IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図1
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図2
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図3
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図4
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図5
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図6
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図7
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図8
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図9
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図10
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図11
  • 特許-物品取付具、及び貼り付け方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】物品取付具、及び貼り付け方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20230310BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20230310BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20230310BHJP
   F16B 47/00 20060101ALI20230310BHJP
   B32B 3/14 20060101ALI20230310BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
A47G29/00 E
F16B45/00 Z
C09J183/04
F16B47/00 V
B32B3/14
B32B27/00 M
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018029629
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019141387
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】根本 勝理
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 愛三
(72)【発明者】
【氏名】山田 健史
(72)【発明者】
【氏名】谷口 絵美
(72)【発明者】
【氏名】松岡 宏行
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】川崎 真吾
(72)【発明者】
【氏名】高野 秀城
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0001946(KR,U)
【文献】登録実用新案第3110178(JP,U)
【文献】国際公開第2017/119438(WO,A1)
【文献】特表2003-520281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
F16B 45/00
C09J 183/04
F16B 47/00
B32B 3/14
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に物品を取り付ける物品取付具であって、
前記物品を支持する支持部と、
前記支持部及び前記壁面の間に設けられる低粘着性の粘着シートと、
前記支持部及び前記粘着シートの間における前記粘着シートの前記壁面との反対側に貼り付けられる延伸性両面テープと、を備え、
前記低粘着性は、前記粘着シートが前記壁面から剥がされるときに前記粘着シートと共に前記壁面が剥がれない程度の粘着力を有することを示しており、
前記延伸性両面テープは基材層を有し、前記基材層は引っ張られるタブを有し、
前記支持部は、前記タブが前記延伸性両面テープと平行な方向に引っ張られることによって前記粘着シートから分離される、
物品取付具。
【請求項2】
前記粘着シートのステンレス鋼板に対する90度方向接着力は4.0N/12mm以下である、
請求項1に記載の物品取付具
【請求項3】
前記粘着シートは延伸性を有する、
請求項1に記載の物品取付具。
【請求項4】
前記壁面に貼り付けられる前に前記粘着シートを支持するキャリアシートを備える、
請求項1に記載の物品取付具。
【請求項5】
前記壁面に貼り付けられる前に前記粘着シートを支持するキャリアシートを備える、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項6】
前記キャリアシートは、前記粘着シートの一部を覆うと共に、前記支持部が貼り付けられる位置を示す位置決め形状を有する、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項7】
前記キャリアシートは、前記粘着シートの一部を覆うと共に、前記支持部が貼り付けられる位置を示す位置決め形状を有する、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項8】
前記粘着シートは、前記壁面に接触する粘着剤層を有し、
前記粘着剤層は、シリコーン系粘着剤層である、
請求項1に記載の物品取付具。
【請求項9】
前記粘着シートは、前記壁面に接触する粘着剤層を有し、
前記粘着剤層は、シリコーン系粘着剤層である、
請求項2に記載の物品取付具。
【請求項10】
前記粘着シートは、前記壁面に接触する粘着剤層を有し、
前記粘着剤層は、シリコーン系粘着剤層である、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項11】
前記粘着シートは、前記壁面に接触する粘着剤層を有し、
前記粘着剤層は、シリコーン系粘着剤層である、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項12】
前記粘着シートは、前記壁面に接触する粘着剤層を有し、
前記粘着剤層は、シリコーン系粘着剤層である、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項13】
前記粘着シートは、前記壁面に接触する粘着剤層を有し、
前記粘着剤層は、シリコーン系粘着剤層である、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項14】
前記支持部は、ベース部と引掛部を有し、
前記ベース部の前記壁面に対向する面は略平面状であり、
前記引掛部は、前記ベース部の前記壁面に対向する面とは反対側の面から突出している、
請求項1に記載の物品取付具。
【請求項15】
前記支持部は、ベース部と引掛部を有し、
前記ベース部の前記壁面に対向する面は略平面状であり、
前記引掛部は、前記ベース部の前記壁面に対向する面とは反対側の面から突出している、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項16】
