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特許7241505光吸収剤及びこれを含む有機電界発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】光吸収剤及びこれを含む有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20230310BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230310BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230310BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20230310BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20230310BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20230310BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20230310BHJP
   C07C 49/83 20060101ALN20230310BHJP
   C07C 49/84 20060101ALN20230310BHJP
【FI】
H10K85/60
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/04
C07D333/76
C07D307/91
H10K50/844
C07C49/83 Z
C07C49/84 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018203790
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2019081756
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2017-0144168
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0026152
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】韓 相 鉉
(72)【発明者】
【氏名】尹 元 ミン
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾 佑
(72)【発明者】
【氏名】白 長 烈
(72)【発明者】
【氏名】鄭 恩 在
(72)【発明者】
【氏名】金 ヨ 翰
(72)【発明者】
【氏名】金 利 受
(72)【発明者】
【氏名】金 榮 國
(72)【発明者】
【氏名】黄 晢 煥
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-102223(JP,A)
【文献】特公昭52-028793(JP,B1)
【文献】Jinming Fan, et al.,Synthesis of Benzoaryl-5-yl(2-hydroxyphenyl)methanones via Photoinduced Rearrangement of (E)-3-Arylvinyl-4H-chromen-4-ones,Organic Letters,2017年10月19日,19,5984-5987
【文献】Hajime Maeda, et al.,Photo-Fries rearrangement of 1-pyrenyl esters,Tetrahedron Letters,2017年10月04日,58,4377-4380
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/91
H05B 33/02
H10K 50/00
H05B 33/04
C07D 333/76
C07C 49/83
C07C 49/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光吸収剤であって、
下記に示す化学式1で表されることを特徴とする光吸収剤。
【化1】
ここで、化学式1において、Arはピレン、クリセン、またはアントラセンであり、
Yは、水素原子、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または置換されていない炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアクリレート基、置換または置換されていない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換または置換されていない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換または置換されていないカルボニル基、置換または置換されていないベンゾフェノン基、置換または置換されていないベンゾエート基、または置換または置換されていないサリシレート基であり、
前記化学式1は、下記に示す化学式(1-7)~(1-9)の何れか1つで表され、
【化(1-7)】
【化(1-8)】
【化(1-9)】
Xは、下記に示す化学式(2-1)~(2-3)の何れか1つで表される。
【化(2-1)】
【化(2-2)】
【化(2-3)】
【請求項2】
前記Yは、置換または置換されていないフェニル基、置換または置換されていないビフェニル基、置換または置換されていないナフチル基、置換または置換されていないアントラセン基、置換または置換されていないフェナントレン基、置換または置換されていないジベンゾフラン基、又は置換または置換されていないジベンゾチオフェン基であることを特徴とする請求項1に記載の光吸収剤。
【請求項3】
前記Yは、下記に示す構造式の何れか1つで表されることを特徴とする請求項1に記載の光吸収剤。
【請求項4】
前記Xは、化学式(2-1)で表され、Yは、下記に示す化学式3で表されることを特徴とする請求項1に記載の光吸収剤。
【化3】
ここで、化学式3において、Rは、置換または置換されていない炭素数1以上5以下のアルキル基である。
【請求項5】
前記光吸収剤は、380nm以上410nm以下の波長範囲で、0.7以上の吸光度を有することを特徴とする請求項1に記載の光吸収剤。
【請求項6】
前記化学式1で表される光吸収剤は、下記に示す[化合物群1~44]に表される化合物から選択される何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の光吸収剤。
【請求項7】
第1電極と、
前記第1電極上に配置される正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域上に配置される発光層と、
前記発光層上に配置される電子輸送領域と、
前記電子輸送領域上に配置される第2電極と、
前記第1電極の下部及び前記第2電極の上部の少なくとも1つに配置される光吸収層と、を有し、
前記光吸収層は、請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の光吸収剤を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項8】
前記光吸収層は、前記第2電極上に配置され、前記第2電極と接することを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記光吸収層は、前記第1電極、前記正孔輸送領域、前記発光層、前記電子輸送領域、及び前記第2電極をカバーする薄膜封止層であることを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光吸収剤及びこれを含む有機電界発光素子に関し、特に、可視光線の一部及び紫外線を効率的に吸収する光吸収剤及びこれを含む有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が活発に行われている。
有機電界発光表示装置は、液晶表示装置などとは異なり、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層で再結合させることにより、発光層に含まれる有機化合物である発光材料を発光させて表示を実現する、いわゆる自発光型の表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子としては、例えば、第1電極、第1電極上に提供された正孔輸送層、正孔輸送層上に提供された発光層、発光層上に提供された電子輸送層、及び電子輸送層上に提供された第2電極からなる有機素子が知られている。
第1電極からは正孔が注入され、注入された正孔は正孔輸送層を移動して発光層に注入される。
