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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】電流生成回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/24 20060101AFI20230310BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G05F3/24 A
H03F3/45 210
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019031902
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020135746
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 文靖
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0001613(US,A1)
【文献】特開昭63-316908(JP,A)
【文献】特開2005-065134(JP,A)
【文献】特開2007-241411(JP,A)
【文献】米国特許第04055812(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/12-1/44
G05F 1/45-7/00
H03F 1/00-3/45
H03F 3/50-3/52
H03F 3/62-3/64
H03F 3/68-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子から第1電流が供給される第1抵抗と、
第2端子から第2電流が供給される第2抵抗と、
第1正側入力端子に前記第1抵抗に生ずる電位が供給され、第1負側入力端子に前記第
2抵抗に生ずる電位が供給される第1アンプ回路と、
ゲートが前記第1アンプ回路の出力端子に接続され、ソースが前記第1負側入力端子に
接続され、ドレインが第1差電流端子に接続された第1MOSトランジスタと
第2負側入力端子に前記第1抵抗に生ずる電位が供給され、第2正側入力端子に前記第
2抵抗に生ずる電位が供給される第2アンプ回路と、
ゲートが前記第2アンプ回路の出力端子に接続され、ソースが前記第2負側入力端子に
接続され、ドレインが第2差電流端子に接続された第2MOSトランジスタと
を備えたことを特徴とする電流生成回路。
【請求項2】
前記第1アンプ回路がMOSトランジスタで形成されており、前記第1正側入力端子及
び前記第1負側入力端子が所定のMOSトランジスタのゲートで形成され、
前記第2アンプ回路がMOSトランジスタで形成されており、前記第2正側入力端子及
び前記第2負側入力端子が所定のMOSトランジスタのゲートで形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の電流生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電流の差分である差電流を生成する電流生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
センサ装置には、センサ素子の各々により出力される電流の電流差を求める電流差測定回路を備えている。
これにより、センサ装置は、例えば、図5に示すような電流差を求める回路(例えば、特許文献1参照)により、2個のセンサ素子の各々から出力される電流それぞれの電流差を求め、この電流差に基づくセンシング処理を行なう。
【0003】
特許文献1の回路は、端子514から入力される電流I1と、端子516から入力される電流I2との電流の差分である差電流を電流I3として求める。
すなわち、上記回路は、電流I1により抵抗501に生じる電位と、電流I2により抵抗502に生ずる電位との電位差を同様とする電流I3を注入し、この電流I3を電流I1と電流I2との差電流とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-280406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の回路は、バイポーラトランジスタを用いて構成されているため、電流I3のオフセットとなるバイポーラトランジスタのベースに流れるベース電流を補正する回路が余分に必要となる。
すなわち、電流I1の経路には、電位差を検出する抵抗501に加え、抵抗509、バイポーラトランジスタ503、505、507、511が設けられている。一方、電流I2の経路には、電位差を検出する抵抗502に加え、抵抗510、バイポーラトランジスタ504、506、508、512が設けられている。
ここで、電流I1の経路と電流I2の経路とは、差電流を精度良く生成するため、それぞれを構成する各素子が同様の特性を有するように作成される必要がある。
【0006】
