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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】缶蓋用包装袋の封止方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/08 20060101AFI20230310BHJP
   B65B 51/02 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
B65D75/08
B65B51/02 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018210205
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2019094126
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2017225554
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517411117
【氏名又は名称】福島興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100111464
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩史
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-006204(JP,U)
【文献】特開平10-147365(JP,A)
【文献】特開2004-099160(JP,A)
【文献】特開2005-343513(JP,A)
【文献】特開2015-036304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/08
B65B 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶蓋を積層状態で収納した後に封止装置を介して袋口が封止される缶蓋用包装袋であって、前記封止装置が、開口する袋口をn回折り込んで第n折込片と折り込まれずに残存する舌片とを形成し、前記舌片を前記第n折込片に押圧するものであり、前記第n折込片と前記舌片との接触部に、感圧接着剤層が形成される缶蓋用包装袋に缶蓋が積層状態で収納された袋口の封止方法であって、
第1折込板で前記袋口の一部を前記缶蓋の上面側に折込んで第1折込片と折り込まれずに残存する袋口とを形成し、
前記残存する袋口に前記缶蓋と垂直に第3折込板を挿入し、および第2折込板を前記袋口の外周から前記缶蓋の上面側に折込んで前記第1折込板と接触する第2折込片と前記第3折込板を被覆する舌片とを形成し、
前記第3折込板を前記缶蓋の上面側に折込んで前記第2折込片に形成された感圧接着剤層と前記舌片に形成された感圧接着剤層とを接着させることを特徴とする、缶蓋用包装袋の封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋用包装袋、缶蓋包装体、および缶蓋用包装袋の封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
缶には、円筒状の缶胴と底蓋と上蓋との3つの部品からなる3ピース缶や、底蓋と缶胴が一体の缶本体と上蓋との2つの部品からなる2ピース缶などがある。缶胴に飲料などを充填する充填工場に缶胴とは別個に缶蓋が搬送され、飲料缶などが製造される。缶蓋の搬送に際し、缶蓋は積層状態で缶蓋用包装袋に収納され、端部を封止して円筒状の缶蓋包装体となる。次いで複数の缶蓋包装体の封止端を揃えてパレタイジング装置によって梱包され(特許文献1)、充填施設にパレット輸送される。充填施設では、搬送された缶蓋包装体を缶蓋解袋機によって開梱し、および残余の空包装材を回収する(特許文献2)。缶蓋が缶蓋包装体中に残留するなど缶蓋と包装材との分離が十分でない場合に備え、空包装材の回収に際し、缶蓋材を含む缶蓋材残留包装材とを仕分ける装置も配備されている(特許文献3)。しかしながら、端部をフラップ折りして粘着テープで固定した缶蓋包装体は、缶蓋解袋機で缶蓋包装体を切開除去できない場合がある(特許文献4)。
【0003】