一方、第2電極からは電子が注入され、注入された電子は電子輸送層を移動して発光層に注入される。
発光層に注入された正孔と電子が再結合することにより、発光層内で励起子が生成される。
有機電界発光素子は、この励起子が再び基底状態に落ちるときに発生する光を利用して発光する。また、有機電界発光素子は、以上に説明した構成に限定されず、様々な変更が可能である。
【0004】
しかしながら、有機電界発光素子は、製造過程で紫外線に曝されたり、屋外使用による太陽光への露出などにより容易に劣化するという問題点があり、このため、紫外線及び一部の可視光線が有機電界発光素子の内部に入光することを遮断するための技術が継続的に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-134451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記従来の有機電界発光素子における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、可視光線の一部及び紫外線を効率的に吸収する光吸収剤及びこれを含む層が提供された有機電界発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明による光吸収剤は、下記に示す化学式1で表されることを特徴とする。
【化1】
ここで、化学式1において、Arはピレン、クリセン、またはアントラセンであり、Yは水素原子、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または置換されていない炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアクリレート基、置換または置換されていない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換または置換されていない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換または置換されていないカルボニル基、置換または置換されていないベンゾフェノン基、置換または置換されていないベンゾエート基、または置換または置換されていないサリシレート基であり、
前記化学式1は、下記に示す化学式(1-7)~(1-9)の何れか1つで表される
【化(1-7)】
【化(1-8)】
【化(1-9)】
Xは、下記に示す化学式(2-1)~(2-3)の何れか1つで表される。
【化(2-1)】
【化(2-2)】
【化(2-3)】
【0008】
前記化学式1は、下記に示す化学式(1-1)~(1-3)の何れか1つで表されることが好ましい。
【化(1-1)】
【化(1-2)】
【化(1-3)】
ここで、化学式(1-1)~(1-3)において、X及びYは上述と同様である。
【0009】
前記化学式1は、下記に示す化学式(1-4)~(1-6)の何れか1つで表されることが好ましい。
【化(1-4)】
【化(1-5)】
【化(1-6)】
ここで、化学式(1-4)~(1-6)において、X及びYは上述と同様である。
【0010】
前記化学式1は、下記に示す化学式(1-7)~(1-9)の何れか1つで表されることが好ましい。
【化(1-7)】
【化(1-8)】
【化(1-9)】
ここで、化学式(1-7)~(1-9)において、X及びYは上述と同様である。
【0011】
Yは、置換または置換されていないフェニル基、置換または置換されていないビフェニル基、置換または置換されていないナフチル基、置換または置換されていないアントラセン基、置換または置換されていないフェナントレン基、置換または置換されていないジベンゾフラン基、又は置換または置換されていないジベンゾチオフェン基であることが好ましい。
【0012】
前記Yは、下記に示す構造式の何れか1つで表されることが好ましい。
【0013】
前記Xは、化学式(2-1)で表され、Yは、下記に示す化学式3で表されることが好ましい。
【化3】
ここで、化学式3において、Rは、置換または置換されていない炭素数1以上5以下のアルキル基である。
【0014】
前記光吸収剤は、380nm以上410nm以下の波長範囲で、0.7以上の吸光度を有することが好ましい。
【0015】
上記目的を達成するためになされた本発明による有機電界発光素子は、第1電極と、前記第1電極上に配置される正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域上に配置される発光層と、前記発光層上に配置される電子輸送領域と、前記電子輸送領域上に配置される第2電極と、前記第1電極の下部及び前記第2電極の上部の少なくとも1つに配置される光吸収層と、を有し、前記光吸収層は、本発明の光吸収剤を含むことを特徴とする。
【0016】
前記光吸収層は、第2電極上に配置され、第2電極と接することが好ましい。
前記光吸収層は、第1電極、正孔輸送領域、発光層、電子輸送領域、及び第2電極をカバーする薄膜封止層であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の一実施形態として、第1電極上に配置される正孔輸送領域と、正孔輸送領域上に配置される発光層と、発光層上に配置される電子輸送領域と、電子輸送領域上に配置される第2電極と、第1電極の下部及び第2電極の上部の少なくとも1つに配置される光吸収層と、を有し、光吸収層は多環芳香族化合物を含む光吸収剤を含み、多環芳香族化合物は下記に示す化学式Aで表される構造を含む置換基で置換されたものある有機電界発光素子を提供する。
【化A】
ここで、化学式Aにおいて、
はそれぞれ独立して多環芳香族化合物に置換される位置であるか、水素原子または置換または置換されていない環形成炭素数6以上30以下のアリール基で置換される位置である。
【0018】
前記多環芳香族化合物は、ピレン、クリセン、またはアントラセンを含むものであることが好ましい。
前記多環芳香族化合物は、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または置換されていない炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアクリレート基、置換または置換されていない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換または置換されていない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換または置換されていないカルボニル基、置換または置換されていないベンゾフェノン基、置換または置換されていないベンゾエート基、又は置換または置換されていないサリシレート基でさらに置換されたものであることが好ましい。
【0019】
前記多環芳香族化合物は、下記に示す化学式3で表される置換基でさらに置換されたものであることが好ましい。
【化3】
ここで、化学式3において、Rは置換または置換されていない炭素数1以上5以下のアルキル基である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る光吸収剤は、可視光線の一部及び紫外線に対する光吸収率に優れ、また、本発明に係る光吸収剤を含む有機電界発光素子は、可視光線の一部及び紫外線が発光層などが入光することを効果的に遮断することができ、これにより、安定性、効率、及び寿命特性が改善されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る光吸収剤及びこれを含む有機電界発光素子を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0023】
各図を説明するにあたり、類似する構成要素には類似する参照符号を使用した。
添付の図面において、構造物の寸法は、本発明を明確にするために実際より拡大して示したものである。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるが、構成要素は上記用語により限定されてはならない。上記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
例えば、本発明の権利範囲から外れない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、同様に、第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は文脈上明らかに違う意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0024】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを指定するためであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性を事前に排除するものではないと理解すべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるというときは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下部に」あるというときは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に他の部分がある場合も含む。
