(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ウェブ乾燥装置およびウェブ乾燥方法
(51)【国際特許分類】
F26B 13/10 20060101AFI20230310BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
F26B13/10 D
B41J2/01 125
(21)【出願番号】P 2019045605
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】植村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】竹市 芳邦
(72)【発明者】
【氏名】松田 健
(72)【発明者】
【氏名】平松 賢太
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-248350(JP,A)
【文献】実開平06-002093(JP,U)
【文献】特開平08-192089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 13/10
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送されるウェブの両側に配置された2個の送風ユニットを有し、前記2個の送風ユニットの間の乾燥経路を通過する前記ウェブに気体を噴射する送風乾燥部と、
前記搬送方向から前記乾燥経路に対向する開口が設けられて前記ウェブが前記開口を介して前記搬送方向に通過する側壁を有し、前記送風乾燥部を収容する筐体と、
前記筐体内において前記側壁と前記送風乾燥部との間に配置されて、前記筐体の内部から外部に気体を排出する排気部と、
前記筐体内において前記送風乾燥部と前記排気部との間に配置されて、前記搬送方向に搬送される前記ウェブに対向する整流部材と
を備え
、
前記排気部は、前記ウェブの両側に配置された第1排気チャンバと第2排気チャンバとを含み、
前記第1排気チャンバは、前記筐体の前記側壁から内側へ水平方向に延設されて、前記ウェブの表面に対向する第1平板を有し、前記第1平板に第1吸気口が開口し、
前記第2排気チャンバは、前記筐体の前記側壁から内側へ水平方向に延設されて、前記ウェブの裏面に対向する第2平板を有し、前記第2平板に第2吸気口が開口し、
前記第1排気チャンバの前記第1吸気口および前記第2排気チャンバの前記第2吸気口から前記筐体内の気体を排出するウェブ乾燥装置。
【請求項2】
前記開口を介して前記側壁の内側と外側との間を前記搬送方向に移動する前記ウェブに前記側壁の外側で接触することで前記ウェブを支持する接触支持部材をさらに備え、
前記整流部材は、前記ウェブの両側に配置される請求項1に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項3】
前記開口を介して前記側壁の内側と外側との間を前記搬送方向に移動する前記ウェブに前記側壁の外側で気体を噴射することで前記ウェブを支持する浮上支持部材をさらに備え、
前記浮上支持部材は、前記ウェブの両側のうち一方側の面に気体を噴射し、
前記整流部材は、前記ウェブの両側のうち、前記一方側と反対の他方側に配置される一方、前記一方側に配置されない請求項1に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項4】
前記整流部材は、前記送風乾燥部および前記排気部のそれぞれに接し、前記送風乾燥部と前記排気部との間を塞ぐ請求項1ないし3のいずれか一項に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項5】
前記送風ユニットは、前記搬送方向に搬送される前記ウェブに対向する前記搬送方向に平行なノズル配置平面と、前記ノズル配置平面において前記搬送方向に並ぶ複数のノズルとを有し、前記各ノズルから
前記ウェブに気体を噴射し、
前記整流部材は、前記搬送方向に搬送される前記ウェブに対向する前記搬送方向に平行な整流平面を有し、前記ノズル配置平面と前記整流平面とが面一となるように配置されている請求項4に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項6】
前記整流部材は、前記送風ユニットにより支持される請求項1ないし5のいずれか一項に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記2個の送風ユニットの間隔を調整可能に前記2個の送風ユニットを支持し、
前記整流部材は、前記送風ユニットに対して着脱可能である請求項6に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項8】
搬送方向へウェブを搬送する工程と、
送風乾燥部が有する2個の送風ユニットから、前記2個の送風ユニットの間の乾燥経路を通過する前記ウェブに気体を噴射する工程と、
前記搬送方向から前記乾燥経路に対向する開口が設けられて前記ウェブが前記開口を介して前記搬送方向に通過する側壁を有するとともに前記送風乾燥部を収容する筐体内において前記側壁と前記送風乾燥部との間に配置された排気部によって、前記筐体の内部から外部に気体を排出する工程と
を備え、
前記筐体内において前記送風乾燥部と前記排気部との間に配置された整流部材が、前記搬送方向に搬送される前記ウェブに対向
し、
前記排気部は、前記ウェブの両側に配置された第1排気チャンバと第2排気チャンバとを含み、
前記第1排気チャンバは、前記筐体の前記側壁から内側へ水平方向に延設されて、前記ウェブの表面に対向する第1平板を有し、前記第1平板に第1吸気口が開口し、
前記第2排気チャンバは、前記筐体の前記側壁から内側へ水平方向に延設されて、前記ウェブの裏面に対向する第2平板を有し、前記第2平板に第2吸気口が開口し、
前記第1排気チャンバの前記第1吸気口および前記第2排気チャンバの前記第2吸気口から前記筐体内の気体を排出するウェブ乾燥方法。
【請求項9】
搬送方向に搬送されるウェブの両側に配置された2個の送風ユニットを有し、前記2個の送風ユニットの間の乾燥経路を通過する前記ウェブに気体を噴射する送風乾燥部と、
前記搬送方向から前記乾燥経路に対向する開口が設けられて前記ウェブが前記開口を介して前記搬送方向に通過する側壁を有し、前記送風乾燥部を収容する筐体と、
前記筐体内において前記側壁と前記送風乾燥部との間に配置されて、前記筐体の内部から外部に気体を排出する排気部と、
前記筐体内において前記送風乾燥部と前記排気部との間に配置されて、前記搬送方向に搬送される前記ウェブに対向する整流部材と
を備え、
前記筐体は、前記2個の送風ユニットの間隔を調整可能に前記2個の送風ユニットを支持し、
前記整流部材は、前記送風ユニットにより支持されて、前記送風ユニットに対して着脱可能であるウェブ乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送方向にウェブを搬送しつつウェブに気体を噴射することでウェブを乾燥させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風乾燥部からウェブに気体を噴射することでウェブを乾燥させるウェブ乾燥装置が知られている。例えば、特許文献1のウェブ乾燥装置(乾燥炉)は、2個のエアフローティングドライヤを具備する送風乾燥部によってウェブを乾燥させる。このウェブ乾燥装置は、搬送方向に搬送されるウェブの両側(上下)に設けられた2個のエアフローティングドライヤを備え、これらエアフローティングドライヤの間の乾燥経路を通過するウェブに対して各エアフローティングドライヤからエアを噴射する。
【0003】
