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特許7241595熱交換器、及び、それを備えた燃焼装置、並びに、水抜き補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】熱交換器、及び、それを備えた燃焼装置、並びに、水抜き補助具
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20230310BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20230310BHJP
   F28F 17/00 20060101ALI20230310BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H9/16 A
F28F17/00 501D
F28F9/02 301E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019081520
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020176807
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏田 知広
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-252661(JP,A)
【文献】特開2018-031495(JP,A)
【文献】特開2015-114003(JP,A)
【文献】国際公開第2011/135650(WO,A1)
【文献】特開2010-175103(JP,A)
【文献】特開2011-252679(JP,A)
【文献】特開2018-031532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F28F 17/00
F28F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置の内部でバーナの燃焼排気が通過する位置に配設される熱交換器であって、
前記燃焼排気と熱交換することによって内部を流れる給湯用水を加熱する伝熱管と、前記伝熱管の開口端部が接続されるヘッダと、前記開口端部に取り付けられ、前記ヘッダの内部に向かって前記伝熱管の内部に残留している給湯用水を排出させる水抜き補助具とを備え、
前記開口端部は、側方に向かって開口し、
前記水抜き補助具は、前記開口端部の端面に、橋渡しされるように当接して前記開口端部の端面の一部に対向する分離板を有し、
前記分離板は、上下方向に延びている端縁を有し、
前記端縁は、前記開口端部の端面の少なくとも2つの位置に当接していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記端縁は、上下方向に直線状に延び、前記開口端部の端面の2つの位置に当接し、
前記2つの位置の一方は、前記開口端部の端面の上半分の中央部に位置し、
前記2つの位置の他方は、前記開口端部の端面の下半分の中央部に位置していることを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の熱交換器において、
前記分離板は、前記端縁を有している当接部と、前記当接部の前記開口端部の外周よりも前記開口端部の径方向外側となる位置から前記開口端部側に向かって延設されている延設部とを有し、
前記延設部と前記開口端部の周面とは、所定の間隔を存して対向していることを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換器において、
前記分離板は、前記当接部から前記延設部に亘って形成されている貫通孔を有していることを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の熱交換器を備えていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項6】
燃焼装置の内部でバーナの燃焼排気が通過する位置に配設される熱交換器の伝熱管の、側方に向かって開口する開口端部に取り付けられ、前記伝熱管が接続されているヘッダの内部に向かって前記伝熱管の内部に残留している給湯用水を排出させる水抜き補助具であって、
前記開口端部の端面に、橋渡しされるように当接する分離板を備え、
前記分離板は、前記開口端部の端面に端縁で当接する当接部と、前記当接部が前記開口端部の端面に当接した状態で、前記当接部の前記開口端部の外周よりも前記開口端部の径方向外側となる位置から前記開口端部側となる方向に向かって延設されている延設部と、前記当接部から前記延設部に亘って形成されている貫通孔とを有し、
