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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】麺用穀粉組成物及び麺用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20230310BHJP
【FI】
A23L7/109 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019021047
(22)【出願日】2019-02-07
(65)【公開番号】P2020127376
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000227489
【氏名又は名称】日東富士製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】羽立 只勝
(72)【発明者】
【氏名】市野 広
(72)【発明者】
【氏名】乾 哲也
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-023285(JP,A)
【文献】特開2007-274935(JP,A)
【文献】特開2015-195767(JP,A)
【文献】特開平08-000200(JP,A)
【文献】香川県発酵食品試験場報告,1990年,Vol.82,pp.28-35
【文献】Cerial Chem.,1998年,Vol.75,No.6,pp.820-825
【文献】Cerial Chem.,2002年,Vol.79,No.6,pp.867-873
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
うどん、きしめん、ひやむぎ、及びそうめんから選ばれた麺用穀粉組成物において、下記(A)~(C)の全てを満たす小麦粉を含有することを特徴とする麺用穀粉組成物。
(A)平均粒径:40μm以下
(B)マルトース価:200~300mg/10g
(C)強力粉を1~30質量%含む
【請求項2】
前記強力粉は、ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)、カナダ・ウェスタンレッド・スプリング(1-CW)、及びハード・レッド・ウインター(SH)からなる群から選ばれた1種又は2種以上である、請求項1に記載の麺用穀粉組成物。
【請求項3】
更に、前記小麦粉は下記(D)、及び(E)を満たす小麦粉である、請求項1又は2に記載の麺用穀粉組成物。
(D)灰分含量:0.30~0.45質量%
(E)粗蛋白含量:8~11質量%
【請求項4】
前記麺は、乾麺である、請求項1~3のいずれか1項に記載の麺用穀粉組成物。
【請求項5】
前記麺は、そうめんである、請求項1~4のいずれか1項に記載の麺用穀粉組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の麺用穀粉組成物を原料中に70質量%以上含有することを特徴とする麺用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺の製造に用いる麺用穀粉組成物、及び該麺用穀粉組成物を含有する麺用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、麺類への要望としては、表面の滑らかさに富んで、ツルツル感のある、のど越しの良い麺が求められている。このような要望に対して、小麦粉に化工澱粉、乳化剤などを添加して麺類をつくることが行われている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、小麦粉を含む原料粉及び水を含む生地を調製し、ロール式製麺機を用いて製麺する工程等を含む乾麺を製造する方法であって、前記原料粉が、所定量のリン酸架橋澱粉を含有し、前記生地が、所定量の有機酸を含有し、前記有機酸の水に対する酸解離定数pKaが4.0~5.5であることを特徴とする乾麺の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を配合することを特徴とする麺類用食感改良剤の製造方法が開示されている。
【0004】
更に、特許文献3には、α化された乾麺類をアルカリ性のリン酸塩水溶液中で加熱することを含む、麺類の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-23285号公報
【文献】特開2017-214602号公報
【文献】特開2014-171469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1~3の発明においても、上記要望について十分に答えられているとは言えなかった。特に、特許文献3の発明は、熟成工程においてマイクロ波による加熱が必要であるため、新たな設備や時間が必要であるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺の製造に用いる麺用穀粉組成物及び該麺用穀粉組成物を含有する麺用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、特定の小麦粉原料を穀粉原料として用いることで、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、うどん、きしめん、ひやむぎ、及びそうめんから選ばれた麺用穀粉組成物において、下記(A)~(C)の全てを満たす小麦粉を含有することを特徴とする麺用穀粉組成物を提供するものである。