さらに、ウェブ乾燥装置は、これらエアフローティングドライヤを収容する筐体を備える。筐体の両側壁には、搬送方向から乾燥経路に対向する開口が設けられている。これらの開口のそれぞれはウェブの搬入口および搬出口として機能し、筐体に対して搬入・搬出されるウェブは開口を介して側壁を通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなウェブ乾燥装置では、気体が筐体内で滞留するのを抑制するために、筐体から気体を排気する排気部を送風乾燥部と開口との間に設けることが考えられる。ただし、送風乾燥部による気体の噴射に、排気部による気体の排気が加わることで、送風乾燥部と排気部との間の領域で気流が乱れて、筐体の開口付近でウェブがばたつく場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、送風乾燥部からの気体の噴射によりウェブを乾燥させるにあたって、送風乾燥部と筐体の開口との間に設けられた排気部による排気の影響により開口付近でウェブがばたつくのを抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るウェブ乾燥装置は、搬送方向に搬送されるウェブの両側に配置された2個の送風ユニットを有し、2個の送風ユニットの間の乾燥経路を通過するウェブに気体を噴射する送風乾燥部と、搬送方向から乾燥経路に対向する開口が設けられてウェブが開口を介して搬送方向に通過する側壁を有し、送風乾燥部を収容する筐体と、筐体内において側壁と送風乾燥部との間に配置されて、筐体の内部から外部に気体を排出する排気部と、筐体内において送風乾燥部と排気部との間に配置されて、搬送方向に搬送されるウェブに対向する整流部材とを備える。
【0008】
本発明に係るウェブ乾燥方法は、搬送方向へウェブを搬送する工程と、送風乾燥部が有する2個の送風ユニットから、2個の送風ユニットの間の乾燥経路を通過するウェブに気体を噴射する工程と、搬送方向から乾燥経路に対向する開口が設けられてウェブが開口を介して搬送方向に通過する側壁を有するとともに送風乾燥部を収容する筐体内において側壁と送風乾燥部との間に配置された排気部によって、筐体の内部から外部に気体を排出する工程とを備え、筐体内において送風乾燥部と排気部との間に配置された整流部材が、搬送方向に搬送されるウェブに対向する。
【0009】
このように構成された本発明(ウェブ乾燥装置、ウェブ乾燥方法)では、筐体内において送風乾燥部と排気部との間に配置された整流部材が、搬送方向に搬送されるウェブに対向する。したがって、送風乾燥部と排気部との間の領域における気流の乱れを整流部材により抑えることができる。その結果、送風乾燥部と筐体の開口との間に設けられた排気部による排気の影響により開口付近でウェブがばたつくのを抑制することが可能となっている。
【0010】
また、開口を介して側壁の内側と外側との間を搬送方向に移動するウェブに側壁の外側で接触することでウェブを支持する接触支持部材をさらに備え、整流部材は、ウェブの両側に配置されるように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、ウェブの両側に配置された整流部材によって、開口付近でのウェブのばたつきを確実に抑制することができる。
【0011】
また、開口を介して側壁の内側と外側との間を搬送方向に移動するウェブに側壁の外側で気体を噴射することでウェブを支持する浮上支持部材をさらに備え、浮上支持部材は、ウェブの両側のうち一方側の面に気体を噴射し、整流部材は、ウェブの両側のうち、一方側と反対の他方側に配置される一方、一方側に配置されないように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、ウェブの一方側に配置された浮上支持部材から噴射された気体は、ウェブの一方側の面に沿って移動して、開口から筐体内に進入する。このような気体の流れは、開口付近におけるウェブのばたつきを一方側から抑える機能を果たす。また、ウェブの他方側には整流部材が配置されており、この整流部材は開口付近におけるウェブのばたつきを他方側から抑える機能を果たす。したがって、ウェブの両側のうち他方側にのみ整流部材を配置してウェブ乾燥装置の部品点数を抑えつつも、開口付近におけるウェブのばたつきをウェブの両側から抑えることができる。
【0012】
また、整流部材は、送風乾燥部および排気部のそれぞれに接し、送風乾燥部と排気部との間を塞ぐように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。これによって、開口付近におけるウェブのばたつきを確実に抑えることができる。
【0013】
また、送風ユニットは、搬送方向に搬送されるウェブに対向する搬送方向に平行なノズル配置平面と、ノズル配置平面において搬送方向に並ぶ複数のノズルとを有し、各ノズルから前ウェブに気体を噴射し、整流部材は、搬送方向に搬送されるウェブに対向する搬送方向に平行な整流平面を有し、ノズル配置平面と整流平面とが面一となるように配置されているように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、送風ユニットのノズル配置平面と整流部材の整流平面との間の段差による気流の乱れが生じないため、開口付近によるウェブのばたつきを確実に抑えることができる。
【0014】
また、整流部材は、送風ユニットにより支持されるように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。このように整流部材を支持する機能を送風ユニットに設けることで、当該機能のための機構を別途設ける必要がなく、ウェブ乾燥装置の構成の複雑化を抑制することができる。
【0015】
また、筐体は、2個の送風ユニットの間隔を調整可能に2個の送風ユニットを支持し、整流部材は、送風ユニットに対して着脱可能であるように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、2個の送風ユニットの間隔を調整することで、送風ユニットとウェブとの距離を適切化する作業が実行可能である。さらに、整流部材は送風ユニットから取り外すことができるため、かかる作業をスムーズに実行することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、送風乾燥部からの気体の噴射によりウェブを乾燥させるにあたって、送風乾燥部と筐体の開口との間に設けられた排気部による排気の影響により開口付近でウェブがばたつくのを抑制することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明に係るウェブ乾燥装置の一例に相当する乾燥炉を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図。
【
図2】
図1の印刷システムが備える後段乾燥炉を模式的に示す正面視における部分断面図。
【
図3】
図2の後段乾燥炉の後段印刷機側の端部を模式的に示す正面視における部分断面図。
【
図4】
図2の後段乾燥炉の後段印刷機と反対側の端部を模式的に示す正面視における部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係るウェブ乾燥装置の一例に相当する乾燥炉を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。
図1および以下に示す図では、水平方向Xおよび鉛直方向Zを適宜示す。
図1に示すように、印刷システム1は、互いに同一の高さを有する前段印刷機2、前段乾燥炉3、後段印刷機4および後段乾燥炉5がこの順で水平方向X(配列方向)に並んだ構成を具備する。この印刷システム1は、繰出ロール11から巻取ロール12へロール・トゥ・ロールで印刷媒体Mを搬送しつつ、前段印刷機2で印刷した印刷媒体Mを前段乾燥炉3で乾燥させ、さらに後段印刷機4で印刷した印刷媒体Mを後段乾燥炉5で乾燥させる。なお、印刷媒体Mとしては、紙あるいはフィルム等の種々の素材を利用できる。また、以下では、印刷媒体Mの両面のうち、画像が印刷される面を表面M1と、表面M1の反対側の面を裏面M2と適宜称する。
