(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】加熱システム
(51)【国際特許分類】
F24C 7/04 20210101AFI20230310BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20230310BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20230310BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
F24C7/04 301A
H05B6/12 312
F24C3/12 E
F24C15/00 M
(21)【出願番号】P 2019095235
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 聡
(72)【発明者】
【氏名】今井 民也
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134756(JP,A)
【文献】特開2003-316692(JP,A)
【文献】特開2016-134039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0004828(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/00- 7/06
H05B 6/12
F24C 3/00- 3/14
F24C 9/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱装置と、
該加熱装置と通信可能な第1サーバと、
該第1サーバと通信可能な第2サーバと、
該第2サーバと通信可能であると共に、前記加熱装置のユーザが音声入力を行い得る音声入力部と該ユーザが視認し得る表示部とを有する情報端末とを備えており、
前記第1サーバは、前記加熱装置の運転状態情報を該加熱装置から受信する機能と、前記第2サーバから受信した要求に応じて前記加熱装置の運転に関して前記情報端末の表示部に表示させるべき表示情報を該第2サーバに送信する機能とを有するように構成されており、
前記情報端末は、前記音声入力部に入力された音声情報を前記第2サーバに送信する機能と、前記第2サーバから受信した表示情報を前記表示部に表示する機能とを有するように構成され、
前記第2サーバは、前記情報端末から受信した前記音声情報の内容を認識して、該音声情報の内容から特定した要求を前記第1サーバに送信する機能と、該要求の送信に応じて前記第1サーバから受信した表示情報を前記情報端末に送信する機能とを有するように構成されている
と共に、前記情報端末から受信した前記音声情報の内容が、前記加熱装置の作動の操作を指令する内容であるか否かを判断する機能を有し、該音声情報の内容が前記加熱装置の作動の操作を指令する内容であるときには、前記第1サーバに前記要求を送信しないように構成されていることを特徴とする加熱システム。
【請求項2】
請求項
1記載の加熱システムにおいて、
前記第2サーバは、前記情報端末から受信した前記音声情報の内容が、前記加熱装置の作動の操作を指令する内容であるときには、前記音声情報が受付不可の内容である旨を示す情報を、前記情報端末の表示部に表示させ、又は該情報端末に備えられた音声出力部から出力させる情報として該情報端末に送信する機能をさらに有するように構成されていることを特徴とする加熱システム。
【請求項3】
請求項1
又は2記載の加熱システムにおいて、
前記加熱装置は、調理用レシピ情報に基づく自動調理運転を実行可能な加熱調理器であり、
前記第1サーバが、前記加熱調理器の自動調理運転時に、前記第2サーバからの要求に応じて該第2サーバに送信する表示情報は、前記調理用レシピ情報に関する説明用の表示情報と、前記加熱調理器の運転状態情報を表す表示情報とを含むことを特徴とする加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器等の加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、加熱調理器としてのコンロでは、特許文献1に見られるように、スマートフォン等の携帯情報端末とコンロとの通信を行い、加熱調理器での調理運転時に、携帯情報端末でレシピ情報やコンロの運転状態を示す情報等を表示し、ユーザがこれらの情報を自身の携帯情報端末で確認しながら、調理作業を行い得るようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スマートフォン等の携帯情報端末は、表示部の表示情報の切替え等のために、タッチ操作が必要であるため、特に調理作業中では、該携帯情報端末の表示画面が汚れてしまいやすい。また、画面サイズが比較的小さいため、表示内容を確認しづらいという不都合がある。