【0025】
本明細書において、「置換または置換されていない」は、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、ホウ素基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びヘテロ環基からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換または置換されていないことを意味することができる。
また、上記例示した置換基のそれぞれは、置換または置換されていないものであってもよい。
例えば、ビフェニル基はアリール基と解釈されてもよく、フェニル基で置換されたフェニル基と解釈されてもよい。
【0026】
本明細書において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子がある。
【0027】
本明細書において、アルキル基は、直鎖、分岐鎖または環状であってもよい。
アルキル基の炭素数は、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下、または1以上6以下である。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3,7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2-エチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オキチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において、アルケニル基は直鎖または分岐鎖であってもよい。
炭素数は特に限定されないが、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。
アルケニル基の例としては、ビニル基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、1,3-ブタジエニルアリール基、スチレニル基、スチリルビニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において、アリール基は、芳香族炭化水素環から誘導された任意の作用基または置換基を意味する。
アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。
アリール基の環形成炭素数は6以上60以下、6以上30以下、6以上20以下、または6以上15以下であってもよい。
アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、キンクフェニル基、セクシフェニル基、ビフェニレン基、トリフェニレン基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、置換基2つが互いに結合してスピロ構造を形成することもできる。
フルオレニル基が置換される場合の例示は、下記に示す通りである。
但し、これによって限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、ヘテロアリール基はヘテロ原子であって、O、N、P、Si、及びSのうち1つ以上を含むヘテロアリール基であってもよい。
ヘテロアリール基がヘテロ原子を2つ含む場合、2つのヘテロ原子は互いに同一または異なってもよい。
ヘテロアリール基の環形成炭素数は2以上60以下、2以上30以下、または2以上20以下である。
ヘテロアリール基は、単環式ヘテロアリール基または多環式ヘテロアリール基であってもよい。
多環式ヘテロアリール基は、例えば、2環または3環構造を有するものであってもよい。
ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フェノキサジン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、N-アリールカルバゾール基、N-ヘテロアリールカルバゾール基、N-アルキルカルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアソール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、チエノチオフェン基、ベンゾフラン基、フェナントロリン基、チアゾール基、イソオキサゾール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、フェノチアジン基、ジベンゾシロール基、及びジベンゾフラン基などがあるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、シリル基は、アルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。
シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において、ホウ素基は、アルキルホウ素基及びアリールホウ素基を含む。
ホウ素基の例としては、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、ジフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などがあるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、アミノ基の炭素数は特に限定されないが、1以上30以下であってもよい。
アミノ基は、アルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含んでもよい。
アミノ基の例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9-メチル-アントラセニルアミノ基、トリフェニルアミノ基などがあるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、例えば、アルキル基及びアリール基の少なくとも1つで置換されてもよい。
ホスフィンオキシド基の例としては、フェニルホスフィンオキシド基、ジフェニルホスフィンオキシド基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限定されないが、例えば、炭素数1~30であってもよい。
【0037】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状であってもよい。
アルコキシ基の炭素数は、1以上30以下、1以上20以下、または1以上10以下であってもよい。
例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0038】
本明細書において、アクリレートの炭素数は1以上20以下、または1以上10以下であってもよい。
アクリレートのアルキル部(moiety)は、置換または置換されていないアルキル基またはシクロアルキル基であってもよい。
【0039】
まず、本発明の一実施形態による光吸収剤について説明する。
本発明の一実施形態による光吸収剤は、下記に示す化学式1で表される。
【化1】
ここで、化学式1において、Arはピレン(pyrene)、クリセン(chrysene)、またはアントラセン(anthracene)である。
【0040】
また、化学式1において、Yは水素原子、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または置換されていない炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアクリレート基、置換または置換されていない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換または置換されていない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換または置換されていないカルボニル基、置換または置換されていないベンゾフェノン基(benzophenone)、置換または置換されていないベンゾエート基(benzoate)、または置換または置換されていないサリシレート基(salicylate)である。
【0041】
化学式1において、Xは、下記に示す化学式(2-1)~(2-3)の何れか1つで表される。