【0019】
前段印刷機2は、印刷媒体Mの表面M1に対してインクジェット方式でインクを吐出する複数の印刷ヘッド21を備える。ここで示す例では、4色のプロセスカラー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のインクを吐出する4個の印刷ヘッド21と、2色の特色インク(オレンジ、バイオレット、グリーン等)を吐出する2個の印刷ヘッド21とを含む6個の印刷ヘッド21が設けられている。つまり。前段印刷機2は、互いに異なる色のインクを吐出する6個の印刷ヘッド21によって、カラー画像を印刷媒体Mの表面M1に印刷することができる。なお、特色インクを吐出する印刷ヘッド21は必須ではない。
【0020】
前段印刷機2によりカラー画像が印刷された印刷媒体Mは、前段印刷機2から前段乾燥炉3へと搬送される。前段乾燥炉3は、印刷媒体Mを鉛直方向Zに適宜折り返しながら、ヒータ31により印刷媒体Mを加熱する。これによって、印刷媒体Mの表面M1に付着したインクが乾燥される。なお、前段乾燥炉3で印刷媒体Mを乾燥させる手段としては、ヒータ31に限られるものではなく、温風を噴射することで印刷媒体Mを加熱して乾燥させてもよく、常温の気体を噴射することで印刷媒体Mを乾燥させてもよい。
【0021】
こうして前段乾燥炉3により乾燥された印刷媒体Mは、前段乾燥炉3から後段印刷機4へと搬送される。後段印刷機4は、印刷媒体Mの表面M1に対してインクジェット方式でインクを吐出する印刷ヘッド41を備える。ここで示す例では、印刷ヘッド41は白色のインクを吐出する。したがって、後段印刷機4は、前段印刷機2で印刷されたカラー画像に対して、印刷媒体Mの表面M1に白色の背景画像を印刷することができる。
【0022】
こうして後段印刷機4により背景画像が印刷された印刷媒体Mは、後段印刷機4から後段乾燥炉5へと搬送される。そして、後段乾燥炉5は、前段印刷機2によって印刷媒体Mに印刷されたカラー画像を構成するインクと、後段印刷機4によって印刷媒体Mに印刷された背景画像を構成するインクとを乾燥させる。
【0023】
図2は
図1の印刷システムが備える後段乾燥炉を模式的に示す正面視における部分断面図であり、
図3は
図2の後段乾燥炉の後段印刷機側の端部を模式的に示す正面視における部分断面図であり、
図4は
図2の後段乾燥炉の後段印刷機と反対側の端部を模式的に示す正面視における部分断面図である。
図2~
図4では、水平方向Xの一方側がX1側と表記され、水平方向Xの他方側がX2側(X1側の反対側)と表記されている。なお、以下に示す図においても、同様の表記を適宜用いる。
【0024】
後段乾燥炉5は、水平方向Xに印刷媒体Mを適宜折り返して搬送しながら印刷媒体Mを乾燥させる。この後段乾燥炉5は、後段印刷機4に対して水平方向Xに間隔を空けて配置された筐体6を備える。この筐体6は、水平方向Xに延設された直方体形状を有し、水平方向Xにおける筐体6の両側壁6a、6bは、鉛直方向Zに平行であるとともに水平方向Xに垂直であり、水平方向Xに間隔を空けて互いに対向する。
【0025】
側壁6a、6bのうち、水平方向XのX2側(後段印刷機4側)の側壁6aには、鉛直方向Zに並ぶ3個の開口61、64、65が水平方向Xに貫通しており、水平方向XのX1側(後段印刷機4の反対側)の筐体6bには、鉛直方向Zに並ぶ3個の開口62、63、66が水平方向Xに貫通している。側壁6aにおいて、開口61は開口64より上側に設けられ、開口64は開口65より上側に設けられている。側壁6bにおいて、開口62は開口63より上側に設けられ、開口63は開口66より上側に設けられている。また、開口61と開口62とは同じ高さに位置して水平方向Xに対向し、開口63と開口64とは同じ高さに位置して水平方向Xに対向し、開口65と開口66とは同じ高さに位置して水平方向Xに対向する。そして、印刷媒体Mは、繰出ロール11および巻取ロール12による搬送に伴って、これらの開口61~66を順番に通過することで筐体6の中と外とを往来する。
【0026】
この後段乾燥炉5は、開口61に対して配置されたローラ51を、筐体6の外側に備える。ローラ51は、水平方向Xにおける筐体6のX2側に配置され(換言すれば、後段印刷機4と筐体6との間に配置され)、印刷媒体Mの裏面M2(下面)に接することで印刷媒体Mを裏面M2側から支持する。そして、後段印刷機4から搬出された印刷媒体Mは、このローラ51により支持されつつ、側壁6aの開口61から筐体6内に搬入される。こうして開口61を介して側壁6aを通過した印刷媒体Mは、水平方向Xに平行に開口61から開口62へ向かう上段搬送方向Duへ移動し、側壁6bの開口62から筐体6外に搬出される。
【0027】
後段乾燥炉5は、開口62から搬出された印刷媒体Mを折り返すために、筐体6の外側で上下に並ぶローラ52、53を、水平方向Xにおける筐体6のX1側に備える。上側のローラ52は、開口62に対して配置されており、開口62から水平方向XのX1側へ搬出された印刷媒体Mの裏面M2に接することで、印刷媒体Mを裏面M2側から支持しつつ鉛直方向Zの下側へ折り返す。下側のローラ53は、開口63に対して配置されており、ローラ52から下側に移動する印刷媒体Mの裏面M2に接することで、印刷媒体Mを裏面M2側から支持しつつ水平方向XのX2側へ折り返す。なお、このように印刷媒体Mを折り返すことで、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とが上下に反転する。
【0028】
こうしてローラ53により折り返された印刷媒体Mは、側壁6bの開口63から筐体6内に搬入される。開口63を介して側壁6bを通過した印刷媒体Mは、水平方向Xに平行に開口63から開口64へ向かう中段搬送方向Dmへ移動し、側壁6aの開口64から筐体6外に搬出される。
【0029】
後段乾燥炉5は、開口64から搬出された印刷媒体Mを折り返すために、筐体6の外側で上下に並ぶエアターンバー54、55を、水平方向Xにおける筐体6のX2側に備える。上側のエアターンバー54は、開口64に対して配置されており、開口64から水平方向XのX2側へ搬出された印刷媒体Mの表面M1側から印刷媒体Mにエアを噴射する。これによって、エアターンバー54は、印刷媒体Mとの間に隙間を空けた状態で印刷媒体Mを表面M1側から支持しつつ、印刷媒体Mを鉛直方向Zの下側へ折り返す。下側のエアターンバー55は、開口65に対して配置されており、エアターンバー54から下側に移動する印刷媒体Mの表面M1側から印刷媒体Mにエアを噴射する。これによって、エアターンバー55は、印刷媒体Mとの間に隙間を空けた状態で印刷媒体Mを表面M1側から支持しつつ、印刷媒体Mを水平方向XのX1側へ折り返す。なお、このように印刷媒体Mを折り返すことで、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とが上下に反転する。
【0030】
こうしてエアターンバー55により折り返された印刷媒体Mは、側壁6aの開口65から筐体6内に搬入される。開口65を介して側壁6aを通過した印刷媒体Mは、水平方向Xに平行に開口65から開口66へ向かう下段搬送方向Dlへ移動し、側壁6bの開口66から筐体6外に搬出される。
【0031】
また、後段乾燥炉5は、開口66から搬出された印刷媒体Mを支持するために、筐体6の外側に配置されたローラ56を、水平方向Xにおける筐体6のX1側に備える。このローラ56は、開口66に対して配置されており、開口66から水平方向XのX1側へ搬出された印刷媒体Mの裏面M2に接することで、印刷媒体Mを裏面M2側から支持する。
【0032】
