(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】光合分波器、光サブアセンブリ及び光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/293 20060101AFI20230310BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G02B6/293 301
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2017242518
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 武
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0118243(US,A1)
【文献】特開2008-176125(JP,A)
【文献】特開2010-191231(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106526753(CN,A)
【文献】特開2008-134444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26- 6/34
G02B 6/42- 6/43
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数の信号光線を入力又は出力するための複数の光素子と、
前記複数の信号光線と多重化信号光線との間で変換を行うための光合分波器と、
を有し、
前記光合分波器は、相互に平行で対向する第1面及び第2面を有する光透過本体と、前記第1面に設けられた複数のビームスプリッタと、前記第1面に設けられた第1リフレクタと、前記第2面に設けられた第2リフレクタと、を有し、
前記光透過本体の内部で、前記複数のビームスプリッタ、前記第1リフレクタの複数の反射部及び前記第2リフレクタで反射する光が、前記第1面及び前記第2面の間で伝搬し、
前記光透過本体は、前記複数の信号光線をそれぞれ入力又は出力するための、第1グループの第1入出力部及び第2グループの第1入出力部を含む複数の第1入出力部を前記第1面に有し、
前記複数の反射部は、前記第1グループ及び前記第2グループの隣接する第1入出力部の間に位置し、
前記第1リフレクタは、前記複数の反射部にわたって前記第1面で連続一体的になっており、
前記光透過本体は、前記多重化信号光線を入力又は出力するための第2入出力部を前記第2面に有し、
前記複数のビームスプリッタのそれぞれは、前記複数の第1入出力部の対応する1つに位置して、前記複数の信号光線の対応する1つを透過し、
前記第1リフレクタは、前記複数の第1入出力部のいずれをも避けて位置
し、
前記複数の反射部の隣同士のピッチと、前記第1グループの第1入出力部の隣同士のピッチは等しいことを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の光サブアセンブリであって、
前記複数のビームスプリッタは、光学フィルタであり、
前記第1リフレクタ及び前記第2リフレクタは、反射膜であることを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光サブアセンブリであって、
前記複数の反射部の1つ及び前記第1グループの第1入出力部の1つのピッチと、前記第1グループの
前記第1入出力部の
前記隣同士のピッチは等しいことを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の光サブアセンブリであって、
前記複数の光素子は、複数セットに分けられ、前記複数セットのそれぞれに前記複数の光素子の一群が含まれ、
隣同士の前記セットで最も近い前記光素子同士の間隔は、前記複数セットのそれぞれを構成する前記一群の光素子の隣同士の間隔よりも大きいことを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項5】
請求項
4に記載の光サブアセンブリであって、
前記複数セットのそれぞれを構成する前記一群の光素子は、一体的に集積されたアレイ素子であることを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項6】
請求項
5に記載の光サブアセンブリであって、
前記アレイ素子は、前記一群の光素子を搭載するサブマウントを有することを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項7】
請求項
5又は
6に記載の光サブアセンブリであって、
複数の集積回路をさらに有し、
前記複数の集積回路のそれぞれは、前記複数セットの対応する1つを構成する前記一群の光素子に接続されていることを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の光サブアセンブリであって、