前記端縁は、上下方向に延び、前記開口端部の端面の少なくとも2つの位置に当接し、
前記延設部と前記開口端部の周面とは、所定の間隔を存して対向していることを特徴とする水抜き補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱管の内部に残留した給湯用水を排出する水抜き補助具を備えた熱交換器、及び、その熱交換器を備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼排気中の水蒸気を凝縮させて潜熱を回収する潜熱熱交換器(以下、単に「熱交換器」ということがある。)が知られている。この種の熱交換器では、管体を複数屈曲させることによって複数の直管部分を形成した伝熱管が、ケース本体内に収容されている。
【0003】
伝熱管の直管部分は、燃焼排気の流路を横切るように設置される。これにより、伝熱管は、その直管部分で、その流路を通る燃焼排気の潜熱を回収する。一方、伝熱管の開口端部は、ケース本体の側面から突出するように配置されるとともに、ケース本体の側面に取り付けられているヘッダを介して、ヘッダに取り付けられている配管に接続される。
【0004】
このような熱交換器では、冬季における凍結防止等のために、伝熱管の内部に残留した給湯用水の排出を促す水抜き補助具を、伝熱管の開口端部に設置したものがある。そのような水抜き補助具としては、例えば、開口端部の内部に板状の部材を挿入して、その板状の部材と開口端部の内周面との間に通路を形成し、その通路を介して、給湯用水を開口端部から伝熱管の外部に導くものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-031495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、伝熱管の開口端部には、伝熱管の内部に残留した給湯用水によって、水膜が形成されることがある。そして、特許文献1に記載の水抜き補助具では、開口端部に挿入されている板状の部材と開口端部との間にも水膜が形成されてしまことがある。そのような水膜が形成されると、その水膜によって、残留した給湯用水の排出が阻害されてしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、伝熱管の内部に残留した給湯用水を排出させやすい熱交換器、及び、それを備えた燃焼装置、並びに、水抜き補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱交換器は、
燃焼装置の内部でバーナの燃焼排気が通過する位置に配設される熱交換器であって、
前記燃焼排気と熱交換することによって内部を流れる給湯用水を加熱する伝熱管と、前記伝熱管の開口端部が接続されるヘッダと、前記開口端部に取り付けられ、前記ヘッダの内部に向かって前記伝熱管の内部に残留している給湯用水を排出させる水抜き補助具とを備え、
前記開口端部は、側方に向かって開口し、
前記水抜き補助具は、前記開口端部の端面に、橋渡しされるように当接して前記開口端部の端面の一部に対向する分離板を有し、
前記分離板は、上下方向に延びている端縁を有し、
前記端縁は、前記開口端部の端面の少なくとも2つの位置に当接していることを特徴とする。
【0009】
このように、本発明の熱交換器では、伝熱管の内部に残留している給湯用水を排出させるために水抜き補助具を備えている。その水抜き補助具の分離板は、開口端部の端面に、橋渡しされるように当接している。その分離板は、上下方向に延びる端縁を有し、その端縁で、開口端部の端面の少なくとも2つの位置に当接している。
【0010】
これにより、開口端部に水膜が形成された場合には、その水膜は、分離板の端縁に接触した状態となる。そのため、その水膜を形成している給湯用水は、分離板の端縁に沿って下方に流れて、分離板と当接している開口端部の端面に導かれた後、開口端部から伝熱管の外部へと排出される。その結果、水膜を形成している給湯用水が減少して、水膜が除去される。
【0011】
したがって、本発明の熱交換器によれば、伝熱管の開口端部に形成された水膜を除去して、水膜による給湯用水の排出の阻害を抑制することができる。ひいては、伝熱管の内部に残留した給湯用水を排出させやすくすることができる。
【0012】
また、本発明の熱交換器においては、
前記端縁は、上下方向に直線状に延び、前記開口端部の端面の2つの位置に当接し、
前記2つの位置の一方は、前記開口端部の端面の上半分の中央部に位置し、
前記2つの位置の他方は、前記開口端部の端面の下半分の中央部に位置していることが好ましい。