かかる後段乾燥炉5は、6個の送風乾燥部7a~7fを筐体6内に備える。これらのうち、2個の送風乾燥部7a、7bは上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mを乾燥するために、開口61、62の間に配列され、2個の送風乾燥部7c、7dは中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mを乾燥するために、開口63、64の間に配列され、2個の送風乾燥部7e、7fは下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mを乾燥するために、開口65、66の間に配列されている。
【0033】
図5は送風乾燥部を部分的に拡大して示す模式図である。続いては、送風乾燥部7a~7fについて、
図5を併用して説明する。なお、送風乾燥部7a~7fは共通する構成を備える。そのため、送風乾燥部7aを用いてこれらに共通する部分を主に説明してから、送風乾燥部7b~7fについて個別の構成を説明する。
【0034】
送風乾燥部7aは、上段搬送方向Duにおいて開口61に対向して配置される。この送風乾燥部7aは、上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mの上側および下側それぞれに配置された送風ユニット71u、71lを有する。
【0035】
上側の送風ユニット71uは、印刷媒体Mの上側において水平方向Xに延設された送風チャンバ72uを有する。送風チャンバ72uの水平方向Xの両端面は、水平方向Xに垂直であって鉛直方向Zに平行な平面である。送風チャンバ72uには、外部に設けられたヒータによってエアを加熱することで生成された温風が供給される。送風チャンバ72uの下面は、上側を向く印刷媒体Mの表面M1(上面)に上側から対向するノズル配置平面73uである。このノズル配置平面73uは、水平方向Xに平行であるとともに鉛直方向Zに平行な平面である。さらに、送風ユニット71uは、このノズル配置平面73uにおいて水平方向Xに所定のピッチA1で配列された複数のノズル76uを有する。こうして複数のノズル76uがノズル配置平面73uと印刷媒体Mの表面M1との間に並んで、印刷媒体Mの表面M1に対向する。各ノズル76uは、送風チャンバ72uと連通しており、送風チャンバ72uに供給された温風は、ノズル76uから印刷媒体Mの表面M1に噴射される。
【0036】
下側の送風ユニット71lは、印刷媒体Mの下側において水平方向Xに延設された送風チャンバ72lを有する。送風チャンバ72lの水平方向Xの両端面は、水平方向Xに垂直であって鉛直方向Zに平行な平面である。送風チャンバ72lには、上記の温風が供給される。送風チャンバ72lの上面は、下側を向く印刷媒体Mの裏面M2(下面)に下側から対向するノズル配置平面73lである。このノズル配置平面73lは、水平方向Xに平行であるとともに鉛直方向Zに平行な平面である。さらに、送風ユニット71lは、このノズル配置平面73lにおいて水平方向Xに所定のピッチA1で配列された複数のノズル76lを有する。こうして複数のノズル76lがノズル配置平面73lと印刷媒体Mの裏面M2との間に並んで、印刷媒体Mの裏面M2に対向する。各ノズル76lは、送風チャンバ72lと連通しており、送風チャンバ72lに供給された温風は、ノズル76lから印刷媒体Mの裏面M2に噴射される。
【0037】
このように、送風ユニット71uと送風ユニット71lとは印刷媒体Mを挟む。換言すれば、上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mは、送風ユニット71uと送風ユニット71lとの間に形成された乾燥経路Pを通過する。このように、送風乾燥部7aは、開口61への搬入後に、当該開口61に対向する乾燥経路Pを上段搬送方向Duへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0038】
ちなみに、上側のノズル76uは、水平方向Xに隣り合う下側の2個のノズル76lの間の範囲に上側から対向し、下側のノズル76lは、水平方向Xに隣り合う上側の2個のノズル76uの間の範囲に下側から対向する。つまり、水平方向Xにおいて、上側のノズル76uと下側のノズル76lとは、ピッチA1の半分のピッチA2で交互に並んでおり、換言すれば千鳥状に配列されている。このようなノズル76u、76lの千鳥配列は、送風チャンバ72u、72lの位置を水平方向Xに相互にずらすことで実現される。つまり、送風チャンバ72lは、送風チャンバ72uに対して水平方向Xにおいて側壁6a側に突出している。
【0039】
かかる構成では、印刷媒体Mは、上側のノズル76uに対向する部分ではこのノズル76uからの温風により下側へ押されることで搬送中心線Lより下側に偏り、下側のノズル76lに対向する部分ではこのノズル76lからの温風により上方へ押されることで搬送中心線Lより上側に偏る。ここで、搬送中心線Lは、ノズル76uおよびノズル76lそれぞれからの鉛直方向Zにおける距離が等しい水平な仮想直線である。したがって、乾燥経路Pを通過する印刷媒体Mは、搬送中心線Lの上側と下側との間で波打った形状を有する。
【0040】
また、これら送風ユニット71u、71lは、筐体6によって支持される。具体的には、送風ユニット71u、71lはネジ等の締結部材を介して筐体6に取り付けられている。さらに、送風ユニット71u、71lのいずれかの取り付け位置を鉛直方向Zに調整することで、送風ユニット71u、71lの鉛直方向Zへの位置関係(間隔)を調整することができる。
【0041】
送風乾燥部7bは、上段搬送方向Duにおいて送風乾燥部7aの下流側に配置され、上段搬送方向Duにおいて開口62に対向する。この送風乾燥部7bは、送風乾燥部7aと同様に、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。また、送風乾燥部7bでは、送風ユニット71uが送風ユニット71lに対して水平方向Xにおいて側壁6b側に突出している。この送風乾燥部7bは、開口62からの搬出前に、当該開口62に対向する乾燥経路Pを上段搬送方向Duへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0042】
送風乾燥部7cは、中段搬送方向Dmから開口63に対向して配置される。この送風乾燥部7cは、送風乾燥部7aと同様に、印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。ただし、送風乾燥部7cは、中段搬送方向Dmに対して配置されているため、送風乾燥部7cの送風ユニット71u、71lは、中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む。さらに、ローラ52、53による印刷媒体Mの折り返しに伴って印刷媒体Mの上下が反転しているため、送風ユニット71uは、印刷媒体Mの裏面M2(上面)に温風を噴射し、送風ユニット71lは、印刷媒体Mの表面M1(下面)に温風を噴射する。また、送風乾燥部7cでは、送風ユニット71lが送風ユニット71uに対して水平方向Xにおいて側壁6b側に突出している。この送風乾燥部7cは、開口63への搬入後に、当該開口63に対向する乾燥経路Pを中段搬送方向Dmへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0043】
送風乾燥部7dは、中段搬送方向Dmにおいて送風乾燥部7cの下流側に配置され、中段搬送方向Dmから開口64に対向する。この送風乾燥部7dは、送風乾燥部7cと同様に中段搬送方向Dmに移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。また、送風乾燥部7dでは、送風ユニット71uが送風ユニット71lに対して水平方向Xにおいて側壁6a側に突出している。この送風乾燥部7dは、開口64からの搬出前に、当該開口64に対向する乾燥経路Pを中段搬送方向Dmへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0044】