前記粘着シートは、前記支持部の幅よりも大きな幅を有し、且つ、前記支持部の高さよりも大きな高さを有する、
請求項1に記載の物品取付具。
【請求項17】
前記粘着シートは、前記支持部の幅よりも大きな幅を有し、且つ、前記支持部の高さよりも大きな高さを有する、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項18】
前記粘着シートは、前記支持部の幅よりも大きな幅を有し、且つ、前記支持部の高さよりも大きな高さを有する、
請求項に記載の物品取付具。
【請求項19】
壁面に物品を支持する支持部、及び低粘着性の粘着シートを備える物品取付具を前記壁面に貼り付ける貼り付け方法であって、
前記壁面に前記粘着シートを貼り付ける工程と、
前記粘着シートに前記支持部を貼り付ける工程と、
を備え
前記低粘着性は、前記粘着シートが前記壁面から剥がされるときに前記粘着シートと共に前記壁面が剥がれない程度の粘着力を有することを示しており、
前記支持部及び前記粘着シートの間における前記粘着シートの前記壁面との反対側に貼り付けられる延伸性両面テープを備え、
前記延伸性両面テープは基材層を有し、前記基材層は引っ張られるタブを有し、
前記支持部は、前記タブが前記延伸性両面テープと平行な方向に引っ張られることによって前記粘着シートから分離される、
貼り付け方法。
【請求項20】
前記物品取付具は、前記粘着シートを支持するキャリアシートを備え、
前記粘着シートを貼り付ける工程では、前記キャリアシートに支持された前記粘着シートを前記壁面に貼り付けて、
前記粘着シートを貼り付ける工程の後に、前記粘着シートから前記キャリアシートを剥がす工程を備える、
請求項19に記載の貼り付け方法。
【請求項21】
前記キャリアシートは、前記粘着シートの一部を覆うと共に、前記支持部が貼り付けられる位置を示す位置決め形状を有し、
前記キャリアシートを剥がす工程の前に、前記粘着シート上における前記位置決め形状が示す位置に前記支持部を貼り付ける工程を備える、
請求項20に記載の貼り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、物品取付具、及び貼り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品を所定の箇所に取り付ける物品取付具については種々のものが知られている。特許文献1には、物品を保持する物品取り付けキットが記載されている。物品取り付けキットは、取付け物品としてのフックを壁材に取り付けるときに用いられる。物品取り付けキットは、上記のフックと、壁紙及びフックの間に介在して壁紙にフックを取り付ける両面粘着テープとを備える。
【0003】
フックが壁紙に取り付けられる前には、両面粘着テープのそれぞれの粘着面に剥離ライナーが貼り付けられている。フックを壁紙に取り付けるときには、剥離ライナーを剥がして両面粘着テープを壁紙に貼り付ける。そして、フックを両面粘着テープに貼り付けることによってフックを壁紙に固定する。また、壁紙からのフックの取り外しは、フックを押さえながら両面粘着テープを引っ張ることによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-169421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した物品取り付けキットのように、物品取付具は、使用されなくなったとき等には壁面から剥がされる。このとき、壁面が脆弱である場合には、物品取付具を壁面から剥がしたときに当該壁面が破損することがある。例えば、壁面の壁紙が物品取付具を剥がしたときに破れることがある。特に、物品取付具が丁寧に剥がされた場合には問題とならないことも多いが、物品取付具を勢いよく剥がす等、推奨されない方法で剥がされたときには壁面を傷めやすいという現状がある。従って、推奨されない方法で剥がされた場合であっても壁面を保護できることが求められており、あらゆる剥がし方に対応できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る物品取付具は、壁面に物品を取り付ける物品取付具であって、物品を支持する支持部と、支持部及び壁面の間に設けられる低粘着性の粘着シートと、を備える。
【0007】
この物品取付具では、物品を支持する支持部と、支持部及び壁面の間に設けられる低粘着性の粘着シートとを備える。従って、低粘着性の粘着シートが支持部と壁面との間に介在することによって、物品取付具が推奨されない方法で剥がされても、粘着シートによって壁面を保護することができる。具体的には、支持部が引っ張られた場合には、支持部が粘着シートから外され、粘着シートが壁面に残された状態になるので、壁面を保護することができる。また、粘着シートが低粘着性であることにより、粘着シートが壁面から剥がされるときに壁面に対する粘着シートの接着力を抑えながら粘着シートが壁面から離れる。よって、粘着シートの接着力が抑えられているので、壁面を傷めないようにすることができる。従って、推奨されない方法で剥がされた場合であっても壁面を保護することができるので、あらゆる剥がし方に対応することができる。
【0008】
別の形態に係る物品取付具において、粘着シートのステンレス鋼板に対する90度方向接着力は4.0N/12mm以下であってもよい。
【0009】
別の形態に係る物品取付具において、支持部及び粘着シートの間に、粘着シートの壁面との反対側に貼り付けられる延伸性両面テープを備えてもよい。
【0010】
別の形態に係る物品取付具において、粘着シートは延伸性を有してもよい。
【0011】
別の形態に係る物品取付具において、壁面に貼り付けられる前に粘着シートを支持するキャリアシートを備えてもよい。
【0012】
別の形態に係る物品取付具において、キャリアシートは、粘着シートの一部を覆うと共に、支持部が貼り付けられる位置を示す位置決め形状を有してもよい。
【0013】
別の形態に係る物品取付具において、粘着シートは、壁面に接触する粘着剤層を有し、粘着剤層は、シリコーン系粘着剤層であってもよい。
【0014】
別の形態に係る物品取付具において、支持部は、ベース部と引掛部を有し、ベース部の壁面に対向する面は略平面状であり、引掛部は、ベース部の壁面に対向する面とは反対側の面から突出していてもよい。
【0015】
別の形態に係る物品取付具において、粘着シートは、支持部の幅よりも大きな幅を有し、且つ、支持部の高さよりも大きな高さを有してもよい。
【0016】
本発明の一形態に係る貼り付け方法は、壁面に物品を支持する支持部、及び低粘着性の粘着シートを備える物品取付具を壁面に貼り付ける貼り付け方法であって、壁面に粘着シートを貼り付ける工程と、粘着シートに支持部を貼り付ける工程と、を備える。
【0017】
この貼り付け方法では、低粘着性の粘着シートを壁面に貼り付けた後に、粘着シートに支持部を貼り付ける。従って、低粘着性の粘着シートが支持部と壁面との間に介在することによって、物品取付具が推奨されない方法で剥がされても、粘着シートによって壁面を保護することができる。よって、前述した物品取付具と同様、推奨されない方法で剥がされても壁面を保護することができるので、あらゆる剥がし方に対応することができる。
【0018】
別の形態に係る貼り付け方法では、物品取付具は、粘着シートを支持するキャリアシートを備え、粘着シートを貼り付ける工程では、キャリアシートに支持された粘着シートを壁面に貼り付けて、粘着シートを貼り付ける工程の後に、粘着シートからキャリアシートを剥がす工程を備えてもよい。
【0019】