しかしながら、抵抗501及び502間の製造プロセスバラツキの存在に加えて、電流I1の経路、電流I2の経路のそれぞれにおける各素子にも製造プロセスバラツキが存在する。
このため、抵抗501及び502の各々に供給される電流I1、I2のそれぞれに、経路における素子の製造プロセスバラツキに起因した誤差成分が含まれる。
特に、電流I1の経路における素子と電流I2の経路における素子との製造プロセスバラツキが、一方が電流を増加させて他方が電流を減少させる誤差成分として生じた場合、生成される差電流は大きな誤差を含む。
【0007】
すなわち、特許文献1においては、それぞれの経路における素子の製造プロセスバラツキによる誤差成分が、電流I1と電流I2と含まれる。
そして、特許文献1は、誤差成分が含まれた電流I1及び電流I2の各々の電流の差として差電流I3が注入されてしまう。
このため、特許文献1は、電流I1と電流I2との差電流を高い精度で生成することは困難である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、入力される電流に加えられる、素子の製造プロセスバラツキによる誤差成分を低減し、生成する差電流の精度を向上させる電流生成回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電流生成回路は、第1端子から第1電流が供給される第1抵抗と、第2端子から第2電流が供給される第2抵抗と、第1正側入力端子に前記第1抵抗に生ずる電位が供給され、第1負側入力端子に前記第2抵抗に生ずる電位が供給される第1アンプ回路と、ゲートが前記第1アンプ回路の出力端子に接続され、ソースが前記第1負側入力端子に接続され、ドレインが第1差電流端子に接続された第1MOSトランジスタと、第2負側入力端子に前記第1抵抗に生ずる電位が供給され、第2正側入力端子に前記第2抵抗に生ずる電位が供給される第2アンプ回路と、ゲートが前記第2アンプ回路の出力端子に接続され、ソースが前記第2負側入力端子に接続され、ドレインが第2差電流端子に接続された第2MOSトランジスタとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、入力される電流に加えられる、素子のプロセスバラツキによる誤差成分を低減し、生成する差電流の精度を向上させる電流生成回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態による電流生成回路の構成例を示す回路図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるアンプ回路の構成例を示す回路図である。
図3】本発明の第2の実施形態による電流生成回路の構成例を示す回路図である。
図4】本発明の第2の実施形態におけるアンプ回路の構成例を示す回路図である。
図5】差電流を求める従来の回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による電流生成回路の構成例を示す回路図である。電流生成回路1は、抵抗101(第1抵抗)、抵抗102(第2抵抗)、アンプ回路103(第1アンプ回路)、アンプ回路104(第2アンプ回路)、NMOSトランジスタ105(第1MOSトランジスタ)及びNMOSトランジスタ106(第2MOSトランジスタ)の各々を備えている。上記NMOSトランジスタ105及び106の各々は、エンハンスメント型のNチャネルMOSトランジスタである。
【0013】
抵抗101は、一端が端子T11(第1端子)、アンプ回路103の正側入力端子103P(第1正側入力端子)、アンプ回路104の負側入力端子104N(第2負側入力端子)及びNMOSトランジスタ106のソースに接続され、他端が接地(VSS)端子(VSS端子)に接続されている。
抵抗102は、一端が端子T12(第2端子)、アンプ回路103の負側入力端子103N(第1負側入力端子)、アンプ回路104の正側入力端子104P(第2正側入力端子)及びNMOSトランジスタ105のソースに接続され、他端が接地(VSS)端子に接続されている。
【0014】
アンプ回路103は、出力端子103OがNMOSトランジスタ105のゲートに接続されている。
アンプ回路104は、出力端子104OがNMOSトランジスタ106のゲートに接続されている。
NMOSトランジスタ105は、ドレインが差電流端子T13_1(第1差電流端子)に接続されている。
NMOSトランジスタ106は、ドレインが差電流端子T13_2(第2差電流端子)に接続されている。
【0015】
本実施形態においては、抵抗R101と抵抗R102とは抵抗値が同一である。NMOSトランジスタ105とNMOSトランジスタ106と、またアンプ回路103とアンプ回路104とは同一の電気特性を有する。
【0016】
端子T11には、外部回路(例えば、一のセンサ素子)により電流I1が注入される。
端子T12には、外部回路(例えば、他のセンサ素子)により電流I2が注入される。
差電流端子T13_1には、外部回路から電流I3_1が注入される。