送風乾燥部7eは、下段搬送方向Dlから開口65に対向して配置される。この送風乾燥部7eは、送風乾燥部7aと同様に、印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。ただし、送風乾燥部7eは、下段搬送方向Dlに対して配置されているため、送風乾燥部7eの送風ユニット71u、71lは、下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む。また、送風乾燥部7eでは、送風ユニット71lが送風ユニット71uに対して水平方向Xにおいて側壁6a側に突出している。この送風乾燥部7eは、開口65への搬入後に、当該開口65に対向する乾燥経路Pを下段搬送方向Dlへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0045】
送風乾燥部7fは、下段搬送方向Dlにおいて送風乾燥部7eの下流側に配置され、下段搬送方向Dlから開口66に対向する。この送風乾燥部7fは、送風乾燥部7eと同様に、下段搬送方向Dlに移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。また、送風乾燥部7fでは、送風ユニット71uが送風ユニット71lに対して水平方向Xにおいて側壁6b側に突出している。この送風乾燥部7fは、開口66からの搬出前に、当該開口66に対向する乾燥経路Pを下段搬送方向Dlへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0046】
さらに、後段乾燥炉5は、筐体6内のエアを筐体6外に排出する排気部8a、8bを、筐体6内に備える。排気部8aは、筐体6内のX2側の端に側壁6aに隣接して配置され、送風乾燥部7a、7d、7eと側壁6aとの間に位置する。排気部8bは、筐体6内のX1側の端に側壁6bに隣接して配置され、送風乾燥部7b、7c、7fと側壁6bとの間に位置する。これら排気部8a、8bは共通する構成を備える。そのため、排気部8aを用いてこれらに共通する部分を主に説明してから、排気部8bについて個別の構成を説明する。
【0047】
排気部8aは、鉛直方向Zに並ぶ4個の排気チャンバ81~84を有する。排気チャンバ81は、開口61と開口62との間を上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mの上側に配置されている。排気チャンバ81は、筐体6の側壁6aから内側(X1側)へ水平方向Xに延設された下平板812を有する。下平板812の下面は、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mの表面M1(上面)に上側から対向し、送風乾燥部7aの送風ユニット71uのノズル配置平面73uと同じ高さに位置する。さらに、排気チャンバ81は、側壁6aと反対側(X1側)の下平板812の端から鉛直方向Zに平行に上側に延設された側平板813を有する。そして、下平板812および側平板813のそれぞれに、吸気口が開口する。
【0048】
排気チャンバ82は、開口61と開口62との間を上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mと、開口63と開口64との間を中段搬送方向Dmに移動する印刷媒体Mとの間に配置されている。排気チャンバ82は、筐体6の側壁6aから内側(X1側)へ水平方向Xにそれぞれ延設された上平板821および下平板822を有する。上平板821の上面は、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2(下面)に下側から対向し、送風乾燥部7aの送風ユニット71lのノズル配置平面73lと同じ高さに位置する。下平板822の下面は、中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2(上面)に上側から対向し、送風乾燥部7dの送風ユニット71uのノズル配置平面73uと同じ高さに位置する。さらに、排気チャンバ82は、側壁6aと反対側(X1側)の上平板821および下平板822それぞれの端の間で鉛直方向Zに平行に延設された側平板823を有する。そして、上平板821、下平板822および側平板823のそれぞれに、吸気口が開口する。
【0049】
排気チャンバ83は、開口63と開口64との間を中段搬送方向Dmに移動する印刷媒体Mと、開口65と開口66との間を下段搬送方向Dlに移動する印刷媒体Mとの間に配置されている。排気チャンバ83は、筐体6の側壁6aから内側(X1側)へ水平方向Xにそれぞれ延設された上平板831および下平板832を有する。上平板831の上面は、中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mの表面M1(下面)に下側から対向し、送風乾燥部7dの送風ユニット71lのノズル配置平面73lと同じ高さに位置する。下平板832の下面は、下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mの表面M1(上面)に上側から対向し、送風乾燥部7eの送風ユニット71uのノズル配置平面73uと同じ高さに位置する。さらに、排気チャンバ83は、側壁6aと反対側(X1側)の上平板831および下平板832それぞれの端の間で鉛直方向Zに平行に延設された側平板833を有する。そして、上平板831、下平板832および側平板833のそれぞれに、吸気口が開口する。
【0050】
排気チャンバ84は、開口65と開口66との間を下段搬送方向Dlに移動する印刷媒体Mの下側に配置されている。排気チャンバ84は、筐体6の側壁6aから内側(X1側)へ水平方向Xに延設された上平板841を有する。上平板841の上面は、下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2(下面)に下側から対向し、送風乾燥部7eの送風ユニット71lのノズル配置平面73lと同じ高さに位置する。さらに、排気チャンバ84は、側壁6aと反対側(X1側)の上平板841の端から鉛直方向Zに平行に下側に延設された側平板843を有する。そして、上平板841および側平板843のそれぞれに、吸気口が開口する。
【0051】
かかる排気部8aと同様に、排気部8bも排気チャンバ81~84を有する。なお、排気部8bにおいては、排気チャンバ81の下平板812の下面は、送風乾燥部7bの送風ユニット71uのノズル配置平面73uと同じ高さに位置する。排気チャンバ82の上平板821の上面は、送風乾燥部7bの送風ユニット71lのノズル配置平面73lと同じ高さに位置し、排気チャンバ82の下平板822の下面は、送風乾燥部7cの送風ユニット71uのノズル配置平面73uと同じ高さに位置する。排気チャンバ83の上平板831の上面は、送風乾燥部7cの送風ユニット71lのノズル配置平面73lと同じ高さに位置し、排気チャンバ83の下平板832の下面は、送風乾燥部7fの送風ユニット71uのノズル配置平面73uと同じ高さに位置する。排気チャンバ84の上平板841上面は、送風乾燥部7fの送風ユニット71lのノズル配置平面73lと同じ高さに位置する。
【0052】
これら排気部8a、8bの排気チャンバ81~84は、共通の排気ブロア(不図示)に接続されている。したがって、排気部8は、排気部8a、8bの排気チャンバ81~84のそれぞれの吸気口から筐体6内のエアを吸引して、筐体6の外部に排出する。また、排気チャンバ81~84を複数の排気ブロアにそれぞれ接続して、一部を筐体6の外部に排気するとともに、一部を送風乾燥部7a~7eに戻すことで一部のエアを循環させてもよい。これによって、排熱を利用した効率的な乾燥が可能となる。