別の形態に係る貼り付け方法は、キャリアシートは、粘着シートの一部を覆うと共に、支持部が貼り付けられる位置を示す位置決め形状を有し、キャリアシートを剥がす工程の前に、粘着シート上における位置決め形状が示す位置に支持部を貼り付ける工程を備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一形態によれば、あらゆる剥がし方に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、第1実施形態に係る物品取付具を示す図である。
図2図2は、図1の物品取付具の延伸性両面テープ及び粘着シート、並びに壁面の層構造を示す図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、壁面から物品取付具を外す手順を示す図である。
図4図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、壁面から物品取付具を外す手順であって図3(a)及び図3(b)とは異なる手順を示す図である。
図5図5は、第3実施形態に係る物品取付具の支持具、延伸性両面テープ、キャリアシート及び粘着シート、並びに壁面の層構造を示す図である。
図6図6(a)~図6(d)は壁面に図5の物品取付具を貼り付ける手順を示す図である。
図7図7は、第4実施形態に係る物品取付具の支持具、延伸性両面テープ、キャリアシート及び粘着シート、並びに壁面の層構造を示す図である。
図8図8(a)~図8(c)は壁面に図7の物品取付具を貼り付ける手順を示す図である。
図9図9は、第6実施形態に係る物品取付具を示す斜視図である。
図10図10は、図9の物品取付具を示す六面図である。
図11図11(a)、図11(b)及び図11(c)のそれぞれは、実施例で用いた支持部を示す平面図、側面図及び斜視図である。
図12図12は、実施例に係る粘着シート及び図11の支持部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付図面を参照しながら本発明に係る物品取付具、及び貼り付け方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解を容易にするため一部を誇張又は簡略化して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0023】
以降の説明において、「壁面」は、空間に露出する表面を示しており、例えば、壁紙が貼りつけられた壁の面、屋内又は屋外における壁の面、棚又はキャビネット等の設備の面、天井面及び床面を含む。「物品」は、壁面に取り付けられる物を示しており、例えば、ハンガー等のフック状のもの、及びキーホルダー等の輪状又は紐状のものを含んでいる。「物品取付具」は、物品を壁面に取り付けるものを示している。「支持部」は、物品取付具における物品を支持する部位を示しており、例えば、物品が吊り下げられるフックである。「粘着シート」は、支持部と壁面との間に設けられる粘着性を備えたシート部材であって、壁面を保護する機能を有していてもよい。
【0024】
「粘着シート」は、粘着テープ、表面保護テープ、カバーフィルム、及び下地シートとも称される。「低粘着性」は、粘着シートが壁面から剥がされるときに、粘着シートによって壁面を傷めない、すなわち粘着シートと共に壁面が剥がれない程度に低い接着力を有することを示している。「延伸性」は延びやすい性質を示している。「延伸性両面テープ」は、延伸性を備えた両面テープであり、壁面から物品取付具を外すときに引っ張られることによって延伸する両面テープを含んでいる。「キャリアシート」は、対象物を搬送するときに用いられるシート状の部材であり、非常に薄く柔軟なシートに貼り付けられて当該シートのハンドリング性を高めるフレーム状のシートを含んでいる。「位置決め形状」は、フック等の支持部が貼り付けられる位置を定める形状を示しており、形状そのものの種類は特に限定されない。「粘着剤層」は、粘着剤が含まれる層を示している。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る物品取付具を示す図である。図2は、図1の物品取付具の延伸性両面テープ及び粘着シート、並びに壁面の層構造を示す図である。図1及び図2に示されるように、第1実施形態に係る物品取付具1は、物品を支持する支持部2と、支持部2の壁面W側に設けられる延伸性両面テープ3と、延伸性両面テープ3及び壁面Wの間に介在する低粘着性の粘着シート4とを備える。
【0026】
一例として、支持部2は、縦長に延びる長方形状のベース部2cを有する。ベース部2cは、支持部2の長手方向(高さ方向)に延びる一対の直線状の長辺と、支持部2の短手方向(幅方向)に延びると共にベース部2cの外側に突出するように湾曲する短辺とを有する。ベース部2cの各角部は丸みを帯びている。ベース部2cの裏面(壁面W側を向く面)は、略平面を成す。すなわち、ベース部2cの壁面Wに対向する面は略平面状である。
【0027】
ベース部2cは、孔部2aと、孔部2aの下部でベース部2cの表面(裏面とは反対側の面)から壁面Wの反対方向に突出する引掛部2bとを備える。一例として、孔部2aは三角形状を成しており、引掛部2bはベース部2cの表面において三角形状に突出する。支持部2は、引掛部2bに物品が引っ掛けられることによって当該物品を支持する。なお、支持部2のベース部2cの形状及び大きさは、孔部2a及び引掛部2bを備えるものに限られず適宜変更可能である。
【0028】
延伸性両面テープ3は、支持部2の裏面(壁面W側を向く面)に貼り付けられる。すなわち、延伸性両面テープ3は、ベース部2cの裏面に貼り付けられる。延伸性両面テープ3は、基材層3aと、基材層3aを挟み込む一対の粘着剤層3b,3cとを備える。基材層3aは、例えば、発泡体によって構成されており、ポリマー発泡によって構成されてもよい。ポリマー発泡としては、ポリウレタンフォーム、ポリオレフィンフォーム(例えば、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム)、又はアクリルフォーム等が挙げられる。
【0029】
粘着剤層3cは支持部2と基材層3aの間に設けられる層であり、粘着剤層3bは粘着シート4と基材層3aの間に設けられる層である。粘着剤層3b及び粘着剤層3cは、例えば、感圧接着剤(PSA)によって構成されている。粘着剤層3b及び粘着剤層3cのそれぞれは粘着シート4及び支持部2のそれぞれに貼り付けられる。基材層3aは、指等によって引っ張られるタブ3dを有し、タブ3dが延伸性両面テープ3と平行な方向(壁面Wの面内方向)に引っ張られることによって支持部2を粘着シート4から分離することが可能である。
【0030】
粘着シート4は、延伸性両面テープ3と壁面Wの間に介在する。粘着シート4は、壁面Wに接触して貼り付けられる粘着剤層4aと、粘着剤層4aの壁面Wとの反対側に設けられる基材層4bとを備える。粘着シート4は、例えば、壁面Wに直接貼り付けられる。基材層4bは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、紙、又は布等によって構成される。粘着剤層4aは、例えば、感圧接着剤(PSA)によって構成されている。粘着シート4の粘着剤層4aが貼り付けられる壁面Wは、例えば、壁紙Pの表面である。
【0031】
例えば、面外方向から見たときの粘着シート4の形状は長方形状とされている。当該面外方向から見たときに、粘着シート4の幅(短手方向への長さ)は支持部2(ベース部2c)の幅よりも大きく、且つ、粘着シート4の高さ(長手方向への長さ)は支持部2(ベース部2c)の高さよりも高い。従って、粘着シート4の面積は支持部2(ベース部2c)の面積よりも大きなものとなる。
【0032】