【0005】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、加熱調理器等の加熱装置の使用時に、ユーザが所望の情報をタッチ操作等の手操作を必要とせずに、容易且つ適切に取得することができる加熱システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱システムは、上記の目的を達成するために、
被加熱物を加熱する加熱装置と、
該加熱装置と通信可能な第1サーバと、
該第1サーバと通信可能な第2サーバと、
該第2サーバと通信可能であると共に、前記加熱装置のユーザが音声入力を行い得る音声入力部と該ユーザが視認し得る表示部とを有する情報端末とを備えており、
前記第1サーバは、前記加熱装置の運転状態情報を該加熱装置から受信する機能と、前記第2サーバから受信した要求に応じて前記加熱装置の運転に関して前記情報端末の表示部に表示させるべき表示情報を該第2サーバに送信する機能とを有するように構成されており、
前記情報端末は、前記音声入力部に入力された音声情報を前記第2サーバに送信する機能と、前記第2サーバから受信した表示情報を前記表示部に表示する機能とを有するように構成され、
前記第2サーバは、前記情報端末から受信した前記音声情報の内容を認識して、該音声情報の内容から特定した要求を前記第1サーバに送信する機能と、該要求の送信に応じて前記第1サーバから受信した表示情報を前記情報端末に送信する機能とを有するように構成されていることを基本構成とする。
【0007】
かかる本発明によれば、前記加熱装置のユーザは、該加熱装置の使用時に、該加熱装置の運転に関して取得したい情報があるときに、その旨の音声を情報端末の音声入力部に入力する。このとき、情報端末の音声入力部に入力された音声情報は、該情報端末から第2サーバに送信される。さらに、該第2サーバにより、該音声情報の内容が認識されると共に、該音声情報の内容からユーザの要求が特定され、その要求が第2サーバから第1サーバに送信される。
【0008】
該要求を受信した第1サーバは、該要求に応じて前記加熱装置の運転に関して前記情報端末の表示部に表示させるべき表示情報を該第2サーバに送信する。この場合、第1サーバは、加熱調理器の運転状態情報を該加熱調理器から受信できるので、加熱調理器の運転状態に整合する適切な表示情報を第2サーバに送信できる。
【0009】
そして、該表示情報が、第2サーバから情報端末に送信され、該情報端末の表示部で表示される。これにより、ユーザは、取得したい情報を情報端末の表示部に表示される表示情報として視認することができる。
【0010】
従って、ユーザは、加熱装置の運転に関して取得したい情報がある旨の音声を情報端末の音声入力部に入力するだけで、情報端末に対するタッチ操作等の手操作を必要とすることなく、加熱装置の実際の運転状態に整合した所望の情報を情報端末の表示部で表示される表示情報として取得することができる。また、音声入力部及び表示部を有する情報端末として、スマートディスプレイ等の情報端末を使用できるので、該情報端末の表示部での表示情報を見やすいサイズの情報にすることができる。
【0011】
よって、前記基本構成を有する本発明によれば、加熱調理器等の加熱装置の使用時に、ユーザは、所望の情報をタッチ操作等の手操作を必要とせずに、容易且つ適切に取得することができる。
【0012】
また、前記基本構成を有する本発明の加熱システムは、加熱装置の運転状態情報の取得や、加熱装置に関する表示情報の提供を行う第1サーバと、情報端末に対して入力される音声情報の認識等を行う第2サーバとを各別のサーバとして備えるので、それぞれのサーバの負担が軽減されると共に、各サーバの処理性能を高めることができる。また、第2サーバは、加熱装置に専用的な処理を必要としないので、例えば、既存のAIアシスタントシステムのサーバを第2サーバとして利用することができる。ひいては、本発明の加熱システムを容易に構築することが可能となる共に、ユーザは、安価に本発明の加熱システムを利用できる。
