(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】電動機械器具用コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 24/58 20110101AFI20230310BHJP
H01R 39/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
H01R24/58
H01R39/00 G
(21)【出願番号】P 2022567816
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2022032084
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2021145238
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391040397
【氏名又は名称】エクセン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 三男
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 能雄
(72)【発明者】
【氏名】森 勇太
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-018731(JP,A)
【文献】特開2012-164474(JP,A)
【文献】特開2009-004111(JP,A)
【文献】特開2021-077477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 13/04
H01R 13/629
H01R 24/58
H01R 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の雄接触片と前記複数の雄接触片を保持する雄接触片保持部とを備えた雄コネクタと、複数の雌接触片と前記複数の雌接触片を保持する雌接触片保持部とを備えた雌コネクタとからなり、
前記雄接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凸部を備え、
前記複数の雄接触片は、前記凸部の外周壁に装着されて同心円状かつ先端側が前記凸部の中心方向に傾斜して配設され、
前記雌接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凹部を備え、
前記複数の雌接触片は、前記凹部の内周壁に装着されて同心円状かつ基端側が前記凹部の中心方向に傾斜して配設され、
前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部とが密嵌状態で接続されるようにし
て電動機械器具の内部配線を着脱可能に接続する電動機械器具用コネクタ装置であって、
前記雄コネクタ又は前記雌コネクタの何れか一方が第1ケーシングに、他方が第2ケーシングに装着され、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続することで前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続され、
少なくとも前記第1ケーシング又は前記第2ケーシングの何れか一方のケーシングに装着された雄コネクタ又は雌コネクタが、当該装着されたケーシングの内部において接続軸方向に移動可能とされ、
前記移動可能な雄コネクタ又は雌コネクタの後方には弾性体が配設され、
前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続した際に、前記弾性体が押圧された状態で前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続されるようにした、
電動機械器具用コネクタ装置。
【請求項2】
複数の雄接触片と前記複数の雄接触片を保持する雄接触片保持部とを備えた雄コネクタと、複数の雌接触片と前記複数の雌接触片を保持する雌接触片保持部とを備えた雌コネクタとからなり、
前記雄接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凸部を備え、
前記複数の雄接触片は、前記凸部の外周壁に装着されて同心円状かつ先端側が前記凸部の中心方向に傾斜して配設され、
前記雌接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凹部を備え、
前記複数の雌接触片は、前記凹部の内周壁に装着されて同心円状かつ基端側が前記凹部の中心方向に傾斜して配設され、
前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部とが密嵌状態で接続されるようにし
て電動機械器具の内部配線を着脱可能に接続する電動機械器具用コネクタ装置であって、
前記雄コネクタ又は前記雌コネクタの何れか一方が第1ケーシングに、他方が第2ケーシングに装着され、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続することで前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続され、
前記第1ケーシングに装着された雄コネクタ又は雌コネクタ及び前記第2ケーシングに装着された雌コネクタ又は雄コネクタの双方が、当該装着されたケーシングの内部において何れも接続軸方向に移動可能とされ、
前記移動可能な雄コネクタ及び雌コネクタの後方にはそれぞれ弾性体が配設され、
前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続した際に、前記弾性体が押圧された状態で前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続されるようにした、
電動機械器具用コネクタ装置。
【請求項3】
接続軸方向に移動可能に装着された雄コネクタ又は/及び雌コネクタがケーシング内で回転することを防止する回転防止機構を備えた、
請求項
1又は
2記載の電動機械器具用コネクタ装置。
【請求項4】
複数の雄接触片と前記複数の雄接触片を保持する雄接触片保持部とを備えた雄コネクタと、複数の雌接触片と前記複数の雌接触片を保持する雌接触片保持部とを備えた雌コネクタとからなり、
前記雄接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凸部を備え、
前記複数の雄接触片は、前記凸部の外周壁に装着されて同心円状かつ先端側が前記凸部の中心方向に傾斜して配設され、
前記雌接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凹部を備え、
前記複数の雌接触片は、前記凹部の内周壁に装着されて同心円状かつ基端側が前記凹部の中心方向に傾斜して配設され、
前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部とが密嵌状態で接続されるようにし
て電動機械器具の内部配線を着脱可能に接続する電動機械器具用コネクタ装置であって、