更に、当該面外方向から見たときの粘着シート4の面積は、当該面外方向から見たときの延伸性両面テープ3の面積よりも大きい。これにより、粘着シート4の面積が支持部2の面積、及び延伸性両面テープ3の面積よりも大きいので、粘着剤層4aそのものの接着力が小さい場合であっても壁面Wに確実に粘着シート4を接着させることが可能となる。また、粘着シート4のステンレス鋼板(SUS304BA)に対する90度方向接着力は4.0N/12mm以下である。
【0033】
なお、粘着シート4の幅は、ベース部2cの幅の1.5倍以上、ベース部2cの幅の2倍以上、又はベース部2cの幅の3倍以上、とすることができ、また、ベース部2cの幅の10倍以下、ベース部2cの幅の8倍以下、又はベース部2cの幅の6倍以下、とすることができる。更に、粘着シート4の高さは、ベース部2cの高さの1.3倍以上、ベース部2cの高さの1.5倍以上、又はベース部2cの高さの2倍以上、とすることができ、また、ベース部2cの高さの5倍以下、ベース部2cの高さの4倍以下、又はベース部2cの高さの3倍以下、とすることができる。
【0034】
ステンレス鋼板に対する90度方向接着力は、ステンレス鋼板から粘着シート4が90度方向に捲られて剥離されるときに、粘着シート4がステンレス鋼板から剥がれることを抑制可能な接着力を示している。本実施形態では、ステンレス鋼板に対する粘着シート4の90度方向接着力が小さいことにより、壁面Wから粘着シート4が剥がされるときに生じる壁紙Pの破れを抑制することが可能である。なお、壁紙Pの破れを抑制する観点ではステンレス鋼板に対する粘着シート4の90度方向接着力は小さいほど好ましい。
【0035】
壁紙Pは、例えば、基材P1と、基材P1の一方の面に設けられた発泡ポリ塩化ビニル層P2とを備える。発泡ポリ塩化ビニル層P2の表面が壁面Wに相当し、壁面Wを成す発泡ポリ塩化ビニル層P2に粘着シート4の粘着剤層4aが貼り付けられる。壁面Wには、例えば、微小な凹凸が形成されており、仮に延伸性両面テープ3の粘着剤層3bが直接壁面Wに貼り付けられた場合、壁面Wから粘着剤層3bが剥がされるときに壁面Wを傷つける可能性がある。そこで、本実施形態では、壁面Wを保護する保護シートとして粘着シート4が設けられている。
【0036】
図3(a)及び図3(b)は、壁面Wから物品取付具1を外す手順を説明する図である。まず、図3(a)に示されるように、延伸性両面テープ3のタブ3dを延伸性両面テープ3に対して平行な方向に引っ張る。タブ3dを引っ張ると、粘着シート4から延伸性両面テープ3及び支持部2をスムーズに剥がすことが可能である。このように延伸性両面テープ3及び支持部2を粘着シート4から剥がした後には、図3(b)に示されるように、壁面Wから粘着シート4を剥がして壁面Wからの物品取付具1の取り外しが完了する。なお、壁面Wからの物品取付具1の取り外しが完了した後には、新たな粘着シート4及び延伸性両面テープ3を貼り付けることによって支持部2を他の場所に再利用することが可能である。
【0037】
以上で説明した図3(a)及び図3(b)における物品取付具1の外し方は、例えば推奨される剥がし方である。しかしながら、物品取付具1の外し方としては、前述した方法以外にも種々の方法が想定される。例えば、図4(a)~図4(c)に示されるように、延伸性両面テープ3のタブ3dを延伸性両面テープ3に対して交差する方向(手前側)に引っ張る方法、支持部2の引掛部2bを撮んで支持部2を剥がし取る方法、並びに、支持部2及び延伸性両面テープ3を外す前に粘着シート4を捲って剥がし取る方法が想定される。
【0038】
ところで、従来の物品取付具は、粘着シート4を備えておらず、支持部2に貼り付けられる延伸性両面テープ3が直接壁面Wに貼り付けられていた。この従来の物品取付具では、図3(a)に示される外し方と同様の方法で壁面Wから外される場合には、壁面Wを傷つけずに物品取付具を外すことが可能である。しかしながら、従来の物品取付具では、図4(a)又は図4(b)の方法で剥がされると、延伸性両面テープ3と壁面Wとの間に剪断力が生じずに壁面Wに対する接着力が維持された状態で延伸性両面テープ3が剥がされるので、壁面Wが傷つく可能性がある。これに対し、本実施形態に係る物品取付具1では、粘着シート4を備えるため、図4(a)~図4(c)のいずれの方法で剥がされても壁面Wを傷つけないようにすることが可能である。
【0039】
次に、本実施形態に係る物品取付具1の作用効果について説明する。
【0040】
物品取付具1では、物品を支持する支持部2と、支持部2及び壁面Wの間に設けられる低粘着性の粘着シート4とを備える。従って、粘着シート4が支持部2と壁面Wとの間に介在することによって、物品取付具1が推奨されない方法で剥がされても、粘着シート4によって壁面Wを保護することができる。具体的には、図4(b)に示されるように、支持部2が引っ張られた場合には、粘着シート4が支持部2及び延伸性両面テープ3と共に壁面Wから離れる。粘着シート4は低粘着性であって、壁面Wに対する粘着シート4の接着力は抑えられているため、壁面Wを傷めないようにすることができる。
【0041】
また、図4(c)に示されるように、粘着シート4が壁面Wから剥がされる場合には、粘着シート4が低粘着性であることにより、粘着シート4が壁面Wから剥がされるときに壁面Wに対する粘着シート4の接着力を抑えながら粘着シート4が壁面Wから離れる。従って、粘着シート4の接着力が抑えられているので、壁面Wを傷めないようにすることができる。よって、推奨されない方法で剥がされた場合であっても壁面Wを保護することができるので、あらゆる剥がし方に対応することができる。
【0042】
また、例えば、粘着シート4のステンレス鋼板に対する90度方向接着力は4.0N/12mm以下である。従って、粘着シート4の接着力が低いことによって、粘着シート4が壁面Wから剥がされるときに壁面Wに対する粘着シート4の接着力を抑えることができるので、壁面Wをより傷めにくくすることができる。従って、より確実に壁面Wを保護することができる。
【0043】
また、物品取付具1は、支持部2及び粘着シート4の間に、粘着シート4の壁面Wとの反対側に貼り付けられる延伸性両面テープ3を備える。すなわち、物品を支持する支持部2と粘着シート4の間に延伸性両面テープ3が介在する。よって、延伸性両面テープ3を延伸させることにより、粘着シート4に対する延伸性両面テープ3の接着力を抑えた状態で延伸性両面テープ3を粘着シート4から剥がすことができる。従って、延伸性両面テープ3及び支持部2を粘着シート4から容易に外すことができる。更に、外した後に支持部2を別の粘着シート4に貼り付けることができるので、支持部2を使い回すことができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る物品取付具について説明する。以降の説明では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。第2実施形態に係る物品取付具は粘着シート4の性質が第1実施形態と異なっており、粘着シート4が延伸性を有する点が第1実施形態と異なる。第2実施形態において、粘着シート4は粘着剤層4a及び基材層4bを備えており、基材層4bは、例えば、ポリウレタン、EVA(Ethylene-vinyl acetate)、又はポリエチレン(無延伸)によって構成される。また、粘着剤層4aは、例えば、アクリル系、ゴム系、又はシリコーン系等の粘着剤である。また、JIS K 7161(プラスチック-引張特性の求め方)に規定される基材層4bの引張降伏応力は6MPa以下であり且つ基材層4bの破断点伸びは100%以上である。
【0045】