【0053】
ところで、後段乾燥炉5のX2側の端部では、排気チャンバ81、82、83、84の側平板813、823、833、843は、水平方向Xにおいて同じ位置に配置され、換言すれば、鉛直方向Zに一列に並ぶ。一方、これら側平板813、823、833、843に対して、送風乾燥部7a、7d、7eが水平方向Xから間隔を空けて対向する。
【0054】
つまり、水平方向Xにおいて、送風乾燥部7aの送風チャンバ72uが、排気チャンバ81の側平板813の下端に間隔Δ1を空けて対向し、送風乾燥部7aの送風チャンバ72lおよび送風乾燥部7dの送風チャンバ72uのそれぞれが、排気チャンバ82の側平板823の上端および下端に間隔Δ2、Δ3を空けて対向し、送風乾燥部7dの送風チャンバ72lおよび送風乾燥部7eの送風チャンバ72uのそれぞれが、排気チャンバ83の側平板833の上端および下端に間隔Δ4、Δ5を空けて対向し、送風乾燥部7eの送風チャンバ72lが、排気チャンバ84の側平板843の上端に間隔Δ6を空けて対向する。
【0055】
同様に、後段乾燥炉5のX1側の端部では、排気チャンバ81、82、83、84の側平板813、823、833、843は、水平方向Xにおいて同じ位置に配置され、換言すれば、鉛直方向Zに一列に並ぶ。一方、これら側平板813、823、833、843に対して、送風乾燥部7b、7c、7fが水平方向Xから対向する。
【0056】
つまり、水平方向Xにおいて、送風乾燥部7bの送風チャンバ72uが、排気チャンバ81の側平板813の下端に間隔Δ7を空けて対向し、送風乾燥部7bの送風チャンバ72lおよび送風乾燥部7cの送風チャンバ72uのそれぞれが、排気チャンバ82の側平板823の上端および下端に間隔Δ8、Δ9を空けて対向し、送風乾燥部7cの送風チャンバ72lおよび送風乾燥部7fの送風チャンバ72uのそれぞれが、排気チャンバ83の側平板833の上端および下端に間隔Δ10、Δ11を空けて対向し、送風乾燥部7fの送風チャンバ72lが、排気チャンバ84の側平板843の上端に間隔Δ12を空けて対向する。
【0057】
これに対して、後段乾燥炉5は、上記の間隔Δ1~Δ12のうち、間隔Δ4、Δ5を除く間隔Δ1~Δ3、Δ6~Δ12に対して配置された整流板91、92を備える。これら整流板91、92は、水平方向Xに平行であって鉛直方向Zに直交する平面を上下の主面に有する平板である。なお、2種類の整流板91、92は、間隔Δ1~Δ3、Δ6~Δ12の長さの違いに応じて設けられ、水平方向Xにおいて整流板91の長さは整流板92より長い。つまり、送風乾燥部7a~7fのそれぞれで、送風ユニット71uの送風チャンバ72uおよび送風ユニット71lの送風チャンバ72lのうち一方が他方に対して側壁6a、6b側に突出していることから、間隔Δ1~Δ12の長さには2通りの長さ存在する。これに対応するために、長さの異なる整流板91、92が具備される。
【0058】
詳述すると、水平方向XのX2側では、送風乾燥部7aの送風チャンバ72uと、排気チャンバ81の側平板813との間の間隔Δ1に、整流板91が配置されている。この整流板91の下面は、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mの表面M1に上側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72uのノズル配置平面73uおよび排気チャンバ81の下平板812の下面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板91の長さと間隔Δ1の長さとは等しく、整流板91は、送風チャンバ72uおよび側平板813のそれぞれに接触して、間隔Δ1を塞ぐ。この整流板91は、送風チャンバ72uおよび側平板813のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0059】
送風乾燥部7aの送風チャンバ72lと、排気チャンバ82の側平板823との間の間隔Δ2には、整流板92が配置されている。この整流板92の上面は、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2に下側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72lのノズル配置平面73lおよび排気チャンバ82の上平板821の上面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板92の長さと間隔Δ2の長さとは等しく、整流板92は、送風チャンバ72lおよび側平板823のそれぞれに接触して、間隔Δ2を塞ぐ。この整流板92は、送風チャンバ72lおよび側平板823のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0060】
このように、開口61を通過して送風乾燥部7aの乾燥経路Pに向かう印刷媒体Mの両側(表面M1側および裏面M2側)に、整流板91、92が配置されている。その結果、整流板91、92により挟まれた範囲における気流を安定させて、開口61の付近で印刷媒体Mがばたつくのを抑制することができる。
【0061】
送風乾燥部7dの送風チャンバ72uと、排気チャンバ82の側平板823との間の間隔Δ3には、整流板92が配置されている。この整流板92の下面は、中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2に上側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72uのノズル配置平面73uおよび排気チャンバ82の下平板822の下面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板92の長さと間隔Δ3の長さとは等しく、整流板92は、送風チャンバ72uおよび側平板823のそれぞれに接触して、間隔Δ3を塞ぐ。この整流板92は、送風チャンバ72uおよび側平板823のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0062】
送風乾燥部7dの送風チャンバ72lと排気チャンバ83の側平板833との間の間隔Δ4には整流板91、92が配置されておらず、間隔Δ4は開放されている。
【0063】
このように、送風乾燥部7dの乾燥経路Pを通過して開口64に向かう印刷媒体Mの裏面M2側(他方側)には、整流板92が配置されている。その結果、整流板92と印刷媒体Mの裏面M2との間における気流を安定させることができる。また、印刷媒体Mの表面M1側(一方側)に関しては、開口64の外側のエアターンバー54から印刷媒体Mの表面M1に噴射されたエアが、
図3の矢印Wに示すように印刷媒体Mの表面M1に沿って移動して、開口64から筐体6内に進入する。このようなエアの流れにより、開口64付近における印刷媒体Mの表面M1側の気流が安定する。その結果、開口64の付近で印刷媒体Mがばたつくのを抑制することができる。
【0064】
送風乾燥部7eの送風チャンバ72uと排気チャンバ83の側平板833との間の間隔Δ5には整流板91、92が配置されておらず、間隔Δ5は開放されている。
【0065】
送風乾燥部7eの送風チャンバ72lと、排気チャンバ84の側平板843との間の間隔Δ6には、整流板92が配置されている。この整流板92の上面は、下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2に下側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72lのノズル配置平面73lおよび排気チャンバ84の上平板841の上面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板92の長さと間隔Δ6の長さとは等しく、整流板92は、送風チャンバ72lおよび側平板843のそれぞれに接触して、間隔Δ6を塞ぐ。この整流板92は、送風チャンバ72lおよび側平板843のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0066】