【化(2-1)】
【化(2-2)】
【化(2-3)】
ここで、化学式(2-1)~(2-3)において、
は化学式1のArと連結される部位を意味する。
【0042】
化学式1は、例えば、下記に示す化学式(1-1)~(1-3)の何れか1つで表されることができる。
【化(1-1)】
【化(1-2)】
【化(1-3)】
ここで、化学式(1-1)~(1-3)において、X及びYは上述と同様である。
【0043】
化学式(1-1)は、例えば、下記に示す化学式(1-4)で表され、化学式(1-2)は、下記に示す化学式(1-5)で表され、化学式(1-3)は、下記に示す化学式(1-6)で表されることができる。
【化(1-4)】
【化(1-5)】
【化(1-6)】
ここで、化学式(1-4)~(1-6)において、X及びYは上述と同様である。
【0044】
化学式(1-1)は、例えば、下記に示す化学式(1-7)で表され、化学式(1-2)は、下記に示す化学式(1-8)で表され、化学式(1-3)は、下記に示す化学式(1-9)で表されることができる。
但し、X及びYの置換位置はこれに限定されるものではない。
【化(1-7)】
【化(1-8)】
【化(1-9)】
ここで、上記化学式(1-7)~(1-9)において、X及びYは上述と同様である。
【0045】
化学式(1-7)は、下記に示す化学式(1-10)~(1-12)の何れか1つで表されることができる。
【化(1-10)】
【化(1-11)】
【化(1-12)】
ここで、上記化学式(1-10)~(1-12)において、X及びYは上述と同様である。
【0046】
これに限定されるものではないが、化学式1におけるArはピレンであってもよい。
また、化学式1において、Yは水素原子であってもよい。この場合、化学式1のArは、Xでのみ置換されたものであってもよい。
また、化学式1において、Yは置換または置換されていない環形成炭素数6以上15以下のアリール基、または置換または置換されていない多環式ヘテロアリール基であってもよい。
【0047】
また、化学式1において、Yは置換または置換されていないフェニル基、置換または置換されていないビフェニル基、置換または置換されていないナフチル基、置換または置換されていないアントラセン基、置換または置換されていないフェナントレン基、置換または置換されていないジベンゾフラン基、又は置換または置換されていないジベンゾチオフェン基であってもよい。
また、化学式1において、Yは置換または置換されていないフェニル基、又は置換または置換されていないビフェニル基であってもよく、フェニル基及びビフェニル基が置換される場合、置換基は、例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基であってもよい。
【0048】
化学式1において、Yは、下記に示す化学式3で表されることができる。
【化3】
ここで、化学式3において、Rは置換または置換されていない炭素数1以上5以下のアルキル基である。
例えば、Rは置換または置換されていないメチル基であってもよい。
【0049】
化学式3は、下記に示す化学式(3-1)または化学式(3-2)で表されることができる。
【化(3-1)】
【化(3-2)】
ここで、化学式(3-1)及び(3-2)において、Rは上述と同様である。
【0050】
これに限定されるものではないが、化学式1において、Xは化学式(2-1)で表され、Yは化学式3で表されることができる。
【0051】
また、化学式1は、例えば、下記に示す化学式(1-13)で表されることができる。
【化(1-13)】
【0052】
また、化学式1において、Yは下記に示す構造式の何れか1つで表されることができる。
上記構造式において、
は化学式1のArと連結される部位を意味する。
【0053】
化学式1で表される光吸収剤は、紫外線及び一部の可視光線で最大吸収波長を有するものであり得る。
例えば、化学式1で表される光吸収剤は、380nm以上410nm以下の最大吸収波長を有するものであってもよい。
例えば、化学式1で表される光吸収剤は、380nm以上410nm以下の波長範囲で0.7以上の吸光度を有するものであってもよい。
これに限定されるものではないが、化学式1で表される光吸収剤は、380nm以上410nm以下の波長範囲で、0.8以上又は0.85以上の吸光度を有するものであってもよい。
【0054】
本発明の一実施形態による化学式1で表される光吸収剤は、下記に示す[化合物群1~44]に示されている化合物の中から選択される何れか1つであってもよい。
但し、これに限定されるものではない。
【0055】
本発明の一実施形態による光吸収剤は、紫外線及び一部の可視光線を効率的に吸収し、例えば、380nm以上410nm以下の最大吸収波長を有する。
より具体的には、本発明の一実施形態による光吸収剤は、380nm以上410nm以下の波長範囲で、0.7以上又は0.8以上の光吸光度を有し得る。
これにより、紫外線及び一部の可視光線の遮断が必要なところに適切に活用することができる。
例えば、本発明の一実施形態による光吸収剤は、有機電界発光素子に活用することができ、有機電界発光素子内の発光層などの有機層が紫外線及び一部の可視光線によって劣化することを防止又は最小化することができる。
【0056】
化学式1で表される光吸収剤は、後述する合成例に基づいて製造され得る。
但し、化学式1で表される光吸収剤の合成工程は、後述する合成例に限定されるものではなく、当技術分野に知られている反応条件であれば、いかなる条件であってもよい。
【0057】
以下では、本発明の一実施形態による有機電界発光素子について説明する。
以下では、上述した本発明の一実施形態による光吸収剤との相違点を中心に具体的に説明し、説明していない部分は上述した本発明の一実施形態による光吸収剤に従う。
本発明の一実施形態による有機電界発光素子は、上述した本発明の一実施形態による光吸収剤を含む。
【0058】
図1は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図であり、図2は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図であり、図3は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図であり、図4は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【0059】
図1図4を参照すると、本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、第2電極EL2、及び光吸収層LAを含む。光吸収層LAは、上述した本発明の一実施例による光吸収剤を含む。例えば、光吸収層LAは、下記に示す化学式1で表される光吸収剤を含む。
【化1】
ここで、化学式1において、X、Ar及びYに関する具体的な説明は、上述と同様である。
【0060】
光吸収層LAは、上述した本発明の一実施形態による光吸収剤を1種又は2種以上を含んでもよい。
上述した本発明の一実施形態による光吸収剤は、紫外線及び一部の可視光線で最大吸収波長を有するものであってもよく、例えば、380nm以上410nm以下の最大吸収波長を有するものであることができ、より具体的には、380nm以上410nm以下の波長範囲で0.7以上の吸光度を有するものであってもよい。
【0061】
第1電極EL1と第2電極EL2は互いに対向して配置され、第1電極EL1と第2電極EL2の間には、複数の有機層が配置され得る。
複数の有機層は、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETRを含み得る。
【0062】
光吸収層LAは、第1電極EL1の下部及び第2電極EL2の上部の少なくとも1つに配置される。
図1には光吸収層LAが第1電極EL1の上部に配置したものを示し、図2には光吸収層LAが第2電極EL2の下部に配置したものを示した。
図3及び図4には、光吸収層LAが第1電極EL1の下部及び第2電極EL2の上部にそれぞれ配置したものが示し、この場合、光吸収層LAは、第1電極EL1の下部に配置される第1光吸収層LA1、及び第2電極EL2の上部に配置される第2光吸収層LA2を含む。
【0063】
具体的には図に示さなかったが、上述した本発明の一実施形態による光吸収剤は、必要に応じて、光吸収層LA以外の構成要素にも含めることができる。
また、光吸収層LAは、上述した本発明の一実施形態による光吸収剤とともに公知の光吸収剤をさらに含んでもよい。
【0064】
図5は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図5を参照すると、光吸収層LAは、第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2をカバーする薄膜封止層である。
