会参加が望まれている。一方、高齢者が健やかに生き生きと自立するために必要な健康と体力の問題がクローズアップされている。
【0003】
高齢者が健康な日常生活を送るために、世界保健機関は、高齢者に於ける健康指標として、日常生活に於ける自立(日常生活機能)を提唱している。日常生活機能は時代とともに変化しており、加齢によって機能の低下が認められる高齢者に於いては、最低限の生活機能レベルを維持していくことが健康の条件となっている。
【0004】
そのためには、健康な社会生活を獲得するための活動力が必要である。この活動力を生理学的分野から分類すると、例えば以下の通りとなる。
(1)生命を保持するだけの基礎代謝レベル
(2)日常生活動作(ADL)レベル
(3)家事や買物、一人での交通機関の利用等が含まれた生活機能(APDL)レベル
(4)体操や軽いスポーツ、軽労働ができるレベル
而して(1)乃至(4)の活動レベルを維持することで一般的な健康生活を維持することができるものと考えられている。
【0005】
従って、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定して、その人に合った機能維持や対応方法等を見出して実行していくことが肝要である。
【0006】
下記特許文献1には、高齢者各人の日常生活活動量を考慮した生活指導と運動プログラムを提示することにより、適切なケアサービスを提供可能とした高齢者の日常生活・運動支援システムが開示されている。この日常生活・運動支援システムによれば、評価対象者の体力測定値と評価対象者と同年齢の平均値とその年齢に於ける自立限界値とを比較して自立度を求めて評価し、その評価情報と個人データベースからの情報とに基づいて、生活指導・運動指導プログラムファイルから生活指導と運動のプログラムを選定して提示するようにしたので、自立できる度合いを定量的に評価でき、その評価に基づいて施設の利用者一人ひとりに、生活活動能力に見合った適切できめ細かいケアサービスを提供できるようにしたものである。
【0007】
下記特許文献2には、高齢者等の被測定者の日常生活動作に応じた視点での自立体力を精度良くテストできて、高齢者等の健康づくりを効果的に支援することが可能な自立体力テスト方法が開示されている。この自立体力テスト方法によれば、被測定者がマット上に寝た姿勢から起き上がる動作と、椅子に座り立ち上がる動作及びパワーリングを拾って頭上に持ち上げる動作を行い、これらの時間を測定して評価基準表と比較し、姿勢変換に係わる自立体力をテストするため、高齢者等の被測定者の日常生活動作としての起き上がりや立ち上がり等の姿勢変換に応じた視点での自立体力を精度良くテストできて、高齢者等の健康づくりを効果的に支援できるようにしたものである。
【0008】
下記特許文献3には、運動に関連した時刻、日付、その他のデータを検知、測定、記録や解析し、その測定された運動に関する意味のあるフィードバックを生成する身体活動中の適切な運動を支援するためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第4646019号公報
【文献】特許第5441240号公報
【文献】特表2001-523536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように種々の身体活動の支援方法が提案されている。
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示されたものは、高齢者等のケアを行う施設を対象としており、大規模なシステムを構築する必要がある。しかも高齢者各人が自ら容易に利用できるという仕組みにはなっていないものである。
【0012】
特許文献2に開示されたものは、高齢者等の日常生活動作に応じた視点での自立体力を精度良くテストできるようにしたことに過ぎないものである。加えて、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定して、その人に合った機能維持や対応方法等を提供するという思想は見出せないものである。
【0013】
特許文献3に開示されたものは、身体活動を行う際に個人を適正な姿勢になるよう訓練するのを支援するものに過ぎず、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定して、その人に合った機能維持や対応方法等を提供するという思想は見出せないものである。
【0014】
高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定して、その人に合った機能維持や対応方法等を見出して実行するためには、起居能力、歩行能力、手腕作業能力、全身反応能力、身辺作業能力の5種類の能力について生活活動力テストを行い、どの能力が衰え始めているかを知ることで、早めに対策を講じることが有効であることが提唱されている。
しかしながら、その実現にはシステムが大きくなりがちで容易なものではなく、経済的にも負担の大きいものと考えられてきた。
【0015】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、上述した不具合を解消し、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定して、その人に適した機能維持や対応方法を推奨可能としたシンプルな身体活動支援システム及び身体活動支援方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、いつでもどこにいても測定結果に基づく推奨情報を確認可能とした身体活動支援システム及び身体活動支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0017】
(1) 被測定者の立ち上がり動作を測定する起居能力測定手段、被測定者のジグザグ歩行動作を測定する歩行能力測定手段、被測定者のボール移動動作を測定する手腕作業能力測定手段、被測定者の外部刺激からの反応動作を測定する全身反応能力測定手段及び/または被測定者のタッチ動作を測定する身辺作業能力測定手段に設けられたスイッチ部と、このスイッチ部のオン・オフの状態を検知する検知手段と、この検知手段とワイヤレス状態で接続し上記スイッチ部のオンからオフまでに要する時間またはオフからオンまでに要する時間を計測する計測手段と、この計測手段からの計測時間情報を属性情報とともに外部へ送出する測定情報送出手段と、この測定情報送出手段からの上記属性情報を参照して被測定者を特定し管理する端末機器と、属性情報に基づく所定時間毎の評価情報及びこの評価情報に基づくレコメンド情報を記憶する記憶手段を有し、上記測定情報送出手段から通信ネットワークを介して送出されてくる上記計測時間情報及び上記属性情報に関し、当該記憶手段を参照して推奨可能な情報を上記端末機器に送出するサーバコンピュータとを具備したことを特徴とする構成とした。
【0018】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記端末機器は所望する情報の要求指示を上記サーバコンピュータに対して行うと、上記サーバコンピュータは上記記憶手段を参照して当該要求指示に合致した情報を上記端末機器に送出可能となるよう構成した。
【0019】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、上記計測手段による計測時間情報及び/または上記サーバコンピュータから送出される推奨可能な情報を出力する出力装置を設けたことを特徴とする構成とした。
【0020】
(4) 被測定者の立ち上がり動作を測定する起居能力測定部、被測定者のジグザグ歩行動作を測定する歩行能力測定部、被測定者のボール移動動作を測定する手腕作業能力測定部、被測定者の外部刺激からの反応動作を測定する全身反応能力測定部及び/または被測定者のタッチ動作を測定する身辺作業能力測定部に設けられたスイッチ部のオン・オフの状態を検知部にて検知し、上記検知部とワイヤレス状態で接続し上記スイッチ部のオンからオフまでに要する時間またはオフからオンまでに要する時間を計測部にて計測し、この計測した計測時間情報を属性情報とともに外部へ送出し、この計測した計測時間情報と属性情報に関し、記憶部に記憶された属性情報に基づく所定時間毎の評価情報及びこの評価情報に基づくレコメンド情報を参照し、推奨可能な情報を出力するように構成した。
【0021】