【0013】
分離板が開口端部の端面に2つの位置で当接する場合、このように構成すると、分離板は、その端縁が開口端部の径方向の中心近傍を通り、その端縁で水膜に接触することになる。これにより、水膜を形成している給湯用水を導く分離板の端縁を、水膜に極力大きな範囲で接触させることができる。その結果、水膜を形成する給湯用水を分離板がさらに導きやすくなるので、さらに給湯用水を排出させやすくすることができる。
【0014】
また、本発明の熱交換器においては、
前記分離板は、前記端縁を有している当接部と、前記当接部の前記開口端部の外周よりも前記開口端部の径方向外側となる位置から前記開口端部側に向かって延設されている延設部とを有し、
前記延設部と前記開口端部の周面とは、所定の間隔を存して対向していることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、水膜を形成している給湯用水は、当接部の端縁によって、その当接している開口端部の端面に導かれる。そして、端面に導かれた給湯用水は、その表面張力によって、延設部と開口端部の周面との間に引き込まれる。これにより、水膜を形成している給湯用水の導出を促進することによって、水膜の除去を促進することができるので、さらに給湯用水を排出させやすくすることができる。
【0016】
また、本発明の熱交換器は、分離板が当接部と延設部とを備える構成の場合には、
前記分離板は、前記当接部から前記延設部に亘って形成されている貫通孔を有していることが好ましい。
【0017】
このように構成すると、延設部と開口端部の周面との間に引き込まれた給湯用水が、貫通孔を介して排出されるようになる。これにより、延設部と開口端部の周面との間に引き込まれた給湯用水が溜まってしまうことを防止して、給湯用水の排出が抑制されてしまうことを防止することができる。
【0018】
また、本発明の燃焼装置は、
上記いずれかの熱交換器を備えていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の水抜き補助具は、
燃焼装置の内部でバーナの燃焼排気が通過する位置に配設される熱交換器の伝熱管の、側方に向かって開口する開口端部に取り付けられ、前記伝熱管が接続されているヘッダの内部に向かって前記伝熱管の内部に残留している給湯用水を排出させる水抜き補助具であって、
前記開口端部の端面に、橋渡しされるように当接する分離板を備え、
前記分離板は、前記開口端部の端面に端縁で当接する当接部と、前記当接部が前記開口端部の端面に当接した状態で、前記当接部の前記開口端部の外周よりも前記開口端部の径方向外側となる位置から前記開口端部側となる方向に向かって延設されている延設部と、前記当接部から前記延設部に亘って形成されている貫通孔とを有し、
前記端縁は、上下方向に延び、前記開口端部の端面の少なくとも2つの位置に当接し、
前記延設部と前記開口端部の周面とは、所定の間隔を存して対向していることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る燃焼装置の概略構成を示す模式的側面図。
図2図1の燃焼装置が備える熱交換器の斜視図であり、ケース本体に天板を取り付けた状態を示す図。
図3図1の燃焼装置が備える熱交換器の斜視図であり、ケース本体に天板を取り付ける前の状態を示す図。
図4図2の熱交換器の側面図。
図5図2の熱交換器が備える水抜き補助具の斜視図。
図6図2の熱交換器の水抜き補助具及び伝熱管の開口端部の配置関係を示す斜視図。
図7図6の水抜き補助具及び伝熱管の開口端部のVII-VII線断面図。
図8図2の熱交換器のVIII-VIII線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る燃焼装置である給湯用熱源機Hについて説明する。この給湯用熱源機Hは、例えば、家屋の外壁面、マンション等のバルコニー、通路に取り付けられて屋外に設置される給湯機に用いられるものである。
【0022】
まず、図1を参照して、給湯用熱源機Hの概略構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、給湯用熱源機Hは、バーナ1を内蔵する燃焼筐2(燃焼室)を備えている。燃焼筐2には、下方から燃焼ファン3により燃焼空気が供給される。燃焼筐2の上部には、バーナ1の燃焼排気の顕熱を回収する顕熱熱交換器4が配置されている。
【0024】
顕熱熱交換器4は、多数の吸熱フィン40と、これら吸熱フィン40を貫通する複数の第1吸熱管41とを備えている。顕熱熱交換器4では、これらの第1吸熱管41を直列に接続して一連の熱交換水路(給水路)を構成し、この熱交換水路に流れる給湯用水が燃焼排気中の顕熱を吸収して加熱されるようになっている。