前記雄コネクタ又は前記雌コネクタの何れか一方が第1ケーシングに固着され、他方が第2ケーシングに摺動可能に嵌挿され、
前記第2ケーシングに嵌挿された雌コネクタ又は雄コネクタの後方には弾性素材からなるスペーサが配設され、
前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続することにより、前記スペーサが押圧された状態で前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続されるようにした、
電動機械器具用コネクタ装置。
【請求項5】
第2ケーシングに摺動可能に嵌挿される雌コネクタ又は雄コネクタが前記第2ケーシング内で回転することを防止する回転防止機構を備えた、
請求項
4記載の電動機械器具用コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、振動を発生する電動機械器具の内部配線接続に用いられるコネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートバイブレータのような振動を発生する電動機械器具にあっては、振動により内部配線の接触不良や破損等の故障が発生しないよう、配線の接続部を極力設けないようにしたり、複雑な構造を採用したりすることで耐振動性を実現しているものが多く、故障が発生した際などに容易にメンテナンスを行うことができなかった。
【0003】
この点、メンテナンス性を向上させるべく、内部配線を着脱可能に接続するコネクタ装置を用いたコンクリートバイブレータとして、実公平3-48864号公報に記載された発明が提案されている。
【0004】
実公平3-48864号公報に記載されたコネクタ装置は、筒状筐体内部に搭載された電動機ステータの後方に引き出された複数の受電側コードと外部電源に接続された電源側コードとを接続する構造において、先端にピン状の雄端子が接続された受電側コードを弾性素材からなるコードガイドに係合させて固定することで雄端子が所定位置に配設されるようにしてなる雄コネクタと、先端にピン状の雌端子が接続された電源側コードをターミナルストッパに係合させて固定することで雌端子が弾性素材からなるコードキャップ内の所定位置に配設されるようにしてなる雌コネクタとを用いることにより、雄端子と雌端子とを着脱可能に接続できるようにしたものである。
【0005】
そして、このコネクタ装置にあっては、雄コネクタの雄端子と雌コネクタの雌端子とを接続する際、電動機側に固定された雄コネクタの雄端子とコードキャップ内に配設された雌端子とを嵌合して雄コネクタと雌コネクタとを接続した後、ホース継手を電動機側の筒状筐体に螺合接続すると、弾性素材からなる雌コネクタのコードキャップが押圧されて周方向に弾性変形してホース継手内周面と密着するようになっており、これにより雌コネクタのコードキャップがホース継手内部において振動しないようにしてある。
【0006】
しかしながら、このコネクタ装置にあっては、雄端子と雌端子とが雌コネクタのコードキャップ内の中空部で接続される構造となっているので、雄雌端子による接続部そのものは振動の影響を受けやすく、接触不良を起こしたり、接続部同士が接触して短絡を起こしたりするおそれがある。特に、雌端子のコードキャップが弾性素材で構成されているため、雄雌コネクタの接続時に加わる押圧力によってコードキャップが内側(中空部)方向にも弾性変形してしまい、その結果、雄雌端子による接続部が中心方向に押されて互いに接触してしまう危険性が高い。
【0007】
また、雄コネクタと雌コネクタの接続時には、弾性素材からなるコードキャップが接続軸方向に加わる押圧力により周方向に弾性変形してホース継手の内周面と密着する構造となっているので、筒状筐体にホース継手を回転させて着脱する際、ホース継手内周面とコードキャップ外周面との摩擦によってコードキャップがホース継手と一緒に回転してしまい、雄雌端子による接続部に回転方向の負荷がかかって当該接続部が破損するおそれもある。
【0008】
さらには、この接続構造にあっては、構造が複雑で、分離作業、接続作業に手間がかかり、メンテナンス性が悪いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、耐振性・安全性に優れるとともに、分離・接続作業を容易に行うことができる電動機械器具用コネクタ装置を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の電動機械器具用コネクタ装置は、複数の雄接触片と前記複数の雄接触片を保持する雄接触片保持部とを備えた雄コネクタと、複数の雌接触片と前記複数の雌接触片を保持する雌接触片保持部とを備えた雌コネクタとからなり、前記雄接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凸部を備え、前記複数の雄接触片は、前記凸部の外周壁に装着されて同心円状かつ先端側が前記凸部の中心方向に傾斜して配設され、前記雌接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凹部を備え、前記複数の雌接触片は、前記凹部の内周壁に装着されて同心円状かつ基端側が前記凹部の中心方向に傾斜して配設され、前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部とが密嵌状態で接続されるようにして電動機械器具の内部配線を着脱可能に接続する電動機械器具用コネクタ装置であって、前記雄コネクタ又は前記雌コネクタの何れか一方が第1ケーシングに、他方が第2ケーシングに装着され、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続することで前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続され、少なくとも前記第1ケーシング又は前記第2ケーシングの何れか一方のケーシングに装着された雄コネクタ又は雌コネクタが、当該装着されたケーシングの内部において接続軸方向に移動可能とされ、前記移動可能な雄コネクタ又は雌コネクタの後方には弾性体が配設され、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続した際に、前記弾性体が押圧された状態で前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続されるようにして構成する。
【0012】
前記複数の凸部は、前記雄接触片保持部に同心円状の凸部が形成されるようにして設けられていればよく、例えば、一つの円柱状凸部を中心として同心円状に環状凸部を形成したり、直径の異なる同心円状の円柱状凸部を階段状に形成したりして設けることが考えられる。
【0013】
前記複数の凹部は、前記複数の凸部と嵌合可能な同心円状の凹部が形成されるように前記雌接触片保持部に設けられていればよく、例えば、一つの円陥部を中心として同心円状に環状凹部を形成したり、直径の異なる同心円状の円陥部を階段状に形成したりして設けることが考えられる。
【0014】
