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特許7241443配管の捻じれを吸収する配管構造及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】配管の捻じれを吸収する配管構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/08 20060101AFI20230310BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20230310BHJP
   F16L 15/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
F16L27/08 Z
F16L33/00 B
F16L15/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022142459
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2022081563の分割
【原出願日】2022-05-18
【審査請求日】2022-09-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391054165
【氏名又は名称】トーフレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝利
(72)【発明者】
【氏名】野崎 武雄
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016007067(DE,A1)
【文献】特開2017-223297(JP,A)
【文献】特開2018-183578(JP,A)
【文献】登録実用新案第3226914(JP,U)
【文献】登録実用新案第3225421(JP,U)
【文献】登録実用新案第3233135(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0130150(US,A1)
【文献】特開2003-113974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルチューブの捻じれを吸収する方法であって、
(A) 前記フレキシブルチューブを含む配管構造は、
(a) 中空円筒状の第1の継手部材(213)であって、
前記第1の継手部材(213)の一端側に形成された所定の外径を有する円筒外周面(229)、
前記第1の継手部材(213)の他端側に形成され、前記外径よりも大きなねじ径を有する外ねじ(232)、及び
前記円筒外周面(229)に周方向に連続して形成された環状溝(231)、
を含む第1の継手部材(213)と、
(b) 中空円筒状の第2の継手部材(214)であって、
前記第2の継手部材(214)の一端側に形成され、前記第1の継手部材(213)における前記円筒外周面(229)の外径と同じ内径を有する円筒内周面(244)、及び
前記第2の継手部材(214)の他端側に形成され、前記第1の継手部材(213)の外ねじ(232)と同じねじ径を有する内ねじ(243)を含む第2の継手部材(214)と、
(c) 前記第1の継手部材(213)の環状溝(231)に嵌められたシールリング(280)を含む第3の継手部材(215)とを含み、
(d) 前記第1の継手部材(213)の一端側の端部と前記第2の継手部材の他端側の端部の少なくともいずれか一つに直接又は間接に固定されたフレキシブルチューブを含み、
(B) 前記方法は、
) 前記第3の継手部材(215)の前記シールリング(280)前記第1の継手部材(213)の環状溝(231)に嵌
) 前記第1の継手部材(213)、前記第1の継手部材(213)の端側から前記第2の継手部材(214)の端側に差し込
) 前記第1の継手部材(213)の前記円筒外周面(229)前記第2の継手部材(214)の前記内周面(244)に嵌
(h) 前記第1の継手部材(213)の外ねじ(232)前記第2の継手部材(214)の前記内ねじ(243)に螺合して、前記第1の継手部材(213)が前記継手構造(212)の中心軸(218)を中心前記第2の継手部材(214)に対して回転可能な状態に保ち、これにより前記フレキシブルチューブの捻じれを前記第1の継手部材(213)と前記第2の継手部材(214)との間の相対的回転によって吸収させる、方法。