このように、開口65を通過して送風乾燥部7eに向かう印刷媒体Mの裏面M2側(他方側)には、整流板92が配置されている。その結果、整流板92と印刷媒体Mの裏面M2との間における気流を安定させることができる。また、印刷媒体Mの表面M1側(一方側)に関しては、開口65の外側のエアターンバー55から印刷媒体Mの表面M1に噴射されたエアが、
図3の矢印Wに示すように印刷媒体Mの表面M1に沿って移動して、開口65から筐体6内に進入する。このようなエアの流れにより、開口65付近における印刷媒体Mの表面M1側の気流が安定する。その結果、開口65の付近で印刷媒体Mがばたつくのを抑制することができる。
【0067】
水平方向XのX2側では、送風乾燥部7bの送風チャンバ72uと、排気チャンバ81の側平板813との間の間隔Δ7には、整流板92が配置されている。この整流板92の下面は、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mの表面M1に上側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72uのノズル配置平面73uおよび排気チャンバ81の下平板812の下面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板92の長さと間隔Δ7の長さとは等しく、整流板92は、送風チャンバ72uおよび側平板813のそれぞれに接触して、間隔Δ7を塞ぐ。この整流板92は、送風チャンバ72uおよび側平板813のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0068】
送風乾燥部7bの送風チャンバ72lと、排気チャンバ82の側平板823との間の間隔Δ8には、整流板91が配置されている。この整流板91の上面は、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2に下側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72lのノズル配置平面73lおよび排気チャンバ82の上平板821の上面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板91の長さと間隔Δ8の長さとは等しく、整流板91は、送風チャンバ72lおよび側平板823のそれぞれに接触して、間隔Δ8を塞ぐ。この整流板91は、送風チャンバ72lおよび側平板823のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0069】
このように、送風乾燥部7bの乾燥経路Pを通過して開口62に向かう印刷媒体Mの両側(表面M1側および裏面M2側)に、整流板91、92が配置されている。その結果、整流板91、92により挟まれた範囲における気流を安定させて、開口62の付近で印刷媒体Mがばたつくのを抑制することができる。
【0070】
送風乾燥部7cの送風チャンバ72uと、排気チャンバ82の側平板823との間の間隔Δ9には、整流板91が配置されている。この整流板91の下面は、中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2に上側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72uのノズル配置平面73uおよび排気チャンバ82の下平板822の下面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板91の長さと間隔Δ9の長さとは等しく、整流板91は、送風チャンバ72uおよび側平板823のそれぞれに接触して、間隔Δ9を塞ぐ。この整流板91は、送風チャンバ72uおよび側平板823のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0071】
送風乾燥部7cの送風チャンバ72lと、排気チャンバ83の側平板833との間の間隔Δ10には、整流板92が配置されている。この整流板92の上面は、中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mの表面M1に下側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72lのノズル配置平面73lおよび排気チャンバ83の下平板832の上面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板92の長さと間隔Δ10の長さとは等しく、整流板92は、送風チャンバ72lおよび側平板833のそれぞれに接触して、間隔Δ10を塞ぐ。この整流板92は、送風チャンバ72lおよび側平板833のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0072】
このように、開口63を通過して送風乾燥部7cの乾燥経路Pに向かう印刷媒体Mの両側(表面M1側および裏面M2側)に、整流板91、92が配置されている。その結果、整流板91、92により挟まれた範囲における気流を安定させて、開口63の付近で印刷媒体Mがばたつくのを抑制することができる。
【0073】
送風乾燥部7fの送風チャンバ72uと、排気チャンバ83の側平板833との間の間隔Δ11には、整流板92が配置されている。この整流板92の下面は、下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mの表面M1に上側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72uのノズル配置平面73uおよび排気チャンバ83の下平板832の下面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板92の長さと間隔Δ11の長さとは等しく、整流板92は、送風チャンバ72uおよび側平板833のそれぞれに接触して、間隔Δ11を塞ぐ。この整流板92は、送風チャンバ72uおよび側平板833のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0074】
送風乾燥部7fの送風チャンバ72lと、排気チャンバ84の側平板843との間の間隔Δ12には、整流板91が配置されている。この整流板91の上面は、下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mの裏面M2に下側から対向して、印刷媒体Mの近傍の気流を安定させる整流平面Scである。この整流平面Scは、隣接する送風チャンバ72lのノズル配置平面73lおよび排気チャンバ84の上平板841の上面と同じ高さに位置して、これらと面一である。水平方向Xにおいて、整流板91の長さと間隔Δ12の長さとは等しく、整流板91は、送風チャンバ72lおよび側平板843のそれぞれに接触して、間隔Δ12を塞ぐ。この整流板91は、送風チャンバ72lおよび側平板843のそれぞれに対して、ネジ等の締結部材により着脱可能に取り付けられている。
【0075】
このように、送風乾燥部7fの乾燥経路Pを通過して開口66に向かう印刷媒体Mの両側(表面M1側および裏面M2側)に、整流板91、92が配置されている。その結果、整流板91、92により挟まれた範囲における気流を安定させて、開口66の付近で印刷媒体Mがばたつくのを抑制することができる。