このような状況下、パレタイジング装置による梱包や、缶蓋解袋機での開梱に適する封止方法や封止装置が提案されている。缶蓋用包装袋は長方形の平袋であり、缶蓋を積層状態で収納した後に開口する袋口を封止したものである。缶蓋用包装袋の折り目によって折込不良が発生することに鑑みて、折目位置と折込位置とを制御するための缶蓋包装体を投入する装置を設けた封止装置がある(特許文献5)。また、折込の際に袋口の両端部に棒状部材を挿入して袋口を拡径する折目規制機構と、折りたたまれなかった袋口の残部を略円弧板状の袋口に整形する折目付与機構とを備える封止装置(特許文献6)、折込の最終工程で、袋口から挿入して缶蓋の上面を押圧する手段を設けた封止装置もある(特許文献7)。更に、包装袋の開口部を折り畳む際に、重なり合う部分が接着不良になるのを回避すべく予め包装袋の開口部に貫通部を形成した缶蓋用包装紙やこの缶蓋用包装紙の袋口を封止する封止装置もある(特許文献8)。
【0004】
これらの封止装置は、いずれも接着剤供給機構を配備し、複数回の折り込み工程のいずれかでホットメルト接着剤を供給し、袋口を封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-12079号公報
【文献】特開平11-43122号公報
【文献】特開2003-192028号公報
【文献】特開平8-133247号公報
【文献】特開平7-172402号公報
【文献】特開平10-194205号公報
【文献】特許第4548580号公報
【文献】特開2015-36304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の封止装置を使用すると、接着剤供給機構を介して供給した接着剤が袋口と共に缶蓋に付着する場合がある。また、所望の位置に供給されず、必要箇所を接着固定できない場合や、ホットメルト接着剤の固化した断片が包装体内に入り込む場合がある。接着剤が、袋口と缶蓋上面との双方に付着すると、缶蓋解袋機による開梱の際に缶蓋が空包装材に付着し、缶蓋不足を招き、および空包装材と缶蓋との分離作業が煩雑となる。また、接着剤が付着した缶蓋がラインを流れると、製品不良の一因ともなる。したがって、封止工程において、接着剤を供給することなく封止できる缶蓋用包装袋や封止方法の開発が望まれている。
【0007】
また、特許文献6や特許文献8に記載するように、封止工程でホットメルト接着剤を使用するには、ホットメルト接着剤の加熱機構、噴射機構、メルトガンの駆動機構などを配備する必要がある。効率的な缶蓋包装体の製造のために、接着剤の供給回数は1回に限定されている。一方、略円形の缶蓋を充填した円筒状の端部を折り込むことは容易でなく、折込方法も限定されている。したがって、異なる折込方法に対応できる缶蓋用包装袋の開発が望まれる。
【0008】
上記現状に鑑み、本発明は、封止工程で接着剤の供給工程が不要な缶蓋用包装袋、この缶蓋用包装袋に缶蓋を収納して袋口を封止してなる缶蓋包装体を提供することを目的とする。
【0009】
また、このような缶蓋用包装袋を用いた袋口の封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、缶蓋用包装袋に予め感圧接着剤層を形成すれば、封止工程で接着剤を供給することなく押圧することで袋口を封止できること、缶蓋解袋機による開梱の際に缶蓋が付着した空包装材が廃棄される問題点を解決できること、封止工程における折込方法の種類を増加できることなどを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち本発明は、缶蓋を積層状態で収納した後に封止装置を介して袋口が封止される缶蓋用包装袋であって、
前記封止装置は、開口する袋口をn回折り込んで第n折込片と折り込まれずに残存する舌片とを形成し、前記舌片を前記第n折込片に押圧するものであり、
前記包装袋は、前記第n折込片と前記舌片との接触部に、感圧接着剤層が形成されたものである、前記封止装置用の缶蓋用包装袋を提供するものである。
【0012】
また本発明は、前記舌片に形成された感圧接着剤層と前記第n折込片に形成された感圧接着剤層とは、前記包装袋の外層であって、正面または背面のいずれか一方に形成されることを特徴とする、前記缶蓋用包装袋を提供するものである。
【0013】
更に本発明は、前記缶蓋用包装袋に缶蓋が積層状態で収納され、および袋口が封止された缶蓋包装体を提供するものである。
【0014】
加えて本発明は、前記缶蓋用包装袋に缶蓋が積層状態で収納された袋口の封止方法であって、
第1折込板で前記袋口の一部を前記缶蓋の上面側に折込んで第1折込片と折り込まれずに残存する袋口とを形成し、
前記残存する袋口に前記缶蓋と垂直に第3折込板を挿入し、および第2折込板を前記袋口の外周から前記缶蓋の上面側に折込んで前記第1折込板と接触する第2折込片と前記第3折込板を被覆する舌片とを形成し、