【0013】
上記基本構成を有する本発明では、前記第2サーバは、前記情報端末から受信した前記音声情報の内容が、前記加熱装置の作動の操作を指令する内容であるか否かを判断する機能を有し、該音声情報の内容が前記加熱装置の作動の操作を指令する内容であるときには、前記第1サーバに前記要求を送信しないように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0014】
ここで、情報端末の音声入力部には、加熱装置のユーザの音声だけでなく、例えば、テレビやラジオから出力される音声や、情報端末の周辺での通常会話の音声が入力され得る。そして、この場合、加熱装置のユーザが意図せずに、情報端末の音声入力部に、加熱装置の作動の操作を指令する内容の音声が入力されてしまう場合がある。
【0015】
しかるに、第1発明によれば、第2サーバは、情報端末から受信する音声情報の内容が加熱装置の作動の操作を指令する内容であるときには、前記第1サーバに前記要求を送信しない。このため、第1サーバが加熱装置との通信によって、該加熱装置の作動を操作し得るように構成されていたとしても、該加熱装置の作動が誤操作されてしまうのを防止することができる。
【0016】
上記第1発明では、前記第2サーバは、前記情報端末から受信した前記音声情報の内容が、前記加熱装置の作動の操作を指令する内容であるときには、前記音声情報が受付不可の内容である旨を示す情報を、前記情報端末の表示部に表示させ、又は該情報端末に備えられた音声出力部から出力させる情報として該情報端末に送信する機能をさらに有するように構成されていることが好ましい(第2発明)。
【0017】
これによれば、ユーザ等が、加熱装置の作動の操作を指令する内容の音声を情報端末の音声入力部に入力すると、入力された音声情報が受付不可の内容である旨を示す情報が情報端末の表示部又は音声出力部から出力されるので、ユーザは、情報端末への音声入力では加熱装置の作動を操作できないことを確実に認識することができる。
【0018】
上記第1~第2発明では、前記加熱装置は、例えば、調理用レシピ情報に基づく自動調理運転を実行可能な加熱調理器であり得る。この場合、前記第1サーバが、前記加熱調理器の自動調理運転時に、前記第2サーバからの要求に応じて該第2サーバに送信する表示情報は、前記調理用レシピ情報に関する説明用の表示情報と、前記加熱調理器の運転状態情報を表す表示情報とを含むことが好ましい(第3発明)、
【0019】
これによれば、加熱調理器での自動調理運転時に、タッチ操作等の手操作を必要とせずに、調理用レシピ情報に関する説明用の表示情報や、加熱調理器の運転状態情報を表す表示情報を情報端末の表示部で適宜視認できるので、自動調理運転に関する調理作業を容易且つ適切に実施できる。
【0020】
また、加熱調理器での自動調理運転中に、情報端末に加熱調理器の作動の操作を指令する音声が入力され、それに応じて、音声情報が受付不可の内容である旨を示す情報が情報端末から出力されても、該情報の出力が加熱調理器の加熱部の出力調整等を必要としない自動調理運転中での出力であることから、ユーザが該情報の出力に対して違和感を覚えるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態の加熱システムの全体構成を示す図。
【
図2】実施形態の加熱システムの要部構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態を、
図1~
図3を参照して以下に説明する。
図1及び
図2を参照して、本実施形態の加熱システム1は、加熱調理器2、第1サーバ31、第2サーバ32、情報端末33、レシピサーバ34、及び携帯通信端末35を含む。
【0023】
図1に示す如く、加熱調理器2は、本実施形態では、ガスコンロであり、被加熱物である調理対象物(調理具材、調理容器等)を加熱する燃焼式の加熱部として、加熱調理器2の上面の複数個所、例えば、左前部、右前部、及び後中央部にそれぞれ配置された左コンロ10a、右コンロ10b及び後コンロ10cと、加熱調理器2の前面で開閉可能に該加熱調理器2の筐体内に配置されたグリル10dとを備えている。