前記複数の光素子のそれぞれと前記複数の第1入出力部の対応する1つとの間に位置するレンズをさらに有することを特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項9】
複数の光サブアセンブリを有し、
前記複数の光サブアセンブリの少なくとも1つは、請求項1から
8のいずれか1項に記載の光サブアセンブリであることを特徴とする光モジュール。
【請求項10】
複数の信号光線と多重化信号光線との間で変換を行うための光合分波器であって、
前記光合分波器は、相互に平行で対向する第1面及び第2面を有する光透過本体と、前記第1面に設けられた複数のビームスプリッタと、前記第1面に設けられた第1リフレクタと、前記第2面に設けられた第2リフレクタと、を有し、
前記光透過本体の内部で、前記複数のビームスプリッタ、前記第1リフレクタの複数の反射部及び前記第2リフレクタで反射する光が、前記第1面及び前記第2面の間で伝搬し、
前記光透過本体は、前記複数の信号光線をそれぞれ入力又は出力するための、第1グループの第1入出力部及び第2グループの第1入出力部を含む複数の第1入出力部を前記第1面に有し、
前記複数の反射部は、前記第1グループ及び前記第2グループの隣接する第1入出力部の間に位置し、
前記第1リフレクタは、前記複数の反射部にわたって前記第1面で連続一体的になっており、
前記光透過本体は、前記多重化信号光線を入力又は出力するための第2入出力部を前記第2面に有し、
前記複数のビームスプリッタのそれぞれは、前記複数の第1入出力部の対応する1つに位置して、前記複数の信号光線の対応する1つを透過し、
前記第1リフレクタは、前記複数の第1入出力部のいずれをも避けて位置
し、
前記複数の反射部の隣同士のピッチと、前記第1グループの第1入出力部の隣同士のピッチは等しいことを特徴とする光合分波器。
【請求項11】
請求項
10に記載の光合分波器であって、
前記複数のビームスプリッタは、光学フィルタであり、
前記第1リフレクタ及び前記第2リフレクタは、反射膜であることを特徴とする光合分波器。
【請求項12】
請求項
10又は
11に記載の光合分波器であって、
前記複数の反射部の1つ及び前記第1グループの第1入出力部の1つのピッチと、前記第1グループの
前記第1入出力部の
前記隣同士のピッチは等しいことを特徴とする光合分波器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合分波器、光サブアセンブリ及び光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の波長の信号光を一つに束ねて送受信するWDM(Wavelength Division Multiplexing)を用いた通信技術が知られている。WDM用の光送信サブアセンブリ(TOSA)及び受信サブアセンブリ(ROSA)は、マルチプレクサ(MUX)又はデマルチプレクサ(DEMUX)によって信号光を合波又は分波するようになっている(特許文献1及び2)。MUX/DEMUXは、信号光の入出射側には反射鏡を有し、光素子側には光の一部を透過し一部を反射する波長フィルタを有し、両者間で光が複数回反射することで、光の合波又は分波が行われる。
【0003】
複数チャネル向けの光サブアセンブリ(TOSA、ROSA)は小型化が要求されており、複数チャネルの光素子が一体的に集積されたアレイ素子を使うことが望まれている。また光素子に接続される集積回路(例えばROSAにはアンプ)も複数チャネルに対応したものが使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-95843号公報
【文献】特開2015-96878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数チャネルに対応した光素子アレイや集積回路において、より多くのチャネル(例えば8チャネル)などに対応させる場合、各部品の歩留りが問題となる。複数チャネルに対応した部品は1チャネルでの特性が未達の場合は使用することができず、製造歩留りの低下が避けられない。チャネル数が多くなればなるほど歩留りは低下し、最終的には部品単価の増大を招く。部品の製造歩留りを高くするためには、複数チャネルを一体的に集積しないで、一つずつ個別に用意する手段もある。複数チャネルと比べると歩留りは高くなるが、各部品を個別に用意する場合は、全体サイズの大型化、部品点数が多くなるために製造コストが増大する、という課題がある。
【0006】