【請求項2】
(a) 中空円筒状の第1の継手部材(213)であって、外ねじ(232)と、前記外ねじ(232)よりも小径の円筒外周面(229)とを有する、第1の継手部材(213)と、
中空円筒状の第2の継手部材(214)であって、内ねじ(243)と、前記内ねじ(243)よりも小径の円筒内周面(244)とを有する第2の継手部材(214)と、
環状の第3の継手部材(215)と、
フレキシブルチューブ(100)と、を用意する工程と、
(b) 前記フレキシブルチューブ(100)を前記第1の継手部材(213)の一端側の端部と前記第2の継手部材の他端側の端部の少なくともいずれか一つに直接又は間接に固定する工程と、
(c) 前記第3の継手部材(215)を前記1の継手部材(213)の円筒外周面(229)に装着する工程と、
(d) 前記第2の継手部材(214)の前記円筒内周面(244)を前記第1の継手部材(213)の前記円筒外周面(229)に嵌合して、前記第1の継手部材(213)と前記第2の継手部材(214)とを組み合わせ、前記第1の継手部材(213)の前記外周面(229)と前記第2の継手部材(214)の前記内周面(244)との間を前記第3の継手部材(215)でシールする工程と、
(e) 前記第3の継手部材(215)が装着された前記第1の継手部材(213)の前記外ねじ(232)を前記第2の継手部材(214)の前記内ねじ(243)に螺合して、前記第1の継手部材(213)が前記継手構造(212)の中心軸(218)を中心に前記第2の継手部材(214)に対して回転可能な状態に保ち、これにより前記フレキシブルチューブの捻じれを前記第1の継手部材(213)と前記第2の継手部材(214)との間の相対的回転によって吸収させる工程、を含む方法。
【請求項3】
フレキシブルチューブの捻じれを吸収する配管構造であって、前記配管構造は継手構造(212)と前記継手構造に接続されたフレキシブルチューブとを含み
(A) 前記継手構造(212)は、
(a) 中空円筒状の第1の継手部材(213)であって、
前記第1の継手部材(213)の一端側に形成された所定の外径を有する円筒外周面(229)、
前記第1の継手部材(213)の他端側に形成され、前記外径よりも大きなねじ径を有する外ねじ(232)、及び
前記円筒外周面(229)に周方向に連続して形成された環状溝(231)、
を含む第1の継手部材(213)と、
(b) 中空円筒状の第2の継手部材(214)であって、
前記第2の継手部材(214)の一端側に形成され、前記第1の継手部材(213)における前記円筒外周面(229)の外径と同じ内径を有する円筒内周面(244)、及び
前記第2の継手部材(214)の他端側に形成され、前記第1の継手部材(213)の外ねじ(232)と同じねじ径を有する内ねじ(243)を含む第2の継手部材(214)と、
(c) 前記第1の継手部材(213)の環状溝(231)に嵌められたシールリング(280)を含む第3の継手部材(215)とを含み、
(B) 前記フレキシブルチューブは、前記第1の継手部材(213)の一端側の端部と前記第2の継手部材の他端側の端部の少なくともいずれか一つに直接又は間接に固定されており、
(C) 前記第3の継手部材(215)の前記シールリング(280)は前記第1の継手部材(213)の環状溝(231)に嵌められ、
前記第1の継手部材(213)は、前記第1の継手部材(213)の他端側から前記第2の継手部材(214)の一端側に差し込まれ、
前記第1の継手部材(213)の前記円筒外周面(229)は前記第2の継手部材(214)の前記内周面(244)に嵌められ、