差電流端子T13_2には、外部回路から電流I3_2が注入される。
【0017】
以下、本実施形態の電流生成回路における差電流の生成の動作を図1を用いて説明する。以下の説明において、接続点P1の電位を電位VP1とし、接続点P2の電位を電位VP2とする。
・I1>I2の場合
I1>I2の場合、V101>V102となり、VP1>VP2となる。
ここで、電圧V101は、電流I1が抵抗101に流れた際、電圧降下により抵抗101の両端に生じる電位である。同様に、電圧V102は、電流I2が抵抗102に流れた際、電圧降下により抵抗102の両端に生じる電位である。
【0018】
このとき、アンプ回路104は、負側入力端子104Nに入力される電位VP1が、正側入力端子104Pに入力される電位VP2を超えるため、出力端子104Oから電圧VSSを出力する。
これにより、NMOSトランジスタ106は、ゲートに電圧VSSが印加されるため、オフ状態となり、差電流端子T13_2から抵抗101に対して電流I3_2(ドレイン電流)を注出しない。そのため、電圧V101は、電流I1が流れることによる電圧降下として、抵抗101の両端で生成される。
【0019】
一方、アンプ回路103は、正側入力端子103Pに入力される電位VP1が、負側入力端子103Nに入力される電位VP2を超えるため、出力端子103Oから電圧VCON1を出力する。アンプ回路103は、電位VP1と電位VP2との電位差に比例した電圧値として電圧VCON1を出力する。
そして、NMOSトランジスタ105は、ゲートに上記電圧VCON1が印加されることにより、差電流端子T13_1から抵抗102に対して、電圧VCON1に比例する電流I3_1を注入する。
【0020】
このため、電圧V102は、電流I2及び電流I3_1が合成された合成電流による電圧降下として、抵抗102の両端において生成される。
このとき、電位VP2が電位VP1と同一の電圧となった場合、アンプ回路103は、出力端子103Oから出力する電圧を、所定の電圧値VCN1で固定して出力する。
この所定の電圧値VCN1がゲートに印加された際に、NMOSトランジスタ105がドレイン電流として、差電流端子T13_1から流し込む電流I3_1が、電流I1に対する電流I2の差電流である。
【0021】
・I1<I2の場合
I1<I2の場合、V101<V102となり、VQ1<VQ2となる。
このとき、アンプ回路103は、負側入力端子103Nに入力される電位VP2が、正側入力端子103Pに入力される電位VP1を超えるため、出力端子103Oから電圧VSSを出力する。
これにより、NMOSトランジスタ105は、ゲートに電圧VSSが印加されるため、オフ状態となり、差電流端子T13_1から抵抗102に対して電流I3_1(ドレイン電流)を注入しない。そのため、電圧V102は、電流I2が流れることによる電圧降下として、抵抗102の両端で生成される。
【0022】
一方、アンプ回路104は、正側入力端子104Pに入力される電位VP2が、負側入力端子104Nに入力される電位VP1を超えるため、出力端子104Oから電圧VCON2を出力する。アンプ回路104は、電位VP2と電位VP1との電位差に比例した電圧値として電圧VCON2を出力する。
そして、NMOSトランジスタ106は、ゲートに上記電圧VCON2が印加されることにより、差電流端子T13_2から抵抗101に対して、電圧VCON2に比例する電流I3_2を注入する。
【0023】
このため、電圧V101は、電流I1及び電流I3_2が合成された合成電流による電圧降下として、抵抗101の両端において生成される。
このとき、電位VP1が上昇して電位VP2と同一の電圧となった場合、アンプ回路104は、出力端子104Oから出力する電圧を、所定の電圧値VCN2で固定して出力する。
この所定の電圧値VCN2がゲートに印加された際に、 NMOSトランジスタ106がドレイン電流として、差電流端子T13_2から流し込む電流I3_2が、電流I2に対する電流I1の差電流である。
【0024】
上述したように、本実施形態において、I1>I2の場合には、電流I1と電流I2の差電流が差電流端子T13_1に流れ、一方、I1<I2の場合には、電流I2と電流I1の差電流が差電流端子T13_2に流れる。
【0025】
本実施形態は、注入される電流の電流値の制御を、NMOSトランジスタのゲートにアンプ回路の出力電圧を印加して行なうため、バイポーラトランジスタを用いた場合のように、入力される電流に対して加えられて誤差成分となるベース電流を、補正するための回路(複数のバイポーラトランジスタなどの素子)を設ける必要が無い。
このため、本実施形態によれば、差電流を求める際の誤差が、抵抗101及び抵抗102の製造プロセスバラツキによる抵抗値のずれのみとなり、高い精度で電流I1及びI2の差電流を生成することができる。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態におけるアンプ回路の構成例を示す回路図である。図2において、アンプ回路103(または104)は、定電流源1011、PMOSトランジスタ1012、NMOSトランジスタ1013、1014及び1015、定電流源1016、NMOSトランジスタ1017を備えている。PMOSトランジスタ1012及び1013は、エンハンスメント型のPチャネルMOSトランジスタである。NMOSトランジスタ1014、1015及び1017は、エンハンスメント型のNチャネルMOSトランジスタである。