本発明は、歩留りの低下又は製造コストの増大を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る光サブアセンブリは、波長の異なる複数の信号光線を入力又は出力するための複数の光素子と、前記複数の信号光線と多重化信号光線との間で変換を行うための光合分波器と、を有し、前記光合分波器は、相互に平行で対向する第1面及び第2面を有する光透過本体と、前記第1面に設けられた複数のビームスプリッタと、前記複数のビームスプリッタの間に位置するように前記第1面に設けられた第1リフレクタと、前記第2面に設けられた第2リフレクタと、を有し、前記光透過本体の内部で、前記複数のビームスプリッタ、前記第1リフレクタ及び前記第2リフレクタで反射する光が、前記第1面及び前記第2面の間で伝搬し、前記光透過本体は、前記複数の信号光線をそれぞれ入力又は出力するための複数の第1入出力部を前記第1面に有し、前記多重化信号光線を入力又は出力するための第2入出力部を前記第2面に有し、前記複数のビームスプリッタのそれぞれは、前記複数の第1入出力部の対応する1つに位置して、前記複数の信号光線の対応する1つを透過し、前記第1リフレクタは、前記複数の第1入出力部のいずれをも避けて位置することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、複数のビームスプリッタの間に第1リフレクタがあるので、第1リフレクタに対向する位置に光素子を設けなくてもよい。そのため、一群の光素子を集積された状態で配置することが可能になり、歩留りの低下又は製造コストの増大を抑えることができる。
【0009】
(2)(1)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記複数のビームスプリッタは、光学フィルタであり、前記第1リフレクタ及び前記第2リフレクタは、反射膜であることを特徴としてもよい。
【0010】
(3)(1)又は(2)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記複数の第1入出力部は、複数のグループに分けられ、前記複数のグループのそれぞれに前記複数の第1入出力部の一群が含まれ、隣同士の前記グループで最も近い前記第1入出力部同士のピッチは、前記複数のグループのそれぞれを構成する前記一群の第1入出力部の隣同士のピッチよりも大きく、前記光透過本体は、隣同士の前記グループの間に、非入出力部を有し、前記第1リフレクタは、前記非入出力部に位置し、前記非入出力部及び隣の前記第1入出力部のピッチと、前記複数のグループのそれぞれを構成する前記一群の第1入出力部の隣同士のピッチは等しいことを特徴としてもよい。
【0011】
(4)(3)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記非入出力部は、複数の非入出力部を含み、前記複数の非入出力部のそれぞれに前記第1リフレクタが位置し、前記複数の非入出力部の隣同士のピッチと、前記複数のグループのそれぞれを構成する前記一群の第1入出力部の隣同士のピッチは等しいことを特徴としてもよい。
【0012】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載の光サブアセンブリにおいて、前記複数の光素子は、複数セットに分けられ、前記複数セットのそれぞれに前記複数の光素子の一群が含まれ、隣同士の前記セットで最も近い前記光素子同士の間隔は、前記複数セットのそれぞれを構成する前記一群の光素子の隣同士の間隔よりも大きいことを特徴としてもよい。
【0013】
(6)(5)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記複数セットのそれぞれを構成する前記一群の光素子は、一体的に集積されたアレイ素子であることを特徴としてもよい。
【0014】
(7)(6)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記アレイ素子は、前記一群の光素子を搭載するサブマウントを有することを特徴としてもよい。
【0015】
(8)(6)又は(7)に記載の光サブアセンブリにおいて、複数の集積回路をさらに有し、前記複数の集積回路のそれぞれは、前記複数セットの対応する1つを構成する前記一群の光素子に接続されていることを特徴としてもよい。
【0016】
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載の光サブアセンブリにおいて、前記複数の光素子のそれぞれと前記複数の第1入出力部の対応する1つとの間に位置するレンズをさらに有することを特徴としてもよい。
【0017】
(10)本発明に係る光モジュールは、複数の光サブアセンブリを有し、前記複数の光サブアセンブリの少なくとも1つは、(1)から(9)のいずれか1項に記載の光サブアセンブリであることを特徴とする。
【0018】
(11)本発明に係る光合分波器は、複数の信号光線と多重化信号光線との間で変換を行うための光合分波器であって、前記光合分波器は、相互に平行で対向する第1面及び第2面を有する光透過本体と、前記第1面に設けられた複数のビームスプリッタと、前記複数のビームスプリッタの間に位置するように前記第1面に設けられた第1リフレクタと、前記第2面に設けられた第2リフレクタと、を有し、前記光透過本体の内部で、前記複数のビームスプリッタ、前記第1リフレクタ及び前記第2リフレクタで反射する光が、前記第1面及び前記第2面の間で伝搬し、前記光透過本体は、前記複数の信号光線をそれぞれ入力又は出力するための複数の第1入出力部を前記第1面に有し、前記多重化信号光線を入力又は出力するための第2入出力部を前記第2面に有し、前記複数のビームスプリッタのそれぞれは、前記複数の第1入出力部の対応する1つに位置して、前記複数の信号光線の対応する1つを透過し、前記第1リフレクタは、前記複数の第1入出力部のいずれをも避けて位置することを特徴とする。