前記第3折込板を前記缶蓋の上面側に折込んで前記第2折込片に形成された感圧接着剤層と前記舌片に形成された感圧接着剤層とを接着させることを特徴とする、缶蓋用包装袋の封止方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、缶蓋包装体の袋口を封止装置で封止する際に、封止装置からの接着剤供給を行うことなく袋口を封止することができる。封止装置による接着剤供給が無いため、缶蓋に接着剤が付着することが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】缶蓋用包装袋の袋口の折込に従って発生する折込線と折込片を説明する図である。
図2図1の折込順で形成される折込線と感圧接着剤層の位置を説明する図である。
図3図1とは異なる方法で折り込む際に発生する折込線と折込片を説明する図である。
図4図3の折込順で形成される折込線と感圧接着剤層の位置を説明する図である。
図5】折込方法に使用する折込板と折込板の挿入方法を説明する図である。
図6図5に記載した折込板を使用して折込片を作成し、封止する態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一は、缶蓋を積層状態で収納した後に封止装置を介して袋口が封止される缶蓋用包装袋であって、
前記封止装置は、開口する袋口をn回折り込んで第n折込片と折り込まれずに残存する舌片とを形成し、前記舌片を前記第n折込片に押圧するものであり、
前記包装袋は、前記第n折込片と前記舌片との接触部に、感圧接着剤層が形成されたものである、前記封止装置用の缶蓋用包装袋である。前記舌片に形成される感圧接着剤層と前記第n折込片に形成される感圧接着剤層とは、前記包装袋の外層であって、正面または背面のいずれか一方に形成されることが好ましい。以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
(1)缶蓋用包装袋
本発明の缶蓋用包装袋は、飲料等が充填されるアルミ製やスチール製の2ピース缶の上蓋や3ピース缶の上蓋や底蓋を積層状態で収納する包装袋である。飲料や缶詰等の缶蓋は、略円形の円盤状や略方形の板状であるが、これを複数積層して収納していずれも円筒などの柱状となる。本発明の缶蓋用包装袋は、これら柱状の内容物を収納できれば平袋でもガゼット袋でもよい。
【0019】
本発明の缶蓋用包装袋は、封止装置によって袋口が封止される用途に使用される。封止装置は、舌片を形成するまでの折込回数を「n」とした場合に、開口する袋口をn回折り込んで第n折込片と折り込まれずに残存する舌片とを形成し、第n+1回目の折込によって前記舌片を前記第n折込片に押圧するものである。なお、本発明において「第n折込片」とは、n回目の折込によって新たに形成される折込片を意味し、「舌片」とは第n折込の際に第n折込片と同時に形成され、かつ第n+1回目の折込によって第n折込片側に押圧され袋口を封止する最終折込片を意味する。nに限定はないが、封止効率を考慮して、好ましくは2~5である。なお、n回の折込によって形成される舌片の数は1に限定されない。n回の折込によって2つの舌片が形成された場合にも、それぞれの舌片に対するn+1回目の折込によって各舌片が第n折込片に押圧される。
【0020】
n=2の場合は、2回の折込で第2折込片と舌片を形成し、3回目の折込で舌片を第2折込片側に押圧する。例えば、開口する袋口を缶蓋の正面から背面側に折り込む第1折込により第1折込片を形成し、折り込まれずに残存する袋口の一部を外側から缶蓋上面の中心方向に折り込む第2折込によって、第2折込片を形成する。折り込まれずに残存する部分が舌片である。次いで、第3折込によって舌片を第2折込片に押圧する。n=3の場合は、第3折込によって舌片を形成し、第4折込によって舌片を第3折込片に押圧する。
【0021】
感圧接着剤層は、第n折込片と舌片の接触部に形成される。なお、各折込により折込線が形成されるが、舌片を第n折込片側に押圧する際に舌片と第n折込片との間に形成される折込線を最終折込線と称すれば、第n折込片と舌片に形成される感圧接着剤層は、最終折込線を基準線として対照の位置に形成されることが好ましい。感圧接着剤層は、最終折込線を対照に1対に限定されず複数対でもよい。予め使用する封止装置によって缶蓋用包装袋に形成される最終折込線の位置を特定し、感圧接着剤層を形成する位置を特定することができる。
【0022】