「前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部とが密嵌状態で接続され」とは、雄接触片と雌接触片とが密着した状態で前記雄接触片が装着された雄接触片保持部の凸部と前記雌接触片が装着された雌接触片保持部の凹部とが嵌まり合うことをいう。
【0015】
前記雄接触片保持部の凸部を階段状に突出させて設けるとともに、前記雌接触片保持部の凹部を階段状に陥没させて設けてもよい。
【0016】
前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部との接続部における雄雌接触片の接続軸方向接触長さについて、外側に配設された雄雌接触片の接続軸方向接触長さよりも、内側に配設された雄雌接触片の接続軸方向接触長さの方が長くなるようにしてもよい。
【0017】
前記弾性体には、ゴムやスプリングなどを用いることが考えられる。また、この発明において、「接続軸方向に移動可能」とは、雄コネクタと雌コネクタとが接続される方向において移動できることをいい、「雄コネクタ又は雌コネクタの後方」とは、他方のコネクタとの接続側(各々の接触片が装着された側)と反対側のことをいう。
【0018】
請求項2の発明は、前記第1ケーシングに装着された雄コネクタ又は雌コネクタ及び前記第2ケーシングに装着された雌コネクタ又は雄コネクタの双方を、当該装着されたケーシングの内部において何れも接続軸方向に移動可能とし、前記移動可能な雄コネクタ及び雌コネクタの後方にはそれぞれ弾性体を配設し、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続した際に、前記弾性体が押圧された状態で前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続されるようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、接続軸方向に移動可能に装着された雄コネクタ又は/及び雌コネクタがケーシング内で回転することを防止する回転防止機構を備えたことを特徴とする。前記回転防止機構は、例えば、接続軸方向に移動可能な雄コネクタ又は/及び雌コネクタの外周面に、軸方向に伸びる凸条や凹溝を形成するとともに、前記雄コネクタ又は雌コネクタが装着される第1ケーシング、又は/及び、前記雌コネクタ又は雄コネクタが装着される第2ケーシングに、この凸条や凹溝に嵌合可能な凹溝や凸条を形成して構成したり、接続軸方向に移動可能な雄コネクタ又は/及び雌コネクタの背面側に軸方向に伸びる突起や孔を形成するとともに、前記雄コネクタ又は雌コネクタが装着される第1ケーシング、又は/及び、前記雌コネクタ又雄コネクタが装着される第2ケーシングに、この突起や孔に嵌合可能な孔や突起を形成して構成したり、接続軸方向に移動可能な雄コネクタ又は/及び雌コネクタの断面形状を非真円形状とし、前記雄コネクタ又は雌コネクタが装着される第1ケーシング、又は/及び、前記雌コネクタ又は雄コネクタが装着される第2ケーシング、の内腔部を、断面非真円形状とした雄コネクタ又は/及び雌コネクタを摺動可能に嵌挿できる形状に形成して構成したりすることが考えられるが、これらに限られるものではない。要は、第1ケーシング内において接続軸方向に移動可能に装着された雄コネクタ又は雌コネクタ、又は/及び、第2ケーシング内において接続軸方向に移動可能に装着された雌コネクタ又は雄コネクタ、の接続軸方向における移動を阻害することなく周方向における回転を阻止できるように構成されていればよい。
【0020】
請求項4の発明は、複数の雄接触片と前記複数の雄接触片を保持する雄接触片保持部とを備えた雄コネクタと、複数の雌接触片と前記複数の雌接触片を保持する雌接触片保持部とを備えた雌コネクタとからなり、前記雄接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凸部を備え、前記複数の雄接触片は、前記凸部の外周壁に装着されて同心円状かつ先端側が前記凸部の中心方向に傾斜して配設され、前記雌接触片保持部は、同心円状に形成された複数の凹部を備え、前記複数の雌接触片は、前記凹部の内周壁に装着されて同心円状かつ基端側が前記凹部の中心方向に傾斜して配設され、前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部とが密嵌状態で接続されるようにして電動機械器具の内部配線を着脱可能に接続する電動機械器具用コネクタ装置であって、前記雄コネクタ又は雌コネクタの何れか一方を第1ケーシングに固着し、他方を第2ケーシングに摺動可能に嵌挿するとともに、前記第2ケーシングに嵌挿された雌コネクタ又は雄コネクタの後方に弾性素材からなるスペーサを配設し、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続することにより、前記スペーサが押圧された状態で前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続されるようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記第2ケーシングに摺動可能に嵌挿される雌コネクタ又は雄コネクタが前記第2ケーシング内で回転することを防止する回転防止機構を備えるものとしたことを特徴とする。前記回転防止機構は、例えば、第2ケーシングに摺動可能に嵌挿される雌コネクタ又は雄コネクタの外周面に軸方向に伸びる凸条や凹溝を形成するとともに、第2ケーシングにこの凸条や凹溝に嵌合可能な凹溝や凸条を形成して構成したり、第2ケーシングに摺動可能に嵌挿される雌コネクタ又は雄コネクタの断面形状を非真円形状とし、雌コネクタ又は雄コネクタが摺動可能に嵌挿される第2ケーシングの内腔部の形状を、断面非真円形状の雌コネクタ又は雄コネクタを摺動可能に嵌挿できる形状に形成して構成したりすることが考えられる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、雄コネクタは、複数の雄接触片と前記複数の雄接触片を保持する雄接触片保持部とを備え、前記雄接触片保持部は同心円状に形成された複数の凸部を有し、前記複数の雄接触片は前記凸部の外周壁に装着されて同心円状かつ先端側が前記凸部の中心方向に傾斜して配設するとともに、雌コネクタは、複数の雌接触片と前記複数の雌接触片を保持する雌接触片保持部とを備え、前記雌接触片保持部は同心円状に形成された複数の凹部を有し、前記複数の雌接触片は前記凹部の内周壁に装着されて同心円状かつ基端側が前記凹部の中心方向に傾斜して配設し、前記雄コネクタと前記雌コネクタとの接続時に前記雄接触片が装着された凸部と前記雌接触片が装着された凹部とが密嵌状態で接続されるようにしたので、前記雄接触片と前記雌接触片とが接続された状態において、前記雄接触片は雄接触片保持部に、前記雌接触片は雌接触片保持部によってそれぞれ保持され、前記雄接触片と前記雌接触片との接続部において周方向の空隙が生じることがなく、雄雌接触片による接続部が振動の影響を受けて接触不良を起こしたり、雄雌接触片による接続部同士が接触して短絡を起こしたりすることを確実に防止することができる。
【0023】