(5) 上記(4)の構成にあって、所望する情報の要求指示に基づいて上記記憶部を参照し当該要求指示に合致した情報を選出可能となるよう構成した。
【0022】
(6) 上記(4)または(5)の構成にあって、上記計測時間情報及び/または上記出力される推奨可能な情報を出力するよう構成にした。
【0023】
上記構成によれば、シンプルな構成で、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定でき、その人に適した機能維持や対応方法を推奨できるものである。
【0024】
また、上記構成によれば、いつでもどこにいても測定結果に基づく推奨情報を確認可能としたので、便利で有用なものである。
【0025】
さらに、上記構成によれば、検知手段と計測手段はワイヤレス状態で接続しているので、測定場所の選択肢が広がり実用的なものである。
【0026】
さらに、上記構成によれば、サーバコンピュータに個人を特定するような個人情報を保持する仕組みを持たせないようにすることも可能であるので、個人情報の不用意な流出、漏洩、拡散防止を図れるものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、シンプルな構成で、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定でき、その人に適した機能維持や対応方法を推奨・提供できるという優れた効果を奏する。
また、本発明によれば、いつでもどこにいても測定結果に基づく推奨情報を確認可能としたので、便利で有用なものである。
【0028】
さらに、本発明によれば、測定装置をワイヤレス状態で接続可能としているので、測定場所の制約を受け難くなり、実用的に便利で有用なものである。
【0029】
さらに、本発明によれば、センシティブな測定結果等の個人情報の不用意な流出、漏洩、拡散防止を図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係わる身体活動支援システムを概念的に示す図である。
【
図2】同実施形態に係わり、サーバコンピュータを概念的に示す図である。
【
図3】同実施形態に係わり、サーバコンピュータから端末機器に推奨・提供される、被験者に適した運動プログラムの一例を概念的に示す図である。
【
図4】同実施形態に係わり、起居能力測定の様子を側面側から模式的に示す図であり、(a)は測定開始直前の状態を示す図であり、(b)は測定中の状態を示す図である。
【
図5】同実施形態に係わり、歩行能力測定の様子を上面側から模式的に示す図である。
【
図6】同実施形態に係わり、手腕作業能力測定の様子を上面側から模式的に示す図である。
【
図7】同実施形態に係わり、全身反応能力測定の様子を側面側から模式的に示す図であり、(a)は測定開始直前の状態を示す図であり、(b)は測定中の状態を示す図である。
【
図8】同実施形態に係わり、身辺作業能力測定の様子を模式的に示す図である。
【
図9】同実施形態に係わり、起居能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図10】同実施形態に係わり、歩行能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図11】同実施形態に係わり、手腕作業能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図12】同実施形態に係わり、全身反応能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図13】同実施形態に係わり、身辺作業能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図14】同実施形態に係わり、被測定者別に適した運動プログラムを作成・提供処理の流れを示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係わる身体活動支援システムを概念的に示す図である。
【
図16】同実施形態に係わり、サーバコンピュータを概念的に示す図である。
【
図17】同実施形態に係わり、起居能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図18】同実施形態に係わり、歩行能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図19】同実施形態に係わり、手腕作業能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図20】同実施形態に係わり、全身反応能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図21】同実施形態に係わり、身辺作業能力測定の処理の流れを示す図である。
【
図22】同実施形態に係わり、測定結果の出力提供処理の流れを示す図である。
【
図23】同実施形態に係わり、被測定者別に適した運動プログラムを作成・提供処理の流れを示す図である。
【
図24】本発明の第2の実施形態の変形例に係わる身体活動支援システムを概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係わる身体活動支援システムは、
図1に示すように、サーバコンピュータ(以下、サーバ)100、このサーバ100とインターネット回線等の通信ネットワーク200を介して接続される端末機器300、この端末機器300に接続される計測器400、計測器400に接続するセンサ500及びセンサ500に接続する各種測定装置(起居能力測定装置610、歩行能力測定装置620、手腕作業能力測定装置630、全身反応能力測定装置640、身辺作業能力測定装置650)から構成される。通信ネットワーク200を介してのサーバ100と端末機器300との通信は、セキュリティ対策としてHTTPSプロトコル(例えばIETFのTLS通信)にて情報の送受信が行われる。
【0033】
サーバ100は、クラウド型のサーバコンピュータで、
図2に示すように、制御処理部110、入力部120、出力部130、記憶部140及び利用者情報管理部150を内設し、夫々が信号線160を介して接続されている。そして、サーバ100は、通信ネットワーク200を介して端末装置300から送出されてくる計測時間情報及び属性情報等を受信し、当該情報に対して有用とされる情報を選出して端末機器300に送出する機能を有する。
【0034】
制御処理部110は、記憶部140に格納された所定のプログラム情報を参照してシステム全体の制御処理を司る機能を有する。また、制御処理部110は、端末機器300から送出されてくる情報を入力部120を介して受信し、記憶部140を参照して当該情報に対して有用と判断する情報を出力部130を介して端末機器300に送出する機能を有する。
【0035】
入力部120は、制御処理部110の管理下で、外部から送出されてくる情報を受信し記憶部140に格納する機能を有する。また、入力部120は、制御処理部110の管理下で、内設するキーボード等からのキー入力による入力情報を記憶部140に格納する機能を有する。
【0036】
出力部130は、制御処理部110の管理下で、各種情報を表示出力したり音声出力等する機能を有する。また、出力部130は、制御処理部110の管理下で、各種情報を通信ネットワーク200を介して外部へ送出する機能を有する。
【0037】
記憶部140はリード/ライト可能なメモリである。記憶部140は、制御処理部110が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納するプログラム情報記憶領域140a、各種コンテンツ情報を格納しておくためのコンテンツ情報記憶領域140b、各種作業を行うための作業領域140c、端末機器300から送出されてくる種々の計測時間情報及び属性情報を被測定者情報として格納する被測定者情報記憶領域140d、身体活動支援管理に有用とされる身体活動支援情報が格納される身体活動支援情報記憶領域140e、時間情報と属性情報を所定の規則に従って対応付けられたテーブル情報が格納されるテーブル情報記憶領域140f及び利用者の個人情報や計測情報及び利用履歴情報等を格納する利用者情報記憶領域140g等の記憶領域を有する。
【0038】
ここで、身体活動支援情報記憶領域140eに格納される身体活動支援管理に有用とされる身体活動支援情報とは、起居能力、歩行能力、手腕作業能力、全身反応能力及び身辺作業能力の測定結果に基づき、衰え始めている能力への対策情報、例えば運動プログラム(レコメンド情報、