以上、第2実施形態に係る物品取付具において、粘着シート4は延伸性を有する。よって、粘着シート4が延伸性を有することにより、壁面Wから粘着シート4が剥がされるときに粘着シート4が延びるので壁面Wへの接着力を分散及び低減させることができる。従って、より確実に壁面Wを傷めないようにすることができるので、壁面Wの更なる保護が可能となる。
【0046】
更に、粘着シート4の基材層4bの引張降伏応力が6MPa以下であることにより、粘着シート4が壁面Wを破く可能性を一層低減させることができる。基材層4bの破断点における伸びが100%以上であることにより、粘着シート4の延伸性を高めて粘着シート4がちぎれないようにすることができる。また、粘着剤層4aがアクリル系粘着剤であることにより、粘着剤層4aとして汎用性が高い粘着剤を用いることができる。
【0047】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る物品取付具及び貼り付け方法について、図5及び図6(a)~図6(d)を参照しながら説明する。図5に示されるように、第3実施形態に係る物品取付具31は、支持部2、延伸性両面テープ3及び粘着シート4に加えて、キャリアシート32を備える。キャリアシート32は、粘着シート4に貼り付けられており、粘着シート4のハンドリング性を高めるために設けられる。
【0048】
特に、粘着シート4が非常に薄く且つ延伸性を有するときに粘着シート4を単独で貼り付ける場合には、粘着シート4が丸まったり折れ曲がったりするので、効率よく粘着シート4を貼り付けられないという問題が生じうる。これに対し、キャリアシート32が設けられる場合には、粘着シート4より厚いキャリアシート32が粘着シート4に貼り付けられていることにより、粘着シート4を効率よく貼り付けることが可能となる。
【0049】
図6(a)に示されるように、キャリアシート32は、例えば、粘着シート4からキャリアシート32を容易に剥がせるように撮み部32aを一対に備える。なお、キャリアシート32及び粘着シート4の撮み部32a以外の部分は透明であるため、図6(a)~図6(d)ではキャリアシート32又は粘着シート4の外縁を破線で示している。撮み部32aはキャリアシート32の中央において上下一対に設けられており、一方の撮み部32a及び他方の撮み部32aを互いに反対側(図6(a)における上下それぞれの方向)に引っ張ることにより、粘着シート4からキャリアシート32を容易に剥がすことが可能である。
【0050】
次に、壁面Wに物品取付具31を貼り付ける貼り付け方法について説明する。以下では、支持部2、延伸性両面テープ3、粘着シート4及びキャリアシート32を備えた物品取付具31を壁面Wに貼り付ける例について説明する。まず、図6(a)に示されるように、キャリアシート32に支持された粘着シート4を壁面Wに貼り付ける(粘着シートを貼り付ける工程)。次に、例えば撮み部32aを撮んで引っ張ることにより、粘着シート4からキャリアシート32を剥がす(キャリアシートを剥がす工程)。
【0051】
粘着シート4からキャリアシート32を剥がした後には、支持部2及び延伸性両面テープ3を粘着シート4に貼り付ける(支持部を貼り付ける工程)。このとき、支持力のバランスを確保する観点から、粘着シート4に対する支持部2及び延伸性両面テープ3の貼り付け位置は重要であり、粘着シート4の左右方向中央且つ粘着シート4の上下方向中央に支持部2及び延伸性両面テープ3を貼り付ける。図6(c)及び図6(d)は推奨されない支持部2及び延伸性両面テープ3の貼り付け位置の例を示しており、図6(b)は推奨される貼り付け位置の例を示している。図6(b)に示されるように、粘着シート4の中央に支持部2及び延伸性両面テープ3を貼り付けた後に、物品取付具31を貼り付ける一連の工程が完了する。
【0052】
以上、第3実施形態に係る物品取付具31及び貼り付け方法では、キャリアシート32に支持された粘着シート4を壁面Wに貼り付けた後に、粘着シート4に支持部2を貼り付ける。従って、粘着シート4が支持部2と壁面Wとの間に介在することによって、物品取付具31が推奨されない方法で剥がされても、粘着シート4によって壁面Wを保護することができる。その結果、推奨されない方法で剥がされた場合であっても壁面Wを保護することができるので、あらゆる剥がし方に対応することができる。
【0053】
また、粘着シート4が壁面Wに貼り付けられる前にキャリアシート32が粘着シート4を支持することにより、粘着シート4のハンドリング性を高めることができる。よって、キャリアシート32に支持された粘着シート4を壁面Wに貼り付けることにより、薄い粘着シート4であっても壁面Wに容易に貼り付けることができる。
【0054】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態に係る物品取付具41及び貼り付け方法について図7図8(a)及び図8(b)を参照しながら説明する。第4実施形態に係る物品取付具41は、第3実施形態のキャリアシート32とは異なるキャリアシート42を備える。第3実施形態では、前述したように、粘着シート4の左右方向中央且つ粘着シート4の上下方向中央に支持部2及び延伸性両面テープ3を貼り付ける。しかしながら、粘着シート4が無色透明である場合、粘着シート4に対する支持部2及び延伸性両面テープ3の貼り付け位置が判りづらいということが起こりうる。よって、粘着シート4が無色透明である場合には、図6(c)及び図6(d)に示されるように、誤った位置に支持部2及び延伸性両面テープ3が貼られることが想定される。
【0055】
これに対し、第4実施形態に係る物品取付具41は、図7図8(a)及び図8(b)に示されるように、キャリアシート42が位置決め形状42aを有する。位置決め形状42aは、支持部2及び延伸性両面テープ3の貼り付け位置を示す形状のことであり、一例として不透明(例えば白色)の枠形状とされている。すなわち、キャリアシート42は、粘着シート4の面外方向から見て支持部2及び延伸性両面テープ3の貼り付け位置を示す枠形状を成しており、この枠形状の内部に支持部2及び延伸性両面テープ3が貼り付けられる。キャリアシート42は、粘着シート4の一部を覆っており、例えば八角形状とされている。
【0056】
次に、壁面Wに物品取付具41を貼り付ける貼り付け方法について説明する。まず、図8(a)に示されるように、キャリアシート42に支持された粘着シート4を壁面Wに貼り付ける(壁面に貼り付ける工程)。続いて、図8(b)に示されるように、キャリアシート42を剥がす前に、粘着シート4上における位置決め形状42aが示す位置に支持部2及び延伸性両面テープ3を貼り付ける(支持部を貼り付ける工程)。
【0057】
このとき、例えば位置決め形状42aが形成した枠の内側に支持部2及び延伸性両面テープ3を貼り付ける。支持部2及び延伸性両面テープ3を貼り付けた後には、図8(c)に示されるように、キャリアシート42を粘着シート4から剥がし取る(キャリアシートを剥がす工程)。このとき、例えばキャリアシート42の位置決め形状42aの枠を粘着シート4から剥がし取る。以上のように、キャリアシート42を剥がし取った後に一連の工程が完了する。
【0058】
第4実施形態に係る物品取付具41において、キャリアシート42は、粘着シート4の一部を覆うと共に、支持部2が貼り付けられる位置を示す位置決め形状42aを有する。また、第4実施形態に係る貼り付け方法は、キャリアシート42を剥がす工程の前に、粘着シート4上における位置決め形状42aが示す位置に支持部2を貼り付ける工程を備える。よって、キャリアシート42が支持部2の貼り付け位置を示す位置決め形状42aを有することにより、キャリアシート42で支持部2の貼り付け位置を指定することができる。従って、誤った位置に支持部2及び延伸性両面テープ3が貼り付けられる可能性を抑えることができると共に、粘着シート4の適切な位置に支持部2を容易に貼り付けることができる。