【0019】
(12)(11)に記載の光合分波器において、前記複数のビームスプリッタは、光学フィルタであり、前記第1リフレクタ及び前記第2リフレクタは、反射膜であることを特徴としてもよい。
【0020】
(13)(11)又は(12)に記載の光合分波器において、前記複数の第1入出力部は、複数グループに分けられ、前記複数グループのそれぞれに前記複数の第1入出力部の一群が含まれ、隣同士の前記グループで最も近い前記第1入出力部同士のピッチは、前記複数グループのそれぞれを構成する前記一群の第1入出力部の隣同士のピッチよりも大きく、前記光透過本体は、隣同士の前記グループの間に、非入出力部を有し、前記第1リフレクタは、前記非入出力部に位置し、前記非入出力部及び隣の前記第1入出力部のピッチと、前記複数のグループのそれぞれを構成する前記一群の第1入出力部の隣同士のピッチは等しいことを特徴としてもよい。
【0021】
(14)(13)に記載の光合分波器において、前記非入出力部は、複数の非入出力部を含み、前記複数の非入出力部のそれぞれに前記第1リフレクタが位置し、前記複数の非入出力部の隣同士のピッチと、前記複数のグループのそれぞれを構成する前記一群の第1入出力部の隣同士のピッチは等しいことを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明を適用した第1の実施形態に係る光モジュールの外観図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光モジュールが装着された光伝送装置の構成を示す模式図である。
【
図3】光サブアセンブリ、プリント基板及びフレキシブル基板を示す概略図である。
【
図4】光受信サブアセンブリとしての光サブアセンブリを示す図である。
【
図5】光送信サブアセンブリとしての光サブアセンブリを示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係る光サブアセンブリを示す概要図である。
【
図7】第3の実施形態に係る光サブアセンブリを示す概要図である。
【
図8】
図7に示す光サブアセンブリに含まれる一群の光素子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る光モジュール10の外観図である。光モジュール10は、ビットレートが100Gbit/s級の、送信機能及び受信機能を有する光送受信機(光トランシーバ)であり、QSFP28(Quad Small Form-factor Pluggable 28)のMSA(Multi-Source Agreement)規格に基づいている。光モジュール10は、ケース12と、プルタブ14と、スライダ16と、を含む部品で外形が構成される。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る光モジュール10が装着された光伝送装置18の構成を示す模式図である。光伝送装置18に、複数の光モジュール10が、電気コネクタ20によりそれぞれ装着されている。光伝送装置18は、例えば、大容量のルータやスイッチである。光伝送装置18は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。光伝送装置18は、光モジュール10より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、回路基板22に搭載されるドライバIC(集積回路)24などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、該当する光モジュール10へそのデータを伝達する。
【0026】
光モジュール10は、プリント基板26と、フレキシブル基板28と、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための複数の光サブアセンブリ30と、を備えている。複数の光サブアセンブリ30は、光送信機能を有する光送信サブアセンブリ(TOSA:Transmitter Optical SubAssembly)、光受信機能を有する光受信サブアセンブリ(ROSA:Receiver Optical SubAssembly)及び光送受信機能を有する双方向サブアセンブリ(BOSA:Bi-directional Optical SubAssembly)のいずれかを含む。
【0027】
プリント基板26は、柔軟性の無いリジッド基板である。プリント基板26と複数の光サブアセンブリ30とは、フレキシブル基板28を介して接続されている。光サブアセンブリ30Aから電気信号がフレキシブル基板28を介してプリント基板26へ伝送される。また、プリント基板26から電気信号がフレキシブル基板28を介して光サブアセンブリ30Bへ伝送される。光サブアセンブリ30が有する光変換素子は、光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する素子である。電気信号を光信号へ変換する光変換素子が発光素子であり、光信号を電気信号へ変換する光変換素子が受光素子である。光サブアセンブリ30は、発光素子及び受光素子の少なくとも一方(例えば両方)を含んでいる。光信号の入出力のために、光サブアセンブリ30には光ファイバ32が接続されている。