【0025】
燃焼筐2の上方には、排気筐5が設けられている。排気筐5には、顕熱熱交換器4を通過した燃焼排気が燃焼筐2の上面後部に設けた連通部6を介して流入する。排気筐5の内部には、燃焼排気中の潜熱を回収する潜熱熱交換器7が配設されている。
【0026】
潜熱熱交換器7は、後述するように、複数の第2吸熱管70(伝熱管)を備えている。そして、これらの第2吸熱管70に未加熱の給湯用水を流して、燃焼排気に含まれる水蒸気を第2吸熱管70の外面で凝縮させるようにしている。これにより、潜熱熱交換器7に流れる給湯用水が潜熱を吸収して加熱される。潜熱熱交換器7で加熱された給湯用水は顕熱熱交換器4に送られる。
【0027】
排気筐5の側面には、潜熱熱交換器7の側面に臨む位置で開口する排気通過部60が形成されおり、排気通過部60に連通する位置に排気口部8が取り付けられている。これにより、潜熱熱交換器7を通過した燃焼排気は排気通過部60に向かい、排気通過部60を通過した燃焼排気は排気口部8を介して機外に排出される。なお、給湯運転中に生成される燃焼排気は、燃焼ファン3により強制的に流動されて排気通過部60へ向かう。
【0028】
次に、図2図4を参照して、潜熱熱交換器7の概略構成について説明する。
【0029】
図2及び図3に示すように、潜熱熱交換器7は、薄肉金属板製のケース本体71と、ケース本体71の上部を閉塞する天板72とを備えている。ケース本体71の内部には、前述した複数の第2吸熱管70が収容されている。
【0030】
ケース本体71は、一枚の金属板を絞り加工することによって、上部が開放された箱形状に形成されており、前面壁71a(図4参照)、後面壁71b、一方側壁71c、他方側壁71d、及び、底壁71eを備えている。
【0031】
また、ケース本体71は、その上端部に、天板72を載置するために水平方向に屈曲させた載置部71fを備えている。載置部71fの外周端には、上方に屈曲した外周フランジ71gが形成されており、外周フランジ71gには、所定間隔を存して複数の爪片71hが形成されている。各爪片71hは、天板72の周縁をカシメ止めするために設けられている。
【0032】
前面壁71aには、燃焼排気が導入される横長矩形状の排気入口(不図示)が形成されている。後面壁71bには、燃焼排気が導出される横長矩形状の排気出口71iが形成されている。
【0033】
図4に示すように、底壁71eは、ドレン発生時にドレンを円滑にケース本体71の外部に排出させるため、前面壁71a側から後面壁71b側に向かって下方に傾斜している。この傾斜の最下位の位置には、ドレンを排出するためのドレン排水口71jが設けられている。このドレン排水口71jは、ドレン排出管(不図示)を介して図外の中和器と接続される。
【0034】
一方側壁71cからは、複数の第2吸熱管70の一部の開口端部70aが露出している。同様に、他方側壁71dからは、複数の第2吸熱管70の他の一部の開口端部70aが露出している。
【0035】
また、一方側壁71c及び他方側壁71dの各々には、流入ヘッダ73及び流出ヘッダ74が設けられている。流入ヘッダ73は、複数の第2吸熱管70の上流側の開口端部70aに接続され、流出ヘッダ74は、下流側の開口端部70aに接続されている。流入ヘッダ73及び流出ヘッダ74には、下位部配管接続用に継手管9(図8参照)が接続されている。
【0036】
図2及び図3に示すように、天板72は、平板状のパネル部72aと、パネル部72aの周縁を全周にわたって上方に屈曲させた起立部72bと、起立部72bを全周にわたって水平方向に折り返した平縁部72cと、平縁部72cの外周端から上方に屈曲させた内周フランジ72dとを備えている。
【0037】
天板72は、平縁部72cをケース本体71の載置部71fに着座させ、内周フランジ72dをケース本体71の外周フランジ71gに重合させ、ケース本体71の各爪片71hを内方に折り曲げることにより、カシメ止めされた状態でケース本体71の上部を閉塞する。このとき、天板72の起立部72bは、ケース本体71の前面壁71a、後面壁71b、一方側壁71c、及び、他方側壁71dの内面に密着する。
【0038】
次に、図4図8を参照して、潜熱熱交換器7が備える水抜き補助具75について説明する。なお、図4においては、理解を容易にするために、流入ヘッダ73のカバー部73bは図示省略し、ヘッダ本体73aのみを図示している(図8参照)。
【0039】