【0076】
以上のように構成された実施形態では、後段乾燥炉5の筐体6内において送風乾燥部7a~7fと排気部8a、8bとの間に配置された整流板91、92が、搬送方向Du、Dm、Dlに搬送される印刷媒体Mに対向する。したがって、送風乾燥部7a~7fと排気部8a、8bとの間の領域における気流の乱れを整流板91、92により抑えることができる。その結果、送風乾燥部7a~7fと筐体6の開口61~66との間に設けられた排気部8a、8bによる排気の影響により開口61~66の付近で印刷媒体Mがばたつくのを抑制することが可能となっている。
【0077】
また、開口61~63、66を介して側壁6a、6bの内側と外側との間を搬送方向Du、Dm、Dlに移動する印刷媒体Mは、側壁6a、6bの外側において、ローラ51~53、56により支持されている。このように、ローラ51~53、56が設けられた開口61~63、66を通過する印刷媒体Mに対しては、その両側に整流板91、92が配置されている。こうして、印刷媒体Mの両側に配置された整流板91、92によって、開口61~63、66付近での印刷媒体Mのばたつきを確実に抑制することができる。
【0078】
また、開口64、65を介して側壁6aの内側と外側との間を搬送方向Du、Dm、Dlに移動する印刷媒体Mは、側壁6aの外側においてエアターンバー54、55により支持されている。このようにエアターンバー54、55が設けられた開口64、65を通過する印刷媒体Mについては、エアターンバー54、55に支持される表面M1側(一方側)には整流板91、92が配置されず、裏面M2側(他方側)にのみ整流板92が配置される。かかる構成では、印刷媒体Mの表面M1側に配置されたエアターンバー54、55から噴射されたエアは、印刷媒体Mの表面M1に沿って移動して、開口64、65から筐体6内に進入する。このようなエアの流れは、開口64、65付近における印刷媒体Mのばたつきを表面M1側から抑える機能を果たす。また、印刷媒体Mの裏面M2側には整流板92が配置されており、この整流板92は開口64、65付近における印刷媒体Mのばたつきを裏面M2側から抑える機能を果たす。したがって、ウェブの両側のうち裏面M2側にのみ整流板92を配置して後段乾燥炉5の部品点数を抑えつつも、開口64、65付近における印刷媒体Mのばたつきを印刷媒体Mの両側から抑えることができる。
【0079】
また、整流板91、92は、送風乾燥部7a~7fおよび排気部8a、8bのそれぞれに接し、送風乾燥部7a~7fおよび排気部8a、8bとの間の間隔Δ1~Δ3、Δ6~Δ12を塞ぐ。これによって、開口61~66付近における印刷媒体Mのばたつきを確実に抑えることができる。
【0080】
また、送風ユニット71u、71lのノズル配置平面73u、73lと、整流板91、92の整流平面Scとが面一となるように、整流板91、92が配置されている。かかる構成では、ノズル配置平面73u、73lと、整流板91、92の整流平面Scとの間の段差による気流の乱れが生じないため、開口61~66付近による印刷媒体Mのばたつきを確実に抑えることができる。
【0081】
また、整流板91、92は、送風ユニット71u、71lにより支持される。このように整流板91、92を支持する機能を送風ユニット71u、71lに担わせることで、当該機能のための機構を別途設ける必要がなく、後段乾燥炉5の構成の複雑化を抑制することができる。
【0082】
また、筐体6は、2個の送風ユニット71u、71lの間隔を調整可能に2個の2個の送風ユニット71u、71lを支持する。これに対して、整流板91、92は、送風ユニット71u、71lに対して着脱可能である。かかる構成では、2個の送風ユニット71u、71lの間隔を調整することで、送風ユニット71u、71lと印刷媒体Mとの距離を適切化する作業が実行可能である。さらに、整流板91、92は送風ユニット71u、71lから取り外すことができるため、かかる作業をスムーズに実行することができる。
【0083】
以上に説明した実施形態では、後段乾燥炉5が本発明の「ウェブ乾燥装置」の一例に相当し、ローラ51~53、56のそれぞれが本発明の「接触支持部材」の一例に相当し、エアターンバー54、55が本発明の「浮上支持部材」の一例に相当し、筐体6が本発明の「筐体」の一例に相当し、側壁6a、6bのそれぞれが本発明の「側壁」の一例に相当し、開口61~66のそれぞれが本発明の「開口」の一例に相当し、送風乾燥部7a~7fのそれぞれが本発明の「送風乾燥部」の一例に相当し、送風ユニット71u、71lが本発明の「2個の送風ユニット」の一例に相当し、ノズル配置平面73u、73lのそれぞれが本発明の「ノズル配置平面」の一例に相当し、ノズル76u、76lのそれぞれが本発明の「ノズル」の一例に相当し、排気部8a、8bのそれぞれが本発明の「排気部」の一例に相当し、整流板91、92のそれぞれが本発明の「整流部材」の一例に相当し、上段搬送方向Du、中段搬送方向Dmおよび下段搬送方向Dlのそれぞれが本発明の「搬送方向」の一例に相当し、印刷媒体Mが本発明の「ウェブ」の一例に相当し、乾燥経路Pが本発明の「乾燥経路」の一例に相当し、整流平面Scが本発明の「整流平面」の一例に相当し、エアが本発明の「気体」の一例に相当する。
【0084】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、間隔Δ1~Δ3、Δ6~Δ12を整流板91、92により塞ぐ必要は必ずしも無い。つまり、間隔Δを例に挙げると、送風乾燥部7aの送風チャンバ72uと整流板91との間に隙間が空いていてもよいし、排気チャンバ81の側平板813と整流板91との間に隙間が空いていてもよい。
【0085】
また、整流板91、92の寸法あるいは形状を適宜変更してもよい。例えば、ノズル76u、76lを配列するピッチA1との比較において、整流板91、92の両方を長くしてもよいし、整流板91を長くするとともに整流板92を短くしてもよいし、整流板91、92の両方を短くしてもよい。さらに言えば、2通りの整流板91、92を具備する必要は無く、同一の長さの整流板を間隔Δ1~Δ3、Δ6~Δ12に配置してもよい。
【0086】
また、間隔Δ1~Δ3、Δ6~Δ12の全てに整流板を配置する必要は無く、印刷媒体Mのばたつきが大きくなる範囲が実験的にわかっている場合には、この範囲に近接する間隔に対してのみ整流板を配置しても良い。
【0087】
また、間隔Δ4、Δ5に整流板91を配置しても良い。
【0088】
また、間隔Δ1~Δ12の寸法を適宜変更してもよく、これらを同一の長さに揃えてもよい。
【0089】
また、ノズル76u、76lの配列態様を適宜変更してもよく、ノズル76u、76lが鉛直方向Zに対向するように、ノズル76u、76lを配列してもよい。
【0090】
また、整流平面Scは、ノズル配置平面73u、73lと面一である必要はなく、これらより上側あるいは下側に突出していてもよい。排気チャンバ81~84の平板812、821、822、831、832、842と整流平面Scとの位置関係についても同様のことが言える。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、送風によりウェブを乾燥させる技術の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
5…後段乾燥炉(ウェブ乾燥装置)
51~53、56…ローラ(接触支持部材)
54、55…エアターンバー(浮上支持部材)
6…筐体
6a、6b…側壁
61~66…開口
7a~7f…送風乾燥部
71u、71l…送風ユニット
73u、73l…ノズル配置平面
76u、76l…ノズル
8a、8b…排気部
91、92…整流板(整流部材)
Du…上段搬送方向(搬送方向)
Dm…中段搬送方向(搬送方向)
Dl…下段搬送方向(搬送方向)
M…印刷媒体(ウェブ)
P…乾燥経路
Sc…整流平面