【0065】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、ベース基板BSをさらに含んでもよく、ベース基板BSの一面上に第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2が順に提供される。
薄膜封止層は、ベース基板BSとともに第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を密封して、酸素及び水分などが発光層EMLなどに浸透することを防止し、薄膜封止層が光吸収層LAの場合、紫外線及び一部の可視光線の浸透も防止することができるようになる。
【0066】
具体的には図に示さなかったが、薄膜封止層は、1層以上の無機層及び1層以上の有機層が交互に積層された多層構造であってもよく、有機層の少なくとも1つが上述した化学式1で表される光吸収剤を含むものであってもよい。
薄膜封止層の有機層は、上述した化学式1で表される光吸収剤の他に、公知の光吸収剤をさらに含むものであってもよい。
無機層は、公知の材料を含むことができ、例えば、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、チタンオキサイド、アルミニウムオキサイド、シリコンオキサイドのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0067】
但し、これによって限定されるものではなく、例えば、光吸収層LAは、第2電極EL2上に配置されるキャッピング層であってもよい。
キャッピング層は、上述した本発明の一実施形態による光吸収剤の他に、公知の物質をさらに含んでもよく、例えば、α-NPD、NPB、TPD、m-MTDATA、Alq3、CuPc、TPD15(N4,N4,N4’,N4’-tetra(biphenyl-4-yl)biphenyl-4,4’-diamine)、TCTA(4,4’,4’’-Tris(carbazol sol-9-yl)triphenylamine)、N,N’-bis(naphthalen-1-yl)などを含むものであってもよい。
キャッピング層は、発光層EMLから放出された光が有機電界発光素子10の外部に効率的に出射されるようにサポートする役割をする。
【0068】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子10がキャッピング層及び薄膜封止層の両方を含む場合、キャッピング層は、第2電極EL2と薄膜封止層との間に提供されてもよく、キャッピング層及び薄膜封止層の少なくとも1つが上述した本発明の一実施形態による光吸収剤を含んでもよい。
【0069】
具体的には図に示さなかったが、光吸収層LAが第1電極EL1の下部に提供される場合、光吸収層LAは、第1電極EL1とベース基板BSとの間に配置してもよい。
光吸収層LAの厚さは、例えば、約500Å~1000Åであってもよい。但し、これによって限定されるものではなく、必要に応じて厚さは調節してもよい。
光吸収層LAは、上述した本発明の一実施形態による光吸収剤の他に、他の構成要素をさらに含むことができ、例えば、酸化防止剤、バインダーなどをさらに含んでもよい。
但し、これによって限定されるものではない。
【0070】
光吸収層LAは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザープリント法、レーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging:LITI)などの様々な方法を利用して形成することができる。
【0071】
以下では、また、図1図4を参照して各層について具体的に説明する。
第1電極EL1は導電性を有する。
第1電極EL1は画素電極又は正極であり得る。
第1電極EL1は透過型電極、半透過型電極、又は反射型電極であり得る。
【0072】
第1電極EL1が透過型電極の場合、第1電極EL1は、透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などを含むことができる。
第1電極EL1が半透過型電極又は反射型電極の場合、第1電極EL1は、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、又はこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含んでもよい。
【0073】
または、上記物質で形成された反射膜や半透過膜及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどで形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
例えば、第1電極EL1は、ITO/Ag/ITOの3層構造であってもよいが、これに限定されるものではない。
第1電極EL1の厚さは、約1000Å~約10000Å、例えば、約1000Å~約3000Åであってもよい。
【0074】
正孔輸送領域HTRは、第1電極EL1上に配置される。
正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層、及び電子阻止層の少なくとも1つを含んでもよい。
正孔輸送領域HTRの厚さは、例えば、約1000Å~約1500Åであってもよい。
正孔輸送領域HTRは、単一物質からなる単一層、複数の異なる物質からなる単一層又は複数の異なる物質からなる複数の層を有する多層構造であってもよい。
【0075】
例えば、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL又は正孔輸送層HTLの単一層の構造であってもよく、正孔注入物質と正孔輸送物質からなる単一層構造であってもよい。
また、正孔輸送領域HTRは、複数の異なる物質からなる単一層の構造であるか、第1電極EL1から順に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、正孔注入層HIL/正孔バッファ層、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層または正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/電子阻止層の構造であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0076】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェットプリント法、レーザープリント法、レーザー熱転写法などの様々な方法を利用して形成することができる。
【0077】
正孔注入層HILは、例えば、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)などのフタロシアニン(phthalocyanine)化合物;DNTPD(N,N’-diphenyl-N,N’-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4’-diamine)、m-MTDATA(4,4’,4’’-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)、TDATA(4,4’4’’-Tris(N,N-diphenylamino)triphenylamine)、2-TNATA(4,4’,4’’-tris{N,-(2-naphthyl)-N-phenylamino}-triphenylamine)、PEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、PANI/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、PANI/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid)、PANI/PSS((Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate))、NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、トリフェニルアミンを含むポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-Isopropyl-4’-methyldiphenyliodonium Tetrakis(pentafluorophenyl)borate]、HAT-CN(dipyrazino[2,3-f:2’,3’-h]quinoxaline-2,3,6,7,10,11-hexacarbonitrile)などを含んでもよい。
【0078】