【0024】
各コンロ10a,10b,10cには、それぞれで加熱される調理対象物の温度を検出する温度センサ17a,17b,17cが設けられている。また、図示は省略するが、グリル10dには、庫内温度を検出する温度センサが設けられている。
【0025】
加熱調理器2の前面には、各コンロ10a,10b,10cのそれぞれの点火、消火及び火力調整を行うための操作ボタン11a,11b,11cと、グリル10dの点火、消火及び火力調整を行うための操作ボタン11dとが設けられている。
【0026】
この場合、例えば、操作ボタン11a,11b,11c,11dのそれぞれの押し操作により、それぞれに対応する左コンロ10a又は右コンロ10b又は後コンロ10c又はグリル10dの点火又は消火が行われ、操作ボタン11a,11b,11c,11dのそれぞれの回転操作により、それぞれに対応する左コンロ10a又は右コンロ10b又は後コンロ10c又はグリル10dの火力調整が行われる。なお、各コンロ10a,10b,10c及びグリル10dのそれぞれの点火及び消火用の操作部と、火力調整用の操作部とは各別の操作部であってもよい。
【0027】
加熱調理器2の前面には、さらに、プッシュオープン式のコンロ操作部12とグリル操作部14とが設けられている。この場合、コンロ操作部12を押し操作すると該コンロ操作部12が開いてコンロ操作パネル13が操作可能に露出するようになっている。該コンロ操作パネル13は、左コンロ10a用の左コンロ操作部13aと、右コンロ10b用の右コンロ操作部13bと、後コンロ10c用の後コンロ操作部13cとを備えている。
【0028】
また、グリル操作部14を押し操作すると該グリル操作部14が開いてグリル操作パネル15が操作可能に露出するようになっている。なお、コンロ操作パネル13及びグリル操作パネル15のそれぞれは、加熱調理器2の外面部に露出した状態で備えられていてもよい。
【0029】
コンロ操作パネル13は、各コンロ10a,10b,10cの作動制御等に関する操作(例えば湯沸かし運転もしくは炊飯運転のオンオフ操作、自動調理運転に関する設定操作、タイマ時間の設定操作、加熱温度の設定操作等)をユーザが行い得るように構成されていると共に、各コンロ10a,10b,10cの作動に関する種々の情報を表示し得るように構成されている。このことはグリル操作パネル15ついても同様である。
【0030】
加熱調理器2は、上記の構成のほか、さらに
図2に示すように、加熱調理器2の全体の作動制御を行う機能を有する制御装置20を備える。該制御装置20は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路、通信装置等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。
【0031】
この制御装置20には、加熱調理器2に備えられた複数のセンサ(前記温度センサ17a,17b,17cを含む)のセンシング信号と、操作ボタン11a,11b,11c,11d及び操作パネル13,15のそれぞれの操作信号とが入力される。そして、制御装置20は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、各コンロ10a,10b,10c及びグリル10dのそれぞれの作動制御(詳しくは、点火、消火、火力調整に係る作動制御)を行う機能と、操作パネル13,15の表示制御を行う機能とを有する。
【0032】
なお、各コンロ10a,10b,10c及びグリル10dのそれぞれの作動制御は、より詳しくは、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c及びグリル10dのそれぞれに対応する図示しない燃料供給路に設けられた開閉弁及び火力調整弁、並びに、図示しない点火装置の作動制御を通じてなされる。
【0033】
また、制御装置20は、携帯通信端末35と、Bluetooth(登録商標)もしくはWi-Fi(登録商標)等による無線通信を行うことが可能である。該携帯通信端末35は、加熱調理器2のユーザが使用するスマートフォン、タブレット端末、もしくは携帯電話等により構成され、加熱調理器2を使用した調理に関する所定の調理用アプリケーションがあらかじめインストールされている。そして、携帯通信端末35は、調理用アプリケーションを起動した状態で、制御装置20と無線通信を行い得るように、該制御装置20との接続設定が事前になされている。