前記第1の継手部材(213)の外ねじ(232)は前記第2の継手部材(214)の前記内ねじ(243)に螺合され、前記第1の継手部材(213)が前記継手構造(212)の中心軸(218)を中心に前記第2の継手部材(214)に対して回転可能な状態に保たれ、これにより前記フレキシブルチューブの捻じれが前記第1の継手部材(213)と前記第2の継手部材(214)との間の相対的回転によって吸収させるように構成された、配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フレキシブルチューブの捻じれを吸収する配管構造及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルチューブは、例えば、中心軸がオフセットした2つの配管を接続する場面(オフセット接続)、また、中心軸が例えば90度ずれた2つの配管を接続する場面(L字接続)、さらに、平行に配置された2つの配管を接続する場面(U字接続)で利用される、非常に便利な接続機構である。その便利性から、多数の配管設備を有する化学工場等において、配管の自由度を確保するために、多くのフレキシブルチューブが使用されている。
【0003】
一方、フレキシブルチューブが置かれている環境の変化(例えばフレキシブルチューブの内部を流れる流体の温度やフレキシブルチューブの周囲の温度の変化)、また、フレキシブルチューブが接続されている配管の内部を流れる流体の流量変化や圧力変化等に起因して、フレキシブルチューブの長さやフレキシブルチューブに接続された配管の位置が変化すると、フレキシブルチューブにこれを捩じる力が生じる。この捻じれ力は、フレキシブルチューブの溶接部等に繰り返し作用し、そこが疲労破壊するおそれがある。
【0004】
この問題を解消する一つの方法として、フレキシブルチューブに回転継手を接続し、フレキシブルチューブに作用する捩じりを回転継手に吸収させることが考えられる。
【0005】
しかし、回転継手は構造が複雑であり、また、そのために高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、簡単な構造で、フレキシブルチューブに作用する捻じれ力を吸収し、配管に過剰な力が作用すること、またその力によって配管が損傷するおそれを無くす、新たな配管構造を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、
本発明の一つの実施形態に係る方法は、
フレキシブルチューブの捻じれを吸収する方法であって、
(A) 前記フレキシブルチューブを含む配管構造は、
(a) 中空円筒状の第1の継手部材(213)であって、
前記第1の継手部材(213)の一端側に形成された所定の外径を有する円筒外周面(229)、
前記第1の継手部材(213)の他端側に形成され、前記外径よりも大きなねじ径を有する外ねじ(232)、及び
前記円筒外周面(229)に周方向に連続して形成された環状溝(231)、
を含む第1の継手部材(213)と、
(b) 中空円筒状の第2の継手部材(214)であって、
前記第2の継手部材(214)の一端側に形成され、前記第1の継手部材(213)における前記円筒外周面(229)の外径と同じ内径を有する円筒内周面(244)、及び
前記第2の継手部材(214)の他端側に形成され、前記第1の継手部材(213)の外ねじ(232)と同じねじ径を有する内ねじ(243)を含む第2の継手部材(214)と、
(c) 前記第1の継手部材(213)の環状溝(231)に嵌められたシールリング(280)を含む第3の継手部材(215)とを含み、
(d) 前記第1の継手部材(213)の一端側の端部と前記第2の継手部材の他端側の端部の少なくともいずれか一つに直接又は間接に固定されたフレキシブルチューブを含み、
(B) 前記方法は、
) 前記第3の継手部材(215)の前記シールリング(280)前記第1の継手部材(213)の環状溝(231)に嵌
) 前記第1の継手部材(213)、前記第1の継手部材(213)の端側から前記第2の継手部材(214)の端側に差し込
) 前記第1の継手部材(213)の前記円筒外周面(229)前記第2の継手部材(214)の前記内周面(244)に嵌
(h) 前記第1の継手部材(213)の外ねじ(232)前記第2の継手部材(214)の前記内ねじ(243)に螺合して、前記第1の継手部材(213)が前記継手構造(212)の中心軸(218)を中心前記第2の継手部材(214)に対して回転可能な状態に保ち、これにより前記フレキシブルチューブの捻じれを前記第1の継手部材(213)と前記第2の継手部材(214)との間の相対的回転によって吸収させる。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された実施形態の配管構造によれば、フレキシブルチューブに捻じれが発生しても、その捻じれは第1の継手部材と第2の継手部材との相対的回転に吸収され、フレキシブルチューブに無理な力が作用することがない。よって、フレキシブルチューブの損傷が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る継手構造を含む配管構造の一部を切除した側面図。