正孔輸送層HTLは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N,N’-bis(3-methylphenyl)-N,N’-diphenyl-[1,1-biphenyl]-4,4’-diamine)、TCTA(4,4’,4’’-tris(N-carbazolyl)triphenylamine)などのトリフェニルアミン系誘導体、NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)、TAPC(4,4’-Cyclohexylidene bis[N,N-bis(4-methylphenyl)benzenamine])、HMTPD(4,4’-Bis[N,N’-(3-tolyl)amino]-3,3’-dimethylbiphenyl)、mCP(1,3-Bis(N-carbazolyl)benzene)などを含んでもよい。
【0079】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約100Å~約10000Å、例えば、約100Å~約1000Åであってもよい。
正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLの両方を含むと、正孔注入層HILの厚さは100Å~約1000Åで、正孔輸送層HTLの厚さは約30Å~約1000Åであり得る。
正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、及び正孔輸送層HTLの厚さが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の正孔輸送特性を得ることができる。
【0080】
正孔輸送領域HTRは、上述した物質の他に、導電性の向上のために電荷生成物質をさらに含んでもよい。
電荷生成物質は、正孔輸送領域HTR内に均一又は不均一に分散され得る。
電荷生成物質は、例えば、pドーパント(dopant)であってもよい。
pドーパントは、キノン(quinone)誘導体、金属酸化物、及びシアノ(cyano)基含有化合物のうち1つであってもよいが、これに限定されるものではない。
例えば、pドーパントの非制限的な例としては、TCNQ(Tetracyanoquinodimethane)及びF4-TCNQ(2,3,5,6-tetrafluoro-tetracyanoquinodimethane)などのキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物などの金属酸化物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
上述したように、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLの他に、正孔バッファ層及び電子阻止層の少なくとも1つをさらに含んでもよい。
正孔バッファ層は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して、光放出効率を増加させることができる。
正孔バッファ層に含まれる物質としては、正孔輸送領域HTRに含まれ得る物質を使用することができる。
電子阻止層は、電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子注入を防止する役割を担う層である。
【0082】
発光層EMLは、正孔輸送領域HTR上に配置される。
発光層EMLは、例えば、約100Å~約1000Å、又は、約100Å~約300Åの厚さを有してもよい。
発光層EMLは、単一物質からなる単一層、複数の異なる物質からなる単一層又は複数の異なる物質からなる複数の層を有する多層構造であってもよい。
【0083】
発光層EMLは、公知の材料を含んでもよい。
例えば、スピロ-DPVBi(spiro-DPVBi)、スピロ-6P(spiro-6P、2,2’,7,7’-tetrakis(biphenyl-4-yl)-9,9’-spirobifluorene(spiro-sexiphenyl))、DSB(distyryl-benzene)、DSA(distyryl-arylene)、PFO(Polyfluorene)系高分子及びPPV(poly(p-phenylene vinylene)系高分子からなる群より選択された何れか1つを含む蛍光物質をさらに含んでもよい。
例えば、アントラセン系化合物、アリールアミン系化合物、又はスチリル系化合物を含んでもよい。
また、発光層EMLは、公知の燐光物質を含んでもよい。
【0084】
発光層EMLは、ホスト及びドーパントを含み得る。
ホストは、通常使用される物質であれば特に限定しないが、例えば、Alq(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)、CBP(4,4’-bis(N-carbazolyl)-1,1’-biphenyl)、PVK(poly(n-vinylcabazole)、ADN(9,10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)、TCTA(4,4’,4’’-Tris(carbazol-9-yl)-triphenylamine)、TPBi(1,3,5-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene)、TBADN(3-tert-butyl-9,10-di(naphth-2-yl)anthracene)、DSA(distyrylarylene)、CDBP(4,4’-bis(9-carbazolyl)-2,2’-dimethyl-biphenyl)、MADN(2-Methyl-9,10-bis(naphthalen-2-yl)anthracene)、DPEPO(bis[2-(diphenylphosphino)phenyl]ether oxide)、CP1(Hexaphenyl cyclotriphosphazene)、UGH2(1,4-Bis(triphenylsilyl)benzene)、DPSiO(Hexaphenylcyclotrisiloxane)、DPSiO(Octaphenylcyclotetra siloxane)、PPF(2,8-Bis(diphenylphosphoryl)dibenzofuran)などを使用することができる。
【0085】
ドーパントは、例えば、スチリル誘導体(例えば、1,4-bis[2-(3-N-ethylcarbazoryl)vinyl]benzene(BCzVB)、4-(di-p-tolylamino)-4’-[(di-p-tolylamino)styryl]stilbene(DPAVB)、N-(4-((E)-2-(6-((E)-4-(diphenylamino)styryl)naphthalen-2-yl)vinyl)phenyl)-N-phenylbenzenamine(N-BDAVBi)、ペリレン及びその誘導体(例えば、2,5,8,11-Tetra-t-butylperylene(TBP))、ピレン及びその誘導体(例えば、1,1-dipyrene、1,4-dipyrenylbenzene、1,4-Bis(N,N-Diphenylamino)pyrene)、Ir(ppy)([bis-(1-フェニルイソキノリル)イリジウム(III)アセチルアセトネート])、Ir(dpbic)、TPDなどのドーパントを含んでもよい。
【0086】
発光層EMLは、燐光発光するものであっても、蛍光発光するものであってもよい。
また、発光層EMLは、熱活性遅延蛍光を放射するものであってもよい。
発光層EMLは、赤色光、緑色光、青色光、白色光、黄色光、シアン光の何れか1つを発光するものであってもよい。
【0087】
電子輸送領域ETRは、発光層EML上に配置される。
電子輸送領域ETRは、正孔阻止層、電子輸送層ETL、及び電子注入層EILの少なくとも1つを含んでもよいが、これに限定されるものではない。
電子輸送領域ETRは、単一物質からなる単一層、複数の異なる物質からなる単一層又は複数の異なる物質からなる複数の層を有する多層構造であってもよい。
【0088】
例えば、電子輸送領域ETRは、電子注入層EIL又は電子輸送層ETLの単一層の構造であってもよく、電子注入物質と電子輸送物質からなる単一層構造であってもよい。
また、電子輸送領域ETRは、複数の異なる物質からなる単一層の構造であるか、発光層EMLから順に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造であってもよいが、これに限定されるものではない。
電子輸送領域ETRの厚さは、例えば、約1000Å~約1500Åであってもよい。
【0089】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェットプリント法、レーザープリント法、レーザー熱転写法などの様々な方法を利用して形成することができる。