図3参照)を作成するためのものである。具体的には、測定結果に基づく年齢別、性別及び疾患状況別の運動様式、運動強度、運動時間、運動頻度及び運動期間に関する情報である。
【0039】
また、テーブル情報記憶領域140fに格納される時間情報及び属性情報は、所定時間毎の評価情報を導出すべく、起居能力、歩行能力、手腕作業能力、全身反応能及び身辺作業能力の測定時間を分類化し、年齢別、性別及び疾患の有無別にテーブル化したものである。
【0040】
利用者情報管理部150は、制御処理部110の管理下で、入力されてくる利用者に関する個人情報や計測情報及び利用履歴情報等を利用者情報記憶領域140gに格納する機能を有する。また、利用者情報管理部150は、制御処理部110の管理下で、利用者情報記憶領域140gに格納される情報を参照・選出して送出する機能を有する。
【0041】
端末機器300は、端末機器全体の制御処理を司る制御部320、入出力情報を処理する入出力部340及び各種情報を格納するリード/ライト可能なメモリ360を内設するものである。端末機器300としては、例えばパソコンやスマートフォン、タブレット式端末機器等種々のものが想定される。
【0042】
また、端末機器300には、計測器400が着脱可能に接続されており、計測器400から送出されてくる計測時間情報に所定の属性情報を付してメモリ360に格納する機能を有している。ここで、測定器400との接続は、ケーブルを介しての有線接続でもよいし、例えば赤外線や無線によるワイヤレス接続によるものでもよい。
【0043】
計測器400は、センサ500と例えばBLUETOOTH(登録商標)にてワイヤレス接続し、センサ500から送出されてくる信号の有無の状態を時間で計測し当該計測時間情報を端末機器300に送出する機能を有する。
【0044】
各種測定装置(起居能力測定装置610、歩行能力測定装置620、手腕作業能力測定装置630、全身反応能力測定装置640、身辺作業能力測定装置650)は、夫々がスイッチ部を内設しており、スイッチ部のオン・オフの状態はセンサ500にて検知されるよう構成されている。
【0045】
さて、起居能力測定装置610について
図4を参照して説明する。本装置610は被測定者の起居能力の目安となる立ち上がり動作の時間を測定するものであり、椅子6110、マットスイッチ6120、支柱6130、取付け部材6140及びスイッチ部6150とから構成されている。
【0046】
椅子6110は、高さH1(例えばH1=40cmとする)を有し、その上面部にスイッチ部として機能するマットスイッチ6120が敷かれている。そして、マットスイッチ6120は、測定対象である被測定者Aの着座動作に連動してオン・オフが切換わるよう構成されている。
支柱6130は、椅子6110の一端部から少なくとも200cm超以上離れた位置に立設されており、その高さは少なくとも150cm超以上有するものである。また、支柱6130の上端部には取付け部材6140が設けられている。この取付け部材6140の一端部にはスイッチ部6150が吊架されている。ここで、スイッチ部6150は、その下端部が高さH2(例えばH2=150cmとする)に位置するとともに、椅子6110の一端部から水平方向にL1(例えばL1=200cmとする)離れた位置に存するよう吊架されている。また、スイッチ部6150は横方向に払われることにより、オン・オフの状態が切換わるよう機能構成されている。
【0047】
而してマットスイッチ6120を介して椅子6110に着座状態にある被測定者Aが立ち上がり、スイッチ部6150を水平方向に払うまでの時間を、オン・オフの切換わりをセンサ500が検知することにより、計測器400にて計測するよう構成されている。
【0048】
続いて、歩行能力測定装置620について
図5を参照して説明する。本装置620は被測定者の歩行能力の目安となるジグザグ歩行動作の時間を測定するものであり、スイッチ部として機能するマットスイッチ6210及び五つの障害物6220から構成されている。
【0049】
マットスイッチ6210は水平な床面に敷かれており、マットスイッチ6210から
図5中右方向に障害物6220が等間隔L2(例えばL2=200cmとする)で一列に並べられている。なお、障害物6220は、横幅10cm、高さ20cm、奥行き100cmの直方体である。
【0050】
而して被測定者Aはマットスイッチ6210の左側に立ち、マットスイッチ6210を踏んで二点鎖線で示す矢印の方向に障害物6220の間をジグザグ歩行する。そして、最右端に位置する障害物6220で折り返し、復路は往路とは反対にジグザグ歩行して再びマットスイッチ6210を踏む。マットスイッチ6210を最初に踏んでから再び踏むまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0051】
続いて、手腕作業能力測定装置630について
図6を参照して説明する。本装置630は被験者の身の回りの動作や家事動作等の手腕能力の目安となるボール移動の時間を測定するものであり、ゴルフボール大のボール10個を収容する縦5個2列の二つのボール受け台6310及びスイッチ部として機能するスタート・ストップ・スイッチ6320から構成されている。
【0052】
即ち、ボール受け台6310は例えばテーブル上にL3(例えばL3=40cmとする)の間隔を存して左右に一つずつ設置されており、一方のボール受け台6310にはボール10個が収容されており、他方のボール受け台6310は未収用の状態のものである。そして、これらボール受け台6310の中間部位で被測定者A側に位置するようスタート・ストップ・スイッチ6320がテーブル上に設置されている。
【0053】
而して被測定者Aはスタート・ストップ・スイッチ6320を押下し、一方のボール受け台6310から他方のボール受け台6310へボールを移動させる。全てを他方のボール受け台6310に移動したら、今度は移動したボールをもとのボール受け台6310へ移動させる。全てのボールを戻し終わったら、スタート・ストップ・スイッチ6320を押下することになる。スタート・ストップ・スイッチ6320を最初に押下してから再び押下するまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0054】
続いて、全身反応能力測定装置640について
図7を参照して説明する。本装置640は被測定者の外部刺激に対する全身反応能力の目安となる反射反応の時間を測定するものであり、スイッチ部として機能するマットスイッチ6410及び支柱6420の上部に設けられたランプ6430から構成されている。
【0055】
即ち、マットスイッチ6410は水平な床面に敷かれており、マットスイッチ6410から
図7中右方向に支柱6420が距離L4超(例えばL4=200cmとする)を存して立設されている。支柱6420は、その高さは少なくとも150cm超以上有するものである。また、支柱6420の上部に設けられたランプ6430は任意に点灯消滅可能で、その下端部が高さH3(例えばH3=150cmとする)に位置するとともに、被測定者Aから水平方向にL4離れた位置に存するよう設けられている。
【0056】
而して被測定者Aは、ランプ6430が点灯したら直ちにマットスイッチ6410を踏むことにより(
図7の(b))、ランプ6430が点灯してからマットスイッチ6410が踏まれるまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0057】
続いて、身辺作業能力測定装置650について
図8を参照して説明する。本装置650は被測定者が身辺作業を円滑に行えるかという身辺作業能力の目安となる壁面へのタッチの時間を測定するものであり、スイッチ部として機能する四つのマットスイッチ6510から構成されている。
【0058】
マットスイッチ6510は全て同形状であり、平面な壁面6520の上下左右に一つずつ設けられている。下部側に設けられたマットスイッチ6510は、水平な床面6530から垂直方向にL5(例えばL5=50cmとする)の位置に設けられている。この下部側に設けられたマットスイッチ6510の垂直方向に2×L5の位置には、上部側に位置するマットスイッチ6510が設けられている。また、下部側に設けられたマットスイッチ6510のさらに垂直方向にL5の位置で水平方向右側L5の位置には、右部側に位置するマットスイッチ6510が設けられている。さらに、下部側に設けられたマットスイッチ6510のさらに垂直方向にL5の位置で水平方向左側L5の位置には、左部側に位置するマットスイッチ6510が設けられている。