また、前記雄接触片と前記雌接触片は何れも同心円状に配設されているので、着脱する際に接触片が回転しても雄雌接触片による接続部に負荷がかかりにくく、接触片の回転に起因する接触不良や破損を防止することができる。このため、雄コネクタと雌コネクタとを着脱する際には、接続方向に直線的に差し込んだり引き抜いたりして着脱するだけでなく、雄コネクタと雌コネクタの何れか一方又は双方を回転させながら着脱することもできる。さらには、雄接触片は先端側が凸部中心方向に傾斜し、雌接触片は基端側が凹部中心方向に傾斜しているので、雄雌接触片の接続・分離をスムーズに行うことができるとともに、接続軸方向に付勢することで雄接触片と雌接触片とを確実に面接触させることができる。
【0024】
ここで、雄接触片保持部の凸部を階段状に突出させて設けるとともに、雌接触片保持部の凹部を階段状に陥没させて設けるものとすれば、雄接触片と雌接触片との接続部における強度が高まり、耐振動性を一層向上させることができる。すなわち、雄接触片が装着された凸部と雌接触片が装着された凹部とが階段状に嵌合して接続されるので、雄接触片と雌接触片とによる各接続部が接続軸方向においてずれた位置に配設されることとなり、接続部を折り曲げるような方向に加わる力に対する強度を高めることができる。また、雄接触片と雌接触片とによる各接続部が接続軸方向においてずれた位置に配設されるので、コネクタの外径を大きくしなくても各接続部間の距離を確保することができ、コネクタの小径化に有利である。加えて、雄接触片が装着された凸部と雌接触片が装着された凹部とを階段状に嵌合して接続しているので、電気的接触面積をより大きく確保することができる。
【0025】
また、雄接触片と雌接触片とによる接触面の接続軸方向長さは、外側に配設された雄雌接触片による接触面の接続軸方向長さよりも、内側に配設された雄雌接触片による接続軸方向長さの方が長くなるようにすれば、外側に配設された雄雌接触片による接触面の面積と内側に配設された雄雌接触片による接触面の面積との差を小さくして接触抵抗の差を小さくすることができる。
【0026】
そして、雄コネクタ又は雌コネクタの何れか一方を第1ケーシングに、他方を第2ケーシングに装着し、第1ケーシングと第2ケーシングとを接続することで雄コネクタと雌コネクタとが接続される電動機械器具用コネクタ装置であって、第1ケーシング又は第2ケーシングの少なくとも何れか一方のケーシングに装着された雄コネクタ又は雌コネクタについて、当該装着されたケーシングの内部において接続軸方向に移動可能とし、この移動可能な雄コネクタ又は雌コネクタの後方には弾性体を配設し、第1ケーシングと第2ケーシングとを接続した際に、弾性体が押圧された状態で雄コネクタと雌コネクタとが接続されるようにしたので、後方に弾性体が配設された側の雄コネクタ又は雌コネクタは、弾性体の弾性力によって背後から接続軸方向(他方のコネクタ側方向)に常時付勢されることとなる。これにより、振動が発生しても雄コネクタと雌コネクタの接続状態が弛むことはなく、常に接続状態が保持される。
【0027】
請求項2の発明によれば、雄コネクタ又は雌コネクタの何れか一方を第1ケーシングに、他方を第2ケーシングに装着し、第1ケーシングと第2ケーシングとを接続することで雄コネクタと雌コネクタとが接続される電動機械器具用コネクタ装置であって、前記第1ケーシングに装着された雄コネクタ又は雌コネクタ及び前記第2ケーシングに装着された雌コネクタ又は雄コネクタの双方について、当該装着された各ケーシングの内部において接続軸方向に移動可能とし、これら移動可能な雄コネクタ及び雌コネクタの後方にはそれぞれ弾性体を配設し、第1ケーシングと第2ケーシングとを接続した際に、弾性体が押圧された状態で雄コネクタと雌コネクタとが接続されるようにしたので、雄コネクタ及び雌コネクタは、それぞれ弾性体の弾性力によって背後から接続軸方向(他方のコネクタ側方向)に常時付勢される。これにより、振動が発生しても雄コネクタと雌コネクタの接続状態が弛むことはなく、常に接続状態が保持される。特に、この発明にあっては、雄コネクタと雌コネクタの双方が互いに接続軸方向(他方のコネクタ側方向)に付勢されているので、雄コネクタと雌コネクタとの接続状態をより強固なものとすることができる。
【0028】
請求項3の発明によれば、第1ケーシング内部において接続軸方向に移動可能な雄コネクタ又は雌コネクタ、又は/及び、第2ケーシングの内部において接続軸方向に移動可能な雌コネクタ又は雄コネクタ、がケーシング内で回転することを防止する回転防止機構を備えているので、接続軸方向に移動可能に装着された雄コネクタ又は/及び雌コネクタが、装着されたケーシングの内部で回転するおそれがない。このため、雄コネクタ又は/及び雌コネクタが接続軸方向に移動可能に装着されたケーシング内のコネクタに接続されている内部コードの捻れや、作動時の振動に伴うケーシング内のコネクタの連れ回りを防止することができる。
【0029】
請求項4の発明によれば、雄コネクタ又は雌コネクタの何れか一方を第1ケーシングに固着し、他方を第2ケーシングに摺動可能に嵌挿するとともに、前記第2ケーシングに嵌挿された雌コネクタ又は雄コネクタの後方には弾性素材からなるスペーサを配設し、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとを接続することにより、前記スペーサが押圧された状態で前記雄コネクタと前記雌コネクタとが接続されるようにしたので、第1ケーシングと第2ケーシングとを接続させた状態において、第2ケーシング内に嵌挿された雌コネクタ又は雄コネクタがスペーサの弾性力によって接続軸方向に常時付勢されることとなり、振動が発生しても雄コネクタと雌コネクタの接続状態を常に保持することができる。
【0030】
請求項5の発明によれば、第2ケーシングに摺動可能に嵌挿される雌コネクタ又は雄コネクタが前記第2ケーシング内で回転することを防止する回転防止機構を備えているので、第2ケーシングに摺動可能に嵌挿された雌コネクタ又は雄コネクタが第2ケーシング内で回転するおそれがない。このため、第2ケーシング内の雌コネクタ又は雄コネクタに接続された内部コードの捻れや、作動時の振動に伴う第2ケーシング内の雌コネクタ又は雄コネクタの連れ回りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】この発明の第1の
参考例の雄コネクタの概要を示す図
【
図4】この発明の第2の
参考例の雄コネクタの概要を示す図
【
図9】同じくコンクリートバイブレータの概要を示す図
【
図13】この発明の第
2の実施例の接続状態を示す図
【
図14】この発明の第
3の実施例の接続状態を示す図
【
図15】他の第1ケーシング、第2ケーシングの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1ないし
図3は、この発明の第1の
参考例の電動機械器具用コネクタ装置の概要を示す図である。
【0033】