【0059】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係る物品取付具について説明する。第5実施形態に係る物品取付具では、粘着シート4の性質が前述の各実施形態と異なっている。第5実施形態において、粘着シート4は粘着剤層4a及び基材層4bを備えており、粘着剤層4aは、シリコーン系粘着剤層である。シリコーン系粘着剤層は、接着力が低くても高い濡れ性によって必要な保持性能を得られる一方、接着力自体が小さいため壁面Wを傷めることなく壁面Wから剥がすことが可能である。従って、壁面Wを確実に保護することができる。また、基材層4bは、フィルム製であってもよいし、紙製であってもよい。
【0060】
第5実施形態の粘着シート4の作製方法について以下で例示する。例えば、粘着シート4の作製にあたり、プライマーとして、水系ポリエーテルウレタンプライマー、又は溶剤系ポリエーテルウレタンプライマーが用いられる。水系ポリエーテルウレタンプライマーは、ハイドランWLI-602(DIC株式会社製)を超純水で10重量パーセント濃度に希釈して用いられる。溶剤系ポリエーテルウレタンプライマーは、Polyurethane3552(荒川化学工業株式会社製)をメチルエチルケトンで10重量パーセント濃度に希釈して用いられている。
【0061】
粘着シート4の粘着剤層4aの材料として、トリメチルシリル末端PDMS(粘度1000000cSt)、及びMQ構造を有するシリコーンレジンが用いられる。一例として、トリメチルシリル末端PDMSはTSF451-100M(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)であり、MQ構造を有するシリコーンレジンはMQ803TF(ワッカー社製)である。
【0062】
粘着シート4の作製方法の一例として、シリコーン粘着剤の調製が行われ、具体的には、30重量部のシリコーンレジンが100重量部のトリメチルシリル末端PDMSに溶解される。プライマーが塗布された基材層4bにシリコーン粘着剤が塗工されることで粘着剤層4aが作製される。一例として粘着剤層4aの厚さは50μmである。基材層4bの上に塗工された粘着剤層4aは電子線照射(40kGy、加速電圧210KeV)によって硬化される。なお、前述した粘着剤層4aの材料、基材層4bの材料、及び作製方法は、一例であり、前述した材料以外、又は前述した作製方法以外で粘着剤層4a及び基材層4bを作製してもよい。
【0063】
(第6実施形態)
続いて、第6実施形態に係る物品取付具について説明する。図9及び図10に示されるように、第6実施形態に係る物品取付具51は、物品を支持する支持部52の構成が第1実施形態の支持部2と異なっている。物品取付具51は、支持部52の他に前述した粘着シート4を備える。物品取付具51は、前述した延伸性両面テープ3を備えていてもよい。支持部52は、ベース部52cを有する。ベース部52cの裏面(壁面W側の面)は略平面状である。
【0064】
支持部52は、ベース部52cの長手方向に延びる孔部52aと、孔部52aの下側から突出する引掛部52bとを有する。引掛部52bは、孔部52aから壁面Wの反対側に延びると共に上方に曲げられており、引掛部52bに物品が引っ掛けられることによって支持部52が当該物品を支持する。また、引掛部52bはベース部52cに対して壁紙Wの反対側に突出する。
【0065】
以上のように、物品取付具51では、物品を支持する支持部52を備え、支持部52と壁面Wとの間に粘着シート4を介在させることが可能である。従って、粘着シート4が支持部52と壁面Wとの間に介在することにより、物品取付具51が推奨されない方法で剥がされても粘着シート4によって壁面Wを保護することができる。よって、前述した各実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
以上、本発明に係る物品取付具及び貼り付け方法の各実施形態について説明したが、本発明は前述した各実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、物品取付具を構成する各部の材料、厚さ、大きさ、形状、数及び配置態様は適宜変更可能であり、貼り付け方法の各工程の内容及び順序も適宜変更可能である。
【0067】
例えば、前述した実施形態では、粘着シート4が、粘着剤層4a及び基材層4bを有し、片面に粘着剤層4aを備える例について説明した。しかしながら、粘着シート4は、基材層4bの両面に粘着剤層4aを備えていてもよい。また、前述した実施形態では、粘着シート4の上に支持部2及び延伸性両面テープ3が貼り付けられる物品取付具1について説明したが、支持部2及び延伸性両面テープ3の形状、大きさ、材料及び配置態様は適宜変更可能である。また、支持部2及び延伸性両面テープ3が一体化されていてもよいし、延伸性両面テープ3が省略されてもよい。
【0068】
また、前述した実施形態では、物品取付具1が壁紙Pに貼り付けられる例について説明した。しかしながら、物品取付具が取り付けられる対象は壁紙以外の壁面であってもよい。例えば、物品取付具は、屋内の壁面、屋外の壁面、タンス等の家具の壁面、天井面又は床面に貼り付けられてもよい。
【0069】
(実施例)
続いて、本発明の実施例及び比較例により更に物品取付具について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0070】
(実験1)
実験1では、第1実施形態の物品取付具1と同様の実施例1の物品取付具と、比較例1の物品取付具とを用いて実験を行った。実験1では、壁面Wに対する物品取付具の保持力、及び物品取付具を剥がしたときにおける壁面Wの破れの有無を確認した。
【0071】
(実施例1)
実施例1では、例えば図1及び図2に示されるように、支持部2、延伸性両面テープ3及び粘着シート4を備えた物品取付具1であって、粘着シート4の表面(延伸性両面テープ3側の面)には剥離処理剤を塗布している。粘着シート4及び剥離処理剤としてはスリーエム社のスコッチ(登録商標)シーリング・マスキングテープ 超粗面サイディングボード用80Sを用いた。延伸性両面テープ3としては、スリーエム社のコマンド(登録商標)タブを用いた。支持部2としては、スリーエム社のコマンド(登録商標)フックを用いた。
【0072】
(比較例1)
比較例1では、支持部2及び延伸性両面テープ3を備えた物品取付具であって、粘着シート4を有しない物品取付具を用いた。延伸性両面テープ3としては、スリーエム社のコマンド(登録商標)タブを用いた。支持部2としては、スリーエム社のコマンド(登録商標)フックを用いた。
【0073】
実験1では、ステンレス鋼板(SUS304BA)に対する90度方向剥離力を測定し、引張試験機を用いてテープ貼付後20分後の剥離力を測定した。測定は、JIS Z 0237:2000(粘着テープ・粘着シート試験方法)に基づいて行った。
【0074】
また、壁面Wに対する保持力の測定を行った。壁面Wを成す壁紙Pとしては、塩化ビニル製であって且つ石目調(サンド&ストーン)のSP7234(サンゲツ社製)及びLB9848(リリカラ株式会社製)の2種類を用いた。実施例1では、粘着シート4を50mm×100mmに切断して壁面Wに貼り付け、2kgのゴムローラにより300mm/minの速さで1往復粘着シート4を壁面Wに圧着した。実施例1及び比較例1において、延伸性両面テープ3の表面の剥離紙を剥がし延伸性両面テープ3を支持部2の背面に貼り付けた。このとき、指で延伸性両面テープ3を支持部2に圧着した。そして、延伸性両面テープ3の背面の剥離紙を剥がし、実施例1では粘着シート4の上に延伸性両面テープ3を貼り付け、比較例1では壁面Wに延伸性両面テープ3を貼り付けた。実施例1では、図1に示されるように、支持部2の最下部の位置を粘着シート4の最下部の位置に合わせた。指で支持部2を壁面Wに圧着した後、常温(気温23℃、相対湿度55%)にて24時間静置した。その後、500gの錘を支持部2に吊り下げて、錘の保持時間を測定した。
