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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】紙の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 21/12 20060101AFI20230310BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
D21H21/12
B01D19/04 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019013704
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020122232
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】平川 剛
(72)【発明者】
【氏名】島林 克臣
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-087966(JP,A)
【文献】特開2006-130405(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037345(WO,A1)
【文献】特開2003-164707(JP,A)
【文献】特開2014-240378(JP,A)
【文献】特開平01-210005(JP,A)
【文献】特開昭60-209213(JP,A)
【文献】蝋・硬化油の融点一覧表 Licowax S,2022年10月17日,インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00-D21J7/00
B01D19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高級アルコール(A)、40℃における動粘度が5~100mm/sである炭化水素(B)及び融点が45~130℃であるワックス(C)を含む消泡剤(1)と、式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)を含む消泡剤(2)とを用いて抄紙する抄紙工程を有し、
式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)の曇点(1重量%水溶液)が0~35℃であって、
高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の重量に基づいて、高級アルコール(A)の含有量が45~94重量%、炭化水素(B)の含有量が3~35重量%、ワックス(C)の含有量が3~20重量%であり、
消泡剤(2)に含まれるポリオキシアルキレン化合物(D)の量が消泡剤(1)に含まれる高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の100重量部に対して30~900重量部であることを特徴とする紙の製造方法。

(H-){-(AO)-H} (1)

は炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、AOは炭素数2~18のオキシアルキレン基、nは2~100の整数、sは1~8の整数、rは0~7の整数、s及びrの和(s+r)は1~8の整数である。
【請求項2】
消泡剤(1)をパルプ濃度が0.001~0.05重量%である抄紙白水に添加する請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項3】
高級アルコール(A)、40℃における動粘度が5~100mm/sである炭化水素(B)、融点が45~130℃であるワックス(C)及び式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)を含み、
式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)の曇点(1重量%水溶液)が0~35℃であって、
高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の100重量部に対して、高級アルコール(A)の含有量が45~94重量部、炭化水素(B)の含有量が3~35重量部、ワックス(C)の含有量が3~20重量部、ポリオキシアルキレン化合物(D)の含有量が30~900重量部であることを特徴とする消泡剤組成物。

(H-){-(AO)-H} (1)

は炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、AOは炭素数2~18のオキシアルキレン基、nは2~100の整数、sは1~8の整数、rは0~7の整数、s及びrの和(s+r)は1~8の整数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙の工程において使用するのが好ましい消泡剤として「分散相が以下の物質を含有する消泡剤の水性分散液:
a)40℃より高い融点を有する脂肪アルコールおよび
b)45℃より高い融点を有するケトンおよび、所望により
c)50℃より高い融点を有する天然および/または合成ワックス。」が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平8-510160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の消泡剤を用いた紙の製造方法では、十分な抄紙白水やパルプスラリーの消泡を行うことができず、高品質の紙を製造することができないという問題がある。
本発明は、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性に優れ、高品質な紙が得られる紙の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の紙の製造方法の特徴は、高級アルコール(A)、40℃における動粘度が5~100mm/sである炭化水素(B)及び融点が45~130℃であるワックス(C)を含む消泡剤(1)と、式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)を含む消泡剤(2)とを用いて抄紙する抄紙工程を有し、
式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)の曇点(1重量%水溶液)が0~35℃であって、
高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の重量に基づいて、高級アルコール(A)の含有量が45~94重量%、炭化水素(B)の含有量が3~35重量%、ワックス(C)の含有量が3~20重量%であり、