図2図1の配管構造に含まれる継手構造の一部を切除した側面図。
図3図2の継手構造に含まれる第1の継手部材(プラグ)の一部を切除した側面図。
図4図2の継手構造に含まれる第2の継手部材(ニップル)の一部を切除した側面図。
図5】実施形態2に係る継手構造の一部を切除した側面図。
図6図5の継手構造に含まれる第1の継手部材(プラグ)の一部を切除した側面図。
図7図5の継手構造に含まれる第2の継手部材(ソケット)の一部を切除した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る継手構造を説明する。
【0011】
配管構造
図1配管構造10を示す。配管構造10は、図の右側に描かれたフレキシブルチューブ11と図の左側に設けられる別の配管(図面上省略する)とを接続して構成されており、配管構造10に実施形態1の継手構造12が含まれている。以下、配管構造10及び継手構造12の説明において、図1の右側に表れるフレキシブルチューブ11に近い側を「近位」、図1の左側に表れるフレキシブルチューブ11から遠い側を「遠位」と呼んで区別する。
【0012】
[実施形態1の継手構造]
図2は、図1配管構造10に含まれる実施形態1の継手構造12を取り出した図である。図示する継手構造12は、第1~第5の継手部材13、14,15、16、17で構成されている。
【0013】
[第1の継手部材13]
第1の継手部材13は、中空円筒形のプラグ20である。図3に示すように、プラグ20は、中心軸21に沿って延在する円筒状の内腔22を有する。内腔22の近位側には、プラグ20の近位端から遠位側に向かって延在し、中心軸21を中心とする内ねじ23が形成されている。内ねじ23は、近位側から遠位側に向かって次第に径が小さくなるテーパ付き内ねじである。内腔22の遠位側には、内ねじ23の遠位端からプラグ20の遠位端まで延在し、中心軸21を中心とし、一定の内径を有する円筒内周面24が形成されている。内ねじ23の遠位端の内径は、円筒内周面24の内径よりも大きく、内ねじ23と円筒内周面24の境界に段部25が形成されている。
【0014】
プラグ20の外周面には、3つの筒状部分、すなわち、近位側筒状部分26、遠位側筒状部分27、及び近位側筒状部分26と遠位側筒状部分27の間にあってそれらを接続する中間筒状部分(第1のねじ部)28が形成されている。近位側筒状部分26は、六角ナットの外周面に似た形の外形を有する。遠位側筒状部分27は中心軸21を中心とする円筒外周面29を有する。この円筒外周面29は、円筒内周面24との間に、中空円筒部(第1の円筒部30)を形成している。円筒外周面29には、周方向に連続する環状溝31が形成されている。中間筒状部分28には外ねじ32が形成されている。実施形態において、近位側筒状部分26の最大外径は中間筒状部分28における外ねじ32のねじ径よりも大きく、中間筒状部分28における外ねじ32のねじ径は遠位側筒状部分27の外径よりも大きい。
【0015】
[第2の継手部材14]
第2の継手部材14は、中空円筒形のニップル40である。図4に示すように、ニップル40は、中心軸41に沿って延在する円筒状の内腔42を有する。内腔42の近位側には、ニップル40の近位端から遠位側に向かって延在し、中心軸41を中心とする近位側の円筒内周面43が形成されている。内腔42の遠位側には、近位側の円筒内周面43の遠位端からニップル40の遠位端まで延在し、中心軸41を中心とする遠位側の円筒内周面44が形成されている。近位側の円筒内周面43の内径は遠位側の円筒内周面44の内径よりも大きく、それらの間には段部45が形成されている。
【0016】
近位側の円筒内周面43の内径は、プラグ20の遠位側筒状部分27における円筒外周面29の外径とほぼ等しいかそれよりも僅かに大きい。遠位側の円筒内周面44の内径は、プラグ20の遠位側の円筒内周面24の内径と同じである。
【0017】