【0059】
而して被測定者A(
図8中、不図示)が例えばゴムボールを先ず右手に持って壁面6520に向かって立ち、下部側のマットスイッチ6510をゴムボールでタッチすると、測定が開始されることになる。そして、下側側のマットスイッチ6510をタッチした後、右部側のマットスイッチ6510、上部側のマットスイッチ6510、左部側のマットスイッチ6510の順にタッチし、再び下側側のマットスイッチ6510にタッチするまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
次に、被測定者Aはゴムボールを左手に持ち変えて壁面6520に向かって立ち、前述同様にタッチ動作の時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0060】
上記構成につき、その作用を以下に説明する。
高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を把握するには、起居能力測定装置610による起居能力の測定、歩行能力測定装置620による歩行能力の測定、手腕作業能力測定装置630による手腕作業能力の測定、全身反応能力測定装置640による反射能力の測定及び身辺作業能力測定装置650による身辺作業能力の測定を行う必要がある。
【0061】
起居能力測定装置610による起居能力の測定は、先ず被測定者Aはマットスイッチ6120が敷かれた椅子6110に着座する(
図4の(a)、
図9のステップS902参照)。被測定者Aは、自発的に椅子6120から立ち上がるとマットスイッチ6120のオン・オフが切換わるので(ステップS904)、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が開始される(ステップS906)。ここで、立ち上がりに際しては、被測定者Aは素早く立ち上がる必要はあるが、立ち上がり方は自由とする。
【0062】
被測定者Aは立ち上がったら、被測定者Aに対して正面に位置するスイッチ部6150を手で横方向、即ち水平方向に払う(
図4の(b))。すると、スイッチ部6150はオン・オフが切換わるので(ステップS908)、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS910)。
【0063】
計測された計測時間情報は端末機器300に送出されて、被測定者Aに関する情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS912)。この後、計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140gに格納される(ステップS914)。
【0064】
なお、起居能力測定装置610による起居能力の測定は、2回実施して早い方の計測時間を採用するようにしてもよいものである。或いは複数回測定して、その平均値でもよいものである。
【0065】
歩行能力測定装置620による歩行能力の測定は、被測定者Aは計測開始前は進行方向に対しマットスイッチ6210の後ろ側(
図5中、左側)に立ち、被測定者Aがマットスイッチ6210を一方の足で踏むことにより(
図10のステップS1002参照)、計測が開始される(ステップS1004)。即ち、一方の足でマットスイッチ6210が踏まれることによりオン・オフが切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が開始される。
【0066】
被測定者Aは、ジグザグ歩行で障害物6220を避けるようにして進み、
図10中最右端に位置する障害物6220で折り返し、往路と同様にして反対方向へジグザグ歩行して再びマットスイッチ6210を踏む(ステップS1006)と、オン・オフが切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS1008)。
【0067】
計測された計測時間情報は端末機器300に送出されて、被測定者Aに関する情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS1010)。この後、計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140gに格納される(ステップS1012)。
【0068】
なお、歩行能力測定装置620による歩行能力の測定は、2回実施して早い方の計測時間を採用するようにしてもよいものである。或いは複数回測定して、その平均値でもよいものである。
【0069】
手腕作業能力測定装置630による手腕作業能力の測定は、左側に10個のボールで満たされたボール受け台6310が、右側にボールを未収用のボール受け台6310が置かれ、被測定者Aが手のひらでスタート・ストップ・スイッチ6320を押下することによりオン・オフの状態が切換わるので(
図11のステップS1102参照)、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が開始される(ステップS1104)。
【0070】
被測定者Aは、左側のボール受け台6310から他方のボール受け台6310へボールを移動させる。全てを他方のボール受け台6310に移動させたら、今度は移動したボールをもとのボール受け台6310へ移動させる。そして、全てのボールを戻し終わったら、スタート・ストップ・スイッチ6320を押下することになる(ステップS1106)。この押下によりオン・オフの状態が切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS1108)。
【0071】
計測された計測時間情報は端末機器300に送出されて、被測定者Aに関する情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS1110)。この後、計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140gに格納される(ステップS1112)。
【0072】
なお、手腕作業能力測定装置630による測定は、2回実施して早い方の計測時間を採用するようにしてもよいものである。或いは複数回測定して、その平均値でもよいものである。
【0073】
全身反応能力測定装置640による反応能力の測定は、被測定者Aは、先ず、マットスイッチ6410の後ろ側に両足を揃えて立つ(
図7(a)中、左側)。次に、ランプ6430が点灯と同時に、計測器400による時間計測が開始される(
図12のステップS1202参照)。被測定者Aは、ランプ6430の点灯を視認したら、直ちに片足を前に出してマットスイッチ6410を踏む(
図7(b)、ステップS1204)。この踏まれることによりオン・オフの状態が切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS1206)。即ち、ランプ6430が点灯してからマットスイッチ6410が踏まれるまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測されるものである。
【0074】
このような計測を5回行って(ステップS1208)、端末機器300にて平均値を算出し(ステップS1210)、被測定者Aに関する情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS1212)。この後、平均値としての計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140gに格納される(ステップS1214)。
【0075】
身辺作業能力測定装置650による身辺作業能力の測定は、被測定者A(
図8中、不図示)は先ずは右手にボールを持って壁面に6520に向かって立ち、下部側のマットスイッチ6510をボールでタッチすると、オン・オフの状態が切換わる(
図13のステップS1302参照)。この切換わりの状態をセンサ500が検知して、計測器400による時間計測が開始される(ステップS1304)。
【0076】