消泡剤(2)に含まれるポリオキシアルキレン化合物(D)の量が消泡剤(1)に含まれる高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の100重量部に対して30~900重量部である点を要旨とする。
【0006】

(H-){-(AO)-H} (1)
【0007】
は炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、AOは炭素数2~18のオキシアルキレン基、nは2~100の整数、sは1~の整数、rは0~の整数、s及びrの和(s+r)は1~の整数である。
【0008】
本発明の消泡剤組成物の特徴は、高級アルコール(A)、40℃における動粘度が5~100mm/sである炭化水素(B)、融点が45~130℃であるワックス(C)及び式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)を含み、
式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)の曇点(1重量%水溶液)が0~35℃であって、
高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の100重量部に対して、高級アルコール(A)の含有量が45~94重量部、炭化水素(B)の含有量が3~35重量部、ワックス(C)の含有量が3~20重量部、ポリオキシアルキレン化合物(D)の含有量が30~900重量部である点を要旨とする。
【0009】

(H-){-(AO)-H} (1)
【0010】
は炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、AOは炭素数2~18のオキシアルキレン基、nは2~100の整数、sは1~の整数、rは0~の整数、s及びrの和(s+r)は1~の整数である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紙の製造方法によると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性に優れ、高品質の紙が得られる。
【0012】
本発明の消泡剤組成物は、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性に優れ、高品質な紙が容易に得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<消泡剤(1)>
高級アルコール(A)としては、炭素数12~30のアルコールが含まれ、飽和アルコール、不飽和アルコール及びこれらの混合物のいずれも使用できる。
【0014】
飽和アルコールとしては、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール及びトリアコンタノール等の他、チーグラー法で合成された直鎖で非分岐状の飽和アルコール、オキソ法で合成された直鎖第1級アルコール若しくは分岐第1級アルコール及びアルカン(炭素数12~30)を空気酸化してつくられる直鎖第2級アルコール等が挙げられる。
【0015】
不飽和アルコールとしては、ドデセノール、テトラデセノール、ヘキサデセノール及びオクタデセノール等が挙げられる。
【0016】
これらの高級アルコールのうち、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、イコサノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール及びオクタコサノールが好ましく、さらに好ましくはヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ドコサノール及びテトラコサノールである。
【0017】
40℃における動粘度が5~100(10~70が好ましく、さらに好ましくは15~50)mm/sである炭化水素(B)としては、鉱物油等が使用できる。
【0018】
動粘度(mm/s)はASTM D445に準拠して40℃で測定される値である。
【0019】
炭化水素(B)は市場から容易に入手でき、下表に記載した鉱物油等が挙げられる。このほかに、炭化水素(B)の動粘度が上記範囲になるように、上記範囲外の炭化水素を混合して得てもよい。
【0020】
【表1】
「TELLUS」はシェル ブランズ インターナショナル エージーの登録商標である。
「コスモ」、「ピュアスピン」、「ピュアセーフティ」はコスモエネルギーホールディングス株式会社の登録商標である。
「ダイアナフレシア」は出光興産株式会社の登録商標である。
【0021】
融点が45~130(55~100が好ましく、さらに好ましくは60~90)℃であるワックス(C)としては、国際特許出願パンフレットWO/2016/080475に記載されたワックス等が挙げられる。これらのうち、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びフィッシャートロプシュワックスが好ましい。
【0022】
融点(℃)はJIS K7121-1987{特に、3.(2)及び8.6(1)}に準拠して測定される値である。
【0023】
ワックス(C)は市場から容易に入手でき、下表に記載した商品等が挙げられる。
【0024】
【表2】
「HNP」は日本精蝋株式会社の登録商標である。
「SaSOL」及び「SASOLWAX」はセイソル リミテッドの登録商標である。
【0025】
高級アルコール(A)の含有量(重量%)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の重量に基づいて、35~98が好ましく、さらに好ましくは45~94、特に好ましくは60~90である。
【0026】
40℃における動粘度が5~100mm/sである炭化水素(B)の含有量(重量%)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の重量に基づいて、1~40が好ましく、さらに好ましくは3~35、特に好ましくは5~25である。
【0027】
融点が45~130℃であるワックス(C)の含有量(重量%)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の重量に基づいて、1~25が好ましく、さらに好ましくは3~20、特に好ましくは5~15である。
【0028】
高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の含有量が上記の範囲であると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性がさらに優れ、高品質の紙が得られやすくなる。
【0029】
消泡剤(1)には、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)以外の疎水性物質{脂肪酸、シリコーン、変性シリコーン、シリコーンコンパウンド、疎水性シリカ、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及び金属石鹸等}を含有してもよい。