図1に、2回の折込で第2折込片と舌片とを形成し、第3回目の折込で袋口を封止する場合の袋口の形状および形成される各折込片の1例を示し、図2に、図1の折込方法によって缶蓋用包装袋の正面と背面に形成された折込線、折込片および感圧接着剤層のそれぞれの位置を示す。図1(a)は、缶蓋用包装袋100の開口する袋口の正面斜視図である。図1(b)に、缶蓋(図示せず)の上面と略平行に、缶蓋用包装袋100の正面から背面に向かって所定形状の第1折込板(図示せず)を挿入する第1折込によって発生する第1折込片I、折込線1、折込線2、折込線3を示す。なお、各図において、山線を荒い点線、谷線を細かい点線で示す。図1(b)に示すように、缶蓋用包装袋100の直径を2Rとした場合に、缶蓋上端から袋口の端部までの距離を示す第1折込片Iの長さL1は、缶蓋の直径2Rの70~110%、より好ましくは80~100%である。図1(c)に、第1折込片Iを形成した後の形状を示す。便宜のため、図1(c)には第2折込によって発生する第2折込片IIと舌片Zの仮想位置も併せて示す。なお、符号1~5は、袋口に形成された折込線1~5であり、各折込片および舌片には、封止された最終形態を基準に最も内側の内層i、外層と内層との間の中層m、最も外側の外層oを付記する。図1(c)の符号Ioは、第1折込片の外層を意味し、IIiは第2折込片の内層を、Zmは舌片の中層を示す。図1(d)に第2折込後の袋口の形状、および第1折込片I、第2折込片II、舌片Z、折込線1~7、および感圧接着剤層21、感圧接着剤層22を示す。図1に示す折込方法の場合は、第1折込片Iは、袋口の一部が缶蓋上面側に折込まれた1層で構成され、第2折込片IIは袋口の一部が2重に折りたたまれた2層(IIiとIIo)で構成され、舌片Zは袋口の一部が3重に折りたたまれた3層(Zi、Zm、Zo(図示せず))とで構成されている。なお、折込線7は最終折込線に該当する。第3折込により舌片Zを第2折込片II側に押圧すると、第2折込片IIに配設された感圧接着剤層22と舌片Zに配設された感圧接着剤層21とが接触する。
【0023】
図2(a)に、図1の折込によって缶蓋用包装袋100の正面(図面向かって左側)と背面(図面向かって右側)にそれぞれ形成される折込線、折込片、舌片を模式的に示す。なお、図2(a)では、背面中央に細線にて背張りのりしろ部を示したが、缶蓋用包装袋100は背張りの有無を問わず、また、背張り位置は背面に限定されるものではない。図2(b)に、図1に示す折込方法で封止する場合の最終折込線(折込線7)と感圧接着剤層21、22の配設位置を例示する。図2(a)を参照すれば、感圧接着剤層21は舌片内層Ziに、感圧接着剤層22は折込片外層IIoに、それぞれ最終折込線を基準線として対照の位置に形成されている。
【0024】
折込順が同じでも、折込板の形状やサイズその他が変化すると各折込片や舌片の形状その他が変化する。例えば、図1の第1折込片Iの長さL1を缶蓋の直径2Rの50~60%となるように折り込むと、感圧接着剤層21を形成する舌片内層Ziが袋口の内層となり、図2(b)と相違する。このように、本発明の缶蓋用包装袋は、使用する封止装置の所定の折込方法に対応する位置に感圧接着剤層を形成できるが、封止方法が変更されると封止不可となる場合がある。このことは、任意の位置に感圧接着剤層が形成された缶蓋用包装袋であっても、封止装置が、開口する袋口をn回折り込んで第n折込片と折り込まれずに残存する舌片とを形成し、前記舌片を前記第n折込片に押圧することを条件に、第1折込片の長さ(L1)、第2折込板の形状その他を適宜調整して感圧接着剤層同士を接着できることを意味する。したがって、本発明の缶蓋用包装袋は、予め使用が決定された封止装置の専用品に限定されるものではない。
【0025】
図3に、第2折込によって2つの舌片Zと第2折込片IIとを形成する態様を示す。図3(a)は、缶蓋(図示せず)の上面と略平行に、缶蓋用包装袋100の正面から背面に向かって第1折込板(図示せず)を挿入する第1折込によって発生する第1折込片Iと折込線1~5を示す。缶蓋上端から袋口の端部までの距離を示す第1折込片Iの長さL2は、缶蓋用包装袋100の直径を2Rとした場合に、2Rの50~90%、より好ましくは60~80%である。図3(b)は、缶蓋用包装袋100の背面から正面に向かって挿入した第2折込板(図示せず)によって形成された第2折込片IIと同時に形成された2つの舌片Z、および折込線6を示す。図3(c)は、2つの舌片Zをそれぞれ第2折込片II側に折込み、押圧した後の封止された缶蓋用包装袋100の斜視を示す。また、図4(a)に、図3の折込方法によって缶蓋用包装袋100の正面(図面左側)と背面(図面右側)に形成された折込線1~14、折込片I、折込片II、および舌片Zを模式的に示す。折込線2、4および11で囲まれた領域にはZiおよびZmが記載されているが、背面に形成される舌片の折込深さによって舌片Zの内層または中層になることを意味する。折込線3、5および12で囲まれた領域も同様である。図4(b)に、最終折込線(折込線7)に対照に形成された感圧接着剤層31、32と最終折込線(折込線8)に対照に形成された感圧接着剤層33、34の位置を例示する。図4(a)を参照すれば、感圧接着剤層32および33は第2折込片外層IIoに、感圧接着剤層31および34は舌片内層Ziに形成されている。
