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  • 特許-光学分波装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】光学分波装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/18 20060101AFI20230310BHJP
   G02B 27/10 20060101ALI20230310BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G01J3/18
G02B27/10
G02B5/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018553905
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2017113888
(87)【国際公開番号】W WO2019104621
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】518357151
【氏名又は名称】コー, チェン・ハオ
【氏名又は名称原語表記】KO, Cheng-Hao
【住所又は居所原語表記】No.37, Kangzhuang St., Zhudong Township, Hsinchu County 310, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】コー, チェン・ハオ
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0135740(US,A1)
【文献】特開平06-070095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0114928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00- G01J 3/51
G01J 1/02- G01J 1/04
G01N 21/00- G01N 21/01
G01N 21/17- G01N 21/74
G02B 5/18
G02B 27/10- G02B 27/16
G02B 27/42- G02B 27/46
G03B 3/00
H04B 10/60- H04B 10/69
H04J 14/00- H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学分波装置であって、
第一基板と、前記第一基板の上に形成され、光学信号を受信するためのスリットを有する入力ユニットと、前記第一基板の上に形成され、前記光学信号に対して分光した後に出力ビームを生じる回折格子と、前記第一基板の上に形成され、前記出力ビームを反射する反射鏡と、前記入力ユニット、前記回折格子、前記反射鏡の上に配置され、前記第一基板との間で導波路空間を形成する第二基板を含む導波路ユニットと、
前記導波路ユニットの外部に配置され、前記出力ビームの射出角度を変更し、また前記出力ビームの焦点距離を調整する調整可能反射ユニットと、
を含み、
前記導波路ユニットと前記調整可能反射ユニットは、外部ハウジングによって包まれたものであり、
前記外部ハウジングの底面にはシュートが配置され、前記シュート内でスライドできる滑動部品を更に備え、
前記調整可能反射ユニットは、前記出力ビームの焦点距離を調整するために前記滑動部品と連動している、ことを特徴とする光学分波装置。
【請求項2】
前記入力ユニット、前記回折格子、前記反射鏡は、高エネルギー光源をフォトレジスト層に対して露光することによって形成され、前記高エネルギー光源の波長範囲は、0.01ナノから100ナノまでである、請求項1に記載の光学分波装置。
【請求項3】
前記回折格子は、凹面や凸面、または平面の輪郭を持ち、またその正面は鋸歯態様、正弦波態様、或いは前記態様の組み合わせである、請求項1に記載の光学分波装置。
【請求項4】
光学分波装置であって、
第一基板と、前記第一基板の上に形成され、光学信号を受信するためのスリットを有する入力ユニットと、前記第一基板の上に形成され、前記光学信号に対して分光した後に出力ビームを生じる回折格子と、前記入力ユニット、前記回折格子の上に配置され、前記第一基板との間で導波路空間を形成する第二基板を含む導波路ユニットと、
前記導波路ユニット外部に配置され、前記出力ビームを反射する反射鏡と
前記導波路ユニット外部に配置され、前記出力ビームの射出角度を変更し、また前記出力ビームの焦点距離を調整する調整可能反射ユニットと、
を含み、
前記導波路ユニットと前記調整可能反射ユニットは、外部ハウジングによって包まれたものであり、
前記外部ハウジングの底面にはシュートが配置され、前記シュート内でスライドできる滑動部品を更に備え、
前記調整可能反射ユニットは、前記出力ビームの焦点距離を調整するために前記滑動部品と連動している、ことを特徴とする光学分波装置。