【0090】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含む場合、電子輸送領域ETRはアントラセン系化合物を含んでもよい。
但し、これに限定されるものではなく、電子輸送領域は、例えば、Alq(Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum)、1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene、2,4,6-tris(3’-(pyridin-3-yl)biphenyl-3-yl)-1,3,5-triazine、2-(4-(N-phenylbenzoimidazolyl-1-ylphenyl)-9,10-dinaphthylanthracene、TPBi(1,3,5-Tri(1-phenyl-1H-benzo[d]imidazol-2-yl)phenyl)、BCP(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)、Bphen(4,7-Diphenyl-1,10-phenanthroline)、TAZ(3-(4-Biphenylyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole)、NTAZ(4-(Naphthalen-1-yl)-3,5-diphenyl-4H-1,2,4-triazole)、tBu-PBD(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1、3,4-oxadiazole)、BAlq(Bis(2-methyl-8-quinolinolato-N1、O8)-(1,1’-Biphenyl-4-olato)aluminum)、Bebq(berylliumbis(benzoquinolin-10-olate)、ADN(9,10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)、及びこれらの混合物を含むものであってもよい。
電子輸送層ETLの厚さは、約100Å~約1000Å、例えば、約150Å~約500Åであってもよい。
電子輸送層ETLの厚さが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子輸送特性を得ることができる。
【0091】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合、電子輸送領域ETRは、LiF、LiQ(Lithium quinolate)、LiO、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタノイド金属、又はRbCl、RbIのようなハロゲン化金属などを使用してもよいが、これに限定されるものではない。
また、電子注入層EILは、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metal salt)が混合された物質からなってもよい。
有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が約4eV以上の物質であってもよい。
具体的には、例えば、有機金属塩は、金属アセテート(metal acetate)、金属ベンゾエート(metal benzoate)、金属アセトアセテート(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトネート(metal acetylacetonate)、又は金属ステアレート(stearate)を含んでもよい。
電子注入層EILの厚さは、約1Å~約100Å、約3Å~約90Åであってもよい。
電子注入層EILの厚さが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子注入特性を得ることができる。
【0092】
電子輸送領域ETRは、上述したように、正孔阻止層を含んでもよい。
正孔阻止層は、例えば、BCP(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)及びBphen(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)の少なくとも1つを含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0093】
第2電極EL2は、電子輸送領域ETR上に配置される。
第2電極EL2は、共通電極又は負極であり得る。
第2電極EL2は、透過型電極、半透過型電極、又は反射型電極であってもよい。
第2電極EL2が透過型電極の場合、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなってもよい。
【0094】
第2電極EL2が半透過型電極又は反射型電極の場合、第2電極EL2は、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、又はこれらを含む化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含んでもよい。
または上記物質で形成された反射膜や半透過膜及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどで形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
図に示さなかったが、第2電極EL2は補助電極と連結されてもよい。
第2電極EL2が補助電極と連結されると、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0095】
有機電界発光素子10において、第1電極EL1と第2電極EL2にそれぞれ電圧が印加されることによって、第1電極EL1から注入された正孔(hole)は正孔輸送領域HTRを経て発光層EMLに移動し、第2電極EL2から注入された電子は電子輸送領域ETRを経て発光層EMLに移動する。
電子と正孔は、発光層EMLで再結合して励起子(exciton)を生成し、励起子が励起状態から基底状態に落ちながら発光するようになる。
有機電界発光素子10が前面発光型の場合、第1電極EL1は反射型電極で、第2電極EL2は透過型電極又は半透過型電極であってもよい。
有機電界発光素子10が背面発光型の場合、第1電極EL1は透過型電極又は半透過型電極で、第2電極EL2は反射型電極であってもよい。
【0096】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、化学式1で表される光吸収剤を含む光吸収層LAを第1電極EL1の下部及び第2電極EL2の上部の少なくとも1つに提供することにより、発光層EMLなどに紫外線及び一部の可視光線が入光することを効果的に防止することができ、これにより、安定性、効率及び寿命特性が改善される。
【0097】
以下では、本発明の一実施形態による有機電界発光素子について説明する。
以下では、上述した本発明の一実施形態による有機電界発光素子との相違点を中心に具体的に説明し、説明していない部分は上述の内容に従う。
【0098】
図1図5を参照すると、本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、第2電極EL2、及び光吸収層LAを含み、光吸収層LAは多環芳香族化合物を含む光吸収剤を含み、多環芳香族化合物は、下記に示す化学式Aで表される構造を含む置換基で置換される。
【化A】
ここで、上記化学式Aにおいて、
はそれぞれ独立して上記多環芳香族化合物に置換される位置であるか、水素原子または置換または置換されていない環形成炭素数6以上30以下のアリール基で置換される位置である。
【0099】
「化学式Aで表される構造を含む置換基」は、置換基構造に化学式Aで表される構造が含まれることを意味し、例えば、化学式Aで表される構造に他の置換基がさらに置換されている構造も含むことができる。
「化学式Aで表される構造を含む置換基」は、例えば、上述した化学式(2-1)~(2-3)の何れか1つで表されることができる。
【0100】
多環芳香族化合物は、例えば、2環、3環または4環芳香族化合物であってもよい。
多環芳香族化合物は、例えば、ピレン、クリセン、又はアントラセンを含むものであってもよい。
【0101】
多環芳香族化合物は、化学式Aで表される構造を含む置換基の他に、他の置換基でさらに置換された構造であってもよい。