【0027】
PMOSトランジスタ1012は、ソースが定電流源1011を介して電源(VDD)端子に接続され、ゲートがアンプ回路103(104)の負側入力端子103N(104N)と接続され、ドレインがNMOSトランジスタ1014のドレイン及びゲート、NMOSトランジスタ1015のゲートと接続されている。
PMOSトランジスタ1013は、ソースが定電流源1011を介して電源(VSS)端子に接続され、ゲートがアンプ回路103(104)の正側入力端子103P(104P)と接続され、ドレインがNMOSトランジスタ1015のドレイン及びNMOSトランジスタ1017のゲートに接続されている。
【0028】
NMOSトランジスタ1014は、ドレインが自身のゲート及びNMOSトランジスタ1015のゲートに接続され、ソースが接地(VSS)端子に接続されている。
NMOSトランジスタ1015は、ドレインがNMOSトランジスタ1017のゲートに接続され、ソースが接地(VSS)端子に接続されている。
上記NMOSトランジスタ1014及び1015は、カレントミラー回路を構成している。
NMOSトランジスタ1017は、ドレインが定電流源1016を介して電源(VDD)端子及びアンプ回路103(104)の出力端子103O(104O)に接続され、ソースが接地(VSS)端子に接続されている。
【0029】
上述したように、アンプ回路103において、端子T11が正側入力端子103PとしてのPMOSトランジスタ1013のゲートに接続され、端子T12が負側入力端子103NとしてのPMOSトランジスタ1012のゲートに接続される。このため、PMOSトランジスタ1012及び1013のゲートに対して電流が流れ込むことがなく、電流I1及びI2の各々に影響を与えずに、出力端子103Oから所定の電圧VCONを出力する。
【0030】
また、出力端子103OがNMOSトランジスタ105のゲートに接続されているため、出力端子103Oから外部に電流が流れず、高い精度で所定の電圧VCONを出力することができる。アンプ回路104の場合も、上述したアンプ回路103と同様に、電流I1及びI2の各々に影響を与えることはない。
このため、本実施形態によれば、MOSトランジスタで構成されたアンプ回路103を用いることにより、高い精度で電流I1及びI2の差電流を生成することができる。
【0031】
また、電流I1及びI2のいずれが他方より大きいかを検出する必要が無く、電流I1、I2それぞれの差電流、すなわち絶対値としての差電流を検出する場合、差電流端子T13_1及びT13_2の各々を統合し、差電流端子T13とする構成としても良い。この場合、差電流端子T13には、NMOSトランジスタ105及び106の各々のドレインが接続される。
この構成において、端子数を削減することを目的とし、電流I1及びI2のいずれが大きいかの検出が必要な場合、アンプ回路103及び104のそれぞれの出力端子の電圧から、電流I1及びI2のいずれが他方より大きいかを検出することが可能である。
【0032】
また、差電流を得ようとする2つの電流において、一方の電流が他方より大きいことが決まっているという条件下において、この2つの電流の差電流を生成しようとする場合、電流値の大きい方を電流I1として端子T11に入力し、電流値の小さい方を電流I2として端子T12に入力する。
この条件下の場合においては、アンプ回路104、NMOSトランジスタ106及び差電流端子T13_2を設ける必要がなく、回路を簡単化することができる。
【0033】
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態による電流生成回路の構成例を示す回路図である。電流生成回路2は、抵抗201(第1抵抗)、抵抗202(第2抵抗)、アンプ回路203(第1アンプ回路)、アンプ回路204(第2アンプ回路)、PMOSトランジスタ205(第1MOSトランジスタ)及びPMOSトランジスタ206(第2MOSトランジスタ)の各々を備えている。上記PMOSトランジスタ205及び206の各々は、エンハンスメント型のPチャネルMOSトランジスタである。
【0034】
抵抗201は、一端が電源(VDD)端子(VDD端子)に接続され、他端が端子T21(第1端子)、アンプ回路203の正側入力端子203P(第1正側入力端子)、アンプ回路204の負側入力端子204N(第2負側入力端子)及びPMOSトランジスタ206のソースに接続されている。
抵抗202は、一端が電源(VDD)端子に接続され、他端が端子T22(第2端子)、アンプ回路203の負側入力端子203N、アンプ回路204の正側入力端子204P及びPMOSトランジスタ205のソースに接続されている。
【0035】