ニップル40の外周面には、3つの筒状部分、すなわち、近位側筒状部分(第2のねじ部)46、遠位側筒状部分47、及び近位側筒状部分46と遠位側筒状部分47の間にあってそれらを接続する中間筒状部分48が形成されている。近位側筒状部分46と中間筒状部分48は、近位側の円筒内周面43との間に、中空円筒部(第2の円筒部)49を形成している。
【0018】
近位側筒状部分46には、中心軸41を中心とする外ねじ50が形成されている。外ねじ50のねじ径は、プラグ20における外ねじ32のねじ径と同じである。これら外ねじ32,50は、図1に示すように、外ねじ32,50の周囲に後述する第3の継手部材15のナット60の内ねじ63が螺合できるように、同じ方向に形成されている。
【0019】
遠位側筒状部分47の外周面には、中心軸41を中心とする外ねじ51が形成されている。外ねじ51は、近位側から遠位側に向かって次第に径が小さくなるテーパ付き外ねじである。
【0020】
近位側筒状部分46と中間筒状部分48の境界には、周方向に連続する環状溝52が形成されている。また、中間筒状部分48の外径は遠位側筒状部分47の外径よりも大きく、中間筒状部分48と遠位側筒状部分47の境界に、段部53が形成されている。
【0021】
[第3の継手部材15]
【0022】
図1に戻り、第3の継手部材15は、六角ナット60である。ナット60は、中心軸(この中心軸は図示しないが、他の継手部材と組み合わせた状態で、継手構造の中心軸18に一致する。)を中心とする内腔61を有する。内腔61を形成する内周面62には、近位端から遠位端の間に一様に内ねじ63が形成されている。内ねじ63のねじ径は、プラグ20の外ねじ32とニップル40の外ねじ50がちょうど螺合できる大きさである。
【0023】
[第4の継手部材16]
第4の継手部材16は、弾性材料からなるOリング70である。Oリング70は、プラグ20の外周面に形成された環状溝31に装着できる大きさと形状を有する。
【0024】
[第5の継手部材17]
第5の継手部材17は、金属製のCリング80である。Cリング80は、ニップル40の外周面に形成された環状溝52に装着できる大きさと形状を有する。
【0025】
[組み合わせ]
上述した第1~第5の継手部材12~17は、以下のようにして組み合わされる。
【0026】
まず、Oリング70が、プラグ20の環状溝31に装着される。
【0027】
次に、Oリング70が装着されたプラグ20の遠位側の第1の円筒部30が、ニップル40の近位側の第2の円筒部49に嵌められる。この状態で、プラグ20は、ニップル40に対して、継手構造12の中心軸18に沿って移動(摺動)可能で且つ中心軸18の周りを回転可能である。また、第1の円筒部30の円筒外周面29と第2の円筒部49の円筒内周面(近位側円筒面)43との間がOリング70によってシールされる。さらに、プラグ20の円筒内周面24とニップル40の遠位側円筒内周面44が、継手構造12の中心軸18に対して同軸上に位置し、プラグ20の内腔22とニップル40の内腔42が連通して、一つの連続した流路空間を形成する。
【0028】
続いて、プラグ20の外ねじ32とニップル40の外ねじ50に、ナット60の内ねじ63を螺合して、プラグ20とニップル40を連結する。
【0029】
最後に、ニップル40の環状溝52にCリング80を装着して、ナット60が遠位側に移動して外ねじ50から脱落するのを防止する。ナット60の近位側への脱落は、プラグ20の近位側筒状部分26によって防止される。このようにCリング80と近位側筒状部分26は、ナット60の脱落を防止する規制手段として機能する。ただし、Cリング80と近位側筒状部分26の間の距離は、ナット60の軸方向の長さよりも大きい。したがって、ナット60は、その距離と長さの差だけ、プラグ20はニップル40に対して軸方向に移動可能である。
【0030】
[フレキシブルチューブアセンブリへの組付け]
以上のようにして組み合わされた継手構造12は、フレキシブルチューブアセンブリ100に組付けられる。
【0031】
図1において、フレキシブルチューブアセンブリ100は、フレキシブルチューブ11と、フレキシブルチューブ11に組付けられた複数の部品を有する。図1に示すフレキシブルチューブアセンブリ100において、フレキシブルチューブ11は筒状のブレード101によって覆われている。ブレード101は、例えば、並列に配置されたワイヤの束を格子状に編成して構成されている。ブレード101の端部には、ブレード押さえ102が外装されている。フレキシブルチューブ11、ブレード101、及びブレード押さえ102は、ニップル103の一端が溶接部104によって連結される。ニップル103の他端には、継手構造12の近位側のテーパ付き内ねじ23に螺合できる大きさと形状のテーパ付き外ねじ105が形成されている。