下部側のマットスイッチ6510をタッチした後、被測定者Aはボールを右部側のマットスイッチ6510、上部側のマットスイッチ6510、そして左部側のマットスイッチ6510の順にタッチする。この後、被測定者Aが再び下部側のマットスイッチ6510にタッチすると、オン・オフの切換わりをセンサ500が検知して(ステップS1306)、計測器400による時間計測が終了する(ステップS1308)。
【0077】
続いて、被測定者Aは左手にボールを持ち変えて同様の計測を行うことになる(ステップS1310)。右手及び左手での計測が終了すると(ステップS1312)、端末機器300にて合計時間を算出し(ステップS1314)、被測定者Aに関する情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS1316)。この後、合計値としての計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140gに格納される(ステップS1318)。
【0078】
上述のようにして計測されたデータをもとに、被測定者Aの身体活動能力や生活活動能力の機能維持・改善のための有効な運動プログラムの提供について、以下に説明する。
【0079】
被測定者Aに関する年齢、性別及び疾患状況の情報については、端末機器300からサーバ100に事前に送出しておいてもよいし、上述した測定時に送出するようにしてもよいものである。
【0080】
さて、端末機器300からサーバ100に対して、計測データに基づく有効な運動プログラムの提供要求があると(
図14のステップS1402を参照)、サーバ100は要求情報を認識し、制御管理部110は利用者情報管理部150を起動する。そして、被測定者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140gを参照して被測定者Aに関する情報を認識し(ステップS1404)、テーブル情報記憶領域140fを参照して被測定者Aに合致する運動プログラムを身体活動支援情報領域140cの情報をもとに作成することになる(ステップS1406)。
ここで、作成される運動プログラムは、被測定者Aの年齢、性別及び疾患状況を考慮した運動様式、運動強度、運動時間、運動頻度及び運動期間に関するものである。
【0081】
斯様にして作成された運動プログラムは、記憶部140の所定領域に格納され、またサーバ100から端末機器300に送出される。端末機器300は送出されてくる運動プログラムをメモリ360に格納し、入出力部340にて確認可能となるものである(ステップS1408)。
【0082】
後日、被測定者Aが作成された運動プログラムを確認する場合は、端末機器300の入出力部340を介して行えばよいものである。
【0083】
なお、本実施形態に於いては、例えば疾患状況に変化が生じた場合は、端末機器300から被測定者Aの疾患状況の変更処理をサーバ100に対して行えば、要求指示に応じてあらたな運動プログラムが作成されて提供されるよう構成されている。
【0084】
上記実施形態によれば、従来のように大掛かりな施設等を要すことなくシンプルな構成で、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定でき、その人に適した運動プログラムを提供できるものである。
また、上記構成によれば、いつでもどこにいても測定結果に基づく推奨情報を端末機器300にて確認可能としたので、便利で有用なものである。しかも、被測定者の状態に変更があれば、適宜変更した運動プログラムを提供可能としたので、安全に安心して身体活動支援が行え、実用面に於いて有用なものである。
【0085】
さらに、上記実施形態によれば、計測部400とセンサ500はワイヤレス状態で接続しているので、測定場所の制約を受け難く測定環境がシンプルになり、また測定場所の選択肢が広がり実用的なものである。
加えて、端末機器300と計測部400とをもワイヤレス状態で接続すれば、さらに測定環境の改善を図れるものである。
【0086】
(第2の実施形態)
以下に第2の実施形態について、説明する。前述第1の実施形態と同一部分・同一機能には同一符号を付して一部説明は省略する。
【0087】
第2の実施形態に係わる身体活動支援システムは、
図15に示すように、サーバコンピュータ(以下、サーバ)100、このサーバ100とインターネット回線等の通信ネットワーク200を介して接続されるカードリーダ機能及び四則演算機能並びに外部への情報送出機能を有する計測器400、この計測器400に接続するセンサ500及びこのセンサ500に接続する各種測定装置(起居能力測定装置610、歩行能力測定装置620、手腕作業能力測定装置630、全身反応能力測定装置640、身辺作業能力測定装置650)、サーバ100と通信ネットワーク200を介して接続されるカードリーダ機能を有する測定情報送出装置700、この測定情報送出装置700と接続する出力装置800及びサーバ100と通信ネットワーク200を介して接続される端末機器900とから構成される。通信ネットワーク200を介してのサーバ100と測定情報送出装置700、計測器400及び端末機器900との通信は、セキュリティ対策としてHTTPSプロトコル(例えばIETFのTLS通信)にて情報の送受信が行われる。
【0088】
サーバ100は、クラウド型のサーバコンピュータで、
図16に示すように、制御処理部110、入力部120、出力部130、記憶部140及び利用者情報管理部150を内設し、夫々が信号線160を介して接続されている。そして、サーバ100は、通信ネットワーク200を介して測定情報送出装置700から送出されてくる属性情報並びに計測器400から送出されてくる計測時間情報及び属性情報等を受信し、所定のフォーマットに整えられた計測結果の情報や当該受信情報に対して有用とされる情報を選出して測定情報送出装置700や端末機器900に送出する機能を有する。
【0089】
制御処理部110は、記憶部140に格納された所定のプログラム情報を参照してシステム全体の制御処理を司る機能を有する。また、制御処理部110は、計測器400や測定情報送出装置700或いは端末機器900から送出されてくる情報を入力部120を介して受信し、記憶部140を参照して当該情報に対して有用または適切と判断する情報を出力部130を介して測定情報送出装置700や端末機器900に送出する機能を有する。
【0090】
入力部120は、制御処理部110の管理下で、外部から送出されてくる情報を受信し記憶部140に格納する機能を有する。また、入力部120は、制御処理部110の管理下で、内設するキーボード等からのキー入力による入力情報を記憶部140に格納する機能を有する。
【0091】
出力部130は、制御処理部110の管理下で、各種情報を表示出力したり音声出力等する機能を有する。また、出力部130は、制御処理部110の管理下で、各種情報を通信ネットワーク200を介して外部へ送出する機能を有する。
【0092】
記憶部140はリード/ライト可能なメモリである。記憶部140は、制御処理部110が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納するプログラム情報記憶領域140a、各種コンテンツ情報を格納しておくためのコンテンツ情報記憶領域140b、各種作業を行うための作業領域140c、計測器400や測定情報送出装置700から送出されてくる種々の計測時間情報及び属性情報(ここでは、被測定者が所持するICカードの管理番号であり識別情報としての属性情報)を被測定者情報として格納する被測定者情報記憶領域140d、身体活動支援管理に有用とされる身体活動支援情報が格納される身体活動支援情報記憶領域140e及び時間情報と属性情報を所定の規則に従って対応付けられたテーブル情報が格納されるテーブル情報記憶領域140fの記憶領域を有する。さらに、記憶部140は、利用者の識別情報としての属性情報及び計測情報に関連付けられた生年月日、性別及び生活習慣に係わる情報並びに利用履歴情報等を格納する利用者情報記憶領域140h等の記憶領域を有する。
【0093】
ここで、身体活動支援情報記憶領域140eに格納される身体活動支援管理に有用とされる身体活動支援情報とは、起居能力、歩行能力、手腕作業能力、全身反応能力及び身辺作業能力の測定結果に基づき、衰え始めている能力への対策情報、例えば運動プログラム(レコメンド情報、
図3参照)を作成するためのものである。具体的には、測定結果に基づく年齢別、性別及び疾患状況別の運動様式、運動強度、運動時間、運動頻度及び運動期間に関する情報である。
【0094】
また、テーブル情報記憶領域140fに格納される時間情報及び属性情報は、