図1は、雄コネクタ1の概要を示す図である。雄コネクタ1は、3つの雄接触片11a,11b,11cと、この雄接触片11a,11b,11cを保持する雄接触片保持部12とを備えている。雄接触片保持部12は、絶縁性の硬質合成樹脂素材で概ね円柱状に形成されており、その一側面側に雄接触片保持部12の中心軸を中心とする同心円状の凸段部12a,12b,12cが中心部に向かって徐々に高くなるように形成されている。この凸段部12a,12b,12cは、それぞれ雄接触片保持部12の中心軸方向に向かって僅かに傾斜した円錐台状に形成され、各凸段部の高さ(軸方向の長さ)は外側の凸段部12aから内側の凸段部12cにかけて次第に高くなるようにしてある(凸段部12aよりも凸段部12bが高く、凸段部12
bよりも凸段部12cが高くなっている。)。そして、凸段部12a,12b,12cの各外周壁には、導体で構成された雄接触片11a,11b,11cの円環部がそれぞれ外装されている。この雄接触片11a,11b,11cは、凸段部12a,12b,12cの外周壁の形状に従って、同心円状かつ先端側が凸段部12a,12b,12cの中心方向に僅かに傾斜した状態で配設されたものとなっている。雄接触片11a,11b,11cの円環部の高さ(軸方向の長さ)は、外側の雄接触片11aから内側の雄接触片11cにかけて次第に高くなるようにしてある(雄接触片11aよりも雄接触片11bが、雄接触片11bよりも雄接触片11cが、それぞれ高くなっている。)。また、雄接触片11a,11b,11cの基端側は雄接触片保持部12に形成された溝に嵌め込まれて固定され、それぞれリード線13a,13b,13cに接続されている。この
参考例において、雄接触片保持部12の外周形状は円形としてあるが、方形等種々の形状とすることもできる。
【0034】
図2は、雌コネクタ2の概要を示す図である。雌コネクタ2は、3つの雌接触片21a,21b,21cと、この雌接触片21a,21b,21cを保持する雌接触片保持部22とを備えている。雌接触片保持部22は、絶縁性の硬質合成樹脂素材を用い、雄コネクタ1の雄接触
片保持部12と同径の概ね円柱状に形成されており、その一側面側に雌接触片保持部22の中心軸を中心とする同心円状の凹段部22a,22b,22cが中心に向かって徐々に低くなるように形成されている。この凹段部22a,22b,22cは、それぞれ雌接触片保持部22の中心軸方向に向かって僅かに傾斜した円錐台状に形成され、凹段部22a,22b,22cの内周壁には、それぞれ導体で構成された雌接触片21a,21b,21cの円環部が外装される形で取り付けられている。雌接触片21a,21b,21cの円環部の高さ(軸方向の長さ)は、外側の雌接触片21aから内側の雌接触片21cにかけて次第に高くなるようにしてある(雌接触片21aよりも雌接触片21bが、雌接触片21bよりも雌接触片21cが、それぞれ高くなっている。)。この雌接触片21a,21b,21cは、凹段部22a,22b,22cの各内周壁の形状に従って、同心円状かつ基端側が凹段部22a,22b,22cの中心方向に僅かに傾斜した状態(傾斜角は雄接触片の傾斜角と同じ角度)で配設されている。また、雌接触片21a,21b,21cの基端側は、それぞれ雌接触片保持部22に形成された溝に嵌め込まれて固定され、リード線23a,23b,23cに接続されている。図中符号24は、この雌コネクタ2を第2ケーシングに摺動可能に嵌挿して用いる場合(第
1の実施例において説明)に、当該ケーシング内で雌コネクタ2が回転することを防止するための凸条である。この
参考例において、雌接触片保持部22の外周形状は円形としてあるが、方形等種々の形状とすることもできる。
【0035】
図3は、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを接続した状態を示す図である。雄コネクタ1と雌コネクタ2は上述したとおりに構成されているので、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを接続すると、
図3に示すように、雄接触片11a,11b,11cが取り付けられた雄コネクタ1の凸段部12a,12b,12cと、雌接触片21a,21b,21cが取り付けられた雌コネクタ2の凹段部22a,22b,22cとがそれぞれ密着した状態で嵌まり合うものとなる。このとき、雄接触片11aと雌接触
片21aとの接触状態は雄接触片保持部12の凸段部12aと雌接触片保持部22の凹段部22aとによって、雄接触片11bと雌接触
片21bとの接触状態は凸段部12bと凹段部22bとによって、雄接触片11cと雌接触
片21cとの接触状態は凸段部12cと凹段部22cとによってぞれぞれ保持されており、各雄雌接触片の周方向への動きを許容するような空隙が接続部に生じることはないので、接続部の周方向に生じる振動に対して強い耐振動性を得ることができる。
【0036】
また、雄接触片11aが取り付けられた凸段部12aと雌接触片21aが取り付けられた凹段部22aの接続部の位置と、雄接触片11bが取り付けられた凸段部12bと雌接触片21bが取り付けられた凹段部22bの接続部の位置と、雄接触片11cが取り付けられた凸段部12cと雌接触片21cが取り付けられた凹段部22cの接続部の位置とは、それぞれ接続軸方向においてずれた位置となっているので、脆弱部である雄雌接触片接続部が接続軸方向に分散されることとなる。これにより、雄コネクタ1と雌コネクタ2との接続部全体としての強度を高めることができ、耐振動性を一層向上させることができる。
【0037】
さらには、雄接触片11a,11b,11cは、同心円状かつ先端側が凸段部12a,12b,12cの中心方向に僅かに傾斜した状態で配設され、雌接触片21a,21b,21cは、同心円状かつ基端側が凹段部22a,22b,22cの中心方向に僅かに傾斜した状態(傾斜角は雄接触片の傾斜角と同じ角度)で配設されているので、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを接続軸方向に付勢することで、雄接触片11a,11b,11cと雌接触片21a,21b,21cとを確実に面接触させることができる。また、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを着脱する際、接続方向に直線的に差し込んだり引き抜いたりするだけでなく、何れか一方のコネクタ又は双方のコネクタを回転させながらスムーズに着脱することもできる。
【0038】
加えて、雄接触片11a,11b,11cの円環部の高さ(軸方向の長さ)は、外側の雄接触片11aから内側の雄接触片11cにかけて次第に高く(長く)なるようにするとともに、雌接触片21a,21b,21cの円環部の高さ(軸方向の長さ)は、外側の雌接触片21aから内側の雌接触片21cにかけて次第に高くなるようにしてあるので、各雄接触片と各雌接触片との接続軸方向における接触長さが、外側の雄接触片11aと雌接触片21aとによる接触長さLaよりも、その内側の雄接触片11bと雌接触片21bとによる接触長さLbの方を長く、雄接触片11bと雌接触片21bとによる接触長さLbよりも、さらにその内側の雄接触片11cと雌接触片21cとによる接触長さLcの方を長くすることができる。同心円状に配設された複数の雄雌接触片を用いて接続する場合、接触軸方向における雄雌接触片同士の接触長さを同じにすると、外側に配設された雄雌接触片同士の接触面積よりも、内側に配設された雄雌接触片同士の接触面積の方が小さくなって接触抵抗に差が生じてしまうところ、上記したように、接触軸方向における雄雌接触片同士の接触長さを、外側に配設された雄雌接触片による接触長さよりも、内側に配設された雄雌接触片による接触長さを長くすることで、外側に配設された雄雌接触片同士の接触面積と内側に配設された雄雌接触片同士の接触面積の差を小さくすることができ、これにより接触抵抗の差を小さくすることができる。