(A)平均粒径:40μm以下
(B)マルトース価:200~300mg/10g
(C)強力粉を1~30質量%含む
本発明の麺用殻粉組成物によれば、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を提供することができる。また、製造工程において、特に小引作業では麺線が切れにくいため、作業性の良い麺を提供することができる。
【0010】
本発明の麺用穀粉組成物において、前記強力粉は、ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)、カナダ・ウェスタンレッド・スプリング(1-CW)、及びハード・レッド・ウインター(SH)からなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の麺用穀粉組成物において、更に、前記小麦粉は下記(D)、及び(E)を満たす小麦粉であることが好ましい。
(D)灰分含量:0.30~0.45質量%
(E)粗蛋白含量:8~11質量%
更に、本発明の麺用穀粉組成物において、前記麺は、乾麺であることが好ましい。
【0012】
更に、本発明の麺用穀粉組成物において、前記麺は、そうめんであることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記麺用穀粉組成物を原料中に70質量%以上含有することを特徴とする麺用組成物を提供するものである。
【0014】
本発明の麺用組成物によれば、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を提供することができる。また、製造工程において、特に小引作業では麺線が切れにくいため、作業性の良い麺を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を提供することができる。また、製造工程において、特に小引作業では麺線が切れにくいため、作業性の良い麺を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の麺用穀粉組成物には、(A)平均粒径が40μm以下であり、好ましくは10~30μmである小麦粉を用いる。平均粒径が上記範囲にある小麦粉を用いることで、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を得ることができる。平均粒径が40μmを超えると、表面にザラツキがあり、のど越しが悪くなる麺となる傾向にある。
【0017】
本発明における小麦粉の平均粒径(体積平均粒径)は、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置などを用いて乾式で測定されたMean V(体積平均値)として求めることができる。レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置としては、例えばマイクロトラック粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社)等を用いることができる。
【0018】
また、本発明の麺用穀粉組成物には、(B)マルトース価が200~300mg/10gであり、好ましくは230~270mg/10gである小麦粉を用いる。マルトース価が上記範囲にある小麦粉を用いることで、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を得ることができる。マルトース価が200mg/10g未満であったり、300mg/10gを超えると、表面にザラツキがあり、のど越しが悪くなる麺となる傾向にある。
【0019】
本発明においてマルトース価とは、小麦粉中のアミラーゼによって、小麦粉の澱粉がどれだけ分解されるかを表す指標であり、マルトース価が高いと小麦粉中の損傷澱粉の割合が高く、マルトース価が低いと損傷澱粉の割合が低い。本発明においてマルトース価は、AACC(American Association of Cereal Chemists )の公定法(22-15)により測定することができる。
【0020】
更に、本発明の麺用穀粉組成物には、(C)強力粉を1~30質量%含む、好ましくは15~25質量%含む小麦粉を用いる。強力粉の含量が上記範囲にある小麦粉を用いることで、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を得ることができる。強力粉の含量が1質量%未満であると、表面の滑らかさはあるが、麺の硬さが適度でなくなってしまう傾向にあり、強力粉の含量が30質量%を超えると、表面の滑らかさが劣り、硬くなり、また、生地の伸びが悪く、製造工程において、特に小引作業では麺線が切れやすくなり、作業性が悪くなる麺となる傾向にある。
【0021】
本発明において強力粉とは、グルテンの強い小麦粉のことであり、タンパク質含量が11.5%以上の強力粉及び10.5%以上の準強力粉を含む。また、同様の性質をもつ小麦粉であれば本発明に用いることができ、このような性質をもつ小麦粉の品種としては、ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)、カナダ・ウェスタンレッド・スプリング(1-CW)、及びハード・レッド・ウインター(SH)等が挙げられ、これらからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0022】