所定時間毎の評価情報を導出すべく、起居能力、歩行能力、手腕作業能力、全身反応能及び身辺作業能力の測定時間を分類化し、年齢別、性別及び疾患の有無別にテーブル化したものである。
【0095】
利用者情報管理部150は、制御処理部110の管理下で、入力されてくる利用者に関する識別情報としての属性情報や計測情報及び利用履歴情報等を利用者情報記憶領域140hに格納する機能を有する。また、利用者情報管理部150は、制御処理部110の管理下で、利用者情報記憶領域140hに格納される情報を参照・選出して所定の情報を送出する機能を有する。
【0096】
計測器400は、センサ500と例えばBLUETOOTH(登録商標)にてワイヤレス接続し、センサ500から送出されてくる信号の有無の状態を時間で計測し、当該計測時間情報に内設するカードリーダ機能により被測定者が所持するICカードの識別情報を属性情報として付して、通信ネットワーク200を介してサーバ100に送出する機能を有する。
【0097】
各種測定装置(起居能力測定装置610、歩行能力測定装置620、手腕作業能力測定装置630、全身反応能力測定装置640、身辺作業能力測定装置650)は、夫々がスイッチ部を内設しており、スイッチ部のオン・オフの状態はセンサ500にて検知されるよう構成されている。
【0098】
さて、起居能力測定装置610について前述第1の実施形態と同様に
図4を参照して説明する。本装置610は被測定者の起居能力の目安となる立ち上がり動作の時間を測定するものであり、椅子6110、マットスイッチ6120、支柱6130、取付け部材6140及びスイッチ部6150とから構成されている。
【0099】
椅子6110は、高さH1(例えばH1=40cmとする)を有し、その上面部にスイッチ部として機能するマットスイッチ6120が敷かれている。そして、マットスイッチ6120は、測定対象である被測定者Aの着座動作に連動してオン・オフが切換わるよう構成されている。
支柱6130は、椅子6110の一端部から少なくとも200cm超以上離れた位置に立設されており、その高さは少なくとも150cm超以上有するものである。また、支柱6130の上端部には取付け部材6140が設けられている。この取付け部材6140の一端部にはスイッチ部6150が吊架されている。ここで、スイッチ部6150は、その下端部が高さH2(例えばH2=150cmとする)に位置するとともに、椅子6110の一端部から水平方向にL1(例えばL1=200cmとする)離れた位置に存するよう吊架されている。また、スイッチ部6150は横方向に払われることにより、オン・オフの状態が切換わるよう機能構成されている。
【0100】
而して被測定者Aは、先ず計測器400に内設されたカードリーダ機能により所持するICカードを読み取らせた後、マットスイッチ6120を介して椅子6110に着座状態にある被測定者Aが立ち上がり、スイッチ部6150を水平方向に払うまでの時間を、オン・オフの切換わりをセンサ500が検知することにより、計測器400にて計測するよう構成されている。
【0101】
続いて、歩行能力測定装置620について前述第1の実施形態と同様に
図5を参照して説明する。本装置620は被測定者の歩行能力の目安となるジグザグ歩行動作の時間を測定するものであり、スイッチ部として機能するマットスイッチ6210及び五つの障害物6220から構成されている。
【0102】
マットスイッチ6210は水平な床面に敷かれており、マットスイッチ6210から
図5中右方向に障害物6220が等間隔L2(例えばL2=200cmとする)で一列に並べられている。なお、障害物6220は、横幅10cm、高さ20cm、奥行き100cmの直方体である。
而して被測定者Aは、先ず計測器400に内設されたカードリーダ機能により所持するICカードを読み取らせた後、マットスイッチ6210の左側に立ち、マットスイッチ6210を踏んで二点鎖線で示す矢印の方向に障害物6220の間をジグザグ歩行する。そして、最右端に位置する障害物6220で折り返し、復路は往路とは反対にジグザグ歩行して再びマットスイッチ6210を踏む。マットスイッチ6210を最初に踏んでから再び踏むまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0103】
続いて、手腕作業能力測定装置630について前述第1の実施形態と同様に
図6を参照して説明する。本装置630は被験者の身の回りの動作や家事動作等の手腕能力の目安となるボール移動の時間を測定するものであり、ゴルフボール大のボール10個を収容する縦5個2列の二つのボール受け台6310及びスイッチ部として機能するスタート・ストップ・スイッチ6320から構成されている。
【0104】
即ち、ボール受け台6310は例えばテーブル上にL3(例えばL3=40cmとする)の間隔を存して左右に一つずつ設置されており、一方のボール受け台6310にはボール10個が収容されており、他方のボール受け台6310は未収用の状態のものである。そして、これらボール受け台6310の中間部位で被測定者A側に位置するようスタート・ストップ・スイッチ6320がテーブル上に設置されている。
【0105】
而して被測定者Aは、先ず計測器400に内設されたカードリーダ機能により所持するICカードを読み取らせた後、スタート・ストップ・スイッチ6320を押下し、一方のボール受け台6310から他方のボール受け台6310へボールを移動させる。全てを他方のボール受け台6310に移動したら、今度は移動したボールをもとのボール受け台6310へ移動させる。全てのボールを戻し終わったら、スタート・ストップ・スイッチ6320を押下することになる。スタート・ストップ・スイッチ6320を最初に押下してから再び押下するまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0106】
続いて、全身反応能力測定装置640について前述第1の実施形態と同様に
図7を参照して説明する。本装置640は被測定者の外部刺激に対する全身反応能力の目安となる反射反応の時間を測定するものであり、スイッチ部として機能するマットスイッチ6410及び支柱6420の上部に設けられたランプ6430から構成されている。
【0107】
即ち、マットスイッチ6410は水平な床面に敷かれており、マットスイッチ6410から
図7中右方向に支柱6420が距離L4超(例えばL4=200cmとする)を存して立設されている。支柱6420は、その高さは少なくとも150cm超以上有するものである。また、支柱6420の上部に設けられたランプ6430は任意に点灯消滅可能で、その下端部が高さH3(例えばH3=150cmとする)に位置するとともに、被測定者Aから水平方向にL4離れた位置に存するよう設けられている。
【0108】
而して被測定者Aは、先ず計測器400に内設されたカードリーダ機能により所持するICカードを読み取らせた後、ランプ6430が点灯したら直ちにマットスイッチ6410を踏むことにより(
図7の(b))、ランプ6430が点灯してからマットスイッチ6410が踏まれるまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0109】
続いて、身辺作業能力測定装置650について前述第1の実施形態と同様に
図8を参照して説明する。本装置650は被測定者が身辺作業を円滑に行えるかという身辺作業能力の目安となる壁面へのタッチの時間を測定するものであり、スイッチ部として機能する四つのマットスイッチ6510から構成されている。
【0110】
マットスイッチ6510は全て同形状であり、平面な壁面6520の上下左右に一つずつ設けられている。下部側に設けられたマットスイッチ6510は、水平な床面6530から垂直方向にL5(例えばL5=50cmとする)の位置に設けられている。この下部側に設けられたマットスイッチ6510の垂直方向に2×L5の位置には、上部側に位置するマットスイッチ6510が設けられている。また、下部側に設けられたマットスイッチ6510のさらに垂直方向にL5の位置で水平方向右側L5の位置には、右部側に位置するマットスイッチ6510が設けられている。さらに、下部側に設けられたマットスイッチ6510のさらに垂直方向にL5の位置で水平方向左側L5の位置には、左部側に位置するマットスイッチ6510が設けられている。
【0111】
而して被測定者Aは計測器400に内設されたカードリーダ機能により所持するICカードを読み取らせた後、被測定者A(