例えば、多環芳香族化合物は、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または置換されていない炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換または置換されていない炭素数1以上20以下のアクリレート基、置換または置換されていない環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換または置換されていない環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、置換または置換されていないカルボニル基、置換または置換されていないベンゾフェノン基、置換または置換されていないベンゾエート基、または置換または置換されていないサリシレート基でさらに置換されたものであってもよい。
【0102】
多環芳香族化合物は、置換または置換されていない環形成炭素数6以上15以下のアリール基、または置換または置換されていない多環式ヘテロアリール基でさらに置換されたものであってもよい。
多環芳香族化合物は、置換または置換されていないフェニル基、置換または置換されていないビフェニル基、置換または置換されていないナフチル基、置換または置換されていないアントラセン基、置換または置換されていないフェナントレン基、置換または置換されていないジベンゾフラン基、または置換または置換されていないジベンゾチオフェン基でさらに置換されたものであってもよい。
【0103】
多環芳香族化合物は、置換または置換されていないフェニル基、または置換または置換されていないビフェニル基であってもよく、フェニル基及びビフェニル基が置換される場合、置換基は、例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基でさらに置換されたものであってもよい。
多環芳香族化合物は、上述した化学式3で表される置換基でさらに置換されたものであってもよい。
【0104】
多環芳香族化合物は、下記に示す構造式のうち何れか1つでさらに置換されたものであってもよい。
ここで、上記構造式において、
は多環芳香族化合物と連結される部位を意味する。
【0105】
多環芳香族化合物は、上述した[化合物群1~44]に示されている化合物から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0106】
以下、具体的な実施例及び比較例を通じて本発明をより具体的に説明する。
下記に示す実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲は、これに限定されない。
【0107】
≪合成例≫
本発明の一実施例による光吸収剤は、例えば、下記のように合成することができる。
但し、本発明の一実施形態による光吸収剤の合成方法は、これに限定されるものではない。
【0108】
<1.化合物1の合成>
【0109】
(中間体1-1の合成)
ピレン(2.02g)(10mmol)、2-methoxybenzoyl chloride(1.701g)をMC(50mL)に溶かした後、AlCl(1.333g)をゆっくり加えた。
上記反応溶液の温度を常温に上げて6時間室温で攪拌した。
反応が終結した後、HO(30mL)を添加し、MC(30mL)で3回抽出して、収得した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製して中間体1-1(3.363g)(収率100%)を得た。
【0110】
(化合物1の合成)
中間体1-1(3.363g)(10mmol)をMC(50mL)に溶かした後、0℃でBBr(5.58mL)(60mmol)をゆっくり滴加した。
上記反応溶液の温度を常温に上げて24時間室温で攪拌した。
反応が終結した後、HO(30mL)を添加し、MC(30mL)で3回抽出して、収得した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物1(2.254g)(収率70%)を得た。
【0111】
<2.化合物9の合成>
【0112】
(中間体9-1の合成)
ピレンの代わりに1-ブロモピレンを使用したことを除き、中間体1-1の合成と同様の方法で中間体9-1(4.152g)(収率100%)を得た。
【0113】
(中間体9-2の合成)
中間体1-1の代わりに中間体9-1を使用したことを除き、化合物1の合成と同様の方法で中間体9-2(4.895g)(収率100%)を得た。
【0114】
(化合物9の合成)
窒素大気下で、中間体9-2(4.895g)(10mmol)、3-ジベンゾフランボロン酸(2.121g)(10mmol)、Pd(PPh(0.578g)(0.5mmol)及びKCO(2.762g)(20mmol)をTHF/HO(2/1体積比)混合溶液(100mL)に溶かした後、80℃で12時間攪拌した。
上記反応溶液を室温に冷やした後、水50mLを加えてエチルエーテル(150mL)で3回抽出した。
収得した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物9(3.416g)(7mmol、収率70%)を得た。
【0115】
<3.化合物15の合成>
【0116】
(中間体15-1の合成)
ピレンの代わりに2-ブロモピレンを使用したことを除き、中間体1-1の合成と同様の方法で中間体15-1(4.152g)(収率100%)を得た。
【0117】
(中間体15-2の合成)
中間体1-1の代わりに中間体15-1を使用したことを除き、化合物1の合成と同様の方法で中間体15-2(4.895g)(収率100%)を得た。
【0118】
(化合物15の合成)
中間体9-2の代わりに中間体15-2、3-ジベンゾフランボロン酸の代わりに4-ジベンゾチオフェンホロン酸を使用したことを除き、化合物9の合成と同様の方法で化合物15(3.415g)(収率70%)を得た。
【0119】
<4.化合物27の合成>
【0120】
(中間体27-1の合成)
中間体9-2の代わりに6,12-ジブロモクリセン、3-ジベンゾフランボロン酸の代わりに(3-acetyl-4-methoxyphenyl)boronic acidを使用したことを除き、化合物9の合成と同様の方法で中間体27-1(3.185g)(収率70%)を得た。
【0121】
(中間体27-2の合成)
中間体1-1の代わりに中間体27-1を使用したことを除き、化合物1の合成と同様の方法で中間体15-2(3.087g)(収率100%)を得た。
【0122】
(化合物27の合成)
中間体9-2の代わりに中間体27-2、3-ジベンゾフランボロン酸の代わりに3-アニソールボロン酸を使用したことを除き、化合物9の合成と同様の方法で化合物27(2.293g)(収率70%)を得た。
【0123】
<5.化合物35の合成>
【0124】
(中間体35-1の合成)
ピレンの代わりに9-ブロモアントラセンを使用したことを除き、中間体1-1の合成と同様の方法で中間体35-1(3.912g)(収率100%)を得た。
【0125】
(中間体35-2の合成)
中間体1-1の代わりに中間体35-1を使用したことを除き、化合物1の合成と同様の方法で中間体35-2(3.772g)(収率100%)を得た。
【0126】
(化合物15の合成)
中間体9-2の代わりに中間体35-2、3-ジベンゾフランボロン酸の代わりに4-アニソールボロン酸を使用したことを除き、化合物9の合成と同様の方法で化合物35(2.828g)(収率70%)を得た。
【0127】
<6.化合物41の合成>
【0128】
3-ジベンゾフランボロン酸の代わりに2-メトキシ-ブロモピレンを使用したことを除き、化合物9の合成と同様の方法で化合物41(4.152g)(収率80%)を得た。
【0129】
合成例で合成した化合物1、9、15、27、35、及び41のNMR及び分子量の分析した結果は、下記に示す表1の通りである。
【表1】
【0130】
合成例で合成した化合物1、9、15、27、35、及び41の光透過度は、下記に示す表2の通りである。
【表2】
表2の結果値は、SHIMADZU製 UV-1800装置を利用してトルエン溶媒下で、10-5M濃度で測定した値である。
【0131】
上記表2を参照すると、実施例1~実施例6の化合物は、特定の波長領域における光吸収度に優れていることが分かる。
具体的には、実施例1~実施例6の化合物は、380nm以上410nm以下で高い光吸収度を有することが分かり、より具体的には、380nm以上410nm以下の波長範囲で0.7以上の吸光度を有することが分かる。
【0132】
従って、本発明の一実施形態による光吸収剤は、紫外線及び一部の可視光線に対する光吸収度に優れており、これを光吸収層に適用した有機電界発光素子は、外部光による劣化が効果的に防止され、効率及び寿命特性に優れる。
【0133】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0134】
10 有機電界発光素子
BS ベース基板
EIL 電子注入層
EL1 第1電極
EL2 第2電極
EML 発光層
ETL 電子輸送層
ETR 電子輸送領域
HIL 正孔注入層
HTR 正孔輸送領域
HTL 正孔輸送層
LA 光吸収層
LA1、LA2 第1、第2光吸収層
図1
図2
図3
図4
図5