図4に示すように、複数の第2吸熱管70の開口端部70aの各々は、潜熱熱交換器7の側面から露出し、側方に向かって開口している。その開口端部70aは、流入ヘッダ73又は流出ヘッダ74に接続されている。これにより、流入ヘッダ73に導かれた給湯用水は、流入側の開口端部70aに導入され、流出側の開口端部70aから排出された給湯用水は、流出ヘッダ74の内部に導出される。
【0040】
流入ヘッダ73の内部では、開口端部70aに対して、冬季における凍結防止等のために、水抜き補助具75が取り付けられている。水抜き補助具75は、流入ヘッダ73の内部に向かって第2吸熱管70の内部に残留した給湯用水を排出させるためのものである。
【0041】
図5に示すように、水抜き補助具75は、直線状に延びた形状のフレーム部75aと、フレーム部75aの両端に設けられた一対の支持部75bと、フレーム部75aの両側面に設けられた複数の分離板75cとを備えている。分離板75cは、流入ヘッダ73の内部に水抜き補助具75を設置した際に、その流入ヘッダ73に接続されている開口端部70aに対応する位置に設けられている。
【0042】
図6に示すように、分離板75cは、開口端部70aに当接する矩形の板状の部材である当接部75dと、当接部75dの端縁から延設されている一対の延設部75eとを有している。また、分離板75cの当接部75dから延設部75eに亘る領域には、分離板75cを貫く貫通孔75fが形成されている。
【0043】
図6図8に示すように、分離板75cの当接部75dは、開口端部70aの軸線方向に対して傾斜している。そのため、当接部75dは、フレーム部75aの延設方向に沿うように上下方向に延びる端縁75gで、開口端部70aの環状の端面に、橋渡しされるように当接している。
【0044】
これにより、その開口端部70aに水膜が形成された場合には、その水膜は、当接部75dの端縁75gにも接触した状態となる。そのため、その水膜を形成している給湯用水は、図7に示した矢印のように、当接部75dの端縁75gに沿って下方に流れて、当接部75dと当接している開口端部70aの端面に導かれた後、開口端部70aから第2吸熱管70の外部へと排出される。その結果、水膜を形成している給湯用水が減少して、水膜が除去される。
【0045】
当接部75dの、開口端部70aに対する当接位置は、開口端部70aの上半分の中央部、及び、下半分の中央部となっている。そのため、当接部75dの端縁は、開口端部70aの径方向の中心近傍を通るように配置されている。これにより、水膜を形成している給湯用水を導く当接部75dの端縁75gを、水膜に極力大きな範囲で接触させることができるようになっている。
【0046】
なお、本実施形態では、当接部75dを矩形の板状とすることによって、開口端部70aに当接する分離板75cの端縁75gの形状を直線状としている。これは、分離板75cの端縁75gと形成される水膜の表面とを一致させて、端縁75gと水膜を形成する給湯用水との接触面積を大きくして、その給湯用水を導きやすくするためである。
【0047】
しかし、本発明の当接部(すなわち、分離板)の開口端部に当接する端縁75gの形状は、必ずしもこのような構成に限定されるものではなく、開口端部に橋渡しされるように当接するものであればよい。例えば、開口端部に対し、開口端部の軸線方向で凸状の又は凹状のアーチ状であってもよいし、中央部で開口端部の内部に突出する部分を有する形状であってもよい。
【0048】
ただし、水膜を形成する給湯用水を導きやすくするために、開口端部に当接する部分から所定の範囲では、形成される水膜の表面と一致するように端縁が延設されていることが好ましい。
【0049】
図7に示すように、延設部75eは、当接部75dのフレーム部75aの延設方向と直交する方向に沿って延びる端縁(端縁75gとは異なる端縁)から、流入ヘッダ73の内部に水抜き補助具75を設置した際に開口端部70a側となる方向に向かって延設されている。
【0050】
ここで、当接部75dのフレーム部75aの延設方向における長さは、開口端部70aの外径よりも大きく構成されている。そのため、延設部75eは、開口端部70aの外周よりも、開口端部70aの径方向外側に位置している。すなわち、延設部75eと開口端部70aの周面とは、所定の間隔を存して、対向している。
【0051】
これにより、当接部75dによって開口端部70aの端縁まで導かれた給湯用水は、その表面張力によって、延設部75eと開口端部70aの周面との間に引き込まれるようになっている。これは、その作用によって、水膜を形成している給湯用水の導出の促進を図るためである。
【0052】
延設部75eと開口端部70aの周面との間に引き込まれた給湯用水の一部は、貫通孔75fを介して、分離板75cの外部に排出される。これは、延設部75eと開口端部70aの周面との間に給湯用水が溜まることによって、給湯用水の導出が阻害されないようにするためである。