図8中、不図示)が例えばゴムボールを先ず右手に持って壁面6520に向かって立ち、下部側のマットスイッチ6510をゴムボールでタッチすると、測定が開始されることになる。そして、下側側のマットスイッチ6510をタッチした後、右部側のマットスイッチ6510、上部側のマットスイッチ6510、左部側のマットスイッチ6510の順にタッチし、再び下側側のマットスイッチ6510にタッチするまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
次に、被測定者Aはゴムボールを左手に持ち変えて壁面6520に向かって立ち、前述同様にタッチ動作の時間を、センサ500を介して計測器400にて計測するよう構成されている。
【0112】
測定情報送出装置700は、カードリーダ機能により被験者が所持するICカードを認識し、当該認識した情報を通信ネットワーク200を介してサーバ100に創出する機能を有する。また、測定情報送出装置700は、サーバ100から送出されてくる所定の情報を受信して記憶する機能を有する。
なお、本実施形態に於けるICカードの管理番号は、単なる識別情報としての英数字を所定数羅列したものである。
【0113】
出力装置800は、測定情報送出装置700と着脱自在に接続し、測定情報送出装置700から送出されてくる情報を表示出力したり、印刷出力する機能を有する。
【0114】
端末機器900は、端末機器全体の制御処理を司る制御部920、入出力情報を処理する入出力部940、被測定者に関する個人情報と識別情報としての属性情報を特定するとともにレコメンド情報を対応付ける機能を有する管理部960及び各種情報を格納するリード/ライト可能なメモリ980を内設するものである。端末機器900としては、例えばパソコンやタブレット型端末が想定される。
【0115】
上記構成につき、その作用を以下に説明する。
高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を把握するには、起居能力測定装置610による起居能力の測定、歩行能力測定装置620による歩行能力の測定、手腕作業能力測定装置630による手腕作業能力の測定、全身反応能力測定装置640による反射能力の測定及び身辺作業能力測定装置650による身辺作業能力の測定を行う必要がある。
【0116】
起居能力測定装置610による起居能力の測定は、先ず被測定者Aは所持するICカードを、計測器400に内設されたカードリーダ機能により読み取らせる(
図17のステップS1702参照)。
【0117】
この後、被測定者Aはマットスイッチ6120が敷かれた椅子6110に着座する(
図4の(a)、
図17のステップS1704参照)。被測定者Aは、自発的に椅子6120から立ち上がるとマットスイッチ6120のオン・オフが切換わるので(ステップS1706)、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が開始される(ステップS1708)。ここで、立ち上がりに際しては、被測定者Aは素早く立ち上がる必要はあるが、立ち上がり方は自由とする。
【0118】
被測定者Aは立ち上がったら、被測定者Aに対して正面に位置するスイッチ部6150を手で横方向、即ち水平方向に払う(
図4の(b))。すると、スイッチ部6150はオン・オフが切換わるので(ステップS1710)、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS1712)。
【0119】
計測された時間情報は計測器400にて、被測定者Aに関する識別情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS1714)。この後、計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140hに格納される(ステップS1716)。
【0120】
なお、起居能力測定装置610による起居能力の測定は、2回実施して早い方の計測時間を採用するようにしてもよいものである。或いは複数回測定して、その平均値でもよいものである。
また、明らかな異常値の場合は、再測定を要求するよう構成してもよいものである。
【0121】
歩行能力測定装置620による歩行能力の測定は、先ず被測定者Aは所持するICカードを、計測器400に内設されたカードリーダ機能により読み取らせる(
図18のステップS1802参照)。
【0122】
この後、被測定者Aは計測開始前は進行方向に対しマットスイッチ6210の後ろ側(
図5中、左側)に立ち、被測定者Aがマットスイッチ6210を一方の足で踏むことにより(ステップS1804)、計測が開始される(ステップS1806)。即ち、一方の足でマットスイッチ6210が踏まれることによりオン・オフが切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が開始される。
【0123】
被測定者Aは、ジグザグ歩行で障害物6220を避けるようにして進み、
図10中最右端に位置する障害物6220で折り返し、往路と同様にして反対方向へジグザグ歩行して再びマットスイッチ6210を踏む(ステップS1808)と、オン・オフが切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS1810)。
【0124】
計測された時間情報は計測器400にて、被測定者Aに関する識別情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS1812)。この後、計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140hに格納される(ステップS1814)。
【0125】
なお、歩行能力測定装置620による歩行能力の測定は、2回実施して早い方の計測時間を採用するようにしてもよいものである。或いは複数回測定して、その平均値でもよいものである。
また、明らかな異常値の場合は、再測定を要求するよう構成してもよいものである。
【0126】
手腕作業能力測定装置630による手腕作業能力の測定は、先ず被測定者Aは所持するICカードを、計測器400に内設されたカードリーダ機能により読み取らせる(
図19のステップS1902参照)。
【0127】
この後、被測定者Aの左側に10個のボールで満たされたボール受け台6310が、右側にボールを未収用のボール受け台6310が置かれ、被測定者Aが手のひらでスタート・ストップ・スイッチ6320を押下することによりオン・オフの状態が切換わるので(ステップS1904)、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が開始される(ステップS1906)。
【0128】
被測定者Aは、左側のボール受け台6310から他方のボール受け台6310へボールを移動させる。全てを他方のボール受け台6310に移動させたら、今度は移動したボールをもとのボール受け台6310へ移動させる。そして、全てのボールを戻し終わったら、スタート・ストップ・スイッチ6320を押下することになる(ステップS1908)。この押下によりオン・オフの状態が切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS1910)。
【0129】
計測された時間情報は計測器400にて、被測定者Aに関する識別情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS1912)。この後、計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140hに格納される(ステップS1914)。
【0130】
なお、手腕作業能力測定装置630による測定は、2回実施して早い方の計測時間を採用するようにしてもよいものである。或いは複数回測定して、その平均値でもよいものである。
また、明らかな異常値の場合は、再測定を要求するよう構成してもよいものである。
【0131】
全身反応能力測定装置640による反応能力の測定は、先ず被測定者Aは所持するICカードを、計測器400に内設されたカードリーダ機能により読み取らせる(
図20のステップS2002参照)。
【0132】
この後、被測定者Aは、先ず、マットスイッチ6410の後ろ側に両足を揃えて立つ(