【0026】
本発明の缶蓋用包装袋は、舌片および第n折込片に形成される感圧接着剤層が、いずれも缶蓋用包装袋の外側に形成されることが好ましい。内側に形成されると、缶蓋用包装袋に缶蓋を充填する際に、感圧接着剤層が缶蓋と接触するため感圧接着剤層が剥離する場合がある。更に、感圧接着剤層は、缶蓋用包装袋の正面または背面のいずれか一方に形成することが好ましい。缶蓋用包装袋を積層した際の感圧接着剤層同士の接着を回避することができるからである。なお、缶蓋用包装袋には、感圧接着剤層の間に最終折込線が記載されるものであってもよく、最終折込線に代えて正面中央、背面中央その他に、封止装置に供給する際の切り込みなどの目印を設けてもよい。
【0027】
感圧接着剤層の面積は、缶蓋のサイズや、缶蓋用包装袋に充填する缶蓋数、使用する接着剤の粘着力などを考慮して、封止可能な接着強度を確保できる面積とする。缶蓋の直径が約6cmの缶蓋用包装袋の場合で例示すれば、各感圧接着剤層の面積は0.5~5cm、より好ましくは1~4cmである。感圧接着剤層が、最終折込線で対照となるように1カ所のみ形成される場合の接着剤の面積は、上記を参照して適宜選択すればよい。
【0028】
本発明の缶蓋用包装袋に用いる基材としては、缶蓋を充填でき、その外層に感圧接着剤層を形成することができ、封止装置によって折込および封止作業ができるものを広く使用することができる。例えば、クラフト紙、未晒し包装紙、晒し包装紙、塗工紙、再生紙、アート紙、コート紙、合成紙、フィルム、ラミネート紙、金属蒸着紙等がある。
【0029】
従来の封止装置は、装置の構成その他の理由から接着剤供給作業が1回に限定されるため封止箇所の接着剤層は一カ所に限定されていたが、本発明の缶蓋用包装袋100を使用すれば、例えば感圧接着剤層を2カ所に設けた、従来と異なる封止方法で袋口を封止することができる。
【0030】
(2)感圧接着剤
本発明における「感圧接着剤」とは、オートタック性、すなわち感圧接着剤層同士で接着しうる接着性と、感圧接着剤層以外とは接着しない耐ブロッキング性とを有する接着剤を意味する。オートタック性により、離型紙を使用せずに缶蓋用包装袋を積層することができる。剥離紙がないため、封止装置による缶蓋包装体の製造に際して、剥離紙の除去操作を回避することができる。なお、感圧接着剤の名称は問わず、例えば、常温で接着剤層同士を重ね合せて加圧して接着できるコールドシール剤やアドヘアと称されるものであってもよい。
【0031】
このような感圧接着剤としては、例えば、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤、ゴム系ホットメルト接着剤、天然ゴムラテックス系粘着剤などがあり、室温で流動性を有する液状粘着剤の他、固形のホットメルト接着剤であってもよい。これらの中で、「ホットメルト感圧接着剤」と称される、オートタック性を有するホットメルト接着剤を好適に使用することができる。ホットメルト接着剤は有機溶媒を含まないため、缶蓋用包装袋の製造工程で有機溶媒の揮発がなく、作業の安全性を確保することができる。
【0032】
本発明で使用する感圧接着剤は、ベース樹脂50~100重量部、ワックス0.5~10重量部、粘着付与剤1~100重量部で構成される。更に、可塑剤、フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを含んでいてもよい。ベース樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンなどのプロピレン系樹脂;ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、酸変性ポリエチレン、エチレン・アクリル酸エチル共重合物、エチレン・アクリル酸共重合物、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂などのエチレン系樹脂;アモルファスポリオレフィン系樹脂;スチレン-イソプレン-スチレンブロックポリマーやスチレン-ブタジエン-ブロックポリマーなどの、スチレンやα-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンなどのモノビニル置換芳香族化合物と、1,3-ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエン化合物とのブロック共重合体やこれらの水素添加物などがある。