【0032】
したがって、フレキシブルチューブアセンブリ100は、ニップル103のテーパ付き外ねじ105を継手構造12の近位側のテーパ付き内ねじ23に螺合して連結される。
【0033】
一方、継手構造12の遠位側には、別の配管接続部(図示せず)が接続される。実施形態1では、ニップル40の遠位側にはテーパ付き外ねじ51が形成されており、このテーパ付き外ねじ51が、配管接続部に形成された対応するテーパ付き内ねじ(図示せず)に螺合される。
【0034】
このようにして連結されたフレキシブルチューブアセンブリ100と継手構造12を含む配管構造によれば、それらの内側に1つに連続した流路が形成され、そこに流体が流される。このとき、流体に加わる圧力によって、継手構造12のプラグ20とニップル40にはそれらを互いに離そうとする力が作用するが、プラグ20とニップル40の外ねじ32,50に螺合したナット60によって、プラグ20とニップル40は保持される。
【0035】
[フレキシブルチューブの捻じれ吸収]
この状態で、例えば、フレキシブルチューブ11に、流路内を流れる流体の流量変化等によってフレキシブルチューブ11の中心軸を中心とする捻じれ力が作用した場合、フレキシブルチューブ11とフレキシブルチューブ11に連結された継手構造12のプラグ20が継手構造12のニップル40に対して中心軸18を中心に回転する。また、この回転により、ニップル40に対してプラグ20が中心軸18の方向に移動する。これにより、フレキシブルチューブ11や溶接部104に捻じれ力が作用することがない。そのため、フレキシブルチューブ11を捩じろうとする力が繰り返し発生しても、フレキシブルチューブ11や溶接部104に疲労破壊を生じることがない。
【0036】
[実施形態2の継手構造]
図5は、継手構造の実施形態2を示す。図示する継手構造212は、第1~第3の継手部材213,214,215で構成されている。
【0037】
[第1の継手部材213]
第1の継手部材213は、中空円筒形のプラグである。図6に示すように、プラグは、実施形態1のプラグと同じである。したがって、プラグ及びそれを構成する各部分は、実施形態1のプラグの対応部分に付した符号に200を足した符号を付し、プラグの構成に関する説明は省略する。
【0038】
[第2の継手部材214]
第2の継手部材214は、中空円筒状のソケット240である。図7に示すように、ソケット240は、中心軸241に沿って延在する円筒状の内腔242を有する。内腔242の近位側には、ソケット240の近位端から遠位側に向かって、中心軸241を中心とする内ねじ243が形成されている。内ねじ243のねじ径は、プラグ220の中間筒状部分228における外ねじ232のねじ径と同じである。
【0039】
内ねじ243の遠位側には、内ねじ243の近位端から遠位側に向かって、一定の内径を有する円筒内周面244が形成されている。円筒内周面244の内径は、プラグ220における第1の円筒部230の円筒外周面229の外径と同じ又はそれよりも僅かに大きい。円筒内周面244の内径は、内ねじ243のねじ径よりも小さく、円筒内周面244と内ねじ243との境界には段部245が形成されている。
【0040】
円筒内周面244の遠位側には、円筒内周面244に隣接して環状突出部246が形成されている。環状突出部246の内径は、円筒内周面244の内径よりも小さく、プラグ220の円筒内周面224と同じである。
【0041】
環状突出部246の遠位側には、環状突出部246の遠位端からソケット240の遠位端まで、中心軸241を中心とし、遠位端から近位端に向かって次第にねじ径が小さくなるテーパ付き内ねじ247が形成されている。
【0042】
[第3の継手部材215]
図5に示すように、第3の継手部材215は、弾性材料からなるOリング280である。Oリング280は、プラグ220の外周面に形成された環状溝231に装着できる大きさと形状を有する。
【0043】
[組み合わせ]
上述した第1~第3の継手部材は、以下のようにして組み合わされる。