【0039】
図4ないし
図6は、この発明の第2の
参考例の電動機械器具用コネクタ装置の概要を示す図である。
【0040】
図4は、第2の
参考例における雄コネクタ1の概要を示す図である。第2の
参考例の雄コネクタ1も、第1の
参考例の雄コネクタ1と同様に、3つの雄接触片11a,11b,11cと、この雄接触片11a,11b,11cを保持する絶縁性の硬質合成樹脂素材で概ね円柱状に形成された雄接触片保持部12とを備えている。第2の
参考例の雄コネクタ1にあっては、雄接触片保持部12の一側面側に、円環状の凸段部12aと円柱状の凸段部12cとが雄接触片保持部12の中心軸を中心とした同心円状に形成されている。この凸段部12a,12cは、それぞれの周壁面が各凸段部の中心方向に向かって僅かに傾斜した断面略台形状に形成されている。そして、凸段部12aの外側の外周壁には雄接触片11aの円環部が、凸段部12aの内側の外周壁には雄接触片11bの円環部が、凸段部12cの外周壁には雄接触片11cの円環部が、それぞれ外装されている(雄接触片11a,11b,11cは何れも導体で構成。)。この雄接触片11a,11b,11cは、凸段部12a,12cの外周壁の形状に従って、同心円状かつ先端側が凸段部12a,12cの中心方向に僅かに傾斜した状態で配設されている。また、雄接触片11a,11b,11cの基端側は雄接触片保持部12に形成された溝に嵌め込まれて固定され、それぞれリード線13a,13b,13cに接続されている。この
参考例において、雄接触片保持部12の外周形状は円形としてあるが、方形等種々の形状とすることもできることは、第1の
参考例と同様である。
【0041】
図5は、第2の
参考例における雌コネクタ2の概要を示す図である。第2の
参考例の雌コネクタ2も、第1の
参考例の雌コネクタ2と同様に、3つの雌接触片21a,21b,21cと、この雌接触片21a,21b,21cを保持する雌接触片保持部22とを備えている。この雌接触片保持部22は、絶縁性の硬質合成樹脂素材を用い、雄コネクタ1の雄接触
片保持部12と同径の概ね円柱状に形成されている。そして、第2の
参考例の雌コネクタ2にあっては、雌接触片保持部22の一側面側に、円環状の凹段部22aと円柱状の凹段部
22cとが雌接触片保持部22の中心軸を中心とした同心円状に形成されている。この凹段部22a,22cは、それぞれの周壁面が各凹段部の中心方向に向かって僅かに傾斜した断面略台形状に形成されている。そして、凹段部22aの外側の内周壁には雌接触片21aの円環部が、凹段部22aの内側の内周壁には雌接触片21bの円環部が、凹段部22cの内周壁には雌接触片21cの円環部が、それぞれ外装されている(雌接触片21a,21b,21cは何れも導体で構成。)。この雌接触片21a,21b,21cは、凹段部22a,22cの内周壁の形状に従って、同心円状かつ基端側が凹段部22a,22cの中心方向に僅かに傾斜した状態(傾斜角は雄接触片の傾斜角と同じ角度)で配設されている。また、雌接触片21a,21b,21cの基端側は雌接触片保持部22に形成された溝に嵌め込まれて固定され、それぞれリード線23a,23b,23cに接続されている。図中符号24は、この雌コネクタ2を第2ケーシングに摺動可能に嵌挿して用いる場合に、当該ケーシング内で雌コネクタ2が回転することを防止するための凸条である。この
参考例において、雌接触片保持部
22の外周形状は円形としてあるが、方形等種々の形状とすることもできることは、第1の
参考例と同様である。
【0042】
図6は、第2の
参考例の雄コネクタ1と雌コネクタ2とを接続した状態を示す図である。第2の
参考例の雄コネクタ1と雌コネクタ2は上述したとおりに構成されているので、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを接続すると、
図6に示すように、雄接触片11a,11b,11cが取り付けられた雄コネクタ1の凸段部12a,12cと、雌接触片21a,21b,21cが取り付けられた雌コネクタ2の凹段部22a,22cとがそれぞれ密着した状態で嵌まり合うものとなる。このとき、雄接触片11aと雌接触
片21a及び雄接触片11bと雌接触
片21bとの接触状態は雄接触片保持部12の凸段部12aと雌接触片保持部22の凹段部22aとによって、雄接触片11cと雌接触
片21cとの接触状態は凸段部12cと凹段部22cとによってぞれぞれ保持されており、各雄雌接触片の周方向への動きを許容するような空隙が接続部には生じないので、接続部の周方向に生じる振動に対して強い耐振動性を得ることができる。
【0043】
また、雄接触片11a,11b,11cは、同心円状かつ先端側が凸段部12a,12cの中心方向に僅かに傾斜した状態で配設され、雌接触片21a,21cは、同心円状かつ基端側が凹段部22a,22cの中心方向に僅かに傾斜した状態(傾斜角は雄接触片の傾斜角と同じ角度)で配設されているので、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを接続軸方向に付勢することで、雄接触片11a,11b,11cと雌接触片21a,21b,21cとを確実に面接触させることができる。さらには、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを着脱する際、接続方向への直線的な抜き差しによる着脱だけでなく、何れか一方のコネクタ又は双方のコネクタを回転させてスムーズに着脱することもできる。
【0044】
図7ないし
図12は、この発明の第
1の実施例の電動機械器具用コネクタ装置の概要を示す図である。この実施例は、第1の
参考例の雄コネクタ1及び雌コネクタ2にそれぞれケーシングを装着して構成した実施例である。
【0045】
この実施例においては、雄コネクタ1又は雌コネクタ2が装着される第1ケーシングの一例としてコンクリートバイブレータの振動体ケーシング3を用い、第1ケーシングに雄コネクタ1が装着された場合には雌コネクタ2が、第1ケーシングに雌コネクタ2が装着された場合には雄コネクタ1が装着される第2ケーシングの一例としてホース継手4を用いるものとして説明する。
【0046】
第1ケーシングとしての振動体ケーシング3は、鉄製の円筒部材を用いて構成されており、その内部には、コンクリートバイブレータの振動発生源となる偏心錘5と、この偏心錘5を回転させるためのモーター6とが取り付けられている。雄コネクタ1は振動体ケーシング3の基端側に固着して取り付けられており、雄接触片11a,11b,11cに接続されたリード線13a,13b,13cが、それぞれモーター6のステータに接続されている。そして、雄コネクタ1が固着された振動体ケーシング3の基端側内面には、ホース継手4の接続部と螺合接続するためのネジ31が形成されている。
【0047】