また、天然ゴム;天然ゴムにメチル(メタ)アクリレートやブチル(メタ)アクリレート等をグラフト重合したアルキル(メタ)アクリレート変性天然ゴムや、天然ゴムにスチレンをグラフト重合したスチレン変性天然ゴムなどのグラフト変性天然ゴム;接着性を有するポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系であってもよい。ベース樹脂として、これらの混合物を使用することができる。
【0033】
ワックスとしては、低分子ポリエチレンワックス、マイクロワックス、カストールワックス、固形パラフィンがある。
【0034】
粘着付与剤としては、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系等のテルペン・芳香族系樹脂、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル(安定化ロジンエステル)などのロジンエステル樹脂、フェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、キシレン系樹脂、ロジン系樹脂、脂肪族系や芳香族系や脂肪族・芳香族共重合体系等の石油系樹脂、アルキド系樹脂やこれらの水素添加物がある。
【0035】
軟化剤としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイルなどの石油系軟化剤、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン-プロピレンオリゴマーなどの液状ゴムの他、フタル酸エステル類、グリコールエステル類、ポリビニルイソブチルエーテル低重合体、ラノリン、塊重合ゴム、プロセスオイル、加硫オイル等がある。
【0036】
本発明で使用する感圧接着剤層の耐ブロッキング性は、JIS-Z-0237に基づくボールタック試験法で評価した場合に、粘着性がボールNo.7以下、より好ましくはNo.2~6、特に好ましくはボールNo.3~5であることが好ましい。この範囲で、缶蓋用包装袋を積層して保存する際に、感圧接着剤層同士の接触を回避することができる。
【0037】
本発明では、ヘンケルジャパン株式会社製テクノメルトAS8998、ボスティック・ニッタ株式会社製ホットメルト感圧接着剤M650、ヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン5000EXP-27905などを好適に使用することができる。
【0038】
(3)缶蓋用包装袋の製造方法
本発明の缶蓋用包装袋は、感圧接着剤層のない従来の缶蓋用包装袋に感圧接着剤層を形成して製造することができる。また、袋基材の所定の位置に感圧接着剤層を形成し、次いで袋状に接着加工してもよい。
【0039】
感圧接着剤層の形成位置は、例えば、封止装置による最終折込線を特定し、最終折込線を基準線として対照の位置に形成することができる。感圧接着剤層は、ブレードコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター等によって感圧接着剤を塗工して形成することができる。感圧接着剤の中でも、ポリオレフィン系のホットメルト感圧接着剤は耐ブロッキング性に優れるため、感圧接着剤層を形成した後に塗工した接着剤層の冷却時間が短くても缶蓋用包装袋を積層することができ、缶蓋用包装袋の製造工場の冷却ラインを短縮することができる。
【0040】
(4)缶蓋包装体
本発明の缶蓋包装体は、上記缶蓋用包装袋に缶蓋が積層状態で収納され、袋口が封止された缶蓋包装体である。従来の缶蓋包装体は、封止装置からホットメルト接着剤を供給して接着固定されるものが多かったが、本発明の缶蓋包装体は感圧接着剤層同士で封止固定されている。従来の封止装置で封止した缶蓋包装体と同様に、パレタイジング装置等によって複数本毎に梱包することができ、缶蓋解袋機によって開梱することができるが、封止装置での接着剤供給工程がなく製造されたため、接着剤が缶蓋に付着して固化して残存することがなく、缶蓋と缶蓋用包装袋とが固着することもない。このため、缶蓋解袋機によって缶蓋包装体を開梱する際に、缶蓋用包装袋に固着された缶蓋が空包装材の上に落下することが回避され、空包装材の回収に際して缶蓋や缶蓋が接着した包装袋の混在を防止することができる。