【0034】
また、携帯通信端末35は、調理用アプリケーションを起動した状態で、インターネット等により構成される広域ネットワークである外部ネットワークNW(
図1に示す)を介してレシピサーバ34と通信を行うことが可能である。
【0035】
該レシピサーバ34は、例えば加熱調理器2のメーカ、あるいは、該メーカの委託業者等が運営するサーバであり、加熱調理器2で実行し得る複数の自動調理メニューのそれぞれに関するレシピ情報(以降、調理用レシピ情報ということがある)を保有する。
【0036】
該調理用レシピ情報は、加熱調理器2の自動調理運転の実行時にユーザが行うべき調理手順を示す情報、該自動調理運転における加熱調理器2の作動を制御するための制御処理情報、該自動調理運転の各工程での調理作業の内容等を視覚的に説明するための静止画又は動画の画像情報、該調理作業の内容等を聴覚的に説明するための音声案内情報等を含む。なお、画像情報は、情報端末33の後述する表示部33aで表示し得る情報であり、音声案内情報は、情報端末33の後述する音声出力部33cから出力し得る情報である。
【0037】
そして、上記調理用アプリケーションを起動した携帯通信端末35は、ユーザによる該携帯通信端末35の操作に応じて、レシピサーバ34から自動調理メニューのリストを取得して表示する機能、ユーザが携帯通信端末35で選定した自動調理メニューに係る調理用レシピ情報をレシピサーバ34からダウンロードする機能、ダウンロードした調理用レシピ情報を加熱調理器2の制御装置20に送信(アップロード)し、該調理用レシピ情報に基づく自動調理運転の実行を該制御装置20に指令する機能等を有する。
【0038】
なお、携帯通信端末35が、ユーザにより選定された自動調理メニューに関してレシピサーバ34からダウンロードする調理用レシピ情報や、制御装置20に送信する調理用レシピ情報は、自動調理運転における加熱調理器2の制御処理情報を含んでいればよく、画像情報及び音声案内情報の両方又は一方を含んでいなくてもよい。
【0039】
さらに、制御装置20は、ルータ等を含む図示しないホームネットワーク(ローカルエリアネットワーク)を介して外部ネットワークNWとの通信接続を行うことが可能であると共に、該外部ネットワークNWを介して第1サーバ31と通信を行うことが可能である。
【0040】
第1サーバ31は、例えば加熱調理器2のメーカ、あるいは、該メーカの委託業者等が運営するサーバであり、加熱調理器2の運転状態を示す運転状態情報を、適宜、該加熱調理器2の識別情報と共に制御装置20から取得(受信)することが可能である。
【0041】
該運転状態情報は、例えば、調理対象物の温度等、前記センシング信号により示される検出情報、各コンロ10a,10b,10c及びグリル10の作動(燃焼運転)の有無及び火力を示す情報、加熱調理器2で実行中の自動調理のメニュー(種類)及び工程を示す情報等を含む。そして、第1サーバ31は、該運転状態情報を、該第1サーバ31に対してあらかじめ登録された加熱調理器2のユーザの識別情報に対応付けて取得することが可能である。
【0042】
また、第1サーバ31は、前記レシピサーバ34と通信を行うことも可能であり、この通信により、レシピサーバ34から、加熱調理器2で実行中の自動調理運転に係る調理用レシピ情報のうちの画像情報及び音声案内情報等を適宜取得することが可能である。
【0043】
さらに、第1サーバ31は、第2サーバ32と通信を行うことも可能であり、該第2サーバ32からの要求に応じて、加熱調理器2の制御装置20から取得した運転状態情報を示す表示情報や、該加熱調理器2で実行中の自動調理運転に関してレシピサーバ34から取得した画像情報及び音声案内情報を第2サーバ32に送信することが可能である。
【0044】
情報端末33は、加熱調理器2のユーザの居宅で、定常的に、もしくは随時、加熱調理器2の近辺に配置される情報端末であり、例えば、第2サーバ32との連係によりAIアシスタント機能を有するスマートディスプレイにより構成される。該情報端末33は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成される表示部33aと、音声が入力される音声入力部33bと、音声を出力する音声出力部33cと、制御部33dとを備える。