【0030】
脂肪酸としては、炭素数12~18の脂肪酸が含まれ、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸及びオクタデセン酸等が挙げられる。
【0031】
シリコーンとしては、25℃における動粘度が1~1万mm/sのポリジメチルシロキサンが含まれ、商品として、KF-96L-1cs、KF-96-500cs及びKF-96-10000cs(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
【0032】
変性シリコーンとしては、25℃における動粘度が1~1万mm/sのポリエーテル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン及びアリール変性シリコーンが含まれ、商品として、KF-352A、KF-945、KF-6020、KF-50-100cs、KF-54、KF-412及びKF-415(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
【0033】
シリコーンコンパウンドとしては、下記の疎水性シリカと上記のシリコーン及び/又は変性シリコーンとの混合物等が挙げられる。
【0034】
疎水性シリカとしては、疎水性ヒュームドシリカ及び疎水性沈降シリカが含まれ、商品として、Aerosil RY200及びAerosil R972(日本アエロジル株式会社);Nipsil SS-215及びNipsil SS-50(東ソー・シリカ株式会社)等が挙げられる。「Aerosil」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標であり、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社の登録商標である。
【0035】
脂肪酸エステルとしては、オクタデカン酸ドデシルエステル、オクタデカン酸テトラデシルエステル、オクタデカン酸オクタデシルエステル、オクタデセン酸オクタデセニルエステル、エチレングリコールオクタデカン酸(モノ又はジ)エステル、プロピレングリコールオクタデカン酸(モノ/又はジ)エステル、グリセリンオクタデカン酸(モノ、ジ又はトリ)エステル及びペンタエリスリトールオクタデカン酸(モノ、ジ、トリ又はテトラ)エステル等が挙げられる。
【0036】
脂肪酸アミドとしては、オクタデカン酸アミド、ヒドロキシオクタデカン酸アミド及びエチレンビスオクタデカン酸アミド等が挙げられる。
【0037】
金属石鹸としては、ドデカン酸カルシウム、オクタデカン酸カルシウム、オクタデカン酸アルミニウム及びヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0038】
これらの疎水性物質のうち、脂肪酸、シリコーン、変性シリコーン、シリコーンコンパウンド及び脂肪酸エステルが好ましい。
【0039】
消泡剤(1)に疎水性物質を含有する場合、疎水性物質の含有量(重量%)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びワックス(C)の重量に基づいて、1~50程度である。
【0040】
消泡剤(1)は、水中油型エマルションの形態であることが好ましい。
消泡剤(1)が水中油型エマルションの場合、消泡剤(1)には乳化剤及び水を含有する。
【0041】
乳化剤としては、ノニオン活性剤、アニオン活性剤及びこれらの混合物等を用いることができる。このような乳化剤としては特開平11-276805号公報に記載された一般式(1)で示される化合物、一般式(2)で示される化合物及びノニオン性界面活性剤等が使用できる。また、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタンエチレンオキシド付加体の脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリオキシエチレン硫酸エステル塩及びアルキルポリオキシエチレンリン酸エステル塩等も使用できる。
【0042】
消泡剤(1)が水中油型エマルションの形態の場合、さらに、エマルション添加剤(増粘剤、防腐剤、防かび剤、殺菌剤、皮張り防止剤及び凝固点降下剤等)を含有してもよい。
【0043】
消泡剤(1)が水中油型エマルションの場合、水の含有量(重量部)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の100重量部に対して、66~1900が好ましく、さらに好ましくは100~900、特に好ましくは150~566である。また、乳化剤の含有量(重量部)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の100重量部に対して、0.1~20が好ましく、さらに好ましくは0.5~15、特に好ましくは2~10である。また、エマルション添加剤を含有する場合、エマルション添加剤の含有量(重量部)は、水の100重量部に対して、0.01~10が好ましく、さらに好ましくは0.05~10、特に好ましくは0.3~7である。これらの範囲であると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性にさらに優れ、高品質の紙が得られやすくなる。
【0044】
消泡剤(1)が水中油型エマルションの場合、製造方法としては(ア)~(エ)等が挙げられる。
(ア)高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)並びに必要に応じて疎水性物質を加熱溶解させ撹拌混合した後、乳化剤及び水並びに必要に応じてエマルション添加剤を添加して撹拌混合してエマルション化する方法。
【0045】
(イ)乳化剤及び水並びに必要に応じてエマルション添加剤を撹拌混合し、この中に高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)並びに必要に応じて疎水性物質等を加熱溶解させ撹拌混合したものを加え、撹拌混合してエマルション化する方法。
【0046】
(ウ)(ア)又は(イ)の方法により、目的のエマルション濃度より高い濃度の中間体を調製した後、希釈水を添加して目的のエマルション濃度に調整する方法。
【0047】
(エ)高級アルコール(A)、炭化水素(B)、パラフィンワックス(C)、乳化剤及び水並びに必要に応じて疎水性物質及び/又はエマルション添加剤のすべての構成成分を一度に加熱溶解、撹拌混合してエマルション化する方法。
【0048】
加熱溶解させる温度は、使用する(ア)高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)並びに必要に応じて疎水性物質の混合物の融点以上の温度であればよく、特に制限されない。
