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  • 特許-真空断熱ガラスパネル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】真空断熱ガラスパネル
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20230310BHJP
   E06B 3/677 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
C03C27/06 101D
E06B3/677
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020567047
(86)(22)【出願日】2019-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 US2019041744
(87)【国際公開番号】W WO2020023233
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】16/045,257
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520462986
【氏名又は名称】チン、ギュン ジャン
【氏名又は名称原語表記】CHIN,Kyun Jang
【住所又は居所原語表記】16 Concord Drive Oak Brook,IL 60523,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チン、ギュン ジャン
【審査官】大塚 晴彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102689457(CN,A)
【文献】仏国特許出願公開第02483564(FR,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01004552(EP,A1)
【文献】実開昭52-108255(JP,U)
【文献】実開平04-018629(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0322461(US,A1)
【文献】国際公開第99/045225(WO,A1)
【文献】米国特許第03161265(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0298679(US,A1)
【文献】特開昭57-140342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06
E06B 3/677、 3/663
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で開いた第1と第2のガラス板;
第1と第2のガラス板の間に位置し、その高さが上記所定の間隔の構造的柱体;及び第1と第2のガラス板の縁を囲む壁;を含み、
構造的柱体は第1と第2の骨格層で構成され、各骨格層は複数の六角形骨格で構成され、第1の骨格層の六角形骨格の頂はこれに対応する第2の骨格層の六角形骨格の頂部を柱パイプで結合し;
第1のガラス板と第2のガラス板、そして壁に囲まれた空間を予め設定された圧力で減圧することを特徴とする真空断熱ガラスパネル。
【請求項2】
請求項1において、
構造的柱体は第1と第2の骨格層の六角形骨格の頂点に柱パイプを固定するために複数のパイプホルダーを追加して含むことを特徴とする真空断熱ガラスパネル。
【請求項3】
請求項1において、
第1や第2の骨格層はガラス板または透明なエンジニアリングプラスチックで作られることを特徴とする真空断熱ガラスパネル。
【請求項4】
請求項1において、
柱パイプはガラスまたは透明なエンジニアリングプラスチックで作られ、その直径は14から24mm、肉厚は2から4mm、高さは8から12mmであることを特徴とする真空断熱ガラスパネル。
【請求項5】
請求項1において、
柱パイプ間隔は140から220mmであることを特徴とする真空断熱ガラスパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、真空断熱ガラスパネルに関し、より具体的には構造的柱体を有する真空断熱ガラスパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空断熱ガラスパネル技術として知られる、例えば、US Pat.No.5,664,395、6,365,242;米国特許出願公開番号20,150,079,313と20,100,260,950;また、PCT出願公開番号WO2013/172033が参考として本願発明に具現されている。
【0003】
従来の真空断熱ガラスパネルでは、二枚のガラスで囲まれた間の極めて狭い密閉された空間が使われ;ガラス板の端はフリット(frit)ガラス溶接により取り付けられ;500℃に達する加熱室で真空工程が行われ;希望するレベルの減圧をするのに概ね50分から1時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許5,664,395
【文献】米国特許6,365,242
【文献】米国特許出願公開番号20,150,079,313
【文献】米国特許出願公開番号20,100,260,950
【文献】PCT出願公開番号WO2013/172033
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、従来の問題を解決するために工夫され、構造的柱体の機能による真空断熱ガラスパネルを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明では、従来の真空断熱ガラスパネル工程で問題となっていた多量の微細柱、狭い真空スペース、真空排気管、ガラス端部の溶接、加熱室での真空工程を、単一の構造的柱体、多層密閉、真空ミニチュアピストンバルブ、そして広い真空空間を提供する高い壁に置き換えるものである。