【0041】
(5)封止装置
封止装置は、開口する袋口をn回折り込んで第n折込片と折り込まれずに残存する舌片とを形成し、前記舌片を前記第n折込片に押圧するものである。この折込方法で袋口を封止できれば、従来の封止装置であってもよく、接着剤供給機構を停止して袋口を封止することができる。
【0042】
一例として、袋口を図1に示す折込方法で封止する封止装置を図5を用いて説明する。図5(a)は、封止された缶蓋包装体の上面図、すなわち封止端を示す図である。図面下部を缶蓋包装体の正面とすれば、正面から缶蓋中心方向に折りたたまれた第1折込片Iに、第2折込片IIおよび舌片Zが順次折り重なっている。封止装置によって折込板の形状や折込板の移動方向その他が異なるため、図5(b)に示すように舌片の形状に近似する略三角形の仮想線A、B、Cを設け、この仮想線を参照して折込板の形状や動作方法の1例を説明する。なお、仮想線Bは図1(c)の折込線3に近似する線、仮想線Cは図1(d)の折込線7に近似する線、仮想線Aは、袋口と仮想線Bとの交点および袋口と仮想線Cとの交点を結ぶ線とした。
【0043】
図5(c)に示すように、仮想線Aと仮想線Bとに亘る略三角の板状部を有する部材を第1折込板40とする。第1折込板40は、缶蓋(図示せず)の上面と略平行に、缶蓋包装体の正面から背面に向かって前進および後退移動することができる。第2折込板50は、缶蓋包装体の長手方向と略平衡に配設される長方形の板状部を有する部材であり、袋口外側の缶蓋上端に接触し、この接触部を支点に缶蓋の上面側に約90°回転して第2折込片と舌片とを形成し、回転後は、缶蓋上面と略平衡に仮想線Cに沿って仮想線B側に後退移動することができる。第3折込板60は長方形の板状部を有する部材であり、缶蓋上面に略垂直に仮想線Cに沿って仮想線Aから仮想線B方向に袋口内に侵入でき、前記第2折込板の回転後に缶蓋の上面側に約90°回転し、回転後は仮想線Cに沿って仮想線A方向に後退移動することができる。図5(d)は、第2折込後の第1折込板40、第2折込板50、および第3折込板60の配置を示す。
【0044】
図6を用いて、図5に示す各折込板の動作方法を説明する。図6(a)に示すように、前記袋口の一部を缶蓋(図示せず)の正面から背面に向かって第1折込板40を前進移動させ、前記缶蓋の上面側に折込んで第1折込片Iと折り込まれずに残存する袋口とを形成する。符号1~5は折込線を示す。次いで、第1折込板40を留置したまま、残存する袋口に、缶蓋と略垂直に仮想線Cに沿って、仮想線Aから仮想線Bに向かって折込板60を挿入する。次いで、図6(b)に示すように、第2折込板50を袋口の外周、例えば缶蓋上端近傍と接触させ、この接触部を支点に缶蓋の上面側に約90°回転させて折込み、第1折込板と接触する第2折込片IIを形成する。第2折込板50の前記回転により第3折込板60の一部が袋口の一部で被覆され、舌片Zも形成される。これらの折込により袋口の背面の一部が第2折込片IIおよび舌片Zとなり、背面に形成した感圧接着剤層21と感圧接着剤層22とがそれぞれ舌片Zおよび第2折込片IIに配置される態様となる。次いで、第1折込板40および第2折込板50を留置したまま、第3折込板60を缶蓋の上面側に約90°回転して折込む。第2折込片IIの感圧接着剤層22に舌片Zに感圧接着剤層21が接触して接着固定される。なお、接着固定後は、第1折込板40を前記背面から正面方向に、第2折込板50を仮想線Cに沿って仮想線AからB方向に、第3折込板60を仮想線Cに沿って仮想線BからA方向にそれぞれ後退させる。図6(c)に、各折込板を後退させた後の袋口が封止された缶蓋包装体の斜視図を示す。
【0045】
封止装置を使用して本発明の缶蓋用包装袋を封止する際は、折込板その他が感圧接着剤層に接触することなく封止できることが好ましい。例えば、図6(b)では、袋口の背面に形成した感圧接着剤層21と22との間に第2折込板50を接触させて折込み、第2折込片IIと舌片Zを形成している。この態様では、第2折込板50の長方形の板状部の横幅は、感圧接着剤層21と22との間隔を考慮して適宜選択することが好ましい。
【0046】