【請求項5】
前記入力ユニットと前記回折格子は、高エネルギー光源をフォトレジスト層に対して露光することによって形成され、前記高エネルギー光源の波長範囲は、0.01ナノから100ナノまでである、請求項4に記載の光学分波装置。
【請求項6】
前記回折格子は、凹面や凸面、または平面の輪郭を持ち、またその正面は鋸歯態様、正弦波態様、或いは前記態様の組み合わせである、請求項4に記載の光学分波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学分波装置に関し、特に、体積を小型化させるとともに分光の精度を上げることができる光学分波装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の分光器は、プリズムや回折格子、または干渉素子などの分光器によって分散効果を達成するものであるが、全体の体積と分光分析の能力との間で妥協しあわなくてはならないため、従来の高解像度分光器は光学系が膨大、複雑で、値段も高い。
【0003】
分光器の体積を小型化させるためのLIGA(Lithography,Electroplating,and Molding)とは、リソグラフィー、電気メッキ、成形を結びつけた微細加工プロセスであり、微細構造の加工時での高精度を保つことができ、また微細構造を数百から数千ミクロンの厚さにさせることができる。格子は構造として間隔が小さいため、LIGA(Lithography,Electroplating,and Molding)の成形工程の収量と分光精度は、垂直の回折格子の製造にあたって不足がある。
【0004】
さらに、加工プロセスのパラメーターに問題がある場合、分光器が光を集束する際に偏移が出でおり、分光器の精度を下げることになってしまう。したがって、体積を小型化させるとともに分光の精度を上げることができる光学分波装置を如何に実現するのかは、実に有意義な方向である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的の一つとは、体積を小型化させるとともに分光の精度を上げることができる光学分波装置を開示するものである。
【0006】
前記目的を達成するための、本発明の光学分波装置は、
第一基板と、第一基板の上に形成され、光学信号を受信するためのスリットを有する入力ユニットと、第一基板の上に形成され、光学信号に対して分光した後に出力ビームを生じる回折格子と、第一基板の上に形成され、出力ビームを反射する反射鏡と、入力ユニット、回折格子、反射鏡の上に配置され、第一基板との間で導波路空間を形成する第二基板を含む導波路ユニット、
導波路ユニットの外部に配置され、出力ビームの射出角度を変更し、また出力ビームの焦点距離を調整する調整可能反射ユニット、
が含まれている。
【0007】
本発明の実施例の一つによれば、入力ユニット、回折格子、反射鏡は、さらに高エネルギー光源がフォトレジスト層に対して露光することによって形成され、また高エネルギー光源の波長範囲は、0.01ナノから100ナノまでである。
【0008】
本発明の実施例の一つによれば、回折格子は凹面や凸面、または平面の輪郭を持ち、またその正面は連続薄片態様、鋸歯態様、火炎態様、正弦波態様、或いは前記態様の組み合わせである。
【0009】
本発明の実施例の一つによれば、導波路ユニットと調整可能反射ユニットは外部ハウジングによって包まれたものである。
【0010】
本発明の実施例の一つによれば、外部ハウジングの底面にはシュートが配置され、またそのなかではシュート内でスライドできるようにする滑動部品を備えている。しかも、調整可能反射ユニットは、出力ビームの焦点距離を調整するために滑動部品と連動している。
【0011】
前記目的を達成するための、本発明に関するもう一つの光学分波装置は、
第一基板と、第一基板の上に形成され、光学信号を受信するためのスリットを有する入力ユニットと、第一基板の上に形成され、光学信号に対して分光した後に出力ビームを生じる回折格子と、入力ユニット、回折格子、反射鏡の上に配置され、第一基板との間で導波路空間を形成する第二基板と、
導波路ユニット外部に配置され、出力ビームを反射する反射鏡を含む導波路ユニット、
導波路ユニット外部に配置され、出力ビームの射出角度を変更し、また出力ビームの焦点距離を調整する調整可能反射ユニット、
が含まれている。
【0012】
本発明の実施例の一つによれば、入力ユニットと回折格子は、さらに高エネルギー光源がフォトレジスト層に対して露光することによって形成され、また該高エネルギー光源の波長範囲は、0.01ナノから100ナノまでである。
【0013】
本発明の実施例の一つによれば、回折格子は凹面や凸面、または平面の輪郭を持ち、またその正面は連続薄片態様、鋸歯態様、火炎態様、正弦波態様、或いは前記態様の組み合わせである。
【0014】
本発明の実施例の一つによれば、導波路ユニットと調整可能反射ユニットは外部ハウジングによって包まれたものである。