第2ケーシングとしてのホース継手4は、振動体ケーシング3と同径の鉄製の円筒部材を用いて構成されており、一端側には振動体ケーシング3の基端側と螺合接続するためのネジ41が形成され、他端側にはホース7の内腔に嵌合して接続されるホース接続部42が設けられている。また、ホース継手4は、雌コネクタ2が摺動可能に嵌挿される径の内腔43を備えており、この内腔43はホース接続部42側において漏斗状に縮径されている。また、この内腔43には、雌コネクタ2の外周表面に形成された凸条24と嵌合可能な凹溝431が軸方向に沿って形成されている。そして、ホース継手4の内腔43には、ゴム製のスペーサ8を介して雌コネクタ2が軸方向に摺動可能に嵌挿されている。スペーサ8は内腔43のホース接続部側に嵌合可能な形状に形成され、雌接触片21a,21b,21cに接続されたリード線23a,23b,23cがその内部を通ってホース7側に引き出されている。また、雌コネクタ2は、雌コネクタ2の外周表面に形成された凸条24をホース継手4の内腔43に形成された凹溝431に嵌合させつつ内腔43に嵌挿させることにより、ホース継手4の軸方向にのみ摺動可能なものとしてホース継手4に装着されている。このため、雌コネクタ2がホース継手4の内腔43内で回転するおそれはない。このように、この実施例においては、雌コネクタ2の外周表面に形成された凸条24と、ホース継手4の内腔43に形成された凹溝431とで回転防止機構を構成してあるが、雌コネクタ2の雌接触片保持部22を略角柱状に形成して断面略方形となる外周形状とし、ホース継手4の内腔43を、この断面略方形状の雌接触片保持部22を摺動可能に嵌挿できる形状のものとして回転防止機構とすることもできる(図示は省略)。この場合には、凸条24と凹溝431を形成する必要はない。
【0048】
図8及び9は、第
1の実施例の電動機械器具用コネクタ装置を備えたコンクリートバイブレータの内部配線の接続状態を示す図である。この実施例にあっては、雄コネクタ1が固着された振動体ケーシング3を、雌コネクタ2が内腔43内を軸方向に摺動可能に装着されているホース継手4に螺合接続することによって、雄コネクタ1と雌コネクタ2とが接続されている。そして、ホース継手4の内腔43内の雌コネクタ2の後方には、ゴム製のスペーサ8が配設されているので、振動体ケーシング3とホース継手4とを螺合接続すると、振動体ケー
シング3に固着された雄コネクタ1が雌コネクタ2を軸方向に付勢し、雄コネクタ1に付勢された雌コネクタ2は後方に摺動してスペーサ8を付勢する。雌コネクタ2に付勢されたスペーサ8は内腔43の縮径部に行く手を阻まれているから、雌コネクタ2はスペーサ8の弾性力によって雄コネクタ1側に押し返されることとなる。このようにして雄コネクタ1と雌コネクタ2とは常時互いに押し合う方向に付勢されながら接続されることとなり、接続部における耐振動性を一層向上させることができる。雄コネクタ1と雌コネクタ2による接続部のその他の効果は、第1の
参考例のコネクタ装置によるものと同じである。
【0049】
図10及び
図11は、第
1の実施例の変形例の概要を示す図であり、雄コネクタ1と雌コネクタ2とが装着されるケーシングを入れ替えて構成したものである。すなわち、雌コネクタ2を第1ケーシングである振動体ケーシング3に固着し、雄コネクタ1を第2ケーシングであるホース継手4の内腔43に、ゴム製のスペーサ8を介して軸方向に摺動可能に嵌挿してある。この変形例にあっては、振動体ケーシング3に固着される雌コネクタ2の外周表面に凸条24は形成せず、ホース継手4に嵌挿される雄コネクタ1の外周表面に凸条14を形成してある。その他の構成は、上記第
1の実施例と同様である。この変形例にあっても、第
1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0050】
図12は、第
1の実施例の別の変形例を示す図であり、「ケーシングの内部において接続軸方向に移動可能な雄コネクタ又は雌コネクタの後方に配設される弾性体」として、ゴム製スペーサ8の代わりに鉄製のスプリング(圧縮コイルばね)81を用いて構成したものである。この変形例において、雌コネクタ2は、第2ケーシングであるホース継手4の内腔43内において、支持
部材9に支持された鉄製のスプリング81を介して軸方向に摺動可能に嵌挿されている。その他の構成は、第
1の実施例と同じである。
【0051】
この変形例にあっては、ホース継手4の内腔43内の雌コネクタ2の後方には、鉄製のスプリング81が配設されているので、振動体ケーシング3とホース継手4とを螺合接続すると、振動体ケーシング3に固着された雄コネクタ1が雌コネクタ2を軸方向に付勢し、雄コネクタ1に付勢された雌コネクタ2は後方に摺動してスプリング81を付勢する。雌コネクタ2に付勢されたスプリング81は支持部材9に支持されているから、雌コネクタ2はスプリング81の弾性力によって雄コネクタ1側に押し返される。このようにして雄コネクタ1と雌コネクタ2とは常時互いに押し合う方向に付勢されながら接続されるので、第1の実施例と同様に、接続部における耐振動性を向上させることができる。鉄製のスプリング81は、ゴム製のスペーサ8よりも耐久性に優れているから、「ケーシングの内部において接続軸方向に移動可能な雄コネクタ又は雌コネクタの後方に配設される弾性体」として鉄製スプリング81を用いた場合には、ゴム製スペーサ8を用いた場合よりも、耐久性を向上させることができる。その他の効果は、第1の実施例と同様である。
【0052】
図13は、第
2の実施例の概要を示す図である。第
1の実施例は、振動体ケーシング3(第1ケーシング)に雄コネクタ1を固着し、ホース継手4(第2ケーシング)の内部において接続軸方向に移動可能に装着される雌コネクタ2の後方に弾性体(ゴム製スペーサ8又はスプリング81)を配設して構成してあるが、この例とは逆に、ホース継手4(第2ケーシング)に雌コネクタ2を固着し、振動体ケーシング3(第1ケーシング)の内部において接続軸方向に移動可能に雄コネクタ1を装着し、この雄コネクタ1の後方に弾性体(スプリング又はゴム製スペーサ)を配設して構成した例である。
【0053】
この実施例にあっては、振動体ケーシング3に装着される雄コネクタ1の後方側の面(雌コネクタ2と接続される側と反対側の面)には円筒状の凹陥部15が形成されており、この凹陥部15に鉄製のスプリング(圧縮コイルばね)81が嵌挿されている。そして、振動体ケーシング3の支持部材9の孔と雄コネクタ1の凹陥部15に嵌挿されたスプリング81の内腔とに固定軸91を挿通させ、雄コネクタ1に固定軸9
1の先端を螺合させることによって、雄コネクタ1が振動体ケーシング3に取り付けられている。固定軸91は、
図13に示すように、雄コネクタ1が支持部材9と当接する程度に付勢された状態において固定軸91のフランジ911と支持部材9との間に一定程度の間隙Sが形成されるような長さのものとしてあるので、間隙2の長さ分だけ雄コネクタ1は軸方向に移動自在であり、固定軸91のフランジ911が支持部材9に当接しない状態(間隙Sが存在している状態)にあっては、雄コネクタ1は常にスプリング81の弾性力によって後方から雌コネクタ2との接続側方向に付勢されるようになっている。なお、この実施例において、雄コネクタ1を後方から接続軸方向に付勢する弾性体としてスプリング81を用いたが、これに代えて、円筒状のゴム製スペーサを用いるものとしてもよい。