【0049】
加熱溶解させた後の冷却方法は特に制限はなく、急冷してもよいし、徐冷してもよい。急冷方法は、熱交換器等を用いてもよいし、希釈水等を添加して冷却してもよい。
【0050】
撹拌混合設備としては、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダー及びラインミキサー等が使用でき、これらの2種以上の設備を組み合わせて使用することができる。
【0051】
エマルション化に用いる乳化分散機としては、プロペラ型攪拌機、ピストン型高圧乳化機、ホモミキサー、超音波式乳化分散機、加圧ノズル式乳化機、高速回転高せん断型撹拌分散機、コロイドミル及びメディア型分散機(たとえばサンドグラインダー、アジテーターミル及びボールミル等)等が使用できる。
【0052】
<消泡剤(2)>
炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基(R)を構成する活性水素含有化合物としては、水酸基(-OH)、イミノ基(-NH-)及び/又はアミノ基(-NH)を少なくとも1個含む化合物が含まれ、アルコール、アミド及びアミンが含まれる。
【0053】
アルコールとしては、モノオール(高級アルコール(A)のうち炭素数12~25のアルコールの他、メタノール、ブタノール及びイソオクタデカノール等)及びポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、テトラグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジヒドロキシアセトン、フルクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、スクロース、ラクトース及びトレハロース等)等が挙げられる。
【0054】
アミドとしては、モノアミド(ギ酸アミド、プロピオン酸アミド及びステアリルアミド等)及びポリアミド(マロン酸ジアミド、エチレンビスオクタデカンアミド及びエチレンビスオクチルアミド等)等が挙げられる。
【0055】
アミンとしては、モノアミン(ジメチルアミン、エチルアミン、アニリン及びステアリルアミン等)及びポリアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン等)等が挙げられる。
【0056】
炭素数2~18のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシイソブチレン、オキシ-1,2-デシレン、オキシ-1,12-ドデシレン、オキシ-1,2-ドデシレン及びオキシ-1,2-オクタデシレンが挙げられ、複数種の炭素数2~18のオキシアルキレン基を用いてもよく、この場合、付加形態はブロックでもランダムでもよいがブロック付加されていることが好ましい。
【0057】
nは2~100の整数であり、5~60の整数が好ましく、特に好ましくは10~30の整数である。
【0058】
式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)としては、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、テトラデカノールのエチレンオキシド付加体、テトラデカノールのプロピレンオキシドエチレンオキシドブロック付加物、ヘキサデカノールのプロピレンオキシドエチレンオキシドブロック付加物、エイコサノールのエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック付加物、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシドエチレンオキシドブロック付加体、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ブロック付加体)、グリセリンのプロピレンオキシドエチレンオキシドランダム付加体、蔗糖のプロピレンオキシドブチレンオキシドブロック付加体及びペンタエリスリトールのエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック付加体等が挙げられる。
【0059】
式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)の曇点(℃、1重量%水溶液)は、0~35が好ましく、さらに好ましくは1~30、特に好ましくは2~25である。この範囲であると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性がさらに優れ、高品質の紙が得られやすくなる。
【0060】
曇点は、親水性の尺度となる物性値の一つであり、曇点が高いほど親水性が大きいことを意味し、以下のようにして測定される値である。
【0061】
イオン交換水99g及び測定試料1gを均一溶解させて測定液を調製し(溶解しない場合溶解するまで冷却する)、この測定液約5ccをガラス製の試験管に採り、温度計を測定液に入れて攪拌しながら、昇温させて測定液を白濁させた後、攪拌しながら、ゆっくり冷却して測定液が完全に透明となる温度を読みとり、これを曇点とする。
【0062】
消泡剤(2)には、上記の疎水性物質及び上記の乳化剤を含有できる。
【0063】
式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)は、アルキレンオキシド付加重合反応により調製でき、重合形式としては、アニオン重合、カチオン重合あるいは配位アニオン重合等が挙げられる。これらの重合形式は単独で用いても、併用で用いても特に制限はない。
消泡剤(2)に疎水性物質や乳化剤を含有する場合、式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(D)と、疎水性物質や乳化剤とを混合されていれば消泡剤(2)の製造方法に制限はない。
【0064】
消泡剤(1)及び消泡剤(2)はパルプ濃度が0.001~0.05重量%である抄紙白水に添加することが好ましい。また、パルプスラリーに添加する場合、消泡剤を希釈してから添加することが好ましい。
【0065】
本発明に用いられる消泡剤(1)及び消泡剤(2)の添加方法としては連続添加、断続添加または泡測定器と消泡剤添加装置とを連動させた方法のいずれでもよく、1カ所添加又は多点添加のいずれでもよい。また、添加に際しては、適当な溶剤または水などで希釈してもよく、ワイヤーピット、白水チェスト等添加場所に制限はない。消泡剤(2)の添加箇所としては、抄紙白水やパルプスラリーが激しく流動している箇所(ワイヤーピットや流路の大きな高低差又は段差による抄紙白水やパルプスラリーの急落が発生している箇所等のように泡が発生しやすい箇所等)が好ましい。
【0066】