【0015】
本発明の実施例の一つによれば、外部ハウジングの底面にはシュートが配置され、またそのなかではシュート内でスライドできるようにする滑動部品を備えている。しかも調整可能反射ユニットは、出力ビームの焦点距離を調整するために滑動部品と連動している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明によるより好ましい実施例の光学分波装置の示す図である。
図2図2は本発明によるより好ましい実施例の光学分波装置の示す図である。
図3図3は本発明によるより好ましい実施例の光学分波装置の示す図である。
【実施例
【0017】
下記は、この分野の技術者が本発明を達成できるようにするための、本発明を開示するものである。下記で示すより好ましい実施例はあくまでも例であり、ほかの分かりやすい変形案を取り上げることも可能である。下記で定義された本発明の基本原理は、ほかの実施案、変形案、改善案、同等案、また本発明の精神と範囲に離れてないほかの技術案にも応用可能である。
【0018】
本発明の開示にあたって、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」など示した方位または位置関係は、図で示した方位または位置関係に基づいたもので、あくまでも本発明に関する説明を簡単に示すために使われたものである。示された装置またはデバイスが特定された方位に限定されず、また特定された方位によって構築や操作されることに限定されない。方位は、当業者の理解を助けるため記載されたもので、方位の用語は本発明に対する制限として理解すべきではない。
【0019】
用語の「一つ」は、「少なくとも一つ」或いは「一個または複数」と理解すべきである。すなわち一つの実施例では、一つのデバイスの数は一つでもよいし、また別の実施例では、デバイスの数は複数でもよい。つまり用語の「一つ」は数量に対する制限として理解すべきではない。
【0020】
明細書と関連の特許請求範囲ではいくつかの言葉で特定のデバイスを指しているが、当業者であれば、ハードウェアメーカーが異なる名称を使って同じデバイスを指す可能性があることを理解できる。本明細書と関連の特許請求範囲では、名称の違いによってデバイスを区別するのではなく、デバイスの機能上の差異によって区別をする。明細書全体と関連の特許請求の範囲で言及する「含む」とは開放的な用語で、「含むが限定ではない」と解釈すべきである。
【0021】
図1には、本発明における光学分波装置が開示されている。光学分波装置(10)は、導波路ユニット(11)と調整可能反射ユニット(12)によって構成されている。導波路ユニット(11)と調整可能反射ユニット(12)は、外部ハウジング(13)と蓋(14)によって包まれている。導波路ユニット(11)は、第一基板(111)、入力ユニット(112)、回折格子(113)、反射鏡(114)、第二基板(116)を有する。入力ユニット(112)は、第一基板(111)の上に形成され、スリット(115)を通じて光学信号を受信する。スリット(115)の広さは5ミクロン(μm)から500ミクロンまでである。回折格子(113)は、第一基板(111)の上に形成され、光学信号によってデフォーカス集束ビームである第一ビームを出力することができ、つまり分光の効果を生み出し、そしてそれを第一基板の上にある反射鏡(114)に射し込むことによって形成されている。なお、入力ユニット(112)、回折格子(113)、反射鏡(114)は第一基板の上に形成され、高エネルギー光源を通じてフォトレジスト層に対して露光することによって形成されている。前記の高エネルギー光源はX線、軟X線、超紫外線のいずれかである。X線の波長は0.01ナノ(nm)から1ナノまでである。軟X線の波長は0.1ナノから10ナノまでである。超紫外線の波長は10ナノから120ナノまでである。第一基板(111)と第二基板(116)は、半導体基板、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板のいずれかである。なお、地域光通信分野において、表面の粗さの制限のため、高エネルギー光源の波長が0.1ナノから1ナノとすることは、1ナノから100ナノまでとするより好ましい。また、フォトレジスト層の材質はSU-8或いはアクリル樹脂(PMMA)である。
【0022】
回折格子(113)は凹面や凸面、または平面の輪郭を持ち、またその正面は連続薄片態様、鋸歯態様、火炎態様、正弦波態様、或いは前記態様の組み合わせである。通常では、回折格子(113)は特定された回折レベルの回折効率を増やすために使われたもので、最も適切な光学信号の波長は200ナノ(nm)から2000ナノまでである。
【0023】
光学信号がスリット(115)から導波路ユニット(11)に入り、そして出力するといった総距離は精密に計算されて決められたため、距離が長すぎても短すぎても収差に影響をもたらす。したがって、前記の実施例での反射鏡(114)を設けることは第一ビームを導波路ユニット(11)に二次反射をさせることができ、導波路ユニット(11)は光路距離が同じという前提で、分光装置の体積を小型化させることを可能にする。