【0028】
図3は、光サブアセンブリ30、プリント基板26及びフレキシブル基板28を示す概略図である。光サブアセンブリ30は、フレキシブル基板28の一方の端部に接続されている。フレキシブル基板28の他方の端部は、プリント基板26に重なって電気的に接続されている。
【0029】
図4は、光受信サブアセンブリとしての光サブアセンブリ30Aを示す図である。光サブアセンブリ30Aは、波長λ1~λ4の異なる複数の信号光線LSを入力するための複数の光素子34Aを有する。光素子34Aは受光素子である。複数の光素子34Aは、複数セットSに分けられる。各セットSに一群の光素子34Aが含まれる。隣同士のセットSで最も近い光素子34A同士の間隔D1は、各セットSを構成する一群の光素子34Aの隣同士の間隔D2よりも大きい。
【0030】
光サブアセンブリ30Aは、多重化信号光線LMを複数の信号光線LSに分波するための光合分波器36を有する。多重化信号光線LMとは、複数の異なる波長が束ねられた光線である。光合分波器36は光透過本体38を有する。光透過本体38は、相互に平行で対向する第1面40及び第2面42を有する。光透過本体38は、複数の信号光線LSをそれぞれ出力するための複数の第1入出力部44を第1面40に有する。
【0031】
第1面40には、複数のビームスプリッタ46が設けられている。複数のビームスプリッタ46は、それぞれ、異なる波長λ1~λ4の光を通す光学フィルタであり、例えば絶縁膜などにより構成される。複数のビームスプリッタ46のそれぞれは、複数の信号光線LSの対応する1つを透過し、それ以外を反射する。それぞれのビームスプリッタ46は、複数の信号光線LSの進行方向において、それよりも下流側のビームスプリッタ46を通る信号光線LSも反射する。だだし、それぞれのビームスプリッタ46は、複数の信号光線LSの進行方向においてそれよりも上流側のビームスプリッタ46ですでに透過した信号光線LSは、入射してこないので反射しない特性を有していてもよい。複数のビームスプリッタ46のそれぞれは、複数の第1入出力部44の対応する1つに位置する。なお、分波により最後に残る信号光線LSが出力される第1入出力部44に設けられるビームスプリッタ46aは省略してもよい。
【0032】
第1面40には、複数のビームスプリッタ46の間に位置するように第1リフレクタ48が設けられている。つまり、第1リフレクタ48の両側のそれぞれには、少なくとも1つビームスプリッタ46が配置されている。第1リフレクタ48は、反射膜であるが、入射する光を全て反射するのであれば、入射しない光を透過するビームスプリッタであってもよい。例えば、第1リフレクタ48よりも複数の信号光線LSの進行方向で上流側(
図4で左側)のビームスプリッタ46を連続的に延長させて、これを第1リフレクタ48として使用してもよい。第1リフレクタ48は、複数の第1入出力部44のいずれをも避けて位置する。第1リフレクタ48は、いずれの信号光線LSも入出力しない非入出力部50に位置する。第1リフレクタ48に入射した信号光線LS(すでにビームスプリッタ46を透過した信号光線LSを除く)は、第1リフレクタ48で全て反射する。第1リフレクタ48は、複数の信号光線LSの全てを反射する性質を有していてもよい。
【0033】
光透過本体38は、多重化信号光線LMを入力するための第2入出力部52を第2面42に有する。第2面42には、第2リフレクタ54が設けられている。第2リフレクタ54は、複数の信号光線LSを反射する。第2リフレクタ54は、反射膜である。光透過本体38の内部で、複数のビームスプリッタ46、第1リフレクタ48及び第2リフレクタ54で反射する信号光線LSが、第1面40及び第2面42の間で伝搬する。
【0034】
複数の第1入出力部44は、複数のグループGに分けられる。各グループGに一群の第1入出力部44が含まれる。隣同士のグループGで最も近い第1入出力部44同士のピッチP1は、各グループGを構成する一群の第1入出力部44の隣同士のピッチP2よりも大きい。光透過本体38は、隣同士のグループGの間に、非入出力部50を有する。非入出力部50及び隣の第1入出力部44のピッチP3と、各グループGを構成する一群の第1入出力部44の隣同士のピッチP2は等しい。
【0035】
本実施形態によれば、複数のビームスプリッタ46の間に第1リフレクタ48があるので、第1リフレクタ48に対向する位置には光素子34Aを設けなくてもよく、スペースに余裕がある。そのため、各セットSを構成する一群の光素子34Aを集積された状態で配置することが可能になり、歩留りの低下又は製造コストの増大を抑えることができる。
【0036】