消泡剤(1)及び消泡剤(2)は同じ箇所に添加してもよく、添加前に混合してから添加してもよく、異なる箇所に添加してもよい(異なる箇所に添加することが好ましい)。消泡剤(1)又は消泡剤(2)のいずれか一方の消泡剤(消泡剤(2)であることが好ましい)を一定量添加しながら、泡の増減により他方の消泡剤(消泡剤(1)であることが好ましい)の添加量を調整して添加してもよい。また、消泡剤(1)及び消泡剤(2)を添加し、系中にて後述する消泡剤組成物と同等の組成物を得た後、さらに消泡剤(1)、消泡剤(2)及び/又は消泡剤組成物を追加で添加してもよい。さらに、消泡剤(1)又は消泡剤(2)を添加した後、後述する消泡剤組成物を添加してもよく、後述する消泡剤組成物を添加した後、消泡剤(1)、消泡剤(2)及び/又は消泡剤組成物を追加で添加してもよい。
【0067】
本発明に用いられる消泡剤(1)の添加量は、抄紙白水又はパルプスラリーに対して通常0.1~5万ppmの範囲にて添加されるが、特に制限はない(抄紙白水又はパルプスラリーの泡立ち具合によって適宜調整できる)。
【0068】
本発明に用いられる消泡剤(2)の添加量は、抄紙白水又はパルプスラリーに対して通常0.05~2万ppmの範囲にて添加されるが、特に制限はない(抄紙白水又はパルプスラリーの泡立ち具合によって適宜調整できる)。
【0069】
消泡剤(1)及び消泡剤(2)の比率に関して、消泡剤(2)に含まれるポリオキシアルキレン化合物(D)の量(重量部)が、消泡剤(1)に含まれる高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の100重量部に対して、1~1800となる程度の量が好ましく、さらに好ましくは30~900となる程度の量、特に好ましくは50~676となる程度の量である。この範囲であると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性がさらに優れ、高品質の紙が得られやすくなる。
【0070】
本発明の紙の製造方法によると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性に優れ、高品質の紙が得られるため、紙の製造方法のみならず、パルプスラリーを用いる抄造ボードや不織布等の抄きものの製造方法としても好適である。
【0071】
<消泡剤組成物>
本発明の消泡剤組成物は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)、パラフィンワックス(C)及びポリオキシアルキレン化合物(D)を含有すれば、水、エマルション添加剤、疎水性物質や乳化剤を含有してもよい。
【0072】
消泡剤組成物は、水中油型エマルションの形態であることが好ましい。
消泡剤組成物が水中油型エマルションの場合、製造方法としては上記の(ア)~(エ)等が挙げられ、ポリオキシアルキレン化合物(D)はいずれのタイミングでも添加混合できるが、(ア)~(エ)等の製造方法で水中油型エマルションを得た後、ポリオキシアルキレン化合物(D)を添加混合することが好ましい。
【0073】
消泡剤組成物は、抄紙白水中やパルプスラリー中で調製されてもよい。すなわち、消泡剤(1)と消泡剤(2)とが抄紙白水中及び/又はパルプスラリー中混合され、消泡剤組成物が調製されてもよい。
【0074】
高級アルコール(A)の含有量(重量部)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の100重量部に対して、35~98が好ましく、さらに好ましくは45~94、特に好ましくは60~90である。
【0075】
炭化水素(B)の含有量(重量部)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の100重量部に対して、1~40が好ましく、さらに好ましくは3~35、特に好ましくは5~25である。
【0076】
ワックス(C)の含有量(重量部)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の100重量部に対して、1~25が好ましく、さらに好ましくは3~20、特に好ましくは5~15である。
【0077】
ポリオキシアルキレン化合物(D)の含有量(重量部)は、高級アルコール(A)、炭化水素(B)及びパラフィンワックス(C)の100重量部に対して、1~1800が好ましく、さらに好ましくは30~900、特に好ましくは50~676である。
【0078】
これらの範囲であると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性にさらに優れ、高品質の紙が得られやすくなる。
【0079】
本発明の消泡剤組成物は、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性に優れ、高品質の紙が容易に得られるため、紙の製造方法のみならず、パルプスラリーを用いる抄造ボードや不織布等の抄きものの製造方法としても好適である。
【実施例
【0080】
以下、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0081】
体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計「マイクロトラック粒度分布計;マイクロトラック・ベル株式会社」にて測定した。
【0082】
<製造例1>
水150部及び乳化剤(e1){ドデシルアルコールのエチレンオキシド20モル付加体}3部を均一混合しながら80℃まで加熱して水相(1)を調製した。高級アルコール(a1){ヘキサデカノール、カルコール 6098、花王株式会社}60部、炭化水素(b1){コスモニュートラル100、動粘度21.3(mm/s、40℃)、コスモ石油株式会社}25部及びワックス(c1){Paraffin Wax-155、融点69℃、日本精蝋株式会社}15部を80℃で均一溶解して油相(1)を調製した。水相(1)及び油相(1)を均一混合した後、ディスパーミル(D-1、ホソカワミクロン株式会社)を用いて乳化させ、25℃まで冷却して、体積平均粒子径6.7μmの水中油型エマルション消泡剤(1-1)を得た。
【0083】
<製造例2>
水190部及び乳化剤(e2){ソルビタンエチレンオキシド20モル付加体のオクタデセニル酸エステル}10部を均一混合しながら80℃まで加熱して水相(2)を調製した。高級アルコール(a2){オクタデカノール、カルコール 8098、花王株式会社}90部、炭化水素(b2){コスモSP15、動粘度15.3(mm/s、40℃)、コスモ石油株式会社}5部及びワックス(c2){Paraffin Wax-155、融点61℃、日本精蝋株式会社}5部を80℃で均一溶解して油相(2)を調製した。水相(2)及び油相(2)を均一混合した後、ディスパーミル(D-1、ホソカワミクロン株式会社)を用いて乳化させ、25℃まで冷却して体積平均粒子径4μmの水中油型エマルション消泡剤(1-2)を得た。
【0084】
<製造例3>