【0007】
真空断熱ガラスパネルの第1の実施例では、真空断熱ガラスパネルが所定間隔で開いた第1と第2のガラス板;第1と第2のガラス板の間に位置し、その高さが上記所定間隔の構造的柱体;及び第1と第2のガラス板の縁を囲む壁;を含み, 第1のガラス板と第2のガラス板, そして壁に囲まれた空間が予め設定された圧力で減圧される。
【0008】
構造的柱体は二つの骨格層を含み、各骨格層は複数の六角形骨格で構成され、一つ目の骨格層の六角形骨格の頂点は二つ目の骨格層に相応する六角形骨格の各頂点に柱パイプによって連結される。
真空断熱ガラスパネルは、2つの骨格層に柱パイプを設けるために各頂点にパイプホルダーを提供する。
二つの骨格層は、ガラス板または透明エンジニアリングプラスチックでつくられ、従来製品よりも良い品質をより安く大量生産できるようになる。
【0009】
さらには、真空断熱ガラスパネルは真空ミニチュアピストンバルブを含む。それにはシリンダーや、その内部に空気通路が提供されるピストンを含む。そのピストンとその中のシリンダーは先端に向かって狭くなっている。
真空断熱ガラスパネルの第2実施例においては、構造的柱体は柱パイプと同様の直径の開いた穴を持つ一枚のガラス板を含む。
柱パイプを穴に差し込んでガラス板に溶接する。開いた穴は六角形の頂点と中央に位置してもよい。
二枚のガラス板の外部から内部に加わる最低10^(-1)Torrの高い真空を用いて接着充填材を使ってもよい。
【発明の効果】
【0010】
構造的柱体は、ガラスまたはエンジニアリングプラスチックでつくられ、従来製品よりも良い品質を大衆向けの価格で大量生産できるようになる。
さらに、減圧は水分さえあればでき、真空によってガラス板の外部から内部に加わる圧力は半永久的な耐久性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願発明に関する上記内容や、その他の資料、特定の観点に関する利点は、図面を添えた以下の「発明の詳細な説明」でより明確に理解できる。
図1】複数の六角形骨格構造を有する骨格層の平面図。
図2】複数の六角形骨格を持つ二つの骨格層と柱パイプが一つの一体として組み合わさった第1形態の構造的柱体の鳥瞰図。
図3A】柱パイプがパイプホルダーを含む二つの骨格層に結合されていることを示す断面図。
図3B】柱パイプホルダーの鳥瞰図。
図4】第1形態の構造的柱体を用いた真空断熱ガラスパネルの断面図。
図5】真空ホースを接続する真空ミニチュアピストンバルブの断面図。
図6】柱パイプが差し込まれる仮想の六角形頂点と中央に穴の空いたガラス板の平面図。
図7】第2形態の構造的柱体を形成する図6のガラス板に空いた穴に柱パイプが差し込まれた断面図。
図8】第2形態の構造的柱体を用いた真空断熱ガラスパネルの断面図。
図9】第2形態の構造的柱体を用いた真空断熱ガラスパネルの底面断面図と真空ミニチュアピストンバルブの挿入断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の「発明を実施するための形態」は、本願発明が具現される具体的な実施例を図面を参照として説明する。
これらの実施例は、この分野の専門家であれば、本願発明を具現できるよう十分に詳細に説明されている。
【0013】
本願発明のそれぞれの実施例が異なるものであっても、必ずしも相互排除的なものではないことを知っておく必要がある。例えば、ここに説明される特定の態様や構造、特性を一つの実施例と結びつけ、他の実施例と遊離することなく具現することができる。
さらに、本願発明の精神、範疇と遊離がなければ、それぞれ示される実施例の部分的位置づけ又は変形は受け入れられる。
【0014】
従って、以下の詳細な説明は制限的なものとみなしてはならず、請求項のみによって限られるが、そうであっても請求項全体領域の観点からそれに相応しく読み解く必要がある。
以下は、単一の構造的柱体を持つ真空断熱ガラスパネルは本願発明に伴う図面を添えて説明される。
図1は、複数の六角形骨格(11)を持つ骨格層(10)、
図2は、第1形態の構造的柱体(20)の鳥瞰図を示している。
図1で、骨格層(10)の厚さt、t=3~5mm、幅w、w=4~6mm、六角形骨格(11)の頂点の距離l、l=140~220mmになる。
図2に示すように、構造的柱体(20)は二つの層(10a、10b)を含み、その中に各骨格層(10a、10b)は複数の六角形骨格(11)を含む。
【0015】
第1の骨格層(10a)の六角形骨格(11)の頂点は、それに相応する第2の骨格層(10b)の柱パイプ(30)と柱パイプホルダー(31)に接続されて単一体を形成する。
骨格層(10)はガラス板でつくってもよく、選択的にはエンジニアリングプラスチックで射出することもできる。
【0016】
柱パイプ(30)の直径は14から24mm;厚さは2から4mm;高さは8から12mm;柱パイプ(30)の間隔は140から220mm、そして圧縮強度は約1,000MPaである。
図3Aは、柱パイプ(30)が接続される柱パイプホルダー(31)を持つ二つの骨格層(10a、10b)を示している。
図3Bは、柱パイプホルダー(31)の鳥瞰図を示している。
【0017】
二つの骨格層(10a、10b)の六角形頂点のパイプホルダー(31)に柱パイプ(30)が取り付けられて接続される。複数のパイプホルダー(31)を複数の六角形骨格層(10a、10b)の頂点(32)に溶接するか、そのまま差し込む。二つの骨格層(10a、10b)は、ガラス板やエンジニアリングプラスチックでつくられ、従来製品より安価でより良い品質で大量生産ができるようにする。