アンプ回路203は、出力端子203OがPMOSトランジスタ205のゲートに接続されている。
アンプ回路204は、出力端子204OがPMOSトランジスタ206のゲートに接続されている。
PMOSトランジスタ205は、ドレインが差電流端子T23_1(第1差電流端子)に接続されている。
PMOSトランジスタ206は、ドレインが差電流端子T23_2(第2差電流端子)に接続されている。
【0036】
本実施形態においては、抵抗R201と抵抗R202とは抵抗値が同一である。PMOSトランジスタ205とPMOSトランジスタ206と、またアンプ回路203とアンプ回路204とは同一の電気特性を有する。
【0037】
端子T21には、外部回路(例えば、一のセンサ素子)により電流I1が注出される。
端子T22には、外部回路(例えば、他のセンサ素子)により電流I2が注出される。
差電流端子T23_1には、外部回路に電流I3_1が注出される。
差電流端子T23_2には、外部回路に電流I3_2が注出される。
【0038】
以下、本実施形態の電流生成回路における差電流の生成の動作を図3を用いて説明する。以下の説明において、接続点Q1の電位を電位VQ1とし、接続点Q2の電位を電位VQ2とする。
・I1>I2の場合
I1>I2の場合、V201>V202となり、VQ1<VQ2となる。
このとき、アンプ回路204は、負側入力端子204Nに入力される電位VQ1が、正側入力端子204Pに入力される電位VQ2未満であるため、出力端子204Oから電圧VDDを出力する。
これにより、PMOSトランジスタ206は、ゲートに電圧VDDが印加されるため、オフ状態となり、差電流端子T13_2から抵抗201に対して電流I3_2を注出しない。そのため、電圧V201は、電流I1が流れることによる電圧降下として、抵抗201の両端で生成される。
【0039】
一方、アンプ回路203は、正側入力端子203Pに入力される電位VQ1が、負側入力端子203Nに入力される電位VQ2未満であるため、出力端子203Oから電圧VCON3を出力する。アンプ回路203は、電位VQ1と電位VQ2との電位差に比例した電圧値として電圧VCON3を出力する。
そして、PMOSトランジスタ205は、ゲートに上記電圧VCON3が印加されることにより、差電流端子T23_1から抵抗202に対して、電圧VCON3に比例する電流I3_1を注出する。
【0040】
このため、電圧V202は、電流I2及び電流I3_1が合成された合成電流による電圧降下として、抵抗202の両端において生成される。
このとき、電圧V202が上昇し、電位VQ2が低下して電位VQ1と同一の電圧となった場合、アンプ回路203は、出力端子203Oから出力する電圧を、所定の電圧値VCN3で固定して出力する。
この所定の電圧値VCN3がゲートに印加された際に、PMOSトランジスタ205がドレイン電流として、差電流端子T23_1から流し出す電流I3_1が、電流I1に対する電流I2の差電流である。
【0041】
・I1<I2の場合
I1<I2の場合、V101<V102となり、VQ1>VQ2となる。
このとき、アンプ回路203は、負側入力端子203Nに入力される電位VQ2が、正側入力端子203Pに入力される電位VQ1未満であるため、出力端子203Oから電圧VDDを出力する。
これにより、PMOSトランジスタ205は、ゲートに電圧VDDが印加されるため、オフ状態となり、差電流端子T23_1から抵抗202に対して電流I3_1を注出しない。そのため、電圧V202は、電流I2が流れることによる電圧降下として、抵抗202の両端で生成される。
【0042】
一方、アンプ回路204は、正側入力端子204Pに入力される電位VQ2が、負側入力端子204Nに入力される電位VQ1未満であるため、出力端子204Oから電圧VCON4を出力する。アンプ回路204は、電位VQ2と電位VQ1との電位差に比例した電圧値として電圧VCON4を出力する。
そして、PMOSトランジスタ206は、ゲートに上記電圧VCON4が印加されることにより、差電流端子T23_2から抵抗201に対して、電圧VCON4に比例する電流I3_2を注出する。
【0043】
このため、電圧V201は、電流I1及び電I3_2が合成された合成電流による電圧降下として、抵抗201の両端において生成される。
このとき、電圧V201が上昇し、電位VQ1が低下して電位VQ2と同一の電圧となった場合、アンプ回路204は、出力端子204Oから出力する電圧を、所定の電圧値VCN4で固定して出力する。
この所定の電圧値VCN4がゲートに印加された際に、PMOSトランジスタ206がドレイン電流として、差電流端子T23_2から流れ出す電流I3_2が、電流I2に対する電流I1の差電流である。
【0044】
上述したように、本実施形態において、I1>I2の場合には、電流I1と電流I2の差電流が差電流端子T23_1に流れ、一方、I1<I2の場合には、電流I2と電流I1の差電流が差電流端子T23_2に流れる。
【0045】