図7(a)中、左側)。次に、ランプ6430が点灯と同時に、計測器400による時間計測が開始される(ステップS2004)。被測定者Aは、ランプ6430の点灯を視認したら、直ちに片足を前に出してマットスイッチ6410を踏む(
図7(b)、ステップS2006)。この踏まれることによりオン・オフの状態が切換わるので、その切換わりの状態をセンサ500が検知して計測器400による時間計測が終了する(ステップS2008)。即ち、ランプ6430が点灯してからマットスイッチ6410が踏まれるまでの時間を、センサ500を介して計測器400にて計測されるものである。
【0133】
このような計測を5回行って(ステップS2010)、計測器400の四則演算機能を利用して平均値を算出し(ステップS2012)、被測定者Aに関する識別情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS2014)。この後、平均値としての計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140hに格納される(ステップS2016)。
【0134】
身辺作業能力測定装置650による身辺作業能力の測定は、先ず被測定者Aは所持するICカードを、計測器400に内設されたカードリーダ機能により読み取らせる(
図21のステップS2102参照)。
【0135】
この後、被測定者A(
図8中、不図示)は先ずは右手にボールを持って壁面に6520に向かって立ち、下部側のマットスイッチ6510をボールでタッチすると、オン・オフの状態が切換わる(ステップS2104)。この切換わりの状態をセンサ500が検知して、計測器400による時間計測が開始される(ステップS2106)。
【0136】
下部側のマットスイッチ6510をタッチした後、被測定者Aはボールを右部側のマットスイッチ6510、上部側のマットスイッチ6510、そして左部側のマットスイッチ6510の順にタッチする。この後、被測定者Aが再び下部側のマットスイッチ6510にタッチすると、オン・オフの切換わりをセンサ500が検知して(ステップS2108)、計測器400による時間計測が終了する(ステップS2110)。
【0137】
続いて、被測定者Aは左手にボールを持ち変えて同様の計測を行うことになる(ステップS2112)。右手及び左手での計測が終了すると(ステップS2114)、計測器400の四則演算機能により合計時間を算出し(ステップS2116)、被測定者Aに関する識別情報及び計測日時よりなる属性情報が付される(ステップS2118)。この後、合計値としての計測時間情報と属性情報は、サーバ100に送出されて、利用者情報管理部150の管理下で被験者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140hに格納される(ステップS2120)。
【0138】
上述のようにして計測されたデータは、各々の測定終了後或いは全ての測定終了後に、被測定者の測定結果に関し例えば測定情報送出装置700から所定のリクエスト情報が送出されると(
図22のステップS2202のY参照)、サーバ100は測定結果を所定のフォーマットに整えて、当該整えた情報を測定情報送出装置700に送出することになる(ステップS2204)。測定情報送出装置700は当該情報を受信すると、出力装置800に表示出力することになる(ステップS2206)。また、出力装置800にて任意に印字出力させることも可能である。
【0139】
なお、測定結果の出力は、測定終了直後に限らず後日出力指示のリクエストをしてもよいことは勿論である。また、当該リクエストは、測定情報送出装置700に限らず端末機器900からの指示でもよい。
さらに、測定結果の出力は、リクエストの出力指示を待つことなく、測定後直ちに自動的に出力するよう構成してもよいことは勿論である。
【0140】
さて、上述のようにして計測されたデータをもとに、被測定者Aの身体活動能力や生活活動能力の機能維持・改善のための有効な運動プログラムの提供について、以下に説明する。
【0141】
端末機器900からサーバ100に対して、計測データに基づく被測定者Aにとって有効或いは適切な運動プログラムの提供要求があると(
図23のステップS2302を参照)、サーバ100は要求情報を認識し、制御管理部110は利用者情報管理部150を起動する。そして、被測定者情報記憶領域140d及び利用者情報記憶領域140hを参照して被測定者Aに関する情報を認識し(ステップS2304)、テーブル情報記憶領域140fを参照して被測定者Aに合致する運動プログラムを身体活動支援情報領域140cの情報をもとに作成することになる(ステップS2306)。
ここで、作成される運動プログラムは、被測定者Aの年齢、性別及び疾患状況を考慮した運動様式、運動強度、運動時間、運動頻度及び運動期間に関するものである。
【0142】
斯様にして作成された運動プログラムは、記憶部140の所定領域に格納され、またサーバ100から端末機器900に送出される(ステップS2308)。端末機器900は、受信した運動プログラムを管理部960にて該当する被測定者を特定し、当該被測定者との個人情報を結び付けてメモリ980に格納する(ステップS2310)。
【0143】
而して個人情報と対応付けられた運動プログラムは、入出力部940にて確認可能となるものである(ステップS2312)。
【0144】
後日、作成された被測定者A用の運動プログラムを確認する場合は、端末機器900の入出力部940を介して行えばよいものである。
【0145】
なお、本実施形態に於いては、例えば疾患状況に変化が生じた場合は、端末機器900から被測定者Aの疾患状況の変更処理をサーバ100に対して行えば、要求指示に応じてあらたな運動プログラムが作成されて提供されるよう構成されている。
【0146】
上記実施形態によれば、従来のように大掛かりな施設等を要すことなくシンプルな構成で、高齢者個人の身体活動能力や生活活動能力を測定でき、その人に適した運動プログラムを提供できるものである。
また、上記構成によれば、いつでもどこにいても測定情報送出装置700にあっては測定結果を、端末機器900にあっては測定結果及び測定結果に基づく推奨情報を確認可能としたので、便利で有用なものである。しかも、被測定者の状態に変更があれば、適宜変更した運動プログラムを提供可能としたので、安全に安心して身体活動支援が行え、実用面に於いて有用なものである。
【0147】
さらに、上記実施形態によれば、計測部400とセンサ500はワイヤレス状態で接続しているので、測定場所の制約を受け難く測定環境がシンプルになり、また測定場所の選択肢が広がり実用的なものである。
【0148】
さらに、上記実施形態によれば、サーバ100には被測定者の個人情報を保持させず個人を特定できない構成としたので、個人情報の不用意な流出や漏洩の防止を図れ、個人情報保護の観点からも有用なものである。
【0149】
さて、
図24は、上記実施形態の変形例である。上記実施形態と同一部分・同一機能には同一符号を付して説明は省略する。
【0150】
本変形例では、計測器400と測定情報送出装置700をワイヤレス接続することにより、計測器400からの計測時間情報を測定情報送出装置700を介してサーバ100へ属性情報とともに送出する構成としてある。斯様な構成にすることで、計測器400への負荷を軽減させることが可能となる。
また、一部の出力装置800は測定情報送出装置700を介すことなく通信ネットワーク200を介してサーバ100に接続可能とし、サーバ100から送出されてくる情報を直接受信し出力可能としたものである。この場合の出力装置800としては、携帯型タブレット端末やスマートフォンが想定可能となる。
【0151】
なお、本発明は上記第1の実施形態並びに第2の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0152】
100 …サーバ(サーバコンピュータ)
140e …身体活動支援情報記憶領域
200 …通信ネットワーク
300,900 …端末機器
400 …計測部
500 …センサ
610 …起居能力測定装置
620 …歩行能力測定装置
630 …手腕作業能力測定装置
640 …全身反応能力測定装置
650 …身辺作業能力測定装置
700 …測定情報送出装置
800 …出力装置
6120 …マットスイッチ(スイッチ部)
6130 …スイッチ部
6210 …マットスイッチ(スイッチ部)
6320 …スタート・ストップ・スイッチ(スイッチ部)
6410 …マットスイッチ(スイッチ部)
6510 …マットスイッチ(スイッチ部)