【0045】
この場合、制御部33dは、マイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路、通信装置等を含む電子回路ユニットにより構成され、ルータ等を含む図示しないホームネットワーク(ローカルエリアネットワーク)を介して外部ネットワークNWとの通信接続を行うことが可能であると共に、該外部ネットワークNWを介して第2サーバ32と通信を行うことが可能である。
【0046】
そして、制御部33dは、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、音声入力部33bが入力された音声を示す音声情報(音声データ信号)を第2サーバ32に送信する機能、第2サーバ32から情報端末33に送信される画像情報等の表示情報を表示部33aに表示させる機能、第2サーバ32から情報端末33に送信される音声案内情報を音声出力部33cから実際の音声として出力させる機能等を有する。
【0047】
第2サーバ32は、情報端末33の提供業者等が運営するサーバであり、情報端末33から受信した音声情報の内容(情報端末33の音声入力部33bに入力された音声の内容)を認識し、該音声情報の内容に対する応答情報を情報端末33に送信する機能を有する。該応答情報は、情報端末33の表示部33aに表示させるべき表示情報(画像情報等)と音声出力部33cから出力させるべき音声案内情報との両方又は一方により構成される(以降、表示情報及び音声案内情報の両方又は一方を、表示情報及び/又は音声案内情報と表記する)。
【0048】
この場合、第2サーバ32は、情報端末33で入力された音声情報(以降、単に入力音声情報という)が、加熱調理器2で実行しようとする、又は実行中の自動調理運転に関する表示情報及び/又は音声案内情報を要求する情報であり、且つ、該加熱調理器2の作動操作(コンロ10a,10b,10c及びグリル10dのいずれかの点火、消火、又は火力調整)を要求するものではないと認識したときには、入力音声情報により要求される表示情報及び/又は音声案内情報を、第2サーバ32に事前に登録されている情報端末33のユーザ(=加熱調理器2のユーザ)の識別情報に対応付けて第1サーバ31に要求する。そして、第2サーバ32は、この要求に応じて第1サーバ31から送信される表示情報及び/又は音声案内情報を受信し、その受信した表示情報及び/又は音声案内情報を応答情報として、情報端末33に送信する。
【0049】
また、第2サーバ32は、情報端末33に対する入力音声情報が、加熱調理器2の作動操作を要求するものであると認識したときには、当該要求を第1サーバ31に送信することなく、当該要求を受け付けることができない旨の応答情報(表示情報及び/又は音声案内情報)を情報端末33に送信する。
【0050】
次に、本実施形態の加熱システム1の全体的な作動を
図3を参照して説明する。加熱調理器2のユーザは、該加熱調理器2の自動調理運転を実行しようとするとき、自身の携帯通信端末35を使用して、所望の自動調理メニューに関する調理用レシピ情報の制御処理情報を加熱調理器2の制御装置20に送信した後、該自動調理メニューに関する自動調理運転の実行を携帯通信端末35から加熱調理器2の制御装置20に指令する(
図3のS1)。
【0051】
なお、実行しようとする自動調理メニューが加熱調理器2に登録済の調理メニュー(制御処理情報が制御装置20に記憶保持されている調理メニュー)である場合には、加熱調理器2の操作パネル13又は15の操作によって、自動調理運転の実行を制御装置20に指令することも可能である。
【0052】
このとき、加熱調理器2の制御装置20は、今回の自動調理運転が終了するまで、加熱調理器2の運転状態情報(詳しくしは、コンロ10a~10c及びグリル10dのうち、自動調理運転に使用するコンロ又はグリルの運転状態情報)を逐次、第1サーバ31に送信する(
図3のS2)。
【0053】
さらに、ユーザは、加熱調理器2で実行する自動調理運転に関する調理用レシピ情報の画像情報等の表示情報や、音声案内情報を情報端末33で利用しようとする場合には、調理用レシピ情報を要求する旨の音声を情報端末33の音声入力部33bに入力する(
図3のS3)。