水250部及び乳化剤(e3){ドデシルアルコールエチレンオキシド5モル付加体のコハク酸エステル硫酸ナトリウム塩}5部を均一混合しながら90℃まで加熱して水相(3)を調製した。高級アルコール(a3){テトラコサノール、東京化成工業株式会社}75部、炭化水素(b3){テラス S2 M46、動粘度46(mm/s、40℃)、昭和シェル石油株式会社}10部及びワックス(c3){Hi-Mic-1070、融点80℃、日本精蝋株式会社}15部を90℃で均一溶解して油相(3)を調製した。水相(3)及び油相(3)を均一混合した後、ディスパーミル(D-1、ホソカワミクロン株式会社)を用いて乳化させ、25℃まで冷却して体積平均粒子径5.2μmの水中油型エマルション消泡剤(1-3)を得た。
【0085】
<製造例4>
水566部及び乳化剤(e1)8部を均一混合しながら90℃まで加熱して水相(4)を調製した。高級アルコール(a4){エイコサノール、東京化成工業株式会社}70部、炭化水素(b4){ダイアナフレシア P-32、動粘度28.7(mm/s、40℃)、出光興産株式会社}20部及びワックス(c4){SasolWax C80、融点83℃、Sasol}10部を90℃で均一溶解して油相(4)を調製した。水相(4)及び油相(4)を均一混合した後、ディスパーミル(D-1、ホソカワミクロン株式会社)を用いて乳化させ、25℃まで冷却して体積平均粒子径7μmの水中油型エマルション消泡剤(1-4)を得た。
【0086】
<製造例5>
水320部及び乳化剤(e3)2部を均一混合しながら90℃まで加熱して水相(5)を調製した。高級アルコール(a5){ドコサノール、東京化成工業株式会社}65部、炭化水素(b2)20部及びワックス(c5){SasolWax 0907、融点88℃、Sasol}15部を90℃で均一溶解して油相(5)を調製した。水相(5)及び油相(5)を均一混合した後、ディスパーミル(D-1、ホソカワミクロン株式会社)を用いて乳化させ、25℃まで冷却して体積平均粒子径5.8μmの水中油型エマルション消泡剤(1-5)を得た。
【0087】
<製造例6>
水250部、乳化剤(e1)1部及び乳化剤(e3)2部を均一混合しながら80℃まで加熱して水相(6)を調製した。高級アルコール(a2)45部、高級アルコール(a5)25部、炭化水素(b1)20部及びワックス(c1)10部を80℃で均一溶解して油相(6)を調製した。水相(6)及び油相(6)を均一混合した後、ディスパーミル(D-1、ホソカワミクロン株式会社)を用いて乳化させ、25℃まで冷却して体積平均粒子径6.2μmの水中油型エマルション消泡剤(1-6)を得た。
【0088】
<実施例1>
上面が開放された直方体の発泡容器(幅40mm×長さ300mm×高さ100mm)に抄紙白水(1)500gを入れ、40℃に保持し、循環ポンプを用いて発泡容器の末端部(β)底部から抄紙白水(1)を流量2000g/分で抜きながら、もう一方の末端部(α)の抄紙白水液面から25cmの鉛直上部から抄紙白水液面へ落下させることにより、末端部(α)から末端部(β)の水平方向に抄紙白水(1)を発泡させて(特許第3799393号公報参照)、抄紙工程の一部を摸擬的に再現した。
【0089】
抄紙白水(1)の循環と同時に消泡剤(1-1)5mg(10ppm;抄紙白水に対する濃度、以下、単にppmと記載する。)及び消泡剤(2-1;ドデカノールのポリオキシエチレン(5モル)ポリオキシプロピレン(25モル)ブロック付加体、曇点8℃)1mg(2ppm)をそれぞれ末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
なお、抄紙白水(1)は、新聞紙抄紙工場より入手したパルプスラリー(1;パルプ濃度2.5%)からパルプを濾別した白水(パルプ濃度0.001%)用いた。
また、パルプ濃度は、パルプスラリー又は白水を加熱乾固(105℃、60分)させた際の蒸発残渣より求めた。
【0090】
<実施例2>
「消泡剤(1-1)5mg(10ppm)」を「消泡剤(1-6)6mg(12ppm)」に変更したこと、「消泡剤(2-1)1mg(2ppm)」を「消泡剤(2-1)2mg(4ppm)」に変更したこと及び「抄紙白水(1)」を「パルプ濃度を0.05%に調整した抄紙白水(2)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして添加5分後の泡長さを記録した。
なお、「パルプ濃度を0.05%に調整した抄紙白水(2)」は、パルプスラリー(1;パルプ濃度2.5%)100部及び抄紙白水(1;パルプ濃度0.001%)5000部を均一混合して調製した。
【0091】
<実施例3>
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(1)500g及び消泡剤(1-3)5mg(10ppm)を混合した抄紙白水(3)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(3)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(2-2;ヘキサデカノールのポリオキシプロピレン(4モル)ポリオキシエチレン(6モル)ブロック付加体、曇点12℃)2mg(4ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0092】
<実施例4>
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(1)500g、消泡剤(1-2)4mg(8ppm)及び消泡剤(2-4;エイコサノールのポリオキシエチレン(15モル)ポリオキシプロピレン(15モル)ブロック付加体、曇点25℃)2mg(4ppm)を混合した抄紙白水(4)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(4)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-2)3mg(6ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0093】
<実施例5>
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(1)500g、消泡剤(1-4)7mg(14ppm)及び消泡剤(2-3;ブタノールのポリオキシプロピレン(20モル)付加体{曇点10℃)1mg(2ppm)を混合した抄紙白水(5)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(5)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(2-3)1mg(2ppm)を末端部(α)の抄紙白水中に添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0094】
<実施例6>