【0075】
更に、壁面Wに対する実施例1及び比較例1の性能を評価するために、再剥離性の測定を行った。具体的には、前述した保持力の測定と同様、実施例1では粘着シート4を壁面Wに貼り付けて圧着した。延伸性両面テープ3を支持部2に圧着すると共に粘着シート4又は壁面Wの上に延伸性両面テープ3を貼り付けた。そして、指で支持部2を壁面Wに圧着した後、気温50℃、相対湿度80%のオーブンにて24時間静置した。オーブンから取り出して室温にて放冷した後に、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)又は図4(c)の方法で壁面Wから物品取付具を剥がした。以下では、図3(a)及び図3(b)の推奨される剥がし方を方法X、図4(a)のタブ3dを手前に引っ張る剥がし方を方法A、図4(b)の支持部2を手前に引っ張る剥がし方を方法B、図4(c)の粘着シート4を直接引っ張る剥がし方を方法C、図3(b)の状態において粘着シート4を勢いよく引っ張る方法を方法D、とする。
【0076】
以上の対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力の測定、及び保持力の測定の結果を表1に示し、再剥離性の測定の結果を表2に示す。なお、表2、後述する表3及び表5において、「A」は壁紙Pの破損が無かったことを示し、「B」は壁紙Pが少々破損したことを示し、「C」は壁紙Pの多くが破損したことを示している。
【表1】

【表2】
【0077】
表1に示されるように、実施例1では、壁紙PがSP7234及びLB9848のいずれであっても、13万分強(10週間以上)の保持力が得られている(13万分以上500gの錘を保持できる)ことが分かった。また、実施例1では対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力が1.5N/12mmであったのに対し、比較例1では対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力が7.0N/12mmであった。
【0078】
表2に示されるように、方法X(推奨される剥がし方)で剥がされた場合には、実施例1及び比較例1の両方において壁紙Pの破れは生じなかった。しかしながら、方法A(タブ3dを手前に引っ張る方法)又は方法B(支持部2を手前に引っ張る方法)で物品取付具を外したときには、粘着シート4を有しない比較例1では壁紙Pに多くの破れが生じた。一方、実施例1では、方法A、方法B、方法C及び方法Dのいずれの方法で物品取付具を外しても、壁紙Pに破れは生じなかった。以上より、粘着シート4を備えた実施例1の物品取付具では、あらゆる方法で剥がされても壁紙Pを保護できることが分かった。
【0079】
(実験2)
実験2では、第2実施形態の物品取付具と同様とした実施例2の物品取付具と、第1実施形態の物品取付具1(前述した実施例1)と同様の実施例3の物品取付具1と、実施例2,3とは異なる層構造を有する実施例3の物品取付具とを用いて実験を行った。実験2では、物品取付具を剥がしたときにおける壁面Wの破れの有無を評価した。
【0080】
(実施例2)
実施例2では、支持部2、延伸性両面テープ3及び粘着シート4を備えた物品取付具であって、粘着シート4は第2実施形態と同様に延伸性を有する。実施例2の粘着シート4としては、テガダーム(登録商標)フィルムロール16004JP(スリーエム社製)を用いた。実施例2において、粘着シート4の基材層4bの引張降伏応力は6.0MPa、基材層4bの破断点伸びは114%、対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力は1.3N/12mmであった。
【0081】
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同一の物品取付具を用いた。実施例3において、粘着シート4の基材層4bの引張降伏応力は4.5MPa、基材層4bの破断点伸びは23%、対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力は1.6N/12mmであった。
【0082】
(実施例4)
実施例4では、実施例2の粘着シート4の上に実施例3の粘着シート4を重ねた粘着シート4を用いた。すなわち、実施例4の粘着シート4は、テガダーム(登録商標)フィルムロール16004JP(スリーエム社製)と、スコッチ(登録商標)シーリング・マスキングテープ 超粗面サイディングボード用80S(スリーエム社製)とを用いた。実施例4において、粘着シート4の基材層4bの引張降伏応力は4.5MPa、基材層4bの破断点伸びは23%、対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力は1.6N/12mmであった。
【0083】
実験2における壁面Wの破れの有無の評価は、実験1と同様の方法で行った。すなわち、実験1と同様の方法で壁面Wに物品取付具を貼り付けた後に、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)又は図4(c)の方法で壁面Wから物品取付具を剥がし、再剥離性の測定を行った。その測定結果を以下の表3に示す。なお、表3における「SP9914」、「SP9943」、「SP9951」及び「SP9960」は、壁面Wを構成する壁紙P(サンゲツ社製)の種類を示す。これらの壁紙Pは、実験1と同様塩化ビニル製であるが、実験1で用いたものよりも凹凸及び気泡が多く脆弱な性質を有するものを含む。
【0084】
【表3】
【0085】
表3に示されるように、実験2において、方法X(推奨される剥がし方)、方法A(タブ3dを手前に引っ張る方法)、方法B(支持部2を手前に引っ張る方法)、及び方法C(粘着シート4を直接引っ張る方法)では、実施例2~4のいずれであっても壁紙Pの破れは生じなかった。しかしながら、粘着シート4を勢いよく引っ張る方法Dでは、実施例3及び実施例4において僅かに壁紙Pの破れが生じた。これに対し、延伸性を有する粘着シート4を備えた実施例2では、方法Dで粘着シート4を勢いよく引っ張っても壁紙Pに破れは生じなかった。以上より、延伸性を有する粘着シート4を備えた実施例2では、実験1よりも脆弱なSP9914等の壁紙Pで粘着シート4を勢いよく引っ張った場合であっても壁紙Pを保護できることが分かった。
【0086】
(実験3)
実験3では、第5実施形態のシリコーン系粘着剤層を有する物品取付具と同様の実施例5~8の物品取付具と、第1実施形態の物品取付具1と同様の実施例9の物品取付具と、第2実施形態の物品取付具と同様の実施例10の物品取付具とを用いた。実験3では、物品取付具の保持力の測定、及び物品取付具を剥がしたときにおける壁面Wの破れの有無を評価した。
【0087】
(実施例5)