【0054】
このとき、情報端末33の制御部33dは、音声入力部33bに入力された音声情報を第2サーバ32に送信する(
図3のS4)。そして、第2サーバ32は、情報端末33から受信した音声情報の内容を認識し、その音声情報の内容が、加熱調理器2の作動操作を要求するものではないことから、該音声情報の内容を示す要求(調理用レシピ情報の要求)を第1サーバ31に送信する(
図3のS5)。なお、この場合、第2サーバ32から情報端末33に、要求を受け付けた旨を示す表示情報及び/又は音声案内情報を送信し、該表示情報及び/又は音声案内情報を情報端末33で出力してもよい。
【0055】
調理用レシピ情報の要求を第2サーバ32から受信した第1サーバ31は、加熱調理器2で実行する自動調理運転に係る調理用レシピ情報を要求する旨をレシピサーバ34に送信する(
図3のS6)。これに応じて、レシピサーバ34は、要求された調理用レシピ情報のうちの画像情報及び音声案内情報の全体を第1サーバ31に送信する(
図3のS7)。このとき、レシピサーバ34から第1サーバ31に送信される画像情報及び音声案内情報のそれぞれには、自動調理運転のどのタイミングで出力すべき情報であるかを示すタイミング情報も含まれている。
【0056】
かかる画像情報及び音声案内情報を受信した第1サーバ31は、該画像情報及び音声案内情報の全体を保存した上で、加熱調理器2から受信した現在の運転状態情報に基づいて、情報端末33に出力させるべき表示情報及び/又は音声案内情報を決定し、その決定した表示情報報及び/又は音声案内情報を第2サーバ32に送信する(
図3のS8)。なお、第1サーバ31が第2サーバ32に送信する表示情報には、レシピサーバ34から受信した画像情報の他、加熱調理器2の運転状態情報を示す表示情報が適宜、含まれる。
【0057】
このとき、第2サーバ32は第1サーバ31から受信した表示情報及び/又は音声案内情報を情報端末33に転送する(
図3のS9)。該表示情報及び/又は音声案内情報を受信した情報端末33の制御部33dは、受信した表示情報を表示部33aに表示させ、また、受信した音声案内情報を音声出力部33cから出力させる。これにより、ユーザは、情報端末33に触れることを必要とせずに、表示部33aに表示される表示情報(調理用レシピ情報の画像情報や、加熱調理器2の運転状態情報を示す表示情報)を視認し、あるいは、音声出力部33cから出力される音声案内情報を聞き取ることができる。
【0058】
ユーザが、調理作業の進行に伴い、情報端末33から出力される表示情報及び/又は音声案内情報の切替え(新たな工程に対応する表示情報及び/又は音声案内情報への切り替え)を欲する場合には、ユーザは、調理用レシピ情報の切替えを要求する旨の音声を情報端末33の音声入力部33bに入力する(
図3のS10)。
【0059】
このとき、情報端末33の制御部33dは、音声入力部33bに入力された音声情報を第2サーバ32に送信する(
図3のS11)。そして、第2サーバ32は、情報端末33から受信した音声情報の内容を認識し、その音声情報の内容が、加熱調理器2の作動操作を要求するものではないことから、該音声情報の内容を示す要求(調理用レシピ情報の切替要求)を第1サーバ31に送信する(
図3のS12)。なお、この場合、第2サーバ32から情報端末33に、要求を受け付けた旨を示す表示情報及び/又は音声案内情報を送信し、該表示情報及び/又は音声案内情報を情報端末33で出力してもよい。
【0060】
調理用レシピ情報の切替要求を第2サーバ32から受信した第1サーバ31は、加熱調理器2から受信した現在の運転状態情報に基づいて、情報端末33に出力させるべき表示情報及び/又は音声案内情報を決定し、その決定した表示情報及び/又は音声案内情報を第2サーバ32に送信する(
図3のS13)。なお、S13において第1サーバ31が第2サーバ32に送信する表示情報には、前記S8と同様に、レシピサーバ34から受信した画像情報の他、加熱調理器2の運転状態情報を示す表示情報が適宜、含まれる。
【0061】
このとき、第2サーバ32は第1サーバ31から新たに受信した表示情報及び/又は音声案内情報を情報端末33に転送する(