「消泡剤(1-1)5mg(10ppm)」を「消泡剤(1-5)7mg(14ppm)」に変更したこと及び「消泡剤(2-1)1mg(2ppm)」を「消泡剤(2-4)2mg(4ppm)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、添加5分後の泡長さを記録した。
【0095】
<実施例7>
消泡剤(1-5)10部及び消泡剤(2-5;テトラデカノールのポリオキシプロピレン(14モル)ポリオキシエチレン(3モル)ブロック付加体、曇点2℃)1.19部を均一混合して、消泡剤組成物(3-1)を得た。
【0096】
「消泡剤(1-1)5mg(10ppm)」及び「消泡剤(2-1)1mg(2ppm)」を「消泡剤組成物(3-1)7mg(14ppm)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、添加5分後泡長さを記録した。
【0097】
<実施例8>
消泡剤(1-4)10部及び消泡剤(2-4)10部を均一混合して、消泡剤組成物(3-2)を得た。
【0098】
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(1)500g及び消泡剤組成物(3-2)4mg(8ppm)を混合した抄紙白水(6)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(6)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-1)3mg(6ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0099】
<実施例9>
消泡剤(1-3)10部及び消泡剤(2-2)3.37部を均一混合して、消泡剤組成物(3-3)を得た。
【0100】
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(1)500g及び消泡剤(2-3)2mg(4ppm)を混合した抄紙白水(7)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を模擬的に再現し、抄紙白水(7)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤組成物(3-3)4mg(8ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0101】
<実施例10>
「抄紙白水(1)」を「抄紙白水(1)500g、消泡剤(1-2)2.5mg(5ppm)及び消泡剤(2-3)0.5mg(1ppm)を混合した抄紙白水(8)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(8)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-2)2.5mg(5ppm)及び消泡剤(2-3)0.5mg(1ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0102】
<実施例11>
「抄紙白水(1)」を「抄紙白水(2)500g、消泡剤(1-1)3.5g(7ppm)及び消泡剤(2-4)1mg(2ppm)を混合した抄紙白水(9)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(9)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-1)3.5mg(7ppm)及び消泡剤(2-4)1mg(2ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0103】
<実施例12>
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(2)500g及び消泡剤(1-2)2mg(4ppm)を混合した抄紙白水(10)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(10)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(2-3)3mg(6ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0104】
<実施例13>
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(2)500g、消泡剤(2-2)0.5mg(1ppm)を混合した抄紙白水(11)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(11)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-3)3.5mg(7ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0105】
<実施例14>
「抄紙白水(1)500g」を「抄紙白水(2)500g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(2)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-4)3mg(6ppm)及び消泡剤(2-1)3mg(6ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0106】
<実施例15>
「消泡剤(1-1)5mg(10ppm)」を「消泡剤(1-4)2.5mg(5ppm)」に変更したこと及び「消泡剤(2-1)1mg(2ppm)」を「消泡剤(2-5)2.5mg(5ppm)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして添加5分後の泡長さを記録した。
【0107】
<実施例16>
抄紙白水(1)10g及び消泡剤(1-2)7mgを混合して消泡剤(1-2)希釈液を調製した。また、抄紙白水(1)10g及び消泡剤(2-2)2mgを混合して消泡剤(2-2)希釈液を調製した。
【0108】
「抄紙白水(1)500g」を「パルプスラリー(1;新聞紙抄紙工場より入手したパルプスラリー、パルプ濃度2.5%)480g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、パルプスラリー(1)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-2)希釈液10g(消泡剤(1-2)の濃度14ppm)及び消泡剤(2-2)希釈液10g(消泡剤(2-2)の濃度4ppm)をそれぞれ末端部(α)のパルプスラリー中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0109】
<実施例17>