【0024】
図2図3では、本発明によるもう一つの光学分波装置に関する実施例が開示されている。光学分波装置のデバイスである反射鏡(114)は、出力ビームを反射するために導波路ユニット(11)外部に配置されている。また調整可能反射ユニット(12)は、反射鏡(114)からのデフォーカス集束ビームである第一ビームを出力し、第一ビームの射出角度を変更可能である。さらに、画像センサー(151)は、引き続き処理をするために調整可能反射ユニット(12)の第一ビームを受信する。
【0025】
図2に示すように、第二基板(116)は、入力ユニット(112)、回折格子(113)の上にそれらを包む。したがって、第一基板(111)と第二基板(116)との間の空間は、光学信号を受信、送信するための導波路ユニット(11)となる。
【0026】
また、入力ユニット(112)と回折格子(113)は、高エネルギー光源をフォトレジスト層に対して露光することによって第一基板(111)に形成されたものである。高エネルギー光源はX線、軟X線、超紫外線のいずれかである。X線の波長は0.01ナノ(nm)から1ナノまでである。軟X線の波長は0.1ナノから10ナノまでである。超紫外線の波長は10ナノから120ナノまでである。第一基板(111)と第二基板(116)は、半導体基板、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板のいずれかである。なお、地域光通信分野において、表面の粗さの制限のため、高エネルギー光源の波長が0.1ナノから1ナノまでとすることは、1ナノから100ナノまでとするより好ましい。また、前記フォトレジスト層の材質はSU-8或いはアクリル樹脂(PMMA)である。
【0027】
調整可能反射ユニット(12)は、反射鏡(114)からの第一ビームの出力角度と位置を変更するために使われたものである。それによって、画像センサー(151)は使用者のニーズに応じて、全体の体積を小型化させるように、光学分波装置(10)の、特に上又は下を指す任意の方向や位置に放置されることができる。
【0028】
なお、図2図3に示すように、調整可能反射ユニット(12)によって第一ビームの射出角度が変更されるため、蓋(14)には調整可能反射ユニット(12)に対して、第一ビームの出力を対応するための開け口(141)が配置されている。本発明の実施例によれば、蓋(14)の上には回路基板(15)が配置され、そして画像センサー(151)は開け口(141)の位置に対応し、第一ビームの受信、引き続きの分析利用のために回路基板(15)に配置されている。このように画像センサー(151)と本発明の光学分波装置(10)と結び付けることによって、さらにシステム全体の体積を大幅に小型化できる。
【0029】
さらに、図2に示すように、外部ハウジング(13)の底面にはシュート(131)が配置され、またそのなかではシュート(131)内で決まった位置にスライドできるようにする滑動部品(132)を備えている。しかも調整可能反射ユニット(12)は、出力ビームの焦点距離を調整するために滑動部品(132)と連動している。すなわち、第一ビームが出力する際に焦点がずれた場合、使用者は滑動部品(132)を通じて調整可能反射ユニット(12)の位置を調整することによって、全体的な光路距離を変更し、出力ビームの焦点距離を調整するという目的を達成する。
【0030】
図3に示すように、本発明の光学分波装置(10)は外部ハウジング(13)と蓋(14)を使い導波路ユニット(11)と反射ユニット(12)を包み込む構造なので、外部ハウジング(13)と蓋(14)の保護を通じて、導波路ユニット(11)と反射ユニット(12)が直接に外力との接触を避けることができ、全体構造の安定性を保つことができる。光学信号は通常では光ファイバーである光入力ユニット(16)を通じて、スリット(115)によって導波路ユニット(11)に入り込み、そして分光の流れになる。
【0031】
前記の説明で示された本発明におけるより好ましい各実施例は特許請求の範囲と精神に離れなければ、例えばリミットユニットといった各実施態様など各変化と変更を行うことができ、また明細書の実施例における実施方法に限定されないことは、当業者により理解される。
【0032】
前記の実施例はあくまでも例であり、異なった実施例の特徴を結びつけることによって、本発明で開示された内容に基づき、図面には明示されてない実施方法を得られることは、当業者であれば理解できる。
【0033】
前記の説明と図面で示された本発明における実施例はあくまでも例であり、本発明に限るものではないことは、当業者であれば理解される。本発明の目的は、すでに完全に、有効的に実現されたものである。本発明の機能と構築原理は実施例を通じて示され、前記原理に離れてない範囲であれば、本発明の実施方法は、任意的な変更や修正を許すのである。
図1
図2
図3