【0054】
また、支持部材9の前方側の面(雄コネクタ1が装着される側の面)には突起92が、雄コネクタ1の後方側の面には突起92が挿入可能な突起挿入孔16がぞれぞれ形成されており、この突起92が突起挿入孔16に挿入された状態で雄コネクタ1が支持部材9に取り付けられることにより、雄コネクタ1が周方向に回転しないようになっている。ここで、突起92の長さは、間隙Sの長さよりも長くしてある。これは、スプリング81の弾性力によって雄コネクタ1が雌コネクタ2との接続側方向に最大限に移動した場合(固定軸91のフランジ911が支持部材9に当接した状態となった場合)でも、突起92が突起挿入孔16から抜けてしまわないようにするためである。これにより、雄コネクタ1の周方向における回転を確実に防止することができる。なお、この実施例において、突起92は支持部材9側に、突起挿入孔16は雄コネクタ1側に設けるものとしてあるが、突起92を雄コネクタ1側に、突起挿入孔16を支持部材9側に設けるものとしてもよい。
【0055】
他方、ホース継手4(第2ケーシング)の内腔43には雌コネクタ2が固着して取り付けられており、接続軸方向における移動はもちろん、周方向における回転もできないようになっている。図中符号Pは樹脂製のスペーサである。
【0056】
第2の実施例にあっては、振動体ケーシング3(第1ケーシング)内の雄コネクタ1の後方には、弾性体(スプリング又はゴム製スペーサ)が配設されているので、振動体ケーシング3とホース継手4とを螺合接続すると、ホース継手4に固着された雌コネクタ2が雄コネクタ1を軸方向に付勢し、雌コネクタ2に付勢された雄コネクタ1は後方に移動して弾性体(スプリング又はゴム製スペーサ)を付勢するが、弾性体(スプリング又はゴム製スペーサ)の弾性力によって雄コネクタ1は押し返されることになる。これにより、雄コネクタ1と雌コネクタ2とは常時互いに押し合う方向に付勢されながら接続されることとなるので、この例にあっても、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0057】
図14は、第
3の実施例の概要を示す図である。この実施例は、第
1の実施例における、雌コネクタ2が装着されるホース継手4(第2ケーシング)側の構成と、第
2の実施例における、雄コネクタ1が装着される振動体ケーシング3(第1ケーシング)側の構成とを組み合わせて構成したものである。雌コネクタ2が装着されるホース継手4(第2ケーシング)側の構成は第
1の実施例において、雄コネクタ1が装着される振動体ケーシング3(第1ケーシング)側の構成は第
2の実施例においてそれぞれ説明してあるので、それぞれの構成の説明は省略する。
【0058】
この実施例において、雄コネクタ1を後方から接続軸方向に付勢する弾性体としてスプリング81を、雌コネクタ2を後方から接続軸方向に付勢する弾性体としてゴム製スペーサ8をそれぞれ図示してあるが、雄コネクタ1の後方に配設する弾性体として円筒状のゴム製スペーサを用いてもよいし、雌コネクタ2の後方に配設する弾性体としてスプリングを用いてもよい。
【0059】
第3の実施例にあっては、振動体ケーシング3(第1ケーシング)に装着された雄コネクタ1と、ホース継手4(第2ケーシング)に装着された雌コネクタ2の双方が、それぞれ後方に配設された弾性体(スプリング81、スペーサ8)によって互いに接続軸方向(他方のコネクタ側方向)に付勢されているので、雄コネクタ1と雌コネクタ2との接続状態をより強固なものとすることができる。
【0060】
第1ないし第3の実施例の説明においては、第1の参考例の雄コネクタ1及び雌コネクタ2を用いたものとして説明したが、第1の参考例の雄コネクタ1及び雌コネクタ2に代わり、第2の参考例の雄コネクタ1及び雌コネクタ2を用いることもできることは言うまでもない。第1ないし第3の実施例において、第2の参考例の雄コネクタ1及び雌コネクタ2を用いた場合、スペーサ8又はスプリング81の働きにより接続部における耐振動性を一層向上させることができる効果は第1ないし第3の実施例の効果と同様であるが、雄コネクタ1と雌コネクタ2による接続部のその他の効果は、第2の参考例のコネクタ装置によるものと同じとなる。
【0061】
また、第
1ないし第
3の実施例においては、第1ケーシングの一例としてコンクリートバイブレータの振動体ケーシング3を、第2ケーシングの一例としてホース継手4をそれぞれ用いたものとして説明したが、第1ケーシング、第2ケーシングはこれらの例に限定されるものではなく、電動機械器具の内部配線接続に用いられるコネクタ装置のケーシングとして用いることができるものであれば、種々のケーシングを第1ケーシング、第2ケーシングとして用いることができる。例えば、
図15に示す例は、コンクリートバイブレータのホース継手4を第1ケーシングとして、スイッチケースSW側の継手Cを第2ケーシングとして用いた例である(リード線等の図示は省略してある。)。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明は、振動を発生する種々の電動機械器具の内部配線接続に用いられるコネクタ装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0063】
1 雄コネクタ
11a,11b,11c,(11n) 雄接触片
12 雄接触片保持部
12a,12b,12c,(12n) 凸段部
13a,13b,13c,(13n) リード線
14 凸条
15 凹陥部
16 突起挿入孔
2 雌コネクタ
21a,21b,21c,(21n) 雌接触片
22 雌接触片保持部
22a,22b,22c,(22n) 凹段部
23a,23b,23c,(23n) リード線
24 凸条
3 振動体ケーシング(第1ケーシング)
31 接続ネジ
4 ホース継手(第2ケーシング)
41 接続ネジ
42 ホース接続部
43 内腔
431 凹溝
5 偏心錘
6 モーター
7 ホース
8 スペーサ
81 スプリング
9 支持部材
91 固定軸
911 フランジ
92 突起
S 間隙
P 樹脂製スペーサ
C スイッチ継手
【要約】
この発明は、耐振性・安全性に優れるとともに、分離・接続作業を容易に行うことができる電動機械器具用コネクタ装置を得ることを課題とする。
この発明は、電動機械器具の内部配線を着脱可能に接続するコネクタ装置であって、複数の雄接触片11nと前記複数の雄接触片11nを保持する雄接触片保持部12とを備えた雄コネクタ1と、複数の雌接触片21nと前記複数の雌接触片21nを保持する雌接触片保持部22とを備えた雌コネクタ2とで構成され、前記雄接触片保持部12は同心円状に形成された複数の凸部12nを有し、前記複数の雄接触片11nは前記凸部12nの外周壁に装着されて同心円状かつ先端側が前記凸部12nの中心方向に傾斜して配設され、前記雌接触片保持部22は同心円状に形成された複数の凹部22nを有し、前記複数の雌接触片21nは前記凹部22nの内周壁に装着されて同心円状かつ基端側が前記凹部22nの中心方向に傾斜して配設され、前記雄接触片11nが装着された凸部12nと前記雌接触片21nが装着された凹部22nとが密嵌状態で接続されるようにして構成する。