本実施形態は、第1の実施形態と同様に、電流値の制御を、PMOSトランジスタのゲートにアンプ回路の出力電圧を印加して行なうため、バイポーラトランジスタを用いた場合のように、電流に対して加えられて誤差成分となるベース電流を、補正するための回路(複数のバイポーラトランジスタなどの素子)を設ける必要が無い。
このため、本実施形態によれば、差電流を求める際の誤差が、抵抗201及び抵抗202の製造プロセスバラツキによる抵抗値のずれのみとなり、高い精度で電流I1及びI2の差電流を生成することができる。
【0046】
図4は、本発明の第2の実施形態におけるアンプ回路の構成例を示す回路図である。図4において、アンプ回路203(または204)は、PMOSトランジスタ2011、2012、NMOSトランジスタ2013及び2014、定電流源2015、PMOSトランジスタ2016、定電流源2017を備えている。PMOSトランジスタ2011、2012及び2016は、エンハンスメント型のPチャネルMOSトランジスタである。NMOSトランジスタ2013及び24は、エンハンスメント型のNチャネルMOSトランジスタである。
【0047】
PMOSトランジスタ2011は、ソースが電源(VDD)端子に接続され、ゲートが自身のドレイン及びPMOSトランジスタ2012のゲートに接続され、ドレインがNMOSトランジスタ2013のドレインに接続されている。
PMOSトランジスタ2012は、ソースが電源(VDD)端子に接続され、ドレインがNMOSトランジスタ2014のドレイン及びPMOSトランジスタ2016のゲートに接続されている。
上記PMOSトランジスタ2011及び2012は、カレントミラー回路を構成している。
【0048】
NMOSトランジスタ2013は、ゲートがアンプ回路203(204)の負側入力端子203N(204N)と接続され、ソースが定電流源2015を介して接地(VSS)端子に接続されている。
NMOSトランジスタ2014は、ゲートがアンプ回路203(204)の正側入力端子203P(204P)と接続され、ソースが定電流源2015を介して接地(VSS)端子に接続されている。
PMOSトランジスタ2016は、ソースが電源(VDD)端子に接続され、ドレインが定電流源2017を介して接地(VSS)端子及びアンプ回路203(204)の出力端子203O(204O)に接続されている。
【0049】
上述したように、アンプ回路203において、端子T21が正側入力端子203PとしてのNMOSトランジスタ2014のゲートに接続され、端子T22が負側入力端子203NとしてのNMOSトランジスタ2013のゲートに接続される。このため、NMOSトランジスタ2013及び2014のゲートに対して電流が流れ込むことがないため、電流I1及びI2の各々に影響を与えずに、出力端子203Oから所定の電圧VCONを出力する。
【0050】
また、出力端子203OがPMOSトランジスタ205のゲートに接続されているため、出力端子203Oから外部に電流が流れず、高い精度で所定の電圧VCONを出力することができる。アンプ回路204の場合も、上述したアンプ回路203と同様に、電流I1及びI2の各々に影響を与えることはない。
このため、本実施形態によれば、MOSトランジスタで構成されたアンプ回路203を用いることにより、高い精度で電流I1及びI2の差電流を生成することができる。
【0051】
また、電流I1及びI2のいずれが他方より大きいかを検出する必要が無く、電流I1、I2それぞれの差電流、すなわち絶対値としての差電流を検出する場合、差電流端子T23_1及びT23_2の各々を統合し、差電流端子T23とする構成としても良い。この場合、差電流端子T23には、PMOSトランジスタ205及び206の各々のドレインが接続される。
この構成において、端子数を削減することを目的とし、電流I1及びI2のいずれが大きいかの検出が必要な場合、アンプ回路203及び204のそれぞれの出力端子の電圧から、電流I1及びI2のいずれが他方より大きいかを検出することが可能である。
【0052】
また、差電流を得ようとする2つの電流において、一方の電流が他方より大きいことが決まっているという条件下において、この2つの電流の差電流を生成しようとする場合、電流値の大きい方を電流I1として端子T21に入力し、電流値の小さい方を電流I2として端子T22に入力する。
この条件下の場合においては、アンプ回路204、PMOSトランジスタ206及び差電流端子T23_2を設ける必要がなく、回路を簡単化することができる。
【0053】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1,2…電流生成回路
101,102,201,202…抵抗
103,104,203,204…アンプ回路
105,106,1014,1015,1017,2013,2014…NMOSトランジスタ
205,206,1012,1013,2011,2012,2016…PMOSトランジスタ
1011,1016,2015,2017…定電流源
P1,P2,Q1,Q2…接続点
T11,T12,T21,T22…端子
T13_1,T13_2,T23_1,T23_2…差電流端子
図1
図2
図3
図4
図5