図4は、第1形態の構造的柱体(20)を用いた真空断熱ガラスパネル(40)の断面図を示している。
【0018】
この第1実施例によると、真空断熱ガラスパネル(40)は所定間隔を開けた二枚のガラス板(41a、41b);この二枚のガラス板(41a、41b)の間隔を高さとしてその間に設けられる構造的柱体(20);そして壁(42)で二枚のガラス板(41a、41b)がつながり、その二枚のガラス板(4a、41b)と壁(42)に囲まれた密閉された空間が所定圧力になって真空になる。
真空断熱ガラスパネルは追加で真空ミニチュアピストンバルブ(50)を含む。
図5は、真空ホースを接続する真空ミニチュアピストンバルブ(50)を示している。
真空ミニチュアピストンバルブ(50)は、シリンダー(54)、その内部に空気通路(52)を持つピストン(51)、スプリング(53)を含む。
【0019】
真空ミニチュアピストンバルブ(50)は、壁(42)を通してガラス板(41a、41b)の間に挿入することができ、真空ホースにより真空空間を減圧することができる。
【0020】
真空ミニチュアピストンバルブ(50)の直径は7mmから9mmであってもよい。ピストン(51)とシリンダー(54)とは向かい合い、先端に向かって狭くなるよう設定し、ピストン(51)が上下に動きながら開閉される。ピストン(51)に真空ホースが接続されると、ピストン(51)はスプリング(53)の吸引力によって押し上げられる。真空工程の後、ピストン(51)はスプリングと真空圧力によって直ちに押し下げられて閉まる。また、真空ミニチュアピストンバルブ(50)にシーラントを詰めて密閉し、多層シーラント(43、44、45)と漆塗りで仕上げる。
【0021】
本願発明によると、真空ミニチュアピストンバルブ(50)は壁(42)を通してガラス中央のどちらでもできれば柱(42)の長手方向のガラス板(41a、41b)の間に壁(42)に穴を開けて差し込む。
【0022】
他の実施例では、図6のように構造的柱体はガラス板(60)に柱パイプに合わせて穴(61)を開け、柱(30)を穴(61)に差し込んでガラス溶接を施す。
図6は、ガラス板(60)の上に柱パイプ(30)が差し込まれる仮想の六角形(62)の頂点(61)と中央(61a)の平面図を示している。
【0023】
穴(61)は、ガラス板(60)の上の仮想六角形(62)らの各頂点(61)と中央(61a)に位置する。仮想線(62a)は六角形の頂点(61)と中央(61a)の位置を示している。
【0024】
これはガラスの表面(41a、41b)に加わる真空圧力ストレスのばらつきを最小にするとともに、柱パイプ(30)の数を最小にするパイプ位置を決める数学的解決策となる。
【0025】
図7は、図6のガラス板(60)の穴(61)に柱パイプ(30)が差し込まれた単一体となる構造的柱体(70)を形成する図6の穴(61)に差し込まれた第2形態の柱体(70)を示している。
第2形態の単一の構造的柱体の柱パイプ(30)の間隔は120から180mmであってもよい。
図8は、第2形態の構造的柱体(70)を応用した真空断熱ガラスパネル(8)の断面図。
第2形態の構造的柱体(70)は穴があいたガラス板を含む。柱パイプ(30)は穴に差し込まれてガラス溶接(71)が施される。
【0026】
図4図8において、二枚のガラス板(41a、41b)と壁(42)は真空空間を囲んで多層シーラント(43、44、45)と漆塗り(46)で完全に密閉する。
多層シーラント(43、44、45)は、真空圧力で二枚のガラス板(41a、41b)をしっかりと保持して密閉する。
【0027】
本願発明の実施方法によると、二枚のガラス板(41a、41b)の間の壁(42)は、ブチル系シーラント(43);真空ガラスが含まれたシリコンシーラント(44);多硫化物系シーラント(45);で密閉し、漆塗り(46)で仕上げる。
【0028】
漆塗りの仕上げはLOW-E-フィルムに置き換えることができ、多層密閉層(43、44、45)の一つまたは二つのシーラントを省略することもできるが、真空シリカのシーラント(44)は省略できない。
【0029】
本願発明の上記実施内容はLOW-E-フィルム、41fは厚さ5mmを基本とした最適の解決方法を提示するものである。そのため、ガラスの厚さが異なる場合、部品や規格はそれによって容易に変えることができる。但し、LOW-E-強化ガラスは必須不可欠な条件である。
LOW-E-フィルム(41f)は二枚のガラス板(41a、41b)の上の内側に向けさせて単一の構造的柱体の衝撃を吸収するようにする。
【0030】
二枚のガラス板の外側に加わる少なくとも10のマイナス1乗Torrの真空空間の高い真空圧力でシーラントの接着密着度を高めて上記のような多層シーラントの利用が可能になる。 特に、一体形になった構造的柱体(20、70)は二枚のガラス板(41a、41b)の間と、他の様々な種類の接着充填材(43、44、45)又は選択的にガラス溶接された壁(42)に囲まれる真空空間に所定位置に設けられて仕上がる。壁(42)と二枚のガラス板(41a、41b)には厚さ5mmの強化ガラスが使われる。
【0031】
図9は第2形態の構造的柱体の真空断熱ガラスパネルの断面を示し、真空ミニチュアピストンバルブ(50)が位置する切欠空間(91)を明らかに示している。
【0032】
前述の説明には、特定の性質、すなわち特定の部品、特定のシーリング図面が提供されるが、これは本願発明の理解を助けるために提供されたものであって、その具体化に限定されるものではない。
この技術分野に熟練した専門家は、ここに説明されたものを簡単に調整できるということは明白である。
従って、本願発明の上記実施例、そして請求項と類似したものを追求するものは、本願発明の範囲に属するといえよう。

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9