更に、本発明の麺用穀粉組成物には、(D)灰分含量が好ましくは0.30~0.45質量%、より好ましくは0.35~0.40質量%である小麦粉を用いてもよい。灰分含量が上記範囲にある小麦粉を用いることで、色相が明るく、雑味の少ない良好な風味となる。
【0023】
本発明において灰分含量とは、小麦粉を焼いて灰にした時の灰の重量成分を100分率で示すもので、下記の方法により測定した値である。即ち、小麦粉を上皿天秤で約5g計り取り、予め900℃で1時間空焼きしてデシケーター内で25分間程度放冷した白金ルツボ(恒量値:W0)に入れ、秤量値(W1)を測定し、当該サンプルを入れたルツボをマッフル炉に入れて900℃、3時間で灰化させる。3時間後、ルツボをマッフル炉から取り出してデシケーター内で25分間放冷し、灰化後のルツボの秤量値を測定する(W2)。灰分含有量は以下に示す計算式:
灰分含有量(%)=(W2-W0)/(W1-W0)×100
により算出する。
【0024】
更に、本発明の麺用穀粉組成物には、(E)粗蛋白含量が好ましくは8~11質量%、より好ましくは9.0~10.0質量%である小麦粉を用いてもよい。粗蛋白含量が上記範囲にある小麦粉を用いることで、適度な硬さを有する麺であり、また、製造工程において、特に小引作業では麺線が切れにくいため、作業性の良い麺を得ることができる。
【0025】
このような本発明の麺用穀粉組成物は、うどん、きしめん、ひやむぎ、及びそうめんから選ばれた麺の穀粉原料として用いることができる。製造工程において、特に小引作業では麺線が切れにくいため、好ましくはそうめんの穀粉原料として用いることができる。
【0026】
更に、本発明の麺用穀粉組成物は、乾麺の穀粉原料として用いることが好ましい。
【0027】
本発明において乾麺とは、穀粉(小麦粉)に食塩、水等(かんすいを除く)を加えて練り合わせた後、製麺し、乾燥したものをいう。また、乾麺は、その麺の太さの違いによって、長径1.7mm以上のものを「うどん」、幅4.5mm以上、厚さ2.0mm未満のものを「きしめん」、長径1.3mm以上1.7mm未満のものを「ひやむぎ」、長径1.3mm未満のものを「そうめん」とされている。
【0028】
更に、本発明の麺用穀粉組成物は、手延べ干し麺の穀粉原料として用いることができる。
【0029】
本発明において手延べ干し麺とは、乾麺のうち、油等を塗付してよりをかけながら順次引き延ばして麺とし、乾燥したものであって、製麺の工程において熟成が行われたものであり、かつ、小引作業において麺線を引き延ばす行為を手作業により行ったものをいう。
【0030】
本発明の麺用穀粉組成物は、他の原料を混合して麺用組成物とし、うどん、きしめん、ひやむぎ、及びそうめんから選ばれた麺の製造に用いることができる。
【0031】
この場合において、本発明の麺用組成物には、麺用穀粉組成物を70質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、85質量%以上100質量%以下含有することが更に好ましい。上記(A)~(C)の全てを満たす小麦粉を含む麺用穀粉組成物の含量が上記範囲内であることで、表面が滑らかで舌触りが良く、のど越しが良い麺を得ることができる。また、製造工程において、特に小引作業では麺線が切れにくいため、作業性の良い麺を得ることができる。
【0032】
上記他の原料としては、原料として麺に通常用いられているものを添加することができ、例えば、食塩;そば粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉、とうもろこし粉等の小麦粉以外の穀粉;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシースターチ、小麦澱粉、及びそれらの加工澱粉(アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、酢酸澱粉)等の澱粉;小麦蛋白質、大豆蛋白質、乳蛋白質、乾燥卵黄、乾燥卵白、乾燥全卵、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;やまのいも、焼成カルシウム、食物繊維、増粘剤、膨張剤、乳化剤、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン等が挙げられる。
【0033】
うどん、きしめん、ひやむぎ、及びそうめんから選ばれた麺の製造方法としては、公知の製麺方法を採用することができ、例えば、下記のような製造工程を含む方法である。
【0034】
こね作業:小麦粉、食塩等の原料と水とをこね合わせ、麺の生地を得る。
【0035】
足踏み、のし作業:麺生地を均一に踏み広げる、又は圧延機によりローリングしながら熟成する。
【0036】
板切作業:麺生地に切れ目を入れて細長い1本の帯状に成型し、油を表面に塗布しながら採桶(さいとう)と呼ばれる桶の中に巻き込むように入れて熟成する。
【0037】
細目作業:更に細くして、表面に油を塗布しながら桶に巻き込むように入れて熟成する。
【0038】
小均作業:更に細くして、桶に巻き込むように入れて熟成する。
【0039】
掛巻作業:麺生地を引き延ばしながら麺棒2本に8の字型に巻きつけ、更に熟成させる。
【0040】
小引作業:麺線を引き延ばし、二つ折りにして熟成する。
【0041】
門干、箸分作業:麺線を引き延ばし麺線の水分含量が13質量%になるまで乾燥させ、所定の太さの乾麺を得る。
【0042】
このように製造された麺は、そのままの状態で、又は包装体に包装され商品とすることができる。喫食時に、包装されている場合は包装体から取り出し、沸騰した湯へ入れて茹でること等で喫食可能となる。