【0053】
ところで、開口端部70aに対する水抜き補助具75の位置が変化してしまうと、当接部75dと開口端部70aの端面との当接状態、又は、延設部75eと開口端部70aの周面との間隔が変化してしまうおそれがある。
【0054】
そして、その結果として、当接部75dの端縁75gと開口端部70aの端面とが当接していない状態になってしまうと、水膜を形成する給湯用水を、当接部75dの端縁75gで導きにくくなってしまうおそれがある。
【0055】
また、その結果として、延設部75eと開口端部70aの周面との間隔が大きくなりすぎたり、なくなったり(すなわち、延設部75eと開口端部70aとが当接した状態になったり)すると、延設部75eと開口端部70aの周面との間における給湯用水の引き込みが阻害されるおそれがある。
【0056】
そこで、水抜き補助具75では、分離板75cに連設されているフレーム部75a、及び、フレーム部75aに連設されている支持部75bによって、移動規制部を構成して、開口端部70aに対する水抜き補助具75の移動(すなわち、開口端部70aに対する水抜き補助具75の位置の変化)を規制している。
【0057】
具体的には、図4に示すように、水抜き補助具75を流入ヘッダ73の内部に設置した状態では、水抜き補助具75の一対の支持部75bは、流入ヘッダ73のヘッダ本体73aの周壁の内面のうちの上面及び下面に当接した状態となる。
【0058】
これにより、流入ヘッダ73の内部で位置が固定されている開口端部70aに対し、水抜き補助具75の上下方向の移動(延設部75eと開口端部70aの周面との間隔の変化)が規制されている。
【0059】
また、図8に示すように、水抜き補助具75を流入ヘッダ73の内部に設置した状態では、フレーム部75aは、流入ヘッダ73のカバー部73bの内面に当接し、フレーム部75aからカバー部73bとは反対側に向かって連設されている分離板75cは、端縁75gで開口端部70aに当接している。
【0060】
これにより、水抜き補助具75は、開口端部70aとカバー部73bとによって、挟持された状態になる。その結果、流入ヘッダ73の内部で位置が固定されている開口端部70aに対し、水抜き補助具75の、開口端部70aの軸線方向の移動(当接部75dの端縁75gと開口端部70aの端面との当接状態の変化)が規制されている。
【0061】
以上説明したように、潜熱熱交換器7によれば、水抜き補助具75によって、第2吸熱管70の開口端部70aに形成された水膜を除去して、水膜による給湯用水の排出の阻害を抑制することができる。ひいては、第2吸熱管70の内部に残留した給湯用水を排出させやすくすることができる。
【0062】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、上記実施形態の水抜き補助具75では、分離板75cを、当接部75d、延設部75eを備え、貫通孔75fが形成されたものとしている。また、フレーム部75a及び支持部75bによって、移動規制部を構成している。さらに、当接部75dの端縁75gは、開口端部70aの径方向の中心近傍を通るように配置されている。
【0064】
しかし、本発明の水抜き補助具は、このような構成に限定されるものではなく、開口端部に橋渡しされるように端縁で当接する分離板を備えるものであればよい。例えば、分離板として、途中から複数に分岐した板状の部材を用いて構成してもよい。また、分離板を、開口端部の径方向の中心近傍を通るように配置しなくてもよい。また、移動規制部の一部又は全部、延設部及び貫通孔を省略してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…バーナ、2…燃焼筐、3…燃焼ファン、4…顕熱熱交換器、5…排気筐、6…連通部、7…潜熱熱交換器、8…排気口部、9…継手管、40…吸熱フィン、41…第1吸熱管、60…排気通過部、70…第2吸熱管、70a…開口端部、71…ケース本体、71a…前面壁、71b…後面壁、71c…一方側壁、71d…他方側壁、71e…底壁、71f…載置部、71g…外周フランジ、71h…爪片、71i…排気出口、71j…ドレン排水口、72…天板、72a…パネル部、72b…起立部、72c…平縁部、72d…内周フランジ、73…流入ヘッダ、73a…ヘッダ本体、73b…カバー部、74…流出ヘッダ、75…水抜き補助具、75a…フレーム部(移動規制部)、75b…支持部(移動規制部)、75c…分離板、75d…当接部、75e…延設部、75f…貫通孔、75g…端縁、H…給湯用熱源機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8