抄紙白水(1)10g及び消泡剤(1-4)6mgを混合して消泡剤(1-4)希釈液を調製した。また、抄紙白水(1)10g及び消泡剤(2-2)2mg及び消泡剤(2-5)1mgを混合して消泡剤(2-2)/(2-5)希釈液を調製した。
【0110】
「抄紙白水(1)500g」を「パルプスラリー(1)480g、消泡剤(1-4)希釈液10g(消泡剤(1-4)の濃度12ppm)を混合したパルプスラリー(2)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、パルプスラリー(2)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(2-2)/(2-5)希釈液10g(消泡剤(2-2)の濃度4ppm、消泡剤(2-5)の濃度2ppm)を末端部(α)のパルプスラリー中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0111】
<実施例18>
消泡剤(1-2)10部及び消泡剤(2-3)10.66部を均一混合して、消泡剤組成物(3-4)を得た。
抄紙白水(1)10g及び消泡剤組成物(3-4)4mgを混合して消泡剤組成物(3-4)希釈液を調製した。また、抄紙白水(1)10g及び消泡剤(1-3)4mgを混合して消泡剤(1-3)希釈液を調製した。
【0112】
「抄紙白水(1)500g」を「パルプスラリー(1)480g及び消泡剤組成物(3-4)希釈液10g(消泡剤組成物(3-4)の濃度8ppm)を混合したパルプスラリー(3)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、パルプスラリー(3)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-3)希釈液10g(消泡剤(1-3)の濃度8ppm)を末端部(α)のパルプスラリー中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0113】
<実施例19>
消泡剤(1-1)10部及び消泡剤(2-1)9.88部を均一混合して、消泡剤組成物(3-5)を得た。
抄紙白水(1)10g及び消泡剤組成物(3-5)6mgを混合して消泡剤組成物(3-5)希釈液を調製した。また、抄紙白水(1)10g及び消泡剤(2-1)1mgを混合し、消泡剤(2-1)希釈液を調製した。
【0114】
「抄紙白水(1)500g」を「パルプスラリー(1)490g及び消泡剤(2-1)希釈液10g(消泡剤(2-1)の濃度2ppm)を混合したパルプスラリー(4)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、パルプスラリー(4)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤組成物(3-5)希釈液10g(消泡剤組成物(3-5)の濃度12ppm)を末端部(α)のパルプスラリー中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0115】
<実施例20>
抄紙白水(1)10g及び消泡剤組成物(3-2)7mgを混合し、消泡剤組成物(3-2)希釈液を調製した。
【0116】
「抄紙白水(1)500g」を「パルプスラリー(1)490g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、パルプスラリー(1)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤組成物(3-2)希釈液10g(消泡剤(3-2)の濃度14ppm)を末端部(α)のパルプスラリー中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0117】
<実施例21>
抄紙白水(1)10g及び消泡剤(1-4)3mgを混合して消泡剤(1-4)希釈液を調製した。また、抄紙白水(1)10g及び消泡剤(2-2)3mgを混合し、消泡剤(2-2)希釈液を調製した。
【0118】
「抄紙白水(1)500g」を「パルプスラリー(1)480g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、パルプスラリー(1)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-4)希釈液10g(消泡剤(1-4)の濃度6ppm)及び消泡剤(2-2)希釈液10g(消泡剤)(2-2)の濃度6ppm)を末端部(α)のパルプスラリー中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0119】
<実施例22>
抄紙白水(1)10g及び消泡剤(1-6)7mgを混合して消泡剤(1-6)希釈液を調製した。また、抄紙白水(1)10g及び消泡剤(2-5)1mgを混合し、消泡剤(2-5)希釈液を調製した。
【0120】
「抄紙白水(1)500g」を「パルプスラリー(1)490g及び消泡剤(2-5)希釈液10g(消泡剤(2-5)の濃度2ppm)を混合したパルプスラリー(5)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、パルプスラリー(5)の循環により発泡させ、循環開始と同時に消泡剤(1-6)希釈液10g(消泡剤(1-6)の濃度14ppm)を末端部(α)のパルプスラリー中へ添加し、添加5分後泡長さを記録した。
【0121】
<比較例1>
特許文献1の実施例1に準拠して体積平均粒子径7μmの比較用の消泡剤(H1)を調製した。
【0122】
実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(1)の循環により発泡させ、循環開始と同時に比較用の消泡剤(H1)6mg(12ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0123】
<比較例2>
実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(1)の循環により発泡させ、循環開始と同時に比較用の消泡剤(H1)9mg(18ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0124】
<比較例3>
実施例1と同様にして抄紙工程の一部を摸擬的に再現し、抄紙白水(1)の循環により発泡させ、循環開始と同時に比較用の消泡剤(H1)18mg(36ppm)を末端部(α)の抄紙白水中へ添加し、添加5分後の泡長さを記録した。
【0125】
実施例及び比較例で記録した添加5分後泡長さを下表に示した。
【表3】
【0126】
実施例及び比較例から実証されたように、本発明の紙の製造方法によると、抄紙白水及びパルプスラリーの消泡性に優れる。そうすると、泡に由来するピンホールや地合の低下等の表面欠陥が生じにくく、結果として、高品質な紙が得られると考えられる。