図5は、光送信サブアセンブリとしての光サブアセンブリ30Bを示す図である。光サブアセンブリ30Bは、波長λ1~λ4の異なる複数の信号光線LSを出力するための複数の光素子34Bを有する。光素子34Bは、発光素子である点を除き、
図4に示す光素子34A(受光素子)の内容が該当する。
【0037】
光サブアセンブリ30Bは、複数の信号光線LSを多重化信号光線LMに合波するための光合分波器36を有する。光透過本体38は、複数の信号光線LSをそれぞれ入力するための複数の第1入出力部44を第1面40に有する。光透過本体38は、多重化信号光線LMを出力するための第2入出力部52を第2面42に有する。光透過本体38は、複数の信号光線LS及び多重化信号光線LMの進行方向が反対である点を除き、
図4に示す光透過本体38の内容が該当する。
【0038】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る光サブアセンブリ230を示す概要図である。本実施形態では、各セットSを構成する一群の光素子234は、一体的に集積されたアレイ素子である。一群の光素子234はサブマウント256に搭載されている。また、複数のサブマウント256が支持部材258に搭載されている。支持部材258は、図示しない熱電クーラー(Thermoelectric Cooler:TEC)で温調されてもよい。支持部材258には、複数のレンズ260が設けられている。レンズ260は、光素子234と第1入出力部244との間に位置する。複数のレンズ260は、一体化したレンズアレイであってもよい。複数の第1リフレクタ248は、それぞれ、対応する信号光線LSの波長λ1~λ8に応じて特性が異なるので、複数の光透過性チップ262(例えばガラス基板)にそれぞれ形成(例えば蒸着又はスパッタリング)して用意する。そして、光透過性チップ262は、第1リフレクタ248側を光透過本体238に向けて、光透過本体238に貼り付けられる。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。本構成により、8個の集積されたアレイ素子ではなく4個の集積されたアレイ素子を2セット使うこととなり、光素子の製造歩留りの低下の影響を抑制できる。またそれぞれが別体の8個の光素子ではないために、部品点数の低減などの効果が得られる。なお、本実施形態では8個の光素子を2セットに分けた例であったが、これに限定されず4セットに分けても同様の効果が得られる。さらに8個以上の光素子であっても適用可能であることは言うまでもない。
【0039】
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態に係る光サブアセンブリ330を示す概要図である。本実施形態では、光透過本体338の第1面340に複数の非入出力部350がある。複数の非入出力部350のそれぞれに第1リフレクタ348が位置する。第1リフレクタ348は、複数の非入出力部350にわたって連続一体的になっている。第1リフレクタ348で、信号光線LSは複数回反射する。複数の非入出力部350の隣同士のピッチP4と、複数のグループGのそれぞれを構成する一群の第1入出力部344の隣同士のピッチP5は等しい。最も離れた非入出力部350のピッチP6は、ピッチP4又はピッチP5の整数倍である。
【0040】
図8は、
図7に示す光サブアセンブリ330に含まれる一群の光素子334を示す斜視図である。光素子334は、個別に分離されたチップである。基板364の上面に集積回路370が搭載され、基板364の側端面にキャリア372が縦に取り付けられ、キャリア372に一群の光素子334が搭載されている。光サブアセンブリ330は、複数の集積回路370を有する。複数の集積回路370のそれぞれは、各セットSを構成する一群の光素子334に接続されている。
【0041】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 光モジュール、12 ケース、14 プルタブ、16 スライダ、18 光伝送装置、20 電気コネクタ、22 回路基板、24 ドライバIC、26 プリント基板、28 フレキシブル基板、30 光サブアセンブリ、30A 光サブアセンブリ、30B 光サブアセンブリ、32 光ファイバ、34A 光素子、34B 光素子、36 光合分波器、38 光透過本体、40 第1面、42 第2面、44 第1入出力部、46 ビームスプリッタ、46a ビームスプリッタ、48 第1リフレクタ、50 非入出力部、52 第2入出力部、54 第2リフレクタ、56 サブマウント、230 光サブアセンブリ、234 光素子、238 光透過本体、244 第1入出力部、248 第1リフレクタ、256 サブマウント、258 支持部材、260 レンズ、262 光透過性チップ、330 光サブアセンブリ、334 光素子、338 光透過本体、340 第1面、348 第1リフレクタ、350 非入出力部、364 基板、370 集積回路、372 キャリア、D1 間隔、D2 間隔、G グループ、LM 多重化信号光線、LS 信号光線、P1 ピッチ、P2 ピッチ、P3 ピッチ、P4 ピッチ、P5 ピッチ、P6 ピッチ、S セット。