なお、図5図6に示す封止装置は1例であり、これに限定されるものでない。例えば、上記では、第1折込板40を、缶蓋の上面と略平行に正面から背面に向かって前進して袋口を折込む態様で説明したが、第1折込板40を、袋口正面の缶蓋上端と接触させ、この接触部を支点に缶蓋の上面側に約90°回転して折込み、第1折込片を形成する態様でもよい。封止後に缶蓋上面と略平衡に正面側に移動させると、第1折込板を封止端から後退させることができる。また、図4に示す缶蓋用包装袋を使用した場合には、図3に示す折込方法を参照し、この折込方法を実施する折込板を備えた封止装置を使用すればよい。
【0047】
(6)缶蓋用包装袋の封止方法
本発明で使用する缶蓋用包装袋は、予め感圧接着剤層が形成されるため、接着剤供給機構による接着剤の供給を行うことなく袋口を封止することができる。一方、感圧接着剤層の配設位置が固定されているため、缶蓋用包装袋を封止装置の所定の位置に供給する必要がある。使用する封止装置の折込方法に対応して感圧接着剤層を形成した缶蓋用包装袋を使用する場合には、感圧接着剤層特定の際に供給したと同じ位置に缶蓋用包装袋を供給すれば、第n+1回の折込により袋口を封止することができる。一方、任意に感圧接着剤層が形成された缶蓋用包装袋を使用する場合もある。缶蓋用包装袋に最終折込線が記載されている場合には、最終折込線の位置に実際の最終折込線が形成できるように封止装置に缶蓋用包装袋を供給すると、第n+1回目の折込により、感圧接着剤層同士を接着することができる。最終折込線の記載が無い場合は、最終折込線を仮想し、同様に操作することができる。なお、感圧接着剤層と感圧接着剤層の間に折込板や折込片が折込まれると感圧接着剤層同士の接着が困難となる。以下、図6に示す封止装置に缶蓋用包装袋を供給する方法、各折込板の動作設定方法、およびこれらによる封止方法を説明する。
【0048】
まず、最終折込線、または仮想される最終折込線の位置に実際の最終折込線が形成できるように、缶蓋が充填された缶蓋用包装袋の正面を封止装置の所定の位置に供給する。封止装置の第1折込板40で袋口の一部を前記缶蓋の上面側に折込んで第1折込片Iと折り込まれずに残存する袋口とを形成する。缶蓋上面と袋口上端までの長さが図1(b)に示す符号L1となる。L1が缶蓋の直径2Rの70~110%、より好ましく80~100%となるように、予め缶蓋の充填量を制御し、または缶蓋用包装袋の長手方向の長さを調整しておく。
次いで、残存する袋口の折込端部から、缶蓋と略垂直に第3折込板60をやや浅めに挿入し、および袋口の外周から、仮想する最終折込線に沿って第2折込板50を缶蓋の上面側に折込む。第2折込板50を缶蓋上面側に折込むと第1折込板40に接触する第2折込片IIが形成され、同時に袋口の一部が第3折込板60に巻き付いて被覆した舌片Zが形成される。第2折込板を缶蓋上面側に折込む際の、第3折込板60の正面からの角度や挿入深さなどを適宜調整すると、舌片Zの形状やサイズを調整でき、これにより感圧接着剤層21、22を最終折込線に対照の位置に制御することができる。
次いで、袋口の一部で被覆された第3折込板60を缶蓋の上面側に折込む。第2折込片IIに形成された感圧接着剤層22に舌片Zに形成された感圧接着剤層21を押圧し、両者を接着させることができる。本発明の缶蓋用包装袋は、最終折込線や仮想する最終折込線を目安にして、封止装置への供給位置や各折込板の動作設定を調整することができる。
【0049】
このように動作が設定された封止装置を使用する場合は、第1折込板で前記袋口の一部を前記缶蓋の上面側に折込んで第1折込片と折り込まれずに残存する袋口とを形成し、前記残存する袋口に前記缶蓋と垂直に第3折込板を挿入し、および第2折込板を前記袋口の外周から前記缶蓋の上面側に折込んで前記第1折込板と接触する第2折込片と前記第3折込板を被覆する舌片とを形成し、前記第3折込板を前記缶蓋の上面側に折込んで前記第2折込片に形成された感圧接着剤層と前記舌片に形成された感圧接着剤層とを接着させて、袋口を封止することができる。
【0050】
本発明の缶蓋用包装袋は、上記に準じて動作を設定すれば従来の封止装置にも使用することができる。これにより、従来のホットメルト接着剤の供給およびホットメルト接着剤の固化時間が不要なため、迅速な封止を行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14・・・折込線、
21、22、31、32、33、34・・・感圧接着剤層、
40・・・第1折込板、
50・・・第2折込板、
60・・・第3折込板、
100・・・缶蓋用包装袋、
I・・・第1折込片、
Io・・・第1折込片外層、
II・・・第2折込片、
IIi・・・第2折込片内層、
IIo・・・第2折込片外層
Z・・・舌片、
Zm・・・舌片中層、
Zi・・・舌片内層、
Zo・・・舌片外層
図1
図2
図3
図4
図5
図6