【0044】
まず、Oリング280が、プラグ220の環状溝231に装着される。
【0045】
次に、Oリング280が装着されたプラグ220がソケット240と組み合わされる。このとき、プラグ220の遠位側の第1の円筒部230がソケット240の円筒内周面244に挿入され、プラグ220の中間筒状部分228の外ねじ232がソケット240の近位側内ねじ243に螺合される。
【0046】
これにより、プラグ220の第1の円筒部230(円筒外周面229)とソケット240の円筒内周面244との間がOリング280によってシールされる。また、プラグ220は、ソケット240に対して回転しながら、中心軸の方向に移動可能である。
【0047】
[フレキシブルチューブアセンブリへの組付け]
以上のようにして組み合わされた継手構造212は、実施形態1の継手構造12と同様にして、継手構造212の近位端において、フレキシブルチューブアセンブリ100に組付けられる。一方、継手構造212の遠位端のテーパ付き内ねじ247には、別の配管のテーパ付き外ねじが螺合されて接続される。
【0048】
このようにして連結されたフレキシブルチューブアセンブリ100と継手構造212を含む配管構造によれば、それらの内側に1つに連続した流路が形成され、そこに流体が流される。このとき、流体に加わる圧力によって、継手構造212のプラグ220とソケット240にはそれらを互いに離そうとする力が作用するが、プラグ220とソケット240は外ねじ232と内ねじ243と噛み合いによって、互いに連結された状態に保持される。
【0049】
[フレキシブルチューブの捻じれ吸収]
この状態で、例えば、フレキシブルチューブ11に、フレキシブルチューブ11の中心軸を中心とする捻じれ力が作用した場合、フレキシブルチューブ11とフレキシブルチューブ11に連結された継手構造212のプラグ220がソケット240に対して中心軸218を中心に回転する。これにより、フレキシブルチューブ11や溶接部104に捻じれ力が作用することがない。そのため、フレキシブルチューブ11を捩じろうとする力が繰り返し発生しても、フレキシブルチューブ11や溶接部104に疲労破壊を生じることがない。
【0050】
[その他の実施形態]
以上の説明では、フレキシブルチューブユニットは、フレキシブルチューブ、ブレード、ブレード押さえチューブ、及びニップルを含むものとしたが、フレキシブルチューブユニットの構造はそのような構成に限るものではない。
【0051】
以上の説明では、配管の一例としてフレキシブルチューブを示して実施形態を説明したが、本発明の継手構造はフレキシブルチューブ以外のチューブを備えた配管構造にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
10:配管設備
11:フレキシブルチューブ
12:継手構造(実施形態1)
13:第1の継手部材
14:第2の継手部材
15:第3の継手部材
16:第4の継手部材
17:第5の継手部材
20:プラグ(第1の継手部材)
29:円筒外周面
30:中空円筒部(第1の円筒部)
31:環状溝
32:外ねじ
40:ニップル(第2の継手部材)
43:円筒内周面
46:近位側筒状部分(第2のねじ部)
49:中空円筒部(第2の円筒部)
50:外ねじ
60:ナット(第3の継手部材)
63:内ねじ
70:Oリング
80:Cリング(規制手段)
100:フレキシブルチューブアセンブリ
【要約】      (修正有)
【課題】配管の捻じれを吸収する継手構造を提供する。
【解決手段】第4の継手部材16のシールリング70が第1の継手部材13の環状溝31に嵌められ、第1の継手部材の円筒外周面が第2の継手部材14の第2の円筒部49の円筒内周面に嵌められ、そして、第3の継手部材15の内ねじ63が、第1の継手部材の外ねじ32と第2の継手部材の外ねじ50に螺合される。これにより、第1の継手部材が、継手構造の中心軸を中心に、第2の継手部材に対して回転可能である。したがって、継手構造に接続された配管(例えば、フレキシブルチューブ)に捻じれが発生しても、その捻じれは第1の継手部材と第2の継手部材との相対的回転に吸収され、配管等に無理な力が作用することがない。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7