実施例5の粘着シート4は以下の作製方法によって作成した。粘着シート4の基材層4bの材料はOPP(Oriented PolyPropylene)、基材層4bの厚さは0.04mmとし基材層4bにコロナ処理を施した。次に、プライマーとしては、ハイドランWLI-602(DIC株式会社製)を超純水で10重量パーセント濃度に希釈して塗布した。そして、粘着剤層4aを成すシリコーン系粘着剤を基材層4bの上にダイコーティングによって塗工し、粘着剤層4aの厚さは50μmとした。塗工された粘着剤層4aは、電子線照射(40kGy、加速電圧210KeV)によって硬化させた。粘着剤層4aを硬化させた後、剥離紙として、基材層4bの上にフッ素系剥離剤が塗布された剥離紙であるScotchpak(登録商標)剥離ライナー9741(スリーエム社製)を貼り合わせた。実施例5において、粘着シート4の対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力は1.4N/12mmであった。
【0088】
(実施例6)
実施例6の粘着シート4では、粘着シート4の基材層4bの材料はOPP、基材層4bの厚さは0.04mmとし、基材層4bにコロナ処理を施した。次に、プライマーとして、Polyurethane3552(荒川化学工業株式会社製)をメチルエチルケトンで10重量パーセント濃度に希釈したものを塗布した。そして、実施例5と同様、粘着剤層4aを成すシリコーン系粘着剤を基材層4bの上に塗工し、粘着剤層4aの厚さは50μmとした。そして、粘着剤層4aを電子線照射(40kGy、加速電圧210KeV)によって硬化させた後、剥離紙として、基材層4bの上にScotchpak(登録商標)剥離ライナー9741(スリーエム社製)を貼り合わせた。実施例6において、粘着シート4の対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力は1.6N/12mmであった。
【0089】
(実施例7)
実施例7の粘着シート4では、粘着シート4の基材層4bの材料はPET(Poly EthyleneTerephthalate)、基材層4bの厚さは0.10mmとし、基材層4bにコロナ処理を施した。次に、プライマーとして、Polyurethane3552(荒川化学工業株式会社製)をメチルエチルケトンで10重量パーセント濃度に希釈したものを塗布した。そして、実施例5,6と同様、粘着剤層4aを成すシリコーン系粘着剤を基材層4bの上に塗工し、粘着剤層4aの厚さは50μmとした。そして、粘着剤層4aを電子線照射(40kGy、加速電圧210KeV)によって硬化させた後、剥離紙として、基材層4bの上にScotchpak(登録商標)剥離ライナー9741(スリーエム社製)を貼り合わせた。実施例7において、粘着シート4の対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力は1.7N/12mmであった。
【0090】
(実施例8)
実施例8の粘着シート4では、粘着シート4の基材層4bの材料はポリウレタン、基材層4bの厚さは0.025mmとし、基材層4bにコロナ処理を施した。プライマーとして、Polyurethane3552(荒川化学工業株式会社製)をメチルエチルケトンで10重量パーセント濃度に希釈したものを用いた。そして、実施例5~7と同様、粘着剤層4aを成すシリコーン系粘着剤を基材層4bの上に塗工し、粘着剤層4aの厚さは50μmとした。そして、粘着剤層4aを電子線照射(40kGy、加速電圧210KeV)によって硬化させた後、剥離紙として、基材層4bの上にScotchpak(登録商標)剥離ライナー9741(スリーエム社製)を貼り合わせた。実施例8において、粘着シート4の対ステンレス鋼板(SUS304BA)90度方向剥離力は2.2N/12mmであった。
【0091】
(実施例9,10)
実施例9の物品取付具では、実施例1と同一の物品取付具を用いた。実施例9では、スコッチ(登録商標)シーリング・マスキングテープ 超粗面サイディングボード用80S(スリーエム社製)を用いた。また、実施例10では、延伸性を有する粘着シート4を備えた実施例2と同一の物品取付具を用いた。実施例10では、テガダーム(登録商標)フィルムロール16004JP(スリーエム社製)を用いた。
【0092】
(支持部)
実験3では、支持部2として、図11(a)~図11(c)に示されるフック20を用いた。フック20は、ABS樹脂によって構成されており、延伸性両面テープ3が貼り付けられるベース部21と、ベース部21から突出する柱状の引掛部22とを備える。引掛部22の先端には拡径部22bが形成されている。実験3では、実験1と同様の方法で壁面Wに物品取付具を貼り付けた。具体的には、図12に示されるように、実験1と同様に粘着シート4を壁面Wに貼り付けて、粘着シート4の左右方向中央且つ粘着シート4の下端から10cmの箇所にベース部21の下端の位置を合わせてベース部21を粘着シート4に貼り付けた。そして、指でフック20を粘着シート4に圧着した後、常温(気温23℃、相対湿度55%)にて24時間静置し、その後、温度40℃のドライオーブンにて500gの錘をフック20の引掛部22に吊り下げて、錘の保持時間(保持力)を測定した。
【0093】
また、実験1と同様の方法で壁面Wに物品取付具を貼り付けた後に、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)又は図4(c)の方法で壁面Wから物品取付具を剥がし、再剥離性の測定を行った。錘の保持力の測定結果を表4に示し、再剥離性の測定結果を表5に示す。なお、表4又は表5における「SP9943」、「77-824」、「SP9924」及び「SP9925」は、壁面Wを構成する壁紙P(サンゲツ社製、SP2015-2017、又はリフォームセレクション2016-2018)の種類を示している。
【0094】
【表4】

【表5】
【0095】
表4に示されるように、壁紙Pとして「SP9943」及び「77-824」を用いた場合において、基材層4bの材料をポリウレタンとした実施例8、及び粘着シート4としてスコッチ(登録商標)シーリング・マスキングテープ 超粗面サイディングボード用80S(スリーエム社製)を用いた実施例9では錘の保持時間は10080分未満であった。これに対し、シリコーン系粘着剤を備え且つ基材層4bの材料をOPP又はPETとした実施例5~7、及び延伸性を有する粘着シート4を備えた実施例10では錘の保持時間は10080分より長かった。
【0096】
表5に示されるように、実験3において、方法X(推奨される剥がし方)では、実施例5~10のいずれであっても壁紙Pの破れは生じなかった。しかしながら、方法A(タブ3dを手前に引っ張る方法)、方法B(支持部2を手前に引っ張る方法)、方法C(粘着シート4を直接引っ張る方法)及び方法D(粘着シート4を勢いよく引っ張る方法)では、実施例9及び実施例10において僅かに壁紙Pの破れが生じた。また、実施例9では、剥離時に壁面W(粘着シート4の面積の50%以上且つ100%以下)に糊残りがあり且つ粘着シート4に破れが生じた。
【0097】
これに対し、シリコーン系粘着剤を有する実施例5~8では、方法X、方法A、方法B、方法C及び方法Dのいずれであっても壁紙Pに破れは生じなかった。以上より、シリコーン系粘着剤を有する粘着シート4を備える物品取付具では、壁紙Pの種類を変えた場合であってもより確実に壁紙Pを保護できることが分かった。更に、実施例5~8及び実施例10では、剥離時にも壁面Wに糊残りがなく、且つ粘着シート4に破れが生じることも無かった。
【符号の説明】
【0098】
1,31,41,51…物品取付具、2,52…支持部、2a,52a…孔部、2b,52b…引掛部、2c,52c…ベース部、3…延伸性両面テープ、3a…基材層、3b,3c…粘着剤層、3d…タブ、4…粘着シート、4a…粘着剤層、4b…基材層、32,42…キャリアシート、32a…撮み部、42a…位置決め形状、P…壁紙、P1…基材、P2…発泡ポリ塩化ビニル層、W…壁面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12