図3のS14)。該表示情報及び/又は音声案内情報を新たに受信した情報端末33の制御部33dは、受信した表示情報を表示部33aに表示させ、また、受信した音声案内情報を音声出力部33cから出力させる。これにより、ユーザは、情報端末33に触れることを必要とせずに、表示部33aに表示される表示情報(調理用レシピ情報の画像情報や、加熱調理器2の運転状態情報を示す表示情報)あるいは、音声出力部33cから出力される音声案内情報を、新たなものに切り替えることができる。
【0062】
また、情報端末33の音声入力部33bには、加熱調理器2の作動操作(コンロ10a,10b,10c及びグリル10dのいずれかの点火、消火、又は火力調整)を要求する音声が、ユーザから入力され、あるいは、テレビもしくはラジオ等のユーザ以外の音源等から入力される場合がある(
図3のS15)。この場合、入力された音声情報が情報端末33から第2サーバ32に送信される(
図3のS16)。
【0063】
このとき、情報端末33から該音声情報を受信した第2サーバ32は、該音声情報の内容が、加熱調理器2の作動操作を要求するものであることから、該音声情報の内容により示される要求を第1サーバ31に送信することなく、該要求を受け付けることができない旨の応答情報(表示情報及び/又は音声案内情報)を情報端末33に送信する(
図3のS17)。このとき、該応答情報が情報端末33で出力される。これにより、ユーザは、加熱調理器2の作動操作の要求が受け付けらないことを認識することができる。
【0064】
本実施形態の加熱システム1では、加熱調理器2の自動調理運転時に、ユーザは、情報端末33の音声入力部33bに、調理用レシピ情報の取得や切替を要求する旨の音声情報を入力することで、タッチ操作等の手操作を必要とすることなく、調理用レシピ情報の画像情報や、加熱調理器2の運転状態情報を情報端末33の表示部33aに表示される表示情報によって視覚的に取得し、あるいは、調理用レシピ情報の音声案内情報を情報端末33の音声出力部33cから出力される音声情報によって聴覚的に取得することができる。このため、加熱調理器2の自動調理運転に係る調理作業を容易且つ的確に実施できる。
【0065】
この場合、ユーザは、自身の居宅に情報端末33を備えるだけで、加熱システム1を利用できるので、該加熱システム1を安価且つ手軽に利用できる。また、第2サーバ32として、既存のAIアシスタントシステムのサーバを利用できるので、加熱システム1を容易に構築できる。
【0066】
また、加熱調理器2と通信を行う第1サーバ31と、情報端末33と通信を行う第2サーバ32とが各別のサーバであるので、該第1サーバ31及び第2サーバ32のそれぞれの負荷を軽減し、それぞれの処理能力を高めることができる。ひいては、加熱システム1の利便性を高めることができる。
【0067】
なお、以上説明した実施形態では、第1サーバ31は、前記S7において、加熱調理器2で実行する自動調理運転に係る調理用レシピ情報の画像情報及び音声案内情報の全体をレシピサーバ34から受信するようにしたが、第2サーバ32から調理用レシピ情報の要求を受信する都度、その時点で必要な画像情報及び/又は音声案内情報だけをレシピサーバ34から取得するようにしてもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、レシピサーバ34を備える加熱システム1を例示したが、例えば第1サーバ31が、レシピサーバ34としての機能を併せ持つように構成されていてもよい。この場合には、レシピサーバ34は不要である。
【0069】
また、加熱調理器2が、その操作によって、レシピサーバ34から(あるいは、レシピサーバ34としての機能を併せ持つ第1サーバ31から)、レシピ情報を直接的に取得し得るように構成されていてもよい、この場合には、携帯通信端末35は、加熱システム1の構成要素から除外し得る。
【0070】
また、前記実施形態では、加熱調理器2としてガスコンロを例示したが、本発明における加熱調理器は、加熱部としてIHヒータや、電熱器を有する加熱調理器であってもよい。また、本発明における加熱調理器は、オーブン、電子レンジ等であってもよい。さらに、本発明における加熱装置は、加熱調理器に限らず、暖房装置等の加熱装置であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…加熱システム、2…加熱調理器(加熱装置)、31…第1サーバ、32…第2サーバ、33…情報端末、33a…表示部、33b…音声入力部、33c…音声出力部。