【実施例
【0043】
<試験例1>
1.麺用穀粉組成物の製造
めん用小麦粉の原料として一般的に使用される軟質小麦を主原料として製造されためん用小麦粉に強力粉(DNS、1-CW、SHを原料として製造した小麦粉)を15質量%混合して粗蛋白含量が9.3質量%、灰分含量0.36質量%になるように小麦粉を調整した。この小麦粉を更に粉砕して、表1に示した平均粒径及びマルトース価の麺用穀粉組成物A、B、Cを得た。
【0044】
【表1】
【0045】
2.そうめんの製造
食塩7質量部を水43質量部に溶かして得られた水溶液を、上記で得られた各麺用穀粉組成物100重量部と共に多加水用ミキサーに入れて30分間混練して生地を得た(こね作業)。
【0046】
上記生地を、自動麺圧延機によりローリングしながら20分間熟成した後(足踏み、のし作業)、麺生地に包丁で渦巻き状に切れ目を入れて細長い1本の帯状に成型し、ロールを通して直径30mmの丸状に加工し、2本重ねて圧延を6回繰り返して油を表面に塗布しながら採り桶の中に巻き込むように入れて60分熟成した(板切作業)。
【0047】
更に丸ロールを通して直径15mm程度まで細くして表面に油を塗布しながら採り桶に巻き込むように入れて60分間熟成した(細目作業)後、次の丸ロールに通して直径10mm程度まで細くして取り桶に巻き込むようにいれて60分熟成した(小均作業)。
【0048】
上記麺を引き延ばしながら麺棒2本に8の字型に巻き取り、巻き付け室に入れ120分熟成した(掛巻作業)。
【0049】
自動小引機により熟成した麺線を引っ張り、二つ折りにして120分熟成した(小引作業)。
【0050】
その後、麺線を捌きながら引き延ばし麺線の水分含量が13質量%になるまで乾燥させ(門干、箸分作業)、太さが1mmのそうめん(乾麺)を得た。このそうめんを適当な長さに切断して、官能評価のサンプルとした。
【0051】
3.官能評価方法
上記得られたそうめんを約3分間程度熱湯で茹でて、冷水に1分間晒し水切り後の食感を評価した。食感の評価は、表面の滑らかさについて下記の評価基準で、パネラー10人により行なった。
【0052】
(滑らかさの評価基準)
5点:表面が非常に滑らかで舌触りが非常に良くのど越しが良い。
4点:表面が滑らかで舌触りも良く、のど越し良い。
3点:表面がやや滑らかでのど越しやや良い。
2点:表面の滑らかさやや劣り、のど越しもやや劣る。
1点:表面のザラツキが有り、のど越し悪い。
【0053】
4.結果
その結果(パネラー10名の平均点)を表2に示す。表2に示すように、平均粒径が40μm以下、マルトース価が200~300mg/10gである麺用穀粉組成物を用いた実施例1、2のそうめんでは、表面が滑らかで舌触りも良く、のど越しも良かった。
【0054】
【表2】
【0055】
<試験例2>
1.麺用穀粉組成物の製造
めん用小麦粉の原料として一般的に使用される軟質小麦を主原料として製造されためん用小麦粉に準強力粉を15質量%混合して、灰分含量0.36質量%、粗蛋白含量9.3質量%の麺用小麦粉を調製し、この小麦粉を更に粉砕して、表3に示した平均粒径及びマルトース価の麺用穀粉組成物D、E、F、G、Hを得た。
【0056】
【表3】
【0057】
2.結果
上記で得られた各麺用穀粉組成物を用いて<試験例1>と同様にそうめん(乾麺)を製造し、それを茹でたそうめんの官能評価を行った。
【0058】
その結果(パネラー10名の平均点)を表4に示す。表4に示すように、平均粒径が40μm以下、マルトース価が200~300mg/10gである麺用穀粉組成物を用いた実施例3,4,5のそうめんでは、表面が滑らかで舌触りも良く、のど越しも良かった。
【0059】
【表4】
【0060】
<試験例3>
1.麺用穀粉組成物の製造
めん用小麦粉の原料として一般的に使用される軟質小麦を主原料として製造されためん用小麦粉に、準強力粉を表5に示す割合で混合した小麦粉を、平均粒径を25~30μmになるように更に粉砕して、表5に示した麺用穀粉組成物J、K、L、Mを得た。各麺用穀粉組成物の粗蛋白含量、平均粒径、マルトース価を表5に示した。なお、実施例6、7、及び比較例4の麺用穀粉組成物の灰分含量は0.36質量%、比較例5の麺用穀粉組成物の灰分含量は0.35質量%であった。
【0061】
【表5】
【0062】
2.官能評価方法
上記で得られた各麺用穀粉組成物を用いて<試験例1>と同様にそうめん(乾麺)を製造し、それを茹でたそうめんの官能評価を行った。食感の評価は、表面の滑らかさについて<試験例1>の評価基準で、硬さについて下記の評価基準で、パネラー10人により行なった。
【0063】
(硬さの評価基準)
5点: 適度な硬さがあり、しっかりとした歯応えが有る。
4点: やや硬めである、またはやや軟らかめであり、しっかりとした歯応えが有る。
3点: 硬めである、または軟らかめである。
2点: 硬く歯切れが悪い、または軟らかく歯応えが弱い。
1点: ボキボキと硬い、または歯応えが無い。
【0064】
3.結果
その結果(パネラー10名の平均点)を表6に示す。表6に示すように、準強力粉を1~30質量%の割合で混合した実施例6,7のそうめんでは、表面が滑らかで舌触りものど越しも良く、適度な硬さであった。準強力粉を混合しない比較例4のそうめんでは、滑らかさは有るが、硬さの点で劣る結果となった。準強力粉を30質量%を超えて混合した比較例5のそうめんでは、実施例7のそうめんよりも滑らかさの点で若干劣り、若干硬い傾向が有り、更に生地の伸びが悪く小引作業で麺線が切れ易く、作業性が悪かった。
【0065】
【表6】